(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】改善されたミクロ粒状化法及びその製品粒子
(51)【国際特許分類】
B01J 2/12 20060101AFI20221027BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20221027BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20221027BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20221027BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20221027BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20221027BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20221027BHJP
C01B 32/05 20170101ALI20221027BHJP
C01G 53/00 20060101ALI20221027BHJP
C09C 1/44 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B01J2/12
H01M4/587
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/48
H01M4/36 C
B01J2/00 A
B01J2/00 C
B01J2/00 B
C01B32/05
C01G53/00 A
C09C1/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510172
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 US2020043621
(87)【国際公開番号】W WO2021040932
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521218504
【氏名又は名称】ノボニクス バッテリー テクノロジー ソリューションズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】オブロヴァツ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リーツオ
(72)【発明者】
【氏名】ガライ,マシュー
【テーマコード(参考)】
4G004
4G048
4G146
4J037
5H050
【Fターム(参考)】
4G004AA00
4G004BA00
4G004HA00
4G048AA04
4G048AB03
4G048AC06
4G048AD04
4G146AA01
4G146AB02
4G146AB03
4G146AC12B
4G146AD25
4G146BA01
4G146BC02
4G146BC50
4G146CA02
4G146DA07
4J037AA01
4J037DD05
4J037EE26
4J037EE47
4J037FF11
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB07
5H050CB08
5H050FA17
5H050FA18
5H050GA02
5H050GA05
5H050GA06
5H050GA10
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA13
(57)【要約】
改善された特性を有し、いくつかの例では、新規構造を有する、より大きい製品粒子へと前駆体粒子を凝集させるための、単純で材料効率的なミクロ粒状化方法が開示される。製品粒子は、例えばリチウムバッテリー中の電極材料などの均一、平滑、球形、又は丸形の粒子を必要する用途、及び他の用途のために有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1000μm未満の平均粒径を有する、ある量の前駆体粒子を得ることと、
500μm未満の平均粒径及び前記前駆体粒子の硬度より高い硬度を有する、ある量の鋳型媒体を得ることと、
前記量の前駆体粒子及び鋳型媒体を含む混合物を調製することと、
前記混合物に高剪断及び高圧力場を受けさせ、前記前駆体粒子を製品粒子へと凝集させることと
を含む、前駆体粒子を凝集させるミクロ粒状化法。
【請求項2】
前記混合物に高剪断及び高圧力場を受けさせるステップが、前記混合物をメカノフュージョンすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前駆体粒子の平均径が50μm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記前駆体粒子の平均径が10μm未満である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記前駆体粒子が、バッテリー電極、肥料、医薬品、トナー、顔料、充填剤又は触媒での使用のための粉末である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記前駆体粒子が、炭素質粉末、又は混合金属酸化物粉末、又は金属炭酸塩粉末である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記前駆体粒子がカーボンを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記前駆体粒子が、グラファイトフレーク又はLiNi
1/3Mn
1/3Co
1/3O
2粉末である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記前駆体粒子が混合金属酸化物粉末であり、前記量の前駆体粒子を得るステップが、
金属酸化物原材料粉末を得ることと、
前記金属酸化物原材料粉末をボールミル加工し、前記前駆体粒子を製造することと
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物を調製する前に、前記量の前駆体粒子の少なくとも一部分をボールミル加工することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物を調製する前に、前記量の前駆体粒子の少なくとも一部分を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記前駆体粒子が不規則に成形された粉末である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記鋳型媒体の平均径が100μm以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記鋳型媒体が、酸化ジルコニウム、炭化タングステン、タングステン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、硬化鋼、ステンレス鋼及びメノウからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記鋳型媒体の表面が平滑である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記鋳型媒体が球状である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記鋳型媒体の径分布が(D90-D10)/D50<2のように均一である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記量の鋳型媒体の容積体積が、前記量の前駆体粒子の容積体積よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記量の鋳型媒体の容積体積が、前記量の前駆体粒子の容積体積の10%よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記量の鋳型媒体の容積体積が、前記量の前駆体粒子の容積体積の約3倍以上である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記メカノフュージョンが、チャンバー、前記チャンバー内の回転壁部、前記回転壁部内のスクレーパー及び前記回転壁部内のプレスヘッドを含むメカノフュージョンシステム中で実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記メカノフュージョンが、
前記スクレーパー及び前記回転壁部の間で約0.5mmの間隔を設定することと、
前記プレスヘッド及び前記回転壁部の間で約1.4mmの間隔を設定することと、
壁部表面速度が約8m/秒以上であるように回転させることと
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記製品粒子の平均径が10~100μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記製品粒子の径分布が(D90-D10)/D50<2のように均一である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記製品粒子の表面が平滑である、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記製品粒子の表面がキャビティを含有しない、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記製品粒子が0.02未満の粗さを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記製品粒子が球形である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記製品粒子が四面体形である、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
高温で前記製品粒子を焼き戻しすることを追加的に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項31】
バッテリー電極、肥料、医薬品、トナー、顔料、充填剤又は触媒での、請求項1に記載の方法に従って製造された製品粒子の使用。
【請求項32】
アノード電極及びカソード電極を含む充電式バッテリーであって、前記アノード及びカソード電極の少なくとも1つが、請求項1に記載の方法に従って製造される製品粒子を含む、充電式バッテリー。
【請求項33】
グラファイト粒子を含むグラファイト微粒子であって、
前記グラファイト粒子が球形又は卵形であり、
前記グラファイト粒子が、グラフェン層の同心の入れ子状態の球形又は卵形を含み、
前記グラフェン層が、それらの基部平面が前記同心の入れ子状態の球形又は卵形に対して接線方向であるように前記グラフェン層が方向付けられることを除いて、前記同心の入れ子状態の球形又は卵形の表面上にランダムに配置され、
前記グラファイト粒子が2μmより大きい平均粒径を有し、
前記グラファイト粒子が3.400Å未満の平均d
002間隔を有する、グラファイト微粒子。
【請求項34】
前記グラファイト粒子が多孔性及び中空コアの同心層を含む、請求項33に記載のグラファイト微粒子。
【請求項35】
前記グラファイト粒子が5μm~50μmの平均粒径及び(D90-D10)/D50<2の径分布を有する、請求項33に記載のグラファイト微粒子。
【請求項36】
前駆体粒子がグラファイト粒子であり、製品粒子がグラファイト微粒子である、請求項1に記載の方法に従って製造されたグラファイト粒子の凝集体を含む、凝集グラファイト微粒子。
【請求項37】
約0.3μmの平均径を有するより小さいランダムに方向付けられた酸化リチウムニッケルマンガンコバルト結晶子でコーティングされた、ランダムに方向付けられ、約1μmの平均径を有する酸化リチウムニッケルマンガンコバルト結晶子のコアを有する粒子を含む、リチウム混合金属酸化物微粒子。
【請求項38】
