(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(54)【発明の名称】伝送品質改善及び特性調節の可能な高速通信用コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6473 20110101AFI20221026BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20221026BHJP
H01R 13/6477 20110101ALI20221026BHJP
H01R 13/6474 20110101ALI20221026BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20221026BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H01R13/6473
H01R12/71
H01R13/6477
H01R13/6474
H05K1/14 B
H05K3/36 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513618
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 KR2020011309
(87)【国際公開番号】W WO2021040375
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0105444
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522075461
【氏名又は名称】エル テク カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EL TECH CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ユン ヒョンス
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンムン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ドンウォン
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
5E344
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FB05
5E021FC20
5E021FC23
5E021LA12
5E021LA20
5E223AB58
5E223AB60
5E223BA07
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB31
5E223CB38
5E223CD01
5E223CD06
5E223CD22
5E223DB23
5E223EB15
5E344AA05
5E344AA19
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB06
5E344BB10
5E344BB14
5E344CC11
5E344CC17
5E344CC23
5E344DD07
5E344EE07
5E344EE08
(57)【要約】
本発明は、10~25GHz水準の高速データ通信のための基板対基板(Board to Board)型のコネクタで、PCB構造のフィンガー構造体と誘電体充填構造のレセプタクル構造体の信号線間の遮蔽構造によって信号干渉を低減しながらも誘電体と信号線の構造によってインピーダンスマッチングを容易にする伝送品質改善及び特性調節の可能な高速通信用コネクタに関する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速データ通信のための基板対基板(Board to Board)型のコネクタであって、
PCB板(3)の一側に形成され、一側面及び他側面にそれぞれ複数の陽極端子(11)及び陰極端子(12)が離隔して対称状に形成され、前記陽極端子(11)の間及び陰極端子(12)の間とPCB板(3)の内側にそれぞれ陽極端子(11)及び陰極端子(12)から所定の間隔を置いて導体素材のシールド構造体(13)が配置されるフィンガー構造体(1)と、
一側に収容溝(21)を備えて前記フィンガー構造体(1)の一側面及び他側面を取り囲んで結合し、前記陽極端子(11)及び前記陰極端子(12)にそれぞれ接触して通電する複数の陽極ピン(22)及び陰極ピン(23)、ディファレンシャルラインを構成する前記陽極ピン(22)の間及び陰極ピン(23)の間ごとに所定の間隔で挿入されて各ディファレンシャルラインを区分する導体素材のシールド板(24)、及び前記収容溝(21)を除き、前記陽極ピン(22)及び陰極ピン(23)とシールド板(24)との間に付着されて胴体を形成し、前記シールド板(24)によって区分されるディファレンシャルライン別に周波数帯域によって種類及び量を選択的に調節してインピーダンスを調節することができる低誘電率特性の誘電体(25)を備えるレセプタクル構造体(2)と、
を含んでなることを特徴とする、伝送品質改善及び特性調節の可能な高速通信用コネクタ。
