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特表2022-546398生殖検体を処理するシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】生殖検体を処理するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 1/02 20060101AFI20221027BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20221027BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A01N1/02
A61J3/00 301
H04N5/232 290
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513086
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 US2020039306
(87)【国際公開番号】W WO2021040870
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/894,202
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】510236656
【氏名又は名称】クーパーサージカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CooperSurgical, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】グラバーソン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】エブスワース タラ プラタプ
(72)【発明者】
【氏名】グテリウス パトリック エヌ.
【テーマコード(参考)】
4C047
4H011
5C122
【Fターム(参考)】
4C047AA21
4C047BB11
4C047BB17
4C047CC30
4C047GG37
4H011CA01
4H011CB08
4H011CC01
4H011CC03
4H011CC05
4H011CD13
5C122DA12
5C122DA25
5C122EA65
5C122FA06
5C122FH01
5C122FH02
5C122FH10
5C122FH12
5C122FH14
5C122GE04
5C122GG11
5C122GG17
5C122GG19
5C122HA35
5C122HA82
5C122HB01
(57)【要約】
容器とその中に含有された検体とを具備する検体システムを支持するためのプレートと;プレートの上方に配され、かつ、検体システムの画像を生成するよう構成されたカメラと;プレートに向かって光を照射するためプレートの下方に配された光源と;カメラにて検体の暗視野照明をもたらすため、光の一部分を検体システムに届かないようにブロックするための遮光部と;カメラに電子的に連結され、かつ、画像に基づき検体処理プロトコル中に検体容器内の検体のポジションを追跡するよう構成された、1つまたは複数のプロセッサと、を具備する検体処理システムを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器とその中に含有された検体とを具備する検体システムを支持するためのプレートと;
該プレートの上方に配され、かつ、該検体システムの画像を生成するよう構成されたカメラと;
該プレートに向かって光を照射するため該プレートの下方に配された光源と;
該カメラにて該検体の暗視野照明をもたらすため、該光の一部分を該検体システムに届かないようにブロックするための遮光部(light stop)と;
該カメラに電子的に連結され、かつ、該画像に基づき検体処理プロトコル中に検体容器内の該検体のポジションを追跡するよう構成された、1つまたは複数のプロセッサと
を具備する検体処理システム。
【請求項2】
光を検体システム上に集束させるための調整可能レンズをさらに具備する、請求項1記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記カメラを位置付ける処理ステーションをさらに具備する、請求項1記載の検体処理システム。
【請求項4】
前記処理ステーションが、検体容器をポジショニングするための、前記プレートに隣接するレセプタクルを規定する、請求項3記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記処理ステーションが、該処理ステーションにてカメラを選択的にポジショニングするためのマウントを具備する、請求項3記載の検体処理システム。
【請求項6】
検体容器内で検体に動きを生じさせるために該検体に向心力を印加するため、前記処理ステーションが固定される回転可能プラットフォームをさらに具備する、請求項3記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記1つまたは複数のプロセッサが、画像をカラーからグレースケールに変換するようさらに構成される、請求項6記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記1つまたは複数のプロセッサが、画像からノイズを除去するようさらに構成される、請求項6記載の検体処理システム。
【請求項9】
前記1つまたは複数のプロセッサが、画像内で検体に対応する物体を検出するようさらに構成される、請求項6記載の検体処理システム。
【請求項10】
前記1つまたは複数のプロセッサが、検体容器内で検体が動く際の該検体のポジション、速度、および方向のうち1つまたは複数を含むパラメータを決定するようさらに構成される、請求項6記載の検体処理システム。
【請求項11】
前記1つまたは複数のプロセッサが、前記パラメータのうち1つまたは複数を出力するよう構成される、請求項10記載の検体処理システム。
【請求項12】
前記パラメータのうち1つまたは複数に基づいて回転可能プラットフォームの動きを調整できるモーターを具備する、請求項11記載の検体処理システム。
【請求項13】
前記カメラにて暗視野照明をもたらすため、検体の縁部が視認可能なままになるよう、遮光部が、光の一部分を検体容器の中心軸に届かないようにブロックするよう配置される、請求項1記載の検体処理システム。
【請求項14】
前記光源が複数の発光ダイオードを含む、請求項1記載の検体処理システム。
【請求項15】
前記カメラが検体容器の識別ラベルをスキャンするよう構成される、請求項1記載の検体処理システム。
【請求項16】
前記1つまたは複数のプロセッサが、検体処理プロトコル中に画像に基づいて検体容器内の複数の検体のそれぞれのポジションを追跡するよう構成される、請求項1記載の検体処理システム。
【請求項17】
検体処理プロトコル中に検体容器内の検体の動きを方向付けするよう構成された振動アセンブリをさらに具備する、請求項1記載の検体処理システム。
【請求項18】
検体処理プロトコルの完了後に、検体容器の遠位部分を、検体がその中に含有された状態で切断およびリリースするよう構成された切断ステーションをさらに具備する、請求項1記載の検体処理システム。
【請求項19】
検体が生殖検体(reproductive specimen)を含む、請求項1記載の検体処理システム。
【請求項20】
検体処理プロトコルがガラス化プロトコルを含む、請求項19記載の検体処理システム。
【請求項21】
検体容器内の検体を処理する方法であって、以下の段階を含む方法:
該検体容器を支持しているプレートの上方に配されたカメラにて該検体容器内の該検体の画像を生成する段階;
該プレートの下方に配された光源から該プレートに向かって光を方向付けする段階;
該カメラにて該検体の暗視野照明をもたらすため、該光の一部分を該検体に届かないように遮光部でブロックする段階;および
検体処理プロトコル中に、該カメラと電子通信している1つまたは複数のプロセッサにて、該画像に基づき該検体容器内の該検体のポジションを追跡する段階。
【請求項22】
調整可能レンズにて光を検体上に集束させる段階をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
処理ステーションにてカメラを位置付ける段階をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記プレートに隣接する、処理ステーションのレセプタクル内に、検体容器をポジショニングする段階をさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
