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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】抗病原体組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/16 20060101AFI20221027BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20221027BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20221027BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20221027BHJP
   A01N 25/08 20060101ALI20221027BHJP
   D06M 11/83 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A01N59/16 Z
A01P1/00
A01P3/00
A01N25/04 102
A01N25/08
A01N25/04 103
D06M11/83
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022511289
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 US2020047841
(87)【国際公開番号】W WO2021041439
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/893,513
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/007,743
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522065646
【氏名又は名称】クロー バイオテック ホールディングス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダディング, ジェフリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】パランジャペ, アモード ピー.
【テーマコード(参考)】
4H011
4L031
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011AA04
4H011BA01
4H011BB18
4H011BC19
4H011DA07
4H011DA15
4H011DA17
4H011DH02
4L031AB31
4L031BA04
4L031DA12
(57)【要約】
病原体を中和するのに有用な活性化金属または金属酸化物を含む組成物。いくつかの実施形態では、本開示は、活性成分を含む固体の抗病原体組成物であって、該活性成分が、少なくとも1つの活性化金属の粒子を含む、固体の抗病原体組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、活性成分の粒子を含み、水または生理食塩水中にある抗病原体液体組成物であって、該活性成分が、少なくとも1つの活性化金属の粒子を含む、抗病原体液体組成物を提供する。また、表面及び水中で微生物及び病原体を中和するための方法もまた本明細書に記載されている。
【選択図】図2A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分を含む抗病原体固体組成物であって、前記活性成分が少なくとも1つの活性化金属の粒子を含む、前記抗病原体固体組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの活性化金属が遷移金属または遷移金属酸化物である、請求項1に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの活性化金属が、Mo、Zn、Cu、Au、Ag、またはそれらの酸化物から選択される、請求項1または2に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの活性化金属が、Mo、Mo(IV)、Mo(V)、またはMo(VI)、またはそれらの酸化物である、請求項3に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの活性化金属が、Mo、MoO、MoO、MoO、Mo、HMoO、Zn、ZnO、Cu、CuO、CuO、Au、AuO、Au、Ag、及びAgOから選択される、請求項3に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの活性化金属が、Mo、MoO、MoO、HMoO、またはMoである、請求項5に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの活性化金属が、立方晶、球状、単斜晶、六方晶、直方晶、正方晶、三斜晶、または菱面体晶の結晶構造を有する、Moまたはその酸化物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項8】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約99重量%の前記活性成分を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項9】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約50重量%の前記活性成分を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項10】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約15重量%の前記活性成分を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項11】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約5重量%の前記活性成分を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項12】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約3重量%の前記活性成分を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項13】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約2重量%の前記活性成分を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項14】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約1重量%の前記活性成分を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約1μm~約1000μmのサイズを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約10μm~約85μmのサイズを有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約10μm~約50μmのサイズを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約20μm~約50μmのサイズを有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約30μm~約50μmのサイズを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約40μm~約50μmのサイズを有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約40μm~約45μmのサイズを有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項22】
第2の金属または金属酸化物をさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項23】
前記第2の金属が、Ni、Zn、Mn、Au、Ag、Cu、及びPd、またはそれらの酸化物から選択される、請求項22に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項24】
前記第2の金属が、ZnまたはZnOから選択される、請求項22または23に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項25】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約99重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項26】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約75重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項27】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約50重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~26のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項28】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約15重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~27のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項29】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約5重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~28のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項30】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約3重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~29のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項31】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約1重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~30のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項32】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項33】
前記抗酸化剤が、ペンタエリトリトールテトラキス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート(Irganox(登録商標)1010)及びトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Irgafos(登録商標)168)である、請求項32に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項34】
前記抗病原体固体組成物が、ポリマー、バイオポリマー、プラスチック、セラミック、ゴム、塗料、軟膏、ガラス、シリコーン、紙、布、金属、及びそれらの組み合わせから選択される材料であるか、またはそれらを含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項35】
前記抗病原体固体組成物が、ポリマーであるか、またはそれを含む、請求項34に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項36】
前記ポリマーが、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項35に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項37】
前記ポリマーがポリプロピレンである、請求項35または36に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項38】
前記抗病原体固体組成物が、表面を覆うように柔軟に形成される、請求項1~37のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項39】
前記材料が金属(例えば、ステンレス鋼)である、請求項34に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項40】
前記材料がステンレス鋼であるか、またはそれを含む、請求項39に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項41】
活性化遷移金属または遷移金属酸化物の粒子を含む約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、
約1重量%~約99.99重量%のポリマーと、を含む、抗病原体組成物。
【請求項42】
活性化遷移金属または遷移金属酸化物の粒子を含む約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、
約1重量%~約99.99重量%のステンレス鋼と、を含む、抗病原体組成物。
【請求項43】
活性成分の粒子及び水または生理食塩水を含む抗病原体懸濁液であって、前記活性成分が少なくとも1つの活性化金属の粒子を含む、前記抗病原体懸濁液。
【請求項44】
前記懸濁液のpHが約5.5以下である、請求項43に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項45】
前記懸濁液のpHが約4.0以下である、請求項44に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項46】
前記懸濁液のpHが約2.0以下である、請求項45に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項47】
前記懸濁液のpHが約1.5以下である、請求項46に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項48】
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100~約1:1である、請求項43~47のいずれか一項に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項49】
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100~約1:25である、請求項48に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項50】
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100~約1:50である、請求項49に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項51】
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100~約1:75である、請求項50に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項52】
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100である、請求項51に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項53】
前記懸濁液が、ローション、軟膏、ゲル、ペースト、またはクリームである、請求項43~52のいずれか一項に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項54】
表面上の病原体を中和するための方法であって、前記表面を請求項43~53のいずれか一項に記載の抗病原体懸濁液と接触させるステップを含む、前記方法。
【請求項55】
前記表面がヒトの皮膚である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記病原体が、グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌、ウイルス、及び藻類から選択される、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
前記病原体が、micrococcus、staphylococcus、bacillus、pseudomonas、legionella、salmonella、listeria、clostridium perfringens、Acinetobacter baumannii、Escherichia coli、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザ、呼吸器多核体ウイルス、及びエンテロウイルスから選択される、請求項54~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
活性成分を含む透水性ポーチであって、前記活性成分が活性化金属の粒子であるか、またはそれを含む、前記透水性ポーチ。
【請求項59】
pH指示薬をさらに含む、請求項58に記載の透水性ポーチ。
【請求項60】
水試料中の病原体を中和するための方法であって、前記水試料中の前記病原体を中和するのに十分な時間、前記水試料を請求項58または59に記載の透水性ポーチと接触させるステップを含む、前記方法。
【請求項61】
前記水試料をZnOと接触させてpHを中和することをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
活性成分の粒子及び水または生理食塩水を含む抗病原体液体組成物であって、前記活性成分が少なくとも1つの活性化金属を含む、前記抗病原体液体組成物。
【請求項63】
前記液体組成物のpHが約5.5以下である、請求項62に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項64】
前記液体組成物のpHが約4.0以下である、請求項63に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項65】
前記液体組成物のpHが約2.0以下である、請求項64に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項66】
前記液体組成物のpHが約1.5以下である、請求項65に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項67】
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:1である、請求項62~66のいずれか一項に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項68】
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:25である、請求項67に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項69】
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:50である、請求項68に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項70】
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:75である、請求項69に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項71】
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100である、請求項70に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項72】
請求項62~70のいずれか一項に記載の抗病原体液体組成物で処理した布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月29日に出願された米国仮特許出願第62/893,513号及び2020年4月9日に出願された同第63/007,743号の優先権を主張するものであり、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
細菌、真菌、ウイルス、及び藻類などの病原体は、乾燥表面または水中に、数時間、数日、さらには数ヶ月にわたって安定的に存在することが可能である。Kramer,et al.,BMC Infect.Dis.,6:130(2016)(乾燥表面での各種細菌の生存率を概説)、Pinon,et al.,Intervirology,61:214-222(2018)(水中でのウイルスの生存率を概説)を参照のこと。これまでに世界中で100万人近くが感染し、すでに数千人が死亡しているコロナウイルス疾患2019(COVID-19)を引き起こすウイルスであるSARS-CoV-2は、エアロゾルまたは様々な表面上で数時間から数日間存在することが現在判明している。van Doremalen,et al.,New England J.of Med.,DOI:10.1056/NEJMc2004973(March 17,2020)、及びG.Kampf,et al.,J.of Hospital Infection,104:246e251(2020)を参照のこと。さらに、一部の病原体は、水中で1ヶ月以上生きることができる。これらの病原体は、重篤な感染症または死亡の原因となるおそれがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Kramer,et al.,BMC Infect.Dis.,6:130(2016)
【非特許文献2】Pinon,et al.,Intervirology,61:214-222(2018)
【非特許文献3】van Doremalen,et al.,New England J.of Med.,DOI:10.1056/NEJMc2004973(March 17,2020
【非特許文献4】G.Kampf,et al.,J.of Hospital Infection,104:246e251(2020)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
接触時に病原体を中和し、有害な病原体の制御を可能にすることができる抗病原体組成物が求められている。本開示は、特定の金属(例えば、具体的には特定の遷移金属)が病原体を中和するのに有用であるという認識を包含する。さらに、本開示は、特定の条件に供された際に、特定の金属の病原体を中和する能力を高めることができるという洞察を包含する。本明細書に記載される特定の金属は、特定の条件に供された後(すなわち、それによって「活性化」状態になる)、例えば、ポリマー、バイオポリマー/バイオコンポジット、または生理食塩水を含む組成物にさらに組み込まれ、接触時に金属の病原体を中和する能力を保持することができる。このような組成物は、家庭内だけでなく、医療施設、製造/工業現場、商業施設における日常的な表面、さらにはヒトの皮膚に直接使用しても安全である。
いくつかの実施形態では、本開示は、活性成分を含む抗病原体固体組成物を含む組成物であって、該活性成分が、少なくとも1つの活性化金属の粒子(例えば、イオン性粒子、マイクロ粒子またはナノ粒子)を含む、組成物を提供する。本開示は、活性化金属が、病原体(例えば、細菌、真菌、ウイルス、藻類(例えば、シアノバクテリア、渦鞭毛藻類、及び珪藻類)、または病気を引き起こす微生物)、特に植物または動物(ヒトまたは他の哺乳動物を含む)に害を及ぼすことができるものを中和(すなわち、成長、複製を阻害する、または他の方法で殺傷する)するのに特に有用であるという洞察を包含する。例えば、本開示は、本明細書で提供される組成物及び懸濁液が、メチシリン耐性staphylococcus aureus(MRSA)、legionella、E.coli、及びコロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2)を含む多くの一般的な病原体を、接触時に中和できるという洞察を包含する。本明細書に記載の方法による金属の活性化によって、接触時に中和される病原体の割合が、より短時間で予想外に増加する。
【0005】
さらに、本明細書に記載される抗病原体固体組成物は、様々な形状に柔軟に形成することができ、あるいは、表面を柔軟に覆うことができる。このような表面は、ヘルスケア産業だけでなく、家庭、農業、食品(例えば、安全性及び保存のため)、輸送などの両方において重要な抗病原体特性を有するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、固体組成物は、活性化遷移金属または遷移金属酸化物の粒子(例えば、イオン性粒子、マイクロ粒子またはナノ粒子)を含む約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、約1重量%~約99.99重量%のポリマーと、を含む。
【0006】
本開示は、活性成分がまた、溶液に懸濁され、水、例えば飲料水を滅菌するために使用され得る、またはヒトの皮膚上の病原体の中和における使用(すなわち、手指消毒剤)のために、軟膏、クリーム、ローションなどにさらに組み込まれ得るという洞察をさらに包含している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】OMAX 40X-2500X LEDデジタル三眼顕微鏡によって撮影された生理食塩水中の未活性化モリブデン粒子の画像である。
図1B】OMAX 40X-2500X LEDデジタル三眼顕微鏡によって撮影されたポリプロピレン中の未活性化モリブデン粒子の画像である。
図2A】OMAX 40X-2500X LEDデジタル三眼顕微鏡によって撮影された生理食塩水中の活性化モリブデン粒子の画像である。
図2B】OMAX 40X-2500X LEDデジタル三眼顕微鏡によって撮影されたポリプロピレン中の活性化モリブデン粒子の画像である。
図2C】OMAX 40X-2500X LEDデジタル三眼顕微鏡によって撮影された活性化モリブデン粉末の画像である。
図2D】OMAX 40X-2500X LEDデジタル三眼顕微鏡によって撮影された活性化モリブデン粉末の画像である。
図2E】OMAX 40X-2500X LEDデジタル三眼顕微鏡によって撮影された活性化モリブデン粉末の画像である。
図3】培養接種液でスポットする直前のMoを含む試料のステンレス鋼クーポンの写真である。
図4】試験後の試料中の細菌細胞対他の材料の比率を示す散布図である。
図5A】試験後の銅試料中の細菌細胞対他の材料の比率を示す散布図である。
図5B】試験後のモリブデン試料中の細菌細胞対他の材料の比率を示す散布図である。
図6A】オレンジの経年劣化の写真である。
図6B】オレンジの経年劣化の写真である。
図6C】オレンジの経年劣化の写真である。
図6D】オレンジの経年劣化の写真である。
図6E】オレンジの経年劣化の写真である。
図6F】オレンジの経年劣化の写真である。
図6G】オレンジの経年劣化の写真である。
図6H】オレンジの経年劣化の写真である。
図7】Hで活性化されたモリブデンのXRD分析である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
乾燥表面(ヒトの皮膚を含む)と水中の両方で、接触時に病原体を中和し、有害な病原体の制御を可能にすることができる抗病原体組成物が求められている。ステンレス鋼などの金属系材料は、とりわけ、錆びにくく、非磁性であり、耐熱性が高く、成形後も形状を維持するため、医療及び食品貯蔵業界において特に有用である。本開示は、固体組成物、例えば「活性化」状態の金属(本明細書でより詳細に説明される)を含む金属組成物(例えば、ステンレス鋼組成物を含む)が、病原体を中和するのに有用であり、医療及び食品製造産業での使用に非常に有益なものにするという認識を包含する。
【0009】
