(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】延長可能な延長チューブを備えたカテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513519
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 US2020046225
(87)【国際公開番号】W WO2021041048
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジテンドラ クマル
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267AA12
4C267AA32
4C267BB04
4C267BB11
4C267CC08
4C267GG02
4C267GG36
4C267HH08
(57)【要約】
カテーテルシステムは、遠位端、近位端、およびそれらの間に延びる管腔を有するカテーテルアダプタを含み得る。システムは、カテーテルアダプタから遠位に延びるカテーテルチューブを含み得る。システムは、カテーテルアダプタの近位端に結合された延長チューブを含み得る。延長チューブは延長可能であり得る。システムは、延長チューブに結合され、カテーテルアダプタの近位端に取り外し可能に結合されたロック機構を含み得る。システムは、延長チューブの近位端に取り外し可能に結合された針ハブと、カテーテルチューブを通って延びる導入針とを含み得る。導入針の近位端は、針ハブ内に固定され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルシステムであって、
遠位端、近位端、および、その間に延びる管腔を有するカテーテルアダプタと、
前記カテーテルアダプタから遠位に伸びるカテーテルチューブと、
前記カテーテルアダプタの前記近位端に結合された延長チューブであって、前記延長チューブが延長可能である、延長チューブと、
前記延長チューブに結合され、前記カテーテルアダプタの前記近位端に取り外し可能に結合されたロック機構と、
前記カテーテルアダプタの前記近位端に取り外し可能に結合された針ハブと、および
前記カテーテルチューブを通って伸びる導入針であって、前記導入針の近位端が前記針ハブ内に固定されている、導入針と、
を備えるカテーテルシステム。
【請求項2】
前記延長チューブが、延長されたときに可撓性を有するように、波状である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記延長チューブは、弾力性を有し、湾曲しても形状を保持する、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記ロック機構が、前記カテーテルアダプタ上に配置されたフランジと係合する前記ロック機構の遠位端に配置されたリップを有するレバーを備え、前記レバーの近位端の落ち込みに応答して、前記リップが前記カテーテルアダプタの前記フランジから離脱する、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記延長チューブは、前記ロック機構が係合されたときに圧縮され、前記ロック機構が解除されたときに延長可能である、請求項4に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
前記導入針は、前記延長チューブが圧縮されたとき、延長されたとき、または延長チューブが延長されている間、前記延長チューブを通して引き抜き可能である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
セプタムをさらに含み、前記セプタムが前記延長チューブの近位端内に配置されている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記延長チューブの前記近位端に結合されたルアーコネクタをさらに含む、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
フラッシュチャンバーが、前記針ハブ内に配置され、前記針ハブの近位端から近位方向に延びる、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記針ハブは、パドルグリップをさらに備える、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
カテーテルシステムであって、
遠位端、近位端、およびその間に延びる管腔を有するカテーテルアダプタと、
前記カテーテルアダプタから遠位に伸びるカテーテルチューブと、
前記カテーテルアダプタの前記近位端に結合された延長チューブであって、前記延長チューブが波状であり、前記延長チューブが延長可能である、延長チューブと、
前記カテーテルアダプタの近位端に取り外し可能に結合された針ハブであって、 前記針ハブがパドルグリップを含む、針ハブと、