処理ステーションにてカメラを支持するマウントを選択的にポジショニングする段階をさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
処理ステーションが固定されたプラットフォームを回転させることによって、検体容器内で検体に動きを生じさせるために該検体に向心力を印加する段階をさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記1つまたは複数のプロセッサにて画像をカラーからグレースケールに変換する段階をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記1つまたは複数のプロセッサにて画像からノイズを除去する段階をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記1つまたは複数のプロセッサにて画像内で検体に対応する物体を検出する段階をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項30】
検体容器内で検体が動く際の該検体のポジション、速度、および方向のうち1つまたは複数を含むパラメータを、前記1つまたは複数のプロセッサにて決定する段階をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項31】
前記パラメータのうち1つまたは複数を前記1つまたは複数のプロセッサから出力する段階をさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記パラメータのうち1つまたは複数に基づいて、モーターによってプラットフォームの動きを調整する、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記カメラにて暗視野照明をもたらすため、検体の縁部が視認可能なままになるよう、光の一部分を検体容器の中心軸に届かないようにブロックする段階をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項34】
前記光源が複数の発光ダイオードを含む、請求項21記載の方法。
【請求項35】
前記カメラにて検体容器の識別ラベルをスキャンする段階をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項36】
検体処理プロトコル中に、前記1つまたは複数のプロセッサにて、画像に基づいて検体容器内の複数の検体のそれぞれのポジションを追跡する段階をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項37】
検体処理プロトコル中に振動アセンブリにて検体容器内の検体の動きを方向付けする段階をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項38】
検体処理プロトコルの完了後に、検体容器の遠位部分を、検体がその中に含有された状態で切断ステーションにて切断およびリリースする段階をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項39】
検体が生殖検体を含む、請求項21記載の方法。
【請求項40】
検体処理プロトコルがガラス化プロトコルを含む、請求項39記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2019年8月30日に提出された先行する米国特許仮出願第62/894,202号の恩典を主張する。
【0002】
技術分野
本開示は、自動ガラス化システムなどの検体処理システムと、そうした検体処理システムにて検体処理プロトコルにかけられている検体容器内の検体のポジションを追跡する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
凍結保存容器は、生殖補助医療(ART)の分野において、生きた生殖検体(reproductive specimen)(例えば卵母細胞、胚、および胚盤胞)を保管および保存するために用いられる。凍結保存とは、零下温度まで冷却することによって検体が長期間にわたり保存されるプロセスを指す。例えば、凍結保存容器は、ガラス化をきたしている検体を格納および支持できる;ガラス化とは、検体の細胞内における氷晶の形成を伴わずに、物質が液相から固相(例えばガラス)に迅速に転移することである。
【0004】
生殖検体をガラス化させるための典型的なプロトコルは、以下の段階を含む:詳細なガラス化プロトコルに従って検体を複数の処理溶液に曝露する段階;続いて、検体を凍結保存容器に移送する段階;そして次に、細胞内で氷晶が形成されうる前に検体の細胞をガラス状態まで迅速に冷却させるため、中に検体を含有している凍結保存容器を低温の冷媒(例えば液体窒素)に曝露する段階。凍結保存容器は、検体を生殖手技に用いる準備ができるまで、冷媒中で保管されうる。
【発明の概要】
【0005】
概要
該して、本開示は、検体容器内で凍結保存するために生物学的検体を検体処理プロトコル(例えばガラス化プロトコル)に従って自動化された様式で調製するために使用できる、検体処理システムに関する。
【0006】
1つの局面において、検体処理システムは、検体システムを支持するためのプレートを含み、検体システムは容器とその中に含有された検体とを含む。検体処理システムは、プレートの上方に配され、かつ、検体システムの画像を生成するよう構成されたカメラと;プレートに向かって光を照射するためプレートの下方に配された光源と;カメラにて検体の暗視野照明をもたらすため、光の一部分を検体システムに届かないようにブロックするための遮光部(light stop)と;カメラに電子的に連結され、かつ、画像に基づき検体処理プロトコル中に検体容器内の検体のポジションを追跡するよう構成された、1つまたは複数のプロセッサとを、さらに含む。
【0007】
諸態様は以下の特徴のうち1つまたは複数を含んでもよい。
【0008】
いくつかの態様において、検体処理システムは、光を検体システム上に集束させるための調整可能レンズをさらに含む。
【0009】
いくつかの態様において、検体処理システムは、前記カメラを位置付ける処理ステーションをさらに含む。
【0010】
いくつかの態様において、前記処理ステーションは、検体容器をポジショニングするための、プレートに隣接するレセプタクルを規定する。
【0011】
いくつかの態様において、前記処理ステーションは、処理ステーションにてカメラを選択的にポジショニングするためのマウントを含む。
【0012】
いくつかの態様において、検体処理システムは、検体容器内で検体に動きを生じさせるために検体に向心力を印加するため、前記処理ステーションが固定される回転可能プラットフォームをさらに含む。
【0013】
いくつかの態様において、前記1つまたは複数のプロセッサは、画像をカラーからグレースケールに変換するようさらに構成される。
【0014】
いくつかの態様において、前記1つまたは複数のプロセッサは、画像からノイズを除去するようさらに構成される。
【0015】
いくつかの態様において、前記1つまたは複数のプロセッサは、画像内で検体に対応する物体を検出するようさらに構成される。
【0016】
いくつかの態様において、前記1つまたは複数のプロセッサは、検体容器内で検体が動く際の検体のポジション、速度、および方向のうち1つまたは複数を含むパラメータを決定するようさらに構成される。
【0017】
いくつかの態様において、前記1つまたは複数のプロセッサは、前記パラメータのうち1つまたは複数を出力するよう構成される。
【0018】
いくつかの態様において、検体処理システムは、パラメータのうち1つまたは複数に基づいて回転可能プラットフォームの動きを調整できるモーターをさらに含む。
【0019】
いくつかの態様において、前記カメラにて暗視野照明をもたらすため、検体の縁部が視認可能なままになるよう、遮光部は、光の一部分を検体容器の中心軸に届かないようにブロックするよう配置される。
【0020】
いくつかの態様において、前記光源は複数の発光ダイオードを含む。
【0021】
いくつかの態様において、前記カメラは検体容器の識別ラベルをスキャンするよう構成される。
【0022】
いくつかの態様において、前記1つまたは複数のプロセッサは、検体処理プロトコル中に画像に基づいて検体容器内の複数の検体のそれぞれのポジションを追跡するよう構成される。
【0023】
