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特表2022-546399オキシ燃料燃焼プロセスにおける火炎制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】オキシ燃料燃焼プロセスにおける火炎制御
(51)【国際特許分類】
   F23L 7/00 20060101AFI20221027BHJP
   F23L 15/00 20060101ALI20221027BHJP
   F23C 7/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
F23L7/00
F23L7/00 C
F23L15/00
F23C7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513087
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(85)【翻訳文提出日】2022-04-18
(86)【国際出願番号】 IB2020057987
(87)【国際公開番号】W WO2021038470
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/891,588
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/891,590
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フェトヴェト,ジェレミー エロン
(72)【発明者】
【氏名】フォレスト,ブロック アラン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,スコット トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ルー,シージア
【テーマコード(参考)】
3K023
3K091
【Fターム(参考)】
3K023JA01
3K023JB06
3K023JD06
3K023JD07
3K023QB11
3K091FB12
3K091FB32
3K091FB34
(57)【要約】
本開示は、燃焼器、特に発電システムおよび発電方法で使用するための燃焼器における火炎伝播を向上させる。燃焼器内に送られる少なくとも1つの流れ(例えば、燃料、酸化剤、希釈剤、冷却剤、作動流体、水、または蒸気)は、燃料のほぼ自己着火温度以上の温度まで別々に加熱され得る。さらに、点火の促進を含む火炎安定化は、燃焼器または燃焼室内への1つ以上のNOx種の制御添加によって、本明細書に記載されるように改善され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電プラントの燃焼器内で火炎を伝播させるための方法であって、前記方法は、
前記燃焼器に規定の自己着火温度を有する燃料を投入することと、
前記燃焼器に少なくとも1つの非燃料流をさらに投入することと、
前記燃焼器に流入する流れの全フローが前記燃料の自己着火温度よりも高いか前記燃料の自己発火温度よりも20%以下だけ低い温度になるように、前記少なくとも1つの非燃料流を十分に加熱することと、
を含み、
前記少なくとも1つの非燃料流を加熱することは、燃焼に由来しない熱を利用して実施される、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記発電プラントの始動時にまたは前記発電プラントの運転の過渡期間において実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発電プラントの始動または前記発電プラントの運転の過渡期間は、前記発電プラントが通常運転出力の75%未満である出力で運転することに関連して定義される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記非燃料流は、酸化剤流、作動流体流、希釈流、および水/蒸気流のうちの1つ以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの非燃料流を加熱することは、1つ以上のライン加熱器を使用して、前記非燃料流を前記燃焼器へと流すラインの少なくとも一部を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のライン加熱器は、加熱流を受け取って、そこから前記ラインに熱を伝達するように構成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの非燃料流を加熱することは、前記少なくとも1つの非燃料流を直接加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの非燃料流を直接加熱することは、前記少なくとも1つの非燃料流を圧縮することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの非燃料流を加熱することは、前記少なくとも1つの非燃料流を前記熱交換器に通過させて別の加熱流と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの非燃料流は、前記ラインから分離可能な分岐ラインを含むラインを通して前記燃焼器に投入される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの非燃料流を加熱することは、前記分岐ラインの少なくとも一部を加熱することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記分岐ラインは、前記分岐ラインを通る少なくとも1つの非燃料流のフローを選択的に可能または不可能にする1つ以上の弁を利用して、前記ラインから分離可能である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記燃焼器またはその燃焼室内に存在する加熱部材を制御可能に操作することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記加熱部材は、前記燃焼器に流入する流れの全フローが前記燃料の自己着火温度よりも低い温度であるときに、前記燃焼器または前記燃焼室内の全体温度が前記燃料の自己着火温度より高くなるように十分な熱を加えるのに有効であるように制御される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記燃焼器またはその燃焼室内で火炎を達成または維持するのに必要な活性化エネルギーレベルを低下させるのに十分な量の少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒を前記燃焼器に投入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
発電プラントであって、
燃焼器と、
規定の自己着火温度を有する燃料を前記燃焼器に投入するように構成された燃料ラインと、
少なくとも1つの非燃料流を前記燃焼器に送達するように構成された少なくとも1つの投入ラインと、
前記燃焼器と流体連通するタービンまたは膨張器と、
前記燃焼器に流入する流れの全フローが前記燃料の自己着火温度よりも高いか前記燃料の自己発火温度よりも20%以下だけ低い温度になるように、前記少なくとも1つの非燃料流を加熱するために前記少なくとも1つの投入ラインと共に動作可能に配置された少なくとも1つの加熱器と、
を備える、発電プラント。
【請求項17】
前記燃焼器は、前記燃焼器内またはその燃焼室内に位置決めされた加熱部材をさらに含む、請求項16に記載の発電プラント。
【請求項18】
前記加熱部材は、前記燃焼器に流入する流れの全フローからの加熱とは別に、前記燃焼器または前記燃焼室を加熱するように構成される、請求項17に記載の発電プラント。
【請求項19】
前記加熱部材は、抵抗加熱器である、請求項17に記載の発電プラント。
【請求項20】
前記加熱部材は、前記燃焼器に流入する流れの全フローが前記燃料の自己着火温度よりも低い温度であるときに、前記燃焼器内の全体温度が前記燃料の自己着火温度より高くなるように十分な熱を加えるのに有効であるように制御可能である、請求項17に記載の発電プラント。
【請求項21】
前記少なくとも1つの加熱器は、ライン加熱器である、請求項16に記載の発電プラント。
【請求項22】
前記ライン加熱器は、加熱流を受け取って、そこから前記ラインに熱を伝達するように構成される、請求項21に記載の発電プラント。
【請求項23】
前記少なくとも1つの加熱器は、圧縮機を備える、請求項16に記載の発電プラント。
【請求項24】
前記少なくとも1つの加熱器は、前記少なくとも1つの非燃料流が加熱流と接触して加熱可能である熱交換器を備える、請求項16に記載の発電プラント。
【請求項25】
