(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20221027BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20221027BHJP
【FI】
B65H37/04 A
B65H37/04 Z
B29C64/118
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504121
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 IB2019056252
(87)【国際公開番号】W WO2021014192
(87)【国際公開日】2021-01-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518371881
【氏名又は名称】エッセ・エ・イ ソチエタ ペル アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】エットレ フスティノーニ
【テーマコード(参考)】
3F108
4F213
【Fターム(参考)】
3F108GA09
3F108GB01
3F108GB10
3F108HA04
3F108HA13
4F213AA24
4F213AC02
4F213AG01
4F213AR07
4F213AR08
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL27
4F213WL67
4F213WL96
(57)【要約】
紙加工産業のアイテム(40)を処理するシリンダ(20、30)用のプレート(22、32)を準備する方法が記載されており、この方法は以下のステップを含んでいる。紙加工産業のアイテム(40)に作成すべき処理パターン(50)を取得し、この処理パターン(50)に従って、処理プロファイル要素(25、35)に関する3D参照モデルを作成し、少なくとも1つのポリマー材料の印刷ノズル(80)によって、前記処理プロファイル要素(25、35)の3D参照モデルに従って、ポリマー材料好ましくは熱可塑性ポリマー材料の積層造形法により、前記プレート(22、32)への前記処理プロファイル要素(25、35)の造形を実行する。前記プレート上に積層造形法により堆積されたポリマー材料、好ましくは熱可塑性ポリマー材料の少なくとも1つの処理プロファイル要素(25、35)を備えた、紙加工産業のアイテムを処理するためのプレート(22、32)に加えて、前記プレート(22、32)を準備する装置(250)も記載されている。
【選択図】
図3b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙加工産業のアイテム(40)を処理するシリンダ(20、30)用のプレート(22、32)を準備する方法であって、この方法は、以下のステップを含む、
a)前記紙加工産業のアイテム(40)に対して作成すべき1つの処理パターン(50)を取得し、
b)前記処理パターン(50)に従って、処理プロファイル要素(25、35)に関する1つの3D参照モデルを作成し、
c)少なくともポリマー材料を前記プレートに印刷するための印刷(堆積)ノズル(80)によって、前記処理プロファイル要素の前記3D参照モデル(25、35)に従って、前記ポリマー材料、好ましくは熱可塑性ポリマー材料の積層造形法により、前記プレート(22、32)上への前記処理プロファイル要素(25、35)の造形を実行することを特徴とする紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法。
【請求項2】
前記積層造形法は、熱溶解積層法(FDM)のプロセスであることを特徴とする請求項1に記載の紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法。
【請求項3】
前記積層造形法は、3Dプリンタ(200)によって実行され、前記3Dプリンタは少なくとも1つの、好ましくは加熱された、前記印刷ノズル(80)を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法。
【請求項4】
前記ポリマー材料の積層造形法により、前記プレート(22、32)上への前記処理プロファイル要素(25、35)の造形を実行するステップにおいて、前記プレート(22、32)は、支持面(90)または円筒状の支持体(91)上に配置されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法。
【請求項5】
前記プレート(22、23)は、磁気的に前記支持面(90)または前記円筒状の支持体(91)に固定されることを特徴とする請求項4に記載の紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法。
【請求項6】
前記印刷ノズル(80)によって印刷される前記ポリマー材料がPTEGであり、および/または前記プレート(22、32)の少なくとも1つが前記ポリマー材料、好ましくはPVCであることを特徴とする請求項4~5のいずれか1項に記載の紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法。
【請求項7】
前記印刷ノズル(80)が、少なくとも1つの軸(X)に沿って、好ましくは、互いに垂直な少なくとも2つの軸(X、Y)に沿って移動可能であることを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法。
【請求項8】
前記支持面(90)または前記円筒状の支持体(91)が少なくとも垂直軸(Z)に沿って移動することを特徴とする請求項4~7のいずれか1項に記載の紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法。
【請求項9】
前記円筒状の支持体(91)がそれ自体の回転軸の周りで回転可能であることを特徴とする請求項4~8のいずれか1項に記載の紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法。
【請求項10】
前記積層造形法による前記プレート(22、32)への前記処理プロファイル要素(25、35)の造形が、複数の積み重ねられた層(70)の形成を含むことを特徴とする請求項4~8のいずれか1項に記載の紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法。
【請求項11】
前記印刷ノズル(80)が、前記ポリマー材料、好ましくは熱可塑性材料を、前記3D参照モデルに従って好ましくはワイヤの形態で印刷し、それがプレート(22、32)上に堆積されて、少なくとも1つの処理プロファイル要素(25、35)を生成する複数の重ねられた層(70)を形成することを特徴とする請求項10に記載の紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法。
【請求項12】
少なくとも1つの前記処理プロファイル要素(25、35)の前記ポリマー材料の少なくとも1つの層(70)が、好ましくは前記ポリマー材料の冷却および/または凝固の結果として、前記プレート(22、32)に恒久的に付着することを特徴とする請求項10又は11に記載の紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法。
【請求項13】
前記処理プロファイル要素(25、35)の堆積パラメータを表示および/または修正する1つのステップが提供され、
前記処理プロファイル要素(25、35)の前記堆積パラメータは、好ましくは、少なくとも、前記堆積表面に対する前記印刷ノズル(80)の高さ(h)、前記堆積表面に対する前記印刷ノズル(80)の変位速度、又は前記ポリマー材料の供給速度のいずれか、または、前述のパラメータの任意の組み合わせを含んでいることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の方法に従って、前記紙加工産業のアイテム(40)を処理するシリンダ(20、30)用の前記プレート(22、32)を準備する装置(250)であって、
前記装置は、少なくとも1つの印刷ノズル(80)を備えており、前記印刷ノズルにより、前記処理プロファイル要素(25、35)の3Dモデルに基づいて、積層造形法により、少なくとも1つの前記プレート(22、32)上へのポリマー材料、好ましくは熱可塑性ポリマー材料を堆積して前記処理プロファイル要素(25、35)を製造することを特徴とするプレートを準備する装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、
前記プレート(22、32)のための少なくとも1つの支持面(90)または円筒状の支持体(91)を備えており、前記印刷ノズル(80)は、少なくとも1つの軸(X)に沿って、好ましくは前記プレート(22、32)が配置される表面に実質的に平行な平面X-Y上で移動可能であることを特徴とするプレートを準備する装置。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか1項に記載のポリマー材料の積層造形法によって前記プレート上に堆積された、前記ポリマー材料、好ましくは前記熱可塑性ポリマー材料の少なくとも1つの処理プロファイル要素(25、35)を備えた、紙加工産業のアイテムを処理するプレート(22、32)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙加工産業において、アイテムを処理するためにシリンダの外表面に固定されるように構成されたプレートを準備する方法および装置に関する。
