(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(54)【発明の名称】クイックドローノットプッシャー:サイドローディングノットプッシャー
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20221026BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20221026BHJP
A61B 17/56 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
A61B17/04
A61B17/00
A61B17/56
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513903
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 US2020049124
(87)【国際公開番号】W WO2021046170
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴー ティエン
(72)【発明者】
【氏名】一色 亮
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB01
4C160BB11
4C160BB18
4C160LL30
4C160LL37
(57)【要約】
遠位端に糸を通す必要なく、素早く縫合糸を装填するためのノットプッシャー。ノットプッシャーは、開位置と閉位置との間で移動可能なアクチュエータを有するアクチュエータハウジングと、アクチュエータハウジングから延びる細長い管と、を含む。ノットプッシャーは、細長い管を通って延びるゲートスロットと、細長い管を通って延び、かつゲートスロットを横断する縫合糸装填スロットとの少なくとも二つのスロットを含む。移動可能なゲートクロスバーは、ゲートクロスバーが開位置と閉位置との間でアクチュエータとともに移動するように、アクチュエータに接続されている。アクチュエータが閉位置にある時、ゲートクロスバーは、縫合糸装填スロットの少なくとも一部分を通って延びる。ノットプッシャーはまた、使用のためのノットプッシャーの正しい方向付けを強制する人間工学的なループハンドルを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノットプッシャーであって、
開位置と閉位置との間で移動可能なアクチュエータを有するアクチュエータハウジングと、
前記アクチュエータハウジングから延びる細長い管と、
前記細長い管を通って延びるゲートスロットと、
前記細長い管を通って延び、前記ゲートスロットを横断する縫合糸装填スロットと、
前記開位置と前記閉位置との間で前記アクチュエータとともに移動するように、前記アクチュエータに接続された移動可能なゲートクロスバーと、
を備え、
前記アクチュエータが前記閉位置にある時、前記ゲートクロスバーが、前記縫合糸装填スロットの少なくとも一部分を通って延びる、ノットプッシャー。
【請求項2】
前記アクチュエータハウジングに接続されたリング形状の端部を有するハンドルをさらに備える、請求項1に記載のノットプッシャー。
【請求項3】
前記細長い管に沿って、かつ前記細長い管を通って延びる細長いチャネルをさらに備える、請求項1に記載のノットプッシャー。
【請求項4】
前記アクチュエータおよび前記ゲートクロスバーに接続された移動可能なゲートバーをさらに備える、請求項3に記載のノットプッシャー。
【請求項5】
前記移動可能なゲートバーが、前記細長いチャネル内で前記開位置と前記閉位置との間を移動可能である、請求項4に記載のノットプッシャー。
【請求項6】
前記縫合糸装填スロットが、前記ゲートスロットが延びる方向と実質的に垂直な方向に延びる、請求項1に記載のノットプッシャー。
【請求項7】
前記アクチュエータを前記アクチュエータハウジングに接続するばねをさらに備える、請求項1に記載のノットプッシャー。
【請求項8】
前記アクチュエータの外表面から、前記アクチュエータハウジングを通って延びるアクチュエータボタンをさらに備える、請求項7に記載のノットプッシャー。
【請求項9】
前記アクチュエータの前記外表面が、前記細長い管を通って延びる中央長手方向軸に対して傾斜して延びる、請求項8に記載のノットプッシャー。
【請求項10】
前記アクチュエータハウジング上にキャッチをさらに備え、前記アクチュエータが前記閉位置にある時に、前記アクチュエータの前記外表面が前記キャッチと係合する、請求項9に記載のノットプッシャー。
【請求項11】
ノットプッシャーであって、
開位置と閉位置との間で移動可能なアクチュエータを有するアクチュエータハウジングと、
前記アクチュエータハウジングから延びる細長い管と、
前記細長い管を通って延びるゲートスロットと、
前記細長い管を通って延びる縫合糸出口スロットと、