前記少なくとも1つの投入ラインは、前記少なくとも1つの投入ラインから分離可能な分岐ラインをさらに含み、前記少なくとも1つの加熱器は、前記分岐ライン上に位置決めされる、請求項16に記載の発電プラント。
【請求項26】
前記分岐ラインは、前記分岐ラインを通る少なくとも1つの非燃料流のフローを選択的に可能または不可能にする1つ以上の弁を利用して、前記少なくとも1つの投入ラインから分離可能である、請求項25に記載の発電プラント。
【請求項27】
発電プラントの燃焼器内で火炎を伝播させるための方法であって、前記方法は、
前記燃焼器に燃料を投入することと、
前記燃焼器に酸化剤を投入することと、
前記燃焼器またはその燃焼室内で火炎を達成または維持するのに必要な活性化エネルギーレベルを低下させるのに十分な量の少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒を前記燃焼器に投入することと、
を含む、方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒は、前記燃料および前記酸化剤の一方または両方と組み合わせて前記燃焼器に投入される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
反応器内で少なくともアンモニアを反応させて前記少なくとも1つのNOx種を生成することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒の投入は、前記発電プラントの運転中に実質的に連続的であり、前記方法は、前記発電プラントの1つ以上のさらなる運転パラメータの変化に基づいて、前記少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒の含有量を調整することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒の投入は、規定の閾値に達するまで行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記規定の閾値は、燃焼器運転温度または前記発電プラントの出力である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒は、前記燃焼器から流出する排気フロー中に存在する少なくとも1つのNOx種の量が約5ppm~約1000ppmとなるように十分な量で投入される、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
発電プラントであって、
燃焼器と、
前記燃焼器と流体連通し、前記燃焼器から排気を受け取るように配置されたタービンまたは膨張器と、
少なくとも燃料、酸化剤、および少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒を前記燃焼器に投入するように構成された複数のラインと、
を備える、発電プラント。
【請求項35】
少なくともアンモニアを受け取って、前記少なくとも1つのNOx種を含む流れを排出するように構成された反応器をさらに備える、請求項34に記載の発電プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オキシ燃料燃焼プロセスにおける火炎制御に関する。より具体的には、本開示は、発電のためのオキシ燃料燃焼のためのシステムおよび方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
酸素燃焼サイクルでは、システム全体の温度および圧力が、燃焼器内の火炎が容易に維持され得る点まで上昇する前に、点火を促進および維持することが望ましい。したがって、燃焼器が少なくとも必要な温度に達するまで、火炎は極めて不安定になる可能性がある。さらに、一旦点火が達成されると、火炎は、システムの過渡状態を通して点火された状態を維持しなければならず、これは、低温での運転時間の延長を伴い得る。これらの低い温度では、ブローアウトさせずに火炎を維持することは困難であり得る。
【0003】
燃焼器における点火には様々な方法が検討されてきた。火花点火器はガスタービンに使用されてきたが、火花点火器自体は高圧で故障しやすいと考えられているので、高圧オキシ燃料システムにおけるそのような要素の適合性には問題があり、発電サイクルへの部品の解放により発電サイクルの損傷を引き起こす可能性がある。点火器が点火後に燃焼器から引き出されるように、従来のガスタービンの初期始動段階でのみ火花点火器を使用することも知られている。一方、一部の航空機燃焼器では、ブローアウトの危険性を抑えるために、またはブローアウトが生じた場合に再点火の可能性を高めるために、連続点火器運転が使用されることが知られている。しかしながら、高圧オキシ燃料燃焼システムを用いてそのような解決策を実施することは複雑さが増すので、その解決策は実用的でない。レーザ点火システムは、近年、公知の燃焼システムにおいて普及しているが、装置の配置および点火を開始するためにレーザに供給しなければならない電力に関して潜在的な問題がある。加えて、レーザは、燃焼室の中心への光学経路を必要とし、これは、サファイア窓などのオプションを使用することで、複雑さおよび潜在的な破損点を生じさせる可能性がある。さらに、自燃性化学物質は、ロケットモータを試験する際に使用されており、点火する際にエネルギーを加えるが、化学反応の生成物は固体であり、固体が燃焼器自体、タービン、および/または熱交換器を詰まらせる場合がある密閉電力サイクルでの使用は認められない。燃焼タービンにおいて酸化剤として空気を利用するシステムでは、NOx種の存在が燃焼プロセスを促進するのに有用であり得ることが認識されている。しかしながら、NOx排出に関する規制のために、大気に排出する燃焼プロセスにNOx種を意図的に添加することは、依然として好ましくない。
【0004】
これらの公知の潜在的な点火源は、点火が起こる燃焼器内の空間内の点に対応するものに過ぎず、燃焼器に流入する全体のフローパラメータに対応するものではないので、現在の問題に関連する多くの場合に使用するには不十分である。燃焼器に流入するバルク流量ならびにシステムの始動に関連する他の全要因を改善または調整することは、燃焼を含む複数のプロセスにプラスの影響を及ぼし得る。例えば、多くの場合、火炎を維持しながら、かなり遅い速度(点火時に見られる温度変化よりもはるかに遅い)でプラントの残りの部分のプロセスおよび温度を上昇させることが望ましい。このような場合に、単に点火火花を発生させること以外に、よりロバストで包括的な解決策が必要となる。
【0005】
前述の考慮事項に加えて、確実に反応を継続的に進行させるために、また反応を開始するためのエネルギーのハードルを下げるために追加の触媒を添加することは、化学反応において非常に一般的である。これはさらに、反応領域に固体触媒または促進剤を加えることによって、または連続プロセスにおいてプロセス流中を自由に流れる触媒または促進剤の追加の流れを供給することによって達成され得る。このため、上述したように、NOxの添加は、酸化剤として空気を利用して火炎中での燃焼を促進することができることが既に分かっているが、NOx排出に関する規制およびこのような排出を防止するための重要な要件が、NOxの添加を非実用的な解決策にしている。したがって、当技術分野において、オキシ燃料燃焼プロセスの開始および/または維持を促進する燃焼プロセスおよびシステムの改善が依然として必要である。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、発電プラントの始動および持続運転を改善するのに適したシステムおよび方法を提供する。本開示のシステムおよび方法は、様々な発電サイクルで実施され得、高圧運転を意図したオキシ燃料燃焼サイクルと共に使用するのに特に有益であり得る。
【0007】
1つ以上の実施形態において、本開示は、発電プラントの燃焼器内で火炎を伝播させるための方法を提供し得る。伝播火炎または火炎伝播は、本明細書で使用される場合、発電プラントの始動時などに最初に火炎を点火する能力を向上させるために、ブローアウト後に火炎を再点火する能力を向上させるために、および/または燃焼器温度が通常運転条件未満であり、および/または発電プラントの出力が通常運転未満である運転中(例えば、過渡期間において)などに火炎を維持してブローアウトを回避するために利用される動作および/または部材を指すことができる。通常運転パラメータ未満の運転期間は、発電プラントが通常の出力で運転される典型的な温度の90%未満、80%未満、75%未満、60%未満、または50%未満である燃焼器温度で運転するものとして定義され得る。同様に、過渡期間は、通常条件下で運転されるときの発電プラントからの出力の90%未満、80%未満、75%未満、60%未満、または50%未満の出力で発電プラントを運転するものとして定義され得る。このような条件では、燃焼器内の火炎はブローアウトしやすくなり得、このような条件下では火炎点火がより難しくなり得る。したがって、本開示は、火炎点火または再点火の容易さから明らかなように、および/または耐ブローアウト性の向上から明らかなように、火炎伝播を向上させる方法およびシステムを提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、規定の自己着火温度を有する燃料を燃焼器に投入することと、少なくとも1つの非燃料流を燃焼器にさらに投入することと、燃焼器に流入する流れの全フローが、燃料の自己着火温度よりも高いかまたは燃料の自己着火温度よりも20%以下だけ低い温度になるように少なくとも1つの非燃料流を十分に加熱することとを含み得、少なくとも1つの非燃料流を加熱することは、燃焼から生じる熱を利用して実行される。1つ以上の実施形態では、該方法は、任意の数および順序で組み合わせられ得る以下の記載内容のうちの1つ以上に関してさらに定義され得る。