針ハブの近位端内に配置されたフラッシュチャンバーであって、患者の静脈への前記カテーテルチューブの挿入に応答して、血液が前記フラッシュチャンバーに流入する、フラッシュチャンバーと、および
前記カテーテルチューブを貫通して延びる導入針であって、前記導入針の近位端が前記針ハブ内に固定されている、導入針と、
を備えるカテーテルシステム。
【請求項12】
前記カテーテルアダプタは、前記カテーテルアダプタから外側に延びる少なくとも1つの翼をさらに備える、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの翼が上面および下面を備え、前記上面がグリップを構成し、前記下面が凹部を構成し、導入針の先端が前記カテーテルチューブ内に引き出されたときに、前記凹部が前記パドルグリップの上面のグリップと結合する、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項14】
前記フラッシュチャンバーが通気孔を備える、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
前記フラッシュチャンバーが約2mlから約3mlの間の容量を有する、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項16】
前記フラッシュチャンバーが透明である、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項17】
前記延長チューブに結合されたロック機構をさらに備え、前記延長チューブは、前記ロック機構が係合されたときに圧縮され、前記ロック機構が係合解除されたときに延長可能である、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項18】
カテーテルシステムであって、
遠位端、近位端、および、その間に延びる管腔を有するカテーテルアダプタと、
前記カテーテルアダプタから遠位に伸びるカテーテルチューブと、
前記カテーテルアダプタの前記近位端に結合された延長チューブであって、前記延長チューブが延長可能である、延長チューブと、
前記延長チューブに結合され、かつ、前記カテーテルアダプタの前記近位端に取り外し可能に結合されたロック機構と、
前記カテーテルアダプタの前記近位端に取り外し可能に結合された針ハブであって、前記針ハブがパドルグリップを含んでいる、針ハブと、および
前記カテーテルチューブを通って延びる導入針であって、前記導入針の近位端が針ハブ内に固定されている、導入針と、および
フラッシュチャンバーであって、患者の静脈への前記カテーテルチューブの挿入に応答して、血液が前記フラッシュチャンバーに流入し、前記フラッシュチャンバーが透明である、フラッシュチャンバーと、
を備えるカテーテルシステム。
【請求項19】
延長されたときに、前記延長チューブがねじれに抵抗し、圧縮可能かつ可撓性であるように、前記延長チューブが波形である、請求項18に記載のカテーテルシステム。
【請求項20】
前記ロック機構が、前記カテーテルアダプタ上に配置されたフランジと係合する遠位端に配置されたリップを有するレバーを備え、前記レバーの近位端の落ち込みに応答して、前記リップが前記カテーテルアダプタの前記フランジから係合解除する、請求項18に記載のカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一般的な医療処置である輸液療法は、血管アクセスデバイスによって容易にされ得る。例えば、入院、在宅医療、およびその他の患者は、血管系に挿入された血管アクセスデバイスを介して、流体、医薬品、および血液製剤を受け取る。採血は、血管アクセスデバイスによって促進され得る別の一般的な医療手順である。
【0002】
血管アクセスデバイスは、患者の末梢または中枢血管系にアクセスし得る。血管アクセスデバイスは、短期(日)、中期(数週間)、または長期(数ヶ月から数年)の間、留置され得る。血管アクセスデバイスは、持続注入療法または間欠療法に使用され得る。
【0003】
一般的なタイプの血管アクセスデバイスは、オーバーザニードル末梢静脈カテーテル(PIVC)である。その名前が示すように、「オーバーザニードル」PIVCは、鋭い遠位先端を有する導入針の上に取り付け得る。鋭利な遠位先端は、患者の皮膚および血管系を刺し通すのに使用され得る。血管系へのPIVCの挿入は、針による血管系の穿刺に続き得る。針およびPIVCは、一般的に、針の斜面が患者の皮膚の反対側を向くように、患者の皮膚を通って血管系に浅い角度で挿入される。
【0004】
血管系内へのPIVCの配置は、採血と輸液に不可欠だが、維持するのが難しい場合がある。患者は、しばしば、PIVCが挿入されている間、通常の範囲の体の動きを望んでいる、または必要としている。また、外部の物体がPIVCに外力を加え、それによって血管系内のPIVCの位置をシフトする場合がある。いくつかの例では、外力により、PIVCの先端が前後に動的に移動したり、血管系内の位置から先端が静的に移動したりすることがある。