前記細長い管を通って延び、前記ゲートスロットを横断する縫合糸装填スロットと、
前記開位置と前記閉位置との間で前記アクチュエータとともに移動するように、前記アクチュエータに接続された移動可能なゲートクロスバーと、
を備え、
前記アクチュエータが前記閉位置にある時、前記ゲートクロスバーが、前記縫合糸装填スロットの少なくとも一部分を通って延びる、ノットプッシャー。
【請求項12】
前記縫合糸出口スロットが、前記ゲートスロットから90度である、請求項11に記載のノットプッシャー。
【請求項13】
前記縫合糸出口スロットが、前記細長い管の陥凹部まで延びる、請求項11に記載のノットプッシャー。
【請求項14】
前記縫合糸装填スロットが、前記縫合糸出口スロットまで延びる、請求項11に記載のノットプッシャー。
【請求項15】
前記細長い管に沿って、かつ前記細長い管を通って延びる細長いチャネルをさらに備え、前記細長いチャネルが、前記縫合糸出口スロットと実質的に平行である、請求項11に記載のノットプッシャー。
【請求項16】
前記閉位置において、縫合糸が、前記細長い管の遠位端を通り、前記縫合糸出口スロットを通って延びる、請求項11に記載のノットプッシャー。
【請求項17】
前記アクチュエータハウジング内に一つ以上の面取りした縁をさらに備える、請求項11に記載のノットプッシャー。
【請求項18】
ノットプッシャーであって、
リング形状の端部から延びるアクチュエータハウジングを有するハンドルと、
少なくとも部分的に前記アクチュエータハウジング内にあり、開位置と閉位置との間で移動可能なアクチュエータと、
前記アクチュエータハウジングから延びる細長い管と、
前記細長い管を通って延びるゲートスロットと、
前記細長い管を通って延び、前記ゲートスロットを横断する縫合糸装填スロットと、
前記開位置と前記閉位置との間で前記アクチュエータとともに移動するように、前記アクチュエータに接続された移動可能なゲートクロスバーと、
を備え、
前記アクチュエータが前記閉位置にある時、前記ゲートクロスバーが、前記縫合糸装填スロットの少なくとも一部分を通って延びる、ノットプッシャー。
【請求項19】
リング形状の端部が、前記細長い管を通って延びる中央長手方向軸に対して傾斜している、請求項11に記載のノットプッシャー。
【請求項20】
前記リング形状の端部の開口を通って延びる中心軸が、前記細長い管を通って延びる前記中央長手方向軸に対して鋭角にある、請求項19に記載のノットプッシャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月3日に出願された「Quickdraw Knot PusherR:Side Loading Knot Pusher」と題する米国特許仮出願第62/895160号の優先権および利益を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、関節鏡下での糸結びに関し、より具体的には、関節鏡下での糸結びを容易にするために縫合糸を素早くかつ確実に装填するためのノットプッシャー装置に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
多くの一般的な外科手術手順には、断裂または損傷した軟組織の修復および再建を伴う。例えば、一般的な関節鏡下での外科手術手順では、置換移植片靭帯は、今は損傷を受けている、元の靭帯部位で固定される。骨孔内に移植片靭帯を固定するために、懸架移植片固定装置が開発されてきた。懸架移植片固定装置は、骨孔の開口部を横切って横断方向に置かれることによって機能し、移植片が取り付けられる骨の表面の固定点から移植片保持ループを懸架する、細長いアンカー部材の形態を一般的に取る。移植片保持ループは、縫合糸から構成され、縫合糸で形成された結び目を用いて固定される。
【0004】
他の関節鏡下での処置では、拡張する剛直なアンカーまたは軟質のすべてが縫合糸のアンカーが、軟組織を骨に取り付けるために使用される。多くの場合、アンカーは縫合糸に取り付けられ、縫合糸に張力を加えることによって配置される。配置されたアンカーを固定するために、縫合糸に結び目が作り出される。関節鏡下での処置において移植片またはアンカーを固定するための縫合糸の結び目は、手で、またはドライバー/インサータ装置を介して達成される。ドライバー/インサータ機構は、多くの場合、ユーザーが必要とする視認性および装填工程がより少ないため、関節鏡下での手動設定によるアンカーの展開および移植片保持縫合糸ループの結束よりも好ましい。しかしながら、現在のドライバー/インサータ装置は、ユーザーが使用前にその遠位端に縫合糸を通す必要があり、これには時間がかかり、また小さく、注意深い動きが必要である。
【0005】
したがって、縫合糸が装置に簡単に装填される、外科手術部位の中に結び目を押し込むための装置に対するニーズが存在する。
【0006】
本明細書で使用される場合、「縫合糸」という用語は、生体適合性または生体吸収性のフィラメント、リボン、テープ、織布、または不織布材料などの任意のタイプの繊維状材料であってもよい。
