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特表2022-546291迅速に冷却可能な構造を有するバッテリーモジュール及びそれを含むエネルギー貯蔵システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】迅速に冷却可能な構造を有するバッテリーモジュール及びそれを含むエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20221027BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20221027BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20221027BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20221027BHJP
   H01M 50/251 20210101ALI20221027BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221027BHJP
   H01M 10/627 20140101ALI20221027BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20221027BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/211
H01M50/204 401H
H01M50/588
H01M50/591
H01M50/251
H01M10/613
H01M10/627
H01M10/647
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511086
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(85)【翻訳文提出日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 KR2021002713
(87)【国際公開番号】W WO2021177763
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0027904
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ウォン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サン-ヒョン・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】キョン-ヒョン・ベ
(72)【発明者】
【氏名】ジン-キュ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジン-キュ・イ
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA28
5H040AS01
5H040AT04
5H040AY05
5H040DD03
5H040DD26
5H040JJ03
5H043AA04
5H043AA09
5H043BA19
5H043CA08
5H043FA04
5H043GA25
5H043HA11F
5H043JA03F
5H043JA06F
(57)【要約】
本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルと、複数のバッテリーセルを含むセル積層体を収容するモジュールハウジングと、セル積層体の積層方向の一側でモジュールハウジングを貫通するスプリンクラーとを含み、スプリンクラーは、モジュールハウジングの外側に位置し、冷却流体を供給する供給管と連結されるカプラと、モジュールハウジングの内側に位置し、カプラと連結されるスプリンクラーヘッドと、スプリンクラーヘッドを覆う絶縁カバー及び絶縁カバーの長手方向の一端部に形成された開口部を覆うインペラアセンブリを含む絶縁カバーアセンブリとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルと、
前記複数のバッテリーセルを含むセル積層体を収容するモジュールハウジングと、
前記セル積層体の積層方向の一側で前記モジュールハウジングを貫通するスプリンクラーと、
を含み、
前記スプリンクラーは、
前記モジュールハウジングの外側に位置し、冷却流体を供給する供給管と連結されるカプラと、
前記モジュールハウジングの内側に位置し、前記カプラと連結されるスプリンクラーヘッドと、
前記スプリンクラーヘッドを覆う絶縁カバー及び前記絶縁カバーの長手方向の一端部に形成された開口部を覆うインペラアセンブリを含む絶縁カバーアセンブリと、