いくつかの態様において、検体処理システムは、検体処理プロトコル中に検体容器内の検体の動きを方向付けするよう構成された振動アセンブリをさらに含む。
【0024】
いくつかの態様において、検体処理システムは、検体処理プロトコルの完了後に、検体容器の遠位部分を、検体がその中に含有された状態で切断およびリリースするよう構成された切断ステーションをさらに含む。
【0025】
いくつかの態様において、検体は生殖検体である。
【0026】
いくつかの態様において、検体処理プロトコルはガラス化プロトコルを含む。
【0027】
別の局面において、検体容器内の検体を処理する方法は、以下の段階を含む:検体容器を支持しているプレートの上方に配されたカメラにて検体容器内の検体の画像を生成する段階;プレートの下方に配された光源からプレートに向かって光を方向付けする段階;カメラにて検体の暗視野照明をもたらすため、光の一部分を検体に届かないように遮光部でブロックする段階;および、検体処理プロトコル中に、カメラと電子通信している1つまたは複数のプロセッサにて、画像に基づき検体容器内の検体のポジションを追跡する段階。
【0028】
諸態様は以下の特徴のうち1つまたは複数を含んでもよい。
【0029】
いくつかの態様において、本開示の方法は、調整可能レンズにて光を検体上に集束させる段階をさらに含む。
【0030】
いくつかの態様において、方法は、処理ステーションにてカメラを位置付ける段階をさらに含む。
【0031】
いくつかの態様において、方法は、プレートに隣接する、処理ステーションのレセプタクル内に、検体容器をポジショニングする段階をさらに含む。
【0032】
いくつかの態様において、方法は、処理ステーションにてカメラを支持するマウントを選択的にポジショニングする段階をさらに含む。
【0033】
いくつかの態様において、方法は、処理ステーションが固定されたプラットフォームを回転させることによって、検体容器内で検体に動きを生じさせるために検体に向心力を印加する段階をさらに含む。
【0034】
いくつかの態様において、方法は、前記1つまたは複数のプロセッサにて画像をカラーからグレースケールに変換する段階をさらに含む。
【0035】
いくつかの態様において、方法は、前記1つまたは複数のプロセッサにて画像からノイズを除去する段階をさらに含む。
【0036】
いくつかの態様において、方法は、前記1つまたは複数のプロセッサにて画像内で検体に対応する物体を検出する段階をさらに含む。
【0037】
いくつかの態様において、方法は、検体容器内で検体が動く際の検体のポジション、速度、および方向のうち1つまたは複数を含むパラメータを、前記1つまたは複数のプロセッサにて決定する段階をさらに含む。
【0038】
いくつかの態様において、方法は、パラメータのうち1つまたは複数を前記1つまたは複数のプロセッサから出力する段階をさらに含む。
【0039】
いくつかの態様において、方法は、パラメータのうち1つまたは複数に基づいて、モーターによってプラットフォームの動きを調整する段階をさらに含む。
【0040】
いくつかの態様において、方法は、前記カメラにて暗視野照明をもたらすため、検体の縁部が視認可能なままになるよう、光の一部分を検体容器の中心軸に届かないようにブロックする段階をさらに含む。
【0041】
いくつかの態様において、光源は複数の発光ダイオードを含む。
【0042】
いくつかの態様において、方法は、カメラにて検体容器の識別ラベルをスキャンする段階をさらに含む。
【0043】
いくつかの態様において、方法は、検体処理プロトコル中に、前記1つまたは複数のプロセッサにて、画像に基づいて検体容器内の複数の検体のそれぞれのポジションを追跡する段階をさらに含む。
【0044】
いくつかの態様において、方法は、検体処理プロトコル中に振動アセンブリにて検体容器内の検体の動きを方向付けする段階をさらに含む。
【0045】
いくつかの態様において、方法は、検体処理プロトコルの完了後に、検体容器の遠位部分を、検体がその中に含有された状態で切断ステーションにて切断およびリリースする段階をさらに含む。
【0046】
いくつかの態様において、検体は生殖検体である。
【0047】
いくつかの態様において、検体処理プロトコルはガラス化プロトコルを含む。
【0048】
諸態様は以下の利点のうち1つまたは複数を提供してもよい。
【0049】
いくつかの態様において、検体処理システムは、検体容器を所望されるように綿密にポジショニングするための、複数のマウント用かつ支持用コンポーネントによって構成可能な、1つまたは複数の処理ステーションを含む。検体処理システムはまた、検体容器がその上で回転するプラットフォームの回転速度と、検体処理プロトコルの1つまたは複数のフェーズの持続時間とを、視覚システムからのフィードバックに基づいて有利に調整できるマイクロコントローラも含む。
【0050】
例えばいくつかの態様において、各処理ステーションに位置する視覚システムが、検体処理プロトコル中に検体の最適な可視化と追跡とを行えるよう、検体の暗視野照明を提供するように構成される。暗視野照明を実現するための視覚システムのさまざまなコンポーネントの構成および機能性は、光源から検体に照射される光の強度、曝露時間、および波長を精密に制御および制約することを有利に可能にし、このことはデリケートな生物学的検体の生存にとって重要である可能性がある。
【0051】
さらに、いくつかの態様において、視覚システムのカメラが、検体の画像を連続的に生成し、そしてその画像を、画像を処理して検体のポジションを追跡するソフトウェアアルゴリズムを実行しているコンピューティングデバイスにリアルタイムのビデオフィードとしてフィードすることによって、検体の線形の動きを検体処理プロトコル全体を通してリアルタイムで追跡してもよい。ユーザーによってプログラムされたように実質的に一定した向心力に検体が曝露されるように、ソフトウェアアルゴリズムからのフィードバックに基づき、マイクロコントローラがプラットフォームの回転速度、スピン方向、および加速度を有利に制御してもよい。そうしたプロトコル調整によって、処理媒質への検体の曝露時間が最適化されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】検体容器内に配された検体を調製するために用いられてもよい検体処理システムの前面斜視図である。
図2図1の検体処理システムの側面斜視図である。
図3図1の検体処理システムの背面斜視図である。
図4】処理ステーションのある一定のコンポーネントが省略された、図1の検体処理システムの上面斜視図である。
図5図1の検体処理システムにて処理されてもよい検体容器の側面図である。
図6】RFIDタグとして提供された識別(ID)ラベルを含む、図5の検体容器の近位端領域の断面図である。
図7】バーコードタグとして提供されたIDラベルを含む、図5の検体容器の近位端領域の断面図である。
図8】QRコードタグとして提供されたIDラベルを含む、図5の検体容器の近位端領域の断面図である。
図9】ある一定の内部コンポーネントを露出させるためにハウジングのある一定の部分が省略された、図1の検体処理システムの前面斜視図である。
図10】ある一定の内部コンポーネントを露出させるためにハウジングのある一定の部分が省略された、図1の検体処理システムの底面斜視図である。
図11図1の検体処理システムの、プラットフォームおよび他の特定の関連コンポーネントの、前面斜視図である。
図12図11のプラットフォームの上面斜視図である。
図13図1の検体処理システムの視覚システムの分解斜視図である。
図14図1の検体処理システムにて行われるプロトコルに従って検体を処理するための図1の検体容器内における、検体の一連の動きを図示する。
図15図1の検体処理システムにて行われるプロトコルに従って検体を処理するための図1の検体容器内における、検体の一連の動きを図示する。
図16図1の検体処理システムにて行われるプロトコルに従って検体を処理するための図1の検体容器内における、検体の一連の動きを図示する。
図17図1の検体処理システムにて行われるプロトコルに従って検体を処理するための図1の検体容器内における、検体の一連の動きを図示する。
図18図1の検体処理システムにて行われるプロトコルに従って検体を処理するための図1の検体容器内における、検体の一連の動きを図示する。
図19図1の検体処理システムにて行われるプロトコル中に検体の画像を処理するソフトウェアアルゴリズムのフローチャートを図示する。
図20】検体処理システム100の振動アセンブリの斜視図である。
図21】検体処理システムの切断封止ステーションの側面図である。
