(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】治療的抗体発見のための効率的なハイブリドーマプラットフォームの開発
(51)【国際特許分類】
C07K 16/00 20060101AFI20221027BHJP
C40B 40/10 20060101ALI20221027BHJP
C12N 15/06 20060101ALI20221027BHJP
C12N 5/20 20060101ALI20221027BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
C07K16/00
C40B40/10
C12N15/06 100
C12N5/20
A61K39/395 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022513161
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 US2020048440
(87)【国際公開番号】W WO2021041834
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘイゼン, メレディス キャロル
(72)【発明者】
【氏名】リン, ジョンフア
(72)【発明者】
【氏名】セシャサイー, ダヤ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA92X
4B065AA92Y
4B065AB05
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA08
4B065CA25
4B065CA46
4C085AA14
4C085BB36
4C085CC23
4C085DD22
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA50
4H045FA71
(57)【要約】
本技術は、一般に、抗体、抗体ライブラリ、ハイブリドーマ、ハイブリドーマライブラリなどを産生するための改良された方法に関する。例えば、これらの方法は、産生される抗原特異的B細胞の数を増加させ、ハイブリドーマの数を増加させ、及び/又は所与の産生サイクルで作製することができるモノクローナル抗体の数を増加させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体ライブラリを産生するための方法であって、
(a)1匹又は複数匹の動物に抗原を注射すること;
(b)各動物からB細胞を含む流入領域リンパ節を採取すること;
(c)各B細胞と融合パートナーとの間でハイブリドーマを形成すること;及び
(d)前記抗原に対する結合特異性について前記ハイブリドーマをスクリーニングすること
を含み、
以下の条件:
(i)前記動物は非近交系動物である;
(ii)前記動物は複数の部位に注射される;
(iii)前記動物は2週間毎に注射される;
(iv)前記動物は6週間~15週間注射される;
(v)異なる動物に異なるアジュバントを注射するように複数のアジュバントを使用する;
(vi)B細胞を工程(c)の前に濃縮する;及び/又は
(vii)表面IgG及び分泌IgGの両方を発現するように操作された融合パートナーを使用する
のうちの少なくとも2つが適用される、方法。
【請求項2】
条件(i)~(vii)のうちの2つが適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
条件(i)~(vii)のうちの3つが適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
条件(i)~(vii)のうちの4つが適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
条件(i)~(vii)のうちの5つが適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
条件(i)~(vii)のうちの6つが適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
条件(i)~(vii)のうちの7つが適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
条件(i)~(vi)のうちの少なくとも2つが適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(a)が、2匹以上の動物に抗原を注射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(a)が、3匹以上の動物に抗原を注射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(a)が、4匹以上の動物に抗原を注射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
工程(a)が、5匹以上の動物に抗原を注射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記動物がラットである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の部位が、流入領域リンパ節の近くの部位である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の部位が、背中、肩、腹腔内、尾の付け根、及び踵関節のうちの1つ又は複数を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記動物が複数の部位に注射され、各部位に注射される抗原の量が0.1μg~300μgの間である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記動物が複数の部位に注射され、各部位に注射される抗原の量が0.5μg~200μgの間である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記動物が週に1回以下で注射される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記動物が2週間に1回以下で注射される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記動物が6週間~15週間注射される、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のアジュバントが、完全フロイントアジュバント、Ribi、及び/又はTLRアゴニストカクテルを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記B細胞がネガティブ選択によって濃縮される、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記融合パートナーがSp2ab融合パートナーである、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ハイブリドーマをスクリーニングすることが、前記抗原に特異的なIgG抗体の発現に関するFACS選別を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
抗体ライブラリを産生するための方法であって、
(a)1匹又は複数匹の非近交系ラットに、各ラットの複数の部位で抗原を注射すること;
(b)少なくとも6週間にわたって2週間毎に前記注射を繰り返すこと;
(c)各ラットの1つ又は複数の流入領域リンパ節から免疫細胞を採取すること;
(d)ネガティブ選択によって前記免疫細胞から非B細胞を枯渇させて、濃縮B細胞試料を形成すること;
(e)前記濃縮B細胞試料を複数の融合パートナーと接触させて、各B細胞と融合パートナーとの間でハイブリドーマを形成すること;及び
(f)前記抗原に対する特異性について前記ハイブリドーマをスクリーニングすること
を含む、方法。
【請求項26】
前記複数の部位が、流入領域リンパ節の近くの部位である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の部位が、背中、肩、腹腔内、尾の付け根、及び踵関節のうちの1つ又は複数を含む、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
各部位に注射される抗原の量が0.1μg~300μgの間である、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
各部位に注射される抗原の量が0.5μg~200μgの間である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記動物が2週間に1回以下で注射される、請求項25から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記動物が6週間~10週間注射される、請求項25から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記融合パートナーがSp2ab融合パートナーである、請求項25から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ハイブリドーマをスクリーニングすることが、前記抗原に特異的なIgG抗体の発現に関するFACS選別を含む、請求項25から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
工程(a)が、2匹以上の動物に抗原を注射することを含む、請求項21から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
工程(a)が、3匹以上の動物に抗原を注射することを含む、請求項21から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
工程(a)が、4匹以上の動物に抗原を注射することを含む、請求項21から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
工程(a)が、5匹以上の動物に抗原を注射することを含む、請求項21から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
請求項1から37のいずれか一項に記載の方法を用いて調製された、抗体ライブラリ。
【請求項39】
請求項1から37のいずれか一項に記載の方法を用いて調製された、ハイブリドーマライブラリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月30日に出願の、米国仮特許出願第62/894,660号に対する優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容全体を、全ての目的のために、参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
背景
モノクローナル抗体は、臨床診断における重要な試薬として数十年にわたって使用されており、重要な新しいクラスの治療薬として出現している。ハイブリドーマ技術は、モノクローナル抗体を得るために最も一般的に使用される方法である。モノクローナル抗体は、正常な抗体産生脾臓B細胞を不死性骨髄腫細胞又は他の不死性細胞と融合することによって作製されたハイブリドーマ細胞から分泌される。
【0003】
ハイブリドーマ産生は数十年前のその開始以来ほとんど変化していない(Nature 256:495-497(1975))。ハイブリドーマを生成するための典型的なプロトコルは以下を含む:(i)動物(例えば、マウス、ラット又はウサギ)に抗原を免疫すること;(ii)抗体産生B細胞を、典型的には脾臓から採取すること;(iii)B細胞を非分泌性骨髄腫細胞株と融合してハイブリドーマを形成すること;(iv)ハイブリドーマ細胞を選択培地中で増殖させること;(v)所望の抗体を産生する細胞をスクリーニングすること;(vi)所望のハイブリドーマ(単数又は複数)をクローニングして、抗体を分泌する均一な細胞株を得ること。
