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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】コントローラ
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/22 20060101AFI20221027BHJP
   A46B 15/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A61C17/22 B
A46B15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506899
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(85)【翻訳文提出日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 EP2020074135
(87)【国際公開番号】W WO2021043686
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】19195135.9
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ヘルハルト ルッツ クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】メナ ベニト マリア エストレラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスウェスワラ アショカ サタヌール
(72)【発明者】
【氏名】ロンダ コルネリス レインデル
(72)【発明者】
【氏名】スフェールス ルカス ペトルス ヘンリクス
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA01
3B202AB26
3B202GA07
(57)【要約】
流体検知システムのためのコントローラが提供され、上記コントローラは、ユーザが上記流体検知システムと相互作用しているかどうかを決定する。この決定は、上記流体検知システムの所定の距離内にユーザがいるかどうかを決定すること、ユーザが上記流体検知システムに物理的に接触しているかどうかを決定すること、上記流体検知システムの流体センサがユーザの口の中にあるかどうかを決定すること;及び上記決定結果に基づき、上記流体検知システムの流体センサの温度を制御することの少なくとも1つを含む。コントローラを含む流体検知システムと、コントローラを含む装置と、コントローラを含む遠隔装置と、流体検知システムを制御するためのコンピュータ実現方法も提供され、この方法は、ユーザが流体検知システムと相互作用しているかどうかを決定するステップであって、この決定は、ユーザがシステムの所定の距離内にいるかどうかを決定するステップと、ユーザが上記流体検知システムに物理的に接触しているかどうかを決定するステップと、上記流体検知システムの流体センサがユーザの口の中にあるかどうかを決定するステップと、上記決定結果に基づき、上記流体検知システムの上記流体センサの温度を制御するステップとの少なくとも1つを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体検知システム用コントローラであって、前記コントローラが、
ユーザが前記流体検知システムと相互作用しているかどうかを決定し、この決定は、
センサからの信号に基づき、ユーザが前記流体検知システムの所定の距離内にいるかどうかを決定すること、及び
前記センサからの信号に基づき、ユーザが前記流体検知システムに物理的に接触しているかどうかを決定すること、の少なくとも1つを含み、
前記センサからの信号に基づき、前記流体検知システムの流体センサがユーザの口の中にあるかどうかを決定し、及び
前記決定結果に基づき、前記流体検知システムの流体センサの温度を制御する、コントローラ。
【請求項2】
ユーザが前記流体検知システムと相互作用しているかどうかを決定することが、所定のトリガ条件又は装置の使用状況に基づかれ、前記所定のトリガ条件又は装置の使用状況は、時間トリガ条件、流体センサを含む装置の装置使用情報、実際の装置使用に関連する使用ステップ、前記システムの所定の距離内のユーザ行動パターン、前記ユーザと前記流体検知システムの装置との間のユーザ相互作用パターン、前記ユーザと前記流体センサを含む装置との間のユーザ相互作用パターン、遠隔装置とのユーザ相互作用、ユーザが前記流体センサを使用しようとしているかどうかを予測するよう構成されたAIアルゴリズムベースのトリガ、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記装置使用情報が、ブラッシング時間、ブラッシングモーター電流、前記装置又はセンサ上を通過する気流、前記流体センサ又は装置の表面温度の変化、前記流体センサ又は前記流体センサを含む装置のインピーダンス、前記流体センサ又は前記流体センサを含む装置の静電容量、前記装置に隣接する湿度、前記装置への圧力、前記装置に加えられる力、前記装置への近接度、又は前記装置がさらされる光量、の少なくとも1つに関連する情報を含む、請求項2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記コントローラが、ユーザが前記流体検知システムと相互作用していると決定されるとき、前記流体センサの加熱を作動させる、請求項1乃至3のいずれかに記載のコントローラ。
【請求項5】
前記コントローラが、前記流体検知システムとユーザとの相互作用が検出されないとき、前記流体センサが作動してから所定時間経過したとき、及び前記流体検知システムと前記ユーザの更なる相互作用の可能性が低いことを示すトリガ条件が満たされるとき、の少なくとも1つが満たされるとき、前記流体センサの加熱を停止する、請求項1乃至4のいずれかに記載のコントローラ。
【請求項6】
前記コントローラが、前記流体検知システムと前記ユーザとの相互作用に基づき、前記流体センサの動作モードを選択し、前記コントローラは、前記動作モードに基づき、前記流体センサの温度を制御する、請求項1乃至5のいずれかに記載のコントローラ。
【請求項7】
前記流体センサの動作モードが、感知モード、センサ表面再生モード、オンモード、オフモードの少なくとも1つを含む、請求項6に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記動作モードが、感知モードとセンサ表面再生モードとを含み、
前記ユーザが前記流体検知システムと相互作用し、前記流体センサが前記ユーザの口の中にないと決定される場合に、前記センサ表面再生モードが選択され、
前記ユーザが前記流体検知システムと相互作用し、前記流体センサが前記ユーザの口の中にあると決定される場合に、前記感知モードが選択される、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のコントローラと、流体センサとを有する流体検知システム。
【請求項10】
装置ユーザ間の相互作用を監視する装置ユーザ相互作用センサ、装置の使用状況を監視する装置使用センサ、前記コントローラを含む遠隔装置、前記コントローラを含む装置、の少なくとも1つを更に有する、請求項9に記載の流体検知システム。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれかに記載のコントローラを有する装置。
【請求項12】
前記装置が、口腔洗浄装置、歯ブラシ、口腔イリゲータ、フロッシング装置、歯間清掃装置、口臭検出装置、マウスピース、口腔洗浄装置のハンドル若しくは本体、歯ブラシのハンドル若しくは本体、口腔イリゲータのハンドル若しくは本体、フロッシング装置のハンドル若しくは本体、歯間清掃装置のハンドル若しくは本体、口臭検出装置のハンドル若しくは本体、マウスピースのハンドル若しくは本体、遠隔装置、又はこれらの任意の組合せ、の1つを有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
請求項1乃至8のいずれかに記載のコントローラを有する遠隔装置。
【請求項14】
流体検知システムを制御するためのコンピュータ実現の方法において、
