(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】冷却手段を備えた、サーフボードまたはパドルボードのような船舶用の電動駆動システム
(51)【国際特許分類】
B63B 32/10 20200101AFI20221027BHJP
【FI】
B63B32/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512805
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020074072
(87)【国際公開番号】W WO2021038037
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520303025
【氏名又は名称】モーション コンセプト グループ
【氏名又は名称原語表記】MOTION CONCEPT GROUP
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ケンデ,ニコラス
(57)【要約】
本発明は、ユーザを水上で搬送することを意図された電動補助付き船舶用の動力化システムに関し、本発明は、特に、サーフボード、パドルボード、またはウィンドサーフィン用ボードの分野、並びにカヤックまたはカヌーの分野で使用される。電動化システムは、電気エネルギー源に接続されるように構成され、一方では、船体内または船体上に組み込まれるように意図された水密エンクロージャ(1)を備え、エンクロージャ(1)内には、ロータ(2)およびステータ(3、7)が配置され、他方では、第1の端部においてロータ(2)に接続され、第1の端部と反対側の第2の端部によってエンクロージャ(1)の外側に水密状態で突出するシャフト(4)を備える。シャフト(4)は、その第2の端部においてプロペラなどの船舶の推進手段に接続することができ、システムに電気エネルギーが供給されると、ロータ(2)が回転し、シャフト(4)をこの回転で駆動させる。システムはまた、冷却手段(5)を備え、冷却手段(5)自体は、少なくとも部分的に金属製の少なくとも1つの第1の細長いアセンブリ(5)を備え、その第1の端部は、エンクロージャ(1)の内部に配置され、細長いアセンブリ(5)は、第1の端部とは反対側の第2の端部においてエンクロージャ(1)の外側に水密状態で突出し、第1の細長いアセンブリ(5)に沿ってエンクロージャ(1)の内部から外部への熱の伝導を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー源に接続されるように構成された、サーフボードまたはパドルボードなどの、船舶(30)用の電動化システムであって、
該システムは、船舶(30)内またはその上に一体化されるように意図された水密エンクロージャ(1)を備え、該エンクロージャ(1)内には、ロータ(2)およびステータ(3、7)、および、第1の端部によって前記ロータ(2)に接続され前記第1の端部の反対側の第2の端部によって前記エンクロージャ(1)の外側に水密状態で突出するシャフト(4)が配置され、該シャフト(4)は、その第2の端部によってプロペラなどの船舶(30)の推進手段(20)に接続されるように適合され、前記システムに電気エネルギーが供給されると、前記ロータ(2)が回転し始めて前記シャフト(4)をこの回転で駆動させ、前記システムはさらに冷却手段(5、6)を備え、
前記冷却手段(5、6)は、少なくとも部分的に金属製の少なくとも1つの第1の細長いアセンブリ(5)を備え、該第1の細長いアセンブリの第1の端部は、前記エンクロージャ(1)の内側に配置され、前記細長いアセンブリ(5)は、第1の端部とは反対側の第2の端部により前記エンクロージャ(1)の外側に水密状態で突出し、前記第1の細長いアセンブリ(5)に沿って前記エンクロージャ(1)の内側から外側への熱の伝導を可能にする、
ことを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記第1の細長いアセンブリ(5)の第1の端部が、前記ステータ(3、7)に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ステータ(3、7)が、固定プレート(7)などの少なくとも1つの固定要素(7)を備え、前記第1の細長いアセンブリ(5)の第1の端部が、前記固定要素(7)に連結されることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の細長いアセンブリ(5)が、前記ステータ(3、7)の少なくとも一部と一体に形成されたロッド(5)などの少なくとも1つの第1の部分を備えることを特徴とする、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の細長いアセンブリ(5)