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特表2022-546280簡略化された構造の適応光学デバイス及び関連する製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】簡略化された構造の適応光学デバイス及び関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/06 20060101AFI20221027BHJP
   G02B 7/185 20210101ALI20221027BHJP
   G02B 5/10 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G02B26/06
G02B7/185
G02B5/10 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510888
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(85)【翻訳文提出日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 FR2020000227
(87)【国際公開番号】W WO2021038140
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】1909594
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
(71)【出願人】
【識別番号】522062782
【氏名又は名称】アルパオ
(72)【発明者】
【氏名】シャルトン、ジュリアン、ジェラール
(72)【発明者】
【氏名】ラスランド、マリー、エミリー
【テーマコード(参考)】
2H042
2H043
2H141
【Fターム(参考)】
2H042DB00
2H042DD13
2H042DD14
2H043BB05
2H043CA02
2H043CA07
2H043CB01
2H043CB02
2H141MB27
2H141MB52
2H141MC01
(57)【要約】
本発明は、屈折及び/又は反射によって入射波面を変形させることを意図した変形可能なプレート(2)を備える適応光学デバイス(I)であって、プレート(2)に固定的に取り付けられたタブ(5)と、プレート(2)に対して固定されたフレーム(21)と、を備え、タブが変形可能なプレート(2)に変形力を伝達するために、少なくとも1つのそれぞれの周辺アクチュエータ(7)がタブ(5)を局所的に変形させることができるために、各タブ(5)が、少なくとも1つのそれぞれの周辺アクチュエータ(7)に接続された移動部分(22)を備え、各タブ(5)が、フレームに対して不動化されるために、フレーム(21)に固定的に取り付けられたそれぞれの固定部分(23)を更に備える、ことを特徴とする、適応光学デバイス(I)に関する。本発明は、入射波面における光学収差の導入又は制御された補正に特に好適である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折及び/又は反射によって入射波面を変形させることを意図した変形可能なプレート(2)を含む適応光学デバイス(1)であって、少なくとも、
前記変形可能なプレート(2)に固定的に取り付けられた脚部(5)と、
前記変形可能なプレート(2)に対して固定されたフレーム(21)と、
複数の周辺アクチュエータ(7)と、
を更に備え、
各脚部(5)が、前記周辺アクチュエータ(7)のうちの少なくとも1つそれぞれに接続された可動部分(22)を備え、前記周辺アクチュエータ(7)のうちの少なくとも1つそれぞれが前記脚部(5)を局所的に変形させることができるようになっており、前記脚部(5)が前記変形可能なプレート(2)に変形力を伝達するようになっており、各脚部(5)が、前記フレーム(21)に対して不動化されるように、前記フレーム(21)に固定的に取り付けられたそれぞれの固定部分(23)を更に備える、
ことを特徴とする、
適応光学デバイス(1)。
【請求項2】
前記固定部分(23)が、前記フレーム(21)に対して少なくとも1つの締結方向(F)に従って、少なくとも並進で不動化されていることを特徴とする、請求項1に記載の適応光学デバイス。
【請求項3】
前記固定部分(23)が、
前記フレーム(21)と埋め込み接続にあり、前記フレーム(21)に対して任意の自由度を有さない、又は
前記フレーム(21)と枢動接続にある、又は前記フレーム(21)とボールジョイント接続にある、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の適応光学デバイス。
【請求項4】
各脚部(5)が、前記変形可能なプレート(2)に取り付けられたそれぞれの近位端(24)と、前記近位端(24)の反対側のそれぞれの遠位端(25)との間に延びることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の適応光学デバイス。
【請求項5】
前記固定部分(23)が、前記遠位端(25)を備え、したがって、前記フレーム(21)に固定的に取り付けられている、ことを特徴とする、請求項4に記載の適応光学デバイス。
【請求項6】
前記可動部分(22)が、前記遠位端(25)と前記近位端(24)との間に配置されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の適応光学デバイス。
【請求項7】
前記可動部分(22)が、前記遠位端(25)よりも前記近位端(24)の近くに配置されていることを特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載の適応光学デバイス。
【請求項8】
前記可動部分(22)が、前記近位端(24)と前記遠位端(25)との間に等距離に配置されていることを特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載の適応光学デバイス。
【請求項9】
前記可動部分(22)が、前記近位端(24)よりも前記遠位端(25)の近くに配置されていることを特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載の適応光学デバイス。
【請求項10】
前記固定部分(23)が、前記近位端(24)よりも前記遠位端(25)の近くに位置することを特徴とする、請求項4~9のいずれか一項に記載の適応光学デバイス。
【請求項11】
各脚部(5)が、実質的に平坦であり、ほぼ長方形又は台形の形状を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の適応光学デバイス。
【請求項12】
前記変形可能なプレート(2)及び前記変形可能なプレート(2)に取り付けられた前記脚部(5)が、一緒に、いくつかの分岐を有する星形の形態で一体的に変形可能な本体を形成し、各分岐が、前記脚部(2)のうちの1つによって形成されている、ことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の適応光学デバイス。
【請求項13】
前記フレーム(21)が、剛性リング(8)を備え、前記剛性リング(8)の中央に、前記脚部(5)を備える前記変形可能なプレート(2)が配置されている、ことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の適応光学デバイス。
【請求項14】
前記剛性リング(8)が、前記脚部(2)が固定されている内側肩部(26)を有することを特徴とする、請求項13に記載の適応光学デバイス。
【請求項15】
前記脚部(5)のうちのより多くのうちの1つが、静止時に、実質的に前記変形可能なプレート(2)に連続して延びることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の適応光学デバイス(1)。
【請求項16】
前記脚部(5)のうちの少なくとも1つが、静止時に、前記変形可能なプレート(2)に対して実質的に斜め又は垂直に延びることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の適応光学デバイス(1)。
【請求項17】
前記変形可能なプレート(2)が、静止時に、実質的に広がりの第1の平均平面(P)に従って延び、かつ前記脚部(5)のうちの少なくとも1つが、静止時に、実質的に広がりの第2の平均平面(P’)に従って延びる、ことを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の適応光学デバイス(1)。
【請求項18】
広がりの前記第1の平均平面(P)が、広がりの前記第2の平均平面(P’)に平行である、又は一致することを特徴とする、請求項17に記載の適応光学デバイス(1)。
【請求項19】
広がりの前記第2の平均平面(P’)が、広がりの前記第1の平均平面(P)と交差し、広がりの前記第1の平均平面(P)及び第2の平均平面(P’)が、例えば、直交している、ことを特徴とする、請求項17に記載の適応光学デバイス(1)。
【請求項20】
また、前記変形可能なプレート(2)に力を直接加えて、前記変形可能なプレート(2)を変形させるように設計された、少なくとも1つの追加のアクチュエータ(29)を備えることを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載の適応光学デバイス(1)。
【請求項21】
前記変形可能なプレート(2)が、幾何学的中心(C)を有することを特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載の適応光学デバイス(1)。
【請求項22】
前記幾何学的中心(C)に力を加えるように設計された少なくとも1つの中央アクチュエータ(27)を更に備えることを特徴とする、請求項21に記載の適応光学デバイス(1)。
【請求項23】
各脚部(5)が、前記変形可能なプレート(2)から、前記幾何学的中心(C)に対して半径方向に延びることを特徴とする、請求項21又は22に記載の適応光学デバイス(1)。
【請求項24】
前記脚部(5)が、前記幾何学的中心(C)の周りに均一に角度的に分布していることを特徴とする、請求項21~23のいずれか一項に記載の適応光学デバイス(1)。
【請求項25】
前記脚部(5)が、前記変形可能なプレート(2)と一体であることを特徴とする、請求項1~24のいずれか一項に記載の適応光学デバイス(1)。
【請求項26】
好ましくは、少なくとも4つの脚部(5)を備えることを特徴とする、請求項1~25のいずれか一項に記載の適応光学デバイス(1)。
【請求項27】
変形可能なミラー及び/又は適応レンズを構成することを特徴とする、請求項1~26のいずれか一項に記載の適応光学デバイス(1)。
【請求項28】
屈折及び/又は反射によって入射波面を変形させることを意図した変形可能なプレート(2)を作製又は用意する一次ステップを含む、適応光学デバイス(1)を製造する方法であって、少なくとも、
前記変形可能なプレート(2)に固定的に取り付けられた脚部(5)を作製する二次ステップと、
各脚部(5)のそれぞれの可動部分(22)が少なくとも1つのそれぞれのアクチュエータ(7)に接続され、前記少なくとも1つのそれぞれのアクチュエータ(7)が前記脚部(5)を局所的に変形させることができるようになっており、前記脚部(5)が変形力を前記変形可能なプレート(2)に伝達するようになっている、装備ステップと、
