(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】複数種薬物送達の系及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20221027BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20221027BHJP
A61K 31/565 20060101ALI20221027BHJP
A61K 31/567 20060101ALI20221027BHJP
A61P 5/30 20060101ALI20221027BHJP
A61P 5/02 20060101ALI20221027BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221027BHJP
A61P 5/24 20060101ALI20221027BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20221027BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20221027BHJP
A61K 9/52 20060101ALI20221027BHJP
A61K 9/64 20060101ALI20221027BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20221027BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20221027BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/513
A61K31/565
A61K31/567
A61P5/30
A61P5/02
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61P5/24
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/52
A61K9/64
A61K47/42
A61K47/32
A61P15/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513623
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 US2020048107
(87)【国際公開番号】W WO2021041608
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チウ,イーホン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,デーリャン
(72)【発明者】
【氏名】シェブリー,モハマド
(72)【発明者】
【氏名】ン,ジューキ・ウィング-ケウン
(72)【発明者】
【氏名】モハメド,アーメド
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジアン-フア
(72)【発明者】
【氏名】メッツガー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ラグルズ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ズー,ホイ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,シー
(72)【発明者】
【氏名】ゴン,ユチュワン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,イーシェン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン,ジアン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ミン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA67
4C076BB01
4C076CC17
4C076CC30
4C076EE16M
4C076EE42M
4C076FF31
4C084AA24
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA10
4C084NA14
4C084ZC411
4C084ZC412
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086DA09
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA10
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZC03
4C086ZC11
4C086ZC75
(57)【要約】
複数種薬物送達系は、第1の内部を含む第1のカプセルボディ、並びに第1の内部内の第1の錠剤及び第2の錠剤を含む第1のカプセル剤を含む。第1の錠剤は、第1の薬物を含み、第2の錠剤は、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む。第1の錠剤及び第2の錠剤は、患者の体内で第1のカプセルボディが溶解すると同時放出されるように構成されている。系は、第2の内部を含む第2のカプセルボディ、及び第2の内部内の第3の錠剤を含む第2のカプセル剤も含む。第3の錠剤は、第1の薬物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種薬物送達系であって、
第1の内部を含む第1のカプセルボディ、
第1の内部内の第1の錠剤であって、第1の薬物を含む第1の錠剤、並びに
第1の内部内の第2の錠剤であって、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物、並びに第1及び第2の薬物とは異なる第3の薬物を含む、第2の錠剤
を含み、第1の錠剤及び第2の錠剤が、患者の体内で第1のカプセルボディが溶解すると同時放出されるように構成されている、第1のカプセル剤と、
第2の内部を含む第2のカプセルボディ、
第2の内部内の第3の錠剤であって、第1の薬物を含む第3の錠剤を含む、第1のカプセル剤と共にパッケージングされる第2のカプセル剤と
を含み、50rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃でUSP装置2を使用して、第1の錠剤における第1の薬物の少なくとも75%が、60分後に溶解し、第2の錠剤における第2及び第3の薬物の少なくとも70%が、30分後に溶解する、複数種薬物送達系。
【請求項2】
第1の錠剤が、エラゴリクスを含む、請求項1に記載の複数種薬物送達系。
【請求項3】
第1の錠剤が、約175mg~約325mgのエラゴリクスを含み、第2の錠剤が、約0.75mg~約1.25mgのエストラジオールを含む、請求項1又は2に記載の複数種薬物送達系。
【請求項4】
第2の錠剤が、約0.1mg~約1mgの酢酸ノルエチンドロンをさらに含む、請求項3に記載の複数種薬物送達系。
【請求項5】
約15分後、エストラジオールの放出が70%以上である、請求項3に記載の複数種薬物送達系。
【請求項6】
第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤を視覚的に区別可能にするように、第1のカプセル剤が、第1の識別子でマークされ、第2のカプセル剤が、第1の識別子と異なる第2の識別子でマークされる、請求項1に記載の複数種薬物送達系。
【請求項7】
第1のカプセル剤が、1日における第1の時間枠内の投与を意図していることを指し示すように第1の識別子が構成され、第2のカプセル剤が、第1の時間枠と異なる、1日における第2の時間枠内の投与を意図していることを指し示すように第2の識別子が構成されている、請求項6に記載の複数種薬物送達系。
【請求項8】
第1のカプセル剤が、午前である第1の時間枠での投与を意図していることを指し示すように第1の識別子が構成され、第2のカプセル剤が、午後である第2の時間枠での投与を意図していることを指し示すように第2の識別子が構成されている、請求項7に記載の複数種薬物送達系。
【請求項9】
第1の識別子が、第1のカプセル剤上に含まれる第1の色であり、第2の識別子が、第2のカプセル剤上に含まれる第2の色である、請求項6~8のいずれかに記載の複数種薬物送達系。
【請求項10】
第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤を収容するように構成された複数の区画を含むパッケージをさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の複数種薬物送達系。
【請求項11】
パッケージが、複数の区画を画定するブリスターカードを含み、複数の区画に収容されている第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤に、ブリスターカードのシールに穴を開けることにより接触可能な、請求項10に記載の複数種薬物送達系。
【請求項12】
パッケージが、そこに印刷された、第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤を患者にいつ投与するかに関連する情報を含む、請求項10又は11に記載の複数種薬物送達系。
【請求項13】
ブリスターカードが、複数の区画の第1の列及び複数の区画の第2の列を含み、第1のカプセル剤が、第1の列に収容され、第2のカプセル剤が、第2の列に収容され、第1の列及び第2の列が視覚的に別個である、請求項10に記載の複数種薬物送達系。
【請求項14】
薬物を患者に送達するのに使用するためのカプセル剤であって、
内部を含むカプセルボディ、
内部内の第1の錠剤であって、少なくとも1つの第1の錠剤が第1の薬物を含む、第1の錠剤、並びに
内部内の第2の錠剤であって、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む第2の錠剤
を含み、第1の錠剤及び第2の錠剤が、患者の体内でカプセルボディが溶解すると同時放出されるように構成され、
50rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃でUSP装置2を使用して、第1の錠剤における第1の薬物の少なくとも75%が、60分後に溶解し、第2の錠剤における第2の薬物の少なくとも70%が、30分後に溶解する、カプセル剤。
【請求項15】
第1の錠剤が、約175mg~約325mgのエラゴリクスを含み、第2の錠剤が、約0.75mg~約1.25mgのエストラジオールを含む、請求項14に記載のカプセル剤。
【請求項16】
第2の錠剤が、約0.1mg~約1.0mgの酢酸ノルエチンドロンをさらに含む、請求項15に記載のカプセル剤。
【請求項17】
16分後、エストラジオールの放出が70%以上である、請求項15に記載のカプセル剤。
【請求項18】
カプセルボディが、長軸を画定する楕円形(oblong)であり、少なくとも1つの第1の錠剤及び第2の錠剤が、内部内で長軸に沿って、連続した位置関係で配置されている、請求項14に記載のカプセル剤。
【請求項19】
少なくとも1つの第1の錠剤及び第2の錠剤が、互いに別々に形成され、次いで内部内に固定された別個の錠剤である、請求項14に記載のカプセル剤。
【請求項20】
カプセルボディが、薬物を粉末形態で含有しない、請求項14に記載のカプセル剤。
【請求項21】
カプセルボディが、第1の錠剤と第2の錠剤の間に伸張するバリアを含まず、第1の錠剤及び第2の錠剤が、内部内で互いに結合していない、請求項14に記載のカプセル剤。
【請求項22】
第2の錠剤が、第2の薬物及び第3の薬物を含み、その両方が、50rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃でUSP装置2を使用して、投与の最初の30分以内に約80パーセント超の溶解速度を有するように構成されている、請求項14に記載のカプセル剤。
【請求項23】
第1のカプセル剤が、ゼラチンを含む、請求項14に記載のカプセル剤。
【請求項24】
薬物を患者に送達する方法であって、
第1のカプセル剤を患者に送達するステップであって、第1のカプセル剤が
第1の内部を含む第1のカプセルボディ、
第1の内部内の第1の錠剤であって、第1の薬物を含む第1の錠剤、並びに
第1の内部内の第2の錠剤であって、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む、第2の錠剤
を含み、第1の錠剤及び第2の錠剤が、患者の体内で第1のカプセルボディが溶解すると同時放出されるように構成されている、ステップと、
第1のカプセル剤と共にパッケージングされる第2のカプセル剤を、第1のカプセル剤の投与後に所定量の時間が経過した後で患者に送達するステップであって、第2のカプセル剤が、
第2の内部を含む第2のカプセルボディ、及び
第2の内部内の第3の錠剤であって、第1の薬物を含む第3の錠剤
を含む、ステップと
を含む方法。
【請求項25】
第1の錠剤が、約175~325mgのエラゴリクスを含み、第2の錠剤が、約0.75mg~1.25mgのエストラジオール及び約0.1mg~1.0mgのノルエチンドロンを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
20分後、エストラジオールの放出が70%以上である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
第2のカプセル剤を送達するステップが、第1のカプセル剤の投与から少なくとも5時間後に、第2のカプセル剤を送達するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
第1のカプセル剤を送達するステップが、午前である1日における第1の時間枠で、第1のカプセル剤を送達するステップを含み、第2のカプセル剤を送達するステップが、午後である1日における第2の時間枠で、第2のカプセル剤を送達するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤を中に収容するように構成された複数の区画を含むパッケージを用意するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
パッケージ内に複数の第1のカプセル剤及び複数の第2のカプセル剤を収容するステップであって、パッケージ内に収容される第1のカプセル剤の数及び第2のカプセル剤の数がそれぞれ、1週間における日数の倍数である、ステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
第1の錠剤、及び第1の錠剤上にコーティングされた第2の錠剤を有する、複数種薬物錠剤。
【請求項32】
第2の錠剤が、第1の錠剤の中心に位置する、請求項31に記載の複数種薬物錠剤。
【請求項33】
クロスポビドンをさらに含む、請求項32に記載の複数種薬物錠剤。
【請求項34】
薬剤容器アセンブリであって、
複数の区画の第1セットであって、各区画が、第1のカプセル剤を支持するように構成されている、複数の区画の第1セット、
複数の区画の第2セットであって、各区画が、第1のカプセル剤と共にパッケージングされる第2のカプセル剤を支持するように構成されている、複数の区画の第2セット
を含み、第1のカプセル剤が、
第1の内部、
第1の内部内の第1の錠剤であって、第1の薬物を含む第1の錠剤、並びに
第1の内部内の第2の錠剤であって、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む第2の錠剤
を含み、第1の錠剤及び第2の錠剤が、患者の体内で第1のカプセルボディが溶解すると同時放出されるように構成され、
第2のカプセル剤が、第2の内部を含む第2のカプセルボディ、及び第2の内部内の第3の錠剤であって、第1の薬物、第2の薬物又は第3の薬物からなる群から選択される少なくとも1つの薬物を含む、第3の錠剤を含む、薬剤容器アセンブリ。
【請求項35】
複数種薬物カプセル剤であって、
第1の錠剤であって、第1の薬物を含む、第1の錠剤
第2の錠剤であって、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物、並びに第1及び第2の薬物とは異なる第3の薬物を含む、第2の錠剤
を含み、第1の錠剤及び第2の錠剤が、患者の体内でカプセル剤が溶解すると同時放出されるように構成され、
50rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃でUSP装置2を使用して、第1の錠剤における第1の薬物の少なくとも75%が、60分後に溶解し、第2の錠剤における第2及び第3の薬物の少なくとも70%が、30分後に溶解する、複数種薬物カプセル剤。
【請求項36】
第1の錠剤が、エラゴリクスを含む、請求項35に記載の複数種薬物カプセル剤。
【請求項37】
第1の錠剤が、約175mg~約325mgのエラゴリクスを含み、第2の錠剤が、約0.75mg~約1.25mgのエストラジオールを含む、請求項35又は36に記載の複数種薬物カプセル剤。
【請求項38】
経口複数種薬物カプセル剤組成物であって、
(a)300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、
(b)1mgのエストラジオール及び
(c)0.5mgの酢酸ノルエチンドロン
を含み、単回用量の組成物の、健常成人被験者への投与後に、
約1218.4ng/mL~約2185ng/mLのエラゴリクスに対する平均ピーク濃度(Cmax)、
約0.0424ng/mL~約0.0775ng/mLの、エストラジオールに対する平均ピーク濃度(Cmax)、
約4.56ng/mL~約8.0ng/mLの、酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度(Cmax)、
約3293.6ng.hr/mL~約5892.5ng.hr/mLの、エラゴリクスに対する平均曲線下面積(AUC
(t))、
約0.688ng.hr/mL~約1.1375ng.hr/mLの、エストラジオールに対する平均曲線下面積(AUC
(t))、及び
約17.6ng.hr/mL~約33.125ng.hr/mLの、酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積(AUC
(t))
が生じる、経口複数種薬物カプセル剤組成物。
【請求項39】
経口複数種薬物カプセル剤組成物であって、
(a)300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、
(b)1日1回投与される1mgのエストラジオール、及び
(c)0.5mgの酢酸ノルエチンドロン
