(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】Cdc7阻害剤として使用される四環式化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 519/00 20060101AFI20221027BHJP
C07D 491/147 20060101ALI20221027BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20221027BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
C07D519/00 CSP
C07D491/147
A61K31/519
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511097
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 CN2020110305
(87)【国際公開番号】W WO2021032170
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】201910769786.6
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル,ルン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ガン
(72)【発明者】
【氏名】フ,リーホン
(72)【発明者】
【氏名】ディン,チャールズ ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シューフイ
【テーマコード(参考)】
4C050
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA08
4C050BB05
4C050CC16
4C050DD02
4C050EE04
4C050FF02
4C050GG03
4C050HH04
4C072MM10
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
一群のCdc7阻害剤としての四環式化合物であって、具体的には式(I)に示す化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に示す化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩であって、
【化1】
式中、「*」を伴う炭素原子は(R)又は(S)型の単一のエナンチオマーの形態又は1種のエナンチオマーを大量に含有する形態で存在するキラル炭素原子であってもよく、
XはO、NH、NCH
3から選ばれ、
Lは-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-S-CH
2-、-CH
2-NH-CH
2-、-NH-CH
2-CH
2-、-S-CH
2-CH
2-、-O-CH
2-CH
2-から選ばれ、
R
1はH、ハロゲン、CN、C
1-6アルキル基、C
3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員のヘテロアリール基から選ばれ、前記C
1-6アルキル基、C
3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員のヘテロアリール基はそれぞれ独立して所望により1つ、2つ又は3つのR
aによって置換され、前記5-6員のヘテロアリール基はO、S、N、NHからそれぞれ独立して選ばれる1つ、2つ又は3つのヘテロ原子又はヘテロ原子団を含み、
R
2はR
bから選ばれ、R
3はNH
2から選ばれ、R
4はHから選ばれ、
又は、R
2はR
cから選ばれ、R
3とR
4が接続して、所望により1つ、2つ又は3つのR
eによって置換される環Aが形成され、前記環AはC
6-14アリール基、5-14員のヘテロアリール基、5-12員のヘテロシクロアルケニル基、4-14員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記C
6-14アリール基、5-14員のヘテロアリール基、5-12員のヘテロシクロアルケニル基、4-14員のヘテロシクロアルキル基はそれぞれ独立してO、S、N、NR
dから独立して選ばれる1つ、2つ又は3つのヘテロ原子又はヘテロ原子団を含み、
R
aはそれぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、CN、NH
2、CH
3及び
【化2】
から選ばれ、
R
bはH、C
1-6アルキル基から選ばれ、前記C
1-6アルキル基は所望により1つ、2つ又は3つのRによって置換され、
R
cはH、F、Cl、Br、I及びC
1-3アルキル基から選ばれ、
R
dはH及びC
1-4アルキル基から選ばれ、
Rは-OCH
3、-OCH
2CH
3、-O-CH(CH
3)
2、シクロプロピル基、シクロペンチル基、フェニル基、ピラゾリル基、ピリジニル基、NH
2、-NHCH
3及び-N(CH
3)
2から選ばれ、
R
eはF、Cl、Br、I、OH、CN、COOH、NH
2、-NHCH
3、-N(CH
3)
2、CH
3、CH
2CH
3、CF
3、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-O-CH(CH
3)
2、-C(=O)OCH
3、-C(=O)CH
3及び-C(=O)CH
2CH
3から選ばれる、化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項2】
R
1はH、F、Cl、Br、I、CN、CH
3、CH
2CH
3、シクロプロピル基、フェニル基及びピリジニル基から選ばれ、前記CH
3、CH
2CH
3、シクロプロピル基、フェニル基及びピリジニル基はそれぞれ独立して所望により1つ、2つ又は3つのR
aによって置換される、請求項1に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項3】
R
1はH、F、Cl、Br、I、CN、CH
3、CH
2CH
3、CF
3、シクロプロピル基、フェニル基及びピリジニル基から選ばれる、請求項2に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項4】
R
1はHから選ばれる、請求項3に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項5】
R
bはH、メチル基、エチル基、イソプロピル基、プロピル基、ブチル基及びイソブチル基から選ばれる、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項6】
R
cはH、メチル基、エチル基及びFから選ばれる、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項7】
R
dはH、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基及びn-ブチル基から選ばれる、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項8】
環Aは5~9員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記5~9員のヘテロシクロアルキル基はN及びNR
dから選ばれる1つのヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項9】
環Aは次から選ばれる、請求項8に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【化3】
【請求項10】
構造単位
【化4】
は
【化5】
から選ばれる、請求項9に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項11】
構造単位
【化6】
は
【化7】
から選ばれる、請求項10に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項12】
構造単位
【化8】
は
【化9】
から選ばれる、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項13】
Lは-CH
2-CH
2-CH
2-から選ばれる、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項14】
次から選ばれる、請求項1~4及び8~9のいずれか1項に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩であって、
【化10】
式中、「*」を伴う炭素原子は(R)又は(S)型の単一のエナンチオマーの形態又は1種のエナンチオマーを大量に含有する形態で存在するキラル炭素原子であってもよく、R
1には請求項1~4のいずれか1項の定義が適用され、環Aには請求項1、8~9のいずれか1項の定義が適用される、化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項15】
下式に示す化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【化11】
【請求項16】
次から選ばれる、請求項15に記載の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【化12】
【請求項17】
治療有効量の請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるそれらの塩と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項18】