【0007】
関連技術の説明セクションの免責条項:具体的な特許/刊行物/製品が上記の本関連技術の説明セクションまたは本開示の他の場所で考察されている範囲で、これらの考察は、記述された特許/刊行物/製品が特許法上の先行技術であることを認めるものとみなされるべきではない。例えば、考察された特許/刊行物/製品の一部またはすべては、時間的に十分早期でない場合があり、時間的に十分早期に開発された主題を反映していない場合があり、かつ/または特許法の目的に対して先行技術に相当するほど、十分に有効ではない場合がある。具体的な特許/刊行物/製品が、この関連技術の説明セクションおよび/または本出願全体を通して上記で考察されている範囲で、その説明/開示は参照によりそのそれぞれの全体がすべて本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態は、ノットプッシャーを対象とする。ノットプッシャーの実施形態は、開位置と閉位置との間で移動可能なアクチュエータを有するアクチュエータハウジングと、アクチュエータハウジングから延在する細長い管と、を含む。ノットプッシャーは、細長い管を通って延びるゲートスロットと、細長い管を通って延び、かつゲートスロットを横断する縫合糸装填スロットとの少なくとも二つのスロットを含む。移動可能なゲートクロスバーは、ゲートクロスバーが開位置と閉位置との間でアクチュエータとともに移動するように、アクチュエータに接続されている。アクチュエータが閉位置にある時、ゲートクロスバーは、縫合糸装填スロットの少なくとも一部分を通って延びる。
【0009】
別の態様によれば、ノットプッシャーは、開位置と閉位置との間で移動可能なアクチュエータを有するアクチュエータハウジングと、アクチュエータハウジングから延びる細長い管と、を含む。ノットプッシャーは、細長い管を通って延びるゲートスロットと、細長い管を通して延びる縫合糸出口スロットと、細長い管を通って延び、かつゲートスロットを横断する縫合糸装填スロットと、の三つのスロットを含む。移動可能なゲートクロスバーは、ゲートクロスバーが開位置と閉位置との間でアクチュエータとともに移動するように、アクチュエータに接続されている。アクチュエータが閉位置にある時、ゲートクロスバーは、縫合糸装填スロットの少なくとも一部分を通って延びる。
【0010】
さらに別の態様によれば、ノットプッシャーは、リング形状の端部から延びるアクチュエータハウジングを有するハンドルを含む。少なくとも部分的にアクチュエータハウジング内にあり、かつ開位置と閉位置との間で移動可能なアクチュエータがある。細長い管は、アクチュエータハウジングから延びる。ノットプッシャーは、細長い管を通って延びるゲートスロットと、細長い管を通って延び、かつゲートスロットを横断する縫合糸装填スロットとの少なくとも二つのスロットを含む。移動可能なゲートクロスバーは、ゲートクロスバーが開位置と閉位置との間でアクチュエータとともに移動するように、アクチュエータに接続されている。アクチュエータが閉位置にある時、ゲートクロスバーは、縫合糸装填スロットの少なくとも一部分を通って延びる。
【0011】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記述される実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、添付図面と併せて以下の発明を実施するための形態を読むことにより、より完全に理解され、かつ評価されるであろう。添付の図面は、開示された主題の典型的な実施形態のみを図解しており、したがって示された主題に対してその範囲を限定するものとは考えられず、その他の等しく有効な実施形態を認めてもよい。ここで添付図面を簡単に参照する。
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態による、ノットプッシャーの等角概略図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による、ノットプッシャーのハンドルのクローズアップ等角概略図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による、ノットプッシャーのハンドルのクローズアップ側面概略図である。
【
図4】
図4は、一実施形態による、ノットプッシャーの分解組立概略図である。
【
図5】
図5は、一実施形態による、ノットプッシャーのハンドルのクローズアップ部分断面概略図である。
【
図6】
図6は、一実施形態による、装填ゾーンのクローズアップ分解組立概略図である。
【
図7】
図7は、一実施形態による、ノットプッシャーの装填ゾーンのクローズアップ等角概略図である。
【
図8】
図8は、一実施形態による、ノットプッシャーの装填ゾーンのクローズアップ側面概略図である。
【
図9】
図9は、一実施形態による、ノットプッシャーの装填ゾーンのクローズアップ上面概略図である。
【
図10】