を含む、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記スプリンクラーヘッドは、
前記カプラの冷却流体噴射口を遮断し、前記バッテリーモジュールの内部温度及び気体の流速が基準値以上になると破断して前記冷却流体噴射口を開放するガラスバルブと、
前記ガラスバルブを囲んで前記ガラスバルブを固定するホルディングブラケットと、
を含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記絶縁カバーは、
前記ガラスバルブと対応する位置に形成されるカバーホールを備える、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記インペラアセンブリは、
前記絶縁カバーに固定されるインペラフレームと、
前記インペラフレームに形成された空気流入孔内に配置され、前記空気流入孔を通って前記ガラスバルブ側に流れ込む空気の流れによって回転するインペラと、
を含む、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記モジュールハウジングは、
前記セル積層体の下面及び上面をそれぞれ覆う一対のベースカバーと、
前記セル積層体の側面を覆う一対のサイドカバーと、
前記セル積層体の前面を覆うフロントカバーと、
前記セル積層体の後面を覆うリアカバーと、
を含む、請求項1から4のうちいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記バッテリーモジュールは、
前記セル積層体の幅方向の一側及び他側にそれぞれ結合される一対のバスバーフレームを含む、請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記スプリンクラーヘッド及び前記絶縁カバーアセンブリは、
前記リアカバーの長手方向の一側を貫通し、前記バスバーフレームと前記サイドカバーとの間に形成される空いた空間内に位置する、請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記絶縁カバーの他端部は、
前記モジュールハウジングの内面または前記モジュールハウジングを貫通したカプラに結合される、請求項1から7のうちいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記絶縁カバーの他端部と前記モジュールハウジングの内面との間または前記絶縁カバーの他端部と前記モジュールハウジングを貫通したカプラとの間には接着層が介在される、請求項8に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記絶縁カバーアセンブリは、
前記モジュールハウジング内の温度が上昇して前記接着層の接着力が喪失または低下することによって、前記モジュールハウジングの内面または前記モジュールハウジングを貫通したカプラから分離される、請求項9に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
前記バッテリーモジュールは、
前記モジュールハウジング内に固定され、その長手方向の一端部が前記インペラアセンブリに向かうように傾いて設けられる少なくとも一つのガイドプレートを含む、請求項1から10のうちいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項12】
前記バッテリーモジュールは、
前記フロントカバーを貫通して形成される空気入口と、
前記リアカバーを貫通して形成される空気出口と、
前記空気入口及び空気出口の内側に配置され、前記バッテリーモジュール内に流れ込んだ冷却流体との接触によって膨張して前記空気入口及び空気出口を少なくとも部分的に閉鎖する膨張パッドと、
を含む、請求項5から7のうちいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項13】
前記膨張パッドは、
前記モジュールハウジングの内面に形成された収容溝内に少なくとも一部が挿入される、請求項12に記載のバッテリーモジュール。
【請求項14】
前記バッテリーモジュールは、
前記膨張パッドの両側にそれぞれ配置されて前記膨張パッドの膨張のための動きをガイドするメッシュプレートを含む、請求項12又は13に記載のバッテリーモジュール。
【請求項15】
請求項1から14のうちいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを複数個含む、エネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、迅速に冷却可能な構造を有するバッテリーモジュール及びそれを含むESS(Energy Storage System、エネルギー貯蔵システム)に関し、より具体的には、バッテリーモジュール内で高温のベンティングガス(venting gas)が流出したとき、スプリンクラーが迅速に作動できる構造を有するバッテリーモジュール及びそれを含むESSに関する。
