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特表2022-546382車両内のバッテリー温度制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】車両内のバッテリー温度制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/27 20190101AFI20221027BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20221027BHJP
   B60K 11/02 20060101ALI20221027BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20221027BHJP
   B60L 58/26 20190101ALI20221027BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221027BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20221027BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20221027BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20221027BHJP
   H01M 10/659 20140101ALI20221027BHJP
   B60H 1/06 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B60L58/27
B60K1/04 Z
B60K11/02
B60L50/60
B60L58/26
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/6556
H01M10/625
H01M10/659
B60H1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512856
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(85)【翻訳文提出日】2022-04-18
(86)【国際出願番号】 IB2020058116
(87)【国際公開番号】W WO2021044288
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】102019000015372
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502009646
【氏名又は名称】デンソー・サーマル・システムズ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】DENSO THERMAL SYSTEMS Spa
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】カリエロ,ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ナポリ,パスクワレ
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
3L211
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AC22
3D235BB36
3D235CC15
3D235FF25
3D235FF43
3D235HH02
3L211BA01
3L211CA19
3L211DA42
5H031KK08
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC19
5H125CD06
5H125CD08
5H125CD09
5H125FF24
5H125FF27
(57)【要約】
システム(10)は、電力を出力するように構成されたバッテリー(12)を備える。液体が流通するように構成され、バッテリー(12)と熱交換関係にある作動路(16)を備え、その温度を制御するように構成された温度調節回路(14)がある。システムは、非可逆的に冷凍サイクルにかけることができる流体が流通するように構成された冷凍回路(18)をさらに備える。冷凍回路(18)は順に、温度調節回路(14)の加熱路(32)と熱交換関係にある凝縮器(20)を備える。温度調節回路(14)の冷却路(34)と熱交換関係にある蒸発器(22)がある。温度調節回路(14)に関連する弁アセンブリ(36)は、加熱構成及び冷却構成を選択的にとるように構成される。加熱構成では、弁アセンブリ(36)は、温度調節回路(14)において、作動路(16)と加熱路(32)との間の液体用の閉加熱経路(A)を画定する。冷却構成では、弁アセンブリ(36)は、温度調節回路(14)において、作動路(16)と冷却路(34)との間の液体用の閉冷却経路(B)を画定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の少なくとも1つのバッテリー(12)の温度を制御するためのシステム(10)であって:
電力を出力するように構成された少なくとも1つのバッテリー(12)と;
