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  • 特表-アゾール類の処理 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】アゾール類の処理
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/72 20060101AFI20221027BHJP
   C02F 1/42 20060101ALI20221027BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
C02F1/72 Z
C02F1/42 D
C02F1/72 101
C02F1/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506530
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(85)【翻訳文提出日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 US2020047870
(87)【国際公開番号】W WO2021041459
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/891,580
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513180152
【氏名又は名称】エヴォクア ウォーター テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Evoqua Water Technologies LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】アラン ナップ
(72)【発明者】
【氏名】フランク エル ササマン ジュニア
【テーマコード(参考)】
4D025
4D037
4D050
【Fターム(参考)】
4D025AA09
4D025AB23
4D025CA05
4D025CA06
4D025DA04
4D025DA06
4D025DA10
4D037AA13
4D037AB12
4D037BA18
4D037BB01
4D037BB02
4D037CA02
4D037CA03
4D037CA04
4D037CA07
4D037CA11
4D037CA14
4D037CA15
4D050AA13
4D050AB17
4D050BB09
4D050BB13
4D050BC07
4D050BC09
4D050BD08
4D050CA08
4D050CA10
4D050CA13
4D050CA15
4D050CA17
(57)【要約】
アゾール類を含むCMP廃水を処理する方法が開示されている。この方法は、第1のアゾール濃度を有する廃水を準備することと、フリーラジカルを生成して廃水中に導入するように構築および配置された廃水処理システムの入口に廃水を導入することと、廃水処理システムを起動し、廃水中のアゾール濃度を低減し第1のアゾール濃度よりも低い第2のアゾール濃度を有する処理水を生成するのに十分な量でフリーラジカルを生成させて廃水中に導入することを含む。フリーラジカルを生成して廃水に導入するように構築および配置された水処理システムを提供することによって、アゾール類を含むCMP廃水の処理を容易にする方法が開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アゾール類を含む化学機械研磨(CMP)廃水を処理する方法であって、
第1のアゾール濃度を有する前記廃水を準備すること、
フリーラジカルを生成して前記廃水中に導入するように構築および配置されている廃水処理システムの入口に前記廃水を導入すること、および、
前記廃水処理システムを起動し、前記廃水中の前記アゾール濃度を低下させ、前記第1のアゾール濃度より低い第2のアゾール濃度を有する処理水を生成するのに十分な量の前記フリーラジカルを生成させて前記廃水中に導入すること
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のアゾール濃度が約20mg/Lから約200mg/Lである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のアゾール濃度が約40mg/Lから約150mg/Lである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のアゾール濃度が約80mg/Lから約100mg/Lである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のアゾール濃度が約10mg/L未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記処理水中の前記アゾール濃度が、少なくとも1つの下流水処理プロセスの操作に十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記廃水を準備することが、アゾール類の混合物を有する廃水を準備することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アゾール類の混合物を有する廃水を準備することが、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、セレナゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、テトラゾール、1,2,3,4-チアトリアゾール、ベンゾトリアゾール、o-トリルトリアゾール、m-トリルトリアゾール、p-トリルトリアゾール、5-エチルベンゾトリアゾール、5-n-プロピルベンゾトリアゾール、5-イソブチルベンゾトリアゾールおよび4-メチルベンゾトリアゾールからなる群から選ばれたアゾール類の混合物を有する廃水を準備することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アゾール類の混合物を有する廃水を準備することが、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、ベンゾトリアゾール、o-トリルトリアゾール、m-トリルトリアゾール、p-トリルトリアゾール、および5-エチルベンゾトリアゾールからなる群から選ばれたアゾール類の混合物を有する廃水を準備することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
アゾール類の混合物を有する前記廃水を準備することが、少なくとも1,2,4-トリアゾールを含む廃水を準備することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
イオン交換処理システムを用いて前記廃水および処理水の少なくとも一方を処理することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記廃水を前記廃水処理システムの前記入口に導入する前に、前記廃水中の前記アゾール濃度を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記廃水を前記廃水処理システムの前記入口に導入する前に、前記廃水中の全有機炭素(TOC)濃度を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記廃水を前記廃水処理システムの前記入口に導入することが、促進酸化プロセス(AOP)および溶存鉄処理プロセスの少なくとも一方から選択される廃水処理システムの入口に前記廃水を導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記廃水を前記AOPの前記入口に導入することが、前記廃水を紫外線(UV)-AOPの前記入口に導入することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記UV-AOPに導入する前に、ろ過システムで前記廃水を処理することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記廃水を前記紫外線(UV)-AOPの前記入口に導入することが、前記廃水をUV-過硫酸AOPの前記入口に導入することを含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記廃水を前記UV-過硫酸AOPの前記入口に導入することが、前記廃水中の少なくとも前記アゾール濃度に基づいて過硫酸イオンを前記廃水に導入することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記UV-過硫酸AOPを稼働させることが、前記廃水中の前記過硫酸イオンをUV光に暴露して過硫酸ラジカルを生成させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記廃水を前記紫外線(UV)-AOPの前記入口に導入することが、前記廃水をUV-過酸化物AOPの前記入口に導入することを含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項21】
