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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】反射偏光子を備えるビームスキャナ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20221027BHJP
   G02B 27/28 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B27/28 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500036
(86)(22)【出願日】2020-08-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 US2020046578
(87)【国際公開番号】W WO2021045893
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】16/562,878
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】ウィールライト, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】カオ, ウェイチョアン
(72)【発明者】
【氏名】マクナリー, スティーブン ジェームズ
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199AB12
2H199AB37
2H199AB42
2H199AB46
2H199AB47
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA34
2H199CA43
2H199CA46
2H199CA49
2H199CA50
2H199CA64
2H199CA65
2H199CA66
2H199CA68
2H199CA73
2H199CA74
2H199CA82
2H199CA85
2H199CA86
2H199CA92
2H199CA94
2H199CA96
(57)【要約】
プロジェクタベースのニアアイディスプレイのビームスキャナは、反射偏光子および4分の1波長板を備えるプリズム素子を含む。ビーム折曲げプリズム素子は、光源から偏光ビームを受光し、ビームを、傾斜可能なリフレクタ、たとえば角度を付けてビームを走査するための2D傾斜可能なMEMSリフレクタに結合する。傾斜可能なリフレクタに衝突する光ビームは、傾斜可能なリフレクタから反射される光ビームから、偏光によって分離される。偏光ベースの分離は、傾斜可能なリフレクタに衝突する前後に、光ビームを、QWPを通して伝搬させることによって実現する。光ビームが2度QWPを通って伝搬すると、ビームは、ビームの偏光が直交偏光に変わることにより、入ってくるビームからの分離が可能になる。ビームスキャナは、複数の光源から複数の光ビームを受光することができる。かかるビームスキャナをベースとする、プロジェクタおよびニアアイディスプレイが開示されている。
【選択図】図7B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の隣り合う表面と、前記第1の表面における第1の反射偏光子とを備える、ビーム折曲げプリズム素子であって、前記ビーム折曲げプリズム素子が、第1の光ビームを、前記第2の表面を通して前記ビーム折曲げプリズム素子の外へ向きを変える前に、入ってくる第1の光ビームを、前記ビーム折曲げプリズム素子内部から、前記第1の反射偏光子からの1度の反射を含め、少なくとも2度反射するように構成される、ビーム折曲げプリズム素子、
4分の1波長板(QWP)であって、前記ビーム折曲げプリズム素子を出る前記第1の光ビームを受光し、前記QWPを通して伝搬させるように構成されたQWP、
前記第1の光ビームを受光し、前記第1の光ビームを可変の角度で前記QWPに向かって反射して戻すように構成された傾斜可能なリフレクタ
を備えるビームスキャナであって、前記QWPを通って伝搬された前記第1の光ビームが、動作時に、前記傾斜可能なリフレクタから反射された後、前記ビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬する、ビームスキャナ。
【請求項2】
入ってくる前記第1の光ビームが、第1の偏光状態を有し、前記第1の反射偏光子が、前記第1の偏光状態を有する光を反射し、第2の偏光状態を有する光を透過するように構成され、これにより、2度前記QWPを通って伝搬された前記第1の光ビームが、前記第1の反射偏光子を通って前記ビーム折曲げプリズム素子を出る、請求項1に記載のビームスキャナ。
【請求項3】
前記ビーム折曲げプリズム素子が、前記第2の表面で、全内部反射によって前記第1の光ビームを反射するように構成されている、請求項1または2に記載のビームスキャナ。
【請求項4】
前記QWPが、前記ビーム折曲げプリズム素子の前記第2の表面に実質的に平行に延在し、空隙によって前記第2の表面から分離されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のビームスキャナ。
【請求項5】
前記傾斜可能なリフレクタが、微小電気機械システム(MEMS)の傾斜可能なリフレクタを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のビームスキャナ。
【請求項6】
前記MEMSの傾斜可能なリフレクタが、2つの軸を中心に傾斜可能である、請求項5に記載のビームスキャナ。
【請求項7】
前記第1および第2の表面が、表面間で45度未満の角度をなす、請求項1から6のいずれか一項に記載のビームスキャナ。
【請求項8】
第2のプリズム素子であって、前記ビーム折曲げプリズム素子によって出力された前記第1の光ビームを、前記第2のプリズム素子を通して伝搬させる、第2のプリズム素子をさらに備え、前記第2のプリズム素子が、前記第1の反射偏光子に隣接し、好ましくは、前記第2のプリズム素子が、前記第2のプリズム素子の表面のうちの1つに隣接するビームダンプを備え、および/または好ましくは、
前記第1の表面が、前記第1の表面から反射される前記第1の光ビームをコリメートするように湾曲しており、
前記第2のプリズム素子が、前記ビーム折曲げプリズム素子の湾曲した前記表面と整合する湾曲した表面を備え、
前記第1の反射偏光子が、前記ビーム折曲げプリズム素子と前記第2のプリズム素子との間に挟まれている、
請求項1から7のいずれか一項に記載のビームスキャナ。
【請求項9】
前記ビーム折曲げプリズム素子が、前記ビーム折曲げプリズム素子内での、前記第2の表面からの反射と前記第1の表面からの反射との間の、前記ビーム折曲げプリズム素子内の前記第1の光ビームの光路に配置された、第2の反射偏光子をさらに備え、前記QWPが、前記ビーム折曲げプリズム素子の第3の表面に光学的に結合されており、
前記第1の光ビームが、動作時に、前記第2の表面からの第1の反射を経て、前記第2の反射偏光子を通って伝搬し、前記QWPを通る前記第3の表面からの第2の反射を経て、前記第1の反射偏光子によって反射され、前記ビーム折曲げプリズム素子の第3の表面において、前記QWPを通って、前記ビーム折曲げプリズム素子を出て、前記傾斜可能なリフレクタによって反射され、前記QWPを通り、前記第2の反射偏光子を通って、前記ビーム折曲げプリズム素子の外へ伝搬して戻り、また好ましくは、第2のプリズム素子であって、前記ビーム折曲げプリズム素子の前記第1の表面に結合され、前記第2のプリズム素子に衝突する第2の光ビームを受光し、前記第2の光ビームを、前記第1の反射偏光子を介して前記ビーム折曲げプリズム素子に結合する、第2のプリズム素子をさらに備える、
請求項1から8のいずれか一項に記載のビームスキャナ。
【請求項10】
前記ビーム折曲げプリズム素子が、
第4の表面および前記第4の表面における第3の反射偏光子であって、前記第3の反射偏光子が、前記第1および第2の反射偏光子に隣接している、第4の表面および第3の反射偏光子と、
第5の表面および前記第5の表面における第4の反射偏光子であって、前記第4の反射偏光子が、前記第1および第2の反射偏光子に隣接している、第5の表面および第4の反射偏光子と、
第3のプリズム素子であって、前記ビーム折曲げプリズム素子の前記第4の表面に結合され、前記第3のプリズム素子に衝突する第3の光ビームを受光し、前記第3の光ビームを、前記第3の反射偏光子を介して、前記ビーム折曲げプリズム素子に結合する、第3のプリズム素子と、
第4のプリズム素子であって、前記ビーム折曲げプリズム素子の前記第5の表面に結合され、前記第4のプリズム素子に衝突する第4の光ビームを受光し、前記第4の光ビームを、前記第4の反射偏光子を介して、前記ビーム折曲げプリズム素子に結合する、第4のプリズム素子と
をさらに備え、好ましくは、前記第1、前記第2、前記第3、および前記第4の反射偏光子が、共通の頂点、4つの側面、および共通の長方形の底面を有する対称形のピラミッド構造を形成する、請求項9に記載のビームスキャナ。
【請求項11】
第1の光ビームを供給するための第1の光源、
第1および第2の隣り合う表面と、前記第1の表面における第1の反射偏光子とを備える、ビーム折曲げプリズム素子であって、前記ビーム折曲げプリズム素子が、前記第1の光ビームを、前記第2の表面を通して前記ビーム折曲げプリズム素子の外へ向きを変える前に、入ってくる第1の光ビームを、前記ビーム折曲げプリズム素子内部から、前記第1の反射偏光子からの1度の反射を含め、少なくとも2度反射するように構成される、ビーム折曲げプリズム素子、
4分の1波長板(QWP)であって、前記ビーム折曲げプリズム素子を出る前記第1の光ビームを受光し、前記QWPを通して伝搬させるように構成されたQWP、
前記第1の光ビームを受光し、前記第1の光ビームを可変の角度で前記QWPに向かって反射して戻すように構成された傾斜可能なリフレクタ
を備えるプロジェクタであって、前記QWPを通って伝搬された前記第1の光ビームが、動作時に、前記傾斜可能なリフレクタから反射された後、前記ビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬する、プロジェクタ。
