(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】同時伝送を用いた変位測定システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01S 11/08 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
G01S11/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574759
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(85)【翻訳文提出日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 IL2020050665
(87)【国際公開番号】W WO2020255125
(87)【国際公開日】2020-12-24
(32)【優先日】2019-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521546511
【氏名又は名称】バヤール イメージング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VAYYAR IMAGING LTD.
【住所又は居所原語表記】26 Shabazi Street, Yehud, 5623027 ISRAEL
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】モーシェ、 シェイ
(72)【発明者】
【氏名】カザン、 アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】バー デイビッド、 イドウ
(57)【要約】
【要約】
少なくとも2つのセンサを含むシステムにおいて少なくとも1つのセンサの変位を識別および/または測定するためのシステムおよび方法である。各センサは、信号発生器と、データ取得サブシステムと、少なくとも1つのプロセッサを備える。信号発生器によって生成された信号は、送信信号として使用され、IF(中間周波数)信号を生成するために他のセンサから受信された信号をダウンコンバートするための局部発振器として使用される。データ取得サブシステムは、複数のIF信号の位相情報を含むデータサンプルを生成し、前記データサンプルを記録するように構成される。前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも2つのセンサの各センサから記録されたデータサンプルを受信し、前記少なくとも2つのセンサの各センサから記録されたデータサンプルを共同処理して、前記少なくとも2つのセンサ間の距離に依存する位相値を抽出し、前記位相値を測定して、位相変化値を生成し、抽出された位相変化値に基づいて前記少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも1つのセンサの変位を識別するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに距離を置いて配置された少なくとも2つのセンサを含むシステムであって、
各センサは、
1つ以上のRF(無線周波数)信号を送受信し、前記複数の受信RF信号を複数のIF(中間周波数)信号にダウンコンバートするように構成された生成・受信サブシステムと、
1つ以上のアンテナを備えるアンテナサブシステムであって、前記1つ以上のアンテナが、前記少なくとも2つのセンサのうちの他のセンサのそれぞれへ1つ以上のRF信号を送信し、前記他の少なくとも2つのセンサのうちの前記他のセンサから複数のRF信号を受信するように構成されたアンテナサブシステムとを含み、
前記システムはさらに、
前記複数のIF信号をサンプリングし、前記複数のIF信号の位相情報を含むデータサンプルを生成し、前記データサンプルを記録するように、構成され動作可能にされたデータ取得サブシステムと、
前記少なくとも2つのセンサ間の共通の時間ベースを取得し維持し、少なくとも2つのセンサの各センサによる1つ以上のRF信号の同時伝送を可能にし、少なくとも2つのセンサの各センサにおける信号サンプリングの同期を可能にする、時間ベース同期サブシステムと、
少なくとも1つのプロセッサとを含み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも2つのセンサの各センサから記録されたデータサンプルを受信し、前記少なくとも2つのセンサの各センサから記録されたデータサンプルを共同処理して、前記少なくとも2つのセンサ間の距離に依存する位相値を抽出し、前記位相値を経時的に測定して位相変化値を生成し、抽出された位相変化値に基づいて前記少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも1つのセンサの変位を識別する、
システム。
【請求項2】
第1のセンサおよび第2のセンサを備え、第1のセンサのデータサンプルは、以下の第1のフェーザ表現で表され、
【数14】
第2のセンサのデータサンプルは、以下の第2のフェーザ表現で表され、
【数15】
前記f
0は送信周波数であり、φ
Aおよびφ
Bは任意の初期位相である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データサンプルを共同処理することは、前記第1のフェーザを前記第2のフェーザと乗算することを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のフェーザを前記第2のフェーザと乗算した結果が、
【数16】
であり、結果の位相値は、
【数17】
であり、結果の位相値は2つのセンサ間のλ/2を法とする距離d
ABに依存し、λ=c/f
0は送信信号波長であり、計算された位相Φ
ABは、任意の初期位相φ
Aおよびφ
Bに依存しない、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記2つのセンサ間の距離変化δdは、位相変化δφを計算することで特定され、前記位相変化δφが、
【数18】
である、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記同一のセンサで同時に受信された前記信号への、前記1つ以上の送信されたRF信号のリークをキャンセルするように構成され動作可能とされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも2つのセンサの各センサにおいて一連の信号を送信および記録し、前記記録された信号を、前記リークをキャンセルするために前記記録された信号を処理する前記少なくとも1つのプロセッサに送信することによって、前記リークがキャンセルされる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記時間ベース同期サブシステムは、GPS受信機、センサ間の専用信号交換、有線共通クロック分配からなるグループから選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも1つのセンサが、前記少なくとも1つのプロセッサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサは中央プロセッサで構成され、前記中央プロセッサは前記少なくとも2つのプロセッサの外部にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記アンテナサブシステムは、1つ以上のアンテナアレイを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
互いに距離を置いて配置された2つ以上のセンサを含むシステムにおいて、初期位置に対する少なくとも1つのセンサの変位を測定する方法であって、
前記方法は、
時間ベース同期サブシステムを使用して、各センサにおいて1つ以上のアンテナによって各センサから1つ以上のRF信号を同時に送信するステップと、
各センサにおいて、他のセンサによって送信された信号を1つ以上のアンテナで受信するステップと、
生成・受信サブシステムを用いて受信信号をIF(中間周波数)信号にダウンコンバートするステップと、
IF信号をサンプリングして、前記IF信号の位相情報を含むデータサンプルを生成するステップと、
センサデータ収集サブシステムのそれぞれにおいて前記データサンプルを記録するステップと、
各センサの前記データサンプルを少なくとも1つのプロセッサに送信するステップと、
信号処理アルゴリズムに基づいて前記少なくとも2つのセンサの各センサのデータサンプルを共同処理して、その初期位置に対する少なくとも1つのセンサの変位を識別し測定するステップとを含む、方法。