【0002】
本出願は、2020年3月5日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0027904号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などの二次電池が商用化しているが、中でもリチウム二次電池はニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きず充放電が自在であって、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、主に、リチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板とがセパレータを介在して配置された電極組立体、及び電極組立体を電解液とともに封止収納する外装材、例えば電池パウチ外装材を備える。
【0005】
近年、携帯型電子機器のような小型装置だけでなく、自動車や電力貯蔵装置のような中大型装置にも二次電池が広く適用されている。中大型装置に適用される場合、容量及び出力を高めるため、多数の二次電池が電気的に接続される。特に、中大型装置には積層し易いという長所からパウチ型二次電池が多く用いられる。
【0006】
一方、近来、エネルギー貯蔵源としての活用を含めて大容量構造の必要性が高まるにつれて、電気的に直列及び/または並列で接続された複数の二次電池を含むバッテリーモジュールに対する需要が増加している。
【0007】
また、このようなバッテリーモジュールは、複数の二次電池を外部の衝撃から保護するか又は収納保管するため、一般に金属材質の外部ハウジングを備える。一方、高容量バッテリーモジュールの需要は益々増加している。
【0008】
高容量のバッテリーモジュールの場合、内部のバッテリーセルのうち少なくとも一部でベンティング(venting)が発生してバッテリーモジュールの内部温度が上昇すると、多大な被害を引き起こし得る。すなわち、高容量バッテリーモジュールは、内部温度の上昇によって熱暴走現象が発生すると、温度が急激に上昇し、それによって大規模の発火及び/または爆発につながるおそれがある。
【0009】
そこで、バッテリーモジュール内でバッテリーセルのベンティングによる非正常な温度上昇が起きても直ちに措置できるように、迅速且つ完全な消火技術の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーモジュール内で高温のベンティングガスが流出したとき、スプリンクラーを迅速に作動させることでバッテリーモジュール及びESSの使用における安全性を確保することを目的とする。
【0011】
本発明が解決しようとする技術的課題は上記の課題に制限されず、その他の課題は下記の発明の説明から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルと、複数のバッテリーセルを含むセル積層体を収容するモジュールハウジングと、セル積層体の積層方向の一側でモジュールハウジングを貫通するスプリンクラーと、を含み、スプリンクラーは、モジュールハウジングの外側に位置し、冷却流体を供給する供給管と連結されるカプラと、モジュールハウジングの内側に位置し、カプラと連結されるスプリンクラーヘッドと、スプリンクラーヘッドを覆う絶縁カバー及び絶縁カバーの長手方向の一端部に形成された開口部を覆うインペラアセンブリを含む絶縁カバーアセンブリと、を含む。
【0013】
スプリンクラーヘッドは、カプラの冷却流体噴射口を遮断し、バッテリーモジュールの内部温度及び気体の流速が基準値以上になると破断して冷却流体噴射口を開放するガラスバルブ(glass bulb)と、ガラスバルブを囲んでガラスバルブを固定するホルディングブラケットと、を含み得る。
【0014】
絶縁カバーは、ガラスバルブと対応する位置に形成されるカバーホールを備え得る。
【0015】
インペラアセンブリは、絶縁カバーに固定されるインペラフレームと、インペラフレームに形成された空気流入孔内に配置され、空気流入孔を通ってガラスバルブ側に流れ込む空気の流れによって回転するインペラと、を含み得る。
【0016】
モジュールハウジングは、セル積層体の下面及び上面をそれぞれ覆う一対のベースカバーと、セル積層体の側面を覆う一対のサイドカバーと、セル積層体の前面を覆うフロントカバーと、セル積層体の後面を覆うリアカバーと、を含み得る。
【0017】
バッテリーモジュールは、セル積層体の幅方向の一側及び他側にそれぞれ結合される一対のバスバーフレームを含み得る。
【0018】
スプリンクラーヘッド及び絶縁カバーアセンブリは、リアカバーの長手方向の一側を貫通し、バスバーフレームとサイドカバーとの間に形成される空いた空間内に位置し得る。