増加した数の抗原特異的抗体を生成し、モノクローナル抗体及び抗体ライブラリの産生を改善する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Nature 256:495-497(1975)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本技術は、一般に、抗体、抗体ライブラリ、ハイブリドーマ、ハイブリドーマライブラリなどを産生するための改良された方法、並びに様々な方法工程からの組成物に関する。例えば、これらの方法は、産生される抗原特異的B細胞の数を増加させ、ハイブリドーマの数を増加させ、及び/又は所与の産生サイクルで作製することができるモノクローナル抗体の数を増加させることができる。本明細書に記載の方法は、様々な疾患の処置に使用するための抗体、抗体ライブラリ、ハイブリドーマ、ハイブリドーマライブラリなど、並びに様々な方法工程からの組成物の産生を有意に増加させるために使用することができる。例えば、本明細書中に記載される方法は、癌、免疫障害、炎症性疾患、及び抗体療法によって処置可能な任意の他の疾患を処置するための抗体及び/又はハイブリドーマの生成に適用され得る。本明細書中に記載される方法は、困難な標的に対する抗体及び/又はハイブリドーマの生成に適用され得る。困難な標的とは、例えば標的化可能領域のサイズが小さい、タンパク質の立体配座が重要である、及び/又は抗原が(例えば、グリコシル化、リン酸化、アセチル化及びメチル化などの翻訳後修飾によって)修飾されているために、抗体を生成することが困難な抗原である。複数の実施形態において、標的抗原は、マルチパス膜貫通タンパク質である。複数の実施形態において、マルチパス膜貫通タンパク質は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)である。複数の実施形態において、マルチパス膜貫通タンパク質は、イオンポンプ、イオンチャネル又はトランスポーターである。
【0006】
一態様では、抗体、抗体ライブラリ、ハイブリドーマ又はハイブリドーマライブラリを産生する方法が提供される。複数の実施形態において、本方法は、以下のうちの1つ又は複数を含んでよい:
(a)複数の動物に抗原を注射すること;
(b)各動物からB細胞を採取すること;
(c)B細胞と融合パートナーとの間でハイブリドーマを形成すること;及び
(d)抗原に対する結合特異性についてハイブリドーマをスクリーニングすること。
複数の実施形態において、以下の条件の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上が適用され得る:
(i)動物は非近交系動物である;
(ii)動物は複数の部位に注射される;
(iii)動物は、少なくとも毎週、少なくとも10日毎、少なくとも2週間毎、又は、注射の間の期間がより長い他の頻度で注射される;
(iv)動物は6週間~15週間注射される;
(v)各動物に単一のアジュバントを注射し、少なくとも一部の動物に異なるアジュバントを注射するように、複数のアジュバントを使用する;
(vi)B細胞を工程(c)の前に濃縮する;及び/又は
(vii)表面IgG及び分泌IgGの両方を発現するように操作された融合パートナーを使用する。
【0007】
一態様では、抗体、抗体ライブラリ、ハイブリドーマ又はハイブリドーマライブラリを産生する方法が提供される。複数の実施形態において、本方法は、以下のうちの1つ又は複数を含んでよい:
(a)1匹又は複数匹の動物に抗原を注射すること;
(b)各動物からB細胞を採取すること;
(c)B細胞と融合パートナーとの間でハイブリドーマを形成すること;及び
(d)抗原に対する結合特異性についてハイブリドーマをスクリーニングすること。
複数の実施形態において、以下の条件の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上が適用され得る:
(i)動物は非近交系動物である;
(ii)動物は複数の部位に注射される;
(iii)動物は、少なくとも毎週、少なくとも10日毎、少なくとも2週間毎、又は、注射の間の期間がより長い他の頻度で注射される;
(iv)動物は6週間~15週間注射される;
(v)各動物に単一のアジュバントを注射し、異なる動物に異なるアジュバントを注射するように、複数のアジュバントを使用する;
(vi)B細胞を工程(c)の前に濃縮する;及び/又は
(vii)表面IgG及び分泌IgGの両方を発現するように操作された融合パートナーを使用する。
【0008】
複数の実施形態において、以下の条件の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上が適用され得る:
(i)動物は非近交系動物である;
(ii)動物は複数の部位に注射される;
(iii)動物は、少なくとも毎週、少なくとも10日毎、少なくとも2週間毎、又は、注射の間の期間がより長い他の頻度で注射される;
(iv)動物は6週間~15週間注射される;
(v)各動物に単一のアジュバントを注射し、異なる動物に異なるアジュバントを注射するように、複数のアジュバントを使用する;及び/又は
(vi)B細胞を工程(c)の前に濃縮する。
【0009】
複数の実施形態において、B細胞は、流入領域リンパ節から採取され得る。
【0010】
複数の実施形態において、本方法は、2匹以上の動物に抗原を注射することを含んでいてもよい。複数の実施形態において、本方法は、3匹以上の動物に抗原を注射することを含んでいてもよい。複数の実施形態において、本方法は、4匹以上の動物に抗原を注射することを含んでいてもよい。複数の実施形態において、本方法は、5匹以上の動物に抗原を注射することを含んでいてもよい。
【0011】
複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの2つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの3つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの4つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの5つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの6つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの7つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vi)のうちの2つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vi)のうちの3つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vi)のうちの4つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vi)のうちの5つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vi)のうちの6つが適用され得る。
【0012】
複数の実施形態において、本方法は、以下を含んでよい:
(a)複数の非近交系ラットに、各ラットの複数の部位で抗原を注射すること;
(b)少なくとも6週間にわたって2週間毎に注射を繰り返すこと;
(c)各ラットの1つ又は複数の流入領域リンパ節から免疫細胞を採取すること;
(d)ネガティブ選択によって免疫細胞から非B細胞を枯渇させて、濃縮B細胞試料を形成すること;
(e)濃縮B細胞試料を複数の融合パートナーと接触させて、B細胞と融合パートナーとの間でハイブリドーマを形成すること;及び
(f)抗原に対する特異性についてハイブリドーマをスクリーニングすること。
【0013】
複数の実施形態において、本方法は、以下を含んでよい:
(a)1匹又は複数匹の非近交系ラットに、各ラットの複数の部位で抗原を注射すること;
(b)少なくとも6週間にわたって2週間毎に注射を繰り返すこと;
(c)各ラットの1つ又は複数の流入領域リンパ節から免疫細胞を採取すること;
(d)ネガティブ選択によって免疫細胞から非B細胞を枯渇させて、濃縮B細胞試料を形成すること;
(e)濃縮B細胞試料を複数の融合パートナーと接触させて、B細胞と融合パートナーとの間でハイブリドーマを形成すること;及び
(f)抗原に対する特異性についてハイブリドーマをスクリーニングすること。
【0014】
複数の実施形態において、動物は、ラットであり得る。複数の実施形態において、動物は、非近交系ラットであり得る。非近交系ラットの例としては、限定されないが、Sprague Dawley、Long-Evans、Sentinel、Wistar、Wistar Han及びHoltzmanラットが挙げられる。複数の実施形態において、動物は、トランスジェニック動物であってよい。複数の実施形態において、動物は、トランスジェニックラットであってよい。
【0015】
複数の実施形態において、動物に複数の部位で注射することができる。複数の実施形態において、複数の部位は、流入領域リンパ節に近い部位であってよい。複数の実施形態において、複数の部位は、背中、肩、腹腔内、尾の付け根、及び踵関節のうちの1つ又は複数を含んでよい。
【0016】
複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、0.1μg~300μgであり得る。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、0.5μg~200μgであり得る。
【0017】
複数の実施形態において、本方法は、2匹以上の非近交系ラットに抗原を注射することを含んでいてもよい。複数の実施形態において、本方法は、3匹以上の非近交系ラットに抗原を注射することを含んでいてもよい。複数の実施形態において、本方法は、4匹以上の非近交系ラットに抗原を注射することを含んでいてもよい。複数の実施形態において、本方法は、5匹以上の非近交系ラットに抗原を注射することを含んでいてもよい。
【0018】
複数の実施形態において、動物は、2週間毎に注射されてよい。複数の実施形態において、動物は、週に1回以下で注射されてよい。複数の実施形態において、動物は、2週間に1回以下で注射されてよい。複数の実施形態において、動物は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、20、21、22、23、24、25、26、27、28日又はそれ以上毎に、6週~19週の間、注射されてよい。複数の実施形態において、動物は、6週~15週の間、注射されてよい。注射の時間は、エンドポイントを含む、列挙された範囲によって包含される全ての値及び部分範囲を含む。
【0019】
複数の実施形態において、複数のアジュバントを使用することができ、各動物(又は動物のサブセット)に異なるアジュバントを注射することができる。例えば、動物は複数の群に分けることができ、群の各メンバーは単一のアジュバント又はアジュバントの組み合わせを受け、各アジュバント又は組み合わせは他の群の少なくとも一部によって受けられるものとは異なる。複数の実施形態において、複数のアジュバントとしては、限定されないが、完全フロイントアジュバント(CFR)、Ribi、及び/又はTLRアゴニストカクテルを挙げることができる。複数の実施形態において、CFRは、機械混合することができる。
【0020】
複数の実施形態において、ハイブリドーマを形成する前にB細胞を濃縮することができる。複数の実施形態において、濃縮は、流入領域リンパ節から採取した細胞を結合剤と接触させることを含むことができる。複数の実施形態において、ネガティブ選択によりB細胞を濃縮することができる。複数の実施形態において、結合剤は、B細胞ではない細胞に関連する分子に特異的であり得る。複数の実施形態において、結合剤は、B細胞ではない細胞の表面に発現される分子に特異的であり得る。複数の実施形態において、ポジティブ選択によりB細胞を濃縮することができる。複数の実施形態において、結合剤は、B細胞に関連する分子に特異的であり得る。複数の実施形態において、結合剤は、B細胞の表面に発現される分子に特異的であり得る。複数の実施形態において、結合剤は、抗体であり得る。複数の実施形態において、磁気分離を使用することができる。
【0021】
複数の実施形態において、融合パートナーは、表面IgG及び分泌IgGの両方を発現するように操作された細胞であり得る。複数の実施形態において、融合パートナーは、Sp2ab融合パートナーであり得る。複数の実施形態において、ハイブリドーマをスクリーニングすることは、抗原に特異的な抗体を発現するハイブリドーマを同定することを含み得る。複数の実施形態において、ハイブリドーマをスクリーニングすることは、抗原に特異的なIgG抗体の発現に関するFACS選別を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】抗原A(標的A)に対する抗体産生のためにSprague Dawleyラット(SDラット)対Balb/cマウスを使用した場合のIgG血清力価の差を示す。マウス対ラットにおける標的Aの相同性は98%である。*マウスに対してp<0.05。
【0023】
【
図1B】抗原B(標的B)に対する抗体産生のためにSprague Dawleyラット(SDラット)対C57 black6(C57/BL6)マウスを使用した場合のIgG血清力価の差を示す。*マウスに対してp<0.05。
