(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】組織アンカー及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/04 20060101AFI20221027BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A61M25/04
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022509589
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2020057991
(87)【国際公開番号】W WO2021038474
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】ダグロー,テリー
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160FF42
4C267AA01
4C267BB02
4C267BB22
4C267CC04
4C267EE01
(57)【要約】
画像誘導医療機器用の装置は、少なくとも1つの実施形態において、望ましくない組織の切断又は裂傷を最小化又は排除するために、アンカー部材の均一かつ連続的な位置決めを提供する。この装置は、ハウジング(40)と、ハウジング内に少なくとも部分的に配置された針ケーシングと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置されたアンカーケーシングとを含む。ホイール(60)は、ハウジング内に配置され、針ケーシングとアンカーケーシングと作動可能に係合し、それらの間に配置されている。アンカーアセンブリは、アンカーケーシングに結合された近位端と、アンカー装置(27)を有する遠位端とを有するチューブを含む。ホイール(60)が回転すると、針ケーシングがホイールに向かって引き寄せられ、それによって針が後退し、同時に、アンカーケーシングがホイールに向かって引き寄せられ、それによってアンカーアセンブリが針を通して押される。針とアンカーアセンブリとの相対運動により、アンカー部材(27)が均一かつ連続的に露出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、かつ前記ハウジングから突出するホイールと、
前記ホイールと係合させて取り付けられ、第1のねじ部分及び第2のねじ部分を含むねじ付きロッドと、
前記ハウジング内に配置され、前記ねじ付きロッドの前記第1のねじ部分と係合している針ケーシングと、
前記針ケーシング内に配置されて固定された針と、
前記ハウジング内に配置され、前記ねじ付きロッドの前記第2のねじ部分と係合しているアンカーケーシングと、
チューブを含むアンカーアセンブリであって、前記チューブは、前記アンカーケーシングに結合された近位端と、アンカー装置を含む遠位端とを有し、前記アンカー装置が、前記チューブの前記近位端から延びる複数のアンカー部材を含む、アンカーアセンブリと、を備える、装置。
【請求項2】
前記アンカー装置は形状記憶材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アンカー装置はニチノールを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記針は、近位端及び遠位端を含み、前記遠位端は、ベベル角度を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記アンカー部材は、ベベル角度と整列するように、前記チューブの円周に沿って形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記アンカー部材は、フックの形状に予め形成された形状記憶材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ねじ付きロッドの前記第1のねじ部分は右巻き螺旋を含み、前記ねじ付きロッドの前記第2のねじ部分は左巻き螺旋を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記アンカーケーシングに結合されたロックコレットを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、かつ前記ハウジングから突出するホイールと、
前記ホイールと係合し、前記ホイールを通って延びており、第1のねじ部分及び第2のねじ部分を含むねじ付きロッドと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記ねじ付きロッドの前記第1のねじ部分と係合している針ケーシングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記ねじ付きロッドの前記第2のねじ部分と係合しているアンカーケーシングと、
前記針ケーシング内に配置され、近位端と、ベベル角度を有する斜角遠位端とを含む針と、