「紙加工産業」という用語は、本明細書では、厚紙、カードストックおよびそれらと同様の素材の使用、およびそれらの素材の変形および/または装飾を提供する技術分野を示すために使用される。例えば、カードやはがきを作成するため、および、折りたたんで箱、入れ物などを作成するために、例えば、包装およびマイクロ包装のために、および、素材に装飾、文字または記号を印象付けるために、その素材の部分を適切に処理する、つまり、素材を折りたたみ、カットし、装飾するような、技術分野を示すために使用される。
「紙加工産業のアイテムの処理」という表現は、本明細書では、例えば、厚紙、カードストック、および同様の素材に対する折り目付けまたはエンボス加工などの処理方法を示すために使用される。
【背景技術】
【0002】
紙加工産業では、紙加工産業のアイテムに対して折り目付け、つまり厚紙やカードストックに折り線などを付ける方法が実行され、これが、厚紙やカードストックの折り畳みを助け、変形やひび割れを回避することが知られている。また、厚紙やカードストックにエンボス加工つまりシンプルなモチーフやデザインの切り込みや印象付けを行うことも知られている。
折り目付けやエンボス加工は、一対の逆回転ローラに固定されたそれぞれの金属プレートに配置された突出プロファイルと、必要に応じてこれに対応する凹部プロファイルとを使用して行うことができる。一般に長方形の形状を有する、処理される厚紙またはカードストックの部分は、一対の逆回転するローラの間に挿入されると、相対的な凹部プロファイルと結合する突出プロファイルによって成形され、刻印または切り込みが入れられる。
したがって、厚紙またはカードストックを処理するシステムでは、その表面に突出プロファイルおよび相対的な凹部が配置されている、一対の逆回転ローラを使用することが知られている。
【0003】
特許文献1は、紙加工産業のアイテムを折り目付けするための機械を開示しており、この機械は、厚紙およびカードストックの処理を実行するように構成され、凸部および凹部を有する可撓性の金属板を収容する、2つの逆回転シリンダを備えている。
2つのシリンダの1つには凸部が設けられているのに対し、反対側のシリンダには、前記凸部に対応するシートまたは凹部(一般に窪み)が設けられている。この凸部と凹部が共同して、厚紙とカードストックの処理を実行する。
この機械では、例えば、凸部を備えた金属板が第1のシリンダに磁気的に付着され、凹部を備えた第2のプレートが第2のシリンダに貼り付けられている。
【0004】
このような機械では、凸部/凹部が、一対の逆回転シリンダで使用されるプレートと一体に提供される。したがって、別の処理パターンを実行するためには、異なる配置の凸部/凹部を有するプレートと完全に交換する必要があるので、用途は広くないという欠点がある。
したがって、この機械は、異なる処理パターンを作成するのに、迅速に適応させたり変更したりすることはできない。
【0005】
この欠点に対処するために、折り目付け用の処理プロファイルが使用されている。これは、例えば接着剤によって、逆回転シリンダに取り付けられるプレートに形成される。
例えば、処理操作を実行するように改造されたインク印刷機が知られている。より詳細には、逆回転する2つのローラの円筒面に、第1のプロファイルバンドと、これに対応するカウンタープロファイルバンドとが取り付けられている。これら第1のプロファイルとカウンタープロファイル(凸部/凹部、あるいは、雄型タイプおよび雌型タイプのプロファイルとも呼ばれる)の位置決めは、支持プレートにより逆回転する印刷ローラの表面に固定されたプレートに、接着剤プロファイルをさらに接着することによって実行される。
【0006】
このような接着剤プロファイルの配置は、プレートと一体に作られたプロファイルを有する他の既知の機械と比較して、その機械に、より大きな多様性および適応性をもたらす。しかし、このようなシステムでさえ欠点がないわけではない。
実際、接着剤プロファイルの手作業による形成は、例えば、参照グリッドを使用して、非常に精密かつ正確に行う必要があり、凸部/凹部が完全に一致しないミス、一般に、雄型プロファイルと対応する雌型プロファイルとの完全一致のミスが発生するリスクがある。
【0007】
カードストックを処理するための目的のパターンを取得するために、2つの異なるプレート上の正しい位置に2つのプロファイルを形成する必要があるが、その操作を行うオペレータによる高精度な作業が要求されることに加えて、それらのプロファイルを運ぶのに必要な時間が望ましくないほど長くなるという問題がある。例えば、非常に大きなプレートおよび/または複雑で詳細な処理プロファイルの場合、そのような操作は数時間にもなる可能性がある。
【0008】
この欠点に対処するために、出願人は、例えば、紙加工産業の折り目付けアイテムのために、半自動化された方法により、紙加工産業のアイテムの処理プロファイルを取得する方法および装置を開発した。それは、オペレータが手作業で形成する折り目付けプロファイル要素に対応する構成の開口部を作成するために、参照シートをプレート上に配置し、事前に選択されたパターンに従ってレーザーで切開するものである。
このシステムは、レーザーの使用により、プロファイル要素の配置を、既知の方法および装置と比較して、より高い精度で正確に行うことを可能にする。
【0009】
特許文献2によれば、ポリマー材料による処理プロファイルの接着も知られている。このポリマー材料は、必要なプロファイルで押し出され、次に交差結合/硬化を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US2004/0214703A1
【特許文献2】EP2572037B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ポリマー材料の交差結合/硬化を実施することの必要性は、処理プロファイルの製造に必要な時間を延長することに加えて、特にプロファイルの寸法が縮小されたときに、処理プロファイルの所望の形状を正確かつ精密に得ることができないという課題がある。
実際、ポリマー材料の交差結合/硬化相は、望ましくない効果を生み出す。特に、交差結合/硬化相は、形状の変化を引き起こし、したがって、押し出された形状に対するポリマー材料の寸法を変化させる。したがって、交差結合/硬化が終ったときに、プロファイルの形状および寸法は、必ずしも所望の形状および寸法に対応しているとは限らない。
さらに、ポリマー材料のその後の、硬化を伴う押出方法において、押出された材料の形状(および特に部分)は、必然的に、押出部分の形状に依存する。押し出し方法のこのような特徴は、必然的に、得られる形状を押し出し形状に制限する。
【0012】
本発明の目的は、プレートを準備する方法および装置をさらに改善し、この準備方法および装置の多様性を増大させることに加えて、プレートを準備するために必要な時間をさらに短縮し、生成される処理プロファイルの形状と寸法に関して高い精度を保証することにある。
【0013】
これに関して、今日、例えばデジタル印刷、特にインクジェット印刷において、外部でカスタマイズされた小さなバッチを作成する必要性がますます認識されており、したがって、異なる印刷物を非常に迅速に作成する必要がある。例えば、包装およびマイクロ包装の分野、特に香水、宝飾品、高品質の食品および飲料などの高級製品の包装の分野、ならびにパンフレットまたはカスタマイズされたフォルダーの製造分野では、製造される製品を継続的かつ迅速に変更するために、大きな柔軟性が必要である。市場に出回っている新しい印刷技術はそのような適応性を提供することができるが、予想できるように、その処理は、作成される様々なパターンに対して、短い時間スケールで迅速に適応できないという欠点がある。
【0014】
本発明の目的は、作成すべき処理パターンに従って処理プロファイルを迅速かつ簡単に、また精密に配置することを可能にする、紙加工産業のアイテムの処理プレートを準備する方法および装置を提供することである。
本発明のさらなる目的は、様々な製造方法で必要とされる異なる折り目の製造精度および柔軟性を高めることのできる、処理プレートを準備する方法および装置を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、上記従来技術の、使用される材料を硬化する必要性およびポリマー材料のその後の架橋/硬化手順の実行に起因する費用と時間がかかる欠点を克服した、処理プレートを準備するための方法および装置を提供することである。
本発明のさらなる目的は、所望の形状および寸法の処理プロファイルを得る可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの目的および他の目的は、それぞれ独立した請求項の方法および装置によって達成される。本発明のさらなる特徴/態様は、従属請求項から推測できる。
【0017】
特に、本発明の一態様によれば、紙加工産業のアイテムを処理するプレートを準備する方法の提供であって、このプレートは、例えば、紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ上で、例えば、紙加工産業のアイテムのエンボス加工の折り目付けのために使用されるように構成され、この方法は次のステップを含んでいる。
-a)紙加工産業のアイテムに対して作成すべき1つの処理パターンを取得し、
-b)前記作成すべき処理パターンに従って、処理プロファイル要素の1つの3Dモデルを作成し、
-c)少なくともポリマー材料を前記プレートに印刷するための印刷(堆積)ノズルによって、前記処理プロファイル要素の前記3D参照モデルに従って、前記ポリマー材料好ましくは熱可塑性ポリマー材料の積層造形法により、前記プレート上への前記処理プロファイル要素の造形を実行する。