を含み、単回用量の組成物の、健常成人被験者への投与により、
約1218.4ng/ml~約2185ng/mLの、エラゴリクスに対する平均ピーク濃度、Cmax、
約0.0424ng/ml~約0.0775ng/mlの、エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmax、及び
約4.56ng/ml~約8.0ng/mlの、酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmax
が生じる、経口複数種薬物カプセル剤組成物。
【請求項40】
約3296.6ng.hr/mL~約5892.5ng.hr/mLの、エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUC
(t)
約0.688ng.hr/mL~約1.1375ng.hr/mLの、エストラジオールに対する平均曲線下面積、AUC
(t)、及び
約17.6ng.hr/mL~約33.125ng.hr/mLの、酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積、AUC
(t)
請求項39に記載の経口複数種薬物カプセル剤組成物。
【請求項41】
経口複数種薬物カプセル剤組成物であって、
(a)300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、
(b)1mgのエストラジオール、及び
(c)0.5mgの酢酸ノルエチンドロン
を含み、さらに、単回用量の組成物の、健常成人被験者への投与により、
約3293.6ng.hr/mL~約5892.5ng.hr/mLの、エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUC
(t)
約0.0.688ng.hr/mL~約1.1375ng.hr/mLの、エストラジオールに対する平均曲線下面積、AUC
(t)、及び
約17.6ng.hr/mL~約33.125ng.hr/mLの、酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積、AUC
(t)
が生じる、経口複数種薬物カプセル剤組成物。
【請求項42】
組成物の、健常成人被験者への投与により、
約1218.4ng/mL~約2185ng.hr/mLの、エラゴリクスに対する平均ピーク濃度、Cmax
約0.0424ng.hr/mL~約0.0775ng/mL ng/mLの、エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmax、及び
約4.56ng.hr/mL~約8.0ng/mLの、酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmax
が生じる、請求項41に記載の経口複数種薬物カプセル剤組成物。
【請求項43】
経口複数種薬物カプセル剤組成物であって、
(a)300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、
(b)1mgのエストラジオール、及び
(c)0.5mgの酢酸ノルエチンドロン
を含み、50rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃でUSP装置2を使用して、第1の錠剤における第1の薬物の少なくとも75%が、60分後に溶解し、第2の錠剤における第2及び第3の薬物の少なくとも70%が、30分後に溶解する、経口複数種薬物カプセル剤組成物。
【請求項44】
更年期前の女性患者において、子宮平滑筋腫(筋腫)を伴う重い月経出血を安全に処置する方法であって、
(a)300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、
(b)1mgのエストラジオール、及び
(c)0.5mgの酢酸ノルエチンドロン
の、患者への1日1回の経口投与を含み、方法により、
約1218.4ng.hr/mL~約2185ng/mLの、エラゴリクスに対する、
約0.0424ng/mL~約0.0775ng/mLの、エストラジオールに対する、
約4.56ng/mL~約8.0ng/mLの、酢酸ノルエチンドロンに対する
平均Cmax、並びに
約3293.6ng.hr/mL~約5892.5ng.hr/mLの、エラゴリクスに対する
約0.0.688ng.hr/mL~約1.1375ng.hr/mLの、エストラジオールに対する、及び
約17.6ng.hr/mL~約33.125ng.hr/mLの、酢酸ノルエチンドロンに対する平均AUC
(t)
が生じ、約6カ月の処置持続期間後、患者がエラゴリクス、エストラジオール及びノルエチンドロンを受けなかったベースラインと比較して、患者が、ヘモグロビン約2g/dL以上の増加を達成する、方法。
【請求項45】
薬物を患者に送達するのに使用するためのカプセル剤であって、
内部を含むカプセルボディ、
内部内の第1の錠剤であって、少なくとも1つの第1の錠剤が第1の薬物を含む、第1の錠剤、並びに
内部内の第2の錠剤であって、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む第2の錠剤
を含み、第1の錠剤及び第2の錠剤が、患者の体内でカプセルボディが溶解すると同時放出されるように構成され、
100rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃で、USP装置1を使用して、第1の錠剤における第1の薬物の少なくとも75%が、45分後に溶解し、第2の錠剤における第2及び第3の薬物の少なくとも90%が、30分後に溶解する、カプセル剤。
【請求項46】
請求項31~34、36~45に記載の組成物のいずれか1つと生物学的に等価である、経口複数種薬物カプセル剤組成物。
【請求項47】
経口使用のための、共にパッケージングされた薬物を患者に送達する方法であって、
第1のカプセル剤を患者に送達するステップであって、第1のカプセル剤が、
第1の内部を含む第1のカプセルボディ、
第1の内部内の第1の錠剤であって、第1の薬物を含む、第1の錠剤、並びに
第1の内部内の第2の錠剤であって、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む、第2の錠剤
を含み、第1の錠剤及び第2の錠剤が、患者の体内で第1のカプセルボディが溶解すると同時放出されるように構成されている、ステップと、
第1のカプセル剤と共にパッケージングされる第2のカプセル剤を、第1のカプセル剤の投与後に所定量の時間が経過した後で患者に送達するステップであって、第2のカプセル剤が、
第2の内部を含む第2のカプセルボディ、及び
第2の内部内の第3の錠剤であって、第1の薬物を含む第3の錠剤を含む、ステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、一般的に、医薬製品、より具体的には、患者が経口摂取すると、カプセル剤内に閉じ込められた1種超の薬物の同時、即時放出が可能になる薬物剤形、及び、患者による摂取の指導遵守を確保する薬物投薬のための送達系に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬、例えば薬物、サプリメント及び他の栄養剤又は治療剤の経口投与は、典型的には、錠剤及びカプセル剤形で行われる。カプセル剤は、一般的に、内部を有する中空シェルを、そこに粉末又は液体ベース薬物を保存するために含み、錠剤は、医薬物質の圧縮した粉末から製造され得る。少なくともいくつかの公知の病気では、1タイプ超の医薬を患者に投与することは有益になり得る。したがって、錠剤及びカプセル剤は、2種以上の薬物の、単回用量又は単一剤形での患者への投与又は摂取を可能にするように製造され得る。例えば、少なくともいくつかの公知のカプセル剤は、中空シェルの内部内に、薬物の混合物を液体又は粉末の形態で含有する。さらに、少なくともいくつかの公知の錠剤は、第2の薬物内に封入された第1の薬物を含む。しかし、第2の薬物内に第1の薬物を封入すると、第1の薬物の溶解を妨げるおそれがあり、第1及び第2の薬物の溶解を低下させるおそれがある。さらに、粉末又は液体形態で投与される薬物は、望ましい効力に好適ではない速度で溶解するおそれがある。
【0003】
さらに、多くの公知の処方薬は、複雑な指導及び投与レジメンを有する。例えば、いくつかの処方箋は、異なるタイプの薬物を含有する複数の薬物形態の経口投与を必要とし、かつ/又は、1日に異なる時間での投与を必要とする。他の薬は、朝、午後又は夕方に、あるものは食品と一緒または別に、あるものは特定のタイプの食品と一緒または別に、また、特定の量で服用することになっている。したがって、患者には、薬物又は薬物群の投与指導を記憶し、それを遵守することが困難なおそれがある。そのような投与指導を遵守できないと、効力が不十分になるおそれがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
一態様では、複数種薬物送達系が提供される。系は、第1の内部を有する第1のカプセルボディ、並びに第1の内部内に含まれる第1の錠剤及び第2の錠剤を含む第1のカプセル剤を含む。第1の錠剤は、第1の薬物を含み、第2の錠剤は、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む。例えば、第2の錠剤は、第2及び第3の薬物を含み得、そのそれぞれは、第1の薬物と、また、互いに異なる。第1の錠剤及び第2の錠剤は、患者の体内で第1のカプセルボディが溶解すると同時放出されるように構成されている。系は、第1のカプセル剤と共にパッケージングされ、第2の内部、及び第2の内部内に含まれる第3の錠剤を有する第2のカプセルボディを含む第2のカプセル剤も含む。第3の錠剤は、第1の薬物、第2の薬物及び/又は1種以上の他の薬物を含み得る。50rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃でUSP装置2を使用した場合、少なくとも75%±10%の、第1の錠剤における第1の薬物は、60分後に溶解し、少なくとも70%±10%又は70%±20%又は70%±30%又は70%±40%の、第2の錠剤における第2及び第3の薬物は、30分後に溶解する。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1の錠剤は、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニストを含み得る。例えば、第1の錠剤は、エラゴリクス、レルゴリクス、別のゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト及び/又はゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニストの組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の錠剤は、エラゴリクスを含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1の錠剤は、約175mg~約325mgのゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニストを含み得、第2の錠剤は、約0.75mg~約1.25mgのエストラジオールを含み得、第2の錠剤は、約0.1mg~約1mgの酢酸ノルエチンドロンをさらに含み得、約15分後、エストラジオールの放出は、70%±10%又は70%±20%又は70%±30%又は70%±40%以上である。
【0007】
いくつかの例では、第1のカプセル剤は、第1の識別子でマークされ得、第2のカプセル剤は、第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤を視覚的に区別可能にするように、第1の識別子と異なる第2の識別子でマークされ得、第1のカプセル剤が、1日における第1の時間枠内の投与を意図していることを指し示すように第1の識別子は構成され得、第2のカプセル剤が、第1の時間枠と異なる、1日における第2の時間枠内の投与を意図していることを指し示すように第2の識別子は構成され得る。いくつかの例では、第1のカプセル剤が、午前である第1の時間枠での投与を意図していることを指し示すように第1の識別子は構成され得、第2のカプセル剤が、午後である第2の時間枠での投与を意図していることを指し示すように第2の識別子は構成され得、第1の識別子は、第1のカプセル剤上に含まれる第1の色であり得、第2の識別子は、第2のカプセル剤上に含まれる第2の色であり得る。
【0008】
いくつかの例では、系は、第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤を収容するように構成された複数の区画を有するパッケージを含み得る。パッケージは、複数の区画を画定するブリスターカードを含み得、複数の区画に収容されている第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤に、ブリスターカードのシールに穴を開けることにより接触可能であり、パッケージは、そこに印刷された、第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤を患者にいつ投与するかに関連する情報を有し得、ブリスターカードは、複数の区画の第1の列及び複数の区画の第2の列を有し得、第1のカプセル剤は、第1の列に収容され、第2のカプセル剤は、第2の列に収容され、第1の列及び第2の列は視覚的に別個である。
【0009】
別の態様では、薬物を患者に送達するのに使用するためのカプセル剤が提供される。カプセル剤は、内部、並びに内部内に含まれる少なくとも1つの第1の錠剤及び第2の錠剤を有するカプセルボディを含む。少なくとも1つの第1の錠剤は、第1の薬物を含み、第2の錠剤は、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む。少なくとも1つの第1の錠剤及び第2の錠剤は、患者の体内でカプセルボディが溶解すると同時放出されるように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の錠剤は、約175mg~約325mgのゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト、例えばエラゴリクスを含み得、第2の錠剤は、約0.75mg~約1.25mgのエストラジオールを含み、第2の錠剤は、約0.1mg~約1.0mgの酢酸ノルエチンドロンをさらに含み得る。いくつかの例では、16分後、エストラジオールの放出が70%±10%又は70%±20%又は70%±30%又は70%±40%以上であり、カプセルボディは、長軸を画定する楕円形であり得、少なくとも1つの第1の錠剤及び第2の錠剤は、内部内で長軸に沿って、連続した位置関係で配置されており、少なくとも1つの第1の錠剤及び第2の錠剤は、互いに別々に形成され、次いで内部内に固定された別個の錠剤であり得、カプセルボディは、薬物を粉末形態で含有しなくてよく、カプセルボディは、第1の錠剤と第2の錠剤の間に伸張するバリアを含まなくてよく、第1の錠剤及び第2の錠剤は、内部内で互いに結合しておらず、第1のカプセル剤は、ゼラチンを含み得る。
【0011】
さらに別の態様では、薬物を患者に送達する方法が提供される。方法は、第1のカプセル剤を患者に送達するステップであって、第1のカプセル剤が、第1の内部を有する第1のカプセルボディ、並びに第1の内部内に含まれる第1の錠剤及び第2の錠剤を含む、ステップを含む。第1の錠剤は、第1の薬物を含み、第2の錠剤は、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む。第1の錠剤及び第2の錠剤は、患者の体内で第1のカプセルボディが溶解すると同時放出されるように構成されている。方法は、第1のカプセル剤と共にパッケージングされる第2のカプセル剤を、第1のカプセル剤の投与後に所定量の時間が経過した後で患者に送達するステップも含む。第2のカプセル剤は、第2の内部を有する第2のカプセルボディ、及び第2の内部内に含まれる第3の錠剤を含む。第3の錠剤は、第1の薬物を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の錠剤は、約175~325mgのゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニストを含み、第2の錠剤は、約0.75mg~1.25mgのエストラジオール及び約0.1mg~1.0mgのノルエチンドロンを含み、20分後、エストラジオールの放出が70%±10%又は70%±20%又は70%±30%又は70%±40%以上であり、第2のカプセル剤を送達するステップは、第1のカプセル剤の投与から少なくとも5時間後に、第2のカプセル剤を送達するステップを含み;第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤を中に収容するように構成された複数の区画を含むパッケージを用意するステップを含み;かつ/又は、パッケージ内に収容される第1のカプセル剤の数及び第2のカプセル剤の数がそれぞれ、1週間における日数の倍数になるように、パッケージ内に複数の第1のカプセル剤及び複数の第2のカプセル剤を収容するステップをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、複数種薬物錠剤は、第1の錠剤、及び第1の錠剤上にコーティングされた第2の錠剤を含み、第2の錠剤は、第1の錠剤の中心に位置し得、かつ/又は複数種錠剤は、クロスポビドンを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、薬剤容器アセンブリは、複数の区画の第1セットであって、各区画が、第1のカプセル剤を支持するように構成されている、複数の区画の第1セット、複数の区画の第2セットであって、各区画が、第2のカプセル剤を支持するように構成されている、複数の区画の第2セットを含み、第1のカプセル剤は、第1の内部;第1の内部内の第1の錠剤であって、第1の薬物を含む第1の錠剤;並びに第1の内部内の第2の錠剤であって、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む第2の錠剤を含み、第1の錠剤及び第2の錠剤は、患者の体内で第1のカプセルボディが溶解すると同時放出されるように構成され、第2のカプセル剤は、第2の内部を含む第2のカプセルボディ、及び第2の内部内の第3の錠剤であって、第1の薬物、第2の薬物又は第3の薬物からなる群から選択される少なくとも1つの薬物を含む、第3の錠剤を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、複数種薬物カプセル剤は、第1の錠剤であって、第1の薬物を含む第1の錠剤;第1の錠剤と共にパッケージングされる第2の錠剤であって、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む第2の錠剤;並びに第1及び第2の薬物とは異なる第3の薬物を含み、第1の錠剤及び第2の錠剤は、患者の体内でカプセル剤が溶解すると同時放出されるように構成され、50rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃でUSP装置2を使用して、少なくとも75%±10%の、第1の錠剤における第1の薬物は、60分後に溶解し、少なくとも70%±10%又は70%±20%又は70%±30%又は70%±40%の、第2の錠剤における第2及び第3の薬物は、30分後に溶解する。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数種薬物カプセル剤は、第1の錠剤であって、第1の薬物を含む第1の錠剤;第1の錠剤と共にパッケージングされる第2の錠剤であって、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む第2の錠剤;並びに第1及び第2の薬物とは異なる第3の薬物を含み、第1の錠剤及び第2の錠剤は、患者の体内でカプセル剤が溶解すると同時放出されるように構成され、100rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃で、USP装置1を使用して、少なくとも75%±10%の、第1の錠剤における第1の薬物は、45分後に溶解し、少なくとも90%±10%又は90%±20%又は90%±30%又は90%±40%の、第2の錠剤における第2及び第3の薬物は、30分後に溶解する。
