(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ホーム在庫管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20221027BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20221027BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
G16H20/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500107
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 EP2019068136
(87)【国際公開番号】W WO2021004608
(87)【国際公開日】2021-01-14
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504104899
【氏名又は名称】アレス トレーディング ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】アレサンドロ マコル
(72)【発明者】
【氏名】ウィム サエレン
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049AA21
5L099AA25
(57)【要約】
本明細書に記載されているのは、包装物用のホーム在庫管理システム(1)において:1つ以上の包装物(11)からデータを無線で収集し、収集データを処理モジュール(12)に対して伝送するように構成された定置データ収集モジュール(10)であって、包装物(11)が無線タグ(15)を含んでいる、定置データ収集モジュールと、収集モジュール(10)からの収集データを受信し、記憶し、処理するための処理モジュール(12)と、通知手段(13)と、を含むホーム在庫管理システムであって、データ収集モジュール(10)が、ホーム内に存在する1つ以上の包装物(11)から、ユーザの介入無しでデータを収集するように構成されているホーム在庫管理システムである。処理モジュール(12)は、収集データを処理してステータス情報を決定するように構成されており、通知手段(13)は、ステータス情報を1人以上の認定ユーザに伝達するように構成されている。ホーム在庫管理システム(1)は、住宅内の消耗品包装物の監視のためまたは患者のホームまたは住宅内において薬剤の在庫および使用を監視および管理するために使用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装物用のホーム在庫管理システムにおいて:
a.1つ以上の包装物からデータを無線で収集し、前記収集データを処理モジュールに対して伝送するように構成された定置データ収集モジュールであって、前記包装物が無線タグを含んでいる、定置データ収集モジュールと、
b.前記収集モジュールからの前記収集データを受信し、記憶し、処理するための処理モジュールと、
c.通知手段と、
を含むホーム在庫管理システムであって、
前記データ収集モジュールが、前記ホーム内に存在する前記1つ以上の包装物から、ユーザの介入無しでデータを収集するように構成されており;
前記処理モジュールが、前記収集データを処理してステータス情報を決定するように構成されており;
前記通知手段が、前記ステータス情報を1人以上の認定ユーザに伝達するように構成されている、
ホーム在庫管理システム。
【請求項2】
前記収集モジュールが、規則的な時間的間隔で、前記ホーム内に存在する前記1つ以上の包装物からのデータを収集する、請求項1に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項3】
前記1人以上の認定ユーザが、前記ホーム現住者および/または前記ホーム現住者によって前記収集データおよびステータス情報にアクセスできるよう認定された1人以上のユーザである、請求項1ないし2のいずれか1項に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項4】
前記通知手段が、スマートフォン、スマートタブレット、パーソナルコンピュータ、前記データ収集モジュール上の一体型スクリーンまたは前記無線タグまたは前記包装物上の一体型ディスプレイの中から選択されたユーザインタフェースである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項5】
前記データ収集モジュール、処理モジュールおよび通知手段が単一の定置デバイス内に統合されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項6】
前記ステータス情報が、前記ホーム内の前記包装物の存在、識別、使用期限、認証、存在量、使用量および保管条件情報を含む、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項7】
前記データ収集モジュールが、無線通信を介して前記ホーム内に存在する前記1つ以上の包装物からの前記データを収集する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項8】
前記無線タグが、強化スペクトラム拡散後方散乱RF無線通信用に構成されており、前記データ収集モジュールがデスプレッダを含む、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項9】
