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特表2022-546257ガラス積層体を切断するための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ガラス積層体を切断するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/07 20060101AFI20221027BHJP
   B28D 1/06 20060101ALI20221027BHJP
   B28D 7/04 20060101ALI20221027BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20221027BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20221027BHJP
   C03B 33/03 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
C03B33/07
B28D1/06
B28D7/04
B24B41/06 L
B24B27/06 N
C03B33/03
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510128
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 US2020045308
(87)【国際公開番号】W WO2021034510
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】10-2019-0101875
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウ ジン
(72)【発明者】
【氏名】パク,チョル ヒ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ドン クン
【テーマコード(参考)】
3C034
3C069
3C158
4G015
【Fターム(参考)】
3C034AA19
3C034BB75
3C034DD07
3C034DD09
3C069AA01
3C069BA02
3C069CA11
3C069CB01
3C069EA01
3C069EA03
3C158AA05
3C158AA14
3C158AA16
3C158AB04
3C158CA06
3C158CB03
3C158CB05
4G015FA02
4G015FB01
4G015FC02
4G015FC11
(57)【要約】
ガラス積層体を切断するための装置及び方法を提供する。上記装置は:第1の空隙によって互いから離間している第1及び第2の部分;第2の空隙によって互いから離間している、第1のガイドブロック及び第2のガイドブロックであって、鋸刃が第1及び第2の空隙を通過できる、第1のガイドブロック及び第2のガイドブロック;第1のガイドブロック及び第2のガイドブロックをそれぞれテーブルの第1の部分及び第2の部分に固定することによって、ガラス積層体のためのスペースを画定できる、第1の固定ユニット及び第2の固定ユニットを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス積層体を切断するための装置であって、前記装置は:
鋸刃が通過できる第1の空隙によって互いから離間している第1の部分及び第2の部分を備える、テーブル;
鋸刃が通過できる第2の空隙によって互いから離間している第1のガイドブロック及び第2のガイドブロック;
前記第1のガイドブロックを前記テーブルの前記第1の部分に固定できる第1の固定ユニット;並びに
前記第2のガイドブロックを前記テーブルの前記第2の部分に固定できる第2の固定ユニット
を備え、
前記テーブルの前記第1の部分及び前記第2の部分、前記第1のガイドブロック、並びに前記第2のガイドブロックは、ガラス積層体が配置される空間を少なくとも部分的に画定する、装置。
【請求項2】
前記第1のガイドブロック及び前記第2のガイドブロックはそれぞれ、前記ガラス積層体の表面に接触できるクッションを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガラス積層体を位置合わせできる位置合わせ用ブロックを更に備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記位置合わせ用ブロックは、前記ガラス積層体の少なくとも1つの縁部と接続可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のガイドブロック及び前記第2のガイドブロックは透明である、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ガラス積層体を前記テーブルに固定できる追加の固定ユニットを更に備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記追加の固定ユニットは、前記テーブル内の磁石で構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の固定ユニットは、前記テーブルの前記第1の部分内の磁石と、前記第1のガイドブロック内の磁石とで構成され、前記第2の固定ユニットは、前記テーブルの前記第2の部分内の磁石と、前記第2のガイドブロック内の磁石とで構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記テーブルは、前記鋸刃の材料の硬度未満の硬度を有する材料で構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のガイドブロック及び前記第2のガイドブロックはそれぞれ、前記鋸刃の材料の硬度未満の硬度を有する材料で構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、大韓民国特許庁に2019年8月20日に出願された大韓民国特許出願第10‐2019‐0101875号の優先権を主張するものであり、上記特許出願の内容は依拠され、参照によりその全体が本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明の概念は、切断装置及び切断方法に関する。より詳細には、本発明の概念は、ガラス積層体を切断するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス積層体は、レーザ、CNCルータ、及びウォータージェットを含む様々な技術を用いて切断できる。従来のガラス積層体切断技術は、巨大で高価な装置、及び複雑なプロセスを必要とする。しかしながら、ガラス積層体を使用する一般ユーザは、単純で安価な装置、及び単純で容易なプロセスを用いて、ガラス積層体を切断することを望んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の概念は、場所や時間を問わず誰でも容易に使用できるように単純で安価なガラス積層体切断装置、並びに単純で安価なガラス積層体切断方法を提供する。
【0005】
