(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】電気装置のカバー付きハウジング及びハウジング付きの電気装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/06 20060101AFI20221027BHJP
H02M 7/04 20060101ALI20221027BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20221027BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20221027BHJP
【FI】
H05K5/06 B
H02M7/04 Z
H02M3/00 Y
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511225
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020073358
(87)【国際公開番号】W WO2021037674
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】102019122812.3
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ブレミッカー,スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ジウバ,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】テルロ,ワッシ
【テーマコード(参考)】
4E360
5H006
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360AB32
4E360AB33
4E360AB34
4E360BA02
4E360BB22
4E360BC05
4E360BD03
4E360BD05
4E360CA02
4E360CA03
4E360EA12
4E360ED02
4E360GA22
4E360GA29
4E360GA42
4E360GB99
4E360GC02
5H006AA05
5H006HA06
5H730AA17
5H730AS08
5H730ZZ01
5H730ZZ12
5H730ZZ15
5H770AA21
5H770BA11
5H770CA05
5H770DA10
5H770QA28
5H770QA33
5H770QA37
(57)【要約】
本発明は、電力を変換するための電気装置(10)のハウジング(11)に関するものであり、本体(12)及びカバー(13)を含み、カバー(13)は本体(12)を閉鎖し、自己完結型の内部空間が形成され、電気装置(10)の電気的および電子的構成要素がハウジング(11)の内部空間に配置される。カバー(13)は、取り外し可能な固定手段(14)を介して本体(12)に接続され、固定手段(14)は、カバー(13)の幾何学的中心に配置されている。電気機器(10)は、このタイプのハウジング(11)を有する。
【選択図】
図4、
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を変換するための電気装置(10)のハウジング(11)であって、
前記ハウジング(11)は、本体(12)およびカバー(13)を有し、前記カバー(13)は閉じられた内部空間が形成されるように本体(12)を閉じ、
前記電気装置(10)の電気的および電子的構成要素は、前記ハウジング(11)の前記内部空間に配置され、前記カバー(13)は、取り外し可能な固定手段(14)によって前記本体(12)に結合され、前記固定手段(14)は、前記カバー(13)の幾何学的中心に配置されることを特徴とするハウジング。
【請求項2】
請求項1に記載のハウジング(11)において、
前記カバー(13)は、中心に配置された前記固定手段(14)によってのみ前記本体(12)に固定され、さらなる固定手段によっては前記本体(12)に結合されていないことを特徴とするハウジング。
【請求項3】
請求項1または2に記載のハウジング(11)において、
前記本体(12)は、後壁および側壁を有し、前記カバー(13)は、本質的に1つの平面に延在するシール面であって、それによって前記カバー(13)が前記本体(12)の前記側壁の縁部に載るシール面を有することを特徴とするハウジング。
【請求項4】
請求項3に記載のハウジング(11)において、