前駆体粒子が酸化リチウムニッケルマンガンコバルト粒子であり、製品粒子が酸化リチウムニッケルマンガンコバルト微粒子である、請求項1に記載の方法に従って製造された酸化リチウムニッケルマンガンコバルト粒子の凝集体を含む、酸化リチウムニッケルマンガンコバルト微粒子。
【請求項39】
前記量の前駆体粒子が第1の組成の第1の粒子及び第2の組成の第2の粒子の混合物を含み、前記第1及び第2の組成が異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
第1の前駆体粒子の平均結晶子径が、第2の前駆体粒子の平均結晶子径と少なくとも10%異なる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
リチウム遷移金属酸化物の粒子を含む、リチウム遷移金属酸化物微粒子であって、
前記粒子が、Mn、Ni及びCoからなる群からの少なくとも2つの遷移金属を含み、
前記粒子がO3構造を有し、
前記粒子が、1~50μmの範囲の平均粒径を有し、
前記粒子が、それらの内部全体で形状及び径がランダムに変動する結晶子を含む、リチウム遷移金属酸化物微粒子。
【請求項42】
前記結晶子が0.5μmよりも大きい平均径を有し、前記粒子の平均粒径が平均結晶子径よりも5倍以上大きい、請求項41に記載のリチウム遷移金属酸化物微粒子。
【請求項43】
少なくとも2つの遷移金属のうちの1つの組成が、前記粒子のコアから前記粒子のシェルまで少なくとも5%原子変動する、請求項41に記載のリチウム遷移金属酸化物微粒子。
【請求項44】
前駆体粒子がリチウム遷移金属酸化物粒子であり、製品粒子がリチウム遷移金属酸化物微粒子である、請求項1に記載の方法に従って製造されたリチウム遷移金属酸化物粒子を含むリチウム遷移金属酸化物微粒子。
【請求項45】
前記前駆体粒子を製品粒子へと凝集させた後に前記製品粒子を前記鋳型媒体から分離することを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、改善された特性と、いくつかの例において、新規構造を有する、より大きい製品粒子へと前駆体粒子を凝集させるための改善されたミクロ粒状化(microgranulation)法に関する。製品粒子は、リチウムバッテリーの電極材料、及び他の用途として有用である。
【背景技術】
【0002】
背景
多くの用途において、狭い粒径分布を有するミクロン径範囲(例えば、1~100μm)の高密度粒子からなる粉末(例えば、バッテリー電極、肥料、医薬品、トナー、顔料、充填剤、触媒などのための活性粉末)が必要とされる。これらの用途のいくつかにおいては、球形又は丸形粒子が望ましい。しかしながら、ミクロン径範囲の均一形状及び径の粒子の製作は困難である。
【0003】
例えば、リチウムイオンバッテリーなどの再充電可能な高エネルギー密度バッテリー用の電極の製造において使用される粒子に関して、形状が球形であり、均一な径であることが望ましくなる可能性がある。これらのバッテリーに対する実質的な要求がある場合、そのような材料の有意且つ経済的な供給を提供することができることも非常に重要である。現時点では、リチウムイオンバッテリー用のカソード粒子(例えば、酸化リチウムニッケルマンガンコバルト又はNMC)は、連続フロータンク反応器での共沈プロセスによって製造されることが多い。これは、反応器中での粒子の多様な粒子滞留時間のため、広い粒径分布をもたらす。加えて、異なる金属塩の均一な沈殿レートを維持し、そして均一な球形の粒子形状を達成するために、慎重なプロセス制御及び種々の化学添加剤(例えばキレート試薬)が必要とされる。さらにまた、共沈プロセス後、焼結の前に、濾過、洗浄、乾燥及びリチウム供給源とのブレンドによって、それらの母液から粒子が分離される必要があり、それによって、追加的な加工ステップ及びエネルギー、化学物質及び廃水が生じる。リチウムイオンバッテリー用のアノード粒子は、典型的に炭素質、例えば、グラファイト粒子である。典型的に、天然グラファイトからバッテリーグレードのグラファイトを製造するためには、所望の径分布(直径約10~20μm)の粉末を得るために、天然グラファイトを最初に粉砕し、分級する。次いで、スフェロナイザー(spheronizer)を使用して、径が設定された粉末を球形化整粒(spheronized)する。しかしながら、球形化整粒(spheronizing)プロセスは典型的に50~60%のみの効率であり、所望の球形化整粒された粒子及び直径5μm未満の微細粒子の混合物を生じる。得られた混合物は、所望の粒子を微細粒子から分離するための追加的な分級ステップを必要とし、微細粒子は典型的に廃棄物として廃棄される。次いで、明らかに、有意な量の出発天然グラファイトが、その結果として失われる。
【0004】
粒状化は、小さい粒子がより大きい粒子に凝集し得る方法である。粒状化法には、湿式及び乾式方法の両方が含まれる。湿式粒状化法には、流体層、ディスク、ドラム及び混合機(例えば、ピン、パドル及び/又はブレードの使用による)方法が含まれる。そのような湿式法は、液体からの製品粒子の分離を必要とし、追加的なバインダー又は分散助剤を必要とし得る。乾式粒状化法には、ロールプレス、タブレット化、ラム/ピストン押出成形、ペレット化ミル、放射状押出及び軸状排除が含まれる。しかしながら、粒状化の湿式及び乾式方法の両方とも、直径100μm未満の均一な製品粒子を製造する際に問題点を有し、得られる製品粒子が内部空隙を含有することが多くなるおそれがある。
【0005】
ミクロン径の球形又は丸形粒子を製造するための他の方法としては、スプレー乾燥及びプリル化が含まれる。スプレー乾燥の間、ノズルを通して、液体(典型的に水)及び懸濁された微粒子及び/又は溶解した種を含む流体をスプレーし、液滴を生じさせる。流体は、湿潤剤及びバインダーなどの添加剤をさらに含有することができる。スプレーノズルから放出された液滴は、(例えば空気のフローによって)空中にある状態で乾燥され、フィルターで捕獲される。この方法は、乾燥ステップの間に液体を除去することが典型的にエネルギー集約型であり、そして廃棄物として液体を損失することが多いため、この方法は高価で浪費的となる可能性がある。得られた粉末は多孔性であることが多く、さらなる加工(例えば、洗浄及び濾過)を必要とし得る。プリル化は、融解した液体スプレーが飛行中に凝固する方法である。この方法は、融解状態を形成することが可能な材料にのみ適用可能である。
【0006】
より小さい粒子(例えば、約1μm未満)が、球形又は丸形である、より大きくて、高密度で、且つ均一なミクロン径の粒子を形成するために凝集され得、そして有意な量の廃棄物微細粒子を形成しない、ミクロ規模での乾式粒状化(すなわちミクロ粒状化)のための方法が必要とされている。しかしながら、米国特許第9,132,482号によると、「無機ナノ粉末の粒状化に関する文献の量が極めて不十分であることは、それらを粒状物の形態で条件づけることの問題点を実証する。」
【0007】
乾式プロセスを利用する物理的方法は、溶媒の使用を排除しているため、環境にやさしく、そして工業的用途のために有利である。メカノフュージョン(MF)プロセスは1980年代中頃に日本で開発されたものであり、いずれの液体を使用することなく粉末を球形化整粒するか、又は乾燥コーティングするために高剪断場を使用することに基づく(T. Yokoyania, K. Urayama and T. Yokoyama, KONA Powder Part. J., 1983, 1, 53-63を参照のこと)。リチウムイオンバッテリー分野では、MFは、負極で使用するための天然グラファイトを球形化整粒するために一般に使用される(例えば、米国特許第9,142,832号又は米国特許出願第14/431,398号)。
【0008】
工業的なその有用性にもかかわらず、MFは文献にほとんど公開されていない。この理由の1つは、MF装置の使用のパラメーターが広く知られていないためであり得る。それにもかかわらず、いくつかの刊行物は、MF方法によって球形化整粒されたか、又は別の相によってコーティングされた粒子を記載する(例えば、M. Naito, M. Yoshikawa, T. Tanaka and A. Kondo, KONA Powder Part. J., 1993, 11, 229-234, N. Product and M. Features, 1999, 17, 244-250, M. Alonso, M. Satoh and K. Miyanami, Powder Technol., 1989, 59, 45-52, M. Naito, A. Kondo and T. Yokoyama, ISIJ Int., 1993, 33, 915-924, R. Pfeffer, R. N. Dave, D. Wei and M. Ramlakhan, Powder Technol., 2001, 117, 40-67, W. Chen, R. N. Dave, R. Pfeffer and O. Walton, Powder Technol., 2004, 146, 121-136, and C.-S. Chou, C.-H. Tsou and C.-I. Wang, Adv. Powder Technol., 2008, 19, 383-396)。しかしながら、ほとんど刊行物は、そのような設計された粒子が製造される条件を十分に記載していない。
【0009】
「オニオングラファイト(onion graphite)」として知られる、興味深い種類のグラファイト材料が当該技術において観察された。いくつかによると、オニオングラファイトは、粒子のコアの共通点周辺に中心を有する入れ子状態の卵形又は球形の平滑な同心層にグラファイト基部平面が配列され、グラファイトシートの端部の配列は中心核から(他に)放射状に広がらない、球形又は卵形のグラファイト粒子を意味する(オニオングラファイトは完全な入れ子状態のバッキーボールのみを意味する)。言い換えると、オニオングラファイト中のグラフェン層は、それらの基部平面が同心の入れ子状態の球形又は卵形に対して接線方向であるように、それらが方向付けられることを除いて、同心の入れ子状態の球形又は卵形の表面上にランダムに配置される。オニオングラファイトは、グラファイト基部平面が同心で配列されるが、平面の端部が中央コアから放射状に広がっているミクロ構造を有することが知られている、鋳鉄のグラファイト球形から識別可能である(例えば、”Mesomolecules: From Molecules to Materials” SEARCH Series, Volume 1, G. David Mendenhall, Arthur Greenberg, and Jeol F. Liebman, eds., Chapman & Hall, New York, 1995の
図6-4に示される通り)。従来は、オニオングラファイトは2μmまでの径でのみ観察されていた。隕石中のそれらの存在によって明示されるように、それらは惑星間空間中で形成されることが見出された。従来は、ナノ径のグラファイトオニオンは、合成手段によって、例えば、カーボン粒子の高電子照射、ナノダイヤモンドの焼き鈍し、水中に沈めた2本のグラファイト電極間のアーク放電、銀又は銅基材のカーボンイオン注入によって、少量で製造されていた(例えば、V.D. Blank, B.A. Kulnitskiy and I.A. Perezhogin, Scripta Materialia, 60 (2009) 407-410を参照のこと)。これらの方法のいずれも、径で、容積(すなわち、1グラム量より大きい)で、グラファイト化の高い状態で、そして経済的に実際的である方法で、2μmより大きい粒子を製造することができない。例えば、米国特許出願公開第2013/0189178A1号は、オニオン様カーボンの製造方法を記載するが、達成されたカーボンオニオンの最大径は6nmのみである。さらにまた、達成されたグラファイト化のレベルは記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのような材料の改善された製造方法を開発することに関する、このような継続的且つ実質的な全体的な努力にもかかわらず、さらなる改善が必要とされている。下記に開示されるように、本発明は、これらの必要性に対処し、さらなる利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
概要