更なる態様は、その一部が以下の説明に記載され、また一部はこの記載から明らかであるか、又は提示される本開示の実施形態の実践によって学習できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の概念のある態様によると、ガラス積層体を切断するための装置が提供され、上記装置は:鋸刃が通過できる第1の空隙によって互いから離間している第1の部分及び第2の部分を備える、テーブル;鋸刃が通過できる第2の空隙によって互いから離間している第1のガイドブロック及び第2のガイドブロック;上記第1のガイドブロックを上記テーブルの上記第1の部分に固定できる第1の固定ユニット;並びに上記第2のガイドブロックを上記テーブルの上記第2の部分に固定できる第2の固定ユニットを備え、上記テーブルの上記第1の部分及び上記第2の部分、上記第1のガイドブロック、並びに上記第2のガイドブロックは、ガラス積層体が配置される空間を少なくとも部分的に画定する。
【0007】
いくつかの実施形態では、上記第1のガイドブロック及び上記第2のガイドブロックはそれぞれ、上記ガラス積層体の表面に接触できるクッションを備えてよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、上記装置は更に、上記ガラス積層体を位置合わせできる位置合わせ用ブロックを備えてよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、上記位置合わせ用ブロックは、上記ガラス積層体の少なくとも1つの縁部と接続可能であってよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、上記第1のガイドブロック及び上記第2のガイドブロックは透明であってよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、上記装置は更に、上記ガラス積層体を上記テーブルに固定できる追加の固定ユニットを備えてよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記追加の固定ユニットは、上記テーブル内の磁石で構成されていてよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、上記第1の固定ユニットは、上記テーブルの上記第1の部分内の磁石と、上記第1のガイドブロック内の磁石とで構成されていてよく、上記第2の固定ユニットは、上記テーブルの上記第2の部分内の磁石と、上記第2のガイドブロック内の磁石とで構成されていてよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記テーブルは、上記鋸刃の材料の硬度未満の硬度を有する材料で構成されていてよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、上記第1のガイドブロック及び上記第2のガイドブロックはそれぞれ、上記鋸刃の材料の硬度未満の硬度を有する材料で構成されていてよい。
【0016】
更に、本発明の概念のある態様によると、ガラス積層体を切断するための装置が提供され、上記装置は:第1の空隙によって第1の水平方向に互いから離間している第1の部分及び第2の部分を備える、テーブル;上記テーブルの上記第1の部分から垂直方向に離間可能な第1のガイドブロック;上記テーブルの上記第2の部分から上記垂直方向に離間可能な第2のガイドブロック;それぞれ上記第1のガイドブロックの孔及び上記テーブルの上記第1の部分の孔を通過するように上記垂直方向に延在する、1対の第1の固定ユニット;並びにそれぞれ上記第2のガイドブロックの孔及び上記テーブルの上記第2の部分の孔を通過するように上記垂直方向に延在する、1対の第2の固定ユニットを含み、上記第1のガイドブロック及び上記第2のガイドブロックは、第2の空隙によって上記第1の水平方向に互いから離間している。
【0017】
いくつかの実施形態では、上記第2の空隙の上記第1の水平方向の幅は、調整可能であってよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、上記第1のガイドブロックの上記孔及び上記第2のガイドブロックの上記孔はそれぞれ、上記第1の水平方向に細長くなった断面を有してよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、上記第1のガイドブロックは、上記テーブルの上記第1の部分に面するクッションを備えてよく、上記第2のガイドブロックは、上記テーブルの上記第2の部分に面するクッションを備えてよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、上記装置は更に、上記テーブルの上記第1の部分上に、位置合わせ用ブロックを備えてよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、上記位置合わせ用ブロックは、上記第1の水平方向に対して垂直な第2の水平方向に延在する部分を備えてよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、上記位置合わせ用ブロックは更に、上記第1の水平方向に延在する部分を備えてよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、上記位置合わせ用ブロックは、複数の位置合わせ用ブロックを備えてよい。
【0024】
更に、本発明の概念のある態様によると、ガラス積層体を切断する方法が提供され、上記方法は:ガラス積層体を、第1の空隙によって水平方向に互いから離間している第1の部分及び第2の部分を備えるテーブル上に、配置するステップ;第1の固定ユニットを用いて、第1のガイドブロックを上記テーブルの上記第1の部分に固定することによって、上記ガラス積層体を上記第1のガイドブロックと上記テーブルの上記第1の部分との間に固定できるようにする、ステップ;第2の固定ユニットを用いて、第2のガイドブロックを上記テーブルの上記第2の部分に固定することによって、上記ガラス積層体を上記第2のガイドブロックと上記テーブルの上記第2の部分との間に固定できるようにし、また上記第1のガイドブロック及び上記第2のガイドブロックを第2の空隙によって上記水平方向に互いから離間させることができるようにする、ステップ;並びに上記第1の空隙及び上記第2の空隙によって少なくとも部分的に画定される切断経路内で、鋸刃を移動させるステップを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、上記第1のガイドブロックを上記テーブルの上記第1の部分に固定する上記ステップは、上記第1のガイドブロックのクッションを上記ガラス積層体に接触させるステップを含んでよく、上記第2のガイドブロックを上記テーブルの上記第2の部分に固定する上記ステップは、上記第2のガイドブロックのクッションを上記ガラス積層体に接触させるステップを含んでよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、上記鋸刃を移動させる上記ステップの間、冷却剤を上記第2の空隙に供給してよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、上記方法は更に、上記ガラス積層体を位置合わせすることによって、上記ガラス積層体の少なくとも1つの縁部を位置合わせ用ブロックと接触させるステップを含んでよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、上記鋸刃を移動させる上記ステップは:上記切断経路の一方の端部から、上記切断経路に沿ってリリーフカット(relief