前記本体(12)の前記側壁の前記縁部と前記カバー(13)との間に、前記固定手段(14)が前記カバー(13)を介して圧力を加える周方向シール(16)が配置されており、これにより、少なくともIP(Ingress Protection)44、好ましくは少なくともIP65、及び/又はNEMA(アメリカ電機工業会)Type4Xの前記ハウジング(11)の前記内部空間の保護定格を確保するような方法で、前記ハウジング(11)を強く閉じ得ることを特徴とするハウジング。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のハウジング(11)において、
前記本体(12)は、前記本体(12)の前記側壁の対向点に固定されたクロス部材(15)を有し、前記カバー(13)と前記クロス部材(15)の間の取り外し可能な結合が、前記固定手段(14)によって作り出され得ることを特徴とするハウジング。
【請求項6】
請求項5に記載のハウジング(11)において、
前記本体(12)は、基本的に互いに垂直に配置される4つの側壁を有し、前記クロス部材(15)は、前記側壁の2つの対向するコーナーの間に対角線上に配置されることを特徴とするハウジング。
【請求項7】
請求項3又は4に記載のハウジング(11)において、
前記本体(12)は、前記ハウジング(11)の後壁から前記カバー(13)の幾何学的中心まで延びるドーム(19)を有し、
前記カバー(13)と前記ドーム(19)との間の取り外し可能な結合部は、前記固定手段(14)によって作り出され得ることを特徴とするハウジング。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか一項に記載のハウジング(11)において、
前記固定手段(14)は、ねじ込み可能であり、特に、ねじ又はナットを含み、
前記ねじの頭又は前記ナットが前記カバー(13)の外側に配置され、
前記クロス部材(15)又は前記ドーム(19)は、前記ねじ用の嵌合ねじまたは前記ナット用の外向きのねじ付きロッドを有することを特徴とするハウジング。
【請求項9】
請求項8に記載のハウジング(11)において、
補強板(17)が、摩擦結合及び/又は一体的に結合された方法で、前記ねじの頭又は前記ナットと前記カバー(13)との間に配置され、
前記補強板(17)の直径は、好ましくは、前記ねじの頭又は前記ナットの直径の2倍と前記カバー(13)の直径の半分との間であることを特徴とするハウジング。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のハウジング(11)において、
前記ハウジング(11)の前記内部空間の前記構成要素は、前記装置(10)内の電力を変換するために提供される電子的電力構成要素、特に、スイッチ、コンデンサ、及び/又はインダクタを含むことを特徴とするハウジング。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のハウジング(11)において、
前記カバー(13)は、前記ハウジング(11)の前記内部空間に過圧が発生した場合に、特に突然の過圧の場合に、前記カバーがすべての側面の前記側壁の縁部から持ち上げられ塑性変形することにより、すべての側面に向かう圧力の減少を発生させ得るような方法で、設計されていることを特徴とするハウジング。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のハウジング(11)において、
前記カバー(13)が延性材料、特にアルミニウム-マグネシウム合金又は深絞り鋼板を特徴とし、これにより、前記カバー(13)が塑性変形の方法でエネルギを吸収し得ることを特徴とするハウジング。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のハウジング(11)において、
前記カバー(13)の縁部が前記本体(12)の前記側壁と基本的に平行に配向されるように、前記カバー(13)の縁部は周方向の面取りを有することを特徴とするハウジング。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のハウジング(11)において、
前記電気装置(10)が、特に整流器、インバータ、及び/又はDC/DCコンバータとして設計される電力変換器を含み、少なくとも1キロワット、好ましくは少なくとも10キロワットの電気定格電力を有することを特徴とするハウジング。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のハウジング(11)有する電気装置(10)において、