近位端及び遠位端を有するチューブと、前記チューブの前記遠位端に取り付けられたアンカー装置とを含むアンカーアセンブリであって、前記チューブの前記近位端が前記アンカーケーシングに結合されている、アンカーアセンブリと、を備える、装置。
【請求項10】
前記アンカー装置は、前記ベベル角度と整列した少なくとも1つのアンカー部材を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記アンカー装置は、前記チューブの円周の周囲に取り付けられて配置され、前記ベベル角度と整列して配置された複数のアンカー部材を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記アンカー装置は、前記チューブの前記円周の周囲に取り付けられて配置された複数のフィンガーを含み、各フィンガーは、遠位端及び近位端を含み、各フィンガーの前記遠位端は、前記針の円周エッジと実質的に同一平面に配置されている、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記ねじ付きロッドの前記第1のねじ部分は右巻き螺旋を含み、前記ねじ付きロッドの前記第2のねじ部分は左巻き螺旋を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記ねじ付きロッドの前記第1のねじ部分は左巻き螺旋を含み、前記ねじ付きロッドの前記第2のねじ部分は右巻き螺旋を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記アンカー部材は形状記憶材料を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、かつ前記ハウジングから突出するホイールと、
前記ホイールと係合し、前記ホイールを通って延びており、第1のねじ部分及び第2のねじ部分を含むねじ付きロッドと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記ねじ付きロッドの前記第1のねじ部分と係合している針ケーシングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記ねじ付きロッドの前記第2のねじ部分と係合しているアンカーケーシングと、
前記針ケーシング内に配置され、近位端と、ベベル角度を有する斜角遠位端とを含む針と、
近位端及び遠位端を有するチューブと、前記チューブの前記遠位端に取り付けられたアンカー装置とを含むアンカーアセンブリであって、前記チューブの前記近位端が前記アンカーケーシングに結合されている、アンカーアセンブリと、
管状シャフトを含む流体送達アセンブリであって、前記管状シャフトは、前記針を通って遠位に延び、かつ前記アンカーケーシングを通って近位に延び、かつ前記針に対して軸方向に移動するように構成された、流体送達アセンブリと、を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織アンカー及び関連する方法に関する。より詳細には、本発明は、組織内にカテーテル又は他のアクセスポートを固定するための組織アンカー及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍及び病変を診断及び/又は治療するための現在の方法は、画像誘導機器、例えば針を頻繁に使用する。現在、そのような機器は、所望の標的位置、例えば病変又は腫瘍を維持するための外部安定化装置と、標的位置が変化していないことを確認するための継続的な再撮像とを必要とし、標的位置変化はときには呼吸又は他の解剖学的運動のために発生する。
【0003】
組織固定機構を含む様々な装置が当技術分野で公知である。例えば、米国特許第8,888,798号は、針の管腔内に配置されたアンカーを含む組織修復装置を開示している。アクチュエータは、針内に配置されており、アンカーと係合する遠位端と、プッシャーシャフトに結合された近位端とを含む。プッシャーシャフトを前進させてアンカーを展開するためのノブが設けられている。
【0004】
米国特許第8,956,318号は、組織アンカーを有する胃腸バイパス装置を開示している。組織アンカーは、近位保持要素、遠位保持要素、及び張力要素を含む。近位保持要素は、組織壁の近位側に展開されるように構成され、またボタン又はバーの形をとることができる。遠位保持要素は、組織壁の遠位側に展開されるように構成される。遠位保持要素は、ハブ及び複数のペタルを含む。ハンドル、カテーテル、サイドポート、スレッド、送達針、プッシュロッド、及びホルダーを含むアンカー送達装置が設けられている。プッシュロッドは、送達針内に搭載された組織アンカーを押し出すように構成することができる。
【0005】
米国特許出願公開第2015/0366556(A1)号は、インプラントを固定するためのシステム及び方法を開示している。アンカーは、形状設定形状記憶材料を含むことができ、針又は導入器の内部管腔から送達可能である。針を組織表面の下で遠位に前進させることができる。プッシャーを使用してアンカーを露出させることができる。次に、アンカーが組織内に保持されると、プッシャーと針を後退させることができる。
【0006】