【0017】
いくつかの例では、第1の錠剤は、エラゴリクスを含み、第1の錠剤は、約175mg~約325mgのエラゴリクスを有し、第2の錠剤は、約0.75mg~約1.25mgのエストラジオールを有する。
【0018】
別の態様では、経口複数種薬物カプセル剤組成物は、300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、1mgのエストラジオール及び0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含み、単回用量の組成物の、健常成人被験者への投与後に、約1218.4ng/mL~約2185ng/mLの、前記エラゴリクスに対する平均ピーク濃度(Cmax);約0.0424ng/mL~約0.0775ng/mLの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度(Cmax)、約4.56ng/mL~約8.0ng/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度(Cmax)、約3293.6ng.hr/mL~約5892.5ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積(AUC(t))、約0.688ng.hr/mL~約1.1375ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対する平均曲線下面積(AUC(t))、及び約17.6ng.hr/mL~約33.125ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積(AUC(t))が生じる。
【0019】
別の態様では、複数種薬物カプセル剤組成物は、300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、1mgのエストラジオール及び0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含み、単回用量の組成物の、健常成人被験者への投与により、約1218.4ng/ml~約2185ng/mLの、前記エラゴリクスに対する平均ピーク濃度、Cmax、約0.0424ng/ml~約0.0775ng/mlの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmax、及び約4.56ng/ml~約8.0ng/mlの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmaxが生じる。
【0020】
一例では、複数種薬物組成物は、約3296.6ng.hr/mL~約5892.5ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUC(t)、約0.688ng.hr/mL~約1.1375ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対する平均曲線下面積、AUC(t)、及び約17.6ng.hr/mL~約33.125ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積、AUC(t)を有する。
【0021】
一態様では、複数種薬物カプセル剤組成物は、300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、1mgのエストラジオール及び0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含み、単回用量の組成物の、健常成人被験者への投与により、約3293.6ng.hr/mL~約5892.5ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUC(t)、約0.0.688ng.hr/mL~約1.1375ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対する平均曲線下面積、AUC(t)、及び約17.6ng.hr/mL~約33.125ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積、AUC(t)が生じる。
【0022】
一例では、複数種薬物カプセル剤の、健常成人被験者への投与により、約1218.4ng/mL~約2185ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均ピーク濃度、Cmax、約0.0424ng.hr/mL~約0.0775ng/mL ng/mlの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmax、及び約4.56ng.hr/mL~約8.0ng/mlの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmaxが生じる。
【0023】
別の態様では、経口複数種薬物カプセル剤組成物は、300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、1mgのエストラジオール及び0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含み、50rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃でUSP装置2を使用して、第1の錠剤における第1の薬物の少なくとも75%は、60分後に溶解し、第2の錠剤における第2及び第3の薬物の少なくとも70%は、30分後に溶解する。別の態様では、更年期前の女性患者において、子宮平滑筋腫(筋腫)を伴う重い月経出血を安全に処置する方法が提供される。方法は、(a)300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、(b)1mgのエストラジオール及び(c)0.5mgの酢酸ノルエチンドロンの、前記患者への1日1回の経口投与を含み、前記方法により、約1218.4ng.hr/mL~約2185ng/mLの、前記エラゴリクスに対する、約0.0424ng/mL~約0.0775ng/mLの、前記エストラジオールに対する、約4.56ng/mL~約8.0ng/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均Cmax、並びに約3293.6ng.hr/mL~約5892.5ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する、約0.0.688ng.hr/mL~約1.1375ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対する、及び約17.6ng.hr/mL~約33.125ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均AUC(t)が生じ、約6カ月の処置持続期間後、患者がエラゴリクス、エストラジオール及びノルエチンドロンを受けなかったベースラインと比較して、前記患者は、ヘモグロビン約2g/dL以上の増加を達成する。
【0024】
別の態様では、薬物を患者に送達するのに使用するための経口カプセル剤は、内部を含むカプセルボディ;内部内の第1の錠剤であって、少なくとも1つの第1の錠剤が第1の薬物を含む、第1の錠剤;並びに内部内の第2の錠剤であって、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む第2の錠剤を含み、第1の錠剤及び第2の錠剤は、患者の体内でカプセルボディが溶解すると同時放出されるように構成され、100rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃で、USP装置1を使用して、第1の錠剤における第1の薬物の少なくとも75%は、45分後に溶解し、第2の錠剤における第2及び第3の薬物の少なくとも90%は、30分後に溶解する。
【0025】
別の態様では、先述の組成物のいずれかと生物学的に等価である、経口複数種薬物カプセル剤組成物が提供される。
【0026】
別の態様では、経口使用のための、共にパッケージングされた薬物を患者に送達する方法が提供される。方法が、第1のカプセル剤を患者に送達するステップであって、第1のカプセル剤が、第1の内部を含む第1のカプセルボディ;第1の内部内の第1の錠剤であって、第1の薬物を含む第1の錠剤;並びに第1の内部内の第2の錠剤であって、少なくとも、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含む、第2の錠剤を含み、第1の錠剤及び第2の錠剤が、患者の体内で第1のカプセルボディが溶解すると同時放出されるように構成されている、ステップと、第1のカプセル剤と共にパッケージングされる第2のカプセル剤を、第1のカプセル剤の投与後に所定量の時間が経過した後で患者に送達するステップであって、第2のカプセル剤が、第2の内部を含む第2のカプセルボディ;及び第2の内部内の第3の錠剤であって、第1の薬物を含む第3の錠剤を含む、ステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】薬物の第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤を含む例示的な複数種薬物送達系を例証する図である。
【
図2】2つの錠剤を収容する例示的なカプセル剤の内部図である。
【
図3】単一の錠剤を収容する例示的なカプセル剤の内部図である。
【
図4A】第2の錠剤を封入する第1の錠剤を有する、第1の例示的な複数種薬物錠剤の内部図である。
【
図4B】第2の錠剤を封入する第1の錠剤を有する、第2の例示的な複数種薬物錠剤の内部図である。
【
図5】二重層を有し、二重層が、第1の薬物の第1の層、並びに第2及び第3の薬物の第2の層を有する、第3の例示的な複数種薬物錠剤の内部図である。
【
図6】第3及び第4の薬物の混合物でコーティングされている第1の錠剤を有する、第4の例示的な複数種薬物錠剤の内部図である。
【
図7】二重層を有し、二重層が、第1の薬物の第1の層及び包埋されている錠剤の第2の層を有する、第5の例示的な複数種薬物錠剤の内部図である。
【
図8】第1の錠剤及び4つの小錠剤を有する、
図1による例示的なカプセル剤の内部図である。
【
図9】溶融顆粒及び錠剤を含有する、
図1による例示的なカプセル剤の内部図である。
【
図10】実施例1、エラゴリクス錠剤中のE2/NETA錠剤及び実施例2、エラゴリクス錠剤の表面に包埋されているE2/NETA錠剤の処理工程を示すフローチャートである。
【
図11A】実施例3-1:二重層錠剤E2/NETA層の処理工程:流動床造粒、API溶液のラクトースへの噴霧を示すフローチャートである。
【
図11B】実施例3-2:二重層錠剤E2/NETA層の処理工程:流動床造粒、結合剤のAPI混合物への噴霧を示すフローチャートである。
【
図11C】実施例3-3:二重層錠剤の処理工程、E2/NETA層と崩壊剤の直接ブレンドを示すフローチャートである。
【
図11D】実施例3-4:二重層錠剤の処理工程、崩壊剤を伴わないE2/NETA層の直接ブレンドを示すフローチャートである。
【
図12】実施例4の処理工程:E2/NETAの溶液を用いたエラゴリクス核錠剤のコーティングを示すフローチャートである。
【
図13】実施例5:二重層錠剤、プラセボ層に包埋されているE2/NETAの処理工程を示すフローチャートである。
【
図14】実施例6:カプセル剤におけるエラゴリクス錠剤及びE2/NETA錠剤の処理工程を示すフローチャートである。
【
図15】実施例7:カプセル剤におけるエラゴリクスの小錠剤及び1つのE2/NETA錠剤の処理工程を示すフローチャートである。
【
図16】実施例8:カプセル剤に詰められたエラゴリクス粒剤及び1つのE2/NETA錠剤の処理工程を示すフローチャートである。
【
図17】
図1に示されている複数種薬物送達系を収容及び運搬するために使用され得る例示的なパッケージの透視図である。
【
図18】本開示の様々な実施形態による、また、
図4A及び実施例1に示されている複数種薬物錠剤による、投与される薬物の溶解速度を例証するダイヤグラムである。
【
図19】本開示の様々な実施形態による、また、
図4B及び実施例2に示されている複数種薬物錠剤による、投与される薬物の溶解速度を例証するダイヤグラムである。
【
図20A】本開示の様々な実施形態による、また、
図5及び実施例3-1に示されている複数種薬物錠剤による、投与される薬物の溶解速度を例証するダイヤグラムである。
【
図20B】本開示の様々な実施形態による、また、
図5及び実施例3-2に示されている複数種薬物錠剤による、投与される薬物の溶解速度を例証するダイヤグラムである。
【
図20C】本開示の様々な実施形態による、また、
図5及び実施例3-3に示されている複数種薬物錠剤による、投与される薬物の溶解速度を例証するダイヤグラムである。
【
図20D】本開示の様々な実施形態による、また、
図5及び実施例3-4に示されている複数種薬物錠剤による、投与される薬物の溶解速度を例証するダイヤグラムである。
【
図21】本開示の様々な実施形態による、また、
図6及び実施例4に示されている複数種薬物錠剤による、投与される薬物の溶解速度を例証するダイヤグラムである。
【
図22】本開示の様々な実施形態による、また、
図7及び実施例5に示されている複数種薬物錠剤による、投与される薬物の溶解速度を例証するダイヤグラムである。
【
図23】本開示の様々な実施形態による、また、
図2及び実施例6に示されているカプセル剤による、投与される薬物の溶解速度を例証するダイヤグラムである。
【
図24】本開示の様々な実施形態による、また、
図8及び実施例7に示されているカプセル剤による、投与される薬物の溶解速度を例証するダイヤグラムである。
【
図25】本開示の様々な実施形態による、また、9及び実施例8に示されているカプセル剤による、投与される薬物の溶解速度を例証するダイヤグラムである。
【
図26】研究UF-1、UF-2、UF-3における、実施例10に記載されている系を12カ月受け、12カ月治療休止中の追跡BMDを経た、子宮筋腫を有する女性における腰椎の骨塩量(BMD)の、ベースラインからのパーセント変化のグラフ表示である。
【
図27】UF-1研究における、子宮筋腫を有する女性におけるMBL体積での、ベースラインからの毎月の変化のグラフ表示である。
【
図28】UF-2研究における、子宮筋腫を有する女性におけるMBL体積での、ベースラインからの毎月の変化のグラフ表示である。
【
図29A】本開示の様々な実施形態による、また、
図6に示されている複数種薬物錠剤による、投与されるエラゴリクスの溶解速度を、USP装置1を使用して例証するダイヤグラムである。
【
図29B】本開示の様々な実施形態による、また、
図6に示されている複数種薬物錠剤による、投与されるE2の溶解速度を、USP装置1を使用して例証するダイヤグラムである。
【
図29C】本開示の様々な実施形態による、また、
図6に示されている複数種薬物錠剤による、投与されるNETAの溶解速度を、USP装置1を使用して例証するダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の詳細な説明は、限定ではなく例示として、本開示を例証する。説明は、当業者が本開示を作成し、使用することを可能とし、本開示のいくつかの実施形態、翻案、変形、代用物及び使用について記載する。
【0029】
本開示の実施形態は、患者により投与されるとカプセル剤内に閉じ込められた1種超の薬物の実質的な同時、即時放出が可能になる薬物剤形、患者による投与の指導遵守を促進する投薬のための送達系に関する。薬物送達系は、第1のカプセル剤を含み、1日において、異なる、重複していない時間枠内で投与されることが意図されている第2のカプセル剤も含み得る。例えば、一実施形態では、第1のカプセル剤は、朝の時間帯(例えば午前)中に投与されることが意図されており、第2のカプセル剤は、第1のカプセル剤の投与から少なくとも5時間後(例えば、午後又は夕方の時間帯中)に投与されることが意図されている。第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤は、異なる薬物又は薬物の組合せを含有し得、例えば、処方箋の投与の指導遵守を促進する識別子でマークされ得る。第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤の表面は、別個の識別色及び/又は表面特性を有し得る。第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤は、それぞれのカプセル剤が投与されるべき時間枠を指し示す記号及び/又は文字マーキングも含み得る。さらに、複数の第1のカプセル剤及び複数の第2のカプセル剤は、それぞれのカプセル剤が投与されるべき時間枠を同じく指し示す記号及び/又は文字マーキングを含むパッケージに収容され得る。したがって、第1のカプセル剤及び第2のカプセル剤は、はっきりと、また目立つようにマークされる、又は患者がカプセル剤を容易に区別することを可能にするようにマーク若しくは配置される。