【請求項13】
前記少なくとも2つのセンサの各センサからの記録されたデータサンプルを共同処理することが、
前記少なくとも2つのセンサ間の距離に依存する位相値を抽出することと、
前記位相値を経時的に測定して位相変化値を生成することと、
抽出された位相変化値に基づいて、少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも1つのセンサの変位を識別することと、を含む請求項12に記載の方法:
【請求項14】
第1のセンサおよび第2のセンサを備え、前記第1のセンサの前記データサンプルは、下記の第1のフェーザ表現で表され、
【数19】
第2のセンサのデータサンプルは、以下の第2のフェーザ表現で表され、
【数20】
前記f
0は送信周波数であり、φ
Aおよびφ
Bは任意の初期位相である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記データサンプルを共同処理することは、前記第1および第2のフェーザを乗算することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のフェーザを前記第2のフェーザと乗算した結果が、
【数21】
であり、結果の位相値は、
【数22】
であり、結果の位相値は2つのセンサ間のλ/2を法とする距離d
ABに依存し、λ=c/f
0は送信信号波長であり、計算された位相Φ
ABは、任意の初期位相φ
Aおよびφ
Bに依存しない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記2つのセンサ間の距離変化δdは、位相変化δφを計算することで特定され、前記位相変化δφが、
【数23】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記同一のセンサで同時に受信された前記信号への、前記1つ以上の送信されたRF信号のリークをキャンセルするように構成された、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも2つのセンサの各センサで信号のシーケンスを送信し記録し、前記記録された信号を、前記リークをキャンセルするために前記記録された信号を処理する前記少なくとも1つのプロセッサに送信することによって、前記リークがキャンセルされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記時間ベース同期サブシステムが、GPS受信機、センサ間の専用信号交換、有線共通クロック分配、または他の既知の方法もしくはシステムを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも1つのセンサが、前記少なくとも1つのプロセッサを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのプロセッサは中央プロセッサを含み、前記中央プロセッサは、前記少なくとも2つのプロセッサの外部にある、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
複数のセンサを含むシステムであって、
前記複数のセンサのそれぞれが、
信号発生器であって、当該信号発生器によって生成された信号が、送信信号として、および、IF(中間周波数)信号を生成するために他のセンサから受信された信号をダウンコンバートするための局部発振器として使用される、信号発生器と、
複数のIF信号の位相情報を含むデータサンプルを生成し、前記データサンプルを記録するように構成されたデータ取得サブシステムと、
少なくとも1つのプロセッサとを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記少なくとも2つのセンサの各センサから記録されたデータサンプルを受信し、
前記少なくとも2つのセンサの各センサからの記録されたデータサンプルを共同処理して、前記少なくとも2つのセンサ間の距離に依存する位相値を抽出し、
前記位相値を経時的に測定し、位相変化値を得て、
抽出された位相変化値に基づいて、前記少なくとも2つのセンサのうち少なくとも1つのセンサの変位を識別する、システム。
【請求項24】
前記信号が、CW信号、ステップ周波数信号、チャープ信号を含む群から選択される、請求項23に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年6月16日に出願された「無線周波数波浸透によるオブジェクトの撮影のためのシステムおよび方法」という名称の米国仮出願第62/862,095号(代理人整理番号VY030/USP)の利益を主張し、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態では変位測定システムおよび方法に関し、より具体的には排他的ではないが、同時伝送を含む変位測定のためのRF(無線周波数)システムおよび方法に関する。
【0003】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれるよう具体的かつ個々に示された場合と同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
遠隔オブジェクトの小さな相対変位を測定することの必要性は、周知である。そのような必要性の一例は、地震、地滑り等の事象によって誘発される変位を検出するための土地工作物のモニタリングである。検出されない動きは、橋または道路の構造的完全性を損なうなど、人および構造物に危険をもたらすおそれがある。
【0005】
再帰反射器までの距離を測定するためのタイムオブフライト法および干渉測定を用いた光学的方法はよく知られているが、これらの技術は見通し線がクリアであることに依存し、霧や雨で失敗することがある。
【0006】
RFベースの技術は、クリアな見通し線への依存性がより少なく、この必要性を満たすことができる。変位を測定する技術の一例が、「位置検出システムおよび位置検出センサ」と題する米国出願第20120235831に記載されている。ここでは、超安定な、例えばルビジウム、時間基準発振器を用いて、両側に正確な時間基準を確立することによって電波の飛行時間(タイムオブフライト)が測定される、しかしながら、そのような発振器は非常に高価であり、最終的には、測定され、考慮される必要があるタイミングドリフトが生じる。
【0007】
レーダのような技術は、光学的方法と同様に、往復の飛行時間を測定するために使用することができる。例えば三面体再帰反射器のような再帰反射器を用いて、反射パワーを増強することができる。しかしながら、無線周波数帯域では、距離測定精度は他のオブジェクトによって妨げられないように、再帰反射器のRCSがその近傍の他のオブジェクトのRCSよりも実質的に大きいことを保証することは、かなり複雑である。
【0008】
他の変位測定技術は、反射信号を操作する反射器を使用する。そのようなシステムの一例は、中国特許公開第103792531Aおよび中国特許公開第103308911Aに記載されており、複数の反射器は、複数の反射器の異なる操作によって分解される。
【0009】
本発明の第1の実施形態によれば、互いに距離を置いて配置された少なくとも2つのセンサを含むシステムが提供される。各センサは(i)1つ以上のRF(無線周波数)信号を送受信し、前記複数の受信RF信号を複数のIF(中間周波数)信号にダウンコンバートするように構成された生成・受信サブシステムと、(ii)アンテナサブシステムとを備える。アンテナサブシステムは、1つ以上のアンテナを備える。1つ以上のアンテナは、前記少なくとも2つのセンサのうちの他のセンサのそれぞれへ1つ以上のRF信号を送信し、前記他の少なくとも2つのセンサのうちの前記他のセンサから複数のRF信号を受信するように、構成される。センサは、前記複数のIF信号をサンプリングし、前記複数のIF信号の位相情報を含むデータサンプルを生成し、前記データサンプルを記録するように、構成され動作可能にされたデータ取得サブシステムをさらに含む。システムは、さらに、2つ以上のセンサ間の共通の時間ベースを取得し維持し、少なくとも2つのセンサの各センサによる1つ以上のRF信号の同時伝送を可能にし、少なくとも2つのセンサの各センサにおける信号サンプリングの同期を可能にする、時間ベース同期サブシステムを含む。システムは、さらに、少なくとも1つのプロセッサを含む。この少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも2つのセンサの各センサから記録されたデータサンプルを受信し、前記少なくとも2つのセンサの各センサから記録されたデータサンプルを共同処理して、前記少なくとも2つのセンサ間の距離に依存する位相値を抽出し、前記位相値を経時的に測定して位相変化値を生成し、抽出された位相変化値に基づいて前記少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも1つのセンサの変位を識別する。