国際公開第2019102484(A1)号は、中空針内に搭載されたアンカーと、アンカーを展開するための駆動アセンブリとを含むマルチアンカー送達システムを開示している。駆動アセンブリは、プッシャーを含み、プッシャーは、トリガー又はローラーなどのアクチュエータによって前進及び後退することができる。
【0007】
国際公開第2020051147(A1)号は、組織アンカー及び組織アンカー展開用の針を対象とする。組織アンカーは、送達システム内に配置されていることが開示されている。送達システムは、シャフトと、シャフトの管腔内に配置された針とを含む。アンカーは針の管腔内に配置されている。プッシャー/イジェクタは、針の管腔内に摺動可能に配置され、また組織アンカーを針の遠位端から押し出すように構成されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、カテーテル又はアクセスポートをより効率的に固定するために、更なる改善が依然として必要であり、これにより、均一かつ連続的な展開が実現され、正確な位置決めが達成され、したがって、組織の切断又は裂傷が最小化又は排除される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の装置は、患者の腫瘍又は病変の中又は周囲に展開することができ、その後の治療的又は診断的低侵襲外科的処置のための経路、又は中央管腔内の流体送達経路、即ちアクセスポートを提供することができる。
【0010】
少なくとも1つの実施形態では、本発明による装置は、ハウジングと、ハウジング内に配置され、かつハウジングから突出するホイールとを含む。ねじ付きロッドは、ホイールと係合させて取り付けられ、このロッドは、第1のねじ部分及び第2のねじ部分を含む。ねじ付きロッドは、ホイールの中心を通って、又はホイールの中心から外れて延びていてもよい。針ケーシングは、ハウジング内に配置され、第1の端部で当該ねじ付きロッドの第1のねじ部分と係合している。アンカーケーシングは、ハウジング内に配置されている。アンカーケーシングは、第1の端部で当該ねじ付きロッドの第2のねじ部分と係合している。針は、針ケーシング内に配置されて固定されている。アンカーアセンブリは、近位端と、近位端から延びる複数のアンカー部材を含む遠位端とを有するチューブを含む。更に少なくとも1つの他の実施形態では、本発明による装置は、ハウジングと、ハウジング内に配置され、かつハウジングから突出するホイールとを含む。ねじ付きロッドは、ホイールと係合し、ホイールを通って延びる。ねじ付きロッドは、第1のねじ部分及び第2のねじ部分を含む。針ケーシングは、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、針ケーシングは、ねじ付きロッドの第1のねじ部分と係合している。アンカーケーシングは、ハウジング内に少なくとも部分的に配置されている。アンカーケーシングは、ねじ付きロッドの第2のねじ部分と係合している。針は、針ケーシング内に配置されている。針は、近位端と、ベベル角度を有する斜角遠位端とを含む。アンカーアセンブリが設けられ、アンカーアセンブリは、近位端及び遠位端を有するチューブと、チューブの遠位端に取り付けられたアンカー装置とを含む。アンカーアセンブリは、針、針ハウジング、及びねじ付きロッドを通って延び、アンカーケーシングに接続された近位端を有する。
【0011】
本発明の少なくとも別の実施形態では、装置は、ハウジングと、ハウジング内に配置され、かつハウジングから突出するホイールとを含む。ねじ付きロッドは、ホイールと係合させて取り付けられ、このロッドは、第1のねじ部分と、第2のねじ部分と、アンカー管腔とを含む。ねじ付きロッドは、ホイールの中心を通って、又はホイールの中心から外れて延びていてもよい。針ケーシングは、ハウジング内に配置されている。針ケーシングは、第1の端部でねじ付きロッドの第1のねじ部分と係合している。アンカーケーシングは、ハウジング内に配置されている。アンカーケーシングは、第1の端部で当該ねじ付きロッドの第2のねじ部分と係合している。針は、針ケーシング内に配置されて固定されている。アンカーアセンブリは、針のアンカー管腔、針ハウジング、ねじ付きロッドを通って延び、アンカーケーシングにしっかりと取り付けられている。アンカーアセンブリは、近位端と、近位端から延びる複数のアンカー部材を含む遠位端とを有するチューブを含む。流体送達アセンブリが設けられており、流体送達アセンブリは管状シャフトを含み、管状シャフトは、針を通って遠位に延び、かつアンカーケーシングを通って近位に延びる。管状シャフトは、当該針に対して軸方向に移動するように構成される。
【0012】
動作中、針は、任意の既知の画像誘導手順を使用して、所望の標的に進められる。本明細書に開示された医療機器の所望の位置に達すると、ユーザはホイールを回転させ、チューブが前方に平行移動するにつれて針が後退し、その結果、アンカー部材が均一かつ連続的に位置決めされる。
【0013】
各アンカー部材の位置は、針のベベル角度構成に対して丁寧に整列され位置決めされており、その結果、均一かつ連続的な展開が実現される。この均一かつ連続的な展開により、組織の切断又は裂傷が最小化又は排除される。
【0014】