【0009】
該方法は、発電プラントの始動時に、または発電プラントの運転の過渡期間において実施され得る。
【0010】
発電プラントの始動または発電プラントの運転の過渡期間は、発電プラントが通常運転出力の75%未満の出力で運転することに関連して定義され得る。
【0011】
非燃料流は、酸化剤流、作動流体流、希釈流、および水/蒸気流のうちの1つ以上であり得る。
【0012】
少なくとも1つの非燃料流を加熱することは、1つ以上のライン加熱器を使用して、非燃料流を燃焼器へと流すラインの少なくとも一部を加熱することを含み得る。
【0013】
1つ以上のライン加熱器は、加熱流を受け取って、そこからラインに熱を伝達するように構成され得る。
【0014】
少なくとも1つの非燃料流を加熱することは、少なくとも1つの非燃料流を直接加熱することを含み得る。
【0015】
少なくとも1つの非燃料流を直接加熱することは、少なくとも1つの非燃料流を圧縮することを含み得る。
【0016】
少なくとも1つの非燃料流を加熱することは、少なくとも1つの非燃料流を熱交換器に通過させて別の加熱流と接触させることを含み得る。
【0017】
少なくとも1つの非燃料流は、ラインから分離可能な分岐ラインを含むラインを通して燃焼器に投入され得る。
【0018】
少なくとも1つの非燃料流を加熱することは、分岐ラインの少なくとも一部を加熱することを含み得る。
【0019】
分岐ラインは、分岐ラインを通る少なくとも1つの非燃料流のフローを選択的に可能または不可能にする1つ以上の弁を利用して、ラインから分離可能であり得る。
【0020】
該方法はさらに、燃焼器またはその燃焼室内に存在する加熱部材を制御可能に操作することを含み得る。
【0021】
加熱部材は、燃焼器に流入する流れの全フローが燃料の自己着火温度よりも低い温度であるときに、燃焼器または燃焼室内の全体温度が燃料の自己着火温度以上になるように十分な熱を加えるのに有効であるように制御され得る。
【0022】
該方法は、燃焼器またはその燃焼室内で火炎を達成または維持するのに必要な活性化エネルギーレベルを低下させるのに十分な量の少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒を燃焼器に投入することをさらに含み得る。
【0023】
1つ以上の実施形態では、本開示は、発電プラントを提供し得る。そのようなプラントは、本明細書に別途記載されるように、火炎伝播の制御を改善するように構成され得る。例えば、発電プラントは、燃焼器と、規定の自己着火温度を有する燃料を燃焼器に投入するように構成された燃料ラインと、少なくとも1つの非燃料流を燃焼器に送達するように構成された少なくとも1つの投入ラインと、燃焼器と流体連通するタービンと、燃焼器に流入する流れの全フローが燃料の自己着火温度以上である、または燃料の自己着火温度よりも20%以下だけ低い温度になるように少なくとも1つの非燃料流を十分に加熱するために少なくとも1つの投入ラインと共に動作可能に配置された少なくとも1つの加熱器とを備え得る。さらなる実施形態では、発電プラントは、任意の数および順序で組み合わせられ得る以下の記載内容のうちの1つ以上に関連して定義することができる。
【0024】
燃焼器は、燃焼器またはその燃焼室内に位置決めされた加熱部材をさらに含み得る。
【0025】
加熱部材は、燃焼器に流入する流れの全フローからの加熱とは別に、燃焼器または燃焼室を加熱するように構成することができる。
【0026】
加熱部材は、抵抗加熱器であり得る。
【0027】
加熱部材は、燃焼器に流入する流れの全フローが燃料の自己着火温度よりも低い温度であるときに、燃焼器内の全体温度が燃料の自己着火温度より高くなるように十分な熱を加えるのに有効であるように制御可能であり得る。
【0028】
少なくとも1つの加熱器は、ライン加熱器であり得る。
【0029】
ライン加熱器は、加熱流を受け取って、そこからラインに熱を伝達するように構成され得る。
【0030】
少なくとも1つの加熱器は、圧縮機を備え得る。
【0031】
少なくとも1つの加熱器は、少なくとも1つの非燃料流が加熱流と接触して加熱可能である熱交換器を備え得る。
【0032】
少なくとも1つの投入ラインは、少なくとも1つの投入ラインから分離可能な分岐ラインをさらに含み得、少なくとも1つの加熱器は、分岐ライン上に位置決めされる。
【0033】
分岐ラインは、分岐ラインを通る少なくとも1つの非燃料流のフローを選択的に可能または不可能にする1つ以上の弁を利用して、少なくとも1つの投入ラインから分離可能であり得る。
【0034】
1つ以上の実施形態では、発電プラントの燃焼器内で火炎を伝播させるための方法は、燃焼器に燃料を投入することと、燃焼器に酸化剤を投入することと、燃焼器またはその燃焼室内で火炎を達成または維持するのに必要な活性化エネルギーレベルを低下させるのに十分な量の少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒を燃焼器に投入することとを含み得る。さらなる実施形態では、該方法は、任意の数および順序で組み合わせられ得る以下の開示内容のうちの1つ以上に関してさらに定義され得る。
【0035】
少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒は、燃料および酸化剤の一方または両方と組み合わせて燃焼器に投入され得る。
【0036】
該方法は、反応器内で少なくともアンモニアを反応させて少なくとも1つのNOx種を生成することをさらに含み得る。
【0037】
少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒を投入することは、発電プラントの運転中に実質的に連続的であり得、該方法は、発電プラントの1つ以上のさらなる運転パラメータの変化に基づいて、少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒の含有量を調整することをさらに含み得る。
【0038】
少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒を投入することは、規定の閾値に達するまで行われ得る。
【0039】
規定の閾値は、燃焼器運転温度または発電プラントの出力であり得る。
【0040】
少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒は、燃焼器から流出する排気フロー流中に存在する少なくとも1つのNOx種の量が約5ppm~約1000ppmとなるように十分な量で投入され得る。
【0041】
本開示に係る発電プラントは、燃焼器と、燃焼器と流体連通し、燃焼器からの排気を受け取るように配置されたタービンまたは膨張器と、少なくとも燃料、酸化剤、および少なくとも1つのNOx種を含む化学触媒を燃焼器に投入するように構成された複数のラインとを備え得る。さらなる実施形態では、発電プラントは、少なくともアンモニアを受け取って、少なくとも1つのNOx種を含む流れを排出するように構成された反応器をさらに備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本開示の例示的な実施形態に係る、燃焼器内で火炎を伝播させるための本明細書に記載の1つ以上の機能および/または部材を実装するように構成された発電プラントのフロー図である。
図2】本開示の例示的な実施形態に係る火炎を伝播させるためのシステムおよび方法に使用するための燃焼器および関連部材を示す図である。
図3】本開示の例示的な実施形態に係るシステムおよび方法に使用するための投入ラインおよびライン加熱器の一部を示す図である。
図4A】本開示の例示的な実施形態に係る、流れが加熱されるように燃焼器に送られている間の1つ以上の加熱器を通る流れ源からの流れを示す部分フロー図である。
図4B】本開示の例示的な実施形態に係る、流れが加熱されるように燃焼器に送られている間の1つ以上の加熱器を通る流れ源からの流れを示す部分フロー図である。