図22】検体処理システムの切断ステーションの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
詳細な説明
図1~4に、検体容器1000内で凍結保存するために生物学的検体を検体処理プロトコル(例えばガラス化プロトコル)に従って自動化された様式で調製するために使用できる、検体処理システム100のさまざまな図面を図示する。図5を参照すると、検体1001が検体容器1000内に配されており、そして検体容器1000は、検体1001の使用が所望されるまで(例えば最長約30年の期間にわたって)、低温物質(例えば液体窒素、極低温プラズマ、または液体ヘリウム)中で検体1001を生存可能かつガラス化した状態で凍結調製および凍結保存するよう設計されている。検体1001は、単一の細胞、遊離した(例えば付着していない)細胞の集合、または、付着した細胞の集合(例えば多細胞組織)であってもよい。検体1001は、生殖検体(例えば、精子細胞、卵母細胞、接合子、胚盤胞、原腸胚、もしくは胚)、または非生殖検体(例えば、1つもしくは複数の、T細胞もしくは血球)であってもよい。検体1001は哺乳類の組織試料または非哺乳類の組織試料であってもよい。いくつかの実施例において、検体1001はキャノーラなどの農業検体であってもよい。他の実施例において、検体1001は、さまざまな化学物質または他の非生物学的検体など、非生物学的検体であってもよい。
【0054】
検体処理システム100および検体容器1000は、検体1001のマスプロパティ(例えば密度および流体力学)をさまざまな処理媒質のマスプロパティに対して活用するように、ともに設計される。したがって検体容器1000は、凍結保存処理中に検体1001が曝露される複数の流体で内部がプリロードされた細長チューブ1002として提供される。とりわけ、検体1001は、詳しく後述するように、処理システム100内で検体1001に作用する遠心力によって検体容器1000内で軸方向1003に動かされてもよい。
【0055】
細長チューブ1002は近位および遠位クロージャ1004、1006にて密閉的に封止されてもよい。いくつかの態様において、細長チューブ1002には、分離用流体1012(例えば気泡または不混和性の媒質)によって分離された、平衡化溶液1008(例えば比較的低密度の凍結保護物質)とガラス化溶液1010(例えば比較的高密度の凍結保護物質)とがプリロードされる。平衡化溶液1008とガラス化溶液1010とがそのように分離していることは、ガラス化プロトコル中に検体1001を適切に処理すること(例えば、検体1001を、順次、望ましい時間にわたって特定の溶液に曝露すること)を可能にする。いくつかの態様において、細長チューブ1002には、平衡化溶液1008を近位クロージャ1004から分離する近位空気ポケット1014と、ガラス化溶液1010を遠位クロージャ1006から分離する(例えば、細長チューブ1002のテーパー部分1018の内部体積の一部分を占有する)遠位空気ポケット1016とが、さらにプリロードされる。
【0056】
細長チューブ1002は、非常に小さな直径の(例えば10-4 mのオーダーの内径を有する)、細い毛管である。細長チューブ1002は、主要部分1020(例えば円柱状部分)に沿って、実質的に一定した直径を有し、かつ、テーパー部分1018に沿って徐々に減少する、変動する直径を有する。細長チューブ1002の管腔は、最小の内径において、検体1001を収容できるだけ充分に大きい;検体1001は、典型的に、約50 μm~約150 μmの範囲内の直径または幅を有する。検体容器1000は、典型的に、約15 mm~約260 mm (例えば約150 mm)の全長を有する。細長チューブ1002は、典型的に、細長チューブ1002内に含有された検体1001の視認を可能にするため透明または半透明でありかつ低温物質に耐えられる、1つまたは複数の材料で作られる。細長チューブ1002が作られてもよい材料の例には、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、およびポリカーボネートなどのポリマー、ならびにフルオロポリマーが含まれる。
【0057】
図6~8を参照すると、検体容器1000は、それぞれ、近位クロージャ1004の近くで細長チューブ1002に取り付けられた識別(ID)ラベル1022、1024、または1026をさらに含む。IDラベルは、粘着ステッカーで細長チューブ1002に取り付けられてもよく、または細長チューブ1002の壁内に埋め込まれてもよい。IDラベルは機械可読な情報を含み、そして、IDラベルの外面上に書かれた人間可読な情報を追加的に含んでもよい。機械可読な情報および人間可読な情報のいずれかまたは両方が、名前、生年月日、ユニークな参照コード(例えば英数字列)、および他の患者データなど、さまざまな患者データを含んでもよい。より詳しく後述するように、検体容器1000のIDラベルは、検体処理システム100のスキャニングコンポーネントによって検出および読み取りされてもよい。図6~8にそれぞれ示すように、IDラベルは、(例えば内部アンテナを含む)無線周波数識別(RFID)タグ1022、(例えば一次元コード形式を含む)バーコード1024のタグ、または、(例えば二次元コード形式を含む)クイックレスポンス(QR)コード1026のタグとして具現化されてもよい。
【0058】
図1、2、および4を参照すると、検体処理システム100は、検体処理プロトコルを行うためそれぞれの検体容器1000が固定されてもよい複数の処理ステーション102と、処理ステーション102がそれに沿って配されるプラットフォーム104と、プラットフォーム104の下方に位置する内部コンポーネントを封入するハウジング106と、検体処理システム100を持ち上げまたはその他動かすためのハンドル188と、蓋108とを含むコンソールとして提供される。蓋108は、処理ステーション102へのアクセスを許容するためハウジング106から開くことができ、かつ、処理ステーション102へのアクセスを防ぐかまたはその他これを保護するためハウジング106上に閉めることができる。検体処理システム100は、ハウジング106の前壁に沿ってポジショニングされた、さまざまなユーザーインターフェースを提示する表示画面110と、検体処理システム100のさまざまな作動パラメータおよび検体プロトコルのさまざまな処理パラメータを設定するための複数のセレクタ112(例えばボタン)と、電源スイッチ192と、ケーブルポート114;ならびに、ハウジング106の後壁に沿ってポジショニングされた電源コネクタ116を、さらに含む。
【0059】
ハウジング106は、テーブル表面、床面、または別の平らな表面上で静止するように設計される。ハウジング106は、側壁に沿ってポジショニングされた空気抜き118と、後壁に沿ってポジショニングされた空気抜き120とを規定する。空気抜き118は、ハウジング106内に配された内部コンポーネントが約80℃の閾値温度を超えることを防ぐため、空気がハウジング106内外に循環することを可能にする。ハウジング106はまた、後壁に沿った電源コネクタ122も規定する。ハウジング106はヒンジ124を介して蓋108に接続される。
【0060】
いくつかの態様において、検体処理システム100のハウジング106と蓋108とは、併せて、約0.2 m~約1.0 mの全長と、約0.2 m~約1.0 mの全幅と、約0.2 m~約1.0 mの全高とを有する。いくつかの態様において、検体処理システム100は約5 kg~約50 kgの範囲内の重さを有し、かつ典型的に、約18℃~約28℃の周囲環境温度を有する、実験室の床、保管施設の床、テーブル、またはカウンタートップの上で保管される。いくつかの態様において、処理ステーション102のレセプタクル162は、約5 cm~約15 cmの長さと約1 cm~約5 cmの幅とを有する。ハウジング106および蓋108は、典型的に、ポリマーなど、かなりの程度の断熱を提供する材料で作られる。
【0061】
加えて、検体処理システム100は、検体処理プロトコルのさまざまなフェーズの持続時間を追跡するためのタイマー126と、検体容器1000のIDラベルを読み取るようプログラムされた読み取りコンポーネント128と、検体処理システム100のさまざまな特徴および機能性を制御するようプログラムされたマイクロコントローラ130とを含む。タイマー126、読み取りコンポーネント129、およびマイクロコントローラ130(いずれも図1に略図的に示す)は、それぞれの機能に好適なポジションに位置していてもよい。例えば、タイマー126、読み取りコンポーネント129、およびマイクロコントローラ130のいずれかが、ハウジング106のいずれかの側壁(例えば基部、側部、上部、もしくは底部)上、またはそれに取り付けられた支持部材上にマウントされてもよい。例えば、いくつかの態様において、マイクロコントローラ130が表示画面110に隣接して位置していてもよい。