【0018】
この解決策の利点は、機械の準備をスピードアップし、目的の処理パターンへの適応という点で柔軟性が高いのに加えて、より高い精度を提供することができるという事実にある。
実際、紙加工産業のアイテムに形成すべき処理パターンを取得することにより、目的のパターンに従ってプレートに形成すべきプロファイル要素(つまり、処理プロファイルの部分または細片)に関する1つの3Dモデルを、例えばモデリングソフトウェアを使用して、迅速かつ簡単に作成することが可能になる。
処理パターンの取得後の、処理プロファイルの造形は、積層造形法によって実行されるため、非常に単純で精密であり、例えば、当技術分野で3D印刷または3次元印刷として知られている方法によって実行されるので、オペレータの手作業による介入の必要はない。3D印刷技術の例は、米国特許5121329に記載されている。
【0019】
さらに、様々な処理プロファイルを必要に応じてプレートに素早く転写できるため、処理プレートの準備が迅速かつ簡単になり、信頼性も高くなる。特に、積層造形法は、堆積(または印刷)ノズルを用いて、ポリマー材料、好ましくは熱可塑性ポリマー材料を、層状または連続したセグメントに堆積させることによって実行され、複数の層が、目的のプロファイルが得られるまで、(例えば、積み重ねによって)、互いに追加される。
【0020】
本発明の一態様によれば、2つ以上の層、好ましくは3つ以上の重ねられた層が堆積される。
この技術により、所望の形状の処理プロファイル要素を、正確かつ信頼できる方法で得ることができる。
実際、本発明の一態様によれば、積層造形法は、ポリマー材料の少なくとも2つの層、好ましくはポリマー材料の複数の層の堆積によって、所望の形状および寸法を有する処理プロファイル要素の、正確な形成を可能にする。本発明によれば、特許文献2に記載されている既知の押出方法とは異なり、処理プロファイル部分は、印刷ノズルの部分に依存しない。
【0021】
特に、このようにして得られた処理プロファイル要素の部分は非常に正確である。実際、積層造形法における連続量のポリマー材料の堆積は、例えば、交差結合/硬化などのポリマー材料の堆積後にさらなるステップを実行する必要なしに、処理プロファイル要素を形成できる利点がある。他方、例えば、特許文献2に記載されているようにポリマー材料が使用される場合には、交差結合/硬化などのステップが必要である。
【0022】
有利なことに、本発明による方法および装置は、紙加工産業のアイテムに対して、高品質の処理を提供することができる。実際、製紙産業のアイテムは、その処理(例えば、折り目付け)が精密かつ正確に行われているものが高品質であり、特に、例えば、折り目は最も完全で正確なものでなければならないなど、特定の要件に準拠している必要がある。言い換えれば、紙加工産業のアイテムは、一度実行されると、その処理プロセス中に取得された構成のままとなる。さらに、紙加工産業界のアイテムの折り目は、しわや裂け目がなく、精密でなければならない。
紙加工産業のアイテムの処理において遵守しなければならないさらなる要件は、アイテムの機械的強度の特徴を損なわずに、所望の折り目を作成することである。すなわち、折り目プロファイルは、適切な圧力または力を加えて、アイテムに望ましい折り目を印象付ける必要があり、そして、厚紙またはカードストックは、例えば、ユーザーが繰り返し開閉サイクルを行った場合にも、作成された折り目の部分で破損しないことである。
【0023】
本発明は、有利なことに、前述のような紙加工産業のアイテムの品質処理に必要な要件である形状および寸法に関して、雄型処理プロファイルおよび雌型処理プロファイルを高精度で取得することを可能にする。
処理パターンという用語は、ここでは、幾何学的形状および/または線および/またはドットによって、カードストック上または紙加工産業界の処理される同様のアイテム上に形成される、デザインを示すために使用される。
例えば、処理パターンは、折り目プロファイルを作成するための複数の線、および/または、エンボス加工および/または点字記号を生成するための複数のドットを含むことができる。実施される処理が形状のエンボス加工である場合、前記パターンは、1つまたは複数の線を含み、そして、一般に、パターンの要素の形状または印象付けられる形状に対応した形状を含んでいる。
【0024】
以下では、プロファイル要素(すなわち、処理プロファイルの部分)は、突出部を備えた雄型プロファイルと、凹部また窪みを備えた雌型プロファイルの両方を参照して、また、相互に結合された雄型プロファイルと雌型プロファイルを参照して、単に、処理プロファイルとして示すこともできる。
処理パターンの取得という用語は、ここでは、処理プロファイル要素の3Dモデルが幾何学的形状の処理を含むパターンやデザイン、または、線またはドット(またはそれらの組み合わせ)に基づいて(その関数として)、作成されることを示すために、使用されることにも注意する必要がある。言い換えれば、処理する幾何学的形状、または処理線またはドット(またはそれらの組み合わせ)を含むパターンまたはデザインは、好ましくは、ポリマー材料の積層造形法によりプレートに造形される、処理プロファイル要素の3Dモデルを作成するための入力データとして使用される。
3Dモデルの作成、したがってその生成またはモデリングは、紙加工産業のアイテムに対して実行される処理パターンに基づく3次元モデリングソフトウェアを用いて、既知の方法で実行できる。
【0025】
可能な実施形態によれば、処理パターンは、例えば、制御ユニットによりメモリユニットのストレージへ記憶することにより利用可能となり、また、前記パターンを既知の方法で、制御ユニットに転送することもできる。この処理パターンは、例えば、pdfまたは他のタイプのファイル形式で保持することができ、これには、例えば、カードストックに印刷されるグラフィックス、カードストックのダイカットラインなどに関連する他の情報を含むことができる。例えば、処理パターンは、他の情報を含むファイルの層を表すこともできる。
【0026】
プレートに形成すべき処理プロファイル要素の3Dモデルは、取得された(例えば、入力データとして提供された)線、ドット、および形状(またはそれらの組み合わせ)の処理パターンに基づいて作成される。
本発明の一態様によれば、処理プロファイル要素の3D参照モデルは、(例えば、制御ユニットのモデリングソフトウェアによって)作成すべきパターンの処理線、ドット、形状(またはそれらの組み合わせ)に従って決定され、
前記3D参照モデルにより、前記処理プロファイル要素の積層造形法、特に、3D印刷プロセスが、プレート上で直接実行される。
特に、プロファイル要素の寸法および/または形状は、作成すべきパターンの処理線、ドット、形状(またはそれらの組み合わせ)に従って、(例えば、制御ユニットのソフトウェアによって)決定される。
【0027】
本発明の一態様によれば、前記3D参照モデルは、後の処理プロファイルを再現するために、既存の実際のモデルをスキャンすることによって生成できる。前記スキャンは、3Dスキャナーによって実行することができる。この場合、前記処理パターンは、既存の実際のモデルを利用可能にして、例えば、3Dスキャナーを使用してスキャンを実行することによって取得できる。
【0028】
本発明の一態様によれば、処理プロファイル要素は、3D印刷方法によって、特に、例えば、熱溶解積層法(FDM)などの積層造形技術によって、プレート上に直接印刷される。
【0029】
処理プロファイル要素は、前記製造技術により、プレート上に複数の層として堆積され、印刷される。好ましくは、複数の層が連続して堆積される。本発明の一態様によれば、積層造形法は、プレートを準備する装置(以下、簡単に、プレート準備3Dプリンタ、と表記することもある)によって実行され、この装置は少なくともノズルを含んでいる。好ましくは、このノズルは加熱されている。あるいは、ポリマー材料が印刷ノズルに到達する前に固体の形態(例えば、細長片、フィラメント、またはワイヤの形態)で加熱チャンバーを経由して、供給される。
ポリマー材料は、実質的に溶けた状態のフィラメントまたはワイヤの形態でプレート上に堆積される。材料のフィラメントまたはワイヤは、配置すべきプレート上に堆積され、このプレートに付着し、冷えて凝固する、つまり、固体状態に戻る。
【0030】
本発明の一態様によれば、プレート上に堆積されたポリマー材料は、ノズル、好ましくは加熱されたノズルによって印刷され、既知の手段、例えばモータによって、ノズルを通して供給される。
本発明の一態様によれば、プレートの材料およびこのプレート上に堆積される材料は、接着性が高く、処理プロファイルに加えられる縦方向および横方向の圧縮力および剪断ひずみに耐えるようなものが選択される。
【0031】
本発明の一態様によれば、プレートの材料とその上に堆積される材料は、同様の溶融温度を持つように選択される。好ましくは、それらは、処理プロファイルを形成するための材料がプレート上に堆積されるときの、プレートの表面の(マイクロ)融合および材料の相互拡散を決定するように選択される。
本発明の一態様によれば、印刷材料は、ポリマー材料、好ましくは熱可塑性のポリマー材料、より好ましくはPETGである。
本発明の一態様によれば、前記ポリマー材料が堆積されるプレートもまた、ポリマー材料、好ましくはPVCでできている。
【0032】
出願人は、本発明による方法、特にポリマー材料、好ましくは熱可塑性ポリマー材料、より好ましくはPVCで作られプレート上に堆積されたPETGの使用により、プレートへの処理プロファイルの接着に関して優れた結果を得ることができ、したがって、プレートの加熱および/または添加剤の使用は必要でないことを確認した。言い換えれば、本発明の一態様によれば、処理プロファイルの印刷操作には、好ましくは、先行するプレートの準備のステップ、すなわち、プレートの加熱および/またはプレートの表面への添加剤の添加のステップが必要ではない。