前記強化スペクトラム拡散後方散乱RF無線通信が、強化直接スペクトラム拡散後方散乱RF無線通信である、請求項8に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項10】
前記データ収集モジュールがさらに、低位相雑音信号源を含む、請求項8または9に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項11】
前記データ収集モジュールがさらに、2アンテナ構成、高域フィルタおよびアナログおよびデジタルから選択されたキャリア相殺自己干渉緩和のうちの1つ以上を含む、請求項8ないし10のいずれか1項に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項12】
前記通信要素がさらに、反射された強化スペクトラム拡散後方散乱RF信号上で2値位相シフトキーイングまたは2値振幅シフトキーイングを用いる変調によって前記強化スペクトラム拡散後方散乱RF信号を変調するように構成された変調器を含む、請求項8ないし11のいずれか1項に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項13】
前記無線タグが印刷可能なタグである、請求項1ないし12のいずれか1項に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項14】
前記無線タグが使い捨てタグである、請求項1ないし13のいずれか1項に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項15】
前記無線タグが1つ以上のセンサとインタフェースされている、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項16】
前記無線タグが1つ以上のユーザ入力および/または出力手段とインタフェースされている、請求項1ないし15のいずれか1項に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項17】
前記無線タグが、製品コード、バッチ番号、ロット番号、使用期限年月日、保管温度、相対湿度、製造日およびそれらの組合せの中から選択された識別情報を含む、請求項1ないし16のいずれか1項に記載のホーム在庫管理システム。
【請求項18】
ホーム内の1つ以上の包装物の前記在庫を管理するための請求項1ないし17のいずれか1項に記載の前記ホーム在庫管理システムの使用において、前記包装物が無線タグを含んでいる、使用。
【請求項19】
前記包装物が薬剤容器である、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の前記ホーム在庫管理システムを含む、ホーム内での薬剤在庫管理システム。
【請求項20】
前記薬剤容器が、ブリスタパック、バイアル、シリンジ、薬剤送達デバイスおよびピルボトルの中から選択される、請求項19に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項21】
前記ホームが、患者のホーム、薬局、老人ホーム、クリニック、長期介護施設、および病院の中から選択される、請求項19または20に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項22】
前記ホームが、1人以上の患者が居住するホームである、請求項19ないし21のいずれか1項に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項23】
前記ホーム内に居住する1人以上の患者のための前記薬剤在庫を管理する上で使用するための、請求項22に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項24】
前記収集データが、前記薬剤容器および保管庫内の前記薬剤を識別するデータおよび前記薬剤の使用データを含む、請求項19ないし23のいずれか1項に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項25】
前記処理モジュールがさらに、患者の薬剤ステータス情報を決定するために、前記薬剤を摂取する前記ホーム内に居住する患者のための既定の薬剤服用計画と、前記収集データを比較するように構成されている、請求項19ないし24のいずれか1項に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項26】
前記患者薬剤ステータス情報が、存在、識別、使用期限、認証、使用頻度、使用した服用量、保管条件および薬剤可用性情報のうちの1つ以上を含む、請求項19ないし25のいずれか1項に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項27】
前記薬剤可用性情報が、前記既定の薬剤服用計画にしたがって前記患者が摂取すべき薬剤の可用性についての情報を含む、請求項26に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項28】
前記無線タグが、処方箋情報、前記処方箋作成日、前記薬局における前記処方箋についての禁忌などの薬剤特異的情報を用いてプログラミング可能である、請求項19ないし27のいずれか1項に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項29】
前記無線タグが、薬剤名、製品コード、服用量、バッチ番号、ロット番号、使用期限年月日、保管温度、相対湿度、製造日およびそれらの組合せの中から選択された識別情報を含む、
請求項19ないし28のいずれか1項に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項30】