前記廃水を前記UV-過酸化物AOPの前記入口に導入することが、前記廃水中の少なくとも前記アゾール濃度に基づいて過酸化物を前記廃水に導入することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記UV-過酸化物AOPを稼働させることが、前記廃水中の前記過酸化物イオンをUV光に暴露してヒドロキシルラジカルまたはヒドロペルオキシルラジカルを生成させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記廃水を前記廃水処理システムの前記入口に導入することが、前記廃水を溶存鉄処理プロセスの前記入口に導入することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記廃水を前記溶存鉄処理プロセスに導入する前に、前記廃水のpHを低下させることをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記廃水を溶存鉄処理プロセスの入口に導入することが、酸性pHで前記廃水に溶存鉄化合物および酸化剤を導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記廃水を溶存鉄処理プロセスの入口に導入することが、酸性pHで前記廃水に溶存鉄化合物および過硫酸イオンを導入して過硫酸ラジカルを生成させることを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記廃水を溶存鉄処理プロセスの入口に導入することが、酸性pHで前記廃水に溶存鉄化合物および過酸化物を導入してヒドロキシルラジカルおよび/またはヒドロペルオキシルラジカルを生成させることを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
処理水を生成するために、前記廃水のpHを上昇させることによって前記廃水から鉄含有化合物を沈殿させることをさらに含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記処理水中の前記第2のアゾール濃度を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記処理水のTOC濃度を測定することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記測定されたTOC濃度が、前記処理水中の前記測定された第2のアゾール濃度と相関している、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記処理水を下流処理プロセスに導入することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項33】
前記処理水を前記下流処理プロセスに導入することが、前記処理水を生物学的処理プロセスに導入することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記処理水を排出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
アゾール類を含むCMP廃水の処理を容易にする方法であって、
第1のアゾール濃度を有する廃水源への接続を有する廃水処理システムであって、フリーラジカルを生成して前記廃水中に導入するように構築および配置されている廃水処理システムを提供すること、および、
少なくとも前記廃水中のアゾール類の濃度に応答して、少なくとも廃水の前記処理システムへの導入およびフリーラジカルの生成を調節し、前記第1のアゾール濃度よりも低い第2のアゾール濃度を有する処理水を生成するように構成されたコントローラを提供すること
を含む、方法。
【請求項36】
前記第1のアゾール濃度が、約20mg/Lから約200mg/Lである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1のアゾール濃度が、約40mg/Lから約150mg/Lである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1のアゾール濃度が、約80mg/Lから約100mg/Lである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第2のアゾール濃度が、約10mg/L未満である、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記廃水のための少なくとも1つの追加の処理システムを提供することをさらに含み、前記追加の処理システムは、イオン交換システムおよびろ過システムの少なくとも1つを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記処理システムへの導入前に、前記第1のアゾール濃度を測定するように構築および配置された第1のアゾール濃度センサを提供することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記処理システムへの導入前に、TOC濃度を測定するように構築および配置された第1のTOC濃度センサを提供することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記廃水処理システムへの廃水の流量を測定するように構築および配置された流量計を提供することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記廃水処理システムを提供することが、AOPおよび溶存鉄処理プロセスのうちの少なくとも1つを提供することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
前記AOPを提供することが、UV-過硫酸AOPを提供することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
過硫酸塩を提供することをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記AOPを提供することが、UV-過酸化物AOPを提供することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
過酸化物を提供することをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記溶存鉄処理プロセスを提供することが、可溶性鉄化合物、酸化剤、およびpH調整剤の少なくとも1つを提供することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記溶存鉄処理プロセスを提供することが、可溶性鉄化合物、過硫酸塩、およびpH調整剤の少なくとも1つを提供することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記溶存鉄処理プロセスを提供することが、可溶性鉄化合物、過酸化物、およびpH調整剤の少なくとも1つを提供することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記処理水の前記第2のアゾール濃度を測定するように構成された第2のアゾール濃度センサを提供することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項53】
前記処理水の前記TOC濃度を測定するように構成された第2のTOC濃度センサを提供することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項54】
前記処理水の前記アゾール濃度が、少なくとも1つの下流水処理プロセスの操作に十分である、請求項35に記載の方法。
【請求項55】
前記下流水処理プロセスを提供することをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記処理水の前記下流処理システムを提供することが、生物学的処理プロセスを提供することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記廃水処理システムを前記廃水源に接続するようユーザに指示することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項58】
前記廃水中の前記アゾール濃度を低下させ、前記処理水を生成するのに十分な量の前記フリーラジカルを生成させて前記廃水に導入するために、前記廃水処理システムを起動するようにユーザに指示することをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2019年8月26日に出願された「Treatment of Azoles」と題する米国仮特許出願シリアル番号62/891,580に対する35U.S.C.§119(e)に基づく優先権を主張し、その開示全体は、あらゆる目的のために参照により完全に本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
(技術分野)
本明細書に開示される態様および実施形態は、廃水中のアゾール類の濃度を低減するシステムおよび方法に関するものである。
【発明の概要】
【0003】