【0024】
【
図2A】免疫化のための抗原注射部位の例を示す、ラットの図である。
【0025】
【
図2B】各動物の単一部位注射又は複数部位注射を用いた抗原C(標的C)及びD(標的D)に対する抗原特異的抗体力価を示す。*単回注射に対してp<0.05。
【0026】
【
図3A】
図3Aは、抗原を動物に注射するための例示的なプロトコル、及びそのプロトコルに基づく予想される抗原特異的Ig(IgM及びIgG)応答を示す。バックグラウンド血清力価を最初の注射の前に実施する(「力価チェック出血」)。動物に、0週目にアジュバント中の抗原を注射し(「プライム」)、次いで、6週目まで2週間に1回、PBS中の抗原を注射する(「ブースト」)。最終注射後に血清力価を再度測定する。
【0027】
【
図3B】
図3B及び3Cは、標準的な抗原注射プロトコル(9週間にわたる週2回の注射)を
図3Aに示す改善されたプロトコルと比較する。改良されたプロトコルは、Ribiアジュバント(
図3B)又はTLRアジュバント(
図3C)中で投与した場合、抗原E(標的E)に対する抗体力価を増加させる。
【
図3C】
図3B及び3Cは、標準的な抗原注射プロトコル(9週間にわたる週2回の注射)を
図3Aに示す改善されたプロトコルと比較する。改良されたプロトコルは、Ribiアジュバント(
図3B)又はTLRアジュバント(
図3C)中で投与した場合、抗原E(標的E)に対する抗体力価を増加させる。
【0028】
【
図4A】注射部位付近の流入領域リンパ節の例を示すラットの図である。
【0029】
【
図4B】脾臓と比較してリンパ節から細胞を採取した場合の抗原(標的D)特異的ハイブリドーマクローンの数の差を示す。LNからのIgG+ハイブリドーマの増加は、(マウスとは対照的に)ラットに当てはまる。
【0030】
【
図5A】抗原Jに対する抗原特異的IgG血清力価を示す。CFAアジュバントを使用し、機械又は手(「シリンジ混合」)で混合した。*シリンジ混合に対してp<0.01。
【0031】
【
図5B】
図5B及び5Cは、CFA、Ribi又はTLRをアジュバントとして使用した場合の、抗原F(「標的F」、
図5B)又は抗原G(「標的G」、
図5C)に対する抗原特異的IgG血清力価を示す。*他の条件に対してp<0.05。
【
図5C】
図5B及び5Cは、CFA、Ribi又はTLRをアジュバントとして使用した場合の、抗原F(「標的F」、
図5B)又は抗原G(「標的G」、
図5C)に対する抗原特異的IgG血清力価を示す。*他の条件に対してp<0.05。
【0032】
【
図6】全リンパ節(「未分離」)、リンパ採取細胞の非B細胞の枯渇後に残存する細胞(「B細胞」)、又は濃縮B細胞からのIgM陽性B細胞の枯渇後に残存する細胞に由来するIgG陽性ハイブリドーマクローンの数を示す。
【0033】
【
図7A】
図7Aは、融合パートナーとしてP3X63AgU.1(「PU.1」;ATCC)又はSp2ab(Enzo Abeome DiSH)のいずれかを使用して生成された抗原H(「標的H」)特異的ハイブリドーマの数を示す。
【0034】
【
図7B】
図7Bは、SP2abハイブリドーマのFACS選別プロファイルを示す。
【0035】
【
図7C】
図7C及び7Dは、PU.1又はSp2ab融合パートナーを使用して生成された抗原特異的ハイブリドーマの割合を示す。
【
図7D】
図7C及び7Dは、PU.1又はSp2ab融合パートナーを使用して生成された抗原特異的ハイブリドーマの割合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明
この説明を読んだ後、様々な代替の実施形態及び代替の適用において本開示を実施する方法が当業者に明らかになるであろう。但し、本技術の様々な実施形態の全てについてここでは説明しない。ここに提示される実施形態は、一例としてのみ提示され限定でないことが理解されよう。したがって、様々な代替の実施形態のこの詳細な説明は、本明細書に記載の本開示の範囲又は幅を限定すると解釈されるべきではない。
【0037】
本技術を開示及び説明する前に、以下に記載される態様は、特定の組成物、そのような組成物を調製する方法、又はその使用に限定されず、したがって当然のことながら変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語が特定の態様を説明することのみを目的としており、限定するようには意図されていないことも理解されたい。
【0038】
読者の便宜のためだけに様々なセクションに分けられた詳細な説明及び任意のセクションに見られる開示は、別のセクションのものと組み合わされてもよい。タイトル又はサブタイトルが、読者の便宜のために本明細書で使用され得、本開示の範囲に影響を及ぼすことを意図しない。
【0039】
定義
別段の定義がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書及び以下の特許請求の範囲では、以下の意味を有すると定義されなければならないいくつかの用語が参照される。
【0040】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していない。ここで使用されるように、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、そのコンテキストがさもなければ明確に示さない限りは、複数形を同様に含むことが意図されている。
【0041】
「任意の(optional)」又は「任意に(optionally)」は、続いて記載される事象又は状況が起こり得るか、又は起こり得ないこと、及びその説明が、その事象又は状況が起こる場合と、それが起こらない場合とを含むことを意味する。
【0042】
「約」という用語は、例えば温度、時間、量、濃度など、範囲を含む数値指定の前に使用される場合、(+)若しくは(-)10%、5%、1%、又はそれらの間の任意の部分範囲若しくは部分値によって変化し得る近似値を示す。好ましくは、「約」という用語は、用量に関して使用される場合、用量が+/-10%変化し得ることを意味する。
【0043】
本明細書で使用される「近く(near)」という用語は、空間内の物体若しくは点の短い物理的距離内の位置、又は短い距離内の配置を意味することを意図している。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約0mm~約50mmであってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約0mm~約40mmであってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約0mm~約30mmであってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約0mm~約20mmであってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約0mm~約10mmであってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約1mm未満であってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約5mm未満であってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約1cm未満であってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約2cm未満であってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約5cm未満であってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約1mmであってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約2mmであってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約3mmであってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約4mmであってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約5mmであってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約1cmであってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約2cmであってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約3cmであってよい。複数の実施形態において、「近く(near)」は、約4cmであってよい。距離は、エンドポイントを含む、列挙された範囲内の任意の値又は部分範囲であってよい。
【0044】
「含んでいる(comprising)」又は「含む(comprises)」という用語は、組成物、及び方法が、記載された要素を含むが、他のものを除外しないことを意味することを意図している。「から本質的になる(consisting essentially of)」は、組成物及び方法を定義するために使用される場合、記載された目的のための組み合わせにとって本質的に重要な他の要素を除外することを意味するものとする。したがって、本明細書で定義される要素から本質的になる組成物は、特許請求される技術の基本的かつ新規な特徴(単数又は複数)に実質的に影響を及ぼさない他の材料又は工程を排除しない。「からなる(consisting of)」は、他の成分及び実質的な方法工程の微量よりも多い要素を除外することを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本開示の範囲内にある。
【0045】
「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及び抗体断片を含むがこれらに限定されない、種々の抗体構造を包含する。
【0046】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用する場合、実質的に均一な抗体の集合から得られる抗体を指し、すなわち、集合に含まれる個々の抗体が、同一であり、及び/又は同じエピトープに結合するが、但し、例えば、天然に存在する突然変異又はモノクローナル抗体製剤の製造中に生じる変異を含む、可能な変異体抗体を除き、かかる変異体は、一般的に、少量存在する。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、モノクローナル抗体製剤のそれぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向する。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするように解釈すべきではない。
【0047】
本明細書で使用される「融合パートナー」という用語は、B細胞と組み合わせて(融合して)ハイブリドーマを形成することができる細胞を指す。一般に、融合パートナーは骨髄腫細胞である。
【0048】
本明細書で使用される「非近交系」という用語は、同一種の他の動物とは遺伝的に別種の動物を指す。対照的に「近交系」は、近親交配に起因して系統内の他のものと遺伝的に同一(又はほぼ同一)である動物を指す。
【0049】
本明細書で使用される「融合パートナー」という用語は、ハイブリドーマを作製するための融合パートナーを指す。様々な種からハイブリドーマを作製するための方法及び細胞は、当技術分野で周知である。一般に、融合パートナーは複数の骨髄腫細胞である。融合パートナーは、ハイブリドーマを作製するための任意の適切な細胞又は細胞株、例えば骨髄腫であってよい。融合パートナーは、哺乳動物由来であってよい。哺乳動物由来は、霊長類、ヒト、ラット、マウス、げっ歯類、又は任意の他の種であってよい。
【0050】
方法
一態様では、抗体を製造する方法が提供される。一態様では、抗体ライブラリを製造する方法が提供される。一態様では、ハイブリドーマを製造する方法が提供される。一態様では、ハイブリドーマライブラリを製造する方法が提供される。
【0051】
複数の実施形態において、本方法は、以下のうちの1つ又は複数を含むことができる:
(a)1匹又は複数匹の動物に抗原を注射すること;
(b)各動物から、例えばB細胞を含有する流入領域リンパ節から、B細胞を採取すること;
(c)1つ又は複数の、又は各B細胞(単数又は複数)と融合パートナー(単数又は複数)との間でハイブリドーマを形成すること;及び
(d)抗原に対する結合特異性について1つ又は複数のハイブリドーマをスクリーニングすること。