前記無線タグがさらに、1つ以上のセンサとインタフェースされている、請求項19ないし29のいずれか1項に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項31】
前記無線タグが、温度データなどのセンサ由来のデータを含む、請求項30に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項32】
前記無線タグがさらに、ステータス情報を受信し表示するように構成されている、請求項19ないし31のいずれか1項に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項33】
前記ステータス情報の前記表示が、LED灯、英数字またはグラフィックディスプレイ上のボタンまたは圧電ブザーなどの出力手段を介したものである、請求項32に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項34】
前記ステータス情報が、ユーザフィードバック用ボタンまたは前記包装物の物理的形状変化(例えば前記包装物のストリップまたは開口部の剥ぎ取り)などの入力手段を介して受信される、請求項32に記載の薬剤在庫管理システム。
【請求項35】
患者治療計画の患者ホーム管理方法において:
a.患者のホームにおける患者の治療のために可用な前記薬剤量を決定するステップと;
b.既定の患者治療計画内で提供された通りの前記薬剤に関係する来たる事象について前記患者に想起させるステップと;
c.前記患者治療計画にしたがった前記可用な薬剤量を補充する必要があることまたは適切な薬剤が存在しいつでも使用可能な状態にあることを患者に通知するステップと;
を含む方法であって、患者のホームにおける患者治療計画のために可用な前記薬剤量が、請求項19ないし34のいずれか1項に記載の前記薬剤在庫管理システムを用いて決定される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばラベルまたはタグなどの電子通信要素を用いた在庫管理システムに関する。通信要素は、後方散乱技術に基づくものであり得る。より具体的には、本発明は、消耗品または薬剤のためのホーム在庫管理システム、およびホーム環境においてこのような消耗品を識別し、認識しかつ登録する上で使用するために消耗品または薬剤に取付けられた無線周波数識別(RFID)技術に基づくラベルまたはタグなどの通信要素に関する。
【背景技術】
【0002】
ホーム環境の自動化は、今日のホームにおいてより広く普及したものとなっている。例えば、ホーム内の或る種の電子機器は、遠隔操作が可能である。多くの場合、宅内操作される機能のこのような遠隔管理は、ホーム内の異なるタイプの機器を接続するためのスマートホンの使用を含めた、無線または電気通信方法の使用を通して可能になっている。このような電子デバイスの使用は、デバイスまたは機器が正しく動作しているか否かといった、ホームベースの電子機器の管理における追加の機能を提供する。これらの開発により、今日のホーム環境における電子デバイスの使用し易さは高まってきている。しかしながら、このような機器へのアクセスは全て、遠隔操作される機器とスマートホンなどの通信デバイスの間の接続を確立するためにホームオーナの介入を必要とする。その上、このようなシステムは、ホームにおいて使用される物品の在庫管理を可能にするものではない。
【0003】
在庫管理には、多くの場合、例えば保管設備内の物品の存在および/または場所の追跡が関与する。典型的に、効率良く需要に応え需要を監視するためには、例えば保管設備または小売店舗内のいずれかの在庫品についての正確かつ最新の情報を有することが重要である。任意のこのような物品についての可用性の追跡およびこのような情報のチェックは、手作業で実施できるが、無線通信方法の使用が、これらの環境において利用される在庫管理システムに置き換われるかまたはこれらのシステムを単純化することが増々多くなっている。
【0004】
多くのケースにおいて、このような無線通信には、このような保管された物品の存在を追跡するための電子タグ、例えば無線周波数(RF)タグの使用が関与している。しかしながら、このようなRFタグは、限定的な到達範囲しか有さず、したがって個人がひとたび物品に近づいた時点で適切な読取り機により存在する全ての物品をスキャンする必要があり、監視対象の環境全体にわたり複数の読取り機が位置設定されることを必要とし、あるいは、監視対象環境全体にわたり可動な移動体読取り機を必要とする。代替的には、監視対象の空間内での監視対象の物品の搬入または搬出を追跡するためだけに、例えば入口/出口ゲートにおいて監視対象空間内の戦略的場所に適切な読取り機を位置設定することもできる。これは、ホーム内の消耗品の在庫を監視する便利な方法に関心のあるホーム環境内の個人にとっては、不都合である。
【0005】
保管設備および小売店舗と同様に、薬局および院内薬局にとって、可用な薬剤を正確に管理することが重要である。可用な薬剤全般のみならず、医療関係者が使用するキット、いわゆる薬局キット内の全ての必要な物品の可用性を追跡し管理することも極めて重要である。保管設備内の保管された物品の場合と同様に、薬局キット内のこのような包装された薬剤または物品に対して、RFタグなどの電子タグを貼付して、適切な読取り機を用いてその存在を無線で追跡することが可能である。読取り機のユーザまたは読取り機自体がタグ付きの単数または複数の物品の近くに存在することを必要とする保管設備の場合と同じ欠点が、ここでも見られる。
【0006】