cut)を形成するステップ;及び上記切断経路の他方の端部から上記リリーフカットまで、上記切断経路に沿ってメインカット(main cut)を形成するステップを含んでよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、上記第1の空隙の上記水平方向の幅は、上記第2の空隙の上記水平方向の幅より大きくてよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、上記第1の空隙の上記水平方向の幅は、上記鋸刃の厚さの約1.5倍~約2.5倍であってよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、上記第2の空隙の上記水平方向の幅は、上記鋸刃の厚さの約1.0倍~約1.5倍であってよい。
【0032】
本開示の特定の実施形態の、上述の及びその他の態様、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて解釈される以下の説明から、更に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】ガラス積層体の断面図
図2】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断装置の平面図
図3図2の線A‐A’に沿って得られた断面図
図4図2の線B‐B’に沿って得られた断面図
図5】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断装置の斜視図
図6】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断装置の平面図
図7】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断装置の平面図
図8】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断装置の平面図
図9】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断装置の断面図
図10】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断装置の断面図
図11】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断装置の断面図
図12】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断方法のフローチャート
図13A】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断方法
図13B】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断方法
図13C】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断方法
図13D】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断方法
図13E】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断方法
図13F】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断方法
図13G】本開示のある実施形態によるガラス積層体切断方法
図14】本開示のある実施形態によるガラス積層体を切断するための装置、及び本開示のある実施形態によるガラス積層体切断方法を用いて切断されたガラス積層体と、比較例に従った装置及び方法を用いて切断されたガラス積層体との間の、縁部強度の比較を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0034】
これより、実施形態に対する言及を詳細に行うが、上記実施形態の例は添付の図面に図示されており、全体を通して同様の参照番号は同様の要素を指す。この点において、これらの実施形態は異なる複数の形態を取ることができ、本明細書に記載の説明に限定されるものと解釈してはならない。従ってこれらの実施形態は、以下において、図面を参照して、単に本発明の態様を説明するために記載される。本明細書中で使用される場合、用語「及び/又は(and/or)」は、関連して列挙された項目のうちの1つ以上のいずれのあらゆる組み合わせを含む。複数の要素のリストに先行する「…のうちの少なくとも1つ(at least one of)」等の表現は、これらの要素のリスト全体を修飾し、上記リストの個々の要素を修飾するものではない。
【0035】
図面全体を通して、同様の参照番号は同様の要素を指す。更に、図面に図示されている様々な要素は概略的にのみ図示されている。従っていくつかの要素は説明を目的として誇張されている場合があり、添付の図面で提示されている相対的寸法によって制限されない場合がある。更に、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「左(left)」、「右(right)」等といった方向を表す用語は、本明細書では図面を参照して使用されている場合があり、これらの方向を表す用語は絶対的な配向を示すことを意図したものではないことを理解されたい。
【0036】
本明細書では、単数形の表現は、文脈からそうでないことが明示されていない限り、複数の表現を含む。例えば、Aを含む実施形態は、文脈からそうでないことが明示されていない限り、2つ以上のAを含む実施形態を含む。更に、本明細書中の、1つ以上の要素を含む実施形態は、1つ以上の更なる要素の追加を排除するものではない。例えば、A、B、及びCを含む実施形態は、A、B、C、及びDを含む実施形態を含む。
【0037】
図1は、ガラス積層体10の断面図である。
【0038】
図1を参照すると、ガラス積層体10は、基板11、基板11上の接着層12、及び接着層12上のガラス層13を備えてよい。基板11はある材料、例えば金属、木材、無機物、有機物、又はこれらの組み合わせで構成されていてよいが、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、基板11は、高圧ラミネート(high pressure laminate:HPL)、塗料コーティング済み金属(paint‐coated metal:PCM)、中密度繊維板(medium density fiberboard:MDF)、ビニルコーティング済み金属(vinyl‐coated metal:VCM)、又は鋼鉄で構成されていてよいが、本開示はこれに限定されない。
【0039】
ガラス層13は例えば、ボロシリケート、アルミノシリケート、ボロアルミノシリケート、アルカリボロシリケート、アルカリアルミノシリケート、アルカリボロアルミノシリケート、又はソーダライムで構成されていてよいが、本開示はこれに限定されない。ガラス層13の厚さは例えば約0.1mm~約2.0mmであってよい。