各脚部(2)のそれぞれの固定部分(23)が、前記変形可能なプレート(2)に対して不動化されるように、前記変形可能なプレート(2)に対して固定されたフレーム(21)に固定的に取り付けられる、締結ステップと、
を更に含む、
ことを特徴とする、
方法。
【請求項29】
前記一次作製ステップ及び前記二次作製ステップが、少なくとも部分的に同時に起こり、前記一次作製ステップ及び前記二次作製ステップが、未加工プレート(12)を切断して、前記脚部(5)及び前記変形可能なプレート(2)を形成する共通のステップを含み、前記脚部(5)が、前記変形可能なプレート(2)と一体である、ことを特徴とする、請求項28に記載の製造方法。
【請求項30】
前記二次作製ステップが、例えば、溶接、接着、及び/又はろう付けによって、前記脚部(5)を前記変形可能なプレート(2)に固定するステップを含むことを特徴とする、請求項28に記載の製造方法。
【請求項31】
前記固定するステップ中に、前記脚部5の少なくとも1つの部分が、
前記変形可能なプレート2の端部の上に、
前記変形可能なプレート2の上に、及び/又は
前記変形可能なプレート2の下に、
前記変形可能なプレート2に固定されることを特徴とする、請求項30に記載の製造方法。
【請求項32】
前記締結ステップ中に、前記脚部(5)が、前記フレーム(21)にリベット留め、ねじ込み、接着、ろう付け、及び/又は溶接されることを特徴とする、請求項28~31のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項33】
前記変形可能なプレート(2)が、前記波面を受け入れることを意図した入射面(3)を有し、前記方法が、反射面を形成するための、前記入射面(3)の反射処理ステップを更に含み、前記適応光学デバイス(1)が、変形可能なミラーである、ことを特徴とする、請求項28~32のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項34】
前記反射処理ステップが、反射コーティングで前記入射面(3)を覆うステップを含むことを特徴とする、請求項33に記載の製造方法。
【請求項35】
前記二次作製ステップが、前記脚部(5)のうちの少なくとも1つを折り畳むステップを含み、前記脚部(5)が、前記変形可能なプレート(2)に対して実質的に斜め又は垂直に延びるようになっている、ことを特徴とする、請求項28~34のいずれか一項に記載の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天文学、医学などの様々な用途のための適応光学の全体的な技術分野に関し、具体的には、オフサルモロジー(opthalmology)、レーザー、顕微鏡検査、マイクロエレクトロニクスなどの使用に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、屈折及び/又は反射によって入射波面を変形させることを意図した変形可能なプレートを含む適応光学デバイスに関する。
【0003】
本発明はまた、そのような適応光学デバイスを製造する方法に関する。
【0004】
先行技術
アクティブな、すなわち適応性のある光学デバイスを、例えば、制御された方法で入射波面における非点収差などの光学収差を生成又は補正することを可能にする変形可能なミラーを、使用することが知られている。実際には、そのような変形可能なミラーは、構成を変化させて、入射波面が反射されるそのようなミラーの表面に付与された変形により、所望に応じて波面の形状を修正することができる。ミラーの表面に到達する入射波面は、反射波面に変形され、初期光学収差(入射波面の収差)は、変形可能なミラーによって生成又は補正されている。具体的には、反射面を含む円形の変形可能なプレートを備える天文学分野における既知の適応ミラーが存在し、このプレートは、剛性かつ厚いリングに接続され、それによって囲まれており、後者は、複数のアームによって外向きに延伸されている。各アームは、プレートを変形させる、したがって、プレートの反射面上で反射されている波面を変形させるために、リングの周囲に力又は一対の力を加えるように意図された一対のアクチュエータに接続されている。十分な変形を達成し、かつプレートを変化させるリスクを低減するために、後者は、特定かつ厚い中心瞳孔を有する有意な厚さを更に有する。
【0005】
それらは、それらの意図された用途分野(天文学)において概ね満足のいくものであるが、これらの既知の適応ミラーは、依然としていくつかの欠点を有する。
【0006】
実際、これらの既知のミラーの設計は、特に所望の変形振幅を得るために各アームが一対のアクチュエータを備えなければならないため、多数のアクチュエータの実装を必要とする。その後、リングが比較的剛性であり、かつ厚く、プレートも比較的大きな厚さを有し、それらがリングを介してプレートの縁部に十分なトルクを及ぼして、そのプレートを変形させるように、それに応じてアクチュエータをサイズ決定する必要があり、システム全体が、比較的重い。最終的に、アーム自体は、それに関連付けられたアクチュエータ対によって加えられる力に耐えることができるように、剛性でありかつ厚くなければならない。更に、アームを有する変形可能なミラーの現在の構成によれば、所望に応じてプレートを変形させるために、多数のアーム、したがって多数のアクチュエータを使用する必要がある。
【0007】
したがって、これらの異なる要件及び制約により、製造コストを増加させ、相当な大きさ及び重量、並びに変形に対する相当な慣性(又は応答時間)並びにこれらの既知のミラーの特に困難な取り付け及び設定をもたらす。
【0008】
更に、製造中、各対のアクチュエータは、それらのそれぞれのアームに対してだけでなく、互いに対しても非常に正確な方法で配置されなければならない。更により複雑な、アクチュエータの多数の対は、互いに対して特に正確かつ厳密な方法で配置されなければならない。
【0009】
これらの最後の2つの制約により、これらの既知のミラーの製造コストを更により増加させ、アクチュエータ対の適切な設定は、実際に特に複雑になる。
【0010】
したがって、これらの既知のミラーでは、それらの単なる設計によって、入射波面における光学収差の補正又は所望の導入の欠陥によって反映される、プレートの反射面の変形の制御における不正確さのリスクを増加させる、いくつかのアクチュエータの不適切な配置の重大なリスクがある。したがって、これらの既知のミラーの信頼性が影響を受ける。
【0011】
結局、前述の既知のミラーは、比較的かさばり、重く、かつ高価となり、最適な信頼性及び応答性を特徴としない。
【発明の概要】
【0012】
したがって、本発明に割り当てられた目的は、前述の異なる欠点を克服すること、及び堅牢でコンパクトで軽く、製造コストが制御され、容易で、かつ実装が迅速である、新しい適応光学デバイスを提供することを意図している。
【0013】
本発明に割り当てられた別の目的は、単純かつ信頼性の高い構造を有する新しい適応光学デバイスを提供することを意図している。
【0014】
本発明に割り当てられた別の目的は、設計により光学システム内の容易で迅速かつ安価な設定を可能にする、新しい適応光学デバイスを提供することを意図している。
【0015】
本発明に割り当てられた別の目的は、例えば、制御された、正確な、かつ迅速な方法で入射波面を変形させるために、特に単純で、信頼性が高く、かつ制御された方法でその変形可能なプレートの所望の曲率(凹面又は凸面)を生成するように適合された、新しい適応光学デバイスを提供することを意図している。
【0016】
本発明に割り当てられた別の目的は、反射及び/又は屈折によって光学収差を導入又は補正するための実装が特に容易であり、同時にサービス及び設定が容易かつ迅速である、新しい適応光学デバイスを提供することを意図している。
【0017】
最後に、本発明に割り当てられた別の目的は、非常に簡略化され、かつ軽い構造を有しながら、正確なかつ制御された方法で優れた様々な変形振幅を得ることを可能にする、新しい適応光学デバイスを提供することを意図している。
【0018】
更に、本発明に割り当てられた別の目的は、特に信頼性が高く、コンパクトで、応答性が優れ、軽く、かつ堅牢である、適応光学デバイスを得ることを可能にしながら、実装が容易で迅速かつ安価である適応光学デバイスを製造する新しい方法を提供することを意図している。
【0019】
本発明に割り当てられた目的は、屈折及び/又は反射によって入射波面を変形させることを意図した変形可能なプレートを含む適応光学デバイスであって、少なくとも、
変形可能なプレートに固定的に取り付けられた脚部と、
変形可能なプレートに対して固定されたフレームと、
複数の周辺アクチュエータと、
を更に備え、
各脚部が、周辺アクチュエータのうちの少なくとも1つそれぞれに接続された可動部分を備え、周辺アクチュエータのうちの少なくとも1つそれぞれが脚部を局所的に変形させることができるようになっており、脚部が変形可能なプレートに変形力を伝達するようになっており、各脚部が、フレームに対して不動化されるように、フレームに固定的に取り付けられたそれぞれの固定部分を更に備える、ことを特徴とする、適応光学デバイスを使用して達成される。
【0020】
本発明に割り当てられた目的はまた、屈折及び/又は反射によって入射波面を変形させることを意図した変形可能なプレートを作製又は用意する一次ステップを含む、適応光学デバイスを製造する方法を使用して達成され、この方法は、少なくとも、
変形可能なプレートに固定的に取り付けられた脚部を作製する二次ステップと、
各脚部のそれぞれの可動部分が少なくとも1つのそれぞれのアクチュエータに接続され、少なくとも1つのそれぞれのアクチュエータが脚部を局所的に変形させることができるようになっており、脚部が変形力を変形可能なプレートに伝達するようになっている、装備ステップと、
各脚部のそれぞれの固定部分が、変形可能なプレートに対して不動化されるように、変形可能なプレートに対して固定されたフレームに固定的に取り付けられる、締結ステップと、
を更に含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の他の特徴及び利点は、例示的かつ非限定的な実施例としてのみ提供される、添付の図面を参照して、以下に行われる説明を読むと、より詳細に現れて見えるだろう。
図1】プレートの隠れた面側で見た、本発明の適応光学デバイスの一実施例のサジタル面による断面を斜視図により示す。
図2図1の適応光学デバイスのサジタル面による断面を概略側面図により示す。
図3】変形可能なプレートと脚部との間に鈍角二面角を有し、フレームを有さず、かつアクチュエータを有さない、適応光学デバイスの特定の実施形態のサジタル面による断面を概略側面図により示す。
図4】変形可能なプレートと脚部との間に鋭角二面角を有し、フレームを有さず、かつアクチュエータを有さない、適応光学デバイスの別の特定の実施形態のサジタル面による断面を概略側面図により示す。
図5】変形可能なプレートと脚部との間に直角二面角を有し、フレームを有さず、かつアクチュエータを有さない、適応光学デバイスの更に別の実施形態のサジタル面による断面を示す。
図6】丸みを帯びた形状の脚部を有し、フレームを有さず、かつアクチュエータを有さず、変形可能なプレートと脚部との間に鈍角二面角を有する、適応光学デバイスの更に別の実施形態のサジタル面による断面を示す。
図7】変形可能なプレートをその入射面側で見た、図9の適応光学デバイスの脚部を備えたプレートを斜視図により示す。