さらに、本開示は、特定の条件に供された、すなわち「活性化」された際に、特定の金属の病原体を中和する能力を高めることができるという洞察を包含する。本開示はさらに、これらの活性化金属を固体形態(例えば、プラスチック、セラミック、ポリマー、バイオポリマー/バイオコンポジット、ゴム、布、紙、ガラス、金属、及びそれらの組み合わせ)などに組み込んで、医療分野と家庭の両方で使用するための多くの製品に形成できるようにするという洞察及び開発、ならびにこれらの金属を水を浄化するために使用できるという洞察を包含する。このような組成物は、家庭内、農業、食品産業、及び医療施設における日常的な表面での使用だけでなく、ヒトの皮膚に直接使用しても安全である。
【0010】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、本開示は、活性成分を含む固体組成物であって、該活性成分が、少なくとも1つの活性化金属の粒子を含む、固体組成物を提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性化金属は、モリブデン(Mo)であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、活性成分をさらに含む金属である。いくつかの実施形態では、活性成分は、抗病原体薬として有用であり、例えば、抗病原体特性を有する。例えば、本開示は、病原体を中和する(すなわち、非活性化または殺傷または実質的に排除する)ことができる、固体組成物中の抗病原体薬としてのモリブデン(Mo)の使用を包含する。いくつかの実施形態では、本開示は、特定の形態のモリブデンが、中性モリブデンなどの他の形態のモリブデン、または三酸化モリブデン(MoO)などの特定の形態のモリブデン(V)または(VI)よりも病原体を中和するのに予想外に効率的であるという洞察を包含する。
【0011】
家庭と医療の両方の分野で抗病原体製品のニーズは重大なレベルにある。COVID-19のパンデミックにより、多くの店舗で抗病原体洗浄剤及び消毒剤の在庫を持つことができず、多くの病院及び医療機関がマスク及び他の保護具または滅菌装置の入手に苦労している。COVID-19の問題とは別に、多くの細菌及び病原体は、一般的な抗生物質に対して耐性を進化させ続けている。例えば、2013年に米国疾病予防管理センター(CDC)が指摘するように、「微生物耐性は、我々の最も深刻な健康上の脅威の一つであり、一部の病原体は複数の種類またはクラスの抗生物質に耐性を持つようにさえなっている。有効な抗生物質の喪失により、感染症と戦う能力が損なわれることになるであろう。」(CDC,Antimibiotic Resistant Threats,https://www.cdc.gov/drugresistance/pdf/ar-threats-2013-508.pdf.より入手)とされている。Lopes,et al.が指摘するように、「グラム陽性菌の中でも、メチシリン耐性S.aureus(MRSA)及びバンコマイシン耐性enterococci(VRE)は最大の脅威」であり、「MRSAは世界中の病院に蔓延している」とされている。医療施設では、薬剤耐性(MR)である、Enterobacteriaceae(主にKlebsiella pneumoniae)、Pseudomonas aeruginosa、及びAcinetobacter baumanniiによって引き起こされる感染症にも悩まされており、「グラム陰性病原体もまた、地域社会において広まりつつある(主にEscherichia coli)」とされる。Lopes,et al.,J.of Medical Microbiology,67(8):1042-1046(2018)。
【0012】
金属系の抗病原体組成物は、長年にわたって使用され、様々な成功を収めてきたが、研究者が従来の抗病原体剤に代わるものを探すにつれて、より多く使用されるようになってきている。R.J.Turner,Microb.Biotechnol.,10(5):1062-1065(2017)を参照のこと。一般に、抗病原体金属は、dブロック遷移金属(V、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Zn、Tb、W、Ag、Cd、Au、Hg)、ならびに周期表の第13~16族の他の金属及びメタロイド(Al、Ga、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、及びBi)から選択されたものである。(同文献)。従来、抗病原体組成物において最も一般的な金属は、Zn、Cu、及びAgであった。銀は、コストが高く、毒性を持つ可能性があるため、適用範囲が限られている。
【0013】
他の研究者も、遷移金属酸である三酸化モリブデン(MoO)によるモリブデンの利用を検討してきた。例えば、Lopes et al.は、「(i)メチシリン耐性S.aureus流行型クローンの代表例を含む8つのStaphylococcus aureus、(ii)バンコマイシン耐性分離株を含む6つのenterococci、ならびに(iii)基質特異性拡張型βラクタマーゼ及びカルバペネマーゼ産生菌を含む25のグラム陰性分離株(Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Acinetobacter baumannii、Enterobacter cloacae)」を含む様々な微生物に対するMoOナノ粒子の使用を報告した。Lopes,et al.,J.of Medical Microbiology,67(8):1042-1046(2018)。
【0014】
本開示はさらに、Lopesまたは米国特許第9,162,013号に記載のものなど、モリブデン及び三酸化モリブデンを使用する以前の抗病原体調製物に対する改善をさらに包含する。例えば、Lopesと米国特許第9,162,013号のどちらも、三酸化モリブデン(または実際にはモリブデン自体)の活性化に関連する改善された抗病原体活性の予想外の利点は言うまでもなく、三酸化モリブデンの活性化について記載または示唆していない。本開示はさらに、そのような活性化形態(Lopesまたは米国特許第9,162,013号によって教示または示唆されていないもの)が、少なくとも6ヶ月間周囲条件で安定であり、有意の抗病原体活性を維持しながら実質的に長期の貯蔵を必要とする商業製品における使用に理想的であるとの認識を包含する。
【0015】
さらに、本開示は、モリブデンが、その遷移金属酸の形態以外の形態で使用することができ、さらに、様々な製品(例えば、フレキシブルカバー)の形成に使用するための固体組成物(例えば、プラスチック、ポリマー、ゴム、セラミック、布、バイオポリマー/バイオポリマーコンポジット、紙、ガラス、金属など)に組み込むことができ、または、例えば、軟膏、ローション、クリーム、エアロゾル、スプレーなどを含む消毒剤に使用するための液体組成物に組み込むことができるという洞察を包含する。そのような製品及び組成物は、家庭と医療の両方の分野で多種多様な用途を有する。
【0016】
本開示は、その遷移金属酸の形態(複数可)を含むモリブデン(ならびに亜鉛、銅、銀、及び金などの他の金属)をさらに操作して、病原体を中和する金属原子の能力を高めることができるという洞察を包含する。すなわち、本明細書の方法によって記載されるように、金属は、それらを抗病原体特性を高める特定の条件に供することで活性化することができ、そのような活性化形態(複数可)(及び/またはその特性)は、それらが長期間にわたって有意に保管され得るように適切に安定している。
【0017】
活性化金属
上記のように、本開示は、とりわけ、活性成分を含む抗病原体固体組成物であって、該活性成分が、少なくとも1つの活性化金属の粒子(例えば、マイクロ粒子またはナノ粒子)を含む、抗病原体固体組成物を提供する。いくつかの実施形態では、活性化金属は、任意の遷移金属またはその酸化物である。本明細書で使用される場合、遷移金属の「酸化物」とは、酸化された遷移金属を指し、すなわち、金属はカチオン形態であり、いくつかの実施形態では、1つ以上の対イオン(例えば、酸素または硫黄などのカルコゲン)に結合して、金属のカチオン形態を安定化する。本明細書に記載の実施形態において有用な例示的な遷移金属には、Mo、Zn、Cu、Au、及びAg、ならびにそれらの既知の酸化形態(例えば、Mo(IV)、Mo(V)、Mo(VI)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Au(I)、Au(III)、Ag(I)、MoO、MoO、Mo、HMoO、ZnO、CuO、CuO、AuO、Au、及びAgO)を含む。
【0018】
本開示で提供される組成物は、本明細書に記載の金属の活性化形態を利用する。「活性化」金属(すなわち、活性化状態または形態にある金属)は、本明細書で使用される場合、特定の条件に供され、及び/または他の方法で抗病原菌活性を高めることが(本開示において)実証された状態を達成する金属を指す。このような活性化金属は、活性化前の金属原子とは異なるコンフォメーションを持つ。例えば、以下の実施例に示されるように、活性化前のモリブデンは、図1A及び1Bに見られるような形状をとる。しかしながら、活性化条件に供された後、モリブデンは、図2A、2B、及び2Cに見られるような形状をとる。図2A、2B、及び2Cに見られるような形態になると、活性化モリブデンは、固体形態で曝露される(すなわち、病原体が乾燥表面でモリブデンに曝露された場合)か、または液体形態で曝露される(すなわち、病原体が液体溶液または懸濁液中のモリブデンに曝露された場合)それぞれの場合において、病原体を中和するのにより効果的である。本明細書に記載される活性化プロセスは、すでに酸化形態の金属の抗病原体特性をさらに改善した。例えば、以下の実施例に記載されているように、Mo(VI)の一形態であるMoOは、本明細書に記載される特定の活性化条件に供された場合、活性化なしのMoOと比較して、改善された抗病原体特性を示す。
【0019】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、本開示は、活性成分を含む抗病原体組成物(例えば、固体組成物、または懸濁液を含む液体組成物)であって、該活性成分が、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物を含む、抗病原体組成物を提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Mo、Zn、Cu、Au、Ag、またはそれらの酸化物から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Cu、Au、Ag、またはそれらの酸化物から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Mo、Zn、またはそれらの酸化物から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Moまたはその酸化物から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Znまたはその酸化物から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Cuまたはその酸化物から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Auまたはその酸化物から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Agまたはその酸化物から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Mo(IV)、Mo(V)、Mo(VI)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Au(I)、Au(III)、またはAg(I)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Cu(I)、Cu(II)、Au(I)、Au(III)、またはAg(I)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Mo(IV)、Mo(V)、Mo(VI)、またはZn(II)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Mo(IV)、Mo(V)、またはMo(VI)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Mo(IV)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Mo(V)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Mo(VI)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Zn(II)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Cu(I)またはCu(II)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Cu(I)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Cu(II)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Au(I)またはAu(III)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Au(I)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Au(III)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Ag(I)である。
【0021】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Mo、MoO、MoO、Mo、HMoO、Zn、ZnO、Cu、CuO、CuO、Au、AuO、Au、Ag、またはAgOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Cu、CuO、CuO、Au、AuO、Au、Ag、またはAgOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Mo、MoO、MoO、Mo、HMoO、Zn、またはZnOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Mo、MoO、またはMoOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、MoまたはMoOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Moである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、MoOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、MoOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、ZnまたはZnOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Znである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、ZnOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Cu、CuO、またはCuOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、CuまたはCuOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Cuである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、CuOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、CuOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Au、AuO、またはAuである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、AuまたはAuである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Auである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、AuOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Auである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、AgまたはAgOである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、Agである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属酸化物は、AgOである。
【0022】
本明細書に記載されるように、遷移金属または遷移金属酸化物は、一旦活性化されると、非活性化形態と比較して結晶構造を変化させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、遷移金属酸化物は、直方晶の結晶構造を有することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性化金属は、直方晶の結晶構造を有するMoまたはその酸化物である。
【0023】
本明細書に記載される活性化金属は、固体金属の形態(例えば、プレート)または粒子形態(例えば、マイクロ粒子またはナノ粒子)であり得る。本明細書で使用される場合、「マイクロ粒子」は、サイズが1~1000μmの粒子である。本明細書で使用される場合、「ナノ粒子」は、サイズが1~1000nmの粒子である。遷移金属または遷移金属酸化物の粒子は、本明細書に記載されるように、固体組成物または液体懸濁液で使用することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約1μm~約1000μmのサイズを有するマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約45μm~約1000μmのサイズを有するマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約50μm~約1000μmのサイズを有するマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約75μm~約1000μmのサイズを有するマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約100μm~約1000μmのサイズを有するマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約1μm~約100μmのサイズを有するマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約10μm~約85μmのサイズを有するマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約10μm~約50μmのサイズを有するマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約20μm~約50μmのサイズを有するマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約30μm~約50μmのサイズを有するマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約40μm~約50μmのサイズを有するマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約40μm~約45μmのサイズを有するマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約30μm、約31μm、約32μm、約33μm、約34μm、約35μm、約36μm、約37μm、38μm、約39μm、約40μm、約41μm、約42μm、約43μm、約44μm、約45μm、約46μm、約47μm、約48μm、約49μm、または約50μmのサイズを有するマイクロ粒子である。
【0025】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約1nm~約1000nmのサイズを有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約500nm~約1000nmのサイズを有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約1nm~約500nmのサイズを有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約1nm~約100nmのサイズを有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約10nm~約85nmのサイズを有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約10nm~約50nmのサイズを有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約20nm~約50nmのサイズを有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約30nm~約50nmのサイズを有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約40nm~約50nmのサイズを有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約40nm~約45nmのサイズを有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属の粒子は、約30nm、約31nm、約32nm、約33nm、約34nm、約35nm、約36nm、約37nm、約38nm、約39nm、約40nm、約41nm、約42nm、約43nm、約44nm、約45nm、約46nm、約47nm、約48nm、約49nm、または約50nmのサイズを有するナノ粒子である。
【0026】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属(例えば、モリブデン)は、金属のイオン性形態(例えば、イオン性モリブデン)であるか、またはそれを含む。例えば、いくつかの実施形態では、Moは、電子(複数可)を失う(例えば、正電荷を帯びる、例えば、カチオン性モリブデンイオンである)か、または一度活性化して酸化してイオン性になり、これにより、Moが、負電荷を帯びたアニオン(例えば、非金属アニオン)とのイオン結合の形成において、カチオンとなる。いくつかの実施形態では、活性金属は、+1、+2、+3、+4、+5、または+6の荷電状態(すなわち、酸化状態)を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属は、+2、+3、+4、+5、または+6の荷電状態を有するモリブデンである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属は、+2、+4、または+6の荷電状態を有するモリブデンである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属は、+2の荷電状態を有するモリブデンである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属は、+4の荷電状態を有するモリブデンである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性金属は、+6の荷電状態を有するモリブデンである。
【0027】
本明細書に記載されるように、荷電状態を有する活性金属は、解離する(例えば、溶液中でイオン性である)か、または1つ以上の適切な対イオンと会合することができることが理解される。例えば、本明細書に記載の実施形態において有用な+4の荷電状態を有するモリブデンは、解離イオンとしてMo+4の形態であり得、または1つ以上の対イオンと会合している場合、その水和物を含む、MoO、HMoOの形態であり得る。当業者は、本明細書で報告される金属の様々な荷電状態に対して化学的に安定な活性金属を作製するのに有用な適切な対イオンを理解するであろう。
【0028】
本開示の活性化金属は、それらが少量の活性化金属で十分に抗病原体特性を有することができるように、十分に抗病原体性である。例えば、いくつかの実施形態では、抗病原体組成物は、約1mg~約1gの活性化金属を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体組成物は、約1mg~約50mgの活性化金属を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体組成物は、約1mg~約25mgの活性化金属を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体組成物は、約1mg~約5mgの活性化金属を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体組成物は、約1mgの活性化金属を含む。
【0029】
固体組成物
上記のように、本開示は、とりわけ、活性成分を含む抗病原体固体組成物であって、該活性成分が、少なくとも1つの活性化金属の粒子(例えば、イオン性粒子、マイクロ粒子またはナノ粒子)を含む、抗病原体固体組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、活性成分を含む抗病原体固体組成物であって、該活性成分が、固体組成物全体に均一に分散された活性金属の粒子(例えば、イオン性粒子、マイクロ粒子またはナノ粒子)を含む、抗病原体固体組成物を提供する。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は活性成分を含み、該活性成分は、該固体組成物全体に均一に分散された少なくとも1つの活性化金属の粒子(例えば、イオン性粒子、マイクロ粒子またはナノ粒子)を含む。
【0030】
本明細書に記載されるように、固体組成物は、金属組成物であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、金属組成物は、ステンレス鋼組成物であるか、またはそれを含む。例えば、いくつかの実施形態では、ステンレス鋼は、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、及び二相の形態であり得る。ステンレス鋼の様々な種類は、その微細な組織に存在する金属相によって決定される。
【0031】
いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、オーステナイト系ステンレス鋼である。いくつかの実施形態では、オーステナイト系ステンレス鋼は、クロム、ニッケル、及び鉄を含む。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼は、約16重量%~約26重量%のクロム、約0重量%~約35重量%のニッケル、及び鉄を含む(固体組成物のステンレス鋼成分の重量に対して)、オーステナイト系ステンレス鋼である。いくつかの実施形態では、オーステナイト系ステンレス鋼は、合金元素(例えば、モリブデン)をさらに含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、オーステナイト系ステンレス鋼である。いくつかの実施形態では、フェライト系ステンレス鋼は、クロム及び鉄を含む。いくつかの実施形態では、フェライト系ステンレス鋼は、約10重量%~約30重量%のクロム、及び鉄を含む。いくつかの実施形態では、フェライト系ステンレス鋼は、本質的にニッケルを含まない場合がある。
【0033】
いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、マルテンサイト系ステンレス鋼である。いくつかの実施形態では、マルテンサイト系ステンレス鋼は、炭素、クロム、及び鉄を含む。いくつかの実施形態では、マルテンサイト系ステンレス鋼は、約0.1重量%~約2重量%の炭素、約10重量%~約18重量%のクロム、及び鉄を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、二相ステンレス鋼である。いくつかの実施形態では、二相ステンレス鋼は、クロム、ニッケル、モリブデン、銅、及び鉄を含む。いくつかの実施形態では、二相ステンレス鋼は、約18重量%~約30重量%のクロム、約0重量%~約10重量%のニッケル、約0重量%~約5重量%のモリブデン、銅、及び鉄を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、鉄及びクロムを含む金属合金であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、クロムを含む金属合金であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、約10.5重量%~約50重量%のクロムを含む。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、約10.5重量%、約11重量%、約11.5重量%、約12重量%、約12.5重量%、約13重量%、約13.5重量%、約14重量%、約14.5重量%、約15重量%、約15.5重量%、約16重量%、約16.5重量%、約17重量%、約17.5重量%、約18重量%、約18.5重量%、約19重量%、約19.5重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約40重量%、約45重量%、または約50重量%のクロムを含む。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、鉄を含む金属合金であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、約50重量%~約90重量%の鉄を含む。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼は、約90重量%、約85重量%、約80重量%、約75重量%、約70重量%、約65重量%、約60重量%、約55重量%、または約50重量%の鉄を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、追加の元素を含む。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、ニッケル、モリブデン、窒素、銅、炭素、チタン、ニオブ、ジルコニウム、硫黄、セリウム、マンガン、シリコン、またはそれらのいくつかの組み合わせから選択される追加の元素を含む。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、約0重量%~約40重量%の追加の元素(例えば、ニッケル、モリブデン、窒素、銅、炭素、チタン、ニオブ、ジルコニウム、硫黄、セリウム、マンガン、シリコン、またはそれらの組み合わせ)を含む。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼は、約0重量%、約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、または約40重量%の追加の元素(例えば、ニッケル、モリブデン、窒素、銅、炭素、チタン、ニオブ、ジルコニウム、硫黄、セリウム、マンガン、シリコン、またはそれらの組み合わせ)を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、ステンレス鋼組成物及び活性成分であるか、またはそれらを含み、該活性成分は、活性化金属(例えば、モリブデン)の粒子(例えば、イオン性粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子)であるか、またはそれらを含み、該ステンレス鋼組成物は、約0.1重量%~約15重量%の活性成分を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、ステンレス鋼組成物及び活性成分であるか、またはそれらを含み、該ステンレス鋼組成物は、約4重量%~約15重量%の活性成分を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、ステンレス鋼組成物及び活性成分であるか、またはそれらを含み、該ステンレス鋼組成物は、約5重量%~約10重量%の活性成分を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、ステンレス鋼組成物及び活性成分であるか、またはそれらを含み、該ステンレス鋼組成物は、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%の活性成分を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、ステンレス鋼組成物及び活性成分であるか、またはそれらを含み、活性成分は、固体組成物全体に分散された活性化金属を含む。いくつかの実施形態では、活性化金属は、固体組成物全体に均一に分布している。いくつかの実施形態では、活性化金属は、固体組成物中に選択的に分布している(すなわち、特定の部分にのみ位置する)。
【0039】
いくつかの実施形態では、本開示は、ステンレス鋼組成物及び活性成分を含む固体組成物であって、該活性成分が、活性化金属の粒子(例えば、イオン性粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子)を含む、固体組成物を提供する。いくつかの実施形態では、固体組成物は、ステンレス鋼組成物、及び活性化金属のマイクロ粒子を含む活性成分を含む。いくつかの実施形態では、活性成分は、サイズが約10~約1000μm(例えば、約10μm~約100μm、約30μm~約100μm、約40~約60μm、約40~約50μmのサイズ)の活性化金属のマイクロ粒子を含む。いくつかの実施形態では、活性成分は、サイズが約10~約1000μmの活性化金属のマイクロ粒子を含み、固体組成物は、3重量%以上の活性成分を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される固体組成物は、少なくとも以前に報告されたステンレス鋼組成物がモリブデンのマイクロ粒子(またはナノ粒子)を含まないため、例えばモリブデン(例えば、ステンレス鋼316)を含む以前に報告されたステンレス鋼組成物とは異なる。ステンレス鋼を含む以前に提供された固体組成物は、全ての金属(モリブデンを含む)を一緒に溶融して溶融混合物を提供し、次いでそれを型に流し込むことによって製造される。対照的に、本開示のいくつかの実施形態では、ステンレス鋼、及び活性金属を含む活性成分を含む固体組成物は、活性成分の一部としての活性金属を除く全ての金属の溶融混合物を調製し、次に、活性金属が溶融せずにそのサイズ(例えば、マイクロ粒子またはナノ粒子サイズ)を維持するように活性成分を添加することによって製造される。いくつかの実施形態では、このようなプロセスは、ステンレス鋼及び活性成分を含む固体組成物であって、該活性成分が、固体組成物のステンレス鋼全体にマイクロ粒子またはナノ粒子として分散される、固体組成物を提供する。
【0041】
いくつかの実施形態では、ステンレス鋼は、抗酸化剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗酸化剤は、シリコン抗酸化剤である。
【0042】
いくつかの実施形態では、固体組成物は活性成分を含み、該活性成分は、該固体組成物上にスパッタリングされた(例えば、噴霧された)活性金属の粒子を含み、それにより、活性成分または固体組成物自体のいずれかは活性金属でコーティングされる。
【0043】
いくつかの実施形態では、固体組成物は活性成分を含み、該活性成分は、該固体組成物に選択的に適用された活性金属の粒子を含む。例えば、いくつかの実施形態では、固体組成物は、活性金属の粒子(例えば、マイクロ粒子、ナノ粒子)を含む活性成分を含み、該活性成分は、固体組成物の全て未満に適用(例えば、塗装、噴霧、積層など)される。
【0044】
本明細書に報告される組成物の追加の利点としては、いくつかの実施形態では、固体組成物または液体懸濁液が、他の金属または以前の組成物と比較して、抗病原体効果を達成するためにより少ない活性金属を使用するという点である。例えば、いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約99重量%の活性成分を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約75重量%の活性成分を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約50重量%の活性成分を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約25重量%の活性成分を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約10重量%の活性成分を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約5重量%の活性成分を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約3重量%の活性成分を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約2重量%の活性成分を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約0.5重量%の活性成分を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、また5重量%の活性成分を含む。
【0045】
本明細書で使用する場合、数値または割合に関する「約」という用語は、その数値を中心とした一定の範囲内にある数値(数値は実数であり、0%を下回ったり100%を上回ったりしない)を含むことを意図している。例えば、約という用語は、任意の示された数値に対して±0.2%、±0.5%、±1%、±5%、または±10%を包含することが意図される。
【0046】
本開示の組成物は、第2の金属または金属酸化物をさらに含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、Ni、Zn、Mn、Cu、Au、Ag、Sn、及びPd、またはそれらの酸化物から選択される第2の金属をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の金属はNiである。いくつかの実施形態では、第2の金属はPdである。いくつかの実施形態では、第2の金属はSnである。いくつかの実施形態では、第2の金属はAgである。いくつかの実施形態では、第2の金属はAuである。いくつかの実施形態では、第2の金属はCuである。いくつかの実施形態では、第2の金属はMnである。いくつかの実施形態では、第2の金属は、ZnまたはZnOである。いくつかの実施形態では、第2の金属はZnである。いくつかの実施形態では、第2の金属はZnOである。
【0047】
いくつかの実施形態では、抗病原体組成物は、約0.1重量%~約99重量%の第2の金属を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約75重量%の第2の金属を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約50重量%の第2の金属を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約15重量%の第2の金属を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約5重量%の第2の金属を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約3重量%の第2の金属を含む。いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、約0.1重量%~約1重量%の第2の金属を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、抗病原体組成物(例えば、本明細書に記載される固体組成物)は、抗酸化剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗酸化剤は、ペンタエリトリトールテトラキス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート(Irganox(登録商標)1010)及びトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Irgafos(登録商標)168)から選択される。いくつかの実施形態では、酸化防止剤は、M.Tolinski,Additives for Polyolefins,2nd ed.2015の15~16頁の表2.1に提供されるものから選択される。
【0049】
本明細書で提供される固体組成物は、プラスチック、ポリマー、バイオポリマー/バイオコンポジット、セラミック、ゴム、塗料、軟膏、ガラス、シリコーン、紙、布、金属、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の材料を含み、活性成分が、固体組成物全体に粒子として均一に分布している。当業者によって理解されるように、そのような粒子を固体組成物に組み込むこと(例えば、均一分布による、パターン化分布による、ランダム分布による、または他の本明細書に記載されるもの)は本開示に従って有用であり得、特に、そのような固体組成物に対して、例えば、その表面(例えば、接触表面)に対して、抗病原体特性を達成することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、本固体組成物は、例えば以下に記載されるように、それらが製品製造に使用することができるように、適切な硬度及び安定性を有する多数の形状に形成され得る。さらに、いくつかの実施形態では、特定の固体組成物は、例えば、それにより抗病原体コーティングを提供するために、可撓性表面コーティングに成形することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される固体組成物は、ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリビニル(例えば、ポリ塩化ビニル)、及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリプロピレンである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリエチレンである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリカーボネートである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリエステルである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリスチレンである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリウレタンである。
【0052】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、バイオポリマー/バイオコンポジットを含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、有機バイオコンポジットまたは無機バイオコンポジットを含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、有機バイオコンポジットを含む。いくつかの実施形態では、有機バイオコンポジットは、アルギン酸ナトリウム/シルクフィブロイン、デンプン/リグニン、ポリ(乳酸)/リグノセルロース繊維、デンプン/ポリ酢酸ビニル/セルロース、キトサン/サイザルセルロース、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、無機バイオコンポジットを含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、無機バイオコンポジットである。いくつかの実施形態では、無機バイオコンポジットは、ヒドロキシアパタイト(HAp)/カーボンナノチューブ(CNT)/Ag、HAp/チタニアロッド、またはHAp/アルミナ/ジルコニア、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む。
【0053】
本明細書に記載されるように、本開示は、活性化遷移金属または遷移金属酸化物の粒子(例えば、イオン粒子、マイクロ粒子またはナノ粒子)を含む約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、約1重量%~約99.99重量%のポリマーと、を含む固体の抗病原体組成物を提供する。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約10重量%の活性成分と、約50重量%~約99.99重量%のポリマーとを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、約50重量%~約99.99重量%のポリマーとを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、約75重量%~約99.99重量%のポリマーとを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、約90重量%~約99.99重量%のポリマーとを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約4重量%の活性成分と、約1重量%~約99.99重量%のポリマーとを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約3重量%の活性成分と、約1重量%~約99.99重量%のポリマーとを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約2重量%の活性成分と、約1重量%~約99.99重量%のポリマーとを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約1重量%の活性成分と、約1重量%~約99.99重量%のポリマーとを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約3重量%の活性成分と、約80重量%~約99.99重量%のポリマーとを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約3重量%の活性成分と、約90重量%~約99.99重量%のポリマーとを含む。
【0054】
本明細書に記載されるように、本開示は、活性化遷移金属または遷移金属酸化物の粒子(例えば、イオン粒子、マイクロ粒子またはナノ粒子)を含む約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、約1重量%~約99.99重量%のステンレス鋼と、を含む固体の抗病原体組成物を提供する。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約10重量%の活性成分と、約50重量%~約99.99重量%のステンレス鋼とを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、約50重量%~約99.99重量%のステンレス鋼とを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、約75重量%~約99.99重量%のステンレス鋼とを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、約90重量%~約99.99重量%のステンレス鋼とを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約4重量%の活性成分と、約1重量%~約99.99重量%のステンレス鋼とを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約3重量%の活性成分と、約1重量%~約99.99重量%のステンレス鋼とを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約2重量%の活性成分と、約1重量%~約99.99重量%のステンレス鋼とを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約1重量%の活性成分と、約1重量%~約99.99重量%のステンレス鋼とを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約3重量%の活性成分と、約80重量%~約99.99重量%のステンレス鋼とを含む。いくつかの実施形態では、固体の抗病原体組成物は、約0.01重量%~約3重量%の活性成分と、約90重量%~約99.99重量%のステンレス鋼とを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、ステンレス鋼を含む固体組成物は、表面処理及び/または仕上げ(例えば、サンディング、研磨、または化学的スクラビング)にさらに供される。理論に拘束されるものではないが、病原体への活性物質の曝露を増強すると、抗病原体活性が高まると考えられている。さらに、理論に拘束されるものではないが、表面仕上げは、特定の固体組成物、例えば、ステンレス鋼組成物を洗浄しやすくし、より優れた耐食性がもたらされ、さらなる製造工程を容易にすることができると考えられている。
【0056】
いくつかの実施形態では、固体組成物(例えば、ステンレス鋼組成物)の表面は、熱間圧延、アニーリング、及びデスケーリングによって仕上げることにより、ダル仕上げがなされる。いくつかの実施形態では、固体組成物(例えば、ステンレス鋼組成物)の表面を、熱間圧延し、その後、冷間圧延(例えば、研磨ロール上)で仕上げることにより、光沢仕上げがなされる。いくつかの実施形態では、固体組成物(例えば、ステンレス鋼組成物)の表面を、アニーリング、グラインディング(例えば、研磨材で)、またはバフ研磨(例えば、微粉砕表面)と組み合わせて冷間圧延によって仕上げることにより、高反射率の仕上げがなされる。いくつかの実施形態では、固体組成物(例えば、ステンレス鋼組成物)の表面を、研磨(例えば、徐々に細かい研磨材で)し、その後、バフ研磨によって仕上げることにより、鏡面仕上げがなされる。いくつかの実施形態では、固体組成物(例えば、ステンレス鋼組成物)の表面は、タンブリング、ドライエッチング、ウェットエッチング、及び/または表面ダル加工(例えば、サンドブラスト、ワイヤーブラッシング、または酸洗)により仕上げられる。
【0057】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、製造後仕上げに供される。いくつかの実施形態では、固体組成物の製造後仕上げは、固体組成物の酸洗及び/または不動態化を含む。例えば、いくつかの実施形態では、酸洗及び/または不動態化は、本明細書に記載される固体組成物の化学的仕上げを含み、それにより、例えば、錆から金属を保護する。いくつかの実施形態では、酸洗及び/または不動態化は、金属の表面から欠陥及び錆を取り除く浸漬液中に固体組成物を沈めることを含む。いくつかの実施形態では、酸洗及び/または不動態化プロセスは、固体組成物を酸(例えば、硝酸、クエン酸、硫酸など)または過酸化物(例えば、H)と接触させることを含む。
【0058】
本明細書に記載される固体の抗病原体組成物は、接触時に微生物または病原体を中和することができる。例えば、いくつかの実施形態では、抗病原体固体組成物は、micrococcus、staphylococcus、bacillus、pseudomonas、legionella、salmonella、listeria、clostridium perfringens、Escherichia coli、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザ、アデノウイルス、パラインフルエンザ、呼吸器多核体ウイルス、及びエンテロウイルスから選択される微生物または病原体を中和する。いくつかの実施形態では、微生物または病原体は、staphylococcus(例えば、メチシリン-staphylococcus aureus(MRSA)を含む)、legionella、インフルエンザ、E.coli、またはコロナウイルス(SARS-CoV-2を含む)である。
【0059】
液体組成物
本明細書に記載されるように、本開示は、活性成分を含む水(例えば、水道水または蒸留水)または生理食塩水中の懸濁液もしくは溶液(例えば、均質な溶液)である抗病原体組成物であって、該活性成分が、少なくとも1つの活性化金属の、粒子(例えば、イオン性粒子、マイクロ粒子またはナノ粒子)またはイオン性液体(例えば、2つの反対の電荷を有する存在である、カチオン(例えば、活性化モリブデン)とアニオンを含む、不燃性かつ不揮発性溶媒のクラス)を含む、抗病原体組成物を提供する。懸濁液または水もしくは生理食塩水中の溶液中の抗病原体組成物もまた、接触時に病原体を中和することが見出されている。そのような組成物は、病原体の実質的に全て(例えば、90%以上)が溶液内で中和されるように十分に酸性である。例えば、いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物は、約5.5以下のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物は、約4.0以下のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物は、約3.5以下のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物は、約3.0以下のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物は、約2.5以下のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物は、約2.0以下のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物は、約1.9以下のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗病原体懸濁液は、約1.85以下のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物は、約1.75以下のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物は、約1.65以下のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物は、約1.5以下のpHを有する。
【0060】
いくつかの実施形態では、酸は、所望のpH(例えば、上記のpH)を達成するために、本明細書に記載される液体組成物に添加される。いくつかの実施形態では、液体組成物は氷酢酸を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物における活性化金属対生理食塩水の重量比は、約1:100~約1:1である。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物における活性化金属対水または生理食塩水の重量比は、約1:100~約1:25である。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物における活性化金属対生理食塩水の重量比は、約1:100~約1:50である。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物における活性化金属対生理食塩水の重量比は、約1:100~約1:75である。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物における活性化金属対生理食塩水の重量比は、約1:100~約1:80である。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物における活性化金属対生理食塩水の重量比は、約1:100~約1:85である。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物における活性化金属対生理食塩水の重量比は、約1:100~約1:90である。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物における活性化金属対生理食塩水の重量比は、約1:100~約1:95である。
【0062】
本明細書に記載される抗病原体液体組成物は、例えば、固体表面の抗病原体剤を含む、様々な消毒方法において有用である(例えば、固体表面に噴霧または適用できる、エアロゾルとして、及び/またはスプレーボトル、ミスト、噴霧器などから送達されるスプレーとして)。いくつかの実施形態では、本開示は、表面上の微生物または病原体を中和するための方法を提供し、該方法は、表面を本明細書に記載される抗病原体液体組成物と接触させるステップを含む。いくつかの実施形態では、表面はヒトの皮膚である。
【0063】