腫瘍治療薬物を製造するための、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるそれらの塩又は請求項17に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一群のCdc7阻害剤としての四環式化合物に関し、具体的には式(I)に示す化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩を開示する。
【背景技術】
【0002】
Cdc7は1974年に最初に出芽酵母から発見されたセリン/トレオニンキナーゼであった。その後、科学者は他の真核生物からもその相同タンパク質を発見した。Cdc7は生物種によって構造上の違いがあるが、どれも機能が似ている。1つはDNA複製開始複合物の重要な要素、ミニ染色体維持タンパク質(MCMタンパク質)をリン酸化して、MCMを活性化させて複製開始複合体の形成を促進することで、もう1つは、細胞周期のS期チェックポイントの重要な調節因子として細胞周期の順調な進行を制御することである。
【0003】
ヒト細胞におけるCdc7の相同タンパク質、huCdc7は1990年代以後、科学者によって発見された。huCdc7はヒトのほぼ全ての組織細胞において発現され、しかもヒトの様々な腫瘍細胞からhuCdc7の異常な高発現が確認され、このような異常な高発現は腫瘍の異常な増殖、転移及び化学療法薬耐性と高い相関関係を示すことから、huCdc7は従来の腫瘍研究で重要なマーカーとターゲットになっている。
【0004】
huCdc7は人体の全ての組織で発現され、huCdc7が核内でASK(フェーズキナーゼ活性化因子、activator of S phase kinase、別称DBF4)と結合して活性化され、活性化されたhuCdc7-ASK複合体はASK上のモチーフN(motif-N)の作用で染色体に結合することができる。関連の研究から、huCdc7とASKの結合と活性化の基本的なプロセスは次のようなものだと推測できる。a.G1期の前期ではhuCdc7がインポーチン(importin-β)の作用で細胞核に入って染色体に結合する。b.G1期の後期ではASKが核局在化シグナルの作用で細胞核に入る。c.ASKモチーフN(ASK motif-N)に媒介されて染色体に結合され、且つモチーフM(motif-M)及びモチーフC(motif-C)によってhuCdc7と結合することによってhuCdc7を活性化させる。huCdc7-ASKは核内で複合体を形成した後、MCM2、MCM4、MCM6などの、染色体に結合するミニ染色体維持タンパク質(minichromosome maintenance complex、MCM)ファミリーの複数のメンバーをリン酸化して活性化させ、特にはMCM2へのリン酸化作用が強く、MCMは細胞周期開始複合物におけるヘリカーゼの重要な成分である。
【0005】
huCdc7の活性はまた細胞周期因子によるそのリン酸化によって調節されている。huCdc7の活性化にはアクセサリータンパク質ASKとの結合だけでなく、Cdk(サイクリン依存性キナーゼ、cyclin-dependent kinase)などのいくつかのサイトカインによるそのリン酸化の調節も必要である。CdkファミリーのCdk2-Cyclin E及びCdk2-Cyclin AはhuCdc7のThr-376などの部位をリン酸化でき、これらの部位のリン酸化はhuCdc7の活性化に重要な役割を果たす。このことから、huCdc7はASKとサイトカインの調節を受けるため、その活性は細胞周期の変化に伴って変化し、huCdc7は細胞周期を促進するとともに細胞周期から厳密に調節されるということが分かった。
【0006】
細胞周期で複製損傷が発生すると、huCdc7はMCM2活性化部位以外の複数のアミノ酸部位を高度にリン酸化すると同時に、huCdc7の補助サブユニットASKがM
CM2のSer41部位をリン酸化し、これらの作用は最終的にMCM2の染色体からの脱落を促進して細胞周期がS期を経過することの阻止で細胞損傷を軽減する。MontagnoliらはhuCdc7によってリン酸化される多くのアミノ酸部位のうち、Ser108はDNA損傷応答の重要な因子であるATRのリン酸化部位でもあるという喜ばしい事実にたどり着いた。このことからDNAの複製損傷が発生する時、huCdc7とATRが相乗効果を発揮してDNAの損傷に応答すると推測できよう。DNAの複製損傷が発生する時、huCdc7はMCM2によるSer108などのアミノ酸部位そしてASKによるMCM2のSer41に対するリン酸化は複製損傷のある細胞のMCM2の不活性化に重要な役割を果たして細胞の生存を維持するということが分かった。細胞周期にDNAの複製損傷が発生する時、huCdc7は複製の開始を阻害して細胞の生存を維持できるだけでなく、DNA損傷シグナル伝達経路に関与して細胞周期の停止とDNAの修復を促進することもできる。Kimらは、細胞周期のS期にDNAの複製損傷が発生する時、huCdc7はリン酸化によってクラスピン(Claspin)を活性化させることでChk1のSer317とSer345を一層リン酸化して、ATR/Chk1経路を活性化させて、有糸分裂を停止しDNAを修復して細胞の生存を維持するよう細胞周期におけるDNAの複製損傷に応答させるということを発見した。Chk1はDNAの複製損傷が発生する時の1つの重要なチェックポイントタンパク質である。DNAの複製損傷が発生する時、Chk1が大量に発現され活性化されることでCdc25のSer216のリン酸化を引き起こしてCdc25の活性が阻害されてMPFの活性が阻害され、これにより損傷細胞が細胞周期を停止し、またアクティブなChk1はいくつかのDNA損傷シグナル伝達タンパク質とDNA修復タンパク質のDNA損傷位置への蓄積を促進することでDNAの損傷を修復し細胞の生存を維持する。また他の研究から、細胞周期のDNA損傷応答において、Chk1はASKの複数のアミノ酸部位をリン酸化できるということが判明した。上記の研究から、DNA損傷チェックポイント反応でhuCdc7が関与するATR/Chk1シグナル伝達経路は次のようなものの可能性があるということを示唆している。a.細胞周期でDNAの複製損傷が発生する時、一本鎖DNAはATRを活性化させ→ATRがさらにChk1を活性化させ→Chk1がASKの複数の部位をリン酸化して、DNAの複製開始の促進からDNAの複製損傷に対応するようにそれと結合するhuCdc7の機能の変化を促進させる。b.huCdc7はATRの補助でMCM2の活性化部位以外の複数の部位をリン酸化してそれを不活性化させ、DNA複製開始複合物の形成を防ぐとともに、huCdc7はクラスピン(Claspin)のリン酸化によりATR/Chk1シグナル伝達経路を一層活性化させることによってDNA損傷に応答する。このことから、DNA複製損傷応答において、huCdc7はATR/Chk1経路のエフェクターであるだけでなく、ATR/Chk1シグナル伝達経路の増幅因子でもあるということが分かった。
【0007】
正常な細胞周期ではhuCdc7の発現レベルが一定で、しかも細胞周期におけるいくつの因子とアクセサリータンパク質の調節を受けて、動的平衡の状態を保っている。腫瘍細胞においては細胞周期が乱れているため、huCdc7は異常に発現され過度に活性化される状態である。Hessらの研究から分かるように、huCdc7が様々な腫瘍細胞において過度に発現され、過度に発現されたhuCdc7が腫瘍細胞の重要なマーカーMCM2の過度な活性化を促進することで、腫瘍細胞の異常な増殖が促される。さらに、全ての転移腫瘍細胞でもhuCdc7が例外なく高発現されるということが発見され、これはhuCdc7の異常な高発現が腫瘍細胞の転移と密接な関係があることを示している。近年、Nambiarらは多くの皮膚黒色腫細胞株でもhuCdc7アクセサリータンパク質ASKが高発現されることで、腫瘍細胞におけるhuCdc7の活性が一層強化されるということが判明した。また、huCdc7の異常な高発現と活性化は腫瘍細胞の化学療法薬耐性に重要な役割を果たし、Tencaらは化学療法薬Huとエトポシド(etoposide)で腫瘍細胞を処理したところhuCdc7が大量に発現され高い活性を有することを判明し、huCdc7はMCM2とMCM4の複数のアミノ酸部位をリン酸化
して両者の活性を阻害することで、腫瘍細胞の損傷を和らげるという研究結果も出ていた。挙動は具体的に次のとおりである。a.Ser41、Ser108などのMCM2の複数の部位でのリン酸化は、開始複合物の集合を一層阻害することができる。b.MCM4の複数の部位でのリン酸化は染色体におけるCdc45の不正確な配置を促進して、最終的にはDNA複製開始の中断となる。また、Tencaらは、huCdc7がまた複製フォークでのクロマチンアセンブリー因子1及びヒストンの沈殿を調節して複製フォークの伸長を遅らせることによって、腫瘍細胞への損傷を低減し細胞の生存を維持するということも発見した。また他の研究から、huCdc7はクラスピン(Claspin)のリン酸化によりATR/Chk1経路を一層活性化させて有糸分裂を停止し、損傷したDNAを修復することによって腫瘍細胞を保護することも実証されている。huCdc7が腫瘍細胞の増殖、転移及び薬剤耐性に重要な役割を果たすため、huCdc7の阻害は腫瘍細胞のアポトーシスを促進する。Montagnoliらは、腫瘍細胞の増殖、転移の継続的な進行を阻害するために、腫瘍細胞にsiRNA干渉技術を導入してhuCdc7の高発現を阻害していた。実験結果は、MCM2の活性化部位のリン酸化レベルが大幅に低下し、腫瘍細胞のDNA複製開始が阻害され、腫瘍細胞の成長が遅くなるということを示していた。また、huCdc7がp53欠損腫瘍細胞でsiRNAによって阻害された後、彼らは化学療法薬Huで腫瘍細胞を処理したところ、DNA複製損傷チェックポイントATR/Chk1経路の重要な下流因子Chk1のSer345部位のリン酸化レベルが大幅に低下するため、腫瘍細胞がDNA損傷に正常に応答できず、S期には散在していたはずのDNAが集まって、腫瘍細胞のDNA複製がS期に乱れていて腫瘍細胞は非p53経路によってアポトーシスすることを促すということを発見した。Imらのさらなる研究からは、p53欠損腫瘍細胞ではhuCdc7がsiRNAによって特異的に阻害されるとDNA複製損傷チェックポイントは応答できず、ATRはp38MAPKの活性化により腫瘍細胞のアポトーシスを起こすよう促進できるということが発見された。huCdc7がダウンレギュレーションされると細胞周期中の正常な細胞にDNA複製損傷が発生する時、正常に機能するp53は活性化されて、そしてp21のアップレギュレーション及び活性化により細胞周期の進行が阻止され、且つ損傷細胞が修復されて細胞の正常な生存が維持される。またKimらは、huCdc7がsiRNAによって阻害された後、MCM4のN末端のリン酸化レベルの低下によりCdc45が染色体に配置されなくなるため複製開始複合物は形成できず、これはある程度で腫瘍の増殖を阻害しているということを発見した。したがって、腫瘍細胞におけるhuCdc7の活性を効果的に阻害することができれば、正常な細胞を損傷させることなく腫瘍細胞の成長を効果的に阻害し腫瘍細胞のアポトーシスを促進することができる。
