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特表2022-546381オーグメント式股関節形成術手順のためのロボット外科システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】オーグメント式股関節形成術手順のためのロボット外科システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20221027BHJP
   A61B 17/16 20060101ALI20221027BHJP
   A61B 17/14 20060101ALI20221027BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20221027BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20221027BHJP
   G06T 7/11 20170101ALI20221027BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20221027BHJP
【FI】
A61B34/10
A61B17/16
A61B17/14
A61B34/20
A61B34/30
G06T7/11
G06T7/70 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512845
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 US2020047220
(87)【国際公開番号】W WO2021041155
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/893,384
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507280594
【氏名又は名称】マコ サージカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラ ヴァルン
(72)【発明者】
【氏名】ナザダイ マーク
(72)【発明者】
【氏名】ペロニ クリスティーン
(72)【発明者】
【氏名】ジョイアル ギャレット
【テーマコード(参考)】
4C160
5L096
【Fターム(参考)】
4C160LL01
4C160LL09
4C160LL26
4C160LL27
5L096BA05
5L096BA06
5L096BA13
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA05
5L096JA11
(57)【要約】
関節形成術手順を支援するシステムは、ロボットデバイスと、ロボットデバイスと連動するように構成されたリーマ通しツールと、ロボットデバイスと通信するプロセシング回路と、を含む。プロセシング回路は、患者の骨に対するインプラントカップの第1の計画された位置及びインプラントオーグメントの第2の計画された位置を含む手術計画を取得し、骨を形成して、第1の計画された位置内でインプラントカップを受け、第2の計画された位置内でインプラントオーグメントを受けるように構成された計画された骨修正を判定し、計画された骨修正に基づいて、1つ以上の仮想物体を生成し、切断ツールがロボットデバイスと連動し、計画された骨修正に従って骨を修正するように動作している間、1つ以上の仮想物体により切断ツールを制約するよう、ロボットデバイスを制御する、ように構成されている。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節形成術手順を支援するシステムであって、
ロボットデバイスと、
前記ロボットデバイスと連動するように構成された切断ツールと、
前記ロボットデバイスと通信するプロセシング回路と、を備え、前記プロセシング回路は、
患者の骨に対するインプラントの第1の計画された位置及びインプラントオーグメントの第2の計画された位置を含む手術計画を取得し、
前記骨を形成して、前記第1の計画された位置内で前記インプラントを受け、前記第2の計画された位置内で前記インプラントオーグメントを受けるように構成された計画された骨修正を判定し、
前記計画された骨修正に基づいて、1つ以上の仮想物体を生成し、
前記切断ツールが前記ロボットデバイスと連動し、前記計画された骨修正に従って前記骨を修正するように動作している間、前記1つ以上の仮想物体により前記切断ツールを制約するように、前記ロボットデバイスを制御する、
ように構成されている、前記システム。
【請求項2】
前記1つ以上の仮想物体は、リーマ通し表面を含む仮想物体を含み、前記リーマ通し表面は、前記インプラント及び前記インプラントオーグメントの両方に対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上の仮想物体は、前記インプラントに対応するカップ表面を含む第1の仮想物体及び前記オーグメントインプラントに対応するオーグメント表面を含む第2の仮想物体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセシング回路は、直列に、
前記第1の仮想物体を選択し、前記第1の仮想物体により前記切断ツールを制約し、
前記第2の仮想物体を選択し、前記第2の仮想物体により前記切断ツールを制約する、
ことによって、前記1つ以上の仮想物体により前記切断ツールを制約するように、前記ロボットデバイスを制御するように構成されている、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ロボットデバイスに結合されるように構成されたホルダアームを備え、
前記プロセシング回路は、前記第2の計画された位置内で前記骨において前記インプラントオーグメントを一時的に保持して、前記骨への前記インプラントオーグメントの固定を支援するよう前記ホルダアームを位置付けるように前記ロボットデバイスを制御するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセシング回路は、
前記骨及び前記骨に結合された前のインプラントの画像を取得し、
前記画像をセグメント化して、前記骨及び前記前のインプラントを区別し、
前記セグメント化された画像を使用して、前記手術計画を生成する、
ことによって、前記手術計画を取得する、
ように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記骨及び前記ロボットデバイスの相対位置を追跡するように構成された追跡システムを備え、前記追跡システムは、前記前のインプラントの測定された姿勢に基づいて、前記骨の姿勢を登録するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセシング回路は、
前記セグメント化された画像に基づいて、仮想骨モデルを生成し、
前記仮想骨モデルに対する仮想インプラント及び前記前のインプラントの仮想表現を仮想的に位置付けて、前記インプラントの前記第1の計画された位置を定義し、
前記仮想インプラントに対する仮想インプラントオーグメントを仮想的に位置付けて、前記インプラントオーグメントの前記第2の計画された位置を定義する、
ように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセシング回路は、前記仮想インプラントオーグメントと前記仮想インプラントとの間で予め定められた間隔を必要とするように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセシング回路は、前記仮想骨モデル、前記仮想インプラント、及び前記仮想インプラントオーグメントを示すグラフィカルユーザインタフェースを生成するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記グラフィカルユーザインタフェースは、1つ以上のネジ軌道を示す、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
追跡システム及びプローブを備え、前記追跡システムは、前記骨に対する前記プローブの位置を判定するように構成され、
前記プロセシング回路は、前記骨に対する前記プローブの前記位置に基づいて、前記インプラントオーグメントが前記第2の計画された位置にあるかどうかを判定するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
患者の骨に対するインプラントカップの第1の計画された位置及びインプラントオーグメントの第2の計画された位置を含む手術計画を取得することと、
前記骨を形成して、前記第1の計画された位置内で前記インプラントカップを受け、前記第2の計画された位置内で前記インプラントオーグメントを受けるように構成された計画された骨修正を判定することと、
前記計画された骨修正に基づいて、1つ以上の仮想物体を生成することと、
前記計画された骨修正に従って前記ロボットデバイスと連動している手術ツールにより、前記骨の修正を支援するように、前記1つ以上の仮想物体を使用してロボットデバイスを制御することと、
を備えた、方法。
【請求項14】
前記1つ以上の仮想物体を使用して前記ロボットデバイスを制御することは、前記1つ以上の仮想物体により前記手術ツールを制限することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の仮想物体は、前記インプラントカップ及び前記インプラントオーグメントに対応するリーマ通し表面を含む仮想物体を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の仮想物体は、前記インプラントカップに対応するカップ表面を含む第1の仮想物体及び前記インプラントカップに対応するオーグメント表面を含む第2の仮想物体を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ロボットデバイスを制御することは、
前記第1の仮想物体を選択し、前記手術ツールを制約するよう前記第1の仮想物体を使用することと、
前記インプラントカップを受けるよう前記骨が形成されたことを判定することと、
前記第2の仮想物体を選択し、前記手術ツールを制約するよう前記第2の仮想物体を使用することと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ロボットデバイスに、前記第2の計画された位置内で前記骨において前記インプラントオーグメントを保持させて、前記骨への前記インプラントオーグメントの固定を支援するように、前記ロボットデバイスを制御することを備えた、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記手術計画を取得することは、
前記骨及び前記骨に結合された前のインプラントの画像を取得することと、
前記画像をセグメント化して、前記骨及び前記前のインプラントを区別することと、
前記セグメント化された画像を使用して、前記手術計画を生成することと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記手術計画を取得することは、前記仮想インプラントオーグメントと前記仮想インプラントカップとの間で予め定められた間隔を必要とすることを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、本明細書での参照によってその開示全体が組み込まれる、2019年8月9日に出願された米国仮特許出願第62/893,384号の利益及びそれに対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は概して、整形外科手術のための手術システムに関し、特に、全股関節形成術手順及び部分的股関節形成術手順のための手術システムに関する。口語的に股関節置換と称される股関節形成術は、股関節生体構造の部分を人工装具部材と置き換えることによって、変形性股関節症及び患者の股関節に対する他の損傷を処置するために広く使用されている。
