(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】焦点接着キナーゼ活性のペプチド阻害剤、およびその利用
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20221027BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221027BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221027BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20221027BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20221027BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20221027BHJP
A61K 38/00 20060101ALI20221027BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221027BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20221027BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20221027BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20221027BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20221027BHJP
C07K 14/725 20060101ALN20221027BHJP
C07K 14/435 20060101ALN20221027BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
A61P35/00
A61P43/00
A61P1/16
A61P11/00
A61P17/00
A61K38/00
A61P43/00 111
A61K45/00
A61K9/127
A61K47/28
A61K47/38
A61K47/34
C07K14/725
C07K14/435
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513631
(86)(22)【出願日】2020-08-31
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 US2020048827
(87)【国際公開番号】W WO2021042064
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518073309
【氏名又は名称】アリゾナ ボード オブ リージェンツ オン ビハーフ オブ ザ ユニバーシティー オブ アリゾナ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】マーロウ,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイナー,ウォーレン エス.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076CC27
4C076DD70
4C076EE23
4C076EE31
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA19
4C084BA02
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZA75
4C084ZA89
4C084ZB26
4C084ZC41
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA55
4H045EA20
4H045FA34
(57)【要約】
本願は、焦点接着キナーゼ(FAK)の焦点接着標的化(FAT)ドメインに対する親和性を有するペプチドを提供する。特に、前記ペプチドは、修飾されており、パキシリンのLD2アルファらせんドメイン(例えば、LD2ペプチド)、パキシリンのLD4ドメイン(例えば、LD4ペプチド)、およびCD8ペプチドの配列に由来する。これらのペプチドは、パキシリンとFAKとの相互作用を妨害し、それにより、FAK-パキシリン相互作用に関連するFAK活性を阻害する。本発明はさらに、がんおよびFAK活性および/または発現で特徴づけられる他の疾患(例えば、線維症)の処置のための治療薬として、前記ペプチドの使用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式I:
【化1】
(式中、Y
C、Y
T、Z
1、R
1、L
1、Q
1、R
2、およびZ
2は、独立して、得られた化合物がFAKのFATドメインに結合し、FAKとパキシリンタンパク質との相互作用を阻害することを可能にする任意の化学的部分を含む。)
を有する化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)。
【請求項2】
FAKタンパク質のFATドメインのへリックス1-4およびへリックス2-3部分の一つまたはそれ以上と結合することができる、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
野生型FAKタンパク質内の下記のアミノ酸残基:V928、I936、R962、およびK955の一つまたはそれ以上と結合することができる、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