【0052】
複数の実施形態において、以下の条件の少なくとも1つ、又は好ましくは少なくとも2つが適用され得る:
(i)動物は非近交系動物である;
(ii)動物は複数の部位に注射される;
(iii)動物は、本明細書に記載される頻度で1回以下、例えば、2週間に1回以上注射される;
(iv)動物は、本明細書中に記載される頻度で、約6週間~約15週間の期間にわたって注射される;
(v)異なる動物又は動物群に、他の動物又は他の動物群と比較して異なるアジュバントが注射されるように、複数のアジュバントが使用される;
(vi)B細胞を工程(c)の前に濃縮する;及び/又は
(vii)表面IgG及び分泌IgGの両方を発現するように操作された融合パートナーを使用する。
【0053】
複数の実施形態において、条件(a)~(d)のうちの少なくとも2つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(a)~(d)のうちの少なくとも3つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(a)~(d)のうちの4つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(a)~(d)の1つ又は複数が明示的に除外され得る。
【0054】
複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの少なくとも3つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの少なくとも4つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの少なくとも5つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの少なくとも6つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの2つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの3つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの4つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの5つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの6つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)のうちの7つが適用され得る。複数の実施形態において、条件(i)~(vii)の1つ又は複数が明示的に除外され得る。複数の実施形態において、条件(i)は明示的に除外される。複数の実施形態において、条件(ii)は明示的に除外される。複数の実施形態において、条件(iii)は明示的に除外される。複数の実施形態において、条件(iv)は明示的に除外される。複数の実施形態において、条件(v)は明示的に除外される。複数の実施形態において、条件(vi)は明示的に除外される。複数の実施形態において、条件(vii)は明示的に除外される。
【0055】
複数の実施形態において、本方法は、以下を含むことができる:
(a)1匹又は複数匹の非近交系ラットに、各ラットの複数の部位で抗原を注射すること;
(b)少なくとも6週間にわたって2週間毎に前記注射を繰り返すこと;
(c)各ラットの1つ又は複数の流入領域リンパ節から免疫細胞を採取すること;
(d)ネガティブ選択によって免疫細胞から非B細胞を枯渇させて、濃縮B細胞試料を形成すること;
(e)前記濃縮B細胞試料を複数の融合パートナーと接触させて、各B細胞と融合パートナーとの間でハイブリドーマを形成すること;及び
(f)前記抗原に対する特異性について前記ハイブリドーマをスクリーニングすること、を含む方法。
【0056】
複数の実施形態において、動物は、非近交系動物であってよい。複数の実施形態において、動物は、哺乳動物であってよい。複数の実施形態において、動物は、げっ歯類であってよい。複数の実施形態において、げっ歯類は、ウサギ、モルモット、ラット、ハムスター、マウスなどであってよい。複数の実施形態において、動物は、ラットであってよい。複数の実施形態において、動物は、非近交系ラットであってよい。非近交系ラットの例としては、限定されないが、Sprague Dawley、Long-Evans、Sentinel、CD(登録商標)IGS(Charles River)、CD(登録商標)Hairless、Wistar、Wistar Han、及びHoltzmanラットが挙げられる。
【0057】
複数の実施形態において、動物は、マウスであってよい。複数の実施形態において、動物は、非近交系マウスであってよい。非近交系マウスの例としては、限定されないが、Black Swiss、CD-1(登録商標)IGS(例えばCharles River由来)、CF-1、CFW、ORL Sencar、SKH1-Elite、Sentinel、及びDiversity Outbred(Jackson Laboratory)が挙げられる。
【0058】
複数の実施形態において、本方法は、2匹以上の非近交系ラットに、抗原を各ラットの複数の部位に注射することを含んでいてもよい。複数の実施形態において、本方法は、3匹以上の非近交系ラットに、抗原を各ラットの複数の部位に注射することを含んでいてもよい。複数の実施形態において、本方法は、4匹以上の非近交系ラットに、抗原を各ラットの複数の部位に注射することを含んでいてもよい。複数の実施形態において、本方法は、5匹以上の非近交系ラットに、抗原を各ラットの複数の部位に注射することを含んでいてもよい。
【0059】
複数の実施形態において、動物は、1つ又は複数の部位に注射されてよい。複数の実施形態において、動物は、複数の部位に注射される。複数の実施形態において、1つ又は複数の部位は、流入領域リンパ節に近い部位であってよい。複数の実施形態において、1つ又は複数の部位は、背中、肩、腹腔内、尾の付け根、踵関節、及び静脈内のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0060】
複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、約0.1μg~約300μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、0.1μg~200μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、0.1μg~100μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、0.1μg~50μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、0.1μg~25μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、0.1μg~10μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、0.5μg~200μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、0.5μg~100μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、0.5μg~50μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、0.5μg~25μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、0.5μg~10μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、1μg~300μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、1μg~200μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、1μg~100μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、1μg~50μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、1μg~25μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、1μg~10μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、5μg~300μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、5μg~200μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、5μg~100μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、5μg~50μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、5μg~25μgであってよい。複数の実施形態において、各部位に注射される抗原の量は、5μg~10μgであってよい。量は、エンドポイントを含む、列挙された範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0061】
複数の実施形態において、動物は、1週間~4週間毎以上、好ましくは1週間毎以上、10日毎以上、2週間毎以上、3週間毎以上、4週間毎以上などに生じる1日又は期間に1つの部位又は複数の部位に注射され得る。複数の実施形態において、1つ又は複数の部位を、異なる時間に注射することができるが、各部位は、1週間毎~4週間毎よりも頻繁には注射されず、好ましくは2週間毎よりも頻繁には注射されないなどである。いくつかの実施形態において、動物は、週に1回以下で注射される。いくつかの実施形態において、動物は、2週間に1回以下で注射される。
【0062】
複数の実施形態において、動物は、本明細書に記載の頻度で6週間~15週間注射を受けてよい。複数の実施形態において、動物は、7週~15週の間、注射されてよい。複数の実施形態において、動物は、8週~15週の間、注射されてよい。複数の実施形態において、動物は、9週~15週の間、注射されてよい。複数の実施形態において、動物は、10週~15週の間、注射されてよい。複数の実施形態において、動物は、11週~15週の間、注射されてよい。複数の実施形態において、動物は、12週~15週の間、注射されてよい。複数の実施形態において、動物は、13週~15週の間、注射されてよい。複数の実施形態において、動物は、14週~15週の間、注射されてよい。
【0063】
複数の実施形態において、動物に、最初に抗原及びアジュバントを含む第1の組成物を少なくとも1つの部位に注射し、次いで2週間に1回、抗原を含む第2の組成物を同一又は異なる部位に注射してもよい。複数の実施形態において、動物は、2週間に1回以下で注射されてよい。複数の実施形態において、動物は、同一部位に2週間に1回以下で注射されてよい。いくつかの実施形態において、第2の組成物はアジュバントを含まない。いくつかの実施形態において、第2の組成物はアジュバントを含む。複数の実施形態において、リンパ節は、2回目、3回目、4回目、5回目又は6回目の注射後に動物から採取されてもよい。第2、第3、第4、第5又は第6の注射は、動物の同一部位(単数又は複数)への第2、第3、第4、第5、又は第6の注射、又は異なる部位への第2、第3、第4、第5又は第6の注射を意味することができる。
【0064】
複数の実施形態において、リンパ節は、例えば、最初の注射後6週間~10週間の間に動物から採取され得る。複数の実施形態において、リンパ節は、最初の注射後6週間~8週間の間に動物から採取され得る。複数の実施形態において、リンパ節は、最初の注射の約6週間後に動物から採取され得る。複数の実施形態において、リンパ節は、最初の注射の約7週間後に動物から採取され得る。複数の実施形態において、リンパ節は、最初の注射の約8週間後に動物から採取され得る。複数の実施形態において、リンパ節は、最初の注射の約9週間後に動物から採取され得る。複数の実施形態において、リンパ節は、最初の注射の約10週間後に動物から採取され得る。
【0065】
