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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ガス放電を生成する装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
H05H1/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513300
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2020072762
(87)【国際公開番号】W WO2021037576
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】102019122930.8
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ネッテスハイム,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】フォルシュテル,クラウス
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA24
2G084BB06
2G084BB07
2G084BB23
2G084BB24
2G084BB35
2G084CC19
2G084CC22
2G084CC34
2G084DD12
2G084DD14
2G084DD21
2G084DD22
2G084FF21
(57)【要約】
本発明は、ガス放電を生成する装置に関し、装置は、出力コンタクト(8a,8b)を有する低電圧アセンブリ(1)であって、出力コンタクト(8a,8b)に低電圧を供給するように構成された低電圧アセンブリ(1)と、入力コンタクト(10a,10b)及びトランス(7)を有する高電圧アセンブリ(2)と、を備え、低電圧アセンブリ(1)と高電圧アセンブリ(2)とはプラグ接続(9)によって互いに接続されており、プラグ接続(9)は、低電圧アセンブリ(1)の出力コンタクト(8a,8b)と、高電圧アセンブリ(2)の入力コンタクト(10a,10b)との間の電気コンタクトを形成し、入力コンタクト(10a,10b)を介して、出力コンタクト(8a,8b)に供給される低電圧を前記トランス(7)に印加し、トランス(7)は、低電圧を高電圧に変換するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス放電を生成する装置であって、
出力コンタクトを有する低電圧アセンブリであって、前記出力コンタクトに低電圧を供給するように構成された低電圧アセンブリと、
入力コンタクト及びトランスを有する高電圧アセンブリと、
を備え、
前記低電圧アセンブリと前記高電圧アセンブリとはプラグ接続によって互いに接続されており、
前記プラグ接続は、前記低電圧アセンブリの前記出力コンタクトと、前記高電圧アセンブリの前記入力コンタクトとの間の電気コンタクトを形成し、
前記入力コンタクトを介して、前記出力コンタクトに供給される低電圧を前記トランスに印加し、
前記トランスは、前記低電圧を高電圧に変換するように構成されている、
装置。
【請求項2】
前記低電圧アセンブリはハウジングを備え、
前記高電圧アセンブリは、カートリッジを備え、前記カートリッジ内には前記トランスが配置されているとともに、前記カートリッジは前記入力コンタクトを有し、
前記ハウジング及び前記カートリッジは前記プラグ接続を介して互いに係合されているか、又は
前記ハウジング及び前記カートリッジは前記プラグ接続を介して互いにクランプされている、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記高電圧アセンブリは、前記トランスに生成される高電圧によって生成される電界に影響を与えるように構成された放電構造を備える、
請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記放電構造は、前記カートリッジの外側の金属化部を備える、
請求項2を引用する請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記放電構造は、前記カートリッジの外側に配置されるとともに導体材料からなる突出要素を備える、
請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記突出要素は、針状、ブレード状、又は先端が丸められているか、又は
前記突出要素は、前記トランスの反対側を向いた端部にワイヤを備え、前記ワイヤは前記カートリッジの長手方向に延在しているか、又は