【0062】
表示画面110は、1つまたは複数の検体1001を処理する(例えばガラス化する)ための検体処理システム100の作動を支配する複数のパラメータをユーザーが入力することを可能にする。いくつかの実施例において、そうした入力パラメータは、検体1001の発達ステージなど、検体1001に関する(例えば、結果として卵母細胞プロトコルまたは胚盤胞プロトコルの選択をもたらすなど)。表示画面110は、統合されたタッチ画面であってもよく、または、ボタン、ノブ、もしくはダイヤルなどの触覚制御要素と関連したタッチレス画面であってもよい。
【0063】
マイクロコントローラ130は、自動化されたさまざまな特徴に関係する検体処理システム100のさまざまなアクチュエータおよびセンサーと通信しておりかつ/またはこれらを制御するようプログラムされた、1つまたは複数のプロセッサを含む;そうした特徴には、表示画面110にてユーザー選択入力を受け取りかつインスタンシエーションすること;検体容器1001のIDラベルを読み取ること;タイマー126を実行すること;指定された持続時間にわたって指定されたスピン速度でプラットフォーム104をスピンさせること;蓋108の開状態または閉状態を検出すること;ならびに、検体処理プロトコルの進行に関する可聴的および/または視覚的フィードバックを提供すること;などがある。いくつかの態様において、プラットフォーム104は、蓋108が閉じられかつハウジング106とインターロックされた後にのみ、スピンするよう起動されうる。さらに、検体処理プロトコルの一部としてプラットフォーム104がスピンしていると、プラットフォーム104のスピンが止むまで蓋108を開けることができないのであってもよい。
【0064】
特に図4を参照すると、プラットフォーム104は、固定ポジションにおいて処理ステーション102をプラットフォーム104に固定(例えばボルト留め)できる、複数の(例えば6つの)スロット132を規定する。スロット132は、それに沿って検体容器1000をアライメントできる細長の開口部として形成され、したがって、検体容器1000をそこでプラットフォーム104上にポジショニングできる複数の任意的な位置を規定する。各スロット132の側方には、スロット132に平行な配置に分布した、1セットの4つの穴134と、2セットの2つの穴136とが位置する。したがって、スロット132に沿ってポジショニングされた検体容器1000の内部の検体1001を調べるために、処理ステーション102を穴134、136にてプラットフォーム104に取り付けることができる。複数のスロット132の配置と、処理ステーション102のさまざまなコンポーネントのサイズと、検体処理システム100の機能的要件(例えば、プロトコル中はプラットフォーム104全体にわたって実質的にバランスの取れた質量を維持するなど)とにより、いくつかの実施例において、所与の時点でプラットフォーム104に2つまたは3つの処理ステーション102しか設置できない可能性があり、そして、その2つまたは3つの処理ステーション102は、プラットフォーム104の周りで互いから実質的に等しく離れるよう円周方向に間隔が空けられるべきである。他の実施例において、プラットフォーム104に沿って戦略的にカウンターウェイトを置くなど、プラットフォーム104全体にわたって質量のバランスを取る方法が用いられる限り、異なる数の処理ステーション102およびその間隔が実施されてもよい。
【0065】
ある一定の内部特徴を露出させるためハウジング106および蓋108のある一定の部分が省略されている、図9および10を参照すると、検体処理システム100は、プラットフォーム104とともに組み付けされたプリント回路基板(PCB)138およびモーターアセンブリ140と、ハウジング106の前壁(明瞭さのため図9および10では省略されている)に沿ってポジショニングされたPCB 154とをさらに含む。いくつかの態様において、タイマー126およびマイクロコントローラ130(図1において略図的に示されている)はPCB 154にて実施される。プラットフォーム104とモーターアセンブリ140とのアセンブリは、プラットフォーム104の回転速度変化の間で加速が素早くかつスムーズに生じることを確実にする。
【0066】
特に図10を参照すると、PCB 138はプラットフォーム104の底面に取り付け(例えばボルト留め)され、かつ、プラットフォーム104の複数のスロット132とアライメントするようサイズ決定、ポジショニング、および配向された複数の(例えば6つの)延長プレート142を含む。複数の発光ダイオード(LED)144のマトリックス(例えば2つのアレイ)が、各延長プレート142の上面にマウントされ、かつプラットフォーム104のスロット132を通して露出する(図4を参照)。モーターアセンブリ140は、回転可能なモーターブロック190と、モーターブロック190の上面に取り付けられた支持プレート146と、支持プレート146からプラットフォーム144まで延在する支柱148と、モーターブロック190から(例えば支持プレート146を通って)プラットフォーム104まで延在する円柱状の連結ユニット150とを含む。モーターブロック190は、さまざまなアクション(例えば、検体容器1000を検体処理システム100にマウントまたはマウント解除するなど)を行うためにプラットフォーム104を特定の望ましいポジションまで動かすための特定のコマンドを実行できるよう、モーターの速度とポジションとの連続モニタリングを提供するためのエンコーダが取り付けられたサーボモーターまたはステッパモーターであってもよい。円柱状の連結ユニット150は、モーターブロック190の回転がプラットフォーム104の中心軸152の周りで連結ユニット150の回転とプラットフォーム104の回転とを引き起こすように、プラットフォーム104およびモーターブロック190の両方に取り付けられる。加えて、検体処理システム100はまた、モーター電源およびヒートシンク196と、電気を必要とする検体処理システム100内のコンポーネントの一部または全部のためにソース電気(例えば110ボルト/220ボルト)を変換する電力変換器198とを含む。円柱状の連結ユニット150は、処理ステーション102と、モーターブロック190と、マイクロコントローラ130との間でデータおよび制御信号を伝送する、複数の円柱状の電気接点156(例えばスリップリング)を備える。
【0067】
図11および12を参照すると、各処理ステーション102は、プラットフォーム104のスロット132に沿って検体容器1000を保持するためのレセプタクル162をともに規定する、下部ブラケット158と上部ブラケット160とを含む。いくつかの態様において、処理ステーション102は、検体容器1000をレセプタクル162内に固定することを助ける、1つまたは複数のばね荷重式保定用ストリップまたはクランプをさらに含む。下部ブラケット158は、特定のスロット132に沿って処理ステーション102をプラットフォーム104に取り付けるために、穴134のうち1つまたは複数、および穴136のうち1つまたは複数とアライメントするようポジショニングされる、穴164および穴166を規定する。下部ブラケット158はまた、上部ブラケット160を下部ブラケット158に固定する複数の(例えば4つの)フランジ168も規定する。各処理ステーション102はまた、上部ブラケット160が下部ブラケット158に沿って正しくポジショニングされるようにするため、上部および下部ブラケット160、158によってそれぞれ規定されるアライメント穴を貫通する、ポスト170も含む。下部ブラケット158は、対向して配された補高スロット176、および側方のスルーチャネル178もさらに規定する。処理ステーション102の上部および下部ブラケット160、158、ならびにプラットフォーム104は、典型的に、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス鋼、および他の金属など、1つまたは複数の金属で作られる。
【0068】