FAKとパキシリンとの相互作用を阻害することができる、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
単離ポリペプチドである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
下記の一つまたはそれ以上を可能にする、請求項1に記載の化合物:
FAKとパキシリンとの相互作用の阻害で、FAK非触媒活性を破壊すること、
FATドメインの直接的な結合を介して、FAK触媒活性を破壊すること、
FAK関連スキャフォールド機能を阻害すること、
FATドメインにより仲介されるFAKタンパク質-タンパク質相互作用を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス1-4領域との結合を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス2-3領域との結合を阻害すること、
FAK関連アポトーシス、増殖、浸潤、および/または転移を阻害すること、
FAKリン酸化、パキシリンリン酸化、焦点接着ターンオーバー、細胞接着、遊走、および/または浸潤の阻害を生じる、FAK-パキシリン相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-Leupaxin相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD4相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD8相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-DCC相互作用を阻害すること、
パキシリンLD2およびLD4と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8とLckとの結合を阻害すること、
Leupaxinと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
DCCと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
Pyk2、Vinculin、ILK、Actopaxin、PKL、Git1/2、Pax3、hic-5、およびARFを含むFAK関連分子の相互作用を阻害すること。
【請求項7】
Q
1が、それぞれ、(i、i+3);(i、i+4);(i、i+7)および(i、i+11)のモチーフで生じる2個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-)、3個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-)、6個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-[Aa4]-[Aa5]-[Aa6]-)または10個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-[Aa4]-[Aa5]-[Aa6]-[Aa7]-[Aa8]-[Aa9]-[Aa10]-)のアミノ酸鎖である、請求項1に記載の化合物:
(式中、「i」は、大環状体のN末端に対して、α-アミノ酸骨格残基を意味し、「i+[数]」における「数」は、C末端に対して、iから離れるアミノ酸残基(数)を意味する。式中、Aa1、Aa2、Aa3、Aa4、Aa5、Aa6、Aa7、Aa8、Aa9、Aa10は、互いに独立して、それぞれ、天然または非天然のα-アミノ酸である。)。
【請求項8】
Z
1およびZ
2が、互いに独立して、各々が、ユニット長0~200の天然または非天然のアミノ酸鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Y
Cが、ビオチンもしくは色素、分子プローブ、蛍光その他、またはアジド、アルキン、もしくは光反応種を含むが、これらに限定されない化学的反応部分等の所望の部分(例示は、Molecular Probes Handbook, Eleventh edition, Iain D. Johnson, Life Technologies Corporation, 2010(ISBN 978-0-9829279-0-8)に見出されるが、その選択に限定されない。)、生じた化合物を、分解のために内因性タンパク質をE3ユビキチンリガーゼに集積させることができる二機能性化合物にする任意の部分、任意の他の治療剤、FAKキナーゼ阻害剤、他のキナーゼ(例えば、Src、EGFR、HER2等)阻害剤の共有結合誘導体、GPCR化合物の共有結合誘導体、核受容体化合物の共有結合誘導体、E3ユビキチンリガーゼ標的化リガンドの共有結合誘導体、タンパク質-タンパク質相互作用阻害剤の共有結合誘導体、放射性核種部分の共有結合誘導体、薬剤トランスポーターリガンドの共有結合誘導体、細胞貫通部分/配列(例えば、TAT等)の共有結合誘導体、化学治療剤の共有結合誘導体、脂質部分の共有結合誘導体、好ましいバイオアベイラビリティおよび/または薬物動態を促進するプロドラッグ部分の共有結合誘導体、および標的タンパク質への共有結合のための求電子部分の共有結合誘導体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Y
Tが、Y
CおよびZ