前記突出要素は、ヒゲを備え、前記ヒゲの少なくともいくつかは伝導可能材料からなり、及び/又は、前記ヒゲの少なくともいくつかは絶縁材料からなる、
請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記放電構造は、誘電シールドを形成する絶縁材料でコーティングされている、
請求項3乃至6いずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記トランスは前記カートリッジの中にカプセル化されている、
請求項2乃至7いずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記カートリッジは開口を備える、
請求項2乃至7いずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記高電圧アセンブリは前記低電圧アセンブリから分離可能である、
請求項1乃至9いずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記低電圧アセンブリは前記トランスを駆動制御するためのドライバを備える、
請求項1乃至10いずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記トランスは圧電トランスである、
請求項1乃至11いずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記高電圧アセンブリは、プロセスガスを供給可能であるガス供給部を備える、
請求項1乃至12いずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、プラズマ生成器、イオン化器、オゾン生成器、及び/又はガス放電構造である、
請求項1乃至13いずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記低電圧アセンブリは2つの出力コンタクトを備え、
前記高電圧アセンブリは2つの入力コンタクトを備え、
前記プラグ接続の差し込みは両方の方向に可能であり、
前記出力コンタクトのそれぞれは前記2つの入力コンタクトのそれぞれに接続可能である、
請求項1乃至14いずれか1項記載の装置。
【請求項16】
請求項1乃至10いずれか1項記載の装置と、さらなる高電圧アセンブリとを備えるアセンブリであって、
前記装置の前記低電圧アセンブリは、前記装置の前記高電圧アセンブリ及び前記さらなる高電圧アセンブリのうちの1つと交換可能に接続されるように構成されている、
請求項1乃至10いずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば非熱的大気圧プラズマなどの、ガス放電を生成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大気圧におけるガス中に放電を点火できる高電圧源への要求は高い。
【0003】
高電圧供給源は、プラズマ点火自体や、プラズマ点火時に発生する化学的プロセスに起因するによる機械的負荷に少なからずさらされている。高電圧供給源は、これらの負荷に対して堅牢でなければならない。
【0004】
高電圧源は、高い無効電力を避けるために、低いインピーダンスを備えるべきである。したがって、かかるシステムに使用されるケーブルは、十分に絶縁されていなければならず、機械的に大きすぎる負荷がかかってはいけない。放電路の接続容量は、ケーブル容量によって大幅に高められる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、ガス放電を生成する改良された装置を提供することにある。この装置は、好ましくは、コンパクトなデザインで、環境の影響やガス放電による負荷に対して堅牢であるべきである。
【発明の概要】
【0006】
この課題は、請求項1記載の装置によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。
【0007】
例えば非熱的大気圧プラズマの、ガス放電を生成する装置であって、低電圧アセンブリと高電圧アセンブリとを備える装置が提案される。低電圧アセンブリは出力コンタクトを備え、低電圧アセンブリは出力コンタクトに低電圧を供給するように構成されている。高電圧アセンブリは入力コンタクトとトランスとを備える。低電圧アセンブリと高電圧アセンブリとはプラグ接続によって互いに接続されており、プラグ接続は、低電圧アセンブリの出力コンタクトと、高電圧アセンブリの入力コンタクトとの間の電気コンタクトを形成し、入力コンタクトを介して、出力コンタクトに供給される低電圧をトランスに印加し、トランスは、低電圧を高電圧に変換するように構成されている。