図8】変形可能なプレートをその隠れた面側で見た、脚部のそれぞれが本明細書ではそれぞれの周辺アクチュエータを備える、図9のプレート及び脚部を斜視図により示す。
図9】本発明の適応光学デバイスの一実施例を斜視図により示す。
図10】中央アクチュエータを更に備える、図9の適応光学デバイスを作製する本発明による製造方法の第1の代替形態を斜視図により示す。
図11図9の適応光学デバイスを作製する本発明による製造方法の第2の代替形態の一部分を斜視図により示す。
図12】プレートの隠れた側で見た、本発明の適応光学デバイスの六角形の変形可能なプレート及び台形脚部の一実施形態を斜視図により示す。
図13】プレートの隠れた面で見た、本発明の適応光学デバイスの変形可能なプレート及び脚部の別の実施形態を斜視図により示す。
図14】プレートの隠れた面で見た、本発明の適応光学デバイスによる変形可能なプレート及び脚部の特定の実施形態を斜視図により示す。
図15】変形モードの一実施例の等高線を有するように、変形可能なプレートがアクチュエータによって変形されている、本発明による適応光学デバイスを斜視図により示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図に示す第1の態様によれば、本発明は、適応光学デバイス1に関する。
【0023】
したがって、適応光学デバイス1は、有利には、適応光学の使用を必要とするシステム、例えば、顕微鏡観察システム、天体観測システム、大気乱流視覚補正システム、画像拡大若しくは縮小システム、ズームシステム、画像歪みシステム、又は眼科撮像システムで使用されることが意図されている。
【0024】
本発明によれば、かつ図に表されるように、適応光学デバイス1は、屈折及び/又は反射によって入射波面を変形させることを意図した変形可能なプレート2を含む。
【0025】
好ましくは、適応光学デバイス1は、変形可能なミラー及び/又は適応レンズを構成する。例えば、適応光学デバイス1は、光波面(又は光線)における光学収差を導入又は補正することを意図している。したがって、適応光学デバイス1は、有利には、例えば、波面における光学収差を導入又は補正するために、特に、入射波面を動的に、すなわち、修正可能な、かつ制御された方法で反射するように、変形可能なミラーを構成する場合に、設計されている。好ましくは、適応光学デバイス1は、例えば、波面における光学収差を導入又は補正するために、特に、入射波面を動的に、すなわち、修正可能な、かつ制御された方法で屈折させるように、適応レンズを構成する場合に、設計されている。例えば、適応レンズは、入射波面を変形させるように、屈折性媒体、例えば、空気又はレンズの環境よりも屈折性の媒体を構成する。例えば、変形可能なプレート2は、適応レンズの面のうちの1つを形成し、適応レンズは、特に流体、又は固体、及び更にはガスなどの少なくとも1つの屈折材料を含み、屈折材料は、1とは異なる、具体的には1より大きい屈折率を有する。好ましくは、適応レンズは、具体的には変形可能なプレート2のレベルで、少なくとも部分的に変形可能である。
【0026】
有利には、任意の外部影響がない場合、変形可能なプレート2は、その単なる構造によって、概ね平面状の又は湾曲した形状を有する。例えば、変形可能なプレート2は、わずかに反っている、すなわち、凸状(又は視点に応じて、わずかに凹状)である。好ましくは、少なくとも局所的に(すなわち、少なくとも変形可能なプレート2の表面積の一部分にわたって)平面として考慮される(わずかに)反った変形可能なプレート2の表面について、変形可能なプレート2の凸面(又は視点に応じて、凹面)は、十分に小さく、すなわち、変形可能なプレート2の寸法と比較して相対的に大きな曲率半径を有する。
【0027】
好ましくは、かつ図に表されるように、静止時に、変形可能なプレート2は、実質的に広がりの第1の平均平面Pに従って延びる。したがって、静止時に、すなわち、有利には、例えば、アクチュエータによって、変形可能なプレート2に加えられる任意の変形機械的負荷がない場合に、プレートは、有利には、好ましくはその厚さの大部分、ほぼ全て、又は全てにわたって変形可能なプレート2と交差する、広がりの第1の平均平面P内に(それが平面状である、又はわずかに反っているかにかかわらず)内接する。
【0028】
有利には、変形可能なプレート2は、特にその表面に加えられる外力の作用、特に少なくとも1つのアクチュエータによって加えられる力によって変形する、薄い変形可能なプレートである。
【0029】
好ましくは、変形可能なプレート2は、比較的可撓性であるが、更にいくらかの機械的強度を有する材料から製造され、それにより、最小の外部圧力又は張力を受けない限り、少しだけ変形する、又は全く変形しない。したがって、有利には、変形可能なプレート2は、いくらかの機械的強度を有し、たるんでいないが、わずかな弾性変形を受けるのに十分ないくらかの柔らかさ及びいくらかの可撓性を有し、すなわち、特にアクチュエータ(以下でより詳細に説明する)によって、特に曲げの負荷を受ける場合に可逆的である。
【0030】
好ましくは、変形可能なプレート2は、主に、シリコン、金属(例えば、鋼又はアルミニウム)、合金、ポリマー(単数又は複数)、複合材料(単数又は複数)、セラミック(単数又は複数)、ガラス質非晶質材料(単数又は複数)(例えば、Pyrexなどの有機又は無機ガラス)、石英若しくはその誘導体、又は特に前述の材料のうちのいくつかの異なる材料のアセンブリで作製される。有利には、変形可能なプレート2は、実質的に5~500μmの平均厚さを有する。好ましくは、本発明によって目的とする機能のために、変形可能なプレート2は、比較的適度なサイズを有する。例えば、変形可能なプレート2は、5~300mmの直径(具体的には、変形可能なプレート2が円形である場合)及び/又はより大きな寸法(具体的には、変形可能なプレート2が楕円形又は長方形の場合など、長さ)を有する。
【0031】
好ましくは、かつ図に示すように、変形可能なプレート2は、幾何学的中心C、例えば、質量中心及び/又は重心を有する。
【0032】
好ましくは、変形可能なプレート2は、周辺縁部11を有する。例えば、かつ具体的には図1図7図11図13、及び図14に示すように、変形可能なプレート2は、実質的に円形又は楕円形の全体的形状を有する。したがって、変形可能なプレート2を画定する周辺縁部11は、有利には、これらの最後の2つの実施例において、円又は楕円形を見出す。あるいは、変形可能なプレート2は、三角形、長方形、正方形、台形の形状、又は任意の他の好適な幾何学的形状若しくは多角形を有する。したがって、周辺縁部11は、図12に示すように、多角形、例えば、長方形、又は六角形を代替的に描く。
【0033】
本発明によれば、変形可能なプレート2は、波面を受け入れることを意図した入射面3を有する。好ましくは、入射面3は、適応光学システムにおいて用途を実行するのに有用な光学面を備え、又は形成し、光学面は、好ましくは、入射波面を受け入れることを意図している。入射面3(より具体的には、光学面)は、好ましくは、入射波面を受け入れることを意図した実質的に滑らかな表面を有し、変形可能なプレート2及び/又は入射面3は、変形可能なプレート2が能動的に変形したときに光学収差を導入又は補正するように設計されている。したがって、変形可能なプレート2は、好ましくは、いくつかの変形構成に従って可逆的に変形されることを意図しており、そのうちの1つが図15に示されている。したがって、入射面3は、有利には、いかなる不均一又は凹凸なしに、平坦であり(すなわち、一体的に作製されている、視覚的、物理的、かつ機械的連続性を有する)、好ましくは、入射波面を受け入れることを意図している。
【0034】
有利には、変形可能なプレート2は、具体的には入射面3を介して、入射波面を受け入れ、変形した(具体的には、反射及び/又は屈折した)波面を放出するように、制御された方法でそれを変形させるように設計されている。より具体的には、変形可能なプレート2は、好ましくは、以下のことをするために、入射波面を受け入れるように設計されている。
具体的には適応光学デバイス1が変形可能なミラーである場合には、反射波面の形態で(変形を伴って)それを反射するため、及び/又は
具体的には適応光学デバイス1が適応レンズである場合には、屈折波面の形態でそれを屈折させる(すなわち、変形を伴ってそれを透過する)ため。
【0035】
例えば、反射及び/又は屈折したビームは、入射波面に存在しない光学収差、又は入射波面に存在する光学収差の補正、又はその両方のいずれかを有する。好ましくは、したがって、反射波面及び/又は屈折波面は、入射波面と比較して変形されている。言い換えれば、適応光学デバイス1は、定義によって、所望の修正、入射波面、入射波面の入射角、媒体などに従って適応可能であるため、適応光学デバイス1は、有利には、制御された方法で、それにより、いくつかの連続する構成に従って、入射波面を変形させるように設計されている。任意選択的に、適応光学デバイスは、入射波面の一部分を反射し、かつ別の部分を屈折させるように設計することができる。
【0036】
有利には、変形可能なプレート2は、入射面3の反対側の隠れた面4を更に有する。したがって、有利には、入射面3及び隠れた面4は、変形可能なプレート2の反対側の面上にある。したがって、変形可能なプレート2は、有利には、静止時に、概ね平面状の又は代替的に湾曲した形状を有し、入射面3及び隠れた面4は、変形可能なプレート2の厚さによって分離されており、厚さは、好ましくは、変形可能なプレート2の面3、4の広がりの半径方向と比較して、相対的に小さい。第1の代替形態によれば、入射面3は、(少なくとも局所的に)隠れた面4に実質的に平行である。別の代替形態によれば、特に適応光学デバイス1が適応レンズ(又は特定の変形可能なミラー)であるいくつかの場合では、入射面3は、隠れた面4に平行ではなく、変形可能なプレート2は、例えば、変形可能なプレート2の2つの反対側の面上で反っている、すなわち、言い換えれば、入射面3及び隠れた面4の両方上で実質的に凸状である、又は反対に入射面3及び隠れた面4の両方上で実質的に凹状である。
【0037】
適応光学デバイス1が変形可能なミラーを構成する場合、入射面3は、有利には反射面を形成する。当然のことながら、適応光学デバイス1が適応レンズを構成する場合、入射光線は、有利には、入射面3を介して変形可能なプレート2に入ることによって、及び隠れた面4を介して変形可能なプレート2を出ることによって、変形可能なプレート2を横断する。したがって、変形可能なプレート2の厚さは、入射波面の変形に関与し得るが、隠れた面4は、次いで、入射波面の観点からのみ、「隠れている」。
【0038】
有利には、変形可能なプレート2は、例えば、変形可能なプレート2の周囲に、より具体的には周辺縁部11に加えられる力並びに/又は圧縮力及び/若しくは引張力の対を受けることを意図しており、可逆的に(すなわち、有利には、弾性領域において)、制御された、かつ適切な方法で、すなわち、適応光学デバイス1が適応光学システムでその機能を満たす満足のいく方法で変形可能なプレート2を変形させることを可能にする。好ましくは、力及び/又は対の力は、例えば、反対側の入射面3上に凸面又は凹面を生成するために、隠れた面4の側及び/又は隠れた面4に加えられる。
【0039】
好ましくは、入射面3及び隠れた面4は、変形可能なプレート2と共に一体的に作製され、例えば、同じ材料で機械加工されている。あるいは、変形可能なプレート2は、互いに固定された、例えば、接着された、いくつかのプレート部分によって構成され、プレート部分のうちの1つは、入射面3(又は入射面3の一部分、例えば、光学面)を備え、プレート部分のうちの別の1つは、隠れた面4を備える。
