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特表2022-546237物質移動技術を用いたメタサーフェスアンテナ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】物質移動技術を用いたメタサーフェスアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/44 20060101AFI20221027BHJP
   H01Q 3/36 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H01Q3/44
H01Q3/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022509102
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(85)【翻訳文提出日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 US2020046650
(87)【国際公開番号】W WO2021030796
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/887,239
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/991,924
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516247177
【氏名又は名称】カイメタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンソン ライアン
(72)【発明者】
【氏名】サゼガー モフセン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレル カグダス
(72)【発明者】
【氏名】ハサン アバディ サイエド モハマド アミン モメニ
(72)【発明者】
【氏名】リン スティーヴン ハワード
(72)【発明者】
【氏名】エスファーラニ フセイン
(72)【発明者】
【氏名】テラー ヴィトルト
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA10
5J021AA12
5J021AB05
5J021CA02
5J021DB03
5J021FA03
5J021FA06
5J021GA02
(57)【要約】
単位セルは、メタサーフェスアンテナ、メタマテリアルアンテナ、又はビーム形成アンテナ用に使用することができる。単位セルは、基板に取り付けられた金属層を含む。金属層は、単位セル用にアイリス開口を定める。1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスが、アイリス開口内又はアイリス開口にわたって位置付けられる。各同調可能キャパシタンスデバイスは、単位セルの共振周波数を同調するものである。物質移動技術又は自己アセンブリプロセスを使用して、同調可能キャパシタンスデバイスを位置付けることができる。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタサーフェス、メタマテリアル、又はビーム形成アンテナのための単位セルであって、
基板と、
前記基板に取り付けられ、アイリス開口を定める金属層と、
前記アイリス開口内に又は前記アイリス開口にわたって位置する、各々が前記単位セルの共振周波数を同調するための1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスと、
を備える、単位セル。
【請求項2】
前記基板上の構造によって形成された、前記単位セルの組立の間に前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスを位置合わせするための組立テンプレートを更に備える、請求項1に記載の単位セル。
【請求項3】
前記組立テンプレートは取り外し可能である、請求項2に記載の単位セル。
【請求項4】
前記組立テンプレートは、前記単位セルの組立後に前記基板上の構造に留まる、請求項2に記載の単位セル。
【請求項5】
前記組立テンプレートは、前記アイリス開口が定められる金属層によって形成されている、請求項2に記載の単位セル。
【請求項6】
前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスは、1つの個別のダイオードを含み、前記単位セルは、
前記1つの個別のダイオードの一方の端子を前記アイリス開口の一方の側で前記金属層に接続するスルービアと、
前記1つの個別のダイオードの対向する端子に接続されたパッチ電極と、
前記パッチ電極に接続されたバイアス電極と、
を更に備える、請求項1に記載の単位セル。
【請求項7】
前記バイアス電極は抵抗性であり、抵抗性バイアスライン又は抵抗器を含む、請求項6に記載の単位セル。
【請求項8】
前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスは、2つの個別のダイオードを含み、前記単位セルは、
前記2つの個別のダイオードの各々の一方の端子に接続されたパッチ電極と、
前記アイリス開口の第1の側にある前記金属層の第1の部分を前記2つの個別のダイオードのうちの第1のダイオードの別の端子に接続する第1のスルービアと、
前記アイリス開口の第2の側にある前記金属層の第2の部分を前記2つの個別のダイオードのうちの第2のダイオードの別の端子に接続する第2のスルービアと、
を更に備える、請求項1に記載の単位セル。
【請求項9】
前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスは、1つの個別のダイオードを含み、前記単位セルは、
前記1つの個別のダイオードの第1の端子に接続された第1のパッチ電極であって、前記1つの個別のダイオードが、前記アイリス開口に平行で且つ前記アイリス開口内に向けられる、第1のパッチ電極と、
前記1つの個別のダイオードの第2の端子に接続された第2のパッチ電極と、
を更に備える、請求項1に記載の単位セル。
【請求項10】
前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスは、前記第1の個別のダイオードと第2の個別のダイオードとを含み、前記単位セルは、
前記アイリス開口の第1の側に位置し、前記第1の個別のダイオードの第1の端子に接続された第1のパッチ電極と、
前記アイリス開口の第2の側に位置し、前記第2の個別のダイオードの第1の端子に接続された第2のパッチ電極と、
前記アイリス開口の中心線に沿って位置し、前記第1及び第2の個別のダイオードの各々の第2の端子に接続された第3の電極と、
を更に備える、請求項1に記載の単位セル。
【請求項11】
前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスは、1つの個別のダイオードを含み、前記単位セルは、
前記アイリス開口の第1の側に位置し、前記1つの個別のダイオードの第1の端子に接続された第1のパッチ電極と、
前記アイリス開口の第2の側に位置し、前記1つの個別のダイオードの第2の端子に接続された第2のパッチ電極と、
を更に備える、請求項1に記載の単位セル。
【請求項12】
前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスは、1つの個別のダイオードを含み、
前記金属層は、前記1つの個別のダイオードのための第1の電極及び第2の電極を更に定め、前記第1の電極及び前記第2の電極の各々は、前記アンテナ用アレイにおける前記単位セルの複数の配置において、前記単位セルの残りの部分の異なる回転に対して前記1つの個別のダイオードの均一な回転を支持する半円形状を有する、請求項1に記載の単位セル。
【請求項13】
前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスは、1つのパッケージ化されていない円形ダイオード又は円形ダイオードパッケージを備えた1つのダイオードを含み、前記円形ダイオード又は前記円形ダイオードパッケージは、円形ボンディングパッド及びリング状ボンディングパッドのうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の単位セル。
【請求項14】
前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスは、円形ボンディングパッド及びリング状ボンディングパッドのうちの少なくとも1つを有する1つの同調可能キャパシタンスデバイスを含む、請求項1に記載の単位セル単位セル。
【請求項15】
前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスの各々は、1又は2以上の強磁性ボンディングパッドを含む、請求項1の単位セル。
【請求項16】
アンテナであって、
複数の単位セルを有するアンテナアパーチャを定める1又は2以上の基板を備え、
前記複数の単位セルの各々は、
前記1又は2以上の基板の一部に取り付けられ、アイリス開口を定める金属層と、
前記アイリス開口内に又は前記アイリス開口にわたって位置する1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスであって、前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスは、前記アンテナアパーチャの少なくとも一部にわたって均一な向きを有する、同調可能キャパシタンスデバイスと、
を含む、アンテナ。
【請求項17】
前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスは、前記単位セルの残りの部分の異なる回転に対して均一な向きを有する、請求項16に記載のアンテナ。
【請求項18】
前記アンテナアパーチャは、複数のセグメントを含み、前記複数のセグメントの各々は、前記複数のセグメントのうちの1つを前記アンテナアパーチャの少なくとも一部として含む、前記セグメントにわたって均一な向きを有する前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスのサブセットを有する、請求項16に記載のアンテナ。
【請求項19】
前記アンテナアパーチャは円形である、請求項16に記載のアンテナ。
【請求項20】
前記アンテナアパーチャは矩形である、請求項16に記載のアンテナ。
【請求項21】
方法であって、
複数の単位セルの各々を基板上に配置するステップであって、前記複数の単位セルの各々は、前記基板に取り付けられてアイリス開口を定める金属層を含み、前記配置するステップは、前記アイリス開口内に又は前記アイリス開口にわたって、各々が前記単位セルの共振周波数を同調するための1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスを配置するステップを含む、配置するステップと、
前記複数の単位セルの各々を完成させるステップの一部として前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスを取り付けるステップと
を含む、方法。
【請求項22】
前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスは、前記基板にわたって均一な向きを有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の単位セルは、前記単位セルの残りの部分の異なる回転に対して、前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスの均一な向きを有する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記基板上に薄膜トランジスタを堆積させるステップと、
前記基板上にスルービアを堆積させるステップと、
を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の単位セルの前記アイリス開口を定める前記金属層の上に薄膜トランジスタを堆積させるステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の単位セルのアイリス開口を定める前記金属層の下に薄膜トランジスタを堆積させるステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
1又は2以上の六角形の移動ツールを使用して、前記複数の単位セルの各々に対する前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスを前記基板上に配置するステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
1又は2以上の矩形状の移動ツールを使用して、前記複数の単位セルの各々に対する前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスを前記基板上に配置するステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の単位セルの各々の前記アイリス開口内に又は前記アイリス開口にわたって位置する1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスを受けるために、前記基板上に組立テンプレートを配置するステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記複数の単位セルの各々を完成させるように前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスを取り付けるステップは、1又は2以上の磁石を使用して、前記複数の単位セルの各々に対して前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスの強磁性ボンディングパッドを引き付ける自己アセンブリプロセスを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
自己アセンブリプロセスにおいて撹拌を適用して、前記複数の単位セルの各々の前記アイリス開口内に又は前記アイリス開口にわたって前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスを配置するステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記基板上に組立テンプレートを配置するステップと、
1又は2以上の磁石を使用して前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスの強磁性ボンディングパッドを引き付けて、前記複数の単位セルの各々について、前記組立テンプレート内で前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスを位置合わせするステップと、
を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
物質移動技術を用いて電子スキャンアレイを作製する方法であって、
自己アセンブリプロセスを用いて、1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスを、基板に結合された金属層によって定められた複数のアイリス開口の各々に位置合わせするステップと、
前記複数のアイリス開口の各々に位置合わせされる間に、前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスを前記基板に結合するステップと、