【0010】
一実施形態では、システムが、第1および第2のセンサを含み、第1のセンサのデータサンプルは以下の第1のフェーザ表現(数1)で表され、第2のセンサのデータサンプルは以下の第2のフェーザ表現(数2)で表される。ここで、f
0は送信周波数であり、φ
Aおよびφ
Bは任意の初期位相である。
【数1】
【数2】
【0011】
一実施形態では、前記データサンプルの共同処理は、第1のフェーザを第2のフェーザと乗算することを含む。
【0012】
一実施形態では、前記第1および第2のフェーザの乗算結果は数3のとおりであり、結果として得られる位相値は数4のとおりである。ここで、結果の位相値は2つのセンサ間のλ/2を法とする距離d
ABに依存し、λ=c/f
0は送信信号波長であり、計算された位相Φ
ABは、任意の初期位相φ
Aおよびφ
Bに依存しない。
【数3】
【数4】
【0013】
一実施形態において、2つのセンサ間の距離の変化δdは、位相変化δφを計算することによって特定される。ここで、位相変化δφは、数5のとおりである。
【数5】
【0014】
一実施形態では、少なくとも1つのプロセッサが、1つ以上の送信されたRF信号の、同じセンサで同時に受信された信号へのリークをキャンセルするように構成され動作可能とされる。
【0015】
一実施形態では、リークは、少なくとも2つのセンサの各センサで一連の信号を送信して記録し、記録された信号を、記録された信号を処理してリークをキャンセルする少なくとも1つのプロセッサに送信する、ことによってキャンセルされる。
【0016】
一実施形態によると、時間ベース同期サブシステムは、GPS受信機、センサ間の専用信号交換、有線共通クロック分配からなるグループから選択される。
【0017】
一実施形態では、前記少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも1つのセンサが、前記少なくとも1つのプロセッサを備える。
【0018】
一実施形態では、少なくとも1つのプロセッサが中央プロセッサに含まれ、前記中央プロセッサは前記少なくとも2つのプロセッサの外部にある。
【0019】
一実施形態では、アンテナサブシステムが、1つ以上のアンテナアレイを備える。
【0020】
本発明の第2の実施形態によれば、互いに距離を置いて配置された2つ以上のセンサを備えたシステムにおける少なくとも1つのセンサの初期位置からの変位を測定するための方法が提供される。この方法は、各センサからの1つ以上のRF信号を、時間ベース同期サブシステムを使用して、各センサにおいて1つ以上のアンテナによって同時に送信するステップと、各センサにおいて、1つ以上のアンテナで、他のセンサによって送信された信号を受信するステップと、生成および受信サブシステムを使用して、受信された信号をIF(中間周波数)信号にダウンコンバートするステップと、IF信号をサンプリングして、IF信号の位相情報を含むデータサンプルを生成するステップと、各センサデータ取得サブシステムにおいて、前記データサンプルを記録するステップと、各センサの前記データサンプルを少なくとも1つのプロセッサに送信するステップと、信号処理アルゴリズムに基づいて、前記少なくとも2つのセンサの各センサのデータサンプルを一緒に処理して、その初期位置に対する少なくとも1つのセンサの変位を識別および測定するステップとを含む。
【0021】
一実施形態では、前記少なくとも2つのセンサの各センサからの記録されたデータサンプルの共同処理が、少なくとも2つのセンサの間の距離に依存する位相値を抽出することと、前記位相値を経時的に測定して位相変化値を生成することと、抽出された位相変化値に基づいて、前記少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも1つのセンサの変位を識別することと、を含む。
【0022】
一実施形態では、前記データサンプルの共同処理が、第1および第2のフェーザを乗算することを含む。
【0023】
一実施形態では、少なくとも1つのプロセッサが、1つ以上の送信RF信号の、同じセンサで同時に受信された信号へのリークを、キャンセルするように構成される。
【0024】
一実施形態では、リークは、少なくとも2つのセンサの各センサで一連の信号を送信して記録し、記録された信号を少なくとも1つのプロセッサに送信して、記録された信号を処理してリークをキャンセルすることによって、キャンセルされる。
【0025】
一実施形態では、時間ベース同期サブシステムが、GPS受信機、センサ間の専用信号交換、有線共通クロック分配、または他の既知の方法またはシステムから成るグループから選択される。
【0026】
一実施形態では、前記少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも1つのセンサが、前記少なくとも1つのプロセッサを備える。
【0027】
一実施形態では、少なくとも1つのプロセッサが中央プロセッサに含まれ、前記中央プロセッサは前記少なくとも2つのプロセッサの外部にある。
【0028】
本発明の第3の実施形態によれば、複数のセンサを備えるシステムが提供される。各センサは、信号発生器と、データ取得サブシステムと、少なくとも1つのプロセッサとを備える。信号発生器によって生成された信号は送信信号として使用され、かつ、IF(中間周波数)信号を生成するために他のセンサから受信された信号をダウンコンバートするための局部発振器として使用される。データ取得サブシステムは、複数のIF信号の位相情報を備えるデータサンプルを生成し、前記データサンプルを記録するように構成される。前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも2つのセンサの各センサから記録されたデータサンプルを受信し、前記少なくとも2つのセンサの各センサから記録されたデータサンプルを共同処理して、前記少なくとも2つのセンサ間の距離に依存する位相値を抽出し、前記位相値を測定して位相変化値を生成し、抽出された位相変化値に基づいて前記少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも1つのセンサの変位を識別するように構成される。一実施形態によると、信号は、CW信号、階段周波数信号、チャープ信号を含むグループから選択される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本開示の特徴および利点のより良好な理解は、本開示の実施形態の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られる。
【
図1】
図1は、実施形態による、センサの初期位置または以前の位置に対する、センサ110および120などの1つ以上のセンサの変位を識別および測定するためのシステムのそれぞれの図である。
【
図2】
図2は、実施形態によるセンサのアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる、2つのセンサと通信している中央処理ユニットのブロック図を示す。
【
図4A】
図4Aは、実施形態にかかる、第1のセンサの送信ユニットおよび第2のセンサの受信ユニットを示すブロック図である。
【
図4B】
図4Bは、実施形態による、両方向に同時に信号が流れる一対のセンサを示す。
【
図5】
図5は、2つのセンサAおよびBを含むシステムにおけるリーク測定およびキャンセルのための方法を示し、各センサは、実施形態による送信機および受信機を備える。
【
図6】