【0040】
本発明によれば、かつ図に示すように、適応光学デバイス1は、変形可能なプレート2に固定的に取り付けられた脚部5を更に備える。したがって、脚部5は、有利には、変形可能なプレート2に固定され、それにより、永久的で非可逆的な方法で固定されている。言い換えれば、脚部5は、好ましくは、変形可能なプレート2と埋め込み接続にある。有利には、脚部5は、互いに別個であり、すなわち、好ましくは、互いに直接接続されておらず、脚部5はまた、有利には、互いから離れている。例えば、各脚部5は、その表面に加えられる外力の作用、具体的には少なくとも1つのアクチュエータによって加えられる力によって、変形する、かつ/又は有利に移動する、例えば、折り畳まれる、薄い変形可能なプレートの一部分の形態である。好ましくは、脚部5は、いかなる顕著な中間要素(可能な接着剤、溶接ビードなど以外)なしに、好ましくは、剛性であり、かつ/又はいくらかの機械的強度を有するいかなる中間要素なしに、変形可能なプレート2に直接取り付けられている。
【0041】
好ましくは、脚部5のいずれも、他の脚部5に直接固定されていない、すなわち、例えば、他の脚部5が折り畳まれる、若しくは移動されることなしに、又は少なくとも考慮される脚部5と同じ方法でこれらが折り畳まれる、若しくは移動されることなしに、脚部5のうちの1つを折り畳むことが可能であってもよい。好ましくは、脚部5は、周辺縁部11を介して変形可能なプレート2に取り付けられ、実質的に細長くてもよい。好ましくは、各脚部5は、好ましくは周辺縁部11から、幾何学的中心Cに対して半径方向に、例えば、具体的には図1図3及び図7図14に示すように、外向きに、又は図4に示すように、別の実施例に従って内向きに、変形可能なプレート2から延びる。有利には、図に示すように、脚部5は、幾何学的中心Cの周りに均一に角度的に分布している。図に示すように、脚部5の全ては、例えば、互いに実質的に同一であるが、いくつかの脚部5が他のものよりも相対的に大きい、かつ/又は厚い、かつ/又は剛性が高い、かつ/又は長いことも可能であってもよい。特定の実施形態によれば、各脚部5は、好ましくは、図1図4及び図7図14の実施形態に示されるように、脚部5全体にわたって脚部5を形成する材料を通過する直線状の直線セグメントが存在するように、広がりの1つの(単一の)対応する長手方向軸のいずれかの側に規則的な方法で延びる。好ましくは、広がりの各軸は、変形可能なプレート2に対して実質的に垂直に延び、かつ幾何学的中心Cを通過する、中心軸を通過する。
【0042】
有利には、図に表される特定の実施形態に示すように、周辺縁部11は、脚部5とのその接続部を除いて、自由である。言い換えれば、周辺縁部11は、好ましくは、脚部5を除いて、任意の構造(変形可能なプレート2以外)に接続されていない。そのような「自由な」周辺縁部構成11は、それにより、例えば、以下でより詳細に説明する周辺アクチュエータ7を使用して、脚部5に任意の大きな力を加えることなく、変形可能なプレート2の多種多様な可能な変形振幅を得ることを可能にする。
【0043】
好ましくは、周辺縁部11は、有利には、著しい過度な厚さを有しておらず、例えば、変形可能なプレート2の残りの部分よりも3倍以下、好ましくは2倍以下の厚さである。具体的には、周辺縁部11は、有利には、場合により、25%以下、より好ましくは15%以下の許容差で、変形可能なプレート2の残りの部分と同様の厚さを有する。好ましくは、図に示すように、各脚部5は、スペース6によってそれに隣接する脚部5から分離されている。したがって、各脚部5は、有利には、脚部5によって互いに分離されたスペース6のうちの2つによって境界付けられている。例えば、スペース6は、図に示すように、かなり広く、具体的には、脚部5と同じくらい広い、若しくは脚部5より広い、又はむしろ狭く、脚部5よりも狭く、スペース6は、次いで、好ましくは、溝(又はスロット)により形成される。脚部5は、好ましくは、互いに直接接続されておらず、スペース6は、有利には開放貫通である。有利には、プレート2及び後者に取り付けられた脚部5は、一緒に、いくつかの分岐を有する星形の形態で一体的に変形可能な本体を形成し、各分岐は、脚部2のうちの1つによって形成されている。あるいは、変形可能なプレート2及び脚部5は、円形の全体的構造を一緒に形成し、各脚部5は、有利には、円形の全体的構造を有するセットのそれぞれの円形セクタのそれぞれの周辺部分を形成する。任意選択的に、脚部5の各々は、変形可能なプレート2を取り囲む花弁状の形状及び配置を有する。有利には、周辺縁部11は、スペース6において、自由部分、したがって、任意の構造(当然のことながら、変形可能なプレート2、変形可能なプレート2に属する自由部分以外)に接続されていない部分を有する。より具体的には、自由部分は、スペース6を部分的に画定することができる。言い換えれば、有利には、周辺縁部11は、隣接する脚部5の各対の間に、任意の構造に接続されていない(前述のような)それぞれの自由部分を備える。
【0044】
第2の態様によれば、本発明は、適応光学デバイス1を製造する方法に関する。好ましくは、この方法は、上記及び以下に記載される適応光学デバイス1を製造するために実施される。したがって、適応光学デバイス1に関する以前の説明、並びに以下の説明は、好ましくは、本発明による製造方法にも適用され、その逆も同様であり、製造方法に関する以下の説明は、好ましくは、本発明による適応光学デバイス1にも適用される。
【0045】
したがって、本発明の第2の態様によれば、製造方法は、屈折及び/又は反射によって入射波面を変形させることを意図した変形可能なプレート2を作製又は用意する一次ステップを含む。
【0046】
更に本発明によれば、製造方法は、変形可能なプレート5に固定的に取り付けられた脚部5を作製する少なくとも1つの二次ステップを更に含む。例えば、図に示すように、適応光学デバイス1は、好ましくは、少なくとも4つの脚部5、具体的には4~20個の脚部5、例えば、図7図10に示すように8つの脚部5、又は図13に示すように別の実施例による4つの脚部5、又は図11及び図12に示すように更に別の実施例による6つの脚部5、又は図1に示すように更に別の実施例による18個の脚部5、又は図14に示すように更に別の実施例による11個の脚部5を備える。したがって、適応光学デバイス1の脚部5の数は、ほとんどの図に示すように、偶数、又は図14に示すように、奇数であってもよい。
【0047】
具体的には図1図7図10、及び図12図14に示す、第1の代替形態によれば、脚部5は、変形可能なプレート2と一体的に作製され、一次及び二次作製ステップは、例えば、少なくとも部分的に同時に起こり、具体的には、図10に示すように、未加工プレート12を切断して、脚部5及び変形可能なプレート2を形成する共通のステップを含む。最後の場合では、変形可能なプレート2の周辺縁部11は、具体的には、図9図12、及び図13の脚部5の先端部の点線で表されるように、プレート2の本体と脚部5との間の仮想限界によって、少なくとも部分的に形成することができる。したがって、この実施例によれば、プレート5は、好ましくは、例えば、脚部5を形成するために、スペース6を未加工プレート12の厚さに形成し、同時に、有利にスペース6を含まず、かつ変形可能なプレート2の少なくとも一部を形成する、中央領域を画定することによって、同じ未加工プレート12から作製される。したがって、各脚部5は、有利には、未加工プレート12の厚さに形成されたクリアランス(スペース6)によって、それに直接隣接する脚部5から分離されている。好ましくは、未加工プレート12は、一体的に作製されている。この実施例によれば、変形可能なプレート2(又はその少なくとも1つの部分)及び/又は脚部5は、好ましくは、図10の最初の2つの図面によって示されるように、未加工プレート12の縁部の切り抜きから少なくとも部分的に、好ましくは完全に、形成される。共通の切断ステップの利点の1つは、脚部5及び変形可能なプレート2を一体的に、かつ1つの単一の動作で形成することを可能にし、それによって、優れたかつ容易に複製可能な機械的強度を保証することである。
【0048】
第2の代替形態によれば、図11に具体的に示すように、具体的には二次作製ステップ中に、脚部5は、変形可能なプレート2上に取り付けられる。例えば、二次作製ステップは、例えば、溶接、接着、及び/又はろう付けによって、脚部5を変形可能なプレート2に固定するステップを含む。この代替形態によれば、一方で変形可能なプレート2及び他方で脚部5は、互いに独立して形成される。この最後の場合、適応光学デバイス1は、好ましくは変形可能なプレート2の周辺縁部11のレベルで、各脚部5と変形可能なプレート2との間の溶接及び/又は接着界面を備える。次いで、スペース6は、二次作製ステップ中に、脚部2を互いからある距離を置いて変形可能なプレート2に取り付けることによって、単純に形成される。固定するステップの利点の1つは、脚部5及び変形可能なプレート2を別々に形成することを可能にし、例えば、成形、機械加工、又は任意の他の好適な手段によって別々に、製造するのがより容易であることである。
【0049】
好ましくは、具体的には固定するステップ中に、脚部5の少なくとも一部(又は全体)は、以下のように変形可能なプレート2に固定される。
図11に示すように、変形可能なプレート2の縁部の上に、例えば、周辺縁部11上に、
変形可能なプレート2の上に、より具体的には入射面3上に、脚部5は、例えば、入射面3に対して事前に部分的に押圧される、及び/又は
変形可能なプレート2の下に、より具体的には隠れた面4の上に、脚部5は、例えば、隠れた面4に対して事前に部分的に押圧される。
【0050】
当然のことながら、例えば、脚部5のいくつかが変形可能なプレート2の縁部上に固定されるが、他のものは変形可能なプレート2の上及び/又は下に固定されることが全く可能であり、適応光学デバイス1の所望の使用及び設計に応じて、全ての適切な組み合わせが可能である。
【0051】
更に別の代替形態によれば、変形可能なプレート2及び脚部5は、変形可能なプレート2と、変形可能なプレート2に取り付けられ、かつスペース6によって互いに分離された脚部5と、を有利に備える一体的に成形されたセットの成形品から形成される。別の代替形態によれば、脚部5のいくつかは、変形可能なプレート2に取り付けられ、脚部5の他のものは、具体的には成形及び/又は切断によって、変形可能なプレート2と一体的に作製される。この実施例によれば、変形可能なプレート2を作製又は用意する一次ステップ及び複数の脚部5を作製する二次ステップは、変形可能なプレート2及び脚部5を備える、有利には一体的に、成形されたセットを成形するステップ中に、同時に起こる。この最後の実施例では、成形されたセットは、互いに分離した横方向脚部を備える変形可能なプレート2を形成するように、例えば、溶融材料で成形され、横方向脚部は、脚部5を形成する。更に別の代替形態によれば、変形可能なプレート2は、一次ステップ中に用意され、すなわち、すぐに使用できるように配送される。
【0052】