【0030】
いくつかの実施形態では、系は、複数のカプセル剤を共にパッケージングし、2つ以上の異なる薬物、例えば、第1の薬物を含有する第1の錠剤、並びに第2及び第3の薬物を含有する第2の錠剤を含有する単一のカプセル剤を含み得る。いくつかの例では、第1の薬物は、エラゴリクス又は他のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)放出アンタゴニストであり得る。経口投薬サイズは、患者の遵守に重要な構成要素である。経口投与サイズが大きいと、患者が投与の推奨に従うのを渋ることになる。一実施形態では、第1のカプセル剤は、少なくとも2つの別個の錠剤を、第1の薬物を含む第1の錠剤、並びに第1の薬物と異なる第2の薬物及び第3の薬物を含む第2の錠剤と含有する。第1、第2及び第3の薬物は、異なる効力を有し、例示的実施形態では、第2及び第3の薬物は、第1の薬物の患者に対する望ましくない有害作用を少なくとも部分的に抑制するようにカプセル剤に含まれる。したがって、第1及び第2の錠剤は、互いに別々に形成され、次いで、患者の体内でカプセル剤の外側シェルが溶解すると、第1の錠剤及び第2の錠剤における薬物の同時、即時放出を促進するように第1のカプセル剤内に固定される。すなわち、別個の錠剤をカプセル剤内に固定すると、錠剤を同時に溶解させて、患者に望ましいバイオアベイラビリティを生じることが可能となる。したがって、第1のカプセル剤により得られる剤形は、患者の体内での薬物の望ましい溶解及びバイオアベイラビリティを促進する。
【0031】
本明細書で使用されている、生物学的等価組成物又は製剤は、米国食品医薬品局(FDA)により定義されている生物学的等価なものである。
【0032】
さらに、カプセル剤における錠剤の同時投与により、患者が嚥下するのが容易な体裁になり得、製造するのが簡単になり得る。さらに、この体裁により、第1、第2及び第3の薬物の同時投与が可能となる。この同時投与により、第1の錠剤における第1の薬物と、少なくとも、第2の錠剤における第2の薬物又は第3の薬物の治療効果と安全性の間の望ましいバランスが可能となる。したがって、第1の錠剤における第1の薬物、並びに第2の錠剤における第2及び第3の薬物の同時投与は、第1の薬物の望ましくない効果の潜在的抑制を促進する。一例では、第1の錠剤における第1の薬物は、エラゴリクス又は別のGnRHアンタゴニストであり得、第2の錠剤における第2及び第3の薬物は、エストラジオール(E2)及びノルエチンドロン(NETA)の組合せ(例えばActivella(登録商標)錠剤)であり得る。したがって、E2/NETAは、GnRHアンタゴニスト、例えばエラゴリクス、レルゴリクスなどの外来導入によって引き起こされるホルモン調節のある望ましくない影響を無効にするアドバック治療を促進する。
【0033】
本開示の様々な態様のいずれかでは、第1の薬物は、好適にはGnRHアンタゴニスト、例えばエラゴリクス及び/又はレルゴリクスであり得、第2の薬物は、好適にはエストラジオールであり得、第3の薬物は、好適には酢酸ノルエチンドロンであり得る。エラゴリクスは、通例、エラゴリクスナトリウムとして利用できる。これらの特定の薬物では、薬物の改善された、また望ましい溶解、及び患者の体内で望ましいバイオアベイラビリティの達成を促進する送達機構が使用されることが重要である。例えば、薬物の溶解は、薬物が粉末形態で投与される場合、増進する可能性があり、又は、薬物が、第2の錠剤内に包埋された第1の錠剤を有する、包埋された複数種薬物錠剤形態の場合、減退する可能性があることを見出した。粉末形態の場合、患者の体内における薬物の溶解速度及び生じたバイオアベイラビリティは、望ましくないほどに高いことがあるので、ある条件下での投与に理想的ではないことがある。包埋された複数種薬物錠剤形態の場合、第2の錠剤が、第1の錠剤における薬物の放出を遅くする結果として、第1及び第2の錠剤における薬物は、一緒に溶解しないことを見出した。
【0034】
第1のカプセル剤又は第2のカプセル剤に含有されるエラゴリクスの合計量は、好適にはナトリウム塩として投与される遊離酸当量のエラゴリクスであり得る。遊離酸当量のエラゴリクスは、100ミリグラム(mg)、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、450mg又は500mg及びそれらから構築される範囲、例えば約100mg~約500mg、約150mg~約400mg及び約175mg~約325mgとして用意され得る。第1のカプセル剤に含有されるエストラジオールの合計量は、好適には0.5mg、0.75mg、1.0mg、1.25mg又は1.5mg及びそれらから構築される範囲、例えば約0.5mg~約1.5mg、約0.5mg~約1.25mg、約0.75mg~約1.5mg又は約0.75mg~約1.25mgであり得る。第1のカプセル剤に含有される酢酸ノルエチンドロンとして利用できる、塩基当量のノルエチンドロンの合計量は、好適には0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.75mg又は1.0mg及びそれらから構築される範囲、例えば約0.1mg~約1.0mg、約0.25mg~約0.75mg又は約0.4mg~約0.6mgであり得る。
【0035】
本開示の範囲内の錠剤は、活性薬物、並びに、結合剤、フィラー、崩壊剤、界面活性剤、効力/バイオアベイラビリティ向上剤、流動促進剤及び滑沢剤を含むが、それらに限定されない1つ以上の賦形剤を含む。
【0036】
結合剤は、粒剤及び錠剤の結合性及び粘着性を高め、硬度を改善する働きをする。結合剤のいくつかの非限定的な例は、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン、ポビドン、クロスポビドン及び組合せを含む。他の例は、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールを含む。いくつかの態様では、結合剤は、コポビドン、ポビドン、HMP、アルファ化デンプン及びそれらの組合せである。いくつかのさらなる態様では、結合剤は、コポビドンである。
【0037】
使用され得るフィラーは、非限定的な例、例えば糖及び糖アルコール、セルロース系材料並びに他のフィラーを含む。好適な糖及び糖アルコールの非限定的な例は、デキストレート、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マルトデキストリン、マンニトール、イソマルト、ソルビトール、スクロース、砂糖球、キシリトール、フルクトース、ラクチトール、エリトリトール、マルチトール、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、トレハロース及びラフィノースを含む。セルロース系材料の非限定的な例は、微結晶セルロース(「MCC」)及びケイ化MCCを含む。他のフィラーの非限定的な例は、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、キチン、キトサン、第二リン酸カルシウム二水和物、パルミトステアリン酸グリセリル、水素化植物油、カオリン、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ポリメタクリレート、塩化カリウム、粉末セルロース、アルファ化デンプン、塩化ナトリウム、デンプン、滑石、並びに第2及び第3リン酸カルシウムを含む。上の列挙されているフィラーの組合せは、本開示の範囲内である。
【0038】
使用され得る崩壊剤は、非限定的な例、例えば変性デンプン、例としてナトリウムカルボキシメチルデンプン(グリコール酸デンプンナトリウム);架橋結合ポリビニルピロリドン、例としてクロスポビドン;変性セルロース、例としてクロスカルメロースナトリウム;架橋アルギン酸;ガム、例としてゲランガム及びキサンタンガム;ケイ酸カルシウム;並びにそれらの組合せを含む。
【0039】
界面活性剤は、投与後に薬物表面及び水性媒体の界面において形成された拡散層にて、薬物の濃度を上昇させる、並びに/又は薬物/製剤の湿潤性を上昇させる働きをし得る。界面活性剤の非限定的な例は、ビタミンE d-アルファトコフェリルポリエチレングリコールスクシネート、硫酸ドデシルナトリウム、ポリソルベート、ポロキサマー、Tween(登録商標)タイプ及びそれらの組合せを含む。
【0040】
使用され得る滑沢剤は、非限定的な例、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、水素化植物油、ポリエチレングリコール(4000~6000)、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの組合せを含む。
【0041】
使用され得る流動促進剤は、非限定的な例、例えばコロイド状二酸化ケイ素(例えば、高度分散シリカ(Aerosil(登録商標)))、動物性又は植物性脂肪、ワックス及びそれらの組合せを含む。
【0042】
存在し得る他の賦形剤は、酸性化剤又はアルカリ化剤を含む。酸性化剤は、投与後のpH調整及び/又はコントロールのための有機酸、例えば、以下に限定されないが、フマル酸、クエン酸及び酒石酸であり得る。
【0043】
錠剤における賦形剤、及び重量/重量濃度、又はその活性剤の賦形剤に対する比を選択して、水性媒体(例えば、胃及び/又は腸)中の薬物溶解度を上昇させ、それにより、溶解速度及びバイオアベイラビリティを改善することができる。さらに、第1の薬物を有する第1の錠剤、及び第2の薬物を有する第2の錠剤の同時投与のケースでは、賦形剤、及び重量対重量濃度、又はその活性剤の賦形剤に対する比を選択して、薬物バイオアベイラビリティを上昇させることもでき、薬物のバイオアベイラビリティに悪影響を与え得る、第1と第2の錠剤の間における任意の相互作用を最小化することもできる。
【0044】
本開示の錠剤は、製薬作業、例えば、以下に限定されないが、スクリーニング、ブレンド、乾式造粒法、圧縮及び任意選択のフィルムコーティングを利用して形成され得る。いくつかの態様では、賦形剤はブレンドされ得、ブレンドは、ローラー圧縮及び粉砕され得、生じた材料は、当業界で公知の打錠設備で、圧縮により打錠され得る。いくつかのそのような態様では、ローラー圧縮し、粉砕された材料は、「顆粒内」といわれることがあり、前記材料は、次いで、打錠する前に、1種以上の追加の上記の賦形剤とブレンドされ得る。1種以上の追加の賦形剤は、錠剤において「顆粒外」成分として存在し得る。
【0045】
本開示のコーティングしていない錠剤(例えば、錠剤コア)は、主に無味無臭であり、嚥下しやすい錠剤を得るために、フィルムコーティングで任意選択的にコーティングされ得る。さらに、フィルムコーティングは、パッケージング中に塵の形成を防止し、輸送中の堅牢性を確保する。商用のコーティング組成物は、本開示の目的に好適であり、Opadry(登録商標)YS-1-7003、Opadry(登録商標)YS-1-18202及びOpadry(登録商標)II White 85F18422を含むが、それらに限定されない。
【0046】
エラゴリクスナトリウムを含有する錠剤は、Orilissa(登録商標)として市販されている。異なる強度のエラゴリクスの製造は、AbbVie Incの出願US201900540088及びUS20190054027に記載されており、そのいずれも、その全体を参照により組み込む。他の製造者も、出願WO2017/221144、WO2018/189213及びWO2018/224063に記載されているように、エラゴリクス活性成分及びエラゴリクス含有薬品の様々な製造を提供している。様々な強度のE2/NETAを含有する錠剤は、Activella(登録商標)として市販されている。
【0047】
次に図を参照すると、
図1は、薬物の第1のカプセル剤102及び第2のカプセル剤104を含む例示的な複数種薬物送達系100の例証である。第1のカプセル剤102は、第1のボディ部分108及び第1のキャップ部分110を含む第1のカプセルボディ106を含み、第2のカプセル剤104は、第2のボディ部分114及び第2のキャップ部分116を含む第2のカプセルボディ112を含む。例示的実施形態では、第1のカプセル剤102は、第1の識別子118でマークし、第2のカプセル剤104は、第1の識別子118と異なる第2の識別子120でマークして、患者にとって、第1のカプセル剤102及び第2のカプセル剤104を互いに視覚的に区別可能にすることを促進する。第1のカプセル剤102及び第2のカプセル剤104は、複数種薬物送達系100を、本明細書に記載されているように働かせることを可能にする任意の好適な識別子を含み得る。識別子は、濃淡、色、記号マーキング及び/又は文字マーキングを含み得るが、それらに限定されない。
【0048】
例えば、例示的実施形態では、第1の色122(第1のパターンにより例証される。)は、第1のカプセル剤102上に含まれ、第2の色124(第2のパターンにより例証される。)は、第2のカプセル剤104上に含まれる。より具体的には、第1のキャップ部分110は、第1の色122であり、第2のキャップ部分116は、第2の色124である。第1の色122は、第2の色124と異なる。したがって、第1のキャップ部分110は、第1のボディ部分108、第2のボディ部分114及び第2のキャップ部分116と視覚的に区別可能になり、第2のキャップ部分116は、第1のボディ部分108、第1のキャップ部分110及び第2のボディ部分114と視覚的に区別可能になる。
【0049】
第1の識別子118及び第2の識別子120は、それぞれのカプセル剤が投与されることが意図されている場合を指し示すようにも構成され得る。例えば、例示的実施形態では、第1の識別子118は、第1の文字マーキング126を含み、第2の識別子120は、第2の文字マーキング128を含む。第1の文字マーキング126は、第1のカプセル剤102が1日における第1の時間枠内の投与を意図されていることを指し示すように構成され、第2の文字マーキング128は、第2のカプセル剤104が、第1の時間枠と異なる、1日における第2の時間枠内の投与を意図していることを指し示すように構成されている。より具体的には、第1の文字マーキング126(「AM」)は、第1のカプセル剤102が、午前の投与を意図されていることを指し示し、第2の文字マーキング128(「PM」)は、第2のカプセル剤104が、午後の投与を意図されていることを指し示す。以下により詳細に記載されているように、第1のカプセル剤102及び第2のカプセル剤104は、異なるタイプの薬物を含有し得る。したがって、第1の文字マーキング126及び第2の文字マーキング128は、カプセル剤の迅速かつ容易な特定及び投与指導遵守を促進する。
【0050】
図2は、複数種薬物送達系100(
図1に示されている。)に使用され得る第1のカプセル剤102の例の断面図であり、
図8は、複数種薬物送達系100に使用され得る追加の第1のカプセル剤102の断面図である。
【0051】
図3は、複数種薬物送達系100(
図1に示されている。)に使用され得る例示の第2のカプセル剤104の断面図である。例示的実施形態では、第2のカプセルボディ112は、第2の内部140を含み、これは、そこに少なくとも1つの第1の錠剤132を受けるようなサイズになる。単一の第1の錠剤132を収容することが例証されているが、複数種薬物送達系100が本明細書に記載されているように働くことを可能にする第2の内部140内に、任意の数の第1の錠剤132が含まれ得ることは理解されるべきである。第2のカプセルボディ112は、第2のボディ部分114及び第2のキャップ部分116を含む。第2のボディ部分114は、開口端部142を含み、端部はそこを通した第1の錠剤132の挿入を可能にするようなサイズになる。第1の錠剤132の、第2のボディ部分114への挿入後、第2のキャップ部分116は、2のボディ部分114と係合して、開口端部142を閉じ込め、第2の内部140を画定及びシールすることができる。
【0052】
第1のカプセルボディ106(
図2及び3に示されている。)及び第2のカプセルボディ112は、複数種薬物送達系100が、本明細書に記載されているように働くことを可能にする任意の材料から製造され得る。例示のカプセルボディ材料は、ゼラチン(ハードゼラチンカプセル剤又はソフト弾性ゼラチンカプセル剤の形態で)、デンプン、カラギーナン及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むが、それらに限定されない。第1のカプセルボディ106及び第2のカプセルボディ112は、嚥下を容易にし、味バリア(taste barrier)を備え、又は他の機能を備えるコーティングを用いてさらに調製され得る。
【0053】
上記のように、第1のカプセル剤102及び第2のカプセル剤104はそれぞれ、第1のカプセル剤102及び第2のカプセル剤104が、1日の異なる時間での投与を意図されている異なる薬物又は薬物の異なる組合せを含有し得る。したがって、第2のカプセル剤104は、その中に第1の錠剤132のみを含有し、その中に第2の錠剤134を含有しない。
【0054】
図17は、複数種薬物送達系100(
図1に示されている。)を収容及び運搬するために使用され得る例示的なパッケージ144の透視図である。例示的実施形態では、パッケージ144は、カートン146、及びカートン146内に位置するブリスターカード148を含む。カートン146は、その中に画定された接触用開口部152を有する第1の壁150を含む。接触用開口部152は、ブリスターカード148、より具体的には、それぞれ個別の第1のカプセル剤102又は第2のカプセル剤104を中に収容するように構成されたブリスターカード148の複数の区画154に接触するようなサイズになる。したがって、複数の第1のカプセル剤102及び複数の第2のカプセル剤104は、パッケージ144内に収容される。一実施形態では、区画154におけるパッケージ144内に収容される第1のカプセル剤102の数及び第2のカプセル剤104の数はそれぞれ、1週間における日数の倍数(例えば、7、14又は21)であり、各区画154又は区画154の集団は、1週間の各日に従って標識される。さらに、第1の壁150は、その上に、カプセル剤102及び104の互いを容易に区別する記号又は文字マーキングであり得る情報マーキング156を含む。情報マーキング156は、パッケージ144上に印刷され、第1のカプセル剤102及び第2のカプセル剤104を患者にいつ投与するかに関連する情報を含む。したがって、パッケージ144において、1週間における日数の倍数として区画154を含むこと、及び情報マーキング156を第1の壁150上に含むことは、患者による投与指導の遵守を促進する。
【0055】