【0033】
有利なことに、プレートに印刷された溶融ポリマー材料(好ましくはPETG)と、プレートの構成材料(好ましくはPVC)は、同等の溶融温度を有しており、これは、プレートの表面の(マイクロ)拡散と、プレートと溶融材料の第1の層の間の材料の相互拡散を決定する。
この現象により、折り目プロファイルとプレートの接着力は、紙加工産業のアイテムの処理中に処理複合体に加えられる縦方向および横方向の圧縮力および剪断ひずみに耐えるような、十分に高いものとなり、処理シリンダに加えられた圧力と回転によって処理プロファイルが動いたり外れたりするのを防ぐことができる。
【0034】
これはまた、例えば特許文献2に記載のような、プレートへの接着を促進するために印刷されたポリマー材料にUV交差結合/硬化の処理のような、追加のステップを回避できるという有利な点がある。
前述のように、本発明の利点は、処理プロファイルがプレート上に直接堆積され、次いで印刷されるので、処理プロファイルの接着が改善され、これにより、堆積された材料の第1の層の全体的または部分的な剥離、または印刷されたプロファイル要素の望ましくない曲げなどの、印刷されたプロファイルを使用できなくするような望ましくない影響を回避できることである。
【0035】
有利なことに、積層造形法、特に3D印刷方法は、カスタマイズされたプロファイル要素を迅速に作成することを可能する。言い換えれば、3D印刷方法は、再現されるパターンに従って、複数の形状と寸法の処理プロファイルの作成を可能にする。
【0036】
本発明の一態様によれば、処理プロファイル要素は、突出部(雄型プロファイルの場合)または凹部(雌型プロファイルの場合)を含む下側支持部分および上側部分を含むように、幾つかの重ねられた層(ポリマー材料を重ねられた層に堆積することによって得られる)を含むように堆積され、次に印刷される。したがって、処理パターンに従って、この処理パターンを正しく再現するために、配置される処理プロファイル要素の寸法/形状、および、印刷操作中に各要素間に維持されるべき距離が有利に決定される。
【0037】
本発明の一態様によれば、3D参照モデルは、処理パターンに従って、場合によってはプレートに造形すべきプロファイル要素のタイプに従って、作成される。例えば、突出部または凹部を担う処理プロファイル要素の支持体の寸法および/または形状に応じて、作成される。
有利なことに、本発明による方法は、エンボス加工および点字記号の形成に適したプロファイルに加えて、雄型処理プロファイル(当技術分野では折り目付けシステムとして知られている)および雌型処理プロファイル(当技術分野ではカウンター折り目付けシステムとして知られている)の両方の形成を可能にする。雄型タイプおよび雌型タイプのプロファイルは、例えば、紙加工産業のアイテムを処理するために、2つの逆回転シリンダを備えている機械で協力するように構成された2つのプレート上に、それぞれ迅速、簡単かつ正確な方法で積層造形法によって堆積できる。
【0038】
本発明の一態様によれば、互いに異なる2つ以上のポリマー材料を使用して、前記処理プロファイル要素を製造することができる。言い換えれば、前記処理プロファイル要素は、互いに異なる2種類以上のポリマー材料の堆積によって製造することができる。代わりにまたは組み合わせて、同じポリマー材料を、異なる堆積パラメータを使用してプレート上に堆積させることもできる。
本発明による処理プロファイルの製造方法によれば、積層造形法、特に、3Dモデリングファイルから開始する3D印刷により、たとえば、プロファイルの造形点を決定するためにプレートへマスクを造形するなどの中間プロセスを必要とせず、直接、プレート上にプロファイルを形成できる。
【0039】
本発明の一態様によれば、プレートは、金属材料または磁化されたポリマー材料を含むことができる。それらは、好ましくはPVCシートでできており、好ましくは磁性のシートである。
本発明の一態様によれば、前記材料の堆積ステップおよび印刷ステップにおいて、プレートは、使用される3Dプリンタに統合しまたは外部支持体に統合することにより、支持体上の所定の位置に保持され、これにより、プレートと支持体との間の相対位置が維持される。例えば、一実施形態によれば、プレートは、3Dプリンタの加熱された支持面上に、取り外し可能に固定することができる。
さらなる実施形態によれば、プレートの支持体は円筒状の支持体でも良く、印刷ステップにおいて、プレートが円筒状の支持体上の所定の位置に保持され、その結果、プレートと円筒状の支持体との間の相対位置が維持される。
この円筒状の支持体は、好ましくは、機械のシリンダと同じ寸法を有し、これにより、プレートへの処理プロファイルの堆積(または印刷)ステップは、相対的な処理プロファイルを備えたプレートが固定される処理シリンダの曲率を考慮して実行される。
【0040】
本発明の一態様によれば、円筒状の支持体は、紙加工産業のアイテムを処理するために使用される機械と同じ処理シリンダで良く、プレートは、この処理シリンダに取り外し可能に固定される。
前述のように、本発明の一態様によれば、処理プロファイル要素は、積層造形法によって、特に3D印刷方法によって、プレート上に配置される。
上記の方法、特に3Dプリンタの使用は、中間の処理ステップ(マスクの手作業のよる形成、境界の手作業のよる決定)が回避されるので、処理プロファイル要素の生産速度に加えて、高精度が保証されるという利点がある。この中間の処理ステップは、人為的ミスの影響を受けやすく、プレート上へ処理プロファイル要素を正しく形成するのを損なう可能性がある。
さらに、円筒形の支持体または機械の処理シリンダに固定されたプレート上に直接、円筒形の処理面の曲率を考慮して、処理プロファイルを堆積(印刷)することは、プロファイルの形成においてより高い精度を保証できるという利点がある。
【0041】
前述のように、本発明の一態様によれば、3D参照モデルは、プレートに形成される雄型/雌型プロファイル要素の形状および/または寸法、および、プレート上でそれらの間で維持されなければならない相対位置を考慮に入れて作成される。
実際、上記のように本発明の一態様によれば、処理プロファイルの形状および/または寸法の関数として、例えばそれらが六角形の支持体(支持体部分)を含む場合、3Dモデルは、取得されたパターンの処理線を実現するように決定される。
さらなる態様によれば、3Dモデルは、処理される素材に装飾的なパターンまたは文言を印象付けるように決定することができる。有利なことに、この構成は、例えば、触覚点字記号を印象付けるために使用することができる。
【0042】
本発明のさらなる態様は、紙加工産業のアイテムを処理するシリンダ用のプレートを準備する装置に関する。
この装置は、処理プロファイル要素の3Dモデルによる処理プロファイル要素の製造のための、積層造形法による少なくともプレートに対する、ポリマー材料、好ましくは熱可塑性ポリマー材料の少なくとも1つの印刷(堆積)ノズルを備えている。
本発明の一態様によれば、この装置は、紙加工産業のアイテムに対して作成される処理ラインの処理パターンを取得するように構成された(第1の)制御ユニットと、前記処理パターンに従って処理プロファイル要素の3Dモデルを開発するための、前記(第1の)制御ユニットと同じまたはこの制御ユニットから分離することができる、(第2の)制御ユニットを含んでいる。
本発明の一態様によれば、この装置は、プレート用の少なくとも1つの支持面または円筒状の支持体を含み、前記ノズルは、少なくとも1つの軸(X)に沿って、好ましくは、プレートが置かれる表面に実質的に平行な平面(X-Y)上で移動可能である。
【0043】
本発明の一態様によれば、印刷ノズルは、支持面(または支持シリンダの表面に接する平面)に平行な(X-Y)平面内の支持面(または円筒状の支持体)に対して移動し、一方、前記支持面(または支持シリンダ)は、前記平面X-Yに垂直な軸Zに沿って移動する。
本発明のさらなる態様によれば、前記円筒状の支持体は、紙加工産業のアイテムを処理する機械の処理シリンダ自体でも良い。言い換えれば、本発明の一態様によれば、処理プロファイル要素は、紙加工産業のアイテムを処理する機械のシリンダに直接取り付けられたプレート上に積層造形によって堆積させることができる。
前記プレートの支持シリンダ(前述のように機械の処理シリンダに対応させることができる)は、それ自体の中心軸の周りを回転して、それによって、支持されるプレート上に材料を堆積させることができる。
前記支持面(または前記支持シリンダ)は、例えば、印刷プロセスにおける3Dプリンタによって生じる振動による望ましくない動きを回避し、その上に配置されたプレートを所望の位置に維持するための手段を備えている。
【0044】
可能な実施形態によれば、プレートは、支持面または円筒状の支持体または金属製処理シリンダに磁気的に固定され、好ましくは、金属的磁気挙動を有するように充填されたPVCを有する、または他の磁化ポリマーを有することが好ましい。
前記所定の位置に維持するための手段は、例えば、吸引手段、または基準ピン、またはロッキング磁石、または他の機械的方法でも良い。
方法に関して既に説明したように、好ましくは、積層造形法により、特に3D印刷により、プレート上に処理プロファイル要素を直接造形することによって、前記処理ラインの所望のパターンに従って、作成すべき処理プレートを迅速かつ簡単に、同時に非常に正確に製造できるという有利なことがある。