【0003】
全股関節形成術手順における使用のための1つの可能なツールは、ロボット支援手術システムである。ロボット支援手術システムは典型的には、患者の生体構造を形成するために使用されるロボットデバイス、患者の生体構造に対するロボットデバイスの位置を監視するように構成された追跡システム、及びロボットデバイスを監視及び制御するように構成されたコンピューティングシステムを含む。ロボット支援手術システムは、様々な形式において、手術タスクを自律的に行い、手術タスクを完了するよう手術デバイスを操作する力フィードバックをユーザに提供し、外科医の器用さ及び精度を拡張させ、及び/又は安全且つ正確な外科的手術を促進するための他の手掛かりを提供する。
【0004】
手術計画は典型的には、ロボット支援手術システムによる外科的処置を実行する前に確立される。手術計画に基づいて、手術システムは、外科的処置の一部の間に、手術ツールの移動を案内し、制御し、又は制限する。手術ツールの案内及び/又は制御は、手術計画の実施の間に患者を保護し、外科医を支援する役割を果たす。
【発明の概要】
【0005】
本開示の1つの実装態様は、関節形成術手順を促進するシステムである。システムは、ロボットデバイスと、ロボットデバイスと連動するように構成されたリーマ通しツールと、ロボットデバイスと通信するプロセシング回路と、を含む。プロセシング回路は、患者の骨に対するインプラントカップの第1の計画された位置及びインプラントオーグメントの第2の計画された位置を含む手術計画を取得し、骨を形成して、第1の計画された位置内でインプラントカップを受け、第2の計画された位置内でインプラントオーグメントを受けるように構成された計画された骨修正を判定し、計画された骨修に基づいて、1つ以上の仮想物体を生成し、切断ツールがロボットデバイスと連動し、計画された骨修正に従って骨を修正するように動作する間、1つ以上の仮想物体により切断ツールを制約するようロボットデバイスを制御する、ように構成されている。
【0006】
本開示の別の実装態様は、方法である。方法は、患者の骨に対するインプラントカップの第1の計画された位置及びインプラントオーグメントの第2の計画された位置を含む手術計画を取得することと、骨を形成して、第1の計画された位置内でインプラントカップを受け、第2の計画された位置内でインプラントオーグメントを受けるように構成された計画された骨修正を判定することと、計画された骨修正に基づいて、1つ以上の仮想物体を生成することと、計画された骨修正に従ってロボットデバイスと連動する手術ツールにより骨の修正を促進するよう、1つ以上の仮想物体を使用してロボットデバイスを制御することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】大腿骨及び骨盤の斜視図である。
図1B図1Aの大腿骨及び骨盤によって成形された股関節の斜視図である。
図1C】全股関節置換手順のための大腿骨部材及び寛骨臼部材の分解斜視図である。
図1D図1Aの大腿骨及び骨盤のそれぞれに関して図1Cの大腿骨部材及び寛骨臼部材の配置を例示した斜視図である。
図2】例示的な実施形態に従った、手術システムの例示である。
図3】例示的な実施形態に従った、関節形成術手順を促進する処理のフローチャートである。
図4】例示的な実施形態に従った、図3の処理と共に使用することができるグラフィカルユーザインタフェースの第1の例示である。
図5】例示的な実施形態に従った、図3の処理と共に使用することができるグラフィカルユーザインタフェースの第2の例示である。
図6】例示的な実施形態に従った、図3の処理と共に使用することができるグラフィカルユーザインタフェースの第3の例示である。
図7】例示的な実施形態に従った、図3の処理と共に使用することができるグラフィカルユーザインタフェースの第4の例示である。
図8】例示的な実施形態に従った、図3の処理のステップの詳細な図を示すフローチャートである。
図9】例示的な実施形態に従った、図3の処理と共に使用することができる骨盤上の登録領域の第1の視覚化である。
図10】例示的な実施形態に従った、図3の処理と共に使用することができる骨盤上の登録領域の第2の視覚化である。
図11】例示的な実施形態に従った、図3の処理と共に使用することができるグラフィカルユーザインタフェースの第5の例示である。
図12】例示的な実施形態に従った、図3の処理と共に使用することができるグラフィカルユーザインタフェースの第6の例示である。
図13】例示的な実施形態に従った、図3の処理において使用されるようなインプラントオーグメント及びプローブの表示である。
図14】例示的な実施形態に従った、図3の処理にあるような図13のインプラントオーグメントの骨への固定の表示である。
図15】例示的な実施形態に従った、図3の処理のカップ嵌め込みステップの表示である。
図16】例示的な実施形態に従った、図3の処理のセメント硬化ステップの表示である。
図17】例示的な実施形態に従った、脛骨又は大腿骨オーグメントを含む膝関節形成術手順を促進する処理のフローチャートである。
図18】例示的な実施形態に従った、図17の処理において使用されるような脛骨テンプレート及びプローブの第1の例示である。
図19】例示的な実施形態に従った、図17の処理において使用されるような脛骨テンプレート及びプローブの第2の例示である。
図20】例示的な実施形態に従った、図17の処理において使用されるような大腿骨トライアル及びプローブの第1の例示である。
図21】例示的な実施形態に従った、図17の処理において使用されるような大腿骨トライアル及びプローブの第2の例示である。
図22】例示的な実施形態に従った、脛骨インプラント及び脛骨オーグメントの斜視図である。
図23】例示的な実施形態に従った、大腿骨インプラント及び大腿骨オーグメントのペアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の現在好ましい実施形態が図面において例示される。同一の又は同様の部分を指すために図面の全体を通じて同一又は同様の参照符号を使用する試みが行われてきた。本明細書が整形外科股関節置換のためのロボットアームに主に言及するが、本明細書で説明される主題が、手術用途及び非手術用途のために使用されるものと共に、例えば、膝又は肩関節などの身体の他の関節に対して使用されるものを含む、他のタイプのロボットシステムに適用可能であることが理解されるべきである。
【0009】
股関節は、大腿骨と骨盤との間の関節であり、静的(例えば、立っている)な姿勢及び動的な(例えば、歩いている)姿勢において身体の重みを支持するよう主に機能する。図1Aは、骨盤12(部分的に示される)及び大腿骨14の近位端を含む、股関節10の骨を例示する。大腿骨14の近位端は、大腿骨頸部18上に配置された大腿骨頭部16を含む。大腿骨頸部18は、大腿骨幹部20に大腿骨頭部16を接続する。図1Bに示されるように、大腿骨頭部16は、寛骨臼と称される骨盤12内の凹みに適合し、それによって、股関節10を形成する。寛骨臼22及び大腿骨頭部16の両方は、衝撃を吸収し、関節10の関節接合を推進する関節軟骨によって覆われる。
【0010】
経時的に、股関節10は、退化することがあり(例えば、変形性関節症に起因して)、痛み及び機能性が落ち込むことを結果としてもたらす。結果として、全股関節形成術又は股関節表面置換などの股関節置換手順が必要である場合がある。股関節置換の間、外科医は、患者の股関節10の部分を人工部材と置き換える。全股関節形成術では、外科医は、大腿骨頭部16及び頸部18を取り除き、自然骨を、頭部26a、頸部26b、及び幹部26c(図1Cに示される)を含む人工装具大腿骨部材26と置き換える。図1Dに示されるように、大腿骨部材26の幹部26cは、大腿骨14の髄管内に外科医を生成した空洞内で支えられる。代わりに、病気が大腿骨頭部16の表面に制限される場合、外科医は、大腿骨頭部が表面置換され(例えば、円筒状リーマを使用して)、次いで、人工装具大腿骨頭部カップ(図示せず)と係合される、あまり侵略的でないアプローチを選択することがある。
【0011】
同様に、骨盤12の自然寛骨臼22が摩耗又は退廃する場合、外科医は、リーマを使用して寛骨臼22を表面置換し、自然表面を、ライナ28bを含むことができる半球形状カップ28a(図1Cに示される)を含む人工装具寛骨臼部材28と置き換える。寛骨臼部材28を取り付けるために、外科医は、インパクタツールの遠位端にカップ28aを接続し、インパクタツールの近位端をマレットと繰り返して突き当てることによって、カップ28aをリーマ通しされた寛骨臼22の中に植え付ける。寛骨臼部材28がライナ28bを含む場合、外科医は、カップ28aを植え付けた後、ライナ28bをカップ28aの中に留める。外科手術のために外科医が患者を配置する位置に応じて、外科医は、寛骨臼22をリーマ通しするために、直線リーマ又はオフセットリーマを使用することがあり、寛骨臼カップ28aを植え付けるために、直線インパクタ又はオフセットインパクタを使用することがある。例えば、後外側アプローチを使用する外科医は、直線リーマ通し及び嵌め込みを好むことがある一方で、前外側アプローチを使用する外科医は、オフセットリーマ通し及び嵌め込みを好むことがある。
【0012】
いくつかのケースでは、寛骨臼22の再建を支援し又はそうでなければ促進して、好ましい位置及び方位における骨盤12へのカップ28aの固定を容易にするために、インプラントオーグメントが使用される。いくつかのシナリオでは、オーグメントの使用が好ましいことがある。1つの実施例として、インプラントオーグメントは、外傷性損害(例えば、自動車事故など)が骨盤12への損傷を引き起こした、有利な外傷後股関節再構築であることができる。別の実施例として、インプラントオーグメントは、股関節形成不全のケース又は寛骨臼骨喪失の他のケースでは、すなわち、そのような骨喪失によって生じる空間を埋めるために有利であることができる。別の実施例として、インプラントオーグメントは、隣接した骨又は他の複雑なものの劣化に起因して、前に植え付けられた股関節補綴具が取り除かれ、新たなインプラントと置き換えられる、修正股関節形成術手順のために有利であることができる。
【0013】
インプラントオーグメントを伴う最新の外科的処置は典型的には、手術中に外科医を正確に見て感じる位置にインプラントオーグメントを手動で配置する外科医の技能及び経験に依存する。そのような手順は、困難である場合があり、外科手術時間を延長させることを結果としてもたらすことがある。加えて、股関節形成術のための現在利用可能なロボット支援手術デバイスは、インプラントオーグメントの配置をもたらさない。本明細書で説明されるシステム及び方法は、股関節形成術手順の間のインプラントオーグメントのための骨形成及びインプラントオーグメントの配置を容易にし、それによって、骨喪失、外傷性損害、修正股関節置換、又は他の関連するシナリオのケースにおいて股関節形成術手順を容易にするための、インプラント配置のコンピュータ支援計画及びロボット支援手術ステップを提供する。本明細書で説明されるシステム及び方法は、それによって患者の転帰を改善することができ、外科手術時間を低減させることができ、オーグメント式股関節形成術手順のための外科医に対する負担を低減させることができる。
【0014】