【請求項12】
第2の光ビームを供給するための第2の光源、
前記ビーム折曲げプリズム素子の前記第1の表面に結合された、第2のプリズム素子
をさらに備え、前記第2のプリズム素子が、前記第2のプリズム素子に衝突する前記第2の光ビームを受光し、前記第2の光ビームを、前記第1の反射偏光子を介して、前記ビーム折曲げプリズム素子に結合し、
前記ビーム折曲げプリズム素子が、前記ビーム折曲げプリズム素子内での、前記第2の表面からの反射と前記第1の表面からの反射との間の、前記ビーム折曲げプリズム素子内の前記第1の光ビームの光路に配置された、第2の反射偏光子をさらに備え、前記QWPが、前記ビーム折曲げプリズム素子の第3の表面に光学的に結合されている、請求項11に記載のプロジェクタ。
【請求項13】
前記第1の光ビームが、動作時に、前記第2の表面からの第1の反射を経て、前記第2の反射偏光子を通って伝搬し、前記QWPを通る前記第3の表面からの第2の反射を経て、前記第1の反射偏光子によって反射され、前記ビーム折曲げプリズム素子の第3の表面において、前記QWPを通って、前記ビーム折曲げプリズム素子を出て、前記傾斜可能なリフレクタによって反射され、前記QWPを通り、前記第2の反射偏光子を通って、前記ビーム折曲げプリズム素子の外へ伝搬して戻り、
前記第2の光ビームが、動作時に、前記第2のプリズム素子内部からの第1の反射を経て、前記第1の反射偏光子を通って伝搬し、前記QWPを通る前記第3の表面からの第2の反射を経て、前記第2の反射偏光子によって反射され、前記ビーム折曲げプリズム素子の第3の表面において、前記QWPを通って、前記ビーム折曲げプリズム素子を出て、前記傾斜可能なリフレクタによって反射され、前記QWPを通り、前記第1の反射偏光子を通って、前記ビーム折曲げプリズム素子の外へ伝搬して戻り、および/または好ましくは、前記傾斜可能なリフレクタが、2D微小電気機械システム(MEMS)の傾斜可能なリフレクタを含む、請求項12に記載のプロジェクタ。
【請求項14】
第1の光ビームを供給するための第1の光源、
第1および第2の隣り合う表面と、前記第1の表面における第1の反射偏光子とを備える、ビーム折曲げプリズム素子であって、前記ビーム折曲げプリズム素子が、前記第1の光ビームを、前記第2の表面を通して前記ビーム折曲げプリズム素子の外へ向きを変える前に、入ってくる第1の光ビームを、前記ビーム折曲げプリズム素子内部から、前記第1の反射偏光子からの1度の反射を含め、少なくとも2度反射するように構成される、ビーム折曲げプリズム素子、
4分の1波長板(QWP)であって、前記ビーム折曲げプリズム素子を出る前記第1の光ビームを受光し、前記QWPを通して伝搬させるように構成されたQWP、
前記第1の光ビームを受光し、前記第1の光ビームを、可変の角度で前記QWPに向かって反射して戻すように構成された傾斜可能なリフレクタであって、前記QWPを通って伝搬された前記第1の光ビームが、動作時に、前記傾斜可能なリフレクタから反射された後、前記ビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬する、傾斜可能なリフレクタ、ならびに
前記第1の光源および前記傾斜可能なリフレクタに動作可能に結合されたコントローラであって、前記コントローラが、
前記傾斜可能なリフレクタから反射され、前記ビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬する前記第1の光ビームが、表示されるべき画像の第1の画素に対応するビーム角を有するように、前記傾斜可能なリフレクタを動作させ、
前記第1の光ビームが、前記第1の画素に対応する明るさを有するように、前記傾斜可能なリフレクタの動作と連係して前記第1の光源を動作させる
ように構成される、コントローラ
を備える、ニアアイディスプレイ。
【請求項15】
第2の光ビームを供給するための第2の光源と、
前記ビーム折曲げプリズム素子の前記第1の表面に結合された、第2のプリズム素子と
をさらに備え、前記第2のプリズム素子が、前記第2のプリズム素子に衝突する前記第2の光ビームを受光し、前記第2の光ビームを、前記第1の反射偏光子を介して、前記ビーム折曲げプリズム素子に結合し、
前記ビーム折曲げプリズム素子が、前記ビーム折曲げプリズム素子内での、前記第2の表面からの反射と前記第1の表面からの反射との間の、前記ビーム折曲げプリズム素子内の前記第1の光ビームの光路に配置された、第2の反射偏光子をさらに備え、前記QWPが、前記ビーム折曲げプリズム素子の第3の表面に光学的に結合されており、また
前記コントローラが、前記第2の光源に動作可能に結合されており、
前記傾斜可能なリフレクタから反射され、前記ビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬される前記第2の光ビームが、表示されるべき前記画像の第2の画素に対応するビーム角を有するように、前記傾斜可能なリフレクタを動作させ、
前記第2の光ビームが、前記第2の画素に対応する明るさを有するように、前記傾斜可能なリフレクタの動作と連係して前記第2の光源を動作させる
ように構成される、請求項14に記載のニアアイディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装着型ヘッドセットに関し、詳細には、装着型視覚表示ヘッドセット用構成要素およびモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD:head mounted display)、ヘルメットマウントディスプレイ、ニアアイディスプレイ(NED:near-eye display)などは、仮想現実(VR:virtual reality)コンテンツ、拡張現実(AR:augmented reality)コンテンツ、複合現実(MR:mixed reality)コンテンツなどの表示向けに、ますます使用されている。かかるディスプレイは、ほんの数例を挙げると、エンターテインメント、教育、訓練、および生物医学を含む様々な分野で、用途が見出されている。表示されるVR/AR/MRコンテンツは、体験を向上させ、仮想オブジェクトをユーザが観察する実際のオブジェクトに整合させるため、3次元(3D:three-dimensional)であり得る。目の位置および視線方向、ならびに/またはユーザの向きをリアルタイムで追跡することができ、また表示される映像を、ユーザの頭の向きおよび視線方向に応じて動的に調整することができ、シミュレーションされた環境または拡張された環境に没頭する、よりよい体験を可能にする。
【0003】
ヘッドマウントディスプレイには、小型のディスプレイデバイスが望まれる。HMDまたはNEDのディスプレイは通常、ユーザの頭に装着されるので、大きい、嵩張る、不均衡な、かつ/または重いディスプレイデバイスは扱いにくく、またユーザが装着するのに不快な場合がある。
【0004】
プロジェクタベースのディスプレイは、ユーザが中間画面または表示パネルなしに直接観察することができる、角領域における画像を提供する。導波路が、角領域における画像を、ユーザの目まで運ぶために使用され得る。走査型プロジェクタディスプレイには、スクリーンまたは高開口数のコリメート光学系がないため、ディスプレイのサイズおよび重量を減らすことができる。プロジェクタディスプレイ用スキャナは、角領域における画像を形成するために、高速で、広い走査範囲を有し、走査されているビームの光学品質を維持する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示によれば、第1および第2の隣り合う表面と、第1の表面における第1の反射偏光子とを備える、ビーム折曲げプリズム素子を備えるビームスキャナが提供される。ビーム折曲げプリズム素子は、第1の光ビームを、第2の表面を通してビーム折曲げプリズム素子の外へ向きを変える前に、入ってくる第1の光ビームを、ビーム折曲げプリズム素子内部から、第1の反射偏光子からの1度の反射を含め、少なくとも2度反射するように構成される。4分の1波長板(QWP:quarter-wave waveplate)は、ビーム折曲げプリズム素子を出る第1の光ビームを受光し、QWPを通して伝搬させるように構成される。傾斜可能なリフレクタは、第1の光ビームを受光し、第1の光ビームを可変の角度でQWPに向かって反射して戻すように構成される。QWPを通って伝搬された第1の光ビームは、動作時に、傾斜可能なリフレクタから反射された後、ビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬する。ビーム折曲げプリズム素子の第1および第2の表面は、第1の表面と第2の表面との間に、45度未満の角度を形成することができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、入ってくる第1の光ビームは、第1の偏光状態を有し、第1の反射偏光子は、第1の偏光状態を有する光を反射し、第2の偏光状態を有する光を透過するように構成され、これにより、2度QWPを通って伝搬された第1の光ビームは、第1の反射偏光子を通ってビーム折曲げプリズム素子を出る。ビーム折曲げプリズム素子は、第2の表面で、全内部反射によって第1の光ビームを反射するように構成され得る。QWPは、ビーム折曲げプリズム素子の第2の表面に実質的に平行に延在することができ、空隙によって、ビーム折曲げプリズム素子から分離され得る。傾斜可能なリフレクタは、微小電気機械システム(MEMS:microelectromechanical system)の傾斜可能なリフレクタを含むことができ、リフレクタは、1つの軸または2つの軸を中心に傾斜可能であり得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、第2のプリズム素子は、ビーム折曲げプリズム素子から出力された第1の光ビームを、第2のプリズム素子を通して伝搬させるために設けられ、第2のプリズム素子は、第1の反射偏光子と隣接している。第2のプリズム素子は、第2のプリズム素子の表面のうちの1つに隣接する、ビームダンプを含むことができる。