ユーザが流体検知システムと相互作用しているかどうかを決定するステップであって、前記決定するステップが、
センサからの信号に基づき、ユーザが前記システムの所定の距離内にいるかどうかを決定するステップ、及び
前記センサからの信号に基づき、ユーザが前記流体検知システムに物理的に接触しているかどうかを決定するステップ、の少なくとも1つを含む、決定するステップと、
前記流体検知システムの流体センサがユーザの口の中にあるかどうかをセンサからの信号に基づき決定するステップと、
前記決定結果に基づき、前記流体検知システムの前記流体センサの温度を制御するステップとを有する、方法。
【請求項15】
コンピュータにより実行されるとき、流体検知システムに請求項14に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントローラに関し、特に、流体検知システムのコントローラに関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
口臭は、「臭い息」又は「口腔内悪臭」とも呼ばれ、成人人口の50%に確認されている。悪臭は、タンパク質が揮発性硫黄化合物(VSC)又はジアミン(プトレシン、カダベリン)に分解されることに起因する。
【0003】
病的口臭は、社会的影響だけでなく、口腔内の病態の最も一般的な症状/徴候のひとつと考えられている。85~95%の症例において、悪臭は口腔自体及び/又は耳鼻咽喉科的な原因から生じる。しかしながら、残りの5~15%の症例では、発生源が口腔外にあり、悪臭が遠位の全身疾患を示す可能性があり、及び従って、口腔外病的口臭と呼ばれる。原因は例えば、急性若しくは慢性の腎臓、肝臓、胃腸若しくは呼吸器系の疾患、糖尿病、又は癌である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在までに、口臭に関連する特定の化合物を検出及び定量化するためのツールがいくつか存在する。例えば、硫黄モニターは市販されており、これは、人の口から約10cmの位置での息のにおいから決定されるオーガノレプティックスコアと許容可能な相関を示す。しかしながら、多くのモニターは、小型化の課題からハンドヘルド装置への組み込みに適しておらず、異なるVSC又はジアミンを識別できず(特異度が低い)、及び/又は感度が低い。
【0005】
上記の市販装置に加えて、口臭患者の口臭成分を検出するために、セミコンダクティングメタルオキサイド(SMOX、Semiconducting Metal Oxide)ガスセンサ技術などの化学物質感受性に基づかれる流体検知システムも開発されている。これらのセンサの欠点は、それらが高いセンサ表面温度(150~400℃)を必要とする点にあり、これは、高エネルギー消費量をもたらし、これは、連続的なエネルギー供給に接続されていない携帯又はハンドヘルド装置には特に好ましくない効果である。更に、センサが、高温のまま周囲の分解ガスにさらされると、反応するセンサ表面に析出物が形成され、これはSMOXセンサの寿命を著しく低下させる。析出物はセンサの読み取り精度を低下させる可能性もあり、精度の低下は、ユーザにはわからないため、結果としてユーザに誤った情報が提供され、ユーザがこの誤った情報を利用することになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような問題点を解決したシステムを提供することは、有利である。センサの寿命/劣化、及び電力管理などの特定の問題に対応するため、流体検知システム用のコントローラが提供される。以下のすべての側面は、流体センサの消費電力の削減及び/又は劣化の低減という利点を提供し得る。
【0007】
ある側面の実施形態によれば、流体検知システム(例えば、SMOXベースの検出システム、粒子検出システム)用のコントローラが提供される。上記コントローラが、ユーザが上記流体検知システムと相互作用しているかどうかを決定し、この決定は、センサからの信号に基づき、ユーザが流体検知システムの所定の距離内にいるかどうかを決定し、センサからの信号に基づき、ユーザが流体検知システムに物理的に接触しているかどうかを決定し、センサからの信号に基づき、流体検知システムの流体センサ(流体は例えば気体又は液体)が、ユーザの口の中にあるかどうかを決定し、上記決定の結果に基づき、上記流体検知システムの上記流体センサの(動作)温度を制御することの少なくとも1つを含むよう構成される。
【0008】
ユーザが流体検知システムと相互作用しているかどうかの決定は、1つ又は複数のセンサの第1のセット(例えば、少なくとも装置-ユーザ相互作用センサを含む)からの信号に基づき実行され、流体センサがユーザの口の中にあるかどうかの決定は、1つ又は複数のセンサの第2の異なるセット(例えば、装置使用センサ)からの信号に基づかれる。このセンサは、流体検知システムの一部を形成してもよいし、又は外部に設けてもよい。
【0009】
これは、ユーザが流体検知システムと相互作用しているが、流体センサがユーザの口内にないかどうかをコントローラが決定することができ、この決定に基づき温度を制御することができることを意味する。これは例えば、流体検知システムが流体センサの使用を予期することを可能にすることができる。
【0010】
本開示は、流体検知システムのユーザの使用意図に関する情報及び流体検知システムの実際の使用に関する情報に基づき、流体検知システムの温度を制御することを提案する。こうして、流体センサの温度を制御するのに流体検知システムの使用に関する2つの情報源が使用され、使用の自由度が高められる。
【0011】
当業者であれば、ユーザが流体検知システムと相互作用しているかどうか、及び/又は流体センサがユーザの口の中にあるかどうかを決定することができる様々なセンサを容易に思い浮かべることができるであろう。いくつかの例は、本開示を通じて提供される。流体センサは、ガスセンサであってもよいし、及び/又は化学抵抗効果センサであってもよい。ユーザが流体検知システムと相互作用しているかどうかを決定することは、以下の少なくとも1つを含む所定のトリガ条件又は装置の使用状況に基づかれることができる。それは、時間トリガ条件、流体センサを含む装置の使用情報(例えば、駆動系電流)、実際の装置使用に関連する使用ステップ(例えば、歯ブラシの2分間のブラッシングサイクルに従う)、システムの所定距離内のユーザ行動パターン(例えば、1cm未満の距離、1~10cmの距離、10~100cmの距離、1mを超える距離。距離はユーザ又は製造者により設定される距離であってもよい。)、ユーザと流体検知システムの装置との間のユーザ相互作用パターン(例えば、流体センサを含む歯ブラシとユーザとの相互作用)、ユーザと流体センサを含む装置との間のユーザ相互作用パターン(例えば、装置を手に取ること)、遠隔装置とのユーザ相互作用(例えば、スマートフォンとユーザの相互作用)、又はユーザが流体センサを使用する意図があるかどうかを(例えば、ユーザの行動パターンに基づき)予測するよう構成されたAIアルゴリズムベースのトリガ、である。例えば、決定することは、ユーザが流体検知システムと相互作用しようとしていることを示す態様で行動しているかどうかを決定することを含んでもよい。例えば、ユーザが流体検知システムと相互作用しようとしていることを決定するため、朝、洗面所に入るなどのユーザの日課が検知されることができる。センサの動作温度は例えば、100~500℃の範囲の温度とすることができる。
【0012】
上記装置使用情報は、以下の少なくとも1つに関連する情報を含んでもよい。それは、ブラッシング時間、ブラッシングモーター電流、装置若しくはセンサ上を通過する気流、流体センサ若しくは装置の表面温度の変化、流体センサ若しくは流体センサを含む装置のインピーダンス、流体センサ若しくは流体センサを含む装置の静電容量、装置に隣接する湿度、装置に対する圧力、装置に加わる力、装置への近接度、又は装置(若しくは装置センサ)がさらされる光量(例えば、明暗差を測定するフォトダイオードを使用(もし装置が口に入ると光量が下がる))、である。本書で説明する流体センサは、気体又は液体を感知することができ、動作するためにその温度を上昇させる必要がある任意のタイプの流体センサであってよい。
【0013】
コントローラは、ユーザが流体検知システムと相互作用していると決定されるとき、流体センサの加熱を開始するよう構成されてもよい。