したがって、消耗品の在庫を便利に管理するためにホームで使用するためのこれらの在庫管理システムの欠点の1つは、RFタグの到達範囲が限定的であることに起因して、ホーム全体を充分にカバーするために可動読取り機が必要とされるということにある。接続された電子機器を用いる多くの遠隔ホームオペレーティングシステムの別の欠点は、これらのシステムの使用を操作するかまたは始動させるにあたってユーザの介入が必要であるという点にある。例えば、BluetoothまたはWi-Fiを使用した無線通信は、ホーム居住者が通信のペアリングまたは他の始動のためのオペレーションを行なうことを必要とすると思われる。したがって、接続された消耗品の存在および可用性を管理するためにホーム内で使用するための便利な在庫管理システムに対するニーズが存在する。
【0007】
さらに、従来のRFIDタグでない包装物または消耗品上の電子タグの使用は、ホーム在庫管理用のあらゆるシステムのコストを増大させると思われる。消耗品のためのこのような電子ホーム在庫管理システムは、比較的安価で用途が広く、個人のホーム全体をカバーするのに充分な到達範囲を有する必要があると思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、ユーザの介入なく有効に可用性を管理するかまたは、例えばユーザ用薬剤などの消耗品のユーザのホーム内での可用性およびステータスを管理するのに充分な情報をユーザに提供することのできる、手頃な価格のホーム在庫管理システムに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、在庫管理システムの上述の欠点の多くを克服し、ホーム在庫管理システムのための手頃な価格の便利なソリューションを提供する。本明細書中で提供されているのは、包装物用のホーム在庫管理システムにおいて:a)1つ以上の包装物からデータを無線で収集し、収集データを処理モジュールに対して伝送するように構成された定置データ収集モジュールであって、包装物が無線タグを含んでいる、定置データ収集モジュールと、b)収集モジュールからの収集データを受信し、記憶し、処理するための処理モジュールと、c)通知手段と、を含むホーム在庫管理システムであって、データ収集モジュールが、ホーム内に存在する1つ以上の包装物から、ユーザの介入無しでデータを収集するように構成されており;処理モジュールが、収集データを処理してステータス情報を決定するように構成されており;通知手段が、ステータス情報を1人以上の認定ユーザに伝達するように構成されている、ホーム在庫管理システムである。
【0010】
本発明の別の実施形態においては、ホーム在庫管理システムを用いてホーム内で、無線タグを含む1つ以上の包装物の在庫を管理する方法が提供されている。
【0011】
本発明の別の実施形態においては、包装物が薬剤容器である、ホーム在庫管理システムを含む、ホーム内での薬剤在庫管理システムが提供されている。
【0012】
本発明の別の実施形態においては、患者治療計画の患者ホーム管理方法において:患者のホームにおける患者の治療のために可用な薬剤量を決定するステップと;既定の患者治療計画内で提供された通りの薬剤に関係する来たる事象について患者に想起させるステップと;患者治療計画にしたがった可用な薬剤量を補充する必要があることまたは適切な薬剤が存在しいつでも使用可能な状態にあることを患者に通知するステップと;を含む方法であって、患者のホームにおける患者治療計画のために可用な薬剤量が、薬剤在庫管理システムを用いて決定される、方法が提供されている。
【0013】
本発明は有利にも、ホーム環境において使用するために便利である、手頃な価格の便利なホーム在庫管理システムを提供する。さらに在庫管理システムは、患者のための薬剤のホーム在庫管理に使用することができ、有利にも、患者および/または患者の介護人または他の認定された個人に対して、患者の薬剤および治療計画を考慮したその使用に関する関連ステータス情報を管理し提供することができる。
【0014】
実施形態のいずれかにある上述のホーム在庫管理システムおよび(患者の)ホーム内でのこのようなホーム在庫管理システムまたは薬剤在庫管理システムを使用する方法は、使い捨ての無線タグを用いた手頃な価格のものである。これらの使い捨て無線タグは、本明細書中に記載の在庫管理システム内で通信を始動または活動化させるためにいかなる人的介入も必要としない通信要素を含む。本明細書中に記載のこのようなシステムおよび方法は、手頃な価格であるのみならず、使用が容易である。このことは、ホーム内の居住者が、無線タグを有する包装物と中央データ処理モジュールとの通信の適正な始動または活動化をつねに確立できるわけではないことを考えると、ホームという環境内で在庫管理システムにとって極めて重要である。例えば、薬剤在庫管理システムを使用する患者は、患者のホーム内の任意のデバイスとタグをペアリングすることなどの、無線タグを有する包装物の通信開始を始動させるために何らかのステップを行なうことができないほどの障害を有している可能性がある。
【0015】
本発明の上述のおよび他の利点および目的は、添付図面と併せて本発明の実施形態の以下の説明を参照することによって、より明白となり、本発明自体がより良く理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、ホーム環境内に設置された状態のホーム在庫管理システムの一実施形態の表現である。
【
図2A】
図2AおよびBは、さまざまなタイプのデータ収集モジュールの表現である。
【
図2B】
図2AおよびBは、さまざまなタイプのデータ収集モジュールの表現である。
【
図3A】
図3AおよびBは、無線タグを含むさまざまなタイプの包装物の表現である。
【
図3B】
図3AおよびBは、無線タグを含むさまざまなタイプの包装物の表現である。
【