1間の任意的な化学的鎖であり、存在する場合には、アルキルまたはアミド(例えば、カルバミド、スルホンアミドまたはホスホラミド)基を形成し得る、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記化学的鎖が、β-アラニン、6-アミノヘキサン酸、ならびにアミンおよび酸官能基が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)モノマー、オリゴマーまたはポリマーにより分離されているアミノ酸から選択され、および/または
Y
Tが、一つもしくはそれ以上の炭素原子、または一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子、または一つもしくはそれ以上の炭素環もしくは複素環を含み得るか、または含まない、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
R
1が、水素または低級アルキルまたは置換されたメチル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
R
2が、水素または低級アルキルまたは置換されたメチル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
L
1が、典型的には、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素であり、典型的には、8または11個の原子を含むが、異なる整数であり得る、および/またはジスルフィドステープルもしくはトリアゾールステープルであり得る、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
配列番号1~38の一つと少なくとも60%同一である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
配列番号1~38の一つと少なくとも75%同一である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
配列番号1~38の一つと少なくとも80%同一である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
配列番号1~38の一つと少なくとも85%同一である、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
配列番号1~38の一つと少なくとも90%同一である、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
配列番号1~38の一つと少なくとも95%同一である、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
配列番号1~38の一つと少なくとも98%同一である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
配列番号1~38の一つと少なくとも99%同一である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
配列番号1~38の一つを含むか、配列番号1~38の一つからなるか、または実質的に配列番号1~38の一つからなる、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
下記の式II:
【化2】
(式中、Y
C、Y
T、Z
1、R
1、Q
1、L
2、R
2、Z
3、R
3、Q
2、L
3、R
4、およびZ
2は、独立して、得られた化合物がFAKのFATドメインに結合し、FAKとパキシリンタンパク質との相互作用を阻害することを可能にする任意の化学的部分を含む。)
を有する化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)。
【請求項25】
パキシリンタンパク質のLD2ドメインのへリックス1-4およびへリックス2-3部分の一つまたはそれ以上と結合することができる、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
野生型FAKタンパク質内の下記のアミノ酸残基:V928、I936、R962、およびK955の一つまたはそれ以上と結合することができる、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
FAKとパキシリンとの相互作用を阻害することができる、請求項24に記載の化合物。
【請求項28】
単離ポリペプチドである、請求項24に記載の化合物。
【請求項29】
下記の一つまたはそれ以上を可能にする、請求項24に記載の化合物:
FAKとパキシリンとの相互作用の阻害で、FAK非触媒活性を破壊すること、
FATドメインの直接的な結合を介して、FAK触媒活性を破壊すること、
FAK関連スキャフォールド機能を阻害すること、
FATドメインにより仲介されるFAKタンパク質-タンパク質相互作用を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス1-4領域との結合を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス2-3領域との結合を阻害すること、
FAK関連アポトーシス、増殖、浸潤、および/または転移を阻害すること、
FAKリン酸化、パキシリンリン酸化、焦点接着ターンオーバー、細胞接着、遊走、および/または浸潤の阻害を生じる、FAK-パキシリン相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-Leupaxin相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD4相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD8相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-DCC相互作用を阻害すること、