本発明によれば、適応光学デバイスは、複数の周辺アクチュエータ7を備える。更に本発明によれば、各脚部5は、周辺アクチュエータ7が脚部5を局所的に変形させることができ、その結果、脚部5が変形力を変形可能なプレート2に伝達するように、周辺アクチュエータ7の少なくとも対応する1つに接続された可動部分22を備える。したがって、可動部分22は、好ましくは、周辺アクチュエータ7に接続され、かつ周辺アクチュエータ7の作動によって移動可能にされた、脚部5の一部分からなる。したがって、各可動部分5は、好ましくは、周辺アクチュエータ7のうちの1つに接続されている。より好ましくは、各可動部分22は、複数の周辺アクチュエータ7の中で1つの単一の対応する周辺アクチュエータ7に接続されている。逆に、有利な方法では、各周辺アクチュエータ7は、可動部分22のうちの1つのみに接続されている。したがって、各周辺アクチュエータ7は、好ましくは、脚部5のうちの1つのみに接続されている。
【0053】
したがって、有利には、各周辺アクチュエータ7は、変形可能なプレート2を変形させるように、可動部分22を変位させることを意図しており、脚部5は、具体的には周辺縁部11のレベルで、周辺アクチュエータ7によって付与された変形の一部分を変形可能なプレート2に伝達する。言い換えれば、適応光学デバイス1は、好ましくは、複数の周辺アクチュエータ7を備え、それらの各々は、脚部5の対応する1つに接続されて、脚部5の対応する可動部分22のレベルでそれを変形させる。有利には、各対応する周辺アクチュエータ7は、可動部分22と呼ばれるこの脚部5の一部分のレベルで、脚部5の局所変位及び/又は変形を引き起こすように、対応する脚部5に圧縮力又は引張力を及ぼすように設計されている。この変位及び/又はこの変形により、具体的には、入射面3上で反射された、かつ/又は変形可能なプレート2を介して屈折されたときに、入射波面を変形させるために、脚部5が有利に接続されているレベルで、好ましくは周辺縁部11を介して、変形可能なプレート2への変形力の印加をもたらす。これにより、変形可能なプレート2の曲率(したがって、有利には、その入射面3の曲率)を少なくとも局所的に変形させることによって、変形可能なプレート2を効果的に変形させて、変形可能なプレート2によって反射及び/又は屈折された波面における光学収差を導入又は補正することが可能になる。これにより、曲率が、脚部5上の周辺アクチュエータ7によって加えられる力に従って少なくとも局所的に変化することになる。例えば、各周辺アクチュエータ7は、変形可能なプレート2の同じ側に、好ましくは隠れた面4の側に、又は代替的に入射面3の側に、配置されている。好ましくは、全ての周辺アクチュエータ7は、第1の平均平面Pの同じ側にある。あるいは、周辺アクチュエータ7のうちの少なくとも1つは、隠れた面4側に配置され、周辺アクチュエータ7の少なくとも別の1つは、入射面3側に配置され、したがって、(2つの)周辺アクチュエータ7は、第1の平均平面Pのいずれかの側に配置されている。したがって、好ましくは、各脚部5は、アクチュエータ7が可動部分22を変位させると、それが接続されたアクチュエータ7によって局所的に変形されるのに十分な可撓性、及び周辺縁部11を介して変形力を伝達することによって、変形可能なプレート2の形状に影響を及ぼすためのいくらかの十分な機械的強度の両方を有する。有利には、周辺アクチュエータ7は、考慮される技術分野で知られているものを含む、任意のタイプ(圧電、磁気、2つの部分の、機械的、ねじ付き、など)のものであってもよい。例えば、周辺アクチュエータ7は、接着点を介して脚部5に接続され、それによって、可動部分22を画定し、可動部分22の表面に局所的に引張力又は圧縮力を伝達して、それを変位させ、したがって、プレート5に固定されている変形可能なプレート2を変形させる。
【0054】
本発明の第1の態様によれば、適応光学デバイス1は、変形可能なプレート2に対して固定されたフレーム21を更に備える。言い換えれば、フレーム21は、有利には、変形可能なプレート2が変形して、制御された方法で入射波面を変形させるときに、不動のままである。例えば、周辺アクチュエータ7は、図2に具体的に示すように、2つの部分の磁気タイプであってもよく、周辺アクチュエータ7の可動部分は、対応する脚部5に接続されており、周辺アクチュエータ7の不動部分は、フレーム21に接続されている。一般に、有利には、フレーム21はまた、移動可能である(又は、少なくとも、そのアクティブ部分が移動可能である)周辺アクチュエータ7に対して固定されていると考えることが可能である。
【0055】
特定の実施例によれば、周辺縁部11は、フレーム21に(直接)接続されていない(しかし、脚部5を介して間接的に接続されている)。
【0056】
例えば、フレーム21は、図1図2図9図10、及び図14に示すように、変形可能なプレート2の形状と同じ種類の形状を有する周辺本体、例えば、変形可能なプレート2が円形であるときの円形周辺本体、又は変形可能なプレート2が長方形であるときの長方形周辺本体など、を有する。例えば、特に変形可能なプレート2が実質的に円形又は楕円形の全体的形状を有する場合、フレーム21は、有利には、剛性リング8を備え、その中央に、脚部5を備えた変形可能なプレート2が配置されている。具体的には、リング8(及びより一般的には、周辺本体)は、変形可能なプレート2及び脚部5を取り囲むように設計されている。例えば、リング8は、例えば、ガイド曲線が円形又は多角形である、シリンダのように成形されている。
【0057】
フレーム21は、図のほとんど(及びリングについては、具体的には図1図9図10)に示すように、一体的に、すなわち、リング8と同じ方法で1つの単一ブロックに形成されていてもよく、又は代替的に、図13に示すように、不連続な態様を有することができ、フレーム21は、例えば、脚部5に接続され、かつ互いからある距離を置いて配置された、アーム30(又はねじ若しくはリベット)を備え、したがって、アーム30は、変形可能なプレート2に対して固定されており、好ましくは、周辺アクチュエータ7に対して固定されている。任意選択的に、フレーム21は、図2に示すように、支持体31を更に備え、支持体31は、例えば、埋め込み接続を介して支持体31上に置かれたリング8に接続されている。周辺アクチュエータ7(又は後で見られるように、追加のアクチュエータ29)は、支持体31に対して部分的に置かれ、かつ並進でそれに接続されていてもよく、すなわち、周辺アクチュエータ7(又は追加のアクチュエータ29)のアクティブ部分は、支持体31に対して、より一般的にはフレーム21に対して、並進移動を実行することができるように設計されている。
【0058】
本発明によれば、かつ図に具体的に示すように、各脚部5は、フレーム21に対して不動化されるように、フレーム21に固定的に取り付けられた、それぞれの固定部分23を更に備える。好ましくは、固定部分23は、フレーム21に対して1つの締結方向Fに従って少なくとも並進で不動化されており、すなわち、固定部分23は、少なくとも締結方向Fに従ってフレーム21に対して並進移動を実行することができないように、したがって、図2に具体的に示すように、少なくとも締結方向Fに従ってフレーム21から逸脱することができない、又はそれに近づくことができないように、フレーム21に締結されている。好ましくは、締結方向Fは、入射面3に垂直な線、すなわち、入射面3側の変形可能なプレート2の表面の1つの点で垂直な線によって形成されている。一実施例によれば、締結方向Fは、特に変形可能なプレート2が反っている場合(しかし、これは、それが平坦である場合にも適用される)、入射面3の1つの点で接する平面に垂直な線によって形成されている。前述の実施例と互換性がある別の実施例によれば、締結方向Fは、特に変形可能なプレート2が実質的に平面状である場合(しかしながら、これは、それがわずかに反っている場合にも適用される)、広がりの第1の平均平面Pに垂直な線によって形成されている。
【0059】
第1の代替形態によれば、固定部分23は、フレーム21に対して任意の自由度を有さないが、他の代替形態によれば、固定部分23は、フレーム23に対して1つ又はいくつかの自由度を有する。
【0060】
例えば、固定部分23は、
フレーム21と埋め込み接続にあり、したがって、フレーム21に対して任意の自由度を有さない、又は
フレーム21と枢動接続にあり、したがって、フレーム21に対して少なくとも1つの自由度を有する、又は
フレーム21とボールジョイント接続にあり、したがって、フレーム21に対して少なくとも2つの自由度を有する。
【0061】
固定部分23はまた、自由並進の、したがって、有利には締結方向Fとは異なる、1つ又は2つの方向に従って、フレーム21に対して並進で1つ又は2つの自由度を有することができる。したがって、自由並進の方向(単数又は複数)は、好ましくは、締結方向Fと一致しない、かつそれと非平行であり、例えば、締結方向Fに対して垂直であり、かつ/又は互いに垂直である。
【0062】
したがって、固定部分23は、フレーム21から逸脱することができず、好ましくはフレーム21に対して移動することができず(埋め込まれている)、フレーム21に依存する。それにもかかわらず、先に開示されたように、固定部分23は、固定点でフレーム21に取り付けられたままである間に、フレーム21に対してその向きを変化させる(枢動又はボールジョイント接続)ことが代替的に可能である。したがって、脚部5の固定部分23は、有利には、変形可能なプレート2に対して局所的に垂直な軸(例えば、図2に示す実施例では、締結方向Fに対応する)に従って、少なくとも並進で固定されており、他の自由度(2つの並進及び3つの回転)は、固定されていてもよく、又は固定されていなくてもよい。言い換えれば、固定部分23は、好ましくは、少なくとも締結方向Fに従ってフレーム21に対して並進で不動化されているが、固定部分23は、場合により、代替形態に従って、フレーム21に対して並進で1つ若しくは2つの自由度、及び/若しくは回転で1つ、2つ、若しくは3つの自由度を有することができ、又はフレーム21に対して自由度を有さない、すなわち、フレーム21に対して完全に不動化されていてもよい。
【0063】
したがって、各脚部5は、有利には、それぞれの固定部分23を有し、これは、フレーム21に対して不動化されている、すなわち、少なくとも並進でフレーム21に対して不動化されているように、フレーム21にしっかりと接続されている。好ましくは、固定部分23は、フレーム21と直接又はほぼ直接接触してフレーム21に取り付けられている。有利には、固定部分23は、脚部5の局所的変形、又はより具体的には可動部分22の変位に関係なく、かつ変形可能なプレート2の変形に関係なく、有利に固定されているフレーム21に対して、特に並進で、移動しない。有利には、これにより、一方で可動部分22のレベルで脚部5に接続されたそれぞれの周辺アクチュエータ7により各脚部5を変位させることによって、他方では、周辺アクチュエータ7からの任意の過度の力なしに、フレーム21へのその固定部分23により脚部5に「付勢力」又は「保持力」を加えることによって、力の対を変形可能なプレート2の表面に加え、脚部5のそれぞれの固定部分23のそれぞれをフレーム21に締結して、変形可能なプレート2の変形の制御を確実にすることが可能になる。したがって、固定部分23と可動部分22との考慮される脚部5による組み合わせにより、有利には、一方で周辺アクチュエータ7によって及ぼされる変形力により、かつ他方では、固定部分23の(一定かつなんらの較正の必要がない)保持力又は付勢力により、生成されたレバー効果及び/又は対により、変形可能なプレート2の変形の振幅を正確に制御し、同時に、周辺アクチュエータ7の数及び/又はそれらの電力、並びに脚部5の数を合理化することが可能になる。例えば、アクチュエータ(以下に記載される周辺アクチュエータ7及び/又は追加のアクチュエータ29)の数は、変形可能なプレート2の可能な変形モード又はプロファイルの数に正確に又はほぼ(例えば、+/-2)対応する。