いくつかの実施形態では、微生物または病原体は、micrococcus、staphylococcus、bacillus、pseudomonas、legionella、salmonella、listeria、clostridium perfringens、Acinetobacter baumannii、Escherichia coli、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザ、アデノウイルス、パラインフルエンザ、呼吸器多核体ウイルス、及びエンテロウイルスから選択される。いくつかの実施形態では、微生物または病原体は、staphylococcus(例えば、メチシリン-staphylococcus aureus(MRSA)を含む)、legionella、インフルエンザ、E.coli、またはコロナウイルス(SARS-CoV-2を含む)である。
【0064】
コーティング及び布
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗病原体液体組成物は、水と、活性成分及びポリマーの複合体とを含む。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物は、水と、活性化金属を含む活性成分と、ポリマーとを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは、コポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、トリブロックコポリマーである。
【0065】
いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物は、活性成分(例えば、Moカチオン)をポリマーにコーティングまたは添加することによって作製される。いくつかの実施形態では、抗病原体液体組成物は、成分(例えば、Mo粉末)を活性化し、続いて、ポリマーに活性成分を添加することによって作製される。例えば、抗病原体液体組成物は、試料(例えば、布、プラスチック、金属など)を容器に入れ、続いて試料を適切な量(例えば、1~1000μm)の金属粉末(例えば、Mo粉末)で覆い、次に約1%~約35%のHを添加して、試料の存在下で直接金属粉末(例えば、Mo粉末)を活性化することによって作製される。理論に拘束されるものではないが、結果として生じる熱(デルタT)が、試料の表面への浸透と、現在活性化されている成分(例えば、Mo)の結合を誘発することが理解される。
【0066】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、約1,000,000以下の平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約500,000以下の平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約100,000以下の平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約50,000以下の平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約10,000以下の平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約5,000以下の平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約1,000以下の平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約1,000以下の平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約500以下の平均分子量を有する。
【0067】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、本開示は、布を処理(例えば、仕上げ、乾燥など)するための抗病原体液体組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、布を仕上げるための抗病原体液体組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、布を乾燥させるための抗病原体液体組成物を提供する。いくつかの実施形態では、布は、任意の組成、構造、または種類から選択される。いくつかの実施形態では、布は、任意の組成から選択される。いくつかの実施形態では、布は、任意の構造から選択される。いくつかの実施形態では、布は、任意の種類から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、布は、編地材料、織布材料、不織布材料、またはそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、布は、天然繊維(例えば、植物、動物、または地質学的プロセスによって生成された繊維)、合成有機繊維、無機繊維、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0068】
いくつかの実施形態では、天然繊維は、絹、綿、羊毛、フラックス、獣毛、毛髪、セルロース、ラミー、ヘンプ、リネン、木材パルプ、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、合成有機繊維は、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリブチレン)、ハロゲン化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル)、ポリアラミド(例えば、ポリ-p-フェニレンテラフタルアミドまたはポリ-m-フェニレンテラフタルアミド)、メラミン及びメラミン誘導体、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル/ポリエーテル)、ポリアミド(例えば、ナイロン6またはナイロン6-6)、ポリウレタン、アセテート、レーヨンアクリル、またはそれらの組み合わせから誘導される。
【0070】
いくつかの実施形態では、無機物は、ガラス繊維、ホウ素繊維、ロックウール、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む。
【0071】
好ましい実施形態では、布は、綿、ナイロン6;ナイロン6-6;ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0072】
本明細書に記載されるように、本開示は、本明細書に記載される抗病原体液体組成物で布を処理(すなわち、接触またはコーティング)し、続いて布を乾燥させて水分及び他の揮発性成分を除去することを含む、布の処理方法を提供する。いくつかの実施形態では、布の乾燥は、対流乾燥、接触乾燥、放射乾燥、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含み、それによって処理された布を提供する。
【0073】
いくつかの実施形態では、処理された布は、抗病原体特性を付与するために様々な材料において使用される。例えば、いくつかの実施形態では、処理された布は、アパレル、アパレルインターライニング、室内装飾、カーペット、パディング、天井タイル、音響タイル、裏地、壁装材、屋根材、ハウスラップ、断熱材、寝具、拭き布、タオル、手袋、敷物、フロアマット、ドレープ、食卓用布類、テキスタイルバッグ、オーニング、車両カバー、ボートカバー、テント、農業用カバー、ジオテキスタイル、自動車用ヘッドライナー、ろ過材、防塵マスク、ファイバーフィル、封筒、タグ、ラベル、おむつ、女性用生理用品(例えば、生理用ナプキン、タンポン)、洗濯補助具(例えば、布地乾燥シート)、創傷ケア製品、医療製品(例えば、滅菌ラップ、キャップ、ガウン、マスク、ドレープ)、またはそれらの組み合わせにおいて使用される。
【0074】
いくつかの実施形態では、布中の活性金属を含む活性成分の量は、XRF(X線蛍光)分光法によって測定される。いくつかの実施形態では、処理された布は、処理の均一性を測定するために分析される。いくつかの実施形態では、回収された溶液中の金属(例えば、銀)の量は、誘導結合プラズマ原子発光分析法(ICP-AES)によって測定された。
【0075】
評価及び/または特性評価
いくつかの実施形態では、活性化金属及び/またはそれを含む組成物は、本明細書に記載される1つ以上の特徴について特性評価及び/または評価され得る。
【0076】
例えば、いくつかの実施形態では、消毒する能力について評価され得る。いくつかの実施形態では、消毒する能力は、本明細書に記載される1つ以上の微生物または病原体(例えば、micrococcus、staphylococcus、bacillus、pseudomonas、legionella、salmonella、listeria、clostridium perfringens、Acinetobacter baumannii、Escherichia coli、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザ、アデノウイルス、パラインフルエンザ、呼吸器多核体ウイルス、及びエンテロウイルス)の増殖を阻害する及び/または殺傷する能力であり得るか、またはそれを含み得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、消毒する能力は、直接接触に関して評価され得る、例えば、本明細書に記載される活性化金属及び/または組成物が、1つ以上の微生物または病原体を含む試料と接触したときに、そのような微生物(複数可)または病原体の増殖を低減する及び/または殺傷する能力である。あるいは、またはさらに、いくつかの実施形態では、消毒する能力は、ある距離にわたって評価され得る、例えば、本明細書に記載される活性化金属及び/または組成物が微生物または病原体と直接接触しない可能性があるにもかかわらず、ある空間または領域において1つ以上の微生物または病原体の増殖を低減する及び/または殺傷する、活性化金属及び/または組成物の能力である。
【0078】
例えば、実施例9に記載したように、本開示は、本明細書に記載されるように、物品を活性化金属またはそれを含む組成物と接触させることにより、活性化金属または組成物と直接接触していない物品の部分においてさえ、1つ以上の微生物または病原体の増殖を阻害する及び/または殺傷することができることを実証する。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗病原体効果は、活性化金属から少なくとも1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、または6cmを超えるまで及ぶことができる。すなわち、いくつかの実施形態では、病原体及び微生物は、活性化金属と直接接触していない(例えば、半径6cm以下以内)にもかかわらず、中和または殺傷され得る。いくつかの実施形態では、表面、例えば、医療表面、食品調理もしくは貯蔵表面、またはヒトの皮膚は、活性化金属の近位接触(例えば、半径6cm以下以内)によって中和することができる。
【0080】
使用例
上記及び本明細書に記載されるように、本明細書に記載される組成物は、多くの家庭用または医療用製品として使用するための様々な形状に形成することができるなど、様々な用途を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、表面、例えば、テーブル、手すり、ハンドルなどのコーティングに柔軟に形成することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、水を滅菌するためのポーチに形成することができる。すなわち、いくつかの実施形態では、本開示は、活性成分を含む透水性ポーチであって、該活性成分が、活性化金属の粒子(例えば、マイクロ粒子またはナノ粒子)であるか、またはそれを含む、透水性ポーチを提供する。このようなポーチは、水中の微生物または病原体の滅菌に有用である。すなわち、いくつかの実施形態では、本開示は、水試料中の微生物または病原体を中和する方法を提供し、該方法は、水試料中の微生物または病原体を中和または滅菌するのに十分な時間、水試料を本明細書に記載される透水性ポーチと接触させることを含む。ポーチを通じて移動し、活性成分と接触する微生物または病原体は、中和され、それにより水を滅菌する。いくつかの実施形態では、透水性ポーチは、pH指示薬をさらに含む。いくつかの実施形態では、pH指示薬は、水が7以下のpHを有するときを示す。いくつかの実施形態では、pH指示薬は、水が5.5以下のpHを有するときを示す。いくつかの実施形態では、pH指示薬は、水が2.0以下のpHを有するときを示す。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、例えば、マスクに組み込むのに有用なフィルターに形成することができる。COVID-19パンデミックにより、SARS-CoV-2の拡散または吸入から着用者を保護するのに十分な保護グレードを有する専門家向けの医療用マスクが不足している。接触時に病原体または微生物を中和することもできる、任意選択で交換可能なフィルターを有するマスクが必要とされている。いくつかの実施形態では、本開示は、ヒトの口の上に着用されるように構成されたフェイスマスクであって、該フェイスマスクが活性成分を含むフィルターを含み、該活性成分が活性化金属の粒子(例えば、マイクロ粒子またはナノ粒子)またはイオン性液体を含む、フェイスマスクを提供する。
【0083】
いくつかの実施形態では、本開示は、医療用インプラントに形成することができる組成物を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される固体組成物は、縫合糸、メッシュ、一時的及び永久的金属合金インプラント、一時的及び永久的セラミック合金インプラント、一時的なポリ乳酸系インプラント、一時的及び永久的合成ポリマーインプラント(血管移植片を含む)、または一時的及び永久的天然繊維インプラントに形成することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、本開示の固体組成物は、1つ以上の再利用可能な金属製外科手術用器具、プラスチック製の単一患者用器具、個人用保護具、例えば上記のようなマスク、人工呼吸器チューブ及び麻酔回路、人工呼吸器、心肺ポンプ及び体外式膜型人工肺及びコンポーネント、血液透析回路、PICCライン(合成ポリマーから構築された経皮的血管アクセスデバイス)、手持ちスコープ、IVライン及びポール、滅菌トレイ、外科手術用トロッカー、製品パッケージ、外科手術用具滅菌カバー、外科手術用消耗品容器、外科手術用監視電極及び装置、術前カバー、外科手術用テープ、外科手術用手袋、検査用手袋、外科手術用カテーテル、外科手術用ドレーン、外科手術用チューブ、人工肛門バッグ、外科的閉鎖創及び開放創管理用外科的創傷被覆材(陰圧装置付きまたはなし)、ならびに外部安定化製品に形成することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される固体組成物は、1つ以上の食品容器、食品輸送箱、食料品ディスプレイ、食品と共に使用するためのプラスチック(プラスチック容器を含む)、プラスチック製ラップ、プラスチック製手袋、カトラリー、食器、ホイルラップ、家電内装プラスチック、キーボード及びマウスを含むコンピュータ周辺機器、携帯電話ケース/スクリーンプロテクター、浴室カウンター/備品、レストランメニュー、床材、遊具、pH反転による水滅菌装置(上記により詳細に記載)を形成するために使用することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される固体組成物は、1つ以上のトレイ及び他の表面などの航空機関連材料、自動車のハンドル及び他の材料、タッチスクリーン、及びダッシュボードなどを形成するために使用でき、他の形態の公共交通機関(例えば、電車及び共用自転車)での同様の用途も含まれる。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される固体組成物を使用して、衣類に使用するための材料を形成することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される固体組成物を使用して、例えば、播種、灌漑、植物/作物管理、収穫設備、及び施肥を含む農業における使用のための材料を形成することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される固体組成物を使用して、例えば、機械のタッチパッド、カバー/シールド、洗浄剤、床材、運搬ベルト、及び有害廃棄物容器を含む、産業環境における使用のための材料を形成することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体組成物をネブライザーと組み合わせて使用して、エアロゾルスプレーを形成することができる。いくつかの実施形態では、エアロゾルスプレーを使用して、固体表面上の病原体を中和することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体組成物は、スプレーとして使用することができ、例えば、スプレーボトル、ミスト、噴霧器などを介して固体表面に噴霧することができる。
金属の活性化
【0092】
本開示はまた、本明細書に記載されるように、金属、例えば、遷移金属または遷移金属酸化物を活性化するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、遷移金属または遷移金属酸化物を活性化するための方法は、遷移金属または遷移金属酸化物を、加熱、か焼、洗浄/酸化、帯電、UV光曝露、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上で処理することを含む。
【0093】
例えば、いくつかの実施形態では、遷移金属または遷移金属酸化物は、遷移金属または遷移金属酸化物を100℃~2400℃の温度に、例えば、1分~24時間曝露することによって活性化される。
【0094】
いくつかの実施形態では、遷移金属または遷移金属酸化物は、遷移金属または遷移金属酸化物を洗浄液に曝露することによって活性化される。いくつかの実施形態では、洗浄液は水性酸化剤である。いくつかの実施形態では、洗浄液はガス状酸化剤である。いくつかの実施形態では、洗浄液は、1~4部のHO、1~4部の蒸留HO、1~35%のH(過酸化物)、アセチレン、オキシアセチレン、またはそれらの組み合わせからなる。
【0095】
いくつかの実施形態では、遷移金属または遷移金属酸化物は、遷移金属または遷移金属酸化物を低電圧に曝露することによって活性化される。帯電の電圧及び時間の理想的な範囲は、個々の成分及びアグリゲートによって異なり得る。この前処理により、成分の表面に特異的な電荷が発生し、さらには病原体を無効化及び/または殺傷する。
【0096】
いくつかの実施形態では、遷移金属または遷移金属酸化物は、遷移金属または遷移金属酸化物をUV光に曝露することによって活性化される。いくつかの実施形態では、UV光は、UVA、UVB、UVC、及びそれらの組み合わせから選択される。酸化亜鉛ナノ粒子、及びモリブデンをドープした二酸化チタンにUV光を使用すると、抗病原体効果が増加することが観察されている。この前処理により、活性成分による光触媒効果が得られる。光触媒効果は、特に水中及び暗所環境での使用に有効である。いくつかの実施形態では、光触媒効果は、醸造業において使用することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、金属は、本明細書に記載される固体組成物または液体組成物のいずれかに組み込まれた後に活性化される。例えば、いくつかの実施形態では、固体組成物は、遷移金属または遷移金属酸化物を含み、それは、次いで、本明細書に記載される活性化条件(例えば、洗浄/酸化、か焼、加熱、帯電、UV光曝露、及びそれらの組み合わせ)に供される。いくつかの実施形態では、懸濁液組成物は、遷移金属または遷移金属酸化物を含み、それは、次いで、本明細書に記載される活性化条件(例えば、洗浄/酸化、か焼、加熱、帯電、UV光曝露、及びそれらの組み合わせ)に供される。
【0098】
いくつかの実施形態では、固体組成物は活性成分を含み、該活性成分は、イオン性活性化金属を含む。いくつかの実施形態では、イオン性活性化金属は、+1、+2、+3、+4、+5、または+6の荷電状態(すなわち、カチオン電荷)を有する金属原子を指す。例えば、イオン性活性化金属は、カチオン性電荷(例えば、+1、+2、+3、+4、+5、または+6)を有するモリブデン粒子(例えば、ナノ粒子など)であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、イオン性活性化金属は、活性化された(例えば、Hによって)モリブデン粒子(例えば、ナノ粒子など)であるか、またはそれを含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、イオン性活性化金属は、本明細書で提供される方法に従って調製することができる。例えば、いくつかの実施形態では、イオン形態で金属を活性化する方法は、金属を酸化剤と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、金属を過酸化水素と接触させることを含む、金属を活性化する方法を提供する。いくつかの実施形態では、活性化される金属が本明細書に記載されており、例えば、Mo、Zn、Cu、Ag、及びAuが挙げられる。いくつかの実施形態では、活性化される金属はMoである。いくつかの実施形態では、本開示は、Hとの接触によって金属が活性化されることを提供する。
【0100】
例えば、いくつかの実施形態では、洗浄プロセスは、沈殿物をもたらす可能性があり、これは、収集され、生理食塩水を活性化するために使用され得る。いくつかの実施形態では、イオン形態で少なくとも1つの活性金属を生成する方法は、約1μmのサイズを有するフィルターを使用して、活性化生理食塩水に対して1つ以上の試験を実施することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、マイクロ粒子及び/またはイオン性形態を含み得る少なくとも約1μmのサイズを有する沈殿物は、フィルターに捕捉され得る。いくつかの実施形態では、0~約1μm(例えば、ナノ粒子)のサイズを有する沈殿物は、フィルターを通過することができる。
【0101】
例示的な実施形態
実施形態1.活性成分を含む抗病原体固体組成物であって、該活性成分が少なくとも1つの活性化金属の粒子を含む、抗病原体固体組成物。
【0102】
実施形態2.少なくとも1つの活性化金属が、遷移金属または遷移金属酸化物である、実施形態1に記載の抗病原体固体組成物。
【0103】
実施形態3.少なくとも1つの活性化金属が、Mo、Zn、またはそれらの酸化物から選択される、実施形態1または2に記載の抗病原体固体組成物。
【0104】
実施形態4.少なくとも1つの活性化金属が、Mo(IV)、Mo(V)、またはMo(VI)、またはそれらの酸化物である、実施形態3に記載の抗病原体固体組成物。
【0105】
実施形態5.少なくとも1つの活性化金属が、Mo、MoO、MoO、MoO、MO、HMoO、Zn、及びZnOから選択される、実施形態3に記載の抗病原体固体組成物。
【0106】
実施形態6.少なくとも1つの活性化金属が、Mo、MoO、MoO、HMoO、またはMoである、実施形態5に記載の抗病原体固体組成物。
【0107】
実施形態7.少なくとも1つの活性化金属が、立方晶、球状、単斜晶、六方晶、直方晶、正方晶、三斜晶、または菱面体晶の結晶構造を有する、Moまたはその酸化物である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0108】
実施形態8.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約99重量%の活性成分を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0109】
実施形態9.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約50重量%の活性成分を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0110】
実施形態10.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約15重量%の活性成分を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0111】
実施形態11.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約5重量%の活性成分を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0112】
実施形態12.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約3重量%の活性成分を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0113】
実施形態13.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約2重量%の活性成分を含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0114】
実施形態14.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約1重量%の活性成分を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0115】
実施形態15.少なくとも1つの活性金属の粒子が、約1μm~約100μmのサイズを有する、実施形態1~14のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0116】
実施形態16.少なくとも1つの活性金属の粒子が、約10μm~約85μmのサイズを有する、実施形態1~15のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0117】
実施形態17.少なくとも1つの活性金属の粒子が、約10μm~約50μmのサイズを有する、実施形態1~16のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0118】
実施形態18.少なくとも1つの活性金属の粒子が、約20μm~約50μmのサイズを有する、実施形態1~17のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0119】
実施形態19.少なくとも1つの活性金属の粒子が、約30μm~約50μmのサイズを有する、実施形態1~18のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0120】
実施形態20.少なくとも1つの活性金属の粒子が、約40μm~約50μmのサイズを有する、実施形態1~19のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0121】
実施形態21.少なくとも1つの活性金属の粒子が、約40μm~約45μmのサイズを有する、実施形態1~20のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0122】
実施形態22.第2の金属または金属酸化物をさらに含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0123】
実施形態23.第2の金属が、Ni、Zn、Mn、及びPd、またはそれらの酸化物から選択される、実施形態22に記載の抗病原体固体組成物。
【0124】
実施形態24.第2の金属が、ZnまたはZnOから選択される、実施形態22または23に記載の抗病原体固体組成物。
【0125】
実施形態25.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約99重量%の活性成分を含む、実施形態22~24のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0126】
実施形態26.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約75重量%の第2の金属を含む、実施形態22~25のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0127】
実施形態27.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約50重量%の第2の金属を含む、実施形態22~26のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0128】
実施形態28.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約15重量%の第2の金属を含む、実施形態22~27のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0129】