各処理ステーション102は、検体容器1000内の検体1001の動きをそれによって観察できるカメラ180と、カメラ180を支持するマウント用ブラケット182と、カメラ180をマウント用ブラケット182内に含有するためのカバープレート194とをさらに含む。マウント用ブラケット182は、カメラ180を下部ブラケット158に沿った望ましい位置にポジショニングするために補高スロット176内でスライドするようにサイズ決定およびポジショニングされた、対向して配された2つの細長の突出部184を規定する。マウント用ブラケット182は、マウント用ブラケット182を望ましい位置で下部ブラケット158に固定するため選択的にスルーチャネル178とアライメントできる、突出部184に沿って対向して配された2セットの穴186をさらに規定する。
【0069】
検体1001が検体処理システム100にて検体容器1000内で処理される時は、検体1001についての詳細情報をオペレーターが表示画面110にて入力するか、または、そうした情報が別のデバイスからデータ接続を通じて検体処理システム100内に自動的にインポートされてもよい。検体容器1000にIDラベル(例えばIDラベル1022、1024、または1026)があらかじめ備えられていないいくつかの態様において、検体処理システム100は、自動的にインポートされた情報を用いて人間可読な情報もしくはバーコードをIDラベル上に印刷し、そしてさらにそのIDラベルを検体容器1000に取り付けるように構成されてもよく、または、印刷されたIDラベルが次にオペレーターによって手動で検体容器1000に取り付けられてもよい。
【0070】
いずれのケースにおいても、検体1001についての詳細情報が手動で入力されまたは自動的にインポートされたら、オペレーターは次に、IDラベルを備えた検体容器1000を、処理ステーション102にてレセプタクル162内に装填する。読み取りコンポーネント128が、IDラベルを読み取ることによってレセプタクル162内の検体容器1000の存在を検出してもよく、そしてそうした検出をマイクロコントローラ130に通信してもよい。いくつかの態様において、読み取りコンポーネント128はカメラ180の1つの特徴であってもよい。例えば、IDラベルがバーコードラベル1024またはQRコードラベル1026として提供されるならば、カメラ180がそうしたラベルを読み取るように構成およびプログラムされてもよい。
【0071】
手動で入力されまたは自動的にインポートされた情報が、読み取りコンポーネント128がIDラベルから読み取った情報とマッチしないならば、検体処理システム100はエラーを生成しかつ表示画面110上に表示し、そして検体処理プロトコルの起動を防ぐ。手動で入力されまたは自動的にインポートされた情報が、読み取りコンポーネント128がIDラベルから読み取った情報とマッチするならば、検体処理システム100は、指定されたプロトコルに従って検体1001を処理するためにタイマー126を起動させてもよい。マイクロコントローラ130から受け取った1つまたは複数の信号に従って、プラットフォーム104は、プロトコルに従って検体1001を検体容器1000内で軸方向1003に沿って遠位クロージャ1006に向かって動かすために(図5を参照)検体1001に十分な向心力をかけるため、中心軸152の周りでスピンしてもよい。プラットフォーム104がスピンしている間に、検体容器1000内の検体1001およびさまざまな処理媒質(例えば平衡化溶液およびガラス化溶液1008、1010、ならびに他の任意の媒質)がカメラ180によって可視化(例えば撮像)されてもよい。いくつかの態様において、プロトコルの1つまたは複数のパラメータが、検体容器1000上に存在するIDラベルのタイプ(例えばRFID、バーコード、またはQRコード)によって決定されるかまたはこれと関連付けられてもよい。
【0072】
詳しく後述するように、マイクロコントローラ130は、検体1001の軸方向ポジションに関する視覚システム(例えばカメラ180を含む)からのフィードバックに基づき、プラットフォーム104の回転速度とプロトコルの1つまたは複数のフェーズの持続時間とのいずれかまたは両方を調整してもよい。そうしたプロトコル調整が、検体容器1000内の処理媒質への検体曝露時間を最適化してもよい。処理プロトコルが完了したら、検体容器1000がレセプタクル162から取り出されてもよく、そして検体容器1000内に含有された検体1001をガラス化および凍結保存するため低温物質中に置かれてもよい。
【0073】
上述したように、検体処理プロトコル中に検体容器1000内の検体1001のポジションを追跡するためにカメラ180が用いられてもよい。図13に示すように、各カメラ180は、検体処理システム100の各処理ステーション102に位置する視覚システム200のコンポーネントである。各視覚システム200は、カメラ180に加えて、検体容器1000をその上に支持できる光学的に明澄なプレート202;上部および下部レンズ204、206(例えば平凸のレンズ);上部および下部レンズ204、206の間に延在する2つの調整ねじ208;それぞれ調整ねじ208を囲んでいる2つの圧縮ばね210;PCB 138の延長プレート142と、延長プレート142に沿って分布したLED 144のマトリックス(例えば1つまたは複数のアレイ)とを含む、光源212;ならびに、中心方向に向けられた光線(例えば、実質的に検体容器1000の中心軸1028に向かって方向付けされた光線)が検体容器1000に入射しないようにブロックする不透明の遮光部214;をさらに含む。いくつかの態様において、視覚システム200のプレート202がプラットフォーム104のスロット132内に配されてもよい。カメラ180は典型的にプラットフォーム104の上方約1 cm~約5 cmの距離に位置する。
【0074】
上部および下部レンズ204、206は、LED 144から照射された光をコリメートして光ビームにし、そして、その光ビームを検体1001の期待される経路上に(例えば、概ね検体容器1000の中心軸1028に沿って)集束させることができる、集束レンズである。したがって、調整ねじ108とその周りの圧縮ばね210とは、光ビームの焦点が、検体容器1000がその上に保持されている支持プレート202の高さと一致するように、上部および下部レンズ204、206の高さを調整することを可能にする。支持プレート202は典型的に光源212の上方約0.1 cm~約1.5 cmの距離にポジショニングされる。
【0075】
遮光部214は、上部および下部レンズ204、206が正しく焦点合わせされた時に検体1001の(例えば軸から外れて位置する)周縁部が照明されるように、LED 144から中心方向に向けられた光線をブロックする。したがって、検体1001の周縁部は検体1001の内部領域より明るく見え、それにより検体1001は、暗視野照明に類似した様式で、カメラ180にとってより視認可能になる。さらに、視覚システム200は、波長約500 nm未満の光が検体1001に届かないようブロックするフィルタリングの機能性を含んでもよい;検体を追跡する際の長時間にわたるそうした波長への曝露は、検体1001の健常性およびその後の生物学的発達に有害である可能性があるからである。したがって、暗視野照明を実現するための視覚システム200のさまざまなコンポーネントの構成および機能性は、光源212から検体1001に照射される光の強度と曝露時間と波長とを精密に制御および制約することを有利に可能にし、このことはデリケートな生物学的検体1001の生存にとって重要である可能性がある。
【0076】
カメラ180は、検体1001の画像を連続的に生成し、そしてその画像を、規則的なインターバルでまたはリアルタイムのビデオフィードの形式でフィードすることによって、検体1001の線形の動きを検体処理プロトコル全体を通してリアルタイムで追跡してもよい;そのフィードは、画像を処理して検体1001のポジションを追跡するソフトウェアアルゴリズム300(図19を参照)を実行している遠隔コンピューティングデバイスに対して無線で行われてもよく、または、電気接点156を介した有線接続を通して、ソフトウェアアルゴリズム300を実行しているマイクロコントローラ130の1つもしくは複数のプロセッサに対して行われてもよい。図14を参照すると、検体1001が平衡化溶液1020中で平衡化できるよう、検体容器1000は検体処理プロトコル中に第一の既定の曝露時間にわたってレセプタクル162内の所定の位置に(例えば静止して)静置される。第一の曝露時間は、典型的なARTプロトコルのさまざまなパラメータに応じて、約5分間~約15分間の範囲であってもよい。
【0077】
第一の曝露時間中、浸透ポテンシャルに従って、平衡化溶液1020が検体1001から水分子を引き出し、かつ凍結保護物質を検体1001中に注入する。含水量の減少と凍結保護物質の添加とが、冷凍および加温サイクル中に検体1001の細胞成分の損傷を最小にすることを助ける。検体1001は平衡化溶液1020より高密度であり、したがって経時的に重力によって平衡化溶液1020を通って非常に徐々に下降するが、図14に示すように、検体1001は典型的にまだ平衡化溶液1020中に浮遊しており、第一の曝露時間の終わりまでには分離用流体1024に到達していない。