【0005】
PIVCアセンブリは、延長セットと結合してもよく、これは、PIVCの挿入部位から除去された位置での注入または採血デバイスの結合を可能にし得る。延長セットは、挿入部位を乱したり、カテーテルを患者の血管系から外したりするリスクを減らすことができるが、延長セットは、カテーテルシステム内の気泡を除去するために延長チューブを液体で満たす必要があるプライミングプロトコルを必要とする。プライミング手順は、臨床医にとって時間がかかる。さらに、長い延長チューブを有するカテーテルは、引っ掛かり、誤ってカテーテルを外す可能性があり、または患者にとってかさばり、不快に感じる可能性があるより多くの固定具を必要とする。最後に、延長チューブを備えたカテーテルは、ねじれを最小限に抑えるために適切な固定具のためにチューブをループさせるためにより長い長さを必要とする。したがって、延長可能な延長チューブを備えたカテーテルシステムは、注入療法を必要とする臨床医および患者にとって有益であろう。
【0006】
本明細書で請求される主題は、任意の欠点を解決する実施形態や、上記のような環境でのみ動作する実施形態に限定されるものではない。むしろ、この背景技術は、本明細書で説明されるいくつかの実施例を実行し得る技術領域の一例を示すために提供されるにすぎない。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、カテーテル挿入の成功を容易にし、プライミングを排除または大幅に低減し、また、より長い留置時間のためのカテーテル固定に関連する患者の快適さを改善するように構成されたカテーテルシステムに関する。さらに詳細には、カテーテルシステムは、患者の静脈へのカテーテルチューブの挿入に関連し得る合併症を軽減し、および/またはカテーテルの留置時間および延長チューブのループを改善し得る。カテーテルシステムはまた、臨床医がPIVCのセットアップを促進するために、プライミングに関連する時間を排除または大幅に短縮することができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、カテーテルシステムは、遠位端、近位端、及び、それらの間に延びる管腔を有するカテーテルアダプタを含み得る。カテーテルシステムは、カテーテルアダプタから遠位に延びるカテーテルチューブを含み得る。カテーテルシステムは、カテーテルアダプタの近位端に結合された延長チューブを含み得る。いくつかの実施形態では、延長チューブは延長可能であり得る。いくつかの実施形態では、カテーテルシステムは、延長チューブに結合され、カテーテルアダプタの近位端に取り外し可能に結合されたロック機構を含み得る。このシステムは、延長チューブの近位端に取り外し可能に結合された針ハブと、カテーテルチューブを通って延びる導入針とを含み得る。いくつかの実施形態において、導入針の近位端は、針ハブ内に固定されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、延長チューブは波形にされ得る。延長チューブは、延長されたときに柔軟であり得、その結果、延長チューブは、注入療法によって必要とされるように様々な方向に曲がることができる。さらに、延長チューブは弾力性があり、湾曲したときに形状を保持し、ねじれに抵抗することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、ロック機構は、カテーテルアダプタに配置されたフランジと係合する、ロック機構の遠位端に配置されたリップを有するレバーを含む。例えば、レバーの近位端の押し下げに応答して、リップがカテーテルアダプタのフランジから外れる可能性がある。いくつかの実施形態では、延長チューブは、ロック機構が係合しているときに圧縮され得、ロック機構が解放されているときに延長可能である。導入針は、延長チューブが圧縮、延長されているとき、または延長チューブが延長されている間に、延長チューブを通して引き抜くことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、カテーテルシステムは、セプタムを含み得る。セプタムは、延長チューブの近位端内に配置することができる。他の実施形態では、カテーテルシステムは、延長チューブの近位端に結合されたルアーコネクタを含み得る。フラッシュチャンバーは、針ハブの近位端内に配置し得る。患者の静脈へのカテーテルチューブの挿入に応答して、血液がフラッシュチャンバーに流れ込み得る。フラッシュチャンバーは、通気孔を含み得る。いくつかの実施形態では、フラッシュチャンバーは、針ハブの近位端から近位方向に延び得る。フラッシュチャンバーは、約2mlから約3mlの間の容量を有し得る。いくつかの実施形態では、フラッシュチャンバーは透明であり得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、針ハブは、パドルグリップを含み得る。さらに、カテーテルアダプタは、カテーテルアダプタから外向きに延びる少なくとも1つの翼を含み得る。少なくとも1つの翼は、上面および下面を含み得る。いくつかの実施形態では、翼の上面はグリップを含み、翼の下面は凹部を含む。導入針の先端がカテーテルチューブ内で引き抜かれるとき、凹部はパドルグリップの上面のグリップと結合し得る。