【0014】
特に、コントローラは、ユーザが流体検知システムと相互作用しているが、流体センサがユーザの口の中にないことを検出することに基づき、流体センサの第1の温度への加熱を開始するよう構成されてもよい。
【0015】
コントローラは、ユーザが流体検知システムと相互作用しているが、流体センサがユーザの口の中にないことを検出することに基づき、流体センサの第2の異なる温度への加熱を開始するよう構成されてもよい。
【0016】
コントローラは、ユーザが流体検知システムと相互作用していないこと(例えば、及び流体センサがユーザの口の中にないこと)を検出することに基づき、流体センサの加熱を停止するよう構成されてもよい。
【0017】
こうして、流体センサの温度は、ユーザが流体検知システムと相互作用しているかどうか、及び流体センサがユーザの口の中にあるかどうかに依存する。
【0018】
コントローラは、以下の条件のうち少なくとも1つが満たされる場合、流体センサの加熱を停止するよう構成されてもよい。それは、ユーザと流体検知システムとの相互作用が検出されないとき、流体センサの作動から所定の時間(例えば、10秒、1分など)後、又はユーザと流体検知システムとの更なる相互作用の可能性が低いことを示すトリガ条件(例えば、トリガ条件は、洗面所を出るときの周囲光のスイッチオフ、又はユーザが家を出たというジオフェンスインジケーションなどである。)、である。
【0019】
コントローラは、ユーザと流体検知システムとの相互作用に基づき流体センサの動作モードを選択するよう構成されてもよく、コントローラは、動作モードに基づき、流体センサの温度を制御するよう構成されてもよい。例えば、ユーザが流体検知システムと相互作用している態様が、ユーザが流体センサの使用を意図しているかどうかを示す場合がある(例えば、充電ステーションからの流体センサを含む装置の取り出しは、ユーザが流体センサを使用する意図を示す場合がある。この場合、ユーザが流体センサを使用しようとしていることを見越して流体センサの加熱が開始され、流体センサがユーザの口の中にあると決定されたら、検出又は測定が実行されることができる。)。
【0020】
流体センサの動作モードは、感知モード、センサ表面再生モード(例えば、洗浄モード)、オンモード、及びオフモードの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、感知モードは、データ取得が開始されるモード(流体センサがユーザの口に入り、その動作温度まで加熱される)であってもよい。センサ表面再生モードは、流体センサのセンシング表面を再生するために、長時間(例えば1~5分)、及び/又は動作温度よりも高い温度(例えば10~20%高い温度)で流体センサ表面が加熱されるモードであってもよい。これは、センサ表面を動作温度より少し高い温度に加熱することを含む。オンモードは、流体検知システムの作動であり、流体センサ(又は流体センサの表面)を動作温度に加熱することを含むことができる。オフモードは、流体検知システムの停止であり、流体センサ(又は流体センサの表面)の加熱を停止することを含むことができる。
【0021】
センサ表面再生モード(例えば洗浄モード)は、ユーザが流体検知システムと相互作用していると決定され(ユーザと流体検知システムとの物理的接触を介して、ユーザが所定時間内に装置を使用していないとシステムが決定するとき、又は例えばユーザの日課に基づき、ユーザの行動をAI解釈することに基づき)、及び流体センサがユーザの口の中にないと決定されるとき選択されてもよい。
【0022】
感知モードは、ユーザが流体検知システムと相互作用しており、(装置の意図された使用に基づき)流体センサがユーザの口の中にあると決定されるときに選択されてもよい。
【0023】
オフモードは、ユーザが流体検知システムと相互作用していない、又はもはや相互作用していないと決定され、及び流体センサがユーザの口内にないと決定されるときに選択されうる。
【0024】
いくつかの例では、コントローラが感知モードで動作しており、流体センサがユーザの口にない、又はもはやないことが検出される場合に、センサ表面再生モードが選択されてもよい。
【0025】
別の例では、流体センサがユーザの口に入れられることなく、センサ表面再生モードに入ってから所定時間(例えば1~5分)が経過した後にオフモードが選択されてもよい。
【0026】
更なる態様によれば、コントローラを含み、流体センサを更に含む、流体ベースの検出システムが提供される。
【0027】
流体検知システムは、装置ユーザ間の相互作用を監視するよう構成された装置ユーザ相互作用センサ、装置使用中のコンテキスト情報を監視するよう構成された装置使用センサ、コントローラを含む遠隔装置、コントローラを含む装置、の少なくとも1つを更に含んでもよい。例えば、ユーザが装置を手に取ったタイミングと、流体センサを口に入れたタイミングとを決定するのに、流体センサを含む装置の動きが使用されることができる。代替的又は追加的に、装置使用センサは例えば、駆動系電流などの装置の使用に関する情報を使用して、装置がどのくらいの時間使用されたかを決定し、検出を開始すべきタイミングを決定してもよい。コントローラは、流体センサと同じ装置に含まれてもよい。コントローラは、サーバに設けられ、任意の既知の無線技術を用いて無線で流体センサの動作を制御してもよい。コントローラは、携帯電話に設けられてもよい。
【0028】
更なる態様によれば、コントローラを含む装置が提供される。
【0029】
この装置は、口腔洗浄装置、歯ブラシ、口腔イリゲータ、フロッシング装置、歯間清掃装置、口臭検出装置、マウスピース、口腔洗浄装置のハンドル若しくは本体、歯ブラシのハンドル若しくは本体、口腔イリゲータのハンドル若しくは本体、フロッシング装置のハンドル若しくは本体、歯間清掃装置のハンドル若しくは本体、口臭検出装置のハンドル若しくは本体、マウスピースのハンドル若しくは本体、遠隔装置、又はそれらの任意の組合せ、の1つを含むことができる。コントローラは、流体センサと同じ装置に設けられてもよい。ハンドル又は本体は、装置の頭部を受けるよう構成されていてもよい。
【0030】
更なる態様によれば、コントローラを含む遠隔装置が提供される。遠隔装置は、スマートフォン、スマートウォッチ、スマートミラー、サーバ、タブレット、コンピュータ、ハウス/家、及び/又は車両であってもよい。
【0031】
更なる態様によれば、流体検知システムを制御するためのコンピュータ実現方法が提供され、該方法は、ユーザが流体検知システムと相互作用しているかどうかを決定するステップであって、上記決定するステップが、センサからの信号に基づき、ユーザがシステムの所定の距離内にいるかどうかを決定するステップと、センサからの信号に基づき、ユーザが流体検知システムと物理的に接触しているかどうかを決定するステップと、流体検知システムの流体センサがユーザの口の中にあるかどうかをセンサからの信号に基づき決定するステップとの少なくとも1つを含む、決定するステップと、上記決定結果に基づき、上記流体検知システムの上記流体センサの温度を制御するステップとを有する。
【0032】
コンピュータにより実行されるとき、コンピュータに上記の概説されたコンピュータ実現方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一実施例による流体検知システムのコントローラ及び流体センサを示す図である。
図2】一実施例による流体検知システムが実現された口腔ケア装置を示す図である。
図3】一実施例によるコントローラにより実現されるステップを示す図である。
図4】一実施例による流体検知システムに適用される常時オン構成を示す図である。
図5】一実施例による流体検知システムを示す図である。
図6】一実施例による流体センサの動作のフローチャートを示す図である。
図7】別の実施例による流体センサの動作のフローチャートを示す図である。
図8】更なる実施例による流体センサの動作のフローチャートを示す図である。
図9】一実施例による流体センサのユーザ相互作用の検出を説明する図である。
図10】一実施例による流体センサのユーザ相互作用の検出を示す図である。