一態様によれば、アゾール類を含む化学機械研磨(CMP)廃水を処理する方法が提供される。本方法は、第1のアゾール濃度を有する廃水を準備することを含んでよい。本方法は、廃水を廃水処理システムの入口に導入することをさらに含んでよい。本廃水処理システムは、フリーラジカルを生成して廃水中に導入するように構築および配置されてよい。本方法は、廃水処理システムを起動させて、廃水中のアゾール濃度を低減し、第1のアゾール濃度よりも低い第2のアゾール濃度を有する処理水を生成するのに十分な量のフリーラジカルを生成させて廃水に導入することをさらに含んでよい。
【0004】
いくつかの実施形態では、第1のアゾール濃度は、約20mg/Lから約200mg/Lであってよい。例えば、第1のアゾール濃度は、約20mg/Lから約60mg/L、約30mg/Lから約80mg/L、約40mg/Lから約100mg/L、約50mg/Lから約120mg/L、約60mg/Lから約150mg/L、約70mg/Lから約160mg、約80mg/Lから約180mg/L、または約100mg/Lから約200mg/Lであってよい。特定の実施形態では、第1のアゾール濃度は、約40mg/Lから約150mg/Lであってよい。さらなる実施形態では、第1のアゾール濃度は、約80mg/Lから約100mg/Lであってよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、第2のアゾール濃度は、約10mg/L未満であってよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、処理水中のアゾール濃度、すなわち、約10mg/L未満は、少なくとも1つの下流水処理プロセスの操作に十分である。
【0007】
いくつかの実施形態では、廃水を準備することは、アゾール類の混合物を有する廃水を準備することを含む。例えば、アゾール類の混合物を含むアゾール類は、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、セレナゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、テトラゾール、1,2,3,4-チアトリアゾール、ベンゾトリアゾール、o-トリルトリアゾール、m-トリルトリアゾール、p-トリルトリアゾール、5-エチルベンゾトリアゾール、5-n-プロピルベンゾトリアゾール、5-イソブチルベンゾトリアゾールおよび4-メチルベンゾトリアゾール、およびそれらの組合せからなる群から選択されてよい。特定の実施形態では、アゾール類の混合物を含むアゾール類は、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、ベンゾトリアゾール、o-トリルトリアゾール、m-トリルトリアゾール、p-トリルトリアゾール、および5-エチルベンゾトリアゾールからなる群から選択されてよい。特定の実施形態では、アゾール類の混合物を有する廃水は、少なくとも1,2,4-トリアゾールを含んでよいが、これに限定されるものではない。
【0008】
さらなる実施形態では、本方法は、イオン交換処理システムを用いて廃水および処理水の少なくとも一方を処理することを含んでよい。
【0009】
さらなる実施形態では、本方法は、廃水を廃水処理システムの入口に導入する前に、廃水中のアゾールおよび全有機炭素(TOC)濃度の少なくとも一方を測定することを含んでいてよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、廃水を廃水処理システムの入口に導入することは、廃水を促進酸化プロセス(AOP)および溶存鉄処理プロセスの少なくとも一方から選択される廃水処理システムの入口に導入することを含んでよい。AOPの場合、AOPの入口に廃水を導入することは、紫外線(UV)-AOPの入口に廃水を導入することであってよい。さらなる実施形態では、本方法は、UV-AOPに導入する前に、ろ過システムで廃水を処理することを含んでよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、廃水を紫外線(UV)-AOPの入口に導入することは、廃水をUV-過硫酸AOPの入口に導入することを含んでよい。例えば、廃水をUV-過硫酸AOPの入口に導入することは、廃水中の少なくともアゾール濃度に基づいて過硫酸イオンを廃水に導入することを含み得る。いくつかの実施形態では、UV-過硫酸AOPを稼働させることは、廃水中の過硫酸イオンをUV光に曝露して過硫酸ラジカルを生成させることを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、廃水を紫外線(UV)-AOPの入口に導入することは、廃水をUV-過酸化物AOPの入口に導入することを含む。例えば、廃水をUV-過酸化物AOPの入口に導入することは、廃水中の少なくともアゾール濃度に基づき過酸化物を廃水に導入することを含み得る。いくつかの実施形態では、UV-過酸化物AOPを稼働させることは、廃水中の過硫酸イオンをUV光に曝露してヒドロキシルまたはヒドロペルオキシルラジカルを生成させることを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、廃水を廃水処理システムの入口に導入することは、廃水を溶存鉄処理プロセスの入口に導入することを含み得る。溶存鉄処理プロセスの場合、本方法は、廃水を溶存鉄処理プロセスに導入する前に、廃水のpHを低下させることをさらに含んでいてよい。いくつかの実施形態では、廃水を溶存鉄処理プロセスの入口に導入することは、酸性pHで廃水に溶存鉄化合物および酸化剤を導入することを含む。酸化剤は、過硫酸塩由来の過硫酸イオン、または過酸化水素などの過酸化物であってよく、過硫酸イオンは、過硫酸ラジカルを生成し、過酸化物分子は、ヒドロキシルおよび/またはヒドロペルオキシルラジカルを生成する。さらなる実施形態では、本方法は、処理水を生成するために廃水のpHを上昇させることによって廃水から鉄含有化合物を沈殿させることを含んでよい。
【0014】
さらなる実施形態では、本方法は、処理水中のアゾール濃度およびTOC濃度の少なくとも一方を測定することを含んでいてよい。測定されたTOC濃度は、処理水中の測定された第2のアゾール濃度と相関していてよく、すなわち、第2のアゾール濃度およびTOC濃度は、線形従属していてもよい。
【0015】
さらなる実施形態では、本方法は、処理水を下流処理プロセスに導入することを含んでよい。下流処理プロセスは、生物学的処理プロセスを含んでよいが、これに限定されるものではない。
【0016】
さらなる実施形態では、本方法は、処理水をさらに処理することなく排出することを含んでいてよい。
【0017】
ある態様によれば、アゾール類を含むCMP廃水の処理を容易にする方法が提供される。本方法は、第1のアゾール濃度を有する廃水源への接続を有する廃水処理システムを提供することを含んでよい。廃水処理システムは、フリーラジカルを生成して廃水に導入するように構成および配置された、本明細書に記載の廃水処理システムであってよい。本方法は、少なくとも廃水中のアゾール類の濃度に応答して、少なくとも処理システムへの廃水の導入およびフリーラジカルの生成を調節し、第1のアゾール濃度より低い第2のアゾール濃度を有する処理水を生成するように構成されたコントローラを提供することを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1のアゾール濃度は、約20mg/Lから約200mg/Lであってよい。例えば、第1のアゾール濃度は、約20mg/Lから約60mg/L、約30mg/Lから約80mg/L、約40mg/Lから約100mg/L、約50mg/Lから約120mg/L、約60mg/Lから約150mg/L、約70mg/Lから約160mg、約80mg/Lから約180mg/L、または約100mg/Lから約200mg/Lであってよい。特定の実施形態では、第1のアゾール濃度は、約40mg/Lから約150mg/Lであってよい。さらなる実施形態では、第1のアゾール濃度は、約80mg/Lから約100mg/Lであってよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、第2のアゾール濃度は、約10mg/L未満であってよい。
【0020】
さらなる実施形態では、本方法は、廃水に対して少なくとも1つの追加の処理システムを提供することを含んでよい。例えば、追加の処理システムは、イオン交換システムおよびろ過システムのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0021】
さらなる実施形態では、本方法は、処理システムへの導入前に第1のアゾール濃度を測定するように構築および配置された第1のアゾール濃度センサを提供することを含んでよい。さらなる実施形態では、本方法は、処理システムへの導入前にTOC濃度を測定するように構築および配置された第1のTOC濃度センサを提供することを含んでよい。さらなる実施形態では、本方法は、廃水処理システムへの廃水の流量を測定するように構築および配置された流量計を提供することを含んでよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、廃水処理システムを提供することは、AOPおよび溶存鉄処理プロセスのうちの少なくとも1つを提供することを含んでよい。例えば、AOPを提供することは、UV-過硫酸AOPを提供することを含んでよい。いくつかの実施形態では、UV-過硫酸塩を提供することは、過硫酸塩を提供することをさらに含んでよい。さらなる実施形態では、AOPを提供することは、UV-過酸化物AOPを提供することを含んでよい。いくつかの実施形態では、UV-過酸化物を提供することは、過酸化物を提供することをさらに含んでよい。