ビーム折曲げプリズム素子の第1の表面は、第1の表面から反射される第1の光ビームをコリメートするために湾曲し得る。第2のプリズム素子はまた、ビーム折曲げプリズム素子の湾曲した表面と整合する湾曲した表面を含むこともでき、第1の反射偏光子は、ビーム折曲げプリズム素子と第2のプリズム素子との間に挟まれ得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、ビーム折曲げプリズム素子は、任意選択で、ビーム折曲げプリズム素子内での、第2の表面からの反射と第1の表面からの反射との間の、ビーム折曲げプリズム素子内の第1の光ビームの光路に配置された、第2の反射偏光子をさらに含み、QWPは、ビーム折曲げプリズム素子の第3の表面に光学的に結合される。第1の光ビームは、動作時に、第2の表面からの第1の反射を経て、第2の反射偏光子を通って伝搬し、QWPを通る第3の表面からの第2の反射を経て、第1の反射偏光子によって反射され、ビーム折曲げプリズム素子の第3の表面において、QWPを通って、ビーム折曲げプリズム素子を出て、傾斜可能なリフレクタによって反射され、QWPを通り、第2の反射偏光子を通って、ビーム折曲げプリズム素子の外へ伝搬して戻る。第2のプリズム素子は、ビーム折曲げプリズム素子の第1の表面に結合され得、第2のプリズム素子は、第2のプリズム素子に衝突する第2の光ビームを受光し、第2の光ビームを、第1の反射偏光子を通して、ビーム折曲げプリズム素子に結合する。ビーム折曲げプリズム素子は、第4の表面および第4の表面における第3の反射偏光子であって、第3の反射偏光子が、第1および第2の反射偏光子に隣接している、第4の表面および第3の反射偏光子と、第5の表面および第5の表面における第4の反射偏光子であって、第4の反射偏光子が、第1および第2の反射偏光子に隣接している、第5の表面および第4の反射偏光子と、第3のプリズム素子であって、ビーム折曲げプリズム素子の第4の表面に結合され、第3のプリズム素子に衝突する第3の光ビームを受光し、第3の光ビームを、第3の反射偏光子を介してビーム折曲げプリズム素子に結合する、第3のプリズム素子と、第4のプリズム素子であって、ビーム折曲げプリズム素子の第5の表面に結合され、第4のプリズム素子に衝突する第4の光ビームを受光し、第4の光ビームを、第4の反射偏光子を介してビーム折曲げプリズム素子に結合する、第4のプリズム素子とをさらに備えることができる。第1、第2、第3、および第4の反射偏光子は、共通の頂点、4つの側面、および共通の長方形の底面を有する対称形のピラミッド構造を形成することができる。
【0009】
本開示によれば、第1の光ビームを上記のビームスキャナに供給する、少なくとも1つの光源を含むプロジェクタが提供される。
【0010】
いくつかの実施形態では、プロジェクタは、第1の光ビームを供給するための第1の光源、第1および第2の隣り合う表面と、第1の表面における第1の反射偏光子とを備える、ビーム折曲げプリズム素子であって、ビーム折曲げプリズム素子が、第1の光ビームを、第2の表面を通してビーム折曲げプリズム素子の外へ向きを変える前に、入ってくる第1の光ビームを、ビーム折曲げプリズム素子内部から、第1の反射偏光子からの1度の反射を含め、少なくとも2度反射するように構成される、ビーム折曲げプリズム素子、4分の1波長板(QWP)であって、ビーム折曲げプリズム素子を出る第1の光ビームを受光し、QWPを通して伝搬させるように構成されたQWP、第1の光ビームを受光し、第1の光ビームを可変の角度でQWPに向かって反射して戻すように構成された傾斜可能なリフレクタを備え、QWPを通って伝搬された第1の光ビームが、動作時に、傾斜可能なリフレクタから反射された後、ビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬する。
【0011】
いくつかの実施形態では、プロジェクタは、任意選択で、第2の光ビームを供給する第2の光源と、ビーム折曲げプリズム素子の第1の表面に結合された、第2のプリズム素子とをさらに備え、第2のプリズム素子は、第2のプリズム素子に衝突する第2の光ビームを受光し、第2の光ビームを、第1の反射偏光子を通して、ビーム折曲げプリズム素子に結合し、ビーム折曲げプリズム素子は、ビーム折曲げプリズム素子内での、第2の表面からの反射と第1の表面からの反射との間の、ビーム折曲げプリズム素子内の第1の光ビームの光路に配置された、第2の反射偏光子をさらに備え、QWPは、ビーム折曲げプリズム素子の第3の表面に光学的に結合される。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の光ビームは、動作時に、第2の表面からの第1の反射を経て、第2の反射偏光子を通って伝搬し、QWPを通る第3の表面からの第2の反射を経て、第1の反射偏光子によって反射され、ビーム折曲げプリズム素子の第3の表面において、QWPを通って、ビーム折曲げプリズム素子を出て、傾斜可能なリフレクタによって反射され、QWPを通り、第2の反射偏光子を通って、ビーム折曲げプリズム素子の外へ伝搬して戻り、また第2の光ビームは、動作時に、第2のプリズム素子内部からの第1の反射を経て、第1の反射偏光子を通って伝搬し、QWPを通る第3の表面からの第2の反射を経て、第2の反射偏光子によって反射され、ビーム折曲げプリズム素子の第3の表面において、QWPを通って、ビーム折曲げプリズム素子を出て、傾斜可能なリフレクタによって反射され、QWPを通り、第1の反射偏光子を通って、ビーム折曲げプリズム素子の外へ伝搬して戻る。
【0013】
いくつかの実施形態では、傾斜可能なリフレクタは、2D微小電気機械システム(MEMS)の傾斜可能なリフレクタを含む。
【0014】
本開示によれば、上記のプロジェクタ、ならびに第1の光源および傾斜可能なリフレクタに動作可能に結合されたコントローラを含む、ニアアイディスプレイがさらに提供され、コントローラは、傾斜可能なリフレクタから反射され、ビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬される第1の光ビームが、表示されるべき画像の第1の画素に対応するビーム角を有するように、傾斜可能なリフレクタを動作させ、第1の光ビームが第1の画素に対応する明るさおよび/または色を有するように、傾斜可能なリフレクタの動作と連係して第1の光源を動作させるように構成される。ニアアイディスプレイのプロジェクタが、複数の光源、たとえば第1の光ビームを供給するための第1の光源、および第2の光ビームを供給する第2の光源を含む実施形態では、コントローラは、傾斜可能なリフレクタから反射され、ビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬される第1および第2の光ビームがそれぞれ、表示されるべき画像の第1および第2の画素に対応するビーム角を有するように、傾斜可能なリフレクタを動作させ、第1および第2の光ビームがそれぞれ、第1および第2の画素に対応する明るさおよび/または色を有するように、傾斜可能なリフレクタの動作と連係して第1および第2の光源を動作させるように構成され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、ニアアイディスプレイは、第1の光ビームを供給するための第1の光源、第1および第2の隣り合う表面と、第1の表面における第1の反射偏光子とを備える、ビーム折曲げプリズム素子であって、ビーム折曲げプリズム素子が、第1の光ビームを、第2の表面を通してビーム折曲げプリズム素子の外へ向きを変える前に、入ってくる第1の光ビームを、ビーム折曲げプリズム素子内部から、第1の反射偏光子からの1度の反射を含め、少なくとも2度反射するように構成される、ビーム折曲げプリズム素子、4分の1波長板(QWP)であって、ビーム折曲げプリズム素子を出る第1の光ビームを受光し、QWPを通して伝搬させるように構成されたQWP、第1の光ビームを受光し、第1の光ビームを可変の角度でQWPに向かって反射して戻すように構成された傾斜可能なリフレクタであって、QWPを通って伝搬された第1の光ビームが、動作時に、傾斜可能なリフレクタから反射された後、ビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬する、傾斜可能なリフレクタ、ならびに第1の光源および傾斜可能なリフレクタに動作可能に結合されたコントローラを備え、コントローラは、傾斜可能なリフレクタから反射され、ビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬される第1の光ビームが、表示されるべき画像の第1の画素に対応するビーム角を有するように、傾斜可能なリフレクタを動作させ、第1の光ビームが第1の画素に対応する明るさを有するように、傾斜可能なリフレクタの動作と連係して第1の光源を動作させるように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、ニアアイディスプレイは、第2の光ビームを供給する第2の光源と、ビーム折曲げプリズム素子の第1の表面に結合された、第2のプリズム素子とをさらに備え、第2のプリズム素子は、第2のプリズム素子に衝突する第2の光ビームを受光し、第2の光ビームを、第1の反射偏光子を介して、ビーム折曲げプリズム素子に結合し、ビーム折曲げプリズム素子は、ビーム折曲げプリズム素子内での、第2の表面からの反射と第1の表面からの反射との間の、ビーム折曲げプリズム素子内の第1の光ビームの光路に配置された、第2の反射偏光子をさらに備え、QWPは、ビーム折曲げプリズム素子の第3の表面に光学的に結合されており、コントローラは、第2の光源に動作可能に結合されており、傾斜可能なリフレクタから反射され、ビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬される第2の光ビームが、表示されるべき画像の第2の画素に対応するビーム角を有するように、傾斜可能なリフレクタを動作させ、第2の光ビームが、第2の画素に対応する明るさを有するように、傾斜可能なリフレクタの動作と連係して第2の光源を動作させるように構成される。
【0017】