実施形態29.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約5重量%の第2の金属を含む、実施形態22~28のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0130】
実施形態30.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約3重量%の第2の金属を含む、実施形態22~29のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0131】
実施形態31.抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約1重量%の第2の金属を含む、実施形態22~30のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0132】
実施形態32.抗酸化剤をさらに含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0133】
実施形態33.抗酸化剤が、ペンタエリトリトールテトラキス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート(Irganox(登録商標)1010)及びトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Irgafos(登録商標)168)である、実施形態32に記載の抗病原体固体組成物。
【0134】
実施形態34.抗病原体固体組成物が、ポリマー、プラスチック、セラミック、ゴム、塗料、軟膏、ガラス、シリコーン、紙、布、金属、及びそれらの組み合わせから選択される材料であるか、またはそれらを含む、実施形態1~33のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0135】
実施形態35.抗病原体固体組成物が、ポリマーであるか、またはそれを含む、実施形態34に記載の抗病原体固体組成物。
【0136】
実施形態36.ポリマーが、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、及びそれらの組み合わせから選択される、実施形態35に記載の抗病原体固体組成物。
【0137】
実施形態37.ポリマーがポリプロピレンである、実施形態35または36に記載の抗病原体固体組成物。
【0138】
実施形態38.抗病原体固体組成物が、表面を覆うように柔軟に形成される、実施形態1~37のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0139】
実施形態39.
活性化遷移金属または遷移金属酸化物の粒子を含む約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、
約1重量%~約99.99重量%のポリマーと、を含む、抗病原体組成物。
【0140】
実施形態40.活性成分の粒子及び水または食塩水を含む抗病原体懸濁液であって、該活性成分が少なくとも1つの活性化金属の粒子を含む、抗病原体懸濁液。
【0141】
実施形態41.懸濁液のpHが約5.5以下である、実施形態40に記載の抗病原体懸濁液。
【0142】
実施形態42.懸濁液のpHが約4.0以下である、実施形態41に記載の抗病原体懸濁液。
【0143】
実施形態43.懸濁液のpHが約2.0以下である、実施形態42に記載の抗病原体懸濁液。
【0144】
実施形態44.懸濁液のpHが約1.5以下である、実施形態43に記載の抗病原体懸濁液。
【0145】
実施形態45.活性化金属と生理食塩水との重量比が約1:100~約1:1である、実施形態40~44のいずれか1つに記載の抗病原体懸濁液。
【0146】
実施形態46.活性化金属と生理食塩水との重量比が約1:100~約1:25である、実施形態45に記載の抗病原体懸濁液。
【0147】
実施形態47.活性化金属と生理食塩水との重量比が約1:100~約1:50である、実施形態46に記載の抗病原体懸濁液。
【0148】
実施形態48.活性化金属と生理食塩水との重量比が約1:100~約1:75である、実施形態47に記載の抗病原体懸濁液。
【0149】
実施形態49.活性化金属と生理食塩水との重量比が約1:100である、実施形態48に記載の抗病原体懸濁液。
【0150】
実施形態50.懸濁液が、ローション、軟膏、ゲル、ペースト、またはクリームである、実施形態40~49のいずれか1つに記載の抗病原体懸濁液。
【0151】
実施形態51.表面上の病原体を中和するための方法であって、該表面を実施形態40~50のいずれか1つに記載の抗病原体懸濁液と接触させるステップを含む、方法。
【0152】
実施形態52.表面がヒトの皮膚である、実施形態51に記載の方法。
【0153】
実施形態53.病原体が、グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌、ウイルス、及び藻類から選択される、実施形態51または52に記載の方法。
【0154】
実施形態54.病原体が、micrococcus、staphylococcus、bacillus、pseudomonas、legionella、salmonella、listeria、clostridium perfringens、Acinetobacter baumannii、Escherichia coli、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザ、呼吸器多核体ウイルス、及びエンテロウイルスから選択される、実施形態51~53のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
実施形態55.活性成分を含む透水性ポーチであって、該活性成分が、活性化金属の粒子であるか、またはそれを含む、透水性ポーチ。
【0156】
実施形態56.pH指示薬をさらに含む、実施形態55に記載の透水性ポーチ。
【0157】
実施形態57.少なくとも1つの活性化金属が、Mo、Zn、Cu、Au、Ag、またはそれらの酸化物から選択される、実施形態1または2に記載の抗病原体固体組成物。
【0158】
実施形態58.少なくとも1つの活性化金属が、Mo、Mo(IV)、Mo(V)、またはMo(VI)、またはそれらの酸化物である、実施形態3に記載の抗病原体固体組成物。
【0159】
実施形態59.少なくとも1つの活性化金属が、Mo、MoO、MoO、MoO、Mo、HMoO、Zn、ZnO、Cu、CuO、CuO、Au、AuO、Au、Ag、及びAgOから選択される、実施形態3に記載の抗病原体固体組成物。
【0160】
実施形態60.第2の金属が、Ni、Zn、Mn、Au、Ag、Cu、及びPd、またはそれらの酸化物から選択される、実施形態22に記載の抗病原体固体組成物。
【0161】
実施形態61.材料が金属(例えば、ステンレス鋼)である、実施形態34に記載の抗病原体固体組成物。
【0162】
実施形態62.金属がステンレス鋼であるか、またはそれを含む、実施形態61に記載の抗病原体固体組成物。
【0163】
実施形態63.活性化遷移金属または遷移金属酸化物の粒子を含む約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、約1重量%~約99.99重量%のステンレス鋼と、を含む抗病原体組成物。
【0164】
実施形態64.少なくとも1つの活性金属の粒子が約1μm~約1000μmのサイズを有する、実施形態1~14のいずれか1つに記載の抗病原体固体組成物。
【0165】
実施形態65.水試料中の病原体を中和するための方法であって、水試料中の病原体を中和するのに十分な時間、水試料を実施形態55または56に記載の透水性ポーチと接触させるステップを含む、方法。
【0166】
実施形態66.水試料をZnOと接触させてpHを中和することをさらに含む、実施形態65に記載の方法。
【0167】
実施形態67.活性成分の粒子及び水または生理食塩水を含む抗病原体液体組成物であって、該活性成分が少なくとも1つの活性化金属を含む、抗病原体液体組成物。
【0168】
実施形態68.液体組成物のpHが約5.5以下である、実施形態67に記載の抗病原体液体組成物。
【0169】
実施形態69.液体組成物のpHが約4.0以下である、実施形態68に記載の抗病原体液体組成物。
【0170】
実施形態70.液体組成物のpHが約2.0以下である、実施形態69に記載の抗病原体液体組成物。
【0171】
実施形態71.液体組成物のpHが約1.5以下である、実施形態70に記載の抗病原体液体組成物。
【0172】
実施形態72.活性化金属と水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:1である、実施形態67~71のいずれか1つに記載の抗病原体液体組成物。
【0173】
実施形態73.活性化金属と水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:25である、実施形態72に記載の抗病原体液体組成物。
【0174】
実施形態74.活性化金属と水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:50である、実施形態73に記載の抗病原体液体組成物。
【0175】
実施形態75.活性化金属と水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:75である、実施形態74に記載の抗病原体液体組成物。
【0176】
実施形態76.活性化金属と水または生理食塩水との重量比が約1:100である、実施形態75に記載の抗病原体液体組成物。
【0177】
実施形態77.実施形態67~76のいずれか1つに記載の抗病原体液体組成物で処理した布。
【実施例
【0178】
本教示は、実施例において提供される説明を含み、いかなる請求項の範囲も限定することを意図していない。特に過去時制で示されない限り、実施例に含まれることは、実験が実際に行われたことを意味すると意図されない。以下の非限定的な例は、本教示をさらに説明するために提供される。当業者であれば、本出願に関して、本明細書に提供される特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、それでも本教示の趣旨及び範囲から逸脱せずに、同様または類似の結果を得ることができることを理解するであろう。
【0179】
実施例1-金属及び金属酸化物の活性化
これらの実施例に記載された金属は、本出願に記載されているように活性化される。
【0180】
による活性化(「洗浄」)
約40μm~約45μmのサイズを有するMo粒子を、約35%のHの水溶液に沈めた。金属粒子は、黒/灰色で始まり、しばらくすると黄色に変化した。次に、粒子をろ過し、真空乾燥してから、実験に使用するか、以下に説明するように、ポリマー材料または懸濁液にさらに組み込んだ。
【0181】
OMAX 40X-2500X LEDデジタル三眼顕微鏡で、活性化Mo粒子の構造変化を可視化した。未活性化Mo粒子の顕微鏡画像が、図1A及び1Bに示される。活性化Mo粒子の顕微鏡画像が、図2A、2B、及び2Cに示される。Mo粒子は、活性化後、直方晶構造をとることが観察される。
【0182】
か焼による活性化
44μmのサイズを有するMoO粒子を、250℃で2時間加熱した。得られた粒子を冷却し、次に実験に直接使用するか、または以下に説明するように、ポリマー材料もしくは懸濁液にさらに組み込んだ。
【0183】
実施例2-ポリマー中の金属粒子の調製
本実施例は、ポリプロピレン組成物中の乾式混合MoOと、Irganox1010及びIrgafos168の酸化防止剤ブレンド(一次及び二次ポリプロピレン酸化防止剤)とを調製する方法を提供する。
【0184】
か焼によって活性化された2.5重量%のMoO3、粒状ポリプロピレン、ならびにIrganox1010及びIrgafos168の酸化防止剤ブレンドは、ホッパーを介して加熱バレルに供給される。材料は溶融するまで加熱され、大きなスクリューによってゲートを通ってモールドに注入される。溶融材料を冷却し、次いでサンディング(例えば、サンドブラスト、120グリットのサンドペーパーによるハンドサンド、またはビーズブラスト)し、活性化Moが病原体と接触するのを妨げる薄膜を除去する。
【0185】
実施例3-listeria monocytogenes ATCC23074株に対するMo金属プレートの有効性
本実施例は、様々な金属プレートが3時間にわたって抗Listeria monocytogenes ATCC23074活性を示すかどうかと、1つの組成物が他の組成物よりも活性であり得るかどうかとを測定するために実施した。特に、本実施例は、Moプレートが、Cuプレートよりも改善されていないにしても実質的に同様の抗病原体活性を呈することを示す。
【0186】
4つの時点における細菌集団の配置及び回収を容易にするため、金属プレートは、実験テンプレートのデザインにおいてラボマーカーで円印が付けられ、各時点で3つの同等にスポットした試料[各10μL]を採取した。これらの時間枠は、0分、1時間、2時間、及び3時間とした。
【0187】
試料処理。金属プレートを表面洗浄し、次いで各プレートをCorning社のカバー付きガラストレイに無菌的に移し、チャレンジ培養の過程で病原体の接種液が拡散するのを防いだ。接種液は、Listeria cytogenesをトリプチケースソイブロス培地で72時間培養したものからなり、プレートカウント法で測定した推定個体数密度は1.1~1.2x10細胞/mLであった。したがって、10μLの液滴で1.2x10個の細胞[1200個の細胞]を金属表面に供給することになる。1本のスワブを使用して、3つの同等のスポット、すなわち3.6×10個の細胞を採取した。
【0188】
個体数の測定は、Amnisイメージングフローサイトメーターによって調べた。図5A及び5B、ならびに以下の表は、接種液レベルがこれら2つの分析の平均値であると測定されたことを示している[46,146+37,628/2]=41,887、すなわち4.189×104細胞/mL。
【表1】
【表2】
【0189】
結果:金属プレートへのListeria monocytogenesの初回プレーティングと、その後の各時点でのTempo生菌数測定装置による方法を使用した個体数の測定により、本報告書の付録ファイルに記載されている試験結果が得られた。簡略化した要約を以下の表に示す。
【表3】
【0190】
結論:比較的低い個体数密度(2,000細胞未満)で、CuプレートはListeria monocytogenes ATCC23074株の大幅な個体数減少を示した。Moプレートもまた、大幅な個体数の減少を示した。
【0191】
実施例4-メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)に対するポリプロピレンブレンド中の金属粒子の有効性
ポリプロピレンブレンド中のMoOを、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)に対して試験した。試料は実施例2に従って調製した:
【表4】
【0192】
試料3をMRSAと12時間接触させた後、試料を試験して、表面に残存するMRSAの量を測定した。試験により、MRSAの濃度がベースラインと比較して12時間後に86.7%減少したことが確認された。
【0193】
実施例5-MRSA及びEscherichia coli(E.coli)に対する金属懸濁液の有効性
か焼により活性化した2.5gのMoOを、100mLの生理食塩水に懸濁して懸濁液を得た。MRSAを、22.3℃で3時間、6時間、及び24時間にわたって懸濁液に接触させ、重複するフラスコA及びBのそれぞれに回収した。その結果を下表に示すが、24時間以内に懸濁液からMRSAが検出されなくなったことがわかる。
【表5】
【0194】
サイズが40~45μmの活性化Mo粒子5gを洗浄により活性化し、100mLの生理食塩水/リン酸緩衝生理食塩水に懸濁した。次いで、E.coliを21.1℃で3時間、6時間、及び24時間にわたって懸濁液に接触させ、重複するフラスコA及びBのそれぞれに回収した。その結果を下表に示すが、24時間以内に懸濁液からE.coliが検出されなくなったことがわかる。
【表6】
【0195】
実施例6-SARS-CoV-2及びコロナウイルス-229Eに対するポリプロピレンブレンド中の金属粒子の有効性
ポリプロピレンブレンド中のMo(5重量%)を、SARS-CoV-2及びコロナウイルス-229Eに対して試験する。試料を実施例2に従って調製する。本試料を、SARS-CoV-2及びコロナウイルス-229Eと、周囲条件で6時間にわたって接触させ、該試料を、1時間、3時間、及び6時間のそれぞれにおいて表面に残存するSARS-CoV-2及びコロナウイルス-229Eの量を測定するために試験する。
【0196】
実施例7-SARS-CoV-2及びコロナウイルス229Eに対する金属懸濁液の有効性
SARS-CoV-2またはコロナウイルス229Eを含む生理食塩水を、標準的な方法に従って調製する(それぞれスプレー1A及びスプレー1B)。生理食塩水中で洗浄によって活性化されたMo粒子(粒子サイズ40~45μm)を含む懸濁液とSARS-CoV-2またはコロナウイルス229Eを調製する(それぞれスプレー2A及びスプレー2B)。
【0197】
ポリプロピレン表面及び実施例6に記載のように調製した表面に、スプレー1A~2Bの各々をそれぞれ噴霧する。各表面を試験して、1時間、3時間、及び6時間のそれぞれで各表面に残存するSARS-CoV-2及びコロナウイルス-229Eの量を測定する。
【0198】
実施例8-活性化金属懸濁液の安定性
活性化Mo及びMoOの試料は、懸濁液中で、及びポリマー固体組成物中に取り込まれた状態で、少なくとも6ヶ月間保管可能であることが確認された。以下の試料は、室温で周囲条件下で保管され、6ヶ月後に一貫したpH範囲を示した。
【表7】
【0199】
活性化MoとZnOの重量比が1:1である乾燥混合物を、室温で6ヶ月間、周囲条件下で保管した。6ヶ月後、色の変化による劣化の兆候は観察されなかった。
【0200】
実施例9-近位接触による抗病原体特性
実施例9a
未処理の有機オレンジを試験表面(試験表面1及び試験表面2)に配置した。試験表面1及び試験表面2は、相互汚染を防ぐために少なくとも4フィート離すこと。
【0201】
試験表面1=添加物無添加のステンレス鋼
【0202】
試験表面2=か焼によって活性化されたモリブデンコアを覆うステンレス鋼
【0203】
オレンジの保管条件は、周囲条件下での室温であった。定期的な間隔(毎月1枚)で、4ヶ月にわたって各オレンジの写真を撮った。その結果は、図6A(試験表面1,時間=0);図6B(試験表面2,時間=0ヶ月);図6C(試験表面1,時間=4ヶ月);図6D(試験表面2,時間=4ヶ月);図6E(試験表面1,時間=4ヶ月);図6F(試験表面2,時間=4ヶ月);図6G(試験表面1,時間=4ヶ月);図6H(試験表面2,時間=4ヶ月)に示される。
【0204】
写真は、試験表面2に保管したオレンジが試験表面1に保管したオレンジよりも腐敗が著しく少ないことを示す。例えば、4ヶ月目に、試験表面1に接触したオレンジは、著しい腐敗及び微生物の増殖を示した(微生物の増殖については図6Eを、内部腐敗については図6Gを参照のこと)。試験表面2に接触したオレンジは、腐敗及び微生物の増殖が実質的にないとは言えないまでも、著しく少ないことを示した(微生物の増殖及び腐敗がないことは図6Eと比較して図6Fを参照し、内部腐敗がないことは図6Gと比較して図6Hを参照のこと)。
【0205】
いくつかの実施形態では、活性化モリブデンを含む例示的な実施形態は、特定の食品、例えば、オレンジの貯蔵寿命を少なくとも2ヶ月延長することができる。
【0206】
実施例9b
実施例9bは、Moを含む組成物が、直接接触していなくても病原体を中和できることを示している。特に、本実施例は、各種金属プレートが3時間にわたって抗Salmonella typhimurium ATCC 23555活性を示すかどうかを測定するために実施され、試料1を「距離試験」で検討した。
【0207】
図3に、培養接種液をスポットし、時点t=0分にスワブ採取する直前のMoを含む試料1及び5のステンレス鋼クーポンの画像が示される。4つの時点における細菌集団の配置及び回収を容易にするため、金属プレートは、実験テンプレートのデザインにおいてラボマーカーで円印が付けられ、各時点で3つの同等にスポットした試料[各10μL]を採取した。これらの時間枠は、0分、1時間、2時間、及び3時間とした。距離試験のために、5番目のステンレス鋼クーポンからt=4時間で5番目の時点が作成された。
【0208】
試料処理
【0209】
金属プレートを表面洗浄し、次いで各プレートをCorning社のカバー付きガラストレイに無菌的に移し、チャレンジ培養の過程で病原体の接種液が拡散するのを防いだ。接種液は、Salmonella typhimurium ATCC 23555をトリプチケースソイブロス培地で24時間培養したものからなり、プレートカウント法で測定した推定個体数密度は2.0x10細胞/mLであった。10μLの液滴で2x10個の細胞[20000個の細胞]を金属表面に供給する。1本のスワブを使用して、3つの同等のスポット、すなわち100%の回収が可能であるならば、理論上、6×10個の細胞を採取した。距離試験の場合、2.0cm、4.0cm、及び6.0cm離れてスポットを有するステンレス鋼クーポンを、各時点で1枚採取した。
【0210】
個体数の測定
【0211】
最初の接種液は、Amnisイメージングフローサイトメーターを使用して測定した。図4は、試料における直接定量と以下の表のデータを表したものである:
領域_M01,アスペクト比_M01
【表8】
この直接定量法により、接種液レベルは13,228細胞/mL、すなわち1.32x10細胞/mLであると測定された。
【0212】
結果:金属プレートへのSalmonella typhimuriumの初回プレーティングと、その後の各時点でのTempo生菌数測定装置による方法を使用した個体数の測定により、本報告書の付録ファイルに記載されている試験結果が得られた。要約は以下のとおりである:
【表9】
【0213】
試料1の端から各液滴の中心までの試料1における距離試験(316ステンレス鋼クーポンは試料1の端から等距離にあり、接触はしていない)は、約2.0、4.0、または6.0cmのいずれかとした。
【表10】
【0214】
結論:比較的低い個体数密度(2,000細胞未満)において、試料(No.2)は、Salmonella typhimurium ATCC 23555株の大幅な個体数減少を示した。これらの試験は、乾燥を防ぐために加湿を行わず、27℃の一定温度で実施した。3つのトレイを使用し、そのうち2つのトレイはそれぞれ金属プレートを1枚含んだ(つまり1つ目に試料2、2つ目に試料3が含まれた)。試料1は、5つの側面にそれぞれ1枚ずつ、5枚のプレートが付いた316ステンレス鋼クーポンと共に、14インチ×14インチのプラスチック製の蓋付きの箱に入れた。1時間後、著しい個体数の減少が観察され、減少幅は距離とともに漸減するが、大きな試料1の金属プレートの端から6.0cmの地点ではまだ観察可能であった。
【0215】
実施例10-追加の例示的な実施形態
実施例10a
洗浄によって活性化されたMo粒子(粒子サイズ40~45μm)は、ポリプロピレン(PP)ブレンドに組み込まれ、該Mo粒子は固体組成物の2.5重量%である。Mo/PP固形物を、120グリットのサンドペーパーでサンディングし、MRSA及びE.coliと12時間接触させる。試料は、該試料に残っている微生物の量について試験する。
【0216】
実施例10b
未活性化Mo粒子(粒子サイズ40~45μm)が、ポリプロピレン(PP)ブレンドに組み込まれ、該Mo粒子は固体組成物の2.5重量%である。Mo/PP固形物を、120グリットのサンドペーパーでサンディングし、洗浄条件に供する。次いで、Mo/PP固形物を、MRSA及びE.coliと12時間接触させる。試料は、該試料に残っている微生物の量について試験する。
【0217】
実施例10c
洗浄によって活性化されたMo粒子(粒子サイズ40~45μm)を、Mo粒子対生理食塩水の比率が1:100~1:50となるように、生理食塩水の懸濁液に入れる。Legionellaを懸濁液と接触させ、懸濁液中に依然として存在する細菌の量を、室温(約25℃)で3時間、6時間、及び24時間の時点で測定する。
【0218】
実施例11-ステンレス鋼組成物
本実施例は、ステンレス鋼を調製するための方法、例えば、1)ステンレス鋼を構成する原料を炉内で約8~約12時間溶融し、その後、溶融した鋼材を半製品形状(例えば、スラブ、ロッド、チューブ、または他の適切な形状)に鋳造することと、2)鋼材を半製品形状から所望の形状(複数可)(例えば、プレート、ストリップ、シート、ロール、バー、及び/またはワイヤ)、形(複数可)(例えば、丸形、四角形、八角形、六角形、及び/または他の形)、及び/またはサイズ(複数可)に成形(例えば、熱間圧延)することと、3)制御された環境(複数可)で鋼材を加熱及び/または冷却(例えば、アニーリング、クエンチング、及び/または他の熱処理)して、内部応力を緩和し、金属(複数可)を軟化させ、鋼材の強度及び靭性を制御することと、4)デスケーリング(例えば、酸洗及び/または電解洗浄)して、鋼材の表面上のスケールを除去することと、5)フレーム切断工具及び/または機械的切断工具(例えば、ギロチンナイフ、サーキュラーナイフ、ブランキング、ニブリング、及び/または高速ブレード)を使用して鋼材を所望の形状(複数可)に切断することと、6)鋼材を表面仕上げして、滑らかな表面など、鋼材が所望の外観を有するようにすることと、を含むステンレス鋼製品の製造プロセスにおける工程を提供する。さらに、エンドユーザーによる製造及び製作時に、追加の工程及び/または品質管理が使用または要求されてもよい。
【0219】
実施例12-活性化モリブデンを含むステンレス鋼
本実施例は、活性化Moを含むステンレス鋼組成物を調製するための方法を提供する。活性化Moは、鋳造または成形工程(例えば、実施例11の工程1または2)で導入される。追加的または代替的に、未活性化Moは、鋳造または成形工程(例えば、実施例11の工程1または2)で導入される。いくつかの実施形態では、Moは、本明細書に記載されるか焼、洗浄、UV光、及び帯電方法のうちの少なくとも1つによって、製造後に活性化される。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼組成物は、表面処理(例えば、サンディング、研磨、化学的スクラビング、及び/または他のプロセス)によって仕上げられ、Moの表面露出を高める。
【0220】
実施例13-Acinetobacter baumanniiに対する生理食塩水中の活性化モリブデンを含むステンレス鋼の有効性
生理食塩水中の活性化Mo(2重量%)の試料を、実施例5の手順に従って調製した。Acinetobacter baumanniiを、22.3℃で3時間、6時間、及び24時間にわたって懸濁液と接触させた。Acinetobacter baumanniiの個体数は、3時間、6時間、及び24時間の各時点で、試料内において99.997%減少した。
【0221】
実施例14-モリブデンクーポンと、5%のモリブデンを含有する処理済ポリプロピレンクーポンのヒトコロナウイルス229E株に対する表面Time-Kill試験
実施例14a-モリブデンクーポン
材料
1インチ×1インチの活性化純モリブデン(99%超)クーポンに、約3.0×10Median Tissue Culture Infectious Dose(TCID)50/mlのヒトコロナウイルス229E株を含む0.05mlのヒトコロナウイルス229E株ウイルス原液を接種した。接種液は、滅菌ピペットチップを用いてクーポンの表面に播いた。各曝露時間ごとにクーポンが重複して含まれた。対照として、各曝露時間ごとにステンレス鋼クーポンが重複して含まれた。
【0222】
方法
クーポンを湿ったペーパータオルと共に密閉したタッパーウェア容器に入れ、乾燥を防ぐために室温(21.6℃)でインキュベートした。
【0223】
t=0時間で回収されたベースラインウイルス濃度を測定するために、接種直後に対照クーポンから重複した試料を採取した。クーポンは、ウイルス粒子を回収するためにポリスチレン製スワブでサンプリングし、該スワブは、別個の1ml容量のDey-Engley(D/E)中和ブロスに入れた。試料を30秒間ボルテックスし、その後、スワブを取り出して廃棄した。この後、試料を細胞培養最小必須培地(MEM)で1:2に希釈し、該試料を別個のシリンジフィルター(孔径0.45m、フィルターへのウイルス吸着を防ぐため3%の牛肉エキスで事前に湿潤化)に通し、細菌または真菌などの汚染物を除去した。このステップは、実験が無菌環境で行われなかったために必要であった。
【0224】
他の全ての対照及び試験クーポンは、残りの実験の間、室温で保持された(21.6℃、相対湿度約95%)。t=1時間及び3時間において、残りの対照及び試験クーポンの試料を重複してサンプリングし、前述の方法で処理した。
【0225】
細胞培養によるアッセイの前に、試料を凍結し、-70℃で保管した。
【0226】
中和された各試料のウイルス濃度は、Reed-Muench法を使用して定量化され、ウェルの50%に影響を与えた組織培養細胞感染量(TCID50)を測定した。試料は、MEMで10倍段階希釈した。アッセイは、MRC-5細胞(胎児のヒト肺線維芽細胞)の単層を含む96ウェル細胞培養プレートで実施した。アッセイの前に、MRC-5細胞を、MEMで2回穏やかにリンスし、次いで96ウェルプレートに希釈試料を接種し(6つのウェルに希釈液ごとに50マイクロリットルずつ接種した)、プレートを5%COの雰囲気中で35℃で1時間インキュベートし、ウイルス粒子を細胞に吸着させた。