前記装置(10)は第1の端子および第2の端子を含み、
前記第1の端子は、第1のエネルギ源又は第1のエネルギシンクに、特に発電機またはバッテリに接続するように構成され、前記第2の端子は、第2のエネルギ源又は第2のエネルギシンク、特に電源ネットワークに接続するように構成されることを特徴とする電気装置。
【請求項16】
請求項15に記載の電気装置(10)において、
前記装置(10)は、AC電圧ネットワークに接続するための光起電性インバータ又は双方向電池インバータであることを特徴とする電気装置。
【請求項17】
請求項15に記載の電気装置(10)において、
前記装置(10)は、光起電力発生器又は電池をインバータ又は負荷に接続するためのDC/DCコンバータであり、前記負荷は、DC電圧ネットワークを含み得ることを特徴とする電気装置。
【請求項18】
請求項15~17のいずれか一項に記載の電気装置(10)において、
前記装置(10)は、少なくとも1キロワット、好ましくは少なくとも10キロワットの電気定格電力を有することを特徴とする電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を変換するための電気装置用のハウジング、および対応するハウジングを有する電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示の意味での電気装置は、特に、電流をある形態から別の形態に、例えば、直流から交流に、またはその逆に変換することによって、又は、例えば、目標とする方法で電圧または周波数といった電力の本質的な特性を変えることによって、電力を処理する。特に、この電気装置は、回路ブレーカがコンバータトポロジーに配置され、コンデンサおよびインダクタと相互作用する電子パワー装置、すなわち、電力コンバータである。
【0003】
この種の電気装置の動作中、電力変換器の端子に印加される電圧および電流は、回路遮断器の適切なクロッキングによって目標とする方法で影響を受ける。その過程で、かなりの電力が電気装置を通って流れ、それに接続された装置間で交換される。例えば、エネルギ源、特に、電源ネットワーク、発電機、またはバッテリは、本発明によるハウジング内の電力変換器によって、エネルギシンク(特に、負荷、バッテリ、または(さらなる)電源ネットワーク)に接続できる。
【0004】
再生可能エネルギの分野では、ネットワークに給電するためのインバータ、例えば、太陽光発電インバータは、一般に、約1キロワット以上の電力用に設計されている。これは、電気貯蔵装置に接続されて、例えばアイランドネットワークに電力を供給するバッテリコンバータにも当てはまる。10キロワットを超える電力でさえ、ハウジングを備えた電気機器で日常的に変換される。より大規模なエネルギ生成システムの場合、個々の電子パワーデバイスの定格電力はメガワット範囲であり、キロボルト範囲の電圧とキロアンペア範囲の電流が発生する。原則として、定格電力には上限がなく、利用可能な回路ブレーカ、適切なトポロジー、達成可能な電力密度、材料などに関する技術的進歩に大きく依存する。原則として、対応するハウジングの体積は、電気機器の定格電力に応じて増加するため、他の機械的概念(特に、ハウジングの代わりに開閉装置のキャビネット)を非常に高い電力で使用できる。
【0005】
この種の電気装置のハウジングは、適用分野に応じて、様々な規制要件を満たさなければならない。特に、ハウジングは、デバイスの内部空間を周囲からシールドすることができ、例えば、ハウジングがDIN EN 60529に準拠したIP保護等級を備えている、及び/又はNEMA規格250-2003に準拠したNEMA保護等級の1つに対応するように、防塵および防水の方法で閉じることができる。さらに、ハウジングは、DINおよび/またはUL規格に従って、たとえば圧縮、衝撃試験、鳥の衝撃などの外部の影響、および/または特殊な水噴射に関して、さらに機械的試験に合格する必要がある場合がある。
【発明の概要】
【0006】
電気デバイスを使用して高電力を処理する場合、非常に高いエネルギ濃度が非常に短時間でデバイスのハウジングに蓄積する可能性がある。これは、例えば、コンデンサまたはインダクタを使用して、ある形式の電流から別の形式への動的変換のコンテキストで電気エネルギを一時的に保存するために望ましい。しかしながら、特に、誤動作が発生した場合の障害の場合には、または予測できない経年劣化プロセスが原因で、望ましくないエネルギ集中も発生する可能性がある。この場合、電気エネルギは、例えば、コンポーネントが過度に加熱されて破損することによって、又は例えば(電気)化学的変換プロセスのためにハウジングに集まる可燃性物質によって、かなりの程度まで熱及び/又は機械的エネルギに変換され、それ自体は無害である電気アークによって点火される。
