(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】冷凍装置用の膨張器
(51)【国際特許分類】
F25B 41/37 20210101AFI20221027BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
F25B41/37
F25D19/00 510H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507394
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 BR2019050326
(87)【国際公開番号】W WO2021026620
(87)【国際公開日】2021-02-18
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522047309
【氏名又は名称】ハイドロ エクストルージョン ブラジル エス.エー.
【氏名又は名称原語表記】HYDRO EXTRUSION BRASIL S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】クーバ, エルトン フェレイラ イジーノ ジ
(57)【要約】
本発明は、、単一の押出アルミニウム異形管に吸引管(1)と毛細管(2)とを備える、冷凍装置用膨張器に関し、吸引管(1)及び毛細管(2)と呼ばれる2つの平行な管は、接続体形状の壁部(3)によって相互に連結されており、よって、前記接続体形状の壁部(3)を、吸引管(1)と毛細管(2)との端部を膨張器の両方の先端又は一方だけの先端で取り外すのに十分な所望の長さに切断することができるので、論理的には、前記先端部を各プロジェクトに適合するように処理及び適合させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引管(1)と毛細管(2)とを備える冷凍装置用の膨張器において、
当該膨張器が単一の押出アルミニウム異形管によって形成されおり、前記吸引管(1)及び前記毛細管(2)と呼ばれる2つの平行な管が、接続体形状の壁部(3)によって相互に連結されていることを特徴とする、冷凍装置用の膨張器。
【請求項2】
前記接続体形状の壁部(3)を、前記吸引管(1)と前記毛細管(2)との端部を当該膨張器の両方の先端又は一方だけの先端で取り外すのに十分な所望の長さに切断することができるので、前記先端を各プロジェクトに適合するように処理及び適合させることができることを特徴とする、請求項1に記載の冷凍装置用の膨張器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、業務用冷凍庫、家庭用冷凍庫及び冷蔵庫における伝熱を改善するための、吸引管及び毛細管を備える異形管の押出し加工に関する。より詳細には、本発明は、冷蔵庫一般、冷凍庫、冷蔵ショーケース、冷蔵カウンタ、空調機などの様々な冷凍システムで従来使用されている特定の種類の膨張器に適用される技術的、機能的、及び経済的な改善に関する。
【背景技術】
【0002】
[002]従来の冷凍システムでは、膨張器は、凝縮器出口と冷却器入口との間に設置される。高圧及び高温の冷媒が、凝縮器から出て膨張器に入り、低圧及び低温の液体と蒸気の混合物を伴って膨張器から出る。冷却器に入るこの混合物は、「フラッシュガス」として知られている。種類にかかわらず、膨張器は、冷凍サイクルにおける2つの重要な機能、すなわち、液体冷媒が気化する速度に適合する流量で冷却器に流入することを可能にすること、並びに圧力降下及び温度降下をもたらして、システムの高圧側と低圧側とを分離すること、を実行するために使用される。高圧側と低圧側との間のこの圧力差により、冷媒は、冷却器内で環境の熱を吸収するのに十分な低い温度で気化し、凝縮器内で室内熱を外気に除去するのに十分な高い温度で凝縮する。膨張器内の冷媒と冷媒を取り囲む外気との間で熱が交換される時間は、実用上無視することができるほど短い。このため、膨張器は単なる圧力降下装置であるといえる。冷媒の温度変化は、単に圧力降下の結果である。膨張器には排熱がなく、温度降下のみであるため、顕熱の一部が潜熱に変わる。
【0003】
[003]現在、冷凍システムでは、2つの基本的な種類の膨張器、すなわち毛細管及びバルブが使用されており、これらは、自動式、温度自動膨張式、及び電子膨張式がある。