液体が流通するように構成され、その温度を制御するように、前記バッテリー(12)と熱交換関係にある作動路(16)を備える温度調節回路(14)と;
当該システムはさらに、
非可逆的に冷凍サイクルにかけることができる流体が流通するように構成された冷凍回路(18)であって;前記冷凍回路(18)は
前記温度調節回路(14)の加熱路(32)と熱交換関係にある凝縮器(20)と;
前記温度調節回路(14)の冷却路(34)と熱交換関係にある蒸発器(22)とを備え;及び
前記温度調節回路(14)に関連する弁アセンブリ(36)であって、
加熱構成であって、前記弁アセンブリ(36)が、前記温度調節回路(14)において、前記作動路(16)と前記加熱路(32)との間の液体のための閉加熱経路(A)を画定する、加熱構成と、
冷却構成であって、前記弁アセンブリ(36)が、前記温度調節回路(14)において、前記作動路(16)と前記冷却路(34)との間の液体のための閉冷却経路(B)を画定する、冷却構成と、
を選択的にとるように構成された弁アセンブリ(36)と
を含むシステム。
【請求項2】
前記温度調節回路(14)は、ラジエータ(40)と熱交換関係にある熱安定化路(38)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記加熱構成において、前記弁アセンブリ(36)は、前記温度調節回路(14)において、前記液体のためのさらなる閉冷却経路(A’)を画定し、前記冷却路(34)と前記熱安定化路(38)とを共に接続する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記冷却構成において、前記弁アセンブリ(36)は、前記温度調節回路(14)において、前記液体のためのさらなる閉加熱経路(B’)を画定し、前記加熱路(32)と前記熱安定化路(38)とを共に接続する、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記温度調節回路(14)は、空気調和装置(44)と熱交換関係にある加熱路(42)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記弁アセンブリ(36)が加熱構成にあるときに、前記加熱路(42)は前記作動路(16)と並列に接続されるように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記弁アセンブリ(36)が加熱構成にあるとき、及び前記冷却構成にあるときそれぞれで、前記閉加熱経路(A)及び前記閉冷却経路(B)それぞれを通る、前記液体の強制循環を誘導するように構成された少なくとも1つのポンプ装置(46、48)をさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのポンプ装置が、前記閉加熱経路(A)を通る強制循環を誘導するように構成された加熱ポンプ装置(46)を備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記加熱ポンプ装置(46)が前記加熱路(32)内に配置されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのポンプ装置が、前記閉冷却経路(B)を通る強制循環を誘導するように構成された冷却ポンプ装置(48)を備える、請求項7~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記冷却ポンプ装置(48)が前記冷却路(34)内に配置されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記弁アセンブリ(36)が
前記加熱路(32)と前記作動路(16)との間に配置されている加熱弁(50)と;
前記冷却路(34)と前記作動路(16)との間に配置されている冷却弁(52)と;
前記作動路(16)の下流で、前記加熱路(32)及び前記冷却路(34)の上流に配置されている戻り切換弁(54)と、
を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記弁アセンブリの加熱構成において:
前記加熱弁(50)は、前記加熱路(32)と前記作動路(16)との間の液体の流れを可能にし;
前記冷却弁(52)は、前記冷却路(34)と前記作動路(16)との間の液体の流れを防止し;
前記戻り切換弁(54)は、前記作動路(16)と前記加熱路(32)との間の液体の流れを選択的に可能にする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記弁アセンブリ(36)の冷却構成において:
前記加熱弁(50)は、前記加熱路(32)と前記作動路(16)との間の液体の流れを防止し;
前記冷却弁(52)は、前記冷却路(34)と前記作動路(16)との間の液体の流れを可能し;