単純な様式で、そして前駆体粒子を効率的に利用して、様々な前駆体粒子から望ましい凝集体を調製するために、乾式メカノフュージョン(MF)などの特定の高剪断及び高圧力場プロセスを使用することができることが発見された。凝集前駆体粒子(「製品粒子」)を、狭い粒径分布で、そしてキャビティを含まない平滑な球形又は丸形の形状で望ましく製造可能である。いくつかの態様において、製品粒子中にキャビティが含まれることが可能である。
【0012】
特に、製品粒子は、以下のステップ:1000μm未満の平均粒径を有する、ある量の前駆体粒子を得ることと、500μm未満の平均粒径及び前駆体粒子の硬度より高い硬度を有する、ある量の鋳型媒体(templating media)を得ることと、上記量の前駆体粒子及び鋳型媒体を含む混合物を調製することとを含む、ミクロ粒状化法を使用して製造される。次いで、前駆体粒子が望ましい製品粒子へと凝集するように、この混合物に、メカノフュージョンによって得られるような適切な高剪断及び高圧力場を受けさせる。次いで、意図された用途に関して望ましい場合、製品粒子を鋳型媒体から分離することができる。
【0013】
前記方法は、広範囲の特性を有する多数の種類の前駆体粒子において首尾よく使用することができる。これは、50μm未満、特に10μm未満の平均径の前駆体粒子を含む。前駆体粒子の適切な種類としては、バッテリー電極、肥料、医薬品、トナー、顔料、充填剤又は触媒での(直接的な、又はその後の加工後の)使用のために意図される粉末が含まれる。下記の実施例で実証されるように、適切な前駆体粒子には、炭素質粉末、混合金属酸化物粉末又は金属炭酸塩粉末、例えば、カーボン、グラファイトフレーク又はLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2粉末が含まれる。有利には、前駆体粒子として使用される混合金属酸化物粉末は、前駆体粒子を製造するための、ある量の金属酸化物原材料粉末のボールミル加工を含む、全固体(all-solid-state)法によって製造されてよい。(例えば、以下の実施例で使用される前駆体粒子それ自体はバッテリー電極での使用に適切ではないが、ミクロ粒状化加工によって、そして任意選択的にその後の加工ステップによって、例えば、加熱によって、そのような使用のために適切にすることができることに留意されたい。)さらに、そして一般的に、そのような量の前駆体粒子の少なくとも一部分は、混合物を調製する前に、(ボールミル加工又は加熱を含む)いくつかの適切な様式で処理されてよい。
【0014】
本発明の方法は、球形及び/又は丸形の凝集体を望ましく製造するが、出発前駆体粒子は非常に不規則に成形された粉末であることが可能である。加えて、本発明の方法は、狭い粒径分布で粉末を望ましく製造するが、出発前駆体粒子の粒径分布は非常に大きいことが可能である。
【0015】
得られた生成物粒子の得られた特徴は、部分的に、利用された鋳型媒体の特徴の作用である。上記の通り、形成具を壊さないように、鋳型媒体の硬度は前駆体粒子の硬度より大きい。したがって、適切な鋳型媒体は、酸化ジルコニウム、炭化タングステン、タングステン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、硬化鋼、ステンレス鋼及びメノウからなる群から選択され得る。望ましい径及び形状の製品粒子を生じるために、平均径が100μm以下である鋳型媒体が利用され得る。さらに、鋳型媒体の表面は、望ましくは平滑であり得、球形であり得る。加えて、鋳型媒体の径分布が均一である、例えば(D90-D10)/D50<2、好ましくは(D90-D10)/D50<1、又はより好ましくは(D90-D10)/D50<0.7であることが望ましい。さらに、利用されるそのような量の鋳型媒体の容積体積が、利用されるそのような量の前駆体粒子の容積体積より高いこと、特にそのような量の前駆体粒子の容積体積の3倍又はそれ以上であることが望ましくなる可能性がある。
【0016】
本発明の方法での使用に適切なメカノフュージョンシステムは、チャンバーと、チャンバー内の回転壁部、回転壁部内のスクレーパー、及び回転壁部内のプレスヘッドを含むことができる。スクレーパー及び回転壁部の間の代表的な間隔は、約0.5mmであり得る。プレスヘッド及び回転壁部の間の代表的な間隔は約1.4mmであり得る。そして回転壁部を回転させるための代表的な速度は、約8m/秒の壁部表面速度をもたらすものである。いくつかの実施形態において、約12時間以上のメカノフュージョン時間が好結果であることが立証された。以前の合成からの前駆体ですでにコーティングされた鋳型媒体が新規合成において再利用される場合、より短い加工時間が達成され得る。前記システムによってバッチ形態で製品が製造されるが、有利には、メカノフュージョンは連続様式でも実行可能である(例えば、そのようなシステムに適切な変更が行われる)。
【0017】
例示的な実施形態において、平均径が10~100μmである製品粒子を製造することができる。さらに、例示的な製品粒子の径分布は、(D90-D10)/D50<2であるように十分に均一であることが可能である。さらに、製品粒子の表面は、望ましくは平滑であり得る。本発明のいくつかの態様において、製品粒子は、0.02未満、0.01未満、0.006未満、又はさらにより小さい粗さ(以下に定義される通りである)を有する粒子を含む。本発明のいくつかの態様において、全ての製品粒子は、本質的に0.02未満、0.01未満、0.006未満、又はさらにより小さい粗さ値を有する。本発明のいくつかの態様において、製品粒子は、キャビティを本質的に含まない粒子を含む。本発明のいくつかの態様において、全ての製品粒子はキャビティを本質的に含まない。そして以下の実施例で実証されるように、球形、又は四面体形の製品粒子を製造することができる。
【0018】
任意選択的に、製品粒子の完全な調製は、(例えばメカノフュージョンに続いて、粒子を再結晶させるために)高温での焼き鈍しステップを追加的に含み得る。
【0019】
本発明の方法によって製造される製品粒子は、バッテリー電極、肥料、医薬品、トナー、顔料、充填剤又は触媒として含む多数の商業的用途での使用に関して考慮され得る。それらは、リチウムイオンバッテリーなどの再充電可能なリチウムバッテリーでのアノード又はカソード電極の使用に特に適切であることが可能である。
【0020】
前記方法が、グラファイト微粒子、酸化リチウムニッケルマンガンコバルト微粒子、及びリチウム遷移金属酸化物微粒子の新規構造を調製するために使用可能であることがさらに見出された。
【0021】
一態様において、新規グラファイト微粒子は、グラファイト粒子が球形又は卵形として成形され、そしてそれらがグラフェン層の同心の入れ子状態の球形又は卵形を含む、グラファイト粒子を含む。これらのグラフェン層は、それらの基部平面が同心の入れ子状態の球形又は卵形に対して接線方向であるように、グラフェン層が方向付けられることを除いて、同心の入れ子状態の球形又は卵形の表面上にランダムに配置される。グラファイト粒子は、さらに2μmより大きい平均粒径及び3.400Å未満の平均d002間隔を有する。いくつかの実施形態において、微粒子中のグラファイト粒子は、そのコアの付近に中空又は空隙を有する多孔性の同心層を含む。いくつかの実施形態において、グラファイト粒子は、5μm~50μmの平均粒径及び(D90-D10)/D50<2の径分布を有する。
【0022】
一態様において、新規リチウム混合金属酸化物微粒子は、約0.3μmの平均径を有するより小さいランダムに方向付けられた酸化リチウムニッケルマンガンコバルト結晶子でコーティングされた、ランダムに方向付けられ、約1μmの平均径を有する酸化リチウムニッケルマンガンコバルト結晶子のコアを有する粒子を含む。
【0023】
上記の新しいリチウム遷移金属酸化物微粒子は、Mn、Ni及びCoからなる群に存在する少なくとも2つの遷移金属を有する粒子を含む。さらに粒子は、O3構造、1~50μmの範囲の平均粒径を有し、そしてそれらはそれらの内部全体で形状及び径がランダムに変動する結晶子を含む。特定の実施形態において、結晶子は0.5μmより大きい平均径を有し、そして粒子の平均粒径は平均結晶子径より5倍以上大きい。特定の実施形態において、2つの遷移金属のうちの1つの組成は、粒子のコアから粒子のシェルまで少なくとも5原子%変動可能である。
【0024】
本方法は、均一な組成を有する製品粒子を製造するために使用可能であるが、それらのコア付近ではそれらの表面の付近とは異なる組成を有する製品粒子を製造するためにも使用可能である。利用される前駆体粒子は単相であってよく、又はそれらは異なる特徴を有する粒子の混合物からなってもよい。例えば、前駆体粒子は、第1及び第2の組成が異なり、及び/又は第1及び第2の粒子が異なる平均結晶子径を有する(例えば、第1の前駆体粒子の平均結晶子径が第2の前駆体粒子の平均結晶子径とは少なくとも10%異なる)、第1の組成の第1の粒子及び第2の組成の第2の粒子の混合物からなり得る。
【0025】
グラファイト製品粒子の形成のための適切な前駆体粒子としては、天然グラファイト、コーク及びソフトカーボンなどのグラファイト化可能なカーボンが含まれる。リチウムイオンバッテリーのカソード材料として有用な製品粒子の形成のための適切な前駆体粒子としては、リチウム、アルミニウム、マグネシウム、遷移金属及びその混合物の水酸化物、酸化物、硫酸塩、硝酸塩及び炭酸塩が含まれる。酸化リチウムニッケルマンガンコバルト製品粒子の場合、適切な前駆体粒子は、酸化リチウムニッケルマンガンコバルト粒子である。リチウム遷移金属酸化物製品粒子の場合、適切な前駆体粒子は、リチウム遷移金属酸化物粒子である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面の簡単な説明
【
図1】本発明のミクロ粒状化法で使用するために適切なメカノフュージョンシステムを概略的に示す。
【
図2a】実施例で使用されるZrO
2鋳型媒体のSEM像を示す。
【
図2b】実施例で使用されるZrO
2鋳型媒体のSEM像を示す。
【
図2c】その周辺部及び質量中心を示す、ZrO
2粒子の断面を示す。
【
図2d】補間されたラジアルセグメント値、及び補間されたf(x)値、xの関数の残りのプロットを示す。
【
図3】実施例で使用されるZrO
2鋳型媒体の粒径分布を示す。
【
図4a】実施例で使用されるグラファイトフレーク前駆体粒子のSEM像を示す。
【
図4b】実施例で使用されるグラファイトフレーク前駆体粒子のSEM像を示す。
【
図5a】グラファイトフレーク前駆体粒子及びZrO
2鋳型媒体の混合物をメカノフュージョンした後に得られる製品のSEM像を示す。
【
図5b】グラファイトフレーク前駆体粒子及びZrO
2鋳型媒体の混合物をメカノフュージョンした後に得られる製品のSEM像を示す。
【
図6a】それらをZrO
2鋳型媒体から分離した後の
図5aのグラファイト球形製品粒子のSEM像を示す。
【
図6b】それらをZrO
2鋳型媒体から分離した後の
図5bのグラファイト球形製品粒子のSEM像を示す。
【
図7a】メカノフュージョン前のグラファイトフレーク前駆体粒子の20°~65°のXRDパターンを示す。
【
図7b】メカノフュージョン及び鋳型媒体からの分離後のグラファイト球形製品粒子の20°~65°のXRDパターンを示す。
【
図7c】焼き鈍し後のグラファイト球形製品粒子の20°~65°のXRDパターンを示す。
【
図8】焼き鈍し後のグラファイト球形製品粒子の粒径分布を示す。比較のためにZrO
2鋳型媒体の粒径分布も示す(点線)。
【
図9a】電圧曲線が示される、本発明のグラファイト球形製品粒子を含むセルの電気化学的性能を示す。
【
図9b】相当する微分容量曲線が示される、本発明のグラファイト球形製品粒子を含むセルの電気化学的性能を示す。
【
図9c】サイクリング性能が示される、本発明のグラファイト球形製品粒子を含むセルの電気化学的性能を示す。
【
図10a】製品粒子の全部分を示す、グラファイト球形製品粒子断面のSEM像を示す。
【
図10b】より高い倍率で製品粒子の種々の部分を示す、グラファイト球形製品粒子断面のSEM像を示す。
【
図10c】より高い倍率で製品粒子の種々の部分を示す、グラファイト球形製品粒子断面のSEM像を示す。
【
図10d】その周辺部及び質量中心を示す、グラファイト球形製品粒子の断面を示す。
【
図10e】製品粒子の補間されたラジアルセグメント値、及び補間されたf(x)値、xの関数の残りのプロットを示す。
【
図11a】全固体法を使用して合成された、実施例で使用されるNMC前駆体粒子のSEM像を示す。