を含む、方法。
【請求項34】
前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスの各々は、強磁性体部分を含み、 前記自己アセンブリプロセスは、前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスを位置合わせするために磁場を使用する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記自己アセンブリプロセスは撹拌を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記自己アセンブリプロセスは、前記複数のアイリス開口を定める前記金属層によって形成された組立テンプレートを使用することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記自己アセンブリプロセスは、前記基板に取り付けられた組立テンプレートを使用することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記自己アセンブリプロセスは、前記組立テンプレートに適合する形状を有する前記1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスの各々を含む、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2019年8月15日に出願された米国仮特許出願第62/887,239号及び2020年8月12日に出願された米国非仮出願第16/991,924号の本出願であり、その利益を主張するものであり、本仮出願は引用により全体が組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明の実施形態は、ワイヤレス通信に関し、より詳細には、本発明の実施形態は、物質移動技術を用いて製造されたデバイスを利用するワイヤレスアンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
メタサーフェスアンテナ(metasurface antennas)は、軽量、低コスト、及び平面的な物理的プラットフォームから操縦された指向性ビームを生成するための新しい技術として、最近登場した。このようなメタサーフェスアンテナは、最近では、例えば、衛星通信などの多くのアプリケーションで使用されている。
【0004】
メタサーフェスアンテナは、給電波からのエネルギーを選択的に結合して、通信で使用するために制御可能なビームを生成することができるメタマテリアルアンテナ素子(metamaterial antenna elements)を備えることができる。これらのアンテナは、安価で製造しやすいハードウェアプラットフォームからフェーズドアレイアンテナに匹敵する性能を達成することができる。
【0005】
フェーズドアレイに比べてより簡素な素子を使用することで、メタサーフェスの動作がより簡単で高速になる。しかしながら、これらの素子は、フェーズドアレイアーキテクチャで一般的である、位相シフター及び増幅器を用いて達成できるものと同じレベルの制御を提供するものではない。メタサーフェスベースのアンテナの一部の実施構成は、アレイ内の各個々の素子の大きさ及び位相の両方の独立した制御を提供しない。このような制御が望まれる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0236412号明細書
【発明の概要】
【0007】
単位セル、セルの回転、アレイ、同調可能キャパシタンスデバイス(tunable capacitance devices)、アパーチャ、アパーチャのセグメント化、テンプレート、製造のためのアセンブリ及び自己アセンブリ方法、物質移動技術(mass transfer techniques)、駆動回路、メタサーフェスアンテナ、メタマテリアルアンテナ、ビーム形成アンテナ、アセンブリ及び構成要素の様々な実施形態が本明細書に記載されている。
【0008】
1つの実施形態は、メタサーフェスアンテナ、メタマテリアルアンテナ、又はビーム形成アンテナのための単位セルである。単位セルは、基板と、基板に取り付けられた金属層とを有する。金属層は、アイリス開口(iris opening)を定める。1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスが、アイリス開口内に又はアイリス開口にわたって位置付けられる(位置する)(positioned)。各同調可能キャパシタンスデバイスは、単位セルの共振周波数を調整するためのものである。
【0009】
1つの実施形態は、アンテナである。アンテナは、アンテナアパーチャを定める1又は2以上の基板を有する。アンテナアパーチャは、複数の単位セルを有する。各単位セルは、1又は2以上の基板の一部に取り付けられた金属層を有する。金属層は、アイリス開口を定める。1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスは、アイリス開口内に又はアイリス開口にわたって位置付けられる。各同調可能キャパシタンスデバイスは、単位セルの共振周波数に合わせて同調可能である。単位セルの1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスは、アンテナアパーチャの少なくとも一部にわたって均一な配向(向き)(orientation)を有する。
【0010】
1つの実施形態は、アンテナ、アンテナの構成要素、又は電子スキャンアレイ(electronically scanned array)を製造する方法である。この方法は、基板上に単位セルを配置するステップを含む。各単位セルは、基板に取り付けられてアイリス開口を定める金属層を有する。1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスが、アイリス開口内に又はアイリス開口にわたって位置付けられる。各同調可能キャパシタンスデバイスは、単位セルの共振周波数を同調する(tune)ことになる。本方法は、複数の単位セルの各々を完成させるステップの一部として、1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスを取り付けるステップを含む。
【0011】
1つの実施形態は、物質移動技術を用いて電子スキャンアレイを作製する方法である。この方法は、金属層を有する基板を提供するステップを含む。金属層は、基板に取り付けられて、アイリス開口を定める。自己アセンブリプロセスを使用して、1又は2以上の同調可能キャパシタンスデバイスをアイリス開口の各々に対して位置合わせする(align)。1又は2以上のキャパシタンスデバイスは、アイリス開口に対して位置合わせされる間に基板に結合される。
【0012】
本開示の他の態様及び利点は、記載された実施形態の原理を例証として例示した添付図面を参照しながら、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0013】
記載された実施形態及びその利点は、添付図面を参照しながら以下の説明を参照することによって最もよく理解することができる。これらの図面は、記載された実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対して当業者が行い得る形態及び詳細の変更をどのようにも制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】メタサーフェスアンテナの1つの実施形態のために、バイアス電極及びスルービアを使用して実装及び同調される単位セル設計の断面図である。
図1B】メタサーフェスアンテナの1つの実施形態のための、図1Aの単位セル設計の上面図である。
図2】スルービアを用いた単位セル設計の上面図である。
図3A】スルービアを必要としない単位セル設計の上面図である。
図3B】スルービアを必要としない別の単位セル設計の上面図である。
図3C】スルービアを必要としない別の単位セル設計の上面図である。
図4】単位セルの残りの部分が異なる回転を持つことができる一方で、ダイオードの回転を均一に保つことができる半円ディスク単位セルの上面図である。
図5A】円形ダイオードの底面図である。
図5B】パッケージ化されていない円形ダイオードの断面図である。
図5C】円形ダイオードのパッケージの断面図
図6】六角形のサブアレイ内に均一な配向を有するダイオードを備えた大きな円形又は矩形アパーチャの実装の上面図である。
図7】矩形のサブアレイ内で均一な配向を有するダイオードを備えた大きな矩形アパーチャの実装を示す上面図である。
図8A】セグメンテーションの使用によりセルの回転とダイオードの配置をどのように簡素化できるかを示す図である。
図8B】ダイオードの配向を3つのセクションに分離した図8Aの設計の変形形態を示す図である。
図8C図8Bからの設計を小さい矩形のスタンプを使ってどのように実装できるかを示す図である。
図9A】パッチ電極に直接接続された抵抗バイアス電極を有する2つの対称的に配置されたダイオードを備えた単位セルを示す図である。
図9B】単一のダイオードとパッチ電極に直接接続された抵抗性バイアスラインを有する単位セルを示す図である。
図10】メタサーフェスアンテナに関する1つの実施形態についての製造方法を説明するフロー図である。
図11】薄膜プロセスを用いて生成されたビアを備えたダイオード集積部の上面図である。
図12図11のダイオード集積部のA-B線に沿った断面図である。
図13】組立テンプレートを用いた組立部位の断面図である。
図14】組み立て前のガラス基板上の組立テンプレートの上面図である。
図15A】自己アセンブリプロセスの1つの実施形態において組み立てられる部品の断面図である。
図15B】自己アセンブリプロセスの更なる実施形態のための、組み立てられる部品の斜視図である。
図16】強磁性パッドと磁石を用いて所望の配向に組み立てられた部品を示す図である。
図17】組立テンプレートの一部としてのアイリス開口を使用して組み立てられた、両面ダイオードダイを含む部品を示す図である。
図18】組立テンプレートの一部としてのアイリス開口を使用して組み立てられた、片面ダイオードダイを含む部品を示す図である。
図19A】ダイオード-TFTアレイ-アイリス接続を含むアンテナ素子の別の実施形態を示す図である。
図19B】ダイオード-TFTアレイ-アイリス接続を含むアンテナ素子の別の実施形態を示す図である。
図20A】メタサーフェス又はメタマテリアルアンテナのための同調可能アイリス開口単位セルの電子回路の等価物又は表現を描いた回路概略図の実施形態である。
図20B】メタサーフェス又はメタマテリアルアンテナのための同調可能アイリス開口単位セルの電子回路の等価物又は表現を描いた回路概略図の実施形態である。
図21】円筒状に給電されたホログラフィック・ラジアル・アパーチャ・アンテナの1つの実施形態の回路図である。
図22】グランドプレーンと再構成可能な共振器層を含むアンテナ素子の1列の斜視図である。
図23】円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態の側面図である。
図24】外向き波を有するアンテナシステムの別の実施形態を示す図である。
図25】アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示す図である。
図26】TFTパッケージの1つの実施形態を示す図である。
図27】同時送受信経路を有する通信システムの1つの実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
メタサーフェス又はメタマテリアルアンテナのメタサーフェス素子、より具体的には同調可能構成要素(tunable components)の改善された設計が、様々な実施形態において本明細書で記載される。メタサーフェス又はメタマテリアルアンテナのメタサーフェス素子、より具体的には同調可能な構成要素を製造するための方法が、様々な実施形態において本明細書で記載される。様々な設計は、基板上のアイリス開口及び単位セルのアレイのためのものであり、アイリス開口の共振周波数を同調するためにバラクターとしてダイオードを使用する。メタサーフェス又はメタマテリアルアンテナにおけるメタサーフェス素子の設計及び配置は、アンテナの機能及び性能に影響を与える。
【0016】
一般的に言えば、本出願の態様は、ホログラフィックビーム形成で使用するためなどの、同調可能なメタサーフェスアンテナに関連するシステム、方法、及び装置に対応する。メタサーフェスアンテナは、物質移動技術を用いて製造することができる。例示として、物質移動は、個別構成要素を用いて高解像度の直視型ディスプレイを製造するための複数の異なる方法及び技術を含むことができる。物質移動技術は、無線周波数(「RF」)アプリケーションに適用するために、単一の配置動作で数千又は数百万の構成要素又はパッケージ(同調可能な構成要素など)を基板上に移動することを可能にする。このような手法は、個別構成要素の大規模なスケーラビリティを促進する。限定されるものではないが、同調可能な構成要素は、微小電気機械システム(「MEMS」)、バラクターダイオード、PINダイオード、MOSFET/BJT/HEMT、デュアルダイオード(バラクター)、及び強誘電体ダイオードを含むが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本出願の態様は、アンテナ製造への物質移動技術及び技法の適用に関する。一態様では、物質移動技術の適用は、アンテナ設計に対応する。個別のバラクターダイオード(discrete varactor diode)又は他の同調可能な構成要素を実装するために、アンテナアレイ又はアンテナ素子は、個別構成要素の実装を可能にする方法で設計される。同時に、例えば、これに限定されないが、放射効率などのアンテナの性能パラメータが考慮される。以下、幾つかのアンテナ素子設計について詳細に説明する。
【0018】
別の態様では、物質移動技術及び技法の応用がバイアス回路に適用される。同調可能なメタサーフェスアンテナは、アンテナ素子の個別制御など、アレイ上のアンテナ素子を制御できるバイアスネットワークを組み込んでいる。メタサーフェスアンテナの構成要素及びその関連する位置は、アンテナの無線周波数(RF)信号に干渉しないように設計されている。幾つかのバイアス回路構成要素について、以下で詳細に説明する。
【0019】
更なる態様では、物質移動技術及び技法の適用は、統合及びトポロジー法に対応することができる。統合及びトポロジー法は、一般に、大量生産アンテナの構成要素の相互運用性を容易にすることに対応する。以下では、単層基板、多層基板、並びに単層基板上の多層薄膜に関して、幾つかの統合及びトポロジー法を説明する。
【0020】
更に別の態様では、物質移動技術及び技法の適用は、スケーラビリティに影響を及ぼすことができ、複数のスケーラビリティの態様について、以下で詳細に説明する。
【0021】
1つの実施形態において、メタマテリアルアンテナは、異なるプロセスに由来するマイクロメートル又はミリメートルスケールの部品で組み立てられた個別の同調可能なアンテナ素子を有する。例えば、1つの実施形態において、GaAs基板上で製造されたダイオードは、TFT(薄膜トランジスタ)マトリクスを有するガラス基板上で組み立てる必要がある。このような組み立ては、個々の個別構成要素が基板上に配置される従来のピックアンドプレース方式で行うことができる。例えば、個々の構成要素をロボットアームでピックアップして、ガラス基板上の組立部位に配置することができる。しかしながら、従来のピックアンドプレース方式は、長い組立時間及び高コストを要するシリアル組立プロセスに対応する。特に、小型で薄い部品では、静電力、ファンデルワールス相互作用、又は表面張力などに起因して望ましくない接着が発生する可能性があるので、ピックアンドプレース方式は非効率的になる。更に、組み立てられる特徴が矩形格子に対して配置されていない場合、シリアルピックアンドプレース法は極めて遅くなる。これは、アンテナ特徴が放射状格子で繰り返されるので、メタサーフェスアンテナやメタマテリアルアンテナの場合には深刻な問題である。