図10は、一実施形態による、ノットプッシャーの装填ゾーンのクローズアップ底面概略図である。
【
図11A】
図11Aは、一実施形態による、縫合糸がそれを通って延びている、開位置にある装填ゾーンの底面図である。
【
図11B】
図11Bは、一実施形態による、縫合糸がそれを通って延びている、開位置にある装填ゾーンの側面図である。
【
図12】
図12は、一実施形態による、閉位置にある装填ゾーンのクローズアップ等角概略図である。
【
図13】
図13は、一実施形態による、閉位置にある装填ゾーンのクローズアップ側面概略図である。
【
図14】
図14は、一実施形態による、閉位置にある装填ゾーンのクローズアップ上面概略図である。
【
図15】
図15は、一実施形態による、閉位置にある装填ゾーンのクローズアップ底面概略図である。
【
図16】
図16は、一実施形態による、縫合糸がそれを通って延びている、閉位置にある装填ゾーンの側面図である。
【
図17】
図17は、一実施形態による、閉位置にある装填ゾーンのクローズアップ断面概略図である。
【
図18】
図18は、一実施形態による、閉位置にある装填ゾーンのクローズアップ等角概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の態様ならびにその特定の特徴、利点、および詳細は、添付図面に図解した非限定的な例を参照しながらより完全に以下に説明される。本発明の詳細を不必要に不明瞭にしないよう、周知の構造の記述は省略されている。しかし、当然のことながら、詳細な記述および具体的な非限定的な実施例は、本発明の態様を示すものであるが、例示のみの目的で与えられ、限定の目的ではない。基礎となる発明の概念の趣旨および/または範囲内での様々な置き換え、修正、追加、および/または配設は、本開示から当業者には明らかであろう。
【0015】
ここで図面を参照すると、同様の参照番号が全体を通して同様の部分を指しており、
図1は、一実施形態によるノットプッシャー100の等角概略図を示す。ノットプッシャー100は、近位端102および遠位端104を有する。近位端102において、ノットプッシャー100はハンドル106を有する。ハンドル106は、それを通って延びる開口112を有するリング形状の端部110(「ループ端部」とも呼ばれる)を有する。ハンドル106はまた、リング形状の端部110から遠位に延びる長方形のアクチュエータハウジング114を有する。アクチュエータハウジング114は、リング形状の端部110に向かって近位に、またリング形状の端部110から離れて遠位に移動するように構成された移動可能なアクチュエータ108を有する。リング形状の端部110は、以下に詳細に記述するように、人間工学的な利点および方向付けの利点のために提供されている。また
図1に示すように、細長い管116は、ハンドル106から(すなわち、アクチュエータハウジング114から)遠位端104へと中央長手方向y-y軸に沿って延びる。ノットプッシャー100の遠位端104において、細長い管116は、ノットプッシャー100に縫合糸(図示せず)を取り付けるための装填ゾーン118を備える。
【0016】
ここで
図2を参照すると、一実施形態によるノットプッシャー100のハンドル106のクローズアップ等角概略図が示されている。上述のように、ハンドル106は、ノットプッシャー100の近位端102において人間工学的なリング形状の端部110を有する。リング形状の端部110の幾何学的形状は、ユーザーの親指が使用中、開口112に自然に置かれることを可能にする。
図2に示すように、また
図3により明瞭に示すように、リング形状の端部110は、アクチュエータハウジング114に対して傾斜している。
【0017】
リング形状の端部110を通って延びる開口112は、それを通って延びる中央x-x軸を有する。中央x-x軸は、細長い管116を通って延びる中央長手方向y-y軸に対して傾斜している。
図3では、中央x-x軸は、中央長手方向y-y軸に対して0~90度の角度をなしている。リング形状の端部110の角度は、使用する手(左または右)に関わらず、ユーザーが開口112に自身の親指をぴったりはめ込むために、ノットプッシャー100を正しい位置に方向付けるように強いる、一方向機能を提供する。それ故に、リング形状の端部110の角度は、人間工学的な把持を提供するだけでなく、ユーザーによって操作された時に、ノットプッシャー100の適正な方向付けを強いる。
【0018】
ここで、
図4を参照すると、一実施形態による、ノットプッシャー100の分解組立概略図が示されている。図示した実施形態では、ハンドル106は、第一の本体部分120および第二の本体部分122の二つの部品から成る。第一の本体部分120および第二の本体部分122は各々、それを通って延びる開口112を有する、リング形状の端部110を備える。加えて、第一の本体部分120および第二の本体部分122は各々、長方形状アクチュエータハウジング114の半分を備える。アクチュエータハウジング114は、移動可能なアクチュエータ108を収容する。図示した実施形態では、移動可能なアクチュエータ108はばね式であり、すなわち、アクチュエータハウジング114内でばね124によって付勢される。移動可能なアクチュエータ108は、