【0064】
フレーム21が不連続である場合、アーム30のそれぞれは、例えば、図13に示すように、それぞれの固定部分23のレベルで脚部5の対応する1つに固定されている。フレーム21が一体的に作製されている場合、例えば、リング8によって形成されたフレーム21は、具体的には図1図9、及び図10に示すように、これらのそれぞれの固定部分23を介して脚部5に固定されている。いずれの場合も、フレーム21は、好ましくは、変形可能なプレート2と直接接触していない。
【0065】
本発明によれば、製造方法は、少なくとも、
各脚部5のそれぞれの可動部分22が少なくとも1つのそれぞれのアクチュエータ7に接続され、少なくとも1つのそれぞれのアクチュエータ7が脚部5を局所的に変形させることができ、その結果、脚部5が変形力を変形可能なプレート2に伝達するようになっている、装備ステップと、
各脚部2のそれぞれの固定部分23が、変形可能なプレート22に対して不動化されるように、変形可能なプレート22に対して固定されたフレーム21に固定的に取り付けられる、締結ステップと、
を更に含む。
【0066】
言い換えれば、装備ステップ中に、それぞれの周辺アクチュエータ7は、有利には、例えば、接着、溶接、ろう付け、又は任意の他の好適な締結手段によって、各脚部5に締結される。図3図6では、これらの図で表されていない各周辺アクチュエータ7は、例えば、対応する脚部5の下に位置していてもよい。
【0067】
好ましくは、特に装備ステップ中に、周辺アクチュエータ7は、変形可能なプレート2に、具体的には変形可能なプレート2の周辺縁部11に、直接接続されない。逆に、特に変形可能なプレート2並びに入射面3を変形させるために、周辺アクチュエータ7は、有利には、プレート5を介して間接的にのみ、変形可能なプレート2に作用するように配置されている。したがって、これらは、好ましくは、周辺アクチュエータ7とは別個である。本発明の適応光学デバイス1における脚部5の使用により、変形可能なプレート2の変形の優れた精度、したがって、入射波面における光学収差の補正又は導入の改善された精度を可能にするが、それは、それ自体は、変形可能なプレート2の周辺縁部11に直接接続された追加のアクチュエータ29の使用を排除するものではない。
【0068】
例えば、締結ステップ中に、脚部5は、フレーム21にリベット留め、ねじ込み、接着、ろう付け、及び/又は溶接される。この実施例によれば、締結ステップ中に、各脚部5の一部分は、対応する脚部5の固定部分23を形成するように、例えば、少なくとも1つのリベット、少なくとも1つのねじ、接着剤、溶接、ろう付け、又は任意の他の好適な取り付け手段で、フレーム21に取り付けられる。好ましくは、装備ステップは、例えば、接着、ねじ込み、リベット留め、クリップ留め、溶接、又はろう付けによって、例えば、周辺アクチュエータ7の一部分を介して、それぞれの周辺アクチュエータ7の(及び更に、以下に記載される中央アクチュエータ27を含む、それぞれの追加のアクチュエータ29の)一部分をフレーム21に接続するステップも含む。
【0069】
別の実施例によれば、製造方法は、未加工プレート12を切断して、フレーム21又はフレーム21の少なくとも1つの部分を形成する第2のステップを更に含み、第2の切断ステップは、次いで、有利には、少なくとも部分的に共通の切断ステップと同時に起こり、それにより、フレーム21は、有利には、脚部5(及び変形可能なプレート2)と一体であり、未加工プレート12からのこれらと実質的に同時に形成される。あるいは、製造方法は、すぐに取り付けることができるフレーム21を用意するステップを含む。
【0070】
脚部5のうちのそれぞれの考慮される1つについて、固定部分23は、例えば、脚部5のフレーム2に締結された表面部分を備えることができる。別の実施例によれば、固定部分23は、実質的に点であってもよく、すなわち、具体的には、締結ステップ中に、フレーム21に非常に局所的に、かつ具体的には、例えば、それぞれがねじ又はリベットによって形成された1つ又はいくつかの締結点を介して、取り付けられてもよい。
【0071】
有利には、装備ステップ中に、各脚部5は、好ましくは、1つの対応する周辺アクチュエータ7にのみ接続される。より具体的には、装備ステップ中に、各可動部分22は、好ましくは、1つの対応する周辺アクチュエータ7にのみ接続される。したがって、脚部5あたり1つの単一の周辺アクチュエータ7は、有利には、脚部5を変位させて、例えば、適応光学システムに適応光学デバイス1を使用するために、変形可能なプレート2の周囲に十分なねじれを生成するのに十分である。好ましくは、本発明による適応光学デバイス1の設計により、アクチュエータ5あたり1つの単一の周辺アクチュエータ7のみを必要とすることを可能にし、可動部分22と固定部分23との組み合わせにより、各脚部5が多種多様な振幅で変形可能なプレート2の(したがって、波面の)少なくとも1つの変形モードを働かせることを可能にし、先行技術の構成と比較して、アクチュエータの数及び/若しくはそれらの電力並びに/又はそれらのサイズ決定だけでなく、脚部の数も合理化し、それにより、本発明の適応光学デバイス1を設定及び使用することを容易にし、それによって、製造方法を実行するのが容易になる。適応光学デバイス1の実装は、特に簡単である。それは、固定部分23が、フレーム21にのみ締結される必要がある脚部5の(場合によっては、回転が依然として可能であるため、いずれの場合も並進における)「パッシブ」部分を表し、可動部分22が、脚部5の「アクティブ」部分のみを表すためである。当然のことながら、固定部分23は、好ましくは、有利にはそれらがフレーム21に対して並進で移動可能でないため、アクチュエータ7に直接接続されていない。したがって、この巧妙な構成により、先行技術の構成と比較して、本発明の適応光学デバイス1の製造コスト及び複雑さを限定することが可能になる。あるいは、各脚部5は、固定部分23によって確実にされた保持により、十分な精度で実装するために、設定及び動作が簡単であるいくつかの周辺アクチュエータ7に接続されている。この最後の代替形態によれば、装備ステップ中に、各脚部5は、図14に示すように、いくつかの対応する周辺アクチュエータ7に、例えば、2つの周辺アクチュエータ7に接続され、2つの周辺アクチュエータ7は、互いからある距離を置いて配置され、それぞれが、脚部5の異なる可動部分22に接続されている。この最後の代替形態は、多数の可能な変形プロファイルを有しながら、前述と同じ利点のうちのいくつかの利点、すなわち、変形可能なプレート2の多種多様な可能な変形振幅、並びに電力が詳細にサイズ決定された周辺アクチュエータ7を有する。前述のように、脚部5のいくつかが1つの単一の周辺アクチュエータ7に接続されており、脚部の他のものは、前述のように、いくつかの周辺アクチュエータ7に接続されていることも可能である。当然のことながら、製造方法は、有利には、周辺アクチュエータ7を用意又は製造するステップを含む。
【0072】
一実施形態によれば、固定部分23の全ては、特に埋め込まれたフレーム21/固定部分23の接続の場合、互いに対して不動である。
【0073】
特定の実施例によれば、2つの異なる対応する脚部5のそれぞれの周辺アクチュエータ7は、例えば、好ましくはその周辺縁部11を介して、変形可能なプレート2にトルクを加えることによって、変形可能なプレート2を制御された方法で変形させるために、結合して互いに従って作動されるように設計されている。更に、トルクは、特に高いことを必要とせず、固定部分23により、特に固定部分23によって誘発されるレバー効果により、有利には正確に、かつなんらの相当な力なしに、変形を制御することが可能になる。
【0074】
好ましくは、脚部5が接続されているそれぞれの周辺アクチュエータ7がその可動部分22を、例えば、それを押す又は引っ張ることによって、変位及び/又は変形させるときに、可動部分22のレベルで局所的に変形することができるために、脚部5は、柔らかい。したがって、脚部5は、有利には、それぞれの周辺アクチュエータ7によって引張力又は圧縮力を受けたときに弾性的に折り畳まれるのに十分に可撓性であるが、周辺アクチュエータ7がもはやなんらの力を加えないときにその元の形状及び位置を回復するのに十分に剛性又は弾力性であり、脚部5のこの特徴は、(脚部5を「付勢」又は「保持」するための力を及ぼす)固定部分23の存在によって強化されている。そのような構成は、適応光学デバイス1に対する優れた動作時間を保証しながら、適応光学デバイス1を容易かつ正確に較正するのに特に有利である。
【0075】
有利には、本発明の適応光学デバイス1により、変形可能かつ薄い又は非常に薄い変形可能なプレート2を実装することが可能になり、効果的かつ制御された方法で変形可能なプレート2を変形させるための周辺アクチュエータ7から予想される力は、先行技術の適応光学デバイスと比較して、著しく低減される。したがって、有利には、そのような構成により、限定された電力(及びしたがって、コスト)の周辺アクチュエータを使用することが可能になり、これにより、周辺アクチュエータ7の合理化された数(固定部分23がアクチュエータではなくフレーム21に取り付けられているため)と薄い変形可能なプレート2との組み合わせで、より多くのアクチュエータ及び/又はより強力なアクチュエータを用いたより複雑な設計を実装する先行技術の適応光学デバイスと少なくとも同じくらいに効果的である結果のために、適応光学デバイス1の著しい小型化及び軽量化が可能になる。
【0076】
有利には、図に示すように、各脚部5は、プレート2に取り付けられたそれぞれの近位端24と、近位端24の反対側のそれぞれの遠位端25との間に延びる。好ましくは、遠位端25は、変形可能なプレート2から最も遠い考慮される脚部5の部分又は端部であり、近位端24は、好ましくは、変形可能なプレート2に最も近い考慮される脚部5の部分又は端部である。
【0077】
代替形態によれば、固定部分23は、近位端24よりも遠位端25の近くに位置する。この代替形態の特定の実施形態によれば、図1図2図9、及び図10に具体的に示すように、固定部分23は、遠位端25を備え、これは、したがって、フレーム21に固定的に取り付けられている。例えば、図1に示すように、固定部分23は、対応する脚部5の遠位端25のみを備え、遠位端25は、好ましくは、リベット留め、ねじ込み、接着、溶接、ろう付けなどによって、遠位端25のみを介してフレーム21に(又はより具体的には、図1に示すように、リング8に)取り付けられている。別の実施例によれば、図2図9、及び図10に具体的に示すように、剛性リング8は、脚部2が締結される内側肩部26を有し、固定部分23は、有利には、遠位端部25に加えて、対応する脚部5の表面の一部分を備え、表面部分は、例えば、肩部26のレベルで、リング8に、より一般的にはフレーム21に取り付けられている(例えば、リベット留め、ねじ込み、接着、ろう付け、又は溶接されている)。例えば、内側肩部26は、リング8の厚さにわたって形成されたボアによって形成されていてもよく、脚部5を備えた変形可能なプレート2を容易に配置することを可能にし、これらは、それぞれの固定部分23を介して内側肩部26に当接する。一代替形態によれば、固定部分23は、遠位端25と近位端24との間に配置されてもよく、遠位端25は、場合により、自由であってもよく、すなわち、フレーム21に接続されていなくてもよい。本明細書には図示されていない特定の実施形態によれば、固定部分23は、遠位端25よりも近位端24の近くに位置する。本明細書には図示されていない更に別の特定の実施形態によれば、固定部分23は、近位端24と遠位端25との間に等距離に位置する。