【0007】
結果として、かなりの過圧が、電気装置のそれ自体が密封されているハウジング内に蓄積する可能性がある。例えば、通常のIP定格の1つであるIP44またはIP65を備えた電子的電力変換器の場合、不利な状況下では、過圧も非常に迅速に、たとえば数ミリ秒以内に発生する可能性がある。しかしながら、これは、例えば制御不能に分解することによって、そしておそらく部品が内部空間から排出されることによって、予測できない方法で住宅の破壊につなげるべきではない。
【0008】
ハウジングが、予想される過圧に耐えるような方法でかなりの材料資源を用いて構築されていない場合、リリーフ開口部を提供することによって、ハウジングの内部空間における過圧を低減することができる。しかしながら同時に、関連する基準に準拠するために、通常の操作中に内部空間を適切に保護し、外部の影響に対して機械的安定性を提供し、潜在的には水密または気密および防塵の方法で密閉されるようにハウジングを設計する必要がある。
【0009】
これらの2つの目的、すなわち、一方では通常の動作中に周囲に対して、内部空間、したがってその中に配置された電力部品の十分な保護と、その一方で、過圧がかかった場合に備えて、十分に大きなリリーフ開口部を制御して提供することとは、一見、機能的に互いに反するものであり、解決のために利用可能な範囲を大幅に制限する。
【0010】
様々な解決策が従来技術から知られており、場合によっては突然発生する可能性がある過圧の圧力が多かれ少なかれ制御された方法で、それ自体が密閉されたハウジング内で可能な限り安全に低減されることを保証することを目的としている。
【0011】
[従来技術]
DE 20 2014 100 486 U1は、カバーを有するインバータ用のハウジングを開示しており、このカバーは、変形可能な固定部材によってハウジングに取り付けられ、ハウジングに突然の過圧が発生すると、固定要素が変形し、カバーとハウジングの間に隙間ができ、その隙間から過圧を減らすことができる。
【0012】
DE 20 2015 106 657 U1は、電子部品を受け入れるためのハウジングを開示しており、カバーは、いくつかの固定点でハウジング本体に接続され、切り欠きが、固定点の少なくとも1つの領域に提供され、内部空間に過圧が生じた場合にハウジングの変形を可能にし、それにより、ハウジング本体とカバーとの間に生じた隙間を通して過圧を低減することができる。
【0013】
US 2016 249 467 A1は、電気装置のハウジングの減圧機構を開示しており、ハウジングの減圧開口部は、ばねによって内側に引っ張られる外部カバーによって閉じられるが、このカバーは過圧によって外側に押され、開口部を開ける。
【0014】
EP 0 435 123 A1は、鏡面対称に配置され、中央で互いに隣接する2つの圧力解放フラップからなる圧力解放壁を有するハウジングを開示しており、圧力解放フラップは、フランジを固定することによってハウジングの壁にしっかりと接続されている一方で、過圧が発生した場合に、固定フランジの目的とする弱体化の結果としてスイングして開くことができる。圧力解放フラップの表面の膨らみは、圧力解放フラップの開きを妨げるため、避けるべきであることに注意する必要がある。しかしながら、スイングオープンが発生した場合、内部空間の部品が妨げられることなく周囲に侵入する可能性がある。
【0015】
US 2013 143 478 A1は、圧力逃がし開口部が設けられ、その側面が一緒になり、その基部が正方形を形成する4つの三角形のフラップからなる、電気装置用のハウジングを開示している。フラップはそれぞれベースでのみハウジングに接続されており、ベースに沿って弱点をターゲットにしているため、ハウジングに過圧が発生した場合はすべてのフラップが外側に曲がって開き、圧力解放開口部が開く。
【0016】
既知の解決策のいずれも、ハウジングの内部空間に突然の過圧が生じた場合に圧力を十分に迅速に低下させるのに十分な大きさの開口部と同時に、ハウジングの機械的特性について最初に述べた、特に、かなりの電力を変換するための電気機器に適した要件を満たすことを提供しない。
【0017】
[本発明の目的]