【
図11b】全固体法を使用して合成された、実施例で使用されるNMC前駆体粒子のSEM像を示す。
【
図12a】NMC前駆体粒子及びZrO
2鋳型媒体の混合物をメカノフュージョンした後に得られる製品のSEM像を示す。
【
図12b】NMC前駆体粒子及びZrO
2鋳型媒体の混合物をメカノフュージョンした後に得られる製品のSEM像を示す。
【
図13a】ZrO
2鋳型媒体から分離した後の
図12aの四面体形のNMC製品粒子のSEM像を示す。
【
図13b】ZrO
2鋳型媒体から分離した後の
図12bの四面体形のNMC製品粒子のSEM像を示す。
【
図14a】メカノフュージョン前のNMC前駆体粒子の10°~80°のXRDパターンを示す。
【
図14b】メカノフュージョン及び鋳型媒体からの分離後の四面体形のNMC製品粒子の10°~80°のXRDパターンを示す。
【
図14c】焼き鈍し後のNMC製品粒子の10°~80°のXRDパターンを示す。
【
図15】焼き鈍し後のNMC製品粒子の粒径分布を示す。比較のためにZrO
2鋳型媒体の粒径分布も示す(点線)。
【
図16a】電圧曲線が示される、本発明のNMC製品粒子を含むセルの電気化学性能を示す。
【
図16b】サイクリング性能が示される、本発明のNMC製品粒子を含むセルの電気化学性能を示す。
【
図17a】製品粒子の全部分を示す、NMC製品粒子断面のSEM像を示す。
【
図17b】いくつかのより高い倍率で製品粒子の種々の部分を示す、NMC製品粒子断面のSEM像を示す。
【
図17c】いくつかのより高い倍率で製品粒子の種々の部分を示す、NMC製品粒子断面のSEM像を示す。
【
図17d】いくつかのより高い倍率で製品粒子の種々の部分を示す、NMC製品粒子断面のSEM像を示す。
【
図17e】その周辺部及び質量中心を示す、NMC製品粒子の断面を示す。
【
図17f】製品粒子の補間されたラジアルセグメント値、及び補間されたf(x)値、xの関数の残りのプロットを示す。
【
図18a】長期の自動粉砕を受けた後の比較NMC粒子のSEM像を示す。
【
図18b】長期の自動粉砕を受けた後の比較NMC粒子のSEM像を示す。
【
図19】粒子断面又は投影面積から粒子表面キャビティを特徴づけることに関連する種々の寸法を示す。
【
図20a】本発明の実施例3のコア-シェル製品粒子断面のSEM像を示す。
【
図20b】本発明の実施例3のコア-シェル製品粒子断面のSEM像を示す。
【
図21】スペクトラム1~5として示される5つの点の位置による本発明の実施例3のコア-シェル製品粒子の断面像を示す。組成はEDSによって得られた。
【
図22】本発明の実施例4のシェル前駆体粒子のXRDパターンを示す。
【
図23】本発明の実施例4のシェル前駆体粒子のSEM像を示す。
【
図24】本発明の実施例4の中間体AのXRDパターンを示す。
【
図25】本発明の実施例4の中間体AのSEM像を示す。
【
図26】本発明の実施例4のコア前駆体粒子のSEM像を示す。
【
図27】本発明の実施例4のコア前駆体粒子のXRDパターンを示す。
【
図28a】本発明の実施例4のコア-シェル製品粒子断面のSEM像を示す。
【
図28b】本発明の実施例4のコア-シェル製品粒子断面のSEM像を示す。
【
図29】(右から左に)スペクトラム1~5として示される5つの点の位置による本発明の実施例4のコア-シェル製品粒子の断面像を示す。組成はEDSによって得られた。
【
図30a】本発明の実施例4のコア-シェル製品粒子断面のSEM像を示す。
【
図30b】本発明の実施例4のコア-シェル製品粒子断面のNiのEDS元素マッピングを示す。
【
図31】本発明の実施例4の製品粒子のXRDパターンを示す。
【
図32】本発明の実施例4の加熱された製品粒子のXRDパターンを示す。
【
図33】本発明の実施例4の加熱された製品粒子断面のSEM像を示す。
【
図34】(左から右に)スペクトラム1~5として示される5つの点の位置による本発明の実施例4の加熱後のコア-シェル製品粒子の断面像を示す。組成はEDSによって得られた。
【
図35】本発明の実施例4の加熱された製品粒子の表面からの距離の関数としての遷移金属組成における変動を示す。
【
図36】本発明の実施例5の加熱された製品粒子断面のSEM像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
文脈上別段の解釈を要する場合を除き、本明細書及び請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」などの用語は、非限定的な包括的な感覚で解釈される。「a」、「an」などの用語は、少なくとも1つを意味するように考慮され、1つのみに限定されない。
【0028】
加えて、本明細書を通して、以下の定義が適用される。
【0029】
本明細書中、「高剪断及び高圧力場」という用語は、典型的なメカノフュージョンプロセスの間に経験されるものと類似の剪断及び圧力条件を意味する。
【0030】
複数の粒子に関して、「不規則に成形される」という用語は、不規則な形状の個々の粒子だけではなく、共通の形状ではない他の様式で不規則な形状の粒子の混合物も意味するように意図される。
【0031】
所与の試料の粒径分布は、その「Dn」直径によって本明細書で定量化される。これは、従来通り、試料の質量のn%がより小さい粒径を有する直径として定義される。
【0032】
したがって、粒子の群の「平均径」という用語は、そのD50直径として定義される。
【0033】
粒子の「投影面積直径」という用語は、粒子の投影された像(すなわち、そのシルエット)、又は粒子の質量中心の付近を通過する粒子断面と同一面積を有する円の直径である。
【0034】
「キャビティ」という用語は、0.02~0.1の範囲の相対的深さ及び0.2より大きい相対的アスペクトを有する、粒子表面上のくぼみを意味するために使用される。相対的深さ及び相対的アスペクトを定量化する方法は、以下の実施例の材料の特徴づけにおいて提示される。
【0035】
「粗さ」という用語は、以下の実施例の材料の特徴づけにおいて記載されるスプライン変形法によって決定される変異係数を意味するために使用される。
【0036】
「平滑」という用語は、粗さが0.02未満である粒子を意味する。
【0037】
「球形」という用語は、表面が粒子質量中心からの距離において25%より多く変動しない粒子を意味するために使用される。
【0038】
「微粒子」という用語は、複数の粒子又は凝集した粒子を意味する。
【0039】
定量的関係において、「約」という用語は、プラス10%まで、そしてマイナス10%までの範囲にあるものとして解釈されなければならない。
【0040】
「アノード」という用語は、金属イオンセルが放電される時に酸化が生じる電極を意味する。リチウムイオンセルにおいて、アノードは、放電の間に脱リチウム化され、充電の間にリチウム化される電極である。
【0041】
「カソード」という用語は、金属イオンが放電される時に還元が生じる電極を意味する。リチウムイオンセルにおいて、カソードは、放電の間にリチウム化され、充電の間に脱リチウム化される電極である。
【0042】
「金属イオンセル」又は「金属イオンバッテリー」という用語は、リチウムイオンセル及びナトリウムイオンセルを含むアルカリ金属イオンセルを意味する。
【0043】
「ハーフセル」という用語は、作業電極及び金属対/参照電極を有するセルを意味する。リチウムハーフセルは、作業電極及びリチウム金属対/参照電極を有する。
【0044】
「活性材料」という用語は、アノード又はカソード中で金属イオンを可逆的に貯蔵することができる材料を意味する。
【0045】
「アノード活性材料」又は「アノード材料」という用語は、アノード中で金属イオンを可逆的に貯蔵するために使用される活性材料を意味する。リチウムイオンセルにおいて、アノード材料は、充電の間にリチウム化されて、Liに対して2V未満の電位において放電の間に脱リチウム化される。Liハーフセルにおいて、アノード材料は、充電の間に脱リチウム化されて、Liに対して2V未満の電位において放電の間にリチウム化される。
【0046】
「カソード活性材料」又は「カソード材料」という用語は、カソード中で金属イオンを可逆的に貯蔵するために使用される活性材料を意味する。リチウムイオンセルにおいて、カソード材料は、放電の間にリチウム化されて、Liに対して2V未満の電位において充電の間に脱リチウム化される。Liハーフセルにおいて、カソード材料は、充電の間に脱リチウム化されて、Liに対して2V未満の電位において放電の間にリチウム化される。
【0047】
「断面」という用語は、粒子の質量中心付近で通過する断面を意味することは理解される。
【0048】
「平均結晶子径」という用語は、以下に詳細に説明するように、Scherrer結晶子径決定法によって決定された相のグレイン径を意味する。(注記:原則として、平均結晶子径はX線回折技術によってのみならず、SEM像からも決定可能である。Scherrerグレイン径決定法として知られる前者において、Scherrer方程式は、入射CuKα1放射線の下で20°~60°2-シータの間の相のX線粉末回折ピークのいずれか1つのX線回折ピークFWHMに適用される。Scherrer方程式の説明は、B.E. Warren, Dover Publications (1990)による「X-ray Diffraction」に見ることがありえる。後者において、平均結晶子径は、走査電子顕微鏡検査法によって観察される結晶子の無作為抽出の結晶子径の平均から決定される。)
【0049】
本明細書中、「O3相」という用語は、C. Delmas, C. Fouassier, and P. Hagenmuller, Physica, 99B (1980) 81-85に記載されるように、α-NaFeO2型構造を有する相を意味する。一例として、市販のリチウムイオンバッテリー中の活性正極材料として広範囲に使用されるLiCoO2はO3構造を有する。材料がO3構造を有する相を含むか、又はグラファイト構造を有する相を含むかどうかを含めて、試料中の相の構造を決定するために、X線回折が使用されてよい。
【0050】
様々な前駆体粒子から均一な凝集体を製造するために、メカノフュージョン(MF)乾式プロセス法と関連する高剪断及び高圧力場を利用することができることが発見された。MFプロセスは、比較的単純で安価である。前駆体粒子のほとんどは製品粒子に組み込まれ、したがって、前駆体粒子が効率的に利用される。さらに、MFプロセスは乾式プロセスであり、溶媒を必要としないため、環境的に信頼性がある商業的製造に関して潜在的に魅力的である。必要とされるステップは、単に適切な量の前駆体粒子及び鋳型媒体を得ること、凝集体微粒子を適切に生じるために十分な時間、これらの量の混合物をメカノフュージョンすることを含む。メカノフュージョンプロセスの後、製品粒子は、径、形状又は密度に基づき粒子を分離するために既知の空気分級、ふるい、サイクロン、洗浄、堆積、ハイドロサイクロン又は他の湿式又は乾式法によって、鋳型媒体から分離されてよい。
【0051】
図1は、本発明の方法によって微粒子を調製するために適切なMFシステム1を概略的に示す。それは回転円柱形チャンバー2からなり、その中には、固定された丸形のプレスヘッド3及び固定されたスクレーパー4が配置されている。プレスヘッド3の半径は、チャンバー2の半径より小さく、そしてプレスヘッド3とチャンバーウォール5との間の間隔空間は一般に1~5mmの範囲である。スクレーパー4とチャンバー壁部5との間の間隔はより小さい(通常、約0.5mm)。好ましくは、チャンバーの径、粒径、粉末硬度などの係数次第で、これらのクリアランスを最適化のために調節可能である。
【0052】
MFシステム1の操作は単純であるが、粉末がチャンバー内で加工される機構は複雑である(W. Chen, R. N. Dave, R. Pfeffer and O. Walton, Powder Technol., 2004, 146, 121-136を参照のこと)。使用中、(適切な量の前駆体粒子及び鋳型媒体を含む)粉末混合物6がチャンバー中に配置されて、そしてチャンバー2は密閉される。チャンバーが回転する時、粉末混合物6は遠心作用によってチャンバー壁部5に押しつけられる。これによって、粉末混合物は固定されたプレスヘッド3と回転するチャンバー壁部5との間の合流空間を強制的に通過し、そして高剪断及び高圧力場が確立される。粉末粒子がプレスヘッド領域の発散空間から出ると、それらは互いに、そしてチャンバー壁部に接着する。こて4は、チャンバー壁部5に付着した粉末をこすり取るために有用である。次いで、剪断された粉末混合物をチャンバー中に再分散し、再びプレスヘッド領域の方に移動させる。チャンバー2が回転している間に、粉末は圧縮、摩擦剪断及び脱凝集のこのプロセスを連続的に受ける。これらの相互作用によって、球形化、大きい粒子上への小さいか又は軟質の粒子のコーティング、及び大きい粒子中への小さい粒子の包埋を含む様々な効果が得られる。これらの効果は、典型的に利用される(>1000rpmの又は約8m/秒より大きい壁部表面速度)高い回転速度で迅速に生じる。