図11】一実施例による流体センサを有する装置を使用するユーザを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示の実施形態は、様々な要素及び要素の配置、並びに様々なステップ及びステップの配置の形をとることができる。従って、図面は、様々な実施形態を説明するためのものであり、実施形態を限定するものとして解釈されるべきではない。図面では、同様の参照数字は、同様の要素を参照する。更に、図は縮尺通りに描かれていない場合があることに留意されたい。
【0035】
本開示の実施形態並びにその様々な特徴及び有利な詳細が、図面に記載及び/又は図示され、以下の説明で詳述される非限定的な例を参照してより完全に説明される。図面に示された特徴は必ずしも縮尺通りに描かれておらず、ある実施形態の特徴は、本書に明示されていなくても、当業者が認識するように、他の実施形態と共に採用され得ることに留意されたい。既知の要素及び処理技術の説明は、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないため、省略される場合がある。本書で使用される例は、単に、本発明の実施形態が実施され得る方法の理解を容易にし、更に当業者がこれを実施することを可能にするものとして意図される。従って、本書の例は、添付の特許請求の範囲及び適用法のみによって規定される本開示の実施形態の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0036】
本開示の実施形態は、本書に記載される特定の方法論、プロトコル、デバイス、装置、材料、アプリケーションに限定されないことを理解されたい。なぜなら、これらは変化することができる。本書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、請求される実施形態の範囲を限定することを意図しない点も理解されたい。本書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形の参照を含む点に留意されたい。
【0037】
他に規定されない限り、本書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本開示の実施形態が属する技術分野における当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を持つ。好ましい方法、装置、及び材料が記載されるが、本書に記載されるものと類似又は均等の任意の方法及び材料が、実施形態の実践又は試験において使用され得る。
【0038】
図1は、流体検知システムのコントローラ1を示す。コントローラ1は、ユーザが流体検知システムと相互作用しているかどうか、及び流体検知システムがユーザの口の中にあるかどうかを決定し、決定結果に基づき流体検知システムの流体センサ3の温度を制御するよう構成される。図2は、流体センサ3を含むことができる装置を示す。流体センサは、SMOXセンサであってもよい。この例では、装置は電動歯ブラシであるが、本システムが適用され得る装置は、コネクテッド口腔医療装置を含み、例えばBluetooth対応電動歯ブラシ;WLAN、4G、5G、符号化光を介して接続された歯ブラシ;イリゲータと歯ブラシとの組み合わせ;歯間清掃装置、口腔イリゲータ、フロス装置、口臭検出装置、及び/若しくはマウスピース、ネブライザー、又はユーザが吹き込む他のハンドヘルド装置などを含むことを理解されたい。このシステムは、息の感知が実行されることができる口又は鼻の鼻孔の近くにある、美顔器、シェーバー、ヘアトリマーなど、他のパーソナルケア装置で実現されることもできる。更に、本システムは、流体センサ(SMOXセンサなど)が設けられた他の任意のハンドヘルド装置で実現されることができる。本実施例では、流体センサ3は、歯ブラシ5のヘッド7に設けられ、毛9の反対側のヘッドの面(プラテン裏面)に配置される。コントローラは装置内に設けられてもよい。しかしながら、コントローラは代替的に、モバイル装置(携帯電話)などの遠隔装置、サーバなどに設けられてもよい。コントローラは、流体センサ、又は流体センサを制御するプロセッサに信号を送り、その信号に基づき流体センサの温度が制御されてもよい。コントローラにより行われるステップが、図3のフローチャートで示される。
【0039】
図3は、コントローラにより行われるステップのフローチャートを示す。ステップS1において、コントローラは、ユーザが流体検知システムと相互作用しているかどうかを決定する。この決定は、ユーザが流体検知システムの所定の距離内にいるかどうかを決定すること(S101)、及びユーザが流体検知システムと物理的に接触しているかどうかを決定すること(S103)の少なくとも1つを含む。コントローラは更に、流体検知システムの流体センサがユーザの口内にあるか否かを決定する(S105)。ユーザが流体検知システムと相互作用しているかどうかを決定することは、ユーザが流体検知システムと相互作用しようとしていることを示す態様で行動しているかどうかを決定することを含んでもよい。例えば、ユーザが流体検知システムと相互作用しようとしていることを決定するため、朝、洗面所に入るなどのユーザの日課が検知されることができる。ユーザが流体検知システムの所定距離内にいるかどうかを決定することは、ユーザが流体センサを含む部屋(例えば、洗面所内)にいるかどうかを決定することを含んでもよい。ユーザがシステムの所定距離内にいるかどうかを決定するのに、例えば(センチメータ精度の)GPS(全地球測位システム)、IPS(屋内測位システム)などを用いて測定したユーザの(装置に対する)位置が用いられることができる。静電容量変化の測定など、他の近接センシング技術も使用されることができる。コントローラは、決定結果に基づき、流体検知システムの流体センサの温度を制御する(S140)。例えば、決定結果に基づき、流体センサは加熱されてもよいし、(例えば、加熱を停止することで)冷却されてもよい。
【0040】
流体センサを加熱すると、エネルギーを消費する。例えば、現在のSMOXセンサは、2秒間に1回の測定を行うために、センサを加熱するのに約2~250mWの平均電力を必要とする。しかしながら、ハンドヘルド装置に低消費電力のセンサが使用されても、流体センサの連続的な動作は、大きな電力消費をもたらすことになる。特にSMOXセンサの場合、連続動作は流体センサ表面の劣化ももたらす場合がある。ガス(目標ガスなど)を検出するために、SMOXセンサは、対象ガスが金属酸化物の表面に吸着された酸素と反応することにより生じるセンサ抵抗の変化を決定することができる(酸素はSMOXセンサの表面に吸着される)。しかしながら、流体センサが高温であるとき、例えばセンサ表面で分解し、完全に反応しきれないガスにより、反応性センサ表面に析出物が形成される場合がある。センサ表面に形成される析出物が多くなると、センサ表面と対象ガスとの反応が少なくなるため、センサ抵抗の変化が起こりにくくなり、センサの感度が低下してしまう。更に、沈殿物の存在もセンサのドリフトをもたらす場合がある。従って、ユーザが流体検知システムと相互作用しているかどうかを決定し、流体センサがユーザの口の中にあるかどうかを決定し、その決定に基づき化学反応性の流体センサ(表面)の温度を制御することにより、電力が節約されることができ、更に流体センサの劣化が遅らされ又は低減されることができる。
【0041】
例えば、決定は、所定のトリガ条件又は装置の使用状況に基づかれることができる。例えば、低電力電子機器用の電力管理回路(図4)では、一定の時間間隔又は外部トリガを使ってセンサが作動されることができる。斯かる場合、流体検知システムは、エネルギーを節約し、反応性センサ表面の劣化を防ぐために、ほとんどの時間をシャットダウンモードで過ごすことができる。代替的又は追加的に、周期的又は非同期的な外部トリガに反応し、メイン電子機器(それ以外は低電力シャットダウンモード)を起動してその機能を実行するために連続的にスイッチオンされる「常時オン」ブロック6が使用されることができる。常時オンブロックのエネルギー消費量は、アクティブモードのメイン電子機器に比べて非常に小さく、メイン電子機器のエネルギー消費を最小限に抑えるのに役立つ。
【0042】