ここで図2を参照して、例示的な実施形態に従った、整形外科手術のための手術システム200が示される。概して、手術システム200は、手術計画の計画及び実行を促進し、例えば、関節関連手順を促進するように構成される。図2に示されるように、手術システム200は、テーブル205に座り、又は横たわっている患者204の脚部202を処置するように設定される。図2に示される例示では、脚部202は、全膝関節鏡検査手順において人工装具膝インプラントがその間に植え付けられることになる、大腿骨206及び脛骨208を含む。図2に示されるシナリオは、図17~22を参照する以下の説明に対応してもよい。例えば、図1A~1D及び図3~16を参照して本明細書で説明されるような他のシナリオでは、手術システム200は、患者の股関節、すなわち、患者の大腿骨14及び骨盤12(図1A~1Dに例示される)を処置するように設定される。加えて、更なる他のシナリオでは、手術システム200は、患者の肩を処置し、すなわち、肩関節の部材の置換及び/又はオーグメンテイションを促進する(例えば、上腕骨部材、関節窩部材、及び接ぎ木又はインプラントオーグメントの配置を促進する)ように設定される。様々な他の生体構造的領域及び手順も可能である。手順を促進するために、手術システム200は、ロボットデバイス220、追跡システム222、及びコンピューティングシステム224を含む。
【0015】
ロボットデバイス220は、コンピューティングシステム224の制御の下、患者の生体構造(例えば、患者204の大腿骨206)を修正するように構成される。ロボットデバイス220の1つの実施形態は、触覚デバイスである。「触覚」は、とりわけ、オペレータにフィードバックを提供するヒューマンインタラクティブデバイスに関連する、触感覚及び触覚場を指す。フィードバックは、例えば、振動などの触知知覚を含んでもよい。フィードバックは、移動に対する正の力又は抵抗などの力をユーザに提供することをも含んでもよい。触覚の1つの使用は、デバイスのユーザにそのデバイスの操作の案内又は制限を提供することである。例えば、触覚デバイスは、外科的処置を実行するために外科医によって操作することができる、手術ツールに結合されてもよい。手術ツールの外科医の操作は、手術ツールの操作の間に外科医にフィードバックを提供するよう、触覚の使用を通じて案内又は制限されてもよい。
【0016】
ロボットデバイス220の別の実施形態は、自律又は半自律ロボットである。「自律」は、その状況に関する情報を収集し、行動の経過を判定し、その行動の経過を自動で行うことによって、人間による制御と独立して又は半独立して作用するロボットデバイスの能力を指す。例えば、そのような実施形態では、追跡システム222及びコンピューティングシステム224と通信しているロボットデバイス220は、直接の人間による介入なしに、上述した一連の大腿骨切断を自律的に完了することができる。
【0017】
ロボットデバイス220は、基部230、ロボットアーム232、及び手術ツール234を含み、コンピューティングシステム224及び追跡システム222に通信可能に結合される。基部230は、ロボットアーム232及び手術ツール234が患者204及びテーブル205に対して必要に応じて再位置付けられることを可能にする、ロボットアーム232に対する可動基礎をもたらす。基部230は、以下で説明されるロボットアーム232及び手術ツール234の機能に必要な電力システム、計算要素、モータ、及び他の電子又は機械システムをも含んでもよい。
【0018】
ロボットアーム232は、手術ツール234を支持し、コンピューティングシステム224によって指示されるような力を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、ロボットアーム232は、ユーザが手術ツールを操作することを可能にし、ユーザに力フィードバックを提供する。そのような実施形態では、ロボットアーム232は、関節236及び架台238を含み、関節236及び架台238は、ユーザが許容可能な姿勢を通じてロボットアーム232及び手術ツール234を自由に転換及び回転させることを可能にすると共に、コンピューティングシステム224によって指示されるようにロボットアーム232及び手術ツール234の何らかの移動を制約又は防止する力フィードバックを提供するように構成されたモータ、アクチュエータ、又は他の機構を含む。以下で詳細に説明されるように、ロボットアーム232はそれによって、外科医が制御物体内での手術ツール234に対する完全な制御を有することを可能にすると共に、その物体の境界に沿って力フィードバック(例えば、振動、境界を突き抜けることを防止又は抵抗する力)を提供する。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、必要に応じてロボットアームを位置付け、及び/又は大腿骨206もしくは寛骨臼における切断を含む、特定の手術タスクを完了するために、コンピューティングシステム224によって指示されるように、直接のユーザ操作なしに自動で新たな姿勢に手術ツールを移動させるように構成される。
【0019】
手術ツール234は、骨を切断し、刻み目を入れ、研磨し、穴を開け、部分的に切除し、再成形し、及び/又はそうでなければ修正するように構成される。手術ツール234は、いずれかの適切なツールであってもよく、ロボットデバイス220に交換可能に接続可能な複数のツールの1つであってもよい。例えば、図2に示されるように、手術ツール234は、球体バリである。手術ツールは、例えば、ツール軸と平行し、又はツール軸に垂直に位置合わせされたブレードを有する矢状鋸でもあってもよい。手術ツール234は、インプラント部材が骨にねじ留めされ、骨もしくは他のインプラント部材に接着され(例えば、固結され)、又はそうでなければ好ましい位置に取り付けられる間の位置内でインプラント部材(例えば、カップ28a、インプラントオーグメントなど)を保持するように構成された保持アーム又は他の支持部でもあってもよい。いくつかの実施形態では、手術ツール234は、計画された位置及び方位内での骨盤12へのカップ28aの固定を促進する嵌め込み力をカップ28aに提供するように構成された嵌め込みツールである。
【0020】
追跡システム222は、患者の生体構造(例えば、大腿骨206及び脛骨208)並びにロボットデバイス220(すなわち、手術ツール234及び/又はロボットアーム232)を追跡して、ロボットアーム232に結合された手術ツール234の制御を有効にし、手術ツール234によって行われた修正又は他の結果の位置及び方位を判定し、ユーザがコンピューティングシステム224のディスプレイ上で骨(例えば、様々な手順において適用可能であるような、大腿骨206、脛骨208、骨盤12、上腕骨、肩甲骨など)、手術ツール234、及び/又はロボットアーム232を視覚化することを可能にするように構成される。より具体的に、追跡システム222は、参照の座標フレームに関して物体(例えば、手術ツール234、大腿骨206)の位置及び方位(すなわち、姿勢)を判定し、外科的処置の間に物体の姿勢を追跡する(すなわち、継続して判定する)。様々な実施形態に従って、追跡システム222は、非機械追跡システム(例えば、光学追跡システム)、機械追跡システム(例えば、ロボットアーム232の関節236の相対的角度を測定することに基づいた追跡)、又は非機械追跡システム及び機械追跡システムのいずれかの組み合わせを含む、いずれかのタイプのナビゲーションシステムであってもよい。
【0021】
図2に示される実施形態では、追跡システム222は、光学追跡システムを含む。したがって、追跡システム222は、脛骨208に結合された第1の基準ツリー240、大腿骨206に結合された第2の基準ツリー241、基部230に結合された第3の基準ツリー242、手術ツール234に結合された1つ以上の基準、及び基準の三次元位置(すなわち、基準ツリー240~242上のマーカ)を検出するように構成された検出デバイス246を含む。基準ツリー240、241は、様々な手順に適切であるような他の骨(例えば、股関節形成術手順での骨盤12及び大腿骨206)に結合されてもよい。検出デバイス246は、カメラ又は赤外線センサなどの光検出器であってもよい。基準ツリー240~242は、光検出器に対して明確に現れ、及び/又は光検出器からのデータを使用して画像処理システムによって、例えば、赤外線放射(例えば、追跡システム222の要素によって放出される)の高度の反射性によって容易に検出可能であるように構成されたマーカである基準を含む。検出デバイス246上のカメラの立体視的配列は、各々の基準の位置が三角測量アプローチを通じて3D空間内で判定されることを可能にする。各々の基準は、対応する物体への幾何学的関係を有し、その結果、基準の追跡は、物体の追跡を可能にし(例えば、第2の基準ツリー241を追跡することは、追跡システム222が大腿骨206を追跡することを可能にする)、追跡システム222は、この幾何学的関係を判定又は検証する登録処理を行うように構成されてもよい。基準ツリー240~242内での基準の一意な配列(すなわち、第1の基準ツリー240内の基準が第2の基準ツリー241内の基準とは異なる幾何学形状で配列される)は、基準ツリーを区別することを可能にし、したがって、物体が相互に追跡されることを可能にする。
【0022】
図2の追跡システム222又は手術ナビゲーション及び追跡に対するいくつかの他のアプローチを使用して、生体構造的特徴を修正し、又はそうでなければ外科的処置を促進するために手術ツール234が使用されるように、手術システム200は、患者の生体構造的特徴、例えば、大腿骨206に対する手術ツール234の位置を判定することができる。加えて、図2の追跡システム222又は手術ナビゲーション及び追跡に対するいくつかの他のアプローチを使用して、手術システム200は、追跡される骨の相対的姿勢を判定することができる。
【0023】
コンピューティングシステム224は、手術計画を生成し、1つ以上の骨修正を行い、及び/又は1つ以上の人工装具部材の植え付けを促進するよう、手術計画に従ってロボットデバイス220を制御するように構成される。したがって、コンピューティングシステム224は、ロボットデバイス220、追跡システム222、及びコンピューティングシステム224の間の電子通信を促進するよう、追跡システム222及びロボットデバイス220に通信可能に結合される。更に、コンピューティングシステム224は、患者の医療履歴又は他の患者プロファイル情報、医療撮像、手術計画、外科的処置に関連する情報を受信し、例えば、電子ヘルス記録デバイスにアクセスすることによって、外科的処置の性能に関連する様々な機能を実行するよう、ネットワークに接続されてもよい。コンピューティングシステム224は、プロセシング回路260及び入力/出力デバイス262を含む。
【0024】
入力/出力デバイス262は、本明細書で説明される機能及び処理のために必要に応じて、ユーザ入力を受信し、出力を表示するように構成される。図2に示されるように、入力/出力デバイス262は、ディスプレイ264及びキーボード266を含む。ディスプレイ264は、例えば、手術計画、医療撮像、手術システム200についての設定及び他のオプション、追跡システム222及びロボットデバイス220に関連するステータス情報、並びに追跡システム222によって供給されるデータに基づいた追跡視覚化に関する情報を含む、プロセシング回路260によって生成されたグラフィカルユーザインタフェースを表示するように構成される。キーボード266は、それらのグラフィカルユーザインタフェースへのユーザ入力を受信して、手術システム200の1つ以上の機能を制御するように構成される。
【0025】
プロセシング回路260は、プロセッサ及びメモリデバイスを含む。プロセッサは、汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセシングコンポーネントのグループ、又は他の適切な電子プロセシングコンポーネントとして実装されてもよい。メモリデバイス(例えば、メモリ、メモリユニット、記憶装置など)は、本出願において説明される様々な処理及び機能を完了又は促進するためのデータ及び/又はコンピュータコードを記憶する1つ以上のデバイス(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶装置など)である。メモリデバイスは、揮発性メモリもしくは不揮発性メモリであってもよく、又は揮発性メモリもしくは不揮発性メモリを含んでもよい。メモリデバイスは、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント、又は本出願において説明される様々な活動及び情報構造をサポートするためのいずれかの他のタイプの情報構造を含んでもよい。例示的な実施形態に従って、メモリデバイスは、プロセシング回路260を介してプロセッサに通信可能に接続され、本明細書で説明される1つ以上の処理を実行するための(例えば、プロセシング回路260及び/又はプロセッサによって)コンピュータコードを含む。