【0008】
TAK-931はCdc7阻害剤として、Cdc7(CDC7/DBF4、IC50 2.59nM)に高い阻害活性を有し、Cdc7を高発現する細胞株COLO205細胞(IC50 85.51nM)に抗増殖活性があり、25のPDXモデルでは優れた腫瘍阻害活性を示しているため、現在臨床II相まで試験が進んでいる。しかしながら、その高いクリアランス率と短い半減期により、安定的に代謝される新世代のCdc7阻害剤の開発は臨床から要望されている
【0009】
【発明の概要】
【0010】
本発明は式(I)に示す化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩を提供し
【0011】
【0012】
式中、「*」を伴う炭素原子は(R)又は(S)型の単一のエナンチオマーの形態又は1種のエナンチオマーを大量に含有する形態で存在するキラル炭素原子であってもよく、
XはO、NH、NCH3から選ばれ、
Lは-CH2-CH2-CH2-、-CH2-O-CH2-、-CH2-S-CH2-、-CH2-NH-CH2-、-NH-CH2-CH2-、-S-CH2-CH2-、-O-CH2-CH2-から選ばれ、
R1はH、ハロゲン、CN、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員のヘテロアリール基から選ばれ、前記C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員のヘテロアリール基はそれぞれ独立して所望により1つ、2つ又は3つのRaによって置換され、前記5-6員のヘテロアリール基はO、S、N、NHからそれぞれ独立して選ばれる1つ、2つ又は3つのヘテロ原子又はヘテロ原子団を含み、
R2はRbから選ばれ、R3はNH2から選ばれ、R4はHから選ばれ、
又は、R2はRcから選ばれ、R3とR4が接続して、所望により1つ、2つ又は3つのReによって置換される環Aが形成され、前記環AはC6-14アリール基、5-14員のヘテロアリール基、5-12員のヘテロシクロアルケニル基、4-14員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記C6-14アリール基、5-14員のヘテロアリール基、5-12員のヘテロシクロアルケニル基、4-14員のヘテロシクロアルキル基はそれぞれ独立してO、S、N、NRdから独立して選ばれる1つ、2つ又は3つのヘテロ原子又はヘテロ原子団を含み、
Raはそれぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、CN、NH2、CH3
【0013】
【0014】
から選ばれ、
RbはH、C1-6アルキル基から選ばれ、前記C1-6アルキル基は所望により1つ、2つ又は3つのRによって置換され、
RcはH、F、Cl、Br、I、C1-3アルキル基から選ばれ、
RdはH、C1-4アルキル基から選ばれ、
Rは-OCH3、-OCH2CH3、-O-CH(CH3)2、シクロプロピル基、シクロペンチル基、フェニル基、ピラゾリル基、ピリジニル基、NH2、-NHCH3、-N(CH3)2から選ばれ、
ReはF、Cl、Br、I、OH、CN、COOH、NH2、-NHCH3、-N(CH3)2、CH3、CH2CH3、CF3、-OCH3、-OCH2CH3、-O-CH(CH3)2、-C(=O)OCH3、-C(=O)CH3、-C(=O)CH2CH3
から選ばれる。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R1はH、F、Cl、Br、I、CN、CH3、CH2CH3、シクロプロピル基、フェニル基、ピリジニル基から選ばれ、前記CH3、CH2CH3、シクロプロピル基、フェニル基、ピリジニル基はそれぞれ独立して所望により1つ、2つ又は3つのRaによって置換され、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R1はH、F、Cl、Br、I、CN、CH3、CH2CH3、CF3、シクロプロピル基、フェニル基、ピリジニル基から選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R1はHから選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、前記RbはH、メチル基、エチル基、イソプロピル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基から選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、前記RcはH、メチル基、エチル基、Fから選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、前記RdはH、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基から選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態において、前記環Aは5-9員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記5-9員のヘテロシクロアルキル基はN、NRdから選ばれる1つのヘテロ原子又はヘテロ原子団を含み、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、前記環Aは
【0023】
【0024】
から選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態において、前記構造単位
【0026】
【0027】
は
【0028】
【0029】
から選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態において、前記構造単位
【0031】
【0032】
は
【0033】
【0034】
から選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、前記構造単位
【0036】
【0037】
は
【0038】
【0039】
から選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態において、前記Lは-CH2-CH2-CH2-から選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、前記化合物は次から選ばれ
【0042】
【0043】
式中、「*」を伴う炭素原子は(R)又は(S)型の単一のエナンチオマーの形態又は1種のエナンチオマーを大量に含有する形態で存在するキラル炭素原子であってもよく、R1、環Aには本発明の定義が適用される。
【0044】
本発明にはまた、前記変数の任意の組み合わせから得たいくつかの実施形態がある。
【0045】
本発明はまた、下式に示す化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩を提供する。
【0046】
【0047】
本発明のいくつかの実施形態において、前記化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩は次から選ばれる。
【0048】
【0049】
本発明はまた、治療有効量の前記化合物、その異性体又は薬学的に許容されるそれらの塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0050】
本発明はまた、腫瘍治療薬物を製造するための、前記化合物、その異性体もしくは薬学的に許容されるそれらの塩又は前記医薬組成物の使用を提供する。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態において、前記腫瘍治療薬物とは結腸直腸がん、膵臓がんを治療する薬物である。
【発明の効果】
【0052】
本発明の化合物は、Cdc7阻害剤として腫瘍の治療において大いなる利用が見込まれ、がんの治療で独特な腫瘍阻害効果を示しており、しかも正常な細胞には毒性や副作用がない。したがって、Cdc7キナーゼ及びその阻害剤についての踏み込んだ研究は腫瘍の
臨床治療に新たな方向性を見出すと期待できる。本発明の化合物には同種の製品よりも治療効果が優れ、毒性や副作用が少ない新薬になるという可能性がある。
【0053】
「定義とその説明」
特に説明がある場合を除き、本明細書で使用する下記の用語及び表現は以下の意味を有する。特定の用語又は表現は、特別に定義されない場合、確定していない又は不明瞭なものではなく、通常の意味で理解される。本明細書で商品名が記載される場合に、対応する製品又はその有効成分を指す。
【0054】
本明細書で使用する用語「薬学的に許容される」とは、ヒト又は動物の組織に接触して使用するのに適し、毒性又は刺激性はなく、アレルギー反応、その他の問題又は合併症を引き起こさないと医学的に判断され、利益対リスクが合理的である化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対して使用される。