前記戻り切換弁(54)は、前記作動路(16)と前記冷却路(34)との間の液体の流れを選択的に可能にする、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記加熱弁(50)は、前記加熱路(32)の下流であって、前記作動路(16)及び前記熱安定化路(38)の上流に配置されている切換弁である、請求項2~4のいずれか1項に従属する場合の請求項12~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記弁アセンブリ(36)の冷却構成において、前記加熱弁(50)は、前記加熱路(32)と前記熱安定化路(38)との間の液体の流れを可能にする、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記冷却弁(52)は、前記冷却路(34)の下流であって、前記作動路(16)及び前記熱安定化路(38)の上流に配置されている切換弁である、請求項2~4のいずれか1項に従属する場合の請求項12~16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記弁アセンブリ(36)の加熱構成において、前記冷却弁(52)は、前記冷却路(34)と前記熱安定化路(38)との間の液体の流れを可能にする、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内のバッテリー温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、そのような車両に搭載された装置や機器に電力を供給するバッテリーが装備されていることが一般に知られている。特に、いくつかの現代の用途では、車両を少なくとも部分的に推進するために、例えば電気自動車または「ハイブリッド」自動車上にも電力が供給される。
【0003】
車両のバッテリーの適切な動作及び長寿命を保証するために、バッテリー温度を所定の動作範囲内に保つことが望ましい。例えば、過度に高い動作温度は、バッテリーが受けることができる再充電サイクルの回数を著しく減少させる可能性がある。逆に温度が低すぎると、バッテリーの性能が低下する可能性がある。
【0004】
バッテリー温度は、通常、液体、特に水がそれぞれ加熱及び冷却のためにバッテリーと熱交換を行うために使用される流体回路の手段によって調節される。液体は、流体回路と熱交換する可逆熱力学的回路によってそれぞれ冷却及び加熱される。可逆熱力学的回路は、バッテリーと温度調節回路との間で行う必要がある熱的相互作用に応じて、それぞれ冷凍機として及びヒートポンプとして働くように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、可逆熱力学的回路を採用するこのような対策はコストが高く複雑な構成要素を用いる必要があり、また冷凍及びヒートポンプサイクルの動作を同時に最適化することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの目的は、車両内のバッテリーの温度を制御するためのシステムを提供することであって、このようなシステムは従来技術が被る問題を解決することができ、簡易かつ経済的な方法で製造することができる。
【0007】
本発明によれば、この目的及び他の目的は、添付の独立請求項に記載された技術的特徴を有するシステムによって達成される。
【0008】
特に、非可逆的に冷凍サイクルにかけることができる流体が流通するように構成された冷凍回路があるという事実から、このシステムにおいては、何ら複雑でコストのかかる構成要素を使用することなく、熱交換の最適化が可能である。
【0009】
添付の請求項は、本発明の以下の詳細な説明において提供される技術的教示の不可欠な部分であることが理解される。特に、添付の従属請求項は、いくつかの任意選択の技術的特徴を含む本発明のいくつかの好ましい実施形態を定義する。
【0010】
本発明のさらなる特徴及び利点は、単に非限定的な例として提供され、特に以下に要約される添付の図面を参照して、以下の詳細な説明に照らして明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の例示的実施形態に従って作製された車両内のバッテリー温度制御システムを表す機能ブロック図である。
図2図2は、図1に示されたものと同様のブロック図であり、ここで、そのようなシステムは、それぞれ加熱構成及び冷却構成で示される。
図3図3は、図1に示されたものと同様のブロック図であり、ここで、そのようなシステムは、それぞれ加熱構成及び冷却構成で示される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照すると、符号10は、車両内のバッテリー温度制御システムを全体として示す。
【0013】
当業者には明らかなように、システム10は、任意のカテゴリ及びタイプの動力車で使用するように構成することができる。例えば、前記動力車は、人または物を輸送するための自動車、商業車、産業用車両、軍用車両、建築現場車両、スポーツカー、スポーツユーティリティ車両(SUV)、農業機械、列車、バスなどであってもよい。このような車両は、内燃機関、電気モータ、または「ハイブリッド」推進システムによって推進することができる。
【0014】
システム10は電力を出力するように構成されたバッテリー12(または複数のバッテリー)を備え、その温度を動作条件に従って制御する必要があり、特に、上昇または低下させる必要がある。
【0015】
当業者には明らかなように、バッテリー12は、温度を制御することが必要であるか、または望ましい任意のタイプのバッテリーであってもよい。特に、バッテリー12は、システム10が搭載されている車両に電力を供給するように構成されている。例えば、バッテリーが供給することができる電力は、システムが搭載された車両を推進するために少なくとも部分的に使用することができる。
【0016】