【0078】
図15~18を参照すると、既定の曝露時間にわたって検体1001が平衡化溶液1020に曝露されたら、平衡化溶液1020および検体1001を、分離用流体1024を軸方向に通ってガラス化溶液1022まで進めるため、選択された低速度で検体容器1000をスピンさせるようプラットフォーム104が起動される。検体容器1000は、典型的に約50 rpm~約1200 rpmの角速度で約0.5分間~約5分間にわたってスピンされる;これは、検体1001をガラス化溶液1022中まで適時な様式で下降させるのに充分であるが、検体1001に機械的損傷を生じさせるには充分でない向心力を、検体1001に及ぼす。そうした速度(例えば約5 g~約200 gに相当)は、非常に低速度の従来の実験室用遠心機の速度より、さらに大幅に遅い;従来の実験室用遠心機は、典型的に、約4000 rpm~約300,000 rpm(例えば約2,500 g~約65,000 gに相当)の範囲内の速度で、検体を遠心軸の周りで回転させることができる。
【0079】
特に図15を参照すると、スピンの最初のフェーズ中に、検体1001が平衡化溶液1020中で下降し、一方、検体1001を含有する平衡化溶液1020は、バルクモーションを介して下降し、分離用流体1024を通って(例えば、それによって分離用流体1024をずらしながら)ガラス化溶液1022に向かう。特に図16を参照すると、スピンの次のフェーズ中に、平衡化溶液1020がガラス化溶液1022に到達し、かつ検体1001が平衡化溶液1020からガラス化溶液1022中へと通過する。特に図17を参照すると、スピンの次のフェーズ中に、平衡化溶液1020がガラス化溶液1022とマージして複合ガラス化溶液1030(例えば、平衡化溶液1020、ガラス化溶液1022、および、平衡化溶液1020とガラス化溶液1022との間の混合溶液界面層を含む)を生成し、かつ、検体1001は複合ガラス化溶液1030を通って下降しつづける。
【0080】
特に図18を参照すると、スピンの最終フェーズ中に、検体1001は表面張力によって遠位空気ポケット1028のメニスカス1032上に載り、したがって、細長チューブ1002の比較的硬い壁との接触が回避される。例えば、複合ガラス化溶液1030と遠位空気ポケット1028との界面における表面張力と、複合ガラス化溶液1030とテーパー部分1016の内壁との間の張力との、バランスがあるゆえに、遠位空気ポケット1016のポテンシャル浮力(potential buoyancy force)はメニスカス132を破るのに充分でない。したがって、検体1001はメニスカス1032を貫通できない。
【0081】
スピンの完了時に検体1001が遠位空気ポケット1028のメニスカス1032上に乗った状態で、タイマー126が起動され、そして、検体1001を複合ガラス化溶液1030に曝露させるための第二の既定の曝露時間にわたって、検体容器1000がレセプタクル162内の所定の位置に(例えば静止して)静置される。第二の曝露時間は、典型的なARTプロトコルのさまざまなパラメータに応じて、約0.5分間~約2分間の範囲であってもよい。第二の曝露時間中に、複合ガラス化溶液1030中の凍結保護物質が検体1001中に浸透することによって検体1001中の水が置換され、それにより、検体が脱水されそして検体1001に凍結保護物質がさらに注入される。媒質濃度がそのようにステージ状に進行することにより、最初の浸透圧差が大きすぎる状態が回避される;最初の浸透圧差が大きすぎると、凍結保護物質が細胞に入れるより速いレートで細胞から水が出てゆくので、検体1001の細胞が縮みすぎ、かつ縮みかたも速くなりすぎる可能性がある。
【0082】
さまざまな処理媒質を送達もしくは除去するため検体を格納した容器に複数回のアクセスが行われる場合、または、ARTプロセス中に検体がさまざまな容器(例えばペトリ皿、試験管、もしくはフラスコ)に移される場合には、コンタミネーション、(例えばマイクロピペットまたは他の検体保持デバイスもしくは流体送達デバイスによる)機械的損傷、または他の偶発的な誤った取り扱いが生じうるが、平衡化溶液1020およびガラス化溶液1022が検体容器1000内にプリロードされた状態であることによって、生じうるそれらに曝露されることなく、検体1001を単一の隔離環境(例えば検体容器1000の管腔)内でガラス化用に調製することができる。
【0083】
いくつかの実施形態において、第二の曝露時間が終了したら、検体1001を含有する検体容器1000は次に、レセプタクル162から、最長約20年間までの期間にわたって検体1001を極低温状態に維持できる長期低温保管構造に、手動で移送される。いくつかの事例において、検体容器1000は、それよりはるかに短い期間(例えば数時間という短時間)、長期低温保管構造内で保管されてもよい。
【0084】
検体1001のポジションを追跡するために用いられるソフトウェアアルゴリズム300は、マイクロコントローラ130上で実行されてもよく、または、データ接続(例えばUSB接続、RS232接続、もしくは無線データ接続)を介して検体処理システム100に電気的に連結された、オペレーティングシステムを実行している別個の外部コンピューティングデバイス(例えばデスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレット、もしくはシングルボードコンピュータ)上で実行されてもよい。図19を参照すると、ソフトウェアアルゴリズム300は、ソフトウェアがカメラフィードから単一のカラー画像を取得する処理フローループに入り(302)、その画像をグレースケールに変換し、そして、グレースケール画像の各ピクセルについてのグレー値を保持するアレイ内にそのグレースケール画像を保管する(304)。アルゴリズム300は次に、検体容器1000の縁部(例えば輪郭)を検出するため、そしてそれによって、検体1001のポジションの追跡が行われるカメラ180の視野に対する、関心対象エリアのサイズとポジションとを規定するために、グレースケール画像に対する縁部検出ルーチンを行う(306)。
【0085】
アルゴリズム300は次にカメラフィードから第一の後続カラー画像をキャプチャし(308)、ある期間にわたって待機し(310)、そして次にカメラフィードから第二の後続カラー画像をキャプチャする(312)。第一および第二の後続カラー画像は、キャプチャされる際に関心対象エリアまで切り出される。アルゴリズム300はまた、第一および第二の後続カラー画像もグレースケールに変換し、そして、グレースケール画像の各ピクセルについてのグレー値を保持するアレイ内に第一および第二のグレースケール画像を保管する(314)。アルゴリズム300は次に、第一および第二のグレースケール画像を互いに比較し、そして、第一および第二のグレースケール画像間のピクシレーション差(pixilation difference)を差分画像として保管する追加アレイを生成する(316)。アルゴリズム300は、差分画像による光度データを上限制約および下限制約に基づいてバイナリ値に変換して、第一のバイナリ閾値差分画像を生成する(318)。例えば、上限制約と下限制約との間に入るすべての画像データが第一のバイナリ閾値差分画像内に維持され、一方で、上限制約と下限制約との間で規定される範囲に入らないすべての画像データが棄却される。
【0086】
アルゴリズム300は次に、ノイズを除去するために第一のバイナリ閾値差分画像をぼかし、そしてそれにより第一のぼかし差分画像を生成する(320)。アルゴリズム300は再度、第一のぼかし差分画像による光度データを上限制約および下限制約に基づいてバイナリ値に変換して、第一のバイナリ閾値差分画像と比較してさらにノイズが少ない第二のバイナリ閾値差分画像を生成する(322)。このケースにおいて、バイナリ値、上限制約、および下限制約は、第一のバイナリ閾値差分画像の生成に用いられたものには依存しない。アルゴリズム300はまた、ノイズをさらに除去するために第二のバイナリ閾値差分画像をぼかし、そしてそれにより第二のぼかし差分画像を生成する(324)。
【0087】