【0019】
絶縁カバーの他端部は、モジュールハウジングの内面またはモジュールハウジングを貫通したカプラに結合され得る。
【0020】
絶縁カバーの他端部とモジュールハウジングの内面との間または絶縁カバーの他端部とモジュールハウジングを貫通したカプラとの間には、接着層が介在され得る。
【0021】
絶縁カバーアセンブリは、モジュールハウジング内の温度が上昇して接着層の接着力が喪失または低下することによって、モジュールハウジングの内面またはモジュールハウジングを貫通したカプラから分離され得る。
【0022】
バッテリーモジュールは、モジュールハウジング内に固定され、その長手方向の一端部がインペラアセンブリに向かうように傾いて設けられる少なくとも一つのガイドプレートを含み得る。
【0023】
バッテリーモジュールは、フロントカバーを貫通して形成される空気入口(air inlet)と、リアカバーを貫通して形成される空気出口(air outlet)と、空気入口及び空気出口の内側に配置され、バッテリーモジュール内に流れ込んだ冷却流体との接触によって膨張して空気入口及び空気出口を少なくとも部分的に閉鎖する膨張パッドと、を含み得る。
【0024】
膨張パッドは、モジュールハウジングの内面に形成された収容溝内に少なくとも一部が挿入され得る。
【0025】
バッテリーモジュールは、膨張パッドの両側にそれぞれ配置されて膨張パッドの膨張のための動きをガイドするメッシュプレートを含み得る。
【0026】
一方、本発明の他の一態様によるエネルギー貯蔵システムは、上述した本発明の一態様によるバッテリーモジュールを複数個含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様によれば、バッテリーモジュール内で高温のベンティングガスが流出したとき、スプリンクラーが迅速に作動できるため、バッテリーモジュール及びESSの使用上の安全性を確保することができる。
【0028】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを示した斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを示した斜視図である。
図3図1及び図2に示されたバッテリーモジュールの内部構造を示した図である。
図4図1及び図2に示されたバッテリーモジュールの内部構造を示した図である。
図5】本発明に適用されるスプリンクラーを示した図である。
図6】本発明に適用されるインペラアセンブリを示した正面図である。
図7】本発明に適用されるスプリンクラーとガイドプレートとの位置関係を示した図である。
図8】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの部分正面図であって、バッテリーモジュール内に配置される膨張パッドを示した図である。
図9】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの部分側断面図であって、バッテリーモジュール内に配置される膨張パッドを示した図である。
図10】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの部分側断面図であって、バッテリーモジュール内に配置される膨張パッドを示した図である。
図11】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの部分側断面図であって、バッテリーモジュール内に配置される膨張パッドを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0031】
まず、図1図4を参照して、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール1の全体的な構造を説明する。
【0032】
図1図4を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール1は、複数のバッテリーセル100、バスバーフレーム200、モジュールハウジング300、空気入口400、空気出口500及びスプリンクラー600を含む。
【0033】
バッテリーセル100は、複数個備えられ、複数のバッテリーセル100は積層されて一つのセル積層体を構成する。バッテリーセル100としては、例えばパウチ型バッテリーセルが適用され得る。バッテリーセル100は、長手方向(図面のY軸に平行な方向)の両側にそれぞれ引き出される一対の電極リード110を備える。一方、図示していないが、セル積層体は、必要に応じて隣接したバッテリーセル100同士の間に備えられる緩衝パッドをさらに含んでもよい。このような緩衝パッドは、セル積層体をモジュールハウジング300内に収容するとき、セル積層体を圧縮した状態で収容可能にし、これによって外部の衝撃による動きを制限でき、さらにバッテリーセル100の膨れ(swelling)現象を抑制することができる。