【0008】
低電圧アセンブリと高電圧アセンブリは、相応に構造的に装置の2つのサブユニットに分離することができる。これにより、高電圧が印加され得る構成要素は、装置の他の構成要素から分離することができる。
【0009】
高電圧アセンブリは、埃や湿気などの環境影響に対して特に優れた保護を提供するように設計され得る。また、高電圧アセンブリは、その中に配置されている構成要素、特にトランスのシールドを提供することもできる。低電圧アセンブリには高電圧が印加されないため、低電圧アセンブリの環境影響に対する保護及び/又はシールドの要件は低い。低電圧アセンブリと高電圧アセンブリを構造的に分離することで、装置全体が環境影響に関する高い要求を満たす必要なく、又は、装置全体をシールドする必要なく、高電圧アセンブリを環境影響から特によく保護するか、高電圧アセンブリをシールドすれば十分な装置を構築することができる。これにより、装置のコンパクトな設計が可能になる。
【0010】
低電圧アセンブリと高電圧アセンブリとは、プラグイン接続によって互いに接続されているので、プラグイン接続を解除することによって、低電圧アセンブリと高電圧アセンブリとを互いに分離することができる。そのため、一方のアセンブリを交換しても、もう一方のアセンブリは継続して使用することができる。特に、ガス放電時にはトランスには負荷がかかり、トランスの寿命が制限されることがある。この装置では、コネクタを解除することで高電圧アセンブリを分離して交換することができるので、最も寿命の短い構造を持つアセンブリ、すなわちトランスと一体化した放電構造を容易に交換することができる。
【0011】
低電圧アセンブリとは、低電圧しか存在しないアセンブリを表すことができる。例えば、1000Vまでの電圧を低電圧と表すことができる。高電圧アセンブリとは、低電圧を高電圧に変換するための構成要素を備えるアセンブリを表すことができる。例えば、高電圧とは、1000V以上の電圧を表すことができる。
【0012】
この装置は、例えば、ハンドヘルドデバイス(Handgeraet)であり得る。ハンドヘルドデバイスは、例えば、医療技術での使用を意図したものであることができる。この装置は、3Dプリント用のモジュールでも、デジタルプリント用のモジュールでも、テキスタイル処理装置用のモジュールであることもできる。
【0013】
低電圧アセンブリは、ハウジングを備え、高電圧アセンブリは、トランスが配置されるとともに入力コンタクトを有するカートリッジを備えることができる。ハウジングとカートリッジとは、プラグ接続によって互いに係合され(verrastet)、又は互いにクランプされ(verklemmt)ることができる。
【0014】
カートリッジは、ハウジングに挿入するのに適した容器であることができる。カートリッジは、カプセル化され、すなわち密封されることができる。あるいは、カートリッジは開口を備えることができる。
【0015】
カートリッジはシンプルで堅牢な構造を備えることができる。カートリッジによって包囲された容積は、ハウジングによって包囲された容積よりも小いことができる。カートリッジは、小さな構造形態によって、高電圧アセンブリ内のケーブル長を短くし、高電圧アセンブリのインピーダンスを大幅に高くならないことを確実にすることができる。このようにして、低い無効電力を備える装置を構築することができる。
【0016】
係合接続として設計されたラグ接続でも、クランプ接続として設計されたプラグ接続でも、接続の誤った分離から保護することができる。係合接続は、力閾値を定義することができ、プラグ接続を分離するためには、力閾値よりも大きな力を加えなければならない。
【0017】
高電圧アセンブリは、トランスで生成される高電圧によって生成される電界に影響を与えるように設計された放電構造を備えることができる。
【0018】
放電構造は、この目的のために導電性の構造を持つことができ、例えば、変圧器によって生成された電界の誘導を変化させるメタライゼーションがある。金属化部は、カートリッジの外側に配置されることができる。放電構造は、トランスに近接するようにカートリッジ上に配置されることができる。これにより、放電構造は、最小限のインピーダンスでトランスに結合することができる。
【0019】