アルゴリズムは次に、第二のバイナリ閾値差分画像を物体検出ルーチンに渡す(326);このルーチンにおいて画像内で検体1001が同定される可能性がある。画像内で検体1001が同定されないならば(328)、アルゴリズム300は、カメラフィードから第一の後続カラー画像をキャプチャする段階(308)に戻る。画像内で検体1001が同定されたならば(328)、アルゴリズム300は、検体1001の位置をカテゴリー化(例えば決定)し、そして物体ポジションのアレイ内にその位置を保管する(330)。アルゴリズム300は、既定の最大閾値および最小閾値を用いて、(例えば公知のカメラ解像度についての)ピクセル数に基づいて検体1001を同定する;それは、アレイ内で、公知の拡大下における検体1001の概ね円形のエリアを表す(332)。アルゴリズム300は、検体1001の中心ポジション、速度(先の処理画像間で経過した時間と、現在および先の処理画像における検体1001のポジションとに基づく)、ならびに方向を、別のアレイ内に保管する(334)。例えば、最大閾値および最小閾値は、検体1001のおよその幾何学形状限界を表す概ね円形のエリアを形成する、少なくとも部分的に近接した(contiguous)ピクセルの上限数および下限数を提供する。速度および中心ポジションのポジションの記録は、少なくとも1つの検体1001の動きを検証するために追跡される。
【0088】
アルゴリズム300は、検体1001の中心ポジション、速度、および方向のデータをさらなる処理のために出力する(336)。例えばいくつかの態様において、アルゴリズム300は、オペレーターによる閲覧のため表示画面110に(338)、およびマイクロコントローラ130のコンポーネントに、データを出力する。いくつかの態様において、アルゴリズム300は、データ接続を介して外部コンピューティングデバイスのコンポーネントにも追加的にデータを出力する。アルゴリズム300が検体1001の追跡を終えたならば(340)、アルゴリズム300は処理フローループから出る。アルゴリズム300が検体1001の追跡を終えていないならば(340)、アルゴリズム300は、カメラフィードから第一の後続カラー画像をキャプチャする段階(308)に戻る。
【0089】
検体容器1000内における検体1001の軸方向ポジション(例えばプラットフォーム104に沿った検体1001の半径方向ポジション)にかかわらず、ユーザーによってプログラムされたように実質的に一定した向心力に検体1001が曝露されるように、アルゴリズム300からの情報を用いて、マイクロコントローラ130がモーターアセンブリ140との通信を介してプラットフォーム104の回転速度、スピン方向、および加速度を制御してもよい。例えば、マイクロコントローラ130によって伝送された1つまたは複数の信号に従って、指定されたプロトコルに従い検体1001を検体容器1000の中心軸1028に沿って遠位クロージャ1006に向かって動かすだけの十分な向心力を検体1001にかけるために、プラットフォーム104が中心軸152の周りでスピンしてもよい。前記1つもしくは複数の信号は、プラットフォーム104の角速度、および/または、プロトコルの1つもしくは複数のフェーズの持続時間を調整するために用いられてもよい。そうしたプロトコル調整が、検体容器1000内の処理媒質への検体曝露時間を最適化してもよい。
【0090】
いくつかの態様において、他の点では検体容器1000と同様である検体容器それ自体が、1つまたは複数の埋込光学素子(例えば1つまたは複数のレンズ)を含んでいてもよい;その光学素子は、検体処理システム100にて行われている自動検体追跡ルーチンの間に、またはそれとは別に、検体1001を裸眼でよりはっきり見えるようにするかまたは視覚システム200のカメラ180によって可視化できるようにするような素子である。
【0091】
いくつかの態様において、検体処理システム100は、検体容器1000が検体処理システム100にて処理されている間に検体容器1000内の検体1001もしくは流体のいずれかまたは両方の動きを励起するよう設計された、1つまたは複数の振動アセンブリをさらに備える。例えば、図20に、検体容器1000を確実に支持するよう設計された、そのような振動アセンブリ400を図示する。1つまたは複数の振動アセンブリ400はそれぞれ、検体処理システム100の処理ステーション102のうち1つまたは複数に、処理ステーション102のそれぞれの上部ブラケット160の代わりに設置されてもよい。
【0092】
振動アセンブリ400は、処理ステーション102にてプラットフォーム104に固定でき、かつ、振動アセンブリ400の他のコンポーネントがそこにマウントされる、ベース402を含む。振動アセンブリ400は、検体容器1000を支持するように形成されかつベース402に対して可動である(例えば自由空間中に懸架されている)マウント用プラットフォーム404をさらに含む。例えば、振動アセンブリ400は、マウント用プラットフォーム404がそれに沿って横方向および縦方向に動くことができる2つのフレーム406と;スピン中に向心力による過剰な外向きの動きを制限する2つの動的スペーサー408(例えばばね、またはコンプライアントな材料で作られた他の部材)と;マウント用プラットフォーム404をベース402に強固に取り付ける必要なく動的スペーサー408に対するいくらかの自由運動を許容する調整可能ストップ410とをさらに含む。マウント用プラットフォーム404の少なくとも中央部分は、視覚システム200からの集束光が通過しそして検体容器1000内の検体1001を照明できるよう、光学的に透明な材料で作られる。振動アセンブリ400はまた、検体容器1000をマウント用プラットフォーム404にクランプ留めできる、対向する拘束用クランプ412も含む。
【0093】
振動アセンブリ400は、マウント用プラットフォーム404をx軸に沿って振動させるモーター414と、マウント用プラットフォーム404をy軸に沿って振動させるモーター416とをさらに含む。モーター414、416はハウジング106内の電気接点156から受け取った電気信号を介して起動されてもよい。モーター414、416は、望ましい動きの方向を実現するため、同時にまたは異なる時に起動されてもよい。モーター414、416の駆動電圧もまた、モーター414、416の振動周波数を変えるために調整されてもよい。
【0094】
いくつかの態様において、構築様式および機能において検体処理システム100と同様である検体処理システムが、検体容器1000を切断しかつ続いて封止するための特徴をさらに備えていてもよい。例えばいくつかの実施例において、検体1001が処理されそして検体容器1000の遠位端に配された後に、検体容器1000から余分な長さを切断する必要が生じる可能性がある。図21に検体処理システム500の切断封止ステーション502を図示する;ここで検体容器1000は、検体容器1000の遠位保管部分503が低温物質501中に置かれる前に、同時に切断および封止(例えば熱封止、超音波封止、または圧着を介して)されてもよい。いくつかの態様において、検体容器1000は2つの別個のオペレーションで切断および封止されてもよい。例えば、図22に検体処理システム600の切断ステーション602を図示する;ここで検体容器1000は、検体容器1000の遠位保管部分603が低温物質601中に置かれる前に、まず切断されてもよく、そして次に、検体処理システム600の一部である専用装備を用いて自動的に封止、キャップ、またはプラグされてもよい。
【0095】
上述の検体処理システム100、検体処理システム500、検体処理システム600、検体容器1000、視覚システム200、および振動アセンブリ400は、ある一定の寸法、サイズ、形状、材料、および構成を備えたコンポーネントを含むものとして、かつ、ソフトウェアアルゴリズム300に関して、説明および図示したが、いくつかの態様において、他の点では構造および機能において上述の態様と実質的に同様である検体処理システム、検体容器、視覚システム、振動アセンブリ、およびソフトウェアアルゴリズムが、異なる寸法、サイズ、形状、材料、および構成を備えた1つもしくは複数のコンポーネント、または、1つもしくは複数の異なる処理フロー段階を含んでもよい。
【0096】
例えば、検体処理システム100、視覚システム200、およびアルゴリズム300は、検体容器1000内の1つの検体1001を追跡することに関して説明および図示したが、いくつかの態様において、構築様式および機能において検体処理システム100と実質的に同様である検体処理システムが、検体処理プロトコル中に同じ検体容器1000内の1つより多い検体1001を追跡するよう設計されたアルゴリズムで作動されてもよい。
【0097】
したがって、他の諸態様も添付の特許請求の範囲内に入る。
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【国際調査報告】