図6は、実施形態による、現場内に2つ以上のセンサを備えるシステムにおいて、初期位置に対する少なくとも1つのセンサの変位を測定するための方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態による、現場内の1つ以上のセンサの変位を識別および/または測定するための、記録されたデータサンプルを処理するための信号処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の説明では、本発明の様々な態様が説明される。説明の目的のために、本発明の完全な理解を提供するために、特定の詳細が記載される。当業者には、本発明の本質的な性質に影響を及ぼすことなく、細部が異なる本発明の他の実施形態が存在することが明らかであろう。したがって、本発明は図面に示され、明細書に記載されたものによって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に示されたものだけに限定され、適切な範囲は前記特許請求の範囲の最も広い解釈によってのみ決定される。本明細書で開示される構成は、元の位置に対する点の空間変位を計算するための改善されたシステムおよび方法を提供するために、多くの方法のうちの1つ以上の方法によって組み合わせることができる。典型的な応用では、2つ以上のセンサが構造上の固定点に取り付けられ、1つ以上のセンサの構造的変化または歪みにより、それらの元の位置に対して変位が生じ、それらの間の距離の変化をもたらす可能性がある。距離の変化を測定することにより、センサの変位を計算することができる。システムは、RFセンサのような2つ以上のセンサを備える。センサは波形信号を互いに送信するように構成され使用可能にされる。2つ以上のRFセンサで受信された信号は、記録され、1つ以上のプロセッサに送信される。1つ以上のプロセッサは、記録された信号(例えば、記録されたデータ)を分析し、元の位置に対するセンサの変位量を計算するためのアルゴリズムを使用する。
【0031】
本明細書で開示される構成の1つ以上の構成要素は、多くの態様によって互いに組み合わせることができる。
【0032】
本明細書で使用されるように、同様の文字は、同様の要素を指す。
【0033】
本発明の詳細な説明が記載される前に、以下で使用される特定の用語の定義を記載することが有用であろう。
【0034】
本明細書で使用されるように、「変位情報」という用語は、1つ以上のオブジェクト(例えば、センサ)の最初の位置または以前の位置に対する位置の変化を包含する。
【0035】
実施形態に従って、信号を互いに送信する少なくとも2つのセンサを使用して、往復のタイムオブフライト時間を測定する方法およびシステムが提供される。この方法は、センサのネットワークに拡張可能であり、そこでは、シーケンシャル伝送または同時伝送を使用して、複数対のセンサの間で変位を測定することができる。
【0036】
ここで図面を参照すると、
図1は、実施形態による、現場のセンサ110および120などの2つ以上のセンサ(例えば、トランシーバ)の位置間の距離「d」を経時的に測定し、センサ110および120などの1つ以上のセンサの、X-Y-Zデカルト軸内のセンサの初期位置または以前の位置に対する変位を識別するためのシステム100のそれぞれの図である。具体的には、システム100が、センサ110と120の初期位置に対する変位を検出するために、センサ110と120の間の距離「d」の変化を、時間の経過につれて連続的な測定を行うことによって測定するように構成される。センサ110および120は、伝送方向に沿って(例えば、X-Y-Zデカルト軸のX軸に沿って)伝送されるRF信号121、122、123および124のようなRF信号を送受信するためのRFアンテナであってもよく、またはそれらを含んでもよい。
【0037】
一実施形態に従って、センサ110および120はグラウンド上に取り付けられてもよく、信号(例えば、RF信号)を送受信するように構成され動作可能にされてもよい。各センサで受信された信号は、例えばグラウンドの動きによる初期位置からのセンサ(例えば、センサ110および/またはセンサ120)の変位を、識別および/または測定するために、1つ以上の信号分析アルゴリズムに基づいて2つ(またはそれ以上)のセンサから受信された信号を分析するように構成された中央プロセッサなどの1つ以上のプロセッサにさらに送信されてもよい。別の実施形態では、センサ110および120は、シャフト111、シート、またはセンサを保持するための任意のデバイスなどの構造上に、例えば建物または橋などの現場の反対側に高さ「h」で取り付けることができ、信号を送受信し、さらに、たとえば地震による建物の歪み等に起因してそれらの初期位置から生じた変位を評価するために、受信した信号を中央プロセッサに送信および受信するように、構成され動作可能にされる。
【0038】
センサ間の距離「d」は用途に依存し、例えば1~10メートル等の数メートルから、例えば100~1000メートル等の大きな距離まで、大きく変化し得る。したがって、それらの初期位置に対して測定された変位は、波長のごく一部(例えば、波長の1%)から開始してもよく、たとえば10波長などの数波長から開始してもよい。例えば、60 Ghzシステムの場合、10、20、または50ミクロン以上、50mm以上であってもよい。
【0039】
図2は、実施形態に従った、センサ200のアーキテクチャを示すブロック図である。いくつかの実施形態では、
図1のセンサ110および120は、センサ200であってもよく、またはセンサ200のユニットのすべてまたは一部を含んでもよい。センサ200は、RF信号生成・受信サブシステム204、アンテナサブシステム202、データ取得サブシステム206、時間ベース同期サブシステム212、データ通信リンクサブシステム210、および任意選択で1つ以上のデータプロセッサまたは処理サブシステム208を含むことができる。
【0040】
RF信号生成・受信サブシステム204(例えば、送受信または信号発生器)は、マイクロ波信号(例えば、RF信号)を発生することと、それらをアンテナ202a~202eに結合することと、アンテナからマイクロ波信号を受信すること、を担う。RF信号は、ステップ周波数信号、チャープ信号、擬似ランダムノイズシーケンス等であり得る。生成回路は、発振器、シンセサイザ、NCO(数値制御発振器)、AWG(任意波形生成器)、ミキサ、およびフィルタを含むことができる。例えば、RF信号は、60GHzまたは77GHz帯のマイクロ波信号であってもよい。
【0041】
実施形態に従って、受信信号はさらなる処理のために、信号生成・受信サブシステムでIF周波数にダウンコンバートされる。変換プロセスは、典型的には信号対雑音比を改善し、より低いサンプリングレートを可能にするために、ローパスフィルタで平均化することを含む。一実施形態によると、RF信号生成・受信サブシステム204は、単一のRF集積回路(RFIC)およびいくつかのRFICを備えることができる。
【0042】
センサ200(例えば、センサ110および120)は、アンテナアレイ202などの1つ以上のアンテナを含んでもよい。例えば、アンテナアレイ202は、典型的には数個から数十個(例えば30個)のアンテナの間に複数のアンテナ202a~202eを含むことができる。アンテナとしては、プリントアンテナ、導波管アンテナ、ダイポールアンテナまたは「Vivaldi」広帯域アンテナのような、当技術分野で公知の多くの種類のものを用いることができる。
【0043】
データ取得サブシステム206は、RF信号生成・受信サブシステム204からのIF信号を収集およびデジタル化し、さらに処理するために、複数のIF信号の位相情報を含む結果データサンプルを生成および記録する。一実施形態によれば、データ取得サブシステム206は、同期サンプリング、アナログ/デジタル(A/D)変換器、およびデータ記憶装置を含む。他の実施形態では、データ取得サブシステム206が、信号平均化、テンプレートとの波形の相関、または周波数領域と時間領域との間の信号の変換などの付加的な機能を含んでもよい。
【0044】
時間ベース同期サブシステム212は、センサ110および120などの2つ以上のセンサ間の共通の時間ベースを取得および維持する役割を担う。これにより、したがって、2つ(またはそれ以上)のセンサによる同時伝送、センサ間で同期された信号サンプリング、および他の調整されたアクティビティなど、センサ間の調整されたアクティビティを可能にする。時間ベース同期サブシステム212または方法の一例は、GPS受信機、センサ間の専用信号交換、有線共通クロック分配または他の既知の方法またはシステムであってもよく、またはそれらを含んでもよい。
【0045】
データ処理サブシステム208は、1つ以上のプロセッサを含むことができ、1つ以上のセンサに関連する変位情報を生成するために、1つ以上の信号処理アルゴリズムに基づいて、センサ110および120などのすべてのセンサから(たとえば、データ通信リンク210を介して)受信されたデータサンプルを処理、たとえば共同処理する役割を果たす。
【0046】
一実施形態によれば、データ処理サブシステム208は、(RF送受信サブシステム204およびアンテナアレイサブシステム202に加えて)センサ110および120などのセンサのうちの1つ以上に含めることができる。この場合、センサのうちの1つは、「中央」として指定され、データ通信リンク210を介して他のセンサと通信して、共同最終処理のためにそれらの記録されたデータサンプルを受信し、収集するように構成される。
【0047】
別の実施形態によれば、データ処理機能はセンサの外部にあってもよく、例えば