図4は、常時オンブロック6を用いて、システムの高電力消費要素への電流の流れを制御することにより、電子システム2の電力消費を低減するよう構成された電力管理システムの一例を示す。電力管理システムは、流体センサを含むような口腔ケア装置に含まれてもよく、流体センサの電力消費を低減するよう構成されてもよい。電子システム2は、電源スイッチブロック8を介して電源4と接地とに接続されたセンサ電子機器10を制御するメイン電子機器ブロックを有する。常時オンブロック6は,メイン電子機器ブロック10と並列に接続され,電源4と接地との間に接続される。常時オンブロック6は、電源スイッチブロック8にも接続される。
【0043】
この例では、電力支配メイン電子機器ブロック10は、電源スイッチブロック8を介して電力供給される。電源スイッチブロック8は、電子システム2がシャットダウン(又はオフ)モードになると、スイッチオフされる。電源スイッチブロック8をオフにすることにより、メイン電子機器ブロック10Ishut-mainが寄与する総シャットダウン電流Ishut-totalは著しく減少される。常時オンブロック6のシャットダウン電流Ishut-always-onの寄与は、電子システムがシャットダウンモードに移行するときに、電子システム2の総シャットダウン電流Ishut-totalの重要な部分となる。常時オンブロック6は、メイン電子機器ブロック10が作動されるべきことを示すウェイクアップトリガー又は作動信号を受信するよう構成される。常時オンブロック6がウェイクアップ信号を受信すると、常時オンブロック6は電源スイッチブロック8がスイッチオンされることをもたらし、その結果、メイン電子機器ブロック10に電流が供給される。
【0044】
従って、スリープモード中に必要な総電流は、メイン電子機器ブロックに供給される電流が少ないため大幅に減少され、メイン電子機器ブロック10の動作に必要な電流は、常時オンブロック6によりウェイクアップ信号が受信されたときにのみ供給されてもよい。従って、前述の電力管理システムを用いて動作する装置、例えば、流体センサを含む口腔ケア装置の総バッテリー時間は、改善されることができる。例えば、ウェイクアップ信号が受信されるときだけ流体センサに電力を供給する(例えば加熱する)ようにシステムが使用されると、センサの寿命にプラスの効果を与える。
【0045】
流体検知システムは、少なくとも2つの検証ステップを含んでいてもよい。例えば、流体センサは、上述したように、装置のユーザ相互作用又はユーザ距離の検出が発生したときに作動されることができる。しかしながら、流体検知システムは、自動モード選択(例えば、流体センサが感知/測定モード又は洗浄モードのいずれかに入る)を含む追加の検証ステップ(装置使用検出)を含んでもよい。この検証ステップは、システムの意図しない又は誤った作動(スイッチオン)を検出するために使用されることができる。流体センサの動作モードの選択は、以下の一連のイベント及び/又はトリガの1つ又は複数に基づきトリガされることができる。それは、時間トリガ(例えば、2分などのブラッシングサイクルの終了、舌清掃サイクルの終了)といった所定の条件、可聴トリガ(駆動系音、ユーザが唾を吐く又は口をすすぐなどの洗面所音の認識など)、使用行動又は使用認識トリガ(例えば、モーター電流の測定及びその変化、流体センサ上を通過する気流の検出、表面温度、インピーダンス、相対湿度、及び/又は装置のマウスピース若しくは口腔内に導入される装置の一部に対する圧力/力の急激な変化などを通じて実際のブラッシング時間を監視する個人用センサ)、AIに基づくイベント/トリガ、例えば、測定が行われるタイミングを予測するアルゴリズム(例えば、最初の静止位置(例:充電ステーション内)に対して、経時的に感知した装置の方向/位置に基づく)、スマートフォンのソフトウェアで制御されたイベント(例えば、ジェスチャー検知を用いた、スマートフォン又はコネクテッド洗面所鏡を初めて見たときの角度、速度の変化)を含む。
【0046】
図5は、一実施例によるSMOXベースの検出システムを示す。図5は、コントローラ16に(直接的又は間接的に)接続された装置ユーザ相互作用センサ12及び装置使用センサ14を示す。SMOXセンサ(又は、一般的に高温で動作し、この高温でセンサ劣化を起こす別のセンサ)のような流体センサ18もコントローラ16に接続される。コントローラ16は、装置ユーザ相互作用センサ12及び装置使用センサ14からの信号に基づき、ユーザが流体センサ18と相互作用しているかどうかを決定するよう構成される。
【0047】
装置ユーザ相互作用センサ12(能動センサ又は受動センサであってもよい)は、流体検知システムの動作モードを制御するための1つ又は複数の信号を生成するよう構成される。能動センサは、単純に物理環境からの何らかの入力を検知して反応する受動センサ(例えばピエゾセンサー、自己発電型摩擦電気センサなど)とは対照的に、動作に外部電源を必要とするセンシング装置である。装置ユーザ相互作用センサ12は、ユーザが流体検知システムと相互作用しているという決定に基づき、例えば機械的トリガ、時間トリガ、イベントといったイベント又はトリガの生成又は活性化に基づき信号を生成する。装置ユーザ相互作用センサは、コントローラ16に信号を送信し、外部装置と通信するための通信ユニット(これはアンテナ等を含むことができる)を含んでいてもよい。例えば、装置ユーザ相互作用センサは、流体センサ14による加熱及び/又はセンシング(データ取得)を開始又は終了するための開始(スイッチオン)又は終了(スイッチオフ)信号をコントローラ16に送信することができる。
【0048】
装置使用センサ14は、装置がユーザにより意図的に使用されるかどうかを検出できるように、実際の装置使用に関するコンテキスト情報を提供するよう構成されてもよい(例えば、流体センサがユーザの口の中にあるかどうか)。例えば、装置ユーザ相互作用センサ12は、ユーザが流体センサと同じ部屋にいることを検出し、装置使用センサ14は、流体センサを含む装置がユーザの手、又は口内にあることを検出し、これは、装置がユーザにより意図的に使用されていることを示す。逆に、装置ユーザ相互作用センサ12が、ユーザが流体センサと同じ部屋にいるが、装置がユーザの手及び/又は口内にないことを検出する場合、それは、ユーザが流体センサを使用する意図がないことを示す。
【0049】
コントローラ16は、マイクロコントローラプロセッサ20を有することができる。マイクロコントローラプロセッサ20は、ブール代数を用いて、流体センサの異なる動作モード間の切り替えを可能にする数学的演算を実行する論理ゲート回路を形成するよう構成されてもよい。例えば、流体センサは、感知モード、センサ表面再生モード、オンモード、又はオフ(スリープ)モードの間を切り替えることができる。コントローラ16は、流体センサ14を異なる動作モード間で切り替えさせるよう構成されたスイッチ22を更に含んでもよい。
【0050】
ユーザが流体検知システム(例えば、システムの装置及び/又は流体センサ)と相互作用しているかどうかを示すトリガは、閾値に基づかれてもよい(例えば、ブラッシング力が特定の閾値を超えるか、又は数秒間ゼロから逸脱している)。代替的又は追加的に、流体検知システムのオン若しくはオフの切り替え又はモードの変更を行うのに条件付き処理(if-then-else)が使用されてもよい。トリガは例えば、時間に基づくもの、センシングの完了、ある時間(例えば5分間)何も起こらなかったとき、センサ信号又は駆動系モーター電流が所定の限度内で一定のとき、並びにセンサ活性化及び前述のセンシングトリガーがもう存在しないときとすることができる(例えば、装置のユーザ相互作用及び装置使用センサ信号の時間的な微分又は変動が、システムのスイッチを切るために使用されることができる)。
【0051】
本書で説明する感知モードでは、VSCの測定/データ取得及びデータ通信は、流体検知システムにより実行される場合がある。本書で説明する洗浄モードは、センサ表面から分子を脱離させるために、流体センサを最適な動作温度よりも高いある温度まで加熱することを含む場合がある。感知モードと洗浄モードとの間のモード自動選択は、自動的に開始/トリガされてもよい。例えば、流体検知システムが意図せず又は誤って作動される場合、感知モードではなく洗浄モードが選択されることができる。
【0052】
別の例として、ユーザが流体検知システムと相互作用している(しかし、流体センサはユーザの口の中にない)という決定は、洗浄モードの選択を引き起こす可能性がある。ユーザが流体検知システムと相互作用しており、流体センサがユーザの口の中にあるという決定は、感知モードの選択を引き起こしてもよい。
【0053】