【0055】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明に係る特定の置換基を有する化合物と相対的に毒性のない酸又は塩基とから製造される本発明の化合物の塩である。本発明の化合物に相対的に酸性を示す官能基が含まれる場合に、不純物を含まない溶液又は適切な不活性溶剤において十分な量の塩基と当該化合物とを接触させることで塩基付加塩を得る。薬学的に許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン、マグネシウムの塩又は類似する塩を含む。本発明の化合物に相対的に塩基性を示す官能基が含まれる場合に、不純物を含まない溶液又は適切な不活性溶剤において十分な量の酸と当該化合物とを接触させることで酸付加塩を得る。薬学的に許容される酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無機酸の無機酸塩、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの有機酸の有機酸塩、アルギニンなどのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸などの有機酸の塩を含む。本発明に係る化合物のいくつかは塩基性又は酸性の官能基を含むため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩に変換されることが可能である。
【0056】
本発明の薬学的に許容される塩は、通常の化学的方法で酸基又は塩基を含む母体化合物から合成できる。一般に、このような塩の合成方法は水、有機溶剤又は両者の混合物において、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基の形態と化学量論的に適切な塩基又は酸とを反応させることである。
【0057】
本発明の化合物には特定の幾何異性体又は立体異性体の形態が存在してもよい。本発明に係るこの種の化合物には、シスとトランス異性体、(-)-と(+)-エナンチオマー、(R)-と(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、並びにラセミ混合物及びその他の混合物、例えば、エナンチオマー又はジアステレオマーを大量に含有する混合物を含み、これらの混合物はいずれも本発明の範囲に含まれる。アルキル基などの置換基にはまた不斉炭素原子が存在してもよい。上記の異性体及びそれらの混合物はいずれも本発明の範囲に含まれる。
【0058】
特に説明がある場合を除き、用語「エナンチオマー」又は「光学異性体」とは、互いに鏡像の関係である立体異性体を指す。
【0059】
特に説明がある場合を除き、用語「シス/トランス異性体」又は「幾何異性体」は、二重結合又は環形成炭素原子の単結合が自由に回転できないことで生じたものである。
【0060】
特に説明がある場合を除き、用語「ジアステレオマー」とは、2つ以上のキラル中心を有し、且つ分子同士が互いに非鏡像の関係である立体異性体を指す。
【0061】
特に説明がある場合を除き、「(+)」は右旋性を、「(-)」は左旋性を、「(±)」はラセミ体を表す。
【0062】
特に説明がある場合を除き、くさび形の実線結合
【0063】
【0064】
及びくさび形の破線結合
【0065】
【0066】
でキラル中心の絶対配置を表し、直線形の実線結合
【0067】
【0068】
及び直線形の破線結合
【0069】
【0070】
でキラル中心の相対配置を表し、波線
【0071】
【0072】
でくさび形の実線結合
【0073】
【0074】
もしくはくさび形の破線結合
【0075】
【0076】
を表し、又は波線
【0077】
【0078】
で直線形の実線結合
【0079】
【0080】
もしくは直線形の破線結合
【0081】
【0082】
を表す。
【0083】
特に説明がある場合を除き、用語「1種の異性体を大量に含有する」、「異性体の大量含有」、「1種のエナンチオマーを大量に含有する」又は「エナンチオマーの大量含有」とは、特定の1種の異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、又は99.5%以上、又は99.6%以上、又は99.7%以上、又は99.8%以上、又は99.9%以上であって、且つ100%未満であることである。
【0084】
特に説明がある場合を除き、用語「異性体過剰」又は「エナンチオマー過剰」とは、2種の異性体又は2種のエナンチオマーの相対百分率含有量の差値をいう。例えば、一方の異性体又はエナンチオマーの含有量が90%で、他方の異性体又はエナンチオマーの含有量が10%である場合に、異性体又はエナンチオマー過剰(ee値)は80%である。
【0085】
不斉合成、不斉試薬又はその他の通常の技術で、光学活性を有する(R)-と(S)-異性体、及びDとL異性体を合成することができる。本発明の特定の化合物の1種のエナンチオマーを得るには、不斉合成又は不斉助剤の誘導での合成が可能である。生成物のジアステレオマー混合物を分離させ、且つ補助的な官能基を脱去させることによって所望のエナンチオマーの純粋物を得る。又は、分子に塩基性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシ基)が含まれた場合に、光学活性を有する適切な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成させた後、本分野で周知される通常の方法でジアステレオマーを分割することによって、純粋なエナンチオマーを得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は一般にクロマトグラフィーによって実行され、クロマトグラフィーにはキラルな固定相が用いられ、所望により化学的誘導法と組み合わせてもよい(例えば、アミンからのカルバメート生成)。本発明の化合物は当該化合物を構成する1つ又は複数の原子に非天然的な割合で同原子の同位体が含まれてもよい。例えば、化合物は三重水素(3H)、ヨウ素-125(125I)又は炭素-14(14C)などの放射能同位体で標識されてもよい。又は、重水素で水素を置換して重水素化薬物を生成させてもよく、重水素と炭素の結合が水素と炭素からなる通常の結合よりも堅牢で、非重水素化薬物に比べて、重水素化薬物は毒性と副作用が軽減され、薬物安定性と治療効果が改善され、薬物の生物学的半減期が延長されるなどの利点を有する。本発明の化合物の同位体を含むバリアントは、放射性があるかどうかに関らず、いずれも本発明の範囲に含まれる。
【0086】
用語「置換された」とは特定の原子の原子価が正常で、且つ置換後の化合物が安定的でさえあれば、当該原子上の任意の1つ又は複数の水素原子が、重水素及び水素のバリアントを含め置換基によって置換されることである。置換基が酸素(=O)である場合に、2つの水素原子が置換されることになる。酸素置換はアリール基には行われない。用語「所望により置換された」とは置換されてもよいし、置換されなくてもよいことである。特に規定がある場合を除き、置換基の種類とその数量は化学的に実現できる範囲であれば限定されない。
【0087】
化合物の組成又は構造において特定の変数(例えば、R)が1回以上出現した場合に、出現するたびに独立して的な定義が用いられる。したがって、例えば、1つの官能基が0ないし2つのRによって置換される場合に、当該官能基は所望により最大2つのRによって置換され、しかもそれぞれのRは独立して選ばれる。また、置換基及び/又はそのバリアントの組み合わせは当該組み合わせから安定的な化合物が生成される場合に限って認められる。
【0088】
例えば、-(CRR)0-のように、接続官能基の数量が0である場合に、当該接続官能基は単結合であることを表す。
【0089】
置換基の数量が0である場合に、当該置換基は存在しないことを表し、例えば、-A-(R)0は当該構造が実際に-Aであることを表す。
【0090】
置換基が表示されない場合に、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、A-XでXが表示されない場合に、当該構造は実際にAであることを表す。
【0091】
変数が単結合とされた場合に、それを介して接続された2つの官能基が直接的に接続されることを表す。例えば、A-L-ZでLが単結合である場合に、当該構造は実際にA-Zであることを表す。
【0092】
1つの置換基が結合を介して1つの環の2つ以上の原子に架橋され得る場合に、このような置換基は当該環の任意の原子に結合されてもよい。例えば、構造単位
【0093】
【0094】
又は
【0095】
【0096】
の場合は、置換基Rがシクロヘキシル基又はシクロヘキサジエンの任意の位置において置換してもよい。記載された置換基ではどの原子を介して置換先官能基に接続されるか明記されていない場合に、当該置換基はその任意の原子を介して結合されてもよい。例えば、ピリジニル置換基はピリジン環の任意の1つの炭素原子を介して置換先官能基に接続されてもよい。
【0097】
記載された接続官能基では接続の方向が明記されていない場合に、任意の方向で接続さ
れる。例えば
【0098】
【0099】
で接続官能基Lが-M-W-である場合に、-M-W-が左の方から右の方への方向で環Aと環Bに接続され
【0100】
【0101】
が構成されてもよいし、左の方から右の方へとは逆の方向で環Aと環Bとに接続され
【0102】
【0103】
が構成されてもよい。前記接続官能基、置換基及び/又はそのバリアントの組み合わせは当該組み合わせから安定的な化合物が生成される場合に限って認められる。
【0104】
特に規定がある場合を除き、官能基が1つ又は複数の接続可能部位を有する場合に、当該官能基の任意の1つ又は複数の部位は化学結合を介して他の官能基に接続できる。当該化学結合の接続先部位が定まらず、且つ接続可能部位にH原子がある場合には、化学結合が接続すると、当該部位のH原子の個数が接続化学結合の数量分だけ減って対応の価数の官能基になる。前記部位の他の官能基に接続する化学結合は直線形の実線結合
【0105】
【0106】
、直線形の破線結合
【0107】
【0108】
又は波線
【0109】
【0110】
