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特表2022-546103油水二重冷却の電気駆動アセンブリ及び新エネルギー自動車
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  • 特表-油水二重冷却の電気駆動アセンブリ及び新エネルギー自動車 図1
  • 特表-油水二重冷却の電気駆動アセンブリ及び新エネルギー自動車 図2
  • 特表-油水二重冷却の電気駆動アセンブリ及び新エネルギー自動車 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(54)【発明の名称】油水二重冷却の電気駆動アセンブリ及び新エネルギー自動車
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20221026BHJP
   H02K 9/193 20060101ALI20221026BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20221026BHJP
   B60L 15/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K9/193
H02K7/116
B60L15/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513651
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 CN2019114069
(87)【国際公開番号】W WO2021042465
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】201910828481.8
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(72)【発明者】
【氏名】リ、 ジャンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、 ピン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 シュートン
【テーマコード(参考)】
5H125
5H607
5H609
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125FF01
5H125FF22
5H607AA02
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC05
5H607DD03
5H607EE31
5H607EE36
5H609BB03
5H609BB16
5H609BB19
5H609PP06
5H609PP07
5H609PP17
5H609QQ04
5H609QQ05
5H609QQ07
5H609QQ11
5H609RR37
5H609RR46
5H609RR50
5H609RR52
(57)【要約】
【要約】
本発明には、水冷モータの巻線の深刻な発熱及び減速機の高すぎる油温という先行技術における問題を解決した、油水二重冷却の電気駆動アセンブリ及び新エネルギー自動車が開示されている。前記電気駆動アセンブリは、モータ組立体、減速機組立体、水冷組立体及び油冷組立体を含む。本発明は、3つの油送り通路を介して潤滑油をモータの前部巻線及び後部巻線に導入しており、モータの冷却性能を向上させると同時に、減速機キャビティ及びモータキャビティをシールする必要がなく、モータ軸の高速オイルシールの使用を回避し、駆動アセンブリのコストを低下させ、伝動効率を向上させることができ、また、モータの冷却液が減速機の熱交換器を介して潤滑油を冷却するようにしており、新エネルギー減速機が高速で動作し続けるときの放熱問題を解決し、さらに、ギア及びベアリングの寿命及び信頼性を向上させることができている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油水二重冷却の電気駆動アセンブリであって、
前記電気駆動アセンブリは、モータ組立体、減速機組立体、水冷組立体、及び油冷組立体を含み、前記モータ組立体が、モータハウジング、モータ軸、ステータを含み、前記減速機組立体が減速機ハウジングを含み、前記減速機ハウジングがモータハウジングの後端に接続されており、