【0022】
他の実施形態において、個別の素子は、「自己アセンブリ(self-assembly)」と呼ばれることが多い並行プロセスで組み立てることができる。自己アセンブリとは、例えば撹拌(agitation)などのエネルギーがシステムに適用されて、自由な部品、例えばガラス基板上を移動する非組み立て部品を作り出し、これらの部品が周囲と相互作用して低エネルギー状態、例えばガラス基板上の形状に一致する溝に集められる部品を見つける確率プロセスである。また、自己アセンブリプロセスは、効率的に動作するために矩形格子に依存しない。
【0023】
(アンテナ設計)
一態様では、複数のアンテナ単位セル設計は、コアアンテナ構成要素としてアイリス開口(又はスロット)及びパッチを含む。メタサーフェス又はメタマテリアルアンテナは、多数のこのようなアイリス開口及び単位セルを有し、例えば、アイリス開口及び単位セルのアレイ(又は複数のアレイ)を有する。図1A及び図1Bを参照すると、単位セルの共振周波数を同調可能にするために、単位セルにダイオードが搭載(接続)されている。すなわち、ダイオードが単位セルを同調する。バイアスラインは、必要な同調電圧をバラクターに供給するのに使用される。めっきされたスルービア(plated thru vias)は、ダイオードとアイリスのメタライゼーションとの間の電気的なRF接続として、並びにダイオードのDC接続グランドとして使用される。なお、本明細書全体を通じて「接続」及び「接続された」という用語を使用しているが、接続された構成要素は、電気接続を有しながら、1又は2以上の他の介在する素子と結合することができる。
【0024】
図1Aは、メタサーフェスアンテナの1つの実施形態について、バイアス電極110及びスルービア106を用いて実装及び同調される単位セル設計の断面図である。この実施形態において、ダイオード102はバラクター(すなわち、可変の電圧制御キャパシタ)として動作させ、単位セルの共振周波数を同調する。1つの実施形態において、ダイオード102の一方の端子は、スルービア106を用いて基板108を介してアイリス金属114に接続され、ダイオードの他方の端子は、パッチ電極104に接続されている。ダイオード102のこれら2つの端子に印加される電圧は、バラクターのキャパシタンスを制御する。1つの実施形態において、パッチ電極104と、パッチ電極104に接続されたバイアス電極110の両方が、基板108(例えば、ガラス、フレキシブル基板、プリント回路基板(PCB))に取り付けられており、ダイオード102は、パッチ電極104の上部の一部とスルービア106とに接続されており、従って、ダイオード102は、基板108に結合されているが、基板108から離間している。アイリス金属114は、基板108の下部に取り付けられ、ダイオード102の下方にアイリス開口(又はスロット)112を形成している。
【0025】
作動時には、図1Aの各単位セル、並びに本明細書の他の単位セル設計の有効な電磁特性は、RF放射アンテナ素子の電圧同調可能キャパシタとして使用されるダイオード102(例えば、バラクターダイオード)の電圧を降下させることで制御することができる。ダイオードの電圧を変化させると、キャパシタンスが変化し、共振器(すなわち、アンテナ素子)の共振がシフトする。換言すると、ダイオード電圧を変化させることで、放射アンテナ素子の実効キャパシタンスが変化し、実効キャパシタンスの変化によって、放射素子の動作が変化する。このように、バラクターダイオードは、ビーム形成における放射アンテナ素子のための同調可能素子である。従って、ダイオードの電圧を調整することで、アンテナ素子の共振を調整し、ビーム形成を実現する。
【0026】
図1Bは、メタサーフェスアンテナの1つの実施形態のための図1Aの単位セル設計の上面図である。ダイオード102は、基板108(図1Aも参照)に取り付けられたアイリス金属114に形成されたアイリス開口112にわたっている。幾つかの実施形態において、アイリス開口112は、平行な側部と丸みのある端部とを有する細長い形状であり、細長い扁平楕円形に似ている。或いは、アイリス開口112は、丸みのある端部及び/又は平行な側部を有していない。アイリス開口112の更なる形状は、別の実施形態のために考案されてもよい。ダイオード102の一方の端子に接続されたパッチ電極104は、アイリス開口112の一方の側部にあり、ダイオード102の他方の端子に接続されたスルービア106は、アイリス開口112の反対の側部にある。アイリス開口112でのRF波との干渉を避けるために、パッチ電極104に接続されたバイアス電極110もまた、アイリス開口112の一方の側部にあり、アイリス開口112を越えない。
【0027】
単位セル設計の代替の実施形態が、図2、3A、3B、及び3Cに示されている。図2に示す実施形態は、スルービアを組み込んでいる。図1Bも同様にスルービアを使用して実装することができる。図3A、3B及び3Cに示された実施形態は、ダイオードをアイリス金属層に結合するためのビアを含まない。ビアを排除することで、製造効率とコストを実現することができる。
【0028】
図2は、スルービア106を用いた単位セル設計の上面図である。この設計は、エンドツーエンド又はバックツーバック接続で、アイリス開口112に垂直且つこれにわたる2つのダイオード102を特徴として備える。2つのダイオード102は各々、パッチ電極104(パッチ層上)に接続された1つの端子を有し、この端子は、バイアス電極110に接続されている。1つの実施形態において、バイアス電極110は、アイリス開口112の中心からアイリス開口112の細長い一方の端部を過ぎてアイリス開口の中央を長手方向に延在する。この配置では、アイリス開口112及び2つのダイオード102は、バイアス電極110を中心に対称である。各ダイオード102の他方の端子は、スルービア106(すなわち、アイリス開口112の片側に1つずつ、2つのスルービア106)を用いて、それぞれのアイリス金属に接続されている。この構成におけるバラクターとしての2つのダイオード102は、直列に2つのキャパシタを生成しており、各バラクターは、キャパシタンスCを有し、これらが組み合わされてキャパシタンスの半分であるC/2とみなすことができる。このような回路の動作は、単一のバラクター構成と同様である。各キャパシタンスの値を2倍にすることで、組み合わせたキャパシタンス値が単一のバラクターと同じになる。二重バラクター設計の主な利点は、RF特性に影響を与えることなくバイアスラインを挿入できることである。他の設計は、DC回路をRFから結合解除するために抵抗バイアスラインを有する。
【0029】
図3Aは、スルービアを必要としない単位セル設計の上面図である。この設計では、ダイオード102が、アイリス開口112に沿って平行に且つその中央に長さ方向に配向されている(向けられる)(oriented)。パッチ層の2つのパッチ電極104があり、1つはダイオード102の各端部とそれぞれの端子に接続されている。2つのバイアス電極110があり、1つは各それぞれのパッチ電極104に接続され、中心線に沿ってアイリス開口112のそれぞれの端部を過ぎて長さ方向に延在している。
【0030】
図3Bは、スルービアを必要としない更なる単位セル設計の上面図である。図2の単位セル設計と同様に、この設計は、エンドツーエンド接続されて、アイリス開口112にわたる2つのダイオード102を特徴として備える。アイリス開口112の中心線に沿って延在する1つのバイアス電極110は、パッチ電極に接続され、このパッチ電極は、同じく中心線に沿って、ダイオード102の対向する端子に接続される電極302に接続される。ダイオード102の対向する端子は各々、それぞれのパッチ電極104及びバイアス電極110に接続されており、これらのバイアス電極110は、中心線のバイアス電極110と平行であり、アイリス開口112の両側にも平行である。
【0031】
図3Cは、スルービアを必要としない更なる単位セル設計の上面図である。図1A及び1Bの単位セル設計と同様に、この単位セル設計は、アイリス開口にわたる単一のダイオード102を特徴として備える。ダイオード102の各端子は、それぞれのパッチ電極104及びバイアス電極110に接続されている。これらの2つのバイアス電極110は、アイリス開口112と平行に且つアイリス開口112の両側に延在し、アイリス開口112にわたって延びることなく、或いはアイリス開口112を覆い隠さない。
【0032】
様々なメタサーフェスアンテナに物質移動技術を使用する際の課題の1つは、幾つかの実施形態において、アンテナが単位セルのアレイを有し、各単位セルが任意の回転を有することである。しかしながら、ダイオードの製造では、任意の回転を有する数千個のダイオードを備えたウェハーを作成することは困難であり、コストがかかる可能性がある。代替の方法としては、ウェハー上で均一な配向を有するダイオードを使用して、ピックアンドプレース又は物質移動技術によって移動される際にダイオードを回転させるようにするものである。しかしながら、この技術も極めて難しく、緩慢でコストがかかる可能性がある。
【0033】
図4は、ダイオードの回転をアレイ全体で均一な配向にすることができる一方で、アイリス金属によって定められたアイリスを含む各単位セルの残りの部分が異なる回転を有することができる、半円ディスク単位セルの上面図である。例えば、図4に示すように、異なる回転を有する単位セルの複数の配置において、ダイオード404は、全て互いに平行に配向され、すなわち、共有の一定の0度のダイオード回転(又は、更なる実施形態における他の何れかの一定の回転量)を有する。1つの実施形態において、全てがアイリス金属で形成されたアイリス開口402及び電極406は、単位セル内で互いに一定の配向であり、単位セルは、アンテナ(又はアンテナの構成要素)のためのアレイ内の様々な配置のために回転される。例えば、アイリス金属は、アイリス開口402と呼ばれる開口を定めて電極406を定め、単位セルの各配置又は事例において、図4に示すように電極406の金属層の円形又は丸みのある部分から金属材料を除去する。
【0034】
より具体的には、図4の単位セル設計は、ウェハー上又は移動プロセス中のダイオード404の回転を必要としない。1つの実施形態において、この単位セルは、これらの間にギャップを有する半円形ディスクの形状を有する2つの電極406を組み込んでいる。このセル設計を使用すると、単位セルの回転を変えながら、ダイオード404の配向を変えずに保持することができる。セルの任意の回転において、ダイオードは、2つの半円ディスクである電極406の間を橋絡しており、ダイオード404の回転は必要ない。異なる回転により、共振周波数の変化が生じる可能性があるが、これは、アレイ全体に配置される複数の単位セルの各々についてカスタマイズされたアイリス長、すなわちアイリス開口402の長さによって補償することができる。ウェハー上のダイオード404の均一な配向は、単位セルのアレイにおける単位セルへのダイオード404の物質移動及び整列(位置合わせ)(alignment)を簡素化し、特に直線アレイ配置技術を使用する場合には、アイリス開口(及びひいてはアンテナ素子)が異なる回転であっても同じ配向で、全てのダイオード404を製造中に配置することを可能にする。
【0035】
別の実施形態において、図5A図5B図5Cに示す円形の個別部品(例えば、ダイオード)を使用することができる。これは、同じく回転対称である電極パッドを有する回転対称部品である。このような円形部品は、パッケージなしの円形ダイオード(図5B参照)としても、又は円形パッケージにパッケージ化された(packaged)従来の矩形ダイオードダイ(図5C参照)としても製造することができる。
【0036】
図5Aは、円形ダイオードの底面図である。この円形部分は、回転対称のボンディングパッドを有する。ダイオードの一方の端子は、円形部分の中心にあるボンディングパッド、すなわち、円形ボンディングパッド(circular bonding pad)-1 502で接続に利用できる。ダイオードの他方の端子は、円形部分のリングでのボンディングパッド、すなわち、リング状ボンディングパッド-2 504で接続に利用できる。
【0037】
代替の実施形態において、円形ダイオードは、接合ダイオード又は金属-絶縁体-半導体(MIS)ダイオード構造を有する。これは、ドーピングプロファイル及び/又は絶縁体/電極位置を調整することによって達成することができる。図5Bは、パッケージ化されていない円形ダイオードの断面図である。接合ダイオード508とMIS(金属絶縁体半導体)ダイオード510の2つの円形ダイオードの実施形態があり、各々がパッケージのないダイである。接合ダイオード508では、中心の円形n端子がボンディングパッド-1 502に接続され、円形n端子を囲むリング状外側p端子が、リング状ボンディングパッド-2 504に接続されている。MISダイオード510では、中央端子は、酸化物512及びボンディングパッド-1 502を有し、外側端子は、ボンディングパッド-2 504に接続されている。1つの実施形態において、MISダイオード510の酸化物512は、絶縁体を横切って金属から半導体への量子力学的トンネル現象が起こるのに十分に薄い。
【0038】
他のタイプのダイオード構造もまた、パッケージのない円形ダイオードを構築するように調整することができる。
【0039】
別の方法では、円形パッケージと従来のダイオードダイを使用して円形ダイオード部品を構築することができる。従来のダイは、中央のボンディングパッド(ボンディングパッド1)に整列された(位置合わせされた)(aligned)はんだペーストと、他方の電極から外側ボンディングパッドへのワイヤボンディングにより円形パッケージに取り付けることができる。図5Cは、円形のダイオードパッケージの断面図である。この円形部品は、円形パッケージパッドを有する。パッケージ化されたダイオード518は、本実施形態ではパッケージの内部に矩形であるダイオードダイ520を有する。1又は2以上のボンディングワイヤ522は、ダイオードダイ520の1つの端子について、ダイオードダイ520の電極2 514をパッケージのリング形ボンディングパッド-2 504に接続する。はんだ524又は他の電気接続材料は、ダイオードダイ520の他方の端子について、ダイオードダイ520の電極1 516をパッケージの中央円形ボンディングパッド1 502に接続する。
【0040】
1つの実施形態において、メタサーフェスは、均一なダイオードの配向を有していない単位セルを有する。例えば、単位セルの配向は、メタサーフェス上の位置に伴って異なる。これは、ダイオードのコスト及びその移動に大きな影響を与える。このコンセプトを実現するために、1つの実施形態において、単位セルの配置は、矩形格子上でなければならず、一方で回転は任意とすることができる。提案された回転非依存の単位セル設計及び均一なダイオードの配向により、アンテナ表面(アパーチャ)全体は、大きな表面を実装するためにダイをレチクルとして使用して物質移動技術により構築することができる。この場合、アンテナアパーチャは、全てが同じリプリントである小さなウェハーから製造される。図6及び図7は、それぞれ円又は矩形形状の大きなアンテナ面に半導体ウェハーからのダイオードを実装する2つの実施形態を示しているが、ウェハーは、同じウェハー設計のリプリントです。なお、リング又はスパイラル上にアンテナ素子を配置することは一般的に非効率的であるが、更なる実施形態では行うこともできる。
【0041】