図4C】本開示の例示的な実施形態に係る、流れが加熱されるように燃焼器に送られている間の1つ以上の加熱器を通る流れ源からの流れを示す部分フロー図である。
図5】本開示の例示的な実施形態に係るシステムおよび方法に使用するための分岐ラインおよびそれに対応するライン加熱器を含む投入ラインの一部を示す図である。
図6】本開示の例示的な実施形態に係る、少なくとも化学触媒の投入によって火炎を伝播させるためのシステムおよび方法に使用するための燃焼器および関連部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本開示の主題の例示的な実施形態に関して、より詳細に後述する。本開示が徹底的かつ完全なものになるように、そして当業者に本開示の主題の範囲を十分に伝えるために、これらの例示的な実施形態について説明する。実際に、本開示の主題は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載されている実施形態に限定されると解釈すべきでなく、むしろ、これらの実施形態は、適用可能な法的要件を満たすために提示されるものである。本明細書および添付の請求項で使用されるとき、文脈が明らかに他の意味を示す場合を除いて、単数形(「一」、「一つ」、「その」)は、複数の指示対象を含む。
【0044】
1つ以上の実施形態では、本開示は、発電システムにおいて動作するように構成された少なくとも燃焼器の運転を改善するためのシステムおよび方法に関する。そのようなシステムは、オキシ燃料燃焼サイクルを実行するように特に構成され得、本開示のシステムおよび方法は、発電のためのシステムの運転を改善するのに特に有用であり得る。非限定的な実施形態例として、本開示は、燃焼器内、特に前記発電システムの燃焼器内での点火、燃焼、および火炎安定性のうちの1つ以上を促進するのに有効であり得る。加えて、本開示は、燃焼器の点火前後の瞬間において、設備の様々な領域で適切なバルク温度を維持するのに有効であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の改善は、発電システム、特に燃焼器が始動時におよび/または燃焼器が通常運転温度未満の温度で運転される任意の時点で運転されているときに特に実現され得る。
【0045】
本明細書で使用される通常運転温度は、特に、発電が全発電量で作動しているときに燃焼器が典型的に運転される温度(±10%)を意味する。例えば、米国特許第8596075号明細書(開示内容は参照により本願明細書に援用される)に記載されているようなオキシ燃料燃焼プロセスは、約800℃の通常運転温度を有し得る。したがって、通常運転温度は、発電システムの特定の構造に応じて、約600℃~約1000℃、または約600℃~約900℃の範囲内であり得るが、このような温度範囲は、本明細書に開示される種々の実施形態を実現する能力を制限することを意図するものではない。さらに、選択される正確な温度は、燃料の予想される自己着火温度範囲、ならびに下流側条件に対する所望の入口条件の問題になるであろう。しかしながら、通常運転温度が発電プラントの始動時に即座に達成されないことを認識することが重要である。むしろ、運転発電サイクルの温度を、周囲温度から通常運転温度まで上昇させなければならない。同様に、場合によっては、メンテナンスを実施するために、または他の理由で、サイクルを完全に停止させずに、サイクル温度を通常運転温度よりも大幅に低下させることが望ましい場合がある。そのような運転温度が低下された時間は、過渡期間と称され得る。
【0046】
上述したように、始動時に、燃焼器内、より具体的には燃焼室内で安定した火炎を達成することは困難であり得る。また、過渡期間においてサイクル温度が低下すると、再び火炎が不安定になる場合がある。本開示は、本明細書でさらに説明される1つ以上の特徴を実現することによって、燃焼器の始動を達成する能力を向上させ、および/または運転温度が低下している期間において安定した燃焼器火炎を維持する能力を向上させる。したがって、本開示は、具体的には、発電プラントの始動時、または発電プラントが通常運転条件(例えば、燃焼器温度および/またはプラント出力)未満で動作しているときに、発電プラントの燃焼器内で火炎を伝播させることに関する。
【0047】
既に述べたように、本開示は、燃料が酸化剤と共に燃焼されて排気流が形成される燃焼器、燃焼室、または同様の要素を利用する既存の発電システムおよび方法、または将来のシステムおよび方法を用いて実施され得る改善を提供する。本開示は、1つ以上のさらなる部材を追加することによって、および/または燃焼部材に1つ以上の投入を追加することによって、そのような構成を補完することができる。本開示が既存の電力サイクルで実現される場合、電力サイクルの別の部材は、実質的に変わらず使用され得る。
【0048】
本開示に係る発電プロセスを実現するのに適した例示的な発電プラント100が図1に示されている。図1に示されているように、燃焼器120は、ライン109を通る燃料、ライン103を通る酸化剤、およびライン184を通る希釈剤を受け取るように構成される。酸化剤は、空気流および/または(例えば、空気流101から酸素を形成するのに適した空気分離ユニット102を使用して)形成され得る実質的に純粋な酸素であり得る。空気分離ユニット102は、酸化剤を所望の圧力で供給するのに必要な圧縮装置を含み得る、または空気分離ユニット102と燃焼器120との間に直列に別個の圧縮機が設けられ得る。同様に、必要に応じて、燃焼器120に流入する前に燃料を所望の圧力に圧縮するために、燃料ライン109に接続した任意の圧縮機が存在し得る。希釈剤は、水(例えば、蒸気)、二酸化炭素などの任意の好適な材料であり得る。図示されているように、再循環二酸化炭素流は、ライン184を通って燃焼器120に送られ、希釈剤流としての機能を果たす。いくつかの実施形態では、ライン184からの再循環二酸化炭素流の一部が取り出され、ライン103内の酸化剤流と混合されて、所望のO/CO比を有する希釈酸化剤流が形成され得る。
【0049】
燃料は、燃焼器120内で酸素と共に燃焼されて燃焼器排気流130を形成し、この燃焼器排気流は、タービン135または他の膨張器を通過し、そこで膨張して発電機136内で電力を発生させる。タービン排気流137は熱交換器140を通過し、そこで冷却されて流れ142を形成し、流れ142はさらに冷却器144で周囲温度近くまで冷却される。 冷却されたタービン排気流146は、その後、水分離器150内で処理されて、水流152(SOx種および/またはNOx種が燃焼器120に添加され得る燃料または任意の添加剤からの排気流130中に存在する場合は、いくらかの含有量の硝酸および/または硫酸を含み得る)が生成される。実質的に純粋な二酸化炭素流155は、分離器150を出て、圧縮機160内で圧縮されて、中間圧縮流165が形成される。中間圧縮流165は、冷却器170内で冷却されて二酸化炭素の密度を増加させ、密度が増加した二酸化炭素流171を形成し、二酸化炭素流171は、燃焼器120に投入するためにポンプ175内で高圧にされる。二酸化炭素生成物流180は、高圧二酸化炭素流177から取り出されて、二酸化炭素再循環流182が残され、二酸化炭素再循環流182は熱交換器140に戻されてタービン排気流137と接触して加熱され得る。その後、加熱された再循環二酸化炭素流184は、希釈剤として使用するために燃焼器120に戻される。制御ユニット190は、発電プラント100と共に含まれ得、1つ以上の入力192を受信し、発電プラントの1つ以上の機能の自動制御を行うのに有効であり得る1つ以上の出力191を提供するように構成され得る。
【0050】
通常運転中、燃焼器120は、火炎安定性が維持されるようにかなり高い温度で運転され得、ブローアウトなどの問題に常に遭遇することはない。しかしながら、始動時または過渡期間において、点火および/または火炎点火を達成または維持することは困難であり得る。
【0051】
1つ以上の実施形態では、そのような問題(単数または複数)は、発電プラント内の1つ以上の位置に適切なサイズおよび熱発生能力を有する1つ以上のライン加熱器を含めることによって対処され得る。運転中、加熱器(単数または複数)は、別個の点火源が必要にならないように、燃焼器内で燃焼されている燃料の自己着火点を超える温度まで1つ以上のライン内の流れ(単数または複数)の温度を上昇させるために使用され得る。例えば、実質的に純粋なメタンの自己着火温度は約600℃であり、そのような温度は、復熱加熱、燃焼加熱、機械的加熱(例えば、圧縮熱)などを含む多種多様な加熱技術によって達成され得る。したがって、燃料は、酸化剤の存在下で適切な温度が達成されると、燃焼器または燃焼室内で自然に着火する。燃料の自己着火点を超える温度に維持することは、そうでなければ空気力学的に達成されなければならない火炎安定性をもたらし、これは、サイクル圧力および温度が低すぎる場合には可能ではない。したがって、燃焼器および/または燃焼室内で目標温度を達成するために加熱が行われ得る。そのような目標温度は、典型的には、燃焼されている燃料の自己着火温度よりも高くなり、例えば、燃料の自己着火温度よりも少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、または少なくとも25%高い温度であり得る。必須ではないが、目標温度が燃料の自己着火温度よりも100%を超えて高くならないように加熱が制限され得る。例えば、目標温度は、燃料の自己着火温度よりも約2%~約75%、約3%~約60%、約4%~約50%、または約5%~約25%高い温度であり得る。いくつかの実施形態では、そのような目標温度は、燃焼器または燃焼室内の温度を指す場合がある。他の実施形態では、そのような目標温度は、投入ラインを通って燃焼器に送られる流れの温度を指す場合がある(例えば、流れ温度は、燃焼器のすぐ上流側で測定される)。