前記水冷組立体がモータウォータージャケット及び熱交換器を含み、前記モータウォータージャケットが前記モータハウジングと一体的に鋳造成形され、前記モータウォータージャケットに第1水入口及び第1水出口が設けられ、前記熱交換器が前記減速機ハウジングの下端に設けられ、前記熱交換器に第2水入口及び第2水出口が設けられており、
前記油冷組立体が、油送り装置、油送り通路及び返油通路を含み、前記油送り装置が減速機ハウジングの底部に設けられ、前記油送り通路が前記モータハウジングの内部及び前記減速機ハウジングの内部に連通され、前記返油通路がモータハウジングの底部に設けられている、ことを特徴とする油水二重冷却の電気駆動アセンブリ。
【請求項2】
前記油送り装置が1つ又は複数のギアであり、及び/又は、前記油送り装置が1つ又は複数のノズルである、ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項3】
前記油送り通路が第1油送り通路を含み、前記第1油送り通路が、第1油溜め、第1油入口、第1油通路及び第1油出口を含み、前記第1油入口が前記モータハウジングの上方にある減速機ハウジングの前端面の上部に設けられ、前記第1油溜めが前記第1油入口の下方に設けられ、前記第1油通路が、油管であるか、若しくは前記モータウォータージャケットと鋳造成形され、前記第1油通路は、前記モータハウジングの上部の前端に第1油出口が開設されており、かつ、前記第1油出口の位置が前記ステータの前部巻線に正対している、ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項4】
前記油送り通路が第2油送り通路を含み、前記第2油送り通路が第2油溜め、第2油入口、第2油通路及び第2油出口を含み、前記第2油入口が、前記モータハウジングの上方にある減速機ハウジングの前端面における前記モータハウジングに近い部位に設けられており、前記第2油溜めが前記第2油入口の下方に設けられ、前記第2油通路が、油管であるか、若しくは前記減速機の前端ハウジングと前記モータハウジングの上部との交わる箇所に鋳造成形され、前記第2油出口が前記モータハウジングの上部の後端に設けられており、かつ、前記第2油出口の位置が前記モータステータの後部巻線に正対している、ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項5】
前記油送り通路が第3油送り通路を含み、前記第3油送り通路が、モータ軸の後端ベアリングによって形成された油通路である、ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項6】
前記油送り通路の油入口、前記減速機ハウジングの底部、前記モータ軸の後端ベアリングの前側のうちのいずれか1つ又は複数の位置に、強磁性体が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項7】
前記水冷組立体が水管をさらに含み、前記第1水出口と前記第2水入口とが前記水管を介して連通される、ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項8】
前記モータウォータージャケットと前記熱交換器との間のハウジング内に、第2水路及び第3水路がさらに鋳造形成されており、前記第2水路が、前記第2水入口と密閉接続されているか、若しくは一体的に成形されており、前記第3水路が、前記第2水出口と密閉接続されているか、若しくは一体的に成形されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項9】
前記熱交換器が前記減速機ハウジングと一体的に鋳造成形されるか、若しくは前記熱交換器が前記減速機ハウジングの底部に取り付けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の油水二重冷却の電気駆動アセンブリを含む、ことを特徴とする新エネルギー自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動アセンブリの製造分野に関し、具体的に、油水二重冷却の電気駆動アセンブリ及び新エネルギー自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