パキシリンLD2およびLD4と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8とLckとの結合を阻害すること、
Leupaxinと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
DCCと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
Pyk2、Vinculin、ILK、Actopaxin、PKL、Git1/2、Pax3、hic-5、およびARFを含むFAK関連分子の相互作用を阻害すること。
【請求項30】
Q
1が、それぞれ、(i、i+3);(i、i+4);(i、i+7)および(i、i+11)のモチーフで生じる2個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-)、3個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-)、6個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-[Aa4]-[Aa5]-[Aa6]-)または10個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-[Aa4]-[Aa5]-[Aa6]-[Aa7]-[Aa8]-[Aa9]-[Aa10]-)のアミノ酸鎖であり、
Q
2が、それぞれ、(i、i+3);(i、i+4);(i、i+7)および(i、i+11)のモチーフで生じる2(-[Aa11]-[Aa12]-)、3(-[Aa11]-[Aa12]-[Aa13]-)、6(-[Aa11]-[Aa12]-[Aa13]-[Aa14]-[Aa15]-[Aa16]-)または10(-[Aa11]-[Aa12]-[Aa13]-[Aa14]-[Aa15]-[Aa16]-[Aa17]-[Aa18]-[Aa19]-[Aa20]-)のアミノ酸鎖である、請求項24に記載の化合物:
(式中、「i」は、大環状体のN末端に対して、α-アミノ酸骨格残基を意味し、「i+[数]」における「数」は、C末端に対して、iから離れるアミノ酸残基(数)を意味する。式中、Aa1、Aa2、Aa3、Aa4、Aa5、Aa6、Aa7、Aa8、Aa9、Aa10は、互いに独立して、それぞれ、天然または非天然のα-アミノ酸であり、Aa11、Aa12、Aa13、Aa14、Aa15、Aa16、Aa17、Aa18、Aa19、Aa20は、互いに独立して、それぞれ、天然または非天然のα-アミノ酸である。)。
【請求項31】
Z
1およびZ
2およびZ
3が、互いに独立して、各々が、ユニット長0~200の天然または非天然のアミノ酸鎖である、請求項24に記載の化合物。
【請求項32】
Y
Cが、ビオチンもしくは色素、分子プローブ、蛍光その他、またはアジド、アルキン、もしくは光反応種を含むが、これらに限定されない化学的反応部分等の所望の部分(例示は、Molecular Probes Handbook, Eleventh edition, Iain D. Johnson, Life Technologies Corporation, 2010(ISBN 978-0-9829279-0-8)に見出されるが、その選択に限定されない。)、生じた化合物を、分解のために内因性タンパク質をE3ユビキチンリガーゼに集積させることができる二機能性化合物にする任意の部分、任意の他の治療剤、FAKキナーゼ阻害剤、他のキナーゼ(例えば、Src、EGFR、HER2等)阻害剤の共有結合誘導体、GPCR化合物の共有結合誘導体、核受容体化合物の共有結合誘導体、E3ユビキチンリガーゼ標的化リガンドの共有結合誘導体、タンパク質-タンパク質相互作用阻害剤の共有結合誘導体、放射性核種部分の共有結合誘導体、薬剤トランスポーターリガンドの共有結合誘導体、細胞貫通部分/配列(例えば、TAT等)の共有結合誘導体、化学治療剤の共有結合誘導体、脂質部分の共有結合誘導体、好ましいバイオアベイラビリティおよび/または薬物動態を促進するプロドラッグ部分の共有結合誘導体、および標的タンパク質への共有結合のための求電子部分の共有結合誘導体である、請求項24に記載の化合物。
【請求項33】
Y
Tが、Y
CおよびZ
1間の任意的な化学的鎖であり、存在する場合には、アルキルまたはアミド(例えば、カルバミド、スルホンアミドまたはホスホラミド)基を形成し得る、請求項24に記載の化合物。
【請求項34】
前記化学的鎖が、β-アラニン、6-アミノヘキサン酸、ならびにアミンおよび酸官能基が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)モノマー、オリゴマーまたはポリマーにより分離されているアミノ酸から選択され、および/または
Y
Tが、一つもしくはそれ以上の炭素原子、または一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子、または一つもしくはそれ以上の炭素環もしくは複素環を含み得るか、または含まない、請求項24に記載の化合物。
【請求項35】
R
1およびR
2が、独立して、水素または低級アルキルまたは置換されたメチル基である、請求項24に記載の化合物。
【請求項36】
R
3およびR
4が、独立して、水素または低級アルキルまたは置換されたメチル基である、請求項24に記載の化合物。
【請求項37】
L
2が、典型的には、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素であり、典型的には、8または11個の原子を含むが、異なる整数、および/またはジスルフィドステープルもしくはトリアゾールステープルであり得る、請求項24に記載の化合物。