【0052】
いくつかの実施形態では、加熱は、燃焼器に流入する流れの全フローが、燃料の自己着火温度よりも高いか燃料の自己発火温度よりも20%以下だけ低い温度になるように、少なくとも1つの非燃料流に対して行われ得る。燃焼器に流入する流れの全フローの温度が燃料の自己着火温度よりも高い場合、火炎がより容易に伝播され得、ブローアウトが回避され得る。いくつかの実施形態では、本開示に従って操作することが可能であるが、燃焼器に流入する流れの全フローの温度が燃料の自己着火温度未満である場合、別様に燃焼器または燃焼室内の活性化エネルギーを増加させるために追加の動作が同様に実行される。例えば、本明細書でさらに説明するように、化学触媒が燃焼器に投入され得る、および/または加熱部材が燃焼器または燃焼室内に直接含まれ得る。そのような実施形態では、燃焼器に流入する流れの全フローが燃料の自己着火温度よりも20%以下、15%以下、10%以下、または5%以下だけ低い温度である運転が実施され得る。そのような範囲では、活性化エネルギーを向上させるための追加の方法が燃焼器に流入する加熱流(単数または複数)の不足を克服することができるように、燃焼器内の加熱は十分であり得る。
【0053】
燃焼器/燃焼室に送られている1つ以上の流れの加熱は、様々な方法で行われ得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の加熱器は、燃焼器または燃焼室への1つ以上の投入ラインと連通して配置され得る。例えば、図2は、燃料ライン209を通して少なくとも燃料を受け取るように構成された燃焼室222を含む燃焼器220を示す。投入ライン205がさらに示されており、投入ライン205は、流れ源206から任意のさらなる材料を投入するためのラインであり得る。流れ源206からライン205を通過する流れは、燃料の燃焼に必要とされ得、および/または燃焼を管理するのに有用であり得、および/または燃焼器220から流出する排気流230に材料を供給するのに有用であり得る任意の材料を含み得る。そのような材料は、燃料流と区別するために非燃料流と称され得る。さらに、図2には1つの投入ライン205のみが示されているが、燃料ライン209を含め、燃焼器220は、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上の投入ラインを含み得ることが理解される。本明細書でさらに説明するように、任意の数の投入ラインが加熱され得る。同様に、本明細書で説明するような材料を燃焼器220に供給するための任意の投入ラインは、追加の加熱から明確に除外され得る。
【0054】
以下は、投入ライン205(本明細書に別途記載されるような1つ以上の方法で加熱され得る)を通して燃焼器220に個別にまたは任意の組み合わせで供給され得る材料の例示的な実施形態、つまり酸化剤流、燃料流、希釈剤流、作動流体流、冷却剤流、および/または水流もしくは蒸気流である。いくつかの実施形態では、燃焼器220は、燃料ライン、酸化剤ライン、および作動流体ラインを含むように構成され得、上述のラインのうちの1つ以上は、本明細書で説明するように加熱される。いくつかの実施形態では、燃焼器220は、燃料ライン、酸化剤ライン、および希釈剤ラインを含むように構成され得、上述のラインのうちの1つ以上は、本明細書で説明するように加熱される。いくつかの実施形態では、燃焼器220は、燃料ライン、酸化剤ライン、および冷却剤ラインを含むように構成され得、上述のラインのうちの1つ以上は、本明細書で説明するように加熱される。いくつかの実施形態では、燃焼器220は、燃料ライン、酸化剤ライン、および水/蒸気ラインを含むように構成され得、上述のラインのうちの1つ以上は、本明細書で説明するように加熱される。いくつかの実施形態では、燃焼器220は、燃料ライン、酸化剤ライン、作動流体ライン、および希釈剤ラインを含むように構成され得、上述のラインのうちの1つ以上は、本明細書で説明するように加熱される。いくつかの実施形態では、燃焼器220は、燃料ライン、酸化剤ライン、作動流体ライン、および冷却剤ラインを含むように構成され得、上述のラインのうちの1つ以上は、本明細書で説明するように加熱される。いくつかの実施形態では、燃焼器220は、燃料ライン、酸化剤ライン、作動流体ライン、および水/蒸気ラインを含むように構成され得、上述のラインのうちの1つ以上は、本明細書で説明するように加熱される。いくつかの実施形態では、燃焼器220は、燃料ライン、酸化剤ライン、希釈剤ライン、および冷却剤ラインを含むように構成され得、上述のラインのうちの1つ以上は、本明細書で説明するように加熱される。いくつかの実施形態では、燃焼器220は、燃料ライン、酸化剤ライン、希釈剤ライン、および水/蒸気ラインを含むように構成され得、上述のラインのうちの1つ以上は、本明細書で説明するように加熱される。いくつかの実施形態では、燃焼器220は、燃料ライン、酸化剤ライン、冷却剤ライン、および水/蒸気ラインを含むように構成され得、上述のラインのうちの1つ以上は、本明細書で説明するように加熱される。
【0055】
いくつかの実施形態では、加熱流は、具体的には、酸素および二酸化炭素の一方または両方を含み得る。酸化剤流が加熱される場合、酸化剤が加熱される温度は、酸素の分圧を含む酸化ポテンシャルに応じて反応性を向上させるために必要に応じて変化し得る。燃料、ひいては酸化剤の量はまた、再循環フロー中に存在し得る残留酸素または酸化化合物が火炎ゾーンまたは隣接する燃焼活動と直接相互作用する場合には、それらによって影響され得る。
【0056】
図2に示されるように、ライン加熱器207は、投入ライン205に対応し、投入ラインを通過する流れを、ライン209で燃焼器に投入される燃料の自己着火温度を超える温度まで加熱するのに有効な加熱を行う。ライン加熱器207は、単一の加熱器であり得る、または複数の加熱器(207a、207b)として設けられ得る。2つの加熱器(207a、207b)が図2に示されているが、必要に応じて任意の数の加熱器が1つの投入ライン上で使用され得、個々の加熱器(同じ投入ライン上であっても)は、同じ熱源および/または加熱の種類を利用し得るか、異なる熱源および/または加熱の種類を使用し得ることが理解される。
【0057】
1つ以上の実施形態では、1つ以上の投入ラインを加熱するために利用される1つ以上のライン加熱器は、ライン自体を加熱するように構成され得る。例えば、図3は、燃焼器への流れの投入のための投入ライン305の一部を示しており、投入ラインは、投入ラインを画定する壁の外面305aの少なくとも一部を包む、取り囲む、または包囲するように構成されたライン加熱器307を含む。投入ライン305は、典型的には、発電プラント内の投入ラインに必要とされる温度条件および圧力条件下での運転に好適な金属(例えば、ステンレス鋼)または同様の材料で形成された外壁を有する管または同様の配管として構成される。そのような材料は、典型的には適度に良好な熱伝導体であるので、投入ラインの外面305aと直接接触しているライン加熱器307は、ラインを画定する壁を通して熱を伝達し、そのことによりラインの内部空間を通過する流れを加熱するのに有効であり得る。したがって、投入ライン305が、ライン加熱器307と燃焼器220との間にある投入ラインの任意の部分の少なくとも一部に沿って1つ以上の断熱層305bを含むことが有益であり得る。したがって、通過する材料に伝達される加熱は、燃焼器への流れの投入まで流れ内で維持される。投入ライン壁を通して流れに熱を伝達するために投入ライン壁の表面と直接接触するように構成されたライン加熱器は、投入ラインの規定の長さに沿った特定の投入ラインに対応し得る。例えば、図2を参照すると、投入ライン205は、流れ源206と燃焼器220との間の長さとして測定された全長を有し得る。様々な実施形態において、ライン加熱器(207、307)は、特定の投入ラインの全長の約1%~約99%の範囲に沿って存在し得る。特定の相対的長さは、いくつかの実施形態において、使用される熱源の性質に依存し得る。例えば、高温熱源が使用される場合、ライン加熱器(207、307)は、投入ライン(205、305)の全長の約5%~約60%、約5%~約50%、約10%~約40%、または約15%~約35%を包囲し得る。低温熱源が使用される場合、ライン加熱器(207、307)は、投入ライン(205、305)の全長の約25%~約95%、約25%~約90%、約30%~約80%、または約35%~約75%を包囲し得る。