【0013】
上述の概略的な説明と、以下の詳細な説明は共に例示であり、説明のためのものであり、特許請求された本開示の実施形態を制限するものではないことが理解される。本開示の様々な実施形態は、図面に示される配置および手段に限定されないことを理解されたい。また、実施形態は、組み合わされてよいこと、又は、他の実施形態が用いられてよいこと、及び、そのように特許請求されていない限り、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく構造変更がなされてよいことが理解されるべきである。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、さらに具体的かつ詳細に記載及び説明される。
【
図1A】
図1Aは、いくつかの実施形態による、例示的なカテーテルシステムの上方斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、いくつかの実施形態による、延長された延長チューブを示す、例示的なカテーテルシステム10の斜視上面図である。
【
図2A】
図2Aは、いくつかの実施形態による、例示的なカテーテルシステムの正面斜視図である。
【
図2C】
図2Cは、延長された延長チューブを備えた
図2Aのカテーテルシステムの斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、針ハブがカテーテルアダプタから部分的に分離された、
図2Aのカテーテルシステムの斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、いくつかの実施形態による、例示的なカテーテルアダプタおよび延長チューブが圧縮された延長チューブの斜視図である。
【
図3D】
図3Dは、延長チューブが伸ばされて曲げられた、
図3Bのカテーテルアダプタの斜視図である。
【
図3E】
図3Eは、延長チューブが伸ばされて曲げられた、
図3Bのカテーテルアダプタの斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、いくつかの実施形態による、例示的なパドルグリップの上面斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、いくつかの実施形態による、例示的なカテーテルアダプタから延びる例示的なカテーテル翼の斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、いくつかの実施形態による、例示的なカテーテルチューブ内の挿入位置にある例示的な針の断面図である。
【
図5B】
図5Bは、いくつかの実施形態による、例示的なカテーテルチューブ内の中間位置にある例示的な針の断面図である。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による、例示的な収集容器に結合された例示的な針ハブの斜視図である。
【0015】
これらの図は、本開示の概念を説明するためのものであり、原寸に比例して描かれていない場合があることを理解されたい。さらに、図は例示的な実施形態を示しており、本開示の範囲に対する制限を表すものではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願の例示的な実施形態は、図を参照することによって最もよく理解され、図全体を通して、同様の部品は同様の数字によって指定される。本願の図に一般的に説明および図示されている本開示の構成要素は、多種多様な異なる構成で配置および設計できることは容易に理解されよう。したがって、図に示されるような装置およびシステムの実施形態の以下のより詳細な説明は、本出願または本出願に優先権を主張する他の出願で主張されるように、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、本開示の例示的な実施形態の単なる代表である。
【0017】
本開示は、一般に、カテーテル挿入の成功を容易にし、プライミングを排除または大幅に低減し、より長い留置時間のためのカテーテル固定に関連する患者の快適さを改善するように構成されたカテーテルシステムに関する。ここで
図1Aを参照すると、患者の静脈(
図1Aには示されていない)に挿入する準備ができている例示的なカテーテルシステム10が示されている。いくつかの実施形態では、カテーテルシステム10は、カテーテルアダプタ12およびカテーテルチューブ14を含み得る。カテーテルアダプタ12は、遠位端、近位端、およびそれらの間に延びる管腔を含み得る。カテーテルチューブ14は、カテーテルアダプタ12から遠位に延びることができる。
【0018】