図4A】
図4は、低コストベースのRF通信システムの表現であり、ここで
図4Aは、無線タグの一部として通信要素を概略的に表現し、
図4Bは、通信要素と通信するためのデータ収集モジュール内の一構成を概略的に表現している。
【
図4B】
図4は、低コストベースのRF通信システムの表現であり、ここで
図4Aは、無線タグの一部として通信要素を概略的に表現し、
図4Bは、通信要素と通信するためのデータ収集モジュール内の一構成を概略的に表現している。
【0017】
複数の図全体を通して、対応する参照文字は対応する部分を標示する。図面は、本発明の一実施形態を表わしているものの、必ずしも原寸に比例しておらず、或る種の特徴部は、本発明をより良く例示し説明するために図面のいくつかにおいて誇張または省略されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明力ある概念の実施形態が以下で、該当する場合には添付図面を参照しながら説明される。これらの実施形態は、教示例として提示されており、発明力ある概念の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0019】
一実施形態において、本発明はホーム在庫管理システムを提供する。詳細には、
図1に例示されている通り、ホーム環境(1)内で定置データ収集モジュール(10)、処理モジュール(12)および通知手段(13)を含むホーム在庫管理システムが示されており、ここでデータ収集モジュール(10)は、ホーム環境内に存在する1つ以上の包装物(11)からのデータを収集するように構成されている。包装物(11)は、人間の介入無しでデータ収集モジュール(10)と通信する無線タグ(15)(例えば
図3A参照)を含む。このようなデータ収集モジュール(10)は、包装物(11)の1つ以上からのデータを無線で収集し、収集データを処理モジュール(12)に伝送するように構成されている。
【0020】
説明された通り、データ収集モジュール(10)は無線通信を介して1つ以上の包装物(11)からデータを収集するように構成されている。大部分の他の事例において、このような無線通信には、無線タグ(15)内の各々の無線通信要素との無線通信を活動化(有効化)するために、オペレータ、すなわちここではホーム環境内の居住者が必要とされる。多くの場合、これには、例えばデータ収集モジュール(10)と無線通信要素(タグ付けされた包装物上の)のペアリングなどの複数のステップが必要である。しかしながら、本発明においては、タグ付き包装物(11)とデータ収集モジュール(10)の間の無線通信にホーム居住者のユーザ介入は無い。したがって、本発明において、システムを使用する個人、すなわち、ホーム環境の居住者は、タグ付き物品(11)のいずれかまたは全てからデータ収集モジュール(10)へのデータ転送あるいは、例えばデータ収集モジュール(10)から処理モジュール(12)または通知手段(13)への後続するあらゆるデータ転送を始動させるために、いかなる無線通信も始動または活動化(有効化)させるまたはいかなる能動的ステップも行なう必要がない。したがって、システム内の無線通信に、ユーザ介入は無い。
【0021】
例えば
図3Aおよび3B中に示されている無線タグ(15、21)は、収集モジュール(10)との無線通信を確立できる任意の無線通信要素(20)(例えば
図4に示されているもののような)を含むことができる。RF無線通信は、予めデバイス/要素を有効化またはペアリングすることなく無線接続を確立する可能性を提供する。残念なことに、現在使用されている従来のRFID技術の大部分は、約2m未満の短距離でしか動作できない。この距離は、ホーム全体をカバーするには短か過ぎるものである。例えば、「改良型RFID技術」であるPCT欧州特許第2018/085985号中に記載されているような、低コストRF技術に基づく通信技術が、例えば最高約100mといったより長い距離で正確な無線通信を確立することができる。好ましい実施形態において、無線タグ(15、21)は、このような修正RFID技術を有する通信要素(20)を含む。代替的な低コストRF技術はさらに、Bluetooth低エネルギ技術、ZigBeeまたはLoRaを含むことができる。
【0022】
このような修正RFID技術を有する通信要素(20)は、包装物(11)に動作可能な形で接続されかつ任意には1つ以上のセンサ(26)(例えば
図3B参照)と接続された電子ラベル、タグまたはモジュールの形をしていてよい。このような動作可能な形で接続された通信要素は、このような包装物(11)に取付けられるかまたはその一部を成すことができ、このような包装物に対する何らかの変化を登録することができる。このような変化は、包装物内に格納されているものの使用量に結び付けられるかまたは、例えば温度などのステータスの変化に結び付けられるものである。
【0023】
図4Aに例示されているように、このような通信要素(20)の一実施形態は、RFアンテナ(22)、任意には、データ収集モジュール(10)によって送信されたデータを受信するための受信機(23)(「ダウンリンク」)、収集モジュール(10)により伝送されたRF信号上に後方散乱を用いて入射RF信号を変調し、データを変調するための変調器、および収集モジュール(10)から受信したデータの解釈およびデータ収集モジュール(10)に変調し戻すための信号の生成を目的とする処理ユニット(25)を含む。処理ユニット(25)は、一実施形態において、後方散乱RF信号としてデータ収集モジュール(10)に伝送し戻す目的でデータを変調するための直接スペクトラム拡散変調器を含み得る。通信要素(20)は同様に、通信および処理システムに動力供給するのに用いられる電源をも含み得る。通信要素(20)は、同様に、上述のような異なるセンサによるセンサデータ測定値を記憶し、センサおよびインジケータのための接続を提供するように構成されたメモリ(27)をも含み得る。メモリ(27)は、印刷メモリおよび/またはシリコン半導体ベースのメモリ、例えば通信要素上の集積メモリまたはメモリチップの形をしていてよい。