図3に示すように、センサの外部の中央データ処理ユニットによって実施される。中央処理ユニット300は、全てのセンサ(例えば、310aおよび310b)からの記録データサンプルを、送信リンク320を介して受け取り、例えば、実施形態に従って、信号処理アルゴリズムを使用して、記録データサンプルを共同処理して、変位情報を生成する。
【0048】
データ通信リンクサブシステム210は、取得されたデータサンプルを、1つ以上のセンサ(例えば、センサ110および120、またはセンサ310およびセンサ310b)の取得されたデータサンプルを処理するために、データ処理サブシステムおよび/または中央データ処理ユニット300などの1つ以上のプロセッサに送信する役割を担う。データ通信サブシステムは、無線または有線であってもよく、WiFi、セルラ、イーサネットなどの技術的方法および装置によって公知の1つ以上の方法で実現されてもよい。
【0049】
図3は、実施形態に従った、センサ310Aおよびセンサ310Bのような2つのセンサと通信する中央処理ユニット300のブロック図を示す。2つのセンサは、RF信号321のようなRF信号を同時に送信し相互に受信し、複数のRF信号の位相情報を含む受信RF信号からデータサンプルを生成し、該データサンプルを記録するように構成され動作可能にされている。中央処理ユニット300は、データ通信リンク302(データサンプルを受信するように構成され動作可能とされたデータ通信リンクサブシステム210など)と、実施形態によれば、信号処理アルゴリズムを使用して受信した記録データサンプルを処理して変位情報を生成するように構成され動作可能とされたデータ処理サブシステム301とを含むことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、中央データ処理ユニット300は、通信リンクを有する通信回路を用いたクラウドベースの記憶システムを備える手持ち装置またはサーバとすることができる。通信リンクは、例えば、WiFi、ブルートゥース(登録商標)等の無線シリアル通信リンクであってもよい。場合によっては、手持ち装置は、一方または両方のセンサからデータを受信し、クラウドベースの記憶システムのバックエンドサーバにデータを送信することができる。
【0051】
図4Aは、実施形態に従った、センサ110の送信ユニット412(センサAと表記)およびセンサ120の受信ユニット422(センサBと表記)を示すブロック図である。具体的には、
図4Aは、送信ユニット412のアンテナ413から受信ユニット422のアンテナ424への1つ以上の信号401の送信の信号フローを示す。図は、周波数f
LOの局部発振器415の出力を、周波数f
NCOAの数値制御発振器NCO
A416の出力、すなわち、f
A=f
LO+f
NCOAと混合することによって、周波数f
Aの送信信号401を送信ユニット412において生成する典型的な方法を図示する。NCOを用いることで、周波数の微細な制御を可能にし、特に、結果として生じる受信IF周波数の微細な制御を可能にする。
【0052】
受信ユニット422において、周波数fAの受信信号は、周波数fBの信号をその局部発振器として使用して、ダウンコンバータ424によって中間周波数fIFにダウンコンバートされる。ここで、fIF=|fA-fB|である。
【0053】
周波数fBは、周波数fLOの局部発振器425の出力を周波数fNCOBのNCOB426の出力と混合することによって生成される。ここで、fB=fLO+fNCOBである。従って、ダウンコンバータ424の変換周波数としてfBを使用することにより、IF周波数fIFは、fIF=|fNCOA-fNCOB|、すなわち、2つのNCO間の差異(絶対値)である。局部発振器415および425の出力は、好ましくは同じ周波数fLOであるが、実用的な理由(独立した基準水晶発振器の使用など)のために、発振器周波数がわずかに異なる場合、これはNCOによって容易に調整され得ることに留意されたい。
【0054】
このIF信号は、サンプルクロック429によってAD変換器427によってサンプリングされ、中央処理ユニットによるさらなる処理のためにメモリ428に記憶される。
【0055】
実施形態に従って、センサは同一であり、したがって、各々のセンサは、送信ユニットと受信ユニットの両方を有する。
【0056】
図4Bは、実施形態に従った、両方向の信号フローを示す。具体的には、
図4Bは、センサ110の送受信ユニット440(センサA)から送信され、センサ120の送受信ユニット450(センサB)によって受信される信号と、センサ120の送受信ユニット450(センサB)から同時伝送され、センサ110の送受信ユニット440(センサA)によって受信される信号とを示す。
【0057】
局部発振器415の出力をNCO_A416の出力と混合することによる、周波数fA=fL0+fNCOAでの送受信ユニット440(センサA)の送信信号の生成が示されている。周波数fAは、450(センサB)から送信された周波数fBの受信信号のダウンコンバート周波数(局部発振器)として使用され、周波数fIF=|fA-fB|のIF信号を生成する。ダウンコンバートは、ダウンコンバータ414によって行われる。IF信号は、サンプリングクロック419を使用してAD変換器417でサンプリングされ、さらなる処理のためにメモリ418に格納される。
【0058】
同様に、450(センサB)によって送信される信号は、局部発振器425出力とNCO_B426出力とを混合することによって、周波数fB=fL0+fNCOBで生成される。周波数fBは、440(センサA)から送信される周波数fAの受信信号のダウンコンバート周波数(局部発振器)として使用され、周波数fIF=|fA-fB|のIF信号を生成する。ダウンコンバートは、ダウンコンバータ424によって行われる。IF信号は、サンプリングクロック429を使用してAD変換器427でサンプリングされ、さらなる処理のためにメモリ428に記憶される。
【0059】
局部発振器415および425は、好ましくは同一の出力周波数fL0を有する。また、サンプリングクロック419、429はサンプリング周波数が同じであり、サンプリングが同期している。
【0060】
実施形態によれば、1つ以上のセンサによって送信される信号の任意の位相をキャンセルしながら、それらの初期位置に対する1つ以上のセンサ変位を検出し、計算する方法およびシステムが提供される。このシステムは少なくとも2つのセンサを含み、ここではAおよびBと表記される。各センサ(AおよびB)は、他のセンサによって受信され得る信号を送信する。実施形態に従って、測定および変位識別の前に、センサは時間同期され、すなわち、共通の時間ベースを有する。したがって、センサ間の協調が可能となり、それに応じて、一方から他方へ信号を同時に送信することが可能となる。
【0061】
単純化のために、CW信号の送信が想定されることが強調される。また、以下に図示するように、導出(derivation)は信号位相に依存するので、信号の振幅成分は無視することができる。導出は以下の通りである:
初期時刻t=0で、センサAは以下の式(1)に従ってCW信号を送信する。ここで、f
0は送信周波数であり、φ
Aはt=0における任意の位相である。
【数6】
信号は、式(2)に示すように時刻τ
ABにおいてセンサBで受信される。ここで、τ
ABはセンサAからセンサBへの信号伝播時間である。
【数7】
受信された信号は、センサBにおいて中間周波数f
IFにダウンコンバートされ、式(3)で表される信号が得られる。ここで、φBは、B局部発振器のt=0における任意の位相である。
【数8】
問題の情報は、信号の位相、すなわち、(-2πf
0τ
AB+φ
A-φ
B)にある。便宜上、問題の信号位相は、式(4)によるフェーザ(複素)表現を使用して提示される。
【数9】
このフェーザによって表される情報は、サンプリングされ、記憶され、例えば、センサのうちの1つにおいて1つ以上のプロセッサを備える中央位置または前記プロセッサの外部に送信される。同時に、t=0と同時に、センサBは、センサAによって受信されるCW信号を(センサAの送信と同時に)送信する。正確に同じ計算で、フェーザ表現におけるセンサBからセンサAへの送信から生じる関心のある位相は、式(5)のとおりである。
【数10】
【0062】
このフェーザによって表現される情報は、結合処理のためにサンプリングされ、記憶され、(専用データリンクを介して)中央位置に送られる。中央位置は、例えば、中央データ処理ユニット(例えば、データ処理サブシステム208または中央処理ユニット300)であってもよい。中央位置でプロセッサによって実行されるアルゴリズムは、2つのフェーザを乗算し、結果として得られる位相を抽出することを含む。得られたフェーザは式(6)のとおりである。