【請求項38】
L
3が、典型的には、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素であり、典型的には、8または11個の原子を含むが、異なる整数であり得る、請求項24に記載の化合物。
【請求項39】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の化合物。
【請求項40】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の化合物。
【請求項41】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の化合物。
【請求項42】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の化合物。
【請求項43】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の化合物。
【請求項44】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の化合物。
【請求項45】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の化合物。
【請求項46】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の化合物。
【請求項47】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つを含む、請求項24に記載の化合物。
【請求項48】
下記の式III:
【化3】
(式中、Y
C、Y
T、Z
1、R
1、Q
1、L
4、Q
4、L
5、R
5、およびZ
2は、独立して、得られた化合物がFAKのFATドメインに結合し、FAKとパキシリンタンパク質との相互作用を阻害することを可能にする任意の化学的部分を含む。)
を有する化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)。
【請求項49】
パキシリンタンパク質のLD2ドメインのへリックス1-4およびへリックス2-3部分の一つまたはそれ以上と結合することができる、請求項48に記載の化合物。
【請求項50】
野生型FAKタンパク質内の下記のアミノ酸残基:V928、I936、R962、およびK955の一つまたはそれ以上と結合することができる、請求項48に記載の化合物。
【請求項51】
FAKとパキシリンとの相互作用を阻害することができる、請求項48に記載の化合物。
【請求項52】
単離ポリペプチドである、請求項48に記載の化合物。
【請求項53】
下記の一つまたはそれ以上を可能にする、請求項48に記載の化合物:
FAKとパキシリンとの相互作用の阻害で、FAK非触媒活性を破壊すること、
FATドメインの直接的な結合を介して、FAK触媒活性を破壊すること、
FAK関連スキャフォールド機能を阻害すること、
FATドメインにより仲介されるFAKタンパク質-タンパク質相互作用を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス1-4領域との結合を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス2-3領域との結合を阻害すること、
FAK関連アポトーシス、増殖、浸潤、および/または転移を阻害すること、
FAKリン酸化、パキシリンリン酸化、焦点接着ターンオーバー、細胞接着、遊走、および/または浸潤の阻害を生じる、FAK-パキシリン相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-Leupaxin相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD4相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD8相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-DCC相互作用を阻害すること、
パキシリンLD2およびLD4と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8とLckとの結合を阻害すること、
Leupaxinと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
DCCと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
Pyk2、Vinculin、ILK、Actopaxin、PKL、Git1/2、Pax3、hic-5、およびARFを含むFAK関連分子の相互作用を阻害すること。
【請求項54】
Q
1が、それぞれ、(i、i+3);(i、i+4);(i、i+7)および(i、i+11)のモチーフで生じる2個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-)、3個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-)、6個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-[Aa4]-[Aa5]-[Aa6]-)または10個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-[Aa4]-[Aa5]-[Aa6]-[Aa7]-[Aa8]-[Aa9]-[Aa10]-)のアミノ酸鎖であり、