ほとんどの物質移動技術では、ウェハーからターゲット基板にダイオードを移動するツーリングヘッド(又はスタンプ)のサイズは、ターゲット基板、例えばアンテナアパーチャのサイズに比べて比較的小さい。図6は、より小さなサイズを有する六角形の移動ツール又はスタンプによる大きな円形のアンテナアパーチャ604の実装の上面図である。各移動ステップの間に、1つの六角形領域が、ターゲット基板上に実装される。六角形ツール又は六角形の形状のツーリングヘッドは、均一な配向を有するダイオード606のアレイの各々をピックアップして半導体ウェハダイ608上に配置することができる。移動工具ヘッドの形状、この例では六角形の形状は、ウェハーの形状と独立しており、またアパーチャ602、604の形状と独立している。図6の六角形のアレイは、実施可能な矩形及び円形(又は他の形状の)アパーチャ上にマッピングされた実施可能なダイオード移動のパターンである。従って、円形アパーチャ604は、アイリス開口のアレイを有し、その各々は、それぞれの単位セルのそれぞれのダイオード606を介して同調可能である。大きなアパーチャは、更なる実施形態では他の形状とすることができる。1つの実施形態は、幾つかの六角形移動ツール(複数可)を用いて作成される矩形アパーチャ602を有する。様々な実施形態において、単一の移動ツールを用いて、例えば、シリアルピックアンドプレース動作には配置のために各ダイオード606又はダイオード606のペア(又は他の同調可能キャパシタンスデバイス)を移動することができ、或いは、複数の移動ツールを並列移動のために使用することができる。
【0042】
図7は、矩形状移動ツール(スタンプ)を備えた大きな矩形アンテナアパーチャ702の実装を示す上面図である。矩形形状の移動ツールは、移動ステップごとに小さな矩形領域704を実装することができる。ウェハー704上及びターゲット基板706上のダイオードは、均一な配向を有することができる。大きなアパーチャは、更なる実施形態において他の形状とすることができる。
【0043】
更に、図示されたアンテナアパーチャのセグメント化を使用して、ダイオードの回転を簡素化し、その配置に関する問題を軽減することができる。1つの実施形態において、0~180度の回転範囲をカバーするのではなく、単位セルは、0~90度の回転範囲をカバーするだけでよく、セグメント化がセグメントの回転によって残りを行う。これにより、提案の回転非依存の単位セル設計を簡素化することができる。
【0044】
図8Aは、セルの回転とダイオードの配置を簡素化するためのセグメント化の使用を示している。この実施形態において、円形アンテナアパーチャ802は、各々が円の4分の1(又はディスクの四分円)を占める、4つのセグメント804を有する。1つの実施形態において、4つのセグメント804は、物理的に別個のセグメントではないが、他の実施形態において、そうであってもよい。各セグメント804は、セグメント804にわたって平行に整列されたダイオード806を有し、各ダイオード806は単位セルになっている。4つのセグメント804は、円形アパーチャ802において回転角度が0度、90度、180度、及び270度で配置されている。このようにすることで、単位セルの回転は、0度から180度の範囲をカバーする必要はなく、0度から90度の範囲のみをカバーする。
【0045】
ダイオードの回転を更に離散化して、設計プロセスを簡素化することができる。図8Bは、ダイオードの配向が3つのセクションに更に離散化された図8Aの全円の四分円を示している。表記の30度のセクションの各々におけるダイオードの配向は均一であるが、あるエリアから次のエリアへは配向が変化する。この概念により、設計は、セルの回転を90度カバーするのではなく、30度をカバーすればよい。他の角度の離散化も実施可能とすることができる。
【0046】
図8Cは、小さな矩形のスタンプを使って図8Bから設計をどのように実装できるかを示している。30度セクションの各々において、ダイオードの配向は均一であり、製造の際のダイオードの高速移動を可能にする。隣接する2つのセクションの境界に沿って、ダイオードの配向は何らかの方向とすることができる。
【0047】
(バイアス回路)
バラクターダイオードを同調するためには、ダイオードの2つの側面間に同調電圧を印加する必要がある。図1A、1B、2、3A、3B、及び3Cに示す実施形態は、使用できるバイアストレースの例を含む。1つの実施形態において、バイアス電極は、アンテナ素子によって生成されるRF信号と干渉又は結合しないように配設及び/又は配置される。そのため、バイアス回路は、単位セル設計コンセプトの選択のための決定要因である。図9A及び図9Bは、バイアス電極がRF信号と干渉しない2つの異なる実施形態を示している。実施形態は、バイアス回路が導電性又は抵抗性バイアスを使用できるという点で異なる。
【0048】
図9Aは、パッチ電極104に直接接続された導電性バイアス電極902(導電性バイアスラインとも呼ばれる)を有する2つの対称的なダイオード102を示している。図2及び3Bの単位セルと同様に、この単位セルは、エンドツーエンド又はバックツーバックの2つのダイオード102を有し、アイリス開口112にわたっている。この設計では、各ダイオード102は、1つの端子に接続されたそれぞれのスルービア106を有し、2つのダイオード102は、アイリス開口112の中央に位置するパッチ電極104に接続された共通の端子を有する。導電性バイアスライン(電極)902は、パッチ電極104に接続し、アイリス開口112の中心線に沿って、アイリス開口112の一方端を越えて延びる。すなわち、導電性バイアス電極902は、アイリス開口112の中心にわたるパッチ電極104に直接接続され、ダイオード102、スルービア106及びアイリス開口112が導電性バイアス電極902を中心に対称となるようにされる。導電性バイアスライン902の対称性とパッチ・バイアスライン接続の位置に起因して、導電性バイアスライン902は、RF信号に干渉しない。
【0049】
DC接続を維持しながらパッチ電極からバイアスラインを結合解除する方法の1つは、抵抗性バイアスライン及び/又は個別抵抗器を使用することである。図9Bは、抵抗性バイアスライン904(抵抗性バイアス電極とも呼ばれる)を用いて導電性バイアスラインをパッチ電極に直接接続した単一のダイオード102を示している。図1B及び図3Cの単位セルと同様に、この単位セルは、1アイリス開口112にわたる1つのダイオード102を有する。ここで、ダイオード102の一方の端子がスルービア106に接続され、ダイオード102の他方の端子がパッチ電極104に接続されている。抵抗性バイアスライン904は、パッチ電極104に接続されており、接続部は、アイリス開口112の側にオフセットされている。抵抗性バイアスライン904は、1つの実施形態において、正方形の蛇行ラインによって生じる付加抵抗を有する。他の形状を使用して、ラインの全体的な長さを増加させ、その結果、直線的なバイアスラインのものよりも抵抗を増加させることができる。追加抵抗なしで導電性抵抗バイアスライン904を直接接続すると、RF信号に大きな影響を与えるが、これは追加抵抗で回避される。様々な異なる材料を使用して、2、3例を挙げると、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、クロム、チタン、インジウムガリウム酸化物(IGZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、及び有機導電体など抵抗性バイアスラインを作成することができる。これらのバイアスラインの材料及び設計は、必要とされる抵抗値に基づいて選択されることになる。
【0050】
(集積化(Integration)及びトポロジー(Topology))
図1A、1B、及び2に示す実施形態は、基板の両面処理を用いて製造することができる。1つの実施形態において、駆動回路に必要な層(この場合、薄膜トランジスタ(TFT)マトリクス)が、パッチ電極が存在する基板の上面(又は片面)に最初に堆積される。その後、エッチングステップ及び金属蒸着ステップによりスルービアが生成され、基板の2つの面を電気的に接続する。最後に、アイリス層、すなわちアイリス開口を形成するのに使用される金属層が、基板の反対側の(又は第2の)面に堆積されてパターニングされることになる。その後、個別素子、例えばダイオードを組み立て及び/又は他の方法で基板に取り付けて、製造を完成させることができる。図10は、メタサーフェスアンテナのための実施形態のこのような製造方法の1つの実施形態を示すフロー図の一例を示している。
【0051】
図10を参照すると、動作1002において、薄膜トランジスタが堆積される。例えば、薄膜トランジスタは、様々な半導体処理ステップ及び材料を用いて基板上に堆積される。
【0052】
次に、アクション1004において、スルービアが生成される。1つの実施形態において、様々な周知の半導体処理ステップ及び材料を使用して、ビア用のアパーチャを形成し、金属が開口に堆積されて接続部を形成する。すなわち、曖昧さを避けるために、「ビア」という用語は、開口又は開口を介した金属接続部を記載するのに使用することができる。
【0053】
動作1006では、アイリス層が堆積される。1つの実施形態において、様々な周知の半導体処理ステップ及び材料が使用され、アイリス層は、金属層を堆積することによって形成され、金属層をエッチングして、様々な実施形態においてアイリス開口及び更なる幾何学的形状を定める。例えば、アイリス層に電極を形成することができる。
【0054】
動作1008では、個別の素子が組み立てられる。例えば、ダイオードが基板に組み立てられ、各ダイオードは、アイリス開口を有する単位セル内に配置される(positioned)。
【0055】
別の方法では、全てのパターニング及び組み立ては、基板の片側で実行することができる。この方法では、TFTマトリクスがパターニングされた基板の同じ側で個別の同調可能素子が組み立てられ、或いは、TFTマトリクスが存在する基板の同じ側でRF素子のアイリス特徴が製造される。この方法により、基板の両面加工及び/又はスルービア接続なしで、単一の基板上にRFアンテナを製造することが可能となる。この方法は、個別の同調可能素子とTFTマトリクスとの間の電気的接続としてアイリス金属のパターニングに必要な金属層を使用している。本開示では、これを「アイリス相互接続」と呼ばれる。接続部の上面図と断面図が図11図12に示される。
【0056】
図11は、ダイオード-TFTアレイ-アイリス接続を含むアンテナ素子の1つの実施形態の上面図である。このようなアンテナ素子は、同調可能スロットアンテナの一部とすることができる。この実施形態は、図1A及び1Bとは対照的に、全ての素子が基板の片面にある(モノリシックな)図9Aの実施形態と実質的に同様である。
【0057】
図11を参照すると、アイリス金属1114がエッチングされて(すなわち、所々で除去されて)アイリス開口1104を形成し、アイリス金属1106(例えば、アイリス金属1114として使用された金属層の一部)が、例えば、パッチ電極104としてアイリス開口1104の中心に残っている(図2及び図9Aを参照)。2つの個別の同調可能素子1108及び1110(例えば、バラクター(例えば、バラクターダイオード)、ダイオード102)は、アイリス開口1104にわたってエンドツーエンド又はバックツーバックで配置され、各々がアイリス金属1106(例えば、パッチ電極104)に接続された1つの端子及びそれぞれのボンディングパッド1112を有し、これは、アンテナ素子に同調電圧を供給するのに使用される。個別の同調可能素子1110の残りのボンディングパッド1112は、アイリス金属1114への接続のためにアイリス開口1104の外側にある(接続は図示せず)。アイリス金属1106は、同調可能素子1108、1110を制御するための回路であるTFT又は他のトランジスタ(図示せず)に接続するトランジスタ、例えば導電性バイアス電極902(導電性バイアスラインとも呼ばれ、図9Aを参照)、への接続部1102を有している。
【0058】
図12は、図11のダイオード-TFTアレイ-アイリス接続のA-B線に沿った断面図である。1つの実施形態において、製造は、ガラス基板1210上にTFTマトリクスを生成することから始まる。例示として、様々なTFT製造技術のうちの何れか1つを利用することができる。TFTマトリクスの製造に使用される層は、典型的には、電気的接続のための複数の金属層及びパッシベーションのための複数の誘電体層を含む。この方法では、TFTアレイの製造は、TFTマトリクスを覆うパッシベーション層1212で終了する。このパッシベーション層1212では、アイリス相互接続領域に整合するアパーチャが生成されており、個別の同調可能素子1206(図11の個別の同調可能素子1108及び1110も参照)がTFTマトリクスに後で接続される。更に、パッシベーション層1212におけるアパーチャ及びアイリス相互接続に整列する金属トレース1216は、パターニングされて、TFTマトリクスへの接続を行う。この接続には、TFTマトリクス製造における金属層の1つ(例えば、ゲートメタル、ソースメタル)を使用することができる。
【0059】
1つの実施形態において、アイリス金属1204層は、数マイクロメートルの厚さであり、例えばスパッタリング、電気めっき、又は電子ビーム蒸着、又は考案することができる他のプロセスを用いて、ガラス基板1210上に堆積される。この金属層は、後でエッチングされて、アイリス開口112、402(例えば、図1A~4、9A及び9Bを参照)を生成し、ここでアイリス開口領域の全ての金属が除去される。例示として、アイリス金属は、既にTFTマトリクスがパターン化されているガラス基板1210上に堆積される。更に、一般にアイリス相互接続と呼ばれるアイリス金属層の一部は、個別の同調可能素子1206とTFTマトリクスとの間の電気的接続のために保持される。アイリス金属1204及びアイリス相互接続は、誘電体層(例えば、SiNx)であるアイリスパッシベーション層1202によって保護される。
【0060】
更にまた、それぞれの素子ボンドパッド1208を介して個別の同調可能素子1206をアイリス金属1204及びアイリス相互接続に接続するため、開口がアイリスパッシベーション層に形成されている。個別の同調可能素子(単数又は複数)1206のボンディング又はボンドパッド1208へのこの接続は、はんだ1214を用いて行うことができる。或いは、この実施形態及び他の開示された実施形態における同調可能素子のボンディングパッドとアイリス金属との間のこのような接続は、はんだの代わりに、導電性ペースト、導電性ポリマー、導電性エポキシ、銀エポキシ、その他を用いて行うことができる。個別部品は、限定ではないが、ピックアンドプレース、自己アセンブリ、その他などの様々な方法を用いてこの基板に組み立てることができる。
【0061】
個別の同調可能素子1108、1110、及び1206は、図11及び12に矩形の形状で示されている。しかしながら、当業者であれば、本出願の態様は、矩形の個別素子に限定されないことは理解されるであろう。これらは、例えば、円形、三角形、その他などの異なる形状を有することができる。個別同調可能素子1108、1110、及び1206上のボンディングパッドも、異なる面上に存在することができる。例えば、ボンディングパッドが上面に存在することができ、別のボンディングパッドが下面に存在することができる。ボンディングパッドは、面の一部又は面全体を覆ってもよい。この場合、第1の電気的接続は、上述の方法のように導電性ペースト又ははんだを用いて行われ、第2の電気的接続は、上部電極をアイリスに接続するための追加の金属層の堆積によって達成される。
【0062】
(スケーラビリティ)