本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の多くの修正及び変形を行うことができる。したがって、上記の例示的な実施形態は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による装置の斜視図である。
【
図3A】アンカー装置が完全に後退した状態での
図1の装置を示す図である。
【
図3B】アンカー装置が中に配置された
図3Aの針先端部の分解図である。
【
図4A】アンカー装置が展開の予備段階にある状態での
図1の装置を示す図である。
【
図4B】展開の予備段階にある
図4Aのアンカー装置の分解図である。
【
図5A】アンカー装置が展開の中間段階にある状態での
図1の装置を示す図である。
【
図5B】展開の中間段階にある
図5Aのアンカー装置の分解図である。
【
図6A】アンカー装置が完全に展開された状態での
図1の装置を示す図である。
【
図6B】完全に展開された
図6Aのアンカー装置の分解図である。
【
図7A】本発明の一実施形態によるアンカー装置の斜視図である。
【
図7B】本発明の一実施形態によるアンカー装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明では、本発明の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、特定の具体的な詳細が示される。しかしながら、当業者は、本発明が、これらの特定の詳細の1つ以上なしに、又は他の方法、構成要素、材料などを用いて実施することができることを認識するであろう。
【0017】
本発明又はその好ましい実施形態の要素を紹介する場合、「a」、「an」、及び「the」という冠詞は、1つ以上の要素が存在することを意味することを意図している。
【0018】
本明細書中で使用される場合、「複数」という用語は、1つ以上を指す。
【0019】
更に、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、以下の明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」という単語、及び「含む(comprises)」、「含む(comprising)」などのその変形は、「含むが、これに限定されない」というオープンで包括的な意味で解釈されるべきである。
【0020】
本明細書全体を通して「一実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所での「一実施形態において」又は「ある実施形態において」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造、又は特性を、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0021】
本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、操作者に近い(標的組織からより遠い)ことを意味し、「遠位」は、操作者から離れている(標的組織により近い)ことを意味する。
【0022】
本明細書で提供される見出しは、単に便宜上のものであり、特許請求される発明の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0023】
図1及び
図2を参照すると、装置10は、すぐに使用できる状態で示されている。装置10は、ホイール60が中に配置されたハウジング40を含む。ハウジング40は、図に示されるようなクラムシェル設計を有してもよいが、代替構成が可能である。例示の目的で、図を参照すると、ねじ付きロッド65がホイール60の中心を通って延び、それと係合する。ねじ付きロッド65の第1の部分は、針ケーシング50と螺合され、ねじ付きロッド65の第2の部分は、アンカーケーシング70と螺合されている。一部の実施形態では、ねじ付きロッド65の第1の部分及び第2の部分は、右巻き螺旋として構成される。一部の実施形態では、ねじ付きロッド65の第1の部分及び第2の部分は、左巻き螺旋として構成される。一部の実施形態では、ねじ付きロッド65の第1の部分が右巻き螺旋として構成され、ねじ付きロッド65の第2の部分が左巻き螺旋として構成される、又はその逆である。一部の実施形態では、ねじ付きロッド65の第1の部分は、ねじ付きロッド65の第2の部分のピッチ以上のピッチを有する。一部の実施形態では、ねじ付きロッド65の第1の部分は、ねじ付きロッド65の第2の部分のピッチ以下のピッチを有する。一部の実施形態では、針ケーシング50及びアンカーケーシング70はすべて、ハウジング40内に配置されている。他の実施形態では、針ケーシング50及びアンカーケーシング70の一方又は両方は、部分的に又は完全にハウジング40の外部に配置されてもよい。いずれの構成においても、針ケーシング50及びアンカーケーシング70は、ハウジング40内で摺動可能であり、相対的な幾何学的形状のために、ハウジング40の長手方向軸を中心に回転しないように固定される。
【0024】
針30は近位端及び遠位端を含み、近位端は針ケーシング50内に配置され、かつそれにしっかりと結合されている。
図3A及び