カテーテルシステム10は、針ハブ16を含み得る。カテーテルアダプタの近位端は、針ハブ16に取り外し可能に結合し得る。カテーテルシステム10は、導入針18を含み得る。いくつかの実施形態では、導入針18は、カテーテルチューブ14を通って延びることができ、導入針18の近位端は、針ハブ16内に固定され得る。
【0019】
フラッシュチャンバー20は、針ハブ16の近位端内に配置され、近位方向に延び得る。いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー20は、カテーテルが患者の静脈に適切に挿入されたことを臨床医が確認することができるように、透明であり得る。いくつかの実施形態では、針ハブ16は、針ハブの取り扱いを助けるためにパドルグリップ22をさらに含む。パドルグリップ22は、針ハブ16から外向きに、そして遠位方向に延び得る。
【0020】
ここで
図1Bを参照すると、カテーテルシステム10は、カテーテルアダプタ12の近位端に結合された延長チューブ24を含み得る。延長チューブ24は、延長可能であり得、そして波形であり得る。延長可能および/または波形の延長チューブ24は、カテーテルシステム10内に気泡が形成されるのを防ぐために外部流体が必要とされないように、内部流体量を減少させることによって、カテーテルシステム10のプライミングの必要性を低減または排除し得る。
【0021】
ここで
図2A~2Cを参照すると、いくつかの実施形態では、カテーテルシステム10は、延長チューブに結合され、カテーテルアダプタ12の近位端に取り外し可能に結合されたロック機構26を含み得る。ロック機構26は、カテーテルシステム10の上面に配置され得る。ロック機構は、把持するための隆起を含み得、また、ロック機構26を操作するために圧力を加えるための適切な位置の表示を提供し得る。ロック機構26は、延長チューブ24を圧縮状態に維持するために係合され、延長チューブ24が延長されるために解放され得る。例えば、延長チューブ24は、レバーを含み得る。レバーの一端を押し下げて、ロック機構26を外すことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、ロック機構26は、ロック機構26として機能するためにレバーの遠位端に配置されたリップを含み得る。カテーテルアダプタ12は、上方に延びるフランジを含み得る。フランジは、ロック機構がカテーテルアダプタ12上に配置されたフランジと係合することができるように、カテーテルアダプタ12から延びる平らで剛性のあるプラスチックを含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、ロック機構レバーの近位端に圧力を加えて、リップを持ち上げ、リップをフランジから外すことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ12の近位端の少なくとも一部、フラッシュチャンバー20、および延長チューブ24は、針ハブ16内の少なくとも一部内に入れ子になり得る。カテーテルアダプタ12および延長チューブ24は、患者にカテーテルアダプタ12を使用する前、および/または、延長チューブ24を拡張する前に、針ハブ16内に収容され得る。カテーテルシステム10のコンパクトな設計は、ユーザが片手でカテーテルチューブ14を静脈に挿入することを可能にし得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ12の近位端は、針ハブ16の遠位端にスライド可能に結合されている。延長チューブ24は、延長チューブ24が圧縮されている間、針ハブ16内に完全に収容され得る。いくつかの実施形態では、ロック機構は、延長チューブ24を延長および圧縮するため、および/またはカテーテルアダプタ12および延長チューブ24を針ハブ16から分離するためのプッシュプルスライダー(push-pull slider)であるように構成され得る。例えば、ユーザは、ロック機構26の遠位に力を加えて延長チューブ24およびカテーテルアダプタ12を針ハブ16からスライドさせることによって、カテーテルアダプタ12を針ハブ16から取り外し得る。
【0025】
ロック機構26は、延長チューブ24の近位端に結合され得る。したがって、針ハブが延長チューブ24から分離されるとき、ロック機構26は、延長チューブの遠位端に結合されたままである。針ハブは、ロック機構26が遠位にスライドして取り外され、ロック機構26がユーザにアクセス可能であるように、切り出された針ハブの上面上の部分を含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、フラッシュチャンバー20は、通気孔28を含み得る。通気孔28は、ガスに対して透過性であり、流体に対して不透過性であり得る。通気孔は、血液または他の流体がチャンバーに入るときにフラッシュチャンバー20からガスを除去するように構成され得る。いくつかの実施形態では、フラッシュチャンバー20は、針ハブの近位端内に配置され得る。患者の静脈へのカテーテルチューブ14の挿入に応答して、血液がフラッシュチャンバー20に流れ込み、静脈内に導入針18および/またはカテーテルチューブ14がうまく配置されたことを示す。いくつかの実施形態では、フラッシュチャンバーの少なくとも一部は、針ハブ16の近位端から延び、透明であり得る。フラッシュチャンバー20は、患者の静脈への挿入が成功したことのフラッシュバック表示を提供するために透明であり得る。