有利なことに、プレートが機械のシリンダを複製する支持シリンダに支持されているかまたは機械のシリンダに直接支持されている場合、好ましくは積層造形法によって、特に3D印刷によって、前記プレート上に処理プロファイル要素を直接造形することにより、作業面、すなわち処理シリンダの曲率を考慮に入れることができる。
このように、プレートが取り付けられている機械は非常に用途が広く、様々な製造方法で必要とされる様々なパターンを素早く配置することができる。
前述のように、本発明による方法は、本発明によるプレートを準備する装置を用いて有利に実施することができる。
さらに、方法に関して本明細書/特許請求の範囲に記載されている態様/特徴は、前記装置にも適用でき、その逆も可能である。
【0045】
本発明はまた、それぞれに処理プレートを配置することができる一対の逆回転シリンダを含む、紙加工産業のアイテムを処理する機械に関する。この機械は、本明細書/特許請求の範囲に記載されているプレートを準備する装置に関連付けられている。
本発明のさらなる目的は、紙加工産業のアイテムを処理するためのプレート、たとえば、製紙業界のアイテムを処理するためのシリンダに配置するように構成されたプレートに関するものであり、このプレートは、積層造形法によってこのプレート上に堆積されたポリマー材料、好ましくは熱可塑性ポリマー材料を処理する少なくとも1つの処理プロファイル要素を含んでいる。
プレートを準備する方法および/または装置に関して本明細書/特許請求の範囲に記載されている態様/特徴は、プレート自体にも適用でき、逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】紙加工産業のアイテムを処理する機械の概略図である。
【
図2】本発明の可能な1つの実施形態による、3D参照モデルに従って積層造形により処理プロファイル要素を堆積(印刷)する操作を示す図である。
【
図2a】本発明の可能な1つの実施形態による、材料の堆積によって得られた1つ処理プロファイル要素の部分の、1つの可能な実施形態を示す図である。
【
図2b】本発明の可能な1つの実施形態による、材料の1つの層の堆積ステップを示す図である。
【
図3a】本発明の可能な1つの実施形態による、1つの円筒形の支持体上に配置されたプレート上に1つの処理プロファイルを堆積させる装置を、概略的に示す図である。
【
図3b】本発明の可能な1つの実施形態による、1つの支持面上に配置されたプレート上に、1つの処理プロファイルを堆積させるための装置を概略的に示す図である。
【
図4】
図3bに示す方法に従って、積層造形によって1つの雄型処理プロファイルが作成されたプレートが配置されている、支持面の断面図を概略的に示す図である。
【
図4a】本発明の方法で生成された、同じ材料または幾つかの異なる材料の幾つかの層の堆積による、処理プロファイル要素の可能な断面を示す図である。
【
図4b】本発明の方法で生成された、同じ材料または幾つかの異なる材料の幾つかの層の堆積による、処理プロファイル要素の可能な断面を示す図である。
【
図4c】本発明の方法で生成された、同じ材料または幾つかの異なる材料の幾つかの層の堆積による、処理プロファイル要素の可能な断面を示す図である。
【
図5】本発明の可能な1つの実施形態により、プレート上に堆積された1つの雌型処理プロファイルを概略的に示す断面図である。
【
図5a】本発明で可能な、雄型および雌型のプロファイル要素の断面図である。
【
図5b】本発明で可能な、雄型および雌型のプロファイル要素の断面図である。
【
図6a】90°未満の角度で相互に傾斜した2本の折り目線を形成するように相対的に配置された、2つの雄型のプロファイルを示す俯瞰図である。
【
図6b】例えば点字シンボルをエンボス加工するプロファイルの、可能な実施形態を概略的に示す俯瞰図である。
【
図6c】例えば、点字記号のエンボス加工用プロファイルと折り目付け用プロファイルの組み合わせの、可能な実施形態を概略的に示す俯瞰図である。
【
図7】雄型プロファイルを備えた1枚のプレートを有する第1の回転シリンダと、雌型プロファイルを備えた1枚のプレートを有する第2の回転シリンダとから構成される、一対のローラを示す図である。
【
図8】本発明の方法の、可能な一実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示されている図の助けを借りて、非限定的な例として提供される以下の説明を読むことから明らかになるであろう。
図1は、本発明の実施形態として、厚紙、カードストックおよび同様の素材などの紙加工産業のアイテムを処理する機械の、可能な1つの実施形態を概略的に示している。
この処理は、一対の逆回転シリンダ10を備えた1台の機械を使用することによって行われる。
一対のシリンダ10は、下側シリンダ20と上側シリンダ30とで構成されており、これらのシリンダは、図示されていない適切な移動手段によって、それぞれの対称軸(中心軸)を中心に反対方向に回転する。
【0048】
この実施形態では、上側シリンダ30の外表面上に上側プレート32が固定手段24によって配置され、一方、下側シリンダ20の外表面上に下側プレート22が、固定手段24によって配置されている。
他の実施形態では、上側プレート32および下側プレート22は、磁力によってそれぞれのシリンダ上に配置されてもよい。
上側プレート32および下側プレート22は、好ましくはポリマー材料、好ましくは磁化された、より好ましくは磁性PVCで作られている。または、それらは可撓性金属要素で作ることもできる。これらのプレートは、0.2mm~3mm、好ましくは2.5mmの厚さとすることができ、それぞれ、上側シリンダ30の外表面および下側シリンダ20の外表面に成形することができる。必要に応じて、プレートに、他の厚さを採用することもできる。プレート22、32を製造するために、さらなる材料を使用することもできる。
【0049】
一般に、プレート22、32は、結合を容易にする材料、または少なくともそのような材料の層を含むもので制作することができ、したがって、以下に示すように、プレートの表面に堆積されるポリマー材料と結合することができる。
一つの態様によれば、プレート22、32は、好ましくは可撓性である。すなわち、プレートは、曲面、例えば、このプレートが配置される機械のシリンダの表面に対応するように作製される。
プレートという用語は、二次元の形態、すなわち、三次元に対して二次元が支配的である1つの平面の拡張を表すために使用される。したがって、プレートは、単層または複数の層を有するシートまたはフィルムを含むことができる。
【0050】
上側プレート32には、処理プロファイル要素(部分)、特に雄型プロファイル35が造形され、これは、好ましくは積層造形法によって、特に3D印刷方法によって堆積(印刷)されている。一方、下側プレート22には、処理プロファイル要素(部分)、特に雌型プロファイル25が印刷されている。反対の配置を提供できることも明らかであり、その場合、雌型のプロファイル25が上側プレート32に印刷され、雄型のプロファイル35が下側プレート22に印刷される。
【0051】
本発明の1つの態様によれば、雄型プロファイル35は、上側プレート32上に凸部を形成し、一方、雌型プロファイルは、下側プレート22上に凹部(窪み)を形成する。雄型プロファイル35および雌型プロファイル25は、好ましくはポリマー材料、好ましくは熱可塑性材料、例えば、PETGにより製造されている。
雄型プロファイル35および雌型プロファイル25の折り目プロファイルは、雄型プロファイル35の凸部が雌型プロファイル32の凹部と所定の相対的な位置関係になる(対応して配置される)ように、それぞれのプレート32、22上に配置される。
したがって、それぞれのプレート上における雄型プロファイル35の位置および雌型プロファイル32の位置は、事前に定義された雄型プロファイル35および雌型プロファイル32の相対位置からの最大偏差が、0.15mm未満、好ましくは0.1mm以下になるように、決定される。
【0052】
この機械の可能な実施形態によれば、例えば、
図6aの俯瞰図および
図4の断面図に示したように、例えば、紙加工産業のアイテムの折り目付けまたはエンボス加工操作に適合する、雄型または雌型のプロファイル要素のそれぞれは、好ましくは、幾つかの層70の重ね合わせによって、すなわち、幾つかの層の連続的な堆積によって印刷される。
可能な一つの実施形態によれば、雄型処理プロファイル35は、下側支持部分38および上側突出部37(例えば、直線状の隆起、または例えば、実質的に円筒形または丸みを帯びたレリーフ、または他の実質的に雄型プロファイル35を形成するための凸状の幾何学的形状である)を含んでいる。また、雌型処理プロファイル25の下側支持部分38は、凹部を提供するように印刷される。(例えば、直線シートまたは円形または丸みを帯びたシート、または他の実質的に凹状の幾何学的形状であり、雄型プロファイル35の凸状の突出部37に対するハウジングシートとして構成される。)
【0053】
可能な実施形態では、下側支持部分38および上側突出部37は、切れ目が無い。
支持部分38は、俯瞰平面図で見た場合、所望の処理のタイプに応じて、異なる形状をとることができる。例えば、折り目付けに構成された可能な実施形態によれば、支持部分38の平面図形状は、実質的に長方形でも良く、または(例えば、
図6aに示したように)、その端部は、例えば、好ましくは90°以下の角度の斜めの側面39を有する六角形でも良い。一般に、処理プロファイルの支持部分38の平面図の形状は、傾斜した側面を含むことができる。
【0054】
例えば紙加工産業のアイテムをエンボス加工するように構成された、可能なさなる実施形態によれば、支持部分38の平面図形状は、例えば
図6bおよび