本発明の1つまたは複数の態様または実施形態に組み込むのに好適であると本明細書で説明されているどの特徴も、本開示のありとあらゆる態様および実施形態にわたって、一般化できることを意図していることが理解されよう。
【0018】
ここで、以下の図面と共に、例示的な実施形態を説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ビーム折曲げプリズム素子を含む、この開示のビームスキャナの側面断面図である。
図2A-2C】図1のビームスキャナで使用可能な、マルチエミッタ光源の正面図である。
図3】ビーム折曲げプリズム素子と整合する第2のプリズム素子が装備された、図1のビームスキャナを含むニアアイディスプレイ(NED)の側面断面図である。
図4】ビームダンプを備えるビームスキャナが設けられている、図3のNEDの実施形態の側面断面図である。
図5】プリズム素子が、整合された、湾曲した表面を有し、反射偏光子が2つのプリズム素子の湾曲した表面間に挟まれている、図3のNEDの実施形態の側面断面図である。
図6】複数の光ビームを同じ傾斜可能なリフレクタに結合する、複数のプリズム素子を備えたビームスキャナの側面断面図である。
図7A】2つの光源から共通の傾斜可能なリフレクタへの2つの光ビームの伝搬を示している、図6のビームスキャナを含むNEDの側面断面図である。
図7B】2つの光源から瞳複製導波路までの全行程での、2つの光ビームの伝搬を示している、図7AのNEDの側面断面図である。
図8】4つの光源および対称形のビーム折曲げプリズム素子を含む、NEDの上面図である。
図9A】ビーム傾斜度の関数である、走査型プロジェクタディスプレイの視野(FOV:field of view)のアスペクト比のグラフである。
図9B図9Aのゼロ傾斜度での、FOVの概略図である。
図9C図9Aの最大傾斜度での、FOVの概略図である。
図10】この開示のビームスキャナを含む、ニアアイディスプレイの平面断面図である。
図11A】本開示のヘッドマウントディスプレイの等角図である。
図11B図11Aのヘッドセットを含む、仮想現実システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本教示は、様々な実施形態および例と併せて説明されるが、本教示が、かかる実施形態に限定されることを意図するものではない。それどころか、本教示は、当業者によって理解されるように、様々な代替形態および同等物を包含する。この開示の原理、態様、および実施形態、ならびにこの開示の特定の例を列挙する本明細書のすべての記載は、この開示の構造的同等物と機能的同等物との両方を包含することを意図している。さらに、かかる均等物は、現在知られている同等物と、将来開発される同等物、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を実行する、開発される任意の要素との両方を含むことを意図している。
【0021】
本明細書で使用される「第1の」、「第2の」などの用語は、順序付けを示唆することを意図するものではなく、むしろ、特に明記されていない限り、ある要素を別の要素から区別することを意図している。同様に、方法のステップの順序付けは、特に明記されていない限り、方法のステップを実行する順序付けを示唆するものではない。図1、および図3図8において、同様の参照番号は、同様の要素を示す。
【0022】
傾斜可能なリフレクタは、光源から放射された光ビームを走査し、ニアアイディスプレイのユーザが直接観察するように、角領域における画像を形成するために使用され得る。光ビームが走査されると、走査された光ビームの明るさおよび/または色は、表示される画像の対応する画素に応じて、走査に合わせて変化する場合がある。光ビームが2次元で、たとえばX視野角およびY視野角にわたって、フレーム全体、またはユーザの視野(FOV)全体にわたって走査されると、画像全体が形成される。フレームレートが十分に高い場合、目が、走査された光ビームを積分することにより、ユーザは、表示された映像を実質的にちらつきなく見ることができる。
【0023】
ニアアイディスプレイ用画像スキャナに関連する1つの問題は、スキャナの傾斜可能なリフレクタへの光ビームの斜めの入射角度によって引き起こされる視野(FOV)の減少である。斜めの角度は、使用される光学幾何形状によって、たとえば、入ってくる光ビームを、走査される、すなわち反射された光ビームから物理的に分離するために、必要となり得る。FOVの減少は、傾斜可能なリフレクタにおける光ビームの斜めの入射角度での、走査範囲を表す立体角の歪みによって引き起こされる。
【0024】
本開示によれば、出力(走査された)光ビームは、偏光によって、入力光学ビームから空間的に分離され得る。これにより、斜めの入射角によるビームの幾何学的分離の必要性がなくなり、傾斜可能なリフレクタが中心(傾斜していない)角度位置にあるときに、傾斜可能なリフレクタでのほぼ真っ直ぐな入射角を実現する、小型の構成が得られる。入ってくる光ビームの傾斜度が小さいため、走査範囲をより効率的に利用することができる。
【0025】
ここで、この開示のビームスキャナのいくつかの実施形態を考察することにする。図1を参照すると、ビームスキャナ130は、第1の隣り合う表面111および第2の隣り合う表面112、ならびに第1の表面111に配置された反射偏光子(RP:reflective polarizer)104を有する、ビーム折曲げプリズム素子102を含む。4分の1波長板(QWP)106は、ビーム折曲げプリズム素子102の第2の表面112に配置されている。傾斜可能なリフレクタ108は、QWP106の隣に配置されている。
【0026】
画像光源(図示せず)から供給された、コリメートされた光ビーム110は、動作時に、ビーム折曲げプリズム素子102に衝突する。入ってくる光ビーム110は、光学構成に応じて様々に偏光され得るが、この例では図1の平面に垂直に直線偏光される。ビーム折曲げプリズム素子102内を伝搬する光ビーム110は、第2の表面112によって第1の表面111に向かって反射される。反射偏光子104は、図1の平面に垂直に直線偏光された光を反射し、図1の平面に偏光された光を透過するように構成される。したがって、反射偏光子104は、光ビーム110を反射して第1の表面111に伝搬して戻すが、入射角が、第2の表面112への光ビーム110の最初の入射角とは異なる。したがって、ビーム折曲げプリズム素子102は、ビーム折曲げプリズム素子102の第2の表面112を通して、ビーム折曲げプリズム素子102の外へ光ビーム110の向きを変える前に、入ってくる光ビーム110を、ビーム折曲げプリズム素子102内部から、反射偏光子104からの1度の反射を含め、少なくとも2度反射するように構成される。
【0027】
QWP106は、ビーム折曲げプリズム素子102を出る光ビーム110を受光し、通過して伝搬させる。光ビーム110は、QWP106を通って伝搬すると、円偏光、たとえばこの例では、右円偏光になる。傾斜可能なリフレクタ108は、光ビーム110を受光し、光ビーム110を反射してQWP106に向かって戻す。傾斜可能なリフレクタ108が光ビーム110を反射する角度は、傾斜可能なリフレクタ108を傾斜させることによって変えられ(走査され)得る。
【0028】
反射された光ビーム110は、左円偏光になる。これは、反射された光ビーム110の伝搬方向が変化する一方で、傾斜可能なリフレクタ108に衝突する光ビーム110のライトフィールドでのx成分とy成分との間の位相関係が、実質的に同じままであるためである。円偏光の掌性は伝搬方向によって決まるので、反射された光ビーム110の掌性も同様に変化する。光ビーム110は、傾斜可能なリフレクタ108からの反射後、再びQWPを通って伝搬し、図1の平面に偏光されるようになる。これにより、ビーム折曲げプリズム素子102を通って伝搬する光ビーム110(図1では上向き)は、反射偏光子104を通ってさらに伝搬し、出力光ビーム114を形成する。より全体的には、入ってくる光ビーム110は、第1の偏光状態を有することができ、反射偏光子104は、第1の偏光状態を有する光を反射し、第2の偏光状態を有する光を透過するように構成され、これにより、2度QWP106を通って伝搬された光ビーム110は、反射偏光子104を通ってビーム折曲げプリズム素子102を出る。出力光ビーム114の角度は、傾斜可能なリフレクタ108の傾斜角度によって変わる。傾斜可能なリフレクタ108は、2つの軸で、すなわち、図1の平面と図1の平面に対して垂直との両方で、傾斜可能であり得ることを理解されたい。
【0029】
ビーム折曲げプリズム素子102は、ガラス、プラスチックなどの光学的に透明な材料で作製され得る。第1の表面111および第2の表面112は、45度未満、たとえば、より小型の構成では30度以下の角度をなすことができる。いくつかの実施形態では、ビーム折曲げプリズム素子102は、第2の表面112で、全内部反射(TIR)によって光ビーム110を反射するように構成される。このために、ビーム折曲げプリズム素子102は、ビーム折曲げプリズム素子102内部から第2の表面112への光ビーム110の入射角が、屈折率によって決まるTIR臨界角よりも大きくなるような、十分に高い屈折率を有することができる。第2の表面112からの光ビーム110のTIRを容易にするために、QWP106は、薄い空隙によって、ビーム折曲げプリズム素子102の第2の表面112から分離され得る。QWP106は、ビーム折曲げプリズム素子102の第2の表面112に実質的に平行に延在し得る。いくつかの実施形態では、QWP106は、第2の表面112に積層されている。
【0030】
QWP106は、好適な複屈折を有する材料、たとえば、複屈折ポリマーシート、またはたとえば結晶性石英などの硬質結晶性材料で作製され得る。QWP106は、ゼロ次QWPであり得るか、かつ/または、互いにゼロ以外の角度の光軸を有する、薄い結晶性材料の積層体または複屈折ポリマーシートの積層体を含むことができる。傾斜可能なリフレクタ108は、たとえば、微小電気機械システム(MEMS)の傾斜可能なリフレクタまたはミラーであり得、MEMSの傾斜可能なリフレクタまたはミラーの電極に電圧を印加することにより、1つの軸(1D MEMS)または2つの軸(2D MEMS)を中心に傾斜可能であり得る。