したがって、本発明の目的は、この種の装置の通常の環境および使用条件に耐える電気装置のハウジングを提供すると同時に、制御された方法で突然の過圧を低減できる十分に短い時間で大きな圧力解放領域を提供することができるようにし、ハウジングの内部空間に配置された部品をプロセス中に保持することで、安全性を向上させることである。
【0018】
[解決手段]
この目的は、独立請求項1の特徴を有する装置によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項において規定される。
【0019】
電力を変換するための電気装置のハウジングは、本体およびカバーを有する。カバーは本体を閉じ、閉じられた内部空間を形成する。電気装置の電気的および電子的構成要素は、ハウジングの内部空間に配置されている。カバーは取り外し可能な固定手段によって本体に結合されている。ハウジングは、固定手段がカバーの幾何学的中心に配置されていることを特徴としている。
【0020】
したがって、本発明の目的は、電気装置が保護装置として閉じたハウジングを有し、ハウジングの取り外し可能に固定されたカバーが、統合された過圧保護システムを有する周囲保護装置として設計されるという点で達成される。突然の過圧が発生した場合、中央の固定手段の周囲の表面全体が、圧力のピークとパルスの係合面として機能する。カバーは単にその剛性のため、変形から保護される。その結果、カバーは過圧保護システムとして機能し、十分な減圧を可能にする。
【0021】
同時に、カバーは中央の固定手段によって本体に保持される。固定手段は、平均して、カバーのすべての端部から同じ距離になるように、カバーの中央に配置される。この文脈では、構造的または純粋に視覚的な理由で、幾何学的に正確な中心点からの特定の逸脱が可能であることは言うまでもない。したがって、内圧にさらされるカバーの領域は、円形カバーの場合は環状リングに、正方形のカバーの場合は「正方形の環状リング」に実質的に対応する。この環状リングは、電気機器の内部で外れたり、変形して(部分的に)開いたりした場合に、少なくとも横方向にズレたパーツを保持し続ける。この点で、カバーは圧力波から電気機器の周囲を保護し、人々への危険を最小限に抑える。
【0022】
カバーは、特に中央に配置された固定手段によってのみ本体に固定され、さらなる固定手段によって本体に結合されていない。この文脈において、カバーとハウジングとの間の比較的弱い結合、例えば、シールの接着力、わずかな傾斜、又はガイドフックは、固定手段として理解されるべきではないことは言うまでもない。
【0023】
ハウジングの一実施形態では、本体は後壁および側壁を有し、カバーは基本的に1つの平面に延びるシール面を有する。次に、カバーは、カバーの側壁の縁部のシール面に載っている。言うまでもなく、側壁は単一の構成要素で形成され、この点で、丸い後壁とそれに対応して連続した側壁を有するハウジングも含まれる。
【0024】
本体の側壁の縁部とカバーとの間に周方向のシールが配置される。圧力は、カバーを介して固定手段によってシールに加えられる。この圧力はカバーの剛性に依存し、ハウジングをしっかりと閉じることができるように調整し得る。結果として、IP(Ingress Protection)45、好ましくは少なくともIP65、及び/又はNEMA(アメリカ電機工業会)Type4Xのハウジングの内部空間の保護定格を確保し得る。
【0025】
中央に取り付けられた固定手段および周方向シールを有するカバーアセンブリ全体は、電気装置がすべての気象条件およびすべての電気的パラメータの下で連続的かつ確実に動作できるように設計される。この目的のために、特にカバーの剛性は、カバーが、例えば、シールが必要な圧縮力にさらされるような方法で、カバー表面によって中央の固定手段から縁部に、したがってシールに接触圧力を伝達するのに十分な剛性であるように寸法決定される。同時に、カバーは、特定の内圧に達したときに、中央に取り付けられた固定手段に対して前記カバーが周方向に変形できるように最適化された剛性を有する。その結果、圧力解放のために最適化された開口部を生成することができ、圧力はゆっくりと逃げる。さらに爆発の場合、カバーが変形し、内圧の有効係合表面積が減少するため、固定手段および前記固定手段を含む保持装置の負荷が全体的に減少し、カバー固定手段において引き裂かれなくなる。
【0026】
保持装置は、本体の側壁の対向点に固定されたクロス部材を含む。このクロス部材は、外部に配置された取り外し可能な固定手段の対応物として機能し、固定手段によってカバーとクロス部材の間に取り外し可能な結合を確立し得る。
【0027】