図1に示されるように、アクチュエータハウジング114から外へ延びるアクチュエータボタン134を備える。
【0019】
図4に戻って参照すると、細長い管116は、内部体積を有するようなカニューレ状である。細長いチャネル128は、細長い管116の外部を通り、内部体積の中へと延びる。細長いチャネル128は、中央長手方向y-y軸に沿って、またはこれに平行に延びる。加えて、細長い管116は、取り外し可能な、かつ/または移動可能なゲートバー130を備える。ゲートバー130は、細長いチャネル128内に適合するようにサイズ設定され、かつ構成された、幅の狭い平坦なロッドである。細長い管116はまた、ゲートクロスバー132を含む。図示した実施形態では、ゲートクロスバー132は、長方形状であり、それを通って延びる開口126を有する。ゲートバー130およびゲートクロスバー132は、アクチュエータ108に取り付けられ、またアクチュエータ108とともに移動して、装填ゾーン118を開位置と閉位置との間で移動させる。
【0020】
ここで
図5を参照すると、一実施形態による、ノットプッシャー100のハンドル106のクローズアップ部分断面概略図が示されている。示されるように、細長い管116は、アクチュエータハウジング114の遠位端144でハンドル106に固定されている。図示した実施形態では、細長い管116はアクチュエータハウジング114内に固定されているが、遠位端144の外部と同一平面に取り付けることができることが企図される。ゲートバー130は、細長い管116の細長いチャネル128内に示されている。
図5に示すように、ゲートバー130は、アクチュエータ108に接続されている。それ故に、ゲートバー130は、アクチュエータ108とともに移動する。
【0021】
なおも
図5を参照すると、アクチュエータ108はばね124に接続され、またばね124はアクチュエータハウジング114の近位端146に接続されている。ばね124は、一対のばねガイド148(アクチュエータハウジング114の近位端146上に一つ、およびアクチュエータ108上に一つ)に接続され、ばね124の力ベクトルを軸方向に保持する。
図5のばね124は、アクチュエータハウジング114の遠位端144に向かって付勢されている。それ故に、ゲートバー130は、遠位方向、すなわち、装填ゾーン118の閉位置に付勢されている。
【0022】
上述のように、ばね付勢されたアクチュエータ108の目的は、装填ゾーン118を開位置と閉位置との間で移動させることである。
図5に示すように、アクチュエータ108は、中央長手方向y-y軸に対して傾斜して延びる、アクチュエータボタン134に接続された外面136を有する。アクチュエータ108の傾斜した外面136は、アクチュエータボタン134が開位置へと近位に移動された時、アクチュエータ108がばね124をその圧縮形態に保持することを可能にする。装填ゾーン118の開位置を維持するために、ユーザーは、アクチュエータボタン134上の力を近位方向に維持しなければならない。アクチュエータボタン134が解放されると、これは装填ゾーン118を自動的に閉位置に戻す。アクチュエータボタン134が解放されると、ばね124は非圧縮形態へと弛緩し、アクチュエータ108の外面136がアクチュエータハウジング114上のキャッチ150(例えば、突起部または他の妨害特徴部)と接合するまで、アクチュエータボタン134を遠位方向に移動させる。これは、アクチュエータボタン134の係合なしにアクチュエータ108が移動することを防止し、また、使用中に力がゲートバー130に加えられた時にアクチュエータ108が移動することも防止する。
【0023】
ここで
図6を参照すると、一実施形態による、装填ゾーン118のクローズアップ分解組立概略図が示されている。細長い管116は、ゲートバー130に接続されたゲートクロスバー132を含む。ゲートバー130は、ゲートクロスバー132内の開口126を通して延びる152(例えば、突起部)を含む。開口126を通る特徴部152の延在を介したゲートバー130およびゲートクロスバー132の接続は、ゲートバー130と一緒のゲートクロスバー132の移動を容易にする。それ故に、アクチュエータ108がそれに接続されたゲートバー130を移動させると(
図5)、ゲートクロスバー132が移動する。ゲートクロスバー132はまた、ゲートバー130の動きが細長い管116に沿ってのみとなるように制限する役割を果たす。ゲートバー130およびゲートクロスバー132は、(図に示すように)ノットプッシャー100の内側で組み立てられ、接合される。
【0024】
なおも
図6を参照すると、細長い管116の装填ゾーン118はまた、ゲートスロット140を備える。ゲートスロット140は、細長い管116を通って内部体積へと延びる(図 10)。