【0040】
接着層12は、ガラス層13を基板11に取り付けることができる。例えば接着層12は、感圧接着剤(pressure sensitive adhesive:PSA)又は光学透明接着剤(optically clear adhesive:OCA)で構成されていてよいが、本開示はこれに限定されない。接着層12の厚さは例えば約0.01mm~約1.0mmであってよい。
【0041】
ガラス積層体10を切断するための装置及び方法を以下で説明する。
【0042】
図2は、本開示のある実施形態による、ガラス積層体10を切断するための装置100の平面図である。図3は、図2の線A‐A’に沿って得られた断面図である。図4は、図2の線B‐B’に沿って得られた断面図である。図5は、本開示のある実施形態による、ガラス積層体10を切断するための装置100の斜視図である。
【0043】
図2~5を参照すると、本開示のある実施形態によるガラス積層体切断装置100は、テーブル110、第1のガイドブロック121、第2のガイドブロック122、第1の固定ユニット131、及び第2の固定ユニット132を備えてよい。
【0044】
ガラス積層体10をテーブル110上に配置してよい。テーブル110は、第1の空隙G1によって第1の水平方向(方向D1)に互いから離間している第1の部分111及び第2の部分112を備えてよい。いくつかの実施形態では、第1の水平方向(方向D1)におけるテーブル110の第1の部分111の長さL1と、第1の水平方向(方向D1)におけるテーブル110の第2の部分112の長さL2とは、互いに異なっていてよい。しかしながら別の実施形態では、第1の水平方向(方向D1)におけるテーブル110の第1の部分111の長さL1と、第1の水平方向(方向D1)におけるテーブル110の第2の部分112の長さL2とは、略同一であってよい。ガラス積層体10の切断時に鋸200の刃が摩耗するのを防止するために、テーブル110は、ガラス積層体10の切断に使用される鋸200の刃よりも柔らかい材料、即ち刃の硬度未満の硬度を有する材料で構成されていてよい。例えばテーブル110は、ポリ塩化ビニル(poly vinyl chloride:PVC)で構成されていてよい。いくつかの実施形態では、テーブル110は磁石を備えてよい。ガラス積層体10の基板11(図1を参照)が磁性材料で構成される場合、ガラス積層体10を磁力によってテーブル110に固定できる。
【0045】
第1の空隙G1は、第1の水平方向(方向D1)に一定の幅を有して、第1の水平方向(方向D1)に対して垂直な第2の水平方向(方向D2)に延在してよい。第1の水平方向(方向D1)における第1の空隙G1の幅は、鋸200の刃の厚さtよりわずかに大きくてよい。例えば、第1の水平方向(方向D1)における第1の空隙G1の幅は、鋸200の刃の厚さtの約1倍~約3倍、例えば約1.5倍~約2.5倍であってよい。従って、鋸200の刃は第1の空隙G1を通過できる。いくつかの実施形態では、鋸200の刃の厚さtは約0.1mm~約2.0mmであってよい。鋸200の刃の厚さtは、鋸200の刃を第1の空隙G1に挿入したときの、鋸200の刃の、テーブル110の第1の部分111に面する表面と、鋸200の刃の、テーブル110の第2の部分112に面する表面との間の、第1の水平方向(方向D1)における最大距離によって画定できる。
【0046】
いくつかの実施形態では、テーブル110の第1の部分111及び第2の部分112はそれぞれ、長方形パネル形状を有してよい。しかしながら、テーブル110の第1の部分111及び第2の部分112は、いずれの形状を有してもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、テーブル110の第1の部分111は、1対の孔H1を有してよい。各孔H1は、円形の断面を有して垂直方向(方向D3)に延在してよい。いくつかの実施形態では、孔H1は、第2の水平方向(方向D2)に互いから離間していてよい。いくつかの実施形態では、テーブル110の第2の部分112は、1対の孔H2を有してよい。各孔H2は、円形の断面を有して垂直方向(方向D3)に延在してよい。いくつかの実施形態では、孔H2は、第2の水平方向(方向D2)に互いから離間していてよい。
【0048】
第1のガイドブロック121及び第2のガイドブロック122を、ガラス積層体10に配置してよい。換言すれば、テーブル110の第1の部分111及び第2の部分112、第1のガイドブロック121、並びに第2のガイドブロック122は、ガラス積層体10を配置できる空間を少なくとも部分的に画定できる。第1のガイドブロック121は、ガラス積層体10によって、テーブル110の第1の部分111から垂直方向(方向D3)に離間していてよく、第2のガイドブロック122は、ガラス積層体10によって、テーブル110の第2の部分112から垂直方向(方向D3)に離間していてよい。
【0049】
第1のガイドブロック121及び第2のガイドブロック122は、第2の空隙G2によって第1の水平方向(方向D1)に互いから離間していてよい。第2の空隙G2は、第1の水平方向(方向D1)に一定の幅を有して、第2の水平方向(方向D2)に延在してよい。換言すれば、第2の空隙G2は、第1の空隙G1が延在する方向に延在してよい。第1の水平方向(方向D1)における第2の空隙G2の幅は、鋸200の刃の厚さtよりわずかに大きくてよい。例えば、第1の水平方向(方向D1)における第2の空隙G2の幅は、鋸200の刃の厚さtの約1倍~約2倍、例えば約1.0倍~約1.5倍であってよい。従って、鋸200の刃は第2の空隙G2を通過できる。いくつかの実施形態では、第1の水平方向(方向D1)における第2の空隙G2の幅は、第1の水平方向(方向D1)における第1の空隙G1の幅より小さくてよい。
【0050】
第2の空隙G2は、第1の空隙G1から垂直方向(方向D3)に離間していてよい。いくつかの実施形態では、第2の空隙G2は第1の空隙G1上に垂直方向に位置合わせされていてよい。第1の空隙G1及び第2の空隙G2は、それに沿ってガラス積層体10が切断される切断経路を、少なくとも部分的に画定できる。鋸200の刃は上記切断経路に沿って移動できる。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1のガイドブロック121及び第2のガイドブロック122はそれぞれ、直方体状であってよい。しかしながら、第1のガイドブロック121及び第2のガイドブロック122はそれぞれ、いずれの形状を有してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1のガイドブロック121及び第2のガイドブロック122は透明であってよい。従ってユーザは、ガラス積層体10のあるエリアを観察しながら、ガラス積層体10を切断できる。しかしながら別の実施形態では、第1のガイドブロック121及び第2のガイドブロック122は不透明であってよい。ガラス積層体10の切断中に鋸200の刃が摩耗するのを防止するために、第1のガイドブロック121及び第2のガイドブロック122は、ガラス積層体10の切断に使用される鋸200の刃よりも柔らかい材料、即ち刃の硬度未満の硬度を有する材料で構成されていてよい。例えば、第1のガイドブロック121及び第2のガイドブロック122は、PVCで構成されていてよい。