【0023】
さらなる実施形態では、溶存鉄処理プロセスを提供することは、可溶性鉄化合物、酸化剤、およびpH調整剤のうちの少なくとも1つを提供することを含んでいてよい。特定の実施形態では、溶存鉄処理プロセスを提供することは、可溶性鉄化合物、過硫酸塩、およびpH調整剤のうちの少なくとも1つを提供することを含んでよい。他の実施形態では、溶存鉄処理プロセスを提供することは、可溶性鉄化合物、過酸化物、およびpH調整剤のうちの少なくとも1つを提供することを含んでよい。
【0024】
さらなる実施形態では、本方法は、処理水の第2のアゾール濃度を測定するように構築および配置された第2のアゾール濃度センサを提供することを含んでよい。さらなる実施形態では、本方法は、処理水のTOC濃度を測定するように構築および配置された第2のTOC濃度センサを提供することを含んでよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、処理水中のアゾール濃度、すなわち、約10mg/L未満は、少なくとも1つの下流水処理プロセスの操作に十分であってよい。さらなる実施形態では、本方法は、下流水処理プロセスを提供することを含んでいてよい。処理水の下流処理システムを提供することは、生物学的処理プロセスを提供することを含んでいてよいが、これに限定されるものではない。
【0026】
さらなる実施形態では、本方法は、廃水処理システムを廃水源に接続することをユーザに指示することを含んでよい。さらなる実施形態では、本方法は、廃水中のアゾール濃度を低減し、処理水を生成するのに十分な量のフリーラジカルを生成させて廃水に導入するために、廃水処理システムを起動するようにユーザに指示することを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
添付の図面は、縮尺通りに描かれることを意図していない。図面において、様々な図に示されている各同一またはほぼ同一の構成要素は、同様の数字で表されている。分かりやすくするために、すべての図面にすべての構成要素が表示されていない場合がある。図面においては、以下のようである。
【0028】
図1図1は、一実施形態による、アゾール類を含むCMP廃水の処理方法の全体概略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
アゾール類を含む化学機械研磨(CMP)廃水の処理方法が、本明細書に開示されている。本明細書に開示される方法は、半導体施設の操業中に発生する廃水から濃縮されたアゾール化合物を除去する。
【0030】
CMP平坦化プロセスでは、酸化剤、および研磨剤、錯化剤、および追加添加剤を含む研磨を行い、製造プロセス中に半導体ウェハを除去および/またはエッチングすることを含む。研磨は、ウェハから余分な銅を除去するために、研磨パッドを用いて行われる。シリコン、銅、および様々な微量金属は、研磨スラリを介してシリコン構造体から除去される。研磨スラリは、研磨パッドとともに平坦化テーブル上のシリコンウェハに導入される。酸化剤およびエッチング液を導入し、物質の除去を制御する。シリコンウェハからデブリを除去するために、一般に超純水(UPW)リンスが使用される。半導体製造装置では、逆浸透膜(RO)水、脱塩水、および研磨水のUPWも、シリコンウェハのリンスに使用され得る。
【0031】
場合によっては、半導体製造工場または他の産業からの廃水は、ウェハ平坦化および研磨プロセス中に防錆剤として使用される高レベルのアゾール、例えば、約20mg/Lから約200mg/Lまでの総アゾールまたはそれを超えるものを含むことがある。これらのプロセスからの廃水には、重金属、追加の有機化合物、例えばアルコール、および/またはアンモニウム塩などの界面活性剤、およびコロイド状シリカなどの無機研磨剤が含まれることもあるが、これらはすべて廃水の排出前に除去すべきである。これらの追加の汚染物質は、約0.01重量%から約1重量%までのレベルで存在し得る。廃水は、さらに、バックグラウンドの全有機炭素(TOC)濃度が高く、全アゾール類がTOCの一部を構成している場合がある。例えば、過酸化水素(H)などの酸化剤は、一般にマイクロチップからの銅の溶解を助けるために使用され、CMP廃水中に1,000mg/Lまたは0.1重量%を超える濃度で存在し得る。
【0032】
アゾール類は、現在、米国では規制当局による最大汚染物質レベル(MCL)の規制はないが、外水域に排出されると環境に悪影響を及ぼすと考えられている。近年、アゾール類の魚類への生物濃縮および自然発生する藻類の毒性出現が指摘されており、排出前に処理水から除去する必要がある。
【0033】
その開示内容全体が参照によりすべての目的で本明細書に組み込まれるUS8,801,937に記載されているように、アゾール化合物は、シリコンウェハ処理中の銅の防錆剤として半導体産業で広く使用されている。そのようなアゾール化合物の例としては、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、セレナゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、テトラゾール、1,2,3,4-チアトリアゾール、これらの誘導体、これらのアミン塩、およびこれらの金属塩が挙げられるが、それらに限定されない。アゾール誘導体の例としては、アゾール環とベンゼン環との縮合環などを有する化合物、例えばインダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられ、さらにその誘導体、例えばアルキルベンゾトリアゾール(例えば、ベンゾトリアゾール、o-トリルトリアゾール、m-トリルトリアゾール、p-トリルトリアゾール、5-エチルベンゾトリアゾール、5-n-プロピルベンゾトリアゾール、5-イソブチルベンゾトリアゾールおよび4-メチルベンゾトリアゾール)、アルコキシベンゾトリアゾール(例えば、5-メトキシベンゾトリアゾール)、アルキルアミノベンゾトリアゾール、アルキルアミノスルホニルベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾール(例えば、4-ニトロベンゾトリアゾール)、ハロベンゾトリアゾール(例えば、5-クロロベンゾトリアゾール)、ヒドロキシアルキルベンゾトリアゾール、ヒドロベンゾトリアゾール、アミノベンゾトリアゾール、(置換アミノメチル)-トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、N-アルキルベンゾトリアゾール、ビスベンゾトリアゾール、ナフトトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、アミノベンゾチアゾール、これらのアミン塩、およびこれらの金属塩等があげられる。しかし、アゾール類は化学的安定性が高いため、溶液からの除去が困難であり、さらに生分解も容易でない。従来のアゾール含有防錆剤の廃水処理では、オゾン(O)、紫外線(UV)、過酸化水素などの酸化力の高い酸化剤を用いてアゾール系化合物を分解し、または、これらの酸化剤を組み合わせた促進酸化プロセスで回収廃水を処理する。従来のアゾール除去プロセスには、アゾール化合物の化学的安定性が高いため、いくつかの欠点がある。例えば、上述したいずれの従来法においても、分解反応に多量の薬品が必要であり、処理コストが高くなる。また、最近の半導体デバイスの高集積化に伴い、ウェハまたはマイクロチップ1個当たりの微細研磨工程が増加しているため、処理を必要とするCMP廃水の発生量も増加している。
【0034】
1つ以上の実施形態に従って、アゾール類を含むCMP廃水を処理する方法が提供される。CMP廃水を処理する方法は、第1のアゾール濃度を有する廃水を準備することを含んでよい。本方法は、廃水を廃水処理システムの入口に導入することをさらに含んでよく、該廃水処理システムは、フリーラジカルを生成して廃水中に導入するように構築および配置されている。本方法は、廃水処理システムを起動して、廃水中のアゾール濃度を低下させ、第2のアゾール濃度を有する処理水を生成するのに十分な量のフリーラジカルを生成させて廃水に導入することをさらに含んでよく、該第2のアゾール濃度は、第1のアゾール濃度より低い。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1のアゾール濃度は、約20mg/Lから約200mg/Lであってよい。例えば、第1のアゾール濃度は、約20mg/Lから約60mg/L、約30mg/Lから約80mg/L、約40mg/Lから約100mg/L、約50mg/Lから約120mg/L、約60mg/Lから約150mg/L、約70mg/Lから約160mg、約80mg/Lから約180mg/L、または約100mg/Lから約200mg/Lであってよい。特定の実施形態では、第1のアゾール濃度は、約40mg/Lから約150mg/Lであってよい。さらなる実施形態では、第1のアゾール濃度は、約80mg/Lから約100mg/Lであってよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1のアゾール濃度は、約20mg/L、約30mg/L、約40mg/L、約50mg/L、約60mg/L、約70mg/L、約80mg/L、約90mg/L、約100mg/L、約110mg/L、約120mg/L、約130mg/L、約140mg/L、約150mg/L、約160mg/L、約170mg/L、約180mg/L、約190mg/Lまたは約200mg/Lであってよい。特定の実施形態では、第1のアゾール濃度は、約225mg/L、約250mg/L、または約300mg/Lを超えるなど、200mg/Lを超え得る。本開示は、第1のアゾール濃度によって何ら限定されない。