石油不足、大気汚染、国家エネルギー安全などの問題が深刻化する中、新エネルギー自動車産業が急速に進んでおり、その中でも新エネルギー自動車のコアコンポーネントの1つとして、モータ減速機駆動アセンブリは、新エネルギー自動車産業のレイアウトに重要な影響を及ぼす。新エネルギー自動車用モータ減速機駆動アセンブリは、高回転速度及び高パワー密度という特徴を有すると同時に、信頼性、冷却、潤滑等の面にも高い要求が求められている。現在、モータの冷却は主に、ウォータージャケット内の循環冷却液によってステータを冷却するが、巻線は、直接冷却されるのではなく、自然の放熱によって冷却されるため、モータは最大パワーで長時間動作できない。現在、減速機の冷却は、空冷による放熱とされ、冷却効果が悪く、特に高回転速度帯で動作する時に温度の上昇が速く、内部部品の早期故障の原因となりやすい。
【0003】
同時に、車両全体の航続距離及び性能に対するエンドユーザの要求が継続的に高まっており、電気駆動システムには、良好な動力性能とスムーズ度の両方が求められており、トルク密度を高めながら、市場進化のニーズを満たす効率的な冷却システムを設計することが差し迫っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題に鑑みて、本発明は、上記の既存の技術的問題を解消するか、又は少なくとも部分的に解決するために、油水二重冷却の電気駆動アセンブリ及び新エネルギー自動車を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、以下のように実現される。
【0006】
本発明の1つの局面では、油水二重冷却の電気駆動アセンブリが提供されている。前期油水二重冷却の電気駆動アセンブリは、モータ組立体、減速機組立体、水冷組立体、及び油冷組立体を含み、前記モータ組立体が、モータハウジング、モータ軸、ステータを含み、前記減速機組立体が減速機ハウジングを含み、前記減速機ハウジングがモータハウジングの後端に接続されており、
前記水冷組立体がモータウォータージャケット及び熱交換器を含み、前記モータウォータージャケットが前記モータハウジングと一体的に鋳造成形され、前記モータウォータージャケットに第1水入口及び第1水出口が設けられ、前記熱交換器が前記減速機ハウジングの下端に設けられ、前記熱交換器に第2水入口及び第2水出口が設けられており、
前記油冷組立体が、油送り装置、油送り通路及び返油通路を含み、前記油送り装置が減速機ハウジングの底部に設けられ、前記油送り通路が前記モータハウジングの内部及び前記減速機ハウジングの内部に連通され、前記返油通路がモータハウジングの底部に設けられている。
【0007】
また、前記油送り装置が1つ又は複数のギアであり、及び/又は、前記油送り装置が1つ又は複数のノズルであってもよい。
【0008】
また、前記油送り通路が第1油送り通路を含み、前記第1油送り通路が、第1油溜め、第1油入口、第1油通路及び第1油出口を含み、前記第1油入口が前記モータハウジングの上方にある減速機ハウジングの前端面の上部に設けられ、前記第1油溜めが前記第1油入口の下方に設けられ、前記第1油通路が、油管であるか、若しくは前記モータウォータージャケットと鋳造成形され、前記第1油通路は、前記モータハウジングの上部の前端に第1油出口が開設されており、かつ、前記第1油出口の位置が前記ステータの前部巻線に正対していてもよい。
【0009】
また、前記油送り通路が第2油送り通路を含み、前記第2油送り通路が第2油溜め、第2油入口、第2油通路及び第2油出口を含み、前記第2油入口が、前記モータハウジングの上方にある減速機ハウジングの前端面における前記モータハウジングに近い部位に設けられており、前記第2油溜めが前記第2油入口の下方に設けられ、前記第2油通路が、油管であるか、若しくは前記減速機の前端ハウジングと前記モータハウジングの上部との交わる箇所に鋳造成形され、前記第2油出口が前記モータハウジングの上部の後端に設けられており、かつ、前記第2油出口の位置が前記モータステータの後部巻線に正対していてもよい。
【0010】
また、前記油送り通路が第3油送り通路を含み、前記第3油送り通路が、モータ軸の後端ベアリングによって形成された油通路であってもよい。
【0011】
また、前記油送り通路の油入口、前記減速機ハウジングの底部、前記モータ軸の後端ベアリングの前側のうちのいずれか1つ又は複数の位置に、強磁性体が設けられていてもよい。
【0012】
また、前記水冷組立体が水管をさらに含み、前記第1水出口と前記第2水入口とが前記水管を介して連通されていてもよい。
【0013】
また、前記モータウォータージャケットと前記熱交換器との間のハウジング内に、第2水路及び第3水路がさらに鋳造形成されており、前記第2水路が、前記第2水入口と密閉接続されているか、若しくは一体的に成形されており、前記第3水路が、前記第2水出口と密閉接続されているか、若しくは一体的に成形されていてもよい。