で示すことができる。例えば、-OCH3では直線形の実線結合は当該官能基の酸素原子
を介して他の官能基に接続することを表し
【0111】
【0112】
では直線形の破線結合は当該官能基の窒素原子の両端から他の官能基に接続することを表し
【0113】
【0114】
では波線は当該フェニル官能基の1位及び2位の炭素原子を介して他の官能基に接続することを表し
【0115】
【0116】
は当該ピペリジニル基の任意の接続可能部位が1つの化学結合を介して他の官能基に接続することを表し、少なくとも
【0117】
【0118】
の4つの接続形態を含み、-N-の隣にH原子が表示されているが
【0119】
【0120】
には
【0121】
【0122】
という接続形態の官能基が含まれ、ただし1つの化学結合が接続すると、当該部位のHが1つ減って一価のピペリジニル基になる。
【0123】
特に規定がある場合を除き、環上の原子の数量は一般に環の員数と定義される。例えば、「5-7員環」とは、環状に配置された5-7つの原子からなる「環」である。
【0124】
特に規定がある場合を除き、用語「C1-6アルキル基」とは1ないし6つの炭素原子からなる直鎖又は分岐の飽和炭化水素基を表す。前記C1-6アルキル基はC1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-4、C6、C5アルキル基などを含み、一価(例えば、メチル基)、二価(例えば、メチレン基)であってもよいし、多価(例えば、メチン基)であってもよい。C1-6アルキル基の例はメチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基を含む)、ブチル基(n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基を含む)、ペンチル基(n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基を含む)、ヘキシル基などを含み、しかもこれらに限定されない。
【0125】
特に規定がある場合を除き、用語「C1-4アルキル基」とは1ないし4つの炭素原子からなる直鎖又は分岐の飽和炭化水素官能基を表す。前記C1-4アルキル基はC1-2、C1-3、C2-3アルキル基などを含み、一価(例えば、メチル基)、二価(例えば、メチレン基)であってもよいし、多価(例えば、メチン基)であってもよい。C1-4アルキル基の例はメチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基を含む)、ブチル基(n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基を含む)などを含み、しかもこれらに限定されない。
【0126】
特に規定がある場合を除き、用語「C1-3アルキル基」とは1ないし3つの炭素原子からなる直鎖又は分岐の飽和炭化水素官能基を表す。前記C1-3アルキル基はC1-2、C2-3アルキル基などを含み、一価(例えば、メチル基)、二価(例えば、メチレン基)であってもよいし、多価(例えば、メチン基)であってもよい。C1-3アルキル基の例はメチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基を含む)などを含み、しかもこれらに限定されない。
【0127】
特に規定がある場合を除き、用語「ハロ」又は「ハロゲン」はそれ自体又は別の置換基の一部として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。
【0128】
特に規定がある場合を除き、「C3-6シクロアルキル基」は3ないし6つの炭素原子からなる飽和環状炭化水素基を表し、単環又は二環の環系であり、炭素原子は所望により酸化される(即ちC=Oになる)。前記C3-6シクロアルキル基はC3-5、C4-5、C5-6シクロアルキル基などを含み、一価、二価であってもよいし、多価であってもよい。C3-6シクロアルキル基の例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを含み、しかもこれらに限定されない。
【0129】
特に規定がある場合を除き、用語「4-14員のヘテロシクロアルキル基」はそれ自体又はその他の用語と組み合わせて、4つないし14の環上の原子からなる飽和環状基を表し、環上の原子の1つ、2つ、3つ又は4つは独立してO、S、Nから選ばれるヘテロ原子で、残りは炭素原子であり、窒素原子は所望により四級化され、炭素、窒素又は硫黄ヘテロ原子は所望により酸化される(即ちC=O、NO、S(O)pになり、pは1又は2である)。単環、二環及び三環の環系を含み、二環及び三環の環系はスピロ環、縮合環、架橋環を含む。また、当該「4-14員のヘテロシクロアルキル基」において、ヘテロ原子はヘテロシクロアルキル基の分子の他の部分に接続された位置に配置されてもよい。前記4-14員のヘテロシクロアルキル基は4-12員、5-10員、5-9員、3-10員、3-8員、3-6員、3-5員、4-6員、5-6員、4員、5員及び6員のヘテロシクロアルキル基などを含む。4-14員のヘテロシクロアルキル基の例はアゼチジニル基、オキセタニル基、チエタニル基、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリジニル基、テトラヒドロチエニル基(テトラヒドロチオフェン-2-イル、テトラヒドロチオフェン-3-イルなどを含む)、テトラヒドロフリル基(テトラヒドロフラン-2-イ
ルなどを含む)、テトラヒドロピラニル基、ピペリジニル基(1-ピペリジニル基、2-ピペリジニル基、3-ピペリジニル基などを含む)、ピペラジニル基(1-ピペラジニル基、2-ピペラジニル基などを含む)、モルホリニル基(3-モルホリニル基、4-モルホリニル基などを含む)、ジオキサン基、ジチアン基、イソオキサゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、1,2-オキサジニル基、1,2-チアジニル基、ヘキサヒドロピリダジニル基、ホモピペラジニル基、ホモピペリジニル基、ジオキセパニル基
【0130】
【0131】
などを含み、しかもこれらに限定されない。
【0132】
特に規定がある場合を除き、用語「5-9員のヘテロシクロアルキル基」はそれ自体又はその他の用語と組み合わせて、5ないし9つの環上の原子からなる飽和環状基を表し、環上の原子の1つ、2つ、3つ又は4つは独立してO、S、Nから選ばれるヘテロ原子で、残りは炭素原子であり、窒素原子は所望により四級化され、炭素、窒素又は硫黄ヘテロ原子は所望により酸化される(即ちC=O、NO、S(O)pになり、pは1又は2である)。単環及び二環の環系を含み、二環の環系はスピロ環、縮合環及び架橋環を含む。また、当該「5-9員のヘテロシクロアルキル基」において、ヘテロ原子はヘテロシクロアルキル基の分子の他の部分に接続された位置に配置されてもよい。前記5-9員のヘテロシクロアルキル基は9員、8員、7員、6員及び5員のヘテロシクロアルキル基などを含む。5-9員のヘテロシクロアルキル基の例はピロリジニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリジニル基、テトラヒドロチエニル基(テトラヒドロチオフェン-2-イル、テトラヒドロチオフェン-3-イルなどを含む)、テトラヒドロフリル基(テトラヒドロフラン-2-イルなどを含む)、テトラヒドロピラニル基、ピペリジニル基(1-ピペリジニル基、2-ピペリジニル基、3-ピペリジニル基などを含む)、ピペラジニル基(1-ピペラジニル基、2-ピペラジニル基などを含む)、モルホリニル基(3-モルホリニル基、4-モルホリニル基などを含む)、ジオキサン基、ジチアン基、イソオキサゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、1,2-オキサジニル基、1,2-チアジニル基、ヘキサヒドロピリダジニル基、ホモピペラジニル基、ホモピペリジニル基、ジオキセパニル基
【0133】
【0134】
などを含み、しかもこれらに限定されない。
【0135】
特に規定がある場合を除き、用語「5-12員のヘテロシクロアルケニル基」はそれ自体又はその他の用語と組み合わせて、それぞれ少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み5ないし12の環上の原子からなる部分的に不飽和の環状基を表し、環上の原子の1つ、2つ、3つ又は4つは独立してO、S、Nから選ばれるヘテロ原子で、残りは炭素原子であり、窒素原子は所望により四級化され、炭素、窒素又は硫黄ヘテロ原子は所望により酸化される(即ちC=O、NO、S(O)pになり、pは1又は2である)。単環、二環及び三環の環系を含み、そのうち二環及び三環の環系はスピロ環、縮合環、架橋環を含み、当該環系の環は全て非芳香族環である。また、当該「5-12員のヘテロシクロアルケ
ニル基」において、ヘテロ原子はヘテロシクロアルケニル基の分子の他の部分に接続された位置に配置されてもよい。前記5-12員のヘテロシクロアルケニル基は5-10員、5-8員、5-6員、4-5員、4員、5員及び6員のヘテロシクロアルケニル基などを含む。5-12員のヘテロシクロアルケニル基の例は
【0136】
【0137】
を含み、しかもこれらに限定されない。
【0138】
特に規定がある場合を除き、本発明では用語「C6-14芳香環」と「C6-14アリール基」を入れ替えて使用することができ、用語「C6-14芳香環」又は「C6-14アリール基」は6つないし14の炭素原子からなる共役π電子系を有する環状炭化水素基を表し、単環、縮合二環又は縮合三環の環系であってもよく、当該環系の環は全て芳香族環である。一価、二価であってもよいし多価であってもよく、C6-14アリール基はC6-10、C6-9、C6-8、C12、C14、C10及びC6アリール基などを含む。C6-14アリール基の例はフェニル基、ナフチル基(1-ナフチル基、2-ナフチル基などを含む)、アントリル基を含み、しかもこれらに限定されない。
【0139】