放電構造は、カートリッジの外側に配置された導電性材料製の突出要素を備えることができる。突出要素は、針状又はブレード状であることができる。相応に、先端に向かって先細である(spitz zulaufend sein)ことができ、先端において点状の電界増加を生じさせることができる。これにより、点状のガス放電、例えば点状のプラズマ点火をトリガすることができる。あるいは、突出要素の先端を丸めることもできる。このようにすることにより、突出要素の小さな面積でガス放電、例えばプラズマ点火をトリガすることができる。あるいは、突出要素は、トランスの反対側を向いた端部(dem Transformator wegweisenden Ende)にワイヤを備え、ワイヤはカートリッジの長手方向に垂直に延在している。このような突出要素は、直線に近い構造においてガス放電、例えばプラズマ点火をトリガすることができる。そのため、様々な放電構造が考えられ、その結果、様々な形状のガス放電が発生する。装置の使用目的に応じて、適切な放電構造を選択することができる。
【0020】
別の実施形態では、突出要素はヒゲを備え、ヒゲの少なくともいくつか(einige)は伝導可能材料(leitfaehigen Material )からなり、及び/又は、ヒゲの少なくともいくつかは絶縁材料からなる。伝導可能材料製のヒゲは、点状のガス放電、例えば点状のプラズマ点火を生じさせることができる。この放電構造は、複数の点状のガス放電を同時にトリガすることができる。絶縁材料製のヒゲは、表面を機械的に加工することができ、及び/又は、伝導可能材料製のヒゲが表面に直接接触するのを妨げるスペーサとして機能する。
【0021】
放電構造は、誘電バリアを形成する絶縁材料でコーティングされていてもよい。従って、ガス放電、例えばプラズマ点火は、誘電バリア放電によって引き起こされる可能性があります。
【0022】
トランスをカートリッジにカプセル化することができる。この場合、カートリッジを密封することができる。カプセル化することで、汚れや湿気、腐食から確実に保護することができる。カプセル化することで、トランスの干渉電界に対する(vor stoerenden elektrischen Feldern)シールドを生じさせる。カートリッジにカプセル化することで、たとえば圧電トランスの長手方向のエッジでの不所望なプラズマ点火、又は従来のトランスの高電圧巻線へのフラッシュオーバーを回避できる。
【0023】
カートリッジは、放電構造及び入力コンタクトが、それぞれ環境及び低電圧構造とエネルギーを交換でき、それ以外の場合は高電圧アセンブリが環境から隔離されるように設計することができる。
【0024】
カートリッジは、例えばプラズマ出力開口などの、開口を備えることができる。装置の用途によっては、ガス放電が直接トランスの一端に生成され、開口から出力されることができると、有利であり得る。
【0025】
高電圧アセンブリは、低電圧アセンブリから分離可能であることができる。上述したように、これにより、欠陥のある高電圧アセンブリを交換することができる。さらに、高電圧アセンブリを、別の放電構造を有する別の高電圧アセンブリと交換することも可能である。このようにして、唯一の低電圧アセンブリでさまざまな形態のガス放電を行うことができる。
【0026】
低電圧モジュールは、トランスを駆動制御するためのドライバを備えることができる。
【0027】
トランスは、圧電トランスであることができる。圧電トランスはコンパクトに設計されているため、小型のコンパクトなカートリッジを構成することができる。圧電トランスは、ローゼン型トランスであることができる。
【0028】
高電圧アセンブリは、プロセスガスが供給され得るガス供給部を備えることができる。プロセスガスは、例えば、空気、又は、アルゴンなどの希ガスであることができる。プロセスガスは、ガス供給部を介して、ガス放電、例えばプラズマ点火の位置に近接して導かれることができる。ガス放電中にプロセスガスをイオン化することができる。
【0029】
この装置は、例えば、プラズマ生成器、イオン化器、オゾン生成器、及び/又はガス放電構造であることができる。
【0030】
さらなる態様は、上述のデバイスとさらなる高電圧アセンブリとを含む配列に関するものである。本装置の低電圧アセンブリは、本装置の高電圧アセンブリ及びさらなる高電圧アセンブリに交換可能に接続されるように構成されている。両高電圧アセンブリは、その放電構造が互いに異なる場合がある。したがって、両高電圧アセンブリは、例えば点状や平面状など、異なる形態のガス放電を生じさせるように構成されることができる。あるいは又はさらに、両高電圧アセンブリは、コロナ放電又は誘電バリア放電など、異なる方法でガス放電、例えばプラズマ点火をトリガするように設計することもできる。本装置は、唯一の低電圧アセンブリが、様々な高電圧アセンブリとの組み合わせの可能性によって、ガス放電、例えばプラズマ点火を様々な形態及び様々なタイプで生じさせるように使用されるので、多様に使用可能である。高電圧アセンブリは、互いに異なる複数のカートリッジを備えるセットで設けられることができる。このようなセットは、低電圧アセンブリとまとめて多機能キットとして提供されることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