【0031】
入ってくる光ビーム110は、コリメートされるか、ほぼコリメートされるか、発散するか、または収束することができ、光源の別々に制御可能なエミッタから供給される、複数のサブビームを含むことができることを理解されたい。サブビームは、典型的には互いに対して小さな角度で、たとえば2度の円錐、またはたとえば1度または0.5度の、さらに狭い円錐内で伝搬する。
【0032】
図2A図2B、および図2Cを参照すると、光源は、複数の個別のエミッタを含むことができる。カラーチャネルごとに、複数のエミッタが設けられ得る。たとえば、4つの赤色エミッタ200Rが赤(R)カラーチャネル(暗い影付きの円)用に設けられ得、4つの緑色エミッタ200Gが緑(G)カラーチャネル(中程度の影付きの円)用に設けられ得、4つの青色エミッタ200Bが青(B)カラーチャネル(明るい影付きの円)用に設けられ得る。エミッタ200R、200G、および200Bは、ほんの数例を挙げると、直線パターン(図1A)、ジグザグパターン(図1B)、またはハニカムパターン(図2C)に配置され得る。同じ傾斜可能なリフレクタを照射する複数のエミッタを有することにより、これらのエミッタによって生成された光ビームを、グループとして一体に走査することができる。複数のエミッタ、場合によっては複数の光源は、一部の光源が故障した場合の冗長性をもたらす、画像の解像度を上げる、全体的な画像の明るさを上げる、などのために使用され得る。
【0033】
図3を参照すると、ニアアイディスプレイ(NED)300は、瞳複製導波路332に光学的に結合されたビームスキャナ330を含む。ビームスキャナ330は、図1のビームスキャナ130に類似している。ビームスキャナ330は、反射偏光子104と隣接する第2のプリズム素子316をさらに含む。いくつかの実施形態では、反射偏光子104は、ビーム折曲げプリズム素子102と第2のプリズム素子316との間に挟まれている。第2のプリズム素子316は、ビーム折曲げプリズム素子102と同じまたは類似の形状を有することができ、結果的に、図3に示されている小型の菱形構造が得られる。瞳複製導波路332は、入力格子334などの入力カプラを含むことができる。
【0034】
光ビーム110は、動作時に、図1のビームスキャナ130内の経路と同様の経路に沿って、ビーム折曲げプリズム素子102内を伝搬する。光ビーム110は、傾斜可能なリフレクタ108から反射して反射偏光子104を通って伝搬した後、第2のプリズム素子316を通って伝搬し、瞳複製導波路332に入り、瞳複製導波路332の入力格子334に衝突する。光ビーム110は、傾斜可能なリフレクタ108が傾斜されると、110A、110B、および110Cに示されるように、様々な入射角で入力格子334の表面上を走査される。入力格子334は、光ビーム110の向きを変えて、たとえば瞳複製導波路332の上面および下面からのTIRによって、瞳複製導波路332内を伝搬させる(図示せず)。
【0035】
図4に目を向けると、NED400は、瞳複製導波路332に光学的に結合されたビームスキャナ430を含む。ビームスキャナ430は、図3のビームスキャナ330に類似している。図4のビームスキャナ430の第2のプリズム素子416は、第2のプリズム素子の、反射偏光子104に連結された表面に隣接する側面上に、ビームダンプ418、たとえば黒色の吸収面を含む。
【0036】
入ってくる光ビーム110は、動作時に、ビーム折曲げプリズム素子102に入り、ビーム折曲げプリズム素子102の第2の表面(すなわち、底面)112から反射され、反射偏光子104に衝突する。光ビーム110は、理想的には、QWP106および傾斜可能なリフレクタ108に向かって反射されるはずである。しかし、光ビーム110の偏光の、図4の平面に垂直な直線偏光からのずれに起因して、ならびに反射偏光子104の不完全さに起因して、光ビーム110のわずかな部分420(破線)が、図4において上方に、第2のプリズム素子416の上面422に向かって伝搬し、上面422から反射し、ビームダンプ418に向かって伝搬する。ビームダンプ418は、さもなければ瞳複製導波路332に到達し得る光ビーム110の一部分420を、第2のプリズム素子416内での何回かの反射の後に吸収する。一部分420は、傾斜可能なリフレクタ108によって走査されないので、瞳複製導波路332を通って伝えられる画像の中に、動かないアーティファクトを生み出す可能性がある。
【0037】
したがって、ビームダンプ418の機能は、光ビーム110の一部分420、および場合によっては、他のいくらかのスプリアス反射されたビーム部分を吸収し、これにより、コリメートされた光ビーム110のスプリアス反射が、いつでも瞳複製導波路332に到達するのを防止することである。スプリアス反射された、瞳複製導波路332に結合された光ビーム110のコリメートされた部分は、輝線、点などになって、表示されている画像内に現れる可能性があり、ビームダンプ418は、これを容易に抑制する。
【0038】
ここで図5を参照すると、プロジェクタ500は、ビームスキャナ530に発散光ビーム510を供給する光源522を含み、光源522は、瞳複製導波路332に光学的に結合されている。ビームスキャナ530は、図3のビームスキャナ330に類似している。図5のビームスキャナ530は、ビーム折曲げプリズム素子502を含む。ビーム折曲げプリズム素子502の第1の表面511は、第1の表面511から反射された発散光ビーム510をコリメートするために湾曲している。QWP106は、ビーム折曲げプリズム素子502の第2の表面512の近くに配置されている。
【0039】
ビーム折曲げプリズム素子502は、ビーム折曲げプリズム素子502の湾曲した表面511と整合する湾曲した表面を含む、第2のプリズム素子516を有する。ビーム折曲げプリズム素子502および第2のプリズム素子516の湾曲した表面が、たとえば球面の場合、実質的に同じ曲率半径を有する。湾曲した反射偏光子504は、ビーム折曲げプリズム素子502と第2のプリズム素子516との間に挟まれている。湾曲した反射偏光子504の形状は、ビーム折曲げプリズム素子502および第2のプリズム素子516の形状と整合する。ビーム折曲げプリズム素子502の第1の表面511は、動作時に、正の光学的パワー、すなわち集束力を有する凹面ミラーとして機能し、発散光ビーム510を、コリメートされた、またはほぼコリメートされた光ビームに変換し、図3を参照して上記で説明されたのと同様のやり方で、ビーム折曲げプリズム素子502および第2のプリズム素子516を伝搬させる。
【0040】
図6を参照すると、ビームスキャナ630は、第1の隣り合う表面611および第2の隣り合う表面112、ならびに第1の表面611に配置された第1の反射偏光子604を有する、ビーム折曲げプリズム素子602を含む。図示の実施形態では、ビーム折曲げプリズム素子602は、第1の部分602Aおよび第2の部分602B、ならびにビーム折曲げプリズム素子602の第1の部分602Aと第2の部分602Bとの間に挟まれた、第2の反射偏光子624を含む。したがって、第2の反射偏光子624は、ビーム折曲げプリズム素子602内の第1の光ビーム610の光路に配置され、光路は、ビーム折曲げプリズム素子602内の、第2の表面612からの反射と第3の表面613からの反射との間に延在する。第1の光ビーム610は、図6に示されていない第1の光源から供給され得る。
【0041】
ビーム折曲げプリズム素子602の第3の表面613は、ビーム折曲げプリズム素子602の第2の表面612と隣り合っている。QWP606は、ビーム折曲げプリズム素子602の第3の側面613に光学的に結合されている。いくつかの実施形態では、QWP606は、第3の側面613に積層されている。傾斜可能なリフレクタ108は、QWP606の隣に配置されている。傾斜可能なリフレクタ108は、1つまたは2つの平行でない傾斜軸を中心に傾斜され得る。図6では、傾斜可能なリフレクタ108は、傾斜可能なリフレクタ108の基準位置、すなわち傾斜されていない位置で示されている。
【0042】
この例では、図6の平面に直線偏光された第1の光ビーム610は、動作時に、第2の表面612からの第1の反射を経て、この偏光で光を透過するように構成された第2の反射偏光子624を通って伝搬し、QWP606を通る第3の表面613からの第2の反射を経る。QWP606は、第1の光ビーム610がQWP606を2度通って伝搬するので、第1の光ビーム610の偏光を、図6の平面に垂直な直線偏光に変える。
【0043】
第1の反射偏光子604は、図6の平面に垂直な直線偏光で光を反射するように構成される。したがって、第1の光ビーム610は、第1の反射偏光子604によって反射され、第3の表面613でQWP606を通って、ビーム折曲げプリズム素子602の第2の部分602Bを出る。第3の表面613を出ると、第1の光610は円偏光されている(たとえば、右回りの円偏光)。第1の光ビーム610は、次いで、傾斜可能なリフレクタ108によって可変の角度で、傾斜可能なリフレクタ108の現在の傾斜角に応じて反射される。反射された光ビーム610は円偏光のままであるが、掌性は反転されている(たとえば、左回り円偏光になる)。反射された光ビーム610は、QWP606を通って伝搬して戻り、QWP606は、第1の光ビーム610の偏光を、図6の平面の直線偏光に戻す。第2の直線偏光子624は、この偏光で光を透過するように構成されており、第1の光ビーム610は、第2の反射偏光子624を通って、出力光ビーム614を形成するビーム折曲げプリズム素子602の第1の部分602Aの外へ伝搬する。出力光ビーム614のビーム角は、傾斜可能なリフレクタ108の傾斜角(xおよびy平面での)によって変わる。
【0044】
いくつかの実施形態では、ビーム折曲げプリズム素子602は、第1の反射偏光子604を介して、ビーム折曲げプリズム素子602の第1の表面611に結合された、第2のプリズム素子616をさらに含んでもよく、第1の反射偏光子604は、ビーム折曲げプリズム素子602の第2の部分602Bと第2のプリズム素子616との間に挟まれ得る。第2のプリズム素子616は、ビーム折曲げプリズム素子602の第1の部分602Aと同じ形状を有することができ、これによりビーム折曲げプリズム素子602の構造は、ビーム折曲げプリズム素子602の中央を通り、図6の平面に垂直である、垂直面650を中心にして対称形になる。