【0026】
より具体的に、プロセシング回路260は、外科的処置の前の術前手術計画の生成を促進するように構成される。いくつかの実施形態に従って、術前手術計画は、本明細書で「仮想骨モデル」とも称される、患者の生体構造の三次元表現を利用して開発される。「仮想骨モデル」は、骨に加えて軟骨又は他の組織の仮想表現を含んでもよい。仮想骨モデルを取得するために、プロセシング回路260は、外科的処置が実行されることになる患者の生体構造(例えば、大腿骨206、骨盤12)の撮像データを受信する。撮像データは、コンピュータ断層映像(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、及び/又は超音波を含む、関連する生体構造的特徴を撮像するためのいずれかの適切な医療撮像を使用して生成されてもよい。撮像データは次いで、仮想骨モデルを取得するようセグメント化されてもよい(すなわち、異なる生体構造的特徴に対応する撮像内の領域が区別される)。例えば、以下で更に詳細に説明されるように、股関節のMRI方式スキャンデータは、周囲の靱帯、軟骨、前に植え付けられた人工装具部材、及び他の組織を区別して、撮像された股関節の三次元モデルを取得するようセグメント化されてもよい。
【0027】
代わりに、仮想骨モデルは、骨モデルのデータベース又はライブラリから三次元モデルを選択することによって取得されてもよい。1つの実施形態では、ユーザは、適切なモデルを選択するために、入力/出力デバイス262を使用してもよい。別の実施形態では、プロセシング回路260は、患者に関する提供される画像又は他の情報に基づいて、適切なモデルを選択するよう、記憶された命令を実行してもよい。データベースからの選択された骨モデル(複数可)は次いで、特定の患者特性に基づいて変形されてもよく、本明細書で説明されるような手術計画及び実施における使用のための仮想骨モデルを生成する。
【0028】
術前手術計画は次いで、仮想骨モデルに基づいて生成されてもよい。手術計画は、プロセシング回路260によって、入力/出力デバイス262を介したユーザによる入力によって、又は2つの何らかの組み合わせによって自動で生成されてもよい(例えば、プロセシング回路260は、ユーザにより生成された計画の一部の特徴を制限し、ユーザが修正することができる計画を生成する、などである)。いくつかの実施形態では、以下で詳細に説明されるように、手術計画は、手術中に収集された伸延力測定に基づいて生成及び/又は修正されてもよい。いくつかの実施形態では、手術計画は、例えば、以下で詳細に説明されるように、インプラント固定(緩いもしくは固定された)の定性的手術中評価及び/又は一次インプラント除去の後の手術中骨欠陥マッピングに基づいて修正されてもよい。
【0029】
術前手術計画は、所望の切断、孔、表面、バリ、又は手術システム200を使用して行われることになる患者の生体構造への他の修正を含む。例えば、全膝関節鏡検査手順のために、手術前計画は、大腿骨上で、外科的処置の間に大腿骨に接合されることになる人工装具の対応する表面に係合されることになるのに適切な相対的方位及び位置内で、遠位表面、後方面取部表面、後方表面、前方表面、及び前方面取部表面を成形するために必要な切断と共に、脛骨上で、外科的処置の間に脛骨に接合されることになる人工装具に係合するために適切な表面(複数可)を成形するために必要な切断を含んでもよい。別の実施例として、股関節形成術手順では、手術計画は、カップ28(a)及び適切なケースでは、骨盤12の寛骨臼領域上で1つ以上の表面を成形して、インプラントオーグメントを受けるために必要なバリを含んでもよい。したがって、プロセシング回路260は、手術計画の生成を促進するよう、人工装具のモデルを受信し、アクセスし、及び/又は記憶してもよい。
【0030】
プロセシング回路260は、手術計画に従って、ロボットデバイス220についての制御物体を生成するように更に構成される。制御物体は、様々なタイプのとり得るロボットデバイス(例えば、触覚、自律など)に従って様々な形式を取ってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、制御物体は、ロボットデバイスが制御物体内で移動するようロボットデバイスを制御する(すなわち、追跡システム222からのフィードバックによって手術計画の1つ以上の切断を自律的に案内させる)ための命令を定義する。いくつかの実施形態では、制御物体は、手術ナビゲーションを促進し、外科医が手術計画に従うように案内することを支援する(例えば、ロボットデバイスの能動制御又は力フィードバックなしで)ためのディスプレイ264上の手術計画及びロボットデバイスの視覚化を含む。ロボットデバイス220が触覚デバイスである実施形態では、制御物体は、以下の段落において説明されるような触覚物体であってもよい。
【0031】
ロボットデバイス220が触覚デバイスである実施形態では、プロセシング回路260は、術前手術計画に基づいて1つ以上の触覚物体を生成して、外科的処置の間に手術ツール234の制約を有効にすることによって、手術計画の実施の間に外科医を支援するように更に構成される。触覚物体は、一次元、二次元、又は三次元において成形されてもよい。例えば、触覚物体は、線、平面、又は三次元体積であってもよい。触覚物体は、湾曲表面により湾曲してもよく、及び/又は平坦な表面を有してもよく、いずれかの形状、例えば、漏斗形状であってもよい。触覚物体は、外科的処置の間の手術ツール234の移動についての様々な所望の転帰を表すように生成されてもよい。三次元触覚物体の境界の1つ以上は、骨の表面上で生成されることになる、切断などの1つ以上の修正を表してもよい。平面触覚物体は、骨の表面上で生成されることになる、切断などの1つ以上の修正を表してもよい。湾曲した触覚物体は、カップ28a及び/又はインプラントオーグメントを受けるよう修正されるような、結果として生じる骨の表面を表してもよい。
【0032】
ロボットデバイス220が触覚デバイスである実施形態では、プロセシング回路260は、手術ツール234の仮想ツール表現を生成するように更に構成される。仮想ツールは、物理手術ツール234上の位置を表し、物理手術ツール234上の位置と関連付けられた、1つ以上の触覚相互作用点(HIP)を含む。手術ツール234が球体バリ(図2に示されるように)である実施形態では、HIPは、球体バリの中心を表してもよい。手術ツール234が、例えば、矢状鋸に関して不規則形状である場合、矢状鋸の仮想表現は、多数のHIPを含んでもよい。手術ツールに対する触覚力(例えば、動きに対する正の力フィードバック又は抵抗)を発生させるために複数のHIPを使用することは、その全体で本明細書において参照することによって以下に組み込まれる、2011年12月28日に出願された「System and Method for Providing Substantially Stable Haptics」と題する米国特許出願第13/339,369号において説明されている。本発明の1つの実施形態では、矢状鋸を表す仮想ツールは、11個のHIPを含む。本明細書で使用されるように、「HIP」への言及は、「1つ以上のHIP」への言及をも含むと見なされる。以下で説明されるように、HIPと触覚物体との間の関係は、手術システム200が手術ツール234を制約することを可能にする。
【0033】
外科的処置の実行の前に、患者の生体構造(例えば、大腿骨206)は、いずれかの既知の登録技術によって、患者の生体構造の仮想骨モデルに登録される。1つのとり得る登録技術は、その全体で本明細書において参照することによって以下に組み込まれる、2011年8月30日に許可された「Haptic Guidance System and Method」と題する米国特許第8,010,180号において説明されるようなポイント方式登録である。代わりに、登録は、その全体で本明細書において参照することによって以下に組み込まれる、2012年7月30日に出願された「Radiographic Imaging Device」と題する米国特許出願第13/562,163号において説明されるような、ハンドヘルドX線撮影撮像デバイスを利用した2D/3D登録によって達成されてもよい。登録は、手術ツール234の仮想ツール表現への手術ツール234の登録をも含み、その結果、手術システム200は、患者に対する(すなわち、大腿骨206に対する)手術ツール234の姿勢を判定及び監視することができる。登録は、外科的処置の間の正確なナビゲーション、制御、及び/又は力フィードバックを可能にする。いくつかの実施形態における股関節形成術手順のための登録に関連する追加の詳細は、以下で詳細に説明される。
【0034】
プロセシング回路260は、患者の骨(例えば、大腿骨206)、手術ツール234、及びロボットデバイス220により生じた力によって定義された1つ以上の線、平面、又は三次元空間の実世界の位置に対応する、仮想ツール表現、仮想骨モデル、及び制御物体(例えば、仮想触覚物体)の仮想位置を監視するように構成される。例えば、患者の生体構造が追跡システム222によって追跡されるように外科的処置の間に移動する場合、プロセシング回路260は、対応して仮想骨モデルを移動させる。したがって、仮想骨モデルは、患者の実際の(すなわち、物理)生体構造並びに実/物理空間内の生体構造の位置及び方位に対応し、又はそれらと関連付けられる。いずれかの触覚物体、制御物体、又はその生体構造に対して行われることになる切断、修正などに結び付けられた手術計画の間に生じた他の計画された自動化ロボットデバイス動作も、患者の生体構造に対応して移動する。いくつかの実施形態では、手術システム200は、大腿骨206を実質的に固定化して、大腿骨206の動作を追跡及び処理する必要性を最小化するためのクランプ又はブレースを含む。
【0035】
ロボットデバイス220が触覚デバイスである実施形態について、手術システム200は、HIPと触覚物体との間の関係に基づいて、手術ツール234を制約するように構成される。すなわち、触覚物体と仮想的に接触して股関節を至らせるよう手術ツール234をユーザが操作していることを検出するために、追跡システム222によって供給されたデータをプロセシング回路260が使用するとき、プロセシング回路260は、手術ツール234の移動に対する制約を通信する触覚フィードバック(例えば、力、振動)をユーザに提供する、ロボットアーム232への制御信号を生成する。概して、用語「制約」は、本明細書で使用されるように、移動を規制する傾向を説明するために使用される。しかしながら、手術ツール234に課される制約の形式は、関連する触覚物体の形式に依存する。触覚物体は、いずれかの望ましい形状又は構成において成形されてもよい。上記述べられたように、3つの例示的な実施形態は、線、平面、又は三次元体積を含む。1つの実施形態では、手術ツール234のHIPが線形触覚物体に沿った移動に規制されることを理由に、手術ツール234が制約される。別の実施形態では、触覚物体は、三次元体積であり、手術ツール234は、三次元触覚物体の壁によって囲まれた体積の外側のHIPの移動を実質的に防止することによって制約されてもよい。別の実施形態では、平面触覚物体が平面の外側及び平面触覚物体の境界の外側でのHIPの移動を実質的に防止することを理由に、手術ツール234が制約される。例えば、プロセシング回路260は、計画された遠位切断を行うために必要な平面に手術ツール234を実質的に制限するために、大腿骨206上で遠位表面を生成するために必要な計画された平面遠位切断に対応する平面触覚物体を確立することができる。