【請求項2】
前記誘電体(25)は、テフロン(Teflon)(登録商標)、ポリエチレン(Polyethylene)、レジン(Resin)、ガッタパーチャ(Gutta-Percha)、ルーサイト(Lucite)、パラフィン(Paraffin)、発泡スチレン(Styrofoam)、ワセリン(Vaseline)、及びセラミックの中で選択されることを特徴とする、請求項1に記載の伝送品質改善及び特性調節の可能な高速通信用コネクタ。
【請求項3】
前記陽極ピン(22)及び前記陰極ピン(23)のそれぞれは、前記陽極端子(11)及び陰極端子(12)に接触する接触部(221、231)と、互いに平行に離隔するように形成される直線区間(222、232)と、それぞれ所定の方向に折り曲げられて誘電体の外側に露出される露出部(223、233)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の伝送品質改善及び特性調節の可能な高速通信用コネクタ。
【請求項4】
前記陽極ピン(22)及び前記陰極ピン(23)は所定の方向に折り曲げられる湾曲部(224、234)をそれぞれ含み、前記陽極ピン(22)及び前記陰極ピン(23)の中で内側で折り曲げられるピンの湾曲部には追加的な曲線部(235)が形成されることにより、前記陽極ピン(22)及び前記陰極ピン(23)の長さが同じになるように構成されることを特徴とする、請求項3に記載の伝送品質改善及び特性調節の可能な高速通信用コネクタ。
【請求項5】
前記曲線部(235)の曲率半径は陽極ピン(22)または陰極ピン(23)の幅の2倍以下を維持することを特徴とする、請求項4に記載の伝送品質改善及び特性調節の可能な高速通信用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信用コネクタに関し、より詳しくは10~25GHz水準の高速データ通信のための基板対基板(Board to Board)型のコネクタで、PCB構造のフィンガー構造体と誘電体充填構造のレセプタクル構造体の信号線間の遮蔽構造によって信号干渉を低減しながらも誘電体と信号線の構造によってインピーダンスマッチングを容易にする伝送品質改善及び特性調節の可能な高速通信用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
IT技術が発展するのに伴い、通信周波数の増加とデジタル部品の処理速度の向上などの理由で、大容量のデータを高速で送受信することができる環境を要求しており、信号の通信のために導体を使うケーブル、コネクタを始めとする光通信などの信号伝逹媒体に対する研究、開発も活発に遂行されている。
【0003】
ここで、通信周波数が高くなるほど各線路は段々アンテナ化して多量の電磁波エネルギーを放射し、これによるRF回路における線路間のエネルギーが互いに反応するカップリング(coupling)現象は通信性能に大きな影響を及ぼす。
【0004】
すなわち、高周波信号の伝送の際に線間信号の干渉が通信品質に及ぶ影響が大きく、特に多くの信号を並列で伝送する場合にはその影響がもっと大きい。
【0005】
このような問題のため、信号伝送特性が良く長距離伝送が可能なシリアル通信(直列通信)方式が使われるが、並列信号を直列信号に転換して伝送し、受信側ではその反対の変換が必要であるという煩わしさがあり、追加的な部品の使用などが要求される問題点がある。特に、使用が増加しているライトアングル構造はシリアル通信のインピーダンスマッチングが難しいので、使用が徐々に減少する趨勢である。
【0006】
既存のシリアル通信の問題点を補うために、高速通信のための光を使う光通信を用いて高速の信号伝送を遂行することがあるが、光通信は基本的に使われる部品のサイズが大きく価格が非常に高い問題点があり、高速通信の可能な導波管(Wave guide)の場合は製作が難しいだけでなく非常に高価である。
【0007】
一方、導線で連結されたコネクタを使う場合、費用の面で大きな利点があり、特に低周波数帯域では大きな問題なしに円滑な性能を期待することができるが、高周波数帯域では信号干渉が増加し伝送効率が低くなって実際使用に多くの困難がある。
【0008】
一部の場合、このような信号の干渉を防ぐために、信号線を単純に遮蔽した技術的構造を用いる場合があるが、この技術は数百MHz帯域の信号伝送に対応することができるだけで、GHz範囲帯域の信号伝送に重要なインピーダンスマッチングの問題を解決することができない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1741318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記のような問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、コネクタを用いた基板対基板高速データ通信において、信号線間の干渉を抑制しながら容易なインピーダンスマッチングによって通信効率を向上させることができる伝送品質改善及び特性調節の可能な高速通信用コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような目的を達成するために、本発明は、高速データ通信のための基板対基板(Board