システム10は更に、実線で図示された温度調節回路14を備えている。温度調節回路14は、システム10の動作条件に応じて、特に、それぞれ加熱及び冷却のために、バッテリー12と熱的に相互作用するのに適した、任意の液体、例えば、水が流通するように構成される。
【0017】
詳細を以下に説明するように、温度調節回路14は互いに選択的に連通するように構成された複数のダクトまたは分岐を備え、それにより、そこを流れる液体のための複数の経路を画定する。
【0018】
温度調節回路14は、バッテリー12と熱交換関係にある作動路16を備え、その温度を制御する。このようにして、作動路16を通って流れる液体は、バッテリー12と熱的に相互作用することができる。特に、作動路16を通って流れる液体は、バッテリー12の温度と比較した液体の温度に応じて、それぞれ、バッテリー12に熱を与え、バッテリー12から熱を受け取ることができる。
【0019】
システム10はさらに、破線で図示されている冷凍回路18を備えている。冷凍回路18は、以下に詳細に説明するように、非可逆的に冷凍サイクルにかけることができ、また温度調節回路14と共動する流体が流通するように構成されている。
【0020】
冷凍回路18は、凝縮器20と蒸発器22とを備える。例として本明細書に図示されている実施形態では、冷凍回路18は、凝縮器20の下流で蒸発器22の上流に接続された膨張弁またはラミネーション弁24と、蒸発器22の下流で凝縮器20の上流に接続された圧縮器26とを備えている。
【0021】
好ましくは、冷凍回路18はさらに、凝縮器の下流で膨張弁またはラミネーション弁24の上流に接続されたアキュムレータ28を備える。さらに、本明細書に図示されている例示的な実施形態では、冷凍回路が、凝縮器20の下流(特に、アキュムレータ28の下流に位置する箇所)で膨張弁またはラミネーション弁24の上流に接続されたドライヤ30を備えている。
【0022】
凝縮器20は温度調節回路14の加熱路32と熱交換関係にあり、蒸発器22は温度調節回路14の冷却路34と熱交換関係にある。
【0023】
システム10は、温度調節回路14に関連した弁アセンブリ36を備える。弁アセンブリ36は、特にバッテリー12で生じる熱交換を参照して、加熱構成及び冷却構成を選択的にとることによって、温度調節回路14に作用するように構成される。例えば、弁アセンブリ36の動作、さらに特には加熱構成と冷却構成との間の切り換えは、システム10に含まれる制御装置またはモジュール(図示せず)によって、所定のまたは操作者が定義する基準に従って制御することができる。
【0024】
図2では、システム10が、加熱構成における弁アセンブリ36と共に示されている。加熱構成では、弁アセンブリ36が、温度調節回路14内に作動路16と加熱路32との間の液体用閉加熱経路を画定する。図2においてAとして示されている黒い矢印によって示されている閉加熱経路は、残りの温度調節回路14と比較して太線で描かれている。
【0025】
図3において、システム10が、冷却構成における弁アセンブリ36と共に示されている。冷却構成では、弁アセンブリ36が、温度調節回路14内に作動路16と冷却路34との間の液体用閉冷却経路を画定する。図3においてBとして示されている黒い矢印によって示されている閉冷却経路は、残りの温度調節回路14と比較して太線で描かれている。
【0026】
典型的には、加熱構成は、冬期に車両内で、またはいずれにしてもより低い動作温度で使用される。逆に、冷却構成は、夏期に車両内で、またはいずれにせよより高い動作温度で使用される。
【0027】
好ましくは、温度調節回路14は、ラジエータ40と熱交換関係にある熱安定化路38を備える。例えば、ラジエータ40は、システム10が搭載される車両のラジエータであってもよい。
【0028】
特に、図2に示される加熱構成では、弁アセンブリ36は、温度調節回路14において、太線で描かれ、液体に対してA’として示される、さらなる閉冷却経路を画定する。さらなる閉冷却経路A’は、冷却路34と熱安定化路38とを共に接続することによって画定される。本明細書に図示される実施形態では、このような加熱構成において、弁アセンブリ36は、バッテリー12に関連する閉加熱経路Aと、ラジエータ40に関連するさらなる閉冷却経路A’とを同時に画定し、このような閉経路A及びA’は互いに分離している。
【0029】
特に、図3に示す冷却構成では、弁アセンブリ36は、温度調節回路14において、太線で描かれ、液体に対してB’として示される、さらなる閉加熱経路を画定する。さらなる閉加熱経路B’は、加熱路32と熱安定化路38とを共に接続することによって画定される。本明細書に図示される実施形態では、このような冷却構成において、弁アセンブリ36は、バッテリー12に関連する閉冷却経路Bと、ラジエータ40に関連するさらなる閉加熱経路B’とを同時に画定し、このような閉経路B及びB’は互いに分離している。
【0030】
好ましくは、温度調節回路14は、空気調和装置44と熱交換関係にある内部加熱路42を備える。特に、装置44は、システムが搭載される車両10の内部またはキャビン内の空気を調整するためのシステムでありうる。前記装置44は、何れのタイプのHVAC(暖房、換気及び空調)システムであってもよい。
【0031】
本明細書に示される実施形態では、特に弁アセンブリ36が加熱構成にあるときに、内部加熱路42が作動路16と並列に接続されるように構成される。
【0032】
本明細書に示す実施形態では、弁アセンブリ36が加熱構成にあるときに、システム10は、閉加熱経路内の液体の強制循環を誘導するように構成された加熱ポンプ装置46をさらに備える。特に、加熱ポンプ装置46が加熱路32内に配置されている。