複数の実施形態において、複数のアジュバントを使用してよく、各動物(又は動物のサブセット)に異なるアジュバントを注射してよい。複数の実施形態において、複数のアジュバントとしては、例えば、完全フロイントアジュバント(CFR)、Ribi、及び/又はTLR(Toll様受容体)アゴニストカクテルが挙げられ得る。複数の実施形態において、アジュバントはフロイント不完全アジュバントであってよい。複数の実施形態において、アジュバントは、TiterMax(登録商標)(ブロック共重合体CRL-8941、スクアレン及び微粒子安定剤を含有する油中水型エマルション)であってよい。
【0066】
いくつかのアジュバントを混合してエマルジョンを形成する。理論に束縛されるものではないが、アジュバントの機械混合は、(例えば、シリンジを用いる)手動混合と比較して、より調和した乳化及び改善された結果をもたらすと考えられる。複数の実施形態において、アジュバントは機械混合されてよい。複数の実施形態において、機械混合アジュバントはCFRであってよい。
【0067】
複数の実施形態において、ハイブリドーマを形成する前にB細胞を濃縮してよい。複数の実施形態において、濃縮は、流入領域リンパ節から採取した細胞を結合剤と接触させることを含むことができる。複数の実施形態において、ネガティブ選択によりB細胞を濃縮してよい。複数の実施形態において、結合剤は、B細胞ではない細胞に関連する分子に特異的であってよい。複数の実施形態において、結合剤は、B細胞ではない細胞の表面に発現される分子に特異的であってよい。複数の実施形態において、ポジティブ選択によりB細胞を濃縮してよい。複数の実施形態において、結合剤は、B細胞に関連する分子に特異的であってよい。複数の実施形態において、結合剤は、B細胞の表面上に発現される分子(例えば、B細胞特異的細胞表面受容体)に特異的であってよい。
【0068】
結合剤は、目的の分子に結合する任意の薬剤であり得る。複数の実施形態において、結合剤は、抗体又はその一部であってよい。複数の実施形態において、結合剤は、融合タンパク質、アプタマー、リガンド、又は受容体であってよい。
【0069】
複数の実施形態において、磁気分離を使用してよい。複数の実施形態において、磁気ビーズを使用してよい。磁気ビーズは、結合剤に結合され得るか、それ以外の方法で会合され得る。
【0070】
複数の実施形態において、表面IgG及び分泌IgGの両方を発現するように操作された融合パートナー。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,148,040号を、その材料、方法、及び教示の全てについて参照されたい。複数の実施形態において、融合パートナーは、Sp2ab融合パートナーである。Sp2ab骨髄腫融合パートナーは、Abeome Corporation又はEnzo Life Sciencesから入手可能である。
【0071】
複数の実施形態において、ハイブリドーマをスクリーニングすることは、抗原に特異的な抗体を発現するハイブリドーマを同定することを含んでよい。複数の実施形態において、ハイブリドーマをスクリーニングすることは、抗原に特異的なIgG抗体の発現に関するFACS選別を含んでよい。
【0072】
複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも50%増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも2倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも3倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも4倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも5倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも6倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも7倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも8倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも9倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも10倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも20倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも30倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも40倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも50倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも60倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも70倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも80倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して少なくとも90倍増加させ得る。複数の実施形態において、本方法は、抗体及び/又はハイブリドーマの産生を、(i)~(vii)から選択される少なくとも2つの条件を用いない産生と比較して100倍よりも多く増加させ得る。
【0073】
複数の実施形態において、本明細書に記載の方法に従ってハイブリドーマクローンを例えばリンパ節から得ることは、脾臓組織からハイブリドーマクローンを例えば他の点では類似又は同じ方法で得る場合よりも、最大約15倍多いハイブリドーマクローンを産生する。例えば、実施例4で比較される方法を参照されたい。複数の実施形態において、本明細書に記載の方法に従ってハイブリドーマクローンを例えばリンパ節から得ることは、脾臓組織からハイブリドーマクローンを例えば他の点では類似又は同じ方法で得る場合よりも、約2倍~約15倍多いハイブリドーマクローンを産生する。複数の実施形態において、本明細書に記載の方法に従ってハイブリドーマクローンを例えばリンパ節から得ることは、脾臓組織からハイブリドーマクローンを例えば他の点では類似又は同じ方法で得る場合よりも、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約11倍、約12倍、約13倍、約14倍、又は約15倍多いハイブリドーマクローンを産生する。量は、エンドポイントを含む、列挙された範囲内の任意の値又は部分範囲であってよい。いくつかの実施形態において、リンパ節はラット、例えば野生型ラット又はトランスジェニックラットに由来する。
【0074】
複数の実施形態において、アジュバントを機械混合することにより、アジュバントをシリンジ混合するよりも2~4倍の抗原特異的血清IgG力価がもたらされ得る。複数の実施形態において、アジュバントを機械混合することにより、アジュバントをシリンジ混合するよりも2倍の抗原特異的血清IgG力価がもたらされ得る。複数の実施形態において、アジュバントを機械混合することにより、アジュバントをシリンジ混合するよりも3倍の抗原特異的血清IgG力価がもたらされ得る。複数の実施形態において、アジュバントを機械混合することにより、アジュバントをシリンジ混合するよりも4倍の抗原特異的血清IgG力価がもたらされ得る。
【0075】
複数の実施形態において、完全フロイントアジュバント(CFA)を使用した場合の抗原特異的IgG力価は、異なるアジュバント、例えばRibiアジュバント又はTLRアゴニストカクテルのアジュバントを使用した場合と比較して10倍以上であり得る。複数の実施形態において、CFAを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~50倍高くあり得る。複数の実施形態において、CFAを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~25倍高くあり得る。複数の実施形態において、CFAを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~20倍高くあり得る。複数の実施形態において、CFAを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~15倍高くあり得る。複数の実施形態において、CFAを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~10倍高くあり得る。複数の実施形態において、CFAを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、10倍~50倍高くあり得る。複数の実施形態において、CFAを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、10倍~25倍高くあり得る。複数の実施形態において、CFAを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、10倍~20倍高くあり得る。量は、エンドポイントを含む、列挙された範囲内の任意の値又は部分範囲であってよい。
【0076】
複数の実施形態において、Ribiアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、異なるアジュバント、例えばTLRアゴニストカクテルのアジュバントを使用した場合と比較して10倍以上高くあり得る。複数の実施形態において、Ribiアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~50倍高くあり得る。複数の実施形態において、Ribiアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~25倍高くあり得る。複数の実施形態において、Ribiアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~20倍高くあり得る。複数の実施形態において、Ribiアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~15倍高くあり得る。複数の実施形態において、Ribiアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~10倍高くあり得る。複数の実施形態において、Ribiアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、10倍~50倍高くあり得る。複数の実施形態において、Ribiアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、10倍~25倍高くあり得る。複数の実施形態において、Ribiアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、10倍~20倍高くあり得る。量は、エンドポイントを含む、列挙された範囲内の任意の値又は部分範囲であってよい。
【0077】
複数の実施形態において、TLRアゴニストカクテルのアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、異なるアジュバント、例えばRibiアジュバント又はCFAを使用した場合と比較して10倍以上高くあり得る。複数の実施形態において、TLRアゴニストカクテルのアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~50倍高くあり得る。複数の実施形態において、TLRアゴニストカクテルのアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~25倍高くあり得る。複数の実施形態において、TLRアゴニストカクテルのアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~20倍高くあり得る。複数の実施形態において、TLRアゴニストカクテルのアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~15倍高くあり得る。複数の実施形態において、TLRアゴニストカクテルのアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、2倍~10倍高くあり得る。複数の実施形態において、TLRアゴニストカクテルのアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、10倍~50倍高くあり得る。複数の実施形態において、TLRアゴニストカクテルのアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、10倍~25倍高くあり得る。複数の実施形態において、TLRアゴニストカクテルのアジュバントを使用した場合の抗原特異的IgG力価は、10倍~20倍高くあり得る。量は、エンドポイントを含む、列挙された範囲内の任意の値又は部分範囲であってよい。