【0004】
[004]毛細管タイプの膨張器は、低容量の冷凍システムにおいて最も多く使用されている。毛細管は、高圧ラインを低圧ラインから分離するために冷凍システムで通常使用される小さな内径を有する管である。毛細管は通常、吸引管の周りに巻かれており、吸引管と熱交換するため、毛細管の技術的名称は熱交換器である。通常、銅製の毛細管は、冷蔵庫、空調機、冷凍庫などの小容量冷却システムで一般的である。毛細管は、凝縮器出口と冷却器入口とを接続する。毛細管の内径は0.5~2.5mmの範囲内、長さは1.5~3.5mの範囲内で変化し、それによって、冷却器からの低温蒸気による冷却を得るために、毛細管のこの全長の少なくとも1.2mが吸引ラインではんだ付けされなければならない。
【0005】
[005]したがって、通常、膨張器を構成する吸引ライン(「吸引管」ともいう)は、互いに分離された、銅又はアルミニウムの吸引管に銅毛細管がプラスされたものによって形成されるが、吸引管及び銅毛細管はまた、以下のようないくつかの簡単なステップを使用して極めて一般的な方法でも組み立てられる。
銅毛細管コイル及び吸引ライン用の別の管コイルを受容すること;
毛細管と吸引ラインの両方が所望の長さで切断されなければならない;
毛細管は吸引ラインに組み付けられ、両者の間の熱交換面積を保証する;
毛細管と吸引ラインとの間の熱交換面積を確保するためにテープが使用される場合がある;
毛細管を有する吸引ラインが、各プロジェクトで指定された構成のままであるように屈曲部を有する。
【0006】
[006]したがって、簡単に述べるならば、吸引ラインと毛細管との間の連結は、ホワイトプロダクトのHVAC(冷暖房空調)市場セグメントによって使用される公知の技術である。基本原理は、毛細管で冷媒を冷却して冷却器入口でのエンタルピーを減少させ、その後伝熱を改善することである。一方、吸引ラインでの冷媒は、液相の冷媒が圧縮機に入ること(バルブプレートの破損につながる可能性がある)を回避するために加熱される。
【0007】
[007]既に述べたように、市場で入手可能な吸引ライン及び毛細管の、以下のような連結手段が存在する。(a)熱収縮スリーブ及び接着テープ;(b)毛細管を吸引ラインの管の内側に挿入することによる連結;(c)吸引ラインに沿った毛細管のろう付け。
【0008】
[008](a)及び(b)では、吸引ラインはアルミニウム製又は銅製とすることができ、毛細管は常にアルミニウム製である。(c)では、毛細管と吸引ラインはどちらも銅製である。公知の文献では、冷媒が液相から蒸気に変化し、その後すべての熱が伝導性によって管壁を通って伝えられるため、手段(c)が最も効率的である。手段(b)では、毛細管が冷媒の液相で出現すると結論付けることは保証できず、(a)では、毛細管と吸引ラインとの間の接触が不十分である。
【0009】
[009]最新技術は、冷却システムにおけるいくつかの用途を効率的に満たすことができる、効率的な吸引ラインを形成するための毛細管膨張器の手段を提供することに疑いはない。しかしながら、現在の態様では、銅管を使用することに起因してだけでなく、組立ステップを必要とし、さらに、場合によっては、熱交換を向上させるために追加の構成要素の使用を必要とし、すべてが一致して組合せ体の最終コストを大幅に増加させるため、全体的なコストを削減することが不可能であるので、この組合せ体を簡略化することができる工業的実現可能性を提示することが確認された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[010]上記から、主に銅毛細管を一体型押出手段によるアルミニウム毛細管で置き換えることにおけるコスト削減と組み合わせた、上述の(c)の概念に従った、より一層効率的な製品を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[011]より効率的な製品を提供する技術的解決手段を定めるために、主に銅毛細管を一体型押出手段のアルミニウム毛細管で置き換えることにおけるコスト削減と組み合わせた、上記の概念(c)に従うこととした。前記手段は、この一体構造の膨張器で達成され、ライン又は吸引管と毛細管とは単一の異形管としてアルミニウムで押し出され、その結果、単一のアルミニウムセットを形成する、ボンド(接合部)と呼ばれる連続した壁部によって相互接続された2つの平行な管を有することになり、2つの部品間の接続の詳細は、既に組合せ体に組み込まれており、さらに、やはり2つの管の間の熱交換を増加させることにつながる追加のアセンブリ構成要素が不要になり、結果として、冷蔵庫、冷凍庫、ショーケース、冷蔵カウンタ、空調機などの、業務用であれ家庭用であれ、膨張器として毛細管を使用する様々な冷却用途のための組合せ体になる。