図6に示すように、ゲートスロット140は、細長い管116の遠位端104からわずかに離間している。ゲートスロット140は、中央長手方向y-y軸に沿って、またはこれと平行に延びる。ゲートスロット140は、
図6に示す実施形態では長方形であり、その中のゲートクロスバー132の移動を容易にするようにサイズ設定され、かつ構成されている。ゲートバー130がアクチュエータ108と係合して移動する際、ゲートクロスバー132は、ゲートスロット140内で近位または遠位に移動する。それ故に、ゲートスロット140は、ゲートクロスバー132、そして結果としてゲートバー130の近位および遠位の移動を制限する。
【0025】
ここで
図7~
図10に移ると、一実施形態による、ノットプッシャー100の装填ゾーン118の様々なクローズアップ概略図が示されている。細長い管116上の装填ゾーン118には、
図6~
図7および
図9に示すように、縫合糸出口スロット138がある。縫合糸出口スロット138は、細長い管116を通って延び、細長い管116の先細りのまたは尖った陥凹部154まで延びる。縫合糸出口スロット138は、実質的に長方形であり、中央長手方向y-y軸に沿って、またはこれと平行に延びる。
【0026】
図7に示すように、縫合糸出口スロット138は、細長い管116に沿って細長いチャネル128からほぼ180度(半径方向)である。言い換えれば、縫合糸出口スロット138は、細長いチャネル128と実質的に平行である。これも
図7に示すように、縫合糸出口スロット138は、細長い管116の遠位端104からわずかに離間しているが、細長いチャネル128は、細長い管116の遠位端104を通って延びる。
図7に図示するように、ゲートスロット140は、細長い管116に沿って縫合糸出口スロット138からほぼ90度(半径方向)である。
【0027】
図7~
図10では、装填ゾーン118は、ゲートスロット140と縫合糸出口スロット138との間に延びる縫合糸装填スロット142を含む。縫合糸装填スロット142は、細長い管116の間隙、切断部、開口、またはその他の開口部である。縫合糸装填スロット142は、
図8に示すように、ゲートスロット140、縫合糸出口スロット138、および中央長手方向y-y軸と実質的に垂直である。
【0028】
ここで
図11Aおよび
図11Bを参照すると、一実施形態による、開位置にある装填ゾーン118の底面図および側面図が、それを通って延びる縫合糸200とともに、それぞれ示されている。縫合糸200は、
図11Bに示すように、ゲートスロット140を越えて縫合糸装填スロット142の中へと装填される。装填されると、
図11Aに示すように、縫合糸200は、細長いチャネル128を通って延びる。縫合200が装填された時、装填ゾーン118は(上述のアクチュエータ108を介して)開位置にある。
【0029】
ここで
図12に移ると、一実施形態による、閉位置にある装填ゾーン118のクローズアップ等角概略図が示されている。開位置から、アクチュエータ108(
図1~
図5)が解放され、閉位置へと遠位に摺動する。アクチュエータ108が遠位に摺動するにつれて、
図15に示すように、ゲートバー130は、細長いチャネル128内でノットプッシャー100の遠位端104へと遠位に移動する。ゲートバー130が遠位に摺動するにつれて、ゲートクロスバー132は、閉位置へと遠位に移動する。閉位置では、
図12~
図13に示すように、ゲートクロスバー132はゲートスロット140の中に延びる。また
図12~
図13に示すように、ゲートクロスバー132がゲートスロット140の中に延びる時、ゲートクロスバー132は縫合糸装填スロット142を遮る。
【0030】
ここで
図16に移ると、一実施形態による、閉位置にある装填ゾーン118の側面図が、それを通して延びる縫合糸200とともに示されている。上述のように、アクチュエータ108が解放されて、閉位置へと遠位に移動する時、ゲートバー130は遠位に移動し、ゲートスロット140内でゲートクロスバー132を遠位に押す。ゲートバー130は、細長いチャネル128を通して、細長い管116の遠位端104の外へと、縫合糸200の第一のリム202を押す。縫合糸200の第二のリム204は、縫合糸出口スロット138を通って、また一部の事例では、陥凹部154に沿って、外へと延びる。
【0031】
ここで
図17に移ると、一実施形態による、閉位置にある装填ゾーン118のクローズアップ断面概略図が示されている。縫合糸200の経路が、
図17で示されている。縫合糸200の経路は、細長い管116の遠位端104から、遮られたゲートスロット140を越え、縫合糸出口スロット138の外へと流れる。図示した実施形態では、装填ゾーン118における細長い管116内のすべての縁上に、面取り156がある。面取り156は、縁が縫合糸200と干渉すること(擦り切れを生じさせ得る)ができないように、縁が丸められていることを確実にする。閉位置にある装填ゾーン118の、クローズアップ等角概略図を