いくつかの実施形態では、第1のガイドブロック121及び第2のガイドブロック122はそれぞれ、磁石を備えてよい。ガラス積層体10の基板11(図1を参照)が磁性材料で構成される場合、ガラス積層体10を磁力によって第1のガイドブロック121及び第2のガイドブロック122に固定できる。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1のガイドブロック121は、ガラス積層体10の表面に接触できるクッション151を備えてよく、第2のガイドブロック122は、ガラス積層体10の表面に接触できるクッション152を備えてよい。換言すれば、第1のガイドブロック121は、テーブル110の第1の部分111に面するクッション151を備えてよく、第2のガイドブロック122は、テーブル110の第2の部分112に面するクッション152を備えてよい。クッション151及び152により、第1のガイドブロック121及び第2のガイドブロック122を、ガラス積層体10を全く又はほとんど損傷することなく、ガラス積層体10に接触させることができる。クッション151及び152は、スポンジ、ゴム、又は他の弾性材料で構成されていてよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1のガイドブロック121は、1対の孔H3を有してよい。各孔H3は、第1のガイドブロック121を垂直方向(方向D3)に貫通していてよい。いくつかの実施形態では、各孔H3は、第1の水平方向(方向D1)に細長くなった断面を有してよい。孔H3が第1の水平方向(方向D1)に細長くなった断面を有するため、第1の水平方向(方向D1)における第1のガイドブロック121の位置を調整できる。従って、第1の水平方向(方向D1)における第2の空隙G2の幅を調整できる。しかしながら別の実施形態では、各孔H3は円形の断面を有してよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、第2のガイドブロック122は、1対の孔H4を有してよい。各孔H4は、第2のガイドブロック122を垂直方向(方向D3)に貫通していてよい。いくつかの実施形態では、各孔H4は、第1の水平方向(方向D1)に細長くなった断面を有してよい。孔H4が第1の水平方向(方向D1)に細長くなった断面を有するため、第1の水平方向(方向D1)における第2のガイドブロック122の位置を調整できる。従って、第1の水平方向(方向D1)における第2の空隙G2の幅を調整できる。しかしながら別の実施形態では、各孔H4は円形の断面を有してよい。
【0056】
第1の固定ユニット131は、第1のガイドブロック121をテーブル110の第1の部分111に固定できる。更に第1の固定ユニット131は、第1のガイドブロック121を用いてガラス積層体10を固定できる。いくつかの実施形態では、第1の固定ユニット131は、ボルト及びナットで構成されていてよい。例えば、第1の固定ユニット131はそれぞれ垂直方向(方向D3)に延在して、第1のガイドブロック121の孔H3、及びテーブル110の第1の部分111の孔H1を貫通してよい。しかしながら別の実施形態では、第1の固定ユニット131は、クランプ等の他の連結デバイスで構成されていてよい。例えば、第1の固定ユニット131は、テーブル110内の磁石と、第1のガイドブロック121内の磁石とで構成されていてよい。第2の固定ユニット132は、第2のガイドブロック122をテーブル110の第2の部分112に固定できる。更に第2の固定ユニット132は、第2のガイドブロック122を用いてガラス積層体10を固定できる。いくつかの実施形態では、第2の固定ユニット132は、ボルト及びナットで構成されていてよい。例えば、第2の固定ユニット132はそれぞれ垂直方向(方向D3)に延在して、第2のガイドブロック122の孔H4、及びテーブル110の第2の部分112の孔H2を貫通してよい。しかしながら別の実施形態では、第2の固定ユニット132は、クランプ等の他の連結デバイスで構成されていてよい。例えば、第2の固定ユニット132は、テーブル110内の磁石と、第2のガイドブロック122内の磁石とで構成されていてよい。ガラス積層体10の基板11(図1を参照)が磁性材料で構成される場合、ガラス積層体10を磁力によってテーブル110及び第2のガイドブロック122に固定できる。
【0057】
いくつかの実施形態では、ガラス積層体10を切断するための装置100は更に、テーブル110の第1の部分111上に位置合わせ用ブロック140を備えてよい。いくつかの実施形態では、ガラス積層体10を切断するための装置100は更に、複数の位置合わせ用ブロック140を備えてよい。図2~5は、ガラス積層体10を切断するための装置100が2つの位置合わせ用ブロック140を備える様子を示しているが、ガラス積層体10を切断するための装置100は、1つの位置合わせ用ブロックを含んでいても、又は3つ以上の位置合わせ用ブロックを含んでいてもよい。位置合わせ用ブロック140は、テーブル110上のガラス積層体10の位置及び/又は配向を位置合わせできる。
【0058】
いくつかの実施形態では、位置合わせ用ブロック140は、第1の水平方向(方向D1)に延在する部分と、第1の水平方向(方向D1)に延在する上記部分の端部から第2の水平方向(方向D2)に延在する部分とを備えてよい。換言すれば、位置合わせ用ブロック140は「L字」型であってよい。しかしながら、位置合わせ用ブロック140の形状はこれに限定されない。位置合わせ用ブロック140は、ガラス積層体10の少なくとも1つの縁部に接触してよい。例えば、ガラス積層体10が、第1の水平方向(方向D1)に延在する互いに平行な2つの縁部と、第2の水平方向(方向D2)に延在する互いに平行な2つの縁部とを有し、位置合わせ用ブロック140が、第1の水平方向(方向D1)に延在する部分と、第1の水平方向(方向D1)に延在する上記部分の端部から第2の水平方向(方向D2)に延在する部分とを備える場合、位置合わせ用ブロック140の、第1の水平方向(方向D1)に延在する上記部分は、ガラス積層体10の、第1の水平方向(方向D1)に延在する上記縁部と接触でき、また位置合わせ用ブロック140の、第2の水平方向(方向D2)に延在する上記部分は、ガラス積層体10の、第2の水平方向(方向D2)に延在する上記縁部と接触できる。別の実施形態では、位置合わせ用ブロック140は、ガラス積層体10の1つの縁部のみに接触してよい。
【0059】
本開示のある実施形態による、ガラス積層体10を切断するための装置100は、小型かつ単純で安価なものとすることができる。従って、市販されている鋸200と、ガラス積層体10を切断するための装置100とを用いて、大型の設備を用いることなく、ガラス積層体10を単純かつ安価に切断できる。
【0060】