図3Bに示されるように、針30は、ベベル角度を有する先端部35を含む。アンカーアセンブリが設けられており、これは、
図2に示されるように、チューブ20の遠位端に取り付けられたアンカー装置25を有するチューブ20(
図2を参照)を含む。チューブ20は、針30、針ケーシング50及びねじ付きロッド65内に設けられたアンカー管腔を通って延び、またアンカーケーシング70内に配置され、かつそれにしっかりと結合されている。
【0025】
図3A~
図6Aに示されるように、本発明による装置は、ホイール60を時計回りに回転させることによって展開することができ、これは、
図2に示されるようにアンカーケーシング70を遠位に変位させ、即ち、
図3A~
図6Aの矢印によって示されるようにアンカーケーシング70をホイール60に向かって引き寄せ、そしてチューブ20を遠位に変位させ、即ち、チューブ20をホイール60から離れて遠位に押す。同時に、針ケーシング50は近位に変位し、即ち、ホイール60に向かって引き寄せられ、これにより、針30がホイール60に向かって引っ張られる。針30及びチューブ20の相対運動により、アンカー部材25は、針内から均一かつ連続的に展開し、正確な位置決めを達成することができる。ホイール60を反対方向に、例えば反時計回りに回転させると、アンカー部材25がチューブ20内に後退する。代替の実施形態では、ホイール60の反時計回りの回転により、アンカー部材25は展開することができ、ホイール60の時計回りの回転により、アンカー部材25は後退することができる。
【0026】
一部の実施形態では、アンカー装置25は、複数の形成されたアンカー部材27、例えば、フックの形状に予め形成され、チューブ20の遠位端部分に取り付けられたタイン又はフィンガーを含む。アンカー部材27のタインは、例えば軟組織への組織貫通を容易にするための鋭い先端を含む。一部の実施形態では、
図3Bに最もよく示されるように、アンカー部材27は、針先端部35のベベル角度と整列するように、チューブ20の円周に沿って及びその周囲の様々な位置に形成される。整列とは、すぐに使用できる状態ではアンカー装置25のどの部分も針先端部35を越えて突出していないことを意味する。一部の実施形態では、各アンカー部材27は、近位端及び遠位端を含み、各部材の遠位端は、針先端部35の円周エッジと実質的に同一平面に配置される。アンカー装置25は、ホイール60が回転して展開を開始するまで、同一平面上の位置に留まる。
【0027】
他の実施形態では、アンカー装置25は、積層された螺旋コイル、螺旋傘コイルなどの形態の1つのアンカー部材を含んでもよい。すべての実施形態において、アンカー装置25は、形状記憶材料、例えば、ニチノール、又は他の適切な材料で作製することができる。
【0028】
アンカー装置25及びその関連するタイン又はアンカー部材27は、例えば、
図3Bに示される位置又はそのより近位の位置にある場合、アンカー装置25が針30内に埋め込まれている(recessed)とき、針30内に拘束される。アンカー部材27は、例えば、ホイール60を操作することによって、アンカー装置25が針30から展開されるにつれて拡張する。
図4A及び
図4Bは、展開の第1の段階にあるアンカー装置25を示しており、ここで、アンカー部材27のタインは、実質的に収縮した状態で配置されているが、針30から出始めている。この第1の段階において、アンカー部材27は、拘束された構成におけるそれらの位置から半径方向外向きに、そしてチューブ20及び針30の長手方向軸に対して半径方向外向きに拡張し始め、ここで、アンカー部材27の端部は、チューブ20及び針30の長手方向軸に実質的に垂直に配置されている。
【0029】
図5A及び
図5Bは、展開の第2の段階にあるアンカー装置25を示しており、ここで、アンカー部材27は、第1の段階を通して、C字形又はJ字形の構成に拡張しており、アンカー部材のそれぞれの端部は、チューブ20及び針30の長手方向軸とほぼ平行である。
【0030】
図6A及び
図6Bは、例えば、クモの脚の構成で完全に展開されたアンカー装置25を示す。クモの脚の構成とは、各アンカー部材27が、針30及びチューブ20の長手方向軸から半径方向外向きに延びる第1の部分と、弓形の第2の部分と、針30及びチューブ20の長手方向軸に向かって半径方向内向きに延びる第3の部分とを含むことを意味する。
【0031】
少なくとも1つの実施形態では、
図7に示されるように、装置10は、液体治療薬を固形腫瘍などの軟組織内に送達するように構成することができる。装置10は、軟組織に貫通するように構成された細長い管状シャフト80を有する流体送達アセンブリを含むことができる。管状シャフト80の遠位端にある鋭いエッジ85は、軟組織への貫通を容易にするように構成される。鋭いエッジ85は斜角であり、この図示の実施形態では、点を画定し、この点は、管状シャフト80が軟組織に突き刺さり、最小限の組織外傷で、軟組織内で前進するのを助けることができる。一実施形態では、管状シャフト80は、皮下注射針などの針である。
【0032】