【0012】
[012]当該膨張器は、アルミニウムのコストが銅のコストよりも大幅に低いこと、さらに、その密度が、それぞれ、2.70g/cm3及び8.90g/cm3であり、銅の30%に相当することがまず認められるため、様々な技術的、実用的、及び経済的利点をもたらす。これは、より軽量の手段を意味する。毛細管は管(吸引ライン)と一緒に押し出されるので、毛細管と吸引ラインとの間に熱交換面積が事前に確保され、テープ又はろう付けの必要性がなくなる。加えて、顧客側の在庫プログラム/計画のための品目数も、2品目(吸引ライン管及び毛細管)から1品目に削減される。組合せ体が一体構造になるため、熱交換の改善が期待される。
【0013】
[013]本発明をよりよく理解するために、以下で添付の図面を参照して本発明の詳細な説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】組合せ体とされた単一の異形管を強調して示す拡大断面図である。
【
図3】2つの管の間の接続壁を強調して示す、長手方向に沿っての別の断面図である。
【
図4】2つの管の端部を容易に部分的に分離することができることを強調した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[014]これらの図及び図の詳細、より具体的には
図1、
図2及び
図3とその詳細によれば、本発明の冷凍装置用の膨張器は、吸引管(1)と毛細管(2)とを備え、吸引管(1)と毛細管(2)とが単一の押出アルミニウム異形管によって形成されており、吸引管(1)及び毛細管(2)と呼ばれる2つの平行な管が、接続体形状の壁部(3)によって相互接続されていることを特徴とする。
【0016】
[015]
図4に示されるように、前記接続体形状の壁(3)は、吸引管(1)と毛細管(2)との端部を膨張器の両方の先端又は一方だけの先端で取り外すのに十分な所望の長さに切断することができるタイプのものであるので、論理的には、前記先端部を各プロジェクトに適合するように処理及び適合させることができる。
【0017】
[016]この組合せ体は一体構造として形成されており、ゆえに、毛細管付きの吸引ラインは、それらの分離した先端においてのみならず、部品全体に沿っても様々な屈曲部及び湾曲部を有することができ、各組合せ体がプロジェクトごとに指定された構成を有するための手段を提供する。
【0018】
[017]組合せ体の動作は、最新技術の動作と全く同じであり、すなわち、冷媒流体は、吸引管(1)及び毛細管(2)を通って流れ続け、すなわち、高圧及び高温の冷媒が、凝縮器から出て膨張器に入り、低圧及び低温の液体と蒸気の混合物と共に膨張器から出る。冷却器に入るこの混合物は、「フラッシュガス」として知られている。種類にかかわらず、膨張器は、冷凍サイクルにおける2つの重要な機能、すなわち、液体冷媒が気化する速度に適合する流量で冷却器に流入することを可能にすること、並びに圧力降下及び温度降下を提供して、システムの高圧側と低圧側とを分離すること、を実行するために使用される。高圧側と低圧側との間のこの圧力差により、冷媒は、冷却器内で環境の熱を吸収するのに十分な低い温度で気化し、凝縮器内で室内熱を外気に除去するのに十分な高い温度で凝縮する。
【0019】
[018]吸引管及び毛細管に関する冷凍装置用膨張器の特定の特性及びそれらの組み合わせは、組合せ体の同じ機能概念を維持しながら大幅に変化し得ることが理解されるであろう。ゆえに、本明細書で例として詳細に説明された実施形態は、明らかに構造的変更を受ける場合があるが、常に、吸引ライン又は吸入管及び毛細管が単一の異形管としてアルミニウムで押し出される、一体構造の膨張器を形成するために本明細書に開示された本発明の概念の範囲内においてであることに留意されたく、法律で規定された要件に従って本明細書で詳述された構成に多くの変更を行うことができるため、本発明の詳細は、限定的ではなく例示的に解釈されなければならないことを理解されたい。
【国際調査報告】