【0037】
いくつかの実施形態では、廃水処理システムを用いて廃水を処理することにより、約10mg/L未満、例えば、約10mg/L未満、約9mg/L未満、約8mg/L未満、約7mg/L未満、約6mg/L未満、約5mg/L未満、約4mg/L未満、約3mg/L未満、約2mg/L未満、または約1mg/L未満の第2のアゾール濃度を有する処理水を生成し得る。処理水中のアゾール類の濃度を約10mg/L未満に低減することは、生物学的水処理システムなどの少なくとも1つの下流水処理プロセスの操作のためであってよい。下流処理プロセスは、水をさらに処理または精製するために用いられる任意のプロセスであってよく、本発明は、下流水処理プロセスの種類によって限定されない。また、処理水をさらに処理することなく排出してよい。
【0038】
アゾール類を含むCMP廃水の処理方法の全体概略図を図1に示す。図1を参照すると、本方法は、廃水源から廃水を提供するステップ102を含んでよい。廃水は、ステップ104で廃水処理システムに導入されてよい。廃水処理システムへの導入に先立ち、本方法は、廃水のアゾール濃度およびTOC濃度の少なくとも一方を測定するステップ101aを含んでよい。破線のボックスで示される任意のステップとして、本方法は、イオン交換プロセスまたはろ過プロセスのような追加の水処理プロセスで廃水を処理するステップ103aを含んでよい。廃水が一旦廃水処理システムに導入されると、本方法は、廃水中のアゾール濃度を低減するのに十分な量のフリーラジカルを生成させて廃水中に導入するために廃水処理を活性化するステップ106を含んでよい。フリーラジカルは、廃水中のアゾールを分解し、ステップ108で処理水を生成する。本方法は、処理水のアゾール濃度およびTOC濃度の少なくとも一方を測定するステップ101bを含んでよい。本方法は、処理水をイオン交換プロセスまたはろ過プロセスなどの追加の水処理プロセスで処理する任意のステップ103bを含んでよい。本方法は、生物学的処理または当業者に公知である他の任意の水処理プロセスなどの下流処理プロセスに処理水を提供する追加のステップ110をさらに含んでよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、CMP廃水中のアゾール類は、任意の数の異なるアゾール化合物の混合物であってよい。例えば、アゾール類の混合物を含むアゾール類は、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、セレナゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、テトラゾール、1,2,3,4-チアトリアゾール、ベンゾトリアゾール、o-トリルトリアゾール、m-トリルトリアゾール、p-トリルトリアゾール、5-エチルベンゾトリアゾール、5-n-プロピルベンゾトリアゾール、5-イソブチルベンゾトリアゾールおよび4-メチルベンゾトリアゾール、およびそれらの組合せからなる群から選択されてよい。特定の実施形態では、アゾール類の混合物を含むアゾール類は、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、ベンゾトリアゾール、o-トリルトリアゾール、m-トリルトリアゾール、p-トリルトリアゾール、および5-エチルベンゾトリアゾールからなる群から選択されてよい。他のアゾール類は、本明細書に記載の研磨剤、金属、および界面活性剤などの他の有機および無機成分と共に、アゾール混合物の一部として含まれてよい。特定の実施形態では、アゾール類の混合物は、少なくとも1,2,4-トリアゾールを含んでよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、CMP廃水は、バックグラウンドTOCに寄与する追加の有機化合物を含んでよい。したがって、CMP廃水のTOC濃度は、アゾール類の濃度よりも高くてよい。例えば、CMP廃水のTOC濃度は、150mg/L超、175mg/L超、200mg/L超など、100mg/L超であってよい。処理プロセスでは、TOC濃度の減少を総アゾール濃度の減少の代わりとして使用することができる。例えば、CMP廃水中のアゾール濃度とTOC濃度とは、ほぼ直線関係にあり、すなわち、アゾール濃度が低下すると、TOC濃度が低下する。CMP廃水を処理するために添加する試薬の量は、処理前の廃水のTOC濃度の測定値と、処理水について行われる並行測定値とによって決定し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、CMP廃水からアゾール類を除去するために使用される廃水処理システムは、促進酸化プロセス(AOP)であってよい。特定の実施形態では、AOPは、有機分子および/または酸化剤との光化学反応を用いる、光化学AOPであってよい。例えば、紫外線(UV)処理は、安定した有機分子の除去に有効であることが示されている。UV処理は、一般に、様々な有機種の除去のために、酸化塩のUV活性化を利用する。任意の強力な酸化剤を使用し得る。いくつかの非限定的な実施形態では、過硫酸化合物を使用してもよい。少なくともいくつかの実施形態では、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、および/または過硫酸カリウムのうちの少なくとも1つを使用してもよい。他の非限定的な実施形態では、過酸化水素などのペルオキシド化合物を使用してもよい。CMP廃水には、酸化剤を投与してよい。
【0042】
酸化塩を紫外線で活性化する反応は、過酸化物、過硫酸塩にそれぞれ対応する化学式(1)および(2)に従って起こり得る。
→ 2HO・ (1)
2- → 2SO (2)
【0043】
いくつかの実施形態では、CMP廃水中の過硫酸塩のTOCに対する比、すなわち、処理前に廃水に投与される過硫酸塩の相対量は、約10:1から約50:1、例えば、約10:1、約15:1、約20:1、約25:1、約30:1、約35:1、約40:1、約45:1、約45:1、または約50:1であってよい。非限定的な例では、25:1および50:1の過硫酸塩のTOCに対する比は、CMP廃水中のアゾール濃度を約10mg/L未満に低減させ得る。いくつかの実施形態では、CMP廃水中の過酸化物のTOCに対する比は、約5:1から約25:1、例えば、約5:1、約10:1、約15:1、約20:1、または約25:1であってよい。別の非限定的な例では、15:1および25:1の過酸化物のTOCに対する比は、CMP廃水中のアゾール濃度を約10mg/L未満に低減させ得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、AOPで処理するためのCMP廃水のpHは、酸性、すなわち、7未満であってよい。例えば、CMP廃水のpHは、約3であってよい。水処理システムに干渉しない任意の公知のpH調整剤、例えば酸、例えば硫酸、または酸塩を使用して、酸性pHを、維持することができる。あるいは、CMP廃水のpHは、塩基性、すなわち、7より大きくてよい。例えば、CMP廃水のpHは約9であってよい。水処理システムに干渉しない任意の公知のpH調整剤、例えば、限定されないが、水酸化ナトリウムおよび水酸化カルシウムまたは石灰等の塩基を用いて、塩基性pHを、維持することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、酸化剤を投与されたCMP廃水は、UV光源に曝露されてよい。例えば、本明細書に開示される方法は、各々が電磁スペクトルのUV範囲内の所望の波長で光を放出する、1つ以上のUVランプの使用を含んでよい。例えば、いくつかの実施形態によれば、UVランプは、約180nmから約280nmの範囲の波長を有してよく、いくつかの実施形態では、約185nmから約254nmの範囲の波長を有してよい。本明細書に記載されるように、酸化剤のUV光への曝露は、CMP廃水中のアゾール類の混合物と反応してそれらを分解して処理水を形成し得るヒドロキシルラジカルおよび過硫酸ラジカルのようなフリーラジカルを生成する。
【0046】