【0024】
図3Bには、上述の通りの通信要素(20)を含む無線タグ(21)が貼付された薬剤容器についての例示的実施形態が示されている。この実施形態では、タグ付き薬剤容器(21)はブリスタパックである。このようなタグ付き薬剤容器(21)は、(処理ユニット(25)とメモリを含む)通信要素(20)を含む。さらに含まれているのは、電源(24)および1つ以上のセンサ(26)である。これらのセンサは、例えば、温度、湿度または露出光強度などの、薬剤容器(21)のステータス情報を得ることができる。これらのセンサ(26)はさらに、ピルポケットシール(28)の物理的形状の変化(または剥ぎ取り)を検出するセンサを含むことができる。さらに、タグ付き薬剤容器(21)は、例えば薬剤容器が使用準備完了状態にあるか否かを標示するため、ユーザ/患者にフィードバックを提供するべく、LEDまたは圧電ブザーであり得るステータスインジケータ(29)を含むことができる。
【0025】
通信要素(20)と組合せた状態で、本発明の一実施形態において、データ収集モジュール(10)は、(
図4Bに示されているように)、少なくとも1つのアンテナ(44)、アンテナ(44)を介して通信要素(20)に対してRF信号を伝送するように構成された送信機(46)、および通信要素(20)からの後方散乱RF信号を受信するように構成された受信機(48)を含む。データ収集モジュール(10)における少なくとも2つのRFアンテナの存在、アナログキャリア相殺、デジタルキャリア相殺および高域フィルタの使用のうちの1つ以上から選択された自己干渉緩和用手段が、データ収集モジュール(10)における送信信号と受信信号の間の干渉を最小限に抑えるために、さらに含まれている。一実施形態において、データ収集モジュール(10)は同様に、詳細には受信信号の復調、処理およびプロトコルハンドリングのための処理ユニット(50)をも含んでいる。通信要素(20)から受信した信号が、直接スペクトラム拡散変調器によって変調される場合、復調はデスプレッダであり得る。
【0026】
無線タグ(11)内に含まれた通信要素(20)と定置データ収集モジュール(10)の間の通信は、通信要素(20)の動力供給ならびに通信要素(20)内の内部クロック信号の生成を刺激する目的でデータ収集モジュール(10)からの伝送の開始時における連続波(CW)バーストを使用するエアインタフェースプロトコルを通して達成可能である。CWバーストの後には、データ収集モジュール(10)によりキャリア上でAM(振幅変調)として伝送される指令コードが続く。通信要素(20)は、指令を処理し、帰還信号を生成するべくデータ収集モジュール(10)からの入射CW信号上にASK(振幅シフトキーイング)またはPSK(位相シフトキーイング)を適用することによって、アンテナを負荷変調することで応答する。有利な実施形態においては、通信要素(20)はさらに、RF信号の位相変調のための2値振幅位相シフトキーイング位相変調器、または2値位相シフトキーイング位相変調器を含み得る。
【0027】
処理モジュール(12)は、収集モジュール(10)からの収集データを受信、記憶および処理することができる。収集データの処理は、収集データ、例えば使用データを、処理モジュール(12)内に記憶されたデータと比較してホームまたは住宅(1)内に存在する包装物(11)のステータスを決定する形をとることができる。ステータスは、例えば、包装物(11)の残存単位、使用期限(または期限超過)、温度などを含む。収集データは同様に、例えば、包装物(11)が薬剤容器(30)である場合、予め設定された服薬方式と比較することもできる。同様にして、消耗品である包装物(11)についての収集データを、このような消耗品の予め設定されたまたは既定の使用と比較することができる。処理モジュール(12)は、このような比較の結果に基づいて、包装物(11)のステータスに関するホームオーナまたは患者に対する通知手段(13)を介したフィードバックを始動させることができる。処理モジュール(12)は、任意のコンピュータ制御の処理ユニットであり得、かつ、例えばクラウド上に常駐できるか、またはホーム環境の外にある外部サーバである、ということが理解される。本発明の一部の実施形態において、処理モジュール(12)は、データ収集モジュール(10)の一部である。したがって、定置データ収集モジュール(10)および処理モジュール(12)は、ローカル(宅内)データ収集および処理ハブである。
【0028】
通知手段(13)は、任意のユーザインタフェース、例えばスマートホン、スマートタブレット、パーソナルコンピュータ、データ収集モジュール上の一体型スクリーンまたは無線タグ(21)上または包装物(11)上の一体型ディスプレイであり得る。したがって、この通知手段(13)を、データ収集モジュール(10)および処理モジュール(12)と一体化させて、ホームまたは住宅(1)と共に位置設定される単一の定置ハブとすることができる。通知手段(13)は、ホーム在庫管理システムのユーザに対して既定のメッセージを送ることができるだけでなく、ステータス情報を表示することもできる。
【0029】
本明細書中に記載されているように、ステータス情報は例えば、ホームまたは住宅(1)内の包装物(11)の存在、識別、使用期限、認証、存在量、使用量および保管条件情報を含む。
【0030】