【0078】
複数の実施形態において、IgM枯渇濃縮LN B細胞の使用は、濃縮LN B細胞が使用される場合よりも約10倍~約100倍多いIgG発現ハイブリドーマクローンを産生し得る。複数の実施形態において、IgM枯渇濃縮LN B細胞の使用は、約10倍~約75倍多いIgG発現ハイブリドーマクローンを産生する。量は、エンドポイントを含む、列挙された範囲内の任意の値又は部分範囲であってよい。複数の実施形態において、IgM枯渇濃縮LN B細胞の使用は、約10倍~約50倍多いIgG発現ハイブリドーマクローンを産生する。複数の実施形態において、IgM枯渇濃縮LN B細胞の使用は、約10倍~約25倍多いIgG発現ハイブリドーマクローンを産生する。複数の実施形態において、IgM枯渇濃縮LN B細胞の使用は、約25倍~約100倍多いIgG発現ハイブリドーマクローンを産生する。複数の実施形態において、IgM枯渇濃縮LN B細胞の使用は、約50倍~約100倍多いIgG発現ハイブリドーマクローンを産生する。複数の実施形態において、IgM枯渇濃縮LN B細胞の使用は、約10倍~約75倍多いIgG発現ハイブリドーマクローンを産生する。量は、エンドポイントを含む、列挙された範囲内の任意の値又は部分範囲であってよい。
【0079】
一態様では、抗体ライブラリが本明細書で提供される。複数の実施形態において、抗体ライブラリは、本明細書に記載の方法を使用して調製される。
【0080】
一態様では、抗体が本明細書で提供される。複数の実施形態において、抗体は、本明細書に記載の方法を使用して調製される。
【0081】
一態様では、ハイブリドーマライブラリが本明細書で提供される。複数の実施形態において、ハイブリドーマライブラリは、本明細書に記載の方法を使用して調製される。
【0082】
一態様では、本明細書中に記載されるハイブリドーマライブラリ又は抗体ライブラリを調製するためのキットが本明細書中に提供される。複数の実施形態において、キットは、少なくとも1つのアジュバントを含む。複数の実施形態において、キットは、少なくとも2つの異なるアジュバントを含む。複数の実施形態において、キットは、B細胞を(例えばリンパ節中の他の細胞から)単離、分離、又は濃縮するための試薬を含む。複数の実施形態において、キットは、少なくとも1つの試薬と相互作用するビーズ(マイクロビーズ)を含む。複数の実施形態において、キットは、少なくとも1つの試薬と相互作用するカラムを含む。複数の実施形態において、キットは、ハイブリドーマを作製するための融合パートナーを含む。
【0083】
複数の実施形態において、アジュバントは、CFR、Ribi、及び/又はTLRアゴニストカクテルである。複数の実施形態において、B細胞を単離、分離又は濃縮するための少なくとも1つの試薬は、B細胞(例えば、マウス又はラットB細胞)に特異的な抗体を含む。複数の実施形態において、B細胞を単離するための少なくとも1つの試薬は、B細胞以外の細胞を認識する抗体を含む。複数の実施形態において、抗体は、標識される。複数の実施形態において、標識は、第2の分子に結合する。複数の実施形態において、第2の分子は、ビーズ又はカラムに結合される。複数の実施形態において、標識は、ビオチンであり、第2の分子は、ストレプトアビジンである。複数の実施形態において、ビーズは磁性ビーズである。複数の実施形態において、カラムは磁性カラムである。複数の実施形態において、融合パートナーは、表面IgG及び分泌IgGの両方を発現するように操作される。
【0084】
いくつかの実施形態は、本明細書中に記載される方法又は方法の一部のいずれかを使用、産生又は実施することをもたらす、デバイス、装置、組成物、製剤、細胞、抗体、アジュバント、ハイブリドーマ、それらの任意のものの集団又は複数、及びそれらの任意のものの組み合わせに関する。
【0085】
本明細書に記載の実施例及び実施形態が例示のみを目的とするものであり、それを考慮に入れた様々な改変又は変化が当業者に提案され、本出願精神及び範囲並びに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることは理解されよう。本明細書で引用される全ての公報、特許、及び特許出願は、あらゆる目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0086】
当業者は、本明細書に記載の粒子の作製及び使用の説明が例示のみを目的としており、本開示がこの例示によって限定されないことを理解するであろう。
【0087】
実施例1.近交系動物対非近交系動物
Sprague Dawleyラット又はBalb/cマウス(Charles River)を、尾の付け根の皮下に完全フロイントアジュバント(BD Biosciences)又はRibiアジュバント(Sigma-Aldrich)と混合した100μgの標的Aタンパク質(Genentech)で免疫化後、不完全フロイントアジュバント(BD Biosciences)又は滅菌PBSと混合した50μgのタンパク質によるブーストを、部位を交代させて行った(腹腔内、両踵関節又は尾の付け根)。血清を5回の投与後に採取し、免疫タンパク質に対するELISAによって試験した。
【0088】
図1Aは、SDラットのIgG発現力価がBalb/cマウスよりも高いことを示す。抗原特異的IgG力価は、最大シグナルの半分のシグナルをもたらす希釈倍率である。標的相同性は、力価の差が抗原寛容の差に基づいていない可能性が高いことを示すために含まれる。
【0089】
Sprague Dawleyラット(Charles River)又はC57BL/6ノックアウトマウス(Genentech)を、尾の付け根の皮下に、完全フロイントアジュバント(BD Biosciences)、Ribiアジュバント(Sigma-Aldrich)、又はTLRアゴニストカクテル(
図3Cにおいて説明)と混合した50μgの標的Bタンパク質(Genentech)で免疫化後、2週間毎に、不完全フロイントアジュバント(Sigma-Aldrich)又は滅菌PBSと混合した25μgのタンパク質によるブーストを、部位を交代させて行った(腹腔内、両踵関節、又は尾の付け根)。血清を6回の投与後に採取し、免疫タンパク質に対するELISAによって試験した。
【0090】
図1Bは、SDラットのIgG発現力価がC57BL/6マウスよりも高いことを示す。抗原特異的IgG力価は、最大シグナルの半分に達するシグナルをもたらす希釈倍率である。標的相同性は、力価の差が抗原寛容の差に基づいていない可能性が高いことを示すために含まれる。
【0091】
実施例2.単一の注射部位対複数の注射部位
図2Aは、免疫化のための複数の注射部位の位置を示す。尾の付け根、肩及び踵関節注射剤を皮下(s.c.)投与し、抗原特異的B細胞は、それぞれ鼠径リンパ節及び腸骨リンパ節、腋窩リンパ節及び上腕リンパ節、並びに膝窩リンパ節に排出される可能性が高い。腹腔内(i.p.)注射剤を腹膜腔に投与し、抗原特異的B細胞は、腸間膜リンパ節並びに脾臓に排出される可能性が高い。
【0092】
トランスジェニックラット(Open Monoclonal Technology)を、Ribiアジュバント(Sigma-Aldrich)と混合した20μgの標的Cタンパク質又は標的Dタンパク質(Genentech)で週に1回、i.p.のみ又は
図2Aに示すように複数の部位に分けて2週間毎に交代させて免疫化した。5週間の注射後に血清を採取し、免疫タンパク質に対するELISAによって試験した。
【0093】
図2Bは、単一部位の免疫化後の抗原特異的力価が複数部位の免疫化後よりも低いことを示す。抗原特異的IgG力価は、最大シグナルの半分に達するシグナルをもたらす希釈倍率である。
【0094】
実施例3.週2回投与対2週間に1回投与
図3Aは、2週間に1回投与する戦略を示す。抗原による免疫化時の抗原特異的免疫応答の予想される変化の一般的な説明;実際のデータは示されていない。動物に、血清IgMレベルの増加によって示されるように一次免疫応答を刺激するアジュバント(実施例3に記載のフロイント、Ribi又はTLRアゴニストカクテル)と組み合わせたタンパク質を、0週目に複数の部位に注射する。次いで、動物を2週間に1回、典型的には、アジュバントを含まない滅菌PBSで希釈したより少量の抗原でブーストする。これは二次免疫応答を刺激し、血清IgGレベルの増加並びに標的に対するB細胞選択及び親和性成熟のための胚中心の発生をもたらす。抗原特異的免疫応答の進行を評価するために、複数の時点で血清を採取する。
【0095】
C57BL/6ノックアウトマウス(Genentech)を、Ribiアジュバント(Sigma-Aldrich)と混合した2μgの標的Eタンパク質(Genentech)で週に2回(3~4日毎)i.p.により免疫化し、又は、Ribiアジュバントと混合した100μgの標的Eタンパク質をi.p.により免疫化した後、Ribiアジュバントと混合又は滅菌PBSで希釈した50μgの標的Eタンパク質によるブーストをi.p.で2週間毎に行なった。血清を8週間又は9週間の投与後に採取し、免疫化タンパク質に対するELISAによって試験した。
【0096】
図3Bは、驚くべきことに、1週間に2回投与されたラットからの抗原特異的力価が、Ribiアジュバントを使用して2週間に1回投与されたものよりも低かったことを示す。抗原特異的IgG力価は、最大シグナルの半分に達するシグナルをもたらす希釈倍率である。
【0097】
C57BL/6ノックアウトマウス(Genentech)を、TLRアゴニストの組み合わせ:50μgのMPL(Sigma-Aldrich)、20μgのR848(Invivogen)、10μgのPolyI:C(Invivogen)及び10μgのCpG(Invivogen)と混合した2μgの標的Eタンパク質(Genentech)で週に2回(3~4日毎)i.p.により免疫化し、又はTLRアゴニストカクテルアジュバントと混合した100μgの標的Eタンパク質でi.p.により免疫化した後に、Ribiアジュバント(Sigma-Aldrich)と混合又は滅菌PBSで希釈した50μgの標的Eタンパク質でi.p.により2週間毎にブーストした。血清を8週間又は9週間の投与後に採取し、免疫化タンパク質に対するELISAによって試験した。
【0098】
図3Cは、1週間に2回投与されたラットからの抗原特異的力価が、TLRアゴニストアジュバント混合物を使用して2週間に1回投与されたものよりも低かったことを示す。抗原特異的IgG力価は、最大シグナルの半分に達するシグナルをもたらす希釈倍率である。
【0099】
実施例4.B細胞源としての、リンパ節対脾臓
図4Aは、複数の部位注射位置の近くの流入領域リンパ節の位置を示す。鼠径リンパ節、腸骨リンパ節、腋窩リンパ節、上腕リンパ節、腸間膜リンパ節及び膝窩リンパ節を含む複数のリンパ節を採取し、
図2Aに記載のように複数の部位に抗原を注射した動物由来の潜在的な抗原特異的B細胞源としてプールする。
【0100】
トランスジェニックラット(Open Monoclonal Technology)を、フロイント完全アジュバント(BD Biosciences)と混合した200μgの標的Dタンパク質(Genentech)でs.c.によって尾の付け根において免疫化後、不完全フロイントアジュバント(BD Biosciences)と混合した100μgの標的Dタンパク質で、
図2Aに示すように複数の部位に分けて2週間毎に交代させてブーストし、又は、Ribiアジュバント(Sigma-Aldrich)若しくはTLRアゴニストカクテル(実施例3に記載)と混合した10μgの標的Dタンパク質を1週間に2回(3~4日毎)ブーストした。最後の免疫化の3日後、免疫化の開始から約7週間後に脾臓又は複数のリンパ節を採取した。これらのラット由来のB細胞を、実施例6に記載されるように磁気分離(Miltenyi Biotec)を使用してリンパ球から精製し、得られたB細胞集団からの4500万個の細胞を、電気融合(Harvard Apparatus)によってP3X63-Ag8U.1マウス骨髄腫細胞(American Type Culture Collection)と融合した。融合した細胞を37℃、7%CO
2で、培地C(StemCell Technologies)中で一晩インキュベートした後、抗ラットIgG-FITC(Sigma-Aldrich)を含む半固体培地D(StemCell Technologies)に再懸濁し、Omniwellトレイ(Thermo Fisher Scientific)にプレーティングした。プレーティングの7日後、蛍光コロニーを選択し、Clonepix FL(Molecular Devices)を使用して培地E(StemCell Technologies)を含む96ウェル培養プレート(BD Biosciences)に移した。上清を、コロニー・ピッキングの7日後に標的Dタンパク質に対してELISAによってスクリーニングした。