to Board)型のコネクタであって、PCB板の一側に形成され、一側面及び他側面にそれぞれ複数の陽極端子及び陰極端子が離隔して対称状に形成され、前記陽極端子の間及び陰極端子の間とPCB板の内側にそれぞれ陽極端子及び陰極端子から所定の間隔を置いて導体素材のシールド構造体が配置されるフィンガー構造体と、一側に収容溝を備えて前記フィンガー構造体の一側面及び他側面を取り囲んで結合し、前記陽極端子及び前記陰極端子にそれぞれ接触して通電する複数の陽極ピン及び陰極ピン、ディファレンシャルラインを構成する前記陽極ピンの間及び陰極ピンの間ごとに所定の間隔で挿入されて各ディファレンシャルラインを区分する導体素材のシールド板、及び前記収容溝を除き、前記陽極ピン及び陰極ピンとシールド板との間に付着されて胴体を形成し、前記シールド板によって区分されるディファレンシャルライン別に周波数帯域によって種類及び量を選択的に調節してインピーダンスを調節することができる低誘電率特性の誘電体を備えるレセプタクル構造体と、を含んでなることを特徴とする。
【0012】
前記誘電体は、テフロン(Teflon)(登録商標)、ポリエチレン(Polyethylene)、レジン(Resin)、ガッタパーチャ(Gutta-Percha)、ルーサイト(Lucite)、パラフィン(Paraffin)、発泡スチレン(Styrofoam)、ワセリン(Vaseline)、及びセラミックの中で選択されることが好ましい。また前記誘電体の中で2種または3種を組み合わせて使うことも好ましい。周波数が変更されれば、使用周波数を考慮して適切な誘電体あるいは誘電体の組合せを選択することができる。
【0013】
また、前記陽極ピン及び前記陰極ピンのそれぞれは、前記陽極端子及び陰極端子に接触する接触部と、互いに平行に離隔するように形成される直線区間と、それぞれ所定の方向に折り曲げられて誘電体の外側に露出される露出部とを含むことが好ましい。
【0014】
また、前記陽極ピン及び前記陰極ピンは所定の方向に折り曲げられる湾曲部をそれぞれ含み、前記陽極ピン及び前記陰極ピンの中で内側で折り曲げられるピンの湾曲部には追加的な曲線部が形成されることにより、前記陽極ピン及び前記陰極ピンの長さが同じになるように構成されることが好ましい。
【0015】
前記曲線部の曲率半径は陽極ピンまたは陰極ピンの幅の2倍以下を維持することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コネクタを用いた高速通信の際、信号線間の遮蔽(シールド)構造によって信号干渉を減らしながら低誘電率を有する誘電体によってインピーダンスマッチングと伝送効率向上の効果を得ることができる。
【0017】
また、使用周波数に応じてインピーダンスマッチングのためのインピーダンス調節が必要な場合、インピーダンス調節のために誘電体の種類及び量などを選択的に調節することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例によるフィンガー構造体の形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施例によるフィンガー構造体の形態を示す正断面図である。
【
図3】本発明の実施例によるレセプタクル構造体の形態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施例によるレセプタクル構造体の形態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施例によるフィンガー構造体及びディファレンシャルピン側構造体の結合前の形態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施例によるフィンガー構造体及びディファレンシャルピン側構造体の結合後の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に基づいて本発明の伝送品質改善及び特性調節の可能な高速通信用コネクタの構造を具体的に説明する。
【0020】
本発明によるコネクタは5GHz以上(10~25GHz)の高速データ通信のための基板対基板(Board to Board)型コネクタであり、このようなコネクタはピンを受ける側であるレセプタクル構造体2とピンを差し込む側であるフィンガー構造体1の両方を総称する。
【0021】
図1は本発明の実施例によるフィンガー構造体の形態を示す斜視図、
図2は本発明の実施例によるフィンガー構造体の形態を示す正断面図である。
【0022】
フィンガー構造体1はPCB構造を有する。具体的には、PCB板3の一側に一体に形成され、一側面及び他側面にそれぞれ複数の陽極端子11及び陰極端子12が離隔して対称的に形成される。通常のPCB板の場合、多数のレイヤー(層)を有するので、最外側をなす一側面と他側面、図面上で上側面と下側面にそれぞれ端子が形成される。添付図面では、上側面に陽極端子11が、下側面に陰極端子12がそれぞれ形成された形態を示しているが、必要に応じて位置が変わることができるというのは明らかである。
【0023】
このような陽極端子11及び陰極端子12はそれぞれ複数が備えられ、通信特性に対応してその数を適切に調節することができるが、円滑な高速通信のために5対以上が備えられることが好ましい。