メタマテリアルアンテナに組み付けられる部品として、個別の同調可能キャパシタが使用される。これらは、バラクターダイオード、様々な半導体ダイオード(PINダイオード、MOSFET、BJT、HEMT、その他)、又はMEMS構造とすることができる。1つの実施形態において、組立部位、すなわち部品の最終的位置は、アンテナ素子を制御する(例えば、アンテナ素子を完全に又は部分的にオフ(例えば、無効化)及びオン(例えば、有効化)にするために、組み立てられた部品に対して所望の電圧を印加するためのTFT駆動マトリクス用に既にパターン化されているガラス基板1210(例えば、図12に示すように)である。他の基板を更なる実施形態で使用してもよい。
【0063】
本出願の態様によれば、1つの実施形態において、自己アセンブリプロセスは、事前に決定された配向で設計された場所に構成要素を組み立てることに向けられる。自己アセンブリプロセスは、部品の形状に一致する設計されたギャップを有する組立テンプレート(ステンシル)を使用すること、蒸気又は空気-水界面を使用することに加えて、部品及び組立部位上に疎水性及び親水性領域を設計し、表面張力で組立位置及び配向を制御すること、並びに部品を磁化可能に設計して磁場を用いて組立位置及び配向を制御することを含むことができるが、これらに限定されない。上述の方法は、様々な実施形態において、ガラス基板上の設計された位置に個別の調整素子を固有の配向で組み立てるために、単独で又は組み合わせて使用することができる。組立方法の幾つかの実施形態において、個別の同調可能な素子は、液体、気体、又は真空環境にあり、自己アセンブリプロセスにおける磁場の適用前又は適用中に撹拌が適用される。
【0064】
図13は、組立テンプレート(assembly template)1302を備えた組立部位の断面図である。例示的な実施形態によれば、1つの組立方法は、組立プロセス中に形状マッチングと磁場の使用を組み合わせることができる。このような1つの方法では、組立テンプレート1302は、組立部位1304と呼ばれる所望の組立位置に部品が配置されている間、部品を固定するのに使用される。従って、組立テンプレート1302は、部品(例えば、個別の同調可能素子1206)が自己アセンブリプロセスのために分散される前に、組立部位1304に整列された設計されたギャップを有する中間物である。1つの実施形態において、組立テンプレート1302のアパーチャは、ある程度の公差で部品(例えば、個別の同調可能素子1206)の形状と一致するように設計される(図12、13及び14を参照)。一例では、矩形部品(図15Aの個別の同調可能素子1502及び図15Bの個別の同調可能素子1506を参照)が使用され、組立部位1304上に配置される。しかしながら、他の形状も利用可能である。この矩形部品は、複数の対称軸を有し、幾つかの実施形態において、4つの異なる方向で部位に組み立てることができる。この対称性は、幾つかの実施形態において、部品のボンディングパッドの1つに強磁性材料(例えば、Ni又は他の同様の金属/材料)を、堆積させることによって取り除かれる。組立部位の下に磁石が配置され、個別の同調可能素子の1又は2以上、或いはその一部(例えば、素子の一方端)を固有の配向で組立部位に引き付ける。この場合、これらの配向を実現するために、磁力が採用される。
【0065】
なお、1つの実施形態において、組立テンプレート1302は組立後も残存し、アンテナのRF動作に影響を与えない(図13~16を参照)。1つの実施形態において、アイリス金属は、アイリス開口及び組立テンプレート1302の両方を形成することができ(図17及び18を参照)、その両方が組立後に残存する。或いは、組立テンプレート1302の全部又は一部は、個別の同調可能素子の配置後に除去される。例えば、組立テンプレート1302は、取り外し可能な構造として形成される(図13~16を参照、ここでは、組立テンプレート1302は、図16の後の処理によって取り除くことができる)。
【0066】
図14は、組立前のガラス基板1210(図13参照)上の組立テンプレート1302の上面図である。組立テンプレート1302は、例えばデバイス処理における様々な技術によって、ガラス基板1210に位置合わせされて、組立テンプレート1302がガラス基板1210上のアイリス特徴部1406と位置合わせされるようになる。組立テンプレート1302の開口1404は、アイリス特徴部1406と整列し、また、個別の同調可能素子への電気的接続の目的で、ガラス基板1210上のアイリスパッシベーション層1202(図13参照)によって覆われていない領域1402と整列する。図13では、このような領域1402は、はんだ1214で充填されており、個別の同調可能素子は、組立テンプレート1302の開口1404(図14参照)と整列し、はんだ接続をすることになる(図13及び16参照)。
【0067】
図15Aは、自己アセンブリプロセスの1つの実施形態において、組み立てられる部品の断面図である。ここでは、個別の同調可能素子1502は、矩形部品、例えばバラクター又はダイオードの対向する端部にある3つの面の周りに巻き付けられた強磁性ボンディングパッド1504を有する。磁力は、自己アセンブリプロセスの1つの実施形態において、強磁性ボンディングパッド1504、ひいては個別の同調可能素子1502を所定位置に引き付けるために使用される。各ボンディングパッド1504は、様々な実施形態において、部品の当該端部における端面及び2つの側部の部分、又は部品の当該端部におけるキャップとしての端面及び4つの側部の部分を覆う。
【0068】
磁力の代わりに又は磁力に加えて、自己アセンブリプロセスにおいて形状マッチングを使用することもできる。形状マッチングでは、部品は、非対称形状で設計され、組立テンプレートは、部品が固有の配向で組立部位に収まるように、非対称の開口で設計される。別の実施形態において、組立プロセスは、親水性及び/又は疎水性の表面を使用して組立位置を決定する。一般に、様々な実施形態において、これらの方法の組み合わせを使用することができる。例えば、親水性及び/又は疎水性の表面は、組み立て位置を決定するのに使用され、磁力は部品の配向を決定するのに使用される。撹拌は、自己アセンブリプロセスの様々な形態で適用することができる。撹拌は、組み立て部位にあるが配向が間違っている部品を取り除く分解力として機能する。
【0069】
図15Bは、自己アセンブリプロセスの更なる実施形態における、組み立てられる部品の斜視図である。この実施形態において、個別の同調可能素子1506は、矩形部品(例えば、バラクター又はダイオード)の対向する端部にて一方の表面上に強磁性ボンディングパッド1504を有する。
【0070】
図16は、強磁性パッドと磁石1606を用いて、所望の配向で組み立てられた部品を示している。磁石1606は、様々な実施形態において様々な組み合わせ及び配置の電磁石又は永久磁石、或いはこれらのうちの2以上とすることができる。磁石1606は、自己アセンブリプロセスにおいて、個別の同調可能素子1608の強磁性ボンディングパッド1604を引き付け、個別の同調可能素子1608は、アイリス金属1204への接続のために、組立テンプレート1302のアパーチャ内の所定位置に移動して、はんだ1214と整列する。適切な加熱プロセスを適用してはんだ1214を溶融し、個別の同調可能素子1608との電気的接続を形成することができる。
【0071】
組立テンプレート1302は、組立を開始する前に、ガラス基板1210の上部に配置される。組立テンプレート1302は、アライメントマークと整列され、テンプレートの各ギャップが組立部位1304(図13を参照)に整列するようにされる。図16に示すように、磁石1606が各アイリス開口の真下に配置されて、この例において使用される強磁性部品(図15A及び15Bを参照)に力を加える磁界を生成する。その後、部品がテンプレート上に分散され、システムに振動が加えられる。振動の振幅、周波数、及び方向は、最も効率的な組み立てを実現するように調整することができる。また、部品の凝集を防ぐために、組み立て中に振動の方向を変えることができることが文献で示されている。振動パラメータの調整に、カメラベースのフィードバックループを用いることができる。目標とする組立量が達成されると、振動がシステムから取り除かれることになる。組立を早めるために、組立部位よりも多くの部品を第一段階において分散させることができる。
【0072】
部品が正しい配向で組立部位に移送された後、磁石1606が取り除かれる。ガラス基板1210及び組立テンプレート1302が加熱されて、はんだ1214をリフローし、個別の同調可能素子1608とガラス基板1210上の適切な金属との間に電気的接続を行う。この例では、はんだ1214は、組み立ての前にガラス基板上に予めパターン化されている。別の方法では、はんだ1214は、組み立ての前に部品上に予めパターン化することができる。また、電気的接続のために、はんだの代わりに、他の導電性材料(熱応答性又はUV応答性のはんだペースト、ナノ粒子、ACFボンド、その他など)を使用することもできる。電気的接続が行われると、組立テンプレート1302を取り外すことができ、基板は、製造プロセスの次のステップに進む準備ができる。
【0073】
別の方法では、アイリス金属の開口は、組立テンプレートの一部として使用することができる。この方法では、部品の厚さは、アイリス金属の厚さによって制限される。この制限により、パッケージなしでダイオードダイを使用する必要がある。組み立てられたダイオードダイの例が、図17及び図18に示される。図17では、両面に電極を有する両面ダイオードダイ1702がアイリススロットに組み付けられ、組み付け後の金属蒸着及びパターニングステップを用いて、アイリス金属1204への電気的接続が行われる。図18では、同じ側に電極を有する片面ダイオードダイ1802が、アイリススロットに組み付けられる。アイリス金属蒸着の前に、第2の接続部が、ビア1708と共にアイリス開口領域にパターン化される。この接続部は、ダイオード組立後にダイオードをアイリス金属1204に接続するのに使用される。
【0074】
図17は、組立テンプレートの一部としてアイリス開口を使用して組み立てられた、両面ダイオードダイ1702を含む部品を示す。両面ダイオードダイ1702の各々の一方の側及びそれぞれの端子は、TFTマトリクス又は他の回路に接続するために、はんだ1706を用いてビア1708に電気的に接続される。両面ダイオードダイ1702の各々の対向する面及びそれぞれの端子は、アイリス金属1204への接続部1704を有し、接続部1704は、金属層によって形成することができる。非対称性により、ダイオードダイ1702の上部と下部が区別される。1つの実施形態において、単位セル(スロット)は、固定されたダイオードの配向に対する回転自由度を有するが、それでもダイオードとアイリス金属1204を接続する点に留意されたい。
【0075】
図18は、組立テンプレートの一部としてアイリス開口を使用して組み立てられた、片面ダイオードダイ1802を含む部品を示している。片面ダイオードダイ1802の各々の片面の2つの端子は、はんだを用いて適切に接続される。ここでは、2つの隣接する片面ダイオードダイ1802の2つの隣接する端子、すなわち、一方のダイオードからの1つの端子と他方のダイオードからの隣接する端子とが、はんだ1706を用いて互いに及びビア1708に接続される。2つの片面ダイオードダイ1802の対向する2つの端子、すなわち、一方のダイオードからの他方の端子と他方のダイオードからの他方の端子は、はんだ1806を用いてそれぞれのアイリス金属1204に接続される。
【0076】
(アンテナの実施形態の例)
上述した技術は、平面衛星アンテナと共に使用することができる。このような平面アンテナの実施形態が開示されている。平面アンテナは、アンテナアパーチャ上にアンテナ素子の1又は2以上のアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナアパーチャは、例えば、以下で説明するアンテナアパーチャのような、メタサーフェスアンテナアパーチャである。1つの実施形態において、アンテナ素子は、上述したようなダイオード及びバラクターを備える。1つの実施形態において、平面アンテナは、行と列状に配置されていないアンテナ素子の各々を一意的にアドレス指定して駆動するマトリクス駆動回路を含む円筒状給電アンテナである。1つの実施形態において、素子は、リング状に配置されている。
【0077】
1つの実施形態において、アンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアンテナアパーチャは、共に結合された複数のセグメントから構成される。共に結合されると、セグメントの組み合わせは、アンテナ素子の閉じた同心リングを形成する。1つの実施形態において、同心リングは、アンテナ給電部に対して同心である。
【0078】
(アンテナシステムの例)
1つの実施形態において、平面アンテナは、メタマテリアルアンテナシステムの一部、又は本明細書に記載のメタサーフェスを有するアンテナである。通信衛星地上局用のメタマテリアルアンテナシステムの実施形態について説明する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、民間商用衛星通信用のKaバンド周波数又はKuバンド周波数の何れかを使用して動作するモバイルプラットフォーム(例えば、航空、海上、陸上など)上で動作する衛星地上局(ES)の構成要素又はサブシステムである。なお、アンテナシステムの実施形態はまた、モバイルプラットフォーム上ではない地上局(例えば、固定又は輸送可能な地上局)でも使用可能である点に留意されたい。
【0079】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、表面散乱メタマテリアル技術(例えば、アンテナ素子)を使用して、別個のアンテナを介して送信ビーム及び受信ビームを形成し操縦する(steer)。1つの実施形態において、アンテナシステムは、アナログシステムであり、(フェーズドアレイアンテナなどの)ビームを電気的に形成し操縦するためにデジタル信号処理を利用するアンテナシステムとは対照的である。
【0080】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、3つの機能的サブシステム、すなわち、(1)円筒波給電アーキテクチからなる導波構造、(2)アンテナ素子の一部である波散乱メタマテリアル単位セルのアレイ、(3)ホログラフィック原理を用いてメタマテリアル散乱素子からの同調可能な放射場(ビーム)の形成を命令する制御構造、から構成される
【0081】
(アンテナ素子(Antenna Elements))
図19Aは、ダイオード-TFTアレイ-アイリス接続を含むアンテナ素子の別の実施形態の上面図である。このようなアンテナ素子は、同調可能スロットアンテナの一部とすることができる。この実施形態は、図1A及び1Bの実施形態とは対照的に、全ての素子が基板の片面にある(モノリシック)という点で、図9B及び11の実施形態に類似している。
【0082】
図19Aを参照すると、アイリス金属1914がエッチングされて(すなわち、所々で除去される)、アイリス開口1904を形成する。1つの個別の同調可能素子1908(例えば、バラクター、バラクターダイオード、ダイオード102)は、アイリス開口1904にわたって配置され、1つの端子とそれぞれのボンディングパッド1912が、パッチ1906(例えば、パッチ電極104)に接続され、パッチ1906は、アイリス開口1904の外側にあってアンテナ素子用の同調電圧を提供するのに使用される。1つの実施形態において、パッチ1906は、アイリス金属層とは別個の金属層上に形成される。個別の同調可能素子1908の残りのボンディングパッド1912は、パッド1909を介してアイリス金属に接続するために、アイリス開口1904の外側にある。1つの実施形態において、パッド1909は、パッチ1906と同じ金属層上に形成される。パッド1909は、接続点1930において、スルービア1916(図19B)を用いてアイリス金属に接続される。アイリス金属は、同調可能素子1908を制御するための回路であるTFT又は他のトランジスタ(図示せず)に接続する、例えば導電性バイアス電極902(導電性バイアスラインとも呼ばれる、図9Aを参照)などのトランジスタ/駆動回路への接続部1902を有する。