【0014】
また、前記熱交換器が前記減速機ハウジングと一体的に鋳造成形されるか、若しくは前記熱交換器が前記減速機ハウジングの底部に取り付けられていてもよい。
【0015】
本発明のもう1つの局面では、上記のいずれか1項に記載の油水二重冷却の電気駆動アセンブリを含む新エネルギー自動車が提供されている。
【発明の効果】
【0016】
上記の油冷システム及び水冷システムを用いたモータ減速機駆動アセンブリは、以下の利点を有する。
【0017】
本発明の電気駆動アセンブリは、モータ軸の高速オイルシールをキャンセルし、部品の数を減らし、コストを低減すると同時に、オイルシールの摩擦損失を回避し、アセンブリの効率を向上させている。
【0018】
本発明に開示された油冷組立体は、減速機内の潤滑油を複数の通路を介してモータの前部巻線及び後部巻線に導入することで、モータの巻線の温度を下げて、モータを最大パワーで長時間動作できるようにしている。
【0019】
本発明の水冷組立体は、モータステータ冷却液を減速機の放熱器に導入して、減速機の潤滑油を冷却し、減速機が高回転速度下で良好な放熱性能を有することを保証している。
【0020】
上記の説明は、本発明の技術案の概要に過ぎず、本発明の技術手段をより明らかに理解して、それらを明細書の内容に従って実施することができるように、また、本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点をより容易に理解するために、以下、特に本発明の具体的な実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点及びメリットが当業者にとって明らかになる。図面は、好ましい実施形態を例示するためのものだけであり、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0022】
図1図1は、本発明の一実施例における油水二重冷却の電気駆動アセンブリの構造模式図である。
図2図2は、図1におけるA-Aに沿った断面図である。
図3図3は、本発明の一実施例における油水二重冷却の電気駆動アセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の例示的な実施例をさらに詳しく説明する。本発明の例示的な実施例が図面に示されているが、本発明は、様々な形態で実現可能であり、ここに記載の実施例によって制限されないことを理解すべきである。むしろ、これらの実施例は、本発明がよりよく理解され、本発明の範囲が当業者に完全に伝えられるように提供されるものである。
【0024】
本発明の技術案をより明確に説明するために、図1の左側を前端又は前側、右側を後端又は後側と規定する。
【0025】
(実施例1)
図1図2及び図3に示すように、本発明の実施例1に、油水二重冷却の電気駆動アセンブリが開示されている。前記油水二重冷却の電気駆動アセンブリは、モータ組立体、減速機組立体、水冷組立体、及び油冷組立体を含み、モータ組立体がモータハウジング、モータ軸、及びステータ14を含み、ステータ14に巻線が設けられており、減速機組立体が減速機ハウジング1を含み、減速機ハウジング1がモータハウジングの後端に設けられている。減速機ハウジング1及びモータハウジングの接続構造については、図1及び図3を参照可能である。
【0026】
本発明の実施例における水冷組立体が、主に、モータウォータージャケット12及び熱交換器3を含み、モータウォータージャケットと熱交換器とが互いに接続されてもよく、それぞれ直列接続されてもよい。そのうち、モータウォータージャケット12が、モータハウジングと一体的に鋳造成形されてもよいし、当然、組み立ての形でモータハウジングに外装されてもよく、モータウォータージャケット12に第1水入口10及び第1水出口が設けられ、熱交換器3が減速機ハウジング1の下端に設けられ、熱交換器3に第2水入口19及び第2水出口4が設けられている。そのうち、モータウォータージャケット12が熱交換器3と接続されてもよく、例えば、管路又は減速機ハウジング1内に設けられた通路を介してモータウォータージャケット12内の冷却液が熱交換器3内に導入され、冷却液が循環した後に第2水出口4を通って車両の貯液タンクに還流される。勿論、モータウォータージャケット12及び熱交換器3がそれぞれ管路を介して車両の貯液タンクに接続されてもよい。
【0027】