図6は、本開示のある実施形態による、ガラス積層体10を切断するための装置100bの平面図である。ガラス積層体10を切断するための装置100bは、位置合わせ用ブロック140bを備えてよい。位置合わせ用ブロック140bは、第2の水平方向(方向D2)に延在してよい。ガラス積層体10の、第2の水平方向(方向D2)に延在する縁部は、位置合わせ用ブロック140bに接触してよい。図6は、ガラス積層体10を切断するための装置100bが位置合わせ用ブロック140bを1つだけ備える様子を示しているが、ガラス積層体10を切断するための装置100bは、複数の位置合わせ用ブロック140bを備えてよい。例えば、位置合わせ用ブロック140bを第2の水平方向(方向D2)に配置してよい。別の実施形態では、図6とは異なり、位置合わせ用ブロック140bは第1の水平方向(方向D1)に延在してよい。ガラス積層体10の、第1の水平方向(方向D1)に延在する縁部と、位置合わせ用ブロック140bとは、互いに接触してよい。別の実施形態では、ガラス積層体10を切断するための装置100bは、互いから離間した3つの位置合わせ用ブロックを備えてよい。3つの位置合わせ用ブロックのうちの1つは第2の水平方向(方向D2)に延在してよく、3つの位置合わせ用ブロックのうちの2つは第1の水平方向(方向D1)に延在してよい。
【0061】
図7は、本開示のある実施形態による、ガラス積層体10を切断するための装置100cの平面図である。
【0062】
図7を参照すると、ガラス積層体10を切断するための装置100cは、位置合わせ用ブロック140cを備えてよい。位置合わせ用ブロック140cは、第2の水平方向(方向D2)に延在する部分、第2の水平方向(方向D2)に延在する上記部分の端部から第1の水平方向(方向D1)に延在する部分、及び第2の水平方向(方向D2)に延在する上記部分のもう1つの端部から第1の水平方向(方向D1)に延在する部分を備えてよい。位置合わせ用ブロック140cは、ガラス積層体10の3つの縁部に接触できる。例えば、位置合わせ用ブロック140cの、第2の水平方向(方向D2)に延在する部分は、ガラス積層体10の、第2の水平方向(方向D2)に延在する縁部に接触でき、位置合わせ用ブロック140cの、第1の水平方向(方向D1)に延在する部分は、ガラス積層体10の、第1の水平方向(方向D1)に延在する縁部に接触でき、位置合わせ用ブロック140cの、第1の水平方向(方向D1)に延在するもう1つの部分は、ガラス積層体10の、第1の水平方向(方向D1)に延在するもう1つの縁部に接触できる。従って、ガラス積層体10を切断するための装置100、100b、及び100cは、いずれの個数及びいずれの形状の位置合わせ用ブロック140、140b、及び140cを備えてよい。
【0063】
図8は、本開示のある実施形態によるガラス積層体切断装置100dの平面図である。
【0064】
図8を参照すると、ガラス積層体10を切断するための装置100dは、追加の固定ユニット160を備えてよい。追加の固定ユニット160は、ガラス積層体10をテーブル110に固定できる。追加の固定ユニット160は例えば、第3のガイドブロック123、及び1対の第3の固定ユニット133を備えてよい。第3のガイドブロック123は、ガラス積層体10上に配置できる。換言すれば、第3のガイドブロック123は、ガラス積層体10によって、テーブル110の第2の部分112から垂直方向(方向D3)に離間させることができる。第3の固定ユニット133は、第3のガイドブロック123をテーブル110の第2の部分112に固定することによって、ガラス積層体10をテーブル110に固定する。第3のガイドブロック123はそれぞれ、例えばボルト及びナットで構成されていてよい。第3のガイドブロック123はそれぞれ、第3のガイドブロック123の孔及びテーブル110の孔を貫通して、垂直方向(方向D3)に延在してよい。
【0065】
図9は、本開示のある実施形態によるガラス積層体切断装置100eの平面図である。
【0066】
図9を参照すると、ガラス積層体10を切断するための装置100eは、追加の固定ユニット160bを備えてよい。追加の固定ユニット160bは例えば、クランプであってよい。追加の固定ユニット160bは、ガラス積層体10の一方の端部をテーブル110の第2の部分112に固定できる。別の実施形態では、ガラス積層体10を切断するための装置100eは、1対の固定ユニット160bを備えてよい。固定ユニット160bは、ガラス積層体10の両側部をテーブル110の第2の部分112に固定できる。
【0067】
図10は、本開示のある実施形態によるガラス積層体切断装置100fの断面図である。
【0068】
図10を参照すると、ガラス積層体10を切断するための装置100fは、追加の固定ユニット160cを備えてよい。追加の固定ユニット160cは例えば、真空孔を備えてよい。真空ポンプを用いて、追加の固定ユニット160c内に真空を形成できる。追加の固定ユニット160cは、テーブル110の第1の部分111及び第2の部分112のうちの少なくとも一方に配置できる。追加の固定ユニット160cによって生成された圧力差によって、ガラス積層体10をテーブル110に固定できる。
【0069】
図11は、本開示のある実施形態によるガラス積層体切断装置100gの断面図である。
【0070】
図11を参照すると、ガラス積層体10を切断するための装置100gは、追加の固定ユニット160dを備えてよい。追加の固定ユニット160dは例えば、磁石を含んでよい。追加の固定ユニット160dは、テーブル110の第1の部分111及び第2の部分112のうちの少なくとも一方に配置できる。ガラス積層体10の基板11(図1を参照)が磁性材料で構成される場合、ガラス積層体10を磁力によってテーブル110に固定できる。
【0071】
図12は、本開示のある実施形態によるガラス積層体切断方法1000のフローチャートである。図13A~13Gは、本開示のある実施形態によるガラス積層体切断方法1000を示す。
【0072】
図12及び13Aを参照すると、まず、ガラス積層体10を、第1の空隙G1によって互いから離間している第1の部分111及び第2の部分112を備えるテーブル110上に配置する(S1100)。次に、位置合わせ用ブロック140を用いて、ガラス積層体10をテーブル110上で位置合わせする(S1200)。例えば、ガラス積層体10の縁部のうちの少なくとも1つが、位置合わせ用ブロック140に接触してよい。いくつかの実施形態では、この位置合わせ作業S1200は省略できる。
【0073】
図12及び13Bを参照すると、第1のガイドブロック121をガラス積層体10上に配置したまま、第1の固定ユニット131を用いて、第1のガイドブロック121をテーブル110の第1の部分111に固定する(S1300)。これにより、ガラス積層体10を第1のガイドブロック121とテーブル110の第1の部分111との間に固定できる。いくつかの実施形態では、第1のガイドブロック121のクッション151が、ガラス積層体10に接触してよい。
【0074】
図12及び13Cを参照すると、第2のガイドブロック122をガラス積層体10上に配置したまま、第2の固定ユニット132を用いて、第2のガイドブロック122をテーブル110の第2の部分112に固定する(S1400)。これにより、ガラス積層体10を第2のガイドブロック122とテーブル110の第2の部分112との間に固定できる。別の実施形態では、第2のガイドブロック122の固定(S1400)を最初に実施した後で、第1のガイドブロック121の固定(S1300)を実施してよい。いくつかの実施形態では、第2のガイドブロック122のクッション152が、ガラス積層体10に接触してよい。
【0075】