感知モードと洗浄モードとの切り替え(異なるモードの選択)るために使用されることができる論理状態を記述するのに、実際の装置の使用に関するセンサ信号入力(例えば、ハンドルの静電容量センサ若しくは温度センサ、又は1分程度の短時間での駆動系電流の変化)、又は他のコンテキスト情報が使用されることができる。洗浄モードに入るトリガ及び条件は例えば、所定の感知時間の後、ユーザがシステムと相互作用していないと決定されるとき(例えば、所定の時間の間に相互作用が起こらなかったとき)、及び/又は装置の流体センサ信号若しくはモーター電流が所定の限度内で一定であると測定されたときなど、時間に基づかれることが可能である。
【0054】
システムは、装置が長期間使用されていない場合、又は熱帯地方への旅行後など条件が異なる場合、測定前に、例えばウェイクアップ直後に洗浄ステップを実行し、センサをリセット(ベースライン校正)するよう構成することができる。流体センサの洗浄の必要性、及び従って洗浄モードの選択又は非選択は、センサがオンになっている時間、流体センサからの最後の信号の大きさ(非定型のセンサ電流信号は洗浄が必要であることを示すことができる)、流体センサの寿命、平均温度などにより計算されることができる。流体検知システムは、感知又は洗浄のいずれかが行われた後、スイッチオフにされる(又は低電力モードになる)ことができる。
【0055】
データログは、流体センサの(加熱)サイクル数、時間温度(加熱)間隔などのインターバルサイクルを記録することができる。この情報は、システムの劣化の可能性を推定するため、例えばセンサの交換の必要性を決定するために使用されることができる。これは、(口臭の偽陽性を提供しないよう)測定精度の向上にも活用されることができる。
【0056】
図6は、図5により示された流体検知システム、特に自動化されたゆっくり反応する流体検知システムを制御するためのフローチャートを示す。例えば、図6は、ハンドヘルド装置における息分析のための自動モード選択を備えたマルチモーダル流体検知システム及び方法(例えば、SMOX流体検知システム)の情報フローを示す。図6に示すフローチャートは、センサ作動ステップ及び感知検証ステップを別々に持つ、応答の遅い(1分を超えてゆっくり加熱)自動流体検知システムに特に適している。
【0057】
ステップS100で、流体センサは非アクティブ又はスタンバイ(低電力)モードにある。S102において、装置ユーザ相互作用センサ12は、ユーザが流体センサを含む装置と相互作用しているか否かを検出するよう構成される。ユーザが装置と対話(N)していないと決定される場合、流体センサは非アクティブモード又はスタンバイモードに維持される。装置に対するユーザの相互作用が検出される場合(Y)、処理はステップS104に進む。この時点で、流体センサ電子機器の電源がオンになり、ステップS106で流体センサが動作温度まで加熱される。次に、ステップS108では、ユーザが流体の検出/測定を行いたいことを示すような態様で、流体センサを含む装置が使用されるか否かを決定するため(例えば、流体センサがユーザの口内にあるか否かが決定される)、装置使用状況センサ14が使用される。流体を検出又は測定するというユーザの意図を示す態様で、流体センサを含む装置が使用されると決定される場合(Y)、流体センサは感知モードに入り、流体が測定されることができる(DAQ及びサンプリング)(ステップS110)。ステップS112では、感知モードで流体センサにより収集されたデータが保存及び/又は送信される。データ収集停止の信号が与えられるまで、データは収集される(S114)。この信号は、データ収集又はセンシングの開始から所定の時間が経過したこと、流体センサがユーザの口から移動するなどの使用トリガ、又はイベント(例えば、ブラッシング完了後である場合、誤警報が発生した場合の所定の遅延時間の場合、又は、例えば、赤ちゃんに注意が必要だったり若しくは不測の電話があったりしてブラッシングが行われなかった場合)を示すことができる。信号が与えられるまで(Y)ステップS110とS112とが繰り返される。タイミング、使用トリガ又はイベントの結果、データ収集を停止する信号が与えられると(Y)、流体センサはデータの測定/収集を停止し、非アクティブ又はスタンバイモードに入る(S116)。
【0058】
ステップS108で、流体センサがユーザの口の中にあるなどの装置使用状況が検出されない場合(N)、装置は代わりに洗浄モード(センサ表面再生モード)に入り、センサのクリーニングを実行する(S118)。ステップS120では、流体センサが洗浄温度(例えば、440℃、一般的な動作温度以上)に加熱されるか、又は流体センサが一般的な動作温度(300~400℃など)に保持される。センサは、洗浄温度で一定時間保持されてもよい(例えば、1~5分)。ステップS122では、センサクリーニングが開始されてから所定時間が経過したか否かが決定される。所定時間が経過していない場合(N)、処理はステップS118に戻り、ステップS118~S122が繰り返される。所定時間が経過した場合(Y)、処理はステップS116に移行し、流体センサは非アクティブモード又はスタンバイモードに入る。
【0059】
図6に示すように、ユーザが装置と相互作用していると決定されると、センサ電子機器は自動的にスイッチオンにされ、センサ動作温度が調整/制御される。
その後の検証ステップでは、装置がユーザの口の中にあるかどうかなど、実際の装置の使用状況に基づき、センサ動作モードが自動調整され、感知/測定モード又は洗浄/再生モードのどちらかに入ってから、流体検知システムが非アクティブ/スリープモードに戻る。
【0060】
図7は、図6に示したフローチャートに、更にステップを追加したものである。図7において、流体センサによる測定が終了するS116の後、流体センサは次にステップS118の機能を実行し、そこでは、口内測定後に洗浄モードに入ってセンサクリーニングを実行する。その後、処理は、図6に関連して上述したステップS120及びS122を経る。S122で決定された所定時間が経過すると(Y)、処理は、ステップS124に移行し、そこでは、流体センサが冷却される(例えば、流体センサの加熱を停止する)。その後、流体センサは、非アクティブモード又はスタンバイモードになる(S126)。
【0061】
こうして、センサ電子機器は自動的にオンになり、センサ動作温度は装置とのユーザ相互作用に基づき調節/制御される。実際の装置の使用状況を示すユーザ相互作用に基づく後続の検証ステップでは、センサ動作モードが自動調整され、感知/測定モードに続いて洗浄モード、又は洗浄/再生モードに入ってから、流体検知システムが非アクティブ/スリープモードに戻る。
【0062】
従って、コントローラは、これらの処理フローのいずれかを使用して流体センサを動作させるよう構成されてもよく、これらの間から選択することができる。
【0063】
図6及び図7の例では、センサは直接又は遠隔の装置ユーザ相互作用を通して自動的に作動され、センサの動作モードは実際の装置使用状況の検出に基づき自動的に選択される。適切な装置の使用が検出される場合(例えば、センサがユーザの口の中にある場合)、システムは感知モードに入る。そうでない場合は、クリーニング温度までセンサを更に加熱するか、動作温度で所定時間保持することにより、システムはクリーニング動作を行う。
【0064】
図8は、図5により示された流体検知システム、特に自動高速応答流体検知システムの制御のためのフローチャートを示す。高速応答流体検知システムは、1秒未満又は数百ミリ秒未満で動作温度まで加熱できる可能性がある。
【0065】