【0036】
ロボットデバイス220が自律デバイスである実施形態について、手術システム200は、制御物体に従って、手術ツール234を自律的に移動及び動作させるように構成される。例えば、制御物体は、それに対して切断が行われるべきである大腿骨206に対するエリアを定義してもよい。そのようなケースでは、1つ以上のモータ、アクチュエータ、及び/又はロボットアーム232及び手術ツール234の他の機構は、例えば、閉ループ制御を可能にするために、追跡システム222からの追跡データを使用して、計画された切断を行うために制御物体内で必要とされるように手術ツール234を移動及び動作させるように制御可能である。
【0037】
ここで図3を参照して、例示的な実施形態に従った、股関節形成術手順を計画および実施する処理300のフローチャートが示される。処理300は、図2の手術システム200によって実行されてもよい。加えて、図4~16は、処理300において使用される、様々なシステム、方法、グラフィカルユーザインタフェースなどを示す。処理300の説明を促進するために、それらへの参照が行われる。処理300が図4~16の実施例に限定されないことが理解されるべきである。加えて、図3~16は、股関節に関連する手順を計画及び実施する処理300の実施形態を例示するが、他の生体構造、例えば、肩又は膝に関連する手順を計画および実施するための他の実施形態が可能である。
【0038】
ステップ301において、骨盤の仮想骨モデルを生成するよう、股関節の医療画像が受信及びセグメント化される。例えば、医療画像は、CT技術、MRI技術、又は何らかの他の医療撮像モダリティを使用して収集されてもよい。画像は次いで、骨盤、大腿骨、軟組織、及び/又は1つ以上の前に植え付けられた人工装具部材に対応する画像のエリアを区別するようセグメント化、すなわち、処理される。
【0039】
修正股関節形成術のケースでは(すなわち、前に植え付けられたカップが画像内に示される)、前に植え付けられたカップは「固定され」(すなわち、実質的に骨盤に堅く結合される)、又は「緩い」(すなわち、骨盤から少なくとも部分的に分離される)かどうかの判定が行われてもよい。前に植え付けられたカップが固定されている場合、以下で詳細に説明されるように、例えば、ステップ306において登録を促進するよう、前に植え付けられたカップの形状、位置などが判定されてもよく、骨盤の仮想骨モデルに含まれてもよい。前に植え付けられたカップが緩い場合、緩いカップが骨盤の仮想骨モデルに含まれないように、前に植え付けられたカップが外れてセグメント化されてもよい。加えて、前に植え付けられたカップの材料及び/又は撮像の間の緩いカップの移動によって生じることがあるCT又は他の画像内の歪みに対処するために、様々な修正が導入されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、ステップ301は、プロセシング回路260又は他のコンピューティングリソースによって自動で達成される。他の実施形態では、ステップ301のセグメント化及びモデル生成を達成するために、自動化機能と協働して人間による入力が使用される。
【0041】
ステップ302において、仮想骨モデルに対して、すなわち、ステップ301において生成された骨盤の仮想モデルに対して、及び、いくつかのケースでは、前に植え付けられた部材(例えば、一次カップ、破砕板、圧縮ネジなど)に対して、仮想カップモデルを仮想的に配置することによって、骨盤に対するインプラントカップの配置が計画される。仮想カップモデルは、外科的処置の間に患者の中に植え付けられることになるカップインプラントの仮想表現である。様々なカップサイズ、形状、タイプなどが可能であってもよく、異なる仮想カップモデルがカップごとに利用可能である。股関節についての所望の回転の中心をもたらし(骨盤に対する、患者の他の股関節に対するなど)、動作の全範囲を保証するよう、仮想カップモデルが配置される。仮想カップモデルの姿勢を選択及び評価することにおいて外科医又は他のユーザを促進するよう、手術システム100を介して様々なソフトウェア計画ツールが設けられてもよい。
【0042】
図4~5は、ステップ302におけるカップ配置の計画を促進するための、プロセシング回路260によって生成することができ、ディスプレイ264上で表示することができるグラフィカルユーザインタフェースを例示する。図4は、ステップ301において受信されたCT画像に対する計画されたカップ姿勢の二次元視覚化を示す。図5は、ステップ301において生成された仮想骨モデルに対する計画されたカップ姿勢の三次元視覚化を示す。両方は、以下で更に詳細に説明される。
【0043】
図4では、グラフィカルユーザインタフェース400は、仮想インプラントカップ404の表現とオーバレイされた第1のCT画像402を含む。仮想インプラントカップ404の中心点(回転の中心)406も示される。加えて、図4に示されるように、グラフィカルユーザインタフェース400は、撮像されるような、すなわち、外科的手術の前の関節の前の中心点408を視覚化する。図4の実施例では、グラフィカルユーザインタフェース400は、仮想インプラントカップ404、中心点406、及び前の中心点408ともオーバレイされた、第2のCT画像410(例えば、異なる平面内で撮られた)をも示す。有利なことに、骨密度は、CT画像402、410内で視認可能であることができる。グラフィカルユーザインタフェース400はそれによって、外科医が、ステップ302において撮像された骨に対する仮想インプラントカップ404の配置を判定することを容易にすることができる。
【0044】
図5では、グラフィカルユーザインタフェース400は、仮想骨モデル502の三次元視覚化及び仮想骨モデル502に対して配置された仮想インプラントカップ404の三次元視覚化を含む。グラフィカルユーザインタフェース400は、画像から判定されるような股関節の回転の中心を示す前の中心点408と共に、仮想インプラントカップ404の中心点406を含む。グラフィカルユーザインタフェース400はそれによって、外科医が、仮想インプラントカップ404の計画された姿勢を参照及び調節することを容易にする。
【0045】
図4~5に示されるように、グラフィカルユーザインタフェース400は、仮想骨モデル502に対して仮想インプラントカップ404を転換又は回転させるために選択することができる制御矢印504を含む。グラフィカルユーザインタフェース400は、ユーザに関心があることができる様々な情報、例えば、骨盤傾斜、カップ傾き、カップバージョン、幹部バージョン、組み合わされたバージョン、並びに後方距離、中間距離、及び前方距離を示すデータフィールド506をも含む。図4~5のグラフィカルユーザインタフェース400はそれによって、ステップ302における骨盤に対するインプラントカップ配置の計画を促進する。
【0046】
ステップ304において、仮想インプラントカップに対して仮想オーグメントモデルを仮想的に配置することによって、インプラントオーグメントの配置が計画される。例えば、ステップ302において計画された位置にインプラントカップを信頼して且つしっかりと取り付けるためにオーグメントが必要となる場合がある、図5の仮想骨モデル502又は図4のCT画像の視覚化に基づいて判定が行われてもよい。オーグメントを含めるオプションが、グラフィカルユーザインタフェースを介して選択されてもよい。図6~7は、仮想オーグメントモデル600を示し、仮想オーグメントモデル600の所望の配置の選択を容易にする、グラフィカルユーザインタフェース400内のビューを示す。図6に示されるように、仮想オーグメント600は、3D不透明ビュー内で仮想骨モデル502及び仮想インプラントカップ404に対する位置内で可視化される。図7に示されるように、仮想オーグメント600は、半透明ビュー及び2つのCT画像ビュー内で仮想骨モデル502に対する位置内で可視化される。図6~7は、以下で更に詳細に説明される。
【0047】
ほとんどのケースでは、インプラントオーグメントは、例えば、インプラントカップの外部表面に実質的に等しい程度の曲率又は半径を有する、インプラントカップの外部表面に実質的に整合する内部表面を有する。オーグメントはそれによって、インプラントカップに隣接して配置され、インプラントカップに対する構造的支持をもたらすように構成される。
【0048】
図6に示されるように、グラフィカルユーザインタフェース400は、カップへのロックボタン602を含む。カップへのロックボタン602が選択されるとき、仮想オーグメント600は、仮想カップ404に対する事前に定義された間隔に制限される。例えば、仮想オーグメント600は、仮想オーグメント600が仮想カップ404からほぼ2ミリメートルにあるように位置付けられてもよい。この間隔は、カップにオーグメントを結合するために手順の間にセメント又は他の接着剤により充填することができる体積をもたらす。図6に示されるように、グラフィカルユーザインタフェース400は、仮想オーグメント600の回転、バージョン、及び傾きを改変するように選択することができると共に、仮想カップ404に対する事前に定義された間隔を保存する制御ボタン604のアレイを含む。したがって、ステップ304は、インプラントオーグメントの計画された配置を、カップの計画された位置に対する事前に定義された間隔に制限することを含んでもよい。
【0049】
図7に示されるように、グラフィカルユーザインタフェース400は、仮想カップ404を有さない、仮想オーグメント600及び仮想骨モデル502の表現を示す。図7に示されるように、グラフィカルユーザインタフェース400は、外科医が、カップを受けるための表面の成形への仮想オーグメント600の貢献を評価することを容易にすることができる。CTビュー704は、患者の股関節の収集されたCT画像に対する仮想オーグメント600の二次元ビューを示す。CT画像は、骨密度、前のインプラントカップ、他のインプラント部材(例えば、外傷性損害を処置するために使用されるネジ、プレートなど)、及び/又は他の有用な情報を示してもよい。図6~7のグラフィカルユーザインタフェース400はそれによって、インプラントカップ及び骨盤に対するインプラントオーグメントの計画を促進する。グラフィカルユーザインタフェース400はまた、インプラント及びオーグメントのネジ軌道の計画を促進することができ、その結果、そのようなネジ軌道が同時に考慮/計画される。これは、ネジが相互に、又はいずれかの既存のハードウェア(例えば、外傷ネジ/プレート)と干渉しないように、オーグメント及びインプラントカップが位置付けられることを保証することができる。ネジ軌道も、適切なネジ固定が達成されることを確実にするよう、骨密度に対して視覚化されてもよい。
【0050】
ステップ302及び304はそれによって、インプラントカップの計画された姿勢及びインプラントカップの計画された姿勢を結果としてもたらすことができる。そのような計画(すなわち、ステップ301~304)は、手術前及び/又は手術中に行われてもよい。処理300の残りのステップは、手術中、すなわち、外科的処置の間に行われる。
【0051】
ステップ306において、患者の骨盤、手術ツール(複数可)、ロボットデバイス、及び/又は他の追跡されたプローブもしくは機器の相対位置を登録するよう、登録処理が実行される。例えば、プローブは、骨盤の姿勢を判定するよう、追跡システム222によって追跡されてもよく、骨盤上の様々な点に触れられてもよい。図2を参照して様々な登録方法が上記説明されてきた。
【0052】
修正股関節形成術手順のケースでは、前に植え付けられたカップが緩いか又は固定されているかどうかに応じて、異なる登録ワークフローが使用されてもよい。図8は、例示的な実施形態に従った、修正股関節形成術手順における登録のための処理800のフローチャートを示す。