図12及び図13D~13Gを参照すると、第1の空隙G1及び第2の空隙G2によって少なくとも部分的に画定された切断経路内で、鋸200を移動させる(S1500)。鋸200の移動(S1500)の間、冷却剤を第2の空隙G2に供給してよい。これにより、ガラス積層体10の切断中に生成される破片を除去できる。いくつかの実施形態では、鋸200の移動(S1500)は、リリーフカットRCを形成するステップ(S1510)、及びメインカットMCを形成するステップ(S1520)で構成されていてよい。
【0076】
図13D及び13Eに示されているように、切断経路の一方の端部から、切断経路の一部に沿ってリリーフカットRCを形成できる。次に図13F及び13Gに示されているように、切断経路の他方の端部から、即ちリリーフカットRCを形成する方向とは反対の方向に、切断経路に沿ってメインカットMCを形成できる。メインカットMCは最終的にリリーフカットRCと出会うことができる。ガラス積層体10の切断中の割れの形成は、リリーフカットRCの形成(S1510)の後にメインカットMCを形成する(S1520)ことによって防止できる。
【0077】
本開示のある実施形態によるガラス積層体10を切断する方法1000を用いて、ガラス積層体10を簡単に切断できる。特に、ガラス層13の厚さ(図1を参照)が薄く、例えばガラス層13の厚さが約0.1mm~約0.4mmである場合、本開示のある実施形態によるガラス積層体10を切断する方法1000を用いて、ガラス積層体10を簡単に切断できる。更に、以下に記載するように、ガラス積層体10を切断する方法1000に従ってガラス積層体10を切断してから切断縁部を研磨すると、他の切断方法と同等のレベルの縁部強度を得ることができる。
【0078】
図14は、本開示のある実施形態によるガラス積層体を切断するための装置、及び本開示のある実施形態によるガラス積層体切断方法を用いて切断されたガラス積層体と、比較例に従った装置及び方法を用いて切断されたガラス積層体との間の、縁部強度の比較を示すグラフである。
【0079】
図2~5に示されているガラス積層体切断装置100、及び市販の鋸200、並びに図12~13Gに示されているガラス積層体切断方法1000を用いて、ガラス積層体を切断した。第1の水平方向(方向D1)における第1の空隙G1の幅は約1.0mmであり、第1の水平方向(方向D1)における第2の空隙G2の幅は0.5mmであった。切断長さは約100mmであり、切断速度は約0.04m/分であった。鋸200を前後に移動させることによって、リリーフカットRC及びメインカットMCを形成し、切断中には水を第2の空隙G2に供給した。
【0080】
ある比較例では、市販のベンチトップバンドソーを用いてガラス積層体10を切断した。上記と同様に、切断長さは約100mmであり、切断速度は約0.04m/分であった。ベンチトップバンドソーの刃は、1方向のみに動かした。リリーフカットRCを形成することなくメインカットMCのみを形成し、切断中には水を供給した。
【0081】
本発明の概念の実施形態に従って切断されたガラス積層体、及び比較例に従って切断されたガラス積層体それぞれの、切断後の縁部強度を、4点曲げ試験を用いて測定した。
【0082】
更に、本発明の概念の実施形態に従って切断されたガラス積層体、及び比較例に従って切断されたガラス積層体の縁部を、3つの研磨ステップに供する。まず、切断されたガラス積層体を研磨用テーブルに固定する。第1の研磨ステップでは、100グリットのサンディングブロックを使用し、研磨速度は約0.1m/分であり、ガラス積層体10の上面とサンディングブロックの研磨面との間の角度は約90°であった。第2の研磨ステップでは、400グリットのサンディングブロックを使用し、研磨速度は約0.2m/分であり、ガラス積層体10の上面とサンディングブロックの研磨面との間の角度は約45°~約70°であった。第3の研磨ステップでは、1000グリットのサンディングブロックを使用し、研磨速度は約0.2m/分であり、ガラス積層体10の上面とサンディングブロックの研磨面との間の角度は約45°~70°であった。3つの研磨ステップの間、研磨されている縁部に水を供給した。
【0083】
本発明の概念の実施形態に従って切断されたガラス積層体、及び比較例に従って切断されたガラス積層体の、研磨後の縁部強度を、4点曲げ試験を用いて測定した。
【0084】
本発明の概念の実施形態に従って切断されたガラス積層体、及び比較例に従って切断されたガラス積層体の、切断後及び研磨後の下位10%の縁部強度を、図14に示す。図14を参照すると、切断後の縁部強度を互いに比較した場合、実施形態に従って切断されたガラス積層体の縁部強度は、比較例に従って切断されたガラス積層体の縁部強度よりわずかに低い。しかしながら、実施形態によるガラス積層体切断装置100は、比較例によるガラス積層体切断装置(ベンチトップバンドソー)に比べて単純かつ安価である。研磨後の縁部強度を比較した場合、実施形態に従って切断されたガラス積層体の縁部強度は、比較例に従って切断されたガラス積層体の縁部強度と略同等である。換言すれば、研磨ステップを加えれば、実施形態によるガラス積層体切断方法1000及びガラス積層体切断装置100を用いることにより、複雑な設備を用いることなく積層体を単純かつ安価に切断でき、また、比較例によるガラス積層体切断方法と同等のレベルの縁部強度を達成できる。
【0085】
本明細書に記載の実施形態は、説明的な意味でのみ考慮されるべきであり、限定を目的として考慮されるべきではないことを理解されたい。各実施形態内の特徴又は側面の説明は、典型的には、他の実施形態における他の同様の特徴又は側面として利用可能なものとみなされるものとする。図面を参照して1つ以上の実施形態を説明したが、以下の請求項によって定義されるような本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、これらにおいて形態及び細部に関する様々な変更を実施してよいことは、当業者には理解されるだろう。
【0086】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0087】
実施形態1
ガラス積層体を切断するための装置であって、上記装置は:
鋸刃が通過できる第1の空隙によって互いから離間している第1の部分及び第2の部分を備える、テーブル;
鋸刃が通過できる第2の空隙によって互いから離間している第1のガイドブロック及び第2のガイドブロック;
上記第1のガイドブロックを上記テーブルの上記第1の部分に固定できる第1の固定ユニット;並びに
上記第2のガイドブロックを上記テーブルの上記第2の部分に固定できる第2の固定ユニット
を備え、
上記テーブルの上記第1の部分及び上記第2の部分、上記第1のガイドブロック、並びに上記第2のガイドブロックは、ガラス積層体が配置される空間を少なくとも部分的に画定する、装置。
【0088】
実施形態2
上記第1のガイドブロック及び上記第2のガイドブロックはそれぞれ、上記ガラス積層体の表面に接触できるクッションを備える、実施形態1に記載の装置。
【0089】
実施形態3
上記ガラス積層体を位置合わせできる位置合わせ用ブロックを更に備える、実施形態1又は2に記載の装置。
【0090】
実施形態4
上記位置合わせ用ブロックは、上記ガラス積層体の少なくとも1つの縁部と接続可能である、実施形態3に記載の装置。
【0091】
実施形態5
上記第1のガイドブロック及び上記第2のガイドブロックは透明である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の装置。