Q
4が、それぞれ、(i、i+3);(i、i+4);(i、i+7)および(i、i+11)のモチーフで生じる2(-[Aa11]-[Aa12]-)、3(-[Aa11]-[Aa12]-[Aa13]-)、6(-[Aa11]-[Aa12]-[Aa13]-[Aa14]-[Aa15]-[Aa16]-)または10(-[Aa11]-[Aa12]-[Aa13]-[Aa14]-[Aa15]-[Aa16]-[Aa17]-[Aa18]-[Aa19]-[Aa20]-)のアミノ酸鎖である、請求項48に記載の化合物:
(式中、「i」は、大環状体のN末端に対して、α-アミノ酸骨格残基を意味し、「i+[数]」における「数」は、C末端に対して、iから離れるアミノ酸残基(数)を意味する。式中、Aa1、Aa2、Aa3、Aa4、Aa5、Aa6、Aa7、Aa8、Aa9、Aa10は、互いに独立して、それぞれ、天然または非天然のα-アミノ酸であり、Aa11、Aa12、Aa13、Aa14、Aa15、Aa16、Aa17、Aa18、Aa19、Aa20は、互いに独立して、それぞれ、天然または非天然のα-アミノ酸である。)。
【請求項55】
Z
1およびZ
2が、互いに独立して、各々が、ユニット長0~200の天然または非天然のアミノ酸鎖である、請求項48に記載の化合物。
【請求項56】
Y
Cが、ビオチンもしくは色素、分子プローブ、蛍光その他、またはアジド、アルキン、もしくは光反応種を含むが、これらに限定されない化学的反応部分等の所望の部分(例示は、Molecular Probes Handbook, Eleventh edition, Iain D. Johnson, Life Technologies Corporation, 2010(ISBN 978-0-9829279-0-8)に見出されるが、その選択に限定されない。)、生じた化合物を、分解のために内因性タンパク質をE3ユビキチンリガーゼに集積させることができる二機能性化合物にする任意の部分、任意の他の治療剤、FAKキナーゼ阻害剤、他のキナーゼ(例えば、Src、EGFR、HER2等)阻害剤の共有結合誘導体、GPCR化合物の共有結合誘導体、核受容体化合物の共有結合誘導体、E3ユビキチンリガーゼ標的化リガンドの共有結合誘導体、タンパク質-タンパク質相互作用阻害剤の共有結合誘導体、放射性核種部分の共有結合誘導体、薬剤トランスポーターリガンドの共有結合誘導体、細胞貫通部分/配列(例えば、TAT等)の共有結合誘導体、化学治療剤の共有結合誘導体、脂質部分の共有結合誘導体、好ましいバイオアベイラビリティおよび/または薬物動態を促進するプロドラッグ部分の共有結合誘導体、および標的タンパク質への共有結合のための求電子部分の共有結合誘導体である、請求項48に記載の化合物。
【請求項57】
Y
Tが、Y
CおよびZ
1間の任意的な化学的鎖であり、存在する場合には、アルキルまたはアミド(例えば、カルバミド、スルホンアミドまたはホスホラミド)基を形成し得る、請求項48に記載の化合物。
【請求項58】
前記化学的鎖が、β-アラニン、6-アミノヘキサン酸、ならびにアミンおよび酸官能基が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)モノマー、オリゴマーまたはポリマーにより分離されているアミノ酸から選択され、および/または
Y
Tが、一つもしくはそれ以上の炭素原子、または一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子、または一つもしくはそれ以上の炭素環もしくは複素環を含み得るか、または含まない、請求項57に記載の化合物。
【請求項59】
R
1およびR
5が、独立して、水素または低級アルキルまたは置換されたメチル基から選択される、請求項48に記載の化合物
【請求項60】
L
4およびL
5が、独立して、典型的には、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素から選択され、前記炭化水素が、典型的には、8または11個の原子を含むが、異なる整数、および/またはジスルフィドステープルもしくはトリアゾールステープルであり得る、請求項48に記載の化合物。
【請求項61】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の化合物。
【請求項62】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の化合物。
【請求項63】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の化合物。
【請求項64】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の化合物。
【請求項65】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の化合物。
【請求項66】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の化合物。
【請求項67】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の化合物。
【請求項68】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の化合物。
【請求項69】
前記化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つを含む、請求項48に記載の化合物。
【請求項70】
下記の式IV:
【化4】
(式中、SPA-NH
2およびSPB-NH