【0053】
当業者が認識する通り、MFシステムの適切な運転パラメーターは、所望の製品粒子によって、そして利用される前駆体粒子及び鋳型媒体の種類及び量において変動するように期待されることが可能である。当業者が、以下の実施例に提示されるガイダンスに基づく所与の状況のための適切な運転パラメーターを容易に決定することが可能であろうことが期待される。
【0054】
本発明の方法は、様々な種類の前駆体粒子を大きく均一な製品粒子へと凝集させるために使用され得る。原則として、1000μm未満の平均粒径を有する、ある量のいずれの前駆体粒子も凝集され得る。[注記:原則的に、それらの径は加工の間に減少することが期待されるため、最初により大きく、最高1000μmまでの粒子で開始することが可能性である。したがって、鋳型媒体より大きい前駆体粒子が利用されてもよい。そのような粒子は、加工の間にその場でより小さい径へと粉砕されることが可能である。]この方法は、平均径が100μm未満及びそれより小さい(例えば50μm未満又は10μm未満の)製品粒子を製造するために特に適切である。
【0055】
以下の実施例で実証されるように、バッテリー電極に使用される粉末は本発明の方法によって凝集されてよい。そのような前駆体粉末としては、炭素質粉末(例えばグラファイトフレーク)又は従来の混合金属酸化物粉末(例えばNMC若しくはLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)粉末などのアノード活性及びカソード活性材料が含まれる。適切な前駆体粉末としては、慣習に囚われずに調製された混合金属酸化物粉末、例えば、混合金属酸化物前駆体粒子を製造するために金属酸化物原材料粉末の適切な混合物がボールミル加工される新規の全固体法を使用して調製されるものも含まれる。しかしながら、それに加えて、他の工業用途の肥料、医薬品、トナー、顔料、充填剤又は触媒として使用されることが一般に意図される粉末の類似の凝集体を類似の様式で容易に調製することができることは期待される。本発明の方法の有用な特徴は、望ましい目的製品を得るために開始前駆体粒子の特別な形状又は粒径分布が必要とされないということである。前駆体粒子は規則的な形状を有し得るか、又は代わりに不規則に成形された粉末であり得、狭い、又は広い、又は多モード径分布を有し得る。
【0056】
本発明のミクロ粒状化法は、選択された量の前駆体粒子と適切な量の鋳型媒体との混合物を調製することを一般に伴う。鋳型媒体は、一般に500μm未満の平均粒径を有し、前駆体粒子の硬度より高い硬度を有するように選択される。このように、鋳型媒体は、本方法に関連する高剪断及び圧力条件下でそれ自体が破壊しない。鋳型媒体のための適切な材料の選択肢は、酸化ジルコニウム、炭化タングステン、タングステン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、硬化鋼、ステンレス鋼及びメノウを含む。さらにその他の場合、加工の間におそらく破壊し、そして特に結局のところ球形に分解し、それによって目的製品を汚染するため、鋳型媒体は好ましくは規則的で平滑で球形である。
【0057】
利用される鋳型媒体の径、均一性及び量も、所望の目的製品微粒子の特徴に関して重要となる可能性がある。凝集体目的製品粒子がいくらかより小さいが、使用される鋳型媒体の径の位数であることが期待される。したがって、より小さい凝集体に関して、鋳型媒体の平均粒径が100μm未満であることが望ましくなる可能性がある。さらに、目的製品微粒子の均一性は、使用される鋳型媒体の均一性にほぼ類似することが期待される。したがって、望ましく均一な最終製品に関して、(D90-D10)/D50<2、好ましくは(D90-D10)/D50<1、より好ましくは(D90-D10)/D50<0.7であるように、又は(D90-D10)/D50がより小さくなるように、鋳型媒体の径分布が十分均一であることが望ましくなる可能性がある。さらに、存在する全ての前駆体粒子が完全に、そして首尾よく処理されるために、本方法において十分な量の鋳型媒体が利用されなければならない。この点に関しては、いくつかの実施形態において、鋳型媒体の量の容積体積は、前駆体粒子の量の容積体積よりも望ましく大きい。より詳しくは、均一な球形の鋳型媒体を利用する場合、混合物の関連する量は、前駆体粒子の体積が、ランダムに充填された鋳型媒体球形の間に存在する空隙体積(球形の容積体積の約1/3である)に適合することができるように、好ましく選択される。したがって、小前駆体粒子対鋳型媒体の1:3の容積体積比が好ましくなる可能性がある(すなわち、鋳型媒体の量の容積体積は好ましくは前駆体粒子の量の容積体積の約3倍以上である)。
【0058】
ミクロ粒状化プロセスそれ自体は、ある量の前駆体粒子及び鋳型媒体を含む適切な混合物にメカノフュージョン又は他の同等の高剪断及び高圧力場を受けさせることを伴う。このステップは、前駆体粒子を製品粒子へと凝集させるために有用である。メカノフュージョンは、例えば、
図1のメカノフュージョンシステムにおいて実行可能である。プロセスのための代表的な設定は、スクレーパー及び回転壁部の間の約0.5mm、そしてプレスヘッド及び回転壁部の間の約1.4mmの間隔を含む。代表的な回転速度は1000rpmの位数及びそれ以上であり、その結果、約8m/秒以上の壁部表面速度が得られる。約12時間以上のメカノフュージョンプロセス時間は十分であることが示されている。異なる試料体積、回転速度、粉末比が使用される場合、又は鋳型媒体がリサイクルされる場合、より短いプロセス時間が達成され得る。
【0059】
メカノフュージョンプロセスにおいて、前駆体粒子及び鋳型粒子は、真空又は流体環境、典型的にガス雰囲気中にある。単純な実施形態において、ガス雰囲気は空気である。しかしながら他の実施形態において、ガス雰囲気は、不活性ガス、例えばアルゴン又は窒素であり得る。さらに、ガス雰囲気は還元されてもよく、水素又はアンモニア、例えば5%の水素ガス及び95%の窒素ガスの混合物を含んでもよい。さらに、ガス雰囲気は酸化されてもよく、酸素又は二酸化炭素などの酸化ガスを含んでもよい。
【0060】
図1に示され、そして上記で議論されるメカノフュージョンシステムがバッチプロセスにおいて製品粒子を調製するために使用されるが、調製がその代わりに連続的に実行され得るように、装置を変更することは可能である。例えば、メカノフュージョンの間、粒子はメカノフュージョン機から粒子流で連続的に吸い込まれてもよい。次いで、連続的分級プロセスによって、所望の製品粒子が粒子流から分離され得、収集され得る。粒子流に残った未加工の前駆体粒子及び鋳型媒体は、次いでメカノフュージョン機に戻されてよい。分級によって除去された製品粒子を置換するために、追加的な前駆体粒子がメカノフュージョン機に連続的に添加されてよい。このように、製品粒子は連続的に製造及び収集され得る。
【0061】
メカノフュージョン又は同等のプロセスステップが完了した後、製品粒子を鋳型媒体から分離する。これは様々な従来の様式で達成されてよい。例えば、製品粒子及び鋳型媒体が十分に均一であるが、径が異なる場合、適切な分離は単にふるい分けによって達成することができる。代わりに、製品粒子及び鋳型媒体の密度が十分に異なる場合、密度分離技術が利用されてよい(例えば、高密度のZrO2ミクロスフェアが鋳型媒体として使用されて、次いで、密度分離技術を使用して、有意に低密度である製品粒子から容易に分離される実施例において実証される通り)。製品粒子を鋳型媒体から分離する方法としては、径、形状又は密度に基づき、粒子を分離することが知られている空気分級、ふるい、サイクロン、洗浄、堆積、ヒドロサイクロン又は他の湿式若しくは乾式方法が含まれる。
【0062】
前駆体粒子と関連する結晶化度のいくらかの損失は、この方法に関連する機械処理の結果として起こり得ることが観察された。所望である場合、及び/又は必要である場合、高温、及び含まれる材料に関して適切な環境(例えば、炭素質粉末に関して不活性雰囲気、又は酸化物粉末に関して空気)で製品粒子を焼き鈍し(加熱)することによって、この損失を容易に補正することができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、前駆体粒子の合成は、例えば、ボールミル加工又は分級を含む粉砕によって、平均粒径を減少させるステップを含み得る。いくつかの実施形態において、前駆体粒子の合成は、ボールミル加工を含む、結晶子径を減少させるステップを含み得る。いくつかの実施形態において、前駆体粒子の合成は、加熱ステップ又は分級ステップを含む、結晶子径を増加させるステップを含み得る。いくつかの実施形態において、前駆体粒子の合成は、共沈、加熱、ボールミル加工又は他の既知の方法を含む、一緒に2つ以上の成分を反応させるステップを含み得る。いくつかの実施形態において、前駆体粒子の合成は、異なる平均結晶子径及び異なる組成を有する粒子を一緒に組み合わせるステップを含み得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、鋳型粒子と、異なる結晶子径を有する前駆体粒子の混合物を含む前駆体粒子とに上記のミクロ粒状化法を適用することによって、平均的に、製品粒子コア付近でより大きい前駆体粒子結晶子を有し、そして製品粒子表面付近でより小さい前駆体粒子結晶子を有する製品粒子が得られる。さらに、いくつかの実施形態において、別の組成の前駆体粒子の平均結晶子径よりも大きい平均結晶子径を有する1つの組成の前駆体粒子を含有する、異なる化学組成の前駆体粒子の混合物が使用される場合、製品粒子コアが、より大きい結晶子径を有する前駆体粒子の組成とより接近して似ている組成を有し、そして製品粒子表面が、より小さい結晶子径を有する前駆体粒子の組成により接近して似ている組成を有する、製品粒子が得られる。理論的に、連続的に変動する組成を有する製品粒子は、製品粒子の組成が、それぞれの前駆体粒子粉末の増加する平均結晶子径の順番に従って、それらの表面からコアまで変動するように、鋳型粒子と、異なる組成及び平均結晶子径を有する前駆体粒子粉末の混合物を含む前駆体粒子とに上記方法を適用することによって製造可能である。
【0065】
前駆体粒子は、異なる組成を有する前駆体粒子の凝集混合物を含む複合製品粒子が製造されるように、異なる組成物を有する粒子も含み得る。いくつかの実施形態において、成分前駆体粒子が互いに反応するように、複合製品粒子は加熱され得る。
【0066】
製品粒子は、平均径が10~100μmである様式で調製することができる。さらに製品粒子は、利用された鋳型媒体と類似の狭い粒径分布を有し、径が非常に均一であることが可能である。例えば、製品粒子の径分布は、(D90-D10)/D50<2、(D90-D10)/D50<1、(D90-D10)/D50<0.7であるか、又はより小さくなるように均一であることが可能である。さらに製品粒子は、望ましくは平滑であることが可能であり、球形及び丸形四面体などの規則的な丸形の形状に形成されることが可能である。製品粒子は、0.1~0.2の範囲の相対的深さ及び0.2より大きい相対的アスペクトの両方を有する特徴をさらに含有し得ない。
【0067】
上記の様式の通りに調製されたら、製品粒子は、一般に、その意図された用途での従来の使用がすぐに可能である。バッテリー用途において、製品粒子を利用する電極及び電気化学デバイスは、当業者に既知の多数の様式で調製され得る。例えば、再充電可能なリチウムイオンバッテリー用の電極を製造するため、並びにバッテリー自体を製造するための多数の任意の設計及び方法があり、これらは当該技術において広範囲に文書化されている。
【0068】