【0058】
高温熱源は、目標温度以上(例えば、目標温度より少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、または少なくとも30%高い)の温度で熱を供給する熱源であり得る。低温熱源は、目標温度未満(例えば、目標温度の好ましくは50%以内、30%以内、20%以内、または10%以内)の温度で熱を供給する熱源であり得る。目標温度は、既に上述したような温度であり、燃焼器内の所望の温度を基準とすることができ、または投入ライン内の所望の流れ温度を基準とすることができる。いくつかの実施形態では、例えば複数の異なる投入ラインが別々に加熱される場合、それぞれの流れを異なる目標温度まで加熱することが望ましい場合がある。例えば、酸化剤ラインおよび希釈剤ラインが利用されている場合、希釈剤ラインを酸化剤ラインよりも高い温度まで加熱することが望ましい場合がある。加熱はまた、所与のラインを通る全マスフローに基づいて変化し得、より大きなマスフローを供給する投入ラインは、より小さなマスフローを供給する別個の投入ラインとは異なる目標温度まで加熱され得、その結果、燃焼器または燃焼室内の温度が燃料の自己着火点を超えるように燃焼器内の温度が適切に調節される。したがって、第1、第2、第3、またはそれ以上の流れは、流れのそれぞれの温度、流れの相対マスフロー、および当業者によって認識される同様の要因に基づいて燃焼器目標温度に適切に到達することができるように、それぞれの第1、第2、第3、またはそれ以上の目標温度まで加熱され得る。このような可変性は、燃料の自己着火温度を超える燃焼器目標温度を達成するために、個々の投入ラインを適切な目標温度まで加熱するための異なる熱源の利用を可能にし得る。
【0059】
図3に戻ると、ライン加熱器307は、投入ラインに対して所望の加熱を行うのに適した任意のタイプの加熱器であり得る。図示されているように、ライン加熱器307は、加熱流体入口311aおよび加熱流体出口311bを備えた循環加熱ジャケットとして構成され得、その結果、高温の熱伝達流体312aが熱源313から受け取られ、熱が奪われた熱伝達流体312bが再加熱のために前記熱源に戻され再循環され得る。熱源313は、所望の温度範囲で熱を発生させるのに有効な任意の部材またはユニットであり得る。例えば、図1を参照すると、ASU102、熱交換器140、圧縮機160、および冷却器(144、170)はそれぞれ、投入ライン加熱器(207、307)に伝達するための熱伝達流体で捕捉され得る加熱を発生させるのに好適であり得る。ASUは、例えば、ライン加熱器(207、307)に伝達するのに十分な熱を発生させることができる、空気を圧縮するのに使用される1つ以上の圧縮機を含み得る。同様に、熱は、必要に応じて熱交換器140から様々な温度範囲で取り出され得、作動流体(例えば、二酸化炭素)または任意の一般的に利用される熱伝達流体が、ライン加熱器への熱の伝達のための循環流体として利用され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、利用される加熱は、ラインの壁を通して流れに熱を伝達するのではなく、流れ自体が直接加熱されるように行われ得る。所望により、流れの直接加熱は、上記のようなライン加熱器の使用と組み合わせて使用され得る。したがって、そのような実施形態では、より低い温度の加熱が、加熱ユニットのうちの少なくとも1つに対して利用され得る。例えば、流れは、より低温の熱源を使用して直接加熱され得、その後、より高温の熱源が、流れを目標温度までさらに加熱するためにライン加熱器に利用され得る。直接流れ加熱器を用いて効果的に予熱することによって、ライン加熱器は、より小型になり得、および/または目標流れ温度を達成するのに必要な全エネルギーはより少なくなり得る。
【0061】
直接加熱の使用が図4Aに示されている。図4Aに示されているように、流れ(例えば、酸化剤、作動流体、希釈剤、または水/蒸気)は、流れ源406から第1の流れライン404を通って加熱器407に送られ得、流れは、任意の好適な方法によって直接加熱され得る。したがって、加熱流は、燃焼器420への投入のために第2の流れライン405を通って流出する。上述したように、第2の流れライン405は、さらに加熱するためにライン加熱器を含み得る。代替的または追加的に、加熱器407内で直接加熱する前に段階的に加熱するために、第1のライン404に対してライン加熱器が利用され得る。
【0062】
直接加熱器407は、通過する流体流を加熱するように構成された任意の部材であり得る。例示的な実施形態では、図4Bに示されているように、加熱器は、具体的には、流れを圧縮し、そのことにより流れを加熱するように構成された圧縮ユニット407bであり得る。圧縮ユニット407bは、1つの圧縮機または複数の圧縮機を含み得る。好ましくは、圧縮ユニット407bは、実質的に全ての圧縮熱を圧縮される流れに伝達することができるように、中間冷却なしで動作する。しかしながら、圧縮が流れの温度を所望の温度よりも高く上昇させるのに有効である場合には、中間冷却が利用され得、中間冷却によって取り出された熱499は発電サイクル内の別の加熱器および/または発電サイクル内の別の流れに伝達されて発電サイクル全体の効率を高めることができる。別の例示的な実施形態では、図4Cに示されているように、加熱器は、具体的には、より高温の流れから、流れ源406から第1の流れライン404を通して送られる流れに熱を伝達するように構成された熱交換ユニット407cであり得る。高温熱伝達流体412aは、熱源(図3の要素313を参照)から受け取られ得、熱を奪われた熱伝達流体412bは、再加熱のために前記熱源に戻して再循環され得る。熱源は、繰り返すが、所望の温度範囲で熱を発生させるのに有効な任意の部材またはユニットであり得る。熱交換ユニット407cおよび圧縮ユニット407bは、例示的なものに過ぎず、利用され得る加熱ユニットのタイプを限定するものと見なすべきではない。さらに、1つの直接加熱器の使用は、別の加熱器の使用を制限せず、直接加熱の組み合わせは、任意のライン加熱器とは別個に、または1つ以上のライン加熱器と組み合わせて利用され得る。
【0063】
本明細書に記載されるように流れを加熱するために利用される加熱部材は、加熱部材(または投入ラインの一部)を通る流れのフローが加熱部材を使用して加熱されるように、直接直列に構成され得る。そのような実施形態では、加熱器は、運転中に自動的にまたは手動で調整されるように構成され得る。例えば、加熱器によって供給される熱の量は、必要に応じて加熱を増加および/または減少させることができるように調整可能であり得る。同様に、加熱器は、所望により、1つ以上の運転期間中にオフにされ得る。例えば、加熱器(単数または複数)は、発電プラントの始動時および/またはフレームアウトを回避するための過渡期間において第1の温度範囲で運転可能であり得、加熱器(単数または複数)は、所与の期間にわたって加熱出力が徐々にまたはごくわずかに低減され得る、または発電プラントが通常条件下で運転しているときなどの加熱が必要でなくなったときに単純にオフにされ得る。図1に示されているように、コントローラ190は、発電プラント100内に含まれ得、コントローラは、1つまたは複数の入力192の受信に基づいて1つまたは複数の出力191を提供するように構成され得る。例えば、1つ以上のセンサ(例えば、温度、圧力、流量など)が、発電プラント内に含まれ得、コントローラ190にそれぞれの出力を提供するように構成され得、コントローラ190が、1つ以上の加熱器207による加熱を自動的に調整するために1つ以上の出力を提供し得る。同様に、加熱が複数の流れに対して行われている場合、入力および出力を利用して、様々な加熱器による熱出力を制御し、流れを燃焼器へと導いている投入ラインを通るフローも制御することができる。図2に示されているように、温度センサT1、T2、T3は、流れ源206またはその出口の近傍、所与の加熱器207の上流側、および所与の加熱器の下流側などの様々な位置に配置され得る。したがって、コントローラ190からの出力は、1つ以上の弁、スプリッタなどの開閉を制御して、所与の投入ラインを通るマスフローを制御し、および/または加熱器を通る熱交換流体のフローを制御し、および/または燃焼器220内の温度に影響を及ぼす可能性があるさらなる動作を実行することができる。さらに、温度センサ225などが燃焼器220(または燃焼室222)内に存在し、確実にその中の温度が目標温度範囲内にあるようにし得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、加熱の制御は、必要に応じて1つ以上の加熱器の迂回を可能にするために、様々な弁、スプリッタなどを利用し得る。このことにより、燃焼器の通常運転のための1つ以上の要件を必ずしも満たすとは限らない場合がある材料を加熱部材において使用することが可能になる。例えば、始動時、過渡期間などでは、より低圧の運転が可能であり得る。そのような運転中に必要な加熱器(単数または複数)は、より低圧の運転に使用可能であり得る代替経路内に設けられ得、フローは、通常運転が達成されると、主投入ラインに戻るように切り替えられ得る。