【0227】
各96ウェルプレートには、50マイクロリットルのMEMが添加された細胞のみを含む(つまり、抗菌剤またはウイルスを含まない)少なくとも6つの陰性対照も含まれた。
【0228】
このインキュベーション期間の後、2%のウシ胎児血清を含む150マイクロリットルのMEMを96ウェルのそれぞれに添加し、プレートを5%COの雰囲気中で35℃で6日間インキュベートした。
【0229】
倒立顕微鏡を使用して、毎日細胞を観察し、ウイルスの細胞変性効果(CPE)を確認した。接種した細胞を同じ96ウェルプレート内の陰性対照細胞と比較し、CPEと未接種細胞と区別した。コロナウイルスによって引き起こされるCPEは通常3日かかるため、インキュベーションから24時間以内に観察されたCPEは、細胞毒性(D/E中和緩衝液またはモリブデンに対する細胞の感受性によって引き起こされる)によって引き起こされたものとみなした。3日後のCPE陽性のウェルは、ウイルス増殖が陽性であるとみなした。
【0230】
陰性対照ウェルのいずれにおいてもCPEは観察されなかった。
【0231】
インキュベーション期間終了後、TCID50/クーポンを測定した。アッセイの適切な精度を確保するために、希釈液ごとに6つのウェルを使用した。ウェルの50%以上が陽性である最大希釈液を使用して、Payment and Trudelに記載の方法に従ってウイルスTCID50/クーポンを測定した。Payment P,Trudel M.(1993)Isolation and identification of viruses.In Methods and Techniques in Virology.Payment P,Trudel M(eds.),pp.32-33.New York:Marcel Dekker Inc.を参照のこと。
【0232】
データは、式-log10(N/N)を用いて対数減少として報告され、式中、Nは時間=0時間の回収したコロナウイルスの濃度、Nは時間=t(すなわち、1または3時間)に採取した試料中の生存コロナウイルスの濃度である。減少率もまた計算した。
【0233】
スチューデントのt検定を使用して、試験クーポンで観察された減少と対照クーポンで観察された減少を統計的に比較した。得られたP値が0.05以下の場合、減少は統計的に有意であるとみなした。
【0234】
結果
接種液=3.0×10TCID50/クーポン
【0235】
回収された生存ウイルス粒子の数/クーポン:
対照ステンレス鋼A(0時間)=1.6×10TCID50
対照ステンレス鋼B(0時間)=7.1×10TCID50
対照ステンレス鋼A(1時間)=1.0×10TCID50
対照ステンレス鋼B(1時間)=7.1×10TCID50
対照ステンレス鋼A(3時間)=8.6×10TCID50
対照ステンレス鋼B(3時間)=1.6×10TCID50
T012処理済モリブデンA(1時間)=1.6×10TCID50未満
T012処理済モリブデンB(1時間)=1.6×10TCID50未満
T012処理済モリブデンA(3時間)=1.6×10TCID50未満
T012処理済モリブデンB(3時間)=1.6×10TCID50未満
対照ステンレス鋼クーポンから1時間後に回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=8.4×10TCID50/クーポン
対照ステンレス鋼クーポンから3時間後に回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=1.2×10TCID50/クーポン
試験モリブデンクーポンから1時間後に回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=1.6×10TCID50/クーポン未満
試験モリブデンクーポンから3時間後に回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=1.6×10TCID50/クーポン未満
1時間後のT012処理済モリブデンクーポンの減少率=98.7%超
3時間後のT012処理済モリブデンクーポンの減少率=98.7%超


【表11】
【0236】
考察
クーポン上に接種されたウイルス粒子の数と、t=0時間で対照試料から回収された粒子の数との間に、約1.4log10の損失が観察された。理論に縛られものではないが、これは、3つの要因によるものと思われる:1)スワブ法を使用したウイルスの回収効率、2)ろ過工程でのウイルス粒子の損失、3)試料の凍結/解凍によるウイルス粒子の損失。加えて、細胞培養アッセイでは、最低希釈度(すなわち、最高濃度である1×10-1)の中和してろ過した試料を接種したウェルにおいて細胞毒性が観察された。これにより、定量可能な最低希釈率が1×10-2であったため、アッセイの検出限界が実質的に1log10増加した。
【0237】
T012処理済モリブデンクーポンは、接触時間1時間以内に、生存ヒトコロナウイルス229E粒子の数を減少させる(1.88log10超)のに有効であった。全てのモリブデン表面で観察された減少は、対照ステンレス鋼クーポンで観察された減少(平均0.11log10)との関係において、統計的に有意(P値0.05以下)であった。
【0238】
実施例14b-5%のモリブデンを含有するポリプロピレンクーポン

材料
実験は、5%の活性化モリブデン(純度99%超;粒子サイズ45μm)を含む1インチ×2インチの処理済ポリプロピレンクーポン及び2インチ×2インチの対照ポリプロピレンクーポンで行った。クーポンに、約3.0×10TCID50/mlのヒトコロナウイルス229E株を含む0.05mlのウイルス原液を接種した。接種液は、滅菌ピペットチップを用いてクーポンの中央1インチ×1インチの表面に播いた。試験ポリプロピレンクーポン(モリブデンを含む)とポリプロピレン対照クーポンの両方について、各曝露接触時間ごとにクーポンが重複して含まれた。
【0239】
方法
クーポンを湿ったペーパータオルと共に密閉したタッパーウェア容器に入れ、乾燥を防ぐために室温(21.6℃)でインキュベートした。
【0240】
t=0時間で回収されたベースラインウイルス濃度を測定するために、接種直後に対照クーポンから重複した試料を採取した。クーポンは、ウイルス粒子を回収するためにポリスチレン製スワブでサンプリングし、該スワブは、別個の1ml容量のDey-Engley(D/E)中和ブロスに入れた。試料を30秒間ボルテックスし、その後、スワブを取り出して廃棄した。この後、試料を細胞培養最小必須培地(MEM)で1:2に希釈し、該試料を別個のシリンジフィルター(孔径0.45m、フィルターへのウイルス吸着を防ぐため3%の牛肉エキスで事前に湿潤化)に通し、細菌または真菌などの汚染物を除去した。このステップは、実験が無菌環境で行われなかったために必要であった。
【0241】
他の全ての対照及び試験クーポンは、残りの実験の間、室温で保持された(21.6℃、相対湿度約95%)。t=1時間及び3時間において、残りの対照及び試験クーポンの試料を重複してサンプリングし、前述の方法で処理した。
【0242】
細胞培養によるアッセイの前に、試料を凍結し、-70℃で保管した。
【0243】
中和された各試料のウイルス濃度は、Reed-Muench法を使用して定量化され、ウェルの50%に影響を与えた組織培養細胞感染量(TCID50)を測定した。試料は、MEMで10倍段階希釈した。アッセイは、MRC-5細胞(胎児のヒト肺線維芽細胞)の単層を含む96ウェル細胞培養プレートで実施した。アッセイの前に、MRC-5細胞を、MEMで2回穏やかにリンスし、次いで96ウェルプレートに希釈試料を接種し(6つのウェルに希釈液ごとに50マイクロリットルずつ接種した)、プレートを5%COの雰囲気中で35℃で1時間インキュベートし、ウイルス粒子を細胞に吸着させた。
【0244】
各96ウェルプレートには、50マイクロリットルのMEMが添加された細胞のみを含む(つまり、抗菌剤またはウイルスを含まない)少なくとも6つの陰性対照も含まれた。
【0245】
このインキュベーション期間の後、2%のウシ胎児血清を含む150マイクロリットルのMEMを96ウェルのそれぞれに添加し、プレートを5%COの雰囲気中で35℃で6日間インキュベートした。
【0246】
倒立顕微鏡を使用して、毎日細胞を観察し、ウイルスの細胞変性効果(CPE)を確認した。接種した細胞を同じ96ウェルプレート内の陰性対照細胞と比較し、CPEと未接種細胞と区別した。コロナウイルスによって引き起こされるCPEは通常3日かかるため、インキュベーションから24時間以内に観察されたCPEは、細胞毒性(D/E中和緩衝液またはモリブデンに対する細胞の感受性によって引き起こされる)によって引き起こされたものとみなした。3日後のCPE陽性のウェルは、ウイルス増殖が陽性であるとみなした。
【0247】
陰性対照ウェルのいずれにおいてもCPEは観察されなかった。
【0248】
インキュベーション期間終了後、TCID50/クーポンを測定した。アッセイの適切な精度を確保するために、希釈液ごとに6つのウェルを使用した。ウェルの50%以上が陽性である最大希釈液を使用して、Payment and Trudelに記載の方法に従ってウイルスTCID50/クーポンを測定した。Payment P,Trudel M.(1993)Isolation and identification of viruses.In Methods and Techniques in Virology.Payment P,Trudel M(eds.),pp.32-33.New York:Marcel Dekker Inc.を参照のこと。
【0249】
データは、式-log10(N/N)を用いて対数減少として報告され、式中、Nは時間=0時間の回収したコロナウイルスの濃度、Nは時間=t(すなわち、1または3時間)に採取した試料中の生存コロナウイルスの濃度である。減少率もまた計算した。
【0250】
スチューデントのt検定を使用して、試験クーポンで観察された減少と対照クーポンで観察された減少を統計的に比較した。得られたP値が0.05以下の場合、減少は統計的に有意であるとみなした。
【0251】
結果
接種液=3.0×10TCID50/クーポン
【0252】
回収された生存ウイルス粒子の数/クーポン:
対照ポリプロピレンA(0時間)=8.6×10TCID50
対照ポリプロピレンB(0時間)=4.0×10TCID50
対照ポリプロピレンA(1時間)=8.6×10TCID50
対照ポリプロピレンB(1時間)=4.0×10TCID50
対照ポリプロピレンA(3時間)=4.0×10TCID50
対照ポリプロピレンB(3時間)=8.6×10TCID50
モリブデンAを含む処理済ポリプロピレン(1時間)=8.6×10TCID50
モリブデンBを含む処理済ポリプロピレン(1時間)=7.1×10TCID50
モリブデンAを含む処理済ポリプロピレン(3時間)=8.6×10TCID50
モリブデンBを含む処理済ポリプロピレン(3時間)=4.0×10TCID50
対照ポリプロピレンクーポンから1時間後に回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=5.9×10TCID50/クーポン
対照ポリプロピレンクーポンから3時間後に回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=5.9×10TCID50/クーポン
モリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンから1時間後に回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=7.9×10TCID50/クーポン
モリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンから3時間後に回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=5.9×10TCID50/クーポン
1時間後のモリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンの減少率=87.7%
3時間後のモリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンの減少率=90.7%
【表12】
【0253】
クーポンごとに回収された生存ウイルス粒子の数(log10の減少)及び抗菌効果を以下に要約する。実験は、21.6℃、相対湿度約95%で重複した試料を使用して実施した(接種直後に採取したt=0時間)。
【0254】
考察
t=0時間で、クーポンに接種したウイルス粒子数と対照試料から回収した粒子数との間に、約1.68log10の損失が観察された。これは、3つの要因によるものと思われる:1)スワブ法を使用したウイルスの回収効率、2)ろ過工程でのウイルス粒子の損失、3)試料の凍結/解凍によるウイルス粒子の損失。加えて、細胞培養アッセイでは、最低希釈度(すなわち、最高濃度である1×10-1)の中和してろ過した試料を接種したウェルにおいて細胞毒性が観察された。
【0255】
5%のモリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンは、接触時間1時間及び3時間以内に、生存ヒトコロナウイルス229E粒子の数を減少させる(それぞれ0.91及び1.03log10)のに有効であった。全ての処理済ポリプロピレン表面で観察された減少は、対照ポリプロピレンクーポンで観察された減少(平均0.10log10)との関係において、統計的に有意(P値0.05以下)であった。
【0256】
実施例15-MS-2バクテリオファージ(ウイルス)及びヒトコロナウイルス229E株に対するモリブデンで処理した生理食塩水を噴霧したステンレス鋼クーポンの表面Time-Kill試験
実施例15a-MS-2バクテリオファージ(ウイルス)
MS-2はノンエンベロープRNAウイルスであり、広範囲のヒト腸管病原性ウイルス(例えば、エンテロウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、ならびにA型及びE型肝炎ウイルス)のサロゲートとして使用される。
【0257】
材料
実験の前に、25gの活性化モリブデン粉末(純度99%超;粒子径45μm)を250mlの滅菌リン酸緩衝食塩水(PBS;pH7.4)に加え、滅菌エルレンマイヤーフラスコに10%モリブデン溶液(w/v)を作製した。この溶液を十分に混合した後、室温で約90時間静置した。その後、沈殿した粉末が乱れないようにしながら、ピペッティングによりフラスコから上清を慎重に取り出した。この上清を実験用の処理した生理食塩水として使用し、使用するまで室温で保管した。
【0258】
実験は、PBS中の10%モリブデン溶液を噴霧した2インチ×2インチのステンレス鋼クーポンで実施した。約5.0×10プラーク形成単位(PFU)/mlのMS-2バクテリオファージを含むMS-2原液0.1mlをクーポンに接種した。MS-2は、E.coli及びEnterobacteriaceae科の他のメンバーに感染する非病原性ウイルスである。サイズ及び形が似ており、各種消毒薬に対して同等の耐性を示すことから、ヒト腸管ウイルスのサロゲートとしてよく利用されている。ウイルス接種液は、滅菌ピペットチップを使用してクーポンの表面全体に播いた。試験試料(モリブデンを含むPBSを噴霧)と対照試料(PBSのみを噴霧)の両方について、各曝露接触時間ごとにクーポンが重複して含まれた。
【0259】
接種直後に、クーポンにモリブデン処理PBS(試験試料)またはPBSのみ(対照試料)のいずれかを約6インチの距離からスプレーボトルを使用して1回噴霧した。
【0260】
接種及び噴霧したクーポンを、湿ったペーパータオルと共に密閉したタッパーウェア容器に入れ、ウイルス数の減少につながるおそれのある乾燥を防ぐために室温(22.1℃)でインキュベートした。
【0261】
t=0分で回収されたベースラインウイルス濃度を測定するために、接種直後に対照クーポンから重複した試料を採取した。クーポンは、滅菌ペトリ皿中の1mlのDey-Engley(D/E)中和ブロスで徹底的にリンスすることによってサンプリングした。リンス液を回収し、滅菌した1.5mlのエッペンドルフチューブに入れた。
【0262】
他の全ての対照及び試験クーポンは、残りの実験の間、室温で保持された(22.1℃、相対湿度約95%)。t=1、5、15、及び30分において、残りの対照及び試験クーポンの試料を重複してサンプリングし、前述の方法で処理した。
【0263】
各クーポンから回収された生存MS-2の数を定量するために、中和した試料を滅菌PBS中で10倍段階希釈し、各希釈液の0.1ml容量を、各希釈液について重複したプレートによるダブル寒天重層(double-agar overlay)法を用いてアッセイした。すなわち、宿主Escherichia coli菌の対数期培養物(トリプティックソイブロス培地で37℃で撹拌しながら3~4時間増殖)約0.5mlを、試験管内の溶解トリプティックソイ寒天(寒天1%を含む)5mlに添加した。次に、試験試料の各希釈液を0.1mlずつ試験管に加えた。次いで、チューブを穏やかにボルテックスして培養物を混合し、別個のトリプティックソイ寒天培地プレートの表面に注いだ。プレートを軽く回し、プレート表面全体を寒天重層で覆った。次いで、重層を室温で固化させ、その後、プレートを37℃で18~24時間インキュベートした(反転して)。生存MS-2は、プラーク(寒天重層上の細菌増殖における円形の透明部分)をカウントすることによって計数され、各試料1ml当たりのウイルスのPFU数を測定した。
【0264】
D/Eで抗菌液が十分に中和されていることを確認するため、中和検証試験を実施した。1mlのD/E中和ブロスに、0.4mlのPBS中10%モリブデン溶液を入れた。この溶液を混合した後、MS-2を最終濃度約5.2×10PFUになるように添加した。この溶液を再び混合し、その後、室温(22.1℃)で10分間静置した。中和した溶液の10倍段階希釈液を、前述のようにアッセイした。溶液が完全に中和されていれば、PBSのみの対照と比較して、MS-2数の減少はないものと予想された。
【0265】
データは、式-log10(N/N)を用いて対数減少として報告され、式中、Nは時間=0分に回収したMS-2の濃度、Nは時間=t(すなわち、1、5,15,または30分)に採取した試料中の生存MS-2の濃度である。減少率もまた計算した。
【0266】
スチューデントのt検定を使用して、試験対象のモリブデン含有スプレーで観察された減少と対照PBSスプレーで観察された減少を統計的に比較した。得られたP値が0.05以下の場合、減少は統計的に有意であるとみなした。
【0267】
結果
中和検証試験の間にMS-2の減少は観察されず、D/EがPBS中10%モリブデン溶液を中和することに成功したことが示された。
【0268】
接種液=5.2×10PFU/クーポン
【0269】
回収された生存MS-2ウイルス粒子の数/クーポン:
対照試料A(0分)=3.65×10PFU
対照試料B(0分)=3.66×10PFU
対照試料A(1分)=4.35×10PFU
対照試料B(1分)=4.10×10PFU
対照試料A(5分)=2.51×10PFU
対照試料B(5分)=3.90×10PFU
対照試料A(15分)=3.25×107PFU
対照試料B(15分)=3.75×10PFU
対照試料A(30分)=3.7×10PFU
対照試料B(30分)=4.10×10PFU
試験試料A(1分)=2.61×10PFU
試験試料B(1分)=9.65×10PFU
試験試料A(5分)=2.29×10PFU
試験試料B(5分)=2.01×10PFU
試験試料A(15分)=2.85×10PFU
試験試料B(15分)=1.77×10PFU
試験試料A(30分)=1.86×10PFU
試験試料B(30分)=4.50×10PFU
1分後に対照スプレー試料から回収された生存MS-2バクテリオファージの幾何平均数=4.22×10PFU/クーポン
5分後に対照スプレー試料から回収された生存MS-2バクテリオファージの幾何平均数=3.13×10PFU/クーポン
15分後に対照スプレー試料から回収された生存MS-2バクテリオファージの幾何平均数=3.49×10PFU/クーポン
30分後に対照スプレー試料から回収された生存MS-2バクテリオファージの幾何平均数=3.89×10PFU/クーポン
1分後に試験スプレー試料から回収された生存MS-2バクテリオファージの幾何平均数=1.59×10PFU/クーポン
5分後に試験スプレー試料から回収された生存MS-2バクテリオファージの幾何平均数=2.15×10PFU/クーポン
15分後に対照スプレー試料から回収された生存MS-2バクテリオファージの幾何平均数=7.10×10PFU/クーポン
30分後に対照スプレー試料から回収された生存MS-2バクテリオファージの幾何平均数=2.89×10PFU/クーポン
1分後の試験スプレー試料の減少率=57.3%
5分後の試験スプレー試料の減少率=41.1%
15分後の試験スプレー試料の減少率=80.5%
30分後の試験スプレー試料の減少率=92.1%
【0270】
以下の表は、MS-2バクテリオファージに対する接触時間が1、5、15、または30分のいずれかで、10%の活性化モリブデン(Mo)含有または非含有のPBSを噴霧した試験試料の抗菌効果を示す。実験は、22.1℃、相対湿度約95%で重複した試料を使用して実施した(接種直後に採取したt=0分)。
【表13】
考察
対照試料から回収されたMS-2の濃度は、実験の全過程で一定に保たれた。これに対して、10%モリブデンスプレー用液で処理した試料では、1分以内に生存MS-2のわずかな減少が観察された。接触時間1分、5分、15分後に観察された減少は、対照試料と比較して統計的に有意ではなかった(P値0.05以下)。しかし、接触時間30分以内では、回収されたMS-2の減少(平均1.10log10の減少)は、対照試料と比較して統計的に有意であった(P=0.029)。
【0271】
実施例15b-ヒトコロナウイルス229E株に対するモリブデンで処理した生理食塩水を噴霧したステンレス鋼クーポンの表面Time-Kill試験
材料
実験の前に、25gの活性化モリブデン粉末(純度99%超;粒子径45μm)を250mlの滅菌リン酸緩衝食塩水(PBS;pH7.4)に加え、滅菌エルレンマイヤーフラスコに10%モリブデン溶液(w/v)を作製した。この溶液を十分に混合した後、室温で約90時間静置した。その後、沈殿した粉末が乱れないようにしながら、ピペッティングによりフラスコから上清を慎重に取り出した。この上清を実験用の処理した生理食塩水として使用し、使用するまで室温で保管した。
【0272】
実験は、PBS中の10%モリブデン溶液を噴霧した2インチ×2インチのステンレス鋼クーポンで実施した。クーポンに、約1.0×10TCID50/mlのヒトコロナウイルス229E株(ATCC#VR-740)を含む0.1mlのウイルス原液を接種した。接種液は、滅菌ピペットチップを使用してクーポンの表面全体に播いた。試験試料(モリブデンを含むPBSを噴霧)と対照試料(PBSのみを噴霧)の両方について、各曝露接触時間ごとにクーポンが重複して含まれた。
【0273】
接種直後に、クーポンにモリブデン処理PBS(試験試料)またはPBSのみ(対照試料)のいずれかを約6インチの距離からスプレーボトルを使用して2回噴霧した。
【0274】
接種及び噴霧したクーポンを、湿ったペーパータオルと共に密閉したタッパーウェア容器に入れ、ウイルス数の大幅な減少につながるおそれのある乾燥を防ぐために室温(22.3℃)でインキュベートした。
【0275】
t=0分で回収されたベースラインウイルス濃度を測定するために、接種直後に対照クーポンから重複した試料を採取した。クーポンは、滅菌ペトリ皿中の1mlのDey-Engley(D/E)中和ブロスで徹底的にリンスすることによってサンプリングした。リンス液を回収し、滅菌した1.5mlのエッペンドルフチューブに入れた。
【0276】
採取した試料はSephadexゲルろ過カラムに通し、その後の細胞培養アッセイでの細胞毒性を低減させた。この後、試料を別個のシリンジフィルター(孔径0.45m、フィルターへのウイルス吸着を防ぐため3%の牛肉エキスで事前に湿潤化)に通し、細菌または真菌などの汚染物を除去した。このステップは、実験が無菌環境で行われなかったために必要であった。
【0277】
他の全ての対照及び試験クーポンは、残りの実験の間、室温で保持された(22.3℃、相対湿度約95%)。t=1、5、15、及び30分において、残りの対照及び試験クーポンの試料を重複してサンプリングし、前述の方法で処理した。
【0278】
中和及びろ過された各試料のウイルス濃度は、Reed-Muench法を使用して定量化され、ウェルの50%に影響を与えた組織培養細胞感染量(TCID50)を測定した。試料は、最小必須培地(MEM)で10倍段階希釈した。アッセイは、MRC-5細胞(胎児のヒト肺線維芽細胞)の単層を含む96ウェル細胞培養プレートで実施した。アッセイの前に、MRC-5細胞を、MEMで2回穏やかにリンスし、次いで96ウェルプレートに希釈試料を接種し(6つのウェルに希釈液ごとに50マイクロリットルずつ接種した)、プレートを5%CO2の雰囲気中で35℃で1時間インキュベートし、ウイルス粒子を細胞に吸着させた。
【0279】
各96ウェルプレートには、50マイクロリットルのMEMが添加された細胞のみを含む(抗菌剤またはウイルスを含まない)少なくとも6つの陰性対照も含まれた。
【0280】
このインキュベーション期間の後、2%のウシ胎児血清を含む150マイクロリットルのMEMを96ウェルのそれぞれに添加し、プレートを5%CO2の雰囲気中で35℃で6日間インキュベートした。
【0281】
倒立顕微鏡を使用して、毎日細胞を観察し、ウイルスの細胞変性効果(CPE)を確認した。接種した細胞を同じ96ウェルプレート内の陰性対照細胞と比較し、CPEと未接種細胞と区別した。コロナウイルスによって引き起こされるCPEは通常2日以上かかるため、インキュベーションから24時間以内に観察されたCPEは、細胞毒性(D/E中和緩衝液または抗菌剤に対する細胞の感受性によって引き起こされる)によって引き起こされたものとみなした。2日後のCPE陽性のウェルは、ウイルス増殖が陽性であるとみなした。陰性対照ウェルのいずれにおいてもCPEは観察されなかった。
【0282】
インキュベーション期間終了後、TCID50/クーポンを測定した。アッセイの適切な精度を確保するために、希釈液ごとに6つのウェルを使用した。ウェルの50%以上が陽性である最大希釈液を使用して、Payment and Trudelに記載の方法に従ってウイルスTCID50/クーポンを測定した。
【0283】
D/Eで抗菌液が十分に中和されていることを確認するため、中和検証試験を実施した。1mlのD/E中和ブロスに、0.4mlのPBS中10%モリブデン溶液(1回のスプレーに見出される推定量)を入れた。この溶液を混合した後、ヒトコロナウイルス229Eを最終濃度約1.0×10TCID50になるように添加した。この溶液を再び混合し、その後、室温(22.3℃)で10分間静置した。中和した溶液の10倍段階希釈液を、前述のようにアッセイした。溶液が完全に中和されていれば、PBSのみの対照と比較して、コロナウイルス229E数の減少はないものと予想された。
【0284】
データは、式-log10(N/N)を用いて対数減少として報告され、式中、Nは時間=0分に回収したコロナウイルスの濃度、Nは時間=t(すなわち、1、5、15、または30分)に採取した試料中の生存コロナウイルスの濃度である。減少率もまた計算した。
【0285】
スチューデントのt検定を使用して、試験対象のモリブデン含有スプレーで観察された減少と対照PBSスプレーで観察された減少を統計的に比較した。得られたP値が0.05以下の場合、減少は統計的に有意であるとみなした。
【0286】
結果
接種液=約1.0×10TCID50/クーポン
【0287】
回収された生存ウイルス粒子の数/クーポン:
対照試料A(0分)=3.6×10TCID50
対照試料B(0分)=1.1×10TCID50
対照試料A(1分)=3.6×10TCID50
対照試料B(1分)=5.0×10TCID50
対照試料A(5分)=4.3×10TCID50
対照試料B(5分)=9.3×10TCID50
対照試料A(15分)=3.6×10TCID50
対照試料B(15分)=4.3×10TCID50
対照試料A(30分)=4.3×10TCID50
対照試料B(30分)=2.0×10TCID50
試験試料A(1分)=3.6×10TCID50
試験試料B(1分)=3.6×10TCID50
試験試料A(5分)=2.0×10TCID50
試験試料B(5分)=4.3×10TCID50
試験試料A(15分)=2.0×10TCID50
試験試料B(15分)=4.3×10TCID50
試験試料A(30分)=1.1×10TCID50
試験試料B(30分)=2.0×10TCID50
1分後に対照スプレー試料から回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=4.3×10TCID50/クーポン
5分後に対照スプレー試料から回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=6.3×10TCID50/クーポン