特に規定がある場合を除き、本発明では用語「5-14員の複素芳香環」と「5-14員のヘテロアリール基」を入れ替えて使用することができ、用語「5-14員のヘテロアリール基」は5つないし14の環上の原子からなる共役π電子系を有する環状基を表し、環上の原子の1つ、2つ、3つ又は4つは独立してO、S、Nから選ばれるヘテロ原子で、残りは炭素原子である。窒素原子は所望により四級化され、炭素、窒素又は硫黄ヘテロ原子は所望により酸化される(即ちC=O、NO、S(O)pになり、pは1又は2である)。単環、縮合二環又は縮合三環の環系であってもよく、当該環系の環は全て芳香族環である。5-14員のヘテロアリール基はヘテロ原子又は炭素原子を介して分子の他の部分に接続されてもよい。前記5-14員のヘテロアリール基は5-12員、5-10員、5-8員、5-7員、5-6員、5員及び6員のヘテロアリール基などを含む。前記5-12員のヘテロアリール基の例はピロリル基(N-ピロリル基、2-ピロリル基、3-ピロリル基などを含む)、ピラゾリル基(2-ピラゾリル基、3-ピラゾリル基などを含む)、イミダゾリル基(N-イミダゾリル基、2-イミダゾリル基、4-イミダゾリル基、5-イミダゾリル基などを含む)、オキサゾリル基(2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基などを含む)、トリアゾリル基(1H-1,2,3-トリアゾリル基、2H-1,2,3-トリアゾリル基、1H-1,2,4-トリアゾリル基、4H-1,2,4-トリアゾリル基などを含む)、テトラゾリル基、イソオキサゾリル基(3-イソオキサゾリル基、4-イソオキサゾリル基、5-イソオキサゾリル基などを含む)、チアゾリル基(2-チアゾリル基、4-チアゾリル基、5-チアゾリル基などを含む)、フリル基(2-フリル基、3-フリル基などを含む)、チエニル基(2-チエニル基、3-チエニル基などを含む)、ピリジニル基(2-ピリジニル基、3-ピリジニル基、4-ピリジニル基などを含む)、ピラジニル基、ピリミジニル基(2-ピリミジニル基、4-ピリミジニル基などを含む)、ベンゾチアゾリル基(5-ベンゾチアゾリル基などを含む)、プリニル基、ベンゾイミダゾリル基(2-ベンゾイミダゾリル基などを含む)、ベンゾオキサゾリル基、インドリル基(5-インドリル基などを含む)、イソキノリニル基(1-イソキノリニル基、5-イソキノリニル基などを含む)、キノキサリニル基(2-キノキサリニル基、5-キノキサリニル基などを含む)、キノリニル基(3-キノリニル基、6-キノリニル基などを含む)、ベンゾイソキノリニル基を含み、しかもこれらに
限定されない。
【0140】
特に規定がある場合を除き、本発明では用語「5-6員の複素芳香環」と「5-6員のヘテロアリール基」を入れ替えて使用することができ、用語「5-6員のヘテロアリール基」は5ないし6つの環上の原子からなる共役π電子系を有する単環式基で、環上の原子の1つ、2つ、3つ又は4つは独立してO、S、Nから選ばれるヘテロ原子で、残りは炭素原子である。窒素原子は所望により四級化され、炭素、窒素又は硫黄ヘテロ原子は所望により酸化される(即ちC=O、NO、S(O)pになり、pは1又は2である)。5-6員のヘテロアリール基はヘテロ原子又は炭素原子を介して分子の他の部分に接続されてもよい。前記5-6員のヘテロアリール基は5員及び6員のヘテロアリール基を含む。前記5-6員のヘテロアリール基の例はピロリル基(N-ピロリル基、2-ピロリル基、3-ピロリル基などを含む)、ピラゾリル基(2-ピラゾリル基、3-ピラゾリル基などを含む)、イミダゾリル基(N-イミダゾリル基、2-イミダゾリル基、4-イミダゾリル基、5-イミダゾリル基などを含む)、オキサゾリル基(2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基などを含む)、トリアゾリル基(1H-1,2,3-トリアゾリル基、2H-1,2,3-トリアゾリル基、1H-1,2,4-トリアゾリル基、4H-1,2,4-トリアゾリル基などを含む)、テトラゾリル基、イソオキサゾリル基(3-イソオキサゾリル基、4-イソオキサゾリル基、5-イソオキサゾリル基などを含む)、チアゾリル基(2-チアゾリル基、4-チアゾリル基、5-チアゾリル基などを含む)、フリル基(2-フリル基、3-フリル基などを含む)、チエニル基(2-チエニル基、3-チエニル基などを含む)、ピリジニル基(2-ピリジニル基、3-ピリジニル基、4-ピリジニル基などを含む)、ピラジニル基、ピリミジニル基(2-ピリミジニル基、4-ピリミジニル基などを含む)を含み、しかもこれらに限定されない。
【0141】
本発明の化合物は、下記の具体的な実施形態、その他の化学的合成方法と組み合わせた実施形態及び当業者が熟知する代替的な入れ替え形態を含み、好ましい実施形態は本発明の実施例を含み、しかもそれらに限定されない、当業者が熟知する様々な合成方法で合成することができる。
【0142】
本発明で使用する溶媒は市販品であってもよい。
【0143】
本発明で使用する略語及びその意味は次のとおりである。aq=水、HATU=O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、EDC=N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N’-エチルカルボジイミド・塩酸塩、m-CPBA=3-クロロ過安息香酸、eq=当量又は等量、CDI=カルボニルジイミダゾール、DCM=ジクロロメタン、PE=石油エーテル、DIAD=アゾジカルボン酸ジイソプロピル、DMF=N,N-ジメチルホルムアミド、DMSO=ジメチルスルホキシド、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、MeOH=メタノール、Cbz=ベンジルオキシカルボニル基(1種のアミン保護基)、BOC=t-ブトキシカルボニル基(1種のアミン保護基)、HOAc=酢酸、NaCNBH3=シアノ水素化ホウ素ナトリウム、r.t.=室温、O/N=一晩、THF=テトラヒドロフラン、Boc2O=二炭酸ジ-t-ブチル、TFA=トリフルオロ酢酸、DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン、SOCl2=塩化チオニル、CS2=二硫化炭素、TsOH=p-トルエンスルホン酸、NFSI=N-フルオロ-N-(ベンゼンスルホニル)ベンゼンスルホンアミド、NCS=1-クロロピロリジン-2,5-ジオン、n-Bu4NF=テトラブチルアンモニウムフルオリド、iPrOH=2-プロパノール、mp=融点、LDA=リチウムジイソプロピルアミド。
【0144】
化合物は本分野の通常の命名規則に基づいて、又はソフトウェアChemDraw(登録商標)を利用して命名され、市販化合物はメーカーが提供するカタログの名称に準拠す
る。
【発明を実施するための形態】
【0145】
次に、実施例を用いて本発明を詳細に説明し、これは本発明に何らかの限定を加えることにならない。本明細書では具体的な実施形態を含め本発明の詳細な説明が記載されている。当業者は本発明の趣旨と範囲を逸脱することなく本発明の特定の実施形態に様々な変形や改善を行うことができ、これは自明な事項である。
【0146】
実施例1:化合物1-1及び1-2
【0147】
【0148】
化合物1Bの合成:
化合物1A(20g、158.54mmol)をN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(53.82g、451.66mmol)に加えて、100℃下で攪拌しながら3時間反応させた。減圧下で濃縮乾固し、精製は行わず化合物1Bを得、そのまま次のステップの反応に使用した。
【0149】
LCMS(ESI)m/z:182(M+1)。
【0150】
化合物1Cの合成:
0℃下で、ヒドラジン一水和物(6.96g、139.05mmol)を1B(28g、154.5mmol)のメタノール(80mL)溶液に加え、その後90℃に加熱して攪拌しながら2時間反応させた。減圧下で濃縮乾固し、150mL(酢酸エチル:石油エーテル=1:9、V:V)の混合溶液に加えて10分間攪拌し、その後、濾過し、固体を集めて化合物1Cを得た。
【0151】
LCMS(ESI)m/z:151(M+1)。
【0152】
化合物1Dの合成:
化合物1C(3.0g、19.98mmol)、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(2.52g、29.96mmol)及びトリフルオロ酢酸(228mg、2.0μmol)をテトラヒドロフラン(50mL)に加えて50℃下で攪拌しながら5時間反応させた。室温に冷却して、20mLの水を加え、酢酸エチル(50mL)で2回抽出し、飽和食塩水10mLで2回洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、回転蒸発して、残留物をシリカ系カラム(1000メッシュのシリカゲル、石油エーテル:酢酸エチル=100:1-3:1)によって精製して化合物1Dを得た。
【0153】
LCMS(ESI)m/z:235(M+1)。
【0154】
1H NMR(MeOH-d4,400MHz)δ ppm 8.21(s,1H),5.33-5.42(m,1H),4.02-4.11(m,1H),3.70-3.77(m,1H),2.95-3.02(m,2H),2.68-2.74(m,2H),1.94-2.05(m,6H),1.57-1.82(m,4H)。
【0155】
化合物1Eの合成:
20℃の窒素保護下で、化合物1D(3.5g、14.94mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に水素化ナトリウム(1.19g、29.88mmol、60%)を加え、反応液を20℃下で攪拌しながら30分間反応させ、その後、ギ酸エチル(1.66g、22.41mmol)を加えて、引き続き2時間反応させた。飽和塩化アンモニウム溶液20mLを加えてクエンチし、酢酸エチル(80mL)で2回抽出し、飽和食塩水30mLで洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、回転蒸発して化合物1Eを得た。
【0156】