一部の実施形態では、流体送達アセンブリは、その近位端にハンドル90を有する。ハンドル90は、管状シャフト80のユーザ操作を容易にするように構成される。管状シャフト80は、針30及びチューブ20に対して長手方向に移動するように構成される。ハンドル90は、管状シャフト80の長手方向の移動を引き起こすように操作されるように構成され、例えば、近位方向に移動して管状シャフト80の近位移動を引き起こし、遠位方向に移動して管状シャフト80の遠位移動を引き起こす。
【0033】
管状シャフト80は、内部を通って長手方向に延びる内部管腔(図示せず)を含む。管状シャフト80が貫通している軟組織内に液体治療薬を送達するために、液体治療薬は、内部管腔を通過し、管状シャフト80の遠位端でその遠位開口部から出るように構成される。
【0034】
一部の実施形態では、管状シャフト80は、その少なくとも部分的な長手方向長さに沿って、例えば、少なくとも管状シャフト80の遠位部分に沿って、テクスチャ加工された外面を有する。管状シャフト80のテクスチャ加工された外面は、管状シャフト80が軟組織に貫通したときに軟組織と係合するように構成される。管状シャフト80のテクスチャ加工された外面は、管状シャフト80と軟組織との間の摩擦を増加させて、管状シャフト80に対する軟組織のあらゆる移動及び軟組織に対する管状シャフト80のあらゆる移動を防止するのに役立つように構成され、これは、液体治療薬の全所望量が軟組織に送達されること、及び/又は送達装置10の周囲(例えば、第3のチューブ16の周囲)のあらゆる流体ギャップが密封されることを確実にするのに役立つことができる。
【0035】
一部の実施形態では、ロックコレット80は、アンカーケーシング70に結合されて、アンカー部材25を所望の位置にロックする。説明したようにアンカー部材25をロックすることにより、アンカー部材25を最適な構成に維持することが容易になり得る。適切なロックコレットには、標準のオフザセルフトルカ(off-the-self torquer)又はガイドワイヤーハンドルが含まれる。
【0036】
本明細書に記載の装置を使用する方法が開示される。装置10は、直接に、例えば切開を通して、又は間接的に、例えばトロカール、カニューレ、又はスコーピング装置などのアクセス装置を通して、患者の体内に導入される。送達装置10は、患者の体内の標的軟組織に進められ、軟組織に対して、及び軟組織の外側に所望のように配置される。撮像機器を使用して、送達装置10を所望の位置に配置するのを支援することができる。少なくとも1つの実施形態では、軟組織は固形腫瘍であり、装置10を使用して、液体治療薬を他の軟組織に送達することができる。例示的な実施形態では、装置10は、装置10が患者の体内に導入されている間、及び送達装置が軟組織に前進し、軟組織に対して位置決めされている間、
図3Bに示される初期構成にある。
【0037】
送達装置10が第1の構成であり、軟組織に対して、及び軟組織の外側に所望のように配置された状態で、操作者は、ホイール60を回転させると、針ケーシング50及びアンカーケーシング70が同時にホイール60に向かって引き寄せられ、これにより、アンカーアセンブリ25が遠位に押され、その鋭い端部が
図4A、
図5A及び
図6Aに示されるように拡張し、軟組織を貫通する。
【0038】
管状シャフト90は、針30及びチューブ20に対して遠位に移動し、管状シャフト90の鋭いエッジ95を軟組織に貫通させる。管状シャフト90が所定の位置にあるとき、液体治療薬は、例えば、管状シャフト90の内部管腔を通って軟組織内に送達され得る。
【0039】
液体治療薬を軟組織内に送達した後、装置10を患者の体から取り除くことができる。一部の実施形態では、アンカー部材27は、上記のようにアンカー部材27を拡張するために使用される回転方向とは反対の方向にホイール60を回転させることによって取り外すことができる。アンカー部材27が
図3Bに示されるようにそれらの初期構成に戻るまで、ホイール60を回転させることができる。一部の実施形態では、管状部材90は、アンカー部材27が取り外される前又は取り外された後に取り除くことができる。
【0040】
前述の開示は、本発明の特定の実施形態を参照しているが、本明細書に記載のすべての特徴及び利点を提供しない実施形態を含めて、これらの実施形態における変更は、本発明の原理及び精神から逸脱することなく行うことができることは、当業者には理解されるであろう。本開示は、具体的に開示された実施形態だけでなく、他の代替又は追加の実施形態及び/又は使用、並びにそれらの明白な修正及び同等物にまで及ぶことが、当業者には理解されるであろう。更に、多数の変形例が示され、様々な詳細で説明されてきたが、本開示の範囲内にある他の修正は、本開示に基づいて当業者には容易に明らかになるであろう。実施形態の特定の特徴及び態様の様々な組み合わせ又は部分組み合わせが想定でき、依然として本開示の範囲内に入ることも企図される。したがって、本開示の様々なモードを形成するために、開示された実施形態の様々な特徴及び態様を互いに組み合わせるか、又は互いに置き換えることができることを理解されたい。したがって、本明細書に開示された本開示の範囲は、上記の特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。上記のすべての実施形態について、任意の方法のステップを連続して実行する必要はない。
【国際調査報告】