【0065】
例えば、図5は、投入ライン505が分岐ライン505aを含み、加熱器507が分岐ラインに対応する、いくつかの実施形態に係る構成を示す。投入ライン505を通って流れる流れが分岐ライン505aを通って経路付けられ得るように、1つ以上の弁が含まれ得る。弁508は、投入ライン505内に存在し、弁518a、518bは、分岐ライン505a内の加熱器507の上流側および下流側にそれぞれ存在する。同様の弁または同等の部材は、必要に応じて流れフローを適切な部材へと導くために発電プラント内のどの場所にでも存在し得ることが理解される。同様に、弁508、518a、518b(または同様の部材)のいずれも、コントローラ190からの出力信号191のうちの1つを使用して自動的に制御され得、そのような弁の開閉は、コントローラへの特定の入力信号192の受信に依存し得る。上述の図に示されている弁は、本開示の任意の実施形態において同様に実装され得ることが理解される。例えば、熱伝達流体を通過させるための図3のライン311a、311bは、必要に応じて弁を含み得る。同様に、熱伝達流体の通過のための同様のラインが、図5に示される実施形態に包含されることが理解される。加熱プロセスの制御はまた、電気加熱器を使用して達成され得、それによって、加熱器に供給される電力は、所望のプロセス設定値(例えば、フロー温度、部材温度、または所望の出力)を維持するように制御される。
【0066】
1つ以上の実施形態では、燃焼器へと導かれる投入流の加熱に利用される熱は、外部加熱または発電サイクルの外部の熱であると考えられ得る。このような加熱は、このようにして行われる加熱が燃焼流から直接生じるものではないので、発電サイクルの外部の加熱であると考えられ得る。さらに、このような加熱は、燃焼器内での燃料の燃焼によって発生する熱に加えて、かつ復熱式熱交換器(単数または複数)から伝達され得る熱に加えて利用されるので、発電サイクルに追加される加熱であると考えられ得る。当然のことながら、所望により、加熱(少なくとも一部)は特に内部加熱を利用し得る。例えば、図4Cを参照すると、熱交換器407cは、発電サイクルからの熱交換器140と同一もしくはその一部であり得る、またはライン412aを通って熱交換器407cに投入される流れは、発電サイクルからの熱交換器140から熱を伝達し得る。したがって、内部加熱または外部加熱を適用するかどうか、または本明細書に記載されているように燃焼器に投入されている流れ(単数または複数)を加熱するための加熱源を組み合わせるかどうかを選択することが可能であり得る。
【0067】
1つ以上の実施形態では、追加される加熱は、本明細書に別途記載される加熱方法の代替として、またはそれに加えて、燃焼器または燃焼室内に直接供給され得る。このような加熱は、例えば、燃焼器または燃焼室内に、一定のまたは実質的に一定の加熱を行うように適合または構成された1つ以上の要素を設けることによって達成され得る。好ましくは、そのような実質的に一定の熱源は、ガス熱伝達とは別個の外部供給式であり得る。例えば、図1に示されているように、加熱部材226は、燃焼器220内(および、いくつかの実施形態ではその燃焼室222内)に存在する。そのような加熱部材の非限定的な例は、電気的にまた別様に電力が供給され、ひいては熱伝達のためのガス流束とは別に燃焼器に対して加熱を行うことができる抵抗コイル(例えば、熱プラグまたは同様の部材)である。
【0068】
そのような加熱部材が存在する場合、発電プラント、特に燃焼器の運転は、加熱部材が制御可能に運転されるように実行され得る。これは、1つ以上の出力191および入力192を介したコントローラ190の利用を含み得る。例えば、加熱部材226は、燃焼器に流入する流れの全フローが燃料の自己着火温度よりも低い温度であるときに、燃焼器または燃焼室内の全体温度が燃料の自己着火温度より高くなるように十分な熱を加えるのに有効であるように制御され得る。加熱部材は、燃焼器または燃焼室内の温度を直接上昇させることによって、燃焼器に流入する加熱流によって行われない加熱の不足を補うために、燃焼器または燃焼室の中で必要とされる活性化エネルギーを増加させることができる。
【0069】
したがって、上記から分かるように、本開示は、発電サイクルの燃焼器における火炎安定化および/または燃焼器における火炎点火の向上に適した部材およびその使用方法を提供する。前述の開示内容に加えて、またはその代替として、触媒として1つ以上の化学種を添加することによって同様の利益をもたらす部材およびその使用方法も提供される。特に、本開示は、NOx種を少量だけ供給することができ、好ましくは、任意の排ガスと化学的に接触させてパイプラインへの排出物の排出または放出の前にNOxを除去することができるオキシ燃料システムにおいて、火炎点火および/または安定化を促進するための1つ以上のNOx種の利用を提供する。
【0070】
NOx種の存在下での燃焼は、以下に示す経路の1つ以上を介して有利に促進され得る。
HO+NO=NO+OH (1)
CHOO+NO=CHO+NO (2)
CH+NO=CHO+NO (3)
上記の反応において、NOは、中間体種(OH基、CHOなど)を生成することによって燃料燃焼に関与するだけであり、燃焼中に消費されない。このようにして、NO(亜酸化窒素)は気相触媒として作用する。
【0071】
したがって、NOx種を利用することによって、本開示は、最終的に高圧で運転されるオキシ燃料燃焼器をどのように点火すべきかという問題にさらに対処することができる。上述したように、燃焼器の始動時または過渡期間における相当に低い温度および/または圧力では、ブローアウトさせずに火炎を維持することは困難であり得る。必要な点火核エネルギーを低下させるために、また反応ポテンシャルの低下によって点火を維持するのを助けるために、追加の触媒を供給することによって、火炎を点火した状態にすることができる。さらに、NOまたは他のNOx種は、Allamらの米国特許第9919268号明細書(この開示内容は、参照により本明細書に援用される)に開示されているシステムおよびプロセスのような様々なプロセスを通して、発電サイクルのバックエンドで容易に除去され得る。
【0072】
したがって、本開示の実施形態によれば、点火プロセスは、いくつかの方法で簡略化され得る。有利には、点火促進は、システムに大幅な追加コストを加える高価な機器の追加を必要とせずに、また、タービンブレードを保護することができない閉鎖プロセスで回避すべき固体煤の生成を伴わずに、向上し得る。触媒としてのNOxのそのような使用は、本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせて使用され得る、またはそれとは別個に使用され得る。さらに、このような気体触媒を添加することによって、既に上述したように加えられ得る加熱量を低減することができ、それでも点火能力および/または火炎安定性を向上させることができる。したがって、本開示は、点火器負荷を低減し、その再現性を改善し、次いで、温度および/または圧力が上昇し得る前の火炎安定性を維持する方法として役立つ。さらに、他の気相触媒が、燃焼器に流入する再循環流の1つへの噴射によって、このように火炎に供給され得る。
【0073】
したがって、1つ以上の実施形態では、本開示は、特にNOのようなNOx種を燃焼器、特に発電プラント内の燃焼器に制御可能に噴射することを包含し得る。噴射は、燃焼器におけるほぼ点火の時点で、および/または燃焼器の始動時に(例えば、自己着火温度が達成される前などに)行われ得る。通常、ガスタービンの場合、NOまたは他のNOx種がガスタービン(すなわち、低NOxバーナ)に導入されるのを回避するのが望ましい。本開示は、制御された方法でNOなどのNOx種を添加することによって、この認識されている制限を克服する。
【0074】
いくつかの実施形態では、燃焼器へのNOxの制御添加は、規定量のNOx種のみを燃焼器に添加することに関連して定義され得る。例えば、NOx種は、燃焼器から出るバルク排気フロー中に、排気フローの質量を基準として約5ppm~約1000ppm、約10ppm~約750ppm、約25ppm~約500ppm、約50ppm~約250ppm、または約75ppm~約150ppmの総量のNOxが存在するように燃焼器に噴射され得る。したがって、NOx種は、必要な点火核エネルギーを低下させ、着火遅延時間を短縮するのに適した量で導入される。
【0075】