【0053】
図8に例示されるように、前のカップが固定される場合、ステップ802において、前のインプラントのライナ(すなわち、前の手順において植え付けられた)が取り除かれる。ステップ804において、骨盤に固定された、前のインプラントカップを介して骨盤の位置が登録される。例えば、追跡されたプローブは、前のインプラントカップの表面の姿勢を判定するよう、前のインプラントカップ上の様々な位置に触れられてもよい。別の実施例として、前のインプラントカップの表面の姿勢を判定するために、手術中撮像(例えば、x線)が使用されてもよい。前のインプラントカップと骨盤との間の幾何学的関係が固定され、ステップ301において受信された医療画像から既知であることを理由に、骨盤の登録のためにそのようなデータが使用されてもよい。既存のハードウェア(例えば、外傷ネジ/プレート)を特定及び登録して、手順の間にそのような構造の回避を容易にする(例えば、そのような構造の特定された位置の周りで仮想制御物体を生成することによって)ために、追跡されたプローブ及び/又は手術中撮像も使用されてもよい。登録に続いて、修正インプラントが取り付けられることを可能にするよう、ステップ806において前のカップが取り除かれる。いくつかの実施形態では、例えば、米国特許出願公開第20180014891号明細書において説明されるように、前の(一次、既存の)インプラントを取り除くことを容易にするために、触覚案内が使用される。例えば、インプラント設計のライブラリを参照して、関連するインプラントの幾何学形状を判定し、プローブを使用して前のインプラントのエッジを識別し、探査されたエッジに基づいて触覚境界を生成することによって、仮想制御物体が生成されてもよい。
【0054】
また、図8に例示されるように、前のカップが緩く(すなわち、固定されていない)、骨盤の登録の前に、ステップ808において前のカップ及びライナが取り除かれる。ステップ810において、前のカップなしで骨盤が登録される。例えば、前のカップがそれから取り除かれた領域の周り又は領域内の様々な点にプローブが触れられてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態に従ってステップ306の登録をさらに容易にするために、図9~10は、様々なシナリオにおける登録のために使用することができる骨盤の領域を描写する。図9は、固定されたカップを含む仮想骨モデル900を例示すると共に、図10は、緩いラップが取り除かれ、ほぼ平滑な表面にした、仮想骨モデル1000を例示する。図9~10は、領域A902、領域B1002、領域C1004、及び領域D904として示される、いくつかの登録領域の分界を含む。
【0056】
固定されたカップによるシナリオでは、登録点(すなわち、追跡されたプローブによって触れられ、登録のために使用される点)は、前に植え付けられた固定されたカップの表面に対応する、領域A902内で撮られてもよい。前に植え付けられたカップの除去を可能にするよう外科手術の間に領域A902が露出されるので、そのような点は特に、信頼でき且つアクセス可能であることができる。他の点も、例えば、領域D904内で(腸骨稜に沿って)及び/又は領域C904内で(寛骨臼の上で)撮られてもよい。
【0057】
緩いカップによるシナリオでは、登録点は、緩いカップが患者から取り除かれるときに露出された寛骨臼表面に対応する領域B1002内で撮られてもよい。例えば、登録点は、領域B1002の縁の周りで撮られてもよい。そのような点の信頼性は、領域B1002の表面を露出するよう取り除かれた、緩いカップからの手術前画像内で骨の表面を区別することにおいて、ステップ301のセグメント化の精度に依存することがある。いくつかの実施形態では、寛骨臼登録点を使用せず(領域A902又は領域B904内の登録点を使用せず)、追加の寛骨臼登録点(例えば、領域C1004及び/又は領域D904内の点)を使用することによって、骨盤の登録が緩いカップシナリオにおいて達成される。
【0058】
ステップ306において実施されるような登録はそれによって、仮想空間内の仮想骨モデル502の仮想位置への、実空間内の骨盤の実際の姿勢のマッピングを促進する。仮想インプラントオーグメント及び仮想インプラントカップの仮想的に計画された姿勢は次いで、実空間内の実姿勢(例えば、追跡システム222によって使用される座標系に対する)とも関連付けられてもよい。
【0059】
一次カップ(すなわち、既存のインプラント)は次いで、標準技術を使用して取り除かれてもよい。いくつかのケースでは、一次カップの除去は、元の手術計画を考慮しなかった予測できない欠陥空洞を結果としてもたらすことがある。そのようなケースでは、プローブが欠陥空洞の表面上の様々な位置に触れられ、欠陥空洞に沿って追跡/塗装されるなどように、例えば、プローブの位置を追跡することによって、欠陥空洞の輪郭(サイズ、形状、姿勢など)を定義するために、追跡されたプローブが使用されてもよい。仮想骨モデルは次いで、欠陥空洞の仮想表現を含むように更新されてもよく、その結果、仮想骨モデルは、一次カップ除去の後の骨の実際の形状に実質的に整合する。手術計画は次いで、例えば、オーグメントのサイズ又は姿勢を修正することによって、欠陥空洞を考慮するように調節されてもよい。セグメント化処理からの空隙を補正し、又は元の画像(例えば、CT画像)内の散乱の領域を明確にするために、手術中登録及び骨モデル更新も使用されてもよい。
【0060】
手術中に特定及び登録することができる他の特徴、例えば、不十分な骨ストック、嚢胞などの識別に応答して、同様の更新が行われてもよい。いくつかの実施形態では、切除されることが望まれる特徴(例えば、嚢胞)の位置を示す位置にユーザによって移動されたプローブの追跡された位置に基づいて、カスタム仮想制御境界が手術中に自動で生成される。ロボットデバイス220は次いで、識別された特徴を切除するよう、カスタム仮想制御境界に基づいて制御されてもよい。
【0061】
加えて、いくつかの実施形態では、初期切除(例えば、骨棘切除)に続いて、仮想骨モデルが更新されてもよい。例えば、切断アクセサリが骨棘又は他の特徴を取り除くために使用されるように、骨に対して切断アクセサリ(例えば、ロボットデバイス220に取り付けられた)が追跡されてもよい。切断アクセサリの追跡された移動に基づいて、切除された特徴に対応する仮想骨モデルの位置の一部を取り除くことによって、切断アクセサリによって行われた修正を含むように仮想骨モデルが自動で更新されてもよい。仮想骨モデルはそれによって、再撮像なしに切除後骨表面を正確に表すように更新されてもよい。手順の残りのステップについての手術計画は、更新された仮想骨モデルに基づいて更新されてもよく、又は他の介入が計画されてもよい(例えば、空隙を充填するための骨接ぎ木など)。
【0062】
ステップ308において、寛骨臼をリーマ通しして、骨盤の表面を形成して計画された姿勢内でカップを受けるように、ロボットデバイス220が制御される。例えば、カップ仮想制御物体は、カップの計画された姿勢に基づいて生成されてもよい(本明細書で「カップ仮想制御物体」と称される)。例えば、カップ仮想制御物体は、カップの外部表面に対応し、カップの計画された姿勢内に配列された表面を含んでもよい。カップ仮想制御物体のそのような表面は、計画された骨修正、例えば、整合(例えば、リーマ通し)処理の後の骨の結果として生じる構成を定義し、その結果、計画された姿勢内でカップインプラントを受けるように骨が形成される。
【0063】
ステップ308において、カップ仮想制御物体を使用して、ロボットデバイス220が制御されてもよい。いくつかの実施形態では、ロボットデバイス220は、手術ツール234を移動及び動作させて、骨盤をリーマ通しして、骨盤を形成して計画された位置内でカップを受けるように、カップ仮想制御物体によって案内されるように自律移動を実行する。他の実施形態では、ロボットデバイス220は、ユーザが手術ツール234を操作して、骨盤をリーマ通しして、骨盤を形成して計画された位置内でカップを受けるように、カップ仮想制御物体内で手術ツール234を制約する触覚フィードバックをユーザに提供する。それらの制御モダリティ及び他のとり得る制御モダリティは、図2を参照して上記で詳細に説明されている。
【0064】
図11は、例えば、ロボットデバイス220が触覚デバイスである実施形態において、ステップ308の実行を促進するよう、プロセシング回路260によって生成することができ、ディスプレイ264上で表示することができるグラフィカルユーザインタフェース1100の実施例を示す。グラフィカルユーザインタフェース1100は、手術計画に従って取り除かれることになる骨のエリアを示す、色分けされ(例えば、緑)又は網掛けされた領域1102を有する仮想骨モデル502を示す。矢印1104は、手術ツール234の現在方位及び中心点を示す。ツールインジケータ1106は、手術ツール234が現在動作していることを示す(例えば、リーマが回転していること)。
【0065】
プロセシング回路260は、骨盤の追跡された姿勢及び追跡システム222からの手術ツール234を使用して、グラフィカルユーザインタフェース1100をリアルタイムで更新するように構成される。例えば、手術ツール234の切断アクセサリ(例えば、リーマツールのヘッド)が骨の対応するエリアを通過することを追跡データが示すように、色分けされ又は網掛けされた領域1102は、サイズにおいて減少してもよい。計画された骨修正の完了は、色分けされ又は網掛けされた領域1102の完全な消費(減少が何もならないこと、消去など)に対応する。
【0066】
仮想制御物体も、グラフィカルユーザインタフェース1100によって示されてもよい。いくつかのケースでは、プロセシング回路260は、手術ツール234が仮想制御物体の制約に違反したこと、及び手術計画を越えて骨を修正したことを追跡システム222からのデータが示すエリアを示すために、異なる色分け(例えば、赤)を設けることができる。
【0067】
ステップ310において、寛骨臼をリーマ通しして、骨盤の表面を形成してインプラントオーグメントの計画された姿勢内でインプラントオーグメントを受けるように、ロボットデバイス220が制御される。
【0068】
例えば、オーグメントの計画された姿勢に基づいて、仮想制御物体が生成されてもよい(本明細書で「オーグメント仮想制御物体」と称される)。例えば、オーグメント仮想制御物体は、オーグメントの外部表面に対応し、オーグメントの計画された姿勢内に配列された表面を含んでもよい。オーグメント仮想制御物体のそのような表面は、計画された骨修正、例えば、整合処理の後の骨の結果として生じる構成を定義し、その結果、計画された姿勢内でオーグメントインプラントを受けるように骨が形成される。
【0069】
いくつかの実施形態では、カップ仮想制御物体及びオーグメント仮想制御物体は、別個の仮想制御物体であり、骨を最初に形成してカップを受け、次いで、骨を形成してオーグメントを受けることによって、手術計画を直列に実行するように適用される。いくつかのケースでは、順序が反転されてもよく、その結果、オーグメント仮想制御物体を使用して、骨を最初に形成してオーグメントを受けるように、ロボットデバイス220が制御され、次いで、骨を形成してカップを受けるようにロボットデバイス220を制御するために、カップ仮想制御物体が適用される。
【0070】
いくつかのそのような実施形態では、カップ仮想制御物体及びオーグメント仮想制御物体によって、手術ツールについての異なるアプローチの方位が必要とされることがある。プロセシング回路260は、第1の骨修正の完了(すなわち、ステップ308の終わり)を判定してもよく、第2の骨修正を開始する前(すなわち、ステップ310の実行)、例えば、折り畳み触覚境界を使用して、カップ仮想制御物体によって必要とされる方位からオーグメント仮想制御物体によって必要とされる方位に手術ツールを案内してもよい。加えて、いくつかの実施形態では、手術ツール234への変更は、ステップ308及び310の間で行われてもよく、例えば、その結果、カップ領域を形成するために、第1のサイズを有する第1のリーマヘッドが使用され、骨を形成してオーグメントを受けるために、第2の(例えば、より小さい)サイズを有する第2のリーマヘッドが使用される。グラフィカルユーザインタフェース1100は、手術ツール234にそのような変更を行うために、プロンプトを表示してもよい。