【0033】
本明細書に示す実施形態では、弁アセンブリ36が冷却構成にあるときに、システム10は、閉冷却経路内の液体の強制循環を誘導するように構成された冷却ポンプ装置48をさらに備える。特に、冷却ポンプ装置48が冷却路34内に配置されている。
【0034】
好ましくは、弁アセンブリ36は、加熱弁50と、冷却弁52と、戻り切替弁54とを備える。加熱弁50は、加熱路32と作動路16との間に配置される。冷却弁52は、冷却路34と作動路16との間に配置されている。戻り切換弁54は、作動路16の下流であって、加熱路32及び冷却路34の上流に配置されている。
【0035】
本明細書に示す実施形態では、加熱弁50も切換弁であり、加熱路32の下流であって、作動路16及び熱安定化路38の上流に配置されている。
【0036】
本明細書に示す実施形態では、冷却弁52も切換弁であり、冷却路34の下流であって、作動路16及び熱安定化路38の上流に配置されている。
【0037】
特に、図2に示す弁アセンブリ36の加熱構成では:
【0038】
- 加熱弁50は、加熱路32と熱安定化路38との間の液体の流れを好ましくは防止しながら、加熱路32と作動路16との間の液体の流れを可能にする;
【0039】
- 冷却弁52は、冷却路34と熱安定化路38との間の液体の流れを好ましくは可能にしながら、冷却路34と作動路16との間の液体の流れを防止し;
【0040】
- 戻り切換弁54は、作動路16と加熱路32との間の液体の流れを選択的に可能にし、したがって、冷却路34を迂回する。
【0041】
特に、図3に示す弁アセンブリ36の冷却構成では:
【0042】
- 加熱弁50は、加熱路32と熱安定化路38との間の液体の流れを好ましくは可能にしながら、加熱路32と作動路16との間の液体の流れを防止し;
【0043】
- 冷却弁52は、冷却路34と熱安定化路38との間の液体の流れを好ましくは防止しながら、冷却路34と作動路16との間の液体の流れを可能にし;
【0044】
- 戻り切換弁54は、作動路16と冷却路34との間の液体の流れを選択的に可能にし、したがって、加熱路32を迂回する。
【0045】
本明細書に示される実施形態では、弁アセンブリ36は、それぞれ加熱構成において及び冷却構成において、内部加熱路42及び作動路16に向かう流れを制御するように構成された中間弁装置をさらに備える。
【0046】
特に、中間弁装置は、加熱路32及び加熱弁50の下流に配置されている第1中間弁56を備える。また、第1中間弁56は、互いに並列に接続された内部加熱路42及び作動路16の上流に配置されている。第1中間弁56は、加熱構成において、加熱路32から来て内部加熱路42及び作動路16に向かう流体の流れを制御するように構成される。好ましくは、第1中間弁56は、加熱構成において、内部加熱路42と作動路16との間で液体の流れを分配するように構成された流量制御弁(例えば、比例弁)である(例えば、内部加熱路42及び作動路16のいずれか一方への液体の流れのみを可能にし、流れの一部を内部加熱路42に及び流れの他方の部分を作動路16にそれぞれ分配する)。逆に、第1中間弁56は、冷却構成において、冷却路34から内部加熱路42に向かう液体の流れを阻止する。
【0047】
特に、中間弁装置は、冷却路34及び冷却弁50の下流に配置されている第2中間弁58を備える。また、第2中間弁58は、互いに並列に接続された内部加熱路42と作動路16との間に接続されている。第2中間弁58は、冷却構成において、冷却路50から来て内部加熱路42及び作動路16に向かう流体の流れを制御するように構成される。好ましくは、第2中間弁58は、冷却構成において、冷却路34と作動路16とを選択的に連通させ、内部加熱路42を通る液体の流れを防止する切換弁である。逆に、第2中間弁58は、加熱構成において、冷却弁52の下流で、冷却路34と作動路16との間の連通を選択的に防止する。
【0048】
本明細書に示す実施形態では、弁アセンブリ36は、熱安定化路38を加熱路32に、及び冷却路34にそれぞれ接続するように構成された、一対の再循環弁60、62、例えば一対の切換弁、及びバイパス弁64、例えば遮断弁をさらに備える。
【0049】
加熱構成では、以下のことが起こる:
【0050】
- 第1再循環弁60は、冷却路34(冷却弁52の下流)及び熱安定化路38を、順次、相互液体連通状態とし、第2再循環弁62は、戻し弁54及び加熱路32の出力路を、順次、相互液体連通状態とし、
【0051】
- バイパス弁64は、熱安定化路38(再循環弁62の上流)及び冷却路34を、順次、相互液体連通状態とする。
【0052】
冷却構成では、以下のことが起こる:
【0053】
- 第1再循環弁60は、熱安定化路38及び加熱路32を、順次、相互液体連通状態とし、
【0054】
- 第2再循環弁62は、加熱路32(加熱弁50の下流)及び熱安定化路38を、順次、相互液体連通状態とし、
【0055】
- バイパス弁64は、熱安定化路38(再循環弁62の下流)と冷却路34との間の液体連通を防止する。
【0056】
もちろん、本発明の原理を損なうことなく、実施形態及び実施の詳細は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、非限定的な例として本明細書に記載及び図示されたものから広範囲に変更してもよい。
図1
図2
図3
【国際調査報告】