本発明の実施例における油冷組立体が、油送り装置2、油送り通路、及び返油通路16を含み、油送り装置が減速機ハウジング1の底部に設けられ、油送り通路が前記モータハウジングの内部及び減速機ハウジング1の内部に連通され、返油通路16がモータハウジングの底部に設けられている。油送り装置2は、減速機ハウジング1の底部の潤滑油を掻き上げたり、跳ね上げたり又は噴射させたりすることができ、例えば潤滑油を第1油溜め21及び第2油溜め22に送入することができ、第1油溜め21及び第2油溜め22がそれぞれ第1油通路11及び第2油通路6に連通されており、油溜め内の潤滑油が油通路を介してモータハウジング内に送られることにより、モータの油冷及び潤滑が実現され、そして、返油通路16は、潤滑油を減速機ハウジング1内に還流させることができるため、潤滑油の1回の循環が実現される。
【0028】
さらに、一実施例において、油送り装置2が1つ又は複数のギアであり、及び/又は、前記油送り装置が1つ又は複数のノズルである。油送り装置2が1つのギア又は複数のギアの組み合わせであってもよく、ギアの回転により潤滑油を跳ね上げることができるため、油の送りが実現され、また、油送り装置2が、潤滑油を油通路又は油溜めに噴入するノズルであってもよく、もちろん、油送り装置が、油の移動を駆動する他の装置であってもよい。
【0029】
1つの好ましい実施例において、当該油送り通路が第1油送り通路を含み、第1油送り通路が、第1油溜め21、第1油入口、第1油通路11及び第1油出口を含み、第1油入口がモータハウジングの上方にある減速機ハウジング1の前端面の上部に設けられ、第1油溜め21が第1油入口の下方に設けられ、第1油通路11が、油管であるか、若しくは前記モータウォータージャケットと鋳造成形され、第1油通路11は、モータハウジングの上部の前端に第1油出口が開設されており、かつ、好ましくは、第1油出口の位置がステータ14の前部巻線13に正対している。
【0030】
好ましくは、第1油溜め21が減速機ハウジング1の前端面の内側壁に設けられ、第1油溜め21の前端が第1油入口に接続されており、第1油溜め21が、油受容面積を増加させるように、減速機ハウジングの側壁を通って減速機ハウジング1の後端面まで延在してもよく、もちろん、減速機ハウジング1の後端面まで延在しなくてもよい。第1油溜め21は、減速機ハウジング1と一体構造であってもよく、減速機ハウジング1に取り付けられた半円管等の容器であってもよい。油溜め内の潤滑油が第1油入口を通って第1油通路に入り、第1油通路内の潤滑油が重力の作用により第1油出口から流出し、第1油出口が前部巻線13に正対しており、潤滑油による前部巻線13の降温が実現される。
【0031】
本実施例において、前記第1油通路11は、モータハウジングにおける内蔵通路として鋳造されてもよいし、外付けの油管であってもよく、油管による接続であれば、ハウジングにおける複雑な油通路構造が回避され、ハウジングの鋳造の難しさが低減されると同時に、車両全体でのレイアウトが容易になる。
【0032】
一実施例において、油送り通路が第2油送り通路を含み、第2油送り通路が、第2油溜め22、第2油入口、第2油通路6及び第2油出口を含み、第2油入口がモータハウジングの上方にある減速機ハウジング1の前端面の下部に設けられ、好ましくは、第2油溜め22がさらに追加され、前記第2油入口の下方に設けられ、第2油通路6が、油管であるか、若しくは前記減速機の前端ハウジングと前記モータハウジングの上部の後端との交わる箇所に鋳造成形され、第2油出口がモータハウジングの上部の後端に設けられており、かつ、好ましくは、第2油出口の位置がモータステータ14の後部巻線9に正対している。
【0033】
本実施例において、第2油入口が、第1油溜め21の下方に設けられ、かつ第2油溜め22に連通され、第2油溜め22が第1油溜め21と平行に設けられ、第2油溜め22内の潤滑油が第2油入口から第2油通路に流入し、もちろん、場合によっては、第2油溜めが設けられなくてもよい。最後に、潤滑油が重力の作用により第2油出口から流出して、後部巻線9に流れるため、モータステータの後部巻線9の冷却が実現される。
【0034】
本実施例において、同じ原理に基づいて、第2油通路6がモータハウジングにおける内蔵通路として鋳造されてもよいし、外付けの油管であってもよく、油管による接続であれば、ハウジングにおける複雑な油通路構造が回避され、ハウジングの鋳造の難しさが低減されると同時に、車両全体でのレイアウトが容易になる。
【0035】