【0027】
ここで
図2D~2Eを参照すると、カテーテルシステム10は、セプタム30を含み得る。セプタム30は、延長チューブ24の近位端内に配置することができる。いくつかの実施形態では、セプタムは、延長チューブ24に結合されたセプタムホルダー32内に配置され得る。ロック機構26は、セプタムホルダー32に結合して、ロック機構26を延長チューブに固定し得る。いくつかの実施形態では、セプタムは、2ピースセプタム、3ピースセプタム、または任意の適切なセプタムであり得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、導入針18は、セプタム30を貫通して、カテーテルチューブ14を通って延び得る。さらに、注入装置をセプタム30に結合して、患者に流体を投与し得る。いくつかの実施形態では、ルアーコネクタ(図示せず)を、延長チューブ24の近位端に結合し得る。延長チューブ24は、レーザー溶接によって、カテーテルアダプタ、および/または、セプタムホルダー32、または、ルアーコネクタに結合され得る。延長チューブ24は、接着剤によってカテーテルアダプタ12、および/または、セプタムホルダー32に結合され得る。
【0029】
ここで
図3A~3Eを参照すると、延長チューブ24は波形にされ得る。波形延長チューブは、延長可能および/または圧縮可能であり得、延長チューブ24は、延長されたときに可撓性であり得る。可撓性の延長チューブは、患者の快適さを改善し、長い留置時間のために必要な固定が少なくなり得る。いくつかの実施形態では、導入針は、延長チューブが圧縮、延長されているとき、または延長チューブが延長されている間に、延長チューブを通して引き抜き得る。
【0030】
患者は血圧が低く、補助なしでは血液がカテーテルアダプタ12に流れ込まない可能性があるため、血液の採取をより困難にする可能性がある。臨床医は、導入針18を引き抜く間に延長チューブ24を拡張して、真空効果が静脈から血液を引き込むように、カテーテルシステム10、および/または、延長チューブ24内に負圧を作り出し得る。血液を引き出すために延長チューブ24の拡張は必要ではなく、導入針18は、延長チューブ24を拡張せずに引き抜き得る。
【0031】
導入針18は、ロック機構26が係合、および/または、係合解除されている間に引き抜き得る。導入針18が引き抜かれた後、カテーテルアダプタ12、および/または、延長チューブ24は、他のデバイスを接続し、サンプリングし、および/または、セプタム30を消毒するために延長チューブの遠位端にアクセスできるように固定され得る。カテーテルアダプタ12を患者の皮膚に固定する前に、または、カテーテルアダプタを取り外す前に、延長チューブを圧縮し、ロック機構26を係合させることができる。
【0032】
延長チューブ24は、弾力性があり、湾曲したときに形状を保持し得る。一例として、延長チューブ24は、延長チューブがL字形、U字形、V字形、または他の方法で方向を変えるように延長し得、および、曲げ得る。延長チューブ24は、曲がった形状を保持するように構成し得る。曲がった形状は、カテーテルシステム10が一定期間留置されるので、患者の快適さを改善し得る。いくつかの用途では、延長チューブ24を曲げて、IV流体および/または医療機器などの流体源へのより安全かつ/または便利な結合を提供することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、延長チューブ24は、以前とは異なる形状から再配置され得る。延長チューブ24は、曲げられた構成で配置された後に圧縮され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルチューブ14、および/または、延長チューブ24の開存性は、延長チューブを延長または圧縮することによって評価され得る。延長チューブを拡張または圧縮すると、流体がカテーテルチューブから流れ込む。臨床医は、閉塞の存在を判断するために、延長チューブを拡張または収縮するために必要な力を使用する場合がある。いくつかの実施形態では、延長チューブは、ねじれに抵抗するように構成され得る。延長チューブ24の波形は、曲がった形状に屈曲し、および/または延長チューブの向きを変えながら、ねじれることなく曲げることができる。延長チューブ24が圧縮された後、ロック機構26は再び係合され得る。いくつかの実施形態では、延長チューブ24の圧縮および/または延長チューブの方向転換は、留置のためにカテーテルアダプタ12またはカテーテルシステム10を固定するために、より少ないテープおよび/または固定材料を使用することによって、患者の快適さに利益をもたらし得る。