【0045】
図7Aを参照すると、プロジェクタ700は、図6のビームスキャナ630、第1の光ビーム610を供給する第1の光源722、および第2の光ビーム640を供給する第2の光源723を含む。図示されている実施形態では、ビームスキャナ630は、第2の光源723から第2の光ビーム640を受光する第2のプリズム素子616を含む。第2の光ビーム640は、第2のプリズム素子616に衝突し、第2の光ビーム640を、第1の反射偏光子604を介してビーム折曲げプリズム素子602に結合する。図7Aでは、明確にするために、ビームスキャナ630のいくつかの素子が省略されている。
【0046】
第1の光ビーム610は、第1の入力面751を通ってビーム折曲げプリズム素子602の第1の部分602Aに入り、第2の光ビーム640は、第2の入力面752を通って第2のプリズム素子616に入る。ビーム折曲げプリズム素子602は対称形であるため、第2の光ビーム640の光路は、第1の光ビーム610の光路と同様であり、図7Aから分かるとおり、第1の光ビーム610の光路が鏡面反射したものである。第2の光ビーム640は、具体的には、図6および図7Aを参照すると、第2のプリズム素子616内部からの第1の反射を経て、第1の反射偏光子604を通って伝搬し、QWP606(図6)を通る第3の表面からの第2の反射を経て、第2の反射偏光子624によって反射され、ビーム折曲げプリズム素子602の第3の表面613において、QWP606を通って、ビーム折曲げプリズム素子602を出て、傾斜可能なリフレクタ108によって反射され、QWP606を通り、第1の反射偏光子604を通って、ビーム折曲げプリズム素子602の第2の部分616の外へ伝搬して戻る。
【0047】
図7Bでは、第1の光ビーム610および第2の光ビーム640のビーム経路がさらに示され、入力格子734を有する瞳複製導波路732をさらに含むプロジェクタ700を示している。瞳複製導波路732の入力格子734は、ビームスキャナ630に光学的に結合されている。傾斜可能なリフレクタ108は、傾斜角がゼロ度の通常の位置740から離れた、2つの相異なる傾斜角である2つの位置741および742で図示されている。傾斜可能なリフレクタ108が第1の位置741から第2の位置742まで傾斜されると、第1の光ビーム610および第2の光ビーム640は、様々な入射角で、入力格子734の表面上で一緒に走査される。たとえば、傾斜可能なリフレクタ108の第1の位置741では、第1の光ビーム610は位置710Aにあり、第2の光ビーム640は位置710Bにある。傾斜可能なリフレクタ108の第2の位置742において、第1の光ビーム610は位置710Bにあり、第2の光ビーム640は位置710Cにある。したがって、第1の光ビーム610および第2の光ビーム640は、視野(FOV)の共通の中央部分にわたって走査される。これにより、FOVの中央部分に表示される画像の空間解像度を上げること、冗長性をもたらすこと、画像の明るさを上げることなどが可能となり得る。
【0048】
必要に応じて、光ビームおよび光源の数をさらに増やすことができる。非限定的な例として、図8を参照し、さらに図6を参照すると、プロジェクタ800は、図6のビームスキャナ630と類似のビームスキャナをベースとしているが、4つの別個の光源からのビームを走査することができる。各光源は、カラーチャネルごとにもう1つのエミッタを含む、いくつかのエミッタを含むことができる。図8のプロジェクタ800のビーム折曲げプリズム素子802は、第1の隣り合う表面811および第2の隣り合う表面812(第2の表面812は、図8の上面図において実線で示されている、上部の正方形の表面である)、第3の表面813(図8の上面図において破線で示されている、下部の正方形の表面)、第4の表面814、ならびに第5の表面815を含む。
【0049】
第1の反射偏光子804は、第1の表面811に配置されている。第2の反射偏光子824は、ビーム折曲げプリズム素子802内での、第2の表面812からの反射と第1の表面811からの反射との間の、ビーム折曲げプリズム素子802内の第1の光ビーム610の光路に配置されている。第2のプリズム素子816が、第1の表面811に結合され、第2のプリズム素子816に衝突する第2の光ビーム640を受光し、第2の光ビーム640を、第1の反射偏光子804を介して、ビーム折曲げプリズム素子802に結合する。第3の反射偏光子834は、第4の表面814に配置されている。第3の反射偏光子834は、第1の反射偏光子804および第2の反射偏光子824に隣接している。第4の反射偏光子854は、第5の表面815に配置されている。第4の反射偏光子854は、第1の反射偏光子804および第2の反射偏光子824に隣接している。影付きの三角形で示されている第1の反射偏光子804、第2の反射偏光子824、第3の反射偏光子834、および第4の反射偏光子854は、中央にある共通の頂点、4つの側面、および第3の表面813における共通の長方形の底面を有する、対称形のピラミッド構造を形成する。
【0050】
第3のプリズム素子832が、第4の表面814に結合され、第3のプリズム素子832に衝突する第3の光源822からの光ビーム810を受光し、第3の光ビーム810を、第3の反射偏光子834を介して、ビーム折曲げプリズム素子802に結合する。同様に、第4のプリズム素子846が、第5の表面815に結合され、第4のプリズム素子846に衝突する第4の光源823からの第4の光ビーム840を受光し、第4の光ビーム840を、第4の反射偏光子854を介して、ビーム折曲げプリズム素子802に結合する。
【0051】
図5のプロジェクタ500、図7の700、および図8の800は、光ビームの傾斜可能なリフレクタへの小さい傾斜度での結合を可能にする。本明細書において、「小さい傾斜度」という用語は、基準の、たとえば中心またはゼロ度の傾斜角のときの、傾斜可能なリフレクタにおける小さい入射角、すなわち、法線入射を意味する。傾斜度が小さいことの1つの利点が、図9Aから図9Cに示されている。最初に図9Aを参照すると、傾斜可能なリフレクタを使用するプロジェクタのFOVのアスペクト比が、傾斜度、すなわち、傾斜可能なリフレクタが基準位置または中心位置にあるときの入射角の関数としてプロットされている。アスペクト比は、以下の4つの場合についてプロットされている。軸上75度×50度でのFOV、軸上60度×40度でのFOV、軸上45度×30度でのFOV、および軸上30度×20度でのFOV。アスペクト比は、傾斜度ゼロ、すなわち法線入射での1.5から、傾斜角度40度での約1.1まで低くなる。
【0052】
図9Bは、傾斜度ゼロでの走査角度エリア900B、および関連する内接長方形のFOV902Bを示している。傾斜角ゼロのFOV902Bの立体角は、角度エリア900Bの大部分をカバーしている。図9Cは、比較すると、傾斜度40度での走査角度エリア900C、および関連する内接長方形FOV902Cを示している。FOV902Cの立体角は、角度エリア900Cのより小さい割合しか占めておらず、傾斜度ゼロのFOV902Bのほぼ2分の1であり、アスペクト比が異なる。したがって、小さい傾斜度での結合により、傾斜可能なリフレクタの走査範囲の利用率が高まり、傾斜可能なリフレクタの同じ走査範囲で、より広い視野が可能になる。
【0053】
図10を参照すると、ニアアイディスプレイ(NED)1000は、一対のガラスの形状素子を有するフレーム1001を含む。フレーム1001は、目ごとに、角領域の画像を運ぶ表示光を供給するプロジェクタ1002、プロジェクタ1002へ給電するためにプロジェクタ1002に動作可能に結合された電子ドライバ1004、およびプロジェクタ1002に光学的に結合された瞳レプリケータ1032を支持することができる。
【0054】
各プロジェクタ1002は、本明細書で説明されたビームスキャナ、たとえば、限定されるものではないが、図1のビームスキャナ100、図3のビームスキャナ330、図4のビームスキャナ430、図5のビームスキャナ530、図6のビームスキャナ630などを含むことができる。いくつかの実施形態では、各プロジェクタ1002は、図5のプロジェクタ500、図7Aおよび図7Bのプロジェクタ700、ならびに/または図8のプロジェクタ800を含む。これらのプロジェクタ用の光源は、たとえば、図2A図2B、および図2Cを参照して上記で説明されたように、複数の光ビームを供給する、側面発光レーザダイオード、垂直共振器型面発光レーザダイオード、SLED、または発光ダイオードなど、シングルモードまたはマルチモードの半導体光源のアレイを支持する基板を含むことができる。光源のコリメータは、凹面鏡、バルクレンズ、フレネルレンズ、ホログラフィックレンズなどを含むことができる。瞳レプリケータ1032は、複数の表面レリーフ型および/または体積ホログラフィック格子を装備された導波路を含むことができる。瞳レプリケータ1032の機能は、それぞれのアイボックス1012でプロジェクタ1002によって供給される、表示光ビームの複数の横方向にオフセットされたコピーを供給することである。
【0055】
コントローラ1005は、プロジェクタ1002の光源および傾斜可能なリフレクタに動作可能に結合されている。コントローラ1005は、プロジェクタ1002の傾斜可能なリフレクタのX傾斜角およびY傾斜角を決定するように構成され得る。コントローラ1005は、表示されるべき画像のどの1つまたは複数の画素が、決定されたX傾斜角およびY傾斜角に対応するかを決定する。コントローラ1005は、次いで、これらの画素の明るさおよび/または色を決定し、これに応じて電子ドライバ1004を動作させ、プロジェクタ1002の光源に給電用電気パルスを供給し、決定された画素の明るさおよび色に対応する電力レベルでの光パルスを作り出す。
【0056】