図6cに示したように、実質的に円形であるか、または印象付けられるパターンまたは形態のプロファイルを有することができる。
雄型プロファイル要素(部分)35および雌型プロファイル要素(部分)25は、それぞれのプレートに付着する。実際、可能な実施形態によれば、雄型プロファイル35および雌型プロファイル25は、積層造形法によって、特に熱溶解積層法のプロセスによって、プレート22、32に直接印刷される。
図3bに示される可能な実施形態では、雄型プロファイル35および/または雌型プロファイル25は、支持面90上に配置されたプレート22、32に直接印刷される。
図3aに示されるさらなる実施形態では、雄型プロファイル35および/または雌型プロファイル25は、円筒状の支持体91上に配置されたプレート22、32に直接印刷される。
【0055】
さらなる実施形態によれば、雄型プロファイル35および/または雌型プロファイル25は、機械のシリンダ20、30に固定されたプレート22、32に直接印刷される。
本発明の一態様によれば、前記プロファイルは、ポリマー材料を印刷するノズル80、好ましくは加熱ノズルを備えた、簡単にするために3Dプリンタとしても示される、プレート22、32を準備する装置200によって印刷される。この装置200は、ポリマー材料を重ね合わせることによって、複数の層70の形でプレート上に印刷を行い、処理プロファイル要素25、35を形成する。
ポリマー材料の堆積は、例えば、ノズル80の上流に配置されたモータ(図示せず)によって、ポリマー材料、好ましくは熱可塑性ポリマー材料の細長片、またはワイヤ、またはフィラメントを、ノズル80を通して押すことにより実行される。
【0056】
例えば、
図2、
図3a、
図3bに概略的に示したように、ポリマー材料は、好ましくは、ポリマー材料が巻かれた細長片、またはワイヤ、またはフィラメントの形態で存在する、リールから供給される。しかしながら、ポリマー材料をノズル80に供給するさらなる他の方法も除外されない。
好ましくは、ノズル80の加熱、またはノズルの上流にある加熱チャンバーの存在により、ポリマー材料を実質的に溶融状態としてノズルを通過させ、プレート表面22、32の上、または以前に堆積されたポリマー材料の層70の上に、堆積させることができる。
前述のように、本発明の一態様によれば、印刷用の材料は、好ましくはポリマー材料、より好ましくは熱可塑性材料、例えば、PETGであり、好ましくは高温で、ワイヤまたはフィラメントの形態でノズル80から供給されるものである。
【0057】
可能な実施形態によれば、加熱されたノズル80は、2mm~6mm、好ましくは4mmの出口直径を有する。
熱可塑性材料のフィラメントは、実質的に溶けた状態で、プレート22、32上に堆積される。堆積した材料のフィラメントまたはワイヤは、冷却して固化し、プレートに付着する。
3Dプリンタ200は、支持面90を加熱状態に維持し、または、円筒状の支持体91またはシリンダ20、30を所望の温度に維持するための、温度制御手段(図示略)を備えるように構成できる。
プレート22、32が支持面90に固定されている場合、溶融材料の層70は、平坦な直線面に付着するようにプレート上に堆積される。結果として、堆積された第1の層70は、実質的に平坦な形状を有する。
プレート22、32が円筒状の支持体91または処理シリンダ20、30に固定されている場合、溶融材料の層70は、曲面に付着するようにプレート上に堆積される。結果として、少なくとも堆積された第1の層70は、それが存在する円筒形の表面の曲率に等しい曲率を有する、実質的に湾曲形状を有する。
【0058】
処理プロファイル要素25、35の冷却および凝固方法が完了した後、処理プロファイル要素は、その下のプレート22、32に完全かつ恒久的に付着する。
ここで、積層造形操作(特に印刷)が支持面90上に配置されたプレート22、32または円筒状の支持体91上で実行された場合には、プレート22、32が、支持面90から取り外され、固定手段24によって2つのローラのうちの1つに固定される。
もし、積層造形技術(特に印刷)がシリンダ20、30上に配置されたプレート22、32上で実行される場合、前記中間操作は不要であり、これらの処理シリンダ20、30が機械の内部に適切に配置される。
【0059】
例えば
図1および
図7に示したように、一度、一対のローラ10の回転が開始されると、上側シリンダの雄型プロファイル35と下側シリンダの補完的な雌型プロファイル25との間に、紙加工産業のアイテム、例えば、厚紙40またはグリーティングカードまたは包装またはマイクロ包装ボックスまたは紙加工産業の他のアイテムを製造するカードストックを介在させることにより、厚紙40等に対する処理作業60が実行可能になる。
当然のことながら、上側のシリンダ30と下側のシリンダ20との間の距離は、処理する厚紙40の厚さに応じて調整できる。
【0060】
上側プレート32(または下側プレート22)への雄型プロファイル35(または雌型プロファイル25)の印刷は、上記のように、積層造形法によって、好ましくは、処理プロファイル要素25、35の3D参照モデルに従って動作する3Dプリンタ200によって、実行される。
言い換えれば、上側プレート32(または下側プレート22)上の雄型プロファイル35(または雌型プロファイル25)を有する部分または要素の印刷は、特定のソフトウェア(積層造形部門ではスライサーと呼ばれる)によってガイドされる。ここで、例えば、印刷に使用される材料、印刷用の材料のワイヤが堆積される直径、高さ(または厚さ)などの、各処理プロファイル要素の各層70に望まれる、積層造形法のパラメータや、堆積表面に対するノズル(80)の変位速度、材料の供給速度、各層70に望まれるインフィル(または充填)、印刷温度、または前述のパラメータの任意の組み合わせを、入力し、および/または変更することができる。
【0061】
本発明の一態様によれば、プロファイル要素は、好ましくはPETGで作られているが、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PLA(ポリ乳酸)、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、ナイロン、または積層造形法で使用できるその他の熱可塑性材料で作られてもよい。
本発明の一態様によれば、使用されるポリマー材料は、タイプAショアスケールで約80~100のショア硬度を有する。
堆積された層70は、異なるポリマー材料で作製するか、または、例えば、上記した1つまたは複数のパラメータとは異なる堆積パラメータを使用して作製することができる。ポリマー材料は、複数の層のより良好な相互接着を得るために、互いに互換性のあるものが好ましい。
【0062】
図2a、
図4aおよび
図4bは、例えば、ポリマー材料の幾つかの層70の連続的な堆積によって得られた、処理プロファイル要素35の形状の幾つかの可能な実施形態を示している。
図4cは、可能な実施形態として、処理プロファイル要素35が、異なる材料の複数の層70(複数の層の異なるクロスハッチングを参照)の堆積によって作られる例を示している。
【0063】
図5aおよび
図5bは、本発明の2つの可能な実施形態による、処理プロファイルの断面図である。
雄型プロファイル35および雌型プロファイル25は、事前に定義された寸法を有する。すなわち、これらのプロファイルは、それぞれのプレート22、32に印刷され、その結果、雄型プロファイル35は、高さLmの下側支持部分38および高さLsおよび幅Dsの突出部37を有する。一方、雌型プロファイル25は、高さLf、深さLiの凹部を備えており、この凹部の幅Diは、雄型プロファイル35の突出部37を収容するように構成されている。
例えば、
図5aおよび
図5bに示したように、雄型プロファイル35の寸法は、下側支持部分38の高さLmが0.8cm未満、好ましくは0.6cm、突出部37の高さLsが1cm未満、好ましくは0.85cmである。突出部37の幅Dsは、1cm未満、好ましくは0.8cmである。
【0064】
雌型プロファイル25の寸法は、高さLmが1.5cm未満、好ましくは1cm、凹部の深さLiが1cm未満、好ましくは0.8cmである。凹部の幅Diは1.5cm未満であり、好ましくは1.3cmである。
例えば
図5aおよび
図5bから分かるように、本発明の一態様によれば、雄型プロファイル35の突出部37の高さLsは、好ましくは、雌型プロファイルの深さLiよりも大きく、その結果、処理中、加工(折り目またはエンボス加工)される紙加工産業のアイテムの一部は、折り目プロファイルと接触する。
【0065】
例えば各図に示したように、本発明の一態様によれば、雄型処理プロファイル35の部分は、少なくとも曲面、及び、好ましくは湾曲したまたは円形の形状を有する端部を含み(例えば、
図5a、
図5bの実施形態を参照)、あるいはまたは、平坦な端または上面を有することができる。上記プロファイルの部分の2つの側面は、互いに平行で直線的でも良く、または2つの側面のうちの少なくとも1つは、入射するように傾斜していても良い。プレート上および/または以前に堆積された層70上に堆積するために使用される材料、及び、印刷のための、例えば、各層70の厚さ(高さh)、印刷された層の幅(l)(例えば、
図2b参照)、3Dプリンタ200のノズル80によって印刷される層70の充填率、またはそれらの組み合わせは、プロファイル要素を精密かつ明確に実現できるようにするために、適切に選択される。例えば、印刷パラメータは、ノズル80によって印刷される材料のワイヤが2mm~6mm、好ましくは4mmの直径を有し、材料の各層が0.1mm~2mmの厚さを有するように選択することができる。
印刷の温度は材料ごとに調整可能であり、180℃~300℃、好ましくは200℃~290℃の範囲で変化する。