以下では、好ましい実施形態を図に基づいて説明する。
図1図1は、ガス放電を生成させる装置を模式的に示す図である。
図2図2は、図1に模式的に示した装置の一実施形態を示す図である。
図3図3は、様々な高電圧アセンブリ2をそれぞれ模式的に示す断面図である。
図4図4は、様々な高電圧アセンブリ2をそれぞれ模式的に示す断面図である。
図5図5は、様々な高電圧アセンブリ2をそれぞれ模式的に示す断面図である。
図6図6は、様々な高電圧アセンブリ2をそれぞれ模式的に示す断面図である。
図7図7は、様々な高電圧アセンブリ2をそれぞれ模式的に示す断面図である。
図8図8は、様々な高電圧アセンブリ2をそれぞれ模式的に示す断面図である。
図9図9は、様々な高電圧アセンブリ2をそれぞれ模式的に示す断面図である。
図10図10は、様々な高電圧アセンブリ2をそれぞれ模式的に示す断面図である。
図11図11は、様々な高電圧アセンブリ2をそれぞれ模式的に示す断面図である。
図12図12は、様々な高電圧アセンブリ2をそれぞれ模式的に示す断面図である。
図13図13は、様々な高電圧アセンブリ2をそれぞれ模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、ガス放電を生成する装置を模式的に示したものである。この装置は、低電圧アセンブリ1と高電圧アセンブリ2とを備えている。
【0033】
低電圧アセンブリ1には、低電圧のみが存在する。低電圧アセンブリ1は、ハウジング3を有している。低電圧アセンブリのすべての要素は、ハウジング3内に配置することができる。図1に示す例では、低電圧アセンブリ1は、電源(Netzversorgung)5のための端子4を有している。低電圧アセンブリ1は、端子4を介して電源5に接続されている。電源5のための端子4は、ハウジング3内に形成されている。あるいは、低電圧アセンブリ1は、電圧源として使用される電池(Batterie)又は蓄電池(Akku)を有することもできる。この場合、蓄電池又は電池をハウジング3内に配置することができる。
【0034】
ハウジング3内には、ドライバ6が配置されている。ドライバ(Treiberbaustein)6は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又は、駆動制御回路が形成された回路基板などである。ドライバ6は、高電圧アセンブリ内のトランス7を駆動制御するためのものである。駆動制御には、共振制御(Resonanzregelung)、位相制御(Phasenregelung)、振幅制御(Amplitudenregelung)、電力制御(Leistungsregelung)、パルス幅変調(Pulsweitenmodulation)、パルス動作(Pulsbetrieb)などがある。また、放電点火時に発生する高周波信号成分を介して高電圧側の動作状態をモニタリングすることも可能である。
【0035】
また、低電圧アセンブリ1は、2つの出力コンタクト8a,8bを有している。出力コンタクト8a,8bには低電圧を供給することができる。特に、出力コンタクト8a,8bは、ドライバ6を介して電源5に接続されている。ドライバ6は、電源5から供給される電圧を出力コンタクト8a,8bに伝達することができる。
【0036】
低電圧アセンブリ11のハウジング3には、図1に模式的に示すプラグ接続9が設けられている。プラグ接続9は、低電圧アセンブリ1を高電圧アセンブリ2に機械的に接続することを可能にする。プラグ接続9がクローズされると、低電圧アセンブリ1の出力コンタクト8a,8bと高電圧アセンブリ2の入力コンタクト10a,10bとの間で電気コンタクトがクローズ(geschlossen)される。低電圧アセンブリ1の出力コンタクト8a,8bに供給される電圧は、プラグ接続9がクローズされているときに高電圧アセンブリ2に伝達されることができる。
【0037】
特に、プラグ接続9は、低電圧アセンブリ1と高電圧アセンブリ2とが互いに係合する(verrasten)ように設計されることができる。あるいは、低電圧アセンブリ1と高電圧アセンブリ2とは、プラグ接続9をクローズしたときに、互いにクランプすることができる。プラグ接続9は、プラグ接続9をクローズしたときに、高電圧アセンブリ2が低電圧アセンブリ1のハウジング3に直接当接するように設計されている。
【0038】
図1に示す概略的な実施形態では、低電圧アセンブリ1のハウジング3がプラグ接続9の雌型接続相手を形成し、高電圧アセンブリ2がコネクタ9の雄型接続相手を形成している。代替的な実施形態では、低電圧アセンブリ1がコネクタ9の雄型接続相手を形成することができ、高電圧アセンブリ2がコネクタ9の雌型接続相手を形成することができる。