本発明は、(a)1日2回投与される300mgの遊離酸当量のエラゴリクス;(b)1日1回投与される1mgのエストラジオール;及び(c)1日1回投与される0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含む複数種薬物カプセル剤組成物をさらに提供する。表A7は、組成物が健常ボランティアに投与される場合、この製剤に対する平均ピーク濃度Cmax及び平均曲線下面積AUC(t)を示す。本発明は、平均ピーク濃度Cmax及び平均曲線下面積、AUCτ、すなわち、表A7に示されているCmax又はAUCτの80%~125%をさらに含む。したがって、前記エラゴリクスに対する平均ピーク濃度、Cmaxは、1200±45% ng/mLの約80%~約125%又は約528~2175ng/mLである。前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmaxは、0.06±52% ng/mlの約80%~約125%又は0.023~0.114ng/mLである。前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmaxは、6.1±35% ng/mlの約80%~約125%又は3.172~10.294ng/mLである。さらに、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUCτは、2826±44% ng.hr/mLの約80%~約125%又は1266.0~5086.8ng.hr/mLである。前記エストラジオールに対する平均曲線下面積、AUCτは、0.86±38% ng.hr/mLの約80%~約125%又は0.4266~1.4835ng.hr/mLである。前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積、AUCτは、23.8±48% ng.hr/mLの約80%~約125%又は9.90~44.03ng.hr/mLである。
【0056】
本発明は、(a)1日2回投与される300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、(b)1日1回投与される1mgのエストラジオール;及び(c)1日1回投与される0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含む複数種薬物カプセル剤組成物をさらに提供する。表A7は、組成物が健常ボランティアに投与される場合、この製剤に対する平均ピーク濃度Cmax及び平均曲線下面積AUC(t)を示す。本発明は、平均ピーク濃度Cmax及び平均曲線下面積、AUCτ、すなわち、表A7に示されているCmax、AUCτの80%~125%をさらに含む。したがって、前記エラゴリクスに対する平均ピーク濃度、Cmaxは、1200ng/mLの約80%~約125%又は約960~1500ng/mLである。前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmaxは、0.06ng/mlの約80%~約125%又は0.048~0.075ng/mLである。前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmaxは、6.1ng/mlの約80%~約125%又は4.88~7.625ng/mLである。さらに、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUCτは、2826ng.hr/mLの約80%~約125%又は2260.8~3532.5ng.hr/mLである。前記エストラジオールに対する平均曲線下面積、AUCτは、0.86ng.hr/mLの約80%~約125%又は0.688~1.075ng.hr/mLである。前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積、AUCτは、23.8ng.hr/mLの約80%~約125%又は19.04~29.75ng.hr/mLである。
【0057】
本発明は、(a)1日2回投与される300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、(b)1日1回投与される1mgのエストラジオール、及び(c)1日1回投与される0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含む複数種薬物カプセル剤組成物をさらに提供する。表A7は、組成物が健常ボランティアに投与される場合、この製剤に対する平均ピーク濃度Cmax及び平均曲線下面積AUC(t)を示す。本発明は、平均ピーク濃度Cmax及び平均曲線下面積、AUCτ、すなわち、表A7に示されるCmax、AUCτの80%~125%をさらに含む。したがって、前記エラゴリクスに対する平均ピーク濃度、Cmaxは、629~1770ng/mLの約80%~約125%又は約503~2212.5ng/mLである。前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmaxは、0.053~0.062ng/mlの約80%~約125%又は0.0424~0.0775ng/mLである。前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmaxは、5.7~6.4ng/mlの約80%~約125%又は4.56~8.0ng/mLである。さらに、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUCτは、1534~4118ng.hr/mLの約80%~約125%又は1227.2~5147.5ng.hr/mLである。前記エストラジオールに対する平均曲線下面積、AUCτは、0.81~0.91ng.hr/mLの約80%~約125%又は0.688~1.1375ng.hr/mLである。前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積、AUCτは、22~26.3ng.hr/mLの約80%~約125%又は17.6~33.125ng.hr/mLである。
【0058】
いくつかの例では、本発明は、(a)300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、(b)1mgのエストラジオール、及び(c)0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含む経口複数種薬物カプセル剤組成物を提供する。
【0059】
組成物が、健常成人被験者に、表7(d)で描写されているように投与される場合、約503~2212.5ng/mLの、前記エラゴリクスに対する定常状態濃度Cmaxss、約0.0424~0.0775ng/mL ng/mlの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度Cmax、約4.56~8.0ng/mlの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度Cmax、約1227.2~5147.5ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積(AUCτ)、約0.0.688~1.1375ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対する平均曲線下面積AUC(t)、及び約17.6~33.125ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対するAUC(t)が生じる。別の実施形態では、組成物が、健常成人被験者に、表7(d)で描写されているように投与される場合、約1218.4~2185ng/mLの、前記エラゴリクスに対する平均ピーク濃度Cmax、約0.0424~0.0775ng/mL ng/mlの、前記エストラジオールに対するCmax、約4.56~8.0ng/mlの、前記酢酸ノルエチンドロンに対するCmax、約3293.6~5892.5ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積(AUC(t))、約0.0.688~1.1375ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対するAUC(t)、及び約17.6~33.125ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対するAUC(t)が生じる。
【0060】
別の実施形態では、本発明は、(a)300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、(b)1mgのエストラジオール、及び(c)0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含む経口複数種薬物カプセル剤組成物を提供する。組成物が、健常成人被験者に、表A7(c)又は表A7(d)に基づいて投与される場合、約503~2212.5ng/mLの、前記エラゴリクスに対する平均定常状態濃度、Cmaxss、約0.0424~0.0775ng/mLの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度Cmax、及び約4.56~8.0ng/mlの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmaxが生じる。
【0061】
一例では、経口複数種薬物カプセル剤組成物は、約1227.2~5147.5ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する定常状態曲線下面積、AUCτ、約0.0.688~1.1375ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対するAUCτ、及び約17.6~33.125ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対するAUCτを有する。
【0062】
別の実施形態では、本発明は、(a)300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、(b)1mgのエストラジオール、及び(c)0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含む経口複数種薬物カプセル剤組成物を提供する。組成物が、健常成人被験者に、表A7(c)又は表A7(d)に基づいて投与される場合、約1218.4~2185ng/mLの、前記エラゴリクスに対する平均ピーク濃度、Cmax、約0.0424~0.0775ng/mlの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度Cmax、及び約4.56~8.0ng/mlの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmaxが生じる。
【0063】
一例では、経口複数種薬物カプセル剤組成物は、約3293.6~5892.5ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUC(t)、約0.0.688~1.1375ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対するAUC(t)、及び約17.6~33.125ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対するAUC(t)を有する。
【0064】
別の実施形態では、本発明は、(a)300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、(b)1mgのエストラジオール、及び(c)0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含む経口複数種薬物カプセル剤組成物を提供し、さらに、健常成人被験者に、組成物が、表A7(c)及び表A7(d)に示されているように投与される場合、約1227.2~5147.5ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUCτ、約0.0.688~1.1375ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対するAUCτ、及び約17.6~33.125ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対するAUCτが生じる。
【0065】
別の例では、経口複数種薬物カプセル剤組成物は、約503~2212.5ng/mLの、前記エラゴリクスに対する定常状態ピーク濃度、Cmaxss、約0.0424~0.0775ng/mL ng/mlの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmaxss、及び約4.56~8.0ng/mlの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmaxssを生じる。
【0066】
別の実施形態では、本発明は、(a)300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、(b)1mgのエストラジオール、及び(c)0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含む経口複数種薬物カプセル剤組成物を提供し、さらに、健常成人被験者に、組成物が表A7(c)及び表A7(d)に示されているように投与される場合、約3293.6~5892.5ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUC(t)、約0.0.688~1.1375ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対するAUC(t)、及び約17.6~33.125ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対するAUC(t)が生じる。
【0067】
別の例では、経口複数種薬物カプセル剤組成物により、約1218.4~2185ng/mLの、前記エラゴリクスに対する平均ピーク濃度、Cmax、約0.0424~0.0775ng/mL ng/mlの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmax、及び約4.56~8.0ng/mlの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmaxが生じる。
【0068】
別の態様では、経口複数種薬物カプセル剤組成物は、1日2回投与される300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、1日1回投与される1mgのエストラジオール、及び1日1回投与される0.5mgの酢酸ノルエチドロンを含み、健常被験者への組成物の投与の結果は、表A7(a)又は表A7(b)に示されている。この投与では、約528~2175ng/mLの、前記エラゴリクスに対する定常状態濃度、Cmaxss、約0.023~0.114ng/mLの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmax、約3.172~10.294ng/mlの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmax、約1266.0~5086.8ng.hr/mlの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUCτ、約0.4266~1.4835ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対する平均曲線下面積、AUCτ、及び約9.90~44.03ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積、AUCτ。
【0069】
別の態様では、経口複数種薬物カプセル剤組成物は、1日2回投与される300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、1日1回投与される1mgのエストラジオール、及び1日1回投与される0.5mgの酢酸ノルエチドロンを含み、さらに健常被験者への組成物の投与により、約960~1500ng/mLの、前記エラゴリクスに対する平均定常状態濃度、Cmaxss、約0.048~0.075ng/mLの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmaxss、約4.88~7.625ng/mlの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmaxss、約2260.8~3532.5ng.hr/mlの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUCτ、約0.688~1.075ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対する平均曲線下面積、AUCτ、及び約19.04~29.75ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積、AUCτが生じる。
【0070】
一例では、経口複数種薬物カプセル剤は、約1266.0~5086.8ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUCτ、約0.4266~1.4835ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対する平均曲線下面積、AUCτ、及び約9.90~44.03 1.4835ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積、AUCτを有し得る。
【0071】
別の態様では、経口複数種薬物カプセル剤組成物は、1日2回投与される300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、1日1回投与される1mgのエストラジオール、及び1日1回投与される0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含み、さらに、健常成人被験者への組成物の投与により、約0.4266~1.4835ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対する平均曲線下面積、AUCτ、及び約9.90~44.03ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積、AUCτが生じる。
【0072】