前記温度において、印刷された熱可塑性材料は、それがプレート22、32上に堆積されるとき、実質的に融合状態にある。そして、冷却されると、ポリマー材料は固体状態に戻り、プレート22、32に完全に付着する。
本発明の一態様によれば、プロファイル要素25、35のプレート22、32への接着を容易にするために、プレート22、32が固定されている支持面90または円筒状の支持体91またはシリンダ20、30は、100℃~120℃の範囲、好ましくは110℃~115℃の範囲の温度に維持される。
本発明のさらなる態様によれば、結合特性を有する添加剤を、印刷操作の前にプレート22、32に噴霧して、前記接着をさらに容易にすることができる。前記添加剤は、好ましくは、プレート上に残留物を残さないようなものである。
【0066】
本発明の一態様によれば、積層造形装置、好ましくは熱溶解積層法の3Dプリンタ200が使用される。このプリンタは、加熱されたノズル80および支持面90またはプレート22、32のための円筒状の支持体91を備えている。
ノズル80は、印刷される処理プロファイル要素の3D参照モデルに従って、CAMソフトウェアによって、少なくとも1つの軸(X)に沿って、好ましくは2つの軸に沿って、したがって平面X-Yに沿って案内されることができる。ノズル80は、異なるタイプの運動学、例えば、コアXY運動学またはガントリー運動学に従って誘導することができる。
【0067】
図2に示した実施形態では、プレートが支持面90上に配置されており、使用される運動学は、好ましくはコアXYタイプのものであり、それによれば、ノズル80は、支持面90が存在する面に平行な面X-Yに沿って移動される。一方、プレート22、32が配置されている支持面90は、ノズル80が移動する上記平面X-Yに垂直な軸Zに沿って移動可能である。支持面90とノズル80との間のZ軸に沿った相対的な動きは、固定することができる支持面90に対するノズル80の動きによって生じることができる、という実施形態も可能である。
【0068】
図2aに、処理プロファイル要素の詳細な断面図を示す。特に、材料の複数の層70は、一般に直線状の延長部を形成するように、プレート22、32の上に堆積される。
図3aに示したさらなる実施形態では、プロファイル要素25、35が円筒状の支持体91上に配置されたプレート22、32に印刷されている。ノズル80は、少なくとも一方向X(円筒状の支持体91の軸に平行)に、および必要に応じて、方向Xに垂直な方向Yに移動することもできるため、平面XYに沿って移動することができる。
プレート22、32が配置された円筒状の支持体91は、ノズル80がそれに沿って移動可能である軸Xに垂直な軸Zに沿って(または前記平面X-Yに対して)、移動可能である。なお、縦軸Zに沿った動きは、ノズル80を垂直方向に動かし、支持シリンダ91を固定したままにすることによっても得ることができる。
さらに、さらなる可能な実施形態によれば、円筒状の支持体91は、(例えば、駆動ベルトによって、例えば、支持シリンダ91に接続されたモータ91aを介して)、それ自体の中心軸を中心に回転することができ、したがって、その中心軸が回転軸を構成する。
【0069】
処理プロファイル要素25、35の3D参照モデルの印刷方法は、プロファイル要素の部分が印刷されてはならないプレート22、32の部分を含まないように、CAM制御ソフトウェアを介して制御された方法で実行される。
有利なことに、本発明の一態様によれば、プレート22、32に印刷される処理プロファイル要素の3D参照モデルが決定され、次に処理パターン50に従って1つの3Dモデリングソフトウェアでこの3D参照モデルが生成される。パターン50は、プレートを準備する装置、特に使用される3Dプリンタの制御ユニット110に関連するメモリユニット130に格納することができる。
【0070】
上記のように、処理プロファイル要素25、35の3Dモデル、特に前記要素の形状および/または寸法、および/または同じプレート22、32に印刷されたときに前記要素が維持しなければならない相対距離は、作成すべき処理パターン50に従って決定される。プレート上のプロファイル要素の形状、寸法、および位置決めの決定は、所望の処理パターン50に従って、制御ユニット110によって適切に実行することができる。
言い換えれば、好ましくは3Dプリンタ200によって実行される積層造形法によってプレート22、32に印刷される処理プロファイル要素の3Dモデルは、明らかに、所望の処理パターン50に従って定義され、したがって決定されるか、またはそれに基づいて計算される。
【0071】
例えば、プロファイル要素の3D参照モデルの形状および寸法、ならびに同じプレートに印刷されたときに前記2つのプロファイル要素が維持しなければならない相対距離は、そのプレートに造形される処理プロファイルの形状および寸法に従って決定することができる。さらに詳細には、例えば、処理プロファイルの下側支持部分38(上側凸部または突出部37を中断することなく印刷することができる)の寸法および形状は、取得されたパターン50に従って3D参照モデルの作成のために考慮される。
【0072】
例えば、紙加工産業のアイテムの折り目付けを実行するように構成された実施形態によれば、プロファイルの形状は、長方形または別の多面体形状にすることができる。例えば、
図6に示すタイプでは、2つの雄型プロファイル35が、上から見た、折り目付け操作に適合して示されている。
特に、このプロファイルは、下側支持部分38上に途切れることなく配置された上側突出部37を有し、下側支持部分38は、その端部において、90°以下の角度α、好ましくは45°よりも小さい鋭角を規定する斜めの側面39を有する六角形を有する。
図6aは、例えば、2つの相互に傾斜した折り目線を実現するための、上から見た2つの隣接する雄型プロファイル35を示している。
【0073】
一般に、パターン50の処理線は、好ましくは、下側支持部分38上に配置された突出部37、または凹部(例えば、
図5、および
図5a、
図5bの下側に示される)に対応する。プレート22、32に印刷された、概して直線状の延長部を有する処理プロファイル要素は、上側突出部37(または凹部)が、パターン50に基づいて所望の折り目線を決定するように製造される。
支持体の形状に関する同じ概念は、上側突出部37が凹部の形状で印刷されている雌型プロファイルにも適用することができる(簡単にするために図には示されていない)。
【0074】
紙加工産業のアイテムにエンボス加工を実施するように構成されたさらなる実施形態では、プロファイルの形状は、長方形または別の多面体形状でも良い。
特に、プロファイルは、丸みを帯びた形状の複数の上側突出部37を有し、これら複数の上側凸部は1つの支持部分38の上に(またはプレートの上に直接)、途切れることなく配置される。この支持部分38は、長方形の形状を有する。
紙加工産業のアイテムをエンボス加工および折り目付けの両方に構成させたさらなる実施形態では、1つのプレート22上に、32個の異なるプロファイルを印刷することができ、それぞれエンボス加工および折り目付けに対応させて、1つの機械により2つの操作を同時に実行できるようにする。
下側支持部分が明らかに存在しない可能性もあることに留意する必要がある。
本発明の一態様によれば、3Dプリンタ200の印刷ノズル80の動きは、制御ユニット110によって制御される。この制御ユニットは、取得される処理ラインのパターン50に基づいて作成された、処理プロファイル要素の3D参照モデルを取得している。
【0075】
本発明の一実施形態では、例えば
図2または
図3bに示したように、プレート22、32は、支持面90上に順番に配置されるプレートを含むアセンブリ92を形成するように、プレートの基準穴72に挿入された基準ピン(またはダボ)95によって、3Dプリンタの支持面90に固定される。以下では、前記アセンブリは、フラットな処理複合体92とも呼ばれる。
基準ピンまたはダボ95は、プレート32に対応する基準穴72と係合する。
【0076】
さらなる実施形態では、
図3aに示したように、磁化されたポリマー材料で作られたシートと、(例えば金属製の)支持体91との間の磁力により、プレート22、32は、このプレートを含むアセンブリ92を形成するように3Dプリンタの円筒状の支持体91に固定される。以下では、前記アセンブリは湾曲した処理複合体92とも呼ばれる。
この処理複合体(またはアセンブリ)92、93は、印刷操作中に堅固で安定した支持体を構成するので、プレート22、32上の雄型プロファイル35および雌型プロファイル25の精密で効果的な印刷を可能にする。
前述のように、可能な実施形態によれば、準備ステップでは、プロファイル要素25、35を印刷するステップの前に、支持面90および支持シリンダ91の加熱、ならびにプレート22、32上での添加剤の可能な添加を含むことができる。
【0077】
可能な実施形態によれば、プレートを準備する装置、特に3Dプリンタ200は、雄型および/または雌型プロファイル要素を印刷する制御ユニット110を備えているか、またはこれと関連付けられる。
さらに詳細には、可能な実施形態によれば、例えば
図3a、
図3bに概略的に示したように、雄型プロファイル要素35、または雌型プロファイル要素25は、制御ユニット110と結合された3Dプリンタ200によって印刷される。制御ユニット110は、メモリユニット130に関連付けられている。3Dプリンタ200は、処理プロファイル25、35の各要素(部分)を、(例えば、印刷によって)3D参照モデルに従って堆積することができる。つまり、処理パターンの特定の部分またはセグメントを得ることのできる長さと形状に従って、構成される層70を形成するポリマー材料のワイヤまたはフィラメントの部分を堆積することができる。