アゾール類などの有機化合物を除去するための紫外線処理は、公知であり、Evoqua Water Technologies LLC(ペンシルバニア州ピッツバーグ)から市販されているVANOX(登録商標)AOPシステムなどを実施してよい。いくつかの関連特許および特許出願公開は、すべての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,591,730号;第8,652,336号;第8,961,798号;第10,494,281号;US2018/0273412;およびPCT/US2019/051861(すべてEvoqua Water Technologies LLCに対して)を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、CMP廃水からアゾール類を除去するために使用される廃水処理システムは、フェントン化学を利用する廃水処理システムなどの溶存鉄処理プロセスであってよい。アゾール類の除去に用いられるフェントン試薬は、約50mg/Lから約300mg/Lの可溶性鉄化合物(例えば、硫酸第一鉄(Fe2+))に約500mg/Lから約3000mg/Lの過酸化水素または過硫酸塩等の酸化剤を加えることにより形成し得る。フェントンの反応は、また、より大量の過酸化水素または過硫酸塩を添加する前に、CPM廃水中に存在する過酸化水素の少なくとも一部を分解し得る。フェントン反応は、化学式(3)から(5)に従って起こり得る。
Fe2++H → Fe3++HO・+OH (3)
Fe3++H → Fe2++HOO・+H (4)
Fe2++S 2- → Fe3++SO+SO 2- (5)
【0048】
過酸化水素と過硫酸塩との紫外線光分解で生成するヒドロキシルラジカルおよび過硫酸ラジカル、ならびに、Fe2+の酸化またはFe3+の還元で生成するヒドロキシルラジカル、ヒドロペルオキシルラジカル、および過硫酸ラジカルは、CMP廃水中のアゾール類と反応し、該アゾール類を主に窒素酸化物(NO/NO)と二酸化炭素と水とに分解し得る。特定の理論に拘束されることを望むことなく、アゾールなどの窒素系有機分子の分解は、式6に例示される反応によって起こり得る。
+OH・ → CO+NO+HO (6)
【0049】
いくつかの実施形態では、アゾール類を含む廃水の処理に溶存鉄化合物を使用する場合、前記方法は、酸性pHで廃水に溶存鉄化合物および酸化剤を導入して、アゾール類を分解するためのフリーラジカルを生成させることを含んでよい。pHは、硫酸などの酸の添加により、約3、例えば2から5のpHに調整または維持してもよい。廃水中に導入される酸化剤は、過酸化水素などの過酸化物、または、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、および過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩を含んでもよく、溶存鉄処理システムの一部として添加される酸化剤の種類によって、本発明が限定されることはない。本明細書に記載したように、溶存鉄化合物と反応する際に、過酸化物はヒドロキシルラジカルおよびヒドロペルオキシルラジカルを生成し、過硫酸塩は過硫酸ラジカルを生成する。
【0050】
溶存鉄処理システムを用いたアゾール類の分解の際には、過剰な溶存鉄を含む副産物が形成されることになる。いくつかの実施形態では、前記方法は、廃水のpHを上昇させることによって廃水から鉄含有化合物を沈殿させることで、過剰な溶存鉄を除去するステップを含んでよい。廃水のpHは、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の塩基の添加により、約6から約10のpH、例えばpH9に調整または維持してもよい。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、pHを上げることにより、水酸化鉄などの不溶性の鉄化合物を形成し、反応容器内に沈殿させることができる。沈殿した鉄化合物は、沈殿後に除去され、処理水が残り得る。
【0051】
廃水中の有機化合物を除去するための溶存鉄処理システムは、Evoqua Water Technologies LLCに対するUS2019/0127247に記載されており、これらの開示は、すべての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
いくつかの実施形態では、CMP廃水からアゾール類を除去するために使用される廃水処理システムは、電気酸化プロセスを含んでよい。電気酸化プロセスは、CMP廃水中のアゾール類を分解するために使用される電気化学セルを含んでよい。電気化学セルは、一般に、2つの電極、すなわち、カソードおよびアノードを含んでよい。参照電極もまた、例えば、アノードに近接して使用されてよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、カソードは、様々な材料で構成されてよい。いくつかの非限定的な実施形態では、カソードは、ステンレス鋼、銅、コバルト、ニッケル合金、チタン、またはDSA材料で作られてよい。DSA材料は、コーティングされていなくてよく、また、特にはPtまたはIrOなどの貴金属または金属酸化物でコーティングされていてよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、アノードは、高い酸素発生オーバーポテンシャルによって特徴付けられる材料で構成されてよい。いくつかの実施形態では、アノードは、ホウ素ドープダイヤモンド(BDD)、一般式Ti2n-1(n=4から10を含む)のマグネリ相酸化チタン、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの適切な結合マトリックス中の活性炭などの多孔質材料から構築されてよい。
【0055】
動作中、アゾール類を含むCMP廃水の流れは、処理のために電気化学セルに導入され得る。電気化学セルは、本明細書に記載の過硫酸塩または過酸化水素などの、電極表面におけるラジカルの生成のための酸化剤を含む。アゾール類と反応して処理水を生成するラジカル種を生成するために、アノードまたはカソードのいずれかに電圧を印加し得る。本明細書で記載するように、処理水は、イオン交換などのさらなる処理システムに導かれるか、使用する場所に送られるか、または、そうでなければ、排出され得る。
【0056】
廃水中の有機分子を分解するための電気化学セルは、すべてEvoqua Water Technologies LLCに対するWO2020/041712、PCT/US2020/012648、およびPCT/US2020/038029に記載されており、これらの開示は、すべての目的のために参照によりその全体を本明細書に組み込んでいる。
【0057】
本明細書に記載のいずれの廃水処理システムについても、CMP廃水と組み合わせる試薬の量は、廃水温度、アゾール類の総濃度、バックグラウンドTOC濃度、および廃水のpHなどの廃水の特性に依存し得る。試薬の量は、廃水処理システムの物理的特性、例えば、廃水処理システム構成要素間の入口流量および/または出口流量、ならびにシステム外への水の排出要件にさらに依存してよい。水を処理する方法のいくつかの実施形態では、廃水の、アゾール類の濃度、TOC濃度、流量、および任意にpHを、廃水処理システムへの導入前に測定してもよい。廃水の、アゾール類の濃度、TOC濃度、流量、およびpHを、廃水処理システムの上流に配置された、適切に構築および配置されたセンサまたはメーターによって測定してもよい。センサによって発成した信号は、CMP廃水への試薬の添加を調節するように構成されたコントローラまたは他のシステム構成要素に送信されてよい。
【0058】
水の処理方法のいくつかの実施形態では、処理水の、アゾール類の濃度および/またはTOC濃度を測定してもよい。廃水処理システムの上流での測定と同様に、アゾール類の濃度および/またはTOC濃度を、廃水処理システムの下流に配置され、適切に構築および配置されたセンサによって測定してもよい。第2のセットのアゾール濃度および/またはTOC濃度センサを、処理水が十分に処理され、排出の準備ができているか、あるいは処理水がさらなる処理、例えば、本明細書に記載されるより多くのラジカル生成試薬の添加によるさらなる処理を必要とするかどうか、または、本明細書に記載されるさらなる追加の廃水処理システムまたは当業者に公知の他の水処理システムにおいてさらなる処理を必要とするかどうかを判断するために使用してもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、水を処理する方法は、追加の処理システムを用いて廃水または処理水を処理することを含んでよい。例えば、廃水および/または処理水は、金属イオンを除去するためにイオン交換システムを用いて処理してもよい。本明細書に記載されるように、CMP廃水は一般に銅を含み、ホウ素、リン、またはヒ素などの半導体処理に関連する他の金属イオンを含み得る。金属イオンは、排出する前に除去する必要がある。金属を除去するための処理は、廃水処理システムを用いて廃水を処理する前に行うこと、または、処理水を生成した後に行うことも可能である。いくつかの実施形態では、廃水および/または処理水は、濾過システムを用いて処理してもよい。例えば、CMP廃水は、UV-過硫酸AOPまたはUV-過酸化物AOPなどのAOPシステムに導入する前に、濾過システムを使用して処理してもよい。特定の理論に拘束されることを望むことなく、水を通る広域スペクトル紫外線の透過率は、水の光学的性質に依存し、廃水が曇っているかまたは濁っている場合、透過率は、減少し得る。廃水システムで処理する前に、精密ろ過または限外ろ過などのろ過システムで廃水を処理すると、廃水の透明度が向上し、かくして、UV-AOP廃水処理システムの有効性が向上し得る。あるいは、溶存鉄処理プロセスまたは廃水を処理するために使用される他の処理プロセスに由来する、沈殿鉄化合物などの処理プロセス中に生成した任意の固形物を除去するために、処理後にろ過システムを使用して、廃水を、処理してもよい。当業者は、廃水および/または処理水を処理するための任意の追加の処理システムを、所望の水質またはシステム全体の性能を得るためにシステム内の任意の必要な場所に配置できることを理解し得る。