一例では、健常成人被験者への、複数種薬物カプセル剤組成物の投与により、約528~2175ng/mLの、前記エラゴリクスに対する平均定常状態濃度、Cmaxss、約0.023~0.114ng/mLの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmaxss、及び約3.172~10.294ng/mlの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmaxssがさらに生じ得る。
【0073】
一例では、(a)1日2回投与される300mgの遊離酸当量のエラゴリクス;(b)1日1回投与される1mgのエストラジオール;及び(c)1日1回投与される0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含み、50rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃でUSP装置2を使用して、第1の錠剤における第1の薬物の少なくとも75%は、60分後に溶解し、第2の錠剤における第2及び第3の薬物の少なくとも70%は、30分後に溶解する、経口複数種薬物カプセル剤組成物が提供される。
【0074】
一例では、(a)1日2回投与される200mgの遊離酸当量のエラゴリクス、(b)1日1回投与される1mgのエストラジオール、及び(c)1日1回投与される0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含み、50rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃でUSP装置2を使用して、第1の錠剤における第1の薬物の少なくとも75%は、60分後に溶解し、第2の錠剤における第2及び第3の薬物の少なくとも70%は、30分後に溶解する、経口複数種薬物カプセル剤組成物が提供される。
【0075】
別の態様では、経口複数種薬物カプセル剤組成物は、300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、1mgのエストラジオール、及び0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含み、単回用量の組成物の、健常成人被験者への投与後に、約1218.4ng/mL~約2185ng/mLの前記エラゴリクスに対する平均ピーク濃度(Cmax)、約0.0424ng/mL~約0.0775ng/mLの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度(Cmax)、約4.56ng/mL~約8.0ng/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度(Cmax)、約3293.6ng.hr/mL~約5892.5ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積(AUC(t))、約0.688ng.hr/mL~約1.1375ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対する平均曲線下面積(AUC(t))、及び約17.6ng.hr/mL~約33.125ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積(AUC(t))が生じる。
【0076】
別の態様では、複数種薬物カプセル剤組成物は、300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、1mgのエストラジオール、及び0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含み、単回用量の組成物の、健常成人被験者への投与により、約1218.4ng/ml~約2185ng/mLの、前記エラゴリクスに対する平均ピーク濃度、Cmax、約0.0424ng/ml~約0.0775ng/mlの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmax、及び約4.56ng/ml~約8.0ng/mlの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmaxが生じる。
【0077】
一例では、複数種薬物組成物は、約3296.6ng.hr/mL~約5892.5ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUC(t)、約0.688ng.hr/mL~約1.1375ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対する平均曲線下面積、AUC(t)、及び約17.6ng.hr/mL~約33.125ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積、AUC(t)を有する。
【0078】
一態様では、複数種薬物カプセル剤組成物は、300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、1mgのエストラジオール、及び0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含み、単回用量の組成物の、健常成人被験者への投与により、約3293.6ng.hr/mL~約5892.5ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均曲線下面積、AUC(t)、約0.0.688ng.hr/mL~約1.1375ng.hr/mLの、前記エストラジオールに対する平均曲線下面積、AUC(t)、及び約17.6ng.hr/mL~約33.125ng.hr/mLの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均曲線下面積、AUC(t)が生じる。
【0079】
一例では、複数種薬物カプセル剤の、健常成人被験者への投与により、約1218.4ng/mL~約2185ng.hr/mLの、前記エラゴリクスに対する平均ピーク濃度、Cmax、約0.0424ng.hr/mL~約0.0775ng/mL ng/mlの、前記エストラジオールに対する平均ピーク濃度、Cmax、及び約4.56ng.hr/mL~約8.0ng/mlの、前記酢酸ノルエチンドロンに対する平均ピーク濃度、Cmaxが生じる。
【0080】
別の態様では、経口複数種薬物カプセル剤組成物は、300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、1mgのエストラジオール、及び0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含み、50rpm、pH6.8及び37.5±0.5℃でUSP装置2を使用して、第1の錠剤における第1の薬物の少なくとも75%は、60分後に溶解し、第2の錠剤における第2及び第3の薬物の少なくとも70%は、30分後に溶解する。
【0081】
本発明は、本明細書に記載されている複数種薬物カプセル剤のいずれかと生物学的に等価である、経口複数種薬物カプセル剤組成物をさらに提供する。
【0082】
別の態様では、経口複数種薬物カプセル剤組成物は、子宮筋腫を除去するための手術に先駆けて(手術前に)子宮筋腫の体積を減少させるのに有用であり得る、300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、1mgの遊離酸当量のエストラジオール、及び0.5mgの遊離酸当量の酢酸ノルエチンドロンを含む。
【0083】
別の態様では、エストラジオール及び酢酸ノルエチンドロン治療に加えた一定用量のエラゴリクスは、子宮内膜症を伴う疼痛を処置するのに有用であり得る。例えば、一実施形態では、1mg遊離酸当量のエストラジオール及び0.5mg遊離酸当量のノルエチンドロンに加えた200mgの遊離酸当量のエラゴリクスは、子宮内膜症を伴う疼痛を処置するのに有用であり得る。
【0084】
別の態様では、子宮平滑筋腫(筋腫)を伴う重い月経出血を処置する方法は、300mgの遊離酸当量のエラゴリクス、1mgのエストラジオール、及び0.5mgの酢酸ノルエチンドロンを含むカプセル剤の、子宮平滑筋腫(筋腫)に罹患した成人女性患者への1日1回の経口投与を含み、方法により、約1218.4ng.hr/mL~約2185ng/mLのエラゴリクスに対する;約0.0424ng/mL~約0.0775ng/mLのエストラジオールに対する;約4.56ng/mL~約8.0ng/mLの酢酸ノルエチンドロンに対する平均Cmax、並びに、約3293.6ng.hr/mL~約5892.5ng.hr/mLのエラゴリクスに対する;約0.0.688ng.hr/mL~約1.1375ng.hr/mLのエストラジオールに対する;及び約17.6ng.hr/mL~約33.125ng.hr/mLの酢酸ノルエチンドロンに対する平均AUC(t)が生じる。
【実施例】
【0085】
[実施例1]
エラゴリクスを伴うエストラジオール(E2)及びノルエチンドロン(NETA)錠剤
圧縮オーバーコート。
図4Aに示されている。
【0086】
エラゴリクス/E2/NETA錠剤400は、
図4Aに示されているようにエラゴリクス粒剤401を使用して、商業的に供給されたE2/NETA錠剤403を圧縮コーティングでコーティングすることにより調製した。錠剤400の組成は、表1に示されており、顆粒の組成は、表2に、及び処理工程は、
図10に示されている。
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
[実施例2]
E2/NETA錠剤を含有するエラゴリクス錠剤。
図4Bに示されている。
【0091】
エラゴリクス/E2/NETA錠剤は、
図10に示されている処理工程に従って調製した。実施例2の錠剤410は、まず最終ブレンドを装填し、続いてActivella(登録商標)錠剤403を、粉末床の表面に置き、続いて手作業で圧縮することにより調製した。錠剤410の組成は、表4に示され、錠剤410は、
図4Bに示されている。
【0092】
【0093】
[実施例3]
エラゴリクス及びE2/NETA二重層錠剤。
図5に示されている。
【0094】
図3に示されているエラゴリクス501及びE2/NETA層503からなる二重層錠剤500は、以下の実施例を使用して調製した。
【0095】
[実施例3-1]
エラゴリクス/E2/NETA錠剤500は、
図11Aに示されている処理工程に従って調製した。
【0096】
(錠剤の組成は、表6に示されている。
【0097】
【0098】
【0099】
[実施例3-2]
エラゴリクス/E2/NETA錠剤500は、
図11Bに示されている処理工程に従って調製した。
【0100】
錠剤500の組成は、表7に示されている。
【0101】
【0102】
[実施例3-3]
エラゴリクス/E2/NETA錠剤500は、
図11Cに示されている処理工程に従って調製した。
【0103】
錠剤500の組成は、表8に示されている。
【0104】
【0105】
[実施例3-4]
エラゴリクス/E2/NETA錠剤は、
図11Dに示されている処理工程に従って調製した。
【0106】
錠剤の組成は、表9に示されている。
【0107】
【0108】
[実施例4]
E2/NETAオーバーコートを伴うエラゴリクス錠剤。
図6に示されている。
【0109】
エラゴリクス/E2/NETA錠剤は、
図4に示されているE2/NETA製剤の層形成を使用して、エラゴリクス錠剤601をコーティングすることにより調製した。エラゴリクス錠剤601は、まず実施例3-1に記載されている最終ブレンドを使用して、錠剤プレスにて標的錠剤の重量の352.7mgで圧縮した。錠剤は、
図12に示されている処理工程を使用して調製した。錠剤600の組成は、表9に示されている。
【0110】
【0111】
[実施例5]
エラゴリクス及びE2/NETA二重層錠剤。
図7に示されている。
【0112】
二重層錠剤は、
図7に示されているように、エラゴリクス製剤701の1層、及び包埋されているE2/NETA錠剤703を有する急速崩壊層705からなり、これは、溶解テストのために調製した。各層の組成は、表10で示されており、
図13に示されている処理工程に従って調製した。
【0113】
さらに、バレル温度の設定は、表11で示されている。
【0114】
急速崩壊層705は、商業的に供給された賦形剤の複合体of Prosolv EASYtab(JRS Pharma)及び1つの商業的に供給されたE2/NETA錠剤703(Breckenridge Pharmaceutical Inc.)を含有する。二重層錠剤700は、(1)80mg EASYtab、(2)1つのE2/NETA錠剤、(3)80mg EASYtab及び(3)529mgエラゴリクス粒剤を成形用具A2310のダイに連続的に詰めることにより個々に調製し、続いて最終錠剤に圧縮した。
【0115】
【0116】
【0117】
[実施例6]
エラゴリクス及びE2/NETAカプセル剤。
図2に示されている
【0118】
図2に示されている実施例6のカプセル剤は、患者が嚥下するのに容易な、また、製造するのが簡易な体裁をとる。カプセル剤は、
図14に示されている処理工程に従って調製した。この製剤は、エラゴリクス/E2/NETAの望ましい同時投与を可能にし、これにより、続いてエラゴリクス、E2及びNETAの治療効果と安全性効果のバランスが望ましくなる。GnRHアンタゴニスト、例えばエラゴリクスの外からの添加は、ある有害作用を生み出し得るホルモンを調節する。これらの有害作用は、適切な投薬量による投与、及び、患者が、エラゴリクス投与の競合的拮抗により悪影響を受けないようにエラゴリクスと行われるE2/NETAの製剤で、効率的に相殺され得る。このカプセル剤の組成は、表12に示されている。予め形成されたE2/NETA錠剤134を実施例6のカプセル剤に使用することにより、エストラジオール(E2)ホルモンのさらなる取扱いが避けられる。
【0119】
【0120】
[実施例7]
カプセル剤におけるエラゴリクス錠剤。
図8に示されている。
【0121】
エラゴリクス粒剤は、先に記載されているように製造された(実施例1を参照されたい。)。さらに、カプセル剤は、
図15に示されている処理工程に従って調製した。
【0122】
【0123】
[実施例8]
カプセル剤におけるエラゴリクス溶融顆粒及びE2/NETA錠剤。
図9に示されている。
【0124】
エラゴリクス溶融顆粒901及びE2/NETA錠剤903を含有するカプセル剤900は、
図16に示されている処理工程に従って調製した。実施例6及び1つのE2/NETA錠剤(Activella(登録商標))903は、溶解テストのために、
図9に示されているように、サイズ00のカプセル剤901中に。カプセル剤900は、内部空間910に、空気又は任意の他の好適なフィラーを含み得る。いくつかの例では、エラゴリクス溶融顆粒901及びE2/NETA錠剤903は、カプセル剤900内で混合され得る/そこに一緒に入れられ得る。
【0125】
[実施例9A]
実施例1~8の溶解テスト
非晶質エラゴリクスのゲル化性は、エラゴリクス及びE2/NETAの両方を含有する製剤における予測不可能性を生み出す。エラゴリクスが、抗ゲル化剤、例えば炭酸ナトリウムの存在下で、どのようにE2/NETAと相互作用するかは不明である。
【0126】
実施例1~8に対するエラゴリクス剤形のインビトロ溶解は、50rpm、900mLの0.05M pH6.8リン酸緩衝液中、37.5±0.5℃で、USP装置2を使用してテストし、表15~25に示されている。濾液は、HPLCにより分析した。エラゴリクス、E2及びNETAは、それぞれ310、220又は241nmの複数の波長検出器により判定した。
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
[実施例9B]
実施例6の溶解テスト
実施例6に対するエラゴリクス剤形のインビトロ溶解は、100rpmで、37℃にて維持した900mLの0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.8を用いて、USP装置1を使用してテストした。示されている溶解放出を測定し、様々な時間間隔での放出は、表26、
図29A(エラゴリクス放出)、29B(E2放出)及び29C(NETA放出)に示されている。濾液を、HPLCにより分析した。エラゴリクス、E2及びNETAは、それぞれ310、220又は241nmの複数の波長検出器により判定した。
【0139】
【0140】
[実施例10]
剤形及び投与
薬物送達系100は、「AM」126で標識した朝用カプセル剤102を含む。カプセル剤102は、白色及び黄色であり、追加の識別標識「EL300」を含む。カプセル剤102は、約300mgエラゴリクス、約1mgエストラジオール及び約0.5mg酢酸ノルエチンドロンを含む。カプセル剤104は白色及び薄青色である「PM」で標識され、「EL300」とも標識される。いくつかの例では、カプセル剤104は、約300mgエラゴリクスを含み得る。各カプセル剤102、104は、毎日、各日ほぼ同時に経口的に投与されるべきである(例えば朝に102を服用し、夕方にカプセル剤104を服用する。)。一実施形態では、カプセル剤のそれぞれは、食品の有無を問わずに服用することができ、カプセル剤は、約48カ月毎日投与され得る。別の実施形態では、カプセル剤のそれぞれは、食品の有無を問わずに服用することができ、カプセル剤は、約60カ月毎日投与され得る。別の実施形態では、カプセル剤のそれぞれは、食品の有無を問わずに服用することができ、カプセル剤は、約72カ月毎日投与され得る。別の実施形態では、カプセル剤のそれぞれは、食品の有無を問わずに服用することができ、カプセル剤は、約6カ月、約12カ月、約12~24カ月、約24~36カ月、約36~48カ月、約48~60カ月又は約60~72カ月毎日投与され得る。処置の持続期間は、骨塩量減少又は任意の他の有害作用の評価に基づいて拡大でき、例えば、女性が24カ月の持続期間処置され、正のベネフィットリスクプロファイルを有し続けた場合、処置の持続期間は、36カ月以上に拡大できる。骨塩量減少は、処置の継続のために、放射線撮影技術、例えばDXAスキャンを含む任意の好適な方法を使用して評価され得る。患者が用量を欠いた場合、患者は、用量を服用するはずだった時間の4時間以内に欠いた用量を服用するように指導されるべきであり、続いて、次の用量を通常の時間に服用することができる。しかし、欠いた用量が通常通りに服用されてから4時間超が経過した場合、患者は、欠いた用量を服用するべきではなく、次の用量を通常の時間に服用するべきである。1日につき、朝に1つ及び夕方に1つのみのカプセル剤を服用するべきである。
【0141】
[実施例11]
有害反応、臨床的トライアル実験