図8が示す処理において、ステップS100及びS102は、図6が示す処理と同じである。例えば、ステップS100では、流体センサは非アクティブモード又はスタンバイモード(低電力モード)である。S102において、装置ユーザ相互作用センサ12は、ユーザが流体センサを含む装置と相互作用しているか否かを検出するよう構成される。ユーザが装置と相互作用していないと決定される場合(N)、流体センサは非アクティブモード又はスタンバイモードで維持される。装置に対するユーザの相互作用が検出される場合(Y)、この場合の処理は、代わりにステップS108に進む。続いて、ステップS108において、装置使用状況センサ14は、流体センサを含む装置が流体の検出に使用されるか否かを決定する(例えば、流体センサがユーザの口内にあるか否かが決定される)。流体センサを含む装置が流体の検出に使用されると決定される場合(Y)、処理はステップS104に進む。この時点で、センサ電子機器電源がオンになり、ステップS106で流体センサが動作温度まで加熱される。動作温度に達すると、流体センサは感知モードに入り、流体が測定されることができる(DAQ及びサンプリング)(ステップS110)。ステップS112では、感知モードで流体センサにより収集されたデータが保存及び/又は送信される。データ収集停止の信号が与えられるまで、データは収集される(S114)。信号は、データ収集若しくはセンシングが開始されてからの所定時間の経過を示すタイマー、流体センサがユーザの口から移動するなどの使用トリガ、又はブラッシングの完了若しくはブラッシングが行われなかった場合の所定の遅延時間などのイベント、の形態を取ることができる。信号が与えられるまで(N)ステップS110及びS112が繰り返される。タイマー、使用トリガ、又はイベントの結果として、データ収集を停止する信号が与えられると、流体センサはデータの測定/収集を停止し、流体センサの冷却(加熱停止)S124が行われる。その後、流体センサは、非アクティブモード又はスタンバイモードS126に入る。
【0066】
図8のプロセスで概説したように、高速反応流体検知システムの場合、装置とのユーザ相互作用と、装置の使用検知という2つの条件が満たされると、流体検知システムが自動的に作動され、流体センサ表面が自動的に動作温度に加熱されて測定が行われることができる。適切な装置の使用が検出される場合(ユーザーの口の中に流体センサがある)、システムは感知モードに直接入ることができる。この処理は図8に示す処理に限定されるものではなく、例えば図6又は図7に示す洗浄モードに関するステップなど、クリーニング動作を行うステップを含むこともできる点に留意されたい。
【0067】
センサをスタンバイモードからアクティブ(加熱)モード(又は洗浄モード)に切り替え、使用後にスイッチオフにする、上記に概説した処理は、流体センサが必要なときだけ加熱され、センサ寿命の増加と電力消費の低減(特に、エネルギーを消費するハンドヘルド装置が使用され、充電ステーションに連続的に接続できない場合)の両方をもたらすという利点を提供することができる。
【0068】
上記のように、ユーザが流体検知システムと相互作用していると決定し、その決定結果に基づき流体センサの温度が制御されることができる。所定のトリガ条件又は装置使用情報(例えば、ユーザによる装置の使用態様に関する情報を用いるなど)に基づき、ユーザが流体検知システムと相互作用していると決定されることができる。斯かるトリガ条件/装置の使用は、以下のいずれかを含むことができる。それは、時間トリガ条件(例えば、歯磨きのための2分間の時間期間が終了すると、センサが加熱され、歯磨きサイクルが終了すると、測定が行われる)、流体センサを含む装置の使用情報(例えば、流体センサを含む歯ブラシの動きは、歯ブラシの特定の動き又は角度など、流体センサの測定待ちを示す場合がある)、実際の装置の使用に関連する使用ステップ、システムの所定の距離内のユーザ行動パターン、ユーザと流体検知システムの装置との間のユーザ相互作用パターン、ユーザと流体センサを含む装置との間のユーザ相互作用パターン、遠隔装置とのユーザ相互作用、ユーザが流体センサの使用を意図しているかどうかを予測するよう構成されたAIアルゴリズムベースのトリガ、である。
【0069】
時間トリガによるセンサの作動の例として、流体検知システムは例えば、流体センサを含む装置内部で、所定のタイマー設定により作動(スイッチオン)されることができる。タイマーは、ユーザが装置を直接使用するか、又はユーザーインターフェースとしてスマートフォンを使用してプログラムされることができ、ソフトウェア制御のトリガは、所定の時点、例えば午前6時及び午後9時に流体センサを含む装置を起動するよう構成されてもよい。装置使用センサの更なる入力に基づき、流体センサは感知モード又は洗浄モードのいずれかに入ることができる。
【0070】
装置相互作用パターントリガー及びイベントトリガーによるセンサ作動の例として、流体検知システムは、イベントトリガーにより作動されることができる。例えば、ユーザが流体センサを含む装置を装置の充電ステーションから取り外すとき、ユーザが流体検知システムと相互作用していることを示すトリガとして、誘導充電信号の損失が使用されることができ、その結果、流体検知システムが作動されることができる。斯かるトリガの一例が、図9のグラフに示される。図9は、流体検知システムを作動させるインジケータとしてのインジケーション信号パターン又は信号の経時変化(時間微分)、及びその結果としてのセンサ表面温度シグネチャーの一例を示す。例えば、このグラフに示すように、誘導信号がある場合(実線)、流体センサは非アクティブな状態を維持する。しかしながら、誘導信号がゼロになると(充電ステーションから装置を取り外すことにより)、センサが作動され(破線)、動作温度まで加熱される。
【0071】
別の例では、流体検知システムは、光学(光)エネルギーを用いて作動されることができる。流体センサを含むハンドヘルド装置は、感光要素(例えば、光電池、フォトセンサ、光電リレー、フォトダイオード)を有することができる。感光要素は例えば、歯ブラシのハンドルの底部又はハンドヘルド装置の他の任意の部分に一体化されてもよい。装置が充電ステーションから取り外される、又は装置の底面が露出するように移動されると、感光要素に光が入射することがある。光に反応して感光要素により信号が生成され、これは、ユーザが流体センサを含む装置と相互作用していることを示すトリガとして機能することができる。
【0072】
複数の流体検知システムが存在する場合、センサの誤作動を防ぐために、コード化された光、又は装置ごとに固有の波長を持つ光が使用されることができる。更に、指向性のある光が適用されてもよい。即ち、意図するハンドヘルド装置にのみ光が照射されることができる。これは、装置の位置を決定するために使用可能な洗面所に設置されたカメラ(例えば、鏡を備えたスマートバスルーム又はバイタルサインカメラのある部屋)を使用して達成されることができる。これは、(顔、腕、脚など体の部位の認識/識別に基づき)、光ビームを装置における正しいスポットに向けるのを助け、他のコネクテッド装置を意図せず作動させることを防ぐことができる。近赤外線(NIR)光(即ち人間の目には見えない光)を使用することで、ユーザにとって目立たないようにすることができる。
【0073】
洗面所に入るユーザ又は装置の動きの検出(例えば、装置内の加速度計を用いる一過性の散発的な動きの変化、又は近接センサ若しくはスマートミラーのカメラを用いる装置の静電容量変化を測定することにより)が、流体センサの作動に利用されることもできる。追加的又は代替的に、標準Bluetoothプロトコルを使用してセンシングシステムを作動させるのに、Bluetooth対応スマート装置が使用されることができる。例えば、流体センサを有する装置とスマート装置が互いに近接するときにペアリングすると、センシングシステムの起動がもたらされる場合がある。
【0074】
人工知能(AI)に基づくイベント/トリガも、流体検知システムの作動に使用されることができる。例えば、流体検知システムがいつ作動されるかを予測するために、アルゴリズムが使用されることができる。このアルゴリズムは、ユーザの日課、パーソナライズされた装置の相互作用(例えば、ユーザが装置を使用する特定の態様)及び使用パターン(ユーザが平日又は週末に装置を使用する時間/態様)に基づき、ユーザが流体検知システムを使用しようとしているかどうかを決定することができる。更に、イベント/トリガは、スマートフォンなどの遠隔装置と流体検知システムとの相互作用に関連してもよい。流体検知システムの作動は、スマートフォン対応コネクテッド口腔ケア装置が使用される場合、及び/又は他のスマートホーム装置からの入力が得られる場合に、流体検知システムが自動的に作動されるように設定されることができる。
【0075】