15分後に対照スプレー試料から回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=3.9×10TCID50/クーポン
30分後に対照スプレー試料から回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=3.0×10TCID50/クーポン
1分後に試験スプレー試料から回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=3.6×10TCID50/クーポン
5分後に試験スプレー試料から回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=9.3×10TCID50/クーポン
15分後に試験スプレー試料から回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=3.0×10TCID50/クーポン
30分後に試験スプレー試料から回収された生存ヒトコロナウイルス229Eの幾何平均数=1.5×10TCID50/クーポン
1分後の試験スプレー試料の減少率=30.8%
5分後の試験スプレー試料の減少率=82.2%
15分後の試験スプレー試料の減少率=94.4%
30分後の試験スプレー試料の減少率=97.1%
【0288】
以下の表は、ヒトコロナウイルス229E株(ATCC#VR-740)に対する接触時間が1、5、15、または30分のいずれかで、10%の活性化モリブデン(Mo)含有または非含有のPBSを噴霧した試験試料の抗菌効果を示す。実験は、22.3℃、相対湿度約95%で重複した試料を使用して実施した(接種直後に採取したt=0時間)。


【表14】
【0289】
考察
t=0分で、クーポンに接種したウイルス粒子数と対照試料から回収した粒子数との間に、約0.29log10の損失が観察された。
【0290】
中和検証試験の間にヒトコロナウイルス229Eの減少は観察されず、D/EがPBS中10%モリブデン溶液を中和することに成功したことが示された。
【0291】
10%の活性化モリブデンを含むPBS溶液は、15分と30分の接触時間後に生存ヒトコロナウイルス229E粒子の数を減少させる(それぞれ1.25及び1.54log10)のに有効であった。観察された減少は、対照試料で観察された減少と比較して、15分後と30分後には統計的に有意であったが(それぞれ、P=0.023と0.025)、接触時間1分と5分後には有意ではなかった(それぞれ、P=0.42と0.17)。
【0292】
実施例16-メチシリン耐性Staphylococcus aureus及びEscherichia coliに対するモリブデンを含む処理済ポリプロピレン試験クーポンの表面Time-Kill試験
実施例16a-メチシリン耐性Staphylococcus aureusに対するモリブデンを含む処理済ポリプロピレン試験クーポンの表面Time-Kill試験

材料
実験は、5%の活性化モリブデン(純度99%超;粒子サイズ45μm)を含む2インチ×2インチの処理済ポリプロピレンクーポン及び2インチ×2インチの対照ポリプロピレンクーポン(モリブデン未添加)で行った。
【0293】
メチシリン耐性Staphylococcus aureusの培養物は、試験生物の1つのコロニーを100mlのトリプティックソイブロス(TSB)に播種し、37°Cで一晩撹拌しながら(オービタルシェーカーで250rpm)インキュベートすることにより、試験の前日に調製した。
【0294】
試験日に、遠心分離により細胞をペレット化することにより細菌細胞を洗浄した。上清を捨て、ペレットを滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS;pH7.4)に再懸濁した。合計3回の洗浄工程を行った。
【0295】
クーポンには、約1.0×106コロニー形成単位(CFU)の洗浄したMRSA細胞を含む0.1mlの溶液を接種した。接種液は、滅菌ピペットチップを用いてクーポンの表面に播いた。試験ポリプロピレンクーポン(モリブデンを含む)とポリプロピレン対照クーポンの両方について、各曝露接触時間ごとにクーポンが重複して含まれた。
【0296】
クーポンを湿ったペーパータオルと共に密閉したタッパーウェア容器に入れ、乾燥を防ぐために室温(21.6℃)でインキュベートした。
【0297】
t=0時間で回収されたベースラインMRSA濃度を測定するために、接種直後に対照クーポンから重複した試料を採取した。クーポンは、細菌を回収するために滅菌綿スワブでサンプリングし、該スワブは、別個の1ml容量のDey-Engley(D/E)中和ブロスに入れた。試料を30秒間ボルテックスし、その後、スワブを取り出して廃棄した。次いで、試料は、PBS中で10倍段階希釈した。スプレッドプレート法を使用して、各種希釈液をマンニット食塩寒天(MSA)プレートに播種した。プレートを37℃で24~48時間インキュベートし、コロニーを数えた。
【0298】
他の全ての対照及び試験クーポンは、残りの実験の間、室温で保持された(21.6℃、相対湿度約95%)。t=4時間及び24時間の時点で、残りの対照及び試験クーポンの試料を重複してサンプリングし、前述の方法でMSAプレート上でアッセイした。
【0299】
コロニーを数え、クーポンごとに生存MRSA CFUのレベルを測定した。データは、式-log10(Nt/N0)を用いて対数減少として報告され、式中、N0は時間=0時間の回収したMRSAの濃度、Ntは時間=t(すなわち、4または24時間)に採取した試料中の生存MRSAの濃度である。減少率もまた計算した。
【0300】
スチューデントのt検定を使用して、試験クーポンで観察された減少と対照クーポンで観察された減少を統計的に比較した。得られたP値が0.05以下の場合、減少は統計的に有意であるとみなした。
【0301】
結果
接種液=3.8×106CFU/クーポン
【0302】
回収されたMRSA/クーポンの数:
対照ポリプロピレンA(0時間)=2.3×10CFU
対照ポリプロピレンB(0時間)=2.7×10CFU
対照ポリプロピレンA(4時間)=1.7×10CFU
対照ポリプロピレンB(4時間)=1.8×10CFU
対照ポリプロピレンA(24時間)=2.1×10CFU
対照ポリプロピレンB(24時間)=1.9×10CFU
モリブデンAを含む処理済ポリプロピレン(4時間)=6.3×10CFU
モリブデンBを含む処理済ポリプロピレン(4時間)=1.7×10CFU
モリブデンAを含む処理済ポリプロピレン(24時間)=5CFU
モリブデンBを含む処理済ポリプロピレン(24時間)=5CFU
対照ポリプロピレンクーポンから4時間後に回収されたMRSAの幾何平均数=1.8×10CFU/クーポン
対照ポリプロピレンクーポンから24時間後に回収されたMRSAの幾何平均数=2.0×10CFU/クーポン
5%のモリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンから4時間後に回収されたMRSAの幾何平均数=1.0×10CFU/クーポン
5%のモリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンから24時間後に回収されたMRSAの幾何平均数=5CFU/クーポン
4時間後の5%のモリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンにおけるMRSAの減少率=95.9%
24時間後の5%のモリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンにおけるMRSAの減少率=99.9998%
【0303】
以下の表は、メチシリン耐性Staphylococcus aureusに対する5%のモリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンの抗菌効果を示す。実験は、21.6℃、相対湿度約95%で重複した試料を使用して実施した(接種直後に採取したt=0時間)。
【表15】
【0304】
考察
両方の曝露接触時間で、対照ポリプロピレンクーポンから回収されたMRSAの数にわずかな減少が観察された(平均0.13log10)。対照的に、5%のモリブデンを含む試験ポリプロピレンクーポンから回収されたMRSAの数の有意な減少が、4時間(平均1.39log10)及び24時間(平均5.70log10)の曝露後の両方で観察された。これらの減少は、同時にサンプリングした対照ポリプロピレンクーポンと比較して、統計的に有意であった(それぞれ、P=0.028及びP=0.000029)。
【0305】
実施例16B-Escherichia coliに対するモリブデンを含む処理済ポリプロピレン試験クーポンの表面Time-Kill試験
材料
実験は、5%の活性化モリブデン(純度99%超;粒子サイズ45μm)を含む2インチ×2インチの処理済ポリプロピレンクーポン及び2インチ×2インチの対照ポリプロピレンクーポン(モリブデン未添加)で行った。実験開始前に、クーポンを3%の過酸化水素に24時間浸し、さらに48時間乾燥させた。
【0306】
Escherichia coliの培養物は、試験生物の1つのコロニーを100mlのトリプティックソイブロス(TSB)に播種し、37°Cで一晩撹拌しながら(オービタルシェーカーで250rpm)インキュベートすることにより、試験の前日に調製した。
【0307】
試験日に、遠心分離により細胞をペレット化することにより細菌細胞を洗浄した。上清を捨て、ペレットを滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS;pH7.4)に再懸濁した。合計3回の洗浄工程を行った。
【0308】
クーポンには、約1.0×106コロニー形成単位(CFU)の洗浄したE.coli細胞を含む0.1mlの溶液を接種した。接種液は、滅菌ピペットチップを用いてクーポンの表面に播いた。試験ポリプロピレンクーポン(モリブデンを含む)とポリプロピレン対照クーポンの両方について、各曝露接触時間ごとにクーポンが重複して含まれた。
【0309】
クーポンを湿ったペーパータオルと共に密閉したタッパーウェア容器に入れ、乾燥を防ぐために室温(21.8℃)でインキュベートした。
【0310】
t=0時間で回収されたベースラインE.coli濃度を測定するために、接種直後に対照クーポンから重複した試料を採取した。クーポンは、細菌を回収するために滅菌綿スワブでサンプリングし、該スワブは、別個の1ml容量のDey-Engley(D/E)中和ブロスに入れた。試料を30秒間ボルテックスし、その後、スワブを取り出して廃棄した。次いで、試料は、PBS中で10倍段階希釈した。スプレッドプレート法を使用して、各種希釈液をエオシンメチレンブルー(EMB)寒天プレートに播種した。プレートを37℃で24時間インキュベートし、コロニーを数えた。
【0311】
他の全ての対照及び試験クーポンは、残りの実験の間、室温で保持された(21.8℃、相対湿度約95%)。t=4時間及び24時間の時点で、残りの対照及び試験クーポンの試料を重複してサンプリングし、前述の方法でEMBプレート上でアッセイした。
【0312】
コロニーを数え、クーポンごとに生存E.coli CFUのレベルを測定した。データは、式-log10(Nt/N0)を用いて対数減少として報告され、式中、N0は時間=0時間の回収したE.coliの濃度、Ntは時間=t(すなわち、4または24時間)に採取した試料中の生存E.coliの濃度である。減少率もまた計算した。
【0313】
スチューデントのt検定を使用して、試験クーポンで観察された減少と対照クーポンで観察された減少を統計的に比較した。得られたP値が0.05以下の場合、減少は統計的に有意であるとみなした。
【0314】
結果
接種液=2.12×106CFU/クーポン
【0315】
回収されたE.coli/クーポンの数:
対照ポリプロピレンA(0時間)=2.04×10CFU
対照ポリプロピレンB(0時間)=2.20×10CFU
対照ポリプロピレンA(4時間)=1.95×10CFU
対照ポリプロピレンB(4時間)=2.21×10CFU
対照ポリプロピレンA(24時間)=1.59×10CFU
対照ポリプロピレンB(24時間)=1.28×10CFU
モリブデンAを含む処理済ポリプロピレン(4時間)=1.50×10CFU
モリブデンBを含む処理済ポリプロピレン(4時間)=3.00×10CFU
モリブデンAを含む処理済ポリプロピレン(24時間)=6.00×10CFU
モリブデンBを含む処理済ポリプロピレン(24時間)=5.00×10CFU未満
対照ポリプロピレンクーポンから4時間後に回収されたE.coliの幾何平均数=2.07×10CFU/クーポン
対照ポリプロピレンクーポンから24時間後に回収されたE.coliの幾何平均数=1.42×10CFU/クーポン
5%のモリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンから4時間後に回収されたE.coliの幾何平均数=2.12×10CFU/クーポン
5%のモリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンから24時間後に回収されたE.coliの幾何平均数=1.73×10CFU/クーポン
4時間後の5%のモリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンにおけるE.coliの減少率=99.999%
24時間後の5%のモリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンにおけるE.coliの減少率=99.9992%超
【0316】
以下の表は、Escherichia coliに対する5%のモリブデンを含む処理済ポリプロピレンクーポンの抗菌効果を示す。実験は、21.2℃、相対湿度約95%で重複した試料を使用して実施した(接種直後に採取したt=0時間)。
【表16】
【0317】
考察
両方の曝露接触時間で、対照ポリプロピレンクーポンから回収されたE.coliの数にわずかな減少が観察された(平均0.13log10)。対照的に、5%のモリブデンを含む試験ポリプロピレンクーポンから回収されたE.coliの有意な減少が、4時間(平均5.00log10)及び24時間(平均5.09log10超)の曝露後の両方で観察された。これらの減少は、同時にサンプリングした対照ポリプロピレンクーポンと比較して、統計的に有意であった(それぞれ、P=0.0009及びP=0.012)。
【0318】
実施例17-Acinetobacter baumannii及びCandida albicansに対するリン酸緩衝生理食塩水に懸濁したモリブデン粉末の懸濁液Time-Kill試験
実施例17a-Acinetobacter baumanniiに対するリン酸緩衝生理食塩水に懸濁したモリブデン粉末の懸濁液Time-Kill試験
方法
1.Acinetobacter baumanniiの培養物は、試験生物の1つのコロニーを100mlのトリプティックソイブロス(TSB)に播種し、37°Cで一晩インキュベーションすることにより、試験の前日に調製した。
【0319】
試験日に、遠心分離により細胞をペレット化することにより細菌細胞を洗浄した。上清を捨て、ペレットを0.01Mのリン酸緩衝生理食塩水(PBS;pH7.4)に再懸濁した。合計3回の洗浄工程を行った。
【0320】
細胞懸濁液を、100mlの滅菌PBSで250mlのスクリューキャップエルレンマイヤーフラスコ中で希釈し、1mlあたり約1×10コロニー形成単位(CFU)の密度を得た。実験には6本のフラスコ(対照フラスコ3本、試験フラスコ3本)が含まれた。
【0321】
3本の対照フラスコから、播種/混合直後に試料を採取し、t=0時間でのベースライン細菌濃度を測定した。それぞれから0.1mlの容量を取り出し、別個の0.9ml容量のDey-Engley(D/E)中和ブロスに入れた。試料は、10秒間ボルテックスした後、PBS中で10倍段階希釈した。スプレッドプレート法を使用して、各種希釈液をトリプティックソイ寒天(TSA)プレートに播種した。プレートを37℃で24~48時間インキュベートし、コロニーを数えた。
【0322】
また、t=0の時点で、2gの純モリブデン粉末をそれぞれの試験フラスコに加え、溶液を十分に混合し、2%のMo溶液(wt/vol)を得た。6本のフラスコ全てを、室温20.8℃でオービタルシェーカー上に置いて撹拌した(250rpm)。
【0323】
全ての対照フラスコと試験フラスコは、t=3、6、及び24時間の時点で、前述した方法で採取され、前と同じようにTSAプレートでアッセイした。
【0324】
D/Eで抗菌液が十分に中和されていることを確認するため、中和検証試験を実施した。0.9mlのD/E中和ブロスに、0.1mlのPBS中2%モリブデン溶液を入れた。この溶液を混合した後、A.baumanniiを最終濃度約1.0×10CFU/mlになるように添加した。この溶液を再び混合し、その後、室温(20.8℃)で10分間静置した。中和した溶液の10倍段階希釈液を、前述のようにアッセイした。
【0325】
コロニーを数え、各フラスコ中の生存A.baumannii CFU/mlのレベルを測定した。データは、式-log10(N/N)を用いて対数減少として報告され、式中、Nは時間=0時間の生存A.baumanniiの濃度、Nは時間=t(例えば、3、6、または24時間)に採取した試料中のA.baumanniiの濃度とした。
【0326】
スチューデントのt検定を使用して、試験フラスコで観察された減少と対照フラスコで観察された減少を統計的に比較した(不等分散性を想定して)。得られたP値が0.05以下の場合、試験フラスコにおける減少は統計的に有意であるとみなした。
【0327】
結果
中和検証試験の結果は、D/E中和緩衝液が2%モリブデン溶液の抗菌効果を完全に中和できたことを示した。A.baumanniiを播種する前に10分間D/Eで中和した試料と、A.baumanniiを滅菌PBSに播種した対照試料との間に差は認められなかった。
【0328】
結果を以下の表に示す。全ての曝露接触時間において、対照フラスコから回収されたA.baumanniiの数にわずかな減少が観察された(平均0.55log10)。対照的に、2%モリブデン粉末を添加した試験フラスコからは、3、6、24時間の曝露後、A.baumanniiは回収されなかった。細菌数はアッセイの検出限界未満まで減少しており(5.0CFU/ml未満)、したがって、これらの減少は4.61log10超の減少(99.9975%超の減少)に相当し、同時にサンプリングした対照フラスコと比較して非常に統計的に有意であった(それぞれ、P=0.000013,P=0.00018,及びP=0.0011)。
【0329】
以下の表は、2%の純モリブデン(wt/vol)を含むリン酸緩衝生理食塩水中でのAcinetobacter baumanniiの3、6、及び24時間後、20.8℃での生存率を示す。


【表17】
【0330】
実施例17b-Candida albicansに対するリン酸緩衝生理食塩水に懸濁したモリブデン粉末の懸濁液Time-Kill試験
方法
Candida albicans(ATCC#10231)の培養物は、試験生物の1つのコロニーを100mlのトリプティックソイブロス(TSB)に播種し、37°Cで一晩インキュベーションすることにより、試験の前日に調製した。
【0331】
試験日に、遠心分離により細胞をペレット化することにより酵母細胞を洗浄した。上清を捨て、ペレットを0.01Mのリン酸緩衝生理食塩水(PBS;pH7.4)に再懸濁した。合計3回の洗浄工程を行った。
【0332】
細胞懸濁液を、100mlの滅菌PBSで250mlのスクリューキャップエルレンマイヤーフラスコ中で希釈し、1mlあたり約1×10コロニー形成単位(CFU)の密度を得た。実験には6本のフラスコ(対照フラスコ3本、試験フラスコ3本)が含まれた。試験フラスコには、2グラムの純モリブデン粉末(2%のMo wt/vol溶液)を含む100mlのPBSが含まれていた。6本のフラスコ全てを、室温21.9℃でオービタルシェーカー上に置いて撹拌した(200rpm)。
【0333】
3本の対照フラスコから、播種/混合直後に試料を採取し、t=0時間でのベースライン酵母濃度を測定した。それぞれから0.1mlの容量を取り出し、別個の0.9ml容量のDey-Engley(D/E)中和ブロスに入れた。試料は、10秒間ボルテックスした後、PBS中で10倍段階希釈した。スプレッドプレート法を使用して、各種希釈液をポテトデキストロース寒天(PDA)プレートに播種した。プレートを37℃で48時間インキュベートし、コロニーを数えた。
【0334】
全ての対照フラスコと試験フラスコは、t=3、6、及び24時間の時点で、前述した方法で採取され、前と同じようにPDAプレートでアッセイした。
【0335】
D/Eで抗菌液が十分に中和されていることを確認するため、中和検証試験を実施した。0.9mlのD/E中和ブロスに、0.1mlのPBS中2%モリブデン溶液を入れた。この溶液を混合した後、C.albicansを最終濃度約1.0×10CFU/mlになるように添加した。この溶液を再び混合し、その後、室温(21.9℃)で10分間静置した。中和した溶液の10倍段階希釈液を、前述のようにアッセイした。溶液が完全に中和されていれば、PBSのみの対照と比較して、C.albicans数の減少はないものと予想された。
【0336】
コロニーを数え、各フラスコ中の生存C.albicans CFU/mlのレベルを測定した。データは、式-log10(N/N)を用いて対数減少として報告され、式中、Nは時間=0時間の生存C.albicansの濃度、Nは時間=t(すなわち、3、6、または24時間)に採取した試料中のC.albicansの濃度とした。
【0337】
スチューデントのt検定を使用して、試験フラスコで観察された減少と対照フラスコで観察された減少を統計的に比較した。得られたP値が0.05以下の場合、試験フラスコにおける減少は統計的に有意であるとみなした。
【0338】
結果
中和検証試験の結果は、D/E中和緩衝液が2%モリブデン溶液の抗菌効果を完全に中和できたことを示した。C.albicansを播種する前に10分間D/Eで中和した試料と、C.albicansを滅菌PBSに播種した対照試料との間に差は認められなかった。したがって、その後の曝露試験中に観察された減少は正確であると見なされ得る。
【0339】
結果を以下の表に示す。全ての曝露接触時間において、対照フラスコから回収されたC.albicansの数にわずかな減少が観察された(平均0.09log10)。対照的に、2%モリブデン粉末を添加した試験フラスコからは、3、6、24時間の曝露後、C.albicansは回収されなかった。酵母数はアッセイの検出限界未満まで減少しており(5.0CFU/ml未満)、したがって、これらの減少は4.15log10超の減少(99.993%超の減少)に相当し、同時にサンプリングした対照フラスコと比較して非常に統計的に有意であった(それぞれ、P=6.4×10-8,P=7.0×10-8,及びP=1.1×10-7)。
【0340】
以下の表は、2%の純モリブデン(wt/vol)を含むリン酸緩衝生理食塩水中でのCandida albicans(ATCC#10231)の3、6、及び24時間後、21.9℃での生存率を示す。
【表18】
【0341】
実施例18-X線回折分析レポート
目的
本実施例は、過酸化水素(上記の実施例で本明細書に報告したもの)を用いて活性化されたモリブデンの試料に存在する特定の結晶相を測定するためのX線回折(XRD)分析を提供する。
【0342】
結果
試料をバルク試料ホルダーに入れ、スライドガラスで平らに押さえた後、分析に供した。XRDデータは、銅X線管、Niベータフィルター、パラフォーカス光学系、コンピュータ制御スリット、及びD/tex Ultra 1Dストリップ検出器を備えたRigaku Ultima-III回折計でのθ:2θ結合スキャンによって収集した。
【0343】
図7は、バックグラウンド減算した実験データをICDD/ICSD回折データベースと比較して得られた試料の位相同定結果を示す。強度は、弱いピークを強調するために平方根(カウント数)を使用してプロットされた。単斜晶系の酸化モリブデン水素(hydrogen molybdenum oxide)水和物(HMoO.HO)が、微量の酸化モリブデン水素(H1.67MoO)を含む試料で観察された主相であることがわかった。
【0344】
半定量分析は、バックグラウンド曲線より上の全ての強度を考慮するリートベルト精密化法のサブセットであるWPF(つまり、全パターンフィッティング)を用いて行った。この手法では、同定された全ての相について、構造因子及び原子位置、または参照強度比(異なる相の回折力を比較する方法)のいずれかが既知である必要がある。今回の場合、異なる結晶構造からの相対的な回折強度を考慮するために必要である参照強度比(RIR)が主相で得られていないことと、17度付近のピークが未同定のままであるため、XRDによる定量分析は試みられていない。

図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分を含む抗病原体固体組成物であって、前記活性成分が少なくとも1つの活性化金属の粒子を含む、前記抗病原体固体組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの活性化金属が遷移金属または遷移金属酸化物である、請求項1に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの活性化金属が、Mo、Zn、Cu、Au、Ag、またはそれらの酸化物から選択される、請求項1または2に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの活性化金属が、Mo、Mo(IV)、Mo(V)、またはMo(VI)、またはそれらの酸化物である、請求項3に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの活性化金属が、Mo、MoO、MoO、MoO、Mo、HMoO、Zn、ZnO、Cu、CuO、CuO、Au、AuO、Au、Ag、及びAgOから選択される、請求項3に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの活性化金属が、Mo、MoO、MoO、HMoO、またはMoである、請求項5に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの活性化金属が、立方晶、球状、単斜晶、六方晶、直方晶、正方晶、三斜晶、または菱面体晶の結晶構造を有する、Moまたはその酸化物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項8】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約99重量%の前記活性成分を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項9】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約50重量%の前記活性成分を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項10】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約15重量%の前記活性成分を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項11】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約5重量%の前記活性成分を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項12】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約3重量%の前記活性成分を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項13】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約2重量%の前記活性成分を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項14】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約1重量%の前記活性成分を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約1μm~約1000μmのサイズを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約10μm~約85μmのサイズを有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約10μm~約50μmのサイズを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約20μm~約50μmのサイズを有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約30μm~約50μmのサイズを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約40μm~約50μmのサイズを有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約40μm~約45μmのサイズを有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項22】