ハウジングは、基本的に互いに垂直に配置される4つの側壁を有する。次に、クロス部材は、有利には、側壁の2つの対向するコーナーの間に対角線上に配置され得る。ハウジングは、側壁のコーナーで特に堅固であることで、ハウジングのコーナーを介したクロス部材の結合は、保持装置の最大負荷を増加させる。さらに、クロス部材を対角線上に配置することにより、ハウジングの2つのコーナーに自由にアクセスでき、これらのハウジングのコーナーの1つは、特に、電気装置の接続領域を含むことができる。したがって、この接続領域は、カバーが開いているときにほぼ自由にアクセスできるため、装置の試運転中にクロス部材を装置内に残すことができ、追加の組み立て作業を要しない。
【0028】
代替的に、またはクロス部材に加えて、本体は、ハウジングの後壁からカバーの幾何学的中心まで延びるドームを有する。カバーに面する側で、このドームは、固定手段によってカバーとドームとの間に取り外し可能な結合を確立することができるように、固定手段に対応するものを有する。このような方法で中央に配置され、本体の裏側に固定されたドームは、カバーが開いているときにハウジングの内部空間への最適なアクセスを提供する。
【0029】
固定手段は、特に、ねじ込み可能であるように設計することができ、ねじまたはナットを含み得る。ねじの頭またはナットはカバーの外側に配置されている。ねじ用の嵌合ねじまたはナット用の外向きのねじ付きロッドは、クロス部材またはドームに配置できる。特に、ドーム自体は、後壁から内部空間を通って及びカバーを通って延びるロッドまたはチューブを含み、その結果、固定手段は、ロッドまたはチューブに直接ねじ込むことができる。
【0030】
さらなる実施形態では、補強板(17)は、ねじの頭またはナットとカバーとの間に配置することができ、好ましくは摩擦結合および/または一体結合された方法でカバーに結合される。特に、補強板の直径は、ねじの頭またはナットの直径の2倍とカバーの直径の半分の間である。その結果、過圧の結果としてカバーの内側から作用する力が、固定手段自体にのみ作用することが防止され、カバーが固定手段の周囲で引き裂かれることが防止される。
【0031】
本発明によるハウジングは、特に有利に、内部空間に電子電力部品を収容し得る。これらには、特に、装置内の電力を変換するために提供されるスイッチ、コンデンサ、および/またはインダクタが含まれる。
【0032】
ハウジングの内部空間に過圧が発生した場合、特に、高出力電気装置で発生する可能性があるような突然の過圧の場合、カバーは、特に円周方向のシールに沿って、すべての側面の側壁の縁部から浮き上がり、塑性変形する可能性がある。その結果、すべての側面への減圧が可能になる。塑性変形はまた、カバーの変形により過圧が作用する表面積が減少するため、固定手段およびそれに対応する保持装置への応力の緩和につながる。これはまた、固定手段にかかる引張力を低減する。
【0033】
カバーは、好ましくは、荷重下で永久的に塑性変形することができる延性材料からなるか、またはそれを含む。特に、アルミニウム-マグネシウム合金、例えば、AlMg3、または深絞り鋼板は、引張強度と降伏強度の適切な比率を有する。爆発中に解放される圧力波エネルギは、カバーの塑性変形によって完全に吸収される。特に有利なことに、この材料は、特に固定手段でカバーが裂けるのを防ぐために、>6%の破断点伸びを有する。
【0034】
さらなる実施形態では、カバーの縁部は、カバーの縁部が本体の側壁と基本的に平行に配向されるように、周方向の面取りを有する。その結果、カバーは特に簡単な方法で正確にフィットして本体に取り付けることができ、シールは面取りによって横方向に保護および/または支持され、すなわち、必要に応じて横方向の収縮が防止される。
【0035】
特に好ましい実施形態では、電気装置は、電力変換器、特に整流器、インバータ、および/またはDC/DC変換器を含む。電力変換器は、少なくとも1キロワット、好ましくは少なくとも10キロワットの電力定格電力を有し得る。特に定格電力が数十キロワットから数百キロワットの範囲の電力変換器の分野では、技術の進歩に伴って電力密度が増加し、同時に最初に述べた望ましくないエネルギ蓄積の問題を悪化させるため、それに応じて増加するリスクに適応したハウジングが必要である。
【0036】
本発明による電気装置は、記載された特性を有するハウジングを有し、別個の装置と電力を交換するための第1の端子および第2の端子を備える。この場合、第1の端子は、第1のエネルギ源又は第1のエネルギシンクに、特に発電機またはバッテリに接続するように構成することができ、第2の端子は、第2のエネルギ源または第2のエネルギシンク、特に電源ネットワークに接続するように構成することができる。