【0034】
バスバーフレーム200は、一対で備えられ、それぞれのバスバーフレーム200は、セル積層体の幅方向(図面のY軸に平行な方向)の一側及び他側を覆う。バッテリーセル100の電極リード110は、バスバーフレーム200に形成されたスリットを通って引き出され、折り曲げられてバスバーフレーム200に備えられたバスバーの上に溶接などによって固定される。すなわち、複数のバッテリーセル100同士はバスバーフレーム200に備えられたバスバーによって電気的に接続され得る。
【0035】
モジュールハウジング300は、略直方体状を有し、内部にセル積層体を収容する。モジュールハウジング300は、セル積層体の下面及び上面(X-Y平面に平行な面)をそれぞれ覆う一対のベースカバー310、セル積層体の側面(X-Z平面に平行な面)をそれぞれ覆う一対のサイドカバー320、セル積層体の前面(Y-Z平面に平行な面)を覆うフロントカバー330、及びセル積層体の後面(Y-Z平面に平行な面)を覆うリアカバー340を含む。
【0036】
空気入口400は、セル積層体の積層方向(X軸に平行な方向)の一側、すなわちバッテリーモジュール1の長手方向の一側に形成され、フロントカバー330を貫通する孔状で形成される。空気出口500は、セル積層体の積層方向の他側、すなわちバッテリーモジュール1の長手方向の他側に形成され、リアカバー340を貫通する孔状で形成される。空気入口400と空気出口500とは、バッテリーモジュール1の長手方向(X軸に平行な方向)に沿って対角線上の反対側に位置する。
【0037】
一方、バスバーフレーム200とサイドカバー320との間には空いた空間が形成される。すなわち、モジュールハウジング300の六つの面のうちバッテリーセル100の長手方向(Y軸に平行な方向)の一側及び他側に対面する面とバスバーフレーム200の内面との間には、バッテリーセル100の冷却のための空気が流動可能な空いた空間が形成される。この空いた空間は、バッテリーモジュール1の幅方向(Y軸に平行な方向)の両側にそれぞれ形成される。
【0038】
空気入口400はバッテリーモジュール1の幅方向(Y軸に平行な方向)の一側に形成される空いた空間に対応する位置に形成され、空気出口500はバッテリーモジュール1の幅方向の他側に形成される空いた空間に対応する位置に形成される。
【0039】
バッテリーモジュール1において、空気入口400を通って内部に流れ込んだ空気は、バッテリーモジュール1の幅方向の一側に形成された空いた空間からバッテリーモジュール1の幅方向の他側に形成された空いた空間に移動しながらバッテリーセル100を冷却させた後、空気出口500を通って外部に流れ出る。すなわち、バッテリーモジュール1は空冷式バッテリーモジュールに該当する。
【0040】
一方、本発明において、空気入口400は、その名称と異なり、冷却に用いられて温度が上昇した空気が流れ出る通路として用いられてもよく、空気出口500も、その名称と異なり、冷却のための外部の空気が流れ込む通路として用いられてもよい。すなわち、空気入口400及び/または空気出口500には強制換気のためのインペラが設けられ得るが、インペラの回転方向によって空気の循環方向が変わり得る。
【0041】
スプリンクラー600は、例えば冷却水のような冷却流体を供給する供給管(図示せず)と連結され、バッテリーモジュール1の内部温度及び内部気体の流速が一定水準以上になったとき作動してバッテリーモジュール1の内部に冷却流体を供給する。すなわち、スプリンクラー600は、バッテリーセル100に異常が生じてベンティングが発生し、それによって高温のガスが排出されると、それを感知して作動する。このようにスプリンクラー600が作動すれば、バッテリーモジュール1の内部に冷却流体が供給されてバッテリーセル100の過熱による発火及び/または爆発を防止することができる。
【0042】
スプリンクラー600の一部はリアカバー340の外側に露出し、他部はリアカバー340を貫通してバスバーフレーム200とサイドカバー320との間に形成される空いた空間内に位置する。スプリンクラー600は、リアカバー340の長手方向(Y軸に平行な方向)の一側に形成された空気出口500の反対側に設けられる。
【0043】
スプリンクラー600は、カプラ610、スプリンクラーヘッド620及び絶縁カバーアセンブリ630を含む。カプラ610は、モジュールハウジング300の外側に位置し、冷却流体を供給する供給管(図示せず)と連結される。すなわち、カプラ610は、外部供給管を締結するための金属材質の部品である。スプリンクラーヘッド620は、モジュールハウジング300の内側に位置し、カプラ610と連結される。絶縁カバーアセンブリ630は、スプリンクラーヘッド620を覆うことで、スプリンクラーヘッド620がバッテリーセル100の電極リード110及び/またはバスバーフレーム200のバスバーと直接接触して短絡が発生することを防止する。また、絶縁カバーアセンブリ630は、後述するように、モジュールハウジング300の内部温度の上昇によって熱くなった気体が集中的にスプリンクラーヘッド620側に流れるように誘導する機能を有する。