【数11】
したがって、その位相は式(7)のとおりである。式(7)は、2つのセンサ間のλ/2を法とする距離d
ABに(のみに)依存し、λ=c/f
0は送信信号波長である。計算された位相Φ
ABは、任意の初期位相φ
Aおよびφ
Bに依存しない。すなわち、任意の位相のキャンセルはこの方法によって達成される。
【数12】
後の時間に、センサの変位値δd(例えば、位相変化値)が発生する場合、AからBへ、およびBからAへの信号の新たな伝送は、変位値δφの位相変化をもたらす。
【数13】
【0063】
実施形態に従って、変位値δdが半波長より小さい限り、この位相から変位を評価することができる。変位測定の範囲は、複数の周波数、例えば、チャープ信号またはステップCW信号のいずれかで送信を使用することによって、増加させることができる。送信と受信を同時に行うと(同じ周波数で)、送信信号の受信信号への高いリークが発生する。
【0064】
いくつかの実施形態に従って、システムおよび方法は任意に、各センサ(例えば、センサ310Aおよびセンサ310B)で一連の信号を協調させて送信および記録することによって、送信信号自体の受信機へのリーク(例えば、結果として生じる高いリーク)をキャンセルすることと、記録された信号を処理してリークをキャンセルすることとを含んでもよい。この処理は、各センサによって別々に、または中央処理ユニットに信号を送ることによって、実行することができる。
【0065】
導出を簡単にするために、上記の導出(式(1)~(8))はこのリークを無視していることを強調しておく。
【0066】
図5は、2つのセンサAおよびBを含むシステムにおけるリーク測定およびキャンセルのための方法500を図示する。各センサは、実施形態に従った送信機および受信機を含み、3つの測定ステップのシーケンスは、協調された方法でセンサによって実行され、次いで、キャンセル計算が実行される。測定のステップ1において、信号は各センサから他のセンサに同時に送信され、センサAの受信機はそれ自体の送信(すなわち、リーク)TX
Aによって破損されたセンサBの送信信号TX
Bを受信し、同様に、受信機Bは、それ自体の送信TX
Bによって破損されたセンサAからの信号TX
Aを受信する。したがって、各センサは適切なフェーザ(式(4)および式(5)と同様)を記録するが、今回はリークによって破損している。
【0067】
ステップ1:時点t=0でセンサAによって記録されたリーク破損信号は(TXA.TXB→RXA)で示され、センサBによって同時に記録されたリーク破損信号は(TXB.TXA→RXB)で示される。
【0068】
ステップ2:後続の例では、例えばt=1の場合、センサAのみが、適切に記録されている(TXA→RXA)と示された独自のリーク信号を送受信する。Bからの送信はない。
【0069】
ステップ3:後続の例(t=2など)ではセンサBのみが、(TXB→RXB)と示され適切に記録された独自のリーク信号を送受信する。Aからの送信はない。
【0070】
3つの計測ステップに続いて、それぞれのセンサのリークは、以下のようにキャンセルされる。まず、センサAについては、そのリーク専用信号(TXA→RXA)に関連する量(ステップ1の)が、受信されたリーク破損信号(TXA.TXB→RXA)に関連する量(ステップ2の)から減算され、センサBからのリークのない受信信号(TXB→RXA)をもたらす
(10)センサAについて、(TXA.TXB→RXA)-(TXA→RXA)=(TXB→RXA)。
センサBについては、そのリーク専用信号(TXA→RXB)に関連する量(ステップ1の)が、受信したリーク破損信号(TXB.TXA→RXB)に関連する量(ステップ3の)から減算され、センサA(TXA→RXB)からのリークのない受信信号が生じる。
(11)ユニットBについて、(TXB.TXA→RXB)-(TXB→RXB)=(TXA→RXB)。
【0071】
実施形態によれば、キャンセルは、各センサにおいてそれぞれのセンサ自身で実行されるか、または、各センサに対するリーク破損信号とリーク専用信号との両方を送ることによって中央処理ユニットに委ねることもできる。
【0072】
任意選択ステップ(ステップ4)は、t=3で実行され、両方のセンサが内部ループバックを実行する。t=3で記録された任意選択の信号は、チップ内信号リークに対処するため、または信号歪みを補正するために使用することができる。
【0073】
図6は、実施形態に従った、現場の2つ以上のセンサを含むシステム内の、その初期位置に対する少なくとも1つのセンサの変位を測定する方法600を示すフローチャートである。ステップ610は、センサを時間同期させるステップを含む。異なるセンサ間の時間同期は、送信および受信記録ウィンドウを同期させるために必須であり、例えば、全てのセンサ(例えば、
図1のセンサ110およびセンサ120、または
図3のセンサ310Aおよびセンサ310B)が、同期された方法で、それらの信号送信、受信、データサンプリングを実行する。同期ステップは、RF信号などの1つ以上の信号を1つのセンサから他のセンサに送信することを含んでもよく、したがって、すべてのセンサは同時に稼働する(例えば、同時に送信する)。いくつかの実施形態では、同期ステップは、有線トリガ、無線トリガ、または非常に正確なグローバルクロック(例えば、GPSクロック)のうちの1つ以上を使用して実行される。いくつかの実施形態によれば、同期は、時間ベース同期サブシステム212によって実行される。
【0074】
ステップ620は、例えばアンテナシステム202の1つ以上のアンテナによって、各センサから1つ以上のRF信号を同時に送信することを含み、ステップ625は、各センサで、すなわち各センサのアンテナシステムで、他のセンサによって送信された信号などの1つ以上の信号を受信することと、1つ以上の受信信号を記録することとを含む。実施形態に従って、送信インスタンスはすべてのセンサにわたって同期され、例えば、2つのセンサは、一方から他方への同時伝送を開始する(同時に送信する)。
【0075】
ステップ630は、例えば、実施形態に従って、生成・受信サブシステム204を使用して、受信信号をIF(中間周波数)信号にダウンコンバートするステップを含む。
【0076】
ステップ635は、さらなる処理のためのデータサンプルを生成するIF信号をサンプリングし、記録することを含む。場合によっては、サンプリングおよび記録がデータ取得サブシステム206によって実行される。実施形態に従って、センサ(例えば、すべてのセンサ)は共通の同じ時間ベースを使用して、例えばすべてのセンサにわたる同期サンプリングを使用して、信号をサンプリングする。
【0077】
[リークの影響の測定およびキャンセル]
同時送受信の過程において、各センサでの受信信号は、そのセンサ自身の送信からの高い干渉、即ち、高いリークを受けることがある。実施形態に従って、センサ(例えば、すべてのセンサ)からの調整された一連の送信および受信によって、このリークの影響をキャンセルする処理が提供され、各センサがそれ自体のリークを検出し、記録されたデータの一部として、検出したリークをさらなる処理のために記録することを可能にする。送信および受信の調整されたシーケンスの特定の例は、
図5の上述の測定ステップ1、2、および3、ならびに関連する詳細な説明に示される。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、ステップ635は、リーク効果をキャンセルすることをさらに含んでもよい。例えば、各センサは、ステップ1、2および3の中間測定値を生成するために送信シーケンスを実行する(例えば、
図5および関連する説明)。リーク効果は、式10および式11(任意で)に従ってキャンセルされる。
【0079】
別の実施形態では、リークのキャンセルは延期され、中央プロセッサ(例えば、中央処理サブシステム)で実行される。これにより、以前のステップ610、620、625、および630の中間測定値は記録されるだけであり、その後、式10および式11に従ってさらなるリークのキャンセルのために中央プロセッサに送信される。
【0080】
ステップ640は、実施形態によれば、例えば、各センサデータ取得サブシステム206として、データサンプルを記録することを含む。
【0081】
ステップ645は、実施形態によれば、データサンプル(例えば、各センサにおいて記録されたデータサンプルであるIF信号データサンプル)を、記録された信号データサンプルに基づいて、初期位置に対するセンサの変位を識別および/または測定するように構成された中央処理サブシステム300に配置されたプロセッサ301などの1つ以上のプロセッサに送信することを含む。
【0082】