メカノフュージョン法は、このような様式で均一な丸形の凝集体を調製する際に有効であることが見出されているが、自動粉砕及びボールミル加工プロセスなどの他の従来の粒状化法は有効ではない。理論に拘束されないが、本方法において、前駆体粒子が鋳型媒体を最初にコーティングすると考えられる。しかしながら、鋳型媒体の平滑性のため、前駆体粒子は鋳型媒体に不十分に接着する。したがって、特定の厚さに達した後、前駆体粒子の層は鋳型媒体から破砕する。これによって、比較的均一な体積の中間体粒子の形成がもたらされる。次いで、これらの中間体粒子を球形化整粒し、製品粒子を形成する。したがって、このプロセスは、粒子上で高密度コーティングを形成するメカノフュージョンプロセスの能力次第である。これは、メカノフュージョンプロセスの間に存在する高剪断及び高圧縮場においてのみ可能である。粉砕、ミル加工及び高剪断混合などの他のプロセスは、この特性を有さないことが見出されており、したがって、同等の製品粒子を生じなかった。
【0069】
本方法に関連する追加的な発見は、調製され得るいくつかの製品粒子が、新規の潜在的に有用な構造によって特徴づけられるということである。これらには、ユニークな構造によって特徴づけられる、グラファイト製品粒子、リチウム混合金属酸化物製品粒子及びリチウム遷移金属酸化物製品粒子が含まれる。例えば、球形又は卵形として成形されたグラファイト粒子を含み、且つグラフェン層の同心の入れ子状態の球形又は卵形を含む、グラファイト微粒子を調製可能である。これらのグラフェン層は、同心の入れ子状態の球形又は卵形の表面上にランダムに配置されるが、それらの基部平面が、同心の入れ子状態の球形又は卵形に対して接線方向であるように、グラフェン層は方向付けられる。さらにグラファイト粒子は、2μmより大きい平均粒径及び3.400Å未満の平均d002間隔を有する。いくつかの実施形態において、微粒子のグラファイト粒子は、そのコアの付近に中空又は空隙を有する、多孔性の同心の層を含む。いくつかの実施形態において、グラファイト粒子は、5μm~50μmの平均粒径及び(D90-D10)/D50<2の径分布を有する。
【0070】
前記のグラファイト微粒子、さらに高度グラファイトオニオングラファイトは、リチウムイオンバッテリー中で活性負極材料として有利であることが期待される。グラファイトの基部平面がリチウムイオンバッテリー電解質に対して高反応性の部位であることは周知である。したがって、天然グラファイトは、典型的に、M. Yoshio et al., J. Mater. Chem. 14 (3005) 1754-1758に議論される通り、電解質と接触する基部平面の表面積を減少させるように球形化整粒される。しかしながら、従来の球形化方法では、ゼリーロールと同一配列で、又はM. Yoshioらによって「球形の天然グラファイト粒子は固く結ばれた拳のように見える。」と記載される通り、螺旋形に巻き上がったグラファイト平面が生じる。言い換えると、従来の球形化整粒された天然グラファイト粒子のグラファイト層は、オニオングラファイトの場合のように、1点の周囲で同心(すなわち、入れ子状態の同心の球形又は卵形)であるのではなく、中心軸の周囲で同心(すなわち、入れ子状態の同心の円柱)で配列される。球形の天然グラファイトのグラファイト基部平面の配列が電解質に暴露されるグラファイト基部平面の量を減少するが、グラファイト基部平面は「ゼリーロール」のいずれかの末端で暴露されたままである。暴露された基部平面の反応性を低下させるために、M. Yoshioらによって記載されるように、球形の天然グラファイトは典型的にカーボンコーティングされる。対照的に、オニオングラファイトのミクロ構造は、電解質に暴露される基部平面を有さず、したがって、リチウムイオンバッテリー中の負極材料として改善された性能を有することが期待される。オニオングラファイトは、グラファイト基部平面が同心で配列されるが、平面が中央コアから放射状に広がるミクロ構造を有することが知られている、鋳鉄で見られる種類のグラファイト球形より優れていることが期待される(例えば、”Mesomolecules: From Molecules to Materials” SEARCH Series, Volume 1, G. David Mendenhall, Arthur Greenberg, and Jeol F. Liebman, eds., Chapman & Hall, New York, 1995の
図6-4に示される通り)。この構造において、電解質は、粒子コアから表面まで延在する基部平面を分離する放射状の線に沿って、グラファイト基部平面に接近することが期待される。リチウムイオンバッテリー用途で実用的であるために、オニオングラファイトの径は、5μmより大きいべきであり、より有利には10μm~50μmであるべきである。加えて、オニオングラファイトは、高レベルをグラファイト化を有するべきである。これは可逆容量を改善し、セル偏光を低下させることが知られている。X線回折で測定される場合、グラファイト化レベルの測定は、グラファイトのd
002間隔であり、d
002間隔の値が低いほど、グラファイト化度が高い。グラファイト化の好ましいレベルは、3.400Å未満、又はより好ましくは3.360Å未満、又はより好ましくは3.350Å未満のd
002間隔によって示される。
【0071】
また例えば、約0.3μmの平均径を有するより小さいランダムに方向付けられた酸化リチウムニッケルマンガンコバルト結晶子でコーティングされた、ランダムに方向付けられ、約1μmの平均径を有する酸化リチウムニッケルマンガンコバルト結晶子のコアを有する粒子を含む、リチウム混合金属酸化物微粒子を調製することができる。いくつかの実施形態において、リチウム混合金属酸化物製品粒子は、平滑な四面体形である。
【0072】
さらに例えば、Mn、Ni及びCoからなる群に存在する少なくとも2つの遷移金属を有する粒子を含む、リチウム遷移金属酸化物微粒子を調製することができる。これらの粒子は、O3構造、1~50μmの範囲の平均粒径を有し、そしてそれらはそれらの内部全体で形状及び径がランダムに変動する結晶子を含む。特定の実施形態において、結晶子は0.5μmより大きい平均径を有し、そして粒子の平均粒径は平均結晶子径より5倍以上大きい。特定の実施形態において、2つの遷移金属のうちの1つの組成は、粒子のコアから粒子のシェルまで少なくとも5原子%変動可能である。
【0073】
以下の実施例は本発明の特定の態様の例証となるが、いずれかの様式で本発明を制限するものとして解釈されてはならない。当業者は、他の変形が本明細書で製造される方法及び材料に関して可能であることを容易に認識する。
【実施例】
【0074】
実施例
本発明に従って前駆体粒子を凝集させるために、メカノフュージョンを使用し、例示的な微粒子を調製した。比較目的のために他の微粒子も調製された。これらの微粒子の種々の特徴を決定し、以下に示した。加えて、これらの微粒子の一部を使用して、電極及び電気化学セルを調製した。電気化学セルから得られるセル性能の結果も以下に提示する。
【0075】
ミクロ粒状化方法(メカノフュージョン)
以下、
図1に概略的に示されるように、AM-15F Mechanofusion System(ホソカワミクロン株式会社、日本、大阪)を使用してミクロ粒状化を達成した。摩耗を低下させるために、標準ステンレス鋼チャンバー、スクレーパー及びプレスヘッドを同一の硬化鋼の部品によって置き換えることによって、この装置を変更した。チャンバーは15cmの内径を有した。特に明記されない限り、メカノフュージョンは、0.5mmのスクレーパー/壁間隔及び1.4mmのプレスヘッド/壁間隔を用いて、高rpmで実施された。所与のプロセス時間後、チャンバーのいくつかの異なる領域から試料を収集した。特に明記されない限り、メカノフュージョン加工の間、使用されるガス雰囲気は空気であった。
【0076】
材料の特徴づけ
微粒子試料の粒径分布は、Horiba Partica LA-950V2レーザー分散粒径分布分析器を使用して得られた。
【0077】
X線回折(XRD)パターンは、Cu KαX線供給源、回折ビームグラファイトモノクロメーター及びシンチレーション検出器を備えたRigaku Ultima IV回折計を使用して収集された。
【0078】
異なる相の平均結晶子径は、特に明記されない限り、Scherrer方程式を問題の相の最大XRDピークに適用することによって決定された。
【0079】
SEM及び断面SEMは、試料モルフォロジーを研究するために使用された。これに関しては、TESCAN MIRA 3 LMU Variable Pressure Schottky Field Emission Scanning Electron Microscope(SEM)が使用された。試料の断面は、それらにアルゴンイオンを発射することによって試料を区分する、JEOL Cross-Polisher(日本電子株式会社、日本、東京)によって調製された。
【0080】
粒子表面キャビティを特徴づけるために、粒子表面上のくぼみの相対的深さ及び相対的アスペクトは、以下の通り、粒子断面又は投影領域(すなわち、シルエット)から測定される。
図19に示されるように、線ABは粒子表面上のくぼみより上に作成され、粒子表面に接する両端を有する。線ABから粒子表面で垂直に測定される最長距離(線GC)は、特徴深さ、dとして記載される。それらが表面接触線ABと接触し、粒子体積中に通過することなく、それらの間で可能な最大鋭角を有するように、点Cから2本の線が描かれる(図a中の線EC及びCF)。粒子の相対的な深さはd/Dとして定義され、Dは投影面積直径である。相対的アスペクトは、{(EC+FC)/EF-1}として定義される。表面キャビティは、0.02~0.1の範囲の相対的深さ及び0.2より大きい相対的アスペクトを有するそれらの特徴である。
【0081】
粒子粗さを決定するために、スプライン変形法が使用される。この方法によって、質量中心から測定される場合の表面の半径における変形を定量化することによって、粒子粗さが決定される。この方法では、少なくとも1000画素が粒子の周辺部にあるように最小像解像度を有する断面又は所望の粒子のシルエットの走査電子顕微鏡(SEM)デジタル像が得られる。SEM像の1000以上のアウトラインピクセルが決定された後、このアウトラインシルエットの質量中心が発見される。次に、アウトラインシルエットのそれぞれの点から質量中心までの距離が測定される(「ラジアルセグメント値」)。次いで、ラジアルセグメント値を0°~360の質量中心の周囲の角度の作用としてプロットし、そしてこのプロットを平滑化スプライン関数に適合させる。
【数1】
式中、x
iは角度値であり、Y
iはラジアルセグメント値であり、f(x)は平滑化スプライン三次関数であり(P.J. Green, Bernard. W. Silverman, Nonparametric Regression and Generalized Linear Models: A roughness penalty approach, copyright 1994、P.J. Green and B.W. Silvermanによる CTC Press reprint 2000の17頁に記載の通り)、そしてλは、一般にゼロ以上であるが、この場合、999に固定される平滑化パラメーターである。次いで、特定の角度xと関連するそれぞれの補間されたラジアルセグメント値が、その角度に最も近い固有のラジアルセグメント値の最大数の平均として算出されるように、ラジアルセグメント値の数は線形補間によって1000まで減少される。それぞれの補間されたラジアルセグメント値に関して、xの同一値にある補間されたf(x)値があるように、f(x)値の数も同様に線形補間によって1000まで減少された。次いで、変異係数は、補間されたラジアルセグメント値及び補間されたf(x)値、xの関数の平均半径によって分割された標準偏差として決定される。変異係数は表面粗さと同一視され、常にゼロ以上の値を有する(すなわち、ゼロは完全な円の粗さである)。変異係数が大きいほど、粒子は粗い。
【0082】
電極調製