いくつかの実施形態では、コントローラ1005は、目ごとに、傾斜可能なリフレクタを動作させ、これにより傾斜可能なリフレクタから反射され、それぞれのビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬される光ビームが、表示されるべき画像の画素に対応するビーム角を有するように構成され得る。コントローラ1005はさらに、光ビームが、表示されている第1の画素に対応する明るさおよび/または色を有するように、傾斜可能なリフレクタの動作と連係して光源を動作させるように構成され得る。マルチ光源の実施形態では、コントローラ1005は、対応する光源を連係して動作させ、本明細書で説明されるように、より大きなFOV、高い走査解像度、ディスプレイの明るさの増加などを実現するように構成され得る。たとえば、ユーザの両眼のプロジェクタが、それぞれ2つの光源を含む実施形態では、コントローラは、傾斜可能なリフレクタから反射され、ビーム折曲げプリズム素子を通って伝搬される第2の光ビームが、表示されるべき画像の第2の画素に対応するビーム角を有するように、傾斜可能なリフレクタを動作させ、第2の光ビームが第2の画素に対応する明るさを有するように、傾斜可能なリフレクタの動作と連係して第2の光源を動作させるように構成され得る。
【0057】
本開示の実施形態は、人工現実システムを含むか、または人工現実システムと組み合わせて実施され得る。人工現実システムは、視覚情報、音声、触覚(体性感覚)情報、加速度、バランスなどの感覚を通して得られる外界に関する感覚情報を、ユーザに提示する前に何らかのやり方で調整する。人工現実は、非限定的な例として、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、またはこれらの何らかの組合せおよび/もしくは派生物を含むことができる。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ、または取り込まれた(たとえば、実世界の)コンテンツと組み合わされて生成されたコンテンツを含むことができる。人工現実コンテンツは、ビデオ、音声、体性もしくは触覚フィードバック、またはこれらの何らかの組合せを含むことができる。このコンテンツはいずれも、単一のチャネル、または観察者に対して3次元効果を作り出すステレオビデオなど、複数のチャネルで提示され得る。さらに、いくつかの実施形態では、人工現実はまた、アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはこれらの何らかの組合せに付随する場合もあり、これらはたとえば、人工現実内でコンテンツを作成するために使用されるか、かつ/またはさもなければ、人工現実内で使用される(たとえば、活動を行う)。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたHMD、独立型HMD、眼鏡の形状要素を有するニアアイディスプレイ、携帯デバイスもしくはコンピュータ処理システム、または1人もしくは複数人の観察者に人工現実コンテンツを提供することができる他の任意のハードウェアプラットフォームなどの、装着型ディスプレイを含む、様々なプラットフォーム上に実装され得る。
【0058】
図11Aを参照すると、HMD1100は、AR/VR環境により深く没頭させるようにユーザの顔を取り囲む、AR/VR装着型ディスプレイシステムの例である。HMD1100は、たとえば、図10のNED1000の実施形態である。HMD1100の機能は、物理的な実世界の環境での光景を、コンピュータで生成された映像を使って補強するか、かつ/または完全に仮想の3D映像を生成することである。HMD1100は、前部本体1102およびバンド1104を含むことができる。前部本体1102は、信頼性が高く快適なやり方でユーザの目の前に配置されるように構成され、バンド1104は、前部本体1102をユーザの頭に固定するように引き伸ばされ得る。ディスプレイシステム1180は、AR/VR映像をユーザに提示するために、前部本体1102に配置され得る。前部本体1102の側面1106は、不透明または透明であり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、前部本体1102は、HMD1100の加速度を追跡するためのロケータ1108および慣性測定ユニット(IMU:inertial measurement unit)1110、ならびにHMD1100の位置を追跡するための位置センサ1112を含む。IMU1110は、1つまたは複数の位置センサ1112から受信した測定信号に基づいて、HMD1100の位置を示すデータを生成する電子デバイスであり、HMD1100の動きに応答して、1つまたは複数の測定信号を生成する。位置センサ1112の例は、1つまたは複数の加速度計、1つまたは複数のジャイロスコープ、1つまたは複数の磁力計、動きを検出する別の好適な種類のセンサ、IMU1110の誤差補正に使用される種類のセンサ、またはこれらの何らかの組合せを含む。位置センサ1112は、IMU1110の外部、IMU1110の内部、またはこれらの何らかの組合せに配置され得る。
【0060】
ロケータ1108は、仮想現実システムがHMD1100全体の位置および向きを追跡できるように、仮想現実システムの外部撮像デバイスによってトレースされる。IMU1110および位置センサ1112によって生成された情報は、HMD1100の位置および向きの追跡精度を高めるために、ロケータ1108を追跡することによって得られた位置および向きと比較され得る。正確な位置および向きは、ユーザが3D空間内で移動および回転するときに、ユーザに適切な仮想風景を提示するために重要である。
【0061】
HMD1100は、HMD1100の一部または全部を取り巻く局所エリアの深度情報を表すデータを取り込む、深度カメラ組立体(DCA:depth camera assembly)1111をさらに含むことができる。DCA1111は、このために、レーザレーダ(LIDAR:laser radar)または同様のデバイスを含むことができる。深度情報は、3D空間におけるHMD1100の位置および向きをよりよい精度で判断するために、IMU1110からの情報と比較され得る。
【0062】
HMD1100は、リアルタイムでユーザの目の向きおよび位置を判断する、目線追跡システム1114をさらに含むことができる。取得した目の位置および向きによって、HMD1100がユーザの視線方向を判断し、これに応じて、ディスプレイシステム1180で生成される画像を調整することもできる。一実施形態では、輻輳、すなわち、ユーザの視線の収斂角度が判断される。判断された視線方向および輻輳角は、画角および目の位置に応じて視覚上のアーティファクトをリアルタイムで補償するためにも使用され得る。さらに、判断された輻輳角および視線角度は、ユーザとの相互作用、オブジェクトの強調表示、オブジェクトの最前面への移動、追加のオブジェクトまたはポインタ作成などに使用され得る。たとえば、前部本体1102内に構築された1組の小さなスピーカを含む、音声システムも設けられ得る。
【0063】
図11Bを参照すると、AR/VRシステム1150は、装着型ディスプレイシステムの例示的な実施態様である。AR/VRシステム1150は、図11AのHMD1100、様々なAR/Vアプリケーション、設定および較正手順、3Dビデオなどを記憶する外部コンソール1190、ならびにコンソール1190を動作させるか、かつ/またはAR/VR環境と相互作用するための入力/出力(I/O:input/output)インタフェース1115を含む。HMD1100は、物理ケーブルでコンソール1190に「繋留」されるか、またはブルートゥース(登録商標)、Wi-Fiなどの無線通信リンクを介してコンソール1190に接続され得る。複数のHMD1100が存在してもよく、それぞれが関連するI/Oインタフェース1115を有し、各HMD1100およびI/Oインタフェース1115は、コンソール1190と通信する。代替構成では、相異なる、かつ/または追加の構成要素が、AR/VRシステム1150に含まれてもよい。さらに、図11Aおよび図11Bに示されている1つまたは複数の構成要素と併せて説明されている機能は、いくつかの実施形態において、図11Aおよび図11Bと併せて説明されているものとは別のやり方で、構成要素間で分散されてもよい。たとえば、HMD1100が、コンソール1115の機能の一部またはすべてを備えてもよく、逆も可能である。HMD1100には、かかる機能を実現させることができる、処理モジュールが設けられ得る。
【0064】
図11Aを参照して上記で説明されたように、HMD1100は、目の位置および向きを追跡する、視線角度および収斂角度を判断する、などのための目線追跡システム1114(図11B)、3D空間におけるHMD1100の位置および向きを判断するためのIMU1110、外部環境を取り込むためのDCA1111、HMD1100の位置を単独で判断するための位置センサ1112、およびAR/VRコンテンツをユーザに表示するためのディスプレイシステム1180を含むことができる。ディスプレイシステム1180は、電子ディスプレイ1125(図11B)、たとえば、限定されるものではないが、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、有機発光ディスプレイ(OLED:organic light emitting display)、無機発光ディスプレイ(ILED:inorganic light emitting display)、アクティブマトリックス式有機発光ダイオード(AMOLED:active-matrix organic light-emitting diode)ディスプレイ、透明有機発光ダイオード(TOLED:transparent organic light emitting diode)ディスプレイ、プロジェクタ、またはこれらの組合せを含む。ディスプレイシステム1180は、光学ブロック1130をさらに含み、光学ブロック1130の機能は、電子ディスプレイ1125によって生成された画像をユーザの目に伝えることである。光学ブロックは、たとえば屈折レンズ、フレネルレンズ、回折レンズ、能動または受動パンチャラトナム-ベリー位相(PBP:Pancharatnam-Berry phase)レンズ、液体レンズ、液晶レンズなどの様々なレンズ、瞳複製導波路、格子構造、コーティングなどを含むことができる。ディスプレイシステム1180は、光学ブロック1130の一部であり得る、可変焦点モジュール1135をさらに含むことができる。可変焦点モジュール1135の機能は、光学ブロック1130の焦点を調整し、たとえば、輻輳と調節との競合を補償すること、特定のユーザの視力障害を補正すること、光学ブロック1130の収差をオフセットすることなどである。