実施例10の系の安全性は、2件の無作為化二重盲検プラセボ対照研究[UF-1(NCT02654054)及びUF-2(NCT02691494)]で評定し、ここでは、790名の閉経前女性がエラゴリクス、1日2回のエラゴリクス300mg又はプラセボを6カ月受けた。1日2回のエラゴリクス300mgは、エストラジオール/酢酸ノルエチンドロン(E2/NETA)の安全性及び効力に対する影響を特徴付けるために参照治療群として含まれた。UF-1又はUF-2での6カ月の処置期間を完了し、選択基準を満たした女性は、12カ月までの全体の処置持続期間にわたりエラゴリクス又は1日2回のエラゴリクス300mgを受ける、非対照盲検6カ月延長研究[UF-EXTEND(NCT02925494)]に入った。
【0142】
通例の有害反応
UF-1及びUF-2において、実施例10の系で処置した女性に最も多く報告された(少なくとも10%の発生率)有害反応は、ホットフラッシュ及び/又は寝汗であった(表A1を参照されたい。)。UF-1及びUF-2において、エラゴリクスで処置した女性の9.6%(n=38)、及びプラセボを受けた女性の6.6%(n=13)で、何らかの有害事象による治療の中止が発生した。実施例10の系を受けた女性の≧5%で報告され、プラセボより頻度が高い有害反応は、表A1で示されている。
【0143】
【0144】
研究UF-1及びUF-2では、実施例10の系で処置した女性の9.6%(n=38)、及びプラセボを受けた女性の6.6%(n=13)で、何らかの有害反応による治療の中止が発生した。
【0145】
それほど一般的ではない有害反応
研究UF-1及びUF-2では、実施例10の系の群において≧3%及び<5%で、また、プラセボ群より高い頻度で報告されている有害反応は、性欲減退、関節痛、高血圧、脱毛、気分動揺、腹部膨満、月経過多、インフルエンザ、上気道感染、嘔吐及び体重増加を含んでいた。延長トライアル(研究UF-EXTEND)において最も多く報告されている有害反応は、プラセボ-対照トライアルにおけるものと同様であった。
【0146】
骨減少
実施例10の系のBMDに対する効果は、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)により評価した。研究UF-1及びUF-2では、実施例10の系で処置した女性において、プラセボと比較して、BMDの大幅な減少が認められた。実施例10の系を受けた女性での、6カ月目及び12カ月目における腰椎BMDにおけるベースラインからの平均変化は、プラセボを受けた女性と比較して、それぞれ-0.6%及び-1.5%であり、表A2で提示されている。
【0147】
【0148】
延長研究UF-EXTENDでは、実施例10の系を用いた12カ月の連続した処置で、継続する骨減少を観察した。研究UF-1及びUF-2における処置6カ月目での、及び研究UF-EXTENDにおける処置12カ月目での、腰椎、臀部全体又は大腿骨頸における8%超のBMD減少を経験した女性の比率は、表A3で提示されている。
【0149】
【0150】
回復について評価するために、実施例10の系を用いた連続処置を12カ月までにわたり受けた女性、及び、次いで治療休止後にさらに12カ月受けた女性で、腰椎BMDにおける変化を長期間にわたって分析した(
図19)。実施例10の系を休止した12カ月後、脊椎、臀部全体及び大腿骨頸において、それぞれ女性の24%、32%及び38%で継続する骨減少を観察した。これらの女性のうち、1名を除いて腰椎におけるBMDの≦3%の減少が示され、臀部部位では全員で≦5%の減少が示された。骨減少の完全回復を、実施例10の系を用いた処置の12カ月後に、脊椎、臀部全体及び大腿骨頸で骨が減少した女性の31%、36%及び24%でそれぞれ観察した。残りの女性は、部分的回復を示し、これらの女性における最大限の回復までの時間は不明である。
【0151】
全体として、現行の300mg BIDエラゴリクス製剤にE2/NETAが存在する(実施例10の系)と、E2/NETAなしの300mg BIDのエラゴリクス単体と比較して、BMD減少が低下する。
【0152】
自殺念慮、自殺行為及び気分障害の悪化
プラセボ-対照トライアル(研究UF-1及びUF2)では、実施例10の系は、有害な気分の変化を伴っていた。鬱病、抑鬱気分及び/又は涙もろさが、プラセボ群における1%と比較して、実施例10の系を受けた女性の3%で報告された。
【0153】
肝臓のトランスアミナーゼ上昇
研究UF-1及びUF-2では、実施例10の系を受けた女性の1.1%(4/379)、エラゴリクス300mgを1日2回受けた女性の2.2%(4/184)で、基準範囲の上限(ULN)の少なくとも3倍まで、無症状の血清ALT上昇が発生し、プラセボを受けていない女性では認められなかった。ALTの上昇は、ULNの8倍まで報告された。ビリルビンの同時上昇は、報告されなかった。
【0154】
脂質パラメーターにおける変化
総コレステロール、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)、血清トリグリセリド及びアポリポタンパク質Bの上昇は、UF-1及びUF-2における実施例10の系の処置中に記録された。UF-1及びUF-2では、ベースラインでLDL-Cが緩やかに上昇(130~159mg/dL)していた被験女性の16.7%及び0%はそれぞれ、実施例10の系及びプラセボを用いた処置中に、190mg/dL以上のLDL-C濃度の上昇を示し、プラセボを受けた女性はLDL-Cのそのような上昇を示さなかった。UF-1及びUF-2では、ベースラインで血清トリグリセリドが緩やかに上昇(150~300mg/dL)していた被験者の1.5%及び5.6%はそれぞれ、実施例10の系及びプラセボを用いた処置中に500mg/dL超までの血清トリグリセリドの上昇を示した。実施例10の系を用いた処置中に測定された最高血清トリグリセリド濃度は、852mg/dLであった。実施例10の系を受けた女性では、脂質の変化は可逆性であり、上昇した脂質レベルは、処置休止後の3カ月以内のベースラインレベル近くに戻った。臨床トライアルでは、膵炎のケースは報告されなかった。
【0155】
実施例10の系を用いた治療の6カ月の休止後、月経の再開が、UF-1では1、2及び6カ月以内の女性のそれぞれ39.0%、687.8%及び732.9%、また、UF-2では1、2及び6カ月以内の女性のそれぞれ39.0%、84.75%及び91.52%により報告された。実施例10の系(UF-1又はUF2、次いでUF-EXTEND)を用いた治療の12カ月後、UF-EXTENDでは2回目の6カ月の処置中、無月経の発生率は、実施例10の系で毎月60.0%~71.6%の範囲であり、月経の再開は、処置を止めた後で、1、2及び6カ月内で女性のそれぞれ40.8X%、79.3X%及び89.7X%により報告された。月経を再開しなかった被験者が、閉経周辺期から閉経後状態へと移行しているか否かは不明である。
【0156】
子宮内膜の効果
UF-1、UF-2及びUF-EXTENDでは、子宮内膜生検を6カ月で行った。実施例10の系で処置した女性に子宮内膜の肥厚又はがんがなかったことを含めて、異常な生検所見はなかった。超音波に基づいて、UF-1及びUF-2における実施例10の系の処置により、子宮内膜の平均厚さの減少がベースラインから6カ月目までに生じた(-1.65mm)。
【0157】
[実施例12]
薬物の相互作用
実施例10の系が他の薬物に影響を与える可能性
エラゴリクスは、シトクロムP450(CYP)3A)の弱い、ないしは中等度の誘発物質である。実施例10の系との同時投与は、CYP3Aの基質である薬物の血漿中濃度を低下させ得る。エラゴリクスは、CYP2C19の弱い阻害剤である。実施例10の系との同時投与は、CYP2C19の基質である薬物(例えば、オメプラゾール及びエソメプラゾール)の血漿中濃度を上昇させ得る([表A5を参照されたい。)]。
【0158】
エラゴリクスは、排出輸送体P-糖タンパク質(P-gp)の阻害剤である。実施例10の系との同時投与は、P-gpの基質である薬物(例えばジゴキシン)の血漿中濃度を上昇させ得る([表A5を参照されたい。])。
【0159】
薬物相互作用 - 実施例及び臨床管理
実施例10の系を同時投与することによる、併用薬の濃度に対する効果、及び、併用薬の実施例10の系に対する効果、これらの相互作用に対する臨床的推奨は、表A5で要約されている。
【0160】
【0161】
[実施例13]
特定の集団における使用
妊娠初期における実施例10の系への曝露は、早期妊娠損失の危険性を上昇させるおそれがある。実施例10の系の使用は、妊娠した女性では禁忌である。実施例10の系は、処置中に妊娠が発生した場合、中止すべきである。妊娠したラット及びウサギが、器官形成の期間中にエラゴリクスを経口投与された場合、妊娠したラットにおいて、最大推奨ヒト用量(MRHD)の12倍の用量で、着床後の損失が観察された。ウサギでは、MRHDの4倍及び7倍の用量で、自然流産及び全同腹子の損失が観察された。ラット及びウサギでは、それぞれMRHDの25倍及び7倍までの曝露で、胎仔に構造的異常は認められなかった。
【0162】
ヒトのデータ
第3相の子宮筋腫の臨床トライアルにおいて、実施例10の系を受けた女性453名のうち、1名の妊娠が報告された。妊娠は、自然流産に至り、妊娠の最初の18日間中に胎児の実施例10の系への曝露が発生したと見積もられた。
【0163】
動物のデータ
胚胎仔発生研究を、ラット及びウサギにおいて実施した。エラゴリクスを、妊娠したラット(動物25匹/用量)に0、300、600及び1200mg/kg/日の用量で、及びウサギ(動物20匹/用量)に0、100、150及び200mg/kg/日の用量で、器官形成の期間中に(ラットで妊娠6~17日及びウサギで妊娠7~20日)、強制経口投与により、投与した。ラットでは、すべての用量で母体毒性が提示され、これには、6匹の死亡、並びに体重増加及び摂食量における減少が含まれた。着床後の損失増加は、MRHDに基づくAUCの12倍である中用量群で提示された。ウサギでは、MRHDに基づくAUCの7倍である最高の非母体毒性量で、3匹の自然流産及び1匹の全同腹子の損失が観察された。1匹の全同腹子の損失は、MRHDの4倍である150mg/kg/日のより低い母体非毒性量でも発生した。胎仔奇形は、母体毒性の存在下でさえ、いずれの種でも、テストされたいかなる用量段階でも提示されなかった。
【0164】
テストされた最高用量で、曝露マージンは、ラット及びウサギでそれぞれ、MRHDの25倍及び7倍であった。しかし、エラゴリクスは、ラットのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体に弱く(ヒトGnRH受容体の約1000分の1)結合するため、ラット研究は、胚胎仔発生に対する、エラゴリクスの薬理学的に媒介される効果を特定しにくい。ラット研究は、それでもエラゴリクスの潜在的な非標的関連効果(non-target-related effect)に関する情報を示すと予想される。ラットでの出生前及び出生後発生研究では、エラゴリクスは、妊娠6日~授乳20日まで0、100及び300mg/kg/日(投与群当たり25匹)の用量を達成するために食餌中に与えられた。母体毒性の証拠は認められなかった。最高用量で、2匹の母獣が全同腹子の損失を示し、1匹が出産できなかった。出生から出生後4日の仔の生存率は低下した。仔は、より少ない出生時体重を示し、300mg/kg/日では離乳前の期間を通じてより少ない体重増加が観察された。体の大きさ、及び驚愕応答に対する効果が小さいと、300mg/kg/日で、仔の重量の減少を伴う。離乳前の期間の成長、発生及び挙動エンドポイントは影響を受けなかった。100及び300mg/kg/日(47及び125ng/mL)での、授乳21日のラットにおける母体血漿中濃度は、ヒトにおけるMRHDの最大エラゴリクス濃度(Cmax)の0.04倍及び0.1倍であった。ラットで達成される曝露は、ヒトMRHDよりはるかに低かったため、この研究は、ヒトにおける潜在的により高い授乳曝露を予測しない。
【0165】
授乳
危険性の要約
実施例10の系は、授乳中に推奨されない。ヒト母乳に実施例10の系が存在すること、母乳を与えられる子に対する効果、又は母乳生成に対する効果に関しての情報は限定されている。
【0166】
データ
ヒト母乳におけるエラゴリクス又はその代謝産物が存在すること、母乳を与えられる子に対する効果、又は母乳生成に対する効果に関しての情報は認められない。授乳中の女性へのエストロゲン投与は、母乳の量の減少及び質の低下を示した。検出可能な量のエストロゲン及びプロゲスチンが、エストロゲン及びプロゲスチンの組合せを受けた女性の母乳で確認された。母乳におけるエラゴリクスの排泄に関して、十分な動物データは認められない。母乳を与えることの発生及び健康上の利益は、母親の、実施例10の系に対する臨床的必要性、及び、母乳を与えられる子に対する、実施例10の系又は根底にある母体状態による何らかの潜在的有害作用と併せて考慮すべきである。
【0167】
[実施例14]
臨床薬理学
作用機序
実施例10の系は、エラゴリクス、GnRH受容体アンタゴニスト及びエストラジオール/酢酸ノルエチンドロン(E2/NETA)、エストロゲン及びプロゲスチンの外因性の組合せ(exogenous combination)を組み合わせる。エラゴリクスは、下垂体におけるGnRH受容体に競合的に結合することにより、内因性GnRHシグナル伝達を阻害する。エストロゲン、例えばE2は、エストロゲン応答性組織における核内受容体への結合を介して作用する。プロゲスチン、例えばNETAは、細胞分化を向上させ、一般的に、エストロゲン受容体レベルを低下させること、エストロゲンの局所代謝を増加させて、活性代謝物を少なくすること、又はエストロゲンに対する細胞応答を鈍らせる遺伝子生成物を誘導することにより、エストロゲンの作用を妨害する。プロゲスチンは、標的遺伝子におけるプロゲステロン応答要素と相互作用する特定のプロゲステロン受容体に結合することにより、標的細胞において効果を発揮する。
【0168】
薬物動態
ゴナドトロピン及び卵巣ホルモンに対する効果。エラゴリクスの投与により、黄体形成ホルモン(LH)及び卵胞刺激ホルモン(FSH)の用量依存的抑制が生じ、卵巣性ホルモン、エストラジオール及びプロゲステロンの血中濃度の低下が引き起こされる。E2/NETA成分は、内因性エストロゲン及びプロゲステロンを補充する。第3相トライアルでは、実施例10の系を6カ月投与した子宮筋腫を有する女性においてLH及びFSHは、それぞれおよそ0.40~0.70mIU/mL及び1.8~2.5mIU/mLであり、およそ42~51pg/mLのエストラジオール及びおよそ0.37~0.38nMのプロゲステロンの濃度中央値を生じた。
【0169】
閉経前の健常な女性被験者における複数回漸増用量研究では、エラゴリクス150mg QD又は100、200、300又は400mg BID又はプラセボを21日間投与した。性ホルモンの用量依存的抑制は、1日目に、最初の用量投与後数時間以内に急速に達成され、21日間続き、最大E2抑制は、200mg BID以上のエラゴリクス用量で達成された。≧100mg BIDのエラゴリクス用量では、P濃度は、21日間の投与を通じて、無排卵レベルで留まった。FSH及びLHの用量依存的抑制も観察され、最大又は最大に近い抑制は、それぞれ300mg BID及び200mg BIDのエラゴリクス用量で達成された。LH及びFSHは、プラセボと比較して抑制されたが、LHの抑制は、150mg QD群を除くすべての群でFSHのものより顕著であった。エラゴリクス投与が止められたとき、LH及びFSHレベルは、最後の投与後24時間以内上昇し、E2レベルは、最後の用量が投与された24時間後に上昇し始めた。異なる用量及び投与レジメンのエラゴリクス単体、又はそれとホルモンアドバック治療用量のActivella(登録商標)(E2/酢酸ノルエチンドロン、1/0.5mg)の、排卵、卵巣活性及び卵巣予備能に対する効果は、閉経前の健常成人女性における非盲検研究で評定した。
【0170】
3カ月処置相中に、1週間に3回のホルモンサンプリングにより、ゴナドトロピン及び卵巣ホルモンの抑制を用量依存的手段で観察した。150mg QD用量で観察される平均E2レベルは、およそ40~50pg/mLであり、部分的E2抑制と一致した。一方、また、以前の研究と一致して、およそ20~40pg/mLの平均E2レベルである、200mg BID及び300mg BIDレジメンで最大に近い抑制を観察した。しかし、前記用量のActivellaがエラゴリクス300mg BID レジメンと投与される場合、平均E2レベルは、外来E2投与により、150mg QDレジメンで観察されるレベルをわずかに超えて上昇すると思われる。
【0171】
排卵に対する効果
健常女性における実施例10の系の月経周期3回の研究では、およそ10%が排卵した。
【0172】
心臓電気生理学
エラゴリクスのQTc間隔に対する効果は、48名の健常な閉経前の成人女性での、無作為化プラセボ及び陽性対照、非盲検、単回用量、クロスオーバーの、綿密なQTc研究で評定した。1200mgの単回用量を与えられた女性におけるエラゴリクス濃度は、1日2回のエラゴリクス300mgを受けた女性における濃度より9倍高かった。臨床的に関連性があるQTc間隔の延長は認められなかった。
【0173】
薬物動態
健常被験者における実施例10の系の薬物動態学的性質は、表A6で要約されている。絶食条件下における定常状態の薬物動態パラメーターは、表A7で要約されている。
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
特定集団
腎障害
エラゴリクス曝露(Cmax及びAUC)は、腎障害により変化しなかった。エラゴリクス平均血漿曝露は、通常の腎臓機能を有する女性と比較して、中等度から重度又は末期腎疾患を有する女性(透析を受けている女性を含む。)で同様であった。腎障害の、E2/NETAの薬物動態に対する効果は、研究されていない。
【0180】
肝臓障害を有する患者
エラゴリクス曝露(Cmax及びAUC)は、通常の肝臓機能を有する女性と軽度の肝臓障害を有する女性の間で同様であった。中等度及び重度の肝臓障害を有する女性におけるエラゴリクス曝露は、通常の肝臓機能を有する女性の曝露より、それぞれおよそ3倍及び7倍高かった。肝臓障害の、E2/NETAの薬物動態に対する効果は、研究されていない。
【0181】
人種又は/民族集団
白人と黒人被験者の間、又はヒスパニックなどの間で、エラゴリクスの薬物動態において臨床的に有意な差は観察されなかった。日本人と漢民族被験者の間で、エラゴリクスの薬物動態において臨床的に有意な差は認められなかった。人種/民族性の、E2/NETAの薬物動態に対する効果は、研究されていない。
【0182】
体重/ボディマスインデックス
体重又はボディマスインデックスは、エラゴリクスの薬物動態に影響を与えない。体重/ボディマスインデックスの、E2/NETAの薬物動態に対する効果は、研究されていない。
【0183】
薬物相互作用研究
薬物相互作用研究を、エラゴリクス、及び同時投与されやすい他の薬物、及び薬物動態学的相互作用に対するプローブとして通例使用される薬物で行った。表8及び9は、エラゴリクスがこれらの薬物と同時投与された場合の薬物動態学的効果を要約する。