実験室試験のための試料電極は、容積密度に基づいて決定される体積で蒸留水中70/5/25の活性粒子/カーボンブラック/LiPAA体積比で、調製された微粒子、カーボンブラック(Super C65, Imerys Graphite and Carbon)及びポリアクリル酸リチウム(LiPAA、LiPAAは、蒸留水中のLiOH・H2O(Sigma Aldrich、98%)によってポリアクリル酸溶液(Sigma-Aldrich、平均分子量約250,000g/モル、H2O中35重量%)を中和することによって製造される10重量%水溶液中で提供される)を混合することによって調製されたスラリーから調製された。スラリーを100rpmで、3つの13mmの炭化タングステンボールを備えたRetsch PM200惑星ミルを用いて1時間混合し、次いで、0.004インチの間隔コーティングバーを用いて、金属箔(アノード活性及びカソード活性材料に関して、それぞれ銅又はアルミニウム)上に広げた。次いで、コーティングを120℃で1時間、空気乾燥し、1.3cmのディスクに切断し、次いで、さらに空気曝露をせずに120℃で1時間、真空下で加熱させた。得られた電極荷重は約2~2.5mg/cm2であった。
【0083】
セル調製
リチウムイオンセル中の電極材料としての種々の材料を評価するために、試験リチウムハーフセルを構成し、試験した。電極を、リチウム箔(99.9%、Sigma Aldrich)対/参照電極を有する2325型コインリチウムハーフセルに組み立てた(注:当業者にとって周知であるように、これらの試験リチウムハーフセルからの結果は、リチウムイオンバッテリー中の電極材料性能の信頼できる予測を可能にする)。2層のCelgard 2300セパレーターをそれぞれのコインリチウムハーフセルで使用した。エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びモノフルオロエチレンカーボネート(体積比率3:6:1、全てBASFから)の溶液中1M LiPF6(BASF)を電解質として使用した。Ar充填グローブボックス中でセル組み立てを実行した。セルを30.0±0.1℃において定電流でサイクルした。
【0084】
本発明の実施例1-グラファイトフレークのミクロ粒状化
57μmの平均径(直径)を有する酸化ジルコニウム(ZrO
2)ミクロスフェア(Glen Mills Inc.)を鋳型媒体として使用し、グラファイトフレーク前駆体粒子をグラファイト製品粒子へと凝集させた。
図2a及び2bは、2つの異なる倍率でのZrO
2鋳型媒体のSEM像を示す。
図2cは、その周辺部及び質量中心を示す、ZrO
2粒子の断面を示す。
図2dは、補間されたラジアルセグメント値、及び補間されたf(x)値、xの関数の残りのプロットを示す。このデータから、粗さを決定した。ZrO
2鋳型媒体は、平滑であり、0.0022のみの粗さを有し、キャビティを有さない。
図3は、D50が57.35μmであり、(D90-D10)/D50=0.61であるZrO
2鋳型媒体の均一な粒径分布を示す。
【0085】
グラファイト前駆体粒子として、天然グラファイトフレーク(230U, Asbury Graphite Mills Inc.)を使用した。
図4a及び4bは、2つの異なる倍率でのこれらの前駆体粒子のSEM像を示す。これらの像から明白であるように、グラファイトフレークは層状構造を有する不規則に成形された粒子であり、粒子の径は非常に異なる。粒子の多くは、ギザギザの表面特徴を有し、それは大きいキャビティである。
【0086】
約225gのZrO
2ミクロスフェア鋳型媒体及び約25gのグラファイト前駆体粒子を含む混合物(合計約50mLの粉末体積)を調製し、次いで、前記のメカノフュージョンシステムによって提供される高剪断及び高圧力場を受けさせた。システムを12時間、1500rpm(12m/秒の壁部速度)で運転させた。
図5a及び5bは、このメカノフュージョンの後に得られる製品の、2つの異なる倍率でのSEM像を示す。これらの像において、ZrO
2ミクロスフェアは、グラファイトの薄層によって部分的にコーティングされて見える。また、グラファイト球形(製品粒子)がZrO
2ミクロスフェアよりわずかに小さい直径を有することは明白である。
【0087】
次いで、(5.68g/cm
3のZrO
2及び2.23g/cm
3のグラファイトの間の)3.32g/cm
3の密度を有するジヨードメタン(MI-GEE、GEO Liquids, Inc.、Prospect Heights、IL)を使用して、密度によってグラファイト球形製品粒子をZrO
2ミクロスフェアから分離した。
図6a及び6bは、ジヨードメタンによる分離及び乾燥後のグラファイト球形製品粒子の2つの異なる倍率でのSEM像を示す。ほぼ全てのZrO
2は除去され、したがって、残りの粒子のほとんどはグラファイト球形であった。
【0088】
メカノフュージョンプロセスの前後にグラファイトのXRDパターンを得た。得られたXRDパターンに基づいて、メカノフュージョンプロセスがグラファイトの結晶構造をいくらか崩壊させて、いくらかの結晶化度の損失を引き起こすように見えた。これは、XRDパターンでのピークの広がり及び非晶質特徴によって明らかであった。パターンは、試料中に残った少量のZrO
2不純物の存在も示した(工業規模では、より良好な分離技術を使用して、そのような不純物を容易に除去することができることが期待される)。したがって、グラファイト球形製品粒子をアルゴン中で3時間、3000℃において焼き鈍し(加熱)によって再結晶させた。焼き戻しされた製品粒子のその後のXRDパターンを得た。この段階では全てのピークは鮮明であり、良好な結晶化度を示す。(002)X線回折ピークの位置に基づくd
002間隔は、焼き戻しされた製品粒子に関して3.355Åであると決定され、高度のグラファイト化を示した。おそらく、アルゴン中、高温での炭素によるZrO
2の還元によって、少量のZrCがXRDパターン中に存在した。
図7a、7b及び7cは、これらの種々のXRDパターン、すなわち、メカノフュージョン前のグラファイトフレーク前駆体粒子、メカノフュージョン及び鋳型媒体からの分離後のグラファイト球形製品粒子、並びに焼き鈍し後のグラファイト球形製品粒子のXRDパターンをそれぞれ示す。
【0089】
図8は、焼き鈍し後のグラファイト球形製品粒子の粒径分布を示す。比較のために、ZrO
2鋳型媒体の粒径分布も示される(点線)。グラファイト球形製品粒子は、約41μmの平均直径を有し、径が非常に均一であることがわかる。
【0090】
アノード活性材料としてこれらのグラファイト球形製品粒子を使用して電極を調製し、そしてそのような電極を含むリチウムハーフセルを製造し、試験した。セルを0.005V~0.9Vでサイクルした。第1のサイクルに関して、セルをC/10で、そしてより低い電位でサイクルし、電流が次のサイクルを開始する前にC/20の値まで低下するまで、セルを一定電位に保持した。その後のサイクルに関して、セルをC/5でサイクルし、電流が次のサイクルを開始する前にC/10の値まで低下するまで、セルをそれぞれより低い電位限界に保持した。
図9a、9b及び9cは、このセルの電気化学性能を示す。これらの図中に、電圧曲線、相当する微分容量曲線及びサイクリング性能をそれぞれ示す。電圧曲線はグラファイトに関して典型的であり、そして微分容量曲線で期待されたステージングを明確に観察することができる。良好なサイクリング性能によって、約275mAh/gの可逆容量が得られる。
【0091】
これらのグラファイト球形製品粒子の構造をさらに分析するために、上記で詳述されるように、SEMを使用して代表的な粒子の断面化し、像化した。
図10a、10b及び10cは、得られたSEM像のいくつかを示す。
図10aは製品粒子の全部の部分を示し、
図10b及び10cは、より大きい倍率での製品粒子の異なる部分を示す。製品粒子のいくつかは、粒子の中心付近に空隙空間(すなわち中空コア)を含む。加えて、粒子全体で、同心層で配列される多孔性が観察される。したがって、製品粒子は、新規の同心構造で特徴づけられるように見える。製品粒子は、グラフェンシートの同心層を含む。
図10dは、その周辺部及び質量中心を示す、製品粒子の断面を示す。
図10eは、補間されたラジアルセグメント値、及び補間されたf(x)値、xの関数の残りのプロットを示す。このデータから、粗さを決定した。グラファイト製品粒子は、平滑であり、0.0052のみの粗さを有し、キャビティを有さない。
【0092】
本発明の実施例2-リチウム遷移金属酸化物粉末のミクロ粒状化
上記の実施例と類似の酸化ジルコニウム(ZrO2)ミクロスフェアを鋳型媒体として使用し、サブミクロンの不規則に成形された前駆体NMC粒子をより大きい規則的に成形されたNMC製品粒子へと凝集させた。
【0093】
全固体法を使用して、式LiNi
1/3Mn
1/3Co
1/3O
2を有するNMC前駆体粒子を調製した。特に、SPEX8000混合機を使用して、高エネルギーボールミル加工によって、10%過剰量のLi
2CO
3でのNiO(Sigma-Aldrich、99%)、MnO(Aldrich、99%)、Co
3O
4(Alfa Aesar、99.7%)及びLi
2CO
3(Alfa Aesar、99%)の化学量論的量を一緒に混合した。約2.4gの試料径を、4時間、180gの1.6mmステンレス鋼ボール(Thomson Linear Motion)を用いてミル加工した。次いで、得られたボールミル加工された混合物をペレット化し、そして3時間、空気中で900℃において加熱した。最後に、ペレットを微細粉末へと粉砕し、NMC前駆体粒子を製造した。
図11a及び11bは、これらのNMC前駆体粒子の2つの異なる倍率でのSEM像を示す。サブミクロンのNMC粒子の不規則な凝集を観察することができる。
【0094】
約225gのZrO
2ミクロスフェア鋳型媒体及び約15gのNMC前駆体粒子を含む混合物(合計約50mLの粉末体積)を調製し、次いで、上記の通り、メカノフュージョンを受けさせた。システムを24時間、1000rpm(約8m/秒の壁部速度)で運転させた。
図12a及び12bは、このメカノフュージョンの後に得られる製品の、2つの異なる倍率でのSEM像を示す。これらの像において、ZrO
2ミクロスフェアは、NMCの薄層によって部分的にコーティングされて見える。また、NMC四面体(製品粒子)がZrO
2ミクロスフェアよりわずかに小さいが、NMC前駆体粒子よりも大きい径を有することは明白である。
【0095】
次いで、400メッシュシーブを使用して、NMC四面体製品粒子をZrO
2ミクロスフェアから分離した。
図13a及び13bは、この様式での分離後の四面体形NMC製品粒子の2つの異なる倍率でのSEM像を示す。製品粒子は平滑である。再び、ほぼ全てのZrO
2は除去された。
【0096】
メカノフュージョンプロセスの前後にNMC製品粒子のXRDパターンを得た。再び、メカノフュージョンプロセスが製品粒子の結晶構造をいくらか崩壊させて、いくらかの結晶化度の損失を引き起こすように見えた。これは、XRDパターンでのピークの広がり及び非晶質特徴によって明らかであった。パターンは、試料中に残った少量のZrO
2不純物の存在も示した(再び、工業規模では、より良好な分離技術を使用して、そのような不純物を容易に除去することができることが期待される)。したがって、NMC製品粒子を空気中で900℃において焼き鈍しによって再結晶させた。焼き戻しされた製品粒子のその後のXRDパターンを得た。この段階で全てのピークは鮮明であり、良好な結晶化度を示す。少量のZrO
2がXRDパターン中になお存在した。
図14a、14b及び14cは、これらの種々のXRDパターン、すなわち、メカノフュージョン前のNMC前駆体粒子、メカノフュージョン及び鋳型媒体からの分離後のNMC四面体形製品粒子、並びに焼き鈍し後のNMC製品粒子のXRDパターンをそれぞれ示す。
【0097】
図15は、焼き鈍し後のNMC製品粒子の粒径分布を示す。比較のために、ZrO
2鋳型媒体の粒径分布も示される(点線)。NMC製品粒子は、約28μmの平均径(D50)及び(D90-D10)/D50=0.66による狭い分布を有し、径が非常に均一であることがわかる。
【0098】
カソード活性材料としてこれらのNMC製品粒子を使用して電極を調製し、そしてそのような電極を含むリチウムハーフセルを製造し、試験した。第1のサイクルに関して、セルを3.0V~4.2Vで、C/10においてサイクルした。残りのサイクルに関して、セルをC/4でサイクルし、そして電流が次のサイクルを開始する前にC/10まで低下するまで、上部カットオフ電位に保持した。
図16a及び16bは、このセルの電気化学性能を示す。これらの図中に、電圧曲線、及びサイクリング性能をそれぞれ示す。電圧曲線はNMCに関して典型的であり、そして約90mAh/gの可逆的な容量が得られる。
【0099】
これらのNMC製品粒子の構造をさらに分析するために、上記の通り、SEMを使用して代表的な粒子の断面化し、像化した。