【0083】
図19Bは、A-B線に沿った、図19Aのダイオード-TFTアレイ-アイリス接続部の断面図である。1つの実施形態において、図19A及び19Bのアンテナ素子の製造は、設計が異なる部分を除いて、図11及び12のアンテナ素子の製造と同じように行われる。すなわち、製造は、ガラス基板1910上にTFTマトリクスを生成することから始まる。例示として、様々なTFT製造技術の何れかを利用することができる。TFTマトリクスの製造に使用される層は、典型的には、電気的接続のための複数の金属層と、パッシベーションのための複数の誘電体層とを含む。この方法では、TFTアレイの製造は、TFTマトリクスを覆うパッシベーション層1941で終了する。パッシベーション層1941には、TFTアレイをパッチ1906及び接続部1902に接続するビア構造に合わせたアパーチャが生成される(図19A参照)。接続部1902及びパッチ1906は、アイリス金属層とは別個の金属層上に形成され、これはパッチ金属層と呼ぶことができる。アイリス金属層には、アイリスのアパーチャとは別の開口が、TFTアレイとパッチメタルのビア位置に生成される。このビア構造は、図19A及び図19Bには示されていない。各TFTをドライバICに接続するメタルトレース、すなわちTFTマトリクスのRowトレース及びColumnトレースは、TFTマトリクス用の金属層を用いてアイリス金属の下に、或いは追加の金属層を用いてアイリス金属の上に作製することができる。
【0084】
1つの実施形態において、アイリス金属層(すなわち、アイリス開口1904が形成される金属層)は、数マイクロメートルの厚さであり、スパッタリング、電気めっき、又は電子ビーム蒸着を用いてガラス基板1910上に堆積される。この金属層は、後にエッチングされて、アイリス開口112、402、1904を生成し(例えば、図1A~4、9A及び9Bを参照)、ここではアイリス開口領域における全ての金属が除去される。例示として、アイリス金属は、既にTFTマトリクスがパターン化されているガラス基板1910上に堆積される。アイリス開口1904が形成されているアイリス金属層は、誘電体層(例えば、SiNx)であるアイリスパッシベーション層1931によって保護されている。更なる実施形態において、TFTマトリクス(例えば、薄膜トランジスタを有する回路)は、アイリス金属の上、例えば、アイリスパッシベーション層1931の上部に堆積される。
【0085】
更にまた、パッチ金属層上のパッド(例えば、パッド1909)をアイリス金属に接続するために、アイリスパッシベーション層に開口が形成される。パッチ金属層(1931)を覆うパッシベーション層にはビア1916を含む追加の開口が生成され、パッチ1906及びパッド1909をそれぞれの素子ボンドパッド1912を介して個別の同調可能素子1908に接続する。個別同調可能素子1908のボンディングパッド又はボンドパッド1912へのこの接続は、はんだ1934を用いて行うことができる。代替として、この実施形態及び他の開示された実施形態における同調可能素子のボンディングパッドとアイリス金属との間のこのような接続は、はんだの代わりに導電性ペースト、ポリマー、導電性エポキシ、銀エポキシ、その他などを用いて行うことができる。個別の部品は、限定ではないが、ピックアンドプレース、自己アセンブリ、その他などの様々な方法を用いてこの基板に組み付けることができる。
【0086】
個別の同調可能素子1908は、図19A及び19Bに矩形形状で示されている。しかしながら、当業者であれば、本出願の態様は、矩形の個別素子に限定されないことは理解されるであろう。これらは、例えば、円形、三角形、その他などの異なる形状を有することができる。個別同調可能素子1908上のボンディングパッドはまた、異なる面上に存在することができる。例えば、ボンディングパッドは、上面に存在することができ、別のボンディングパッドは、下面に存在することができる。ボンディングパッドは、面の一部又は面全体を覆うことができる。この場合、第1の電気的接続は、上述の方法のように導電性ペースト又ははんだを用いて行われ、第2の電気的接続は、上部電極をアイリスに接続するための追加の金属層の堆積によって達成される。
【0087】
図20A及び20Bは、メタサーフェス又はメタマテリアルアンテナ用の同調可能アイリス開口単位セルの電子回路の等価物又は表現を示す。図20Aは、図2及び9Aに描かれた実施形態におけるアイリス開口112及びダイオード102を表す回路である。アイリス開口112のインダクタンスは、各々LIrisで表記されている4つのインダクタ2002、2004、2006、2008によって表される。各々がバラクターであり、CVaractorと表記された2つの可変キャパシタ2010は、ダイオード102を表し、互いに直列にされている。可変キャパシタ2010の直列の組み合わせは、2つの分岐のインダクタと並列になっており、アイリスインダクタ2002は、アイリスインダクタ2006で直列あり、アイリスインダクタ2004は、アイリスインダクタ2008と直列である。バラクターすなわち可変キャパシタ2010の同調可能キャパシタンスは、DC電圧源2012によって制御され、単位セルの共振状態を更新してアンテナの動作のためにメタサーフェス又はメタマテリアルの特性を制御するために、時間可変とすることができる。
【0088】
図20Bは、図1B及び図9Bに描かれた実施形態におけるアイリス開口112及びダイオード102を表す回路である。アイリス開口112のインダクタンスは、各々がLIrisと表記された4つのインダクタ2002、2004、2006、2008によって表される。CVaractorと表記されたバラクターである1つの可変キャパシタ210は、ダイオード102を表し、CPatchと表記されたパッチを表す別のキャパシタと直列になっている。キャパシタ2014と可変キャパシタ2010の直列の組み合わせは、2つの分岐のインダクタと並列になっており、アイリスインダクタ2002はアイリスインダクタ2006と直列であり、アイリスインダクタ2004はアイリスインダクタ2008と直列である。バラクターすなわち可変キャパシタ2010の同調可能キャパシタンスは、DC電圧源2012によって制御され、単位セルの共振状態を更新してアンテナの動作のためにメタサーフェス又はメタマテリアルの特性を制御するために、時間可変とすることができる。
【0089】
図21は、円筒状給電ホログラフィックラジアルアパーチャアンテナの1つの実施形態の概略図である。図21を参照すると、アンテナアパーチャは、円筒状給電アンテナの入力給電部2102の周りに同心リング状に配置されたアンテナ素子2103の1又は2以上のアレイ2101を有する。1つの実施形態において、アンテナ素子2103は、RFエネルギーを放射する無線周波数(RF)共振器である。1つの実施形態において、アンテナ素子2103は、アンテナアパーチャの表面全体にインターリーブされて分布するRx及びTxアイリスの両方を含む。このようなRx及びTxのアイリス又はスロットは、3又は4以上のセットがグループになることができ、各セットは、別々に且つ同時に制御されるバンドのためのものである。アイリスを有するこのようなアンテナ素子の例について、以下で詳しく説明する。なお、本明細書に記載のRF共振器は、円筒状給電部を含まないアンテナで使用することができる。
【0090】
1つの実施形態において、アンテナは、入力給電部2102を介して円筒波給電を提供するのに使用される同軸給電部を含む。1つの実施形態において、円筒波給電アーキテクチャは、給電点から円筒状に外側に広がる励起を中心点からアンテナに供給する。つまり、円筒状給電アンテナは、外向きに進行する同心状の給電波を生成する。それでも、円筒状給電部の周りの円筒状給電アンテナの形状は、円形、正方形、又は何れかの形状とすることができる。別の実施形態において、円筒状給電アンテナは、内向きに進む給電波を生成する。このような場合、給電波は、円形構造から生じるのが最も必然性がある。
【0091】
1つの実施形態において、アンテナ素子2103は、アイリス(アイリス開口)を備え、図21のアパーチャアンテナは、同調可能ダイオード及び/又はバラクターを介してアイリス開口を放射するために、円筒状の給電波からの励起を使用することにより成形されたメインビームを発生するのに使用される。1つの実施形態において、アンテナは、所望のスキャン角度で水平又は垂直に偏光された電界を放射するように励起することができる。
【0092】
1つの実施形態において、アンテナシステムの各散乱素子は、上述のように単位セルの一部である。1つの実施形態において、単位セルは、上述したダイレクトドライブの実施形態によって駆動される。1つの実施形態において、各単位セル内のダイオード/バラクターは、そのパッチ電極(例えば、アイリス金属)に関連する上部導体からスロットに関連する下部導体を有する。ダイオード/バラクターは、アイリス開口とパッチ電極の間のバイアス電圧を調整するように制御することができる。この特性を利用して、1つの実施形態において、ダイオード/バラクターは、誘導波(guided wave)から単位セルへのエネルギー伝達のためのオン/オフスイッチを統合する。スイッチをオンにすると、ユニットは、電気的に小さなダイポールアンテナのように電磁波を放出する。なお、本明細書における教示は、エネルギー伝達に関して二値的に動作する単位セルを有することに限定されない。
【0093】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの給電ジオメトリにより、アンテナ素子を波給電における波のベクトルに対して45度(45°)の角度で位置付けることができる。なお、他の位置を使用してもよい(例えば、40°の角度)。素子のこの位置により、素子により受信される、又は素子から送信/放射される自由空間波の制御が可能になる。1つの実施形態において、アンテナ素子は、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間の間隔で配置されている。例えば、1波長あたり4つの散乱素子がある場合、30GHz送信アンテナの素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)となる。
【0094】
1つの実施形態において、素子の2つのセットは互いに直交しており、同じ同調状態に制御される場合、等しい振幅の励起を同時に有する。給電波励起に対して素子を±45度回転させると、両方の望ましい特徴が一度に達成される。一方のセットを0度、他方を90度回転させると、直交目標は達成されるが、等振幅励起の目標は達成されない。なお、0度と90度は、2つの側部から単一構造のアンテナ素子アレイに給電する際に、分離を達成するのに使用することができる。
【0095】
各単位セルからの放射電力量は、コントローラを用いてパッチ電極に電圧を印加することにより制御される。各パッチ電極へのトレースは、パッチ電極に電圧を供給するのに使用される。この電圧を用いて、個々の素子のキャパシタンス及びひいては共振周波数を同調又は離調し、ビーム形成を行う。必要な電圧は、使用するダイオード/バラクターによって異なる。
【0096】
1つの実施形態において、上述のように、マトリクスドライブを用いて、パッチ電極に電圧を印加し、各セルに別個の接続(ダイレクトドライブ)を有することなく、各セルを他の全てのセルから別個に駆動する。素子の密度が高いため、マトリクス駆動は、各セルを個別にアドレス指定するための効率的な方法である。
【0097】
1つの実施形態において、アンテナシステムのための制御構造は、2つの主な構成要素を有し、すなわち、アンテナシステムのための駆動電子機器を含むアンテナアレイコントローラは、本明細書に記載されているような表面散乱アンテナ素子の波動散乱構造の下にあり、一方、マトリクス駆動スイッチングアレイは、放射に干渉しないような方法で放射RFアレイ全体に散在している。1つの実施形態において、アンテナシステムの駆動電子機器は、商用テレビジョン装置で使用される民生用のLCDコントロールを備え、商用テレビジョン装置は、当該素子へのACバイアス信号の振幅又はデューティサイクルを調整することにより、各散乱素子のバイアス電圧を調整する。
【0098】
1つの実施形態において、アンテナアレイ制御装置はまた、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサを含む。制御構造はまた、プロセッサに位置及び配向情報を提供するために、センサ(例えば、GPS受信機、3軸コンパス、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸磁力計、その他)を組み込むことができる。位置及び配向情報は、地上局内の他のシステムによってプロセッサに提供することができ、及び/又はアンテナシステムの一部とすることができる。
【0099】
より具体的には、アンテナアレイコントローラは、どの素子をオフにしてオンにするか、及び動作周波数においてどの位相及び振幅レベルであるかを制御する。素子は、電圧印加によって周波数動作において選択的に離調される。
【0100】
伝送のために、コントローラは、RFパッチに電圧信号のアレイを供給して、変調又は制御パターンを生成する。制御パターンは、素子を異なる状態に同調させる。1つの実施形態において、様々な素子が様々なレベルにオン/オフされる多状態制御が使用され、矩形波とは対照的に、正弦波制御パターンに更に近似する(すなわち、正弦波グレーシェード変調パターン)。1つの実施形態において、幾つかの素子が放射て他の素子が放射しないのではなく、幾つかの素子が他の素子よりも強く放射する。可変放射は、液晶の誘電率を様々な量に調整する特定の電圧レベルを印加して、これにより素子を可変的に離調させ、一部の素子を他の素子よりも強く放射させることにより達成される。
【0101】
メタマテリアル素子アレイによる集束ビームの生成は、増加的干渉及び相殺的干渉の現象によって説明することができる。個々の電磁波は、自由空間で遭遇するときに同じ位相を有する場合に加え合わされ(増加的干渉)、自由空間で遭遇するときに逆位相である場合に互いに打ち消し合う(相殺的干渉)。各連続するスロットが誘導波の励起点から異なる距離に位置決めされるように、スロット付きアンテナ内のスロットが位置決めされた場合に、その素子からの散乱波は、前のスロットの散乱波と異なる位相を有することになる。スロットが、誘導波長の4分の1離間して配置されている場合には、各スロットは、前のスロットから4分の1の位相遅延で波を散乱させることになる。
【0102】
このアレイを使用すると、生成できる増加的干渉及び相殺的干渉のパターン数を増加させることができるので、理論的には、ビームは、ホログラフィの原理を使用して、アンテナアレイのボアサイトからプラスマイナス90度(90°)のあらゆる方向に指向することができる。従って、どのメタマテリアル単位セルがオンにされ又はオフにされるかを制御することにより(すなわち、どのセルがオンにされてどのセルがオフにされるかについてのパターンを変更することにより)、増加的干渉及び相殺的干渉の異なるパターンを生成でき、アンテナは、主ビームの方向を変えることができる。単位セルをオン及びオフにするのに必要な時間は、1つの位置から別の位置にビームを切り換えることができる速度を決定付ける。