ホーム在庫管理システムの認定ユーザを規制することが可能であり、予め設定された認定ユーザ群をシステムの初期インストールまたは始動時に識別することができ、かつ時々修正することが可能である。このような認定ユーザは例えば、ホーム現住者および/または収集データおよびステータス情報にアクセスできるようホーム現住者により認定された1人以上のユーザである。
【0031】
本発明のホーム在庫管理システムは包装物(11)のステータスを規則的時間間隔で決定するかまたは、ホームまたは住宅(1)における包装物(11)のステータスを決定するようにプロンプトを受けることができる。存在する任意の包装物(11)のステータスの決定は、人的介入なく本発明のホーム在庫管理システムによって実施される。したがって、ホーム居住者は、ホームまたは住宅(1)内に持ち込まれたさまざまな物品を初期ペアリングするかまたは継続的にペアリングする必要がない。ホーム在庫管理システムは、包装物(11)についてホームをスキャンするため次の時間間隔の満了時点でホームまたは住宅(1)内のいずれかの(新しい)包装物(11)の存在(または不在)を記録する。このような時間間隔は、5秒毎乃至一日一回というデータ収集のための規則的時間間隔である。本発明の一実施形態において規則的時間間隔は1分毎乃至4時間毎である。好ましくは、規則的時間間隔は、1時間毎乃至4時間毎である。
【0032】
さらに、無線タグ(15)は、通信要素(20)と通信状態にある1つ以上のセンサ(26)から得られた情報あるいは他の任意の入力手段を介して、例えば購入時点または包装物(11)を薬局などで得るときに無線タグ(15)上にデータをロードするためにコンピュータインタフェースを用いてタグにロードされた情報を含んでいる。一部の実施形態においては、無線通信タグ(15)は、そのメモリ(27)内に記憶された情報、例えば包装物がどこで入手されたか(例えば薬局などの包装物配給ポイント)およびホーム内に居住するどの個別のユーザに対して包装物が割当てられるべきかの情報を用いてプログラミング可能である。これは、ユーザが、ホーム在庫管理システムを用いる多数の居住者のいるホーム内の居住者である場合(例えば多数の患者のいるホーム内の患者)に、極めて有利である。
【0033】
包装物(11)が薬剤容器である実施形態において、ホーム在庫管理システムは患者薬剤在庫管理システムとして使用される。このような事例においては、ホームは、1人以上の患者が居住する住宅、例えば患者のホームまたは老人ホーム、クリニック、長期介護施設または病院であり得る。一部の実施形態において薬剤在庫管理システムは、薬局においても使用可能である。ホーム在庫管理システムが薬剤在庫管理システムであるこのような実施形態のいずれにおいても、包装物(11)は、ブリスタパック、バイアル、シリンジ、薬剤送達デバイスまたはピルボトルであり得る。
【0034】
本明細書中に記載のこのような薬剤在庫管理システムにおける収集データは、薬剤容器内の薬剤を識別するデータおよび薬剤の保管および使用データに関するものである。一部の実施形態において、処理モジュールはさらに、薬剤に関する収集データを、処方を受け薬剤を摂取しているホーム内に居住する患者のための既定の薬剤服用計画と比較して患者薬剤ステータス情報を決定するように構成されている。患者薬剤ステータス情報は、存在、識別、使用期限、認証、使用頻度、使用した服用量、保管条件、および薬剤可用性情報のうちの1つ以上を含む。さらに薬剤可用性情報は、既定の薬剤服用計画にしたがって患者が摂取すべき薬剤の可用性についての情報を含む。
【0035】
さらに、無線タグ(15)は、薬剤特異的情報、例えば処方箋情報、処方箋作成日、薬局における処方箋についての禁忌を用いてプログラミング可能である。したがって、無線タグ(15)は同様に、薬剤名、製品コード、服用量、バッチ番号、ロット番号、使用期限年月日、保管温度、相対湿度、製造日、保管時の光強度およびこれらの組合せも含んでいる。一定の実施形態において、無線タグ(15)はさらに、1つ以上のセンサ(26)とインタフェースされている。これらのセンサ(26)は、例えば温度データなどの薬剤のステータスに関する関連データを獲得する。
【0036】
本発明のさらなる実施形態において、無線タグ(15)はさらに、薬剤のステータス情報を受信し表示するように構成されている。ステータス情報のこのような表示は、例えばLED灯、英数字またはグラフィックディスプレイまたは圧電ブザーなどの出力手段を介したものである。代替的には、ステータス情報は、ユーザフィードバック用ボタンなどの入力手段を介してかまたは包装物の物理的形状変化を介して受信される。包装物のこのような物理的変化は、例えば包装物のストリップまたは開口部の剥ぎ取りであり得る。ユーザはこのような入力手段を活動化させて、薬剤のステータス情報を提供するかまたは薬剤のステータス情報に関する応答を要求することができる。
【実施例】
【0037】
実施例1
薬剤ホーム在庫管理に関する例示的実施形態には、患者の住宅/ホーム内の薬剤の自動監視が含まれる。一患者が、そのマルチドーズ型治療の一部として一薬剤の購入予約を行った。医薬品梱包材料は、本明細書中で説明されている通りのインテリジェントパッケージングソリューション、すなわち無線タグを含む薬剤容器を格納している。医療提供者から処方箋を受け取った後、患者は、その医薬品の最初の数回分の服用量を入手するために薬局を訪れる。薬剤師は、患者に対して特定の医薬品単位を割当てる患者の購入予約および医薬品パッケージをスキャンする。割当ておよび購入予約情報は、オンラインサービスプロバイダと共有される。同時に、医薬品の真正性および使用期限情報が確認される(サービスプロバイダは、単一の各医薬品単位の一意性およびステータスを追跡する)。サービスプロバイダはここで、患者に対してどの医薬品が供給されたかおよび患者が医薬品一回服用量をいつ摂取すべきかを知ることになる。任意には、スキャン中に、購入予約情報は同様に、インテリジェントパッケージング内に記録される、すなわち無線タグ/通信要素のメモリ内に記憶される。薬局とサービスプロバイダの間に直接通信チャネルが全く存在しない場合には、サービスプロバイダに対し二次情報交換チャネルが提供される。