が、前記ステータ(3、7)に設けられたハウジング内に圧入されたロッド(5)などの少なくとも1つの第1の部分を含み、前記ハウジングが、熱伝導性シリコーンなどのペースト状の熱伝導性材料を含むことを特徴とする、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の細長いアセンブリ(5)の少なくとも前記第1の部分が、実質的に円形の断面を有するロッドであることを特徴とする、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の細長いアセンブリ(5)が、Oリング(13)によって前記エンクロージャ(1)から水密状態で突出する円形断面のロッド(5)であることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムの動作および電力供給を制御するように構成され、前記ステータ(3、7)に固定された電子制御ユニット(10)をさらに備え、前記制御ユニット(10)と前記第1の細長いアセンブリ(5)との間に熱経路を形成して、前記制御ユニット(10)によって放出された熱を、前記熱経路および第1の細長いアセンブリ(5)に沿って前記エンクロージャ(1)の外側に伝導することを可能にすることを特徴とする、請求項2~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記エンクロージャ(1)の内部に配置され、前記システムの動作および電力供給を制御するように構成された電子制御ユニット(10)をさらに備え、前記冷却手段(5、6)が、第1の端部によって前記制御ユニット(10)に固定されかつ前記第1の端部の反対側の第2の端部によって前記エンクロージャ(1)の外側に水密状態で突出する少なくとも部分的に金属製の少なくとも1つの第2の細長いアセンブリ(6)を備え、前記制御ユニット(10)からの熱を、前記第2の細長いアセンブリ(6)に沿って前記エンクロージャ(1)の外側に伝導することを可能にすることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の細長いアセンブリ(6)の少なくとも一部が、実質的に円形の断面を有するロッドであることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の細長いアセンブリ(6)が、Oリング(16)によって前記エンクロージャ(1)から水密状態で突出する円形断面のロッド(6)であることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1および/または第2の細長いアセンブリ(5、6)の第2の端部が、間隔を空けてそれぞれ前記第1、第2の細長いアセンブリ(5、6)の軸に平行に形成されたスラット(8、9)を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ロータ(2)が回転ケージ(2)を備え、前記ステータ(3、7)が前記ケージ(2)の内部に配置された固定コア(3)を備えることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
電気補助付きのサーフボードまたはパドルボードなどの船舶(30)であって、該船舶(30)を水上または水中で前進させることができる推進手段(20)、および電気エネルギー源を備え、
請求項1~13のいずれか一項に記載の電動化システムをさらに備え、前記水密エンクロージャ(1)が、前記船舶(30)の上または中に一体化されており、前記シャフト(4)が、その第2の端部によって前記推進手段(20)に接続され、電気電源から前記電動化システムに電気エネルギーが供給されると、前記推進手段(20)の駆動、および前記第1の細長いアセンブリ(5)の第2の端部と周囲水との間の熱交換による前記電動化システムの冷却が可能となる、
船舶(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザを水上で搬送することを意図された電動補助付き船舶のための動力化システムに関する。サーフボード、パドルボード、またはウィンドサーフィン用ボードの分野、並びにカヤックまたはカヌーの分野で特に用途を見出す。
【背景技術】
【0002】
例として、サーフボードは、波によってもたらされる推進作用の下で、水上でユーザを滑らせることを目的とする。概して、ユーザが位置する所定の領域で波がない場合、ボード上に横たわっているユーザは、腕を使って、波が形成されるまたは形成されている領域にボードが到達するのに必要な推進力を提供する。
【0003】
別の例はパドルボードであり、これは、パドルを装着したユーザの推進作用下で、水上でユーザを滑らせることを目的とする。サーフボードの場合と同様に、パドルボードもまた、波によってもたらされる推進作用の下で、水上でユーザを滑らせることができる。