【0071】
他の実施形態では、カップ仮想制御物体及びオーグメント仮想制御物体は、カップ及びオーグメントの両方に対応する表面を含む単一の仮想制御物体として組み合わされてもよい。そのような実施形態では、ステップ308及び310は、統一された(同時)方式において実行されてもよい。
【0072】
図12は、例示的な実施形態においてステップ310の間に表示されるようなグラフィカルユーザインタフェース1100を示す。グラフィカルユーザインタフェース1100は、ステップ310の間に手術計画に従って取り除かれることになる骨のエリアを示す色分けされ(例えば、緑)又は網掛けされた領域1102を有する仮想骨モデル502を示す。ステップ308の間に行われた実際の骨の修正を視覚化するために、プロセシング回路260によって仮想骨モデル502が修正されてきた。矢印1104は、手術ツール234の現在方位及び中心点を示す。示される実施例では、矢印1104は、図11に示されるように、矢印1104の方位に対して方位を変更してきた。ツールインジケータ1106は、手術ツール234が現在動作していることを示す(例えば、リーマが回転していること)。
【0073】
ステップ308を促進するために、プロセシング回路260は、骨盤の追跡された姿勢及び追跡システム222からの手術ツール234を使用して、グラフィカルユーザインタフェース1100をリアルタイムで更新するように構成される。例えば、手術ツール234の切断アクセサリ(例えば、リーマツールのヘッド)が骨の対応するエリアを通過することを追跡データが示すように、色分けされ又は網掛けされた領域1102は、サイズにおいて減少してもよい。計画された骨修正の完了は、色分けされ又は網掛けされた領域1102の完全な消費(減少が何もならないこと、消去など)に対応する。
【0074】
ステップ308及び310はそれによって、ステップ302において計画された姿勢内でカップを受け、ステップ304において計画された姿勢内でインプラントを受けるように形成された骨(例えば、骨盤)を結果としてもたらす。
【0075】
ステップ312において、例えば、図13の実施例の実施形態に例示されるように、オーグメントが計画された姿勢内に配置され、オーグメントの実際の姿勢と計画された姿勢との間での整合が検証される。図13に示されるように、外科医は、手術サイト内、及びほぼ計画された姿勢内で骨に隣接してオーグメント1300を手動で配置してきた。オーグメント1300上の点に触れるとしてナビゲーションプローブ1302が示される。ナビゲーションプローブ1302は、追跡システム222によって追跡されてもよく、その結果、追跡システム222は、他の追跡された物体、例えば、ステップ308~310において修正された骨に対するプローブ1302の先端1304の位置を確認することができる。ナビゲーションプローブ1302がオーグメント1300上の複数の点に触れられるにつれてナビゲーションプローブ1302を追跡することによって、オーグメント1300の姿勢は、追跡システム222及びプロセシング回路260によって判定されてもよい。そのような実施形態では、プロセシング回路260は、オーグメント1300の追跡された姿勢を、ステップ304からのオーグメントの計画された姿勢と比較するように構成される。プロセシング回路260は、ディスプレイ264に、オーグメント1300の追跡された姿勢がオーグメントの計画された姿勢と整合することのインジケーションを表示させてもよく、及び/又はオーグメント1300の追跡された姿勢をオーグメント1300の計画された姿勢との合意に至らせるよう、オーグメント1300の実際の姿勢を修正するための案内を提供させてもよい。他の実施形態では、オーグメント1300は、追跡された挿入機ツールに結合されてもよく、その結果、プロセシング回路は、計画された姿勢へのオーグメントのナビゲーションを促進するために、挿入機ツールの追跡された姿勢を使用することができる。いくつかの実施形態では、挿入機ツールは、ロボットデバイス220又は別のロボットアームによって支持され、その結果、挿入機ツールは、選択された位置内でオーグメント1300を保持することができる。
【0076】
ステップ314において、例えば、図14の実施例の実施形態に例示されるように、オーグメントが骨盤に結合される間、計画された配置内でオーグメントを保持するように、ロボットデバイス220が制御される。図14に示されるように、オーグメント1300は、図13及びステップ312を参照して説明されるように位置付けられる。ホルダアーム1400は、ロボットアーム232に結合され、トライアルカップインプラント1402を保持するとして示される。オーグメント1300とは反対にトライアルカップインプラント1402を押し進めて、骨とは反対にオーグメント1300を押し、それによって、骨に対して計画された姿勢内でオーグメント1300を保持するように、ロボットアーム232が制御される。オーグメント1300は次いで、骨に結合されてもよい。図14の実施例では、オーグメント1300を通じて、及び骨の中に1つ以上のネジを挿入して、計画された位置内で骨にオーグメント1300を固定するために、手術ドリル1404(例えば、伸縮自在ドリル)が使用される。ロボットデバイス220によって適切な位置に保持されるような、トライアルカップインプラント1402は、ネジが挿入される間のオーグメント1300の移動を実質的に防止することができ、それによって、外科手術を実施するために必要な外科医又は手術アシスタントの数を低減させ、術野の視認性を改善し、手術計画に対するオーグメント1300の配置の精度を改善する。この実施形態では、トライアルカップインプラントが使用されるが、ステップ314において最終カップインプラントも使用されてもよい。
【0077】
他の実施形態では、ステップ314において、オーグメント1300がホルダアームに結合され、その結果、オーグメント1300の位置を調節するよう、ロボットデバイス220によってホルダアームが移動されてもよい。そのような実施形態では、例えば、自律的に又は外科医に触覚フィードバックを提供することによって、計画された姿勢にオーグメント1300を移動させるように、ロボットデバイス220が制御される。いくつかの実施形態では、手術ドリル1404は、ロボット的に制御され(例えば、第2のロボットアームに結合され)、手術計画に従って、オーグメントを通じて骨の中にネジを自律的に挿入するように構成される。いくつかの実施形態では、ネジの挿入のためのパイロット孔を形成するために、手術ツール234の切断アクセサリが使用されてもよい(自律的に又は触覚案内の下で)。いくつかのそのような実施形態では、ネジ挿入アクセサリは次いで、パイロット孔の中に及びオーグメントを通じて骨ネジを挿入するように(自律的に又は触覚案内の下で)、手術ツール234に搭載されてもよい。
【0078】
ステップ316において、インプラントカップについての実質的に計画された姿勢内にインプラントカップが配置される(以下で説明されるステップ320を予期して計画された姿勢からわずかに間隔を空けられて)。いくつかの実施形態では、ステップ312を参照してオーグメントについて上記説明されたように、カップが外科医によって手動で配置され、ナビゲーションプローブを使用してその位置がチェックされる。他の実施形態では、ロボットデバイス220に結合された嵌め込みアーム上でインプラントカップが搭載される。例えば、自律的に又はユーザに触覚フィードバックを提供することによって、実質的に計画された姿勢にインプラントカップを移動させるように、ロボットデバイス220が制御される。例えば、インプラントカップが計画された姿勢に近くに至らされるにつれて、すなわち、計画された姿勢に近いが、現在位置に対して計画された位置から実質的に更に離れずにインプラントカップを移動させることができるように、折り畳む(小さくなり、収束する)仮想制御物体内でインプラントカップの位置を制約することによって、触覚フィードバックが提供されてもよい。インプラントカップはそれによって、実質的に計画された姿勢内で位置付けられ及び方位付けられる。
【0079】
ステップ318において、カップとオーグメントとの間にセメントが設けられる。ステップ304を参照して上述したように、オーグメントの計画された姿勢は、セメントがカップとオーグメントとの間に含まれて、オーグメントにカップを結合することを可能にするよう、カップの計画された姿勢から離れて間隔を空けられる。ステップ312~316に従うことによって、カップ及びオーグメントの実際の位置も、カップとオーグメントとの間のセメントについての空間をもたらす。したがって、処理300は、カップとオーグメントとの間の予想可能な、一貫した、且つ好ましい(計画された、臨床的に検証されたなど)量のセメントの使用を促進する。
【0080】
ステップ320において、カップ嵌め込みを容易にして、計画された配置内でカップを固定するように、ロボットデバイスが制御される。図15は、ステップ320を実行するように配列された手術システム200の実施例の実施形態を示す。図15に示されるように、嵌め込みデバイス1500がロボットアーム232上で搭載される。嵌め込みデバイス1500をカップの計画された方位と位置合わせし、嵌め込みデバイス1500の遠位端1501がカップについての実質的に計画された位置においてカップと接触するように、ロボットアーム232が制御される。図15は、カップ嵌め込みのために嵌め込みデバイス1500が適切に位置付けられることのインジケーションを提供するようなディスプレイデバイス264を示す。手術システム200が図15に示される状態にあるとき、外科医は、嵌め込みデバイス1500の近位端1502に鈍力を提供することがある。骨盤の中にカップを嵌入させるよう、嵌め込みデバイス1500に沿って力が伝達される。この力によって、骨盤に対してカップを実質的に固定するよう、カップが骨盤の中に駆動される。ロボットアーム232及びディスプレイデバイス264上で表示される情報は、外科医が、カップが計画された姿勢内で(すなわち、ステップ302において計画されるように)骨盤に固定されるように、嵌め込みを達成することを容易にする。
【0081】
ステップ322において、セメント硬化の持続時間の間(例えば、10分)に計画された姿勢内でカップを保持し続けるように、ロボットデバイスが制御される。図16は、実施例の実施形態におけるステップ322を例示し、ホルダアーム1400によってインプラントオーグメント1300に対する位置に保持されたインプラントカップ1600を示す。ホルダアーム1400は、嵌め込みデバイス1500と同一のデバイス又は異なるデバイスであってもよい。この保持するタスクを自動化することによって、外科医又は手術アシスタントは、外科的処置に関連する他のタスクを達成することから有利に解放されることができる。加えて、セメント硬化の間のロボット支援及び追跡された位置は、カップとオーグメントとの間の計画された幾何学的関係が達成されることを保証することができる。更に、セメントが固まるにつれて相対的移動が最小化されることを理由に、セメント被膜の整合性並びにカップ及びオーグメントの統合を最適化することができる。
【0082】
ステップ322に続いて、例えば、カップ内でライナを位置付け、カップ内で大腿骨インプラントを位置付け、股関節に近接して軟組織を修復し、外科的切開を終えるための確立されたワークフローに従って、外科的処置が継続してもよい。手術システム200は、様々な実施形態におけるそれらの追加のステップの一部又は全てを支援するように構成されてもよい。処理300はそれによって、個別化された手術計画に従って、オーグメント及びカップの正確な配置をもたらすことによって、外科医についての手術効率性及び経験を改善することができ、外科的処置の持続時間を低減させることができ、患者の転帰を改善することができる。