【0103】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、アップリンクアンテナ用の1つの操縦可能ビーム(steerable beam)と、ダウンリンクアンテナ用の1つの操縦可能ビームとを生成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、メタマテリアル技術を使用してビームを受信し、衛星からの信号を復号し、及び衛星に向けられる送信ビームを形成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、デジタル信号処理を使用して、ビームを電気的に形成し操縦するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。1つの実施形態において、アンテナシステムは、特に従来型の衛星アンテナ受信機と比較した場合に、平面的で比較的薄型の「面」アンテナとみなされる。
【0104】
図22は、グランドプレーン2245及び再構成可能な共振器層2230を含む、アンテナ素子の1列の斜視図を示す。再構成可能な共振器層2230は、同調可能スロット2210のアレイ2212を含む。同調可能スロット2210のアレイ2212は、アンテナを所望の方向に向けるように構成することができる。同調可能スロット2210の各々は、電圧を変化させることによって同調/調節することができ、この電圧は、バラクターダイオードのキャパシタンスを変化させて周波数シフトをもたらし、その結果、放射アンテナ素子の振幅及び位相を変化させる。アレイ内のアンテナ素子の位相及び振幅を適切に調整することで、ビーム形成及びビーム操縦(beam steering)が可能になる。
【0105】
制御モジュール2280又はコントローラは、再構成可能な共振器層2230に結合され、ダイオード/バラクターへの電圧を変化させることによって同調可能スロット2210のアレイ2212を変調させる。制御モジュール2280は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、マイクロプロセッサ、コントローラ、システム・オン・チップ(SoC)、又は他の処理論理回路を含むことができる。1つの実施形態において、制御モジュール2280は、同調可能スロット2210のアレイ2212を駆動するための論理回路(例えば、マルチプレクサ)を含む。1つの実施形態において、制御モジュール2280は、同調可能スロット2210のアレイ2212上に駆動されるホログラフィック回折パターンに関する仕様を含むデータを受信する。ホログラフィック回折パターンは、アンテナと衛星との間の空間的関係に応答して生成され、このホログラフィック回折パターンが、ダウンリンクビーム(及びアンテナシステムが送信を実行する場合は、アップリンクビーム)を通信のための適切な方向に操縦する。各図には描かれていないが、制御モジュール2280に類似する制御モジュールは、本開示における様々な実施形態で記載される同調可能スロットの各アレイを駆動することができる。
【0106】
無線周波数(「RF」)ホログラフィもまた、RF基準ビームがRFホログラフィック回折パターンに遭遇したときに所望のRFビームを生成することができる類似の技術を使用して実施可能である。衛星通信の場合、基準ビームは、給電波2205(幾つかの実施形態では、約20GHz)などの給電波の形態である。給電波を放射ビーム(送信目的か又は受信目的の何れかで)に変換するために、所望のRFビーム(物体ビーム)と給電波(基準ビーム)との間の干渉パターンが計算される。干渉パターンは、給電波が所望のRFビーム(所望の形状及び方向を有する)に「操縦(steered)」されるように、回折パターンとして同調可能スロットのアレイ2210上に駆動される。言い換えると、ホログラフィック回折パターンに遭遇した給電波は、通信システムの設計要件に従って形成されるオブジェクトビームを「再構成」する。ホログラフィック回折パターンは、各素子の励起を包含し、導波路における波動方程式としてのwinと及び外向き波に関する波動方程式としてのwoutとを用いて、whologram=win*woutによって計算される。
【0107】
パッチ電極とアイリス開口の間の電圧を変調して、アンテナ素子(例えば、同調可能共振器/スロット)を同調することができる。電圧を調整することで、スロット(例えば、同調可能共振器/スロット)のキャパシタンスが変化する。従って、スロット(例えば、同調可能な共振器/スロット)のリアクタンスは、キャパシタンスを変えることによって変化させることができる。また、スロットの共振周波数は、次式:
に従って変化し、ここで、fはスロットの共振周波数、L及びCは、それぞれスロットのインダクタンスとキャパシタンスである。スロットの共振周波数は、導波管を通って伝播する給電波2205から放射されるエネルギーに影響を与える。一例として、給電波2205が20GHzである場合、スロット2210の共振周波数を(キャパシタンスを変化させることによって)17GHzに調整し、スロット2210が給電波2205からのエネルギーを実質的に結合しないようにすることができる。又は、スロット2210の共振周波数を20GHzに調整して、スロット2210が、給電波2205からのエネルギーを結合し、このエネルギーを自由空間に放射するようにしてもよい。所与の例は二値(完全に放射するか、又は全く放射しないか)であるが、リアクタンス、従ってスロット2210の共振周波数の完全なグレースケール制御は、多値範囲にわたる電圧分散で実施可能である。従って、各スロット2210から放射されるエネルギーを精密に制御して、詳細なホログラフィック回折パターンを同調可能スロットのアレイによって形成できるようになる。
【0108】
1つの実施形態において、一行における同調可能スロットは、λ/5だけ互いに離間して配置されている。他の間隔を使用してもよい。1つの実施形態において、一行の各同調可能スロットは、隣接する行の最も近い同調可能スロットからλ/2だけ離間して配置されており、従って、異なる行における共通して配向された同調可能スロットは、λ/4だけ離間して配置されているが、他の間隔も可能である(例えば、λ/5、λ/6.3)。別の実施形態において、一行における各同調可能スロットは、隣接する行における最も近い同調可能スロットからλ/3だけ離間して配置される。
【0109】
図23は、円筒型給電アンテナ構造の1つの実施形態の側面図である。このアンテナは、二重層給電構造(すなわち、給電構造の2つの層)を用いて内向き進行波を生成する。1つの実施形態において、アンテナは、円形の外形を含むが、これは必須ではない。すなわち、非円形の内向き進行構造を使用することができる。1つの実施形態において、図23におけるアンテナ構造は、例えば、2014年11月21日に出願された「Dynamic Polarization and Coupling Control from a Steerable Cylindrically Fed Holographic Antenna(操縦可能円筒給電式ホログラフィックアンテナからの動的偏波及び結合制御)」と題された米国特許公開第2015/0236412号明細書に記載のものなどの同軸給電部を含む。
【0110】
図23を参照すると、同軸ピン2301は、アンテナの下層の場を励起するのに使用される。1つの実施形態において、同軸ピン2301は、容易に入手可能な50Ω同軸ピンである。同軸ピン2301は、導電性グランドプレーン2302であるアンテナ構造の下部に結合(例えば、ボルト締め)される。
【0111】
導電性グランドプレーン2302とは別に、内部導体である間隙導体2303がある。1つの実施形態において、導電性グランドプレーン2302と間隙導体2303とは、互いに平行である。1つの実施形態において、グランドプレーン2302と間隙導体2303との間の距離は、0.1~0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλ/2であってもよく、ここでλは、動作周波数における進行波の波長である。
【0112】
グランドプレーン2302は、スペーサ2304を介して間隙導体2303から分離されている。1つの実施形態において、スペーサ2304は、発泡体又は空気状スペーサである。1つの実施形態において、スペーサ2304は、プラスチック製のスペーサを含む。
【0113】
間隙導体2303の上には、誘電体層2305がある。1つの実施形態において、誘電体層2305はプラスチックである。誘電体層2305の目的は、自由空間速度に比べて進行波を減速することである。1つの実施形態において、誘電体層2305は、自由空間に対して進行波を30%減速する。1つの実施形態において、ビーム形成に適した屈折率の範囲は、1.2~1.8であり、自由空間は、定義上1に等しい屈折率を有する。この効果を得るために、例えばプラスチックなどの他の誘電体スペーサ材料を使用してもよい。なお、プラスチック以外の材料であっても、所望の波減速効果が得られる限り、使用することができる点に留意されたい。或いは、誘電体層2305として、例えば、機械加工又はリソグラフィにより定めることができる周期的サブ波長金属構造などの分散構造を有する材料を使用することができる。
【0114】
RFアレイ2306は、誘電体層2305の上部にある。1つの実施形態において、間隙導体2303とRFアレイ2306との間の距離は、0.1~0.15インチである。別の実施形態において、この距離は、λeff/2とすることができ、λeffは、設計周波数における媒体中の有効波長である。
【0115】
アンテナは、側部2307及び2308を含む。側部2307及び2308は、同軸ピン2301からの進行波の供給が、反射を介して間隙導体2303の下の領域(スペーサ層)から間隙導体2303の上の領域(誘電体層)に伝播するように角度が付けられている。1つの実施形態において、側部2307及び2308の角度は、45°の角度である。代替の実施形態において、側部2307及び2308は、反射を達成するために、連続した半径に置き換えることができる。図23は、45°の角度を有する角度付きの側部を示しているが、下層給電部から上層給電部への信号伝送を達成する他の角度を使用してもよい。すなわち、下側給電部の有効波長は一般に、上側給電部とは異なることを考慮すると、理想的な45°の角度からの何らかの逸脱は、下側給電部レベルから上側給電部レベルへの伝送を支援するのに使用することができる。例えば、別の実施形態において、45°の角度は、単一の段部に置き換えられる。アンテナの一方の端にある段部は、誘電体層、間隙導体、及びスペーサ層の周りに延びる。これらの層の他端にも、同じ2つの段部がある。
【0116】
作動時には、同軸ピン2301から給電波が投入されると、この給電波は、グランドプレーン2302と間隙導体2303との間の領域で同軸ピン2301から同心状外向きに移動する。同心状外向き波は、側部2307、2308により反射され、間隙導体2303とRFアレイ2306との間の領域を内向きに進む。円形外周の縁部からの反射により、この波が同相を維持する(すなわち、同相反射である)。進行波は、誘電体層2305によって減速される。この時点で、進行波は、所望の散乱を得るために、RFアレイ2306の素子と相互作用し励起を開始する。
【0117】
進行波を終端するために、終端2309が、アンテナの幾何学的中心でアンテナに含まれる。1つの実施形態において、終端2309は、ピン終端(例えば、50Ωピン)を備える。別の実施形態において、終端2309は、未使用のエネルギーを終端して、この未使用のエネルギーがアンテナの給電構造を通って反射して戻ることを防ぐRF吸収体を備える。これらは、RFアレイ2306の上部で使用することができる。
【0118】
図24は、アンテナシステムの別の実施形態を外向き波と共に示している。図24を参照すると、2つのグランドプレーン2410、2411は、これらのグランドプレーン2410、2411の間にある誘電体層2412(例えば、プラスチック層など)と互いに実質的に平行である。RF吸収体2419(例えば、抵抗器)は、2つのグランドプレーン2410、2411を共に結合する。同軸ピン2415(例えば、50Ω)は、アンテナに給電する。RFアレイ2416は、誘電体層2412とグランドプレーン2411の上部にある。
【0119】
作動時には、給電波は、同軸ピン2415を介して給電され、同心円状外向きに進み、RFアレイ2416の素子と相互作用する。
【0120】
図23及び図24の両方のアンテナにおける円筒状給電部は、アンテナのサービス角度を改善する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、プラスマイナス45度の方位角(±45°Az)及びプラスマイナス25度の仰角(±25°El)からなるサービス角度の代わりに、ボアサイトから全方向に75度(75°)のサービス角度を有する。多数の個々の放射体から構成される何らかのビーム形成アンテナの場合と同様に、全体的なアンテナ利得は、それ自体が角度に依存するものである構成素子の利得に依存する。一般的な放射素子が使用される場合には、全体的なアンテナ利得は、通常、ビームがボアサイトから離れて向けられるにつれて減少する。ボアサイトから75度外れたところでは、約6dBの有意な利得低下が予期される。
【0121】
円筒状給電部を有するアンテナの実施形態は、1又は2以上の問題を解決する。これらは、統合分割器ネットワークを用いて給電されるアンテナと比較して給電構造を非常に簡単なものにし、従って、全体で必要とされるアンテナ及びアンテナ給電量を低減することと、より粗い制御(単純なバイナリ制御にまで拡張すること)で高ビーム性能を維持することによって製造誤差及び制御誤差に対する感度を低下させることと、円筒状配向給電波が遠距離場において空間的に多様なサイドローブをもたらすので、直線的給電部と比較してより好都合なサイドローブパターンを与えることと、偏波器を必要とせずに、左旋円偏波、右旋円偏波及び直線偏波を可能にすることを含めて偏波が動的であることを可能にすることと、を含む。
【0122】
(波動散乱素子(Wave Scattering Elements)のアレイ)
図23のRFアレイ2306及び図24のRFアレイ2416は、放射体として機能するパッチアンテナ(例えば、散乱体)のグループを含む波散乱サブシステムを備える。このパッチアンテナグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを備える。
【0123】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの円筒状給電ジオメトリにより、単位セル素子を波給電における波のベクトルに対して45度(45°)の角度で位置付けることができる。素子のこの位置により、素子から発生する又は素子により受信される自由空間波の偏光を制御することが可能になる。1つの実施形態において、単位セルは、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間の間隔で配置される。例えば、1波長あたり4つの散乱素子がある場合、30GHz送信アンテナの素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)となる。
【0124】
(セルの配置(Cell Placement))
1つの実施形態において、アンテナ素子は、系統的なマトリクス駆動回路を可能にする方法で、円筒状の給電アンテナアパーチャに配置される。セルの配置は、マトリクス駆動のためのトランジスタの配置を含む。図25は、アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示している。図25を参照すると、行コントローラ2501は、行選択信号Row1及びRow2をそれぞれ介してトランジスタ2511及び2512に結合され、列コントローラ2502は、列選択信号Column1を介して、トランジスタ2511及び2512に結合される。また、トランジスタ2511は、パッチ2531への接続を介してアンテナ素子2521に結合され、トランジスタ2512は、パッチ2532への接続を介してアンテナ素子2522に結合される。
【0125】