一実施例において、油送り通路が第3油送り通路を含み、第3油送り通路が、モータ軸の後端ベアリング5によって形成された油通路である。第3油送り通路は、モータ軸の後端ベアリング及びステータの後部巻線9を冷却及び潤滑するための通路である。
【0036】
好ましくは、油送り通路の油入口、減速機ハウジング1の底部、モータ軸の後端ベアリング5の前側のうちのいずれか1つ又は複数の位置に、強磁性体が設けられている。強磁性体を設ける目的は、潤滑油における鉄くずを吸着することで、潤滑油を浄化し、ベアリングへの損傷を減らすことにある。
【0037】
一実施例において、水冷組立体が、第1水出口及び第2水入口19に連通される水管18をさらに含む。水管18を介して、モータウォータージャケットと熱交換器3との直列接続が実現される。
【0038】
一実施例において、モータウォータージャケットと熱交換器3との間のハウジング内に、第2水路及び第3水路がさらに鋳造形成されており、第2水路が、第2水入口19と密閉接続されているか、若しくは一体的に成形されており、第3水路が、前記第2水出口4と密閉接続されているか、若しくは一体的に成形されている。モータウォータージャケットにおける冷却液が、第2水路を通って熱交換器3に流入し、冷却液が、減速機ハウジング1の底部の潤滑油を冷却した後、第3水路を通ってモータウォータージャケットに還流され、最後に、冷却液が、モータウォータージャケットの上部の水出口から車両の貯液タンク内に流入され、これにより、冷却液の1回の循環が実現される。
【0039】
一実施例において、熱交換器3が減速機ハウジング1と一体的に鋳造成形されてもよく、熱交換器3が独立の部品と見なされて減速機ハウジング1の底部に取り付けられてもよい。
【0040】
要約すると、本発明には、油水二重冷却の電気駆動アセンブリが開示されている。前記電気駆動アセンブリは、モータ組立体、減速機組立体、水冷組立体、及び油冷組立体を含み、前記モータ組立体が、モータハウジング、モータ軸、ステータを含み、前記減速機組立体が減速機ハウジングを含み、前記減速機ハウジングがモータハウジングの後端に接続されており、前記水冷組立体がモータウォータージャケット及び熱交換器を含み、前記モータウォータージャケットが前記モータハウジングと一体的に鋳造成形され、前記モータウォータージャケットに第1水入口及び第1水出口が設けられ、前記熱交換器が前記減速機ハウジングの下端に設けられ、前記熱交換器に第2水入口及び第2水出口が設けられており、前記油冷組立体が、油送り装置、油送り通路及び返油通路を含み、前記油送り装置が減速機ハウジングの底部に設けられ、前記油送り通路が前記モータハウジングの内部及び前記減速機ハウジングの内部に連通され、前記返油通路がモータハウジングの底部に設けられている。当該技術案では、3つの油送り通路を介して潤滑油をモータの前部巻線及び後部巻線に導入しており、モータの冷却性能を向上させると同時に、減速機キャビティ及びモータキャビティをシールする必要がなく、モータ軸の高速オイルシールの使用を回避し、駆動アセンブリのコストを低下させ、伝動効率を向上させることができ、また、モータの冷却液が減速機の熱交換器を介して潤滑油を冷却するようにしており、新エネルギー減速機が高速で動作し続けるときの放熱問題を解決し、さらに、ギア及びベアリングの寿命及び信頼性を向上させることができている。
【0041】
(実施例2)
本発明の実施例には、更に、上記のいずれか1項に記載の油水二重冷却の電気駆動アセンブリを含む新エネルギー自動車が開示されている。
【0042】
上記したのは、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の保護範囲はこれに限定されない。本発明に開示された技術的範囲内で当業者によって容易に想到され得るあらゆる変更又は置換は、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとする。従って、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲の保護範囲に基づくべきである。
【符号の説明】
【0043】
1、減速機ハウジング、2、油送り装置、3、熱交換器、4、第2水出口、5、中間ベアリング、6、第2油通路、7、強磁性体、8、強磁性体、9、後部巻線、10、第1水入口、11、第1油通路、12、モータウォータージャケット、13、前部巻線、14、ステータ、15、ロータ、16、返油通路、17、返油通路口、18、水管、19、第2水入口、20、強磁性体、21、第1油溜め、22、第2油溜め。
図1
図2
図3
【国際調査報告】