LCMS(ESI)m/z:263(M+1)。
【0157】
化合物1Fの合成:
25℃下で、化合物1E(3.9g、14.87mmol)のエタノール(15mL)溶液に塩酸ヒドロキシルアミン(1.08g、14.87mmol)を加え、反応液を90℃下で攪拌しながら2時間反応させ、濾過して、化合物1Fを得た。
【0158】
LCMS(ESI)m/z:176(M+1)。
【0159】
1H NMR(MeOH-d4,400MHz)δ ppm 8.39-8.47(m,1H),8.25-8.32(m,1H),3.12-3.23(m,2H),2.85-2.94(m,2H),2.06-2.17(m,2H)。
【0160】
化合物1Gの合成:
20℃の窒素保護下で、化合物1F(2.5g、14.27mmol)のエタノール(20mL)溶液にナトリウムメトキシド(1.54g、28.54mmol)を加え、反応液を75℃下で攪拌しながら2時間反応させた。室温に冷却して、飽和塩化アンモニウム溶液5mLを加えてクエンチし、酢酸エチル(20mL)で2回抽出し、飽和食塩水10mLで洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、回転蒸発して化合物1Gを得た。
【0161】
LCMS(ESI)m/z:176(M+1)。
【0162】
化合物1Hの合成:
化合物1G(1.7g、9.7mmol)、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(1.06g、12.62mmol)及びトリフルオロ酢酸(111mg、970.39μmol)をテトラヒドロフラン(50mL)に加えて60℃下で攪拌しながら3時間反応させた。室温に冷却して、回転蒸発し、残留物をシリカ系カラム(1000メッシュのシリカゲル、石油エーテル:酢酸エチル=10:1-1:1)によって精製して化合物1Hを得た。
【0163】
LCMS(ESI)m/z:260(M+1)。
【0164】
化合物1Jの合成:
化合物1H(0.5g、1.93mmol)、化合物1I(399mg、2.89mmol)及び炭酸カリウム(799mg、5.78mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に加えて100℃下で攪拌しながら3時間反応させた。室温に冷却して、回転蒸発し、残留物をシリカ系カラム(1000メッシュのシリカゲル、石油エーテル:酢酸エチル=10:1-1:1)によって精製して化合物1Jを得た。
【0165】
LCMS(ESI)m/z:317(M+1)。
【0166】
化合物1Kの合成:
20℃下で、ナトリウム(29mg、1.25mmol)をエタノール(9mL)に加え、ナトリウムの塊が完全に消えたら化合物1J(0.2g、623.47μmol)を加え、その後還流して5時間反応させた。減圧下で濃縮乾固し、残留物を逆相高速クロマトグラフィー(Agela Technologies、C18、20-35μm、0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル)によって精製して化合物1Kを得た。
【0167】
LCMS(ESI)m/z:317(M+1)。
【0168】
1H NMR(MeOH-d4,400MHz)δ ppm 7.97(s,1H),5.27-5.16(m,1H),3.96-3.89(m,1H),3.66-3.58(m,1H),2.89-2.82(m,2H),2.56-2.49(m,2H),2.06-1.92(m,4H),1.72-1.44(m,4H)。
【0169】
化合物1Mの合成:
20℃の窒素保護下で、化合物1K(181mg、1.04mmol)と化合物1L(110mg、347.71μmol)のジクロロメタン(10mL)溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(180mg、1.39mmol)を加えた。反応液を20℃下で攪拌しながら5時間反応させた。反応液を濃縮乾固して化合物1Mの粗生成物を得、そのまま次のステップの反応に使用した。
【0170】
LCMS(ESI)m/z:454(M+1)。
【0171】
化合物1Nの合成:
20℃下で、化合物1M(150.7mg、347.71μmol)をメタノール(10mL)と水(10mL)の混合溶媒に溶解し、その後、水酸化ナトリウム(139.09mg、3.48mmol)を加え、その後、温度を70℃に上げて、攪拌しながら30分間反応させた。メタノールを蒸発させて、水(10mL)を加え、その後、酢酸エチル(50mL)で2回抽出し、飽和食塩水(10mL)で2回洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、回転蒸発して化合物1Nの粗生成物を得、そのまま次のステップの反応に使用した。
【0172】
LCMS(ESI)m/z:436(M+1)。
【0173】
実施例1-1及び1-2の合成:
25℃下で、化合物1N(0.075g、172.21μmol)のジクロロメタン(3mL)溶液にトリフルオロ酢酸(2mL、27.01mmol)を滴加し、その後、室温下で攪拌しながら1時間反応させた。反応液を濃縮して、残留物を逆相高速クロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー製、C18逆相カラム、20-35μm、0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル)によって精製し、その後、SFC(ダイセル製CHIRALCEL(登録商標) OJ-H(250mm×30mm、5μm)、移動相は二酸化炭素A相と0.1%の水酸化アンモニウムを含むメタノールB相、溶出勾配はB相30%-30%、3.95分)によって分離して2つの成分を得、2つの成分をそれぞれ分取高速液体クロマトグラフィー(カラムはPhenomenex Synergi C18 150×25×10μm、移動相は0.05%希塩酸A相とアセトニトリルB相、溶出勾配はB相11%-31%、11分)によって再び精製して化合物1-1及び化合物1-2を得た。
【0174】
次の事項でSFC分析方法より測定した。化合物1-1の保持時間は2.089分、化合物1-2の保持時間は1.919分であった。
【0175】
SFC分析方法:
カラムはChiralcel(登録商標) OD-3 50×4.6mmI.D.、3μm、移動相は二酸化炭素A相と0.05%のジエチルアミンを含むエタノールB相、勾配溶出はB相の含有量5%から40%、流速は3mL/min、波長は220nm、カラム温度は35℃、背圧は100Bar。
【0176】
化合物1-1:LCMS(ESI)m/z:352(M+1)。
【0177】
1H NMR(400MHz,MeOH-d4)δ ppm 8.50-7.90(m,1H),4.06-3.95(m,1H),3.43(br s,4H),3.18-3.09(m,1H),3.04-2.86(m,2H),2.58-2.47(m,1H),2.38-2.28(m,1H),2.20-1.80(m,8H)。
【0178】
化合物1-2:LCMS(ESI)m/z:352(M+1)。
【0179】
1H NMR(400MHz,MeOH-d4)δ ppm 8.53-8.00(m,1H),4.21-3.78(m,1H),3.72-3.37(m,3H),3.18-2.77(m,4H),2.61-2.41(m,1H),2.35-2.23(m,1H),2.17-1.85(m,8H)。
【0180】
実施例2:化合物2-1及び2-2
【0181】
【0182】
化合物2Bの合成:
20℃の窒素保護下で、化合物1K(500mg、1.57mmol)と化合物2A(1.07g、4.0mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(608mg、4.71mmol)を加えた。反応液を20℃下で攪拌しながら5時間反応させた。反応液を濃縮乾固し、残留物を逆相高速クロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー製、C18逆相カラム、20-35μm、0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル)にかけて化合物2Bを得た。
【0183】
LCMS(ESI)m/z:530(M+1)。
【0184】
化合物2Cの合成:
室温下で、化合物2B(0.4g、755.31μmol)に35%の臭化水素-酢酸溶液(5mL)を滴加し、その後、20℃下で攪拌しながら1時間反応させた。反応液を濃縮して化合物2Cの粗生成物を得、そのまま次のステップの反応に使用した。
【0185】
LCMS(ESI)m/z:330(M+1)。
【0186】
化合物2-1の合成:
室温下で、化合物2C(238mg、722.63μmol)をメタノール(10mL)に溶解し、その後、水酸化ナトリウム(289mg、7.23mmol)を加え、その後、温度を70℃に上げて、攪拌しながら30分間反応させた。メタノールを蒸発させ、残留物を分取高速液体クロマトグラフィー(カラムはPhenomenex Synergi C18 150×25×10μm、移動相は0.05%希塩酸A相とアセトニトリルB相、溶出勾配はB相6%-26%、9分)にかけて化合物2-1を得た。
【0187】
LCMS(ESI)m/z:312(M+1)。
【0188】
1H NMR(400MHz,MeOH-d4)δ ppm 8.24-8.17(m,1H),4.82-4.75(m,1H),3.71-3.61(m,1H),3.55-3.46(m,1H),3.20-3.13(m,2H),3.11-3.03(m,2H),2.70-2.55(m,1H),2.24-2.17(m,2H),2.17-2.17(m,1H),2.17-2.10(m,2H)。
【0189】
化合物2Eの合成:
20℃の窒素保護下で、化合物1K(300mg、941.05μmol)と化合物2
D(0.504g、1.88mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(365mg、2.82mmol)を加えた。反応液を20℃下で攪拌しながら5時間反応させた。反応液を濃縮乾固して化合物2Eの粗生成物を得た。