【0101】
図4Bは、リンパ節由来の抗原特異的ハイブリドーマクローンの数が脾臓由来よりも有意に多いことを示す。
図4Bに示すように、脾臓からハイブリドーマクローンを得ると、リンパ節からハイブリドーマクローンを得る場合よりも最大約10倍少ないハイブリドーマクローンが産生される。驚くべきことに、本明細書中に記載される方法を使用すると、脾臓ではなくリンパ節から得る場合、抗原特異的IgG+クローンの数の10倍又はそれを超える数を得ることが可能である。
【0102】
実施例5.複数のアジュバントの並行使用
CFRの機械混合が、得られる力価に影響を及ぼすかどうかを決定するために、機械(Omni Mixer,Omni Inc.)を使用して、又はシリンジを使用して手で、CFRを抗原と混合した。ラットに、アジュバント組成物を注射し、本明細書に記載のように抗原特異的抗体力価を決定した。結果を
図5Aに示す。
図5Aに見られるように、機械混合は、シリンジ混合よりも有意に多くの抗原特異的血清IgG力価を産生する。機械混合試料は、シリンジ混合試料の約2倍の抗原特異的血清IgG力価を示した。
【0103】
トランスジェニックラット(Open Monoclonal Technology)を、Ribiアジュバント(Sigma-Aldrich)又は実施例3に記載のTLRアゴニストカクテルアジュバントと混合した20μgの標的Fタンパク質(Genentech)で、
図2Aに示すように複数の部位に分けて、又は、完全フロイントアジュバント(BD Biosciences)と混合した150μgの標的Fタンパク質で、尾の付け根における注射により、週に2回免疫化した後に、不完全フロイントアジュバント(BD Biosciences)又は10μgのCpG(Invivogen)と混合した50μgの標的Fタンパク質で、
図2Aに示すように複数の部位に分けて2週間毎にブーストした。血清を10週間の投与後に採取し、免疫化タンパク質に対するELISAによって試験した。
【0104】
図5Bは、異なるアジュバントで免疫化した動物からの抗原特異的力価を示す。抗原特異的IgG力価は、最大シグナルの半分のシグナルをもたらす希釈倍率である。
図5Bに示すように、完全フロイントアジュバント(CFA)は、Ribiアジュバント又はTLRアゴニストカクテルアジュバントよりも、この抗原に関して10乗超、有意に高い抗原特異的IgG力価を有する。
【0105】
トランスジェニックラット(Open Monoclonal Technology)を、
図2Aに示すように複数の部位に分けて、Ribiアジュバント(Sigma-Aldrich)又は実施例3に記載のTLRアゴニストカクテルアジュバントと混合した20μgの標的Gタンパク質(Genentech)で毎週免疫化した。血清を6週間の投与後に採取し、免疫化タンパク質に対するELISAによって試験した。
【0106】
図5Cは、異なるアジュバントで免疫化した動物からの抗原特異的力価を示す。抗原特異的IgG力価は、最大シグナルの半分のシグナルをもたらす希釈倍率である。
図5Cに示すように、Ribiアジュバントは、TLRアゴニストカクテルアジュバントよりも、この抗原に関しておよそ10乗、有意に高い抗原特異的IgG力価を有する。
【0107】
実施例6.ネガティブ選択によるB細胞濃縮及びIgM枯渇
トランスジェニックラット(Open Monoclonal Technology)を、Ribiアジュバント(Sigma-Aldrich)と混合した10μgの標的Dタンパク質(Genentech)で、尾の付け根においてs.c.により免疫化後、Ribiアジュバント(Sigma-Aldrich)と混合した10μgの標的Dタンパク質で、
図2Aに示すように複数の部位に分けて、1週間に2回(3~4日毎)ブーストした。最後の免疫化の3日後、免疫化の開始から約7週間後に複数のリンパ節を採取した。リンパ球を抗ラットCD4(BD Biosciences)、抗ラットCD8a(BD Biosciences)、抗ラットCD11b/c(BD Biosciences)、抗ラットCD161a(BD Biosciences)、及び抗ラット顆粒球(eBioscience)ビオチンコンジュゲート抗体と共にインキュベートし、洗浄し、次いでストレプトアビジン被覆磁気ビーズ(Miltenyi Biotec)と共にインキュベートし、磁気カラム(Miltenyi Biotec)に流して非標識集団を捕捉した。次いで、得られた濃縮B細胞集団を融合のために採取するか、又はさらなる枯渇工程を行った。細胞を抗ラットIgM-ビオチン(BD Biosciences)で標識し、洗浄した後、ストレプトアビジン被覆磁気ビーズ(Miltenyi Biotec)とインキュベートし、磁気カラム(Miltenyi Biotec)に流して非標識集団を捕捉した。各群からの細胞を、電気融合(Harvard Apparatus)によってP3X63-Ag8U.1マウス骨髄腫細胞(American Type Culture Collection)と融合した。融合した細胞を37℃、7%CO
2で、培地C(StemCell Technologies)中で一晩インキュベートした後、抗ラットIgG-FITC(Sigma-Aldrich)を含む半固体培地D(StemCell Technologies)に再懸濁し、Omniwellトレイ(Thermo Fisher Scientific)にプレーティングした。プレーティングの7日後、蛍光コロニーを選択し、Clonepix FL(Molecular Devices)を使用して培地E(StemCell Technologies)を含む96ウェル培養プレート(BD Biosciences)に移した。上清を、コロニー・ピッキングの7日後に標的Dタンパク質に対してELISAによってスクリーニングした。示されているIgG陽性クローン数は、4500万個のB細胞の融合物に対して正規化されている。
【0108】
図6は、全リンパ節、濃縮LN B細胞、及びIgM枯渇濃縮LN B細胞に由来するIgG発現ハイブリドーマクローンの数を示す。
図6に示すように、IgM枯渇濃縮LN
B細胞は、最も多数のIgG発現ハイブリドーマクローンを産生し、その次が濃縮LN B細胞及び分離されていない全リンパ節であった。驚くべきことに、本明細書に記載の方法を使用して、IgM枯渇濃縮LN B細胞の使用は、濃縮LN B細胞よりも約10倍~約100倍多いIgG発現ハイブリドーマクローンを産生することができる。
【0109】
実施例7.SP2ab対PU1抗原特異的ハイブリドーマの生成
図7A対照ハイブリドーマ(左)を、フローサイトメトリを使用して、APC GAM Ig(右)で標識した後にIgα及びIgβで形質転換した株と比較する。ヒストグラムは生細胞集団を示す。Harlow及びLane(1988)に記載されているようにハイブリドーマを産生し、HAT(Sigma-Aldrich)を補充した培養培地で増殖させた。選別した細胞を、ヒポキサンチン及びチミジン(Sigma-Aldrich)で補充した培養培地中で増殖させた。細胞を洗浄し、次いで、アロフィコシアニン・コンジュゲート・ヤギ抗マウスIg H+L(Invitrogen)で染色した。細胞を再度洗浄し、20% FBSを含有するIMDM(Atlanta Biological Laboratories)で再懸濁した。非生細胞を、ヨウ化プロピジウム又は7-アミノアクチノマイシンD(両方ともInvitrogen)を使用して生細胞から分化させた。Priceら、J.Immunol Methods.2009 March 31;343(1):28-41から修正。
【0110】
図7Bは、SP2abハイブリドーマのFACS選別プロファイルを示す。免疫化ラット由来のIgM陰性B細胞を、実施例6に記載のように磁気分離(Miltenyi Biotec)を使用してリンパ球から精製し、電気融合(Harvard Apparatus)を介してSP2abマウス骨髄腫細胞(Enzo Life Sciences)と融合した。融合した細胞を37℃、7%CO
2で、培地C(StemCell Technologies)中で一晩インキュベートした後、1×HAT(Sigma-Aldrich)を補充した培地E(StemCell Technologies)を含有する6ウェルプレートにプレーティングして、37℃、7%CO
2で3日間インキュベートした。細胞を回収し、アロフィコシアニン標識抗ラットIgG(Jackson Immunoresearch)及びフィコエリトリン標識標的タンパク質(Genentech)で染色した。ハイブリドーマ細胞集団はIgGを発現しており(左のヒストグラム)、IgG
+Ag
+細胞を同定して、FACSAria Fusionソーター(BD Biosciences)を用いて選別した(右のドットプロット)。
【0111】
トランスジェニックラット(Open Monoclonal Technology)を、完全フロイントアジュバント(BD Biosciences)と混合した100μgの標的Hタンパク質(Biosearch Technologies)で尾の付け根において免疫化し、引き続いて不完全フロイントアジュバント(BD Biosciences)と混合した50μgの標的Hタンパク質で2週間毎にi.pによりブーストした。C57BL/6ノックアウトマウス(Genentech)を、TLRアゴニストカクテル(実施例3に記載)と混合した2μgの標的Iタンパク質(Genentech)で、複数の部位(腹腔内及び両踵関節)において、週に2回(3~4日毎)免疫化した。免疫化動物由来のIgM陰性B細胞を、磁気分離(Miltenyi Biotec)を使用して(マウス用キットを使用して、又はラット用の実施例6に記載のキットを使用して)リンパ球から精製し、電気融合(Harvard Apparatus)を介してP3X63-Ag8U.1マウス骨髄腫細胞(American Type Culture Collection)と融合した。融合した細胞を37℃、7%CO2で、培地C(StemCell Technologies)中で一晩インキュベートした後、抗種IgG-FITC(Jackson Immunoresearch)を含む半固体培地D(StemCell Technologies)に再懸濁し、Omniwellトレイ(Thermo Fisher Scientific)にプレーティングした。プレーティングの7日後、蛍光コロニーを選択し、Clonepix FL(Molecular Devices)を使用して培地E(StemCell Technologies)を含む96ウェルプレートに移した。上清を、ピッキングの7日後に免疫化タンパク質に対してELISAによってスクリーニングした。
【0112】
図7Cは、PU1融合パートナーを使用したIgGに基づく選別による抗原特異的ハイブリドーマの割合を示す。抗原陽性率をIgG発現ウェルの関数として示す。
【0113】
上記と同じ細胞集団を、電気融合(Harvard Apparatus)を介してSP2abマウス骨髄腫細胞(Enzo Life Sciences)と融合した。融合した細胞を37℃、7%CO2で、培地C(StemCell Technologies)中で一晩インキュベートした後、1×HAT(Sigma-Aldrich)を補充した培地E(StemCell Technologies)を含有する6ウェルプレートにプレーティングして、37℃、7%CO2で3日間インキュベートした。細胞を回収し、アロフィコシアニン標識抗ラットIgG(Jackson Immunoresearch)及び必要に応じてフィコエリトリン標識標的H又はIタンパク質(Genentech)で染色した。IgG+Ag+細胞を、FACSAria Fusionソーター(BD Biosciences)を使用して96ウェルプレートに選別した。プレーティングの7日後、上清を、免疫化タンパク質に対してELISAによってスクリーニングした。
【0114】
図7Dは、Sp2ab融合パートナーを使用した抗原に基づく選別による抗原特異的ハイブリドーマの割合を示す。抗原陽性率をIgG発現ウェルの関数として示す。
【0115】
参考文献
【0116】
Price,et al.Engineered cell surface expression of membrane immunoglobulin as a means to identify monoclonal antibody-secreting hybridomas.J.Immunol Methods.2009 March 31;343(1):28-41.
【0117】
Harlow,E.;Lane,DP.Antibodies:A Laboratory Manual.CSH Laboratory Press;Cold Spring Harbor,NY:1988.