【0039】
プラグ接続9は、プラグ接続をオープンする(oeffnen)ために力閾値を超えなければならないように設計されている。これにより、プラグ接続9を誤って分離することを防ぐことができる。あるいは又はさらに、プラグ接続9は、接続相手の定義された移動が行われなければならないように設計することができる。プラグ接続9は、例えば、バヨネット接続として設計することができる。この場合、高電圧アセンブリ2を低電圧アセンブリ1に対して相対的に回転させる高電圧アセンブリ2の回転動作に続いて、高電圧アセンブリ2を低電圧アセンブリ1に対して直線的に移動させる引っ張り動作を行った場合にのみ、高電圧アセンブリ2を低電圧アセンブリ1から分離することができる。
【0040】
高電圧アセンブリ2は、既に述べた入力コンタクト10a,10bを有している。さらに、高電圧アセンブリ2は、トランス7を有している。入力コンタクト10a,10bは、トランス7に接続されている。トランス7は、それに印加される低電圧を高電圧に変換するように構成されている。トランス7で生成された高電圧は、ガス放電、例えばプラズマ生成などに利用される。トランス7は、例えば圧電トランスであることができる。
【0041】
高電圧アセンブリは、カートリッジ11を備えることができる。トランス7は、カートリッジ11内に配置されている。カートリッジ11は、入力コンタクト10a,10bを有している。入力コンタクト10a,10bは、カートリッジ11の外側に配置されている。カートリッジ11は、低電圧アセンブリ1に差し込まれるように設計されている。
【0042】
また、カートリッジ11は、放電構造12を有している。圧電トランス7に高電圧が生成されると、放電構造12が発生する電界に影響を与え、このようにして、生成されたガス放電やプラズマ放電の形状が事前に決定される。種々の放電構造12については、図3から図13を参照して後述する。使用される放電構造12に応じて、高電圧アセンブリ2は、誘電バリア放電(dielektrische Barriereentladung)によって、又はコロナ放電によってプラズマを点火するように構成されてもよい。放電構造12は、入力コンタクト10a,10bとは反対側を向いたカートリッジ11の端部に配置されている。
【0043】
プラグ接続9は、高電圧アセンブリ2を低電圧アセンブリ1に、1つの方向でのみ差し込むことができるように設計することができる。あるいは、両方の向きで差し込むことも可能である。したがって、例えば、出力コンタクト8aは、2つの入力コンタクト10a,10bのいずれかに接続されることができる。
【0044】
プラグ接続9により、低電圧アセンブリ1と高電圧アセンブリ2とがしっかりと接続され、定義された力閾値よりも大きい力を加えることによってのみ互いに分離できる、定義された状態を決定することが可能となり、2つのアセンブリ1,2の意図しない分離を回避することができる。また、プラグ接続9は、2つのアセンブリ1、2間の電気的に安全な接続を確立することができる。
【0045】
トランス7は、カートリッジ11内の高電圧アセンブリ2にカプセル化されている。これにより、トランス7は埃や湿気、腐食から保護されている。さらに、カートリッジ11は、高電圧を導く部品、特にトランス7のシールドを形成する。このようにすることにより、不所望な寄生放電を防ぐことができる。
【0046】
高電圧アセンブリ2は、プラグ接続9を解除することで、低電圧アセンブリ1から分離することができる。プラグ接続9の設計に応じて、これには克服すべき力の閾値又は定義された動き、例えば接続された回転と引っ張りの動きが必要である。高電圧アセンブリ2は、低電圧アセンブリ1に接続される他の高電圧アセンブリと交換することができる。他の高電圧アセンブリは、例えば放電構造12によって第1高電圧アセンブリ2と異なることができる。したがって、異なる放電構造12を有する他の高電圧アセンブリ2を低電圧アセンブリ1にそれぞれ接続することにより、異なる種類のガス放電を発生させるために、単一の低電圧アセンブリ1を使用することができる。
【0047】
圧電変圧器7は、機械的に振動する構成要素であり、したがって、例えば弾性的な取り付けよって、環境から切り離されるべきである。これは好ましくは弾性モールディング(Verguss)で解決できる。好ましくは、トランスは放電構造と一体化してモールドされている。トランス7は、交換可能な高電圧アセンブリ2によって、簡単な方法で交換することができる。高電圧アセンブリ2を交換することで、低電圧アセンブリ1を継続して使用することができる。
【0048】