【0037】
装置は、AC電圧ネットワークに接続するための光起電性インバータ又は双方向電池インバータである。
【0038】
さらなる実施形態では、装置は、光起電力発生器又は電池をインバータ又は負荷に接続するためのDC/DCコンバータであり、負荷は、DC電圧ネットワークを含み得る。
【0039】
特に、電源ネットワークおよび/または電池は、特に高いエネルギ蓄積を可能にするエネルギの特に強力な供給者であり、その結果、デバイスのハウジングはそれに応じて設計されなければならない。これは、特に定格電力が少なくとも1キロワットの電気機器に当てはまり、さらに定格電力が少なくとも10キロワットの電気機器に当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明は、図に示す例示的な実施形態を参照して、以下でさらに説明且つ記載される。
【
図1】
図1は、本発明による装置の第1の実施形態を示す。
【
図2】
図2は、本発明による装置のさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明による装置のさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明による装置のさらなる実施形態を示す。
【
図5】
図5は、本発明による装置のさらなる実施形態を示す。
【
図6】
図6は、本発明による装置の動的挙動を示している。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、ハウジング11を有する電気装置10を示している。ハウジング11は、本体12を含む。本体12は、例えば、ダイカスト成形部品として一体に形成することができるか、又は、いくつかの部品、特に後壁および側壁から成る。原則として、本体は、
図1のように本質的に長方形の輪郭を有し、それにより、それは4つの本質的に平面の側壁を含むか、又は、それが円形または楕円形の輪郭(図示せず)を有し、それにより、本質的に1つの環状側壁を有する。
【0042】
ハウジング11は、カバー13を含む。本体12およびカバー13は、カバー13が摩擦によって結合された方法で本体12の側壁の縁に配置されるという点で、ハウジング11の閉じられた内部空間を形成する。本体12の側壁および/または後壁の任意の開口部、例えばケーブルブッシング用の開口部は、それ自体が適切なシールを有するように設計することができる。
【0043】
カバー13は、中央の固定手段14により本体12に取り外し可能に結合されている。
図1によれば、固定手段14は、ねじとして設計することができ、そのねじの頭はカバー13の外側に配置され、ねじはハウジング11の内部空間に配置されたねじ山にねじ込まれている。代替的に、例えば、カバー13の外側から突き出ているねじ山付きロッドのナット、ロッキングプラグイン接続などといった、取り外し可能な固定手段14のさらなる実施形態が考えられる。しかしながら、固定手段14は、本体12とカバー13との間に規定された、恒久的に安定した、取り外し可能な結合が生成される唯一の固定手段である。
【0044】
図2は、本体12の一部、特に側壁の縁部、とカバー13とを合わせたハウジング11の断面図を示す。クロス部材15は本体12の側壁の間に配置されている。固定手段14は、カバー13とクロス部材15との間、したがって本体12との間に取り外し可能な結合部を確立する。
図2によれば、クロス部材15は、本体12の側壁の縁部に載ってそこに固定することができるか、又は別の形態では本体12の側壁に結合することができ、場合によっては取り外し可能にすることもできる(
図4を参照)。
【0045】
固定手段14によってカバー13に加えられる力は、カバー13の表面を介してカバー13の端部に伝達される。その結果、カバー13と本体12の側壁の縁部との間に配置されたシール16は圧縮され、本体12とカバー13との間の移行部を密閉することができる。シール16に作用する結果として生じる力は、それぞれの場合に必要とされるハウジング11の気密性が達成されるように、装置10の設計および適用分野に応じて選択することができる。この場合、シール16に生じる力は、とりわけ、カバーの特定の材料特性、特にその剛性、及び固定手段の構造的制限、例えば、ねじ又は同等のねじ山付きロッドのねじ山の長さに依存する。このプロセスにおいて、カバー13の材料特性、特にその剛性は、シール16への必要な圧縮力が達成されるように設計されるべきである。
【0046】