【0034】
ここで
図4A~4Bを参照すると、針ハブ16は、パドルグリップの上面に隆起したフィーチャー(feature)34を含み得るパドルグリップ22を含み得る。隆起したフィーチャー34は、グリップを強化するためのバンプ(bump)、および/または、ナブ(nub)を含み得る。隆起したフィーチャーは、パドルグリップ22を把持することでユーザを支援する1つまたは複数のリッジ(ridge)、および/または、他のグリップフィーチャーを含み得る。いくつかの実施形態では、隆起したフィーチャー34は、パドルグリップ22の他のグリップフィーチャーを超えて上方に延び得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ12は、カテーテルアダプタから外向きに延びる少なくとも1つの翼26を含む。翼はカテーテルアダプタを安定させ、カテーテルの挿入を簡素化し得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ12は、カテーテルアダプタから延びる2つの翼を含む。翼は可撓性の材料で構成され得る。カテーテルアダプタ12が針ハブ16に結合、および/または、入れ子にされている場合、カテーテルアダプタの少なくとも1つの翼26は、パドルグリップ22の上に配置され、および/または、接触することができる。いくつかの実施形態では、パドルグリップ22は、カテーテルアダプタ12の翼26を超えて遠位方向に延び得る。
【0036】
カテーテルアダプタ12の翼26は、上面および下面を含み得る。翼の上面は、グリップフィーチャー38を含み得る。いくつかの実施形態では、グリップフィーチャー38は、カテーテルシステム10を患者に投与するときに、ユーザがカテーテルアダプタ12を制御することを可能にし得る。グリップフィーチャー38は、リッジおよび/またはナブを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ12の翼26の下面は、凹部40を含み得る。
【0037】
ここで
図5A~5Bを参照すると、導入針の先端がカテーテルチューブ内で引き抜かれるときに、凹部40は、パドルグリップ22上の隆起したフィーチャー34に結合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、隆起したフィーチャー34と凹部40との結合は、導入針18の先端がカテーテルチューブ14に引き込まれたことをユーザに触覚的に示す。触覚表示は、導入針18の先端によって静脈に損傷を与えることなく、カテーテルチューブ14を安全に再配置および/または患者の静脈にさらに挿入することができるという表示をユーザに提供し得る。カテーテルチューブ14が所望の留置位置に配置された後、パドルグリップ22上の隆起したフィーチャー34および凹部40を切り離し得、導入針18をカテーテルアダプタ12から完全に引き抜かれ得る。
【0038】
ここで
図6を参照すると、針ハブ16はフラッシュチャンバー20を含み得、ここで、カテーテルチューブ14の患者の静脈への挿入に応答して、血液がフラッシュチャンバー20に流れ込む。いくつかの実施形態では、フラッシュチャンバー20は、カテーテルチューブ14が静脈内に配置されていることをユーザに示すために透明であり得る。フラッシュチャンバー20は、静脈内のカテーテルチューブ14の適切な配置を確認し得る。いくつかの実施形態では、フラッシュチャンバーは、血液がカテーテルチューブ14およびフラッシュチャンバー20に流入するときにフラッシュチャンバー20、および/または、カテーテルシステム10内で置換されるときに空気を除去するための通気孔28を含み得る。通気孔は、空気を濾過する膜を含み得、流体に対して不浸透性であり得る。
【0039】
フラッシュチャンバーは、血液サンプルを提供するのに十分な容量を持ち得る。いくつかの実施形態では、フラッシュチャンバー20内の血液および/または流体をサンプルとして使用し得る。フラッシュチャンバー20は、約2mlから約3mlの間の容量を有し得る。カテーテルシステム10がプライミング流体でプライミングされていないため、フラッシュチャンバー20内の血液をサンプリングすることができ、これはサンプルを減少させ得る。サンプルのためにフラッシュチャンバー内の血液を使用する場合、臨床医は、カテーテルチューブ14を静脈内に配置した後、患者を再び刺す必要はないであろう。さらに、サンプルは、他の採血アクセサリを使用せずに取得され得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、導入針18を介して排出され得る。例えば、サンプルチューブ42をフラッシュチャンバー20に結合して血液をサンプリングすることができ、導入針18をサンプルチューブ42に配置することができ、サンプルチューブ内の真空がフラッシュチャンバーからサンプルチューブに血液、および/または、流体を引き出すことができる。このサンプリング方法は、カテーテルの留置および/または採血がより困難な小児科および/または新生児のケアに特に役立ち得る。