トランス7をカートリッジ11内に配置することで、高電圧アセンブリ1のコンパクトな設計が可能である。シンプルな構造が構築されている。カートリッジ11は、損傷及び、埃、湿気などの外乱影響に対して堅牢である。高電圧アセンブリ2と低電圧アセンブリ1は、それぞれ機能的及び機械的にしっかりと統合されたサブユニットを形成する。
【0049】
カートリッジ11内の高電圧アセンブリ2のコンパクトな設計は、ケーブル長を最小に保つことを可能にする。使用するケーブルが非常に短いため、インピーダンスは最小限に抑えられる。高電圧アセンブリ2のコンパクトな設計はまた、圧電トランス7のすぐ近くに放電構造12を配置することを可能にし、特定の状況下では、高電圧側の接続ケーブルを完全に省くことができる。
【0050】
図2は、図1に模式的に示した装置の第1実施形態を示す。図2に示す実施形態は、ハンドヘルドデバイスである。
【0051】
高電圧アセンブリ2は、カートリッジ11として設計されている。圧電トランス7は、カートリッジ11内に配置されている。カートリッジ11は、図3に示すような放電構造12を有している。カートリッジ11は、低電圧アセンブリ1に挿入される。カートリッジ11の入力コンタクト10a,10bは、低電圧アセンブリ1の出力コンタクト8a,8bに電気的に接続されている。
【0052】
図2に示す実施形態で使用される低電圧アセンブリ1は、ハンドヘルドデバイスである。ハンドヘルドデバイスは、装置を使用する際にユーザがハンドヘルドデバイスを保持することができるハンドル13を有している。ハンドル13は、高電圧アセンブリ2とは反対側に向いた(weg weist)装置の端部に配置されている。ハンドル13には、電圧供給源としてバッテリ又は蓄電池を配置することができる。あるいは、電源に接続するための端子をハンドル13に設けることができる。低電圧アセンブリ1は、図3に示されていない表示部と制御要素をさらに備えている。制御要素は、例えば、ボタンであることができる。あるいは又はさらに、表示部は、ユーザが制御コマンドを入力することができるタッチセンサー式の表示部であることもできる。
【0053】
図3乃至図31では、様々な高電圧アセンブリ2がそれぞれ断面で模式的に示されている。高電圧アセンブリ2は、それぞれの放電構造12において異なる。したがって、図3乃至図13に示す高電圧アセンブリ2のそれぞれは、異なるガス放電、例えば、異なるプラズマ放電をもたらす。図3乃至図13に示す高電圧アセンブリ2のそれぞれは、トランス7として圧電トランス7を備えている。図3乃至図13に示す高電圧アセンブリ2のそれぞれは、プラグ接続9によって低電圧アセンブリ1の出力コンタクトに接続された同一の入力コンタクト10a,10bを有する。したがって、図3乃至図13に示す各高電圧アセンブリ2は、同一の低電圧アセンブリ1に対応している。
【0054】
図3は、第1実施形態による高電圧アセンブリ2の概略図である。入力コンタクト10a,10bと圧電トランス7とは、短い電気配線で接続されている。
【0055】
圧電トランス7は、カートリッジ11にカプセル化されている。したがって、カートリッジ11は気密に閉鎖される。カートリッジ11の外被(Huelle)には、放電構造12が取り付けられている。放電構造12は、外被の外面に施された金属化部14からなる。圧電トランス7は、高電圧を生成する場合、強い電界を生成する。放電構造12の金属化部14は、この電界の経過(Feldverlauf)を変化させる。このようにすることで、装置から生成されるプラズマ雲の性質に影響を与えることができる。
【0056】
図3に示す実施形態では、放電構造12は、圧電トランス7の出力領域及び出力側端面の周りで半円状に延在する。図3に示す放電構造12は、コロナ放電によりプラズマを生成させることでガス放電を生じさせる。コロナ放電は、電界強度が十分に高い場合、電界イオン化の結果として、ガス状又は流体状の媒体中に発生する。
【0057】
図4は、異なる放電構造12を有することで図1に示す高電圧アセンブリ2とは異なる第2の高電圧アセンブリ2を示している。図4に示す放電構造12は、高電圧アセンブリ2の出力端で平坦化された金属化部14を有している。この放電構造12によって、異なるプラズマ雲が生成される。また、図4に示す放電構造12は、コロナ放電によるプラズマ生成も生じさせる。
【0058】
図5図6図7及び図8はそれぞれ、放電構造12がカートリッジ11の外被の金属化部14を構成する高電圧アセンブリ2を示している。放電構造12は、カートリッジ11から突出する要素15をさらに備えている。突出要素15は、例えば金属などの伝導材料を含む。図5に示す構造では、突出要素15は針状になっている。図6に示す放電構造12では、突出要素15がブレード状(klingenfoermig)になっている。図7に示す放電構造12では、突出要素15は、カートリッジ11の長手軸に対して垂直に延在するワイヤ16を備える。図8に示す構造では、突出要素15はブラシ状であり、ヒゲ17を有している。