例えば、種々の行動(洗面所の電気をつける、トイレに行く、鍵をかけるなど)から得られる情報を利用して、測定が行われるべきタイミングを予測するのに、アルゴリズムが使用されることができる。スマートホーム装置が、測定が行われるべきタイミングを予測するのに利用可能な情報のプロバイダとして使用されることもできる。例えば、自己学習型サーモスタットは、ユーザの在宅時間、起床時間などを示すことができる。スマートライティングは、ユーザが通常照明をオフにする時間を示すのに利用可能であり、照明(ウェイクアップライト)又はラジオのオフは、ユーザの毎日の睡眠/起床サイクルを示すことができる。口腔ケア装置は、ユーザが例えば舌ブラシを口腔ケア装置に装着したことを感知し、使用頻度を追跡することができる。
【0076】
実際の装置の使用に関連する所定の条件又は使用ステップが満たされた場合に、流体センサからのデータ取得がトリガ/開始されることもできる。例えば、ブラッシングサイクルを開始するために装置のボタンを押すと、流体センサの加熱が開始されることができる。2分間のブラッシングサイクルの終了、又は舌洗浄サイクルの終了を示すタイムトリガーをトリガイベントとして使用し、流体センサを用いたデータ取得が開始されることも可能である。これらのステップが図10に示され、これは、含まれる処理のグラフを示す。
【0077】
図10では、口腔ケア装置の流体センサの装置使用ステップ及び時間トリガによる流体センシングが示される。ユーザの活動又は相互作用が検出されない場合、流体検知システムはスリープモードになる。ユーザが流体検知システムとの相互作用を開始する(例えば、装置で舌を磨くなど)とき、流体センサは感知温度に加熱される。ユーザが2分間の舌ブラッシングサイクルを行っている間は、センシングは行われない。2分間のブラッシングサイクルが終了すると、例えば通常の舌磨きルーチンの終了時(2分経過)に、液体センサがアクティブになり(測定温度で)、息測定が開始される。
【0078】
ブラッシングの効果を評価するために、舌ブラッシング後の息測定が使用されることもできる。更に、斯かる測定は、VSCスコアに基づき、新鮮な息がどの程度の時間維持され得るかの予測がなされることを可能にする(例えば、スコアが50ppb未満であり、ユーザが睡眠に入ろうとしている場合、これは唾液の流れが少ない状況をもたらし、ユーザは12時間新鮮な息を保つことができるかもしれない)。
【0079】
流体センサからのデータ取得は、装置の使用行動又は使用認識トリガを介して開始され、例えばセンサ上を通過する気流(閾値流量/体積)の検出を介して、表面温度、インピーダンス、静電容量、相対湿度、及び/又はブラシヘッド、装置マウスピース若しくは口腔内に導入するよう構成された任意の部品の圧力/力における突然/過渡変化を介して、開始されることができる。例えば、ユーザと装置との相互作用の決定、又は流体センサの測定のトリガは、口の温度/湿度又は気流によるトリガであってもよい(例えば、ユーザがマウスピースに息を吹き込かけるとき、気流の変化又は装置に唇(又は舌/歯)を押し当てることにより生じる力の変化が、流体センサのデータ取得開始又は高速応答センサが使用される場合は流体検知システムの作動のトリガとして使用される)。
【0080】
流体検知、測定、及び/又は流体検知システムの作動をトリガするのに、アルゴリズムが使用される場合がある。例えば、測定が開始されることができるタイミングを予測するのに、最初の静止位置(例えば、充電ステーションにある装置)に対する経時的に感知される装置の向き/位置、又は駆動系電流(総ブラッシング時間を予測するため)に基づかれるアルゴリズムが使用されることができる。
【0081】
スマート(ホーム)装置に基づくソフトウェア制御/検出されたイベント(例えば、ジェスチャー検出、画像解析、音声検出又は音声コマンドを使用して、装置の角度、まつ毛の瞬きの速度、スマートフォン又はコネクテッド洗面所鏡の初見時の速度の変化)が、流体測定を自動的に開始するトリガとして使用されることもできる。例えば、スマートミラーを利用して、流体センサを含む装置がユーザの舌上又は口腔内にあることが画像解析法を用いて検出され、この情報を利用して、コネクテッド装置のソフトウェアは、測定をトリガすることができる(例えば、スマートミラーがユーザの舌上の装置を検出する様子を示した図11を参照)。
【0082】
流体センサは、以下の一連のイベント及び/又はトリガの1つ又は複数に基づき、(遠隔)装置ユーザ相互作用検出により作動されてもよい(即ち、センサ表面が加熱されてもよい)。これは、ユーザが設定した時間トリガー(例えば午前6時及び午後9時)など、所定の条件、装置相互作用パターン(例えば、電動歯ブラシに触れる、充電ステーションから取り出す、洗面所に入る、洗面所のスイッチを押す)、スマートフォンのソフトウェアで制御されるイベント(例えば、スマートフォンを最初に見る角度、速度の変化)、AIに基づくイベント/トリガ(例えば、日課に基づき、流体検知システムが作動されるタイミングをアルゴリズムが予測する)を含む。
【0083】
本書で説明するように流体センサの温度を制御することで、誤使用に対する堅牢性が高められることができる(その結果、それは実質的にエラープルーフになる、又はフェールセーフ動作を提供する)。更に、モード間の切り替えの自動調節は、流体センサを含む装置のユーザにとって容易な使用を提供し、流体検知システムは、ユーザに依存しない、測定前及び/又は測定後の自動洗浄ステップを受けることができ、従って流体センサはより一貫して洗浄されるであろう。追加的に、データ取得を減らすことが、メモリ容量の無駄を回避し、更に電力の無駄を防ぐ(例えば、装置の使用を認識した場合のみ測定/データ取得(DAQ)が開始される)。製造コストの増加をもたらし、接触疲労又は腐食による故障の多くの原因、及び衛生上の問題(例えばボタンの隙間にカビが生える)の原因となることが知られるメカトロボタンを装置に設けることも不要になる可能性がある。
【0084】
以上、いくつかの例示的な実施形態のみが詳細に説明されてきたが、当業者は、本開示の実施形態の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの変更が可能であることを容易に理解するであろう。本発明の上述した実施形態は有利には、実施形態の他のいずれかから独立して、又は実施形態の1つ又は複数の他のものと任意の実現可能な組み合わせで使用されることができる。
【0085】
従って、斯かるすべての変更は、以下の特許請求の範囲に規定される本開示の実施形態の範囲内に含まれることが意図される。特許請求の範囲において、ミーンズプラスファンクション節は、記載された機能を実行するものとして本書に記載された構造をカバーし、構造的な均等物だけでなく、均等な構造もカバーするものとして意図される。
【0086】
更に、1つ又は複数の請求項において括弧内に置かれた参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されるものではない。「有する」及び「含む」等の語は、任意の請求項又は明細書全体において記載された要素又はステップ以外の存在を排除するものではない。ある要素の単数形の参照は、斯かる要素の複数形の参照を排除するものではなく、その逆もまた然りである。1つ又は複数の実施形態は、複数の異なる要素を有するハードウェアにより実現されることができる。複数の手段を列挙したデバイス又は装置クレームにおいて、これらの手段のいくつかは、1つの同じアイテムのハードウェアにより具現化されてもよい。ある手段が相互に異なる従属項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0087】
上記のいずれの側面においても、様々な機能は、ハードウェアで実現されてもよく、又は1つ若しくは複数のプロセッサ上で動作するソフトウェアモジュールとして実現されてもよい。ある側面の特徴は、他の側面のいずれにも適用されることができる。
【0088】
本発明はまた、本書に記載の方法のいずれかを実施するためのコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品、並びに本書に記載の方法のいずれかを実施するためのプログラムをその上に格納したコンピュータ可読媒体を提供する。
本発明を具体化したコンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体に格納されていてもよく、又は例えば、インターネットのウェブサイトから提供されるダウンロード可能なデータ信号などの信号の形態であってもよく、又は他の任意の形態であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】