図2によれば、シール16は、中空のチャンバシールとして設計することができ、これは、結果として生じる小さな力で本体12とカバー13との間で既に良好なシール作用を達成している。結果として、ハウジング11は、IP45以上の全体的な保護定格を有する。
【0047】
固定手段14の外側係合点、すなわち
図1によるねじの頭とカバーとの間に、丸型または角型の形をとる補強板17、例えばワッシャを配置することができる。さらに、スペーサー18を、カバー13とクロス部材15との間に配置することができ、これは例えば、シーリングリング又は中実のねじ込みブロックであり、補強板17の領域においてカバー13とクロス部材15との間の所定の距離を規定することができる。クロス部材15の代わりに、ドーム19を使用できる(
図5を参照)。
【0048】
図2によるカバー13は、周方向の面取りを有する本質的に平面の形状を有し、特に深絞りプロセスによって適切に成形された単純な金属シートから成る。
【0049】
図3は、本発明によるさらなるハウジング11の断面を示している。
図2による実施形態とは異なり、この場合のシール16は、中実の材料または発泡プラスチックでできている。この種のシールは、
図2による中空のチャンバシールよりも加工が容易であり、全体としてよりコンパクトである。さらに、補強支柱19は、
図3によればカバー13上に配置されており、これらは、カバー13の剛性を増加させ、したがって、固定手段14によってカバー13に加えられる力の、したがって、シール16に加えられる力の、カバー13の表面を介したカバー13の端部への良好な伝達を確実にする。
【0050】
図4は、本体12および開放カバー13を有する本発明によるハウジング11の図である。カバー13は、固定手段14によってクロス部材15に取り外し可能に結合することができる。固定手段14によってカバー13に加えられる力は、カバー13の表面を介して、カバー13の端部に伝達され、そこで、カバーと本体12の側壁の端部との間に配置されたシール(図示せず)を圧縮する。この場合、カバー13はわずかに凸状であり、すなわち、ハウジング11の内部空間から見たときに外側に膨らんでいる。これにより、固定手段14からシールへのより良い力の伝達が達成される。
【0051】
図4によれば、クロス部材15は、本体12の上部コーナーの間に斜めに配置することができ、本体12の側壁に結合することができる。代替的に、クロス部材15は、側壁の対向点、すなわち、固定手段14がカバー13の幾何学的中心に配置されるように、接続する直線が本体12の開口部の幾何学的中心を通って延びる点の間に架けられている。
【0052】
クロス部材15は、本体12の側壁に取り外し可能に接続するか、またはそれに堅固に取り付けることができる。本体12は、さらに、エッジ部材20、例えば、本体12上にカバー13を正しく位置決めするための案内具、又は本体12とカバー13との間に等電位結合を生成するための接触ピンを含む。しかしながら、ここでも、固定手段14以外に、本体12とカバー13との間に、規定され恒久的に安定した、取り外し可能な接続部は提供されていない。
【0053】
図5は、本体12および開放カバー13を有する、本発明によるハウジング11のさらなる図である。本体は、中央に配置されたドーム19を有し、これは、本体11の裏側に固定することができ、カバー14の幾何学的中心の下まで、またはそれを通ってさえ延びている。カバー13は、固定手段14によってドーム19に取り外し可能に接続することができる。具体的には、ドーム19は、その中に固定手段14(この場合、例えば、ねじ)がねじ込まれる嵌合ねじを有する。代替的に、ドーム19は、カバー19を超えて突出しており、その結果、固定手段14(この場合、例えば、ナット)をドーム19にねじ込むことができる。
【0054】
図6は、電気装置10の内部空間における爆発のような過圧の場合のカバー13の塑性変形のシミュレーションを示す。時間t=0ミリ秒で、爆発のような圧力が発生する(左上)。このとき、カバー13は、本体11の側縁の縁に載っており、ハウジング11の内部空間を環境の影響から保護している。時間t=10ミリ秒(右上)で、カバー13は、内部の過圧のために変形し、すべての側の側縁12の縁から持ち上げられる。この変形は、時間t=20ミリ秒までわずかに続き、内部空間の過圧が減少すると停止する。次に、カバー13は、時間t=40ミリ秒で、終了位置(右下)に位置する。
【0055】
[参照符号のリスト]
10 電気装置
11 ハウジング
12 本体
13 カバー
14 固定手段
15 クロス部材
16 シール
17 補強板
18 シール
19 ドーム
20 エッジ部材
【国際調査報告】