【0004】
ユーザが自分自身で直接あるいは1つ以上のパドルまたはオールのような手段によって提供する機械的推進作用によって、および/または、風または波のような環境により提供される推進作用によって、ユーザが水上を航行することを可能にする、船舶の他の例が存在する。
【0005】
これらの船舶の使用を容易にするために、特にユーザまたは環境によって提供される機械的推進作用が十分でない場所または時における推進を容易にするために、これらの船舶に、電気補助装置、すなわち、プロペラなどの機械的推進手段を駆動する電動化システムを取り付けることが可能である。
【0006】
一般に、プロペラによる海洋推進は、プロペラのキャビテーション現象を回避するために、プロペラを比較的低い速度で回転させることを必要とする。
【0007】
従来、プロペラを回転させるために、2つのタイプの電気モータを使用することが可能である:内側コアが固定外側ケージ内で回転する「インランナー」タイプのモータ、および外側ケージが固定内側コアの周りを回転する「アウトランナー」タイプまたは回転ケージタイプのモータ。
【0008】
「インランナー」タイプのモータは、外側部分が固定されているので、比較的容易に冷却することができ、この目的のために設けられた冷却システムと接触させることができる。しかしながら、これらのモータは、一般に非常に急速に回転し、したがって、上述のキャビテーション現象を回避するために減速機の使用を必要とする。これは、効率の損失および機械的複雑性の増加をもたらし、対応してメンテナンスおよびコストが増加する。
【0009】
「アウトランナー」タイプのモータは、所与の外径で、「インランナー」タイプのモータよりも遅く回転し、したがって、前の段落で説明したような減速機の使用に関連する複雑性なしにキャビテーション現象を制限する。実際に、「アウトランナー」タイプのモータでは、中央の固定ステータのコイルと外側で回転するロータの磁石との間の相互作用直径を最大化することができる。したがって、水密密閉エンクロージャ内での「アウトランナー」タイプのモータの使用は、減速機を使用することなくよりゆっくりと回転するプロペラを得ることを可能にする。しかしながら、「インランナー」タイプのモータとは異なり、これらの「アウトランナー」タイプのモータは、外側部分が回転するので冷却が困難であり、したがって冷壁などの従来の冷却システムと接触させることができない。
【0010】
モータの固定部分内の水循環の使用など、「アウトランナー」タイプのモータを冷却するための従来の解決策は、満足のいくものではない。実際、それらは、モータ内部のパイプ、水の入口および出口の存在を必要とし、これは実施が複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的の1つは、特に上述の問題を解決することである。したがって、本発明の目的は、特に、電気エネルギー源に接続されるように構成された、サーフボードまたはパドルボードなどの、船舶用の電動化システムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このシステムは、船体内または船体上に組み込まれるように意図された水密エンクロージャを備え、エンクロージャ内には、ロータおよびステータ、および、第1の端部によってロータに接続され第1の端部の反対側の第2の端部によってエンクロージャの外側に水密状態で突出するシャフトが配置される。
【0013】
シャフトは、その第2の端部によってプロペラなどの船舶の推進手段に接続されるように適合され、システムに電気エネルギーが供給されると、ロータが回転し始めてシャフトをこの回転で駆動させる。
【0014】
システムは、冷却手段をさらに備える。これらの冷却手段は、少なくとも部分的に金属製の少なくとも1つの第1の細長いアセンブリを備え、第1の細長いアセンブリの第1の端部は、エンクロージャの内側に配置される。この細長いアセンブリは、第1の端部とは反対側の第2の端部によりエンクロージャの外側に水密状態で突出し、第1の細長いアセンブリに沿ってエンクロージャの内側から外側への熱の伝導を可能にする。
【0015】
特定の実施形態によれば、システムはまた、以下の特徴のうちの1つまたは複数を、単独で、またはすべての技術的に可能な組合せで備える:
-第1の細長いアセンブリの第1の端部は、ステータに固定される;
-ステータは、固定プレートなどの少なくとも1つの固定要素を備え、第1の細長いアセンブリの第1の端部は、前記固定要素に接続される;
-第1の細長いアセンブリは、ステータの少なくとも一部と一体的に形成された、ロッドなどの少なくとも1つの第1の部分を備える;
-第1の細長いアセンブリは、ステータに設けられたハウジング内に圧入された、ロッドなどの少なくとも1つの第1の部分を備え、ハウジングは、熱伝導性シリコーンなどのペースト状の熱伝導性材料を備える;