図18に示す。示すように、ゲートクロスバー132は、ゲートスロット140内で閉位置にある。
【0032】
このノットプッシャー100の利点としては、遠位端104に糸を通す必要なく、縫合糸200を素早く装填する能力が挙げられる。本明細書に開示されたノットプッシャー100の人間工学的なループハンドル106は、使用のためのノットプッシャー100の正しい方向付けを強制する。
【0033】
当然のことながら、上記で使用された値は、単なる代表的な値であり、他の値が、本開示の趣旨および意図と一致する場合がある。
【0034】
特定の例示的実施形態を参照して、本明細書でいくつかの発明的実施形態が記述され、図解されてきたが、当業者は、本明細書に記述された機能を実施するため、ならびに/または結果および/あるいは利点の一つ以上を得るためのさまざまな他の手段および/あるいは構造を容易に想起するであろうし、こうした変形および/または修正の各々は、本明細書に記述された発明的実施形態の範囲内であると見なされる(また、これは書面による記述および図面によって裏付けることができる特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、詳細の様々な変更がその中にもたらされ得ることが当業者によって理解されるであろう)。より一般的に、当業者は、本明細書に記述されたすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であり、また実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が本発明の教示が使用される一つ以上の具体的な適用に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記述された具体的な発明的実施形態に対する数多くの均等物を、通常の範囲を越えない実験を用いて認識することになり、または確認することができる。したがって、前述の実施形態は、単に例示的なものとして提示されており、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、発明的実施形態を、具体的に記述され特許請求された以外のその他の方法で実行しうることが理解される。さらに、例示的実施形態が特定の数の要素を参照して記述される場合、例示的実施形態を、特定の数より少ない要素または特定の数より多くの要素のいずれかを利用して実行することができることが理解されよう。
【0035】
本明細書で引用される刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、あたかも各参考文献が個別にかつ具体的に参照によって本明細書に組み込まれることが示されていて、本明細書にその全体が記載されたのと同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0036】
本明細書で定義されかつ使用されるすべての定義は、定義された用語の辞書の定義、参照により組み込まれる文書中の定義、および/または通常の意味を支配すると理解されるべきである。
【0037】
本発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)「一つの(a)」および「一つの(an)」および「その(the)」という用語ならびに類似の参照語の使用は、本明細書に別段の示唆がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。別段の記載がない限り、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含有する(containing)」という用語は、制約のない用語として解釈されるものとする(すなわち、「を含むが、これに限定されない」を意味する)。「接続された(connected)」という用語は、たとえ何かが介在する場所に直接的に付着していなくても、部分的または完全に包含され、付着され、または結合されるものとして解釈されるものとする。
【0038】
本明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、一つ以上の要素のリストに関連して、「少なくとも一つ(at least one)」という語句は、要素のリスト中の要素のうちのいずれか一つ以上の要素から選択される少なくとも一つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも、要素のリスト内に具体的に列挙された各要素およびすべての要素のうちの少なくとも一つを含み、かつ要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを除外しないことを必ずしも含むものではない。この定義はまた、要素を、具体的に特定された要素と関連しているか、またはそれらの要素とは無関係であるかに関わらず、「少なくとも一つ(at least one)」という語句が言及する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外に、任意に存在し得ることも可能にする。