【0044】
図5を参照すると、スプリンクラーヘッド620は、ガラスバルブ(glass bulb)621及びホルディングブラケット622を含む。
【0045】
ガラスバルブ621は、カプラ610の冷却流体噴射口Pを遮断し、バッテリーモジュール1の内部温度及びベンティングガスによって温度が上昇した内部気体の流速が基準値以上になると破断して冷却流体噴射口Pを開放させる。ガラスバルブ621は、内部に温度上昇によって膨張する液体を含んでおり、該液体はバッテリーモジュール1内のバッテリーセル100のうち少なくとも一部でベンティングが発生して高温のベンティングガスがバッテリーモジュール1の内部を満たすと膨張する。このような液体の膨張によってガラスバルブ621の内圧が上昇すると同時に、ガラスバルブ621の外部で高圧のベンティングガスによる気体の外力がともに作用すれば、ガラスバルブ621が破損され、それによって冷却流体噴射口Pを通って冷却流体がモジュールハウジング300の内部を満たすようになる。ホルディングブラケット622は、金属材質であって、ガラスバルブ621を囲んでガラスバルブ621が動かないように固定する。
【0046】
図5及び図6を参照すると、絶縁カバーアセンブリ630は、絶縁カバー631及びインペラアセンブリ632を含む。絶縁カバー631は、中空の略円筒形状であって、スプリンクラーヘッド620の周りを囲む。絶縁カバー631の長手方向(図面のX軸に平行な方向)の一端部に形成された開口部には、インペラアセンブリ632が取り付けられ、絶縁カバー631の長手方向の他端部は、モジュールハウジング300のリアカバー340の内面またはリアカバー340を貫通したカプラ610に結合される。
【0047】
絶縁カバー631は、ガラスバルブ621と対応する位置に形成される少なくとも一つのカバーホール631aを備える。カバーホール631aは、インペラアセンブリ632によって絶縁カバー631の内部に流れ込んだ高温の気体がガラスバルブ621と接触した後、絶縁カバー631の外側へと流れ出るようにする通路として機能する。また、カバーホール631aは、ガラスバルブ621の破断によって流体噴射口Pを通って噴射された冷却流体が絶縁カバー631の外側へと流れ出るようにする通路としても機能できる。
【0048】
一方、絶縁カバー631の他端部とモジュールハウジング300のリアカバー340の内面との間または絶縁カバー631の他端部とリアカバー340を貫通したカプラ610との間には接着層(図示せず)が介在されてもよい。接着層は、モジュールハウジング内の温度が上昇すると接着力が喪失または低下し、それによって絶縁カバー631はリアカバー340の内面またはリアカバー340を貫通したカプラ610から分離できる。このようにスプリンクラーヘッド620を囲んでいた絶縁カバー631が除去されれば、モジュールハウジング300内への冷却流体の供給が一層円滑になり、それによって消火及び冷却の効率性が高くなる。
【0049】
インペラアセンブリ632は、インペラフレーム632a及びインペラ632bを含む。インペラフレーム632aは、絶縁カバー631の長手方向の一端部に固定され、絶縁カバー631の長手方向の一端部に形成された開口部に対応する大きさ及び形状を有する空気流入孔Hを備える。インペラ632bは、インペラフレーム632aの空気流入孔H内に配置され、空気流入孔Hを通ってガラスバルブ621側へと流れる空気の流れによって回転する。すなわち、インペラ632bは、モータなどの駆動装置なく回転する無動力回転手段に該当する。
【0050】
インペラ632bが回転することで、絶縁カバー631の内部に流れ込む空気の流れが加速化し、それによってガラスバルブ621にはさらに多量の高温の気体が供給されてガラスバルブ621の迅速な破断を誘導することができる。このようにガラスバルブ621と接触した気体は、絶縁カバー631に形成されたカバーホール631aを通って絶縁カバー631の外側へと排出される。
【0051】
インペラ632bの回転軸Xは、図5に示されたように、ホルディングブラケット622の長手方向(X軸に平行な方向)の一端部に形成されてもよく、これと異なって、インペラフレーム632a自体に備えられてもよい。
【0052】
図7を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール1は、少なくとも一つのガイドプレートGをさらに含み得る。ガイドプレートGは、モジュールハウジング300内に固定され、その長手方向(X軸に平行な方向)の一端部がインペラアセンブリ632に向かうように傾いて設けられる。ガイドプレートGは、別途に製作されてサイドカバー320に取り付けられてもよく、サイドカバー320と一体的に形成されてもよい。