-第1の細長いアセンブリの少なくとも第1の部分は、実質的に円形の断面を有するロッドである;
-第1の細長いアセンブリは、Oリングによって水密状態でエンクロージャから突出する円形断面を有するロッドである;
-システムは、前記システムの動作および電力供給を制御するように構成され、ステータに固定された電子制御ユニットを備え、制御ユニットと第1の細長いアセンブリとの間に熱経路を形成して、制御ユニットによって放出された熱を、前記熱経路および第1の細長いアセンブリに沿ってエンクロージャの外側に伝導することを可能にする;
-システムは、エンクロージャの内部に配置され、システムの動作および電力供給を制御するように構成された電子制御ユニットを備え、冷却手段は、第1の端部によって制御ユニットに固定されかつ第1の端部の反対側の第2の端部によってエンクロージャの外側に水密状態で突出する少なくとも部分的に金属製の少なくとも1つの第2の細長いアセンブリを備え、制御ユニットからの熱を、第2の細長いアセンブリに沿ってエンクロージャの外側に伝導することを可能にする;
-第2の細長いアセンブリの少なくとも一部は、実質的に円形の断面を有するロッドである;
-第2の細長いアセンブリは、Oリングによって水密状態でエンクロージャから突出する円形断面を有するロッドである;
-第1および/または第2の細長いアセンブリの第2の端部は、間隔を空けてそれぞれ第1および第2の細長いアセンブリの軸に平行に形成されたスラット(slat)を有する;
-ロータは回転ケージを備え、ステータはケージの内部に配置された固定コアを備える。
【0016】
第2の態様によれば、本発明はまた、電気補助付きの、サーフボードまたはパドルボードなどの船舶であって、船舶が水上または水中を進行することを可能にする推進手段、および電気エネルギー源を備える、船舶に関する。
【0017】
船舶はさらに、上述の電動化システムを備え、電動化システムの水密エンクロージャは、船舶上または船舶内に一体化され、そのシャフトは、第2の端部によって推進手段に接続されて、電源によって電動化システムに電気エネルギーが供給される際の推進手段の駆動、および第1の細長いアセンブリの第2の端部と周囲水との間の熱交換による電動化システムの冷却が可能となる。
【0018】
したがって、本発明の動力化システムは、減速装置のような特別なメンテナンスを必要とする複雑で高価な機械部品や、やはり高価で特別なメンテナンスを必要とする複雑な冷却手段を推進力が必要としない、電動補助付き船舶を得ることができる。
【0019】
実際、本発明のシステムでは、熱は、細長いアセンブリによってガイドされる熱経路に沿って排出される。この熱経路は、モータの水密エンクロージャの内側から外側に通じ、そこで熱は周囲水中に放出される。
【0020】
本発明の特徴および利点は、添付の図面を参照して、単に例として与えられ、非限定的である以下の説明を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】水密エンクロージャの外側の本発明によるシステムの第1の実施例の概略図
【
図2】水密エンクロージャ内に組み込まれ船舶の推進手段に接続される、長手方向断面における
図1の実施例の概略図
【
図3】水密エンクロージャ内に組み込まれ船舶の推進手段に接続される、
図1の実施例の概略斜視図
【
図4】
図1のシステムを組み込んだ、本発明による船舶の実施例の概略図
【
図5】水密エンクロージャ内に組み込まれ船舶の推進手段に接続される、長手方向断面における本発明によるシステムの第2の実施例の概略図
【発明を実施するための形態】
【0022】
全ての図、特に
図3、
図4、および
図6を参照すると、船舶30用の電動化システムは、同様に船舶30の上または内部に配置されたバッテリなどの電気エネルギー源(図示せず)に接続されるように構成される。
【0023】
このシステムは、
図4の実施例から分かるように、電気補助付き船舶30の上または内部に組み込まれるように意図された水密エンクロージャ1を備える。この実施例では、船舶30はサーフボードまたはパドルボードタイプである。
【0024】
船舶30は、後述する動力化システムのシャフト4の一端に連結された、プロペラ20などの水中の移動を可能にすることを意図された推進手段20を備え、ピン4の他端は、エンクロージャ1の内部に配置され、したがって、
図4では見えない。船舶30はまた、図示されていない上述の電気エネルギー源を備える。
【0025】
動力化システムの冷却手段の第1の細長いアセンブリ5、および場合によっては
図6の実施例では第2の細長いアセンブリ6(これも詳細に後述する)は、エンクロージャ1からその端部の一方により突出しており、その他端は、エンクロージャ1の内部に配置され、したがって
図3、4および6では見えない。
【0026】