【0092】
実施形態6
上記ガラス積層体を上記テーブルに固定できる追加の固定ユニットを更に備える、実施形態1~5のいずれか1つに記載の装置。
【0093】
実施形態7
上記追加の固定ユニットは、上記テーブル内の磁石で構成される、実施形態6に記載の装置。
【0094】
実施形態8
上記第1の固定ユニットは、上記テーブルの上記第1の部分内の磁石と、上記第1のガイドブロック内の磁石とで構成され、上記第2の固定ユニットは、上記テーブルの上記第2の部分内の磁石と、上記第2のガイドブロック内の磁石とで構成される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の装置。
【0095】
実施形態9
上記テーブルは、上記鋸刃の材料の硬度未満の硬度を有する材料で構成される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の装置。
【0096】
実施形態10
上記第1のガイドブロック及び上記第2のガイドブロックはそれぞれ、上記鋸刃の材料の硬度未満の硬度を有する材料で構成される、実施形態1~9のいずれか1つに記載の装置。
【0097】
実施形態11
ガラス積層体を切断するための装置であって、上記装置は:
第1の空隙によって第1の水平方向に互いから離間している第1の部分及び第2の部分を備える、テーブル;
上記テーブルの上記第1の部分から垂直方向に離間可能な第1のガイドブロック;
上記テーブルの上記第2の部分から上記垂直方向に離間可能な第2のガイドブロック;
それぞれ上記第1のガイドブロックの孔及び上記テーブルの上記第1の部分の孔を通過するように上記垂直方向に延在する、1対の第1の固定ユニット;並びに
それぞれ上記第2のガイドブロックの孔及び上記テーブルの上記第2の部分の孔を通過するように上記垂直方向に延在する、1対の第2の固定ユニット
を備え、
上記第1のガイドブロック及び上記第2のガイドブロックは、第2の空隙によって上記第1の水平方向に互いから離間している、装置。
【0098】
実施形態12
上記第2の空隙の上記第1の水平方向の幅は、調整可能である、実施形態11に記載の装置。
【0099】
実施形態13
上記第1のガイドブロックの上記孔及び上記第2のガイドブロックの上記孔はそれぞれ、上記第1の水平方向に細長くなった断面を有する、実施形態12に記載の装置。
【0100】
実施形態14
上記第1のガイドブロックは、上記テーブルの上記第1の部分に面するクッションを備え、
上記第2のガイドブロックは、上記テーブルの上記第2の部分に面するクッションを備える、実施形態11~13のいずれか1つに記載の装置。
【0101】
実施形態15
上記テーブルの上記第1の部分上に、位置合わせ用ブロックを更に備える、実施形態11~14のいずれか1つに記載の装置。
【0102】
実施形態16
上記位置合わせ用ブロックは、上記第1の水平方向に対して垂直な第2の水平方向に延在する部分を備える、実施形態15に記載の装置。
【0103】
実施形態17
上記位置合わせ用ブロックは更に、上記第1の水平方向に延在する部分を備える、実施形態16に記載の装置。
【0104】
実施形態18
上記位置合わせ用ブロックは、複数の位置合わせ用ブロックを備える、実施形態15~17のいずれか1つに記載の装置。
【0105】
実施形態19
ガラス積層体を切断する方法であって、上記方法は:
ガラス積層体を、第1の空隙によって水平方向に互いから離間している第1の部分及び第2の部分を備えるテーブル上に、配置するステップ;
第1の固定ユニットを用いて、第1のガイドブロックを上記テーブルの上記第1の部分に固定することによって、上記ガラス積層体を上記第1のガイドブロックと上記テーブルの上記第1の部分との間に固定できるようにする、ステップ;
第2の固定ユニットを用いて、第2のガイドブロックを上記テーブルの上記第2の部分に固定することによって、上記ガラス積層体を上記第2のガイドブロックと上記テーブルの上記第2の部分との間に固定できるようにし、また上記第1のガイドブロック及び上記第2のガイドブロックを第2の空隙によって上記水平方向に互いから離間させることができるようにする、ステップ;並びに
上記第1の空隙及び上記第2の空隙によって少なくとも部分的に画定される切断経路内で、鋸刃を移動させるステップ
を含む、方法。
【0106】
実施形態20
上記第1のガイドブロックを上記テーブルの上記第1の部分に固定する上記ステップは、上記第1のガイドブロックのクッションを上記ガラス積層体に接触させるステップを含み、
上記第2のガイドブロックを上記テーブルの上記第2の部分に固定する上記ステップは、上記第2のガイドブロックのクッションを上記ガラス積層体に接触させるステップを含む、実施形態19に記載の方法。
【0107】
実施形態21
上記鋸刃を移動させる上記ステップの間、冷却剤を上記第2の空隙に供給する、実施形態19又は20に記載の方法。
【0108】
実施形態22
上記ガラス積層体を位置合わせすることによって、上記ガラス積層体の少なくとも1つの縁部を位置合わせ用ブロックと接触させるステップを更に含む、実施形態19~21のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
実施形態23
上記鋸刃を移動させる上記ステップは:
上記切断経路の一方の端部から、上記切断経路に沿ってリリーフカットを形成するステップ;及び
上記切断経路の他方の端部から上記リリーフカットまで、上記切断経路に沿ってメインカットを形成するステップ
を含む、実施形態19~22のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
実施形態24
上記第1の空隙の上記水平方向の幅は、上記第2の空隙の上記水平方向の幅より大きい、実施形態19~23のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
実施形態25
上記第1の空隙の上記水平方向の幅は、上記鋸刃の厚さの約1.5倍~約2.5倍である、実施形態19~24のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
実施形態26
上記第2の空隙の上記水平方向の幅は、上記鋸刃の厚さの約1.0倍~約1.5倍である、実施形態19~25のいずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0113】
10 ガラス積層体
11 基板
12 接着層
13 ガラス層
100、100b~100g ガラス積層体10を切断するための装置、ガラス積層体切断装置
110 テーブル
111 第1の部分
112 第2の部分
121 第1のガイドブロック
122 第2のガイドブロック
123 第3のガイドブロック
131 第1の固定ユニット
132 第2の固定ユニット
133 第3の固定ユニット
140、140b、140c 位置合わせ用ブロック
151 第1のガイドブロック121のクッション
152 第2のガイドブロック122のクッション
160、160b~160d 追加の固定ユニット
200 鋸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図14
【国際調査報告】