【0024】
このように、複数の陽極端子11及び陰極端子12はそれぞれPCB板3の表面に沿って側方向に所定の間隔、好ましくは等間隔で配列され、陽極端子11の間及び陰極端子12の間に、そしてPCB板3の内側にそれぞれ陽極端子11及び陰極端子12から所定の間隔で形成される導体素材のシールド構造体13が備えられる。
【0025】
すなわち、複数の陽極端子11の間と陰極端子12の間にそれぞれ空隙を置いてシールド構造体13が形成され、陽極端子11と陰極端子12との間にも同様にシールド構造体13が形成されることにより、各端子の間での信号干渉及び信号伝送による減殺を大きく減らすことができる。
【0026】
一例として、陽極端子11及び陰極端子12の幅が0.3mmであるという仮定の下で、各端子とシールド構造体との間の空隙を0.2mm、シールド構造体13の厚さを0.2mm程度にすることができるが、これに限定されず、通信特性によって調節可能である。
【0027】
PCB板の種類及び構造によって多様な例が可能であるが、10個の層(レイヤー)を有するPCB板の構造において、第1層及び第10層にはそれぞれ陽極端子及び陰極端子が、第2層及び第9層にはそれぞれ同じ形態のシールド構造体が対称状に形成されるものと理解することができ、残りの層はPCB板を構成する公知の中問層と同様である。各端子とその間のシールド構造体13の高さは後述するレセプタクル構造体2との結合を考慮して、好ましくは表面が同一面になるように構成されることができる。
【0028】
このような構造により、フィンガー構造体1のシールド構造体13はPCBの製作方法と同じ方法で容易に製作することができ、多層構造の基板においてPCBを構成する中間の多くの層をシールド構造体として広く構成することができる。
【0029】
すなわち、既存のコネクタのフィンガー構造体は基本的に信号分離の機能がない構造であるが、本発明はグラウンド役割のシールド構造体13をフィンガー構造体1を成す基板の複数の層に適用して信号の分離効果を大きく改善することができる。また、既存の高周波コネクタに使用する導線の個別連結構造はフィンガー側ピンの形状が複雑になるので、製造が難しく製造時間も長くかかるが、本発明はフィンガー構造体1を非常に容易に安価で製造可能である。
【0030】
図3は本発明の実施例によるレセプタクル構造体の形態を示す斜視図、
図4は本発明の実施例によるレセプタクル構造体の形態を示す斜視図、
図5及び
図6は本発明の実施例によるフィンガー構造体及びディファレンシャルピン側構造体の結合前後の形態を示す斜視図である。
【0031】
前記レセプタクル構造体2は、一側に収容溝21が形成され、前記フィンガー構造体1の一側面及び他側面を取り囲みながら結合される構造を有する。
【0032】
ここで、前記収容溝21の内側には、フィンガー構造体1の陽極端子11及び陰極端子12にそれぞれ接触して通電する複数の陽極ピン22及び陰極ピン23が備えられる。円滑な通信のために、前記陽極ピン22及び陰極ピン23はそれぞれ陽極端子11及び陰極端子12に対応する位置に同じ数及びサイズに形成され、前記陽極ピン22の間及び陰極ピン23の間には所定の間隔、すなわち前記陽極端子11及び陰極端子12とシールド構造体13との間隔と同じ間隔を置いて導体素材のシールド板24が挿入される。ここで、前記シールド構造体13及びシールド板24も等間隔で構成されて互いに接触するように構成されることが好ましい。
【0033】
ここで、フィンガー構造体1とレセプタクル構造体2との結合の際、それぞれのシールド構造体13とシールド板がうまくマッチングして連結された状態で、これを基準電位と連結してグラウンド(接地)になるように構成することにより、信号線を電子的に分離することができる。このために、前記シールド板24は“L”字形または“U”字形にして陽極ピン22及び陰極ピン23の全部にわたって広がる形状に構成され、導電性の良い素材からなる。
【0034】
このようなシールド構造体13とシールド板24は導体素材からなってグラウンドの役割を果たし、信号伝送単位である電極とピンをそれぞれ分離することにより、高周波信号において問題になる信号線間の干渉を減らし、信号伝送の減殺を大きく減らし、コネクタの特性を調節する。
【0035】
前記収容溝21を除き、前記陽極ピン22及び陰極ピン23とシールド板24との間の空間には低誘電率の誘電体25が充填されてレセプタクル構造体2の胴体を構成する。
【0036】
前記誘電体25はコネクタを構成するレセプタクル構造体2の構成物であり、これを調節することによりコネクタの主要特性であるインピーダンスの調節及びマッチングを容易にして伝送品質を改善する役割を果たす。
【0037】
低周波帯域、特にMHz帯域ではインピーダンスマッチングにあまり気を付けなくても信号伝達に大きな問題がないが、数GHz以上の高周波信号伝送の場合、インピーダンスがマッチングしなければ、反射波が増加し損失が大きくなるなどの問題が発生する。
【0038】
また、周波数帯域によってインピーダンスが変動し、インピーダンスマッチングの条件が変わる。よって、最適の伝送及びインピーダンスマッチングのために、インピーダンスを調節することが非常に重要である。
インピーダンス(容量性)は下記の[数1]のように表現される(Cはキャパシタンス)。