【0083】
図3~16が股関節形成術手順に関連する実施形態を示すが、それらに関して説明されるシステム及び方法は、肩関節形成術手順に対して適合されてもよいことを理解されるべきである。例えば、処理300のワークフローに従って、関節窩においてオーグメント、メッシュ、骨接ぎ木、又は他の支持構造が計画及び取り付けられてもよい。いくつかの実施形態において、オーグメントは、特定の患者のために(例えば、追加の製造を用いて)カスタマイズされうる。
【0084】
ここで図17を参照して、例示的な実施形態に従った、膝関節形成術手順におけるオーグメントの使用を容易にする処理1700のフローチャートが示される。処理1700は、いくつかの実施形態では、図2の手術システムによって実行されてもよい。全膝関節形成術手順では、脛骨インプラントに結合されるように脛骨が形成され、大腿骨インプラントに結合されるように大腿骨が形成される。手順に従って、膝機能をもたらすように、脛骨インプラント及び大腿骨インプラントが相互に関接でつながれる。全膝関節形成術手順の1つの目標は、ユーザへの痛み又は不快なしに全範囲の膝の動作を保証する、相対位置内で脛骨及び大腿骨インプラントを配置することである。全膝関節形成術手順の別の目標は、膝の機能的使用からの負荷(例えば、立っていること、歩いていること、走っていること、バイクに乗っていることなど)に耐えるように、脛骨及び大腿骨部材が脛骨及び大腿骨に結合されることを保証することである。したがって、いくつかのケースでは(例えば、骨錐体、修正膝手順など)、患者の転帰を改善するよう、インプラントについての構造的支持をもたらし、好ましい姿勢内でのインプラントの配置を容易にするために、脛骨又は大腿骨インプラントに加えて1つ以上のオーグメント部材を使用することが望ましいことがある。
【0085】
処理1700のステップ1702において、トライアルインプラント又はテンプレートは、骨(例えば、大腿骨又は脛骨)に対する所望の姿勢内で物理的に位置付けられる。いくつかのケースでは、ステップ1702の前に膝関節形成術手順の間に骨に対して1回以上の切断又は他の修正が行われていることがある。ステップ1702において、トライアルインプラントが所望の(適切な、臨床的に有利であるなど)姿勢にあるかどうかを判定するように、様々な試験が実行されてもよい。例えば、靱帯平衡試験が実行されてもよい。
【0086】
トライアルインプラントが所望の姿勢内で位置付けられていたとき、ステップ1704において、トライアルインプラント上の1つ以上の線又は点に触れ又は追跡するためにプローブが使用される間、追跡されたプローブの姿勢が追跡される。骨の追跡された位置及び方位に対する追跡されたプローブの位置及び方位は、図2を参照して上記説明されたような登録処理によって判定されてもよい。図18~21は、ステップ1704の実施例の非限定的な実施形態を例示する。
【0087】
図18及び19に示されるように、脛骨テンプレート1800が脛骨208上に位置付けられる。図18に示されるように、脛骨テンプレート1800の前方曲線1804、脛骨テンプレート1800の内部輪郭1806、及び脛骨テンプレート1800の前方畝1808に沿ってプローブ1802が追跡される。図19に示されるように、頭釘孔1900、脛骨位置合わせハンドルディンプル1902、前方参照マーク1904、及び前方釘孔1906を含む、脛骨テンプレート1800上の様々な点にプローブが触れられる。脛骨テンプレート1800において、又は脛骨テンプレート1800に対する位置内で固定された別の機器もしくは機器(複数可)上で点又は線を収集するために、ステップ1704において図18~19に示されるような線及び点のいずれかの組み合わせが使用されてもよい。
【0088】
図20~21に示されるように、大腿骨トライアル2000が使用される。図20は、大腿骨トライアル2000の顆間ノッチ2002を追跡するために使用されるプローブ1802を示す。図21は、ペグ孔2100に触れるために使用されるプローブ1802を示す。大腿骨トライアル2000上の点及び線を収集するために、ステップ1704において、図20~21に示されるような線及び点のいずれかの組み合わせが使用されてもよい。
【0089】
ステップ1706において、骨の追跡された姿勢に対する仮想空間内のトライアルインプラントの姿勢(例えば、骨の仮想モデルによって表される)が判定される。例えば、ステップ1704において様々な線又は点が触れられるときのプローブ1802の追跡された位置に基づいて、骨の仮想モデルに対する仮想空間内でトライアルインプラントのモデルが方位付けられ及び位置付けられてもよい。したがって、ステップ1706においてトライアルインプラントの姿勢の正確な判定のために十分なデータを提供するよう、ステップ1704において使用される(及び、図18~21に示される)点及び線が選択される。
【0090】
本明細書で説明される実施例では、インプラント(すなわち、手順の後に患者に置かれることになるインプラント)についての計画された姿勢として、トライアルインプラントの姿勢が使用される。他の実施例では、トライアルインプラントの姿勢とインプラントの計画された姿勢との間でオフセット又は他の調節が行われてもよい。
【0091】
ステップ1708において、1つ以上の骨修正が計画される(例えば、プロセシング回路260によって自動で)。計画された骨修正(複数可)は、オーグメントに結合されることになり、オーグメント及びインプラントを受けるように骨を形成し、その結果、インプラントが計画された姿勢内に位置付けられる(例えば、ステップ1706において判定されたトライアルインプラントの姿勢)。例えば、骨の第1の側上で骨喪失又は衰弱に対して補正するためにオーグメントが使用されてもよい。トライアルインプラントの姿勢、いくつかのケースでは、他の手術前又は手術中データに基づいて、プロセシング回路260によって自動で選択されてもよい(例えば、様々なサイズ、タイプ、形状などのとり得るオーグメントのセットから)。そのようなケースでは、骨の対応する区画を取り除いて、インプラントと骨との間の接続を補強するようオーグメントがしっかりと配置されることを可能にするように、骨修正が計画されてもよい。ステップ1708において手術計画に対する様々な他の更新、追加なども行われてもよい。
【0092】
ステップ1708の説明を促進するために、図22~23は、オーグメントによる膝関節形成術手順のためのインプラントを例示する。図22は、脛骨インプラント2200及び脛骨オーグメント2202を示す。脛骨オーグメント2202が望まれる場合、ステップ1708において、脛骨から骨を取り除いて、脛骨208によって受けられることになる脛骨オーグメント2202についての空間を生成するように、切断が計画される。図23は、大腿骨オーグメント2206のペアを有する大腿骨インプラント2204を示す。図23の大腿骨オーグメント2206が望まれる場合、大腿骨から骨を取り除いて、大腿骨インプラント2204のペアについての空間を提供するように、ステップ1708において平面切断のペアが計画される。他の実施形態では、所与の手順において使用される対応するインプラント(複数可)及びオーグメント(複数可)の表面輪郭に従って、他のタイプの切断及び結果として生じる形状(例えば、バリによりリーマ通しされた体積)が使用されてもよい。例えば、異なるタイプのオーグメント(例えば、錐体オーグメント、幹部など)について、ステップ1708において対応する切除形状が実行されてもよい。
【0093】
ステップ1710において、術野からトライアルインプラントが取り除かれる。ステップ1712において、計画された骨修正を容易にするように、ロボットデバイス220が制御される。例えば、ロボットデバイス220は、図2を参照して説明されるように、外科医が、ロボットデバイス220に結合された手術ツールを使用して、計画された骨修正を実行することを容易にする触覚フィードバックを提供してもよい。別の実施例として、計画された骨修正を自動で実行するように、ロボットデバイス220が制御されてもよい。
【0094】
ステップ1714において、ステップ1704~1706において確認されたトライアルインプラントの所望の姿勢と一貫してインプラントが配置されるように、オーグメント及びインプラントが取り付けられる。いくつかの実施形態では、オーグメント及びインプラントが手動で配置され、ステップ1704におけるトライアルインプラントについての追跡されたプローブを使用して位置がチェックされる。いくつかの実施形態では、計画された姿勢内でオーグメント及び/もしくはインプラントを保持し、及び/又は患者の骨(膝関節形成術のケースでは、大腿骨もしくは脛骨)へのオーグメント及び/もしくはインプラントの結合を促進及び/もしくは自動化するようドリルもしくは他のツールを制御するように、ロボットデバイス220が制御される。
【0095】
処理1700はそれによって、手術中計画、及び脛骨インプラント又は大腿骨インプラントのいずれかについてのオーグメントの配置を含むロボット支援膝関節形成術手順を提供する。処理1700、並びに本明細書で説明される様々な他のシステム及び方法が、様々なインジケーション、様々な外科的処置、様々な生体構造的領域などに対して適合されてもよいことが理解されるべきである。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるシステム及び方法を使用して実施される計画及び手順に関連するデータが収集される。例えば、他の可能性の中で、使用されるインプラントのタイプ、骨密度、靱帯平衡測定、最終インプラント配置(角度、前方/後方配置、中間/外側配置、関節線に関する配置、機械的及び解剖学的軸位置など)などの詳細が手順の計画の間に収集されてもよい。手術後転帰も収集されてもよい。手術後転帰は次いで、本明細書で説明されるシステム及び方法の実行及び実施の改善への見識をもたらすよう。他のデータと比較されてもよい。
【0097】
様々な例示的な実施形態に示されるようなシステム及び方法の構築及び配列は例示にすぎない。いくつかの実施形態が本開示において詳細に説明されてきたが、多くの修正が可能である(例えば、様々な要素の変形、サイズ、寸法、構造、形状、及び比率、パラメータの値、材料の使用、色、方位など)。例えば、要素の位置が反転されてもよく、又は変動してもよく、離散要素又は位置の性質又は数が改変又は変動してもよい。したがって、全てのそのような修正が本開示の範囲に含まれることが意図される。代替的な実施形態に従って、いずれかの処理又は方法ステップの順序又は連続が変動してもよく、又は再順序付けられてもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態の設計、動作条件、及び配列において他の置換、修正、変更、及び省略が行われてもよい。
【0098】
本明細書で使用されるように、用語「ほぼ(approximately)」、「約(about)」、「実質的に(substantially)」、及び同様の用語は、本開示の主題が関連する当業者によって共通の使用及び許容される使用と調和して広い意味を有することが意図される。それらの用語は、それらの特徴の範囲を提供される正確な数値範囲に限定することなく、説明され、及び特許請求される特定の特徴の説明を可能にすることが意図されることが、本開示を参照した当業者によって理解されるべきである。したがって、それらの用語は、説明される主題の実態のない又は重要でない修正又は改変が開示の範囲内にあると考えられることを示すとして解釈されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
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【国際調査報告】