【0060】
別の態様によれば、アゾール類を含むCMP廃水の処理を容易にする方法が提供される。該容易にする方法は、第1のアゾール濃度を有する廃水源への接続を有する廃水処理システムを提供することを含んでよい。第1のアゾール濃度は、本明細書に記載されるように、約20mg/Lから約200mg/Lであってよい。廃水処理システムは、フリーラジカルを生成し、廃水に導入するように構築および配置されてよい。前記方法は、少なくとも廃水中のアゾール類の濃度に応答して、少なくとも処理システムへの廃水の導入およびフリーラジカルの生成を調節し、第1のアゾール濃度よりも低い第2のアゾール濃度を有する処理水を生成するように構成されたコントローラを提供することをさらに含んでよい。第2のアゾール濃度は、本明細書に記載されるように、約10mg/L未満であってよい。
【0061】
前記容易にする方法のいくつかの実施形態では、該方法は、廃水のための少なくとも1つの追加の処理システムを提供することをさらに含んでよい。いくつかの態様において、少なくとも1つの追加の処理システムは、イオン交換システムおよび限外濾過システムのうちの少なくとも1つを含んでよい。容易にする方法のいくつかの実施形態では、該方法は、処理システムへの導入前にアゾール濃度を測定するように構築および配置された第1のアゾール濃度センサを提供することをさらに含んでよい。容易にする方法のいくつかの実施形態では、該方法は、処理システムへの導入に先立ってTOC濃度を測定するように構築および配置された第1のTOC濃度センサを提供することをさらに含んでよい。容易にする方法の、いくつかの実施形態では、該方法は、廃水処理システムへの廃水の流量を測定するように構築および配置された流量計を提供することをさらに含んでよい。
【0062】
前記容易にする方法のいくつかの実施形態では、処理システムを提供することは、AOPおよび溶存鉄処理プロセスのうちの少なくとも1つを提供することを含んでよい。AOPは、本明細書に記載のAOPであってよく、溶存鉄処理プロセスは、本明細書に記載の溶存鉄処理プロセスであってよい。いくつかの実施形態では、AOPは、UV-過硫酸AOPまたはUV-過酸化物AOPなどのUV-AOPであってよい。AOPがUV-過硫酸AOPである場合、容易にする方法は、過硫酸塩を提供することをさらに含んでいてよい。AOPがUV-過酸化物AOPである場合、容易にする方法は、過酸化物を提供することをさらに含んでよい。溶存鉄処理システムを提供する場合、容易にする方法は、可溶性鉄化合物、本明細書に記載の酸化剤、およびpH調整剤のうちの少なくとも1つを提供することをさらに含んでよい。
【0063】
前記容易にする方法のいくつかの実施形態では、該方法は、処理水のアゾール濃度を測定するように構成された第2のアゾール濃度センサを提供することをさらに含んでよい。容易にする方法のいくつかの実施形態では、該方法は、処理水のTOC濃度を測定するように構成された第2のTOC濃度センサをさらに含んでよい。
【0064】
処理水中のアゾール濃度は、少なくとも1つの下流水処理プロセスの操作に十分であってよく、前記容易にする方法のさらなる実施形態では、該方法は、下流水処理プロセスを提供することを含んでいてよい。下流水処理プロセスは、生物学的処理プロセス、または当該技術分野で公知の他の任意の廃水処理プロセスを含んでよい。
【0065】
前記容易にする方法のいくつかの実施形態では、該方法は、廃水処理システムを廃水源に接続するようにユーザに指示することをさらに含んでよい。容易にする方法のいくつかの実施形態では、該方法は、廃水中のアゾール濃度を低減し処理水を生成するのに十分な量のフリーラジカルを生成させて廃水に導入するために、廃水処理システムを起動するようにユーザに指示することをさらに含んでよい。
【実施例
【0066】
これらの実施形態および他の実施形態の機能および利点については、以下の実施例からより良く理解し得る。これらの実施例は、本質的に例示することを意図しており、本発明の範囲をいかなる形でも限定するものとは見なされない。
【0067】
(実施例1 UV-過硫酸AOPを用いたCMP廃水からのアゾール類の除去)
TOC濃度が約l00mg/L、pHが3の廃水を、過硫酸塩とTOCとの比率を変えて処理した。廃水のTOC濃度は、バックグラウンドTOC濃度と、少なくとも1,2,4-トリアゾールを含むアゾール類の混合物を約60mg/Lの濃度でスパイクしたアリコートとの両方を含んでいた。アゾール類の混合物を添加する前のCMP廃水のTOC濃度は約50mg/Lであった。CMP廃水には、銅、過酸化水素、ならびに、その他の無機分子および有機分子、がさらに含まれていた。まず、限外ろ過システムを用いて廃水の前処理を行い、微粒子を除去し、紫外線の透過率を高めた。過硫酸ナトリウムを、過硫酸対TOC比が、10:1、25:1、50:1となる量で、スパイクされた廃水に添加した。投与された廃水を、UV反応器の入口に導き、ランプに通電して廃水中の過硫酸イオンを活性化し、過硫酸ラジカルを形成して、存在するアゾール類およびその他の有機分子と反応させた。廃水を、UV反応器で最大140分間処理し、15分ごとにTOC濃度を測定した。
【0068】
過硫酸塩のTOCに対する比率が、10:1、25:1、50:1のそれぞれで、アゾール類およびその他の有機分子の分解が速やかに開始されることがわかった。過硫酸塩対TOC比10:1の処理が最も遅く、140分の運転終了時には、TOC濃度は、約75mg/Lに低下していた。過硫酸塩対TOC比25:1および50:1の処理は、ほぼ同じ速度で進行し、運転時間約45分後にTOC濃度は、約10mg/Lまで急激に減少した。140分の運転時間終了時には、TOC濃度は、運転時間45分に採取した試料とほぼ同じになった。総アゾール濃度は、廃水からTOCを除去する際に予想される傾向とほぼ一致しており、過硫酸塩対TOC比が25:1の試料では、アゾール濃度が約10mg/L未満に減少していた。CMP廃水の処理を完了するために、処理水をイオン交換処理プロセスに導き、処理水中に存在する銅イオンを除去した。
【0069】
上記のデータからわかるように、アゾール類を除去するためにUV-過硫酸AOPを使用することは、全体的に成功した。アゾール類の濃度は、10mg/L未満に減少し、1,2,4-トリアゾール濃度として測定されるアゾール濃度の減少は、全体のTOC濃度の減少と正の相関を示した。
【0070】
(実施例2 UV-過酸化物AOPを用いたバックグラウンドTOCの低いCMP廃水からのアゾール類の除去)
TOC濃度が約100mg/L、pHが3の廃水を、過酸化物系UV AOPを用いて処理した。廃水のTOC濃度には、バックグラウンドTOC濃度と、少なくとも1,2,4-トリアゾールを含むアゾール類の混合物を約60mg/Lの濃度でスパイクしたアリコートとの両方が含まれていた。アゾール類の混合物を添加する前のCMP廃水のTOC濃度は、約5mg/Lであった。CMP廃水には、銅、その他の無機分子および有機分子、ならびに過酸化水素、がさらに含まれていた。まず、限外ろ過システムを用いて廃水の前処理を行い、微粒子を除去し、紫外線の透過率を高めた。ろ過された廃水を、UV反応器の入口に導いた。UVランプに通電し、存在する初期過酸化水素からヒドロキシルラジカルを生成させ、存在するアゾール類およびその他の有機分子と反応させた。廃水を、UV反応器で最大140分間処理し、TOC濃度を15分ごとに測定した。
【0071】
最初の15分間の運転後、CMP廃水に約1,500mg/Lの過酸化水素を投与した。過酸化水素のボーラス添加後、アゾール類およびその他の有機分子の分解が急速に始まり、運転時間60分後にプラトーとなり、60分時点のTOC濃度は、約20mg/Lと測定された。140分の運転時間で反応を完了させ、運転完了後のTOC濃度を測定したところ、約10mg/Lであった。実験終了時のアゾール濃度(1,2,4-トリアゾール濃度として測定)は、約7mg/Lに減少していた。過酸化水素濃度は、TOC濃度と直線的に相関し、60分の運転時間でほぼ消費された。CMP廃水の処理を完了するために、処理水をイオン交換処理プロセスに導き、処理水中に存在する銅イオンを除去した。
【0072】
上記のデータからわかるように、バックグラウンドTOCが低いCMP廃水からアゾール類を除去するためにUV-過酸化物AOPを使用することは、全体的に成功した。アゾール類の濃度は、約10mg/L未満に減少し、1,2,4-トリアゾール濃度として測定されるアゾール濃度の減少は、全体のTOC濃度の減少と正の相関を示した。
【0073】
(実施例3-UV-過酸化物AOPを用いたバックグラウンドTOCの高いCMP廃水からのアゾール類の除去)