NOxは、酸化剤として空気を利用する発電プロセスにおいて望ましくない副生成物であり得るが、本開示におけるNOxは、意図的に添加される化学種(燃焼前にNOxとして化学的に存在する)に関連するものであり、実際には窒素酸化から生じる燃焼副生成物ではない。特に、ここで特許請求されている内容において、燃焼は、燃焼器に流入するフロー流ではNOxを形成するには十分に窒素が欠乏しているように実施され得る。さらに、酸化剤は実質的に純粋な酸素であり得、酸化剤として空気の使用を排除し得るので、燃焼器排気中に存在するNOx種は、意図的に添加されたNOxであり、燃焼副生成物ではないことが理解される。
【0076】
燃焼器へのNOx種の噴射は、発電プラントの運転全体を通して実質的に連続的であり得る。このようにして、触媒材料の存在は、プロセスの活性化エネルギー(例えば、燃料の自己着火温度)を低減し、ひいては、燃焼器内で火炎を達成および/または維持するのに必要とされるエネルギーの必要量を低減するのに有効であり得る。さらに、燃料組成が発電プラントの運転中に変化し得る限りにおいて、燃焼器に噴射されるNOx種の含有量を変化させて、燃焼を実質的に平衡状態にすることができる。例えば、酸化剤濃度および/または燃料の発熱量が低下した場合、NOx含有量は、利用可能な活性化エネルギーの損失を考慮して増加され得る。同様に、酸化剤濃度および/または燃料の発熱量が増加した場合、NOx含有量は、利用可能な活性化エネルギーの増加を考慮して低減され得る。したがって、NOxは、下流側パラメータ(例えば、燃焼器排気流量ならびに/もしくは温度)の測定および/または上流側パラメータ(例えば、酸化剤流量、燃料流量、または燃料化学組成の公知の変化)の監視によって、自動的に調整され得る制御成分として機能し得る。
【0077】
さらなる実施形態では、燃焼器内へのNOx種の噴射は、一定の時間だけ行われ得る。例えば、NOx噴射は、規定の閾値に達するまで実行されてもよい。例えば、燃焼器が規定の最低温度で運転すると、発電プラントが規定の出力レベルを達成すると、または燃焼器排気流が規定の組成構成に達すると、NOx噴射が低減され得る、または完全に排除され得る。さらに、規定パラメータのうちの1つが必要な閾値未満である場合、NOx噴射が増加または再開され得ることを確実にするために監視が行われ得るが、このことは、潜在的なブローアウトが回避されるのを確実にし得る、または発電プラントの運転を概ね正常化するのに有効であり得るからである。
【0078】
本明細書に記載されるような発電プラントにおける使用に適した燃焼装置の例示的な実施形態が図6に示されている。図6に示されているように、燃焼器620は、図1および/または図2に関して既に説明したように実質的に構成され得、そのような構成は、特定の実施形態では、既に上述したように1つ以上のラインの加熱と同時にNOxを噴射することができるように組み合わせ可能であり得る。図6において、燃焼器620は燃焼室622を含み、排気流630を生成する。燃焼器620は、燃料の投入のための燃料ライン609を含み、1つ以上の非燃料流の投入のための1つの投入ライン605または複数の投入ライン(605、605a、605b、605cなど)を含む。1つ以上のNOx種を個別に含む1つ以上の流れを供給するための1つまたは複数のライン685も同様に設けられ得る。図示されているように、ライン(単数または複数)685は、1つ以上のNOx種を燃料ライン609および非燃料流(単数または複数)を供給するライン(605~605c)のいずれかの1つ以上に添加するように構成され得る。代替的にまたは追加的に、ライン(単数または複数)685は、燃焼器620内への1つ以上のNOx種を直接投入する(燃焼室622内へ直接投入することを含む)ように構成され得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、燃焼器へのNOxの制御添加は、特定の化学経路に関連して定義され得る。例えば、1つ以上の実施形態において、本開示は、具体的には、アンモニアの電極触媒還元を介して亜酸化窒素(NO)を添加することを含み得る。例えば、図6に示されているように、専用反応器696が発電プラント内に含められ、そのような反応器は、アンモニアをNOに変換するのに必要な投入流(695a、695b)を受け取るように構成され得る。形成されたNOの少なくとも一部は、専用ライン697に通されて、燃焼器に直接および/または1つ以上の他の投入ライン(609、605~605c)に送られるNOx種の少なくとも一部として利用され得る。そのような反応を通して、燃焼器または燃焼室(例えば、ガスタービン内)に流入する1つ以上の流れにおける局所NO濃度は、本明細書で別途説明されるように、必要に応じて、所望の範囲内にあるように調整され得る。ライン695a、695b内の流れは、例えば、変換に必要な反応を実施するのに有用なアンモニア、触媒、酸化剤などであり得る。反応器696は、必要に応じて、加熱反応器であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、燃焼器へのNOxの制御添加は、NOx噴射の特定の位置に関連して定義され得る。例えば、専用NOx噴射ノズルが燃焼器または燃焼室内に配置されて、設計条件でNOxが燃料・酸化剤混合ゾーン内に直接噴射され得る。別の例示的な実施形態では、NOxは、点火および始動条件で燃焼器または燃焼室内へ噴射される前に燃料流および酸化剤流の一方または両方と混合され得る。さらなる例示的な実施形態では、NOxは、燃焼器または燃焼室に流入する1つ以上の再循環流へと噴射され得る。特に、NOxは、燃焼器または燃焼室に送られている複数の流れに噴射され、任意にさらに燃焼器または燃焼室内の一次火炎ゾーン内へ直接噴射され得る。好ましい実施形態では、NOは、燃焼器の火炎混合ゾーンにできるだけ接近して噴射され得る。いくつかの実施形態では、これは、NOxを専用ラインに通して燃焼器に直接添加することを伴い得る。他の実施形態では、これは、ユニオン、弁などを通して燃焼器のすぐ上流側の別の投入ラインへNOxを添加することを伴い得る。さらに、これは、火炎混合ゾーンにおいて直接触媒が進入するように構成された1つ以上のノズルなどを燃焼器が含む構成を含み得る。
【0081】
1つ以上の実施形態では、本開示は、上記で別途記載されているプロセスなどにおいて、サイクルのバックエンドでNOxを除去するための手段をさらに含み得る。例えば、分離器150は、SOxならびに水の一方または両方との反応によって、および/または1つ以上の酸化成分、特に、改良酸化剤として認められている材料(例えば、過酸化物、超酸化物、オゾン、および/またはハロゲン酸化物)の添加によって、NOxを除去するように構成され得る。加えて、NOx噴射は、好ましくは、NOxをサイクル内の任意の位置で噴射することができるだけでなく、局所NOx濃度を慎重に上昇させ、火炎制御に触媒作用を及ぼすことが必要でなくなったときに容易に低下させることができるように必要に応じて調整され得るような方法で制御される。したがって、NOx種(特に、NO)は、燃焼器または燃焼室に直接噴射される方法、燃焼器または燃焼室に流入する燃料流と混合される方法、燃焼器または燃焼室に流入する酸化剤流と混合される方法、燃焼器または燃焼室に流入する希釈剤流(例えば、CO流)と混合される方法、燃焼器または燃焼室に流入する作動流体流と混合される方法、燃焼器または燃焼室に流入する水または蒸気流と混合される方法、燃焼器または燃焼室に流入する冷却流と混合される方法のいずれか、またはこれらを組み合わせた方法で供給され得る。
【0082】
本開示の1つ以上の実施形態に従う使用に適したオキシ燃料燃焼サイクルは、発電方法を実施するのに適した様々な部材をさらに含み得る。本開示で実現され得るシステムおよび方法の部材の例示的な実施形態は、米国特許第8,596,075号明細書、米国特許第8,776,532号明細書、米国特許第8,869,889号明細書、米国特許第8,959,887号明細書、米国特許第8,986,002号明細書、米国特許第9,062,608号明細書、米国特許第9,068,743号明細書、米国特許第9,410,481号明細書、米国特許第9,416,728号明細書、米国特許第9,546,815号明細書、米国特許第10,018,115号明細書、米国特許出願公開第2012/0067054号明細書、および米国特許出願公開第2018/0133647号明細書に記載されており、これらの開示内容は参照により本願明細書に援用される。
【0083】
上記説明および関連図面において提示される教示の恩恵にあずかる、本開示の主題に関係する当業者は、本開示の主題の多くの修正および他の実施形態を思い付くであろう。したがって、本開示は、本明細書に記載されている特定の実施形態に限定されず、修正および他の実施形態が添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書では特定の用語が使用されているが、これらの用語は、一般的かつ説明的な意味で使用されており、制限することを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
【国際調査報告】