【0190】
LCMS(ESI)m/z:548(M+1)。
【0191】
化合物2Fの合成:
室温下で、化合物2E(0.5g、913.07μmol)に30%の臭化水素-酢酸溶液(5mL)を滴加し、その後、20℃下で攪拌しながら1時間反応させた。反応液を濃縮して化合物2Fの粗生成物を得、そのまま次のステップの反応に使用した。
【0192】
LCMS(ESI)m/z:330(M+1)。
【0193】
化合物2-2の合成:
実施例の化合物2-1で説明されている方法で合成した。
【0194】
LCMS(ESI)m/z:312(M+1)。
【0195】
1H NMR(400MHz,MeOH-d4)δ ppm 8.25-8.15(m,1H),4.83-4.75(m,1H),3.71-3.61(m,1H),3.54-3.46(m,1H),3.21-3.13(m,2H),3.11-3.03(m,2H),2.69-2.57(m,1H),2.24-2.12(m,5H)。
【0196】
次の事項でSFC分析方法より測定した。化合物1-1の保持時間は0.991分、化合物1-2の保持時間は1.298分であった。
【0197】
SFC分析方法:
カラムはChiralpak(登録商標) AD-3 50×4.6mmI.D.、3μm、移動相は二酸化炭素A相と0.05%のジエチルアミンを含むエタノールB相、勾配溶出はB相の含有量40%イソクラティック、流速は3mL/min、波長は220nm、カラム温度は35℃、背圧は100Bar。
【0198】
実施例3:化合物3-1及び3-2
【0199】
【0200】
化合物3-1の合成:
20℃下で、化合物2-1(50.00mg、160.14μmol)、37%のホルムアルデヒド水溶液(22μL、800.69μmol)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(30mg、480.41μmol)をメタノール(5mL)溶液に加えて攪拌しながら1時間反応させ、反応液を濃縮して、残留物を分取高速液体クロマトグラフィー(カラムはPhenomenex Synergi C18 150×25×10μm、移動相は0.05%塩酸水溶液A相とアセトニトリルB相、溶出勾配はアセトニトリル6%-26%、時間は12分)によって精製して化合物3-1を得た。
【0201】
LCMS(ESI)m/z:326(M+1)。
【0202】
1H NMR(400MHz,MeOH-d4)δ ppm 8.30-8.19(m,1H),4.68-4.57(m,1H),4.03-3.90(m,1H),3.51-3.36(m,1H),3.22-3.15(m,2H),3.13(s,3H),3.11-3.05(m,2H),2.85-2.73(m,1H),2.40-2.27(m,1H),2.26-2.12(m,4H)。
【0203】
化合物3-2の合成:
化合物3-1で説明されている方法で合成した。
【0204】
LCMS(ESI)m/z:326(M+1)。
【0205】
1H NMR(400MHz,MeOH-d4)δ ppm 8.30(s,1H),4.67-4.56(m,1H),4.03-3.90(m,1H),3.46-3.39(m,1H),3.23-3.17(m,2H),3.12(s,3H),3.12-3.07(m,2H),2.87-2.73(m,1H),2.43-2.28(m,1H),2.27-2.14(m,4H)。
【0206】
次の事項でSFC分析方法より測定した。化合物1-1の保持時間は1.190分、化合物1-2の保持時間は1.116分であった。
【0207】
SFC分析方法:
カラムはChiralcel(登録商標) OJ-3 50×4.6mm I.D.、3μm、移動相は二酸化炭素A相と0.05%のジエチルアミンを含むメタノールB相、勾配溶出はB相の含有量5%から40%、流速は3mL/min、波長は220nm、カラム温度は35℃、背圧は100Bar。
【0208】
実施例4:化合物4
【0209】
【0210】
化合物4Bの合成:
20℃窒素保護下で、化合物4A(0.375g、2.62mmol)とジイソプロピルアミン(1.02g、7.86mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液に1,1-カルボニルジイミダゾール(0.425g、2.62mmol)を加えた。減圧下で濃縮乾固して、化合物4Bを得た。
【0211】
化合物4Cの合成:
20℃下で、化合物1K(300mg、869.83μmol)と化合物4B(500mg、2590μmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(450mg、3480μmol)を加え、その後、100℃下で攪拌しながら12時間反応させ、120℃下で攪拌しながら36時間反応させた。濃縮乾固して、化合物4Cの粗生成物を得た。
【0212】
LCMS(ESI)m/z:424.(M+1)。
【0213】
化合物4の合成:
室温下で、化合物4C(0.357g、842.96μmol)のジクロロメタン(3mL)溶液にトリフルオロ酢酸(2mL、27.01mmol)を滴加し、その後、20℃下で攪拌しながら2時間反応させた。反応液を濃縮して、残留物を分取高速液体クロマトグラフィー(カラムはPhenomenex Synergi C18 150×25×10μm、移動相は0.05%希塩酸A相とアセトニトリルB相、溶出勾配はアセトニトリル0%-25%、時間は10分)によって精製して化合物4を得た。
【0214】
LCMS(ESI)m/z:340(M+1)。
【0215】
1H NMR(400MHz,MeOH-d4)δ ppm 8.05-8.01(m,1H),4.23-4.16(m,1H),3.74-3.66(m,1H),3.16-3.11(m,2H),3.07-3.03(m,2H),2.93(s,3H),2.37-2.29(m,1H),2.18-2.09(m,2H),2.06(m,5H),1.81-1.71(m,1H)。
【0216】
実験例1:Cdc7/DBF4酵素の活性に対する化合物の阻害効果検出
実験材料:
Cdc7/DBF4キナーゼ検出キット(Promega提供)。
【0217】
Nivoマルチラベルアナライザー(PerkinElmer)。
【0218】
実験方法:
キット内のキナーゼバッファーを使用して酵素、基質、アデノシン三リン酸、阻害剤を希釈した。
【0219】
マルチチャネルピペットを使用して被験化合物を5倍希釈して8つの濃度とし、即ち10μMから0.13nMに希釈し、DMSOの濃度は5%であり、各ウェルは2回繰り返した。マイクロプレートに各濃度勾配の1μLの阻害剤、2μLのCdc7/DBF4酵素(6.25ng)、2μLの基質とATPの混合物(10μMのアデノシン三リン酸、0.2μg/μLの基質)を加え、この時に化合物の最終濃度勾配は2μMから0.025nMに希釈された。反応系を25℃下で静置して60分間反応させた。反応が終了したら、各ウェルに5μLのADP-Glo試薬を加えて、25℃下で引き続き40分間反応させ、反応が終了したら各ウェルに10μLのキナーゼ検出試薬を加えて、25℃下で30分間反応させたらマルチラベルアナライザーにおいて化学発光を読み取り、積分時間は0.5秒であった。
【0220】
データ分析:
算式(Sample-Min)/(Max-Min)×100%でオリジナルデータを阻害率に変換し、IC50の値は4パラメータロジスティック回帰(GraphPadPrismのlog(inhibitor)vs.response-Variableslopeモデル)より得られた。表1にはCdc7/DBF4酵素に対する本発明の化合物の阻害活性が示されている。
【0221】
実験結果は表1を参照する。
【0222】
【0223】
実験例2:COLO205細胞の活性に対する化合物の阻害効果検出
実験材料:
1640培地、ウシ胎児血清、抗生物質ペニシリン/ストレプトマイシン(Wisent提供)。
【0224】
細胞生存率化学発光検出試薬CellTiter-Glo(Promega提供)。
【0225】
COLO205細胞株(武漢普諾賽(Procell)生命科技有限公司提供)。
【0226】
Nivoマルチラベルアナライザー(PerkinElmer)。
【0227】
実験方法:
COLO205細胞を白色96ウェルプレートに播種して、各ウェルには3000個のCOLO205細胞を含む80μLの細胞懸濁液を加えた。細胞培養プレートを二酸化炭素インキュベータに入れて一晩培養した。
【0228】
マルチチャネルピペットを使用して被験化合物を3倍希釈して8つの濃度とし、即ち2mMから920nMに希釈し、各ウェルは2回繰り返した。ミドルプレートに78μLの培地を加え、次に位置の対応で各ウェルから2μLの勾配希釈化合物をミドルプレートに移して、均一に混合したら各ウェルから20μLを細胞培養プレートに移した。細胞培養プレートに移す化合物の濃度範囲は10μMから4.57nMであった。細胞培養プレートを二酸化炭素インキュベータに入れて3日間培養した。さらに1枚の細胞培養プレートを設置し、化合物を投入する当日に信号値を読み取って最大値(下式のMax値)としてデータ分析に使用した。当該細胞培養プレートの各ウェルに25μLの細胞生存率化学発光検出試薬を加えて、室温下で10分間インキュベートして発光信号を安定させた。マルチラベルアナライザーにおいて読み取った。
【0229】
細胞培養プレートの各ウェルに25μLの細胞生存率化学発光検出試薬を加えて、室温下で10分間インキュベートして発光信号を安定させた。マルチラベルアナライザーにおいて読み取った。
【0230】
データ分析:
算式(Sample-Min)/(Max-Min)×100%でオリジナルデータを阻害率に変換し、IC50の値は4パラメータロジスティック回帰(GraphPadPrismのlog(inhibitor)vs.response-Variableslopeモデル)より得られた。表2にはCOLO205細胞の増殖に対する本発明の化合物の阻害活性が示されている。
【0231】
実験結果は表2を参照する。
【0232】
【国際調査報告】