【0059】
突出素子15は、電界の分布に影響を与える。図5及び図6のように突出要素15が先端に向かって先細であると、突出要素15の先端で強い電界上昇があり、この場所で点状にガスが放電される。図7に示すように突出要素15が細長い場合は、ガスは、突出要素15の全長に沿って放電される。図4乃至図7に示す放電構造12は、それぞれコロナ放電によるプラズマ生成によってでガス放電を生じさせる。
【0060】
なお、図8に示すブラシ状の突出要素15では、ヒゲ17のいくつか(einige)は導電性であり、ヒゲ17のいくつかは非導電性であることができる。また、導電性のヒゲ17は、その先端部で電界上昇を誘発することができ、その結果、先端部において複数の点形状のガス放電、例えばプラズマ点火が生ずることができる。この導電性のヒゲは、コロナ放電によって又は誘電バリア放電によってプラズマを点火するように設計されることができる。非導電性のヒゲ17は、表面を機械的に処理、例えば洗浄するために使用することができる。
【0061】
図9は、高電圧アセンブリ2の他の実施形態を示している。図9に示す実施形態は、図5に示す実施形態に基づき、高電圧アセンブリ2にもプロセスガスのための供給部18が設けられている。これにより、プロセスガスは、ガス放電、例えばプラズマ点火の領域に導かれる。プロセスガスはガス放電によってイオン化される。プロセスガスは、例えば、空気又は、アルゴンなどの希ガスであることができる。図9に示すプロセスガス供給部18は、図3乃至図13に示される高電圧アセンブリ2のいずれにも設けられることができる。
【0062】
図10図11及び図12はそれぞれ、誘電バリア放電によるプラズマ点火によってガス放電を生成するように構成された高電圧アセンブリ2を示している。誘電バリア放電は、交流電圧ガス放電であることができ、誘電体を使用したガルバニック絶縁(galvanische Trennung)によって、電極の少なくとも1つがガス空間から絶縁されている。
【0063】
図10及び図11では、放電構造12の金属化部4は、さらに誘電層19によってコーティングされている。プラズマは誘電バリア放電によって点火される。図12に示す実施形態では、誘電層19でコーティングされた対向電極20が追加で設けられている。
【0064】
図13は、高電圧アセンブリ2のさらなる実施形態を示している。図13に示す実施形態では、圧電トランス7は、カートリッジ11に完全にはカプセル化されていない。むしろ、カートリッジ11は開口を備える。圧電トランス7は、部分的に絶縁体21に囲まれているが、この絶縁体21は、トランス7の出力側端面22を覆っていない。図13に示すトランス7は、コロナ放電によりプラズマを発生させるように設計されている。プラズマは、トランス7の出力側端面22で点火される。
【符号の説明】
【0065】
1 低電圧アセンブリ(Niederspannungsbaugruppe)
2 高電圧アセンブリ(Hochspannungsbaugruppe)
3 ハウジング(Gehaeuse)
4 電源端子(Anschluss fuer eine Netzversorgung)
5 電源(Netzversorgung)
6 ドライバ(Treiberbaustein)
7 トランス(Transformator)
8a 出力コンタクト(Ausgangskontakt)
8b 出力コンタクト(Ausgangskontakt)
9 プラグ接続(Steckverbindung)
10a 入力コンタクト(Eingangskontakt)
10b 入力コンタクト(Eingangskontakt)
11 カートリッジ(Kartusche)
12 放電構造(Entladungsstruktur)
13 ハンドル(Griff)
14 金属化部(Metallisierung)
15 突出要素(vorstehendes Element)
16 ワイヤ(Draht)
17 ヒゲ(Borste)
18 プロセスガス供給部(Zufuehrung fuer ein Prozessgas)
19 誘電層(dielektrische Schicht)
20 対向電極(Gegenelektrode)
21 絶縁体(Isolator)
22 出力端面(ausgangsseitige Stirnseite)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
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【国際調査報告】