単位セルが非正規グリッド内に配置されて円筒状給電アンテナ上でマトリクス駆動回路を実現する最初の手法では、2つのステップが実行される。第1のステップにおいて、セルが同心リング上に配置され、セルの各々は、セルの傍らに配置されたトランジスタに接続され、このトランジスタが、各セルを別々に駆動するスイッチとして機能する。第2のステップにおいて、マトリクス駆動回路は、このマトリクス駆動手法が必要とするときにあらゆるトランジスタを一意のアドレスで接続するように構築される。マトリクス駆動回路は、行と列のトレースによって構築される(LCDと同様)が、セルは、リング上に配置されるので、各トランジスタに一意のアドレスを割り当てる系統的方法は存在しない。このマッピング問題は、全てのトランジスタをカバーするために極めて複雑な回路を生じさせ、経路設定を行う物理的トレースの数を著しく増加させることになる。セルが高密度であるので、これらのトレースは、カップリング効果に起因してアンテナのRF性能を妨げる。また、トレースが複雑であり実装密度が高いことに起因して、トレースの経路設定は、商業的に入手可能なレイアウトツールによって行うことができない。
【0126】
1つの実施形態において、マトリクス駆動回路は、セル及びトランジスタが配置される前に事前に定められる。このことにより、各々が一意のアドレスを有する全てのセルを駆動するのに必要な最小数のトレースが確保される。この方式は、駆動回路の複雑性を軽減して経路設定を簡素化し、これによりアンテナのRF性能が向上する。
【0127】
より具体的には、1つの手法では、第1のステップにおいて、セルは、各セルの一意のアドレスを表す行及び列から構成された正方形グリッド上に配置される。第2のステップにおいて、セルは、セルのアドレス並びに第1のステップで定められた行及び列への接続性が維持されながら、グループ化されて同心円に変換される。この変換の目的は、セルをリング上に配置するだけでなく、アパーチャ全体にわたってセル間の距離及びリング間の距離を一定に保つことである。この目的を達成するために、セルをグループ化する幾つかの方法が存在する。
【0128】
1つの実施形態において、TFTパッケージを使用して、マトリクス駆動における配置と一意のアドレス指定を可能にする。図26は、TFTパッケージの1つの実施形態を示している。図26を参照すると、入力ポートと出力ポートを備えたTFT及びホールドキャパシタ2603が示されている。トレース2601に接続された2つの入力ポートと、トレース2602に接続された2つの出力ポートとがあり、行及び列を使用して、TFTを共に接続する。1つの実施形態において、行と列のトレースが90°の角度で交差して、行と列のトレース間の結合が低減され、場合によっては最小にされる。1つの実施形態では、行のトレース及び列のトレースは、異なる層上に存在する。
【0129】
(全二重通信システムの例)
別の実施形態において、組み合わされたアンテナアパーチャは、全二重通信システムで使用される。図27は、同時送信及び経路を有する通信システムの1つの実施形態のブロック図である。1つの送信経路と1つの受信経路のみが示されているが、通信システムは2以上の送信経路及び/又は2以上の受信経路を含むことができる。
【0130】
図27を参照すると、アンテナ2701は、上述したように異なる周波数で同時に送受信するように独立して動作可能な2つの空間的にインターリーブされたアンテナアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ2701は、ダイプレクサ2745に結合される。この結合は、1又は2以上の給電ネットワークによるものとすることができる。1つの実施形態において、ラジアル給電アンテナの場合、ダイプレクサ2745は、2つの信号を組み合わせ、アンテナ2701とダイプレクサ2745との間の接続は、両方の周波数を搬送できる単一の広帯域給電ネットワークである。
【0131】
ダイプレクサ2745は、低雑音ブロックダウン変換器(LNB)2727に結合され、このLNBは、当技術分野で周知の方法で雑音フィルタリング機能、ダウンコンバージョン及び増幅機能を実行する。1つの実施形態において、LNB2727は、室外ユニット(ODU)に存在する。別の実施形態において、LNB2727は、アンテナ装置に組み込まれている。LNB2727は、モデム2760に結合されており、このモデム2760は、コンピューティングシステム2740(例えば、コンピュータシステム、モデム、その他)に結合されている。
【0132】
モデム2760は、LNB2727に結合されているアナログ-デジタル変換器(ADC)2722を含み、ダイプレクサ2745から出力された受信信号をデジタル形式に変換する。デジタル形式に変換されると、信号は、復調器2723によって復調され、デコーダ2724によって復号され、受信波上に符号化されたデータが得られる。次に、復号されたデータは、コントローラ2725に送られ、コントローラ2725は、これをコンピューティングシステム2740に送る。
【0133】
モデム2760はまた、コンピューティングシステム2740から送信されるデータを符号化するエンコーダ2730を含む。符号化されたデータは、変調器2731によって変調され、次に、デジタル-アナログ変換器(DAC)2732によってアナログに変換される。次に、アナログ信号は、BUC(アップコンバート及び高域増幅器)2733によってフィルタリングされて、ダイプレクサ2745の1つのポートに供給される。1つの実施形態において、BUC2733は、室外ユニット(ODU)に存在する。
【0134】
当技術分野で周知の方法で動作するダイプレクサ2745は、送信のためにアンテナ2701に送信信号を供給する。
【0135】
コントローラ2750は、単一の複合物理的アパーチャ上のアンテナ素子の2つのアレイを含む、アンテナ2701を制御する。
【0136】
通信システムは、上述のコンバイナー/アービターを含むように変更されることになる。このような場合、コンバイナー/アービターは、モデムの後でBUC及びLNBの前にある。
【0137】
なお、図27に示される全二重通信システムは、インターネット通信、車両通信(ソフトウェア更新を含む)などを含む幾つかの用途がある点に留意されたい。
【0138】
図1~27を参照すると、更なる実施形態のために、本明細書に記載された実施形態の変形形態において、他の同調可能キャパシタ、同調可能キャパシタンスダイ、パッケージ化されたダイ、微小電気機械システム(MEMS)デバイス、又は他の同調可能キャパシタンスデバイスは、アパーチャ又は他の場所に配置することができることを理解されたい。物質移動のための技術は、電子スキャンアレイ及び様々な更なる電気、電子、電気機械デバイスのための様々な基板上への様々なダイ、パッケージ化されたダイ、又はMEMSデバイスの配置を含む、更なる実施形態に適用することができる。
【0139】
本明細書に記載された方法及びタスクの全ては、コンピュータシステムによって実行されて、完全に自動化することができる。コンピュータシステムは、場合によっては、記載された機能を実行するためにネットワークを介して通信及び相互運用する複数の異なるコンピュータ又はコンピューティングデバイス(例えば、物理的サーバ、ワークステーション、ストレージアレイ、クラウドコンピューティングリソース、その他)を含むことができる。このような各コンピューティングデバイスは、典型的には、メモリ又は他の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体又はデバイス(例えば、半導体ストレージデバイス、ディスクドライブ、その他)に格納されたプログラム命令又はモジュールを実行するプロセッサ(又は複数のプロセッサ)を含む。本明細書で開示される様々な機能は、このようなプログラム命令において具現化することができ、或いは、コンピュータシステムの特定用途向け回路(例えば、ASIC又はFPGA)に実装することができる。コンピュータシステムが複数のコンピューティングデバイスを含む場合、これらのデバイスは、共有設置することができるが、必須ではない。開示された方法及びタスクの結果は、半導体メモリチップ又は磁気ディスクなどの物理的な記憶装置を異なる状態に変換することによって永続的に保存することができる。幾つかの実施形態において、コンピュータシステムは、処理リソースが複数の異なる企業体又は他のユーザによって共有されるクラウドベースのコンピューティングシステムとすることができる。
【0140】
実施形態に応じて、本明細書に記載されたプロセス又はアルゴリズムの何れかの特定の動作、イベント、又は機能は、異なる順序で実行することができ、追加、併合、又は完全に省くことができる(例えば、記載された全ての操作又はイベントがアルゴリズムの実施に必要ではない)。更に、特定の実施形態において、操作又はイベントは、順次ではなく、例えば、マルチスレッド処理、割込み処理、又は複数のプロセッサもしくはプロセッサコア、或いは他の並列アーキテクチャ上で同時に実行することができる。
【0141】
本明細書に開示された実施形態に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、ルーチン、及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア(例えば、ASIC又はFPGAデバイス)、コンピュータハードウェア上で動作するコンピュータソフトウェア、或いはその両方の組み合わせとして実装することができる。更に、本明細書に開示された実施形態に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック及びモジュールは、プロセッサデバイス、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブルロジックデバイス、個別のゲート又はトランジスタロジック、個別のハードウェア構成要素、又は本明細書に記載された機能を実行するように設計されたこれらの任意の組み合わせなど、機械によって実装又は実行することができる。プロセッサデバイスは、マイクロプロセッサとすることができるが、代替案として、プロセッサデバイスは、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシン、これらの組み合わせなどとすることができる。プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能な命令を処理するように構成された電気回路を含むことができる。別の実施形態において、プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能な命令を処理することなく論理演算を行うFPGA又は他のプログラマブルデバイスを含む。また、プロセッサデバイスは、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1又は2以上のマイクロプロセッサ、又はその他のこのような構成として実装することができる。本明細書では、主にデジタル技術に関して説明していますが、プロセッサデバイスは、主にアナログ構成要素を含むこともあります。例えば、本明細書で説明したレンダリング技術の一部又は全部を、アナログ回路又はアナログとデジタルの混合回路で実装してもよい。コンピューティング環境は、マイクロプロセッサに基づくコンピュータシステム、メインフレームコンピュータ、デジタルシグナルプロセッサ、ポータブルコンピューティングデバイス、デバイスコントローラ、又はアプライアンス内の計算エンジンなど、任意のタイプのコンピュータシステムを含むことができるが、これらに限定されない。
【0142】
本明細書で開示される実施形態に関連して説明される方法、プロセス、ルーチン、又はアルゴリズムの素子は、ハードウェアにおいて直接、プロセッサデバイスによって実行されるソフトウェアモジュールに、又はこの2つの組み合わせにおいて具現化することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、又はその他の形態の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に常駐することができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサデバイスが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサデバイスに結合することができる。別の方法として、記憶媒体は、プロセッサデバイスと一体化させることができる。プロセッサデバイスと記憶媒体は、ASICに格納することができる。このASICは、ユーザ端末に搭載することができる。代替形態では、プロセッサデバイスと記憶媒体は、ユーザ端末内の個別構成要素として存在することができる。
【0143】
本明細書で使用されている、特に「can」、「could」、「might」、「may」、「e.g.」などの条件付き表現は、特に明記されていない限り、又は使用されている文脈の中で他に理解されていない限り、一般的に、ある実施形態が特定の特徴、素子、又はステップを含む一方で、他の実施形態が含まないことを伝達することを意図している。従って、このような条件付きの表現は、特徴、素子、又はステップが何らかの形で1又は2以上の実施形態に必要であること、又は1又は2以上の実施形態が、他の入力やプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、素子、又はステップが特定の実施形態に含まれているか、又は実行されるかどうかを決定するためのロジックを必ず含むことを意味するように一般的に意図されていない。「comprising」、「including」、「having」などの用語は同義であり、包括的に、オープンエンドで使用されており、追加の素子、特徴、行為、操作などを除外するものではない。また、「又は」という用語は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されており、例えば、素子のリストを接続するのに使用される場合、「又は」という用語は、リスト内の素子の1つ、幾つか、又は全てを意味しています。
【0144】
「X、Y、又はZのうちの少なくとも1つ」というフレーズのような選言表現は、特に明記されていない限り、ある項目や用語などがX、Y、又はZの何れか、又はこれらの組み合わせ(例えば、X、Y、又はZ)であることを提示するために一般的に使用されるものとして、文脈とともに理解される。従って、このような選言表現は、一般的に、特定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、及びZの少なくとも1つがそれぞれ存在することを必要とすることを意図するものではなく、またそのようにすべきではない。
【0145】
上記の詳細な説明では、様々な実施形態に適用される新規の特徴を示し、説明し、指摘してきたが、本開示の精神を逸脱することなく、図示された装置又はアルゴリズムの形態及び詳細における様々な省略、置換、及び変更を行うことができることは理解できる。認識できるように、本明細書に記載された特定の実施形態は、幾つかの特徴が他とは別に使用又は実施できるため、本明細書に記載された特徴及び利点の全てを提供しない形態内で具現化することができる。本明細書に開示された特定の実施形態の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味及び同等性の範囲内に入る全ての変更は、その範囲内に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0146】
112 アイリス開口
102 ダイオード
110 バイアス電極
104 パッチ電極
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22
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図26
図27
【国際調査報告】