2は、独立して、YC-YT-を除いて、式Iの化合物(請求項1に記載の通り)、またはYC-YT-を除いて、式IIの化合物(請求項24に記載の通り)、またはYC-YT-を除いて、式IIIの化合物(請求項48に記載の通り)であり、
式中、T
1は、鎖または0~400個の原子長であり、限定されないが典型的には、ポリ(エチレングリコール)鎖を含み、限定されないが典型的には、アミド官能基として、SPA-NH
2およびSPB-NH
2に連結し、
色素もしくはクロモフォアとして機能し得るか、もしくは機能しない炭素環または複素環のような内部構造を含み得るか、または含まず、
ビオチンもしくは色素もしくは化学プローブもしくは反応性基のような吊り下がり部分に分岐し得るか、または分岐せず、および
一つもしくはそれ以上の炭素原子、または一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子を含み得るか、または含まない。)
を有する化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)。
【請求項71】
鎖(T
1)が、内部不飽和(例えば、単結合もしくは複数の二重結合、または一つまたはそれ以上のアルキン)を含み得るか、または含まない、および色素もしくはクロモフォアとして機能し得るか、もしくは機能しない炭素環または複素環のような内部構造を含み得るか、または含まない、およびビオチンもしくは色素もしくは化学プローブもしくは反応性基もしくは反応性E3リガーゼリガンドのような吊り下がり部分に分岐し得るか、または分岐しない、エーテル(ポリ(エチレングリコール)等のポリエーテルを含む)、エステル、アミド、チオエーテル、チオエステル、または炭化水素鎖から選択される、請求項70に記載の化合物。
【請求項72】
下記の式V:
【化5】
(式中、YC-YT-SPA-NH
2およびYC-YT-SPB-NH
2は、独立して、式Iの化合物(請求項1に記載の通り)、または式IIの化合物(請求項24に記載の通り)、または式IIIの化合物(請求項48に記載の通り)であり、
式中、[Aa1]、[Aa2]、[Aa3]、[Aa4]、[Aa5]、[Aa6]、[Aa7]、[Aa8]、[Aa9]、[Aa10][Aa11]、[Aa12]、[Aa13]、[Aa14]、[Aa15]、[Aa16]、[Aa17]、[Aa18]、[Aa19]もしくは[Aa20]の個々のメンバー;またはZ
1の部分であるアミノ酸;またはZ
2の部分であるアミノ酸;またはZ
3の部分であるアミノ酸に由来する、YC-YT-SPA-NH
2で示される側鎖は、[Aa1]、[Aa2]、[Aa3]、[Aa4]、[Aa5]、[Aa6]、[Aa7]、[Aa8]、[Aa9]、[Aa10][Aa11]、[Aa12]、[Aa13]、[Aa14]、[Aa15]、[Aa16]、[Aa17]、[Aa18]、[Aa19]もしくは[Aa20]の個々のメンバー;またはZ
1の部分であるアミノ酸;またはZ
2の部分であるアミノ酸;またはZ
3の部分であるアミノ酸に由来する、YC-YT-SPB-NH
2で示される側鎖と、化学的ライゲーションにより、鎖(T
2)を介して連結している。)
を有する化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)。
【請求項73】
鎖(T
2)が、内部不飽和(例えば、単結合もしくは複数の二重結合、または一つまたはそれ以上のアルキン)を含み得るか、または含まない、および色素もしくはクロモフォアとして機能し得るか、もしくは機能しない炭素環または複素環のような内部構造を含み得るか、または含まない、およびビオチンもしくは色素もしくは化学プローブもしくは反応性基もしくは反応性E3リガーゼリガンドのような吊り下がり部分に分岐し得るか、または分岐しない、エーテル(ポリ(エチレングリコール)等のポリエーテルを含む)、エステル、アミド、チオエーテル、チオエステル、または炭化水素鎖から選択される、請求項72に記載の化合物。
【請求項74】
前記鎖が、内部不飽和(例えば、単結合もしくは複数の二重結合、または一つまたはそれ以上のアルキン)を含み得るか、または含まない、および色素もしくはクロモフォアとして機能し得るか、もしくは機能しない炭素環または複素環のような内部構造を含み得るか、または含まない、およびビオチンもしくは色素もしくは化学プローブもしくは反応性基のような吊り下がり部分に分岐し得るか、または分岐しない、および一つもしくはそれ以上の炭素原子、または一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子を含み得るか、または含まない、エーテル(ポリ(エチレングリコール)等のポリエーテルを含む)、エステル、アミド、チオエーテル、チオエステル、または炭化水素鎖から選択される、請求項73に記載の化合物。
【請求項75】
下記の式VI:
【化6】
(式中、SPA-NH
2は、Y
C-Y
T-を除いて、式Iの化合物(請求項1に記載の通り)、またはY
C-Y
T-を除いて、式IIの化合物(請求項24に記載の通り)、またはY
C-Y
T-を除いて、式IIIの化合物(請求項48に記載の通り)であり、
式中、SPA-NH
2のN末端は、リンカーL
6を介して、SPA-NH
2からの内部アミノ酸([Aa1]、[Aa2]、[Aa3]、[Aa4]、[Aa5]、[Aa6]、[Aa7]、[Aa8]、[Aa9]、[Aa10][Aa11]、[Aa12]、[Aa13]、[Aa14]、[Aa15]、[Aa16]、[Aa17]、[Aa18]、[Aa19]もしくは[Aa20]の個々のメンバー;またはZ
1の部分であるアミノ酸;またはZ
2の部分であるアミノ酸;またはZ
3の部分であるアミノ酸に由来する、YC-YT-SPA-NH