【0184】
【0185】
エラゴリクス300mgが、ロスバスタチン(20mg、1日1回)、セルトラリン(25mg、1日1回)又はフルコナゾール(200mg、単回用量)と同時投与された場合、エラゴリクス曝露における臨床的に有意な変化は観察されなかった。同時投与されるロスバスタチン、セルトラリン又はフルコナゾールの、E2/NETAに対する効果は、研究されていない。
【0186】
【0187】
セルトラリン、フルコナゾール、ブプロピオン又は経皮パッチE2/NETA 0.51/4.8mgの曝露における臨床的に有意な変化は、1日2回のエラゴリクス300mgと同時投与された場合、観察されなかった。
【0188】
薬理ゲノム学
エラゴリクスの肝臓取込処分(Disposition Hepatic uptakedate)は、OATP 1B1輸送体タンパク質に関与する。エラゴリクスのより高い血漿中濃度は、OATP 1B1(SLCO1B1 521T>C)をコードする遺伝子の2つの機能的対立遺伝子が減少した患者群で観察された(これらの患者は、エラゴリクスの肝臓吸収量が減少しやすかったので、血漿エラゴリクス濃度がより高い。)。このSLCO1B1 521 C/C遺伝子型の頻度は、大半の人種/民族集団で一般的に5%未満であった。この遺伝子型を有する女性患者は、通常の輸送体機能(すなわち、SLCO1B1 521T/T遺伝子型)を有する女性と比較して、およそ2倍高いエラゴリクス平均濃度を有すると予想される。エラゴリクスの有害作用は、OATP 1B1(SLCO1B1 521T>C)をコードする遺伝子の2つの機能的対立遺伝子が減少した被験者において、完全に評定されていない。一実施形態では、OATP 1B1(SLCO1B1 521T>C)をコードする遺伝子の2つの機能的対立遺伝子が減少した患者の臨床管理では、エラゴリクスの用量は、1日1回のエラゴリクスの平均濃度を達成するために、元の用量の約50%に減少させることができる。したがって、OATP 1B1をコードする遺伝子の2つの機能的対立遺伝子が減少した患者の臨床管理は、エラゴリクスの用量を、元の用量の半分に減少させることができ、投与間隔は、1日2回から1日1回に減少させることができ、又は投与間隔は、毎日投与から隔日投与に減少させることができる。
【0189】
[実施例15]
非臨床毒性学
エラゴリクス
食餌経路によりエラゴリクスを投与されたマウス(50、150又は500mg/kg/日)及びラット(150、300又は800mg/kg/日)で実施した2年の発癌性研究から、AUCに基づくMRHDの11.9倍まで、マウスにおける腫瘍の増大はないことが明らかになった。ラットでは、高用量(MRHDの7.7~8.1倍)で、甲状腺(雄及び雌)及び肝臓(雄のみ)腫瘍において増大が認められた。ラットの腫瘍は、種特異的な可能性があり、ヒトへの関連性は無視できるほどであった。エラゴリクスは、インビトロ細菌復帰突然変異アッセイ、L5178Yマウスリンパ腫細胞におけるチミジンキナーゼ(TK+/-)遺伝子座でのインビトロ哺乳類細胞前進突然変異アッセイ及びインビボマウス小核アッセイを含む一連のテストで、遺伝毒性又は突然変異誘発性ではなかった。ラットで実施した生殖能力の研究では、エラゴリクスの、生殖能力に対する効果は、任意の用量(50、150又は300mg/kg/日)で認められなかった。AUCに基づく、女性におけるMRHDに対する曝露の倍数は、雌ラットにおける300mg/kg/日の最高用量と比較して、およそ2.9倍である。しかし、エラゴリクスは、ラットにおけるGnRH受容体に対して低い親和性を有するため、また、生殖能力に対する効果は、GnRH受容体を経由してきわめて媒介されやすいため、これらのデータは、ヒトとの関連性が低い。
【0190】
E2/NETA
ある動物種において天然及び合成エストロゲンを長期間連続投与すると、乳房、子宮、子宮頸部、膣、精巣及び肝臓の癌の頻度が増加する。
【0191】
[実施例16]
臨床研究
子宮筋腫を伴う重い月経出血(HMB)の管理における実施例10の系の効力は、2件の無作為化二重盲検プラセボ-対照研究[UF-1(NCT02654054)及びUF-2(NCT02691494)]で実証され、ここでは、少なくとも2回の月経周期を有し、アルカリヘマチン(AH)法(生理用品におけるMBL体積を定量化する、客観的で有効な測定)により評価して、月経出血量(MBL)が80mL超の790名の閉経前女性は、実施例10の系又はプラセボを6カ月受けた。各研究は、E2/NETAの効力及び安全性に対する影響を特徴付ける、1日2回のエラゴリクス300mgの参照治療群も含んでいた。UF-1及びUF-2では、年齢中央値は43歳(25歳~53歳に及ぶ。)であった;女性の68%が黒人又はアフリカ系アメリカ人であり、29%が白人であり、3%が他の人種であった;経膣及び経腹超音波(TVU/TAU)及び/又はMRIにより評定して、16%の女性が、ベースラインで子宮筋腫及び合併腺筋症を有していた;ベースラインのMBLは、83.8mL~1207.1mLに及んだ;TVU/TAUによれば、子宮体積は71.6cm3~3347.9cm3に及んだ;また、TVU/TAUによれば、原発性筋腫の体積は1cm3~1081.5cm3に及んだ。
【0192】
月経出血量
両方の研究における主要エンドポイントは、1)最終月において80mL未満のMBL体積、及び2)ベースラインから最終月までに50%以上のMBL体積減少の両方を実現することと定義される成功した処置を達成した女性の比率であった。ベースラインでのMBLは、>80mLである、少なくとも2回のスクリーニング月経周期からの合計MBL体積の平均と定義された。最終月は、最終処置の訪問日又は最終投与日を含めた、それに先立つ最後の28日間と定義される。実施例10の系で処置した女性は、プラセボと比較してより高い比率で成功した処置を達成した(表A10を参照されたい。)。
【0193】
【0194】
MBL体積の変化
プラセボと比較して、実施例10の系は、1カ月~6カ月で、平均MBL体積をベースラインから減少させた(
図20及び21を参照されたい。)。研究UF-1では、平均ベースラインMBLは、実施例10の系で238.0mL、及びプラセボで255.3mLであった。研究UF-2では、平均ベースラインMBLは、実施例10の系で2298.5mL、及びプラセボで254.3mLであった。実施例10の系を服用した女性は、プラセボを服用した女性と比較して、研究UF-1及びUF-2の両方で、ベースラインから最終月までのMBL体積の著しい平均減少を示した(研究UF-1;実施例10の系では-176.7mL、及びプラセボでは0.81mL;研究UF-2、実施例10の系では-168.89mL、及びプラセボでは-4.3mL)。
【0195】
出血抑制
研究UF-1及びUF-2では、実施例10の系を受けた女性は、プラセボを受けた女性のそれぞれ4%及び5%と比較してより高い比率(それぞれ57%及び61%)で、最終月に、出血なし(しかし染みは認められる。)と定義される出血の抑制を経験した。
【0196】
ヘモグロビン(Hgb)
女性の90%超は、ベースラインHgb≦10.5g/dLであり、サプリメントの鉄を服用した。研究UF-1及びUF-2では、実施例10の系で処置した、貧血であり、ベースラインHgb≦10.5g/dLの女性は、プラセボで処置した女性と比較してより高い比率で、ベースラインから6カ月目までにHgb≧2g/dLの増加を達成した(表A11を参照されたい。)。
【0197】
【0198】
[実施例B1]
PBPKモデルに基づく、様々なエラゴリクス製剤の仮想生物学的等価性評価
エラゴリクスは、子宮内膜症を伴う中等度から重度の疼痛を管理するため、150mg、1日1回及び200mg、1日2回の用量で承認されており、ローラー圧縮された(RC2)錠剤が、商用製剤として使用される。エラゴリクス200mg及びエストラジオール(E2)1mg/酢酸ノルエチンドロン(NETA)0.5mgの組合せ生成物は、子宮内膜症の第3相トライアルで評定される。第3相治験薬は、E2/NETA錠剤と同時投与されるエラゴリクス200mg錠剤からなるが、目的の商用生成物は、固定用量組合せ(FDC)の朝用カプセル剤及びエラゴリクス200mg MG夕方用カプセル剤として、エラゴリクス200mg溶融顆粒化(MG)錠剤及びE2/NETA錠剤からなる。USP I(バスケット)装置を使用して行った溶解テストは、第3相及び市場で販売される(TBM)カプセル剤で異なるインビトロ溶解プロファイルを示し、したがって、インビボ曝露に関する生物学的等価性(BE)の評定を必要とした。生理学に基づく薬物動態学的(PBPK)モデルを、様々な製剤に対して、インビトロ溶解データと共に使用して、臨床的なBE研究を実施せずに、シミュレーションした生物学的等価性曝露を実証するために、仮想BEシミュレーションを実行した。
【0199】
方法
臨床PK及び薬物-薬物相互作用(DDI)データで認証された、以前に開発されている、エラゴリクスに対するPBPKモデル(Simcyp V17)は、ベースモデルとしての役割を果たした(Chineyら、2019年、Clinical Pharmacokineticsを参照されたい。)。PBPKモデルは、GI管の異なる領域における薬物溶解及び吸収をキャプチャーする機構的ADAM(高度な溶解&吸収モデル)モジュールを使用して、エラゴリクス製剤のインビトロ溶解データを組み込むことによりアップデートされた。900mLの0.05Mリン酸ナトリウム、pH6.8中において、100RPMでUSP-I装置を使用して、関連性がある製剤の溶解テストを実施した。組み込まれたインビトロデータを伴うPBPKモデルは、2件の臨床的な生物学的等価性研究から、臨床データを使用して外部検証され、異なる指示に関して、300mg用量でのエラゴリクスカプセル剤が、参照RC2錠剤に対して評定された。モデルが予測した、仮想健常女性集団における曝露(Cmax及びAUC)は、BE研究から、各製剤に対する臨床的観察と比較した。モデルが予測したテストカプセル剤製剤と参照(RC2)錠剤のCmax及びAUCでの曝露比も、臨床的観察と比較した。臨床的に有効なPBPKモデルを使用して、クロスオーバー型式で仮想生物学的等価性トライアルをシミュレーションして、エラゴリクス200mgカプセル剤と200mg RC2錠剤を比較した。仮想BEトライアルを異なる仮想被験者で100回実施して、状況区間又はトライアル区間のばらつきの、製剤の生物学的等価性に対する効果を評定した。
【0200】
結果
300mg錠剤(RC2)及び300mgカプセル剤製剤についてPBPKモデルが予測した曝露を、予測誤差が25%未満であるBE研究からの臨床観察と十分に比較した。参照製剤に対するテストを比較するBE比に関するモデル予測も、BE研究からの臨床データと十分に比較した。これらのBE研究の結果は、モデル較正又は認証に使用されず、したがって、PBPKモデル予測の外部検証として使用された。これにより、情報としてインビトロ溶解データを使用した、臨床的にテストしていない製剤に対する、曝露を予測するPBPKモデルの使用において信頼性が生じる。仮想BEトライアルシミュレーションの結果に基づいて、200mg用量で両方のカプセル剤製剤は、参照RC2製剤と比較した場合、生物学的等価性の基準0.80~1.25を満たした。参照製剤に対するテストのCmax及びAUC比のいずれも、それぞれ0.9及び0.95と予測されるCmax及びAUC比の幾何平均と生物学的に等価であった。曝露比の90%予測区間も、BE基準内であった。異なる仮想被験者を使用した、複数のトライアルシミュレーションからの結果からも、すべての仮想トライアルに対する曝露比の幾何平均及び90%信頼区間が、BE基準を満たすことが確認された。
【0201】
結論
この新規な研究は、PBPKモデリングを使用して、異なる製剤についてのインビトロ及び臨床データを組み合わせて、仮想BEシミュレーションを臨床トライアルの代わりに実施した。臨床的に有効なPBPKモデルからの仮想BEシミュレーションの結果は、エラゴリクスのTBM製剤が、臨床的にテストされ、インビボ生物学的等価性ウェーバーの要件の正当性を示す製剤のものと同様の曝露を生じやすいことの正当性を示すために使用された。この分析は、透過性がエラゴリクスの吸収の決定要因であり、溶解度はそうではなかったことも示し、これは、インビトロ溶解プロファイルが類似していないにもかかわらず生物学的に等価なインビボ曝露が生じる。この研究により、新たな製剤の開発及び評定においてインビトロ及びin silicoデータを組み合わせた値が実証された。
【0202】
[実施例B2]
エラゴリクスの固定用量の組合せ生成物に対する生物学的等価性の評価における臨床上の薬理学的課題
エラゴリクスは、子宮筋腫(UF)を伴う重い月経出血(HMB)を管理するために開発されている。UF第3相トライアルで研究された治験薬品は、1日1回のエストラジオール/酢酸ノルエチンドロン(E2/NETA)1mg/0.5mg錠剤と同時投与される、1日2回のエラゴリクス300mgローラー圧縮2(RC2)錠剤である。患者の遵守及び簡便さのために、市場で販売される(TBM)目的の製剤は、朝の投与用エラゴリクス/E2/NETA 300/1/0.5mg及び夕方の投与用エラゴリクス300mgカプセル剤からなる固定用量の組合せ(FDC)カプセル剤である。2つの製剤は、インビトロ溶解プロファイルに類似しておらず、インビボで潜在的な異なる放出特性を指し示すことを呈した。研究の目的は、
(1)閉経後健常女性において、E2/NETA錠剤と同時投与されるエラゴリクスRC2錠剤と比較した、TBMエラゴリクスFDC朝用カプセル剤製剤のBE;(2)閉経前の健常女性において、エラゴリクスRC2錠剤と比較したTBMエラゴリクス夕方用カプセル剤製剤のBE;及び(3)食品(高脂肪食)の、エラゴリクスカプセル剤のバイオアベイラビリティに対する効果を評価することであった。
【0203】
方法
本リサーチは、別々の大規模な第1相BE研究2件を含んでいた。第1の研究は、無作為化、単一施設、単回用量、4シークエンス、2/3期、クロスオーバーの第1相BE研究である。この研究は、健常な更年期前女性(N=57)で実施して、エラゴリクス300mgカプセル剤(テスト生成物;T)とエラゴリクス300mg RC2錠剤(参照生成物;R)の間のBE、並びに、食品の、エラゴリクスカプセル剤のバイオアベイラビリティに対する効果を評価した。エラゴリクスのアッセイに対する連続血液試料は、投与前、及び研究日の投与後24時間までに収集した。
【0204】
別々の無作為化、複数施設、単回用量、4シークエンス、2/3期、クロスオーバーの第1相BE研究を、健常な閉経後女性(N=67)で実施して、エラゴリクス/E2/NETA 300/1/0.5mg FDCカプセル剤(T)と、E2/NETA 1/0.5mg錠剤(R)と同時に投与されるエラゴリクス300mg RC2錠剤の間のBEを評価した。食品の、エラゴリクスFDCカプセル剤のバイオアベイラビリティに対する効果も評定された。エラゴリクスのアッセイでの連続血液試料、総エストロン及びノルエチンドロンは、投与前及び研究日の投与後72時間までに収集した。
【0205】
両方のBE研究で、SASソフトウェア(Certara、Princeton、NJ、USA)を使用して、ノンコンパートメント分析(NCA)を行った。BE評価のために、最大観察血漿中濃度(Cmax)及び時間ゼロ~無限までの血漿中濃度-時間曲線面積(AUC0~inf)でのT/Rの幾何平均比(GMR)(90%信頼区間[CI])を計算した。エラゴリクスカプセル剤(エラゴリクスカプセル剤及びFDCカプセル剤の両方)の相対バイオアベイラビリティ(90%信頼区間)を絶食条件及び摂食条件下で評価することにより、食品の効果を評定した。
【0206】
結果
エラゴリクス単体の研究では、絶食条件下におけるエラゴリクスCmax及びAUC0~infでのT/RのGMR(90%CI)は、それぞれ0.87(0.81~0.94)及び0.97(0.93~1.01)であり、エラゴリクス300mgカプセル剤が、エラゴリクス300mg RC2錠剤に生物学的に等価であることを指し示した。高脂肪の朝食後のエラゴリクス300mgカプセル剤の投与に続き、エラゴリクスCmax及びAUC0~infは、それぞれ40%及び28%低かった。Tmaxは、絶食条件と比較しておよそ1時間まで遅延した。食品の、エラゴリクスの相対バイオアベイラビリティに対する効果は、曝露-応答分析に基づき、臨床的に関連性がなかった。
【0207】
エラゴリクスFDC研究では、エラゴリクス、ベースラインに調整した総エストロン及びノルエチンドロンのCmaxでのT/RのGMR(90%CI)は、それぞれ0.91(0.87~0.95)、1.02(0.96~1.08)、1.12(1.08~1.15)であったが、エラゴリクス、ベースラインに調整した総エストロン及びノルエチンドロンのAUC0~infでのT/RのGMR(90%CI)は、絶食条件下でそれぞれ0.97(0.95~1.00)、0.93(0.87~1.00)、0.96(0.94~0.98)であった。追加のホルモン検体もBE基準を達成した。これらの所見から、エラゴリクス/E2/NETA 300/1/0.5mg FDCカプセル剤は、1/0.5mg E2/NETA錠剤と同時に投与されるエラゴリクス300mg RC2錠剤に生物学的に等価であることが指し示された。高脂肪の朝食後のエラゴリクス/E2/NETA 300/1/0.5mg FDCカプセル剤の投与に続いて、エラゴリクスCmax及びAUC0~infは、絶食条件下の曝露と比較した場合、それぞれ36%及び25%低かった。
【0208】
結論
BE研究の結果から、TBMエラゴリクスFDC(エラゴリクス/E2/NETA 300/1/0.5mg)朝用カプセル剤及びエラゴリクス300mg夕方用カプセル剤製剤は、インビトロ 溶解プロファイルが類似していないにもかかわらず、UF第3相臨床トライアルの製剤(同時投与されるエラゴリクス300mg錠剤及びE2/NETA 1/0.5mg錠剤)と生物学的に等価であることが実証された。食品(高脂肪食)の、TBM生成物成分に対する効果は、エラゴリクスの商用錠剤Orilissa(商標)で以前に観察されたものと同様であり、E2/NETA(Activella(登録商標)USPI)で予想された通りであった。したがって、朝用FDC 300/1/0.5mg及び夕方用エラゴリクス300mgカプセル剤は、食品の有無を問わず服用することができる。
【0209】
先述の詳細な説明及び添付の実施例は、例証に過ぎず、本発明の範囲を限定するととられるべきではないことは理解され、これは、添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ定義される。
【0210】
開示されている実施形態に対する様々な変化及び変更は、当業者に明らかである。そのような変化及び変更は、本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤又は使用方法に関連するものを含むが、それらに限定されず、その精神及び範囲から逸脱することなく行われ得る。
【国際調査報告】