動力化システム全体は、船舶30に組み込まれており、その結果、エンクロージャ1から突出している第1の細長いアセンブリ5(および場合によっては第2の細長いアセンブリ6)のこの端部は、船舶が水中または水上にあるとき、周囲水中に位置する。
【0027】
したがって、電気エネルギー源によって動力化システムに電気エネルギーが供給されると、推進手段20は、シャフト4によって駆動され、動力化システムは、エンクロージャ1から突出する第1の細長いアセンブリ5(および場合によっては第2の細長いアセンブリ6)の端部と周囲水との間の熱交換によって冷却され得る。
【0028】
図4、
図5、および
図6の実施例では、エンクロージャ1は、特に壁15によって閉鎖され、壁15を通って、シャフト4および第1の細長いアセンブリ5(および場合によっては第2の細長いアセンブリ6)が、水密状態で突出し、この壁15を越えて伸長してタービンを形成し、タービンの内部で推進手段20が保護されかつ動作移動する。
【0029】
この壁15は、シャフト4および船舶30の長手軸に対して傾斜し、推進手段20の流体力学および性能に有害となりうる、船舶30の主表面に対する表面破裂を生じさせない。
【0030】
図3、
図4、および
図6の実施例では、エンクロージャ1から突出する第1の細長いアセンブリ5(および場合によっては第2の細長いアセンブリ6)の端部は、壁15の表面と同一平面上にある。所望の冷却効果を得るためには、より大きな突出が必ずしも必要ではなく、ここでも推進手段20の流体力学および性能を損なう可能性がある。また、この壁15が上述したように傾斜しているとき、エンクロージャ1から突出する第1の細長いアセンブリ5(および場合によっては第2の細長いアセンブリ6)の端部は、この端部が壁15の傾斜面に追従するように面取りされてもよい。
【0031】
変形実施形態では、エンクロージャ1のタービン部分は全く単純に存在せず、シャフト4の部分はエンクロージャ1から突出し、推進手段20は、エンクロージャ1の延長部で船舶30に設けられたハウジング内に収容される、あるいは、船舶30から任意のハウジングの外側を超える。
【0032】
あるいは、タービン部分は存在してもよいが、エンクロージャ1とは別個である。
【0033】
全ての図、特に
図1、
図2および
図5を参照すると、動力化システムは、水密エンクロージャ1の内部に配置されたロータ2およびステータ3、7を備える。シャフト4は、第1の端部によってロータ2に接続され、第1の端部とは反対側の第2の端部によってエンクロージャ1の外側に水密状態で突出し、上述のように、船舶30の推進手段20に接続することができる。ガスケットタイプのシール手段14が設けられ、シャフト4の通路のレベルでエンクロージャ1の水密密閉を確保する。
【0034】
したがって、システムに電気エネルギーが供給されると、ロータ2が回転し始め、シャフト4をこの回転で駆動し、最終的に推進手段20を回転させ、したがって船舶30を推進させる。
【0035】
冷却手段5(
図1~4の実施例において)または冷却手段5、6(
図5および
図6の実施例において)が設けられる。これらの手段5、6は、少なくとも部分的に金属製で、それぞれの第1の端部がエンクロージャ1の内部に配置される、1つまたは複数の細長いアセンブリ5、6を含む。これらの細長いアセンブリ5、6はまた、それぞれの第1の端部の反対側にあるそれぞれの第2の端部を介して、エンクロージャ1の外側に水密状態で突出している。ガスケットタイプのシール手段13、16が、細長いアセンブリ5、6のそれぞれの通路のレベルでエンクロージャ1の水密シールを確保するために設けられている。
【0036】
したがって、動力化システムの動作、特にロータ2の回転によって生じるエンクロージャ内部の熱は、細長いアセンブリ5、6に沿ってエンクロージャ1の内部から外部に向かって伝導される。
【0037】
図示の実施例では、第1の細長いアセンブリ5の第1の端部は、ステータ3、7に固定されている。
【0038】
このステータ3、7は、厳密に言えばステータ部分3、および、固定要素7、例えば固定プレート7を備えることができる。この場合、第1の細長いアセンブリ5の第1の端部は、好ましくは、この固定要素7に固定される。
【0039】
第1の細長いアセンブリ5は、ステータ3、7の少なくとも一部と一体に形成されたロッド5などの少なくとも1つの第1の部分を備える。
【0040】
あるいは、第1の細長いアセンブリ5は、ステータ3、7に設けられたハウジング内に圧入されたロッド5などの少なくとも1つの第1の部分を備える。この場合、ハウジングは、熱伝導性シリコーンなどの熱伝導性ペースト状材料を含む。
【0041】
図に示す実施例では、第1の細長いアセンブリ5が、ステータ3、7の任意の部分と一体に形成されるか、またはステータ3、7に設けられたハウジングに圧入されるかに関わらず、第1の細長いアセンブリ5は、熱伝導性の金属ロッド5によって一体に形成される。