それ故に、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも一つ」(または等価に「AまたはBのうちの少なくとも一つ」、または、等価に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも一つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない、少なくとも一つの、任意で二つ以上のA(かつ任意でB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Aを含まない、少なくとも一つの、任意で二つ以上のB(かつ任意でA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、少なくとも一つの、任意で二つ以上のA、および少なくとも一つの、任意で二つ以上のB(かつ任意で他の要素を含む)を指すことができる。
【0039】
これも当然のことながら、これとは反対に明確に示されない限り、本明細書で特許請求される任意の方法において、二つ以上の工程または作用を含む場合、当該方法の工程または作用の順序は、必ずしも当該方法の工程または行為が列挙される順序に限定されない。
【0040】
本明細書および特許請求の範囲全体を通して本明細書で使用される場合、近似の文言は、それが関連している基本的機能に変化をもたらすことなく、許容可能に変化する可能性のある任意の定量的表現を修正するために適用されてもよい。したがって、例えば、「約(about)」および「実質的に(substantially)」などの用語(複数可)によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくとも一部の例では、近似の文言は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。本明細書、ならびに明細書および特許請求の範囲全体を通して、範囲の制限は、組み合わせられ、かつ/または交換される場合があり、こうした範囲は、文脈または文言が別段の示唆をしない限り、特定され、またその中に含まれるすべての部分範囲を含む。
【0041】
本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書に別段の示唆が無い限り、その範囲内にある各独立した値を個別に参照する簡易的な方法としての役割を果たすことを単に意図しており、各独立した値は、あたかも本明細書に個別に列挙されたかのように本明細書に組み込まれる。
【0042】
本明細書に記述されたすべての方法は、本明細書に別段の示唆がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に提供されたあらゆるすべての実施例、または例示的な文言(例えば、「など(such as)」の使用は、単に本発明の実施形態をより良好に明らかにすることを意図するものであり、別段の主張がない限り、本発明の範囲に制限を課すものではない。
【0043】
本明細書のいかなる文言も、特許請求されていない任意の要素が本発明の実施に不可欠であることを示すと解釈されるべきではない。
【0044】
上記明細書だけでなく、特許請求の範囲において、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)」「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、「holding(保持する)」、「から成る(composed of)」、およびこれに類するものなどのすべての移行句は、制約のない(すなわち、~を含むが、これに限定されない)ことを意味するものとして理解されるべきである。米国特許庁の特許審査手続マニュアルのセクション2111.03に定めるように、それぞれ、移行語句の「~からなる(consisting of)」および「本質的に~からなる(consisting essentially of)」のみを、それぞれ排他的または半排他的な移行句とする。
【0045】
様々な修正および変形を、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明に対してなすことができることは、当業者には明らかであろう。本発明を開示された一つ以上の具体的な形態に限定する意図はなく、むしろ反対に、添付の特許請求の範囲で定義されるように、本発明の趣旨および範囲内にあるすべての修正、代替的な構成、および均等物を網羅することを意図する。それ故に、本発明の修正および変形が添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内にある限り、本発明は、それらを網羅することが意図される。
【国際調査報告】