図17a、17b、17c及び17dは、得られたSEM像のいくつかを示す。
図17aは製品粒子の全部の部分を示し、
図17b、17c及び17dは、いくつかのより大きい倍率での製品粒子の異なる部分を示す。製品粒子は平滑であり、丸い角を有する四面体形であるように見える。それらは、約0.3μmの平均径を有するより小さいランダムに方向付けられた結晶子でコーティングされた、ランダムに方向付けられ、約1μmの平均径を有する結晶子のコアを含む。したがって、凝集したNMC製品粒子は、新規構造によって特徴づけられるように見える。
【0100】
図17eは、その周辺部及び質量中心を示す、製品粒子の断面を示す。
図17fは、補間されたラジアルセグメント値、及び補間されたf(x)値、xの関数の残りのプロットを示す。このデータから、粗さを決定した。NMC製品粒子は、平滑であり、0.0094のみの粗さを有し、キャビティを有さない。
【0101】
比較例-自動粉砕プロセスを使用するリチウム遷移金属酸化物のミクロ粒状化の試み
上記の実施例と類似の酸化ジルコニウム(ZrO
2)ミクロスフェア及びNMC前駆体粒子を使用した。同一比率のZrO
2及びNMCを含む混合物をBrinkmann Retsch自動粉砕機中で混合した。自動粉砕機を、2週間、約120rpmで運転するように設定した。
図18a及び18bは、自動粉砕を受けるこの試料に関して得られたSEM像を示す。SEM像は、全てのZrO
2ミクロスフェアがNMCによってゆるくコーティングされたことを示すが、NMCの粒状化をほとんど観察することができない。この比較例は、非常に長期の自動粉砕がメカノフュージョンプロセスの固有の利点を提供しないことを示す。
【0102】
本発明の実施例3-異なる組成及び異なる平均結晶子径を有する前駆体粒子の混合物のミクロ粒状化
上記の実施例と類似の酸化ジルコニウム(ZrO2)ミクロスフェアを鋳型媒体として使用し、異なる組成及び平均結晶子径の数種類の前駆体粒子を凝集させた。
【0103】
約180gのZrO
2ミクロスフェア鋳型媒体、6.94gのNiO(Sigma-Aldrich、99%)、2.20gのMnO(Aldrich、99%)、2.48gのCo
3O
4((Alfa Aesar、99.7%)及び6.29gのLi
2CO
3(Alfa Aesar、99%)を含む混合物を調製した。SEMによる単一結晶質結晶子の観察によって決定される通り、Co
3O
4の平均結晶子径は0.3μmであり、そしてNiOの平均結晶子径は2μmであった。次いで、混合物に18時間、1000rpm(約8m/秒の壁部速度)で、上記のメカノフュージョンを受けさせた。次いで、400メッシュシーブを使用して、製品粒子をZrO
2ミクロスフェアから分離した。
図20a及び20bは、製品粒子の断面の2つの異なる倍率でのSEM像を示す。製品粒子は平滑であり、大部分の粒子が5~10μmの直径を有する。断面において、粒子がコア-シェル構造を有するように見ることができる。粒子コアに対して、そして粒子シェルに対して輝度は異なり、そしてコア及びシェルに関して異なる元素組成を示す。
図21は、スペクトラム1~5として示される5つのデータ点の位置による粒子の断面像を示す。それぞれの点の元素組成は、以下の表1に、EDSの決定に従って列挙される。コアではCoがリッチであるが、シェルではMn及びNiがリッチである。
【0104】
【0105】
本発明の実施例4-x+y+z=1であり、且つそれらのシェル中よりもそれらのコア中でより高いNi含有量を有する粒子を含む、O3相LiNi
xMn
yCo
zO
2粉末の合成
Mnリッチな粒子シェルとして、LiNi
1/3Mn
1/3Co
1/3O
2(NMC111)の標的組成が選択された。12.88gのNiO(Sigma-Aldrich、99%)、12.24gのMnO(Aldrich、99%)、13.85gのCo
3O
4(Alfa Aesar、99.7%)、21.03gのLi
2CO
3(Alfa Aesar、99%)(式LiNi
1/3Mn
1/3Co
1/3O
2によると10%過剰量のLi
2CO
3に相当する)及び10kgの0.5インチステンレス鋼ボールを5Lステンレス鋼ジャーミル(US Stoneware)中で密封し、そして85rpmで1週間ミル加工することによって、シェル前駆体粉末を製造した。得られたシェル前駆体粉末のXRDパターンは
図22に示される。それはLi
2CO
3、Co
3O
4、NiO及びMnO相の混合物を含む。得られたシェル前駆体粉末のSEM像を
図23に示す。それには、径が0.1μm未満である結晶子が含まれる。
【0106】
Niリッチな粒子コアとして、LiNi
0.6Mn
0.2Co
0.2O
2(NMC622)の標的組成が選択された。空気中、41.61gのNiO(Sigma-Aldrich、99%)、13.18gのMnO(Aldrich、99%)、14.90gのCo
3O
4(Alfa Aesar、99.7%)及び10kgの0.5インチステンレス鋼ボールを5Lステンレス鋼ジャーミル(US Stoneware)中で密封し、そして85rpmで1週間ミル加工することによって、コア前駆体粉末を製造した(中間体Aとして記載される)。
図24は、単相岩塩型構造に相当する中間体AのXRDパターンを示す。中間体AのSEM像を
図25に示す。中間体Aは、径が0.1μm未満の結晶子からなる。均質な混合物が得られる(約10分)まで、乳鉢及び乳棒を用いて、15gの中間体Aを、式LiNi
0.6Mn
0.2Co
0.2O
2によると5%過剰量のLi
2CO
3に相当する7.83gのLi
2CO
3(Alfa Aesar、99%)と混合した。混合物をアルミナるつぼ中に入れて、900℃で3時間、空気中、箱形炉中で加熱し、そしてコア前駆体粒子が得られた。この加熱ステップの目的は、それらがシェル前駆体粒子結晶子径より10%以上大きくなるように、コア前駆体粒子の結晶子径を増加させることである。
図26は、得られたコア前駆体粒子のSEM像を示す。それらは約2μmの平均結晶子径を有する。
図27はコア前駆体粒子のXRDパターンを示す。それは相純粋O3相NMC622に相当する。
【0107】
約180gのZrO2ミクロスフェア鋳型媒体、13.33gのシェル前駆体粒子及び6.67gのコア前駆体粒子を含む混合物を調製した。次いで、混合物に20時間、1000rpm(約8m/秒の壁部速度)で、上記のメカノフュージョンを受けさせた。次いで、400メッシュシーブを使用して、製品粒子をZrO2ミクロスフェアから分離した。
【0108】
図28a及び28bは、製品粒子の断面の2つの異なる倍率でのSEM像を示す。大部分の製品粒子は5~20μmの直径を有する。断面において、粒子がコア-シェル構造を有するように見ることができる。粒子コアに対して、そして粒子シェルに対して輝度は異なり、そしてコア及びシェルに関して異なる元素組成を示す。コアは、コア前駆体粒子と同一平均結晶子径を有するランダムに方向付けられた結晶子からなり、そしてシェルは、シェル前駆体粒子と同一平均結晶子径を有するランダムに方向付けられた結晶子からなる。コア及びシェルは多孔性を含有する。
図29は、スペクトラム1~5として示される5つのデータ点の位置による断面SEM像を示す。それぞれの点の元素組成は、以下の表2に、EDSの決定に従って列挙される。コアはシェルよりNiが約13%リッチである。
【0109】
【0110】
図30aは製品粒子の断面像を示し、そして
図30bは同一製品粒子のEDS Ni-マッピングを示す。コアからのNi信号の強度はシェルからの信号より強く、製品粒子がNiリッチなコアからなり、そしてシェルではCo及びMnがリッチであることが確認される。
図31は製品粒子のXRDパターンを示す。XRDパターンは、製品粒子及びコア粒子の混合物のものに相当する。
【0111】
製品粒子をアルミナるつぼ中に入れ、900℃において3時間、空気中、箱形炉中で加熱し、製品粒子の成分の反応を引き起こし、LiNi
0.4Mn
0.3Co
0.3O
2の全組成を有する層状酸化リチウムニッケルマンガンコバルトを形成した。
図32は、加熱された製品粒子のXRDパターンを示す。XRDパターンは、x+y+z=1であるLiNi
xMn
yCo
zO
2のO3相のみに相当するピークを含有する。
図33は、加熱された製品粒子の断面のSEM像を示す。加熱された製品粒子の径は、加熱の前の製品粒子と同一であった。加熱された製品粒子は、2μmの平均径を有し、ランダムに成形され、ランダムに方向付けられた結晶子を含有する。加熱された製品粒子のいくつかは空隙を含有したが、他は含有しなかった。
【0112】
図34は、スペクトラム1~6として示される6つのデータ点の位置による加熱された製品粒子の断面像を示す。それぞれの点の元素組成は、以下の表3に、EDSの決定に従って列挙される。高温加熱プロセスの間の遷移金属の拡散によって濃度勾配が生じ、Ni含有量はシェルからコアまで徐々に増加し、そしてMn含有量はコアからシェルまで増加している。
図34中のスペクトラム1~スペクトラム6から決定される加熱された製品粒子表面からの距離の関数としての遷移金属組成の変動を
図35に示す。コア付近のNi濃度は、シェル中よりも約9%大きい。
【0113】
【0114】
本発明の実施例5-グラファイトフレークのミクロ粒状化
メカノフュージョンプロセス後に製品粒子/鋳型媒体混合物を38μmシーブに通すことによって製品粒子をZrO
2鋳型媒体から分離させたことを除いて、本発明の実施例1と同一方法を使用してグラファイト製品粒子を製造した。次いで、製品粒子を90分間、アルゴンガス下で2840℃まで加熱し、そしてグラファイト球形を製造した。おそらくプロセスの間にジヨードメタンが使用されなかったため、焼き戻しされた製品粒子球形は、本発明の実施例1のものと同一形状及び平均粒径を有したが、多孔性がより低かった。加熱の間にジヨードメタンがグラファイト層の間に侵入し、同心の多孔性及び空隙空間が生じると考えられている。
図36は、本発明の実施例5のいくつかの焼き戻しされた製品粒子のSEM断面像を示す。焼き戻しされた製品粒子のいくつかは、ほとんど、又はまったく多孔性を含有せず、いくつかの同心の多孔性を含有し、そしていくつかの中心空隙空間を含有した。焼き戻しされた製品粒子の全ては、入れ子状態の卵形又は球形のシェルに同心で配列されるグラファイトの層を含有し、基部平面端部は中心点から粒子の外側まで放射状に広がっていない。
【0115】
本発明の実施例6-石油コークスのミクロ粒状化
2μmの平均フレーク厚さ及び10μmの平均フレーク幅を有するフレークの形態の30gの石油コークス;並びに本発明の実施例1で使用されたものと同一種類の330gのZrO2球形の混合物に、実施例1に記載の高剪断及び高圧力場を32時間、受けさせた。400メッシュシーブを使用して、得られた製品粒子をZrO2球形から分離した。得られた製品粒子は小結節形状を有したが、丸形であり、平滑であり、そして20μmの平均直径を有した。
【0116】
上記の実施例は、種々の前駆体粒子をより大きい製品粒子へと簡単且つ効率的に凝集するために、メカノフュージョンを使用することができることを実証する。製品粒子は均一であり、そして望ましくは平滑であり得、そして球形又は丸形であり得る。いくつかの例において、本方法によって、新規構造を有する微粒子を製造することができる。そして、実験室試験セルで実証されるように、本発明は、リチウムバッテリー中の電極材料のために適切な微粒子を製造するために使用することができる。
【0117】
本明細書に記載される上記の米国特許、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許刊行物の全ては、全体として参照によって本明細書で組み込まれる。
【0118】
本発明の特定の要素、実施形態及び適用が示され、説明されたが、もちろん、特に上記の教示を考慮して、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって修正がなされ得るため、本発明はそれらに限定されないことは理解されるであろう。例えば、メカノフュージョンによって提供されるものに類似の剪断及び圧力場条件を提供することができる他の方法によっても類似の均一な製品微粒子を提供することできるであろうことが期待される。そのような修正は、本明細書に添付される請求の範囲内であると考えられる。
【図】
【国際調査報告】