その代わりに、またはそれと組み合わせて、記録されたデータサンプルを、記録された信号データサンプルに基づいてセンサの変位を識別および/または測定するために、1つ以上のプロセッサ(例えば、データ処理サブシステム208)を含むセンサのうちの1つに送信してもよい。
【0083】
ステップ650は、実施形態に従って、信号処理方法700などの信号処理方法を使用して、すべてのセンサ(例えば、センサ110および120)の受信信号(例えば、記録されたデータサンプル)を処理して、1つ、2つ、またはすべてのセンサの変位を識別および/または測定することを含む。
【0084】
具体的には、ステップ650は、各センサからの記録されたデータサンプルを同時に処理して、少なくとも2つのセンサ間の距離に依存する位相値を抽出するステップと、位相値を経時的に測定して、位相変化値を生成するステップと、抽出された位相変化値に基づいて、少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも1つのセンサの変位を識別するステップと、を含む。
【0085】
図7は、実施形態による、記録されたデータサンプル(例えば、2つ以上のセンサの受信信号)を処理して、現場の1つ以上のセンサの変位を識別および/または測定するための信号処理方法700を示すフローチャートである。方法700は、変位を検出および測定するために、中央位置のプロセッサによって外部で、および/または、「中央」センサの2つ以上のプロセッサのうちの1つにおいて内部で、実行されてもよい。
【0086】
ステップ705は、少なくとも2つのセンサのそれぞれのセンサからの記録データサンプルを共同処理して、少なくとも2つのセンサの間の距離に依存する位相値を抽出するステップを含む。
【0087】
具体的には、ステップ705は、2つのステップの位相キャンセル(ステップ710)および位相回復(ステップ720)を含む。位相キャンセル(ステップ710):位相キャンセルは、センサ局部発振器の任意の初期位相の影響をキャンセルすることを含む。これは、例えば、式(6)に関して上述したように、センサから受信した記録データサンプル、例えば、2つの同時伝送(AからB、およびBからA)をフェーザ表現で乗算することによって実行される。ステップ710の出力は、位相が距離/変位に依存する信号(例えば、フェーザ表現)を含む。
【0088】
位相回復(ステップ720):任意の初期位相のキャンセル処理の後、結果として得られた信号は、センサの距離/変位に比例する位相を有する。具体的には、ステップ720は、信号を処理して位相値を生成することを含む。
【0089】
ステップ725は、位相変化値を得るために位相値を経時的に測定することを含む。具体的には、ステップ725は、進行中の受信データサンプルに基づいてステップ705の計算を繰り返すことを含む
【0090】
ステップ730は、抽出された位相変化値に基づいて、少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも1つのセンサの変位を識別および/または測定するステップを含む。ある場合には、ステップ730は、測定された位相値に基づいてセンサ間の距離を測定するステップをさらに含むことができる。実施形態に従って、距離/変位は、式(7)および式(8)に従って、信号の位相ラップアラウンドによる変位の潜在的な曖昧さを考慮しながら計算される。
【0091】
一実施形態では、方法700は、距離/変位の範囲を分割することと、曖昧さを避けるために、最大要求測定範囲の2倍である周波数ステップをさらに使用することを含む。
【0092】
その代わりに、またはそれと組み合わせて、方法700は、元の位相を導出するために、すべてのフェーザの平方根を計算することを含むことができる。いくつかの実施形態では、動的プログラミング手法を使用して、曖昧さを解決することができる。距離/変位の範囲の初期の粗い値から出発して、十分に小さい周波数ステップに対しては測定された位相の周波数にわたる値が連続であると仮定して、解を見いだした。
【0093】
[マルチパスの除去]
実施形態による方法およびシステムの本質は、信号のマルチパス(多重経路)が見通し線信号に時間的に非常に近くなることにある。これにより、センサの正確な変位を測定することが困難になる可能性がある。マルチパス効果を低減するために、複数の方法を使用することができる。
【0094】
[受信機ダイバーシチ]
いくつかの実施形態では、単一のアンテナを使用する代わりに、各センサは、マルチパス信号に対する抵抗を改善するために受信機として使用されるアンテナのアレイを含んでもよい。各アンテナはわずかに見通し線が異なり、マルチパスも異なる。実施形態に従ったシステムおよび方法は、複数のアンテナからのデータ(例えば、受信および送信信号)を使用して、信号の品質およびマルチパス干渉の量によって重み付けされた測定を実行することを含む。従って、使用されるアンテナが多いほど(典型的には、3~10のアンテナ)、本実施形態のシステムおよび方法の性能は向上するであろう。
【0095】
[方向性とビームステアリング]
上記の代替として、または上記と組み合わせて、実施形態によるマルチパス除去システムおよび方法は、送信および/または受信ビームを狭めることを含む。ビームが狭いほど、マルチパスからの干渉が少なくなる。狭ビームおよびビームステアリングは、アンテナアレイを含む各センサによって容易に実装される。
【0096】
[偏光]
上記の代わりに、または上記と組み合わせて、実施形態に従ったマルチパス除去システムおよび方法のために、アンテナ偏波を使用して、マルチパス信号強度も低減することができる。具体的には直線偏波を使用することによって、反射信号はアンテナ偏波にほぼ平行な表面に最小化され得る。したがって、より良好な性能を提供する方向を見出すことができる。直線偏波ソリューションの別の変形例は、2つの異なる直線偏波(互いに垂直)を有する複数のアンテナを使用することを含み得る。両方の極性を測定することにより、見通し線信号をシングルアウト(マルチパスとは異なる同一の応答を持つ)とすることができる。
【0097】
[代替波形]
実施形態に従って、位置情報を生成するために種々のタイプの波形発生器を使用してもよい。いくつかの実施形態では、広帯域階段状CW信号を使用して、周波数当たりの位相を測定し、距離(広帯域情報のフーリエ変換による)および変位(ここで説明されたような位相測定による)を導出することができる。他のオプションとしては、IF演算による変位測定を可能とするチャープ信号や、周波数範囲にわたるPRBS信号が含まれる。
【0098】
[マルチセンサネットワーク]
複数のセンサのネットワークを使用して、複数のセンサ対にわたる変位を測定し、例えば、センサの初期位置または以前の位置に対する経度および幅変位などの2次元変位測定を可能にすることができる。異なるペア間の変位測定は、順次行うことができる。代替的に、センサは異なる周波数で送信を行うことができ、他のセンサの信号を同時に受信することができる。異なる中間周波数(例えば|fB-fA|および|fC-fA|)を有することによって、信号はフーリエ技術によって分離され、それらの位相を独立して測定することができる。センサのより大きなグループについては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第16/704,009号が、各受信機において周波数間の差異の絶対値が異なるように送信周波数のグループを選択する方法を記載している。例えば、4つのセンサの送信周波数fA、fB=fA+df、fC=fA+3*df、fD=fA+4*dFを使用して、この特性を保証することができる。
【0099】
さらなる実施形態では、処理ユニットは、装置の機能を実行する1つ以上のハードウェア中央処理ユニット(CPU)を含むデジタル処理装置とすることができる。さらに別の実施形態では、デジタル処理装置は、実行可能命令を実行するように構成されたオペレーティングシステムをさらに備える。いくつかの実施形態では、デジタル処理装置は、任意選択でコンピュータネットワークに接続される。さらなる実施形態では、デジタル処理装置は、ワールドワイドウェブにアクセスするように、インターネットに任意選択で接続される。さらに別の実施形態では、デジタル処理装置は、任意選択的に、クラウドコンピューティングインフラストラクチャに接続される。他の実施形態では、デジタル処理装置は、任意選択的に、イントラネットに接続される。他の実施形態では、デジタル処理装置は、任意選択的に、データ記憶装置に接続される。
【0100】