TOC濃度が約200mg/L、pHが3の廃水を、過酸化物系UV AOPを用いて処理した。CMP廃水のTOC濃度は、約100mg/Lの高バックグラウンドTOC濃度と、少なくとも1,2,4-トリアゾールを含むアゾール類の混合物を約100mg/Lの濃度でスパイクしたアリコートとの両方を含んでいた。CMP廃水は、銅、その他の無機分子および有機分子、ならびに過酸化水素をさらに含んでいた。まず、限外ろ過システムを用いて廃水の前処理を行い、微粒子を除去し、紫外線の透過率を高めた。ろ過された廃水を、UV反応器の入口に導いた。UVランプを通電し、存在する初期過酸化水素からヒドロキシルラジカルを生成させ、存在するアゾール類およびその他の有機分子と反応させた。廃水は、UV反応器で最大140分間処理され、TOC濃度を15分ごとに測定した。
【0074】
最初の15分間の運転後、CMP廃水に約3,000mg/Lの過酸化水素を投与した。過酸化水素のボーラス添加後、アゾール類とその他の有機分子との分解がゆっくりと始まり、比較的安定した速度で続いた。反応は、90分の運転後にプラトーとなり、測定されたTOC濃度は、約20mg/Lであり、1,2,4-トリアゾールの濃度として測定されるアゾール濃度は、約3mg/Lであった。この時点で、約1,000mg/Lの過酸化水素を追加でボーラス添加した。この過酸化水素の添加により、140分の運転終了時点で、TOC濃度は、約10mg/Lに減少し、アゾール濃度は、1mg/L未満に減少した。過酸化水素濃度およびアゾール濃度は、TOC濃度と直線的に相関し、90分の運転時間でほぼ消費され、140分の運転時間で再び過酸化水素のボーラスを追加した。CMP廃水の処理を完了するために、処理水をイオン交換処理プロセスに導き、処理水中に存在する銅イオンを除去した。
【0075】
上記のデータからわかるように、CMP廃水からアゾール類を除去するためにUV-過酸化物AOPを使用することは、全体的に成功した。TOC濃度およびアゾール濃度を低減するために必要な過酸化物の量は、CMP廃水中の初期のTOC濃度およびアゾール濃度と予想される相関関係を有していた。アゾール濃度は、1mg/L未満に低減され、アゾール濃度の低減は、全体のTOC濃度の低減と正の相関を示した。
【0076】
(実施例4 UV-過酸化物AOPを用いた高バックグラウンドTOCおよび高pHのCMP廃水からのアゾール類の除去)
TOC濃度が約200mg/L超、pHが8の廃水を、過酸化物系UVAOPを用いて処理した。CMP廃水のTOC濃度は、約100mg/Lを超える高いバックグラウンドTOC濃度と、約60mg/Lの濃度で少なくとも1,2,4-トリアゾールを含むアゾール類の混合物を約100mg/L濃度でスパイクしたアリコートとの両方を含んでいた。CMP廃水は、銅、その他の無機分子および有機分子、ならびに過酸化水素、をさらに含んでいた。まず、限外ろ過システムを用いて廃水を前処理し、微粒子を除去し、紫外線の透過率を高めた。ろ過された廃水を、UV反応器の入口に導いた。UVランプを通電し、存在する初期過酸化水素からヒドロキシルラジカルを生成させ、存在するアゾール類およびその他の有機分子と反応させた。廃水を、UV反応器で最大140分間処理し、15分ごとにTOC濃度を測定した。TOCの測定時期ごとに水酸化ナトリウムを添加することにより、処理中のpHを8に維持した。
【0077】
最初の15分間の運転時間の後、次にCMP廃水に約3,000mg/Lの過酸化水素を投与した。過酸化水素のボーラス添加後、アゾール類およびその他の有機分子の分解は、ゆっくりと始まり、その速度に変化はなかった。90分経過時点で、約1,000mg/Lの過酸化水素のボーラスを追加で添加し、TOC濃度の測定値は、約75mg/Lとなった。過酸化水素の追加により、140分の運転時間終了時にTOC濃度は、約60mg/Lに減少した。過酸化水素濃度は、TOC濃度とほぼ直線的に相関するが、TOCが減少するよりも速く消費された。140分の運転時間終了後、過酸化水素の残存濃度は、約500mg/Lであった。CMP廃水の処理を完了するために、処理水をイオン交換処理プロセスに導き、処理水中に存在する銅イオンを除去し、追加の処理工程を経て、過剰な過酸化水素を除去した。
【0078】
上記のデータからわかるように、高いpHのCMP廃水からアゾール類を除去するために、UV-過酸化物AOPを使用することは、部分的に成功した。TOC濃度およびアゾール濃度を低下させるのに必要な過酸化物の量は、CMP廃水中の初期のTOC濃度およびアゾール濃度と予想される相関関係を有していた。TOC濃度は、60mg/L未満に低下し、TOC濃度とアゾール濃度とは、ほぼ相関があることから、バックグラウンドpHが高く過酸化水素からのラジカル生成を阻害する可能性があっても、総アゾール濃度も低減されたことが予想される。
【0079】
(実施例5-フェントン試薬を用いたCMP廃水からのアゾール類の除去)
TOC濃度が約110mg/L、pHが3のCMP廃水を処理した。廃水のTOC濃度は、バックグラウンドTOC濃度と、少なくとも1,2,4-トリアゾールを含むアゾール類の混合物約60mg/Lをスパイクしたアリコートの両方を含むものであった。アゾール類の混合物をスパイクする前のCMP廃水のTOC濃度は、約50mg/Lであった。CMP廃水には、銅ならびに、その他の無機分子および有機分子が、さらに含まれていた。CMP廃水に硫酸第一鉄と過酸化水素とを濃度1000mg/Lで加え、過酸化物のTOCに対する比率を約10:1とした。硫酸第一鉄の形態の第一鉄イオンを約10mg/Lおよび約100mg/Lの濃度でCMP廃水に添加した。
【0080】
溶存第一鉄イオン濃度10mg/Lでは、分解反応は、ゆっくりと始まり、約30分後にプラトーになった。6時間の運転時間終了時には、TOCは、約90mg/Lに減少し、1,2,4-トリアゾール濃度は、約60mg/Lから約50mg/Lに減少し、過酸化物濃度は、約500mg/L未満に減少していた。
【0081】
溶存第一鉄イオン濃度が100mg/Lの時、分解反応は、ゆっくりと始まり、その後は、比較的安定した速度で約6時間続いた。6時間の運転時間終了時には、1,2,4-トリアゾール濃度が約60mg/Lから0mg/Lに減少し、TOCは、約60mg/Lに減少しており、過酸化物濃度は、約300mg/L未満に減少していた。10mg/Lと100mg/Lとの両方の反応を完了させるために、水酸化ナトリウムまたは水酸化カルシウムを用いてpHを約9に上げ、水酸化第二鉄の沈殿を生じさせ、残っている過酸化水素を分解した。
【0082】
上記のデータからわかるように、CMP廃水からアゾール類を除去するためにフェントン試薬を使用することは、全体的に成功した。TOCとアゾール類との濃度を下げるために必要な第一鉄イオンと過酸化物との量は、CMP廃水中の初期のTOCおよびアゾール類の濃度と予想される相関関係を有していた。予想通り、低濃度の第一鉄を用いたアゾール除去は、ラジカル種の生成が不十分であったため、あまり効果がなかった。第一鉄イオンの投与量が多い場合、1,2,4-トリアゾールの濃度として測定されるアゾール類の濃度は、0mg/Lまで減少し、アゾール類の濃度減少は、全体のTOC濃度の減少と正の相関が見られた。
【0083】
本明細書で使用される言い回しおよび用語は、説明のためのものであり、限定的なものと見なすべきではない。本明細書で使用される場合、「複数」という用語は、2つ以上の項目または構成要素を指す。用語「含む(comprising)」「含む(including)」「保有する(carrying)」「有する(having)」「含む(containing)」および「含む(involving)」は、明細書の説明または請求項などにかかわらず、オープンエンド用語であり、すなわち「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」を意味するものである。したがって、このような用語の使用は、その後に列挙された項目、およびその等価物、ならびに追加の項目を包含することを意味するものである。「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみが、特許請求の範囲に関して、それぞれ、制限的または半制限的移行句である。請求項要素を修飾するために請求項において「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞を使用することは、それ自体、ある請求項要素の他の請求項要素に対する優先順位(priority)、優先順位(precedence)、または順番、または方法の行為が実行される時間順序を意味せず、単にある名前を有するある請求項要素と同じ名前を有する別の要素(ただし序数詞を使用)とを区別するためにラベルとして使用するものである。
【0084】
このように、少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を説明してきたが、様々な変更、修正、および改良を、当業者が容易に気づくことを理解するべきである。任意の実施形態に記載された任意の特徴は、他の任意の実施形態の任意の特徴に含まれ、または代替され得る。そのような変更、修正、および改良は、本開示の一部であり、本発明の範囲内にあることが意図されている。したがって、前述の説明および図面は、例示に過ぎない。当業者は、本明細書に記載されたパラメータおよび構成は例示的であり、実際のパラメータおよび/または構成は、開示された方法および材料が使用される特定の用途に依存することを理解するべきである。当業者は、また、開示された特定の実施形態に対する等価物を、日常的な実験以上のものを用いずに認識するか、または確認することができるはずである。
図1
【国際調査報告】