制御ユニット110は、以下のような、ポリマー材料のワイヤの印刷部分(またはセグメント)の各種の印刷パラメータを制御して、処理プロファイル要素の層70を形成する。パラメータとしては、例えば、以下のようなものがある。
座標X-Y(または少なくとも軸Xに沿った移動)に関して印刷ノズル80によって実行される移動パターン、
前記表面の平面X-Yに垂直な軸Zに沿った3Dプリンタ200の支持平面90の下降または上昇、
円筒状の支持体91の軸の周りの回転速度および振幅、
平面X-Yに垂直な軸Zに沿った円筒状の支持体91の下降または上昇、
ワイヤの直径、各層70の充填率、堆積表面に対するノズル80の高さ(h)、
堆積表面に対するノズル(80)の変位速度、
材料の供給速度、印刷温度、支持面90または3Dプリンタの円筒状の支持体91の温度、
プロファイル要素の印刷順序、
または上記各パラメータの任意の組み合わせ。
【0078】
本発明の一態様によれば、所望の形状および寸法を有する処理プロファイル要素25、35を得るために、制御ユニット110は、印刷表面に対するノズルの高さ(h)および変位速度(vn)、ならびにノズル80に供給されるポリマー材料のフィラメントの送達速度(vf)を調整する。
堆積ノズルの出口で印刷されたワイヤ部分の理論モデルは、例えば、
図2bに示されている。
図2bに概略的に示されているように、例えば、「l」および「h」は、それぞれ、印刷ノズル80によって得られるワイヤの幅および高さである。
【0079】
体積流量を下記のように表記すると、この体積流量は、次式で与えられる。
【0080】
【0081】
【0082】
一方、入口での体積流量は、入ってくるポリマー材料のワイヤまたはフィラメントの部分の寸法によって、次式で定義される。
【0083】
【0084】
入口と出口の体積流量が同じであるため、吐出速度とノズルの変位速度を関連付けることができる。高さは独立して調整される。このようにして、印刷されたワイヤ部分の寸法を制御することが可能であり、その結果、取得できる処理プロファイル要素25、35の部分の形状および寸法を制御することが可能である。
【0085】
本発明の一態様によれば、プロファイル要素25、35のプレート22、32への接着のステップは、印刷ステップの開始と同時に始まる。ワイヤがプレート22、32上に堆積されるとき、それは、高温であり、好ましくは180℃~400℃の温度値の範囲で、実質的に溶融状態にある。そして、各層が次々に冷却するにつれて固化し、下のプレート22、32に付着する。
本発明の一態様によれば、プロファイル要素25、35の印刷操作およびその結果としての接着は、オペレータによる操作の監視を容易にするために、画面140上に処理パターンを表示する制御ユニット110によってガイドされる。
可能な実施形態によれば、制御ユニット110は、オペレータを支援し、操作をスピードアップするために、画面140上に印刷操作制御パラメータを表示することを可能にする。
オペレータは、作成すべき処理パターン50に従って、雄型プロファイル35の各部分(要素)に対して異なる印刷パラメータを選択することができる。
【0086】
図4は、3D参照モデルに従って雄型プロファイル35が印刷された後の折り目付け複合体92、93の部分を示している。
上側プレート32に使用されるのと同じ手順に従って、下側プレート22に雌型プロファイル25を設けることができる。
雄型プロファイル35を備えた上側プレート32は、支持面90または円筒状の支持体91から取り外され、固定手段24または磁力によって上側シリンダ30に固定される。
上側プレート32に使用されるのと同じ手順に従って、下側プレート22に雌型プロファイル25を設け、固定手段24または磁力によって下側シリンダ20に固定することができる。
【0087】
この一対のローラ10の準備ステップは、例えば、
図7に示されており、上側シリンダ30および下側シリンダ20が回転していない状態で実行される。
雄型プロファイル35は、上側シリンダ30の外表面に配置された上側プレート32に付着し、一方、雌型プロファイル25は、下側シリンダ20の外表面に配置された下側プレート22に付着する。
一対のローラ10を回転させることにより、厚紙40の処理を行うことができる。
【0088】
最後に、
図8は、本発明の方法の可能な実施形態のブロック図を示している。
特に、可能な非限定的な実施形態による製造方法によれば、制御ユニット110による、例えばそれに関連するメモリユニット130に保持された、処理パターン50の取得(ブロック300)を含んでいる。
このステップは、例えば、既知のフォーマットの1つ、例えば.pdフォーマットで、複数の情報を含むファイルを取得するのに役立つ。例えば、カードストックに印刷されるパターンのグラフィックス、ダイカットされるプロファイルを有する層、および処理パターンを含む別の層など。
【0089】
本発明の一態様によれば、その製造方法において、処理層が自動的に選択され、その処理線および/またはドットおよび/または形状(および一般にプロファイル)に従って、形成すべき処理プロファイル要素に関する1つの3D参照モデルが、3Dモデリングソフトウェアによって作成される(ブロック310)。
例えば、パターン50の1つまたは複数の処理部分を得るためにプレート22、32に造形される形状(例えば、六角形)が決定され、および/または、処理プロファイルの下側支持部分38の寸法(例えば、長さ)が決定される。パターン50に従って、印刷中に維持されるプロファイル要素間の相対距離も決定される。この参照モデルは、3D印刷に適した形式(ベクトル形式、 .stlファイルなどの* dxfまたは*plt*のセット(シーケンス)、または、3D印刷に使用できるCADモデル)のファイルとして保存される。
前記ファイルに保存された3D印刷に適したパラメータは、3Dプリンタ200によって、プレート22、32上に処理プロファイル25、35を印刷するために使用される。
【0090】
準備されたプレート22、32が、支持面90または3Dプリンタ200の円筒状の支持体91に固定される(ブロック320)。支持面90または円筒状の支持体91は、加熱することができ、および/または印刷された処理プロファイル要素25、35との接着能力を高めるために、さらに添加剤をプレート22、23に噴霧することができる(ブロック330)。前述したように、このステップはオプションであり、例えば、プレートに堆積された材料とプレートの材料が、プレートに堆積された材料の効果的な接着を可能にするように選択される場合である。例えば、出願人は、前述のように、PTEGをPVCプレート上に堆積させることにより、プレートの加熱および/または接着剤などの添加剤の添加を必要としない効果的な接着を得ることができた。
【0091】
これに続いて、パターン50に基づき、3D参照モデルに従って処理プロファイル要素を印刷するステップ(ブロック340)が続く。
前述のように、3D参照モデルに従ってプレート22、23上に処理要素を印刷するステップは、好ましくは積層造形法によって実行され、特に、ポリマー材料の印刷ノズル80を有する1つの3Dプリンタ200によって実行される。そして、既知の方法で移動させることができる。例えば、好ましくは、重ね合わせによって処理プロファイル要素25、35を形成する層70を形成するためのコアXY運動学によって移動させることができる。
次に、3Dプリンタ200は、制御ユニット110によって作動され、ノズル80を介してプレート22、23上に、堆積されたポリマー材料のセグメントを印刷し、重ね合わせることにより、処理プロファイル要素を構成する層70を形成する。
【0092】
ノズル80は垂直軸Zに対して固定されたままであり、XY運動学に従ってワイヤを堆積させる。一方、プリンタ200の支持面90が、層70の形成に伴って、平面XYに垂直な軸Zに沿って移動するか、または円筒状の支持体91が軸Zに沿って移動するか、または、その軸の周りを回転する。より詳細には、可能な実施形態によれば、表面90または円筒状の支持体91が、さらなる層70の重ね合わせに必要な空間を作り出すために、印刷操作が進むにつれて軸Zの方向に移動する。
ポリマー材料の堆積中に円筒状の支持体91がプレート22、32を支持するのに使用される場合、ノズル80は、軸Xに沿って、好ましくはシリンダ91の中心軸に平行に移動できる。
【0093】
ノズル80によって印刷されたワイヤは、実質的に溶けた状態でプレート上に堆積され、制御ユニット110を介してオペレータによって設定されたパラメータに基づき処理プロファイル要素25、35を生成する(ブロック350)。
最後に、印刷操作を完了した後、処理プロファイル要素25、35は、冷却するためにプレート22、32上に残されそれに付着する(ブロック360)。
上記のように、1つのプレートの処理プロファイルを印刷する操作は、第2のプレート上に複数のプロファイル、例えば、相補的な複数のプロファイルを印刷するために繰り返すことができる。
明らかに、本発明の範囲から逸脱することなく、可能な範囲または特定の理由によって指示されたように、本発明に対して修正または改善を行うことができる。
【符号の説明】
【0094】
10 逆回転シリンダ
20 下側シリンダ
22 下側プレート
24 固定手段
25 雌型プロファイル
30 上側シリンダ
32 上側プレート
35 雄型プロファイル
37 上側突出部
38 下側支持部分
39 斜めの側面
40 紙加工産業のアイテム、厚紙
50 メモリユニット
60 処理作業
70 層
72 基準穴
80 印刷ノズル
90 支持面 表面
91 支持体
91a モータ
92 複合体
95 基準ピン(ダボ)
110 制御ユニット
130 メモリユニット
140 画面
200 3Dプリンタ
【国際調査報告】