【0042】
電子制御ユニット10が設けられ、動力化システムの動作および電力供給を制御するように構成されている。
【0043】
このような制御ユニットは、従来、電子基板11上に形成された電子回路内に配置されたマイクロコントローラを備える。
【0044】
この制御ユニット10は、例えば、それ自体がステータ部分3または固定要素7に直接取り付けられる固定支持体12を介して、ステータ3、7に固定される。この場合、電子基板11は、接続手段によって、特にステータ3、7に電子的に接続しながら、固定支持体12によって支持される。
【0045】
したがって、熱経路は、制御ユニット10と第1の細長いアセンブリ5との間に生成され、第1の細長いアセンブリ5はまた、制御ユニット10の冷却を確保する。実際、この構成は、制御ユニット10によって放出された熱が、この熱経路および第1の細長いアセンブリ5に沿ってエンクロージャ1の外部に向かって伝導されることを可能にする。
【0046】
あるいは、または追加的に、
図5および
図6に示されている実施例に示されているように、動力化システムの冷却手段5、6は、少なくとも1つの第2の細長いアセンブリ、この場合、既に上述した細長いアセンブリ6を有している。
【0047】
第1の細長いアセンブリ5と同様に、この第2の細長いアセンブリ6は少なくとも部分的に金属製である。それはまた、第1の端部によって制御ユニット10に固定され、その第1の端部の反対側の第2の端部によってエンクロージャ1の外側に水密状態で突出する。
【0048】
この構成は、第2の細長いアセンブリ6に沿って制御ユニット10からエンクロージャ1の外部への熱の伝導を可能にする。
【0049】
この第2の細長いアセンブリ6は、第1の細長いアセンブリ5と同様に、ロッド6であってもよく、またはロッド形状の部分を含んでもよい。
【0050】
ロッド5、6、またはそれぞれ第1および第2の細長いアセンブリ5、6のロッド形状部分は、好ましくは、実質的に円形の断面を有する。
【0051】
上述したシール手段13、16は、Oリングであってもよい。
【0052】
図に示されるように、第1および/または第2の細長いアセンブリ5、6のそれぞれの第2の端部は、間隔を空けてそれぞれ第1および第2の細長いアセンブリ5、6の軸に平行に形成されたスラット8、9を有する。
【0053】
この構成は、動力化システムが船舶30に組み込まれ、かつこの船舶30が水中または水上に配置されると、第1および第2の細長いアセンブリ5、6のそれぞれの端部と周囲水との間の熱交換面積を増大させる。したがって、第1の細長いアセンブリ5の第2の端部に配置されたスラット8、および第2の細長いアセンブリ6の第2の端部に配置されたスラット9は、増大した熱交換面積によって、周囲水に熱をより迅速に分散させることを可能にするラジエータを形成する。
【0054】
また、図に示されるように、図示の実施例では、動力化システムは、「アウトランナー」タイプのモータ部分を含む。したがって、ロータ2は回転ケージ2を備え、ステータ3、7はケージ2の内部に配置された固定コア3を備える。
【0055】
上述したように、この構成は、中央に配置されたコイルと周辺に配置された磁石との間の相互作用の直径を最大化することによって、「インランナー」タイプのモータ(固定ケージおよび回転コア)を有する構成よりもロータをゆっくりと回転させることを可能にするので、特に興味深い。したがって、この構成は減速機の使用を必要とせず、コストおよびメンテナンスが低減される。
【0056】
モータの動作によって生成された熱を確保し、それを外部に導くために、ステータ3、7などのエンクロージャ1の内部の固定要素に依存することによって、モータの固定部分の内部の水循環システムなどの「アウトランナー」タイプのモータを冷却するための従来の解決策、およびこれらの複雑さ(モータ内部のパイプ、入口および水出口)も克服される。
【0057】
あるいは、動力化システムは、回転コアおよびエンクロージャ1を構成することができる固定外側ケージを有する「インランナー」タイプのモータ部分を含むことができる。
【0058】
この場合、第1の細長いアセンブリ5(および場合によっては第2の細長いアセンブリ6)は、モータの動作によって生成される熱を確保し、それを外部に導くために、それ自体がモータの固定部分を構成するエンクロージャ1上に設置することができる。
【0059】
本説明は例として与えられ、本発明を限定するものではないことを思い出されたい。
【0060】
特に、サーフボードの分野において特に興味深い用途を見出すが、本発明は、サーフボードタイプの船舶に限定されず、パドルボードまたはウィンドサーフィン用ボードなどの船舶に及ぶ。
【0061】
より一般的には、本発明は、ボードタイプの船舶に限定されず、カヌーまたはカヤックなどの任意の電気補助付き船舶に及ぶ。
【国際調査報告】