【0078】
好ましくは、可動部分22は、図に示すように、遠位端25と近位端24との間に配置されている。可動部分22は、好ましくは、例えば、前述のように接着点を介して、対応する周辺アクチュエータ7が関連付けられているレベルで、対応する脚部5の部分によって形成されている。あるいは、可動部分22は、遠位端25のレベル及び/又は近位端24のレベルに少なくとも部分的に配置されていてもよい。
【0079】
特定の実施形態によれば、可動部分22は、図8図10及び図13に示すように、遠位端25よりも近位端24の近くに配置されている。言い換えれば、この実施例によれば、可動部分22並びに周辺アクチュエータ7は、遠位端25よりも変形可能なプレート2の近くに配置されている。この構成は、例えば、固定部分23が遠位端25を含む場合に有利である。それは、これにより、具体的には、可動部分22を変形可能なプレート2に接近させながら、固定部分23及び可動部分22を互いからある距離を置いて設定することが可能になり、それによって、変形可能なプレート2の相当な変形を可能にしながら、それにより、周辺アクチュエータ7が相当な力を及ぼす必要なしに、対応する周辺アクチュエータ7が動作しているときに、脚部5に比較的低い応力を付与するためである。
【0080】
あるいは、可動部分22は、近位端24と遠位端25との間に等距離に配置されている。当然のことながら、この最後の構成の利点は、その単純な構造にあるが、他のパラメータ(脚部5の形状、変形可能なプレート2の所望の変形など)からもたらされてもよい。
【0081】
更に別の代替形態によれば、可動部分22は、近位端24よりも遠位端25の近くに配置されている。この最後の構成は、場合によっては、例えば、脚部5が、特に、図12のように、近位端24よりも遠位端25に向かって変形しやすい特定の形状(例えば、以下に記載されるような台形)を有する場合、及び/又は図1のように、若しくは変形可能なプレート2の所望の変形に従って、適応光学デバイス1が比較的かさばり、かつ/若しくは脚部5が非常に短い場合、有利であり得る。
【0082】
したがって、脚部5の形状は、変形可能なプレート2の変形になんらかの重要な役割を有することができる。例えば、各脚部5は、実質的に平坦であり、ほとんどの図のようにほぼ長方形の形状を有し、又は図12のように、台形の形状を有し、台形の大きな基部は、例えば、周辺縁部11のレベルで近位端24を形成し、台形の小さな基部は、例えば、変形可能なプレート2から離れて遠位端25を形成する。図7図10は、具体的には、実質的に長方形の脚部5を示し、変形可能なプレート2の周辺縁部11は、円を形成し、図12は、大きな基部よりもはるかに小さい小さな基部を有する台形脚部5を示し、変形可能なプレート2の周辺縁部11は、六角形を形成し、図13は、次いで、大きな基部のサイズに比較的近いサイズを有する小さな基部を有するわずかに台形の脚部5を示し、変形可能なプレート2の周辺縁部11は、本明細書では再び、円である。
【0083】
脚部5の中の同じ脚部に属する固定部分23及び可動部分22は、好ましくは、互いに別個であり、脚部5に沿って互いからある距離を置いて位置する。
【0084】
有利には、かつ図に表されるように、脚部5のうちの少なくとも1つ(又はいくつか若しくはそれらの全て)は、実質的に、静止時に、広がりの第2の平均平面P’に従って(これがいくつかの脚部5又は全ての脚部5に関係する場合には、それぞれ)延びる。したがって、静止時に、すなわち、好ましくは、例えば、アクチュエータによって、変形可能なプレート5に加えられる任意の変形機械的負荷がない場合、プレートは、有利には、好ましくは変形可能なプレート5とその厚さのほとんど又はほぼ全てにわたって交差する、広がりの第2の平均平面P’内に内接する(又は広がりの第2の平均平面P’のすぐ近傍の、又は広がりの第2の平均平面P’のいずれかの側の)広がりを有する。ほとんどの図に示す第1の実施例によれば、脚部5のうちの少なくとも1つ(又はいくつか若しくはそれらの全て)は、静止時に、実質的に平面を有する。図6(実施例を制限するものではない)に示す第2の実施例によれば、脚部5のうちの少なくとも1つ(又はいくつか若しくはそれらの全て)は、静止時に、好ましくは連続的な、曲率を有する。あるいは、脚部5のうちの少なくとも1つ(又はいくつか若しくはそれらの全て)は、静止時に、実質的に平面を有する一次部分と、好ましくは連続的な曲率を有する二次部分と、を有する。
【0085】
特定の実施形態によれば、かつ図1図2、及び図7図14に示すように、脚部5のうちの少なくとも1つ又はいくつか(又はそれらの全て)は、静止時に、実質的に、変形可能なプレート2に連続して、好ましくは広がりの第1の平均平面Pに連続して、延びる。したがって、広がりの第1の平均平面Pは、有利には、広がりの(対応する)第2の平均平面P’に平行である、又はそれと一致する。したがって、静止時に、すなわち、好ましくは変形可能なプレート2に加えられる任意の変形機械的負荷がない場合に、変形可能なプレート2、及びそれに連続する脚部5のうちの1つ、いくつか、又は全ては、有利には、同じ連続する、かつ規則的な、有利には真っ直ぐな、プロファイルに従って延び、これは、代替的に階段状の形状であってもよく、考慮される脚部5及び変形可能なプレート2は、次いで、第1及び第2の平行な階段のステップをそれぞれ形成し、2つのステップは、異なる高さにあり、第1の平均平面P及び第2の平均平面P’は、次いで、平行であり、かつ一致しない。例えば、脚部5のうちの少なくとも1つ(又はいくつか若しくはそれらの全て)は、変形可能なプレート2から、変形可能なプレート2の周辺縁部11から、外向きに突出している。したがって、脚部5は、好ましくは、変形可能なプレート2に連続して、変形可能なプレート2に対して横方向に配置されている。
【0086】
別の特定の実施形態によれば、かつ図3図6に示すように、広がりの(対応する)第2の平均平面P’は、広がりの第1の平均平面Pと交差する。したがって、静止時に、すなわち、好ましくは変形可能なプレート2に加えられる任意の変形機械的負荷がない場合、変形可能なプレート2及びそれと連続する脚部5は、有利には、少なくとも1つの角度を有する同じ連続プロファイルに従って延び、角度は、考慮される脚部5から変形可能なプレート2を分離する。したがって、この実施例によれば、広がりの第1の平均平面P及び第2の平均平面P’は、一致しない。したがって、この実施例によれば、脚部5のうちの少なくとも1つは、静止時に、変形可能なプレート2に対して実質的に斜め又は垂直に延びる。
【0087】
より有利には、広がりの第2の平均平面P’は、広がりの第1の平均平面Pと二面角pを形成する。例えば、図5に示すように、広がりの第1の平均平面P及び第2の平均平面P’は、直交している。言い換えれば、この実施例によれば、広がりの第1の平均平面Pは、広がりの第2の平均平面P’と横方向に交差し、二面角βは、有利に垂直であり、すなわち、実質的に90°に等しい。別の実施例によれば、図3図4、及び図6に示すように、広がりの第1の平均平面P及び第2の平均平面P’は、互いに対して斜めである。二面角βは、鋭角又は鈍角であってもよく、すなわち、それぞれ、0°~90°(端点を除く)又は90°~180°(端点を除く)であってもよい。より好ましくは、二面角βは、30°~60°又は120°~150°である。脚部5が曲率を有する図6に示す実施例では、広がりの第2の平均平面P’は、好ましくは、第1の平均平面Pに対して斜めであり、第1の平均平面Pと交差し、これら2つの平面間の二面角pは、有利には鈍角である。有利には、広がりの第1の平均平面Pと一致する、平行、又は交差する広がりの対応する第2の平均平面P’に従って各々が延びる、異なる脚部5の任意の有用な組み合わせを実行することが可能であり、対応する第2の平均平面P’それ自体は、互いに一致する、平行である、又は交差する。好ましくは、二次作製ステップは、脚部5のうちの少なくとも1つを折り畳むステップを含み、脚部5は、変形可能なプレート2に対して実質的に斜め又は垂直に延びるようになっている。例えば、脚部5は、広がりの第2の平均平面P’に従って延び、変形可能なプレート2は、静止時に、実質的に広がりの第1の平均平面Pに従って延び、折り畳むステップは、広がりの第1の平均平面P及び第2の平均平面P’が交差するように実施される。より好ましくは、折り目は、可逆的ではなく、すなわち、有利にはプレート5を非弾性的に折り畳むために形成される。図4図6は、この最後のステップから生じる変形可能なプレート2に取り付けられた脚部5の実施例を示し、それぞれの脚部5は、広がりの第1の平均平面Pと第2の平均平面P’との間に形成された二面角βに従って折り畳まれており、図3図4図5、及び図6の二面角βは、それぞれ鈍角、鋭角、垂直、及び鈍角である。
【0088】
好ましくは、かつ図に示すように、変形可能なプレート2及び脚部5は、第1及び第2の厚さそれぞれを有し、第1及び第2の厚さは、例えば、実質的に同一である。そのような構成は、変形可能なプレート2及び/又は脚部5の製造を標準化するのに有利である場合がある。これは、本発明の適応光学デバイス1により、一体的にに作製することができる薄い又は非常に薄い(したがって、変形がより容易であるが、比較的脆弱である)変形可能なプレート2を使用しながら、適応光学デバイス1の作製中の誤差のリスクを低減することが可能であるため、特に有利である。それにもかかわらず、本発明は、この好ましい実施形態に限定されず、例えば、厚さが異なる、例えば、第2の厚さが第1の厚さよりも大きい、又はその逆と考えることが可能である。
【0089】
有利には、適応光学デバイス1はまた、脚部5のうちの1つではなく、変形可能なプレート2に直接力を加えてそれを変形させるように設計された、少なくとも1つの追加のアクチュエータ29を備える。したがって、この追加のアクチュエータ29は、有利には、周辺アクチュエータ7の全体的な作用を局所的に完了又は精緻化することを可能にする。具体的には、追加のアクチュエータ29は、変形可能なプレート2に点力若しくはほぼ点力を加えるように、又は代替的に、変形可能なプレート2の表面にわたって分布した力を加えるように、設計されている。例えば、追加のアクチュエータ29は、変形可能なプレート2の表面にわたって(具体的には、隠れた面4にわたって)設けられた、少なくとも1つの圧電フィルムによって形成されており、これは、電流が圧電フィルムに印加されると、変形可能なプレート2を少なくとも局所的に湾曲させるバイメタル効果を生成することを意図している。
【0090】
適応光学デバイス1は、図10及び図12に示すように、幾何学的中心Cに力(好ましくはほぼ点の)を加えるように設計された、少なくとも1つの中央アクチュエータ27を更に備えてもよく、したがって、中央アクチュエータ27は、追加のアクチュエータ29又はそのうちの1つを形成する。追加のアクチュエータ(単数又は複数)29はまた、適応光学デバイス1が具体的には隠れた面4側の変形可能なプレート2の幾何学的中心Cの周りに、かつ幾何学的中心Cからある距離を置いて配置された、4つの追加のアクチュエータ29を備える図13の実施例、並びに適応光学デバイス1が具体的には隠れた面4側の変形可能なプレート2の幾何学的中心Cのいずれかの側に、かつ幾何学的中心Cからある距離を置いて配置された2つの追加のアクチュエータ29を備える図14の実施例によって示されるように、幾何学的中心C以外の他の場所でプレート2に接続することができる。