本明細書に記載するとおり、適切なデジタル処理装置は、限定的ではない例として、サーバコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、サブノートブックコンピュータ、ネットブックコンピュータ、ネットパッドコンピュータ、セットトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、インターネットアプライアンス、モバイルスマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、ビデオゲームコンソール、および車両を含む。当業者は、多くのスマートフォンが、本明細書で説明されるシステムでの使用に適していることを認識するであろう。当業者は、任意選択のコンピュータネットワーク接続性を有する選択されたテレビが、本明細書で説明されるシステムでの使用に適していることも認識するであろう。適切なタブレットコンピュータには、当業者に知られている、ブックレット、スレート、および互換可能な構成を有するものが含まれる。
【0101】
いくつかの実施形態では、デジタル処理デバイスは、実行可能命令を実行するように構成されたオペレーティングシステムを含む。オペレーティングシステムは、例えば、プログラムおよびデータを含むソフトウェアであり、これは、装置のハードウェアを管理し、アプリケーションの実行のためのサービスを提供する。
【0102】
いくつかの実施形態では、装置は、記憶装置および/またはメモリ装置を含む。記憶装置および/またはメモリ装置は、データまたはプログラムを一時的または永久的に記憶するために使用される1つ以上の物理装置である。いくつかの実施形態では、装置は揮発性メモリであり、記憶された情報を維持するために電力を必要とする。いくつかの実施形態では、装置は不揮発性メモリであり、デジタル処理装置に電力が供給されていないときに、記憶された情報を保持する。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるシステムは、ソフトウェア、サーバ、および/またはデータベースモジュール、またはそれらの使用を含む。本明細書で提供される開示を考慮すると、ソフトウェアモジュールは、当業者に知られているマシン、ソフトウェア、および言語を使用して、当業者に知られている技術によって作成される。本明細書で開示されるソフトウェアモジュールは、様々な方法で実装される。様々な実施形態では、ソフトウェアモジュールは、ファイル、コードのセクション、プログラミングオブジェクト、プログラミング構造、またはそれらの組合せを含む。さらなる様々な実施形態では、ソフトウェアモジュールは、複数のファイル、複数のコードセクション、複数のプログラミングオブジェクト、複数のプログラミング構造、またはそれらの組合せを含む。様々な実施形態では、1つ以上のソフトウェアモジュールは、非限定的な例として、ウェブアプリケーション、モバイルアプリケーション、およびスタンドアロンアプリケーションを備える。ある実施形態では、ソフトウェアモジュールは、1つのコンピュータプログラムまたはアプリケーション内にある。他の実施形態では、ソフトウェアモジュールは、複数のコンピュータプログラムまたはアプリケーション内にある。いくつかの実施形態では、ソフトウェアモジュールは、1つのマシン上で提供される。他の実施形態では、ソフトウェアモジュールは、2つ以上のマシン上で提供される。さらなる実施形態では、ソフトウェアモジュールは、クラウドコンピューティングプラットフォーム上で提供される。ある実施形態では、ソフトウェアモジュールは、1つの場所の1つ以上のマシン上で提供される。他の実施形態では、ソフトウェアモジュールは、1つ以上の場所の1つ以上のマシン上で提供される。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるシステムは、1つ以上のデータベース、またはその使用を含む。本明細書で提供される開示を考慮すると、当業者は、本明細書で説明されるように、多くのデータベースが情報の記憶および検索に適していることを認識するであろう。
【0105】
上記の説明では、実施形態が、本発明の一例または実施態様である。「1つの実施形態」、「一実施形態」または「いくつかの実施形態」の様々な表現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。
【0106】
本発明の様々な特徴は、単一の実施形態の文脈で説明することができるが、特徴は別々に、または任意の適切な組み合わせで提供することもできる。逆に、本発明は、明確にするために、本明細書では別個の実施形態の文脈で説明することができるが、本発明は単一の実施形態で実施することもできる。
【0107】
本明細書における「いくつかの実施形態」、「実施形態」、「1つの実施形態」または「他の実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくともいくつかの実施形態に含まれるが、必ずしもすべての実施形態に含まれるわけではないことを意味する。
【0108】
本明細書で使用される語法および用語は、限定するものとして解釈されるべきではなく、説明の目的のためだけのものであることを理解されたい。
【0109】
本発明の教示の原理および使用は、添付の説明、図面、および実施例を参照することにより、より良く理解され得る。
【0110】
本明細書に記載される詳細は、本発明の応用に対する限定を解釈するものではないことを理解されたい。
【0111】
さらに、本発明は、様々な方法で実施または実施することができ、本発明は、上記の説明で概説した実施形態以外の実施形態で実施することができることを理解されたい。
【0112】
「含む」、「備える」、「からなる」、およびそれらの文法的変形は、1つ以上の構成要素、特徴、ステップ、またはそれらの整数またはグループの追加を排除するものではなく、それらの用語は構成要素、特徴、ステップ、または整数を指定するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0113】
本明細書または特許請求の範囲が「追加の」要素を指す場合、それは、追加の要素のうちの2つ以上が存在することを排除しない。
【0114】
特許請求の範囲または明細書が「1つの(aまたはan)」要素に言及する場合、そのような言及は、その要素が1つだけ存在すると解釈されないことを理解されたい。本明細書が、構成要素、特徴、構造、または特性が含まれる可能性(may、might、can、またはcould)を述べている場合、特定の構成要素、特徴、構造、または特性が含まれている必要はないことを理解されたい。適用可能な場合、状態図、フロー図、またはその両方を使用して実施形態を説明することができるが、本発明はそれらの図または対応する説明に限定されない。例えば、フローは、図示された各ボックスまたは状態を通って、または図示され説明されたものと全く同じ順序で、進行する必要はない。本発明の方法は、選択されたステップまたはタスクを、手動で、自動的に、またはそれらの組合せで実行または完了することによって実施することができる。
【0115】
特許請求の範囲および明細書に提示される説明、例、方法および材料は、限定として解釈されるべきではなく、むしろ例示としてのみ解釈されるべきである。本明細書で使用される技術用語および科学用語の意味は、別段の定義がない限り、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものとする。本発明は、本明細書に記載されたものと同等または類似の方法および材料を用いた試験または実施において実施することができる。
【0116】
本発明を限られた数の実施形態に関して説明してきたが、これらは本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ、好ましい実施形態のいくつかの例示として解釈されるべきである。他の可能な変形、修正、および応用もまた、本発明の範囲内である。したがって、本発明の範囲は、これまでに説明されたものによって限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物によって限定されるべきである。
【0117】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許または特許出願が参照により本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別に示されたかのように、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。さらに、本出願における任意の参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを容認するものとして解釈されるべきではない。セクション見出しが使用される限り、それらは必ずしも限定の意図で解釈されるべきではない。
【国際調査報告】