【0039】
【数1】
また、誘電体とキャパシタンスとの関係は下記の[数2]のように表現される。
【0040】
【数2】
(ここで、Aは対向面積、dは極間距離、ε0は空気誘電率、εrは誘電体の比誘電率)
【0041】
このような特性により、レセプタクル構造体2を充填する誘電体は、10GHz以上の高周波領域を考慮して、低誘電率を有する誘電体を使い、充填のために接着剤あるいは多様な方法を使う。
【0042】
具体的には、前記誘電体25は、テフロン(Teflon)(登録商標)、ポリエチレン(Polyethylene)、レジン(Resin)、ガッタパーチャ(Gutta-Percha)、ルーサイト(Lucite)、パラフィン(Paraffin)、発泡スチレン(Styrofoam)、ワセリン(Vaseline)、及びセラミックの中で1種を選択して使うことが好ましい。また、テフロン(Teflon)(登録商標)、ポリエチレン(Polyethylene)、レジン(Resin)、ガッタパーチャ(Gutta-Percha)、ルーサイト(Lucite)、パラフィン(Paraffin)、発泡スチレン(Styrofoam)、ワセリン(Vaseline)、及びセラミックの中で2種または3種を組み合わせて使うことも好ましい。周波数が変更されれば、使用周波数を考慮して適切な誘電体あるいは誘電体の組合せを選択することができる。
【0043】
既存のコネクタの場合、レセプタクルの構造を空間で構成したから、周波数帯域によるインピーダンス変化をマッチングしにくい問題点があった。しかし、本発明では、陽極ピン22及び陰極ピン23とシールド板24との間の空間を低誘電率物質で充填して低誘電率の状態を具現してインピーダンスを調節することができる。
【0044】
特に、本発明は、レセプタクル構造体2のディファレンシャルラインである陽極ピン22及び陰極ピン23の対のそれぞれに対して誘電体を充填することができる構造であり、各ディファレンシャルラインはその間のシールド板24によって区分されるので、これを接着剤などで付着する方式において、必要な場合にディファレンシャルライン別に異なる周波数あるいは条件の誘電体を適用してインピーダンスをマッチングすることができ、ディファレンシャルラインではないシングルラインに対してもインピーダンスマッチングのために誘電体を容易に適用することができる。
【0045】
特に、添付図面のように、本発明は、ライトアングル(Right angle)タイプのコネクタにおいても長さマッチングをなすことができる。
【0046】
このような構造のために、前記レセプタクル構造体2の陽極ピン22及び陰極ピン23はその間にフィンガー構造体1が挿入されるように平行に離隔し、それぞれ前記陽極端子11及び陰極端子12に接触する接触部221、231を備え、陽極ピン22及び陰極ピン23の間の間隔を適切に調節する調節部の後に陽極ピン22及び陰極ピン23の間の間隔を維持して平行に形成される直線区間222、232と、それぞれ所定の方向に折り曲げられて誘電体25の外側に露出され、他のボードに信号を伝達する露出部223、233とからなる。
【0047】
ここで、前記露出部223、233の方向に陽極ピン22及び陰極ピン23が折り曲げられる角度は限定されないが、通常のライトアングル(Right angle)タイプのコネクタ形状に対応して90度に下方に折り曲げられる形状を実施例として提示している。
【0048】
具体的には、前記陽極ピン22及び陰極ピン23は所定の方向、すなわち図面上で90度の下方に折り曲げられる湾曲部224、234をそれぞれ備える。この場合、上側に位置する陽極ピン22より下側に位置する陰極ピン23の長さが短くなって長さによるスキュー差が発生する。
【0049】
したがって、本発明は、前記陽極ピン22及び陰極ピン23の中で内側で折り曲げられるピン、つまり図面を基準に陰極ピン23の湾曲部に追加的な曲線部235が形成され、前記陽極ピン22及び陰極ピン23の長さが同じになるように構成されることにより長さのマッチングがなされる。ここで、円滑なマッチングのために、前記曲線部235の曲率半径は陽極ピン22または陰極ピン23の幅の2倍以下を維持するように構成されことが好ましい。
【0050】
従来の大部分の高周波コネクタに使われる導線の個別連結構造のコネクタではフィンガー側の個別ピンに線を連結する作業が必要であるが、本発明は、一度の接続ですべての信号が連結されてフィンガー側の作業及び信号の連結が容易になされ、レセプタクル構造体2とフィンガー構造体1との結合が自然に維持される構造により、コネクタの信号連結の安全性が高いという利点がある。
【0051】
本発明の権利は以上で説明した実施例に限定されず、請求範囲に記載されたものによって定義され、本発明の分野で通常の知識を有する者が請求範囲に記載された権利範囲内で多様な変形及び改作をなすことができるというのは明らかである。
【符号の説明】
【0052】
1 フィンガー構造体
11 陽極端子
12 陰極端子
13 シールド構造体
2 レセプタクル構造体
21 収容溝
22 陽極ピン
23 陰極ピン
24 シールド板
25 誘電体
221、231 接触部
222、232 直線区間
223、233 露出部
224、234 湾曲部
235 曲線部
3 PCB板
【国際調査報告】