【0091】
有利には、追加のアクチュエータ29(例えば、中央アクチュエータ27)は、隠れた面4の側にかつそれを介して変形可能なプレート2に(例えば中央)圧力又は張力を加えるように設計されている。有利には、(例えば、中央)圧力又は張力により、変形可能なプレート2を変形させて、入射波面が入射面3によって反射され、かつ/又は変形可能なプレート2を介して屈折されると、入射波面における収差、例えば、楕円収差を導入又は補正する。好ましくは、収差は、隠れた面4上の追加のアクチュエータ29(例えば、中央アクチュエータ27)によって加えられる力に従って、変形可能なプレート2のレベルで(例えば、幾何学的中心Cのレベルで)少なくとも局所的に変化する。当然のことながら、適応光学デバイス1は、同じ種類又は異なる種類の、具体的には前に、かつ/又は以下に記載されるような、いくつかの追加のアクチュエータ29(中央であろうとなかろうと)を組み合わせて備えることができる。有利には、追加のアクチュエータ29(例えば、中央アクチュエータ27)は、考慮される技術分野で知られているものを含む、任意のタイプ(圧電、磁気、2つの部分の、機械的、ねじ付き、など)のものであってもよい。例えば、追加のアクチュエータ29(例えば、中央アクチュエータ27)は、(例えば、幾何学的中心Cのレベルで)接着点を介して隠れた面4に接続されており、隠れた面4の表面に局所的に引張力又は圧縮力を伝達して、変形可能なプレート2を変形させる。更により有利には、したがって、力は、入射面3に局所的に実質的に垂直な方向に従って加えられる。
【0092】
各周辺アクチュエータ7及び/又は追加のアクチュエータ29(例えば、中央アクチュエータ27)は、好ましくは、対応する脚部5に固定された(すなわち、固定的に取り付けられた)第1の部分と、フレーム21に固定された第2の部分と、を有し、第1及び第2の部分それら自体は、例えば、圧電タイプの周辺アクチュエータ7及び/又は追加のアクチュエータ29の場合(好ましくは、この場合、ほぼ点力を有する)、並進で互いに接続されていてもよく、又は、例えば、磁気タイプの周辺アクチュエータ7及び/又は追加のアクチュエータ29の場合、互いに固定されていなくてもよい。例えば、具体的には装備ステップ中に、第1の部分は、接着剤滴により対応する脚部5に接着され、有利には、例えば、対応する脚部5と接触することなく、滴に浸漬された実質的に円筒形、円錐形、又は円錐台形のヘッドを有し、接着剤滴は、それによって、ヘッドと対応する脚部5との間にボールジョイント接続を形成する。具体的には、これにより、変形可能なプレート2(例えば、考慮されるアクチュエータが中央アクチュエータ27である場合)又は脚部5(例えば、考慮されるアクチュエータが周辺アクチュエータ7である場合)とのその接続の単なる効果によって、アクチュエータの任意の変形機械的負荷がない場合であっても、考慮される周辺アクチュエータ7及び/又は追加のアクチュエータ29(例えば、中央アクチュエータ27)が変形可能なプレート2の表面の変形を引き起こすことを回避することができる。
【0093】
図10は、変形可能なプレート2及び変形可能なプレート2に取り付けられた脚部5の製造の実施例を示しており、脚部5は更に、この場合、変形可能なプレート2と一体であり、未加工プレート12を切断する共通のステップ中に形成される。その後、周辺アクチュエータ7の各々は、隠れた面4側で、それぞれの脚部5のうちの1つに接続され、その結果、各脚部5には、少なくとも1つの周辺アクチュエータ7が設けられ、それによって、周辺アクチュエータ7に接続された考慮される脚部5の可動部分22を画定する。追加のアクチュエータ29、例えば中央アクチュエータ27はまた、また隠れた面4側に、変形可能なプレート2の幾何学的中心Cのレベルに配置されている。最後に、変形可能なプレート2及びそれに取り付けられた脚部5は、リング8の中央に配置され、脚部5の遠位端部25は、リング8の肩部26に嵌合し、肩部26は、脚部5に当接し、脚部5は、次いで、リング8にリベット留め、ねじ込み、ろう付け、接着、又は溶接によって接続され、それによって、本明細書のリング8はフレーム21の少なくとも1つの部分を形成するため、固定部分23を画定する。任意選択的に、適応光学デバイス1はまた、例えば、その中心に、開口部を有するキャップ28を含み、キャップは、変形可能なプレート2の入射面3、より具体的には、入射面3の光学面、すなわち、入射面3の光学的アクティブ部分を画定するように設計されている。図9図10、及び図15の実施例では、キャップ28は、肩部26に嵌合するように、入射面3側の変形可能なプレート2上に配置されている。図11は、代替の製造を部分的に示しており、二次作製ステップのみが表され、部分5は、変形可能なプレート2とは別個に形成され、次いで変形可能なプレート2に取り付けられる。
【0094】
ここで、前述の適応光学デバイス1の使用の実施例を開示する。この実施例によれば、変形可能なミラー又は適応レンズであってもよい適応光学デバイスを使用して、波面に認められる光学収差を補正することが望ましい。したがって、適応光学デバイス1は、変形可能なプレート2の入射面3が波面を遮って、それを変形させ、具体的にはそれを反射及び/又は屈折させるように、波面の経路上に配置される。一般に、この干渉単独では、認められる光学収差を補正するのに十分ではなく、入射面3及び/又は変形可能なプレート2によって引き起こされる変形(反射及び/又は屈折)を修正して、波面を十分に修正することが必要である。この目的のために、入射面3が属する変形可能なプレート2は、決定された、正確な、かつ多くの場合、局所的な方法で、入射面3が湾曲(又は平坦化)するように、具体的には決定された、かつ一定の曲率角を有するように、変形されなくてはならない。したがって、少なくとも1つの周辺アクチュエータ7は、それが接続された脚部5のうちの1つの可動部分22を、それを押す又は引っ張ることによって、すなわち、入射面3に向かって又は適応光学デバイス1の反対側の隠れた面4に向かってそれを変位させることによって、制御された方法で変位させる(かつ任意選択的に、変形させる)ように作動される。変位された可動部分22は、変形可能なプレート2と脚部5とを接続する周辺縁部11を介して、それが固定された変形可能なプレート2のわずかな変形を引き起こす。変形可能なプレート2の変形は、脚部5の固定部分23の存在により、限定され、完全に制御され、固定部分23は、フレーム21に固定的に接続されており、したがって、可動部分22の変位中及び変位後に、少なくとも並進で、フレーム21に対して不動のままである。変形可能なプレート2を十分に変形させて、その結果、その入射面3が、光学収差を補正するように、決定された変形可能なプレート2の角度及び変形に従って入射波面を受け取るために、いくつかの周辺アクチュエータ7、及び場合によっては、例えば、中央アクチュエータ27である、少なくとも1つの追加のアクチュエータ29を連続的に又は同時に作動させることが可能である。したがって、図15は、1つ又はいくつかの可動部分22がそのそれぞれの周辺アクチュエータ7(図ではキャップ28によって隠されている)によって変位され、それぞれの固定部分23がそれらがフレーム21に接続されているときに全く変位されていない、構成を示す。
【0095】
その後、適応光学デバイス1は、動作不能位置に設定することができ、変位された脚部5は、具体的にはそれらの弾性挙動、周辺アクチュエータ7の作動停止、及び、脚部5の残りの部分、したがって、変形可能なプレート2に脚部5の固定部分23によって加えられる付勢力又は保持力により、変形可能なプレート2に連続するそれらの開始位置に設定されて戻される。
【0096】
本発明による適応光学デバイス1の使用の別の実施例を以下に説明するが、この実施例は、本発明の適応光学デバイス1の可能な使用に関して任意の制限を構成しない。この実施例によれば、適応光学デバイス1は、入射波面の形状を修正する。入射波面は、変形可能なプレート2によって変形され、例えば、反射及び/又は屈折され、それによって、変形された、例えば、反射及び/又は屈折された波面をもたらす。入射波面は、変形可能なプレート2の、具体的には入射面3の幾何学的形状に応じて、反射及び/又は屈折された波面に対して位相を有し、したがって、局所的に前進している又は遅延されている。それらの選択された作動の組み合わせ及び適応光学デバイス1内のそれらの配置に応じて、周辺アクチュエータ7(場合によっては、追加のアクチュエータ(単数又は複数)29と組み合わせて)は、後者が変形された波面内の異なるゼルニケ多項式(具体的には、入射波面には存在しない)を生成することを可能にする。したがって、1つ又はいくつかの周辺アクチュエータ7(及び場合によっては、追加のアクチュエータ(単数又は複数)29)を作動させることによって、変形可能なプレート2が非点収差、「焦点ずれ」「トリフォイル」、及び/又はコマなどの1つ又はいくつかの光学収差を入射波面に導入するように、異なるゼルニケ多項式を生成することが可能である。周辺アクチュエータ7(及び任意選択的に、1つ又はいくつかの追加のアクチュエータ29、特に中央アクチュエータ27)の前述した又は前述していない異なる作動を一緒に組み合わせて、より複雑な光学収差を生成又は補正することができる。
【0097】
適切な適応光学デバイスを作製するために考慮される技術分野に関連すると思われるものに関して、当然のことながら、本明細書で前述した異なる実施例及び変形形態の任意の組み合わせが可能である。
【0098】
任意選択的に、変形可能なプレート2を形成するステップは、具体的には接着、ろう付け、及び/又は溶接によって、未加工プレート12上に中央プレートを固定するステップを含むことができ、中央プレートは、有利には入射面3を備える。未加工プレート12により、例えば、切断することによって、有利な原価で脚部5を形成することが可能であるため、好ましくは、未加工プレート12は、中央プレートが作製されている材料よりも安価な材料で作製されている。実際、変形可能なプレート2は、好ましくは、優れた表面品質を有しなければならず、したがって、それを構成する材料は、一般に非常に高価であるが、脚部5は、特定の表面条件ではなく、適切な機械的特性(特に弾性)を有する必要があるだけである。
【0099】
好ましくは、共通の切断ステップ及び/又は第2の切断ステップは、選択エッチング動作を含む。
【0100】
特定の実施形態によれば、製造方法は、反射面を形成するための入射面3の反射処理ステップを更に含み、適応光学デバイス1は、変形可能なミラーである。好ましくは、反射処理ステップは、入射面3を反射コーティングで覆うステップを含む。例えば、この被覆ステップは、入射面3のレベルで、波面を反射することができる反射面を形成するように、入射面3にわたる反射素子の散乱を含むことができる。一実施形態によれば、反射処理ステップは、入射面3側で中央プレートに適用されて、反射面を形成する。
【0101】
好ましくは本発明の製造方法により得られる、本発明の適応光学デバイス1により、波面の反射及び/又は屈折によって、適応光学システムにおいて入射波面を変形させる非常に微細な動作を実行することが可能になり、それにより、簡単、正確、かつ迅速な設定により制御されたサービス及び作製コストが可能になる。
【0102】
産業上の利用可能性
本発明は、適応光学デバイスの設計、製造、及び使用にその産業用途を見出す。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】