【手続補正書】
【提出日】2022-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体ライブラリを産生するための方法であって、
(a)1匹又は複数匹の動物に抗原を注射すること;
(b)各動物からB細胞を含む流入領域リンパ節を採取すること;
(c)各B細胞と融合パートナーとの間でハイブリドーマを形成すること;及び
(d)前記抗原に対する結合特異性
を有するIgGについて前記ハイブリドーマをスクリーニングすること
を含み、
以下の条件:
(i)前記動物は非近交系動物である;
(ii)前記動物は複数の部位に注射される;
(iii)前記動物は2週間毎に注射される;
(iv)前記動物は6週間~15週間注射される;
(v)異なる動物に異なるアジュバントを注射するように複数のアジュバントを使用する;
及び/又は
(vi)B細胞を工程(c)の前に濃縮する
のうちの少なくとも
5つが適用される、方法
であって、前記動物がヒトではない、方法。
【請求項2】
条件(i)~(
vi)のうちの5つが適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
条件(i)~(
vi)のうちの6つが適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記融合パートナーが、表面IgG及び分泌IgGの両方を発現するように操作される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)が、2匹以上の動物に抗原を注射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)が、3匹以上の動物に抗原を注射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)が、4匹以上の動物に抗原を注射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)が、5匹以上の動物に抗原を注射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記動物がラットである、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の部位が、流入領域リンパ節の近くの部位である、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の部位が、背中、肩、腹腔内、尾の付け根、及び踵関節のうちの1つ又は複数を含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記動物が複数の部位に注射され、各部位に注射される抗原の量が0.1μg~300μgの間である、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記動物が複数の部位に注射され、各部位に注射される抗原の量が0.5μg~200μgの間である、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記動物が週に1回以下で注射される、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記動物が2週間に1回以下で注射される、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記動物が6週間~15週間注射される、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のアジュバントが、完全フロイントアジュバント、Ribi、及び/又はTLRアゴニストカクテルを含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記B細胞がネガティブ選択によって濃縮される、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記融合パートナーがSp2ab融合パートナーである、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ハイブリドーマをスクリーニングすることが、前記抗原に特異的なIgG抗体の発現に関するFACS選別を含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
抗体ライブラリを産生するための方法であって、
(a)1匹又は複数匹の非近交系ラットに、各ラットの複数の部位で抗原を注射すること;
(b)少なくとも6週間にわたって2週間毎に前記注射を繰り返すこと;
(c)各ラットの1つ又は複数の流入領域リンパ節から免疫細胞を採取すること;
(d)ネガティブ選択によって前記免疫細胞から非B細胞を枯渇させて、濃縮B細胞試料を形成すること;
(e)前記濃縮B細胞試料を複数の融合パートナーと接触させて、各B細胞と融合パートナーとの間でハイブリドーマを形成すること;及び
(f)前記抗原に対する特異性について前記ハイブリドーマをスクリーニングすることを含む、方法。
【請求項22】
前記複数の部位が、流入領域リンパ節の近くの部位である、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の部位が、背中、肩、腹腔内、尾の付け根、及び踵関節のうちの1つ又は複数を含む、請求項
21又は22に記載の方法。
【請求項24】
各部位に注射される抗原の量が0.1μg~300μgの間である、請求項
21又は22に記載の方法。
【請求項25】
各部位に注射される抗原の量が0.5μg~200μgの間である、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記
ラットが2週間に1回以下で注射される、請求項
21又は22に記載の方法。
【請求項27】
前記
ラットが6週間~10週間注射される、請求項
21又は22に記載の方法。
【請求項28】
前記融合パートナーがSp2ab融合パートナーである、請求項
21又は22に記載の方法。
【請求項29】
前記ハイブリドーマをスクリーニングすることが、前記抗原に特異的なIgG抗体の発現に関するFACS選別を含む、請求項
21又は22に記載の方法。
【請求項30】
工程(a)が、2匹以上の
ラットに抗原を注射することを含む、請求項
21又は22に記載の方法。
【請求項31】
工程(a)が、3匹以上の
ラットに抗原を注射することを含む、請求項
21又は22に記載の方法。
【請求項32】
工程(a)が、4匹以上の
ラットに抗原を注射することを含む、請求項
21又は22に記載の方法。
【請求項33】
工程(a)が、5匹以上の
ラットに抗原を注射することを含む、請求項
21又は22に記載の方法。
【請求項34】
請求項1から
33のいずれか一項に記載の方法を用いて調製された、抗体ライブラリ。
【請求項35】
請求項1から
33のいずれか一項に記載の方法を用いて調製された、ハイブリドーマライブラリ。
【請求項36】
異なるラットに異なるアジュバントを注射するように複数のアジュバントを使用する、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記動物が、2週間毎に複数の部位に注射される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記動物が、背中、肩、腹腔内、尾の付け根、及び踵関節のそれぞれに、2週間毎に注射される、請求項37に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
複数の実施形態において、融合パートナーは、表面IgG及び分泌IgGの両方を発現するように操作された細胞であり得る。複数の実施形態において、融合パートナーは、Sp2ab融合パートナーであり得る。複数の実施形態において、ハイブリドーマをスクリーニングすることは、抗原に特異的な抗体を発現するハイブリドーマを同定することを含み得る。複数の実施形態において、ハイブリドーマをスクリーニングすることは、抗原に特異的なIgG抗体の発現に関するFACS選別を含み得る。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
抗体ライブラリを産生するための方法であって、
(a)1匹又は複数匹の動物に抗原を注射すること;
(b)各動物からB細胞を含む流入領域リンパ節を採取すること;
(c)各B細胞と融合パートナーとの間でハイブリドーマを形成すること;及び
(d)前記抗原に対する結合特異性について前記ハイブリドーマをスクリーニングすること
を含み、
以下の条件:
(i)前記動物は非近交系動物である;
(ii)前記動物は複数の部位に注射される;
(iii)前記動物は2週間毎に注射される;
(iv)前記動物は6週間~15週間注射される;
(v)異なる動物に異なるアジュバントを注射するように複数のアジュバントを使用する;
(vi)B細胞を工程(c)の前に濃縮する;及び/又は
(vii)表面IgG及び分泌IgGの両方を発現するように操作された融合パートナーを使用する
のうちの少なくとも2つが適用される、方法。
(項目2)
条件(i)~(vii)のうちの2つが適用される、項目1に記載の方法。
(項目3)
条件(i)~(vii)のうちの3つが適用される、項目1に記載の方法。
(項目4)
条件(i)~(vii)のうちの4つが適用される、項目1に記載の方法。
(項目5)
条件(i)~(vii)のうちの5つが適用される、項目1に記載の方法。
(項目6)
条件(i)~(vii)のうちの6つが適用される、項目1に記載の方法。
(項目7)
条件(i)~(vii)のうちの7つが適用される、項目1に記載の方法。
(項目8)
条件(i)~(vi)のうちの少なくとも2つが適用される、項目1に記載の方法。
(項目9)
工程(a)が、2匹以上の動物に抗原を注射することを含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
工程(a)が、3匹以上の動物に抗原を注射することを含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
工程(a)が、4匹以上の動物に抗原を注射することを含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
工程(a)が、5匹以上の動物に抗原を注射することを含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記動物がラットである、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記複数の部位が、流入領域リンパ節の近くの部位である、項目1から13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記複数の部位が、背中、肩、腹腔内、尾の付け根、及び踵関節のうちの1つ又は複数を含む、項目1から14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記動物が複数の部位に注射され、各部位に注射される抗原の量が0.1μg~300μgの間である、項目1から15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記動物が複数の部位に注射され、各部位に注射される抗原の量が0.5μg~200μgの間である、項目1から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記動物が週に1回以下で注射される、項目1から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記動物が2週間に1回以下で注射される、項目1から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記動物が6週間~15週間注射される、項目1から19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記複数のアジュバントが、完全フロイントアジュバント、Ribi、及び/又はTLRアゴニストカクテルを含む、項目1から20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記B細胞がネガティブ選択によって濃縮される、項目1から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記融合パートナーがSp2ab融合パートナーである、項目1から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記ハイブリドーマをスクリーニングすることが、前記抗原に特異的なIgG抗体の発現に関するFACS選別を含む、項目1から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
抗体ライブラリを産生するための方法であって、
(a)1匹又は複数匹の非近交系ラットに、各ラットの複数の部位で抗原を注射すること;
(b)少なくとも6週間にわたって2週間毎に前記注射を繰り返すこと;
(c)各ラットの1つ又は複数の流入領域リンパ節から免疫細胞を採取すること;
(d)ネガティブ選択によって前記免疫細胞から非B細胞を枯渇させて、濃縮B細胞試料を形成すること;
(e)前記濃縮B細胞試料を複数の融合パートナーと接触させて、各B細胞と融合パートナーとの間でハイブリドーマを形成すること;及び
(f)前記抗原に対する特異性について前記ハイブリドーマをスクリーニングすることを含む、方法。
(項目26)
前記複数の部位が、流入領域リンパ節の近くの部位である、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記複数の部位が、背中、肩、腹腔内、尾の付け根、及び踵関節のうちの1つ又は複数を含む、項目25又は26に記載の方法。
(項目28)
各部位に注射される抗原の量が0.1μg~300μgの間である、項目25から27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
各部位に注射される抗原の量が0.5μg~200μgの間である、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記動物が2週間に1回以下で注射される、項目25から29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記動物が6週間~10週間注射される、項目25から30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記融合パートナーがSp2ab融合パートナーである、項目25から31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記ハイブリドーマをスクリーニングすることが、前記抗原に特異的なIgG抗体の発現に関するFACS選別を含む、項目25から32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
工程(a)が、2匹以上の動物に抗原を注射することを含む、項目21から33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
工程(a)が、3匹以上の動物に抗原を注射することを含む、項目21から33のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
工程(a)が、4匹以上の動物に抗原を注射することを含む、項目21から33のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
工程(a)が、5匹以上の動物に抗原を注射することを含む、項目21から33のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
項目1から37のいずれか一項に記載の方法を用いて調製された、抗体ライブラリ。
(項目39)
項目1から37のいずれか一項に記載の方法を用いて調製された、ハイブリドーマライブラリ。
【国際調査報告】