第2の金属または金属酸化物をさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項23】
前記第2の金属が、Ni、Zn、Mn、Au、Ag、Cu、及びPd、またはそれらの酸化物から選択される、請求項22に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項24】
前記第2の金属が、ZnまたはZnOから選択される、請求項22または23に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項25】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約99重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項26】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約75重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項27】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約50重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~26のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項28】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約15重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~27のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項29】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約5重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~28のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項30】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約3重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~29のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項31】
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約1重量%の前記第2の金属を含む、請求項22~30のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項32】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項33】
前記抗酸化剤が、ペンタエリトリトールテトラキス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート(Irganox(登録商標)1010)及びトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Irgafos(登録商標)168)である、請求項32に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項34】
前記抗病原体固体組成物が、ポリマー、バイオポリマー、プラスチック、セラミック、ゴム、塗料、軟膏、ガラス、シリコーン、紙、布、金属、及びそれらの組み合わせから選択される材料であるか、またはそれらを含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項35】
前記抗病原体固体組成物が、ポリマーであるか、またはそれを含む、請求項34に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項36】
前記ポリマーが、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項35に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項37】
前記ポリマーがポリプロピレンである、請求項35または36に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項38】
前記抗病原体固体組成物が、表面を覆うように柔軟に形成される、請求項1~37のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項39】
前記材料が金属(例えば、ステンレス鋼)である、請求項34に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項40】
前記材料がステンレス鋼であるか、またはそれを含む、請求項39に記載の抗病原体固体組成物。
【請求項41】
活性化遷移金属または遷移金属酸化物の粒子を含む約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、
約1重量%~約99.99重量%のポリマーと、を含む、抗病原体組成物。
【請求項42】
活性化遷移金属または遷移金属酸化物の粒子を含む約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、
約1重量%~約99.99重量%のステンレス鋼と、を含む、抗病原体組成物。
【請求項43】
活性成分の粒子及び水または生理食塩水を含む抗病原体懸濁液であって、前記活性成分が少なくとも1つの活性化金属の粒子を含む、前記抗病原体懸濁液。
【請求項44】
前記懸濁液のpHが約5.5以下である、請求項43に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項45】
前記懸濁液のpHが約4.0以下である、請求項44に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項46】
前記懸濁液のpHが約2.0以下である、請求項45に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項47】
前記懸濁液のpHが約1.5以下である、請求項46に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項48】
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100~約1:1である、請求項43~47のいずれか一項に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項49】
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100~約1:25である、請求項48に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項50】
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100~約1:50である、請求項49に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項51】
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100~約1:75である、請求項50に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項52】
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100である、請求項51に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項53】
前記懸濁液が、ローション、軟膏、ゲル、ペースト、またはクリームである、請求項43~52のいずれか一項に記載の抗病原体懸濁液。
【請求項54】
表面上の病原体を中和する方法において使用するための請求項43~53のいずれか一項に記載の抗病原体懸濁液であって、前記方法は、前記表面を前記抗病原体懸濁液と接触させるステップを含む、抗病原体懸濁液
【請求項55】
前記表面がヒトの皮膚である、請求項54に記載の抗病原体懸濁液
【請求項56】
前記病原体が、グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌、ウイルス、及び藻類から選択される、請求項54または55に記載の抗病原体懸濁液
【請求項57】
前記病原体が、micrococcus、staphylococcus、bacillus、pseudomonas、legionella、salmonella、listeria、clostridium perfringens、Acinetobacter baumannii、Escherichia coli、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザ、呼吸器多核体ウイルス、及びエンテロウイルスから選択される、請求項54~56のいずれか一項に記載の抗病原体懸濁液
【請求項58】
活性成分を含む透水性ポーチであって、前記活性成分が活性化金属の粒子であるか、またはそれを含む、前記透水性ポーチ。
【請求項59】
pH指示薬をさらに含む、請求項58に記載の透水性ポーチ。
【請求項60】
水試料中の病原体を中和するための方法であって、前記水試料中の前記病原体を中和するのに十分な時間、前記水試料を請求項58または59に記載の透水性ポーチと接触させるステップを含む、前記方法。
【請求項61】
前記水試料をZnOと接触させてpHを中和することをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
活性成分の粒子及び水または生理食塩水を含む抗病原体液体組成物であって、前記活性成分が少なくとも1つの活性化金属を含む、前記抗病原体液体組成物。
【請求項63】
前記液体組成物のpHが約5.5以下である、請求項62に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項64】
前記液体組成物のpHが約4.0以下である、請求項63に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項65】
前記液体組成物のpHが約2.0以下である、請求項64に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項66】
前記液体組成物のpHが約1.5以下である、請求項65に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項67】
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:1である、請求項62~66のいずれか一項に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項68】
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:25である、請求項67に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項69】
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:50である、請求項68に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項70】
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:75である、請求項69に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項71】
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100である、請求項70に記載の抗病原体液体組成物。
【請求項72】
請求項62~70のいずれか一項に記載の抗病原体液体組成物で処理した布。

【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示は、活性成分がまた、溶液に懸濁され、水、例えば飲料水を滅菌するために使用され得る、またはヒトの皮膚上の病原体の中和における使用(すなわち、手指消毒剤)のために、軟膏、クリーム、ローションなどにさらに組み込まれ得るという洞察をさらに包含している。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
活性成分を含む抗病原体固体組成物であって、前記活性成分が少なくとも1つの活性化金属の粒子を含む、前記抗病原体固体組成物。
(項目2)
前記少なくとも1つの活性化金属が遷移金属または遷移金属酸化物である、項目1に記載の抗病原体固体組成物。
(項目3)
前記少なくとも1つの活性化金属が、Mo、Zn、Cu、Au、Ag、またはそれらの酸化物から選択される、項目1または2に記載の抗病原体固体組成物。
(項目4)
前記少なくとも1つの活性化金属が、Mo、Mo(IV)、Mo(V)、またはMo(VI)、またはそれらの酸化物である、項目3に記載の抗病原体固体組成物。
(項目5)
前記少なくとも1つの活性化金属が、Mo、MoO 、MoO 、MoO 、Mo 、H MoO 、Zn、ZnO、Cu、Cu O、CuO、Au、AuO、Au 、Ag、及びAg Oから選択される、項目3に記載の抗病原体固体組成物。
(項目6)
前記少なくとも1つの活性化金属が、Mo、MoO 、MoO 、H MoO 、またはMo である、項目5に記載の抗病原体固体組成物。
(項目7)
前記少なくとも1つの活性化金属が、立方晶、球状、単斜晶、六方晶、直方晶、正方晶、三斜晶、または菱面体晶の結晶構造を有する、Moまたはその酸化物である、項目1~3のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目8)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約99重量%の前記活性成分を含む、項目1~7のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目9)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約50重量%の前記活性成分を含む、項目1~8のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目10)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約15重量%の前記活性成分を含む、項目1~9のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目11)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約5重量%の前記活性成分を含む、項目1~10のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目12)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約3重量%の前記活性成分を含む、項目1~11のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目13)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約2重量%の前記活性成分を含む、項目1~12のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目14)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約1重量%の前記活性成分を含む、項目1~13のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目15)
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約1μm~約1000μmのサイズを有する、項目1~14のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目16)
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約10μm~約85μmのサイズを有する、項目1~15のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目17)
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約10μm~約50μmのサイズを有する、項目1~16のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目18)
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約20μm~約50μmのサイズを有する、項目1~17のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目19)
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約30μm~約50μmのサイズを有する、項目1~18のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目20)
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約40μm~約50μmのサイズを有する、項目1~19のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目21)
前記少なくとも1つの活性金属の粒子が、約40μm~約45μmのサイズを有する、項目1~20のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目22)
第2の金属または金属酸化物をさらに含む、項目1~21のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目23)
前記第2の金属が、Ni、Zn、Mn、Au、Ag、Cu、及びPd、またはそれらの酸化物から選択される、項目22に記載の抗病原体固体組成物。
(項目24)
前記第2の金属が、ZnまたはZnOから選択される、項目22または23に記載の抗病原体固体組成物。
(項目25)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約99重量%の前記第2の金属を含む、項目22~24のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目26)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約75重量%の前記第2の金属を含む、項目22~25のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目27)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約50重量%の前記第2の金属を含む、項目22~26のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目28)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約15重量%の前記第2の金属を含む、項目22~27のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目29)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約5重量%の前記第2の金属を含む、項目22~28のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目30)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約3重量%の前記第2の金属を含む、項目22~29のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目31)
前記抗病原体固体組成物が、約0.1重量%~約1重量%の前記第2の金属を含む、項目22~30のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目32)
抗酸化剤をさらに含む、項目1~31のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目33)
前記抗酸化剤が、ペンタエリトリトールテトラキス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート(Irganox(登録商標)1010)及びトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Irgafos(登録商標)168)である、項目32に記載の抗病原体固体組成物。
(項目34)
前記抗病原体固体組成物が、ポリマー、バイオポリマー、プラスチック、セラミック、ゴム、塗料、軟膏、ガラス、シリコーン、紙、布、金属、及びそれらの組み合わせから選択される材料であるか、またはそれらを含む、項目1~33のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目35)
前記抗病原体固体組成物が、ポリマーであるか、またはそれを含む、項目34に記載の抗病原体固体組成物。
(項目36)
前記ポリマーが、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、及びそれらの組み合わせから選択される、項目35に記載の抗病原体固体組成物。
(項目37)
前記ポリマーがポリプロピレンである、項目35または36に記載の抗病原体固体組成物。
(項目38)
前記抗病原体固体組成物が、表面を覆うように柔軟に形成される、項目1~37のいずれか一項に記載の抗病原体固体組成物。
(項目39)
前記材料が金属(例えば、ステンレス鋼)である、項目34に記載の抗病原体固体組成物。
(項目40)
前記材料がステンレス鋼であるか、またはそれを含む、項目39に記載の抗病原体固体組成物。
(項目41)
活性化遷移金属または遷移金属酸化物の粒子を含む約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、
約1重量%~約99.99重量%のポリマーと、を含む、抗病原体組成物。
(項目42)
活性化遷移金属または遷移金属酸化物の粒子を含む約0.01重量%~約5重量%の活性成分と、
約1重量%~約99.99重量%のステンレス鋼と、を含む、抗病原体組成物。
(項目43)
活性成分の粒子及び水または生理食塩水を含む抗病原体懸濁液であって、前記活性成分が少なくとも1つの活性化金属の粒子を含む、前記抗病原体懸濁液。
(項目44)
前記懸濁液のpHが約5.5以下である、項目43に記載の抗病原体懸濁液。
(項目45)
前記懸濁液のpHが約4.0以下である、項目44に記載の抗病原体懸濁液。
(項目46)
前記懸濁液のpHが約2.0以下である、項目45に記載の抗病原体懸濁液。
(項目47)
前記懸濁液のpHが約1.5以下である、項目46に記載の抗病原体懸濁液。
(項目48)
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100~約1:1である、項目43~47のいずれか一項に記載の抗病原体懸濁液。
(項目49)
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100~約1:25である、項目48に記載の抗病原体懸濁液。
(項目50)
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100~約1:50である、項目49に記載の抗病原体懸濁液。
(項目51)
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100~約1:75である、項目50に記載の抗病原体懸濁液。
(項目52)
前記活性化金属と前記生理食塩水との重量比が約1:100である、項目51に記載の抗病原体懸濁液。
(項目53)
前記懸濁液が、ローション、軟膏、ゲル、ペースト、またはクリームである、項目43~52のいずれか一項に記載の抗病原体懸濁液。
(項目54)
表面上の病原体を中和するための方法であって、前記表面を項目43~53のいずれか一項に記載の抗病原体懸濁液と接触させるステップを含む、前記方法。
(項目55)
前記表面がヒトの皮膚である、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記病原体が、グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌、ウイルス、及び藻類から選択される、項目54または55に記載の方法。
(項目57)
前記病原体が、micrococcus、staphylococcus、bacillus、pseudomonas、legionella、salmonella、listeria、clostridium perfringens、Acinetobacter baumannii、Escherichia coli、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザ、呼吸器多核体ウイルス、及びエンテロウイルスから選択される、項目54~56のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
活性成分を含む透水性ポーチであって、前記活性成分が活性化金属の粒子であるか、またはそれを含む、前記透水性ポーチ。
(項目59)
pH指示薬をさらに含む、項目58に記載の透水性ポーチ。
(項目60)
水試料中の病原体を中和するための方法であって、前記水試料中の前記病原体を中和するのに十分な時間、前記水試料を項目58または59に記載の透水性ポーチと接触させるステップを含む、前記方法。
(項目61)
前記水試料をZnOと接触させてpHを中和することをさらに含む、項目60に記載の方法。
(項目62)
活性成分の粒子及び水または生理食塩水を含む抗病原体液体組成物であって、前記活性成分が少なくとも1つの活性化金属を含む、前記抗病原体液体組成物。
(項目63)
前記液体組成物のpHが約5.5以下である、項目62に記載の抗病原体液体組成物。
(項目64)
前記液体組成物のpHが約4.0以下である、項目63に記載の抗病原体液体組成物。
(項目65)
前記液体組成物のpHが約2.0以下である、項目64に記載の抗病原体液体組成物。
(項目66)
前記液体組成物のpHが約1.5以下である、項目65に記載の抗病原体液体組成物。
(項目67)
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:1である、項目62~66のいずれか一項に記載の抗病原体液体組成物。
(項目68)
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:25である、項目67に記載の抗病原体液体組成物。
(項目69)
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:50である、項目68に記載の抗病原体液体組成物。
(項目70)
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100~約1:75である、項目69に記載の抗病原体液体組成物。
(項目71)
前記活性化金属と前記水または生理食塩水との重量比が約1:100である、項目70に記載の抗病原体液体組成物。
(項目72)
項目62~70のいずれか一項に記載の抗病原体液体組成物で処理した布。


【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2E
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2E
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5A
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5A
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5B
【国際調査報告】