【0040】
本明細書全体を通して「実施形態(an embodiment)」または「その実施形態(the embodiment)」への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の機能、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体で引用される引用句またはその変形は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。本開示の実施形態のいずれか、または本開示の実施形態のいずれかの任意の部分は、任意の数の異なる方法で一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0041】
同様に、実施形態の上記の説明では、開示を合理化する目的で、様々な特徴が単一の実施形態、図、またはその説明に一緒にグループ化される場合があることを理解されたい。しかしながら、この開示形式は、いかなる請求項もその請求項に明示的に列挙されたものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が示すように、発明の態様は、上述した単一の開示された実施形態のすべてより少ない特徴の組み合わせにある。したがって、この実施形態の説明に続く請求項は、これにより、この実施形態の説明に明示的に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態としてそれ自体で成り立つ。本開示には、独立請求項とその従属請求項のすべての順列が含まれる。
【0042】
特徴または要素に関する用語「第1」の請求項の列挙は、第2または追加のそのような特徴または要素の存在を必ずしも意味しない。ミーンズプラスファンクション形式で記載された要素は、米国特許法第112条第6項に従って解釈されることを意図している。本明細書に記載される基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施形態の詳細に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0043】
「接続される(connected to)」、「結合される(coupled to)」、「係合する(engaged with)」および「通信する(in communication with)」という語句は、機械的、電気的、磁気的、電磁気的、流体的、および熱的相互作用を含む、2つまたはそれ以上の実体間の任意の形態の相互作用を指している。2つの構成要素は、互いに直接接触していなくても、機能的に互いに結合され得る。「隣接する」という用語は、互いに直接物理的に接触している物を指すが、物は必ずしも一緒に取り付けられるものとは限らない。「流体連通(fluid communication)」という語句は、一方の機構内の流体が他方の機構に流れ込むことができるように接続されている2つの機構を指す。
【0044】
本明細書で定義されるように、「実質的に等しい(substantially equal to)」は、「等しい(equal to)」、または互いに約+または-10%の相対分散内にあることを意味する。
【0045】
用語「例示的な(exemplary)」は、本明細書では「例、実例、または例示として機能を果たす(serving as an example, instance, or illustration)」ことを意味するように使用される。「例示的な」として本明細書で説明されるいずれの実施形態も、他の実施形態に対して必ずしも好ましいまたは有利なものとして解釈されるわけではない。実施形態の様々な態様が図に提示されているが、特に示されていない限り、図は必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではない。
【0046】
本開示の特定の実施形態および用途を例示し説明してきたが、添付の特許請求の範囲は、本明細書に開示された正確な構成および構成要素に限定されないことを理解されたい。本明細書に開示された装置およびシステムの構成、動作、および詳細において、当業者には明らかであろう様々な修正、変更、および変形を行うことができる。
【0047】
本明細書で記載されるすべての例及び条件付き文言は、本発明、および技術を促進するために発明者によって提供される概念を理解することの助けとなるような教育的目的を意図しており、その具体的に列挙されている例及び条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本発明の実施形態について詳細に記載されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなくさまざまな変更、置換、および改変をなし得ることを理解されたい。
【国際調査報告】