【0065】
I/Oインタフェース1115は、ユーザがアクション要求を送信し、コンソール1190から応答を受信することを可能にするデバイスである。アクション要求は、特定のアクションを実行するための要求である。アクション要求は、たとえば、画像またはビデオデータの取込みを開始または終了するための命令、またはアプリケーション内で特定のアクションを実行するための命令であり得る。I/Oインタフェース1115は、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、またはアクション要求を受信し、アクション要求をコンソール1190に伝達する、他の任意の好適なデバイスなどの、1つまたは複数の入力デバイスを含むことができる。I/Oインタフェース1115によって受信されたアクション要求は、コンソール1190に伝達され、コンソール1190は、アクション要求に対応するアクションを実行する。いくつかの実施形態では、I/Oインタフェース1115は、I/Oインタフェース1115の初期位置に対するI/Oインタフェース1115の推定位置を示す、較正データを取り込むIMUを含む。いくつかの実施形態では、I/Oインタフェース1115は、コンソール1190から受信した指示に従って、ユーザに触覚フィードバックを与えることができる。触覚フィードバックは、たとえば、アクション要求が受信されたときに与えられるか、またはコンソール1190が、命令をI/Oインタフェース1115に伝達し、コンソール1190がアクションを実行するときに、I/Oインタフェース1115に触覚フィードバックを生成させることができる。
【0066】
コンソール1190は、HMD1100に、IMU1110、DCA1111、目線追跡システム1114、およびI/Oインタフェース1115のうちの1つまたは複数から受信した情報に従って処理する、コンテンツを供給する。図11Bに示されている例では、コンソール1190は、アプリケーション記憶部1155、追跡モジュール1160、および処理モジュール1165を含む。コンソール1190のいくつかの実施形態は、図11Bに関連して説明されたものとは相異なるモジュールまたは構成要素を有してもよい。同様に、以下でさらに説明される機能は、図11Aおよび図11Bに関連して説明されるものとは別のやり方で、コンソール1190の構成要素間に分散されてもよい。
【0067】
アプリケーション記憶部1155は、コンソール1190によって実行される、1つまたは複数のアプリケーションを記憶することができる。アプリケーションは、プロセッサによって実行されると、ユーザに提示するコンテンツを生成する1群の命令である。アプリケーションによって生成されたコンテンツは、HMD1100またはI/Oインタフェース1115の動きを通して、ユーザから受信された入力に応答することができる。アプリケーションの例は、ゲームアプリケーション、プレゼンテーションおよび会議アプリケーション、ビデオ再生アプリケーション、または他の好適なアプリケーションを含む。
【0068】
追跡モジュール1160は、1つまたは複数の較正パラメータを使用してAR/VRシステム1150を較正することができ、1つまたは複数の較正パラメータを調整して、HMD1100またはI/Oインタフェース1115の位置判断における誤差を低減することができる。追跡モジュール1160によって実行される較正はまた、HMD1100内のIMU1110、および/またはもしあれば、I/Oインタフェース1115に含まれるIMUから受信した情報も考慮に入れる。さらに、HMD1100の追跡が失われた場合、追跡モジュール1160は、AR/VRシステム1150の一部または全部を再較正することができる。
【0069】
追跡モジュール1160は、HMD1100もしくはI/Oインタフェース1115の動き、IMU1110、またはこれらの何らかの組合せを追跡することができる。追跡モジュール1160は、たとえば、HMD1100からの情報に基づいて、局所エリアのマッピングにおけるHMD1100の基準点の位置を判断することができる。追跡モジュール1160はまた、IMU1110からのHMD1100の位置を示すデータを使用して、またはI/Oインタフェース1115に含まれるIMUからの、I/Oインタフェース1115の位置を示すデータを使用して、それぞれ、HMD1100の基準点またはI/Oインタフェース1115の基準点の位置を判断することができる。さらに、いくつかの実施形態では、追跡モジュール1160は、HMD1100の今後の場所を予測するために、IMU1110からの位置またはHMD1100を示すデータの一部ばかりでなく、DCA1111からの局所エリアの描写も使用することができる。追跡モジュール1160は、HMD1100またはI/Oインタフェース1115の推定または予測される今後の位置を、処理モジュール1165に供給する。
【0070】
処理モジュール1165は、HMD1100から受信した情報に基づいて、HMD1100の一部または全部を取り巻くエリア(「局所エリア」)の3Dマッピングを生成することができる。いくつかの実施形態では、処理モジュール1165は、DCA1111から受信した、深度の計算に使用される技法に関連する情報に基づいて、局所エリアの3Dマッピングのための深度情報を決定する。様々な実施形態において、処理モジュール1165は、深度情報を使用して、局所エリアのモデルを更新し、更新されたモデルに部分的に基づいてコンテンツを生成することができる。
【0071】
処理モジュール1165は、AR/VRシステム1150内でアプリケーションを実行し、追跡モジュール1160から、HMD1100の位置情報、加速度情報、速度情報、予測される今後の位置、またはこれらの何らかの組合せを受信する。処理モジュール1165は、受信した情報に基づいて、HMD1100に供給する、ユーザに提示するためのコンテンツを決定する。たとえば、受信した情報が、ユーザが左を向いたことを示している場合、処理モジュール1165は、仮想環境における、または追加コンテンツを使って局所エリアを拡張する環境における、ユーザの動きを反映するHMD1100用コンテンツを生成する。さらに、処理モジュール1165は、I/Oインタフェース1115から受信したアクション要求に応答して、コンソール1190上で実行しているアプリケーション内でアクションを実行し、アクションが実行されたことをユーザにフィードバックする。与えられるフィードバックは、HMD1100による視覚的または聴覚的フィードバック、またはI/Oインタフェース1115による触覚フィードバックであり得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、処理モジュール1165は、目線追跡システム1114から受信した目線追跡情報(たとえば、ユーザの目の向き)に基づいて、HMD1100に供給される、電子ディスプレイ1125上でユーザに提示するコンテンツの解像度を決定する。処理モジュール1165は、電子ディスプレイ1125上で、ユーザの視線の中心窩の区域において最大画素解像度を有するコンテンツを、HMD1100に供給することができる。処理モジュール1165は、電子ディスプレイ1125の他の区域に、より低い画素解像度を与え、これにより、AR/VRシステム1150の電力消費を低減し、ユーザの視覚上の体験を損なうことなく、コンソール1190のコンピュータ処理リソースを節約することができる。いくつかの実施形態では、処理モジュール1165はさらに、目線追跡情報を使用し、オブジェクトが電子ディスプレイ1125上のどこに表示されるかを調整して、輻輳-調節の競合を回避し、かつ/または光学歪みおよび収差をオフセットすることができる。
【0073】
本明細書で開示されている態様に関連して説明された様々な例示的な論理回路、論理ブロック、モジュール、および回路を実装するために使用されるハードウェアは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)もしくは他のプログラム可能な論理デバイス、ディスクリートのゲートもしくはトランジスタ論理回路、ディスクリートのハードウェア構成要素、または本明細書で説明された機能を実行するように設計された、これらの任意の組合せを使って実装されるか、または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、代わりに、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであってもよい。プロセッサはまた、コンピュータ処理デバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わされた1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または他の任意のかかる構成で実装されてもよい。別法として、いくつかのステップまたは方法は、所与の機能に固有の回路によって実行されてもよい。
【0074】
本開示は、本明細書で説明された特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書で説明されたものに加えて、他の様々な実施形態および修正形態が、前述の説明および添付図面から、当業者には明らかであろう。したがって、かかる他の実施形態および修正形態は、本開示の範囲に包含されることを意図している。さらに本開示は、本明細書で、特定の目的のために、特定の環境における特定の実施形態の文脈で説明されているが、当業者は、本開示の有用性がこれに限定されるものではなく、また本開示が、いくつもの目的のために、いくつもの環境で有益に実施され得ることを認識されよう。したがって、下記に示される特許請求の範囲は、特許請求の範囲の最大限の広がりを考慮して解釈されるべきである。
図1
図2A-2C】
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
【国際調査報告】