【0038】
患者は、薬局から患者が入手した薬剤を携えて、本明細書中に記載のソリューションを備えた患者のホームに入る。定置ユニットまたはハブ(すなわち定置データ収集モジュール(10))は、薬剤の存在を検出し、サービスプロバイダと各々の単一の検出された薬剤単位の一意的IDを共有する。サービスプロバイダは、患者の住宅/ホームで現在も可用である薬剤単位数を追跡し、サービスプロバイダがすでに薬局から情報を受取っている場合には、クロスチェックを行なうことができる。欠如している医薬品単位が無いか、そして医薬品単位が患者に割当てられたものであるか否かが確認される。
【0039】
定置ユニットは、検出された薬剤単位のステータスを継続的に監視し、該当する場合患者とインタフェースするサービスプロバイダの処理モジュールに対してこの情報を提供する。監視されているステータス情報および提供されるサービスには、以下のものが含まれる:
・ 温度および相対湿度などの環境条件の監視: 受容可能な範囲外である場合、サービスプロバイダは患者に通知し、薬剤を異なる場所に保管することを提案する。
・ 使用期限年月日チェック: 薬剤がまもなく使用期限に達するという起り得ない事態が発生した場合、またはこの薬剤についてリコール実施が審理中である場合、患者に対して交換のために薬剤を薬局に返還するように通知され、要請される。
・ 存在検出: 定置ユニットは、もはや薬剤単位を検出できなくなった場合、サービスプロバイダに通知し、サービスプロバイダはそのとき、患者にさらなる明確化を要請することができる。さらに、サービスプロバイダは、患者が薬剤を使い果たしてしまった時点でそれを患者に通知するか、さらには新たな薬剤供給を自動的にアレンジすることができる。
・ 使用ステータス監視: 薬剤の潜在的使用を標示するパッケージの物理的状態変化は、定置ユニットによって検出され、サービスプロバイダにより記録される。この状態変化は、購入予約情報と整合される。さらに、不整合の場合(予期されたステータス変化が全く記録されなかった、予期せぬステータス変化が検出された)、サービスプロバイダは患者に対しさらなる明確化を要請する。記録された情報の概要がサービスプロバイダによって患者に提供され、かつ/または自動的に医療提供者と共有され得る。
【0040】
さらに、提供されるサービスには同様に、例えば、資産管理、偽造防止、消耗品または薬剤の生産者のためのデータインサイト、医療従事者(HCP)のための遵守監視、および自動在庫管理および販売業者および薬局向けの予測、なども含まれ得る。
【0041】
実施例2
ホーム在庫管理に関する1つの例示的実施形態に、住宅/ホーム内の消耗品の監視も含まれる。ホームオーナは、家の中の一室を新しい塗料カバーで覆う決心をする。塗料店に着いた後、ホームオーナは、家の一室を最後に塗装したときの残存塗料が存在し得ることに気付く。単純にさらなる塗料を購入する代りに、ホームオーナは、スマートホンを使用し、ホーム在庫棚卸しサービスと接続する。棚卸しサービスは、ホーム内に設置された定置データ収集モジュールと接続し、それに完全なスキャンを行なうよう命令する。ハブは、各々の検出されたインテリジェントパッケージ(すなわち無線タグを含む包装物または消耗品)の情報を読取り、それをサービスプロバイダに戻す。サービスプロバイダは、塗料と結び付けられている製品IDをサーチし識別し、そのデータベース内でパッケージがいつ開封されたか(この事象は、塗料が初めて使用されたときに記録されたものである)をチェックし、開封済み容器の保存可能期間が使用説明書内にある推奨保存可能期間を超えていないか確認する。
【0042】
このとき、ホームオーナには、例えば残存塗料が1年以上前に最後に使用されたものであるといったステータスが通知され、したがって在庫棚卸しサービスは新しい塗料を購入することを勧める。帰宅後、ハブ(すなわち定置データ収集モジュール)は、新しい塗料缶を検出し、サービスプロバイダに対しそれを在庫に入れることを知らせる。数日後、ホームオーナは、最初の塗料層を塗布することに決め、缶を開封する。ハブは開封事象を検出し、サービスプロバイダにそれを記録するよう命じる。ホームオーナは、最適な結果を得るためには相対湿度80%の場合に第一層の後24~26時間以内に第2の塗料層を塗布する旨を明確に記している使用説明書を読むのを失念した。ホーム在庫管理システムは、注意喚起サービスを含んでいた。この注意喚起サービスは、(ホームオーナが開封直後に第1層の塗布を開始したものと仮定して)塗料缶の開封と、この場合は浴室の80%よりやや高い相対湿度(缶が塗装中の部屋に残っているという条件で)との間の経過時間を追跡する。
【0043】
最終的に、塗料缶の開封から約25時間後(24時間+RHとの関係における補正)、ホームオーナは、自らのスマートホン上で注意喚起サービスから、次の塗料層を塗布することを提案する注意喚起を受信する。
【0044】
本発明は、好ましい設計および特徴を有するものとして図示され説明されてきたが、本発明は、本開示の精神および範囲内で修正され得る。したがって本出願は、その一般原理を用いた本発明のあらゆる変形形態、使用または適応を網羅するように意図されている。さらに本出願は、本発明が関連する技術分野における公知のまたは慣習的実践の範囲内に入るものとして本開示に対するこのような逸脱を網羅するように意図されている。
【国際調査報告】