【0053】
バッテリーモジュール1の内部で温度上昇によって上昇しようとする傾向が強くなった気体は、このようなガイドプレートGによってその流れがスプリンクラー600に向かうように誘導され、それによってガラスバルブ621の迅速な破断が可能になる。
【0054】
図8を参照すると、バッテリーモジュール1は、その内部に冷却流体が供給されたとき、冷却流体の水位が迅速に上昇するように、空気入口400及び空気出口500を少なくとも部分的に閉鎖する膨張パッドEをさらに含み得る。
【0055】
膨張パッドEは、モジュールハウジング300の内面に取り付けられ、空気入口400及び空気出口500の開放面積よりも小さいサイズを有する。膨張パッドEは、バッテリーモジュール1の正常な使用状態では空気入口400及び空気出口500を通る空気の流れを円滑にするため、空気入口400及び空気出口500の開放面積に対比して約30%未満のサイズを有することが望ましい。一方、図面には膨張パッドEがモジュールハウジング300内側の底面のみに取り付けられた場合が示されているが、膨張パッドEはモジュールハウジング300の上面または側面に取り付けられてもよい。
【0056】
膨張パッドEは、バッテリーモジュール1の内部に流れ込んだ冷却流体と接触することで膨張して空気入口400及び空気出口500を閉鎖する。膨張パッドEは、水分を吸収したとき非常に大きい膨張率を示す樹脂を含み、十分な量の水分が提供される場合、初期の体積に比べて少なくとも約2倍以上体積が増加する樹脂を含む。膨張パッドEに用いられる樹脂としては、例えばSAF(Super Absorbent Fiber)とポリエステル短繊維(polyester staple fiber)とが混合された不織布が挙げられる。ここで、SAFは、SAP(高吸水性樹脂、Super Absorbent Polymer)を繊維状に製作したものである。
【0057】
一方、膨張パッドEの膨張による空気入口400及び空気出口500の閉鎖は、必ずしも冷却流体が漏れない水準の完全な閉鎖を意味するものではなく、漏水量を低減できるように空気入口400及び空気出口500の開放面積を減らす場合も含む。
【0058】
膨張パッドEの適用により、少なくとも一部のバッテリーモジュール1で熱暴走現象が発生してバッテリーモジュール1の内部に冷却流体が流れ込む場合、空気入口400及び空気出口500は閉鎖される。このように空気入口400及び空気出口500が閉鎖されると、バッテリーモジュール1の内部に流れ込んだ冷却流体が外部に流れずにバッテリーモジュール1の内部に溜まることで、バッテリーモジュール1で発生した熱暴走現象を迅速に解消することができる。
【0059】
図9を参照すると、膨張パッドEは、一対で備えられ得、この場合、一対の膨張パッドEはモジュールハウジング300の内面の上側及び下側にそれぞれ取り付けられる。一対の膨張パッドEは、互いに対応する位置に取り付けられることで、膨張したとき互いに当接して空気入口400及び空気出口500を閉鎖する。
【0060】
図10を参照すると、膨張パッドEは、モジュールハウジング300の内面に所定の深さで形成された収容溝300a内に少なくとも一部が挿入されて固定され得る。
【0061】
図11を参照すると、膨張パッドEは、水分を吸収して膨張するとき、その両側にそれぞれ配置される一対のメッシュプレート400a、500aによって膨張のための動きがガイドされ得る。メッシュプレート400a、500aは、網状のプレートであって、膨張パッドEが膨張していない状態では空気及び冷却流体が通過可能な構造を有する。
【0062】
一方、本発明の他の実施形態によるESSは、上述したような本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを複数個含む。
【0063】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1 バッテリーモジュール
100 バッテリーセル
110 電極リード
200 バスバーフレーム
300 モジュールハウジング
300a 収容溝
310 ベースカバー
320 サイドカバー
330 フロントカバー
340 リアカバー
400 空気入口
400a メッシュプレート
500 空気出口
500a メッシュプレート
600 スプリンクラー
610 カプラ
620 スプリンクラーヘッド
621 ガラスバルブ
622 ホルディングブラケット
630 絶縁カバーアセンブリ
631 絶縁カバー
631a カバーホール
632 インペラアセンブリ
632a インペラフレーム
632b インペラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】