2で示される側鎖は、[Aa1]、[Aa2]、[Aa3]、[Aa4]、[Aa5]、[Aa6]、[Aa7]、[Aa8]、[Aa9]、[Aa10][Aa11]、[Aa12]、[Aa13]、[Aa14]、[Aa15]、[Aa16]、[Aa17]、[Aa18]、[Aa19]もしくは[Aa20]の個々のメンバー;またはZ
1の部分であるアミノ酸;またはZ
2の部分であるアミノ酸;またはZ
3の部分であるアミノ酸に由来する。)と連結しており、
式中、該リンカーは、シスもしくはトランスアルケン、またはその混合物を含む炭化水素鎖であるか;または該リンカーは、内部不飽和(例えば、単結合もしくは複数の二重結合、または一つまたはそれ以上のアルキン)を含み得るか、または含まない、エーテル(ポリ(エチレングリコール)等のポリエーテルを含む)、エステル、アミド、チオエーテル、チオエステル、または炭化水素鎖である。)
を有する化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)。
【請求項76】
前記アミノ酸が、標準アミノ酸、L-α-tert-ブチルグリシン、D-α-tert-ブチルグリシン、β-(2-チエニル)-L-アラニン、L-アロ-イソロイシン、4,5-デヒドロ-L-ロイシン、D-ホモロイシン、L-ホモロイシン、1-アミノシクロペンタン-1-カルボン酸、D-アロ-イソロイシン、3-(4-チアゾリル)-L-アラニン、L-ホモアルギニン、5,5,5-トリフルオロ-DL-ロイシン、γ-カルボキシγ-(ジ-tert-ブチルエステル)-L-グルタミン酸、γ-カルボキシγ-(ジ-tert-ブチルエステル)-D-グルタミン酸、L-α-アミノ酪酸、D-α-アミノ酪酸、α,β-デヒドロ-2-アミノ酪酸、4-ニトロ-L-フェニルアラニン、4-クロロ-L-フェニルアラニン、4-クロロ-D-フェニルアラニン、4-フルオロ-L-フェニルアラニン、4-フルオロ-D-フェニルアラニン、L-ホモフェニルアラニン、D-ホモフェニルアラニン、3,4-ジクロロ-D-フェニルアラニン、3-フルオロ-L-フェニルアラニン、4-ヨード-L-フェニルアラニン、p-フェニル-L-フェニルアラニン、p-フェニル-D-フェニルアラニン、4-ブロモ-L-フェニルアラニン、4-ブロモ-D-フェニルアラニン、2-クロロ-L-フェニルアラニン、2-クロロ-D-フェニルアラニン、3-シアノ-L-フェニルアラニン、および3-シアノ-D-フェニルアラニンから選択される、請求項1、24または48に記載の化合物。
【請求項77】
さらに、前記化合物が、さらなる治療剤と結合している、請求項1、24または48に記載の化合物。
【請求項78】
疎水性アミノ酸および親水性アミノ酸を含む、α-らせんステープルペプチドであり、
該ペプチドの二つまたはそれ以上のアミノ酸が、互いに連結しており、
該ペプチドが、FAKのFATドメインと結合することができ、FAKとキシリンタンパク質との相互作用を阻害する、α-らせんステープルペプチド。
【請求項79】
パキシリンタンパク質のLD2ドメインのへリックス1-4およびへリックス2-3部分の一つまたはそれ以上と結合することができる、請求項78に記載のステープルペプチド。
【請求項80】
前記化合物が、野生型FAKタンパク質内の下記のアミノ酸残基:V928、I936、R962、およびK955の一つまたはそれ以上と結合することができる、請求項78に記載のステープルペプチド。
【請求項81】
FAKとパキシリンとの相互作用を阻害することができる、請求項78に記載のステープルペプチド。
【請求項82】
FAKとパキシリンとの相互作用の阻害で、FAK非触媒活性を破壊することができる、請求項78に記載のステープルペプチド。
【請求項83】
下記の一つまたはそれ以上を可能にする、請求項78に記載のステープルペプチド:
FAKとパキシリンとの相互作用の阻害で、FAK非触媒活性を破壊すること、
FATドメインの直接的な結合を介して、FAK触媒活性を破壊すること、
FAK関連スキャフォールド機能を阻害すること、
FATドメインにより仲介されるFAKタンパク質-タンパク質相互作用を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス1-4領域との結合を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス2-3領域との結合を阻害すること、
FAK関連アポトーシス、増殖、浸潤、および/または転移を阻害すること、
FAKリン酸化、パキシリンリン酸化、焦点接着ターンオーバー、細胞接着、遊走、および/または浸潤の阻害を生じる、FAK-パキシリン相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-Leupaxin相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD4相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD8相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-DCC相互作用を阻害すること、
パキシリンLD2およびLD4と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8とLckとの結合を阻害すること、
Leupaxinと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
DCCと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
Pyk2、Vinculin、ILK、Actopaxin、PKL、Git1/2、Pax3、hic-5、およびARFを含むFAK関連分子の相互作用を阻害すること。
【請求項84】
i、i+3、i+4、i+7、i+8、i+10、およびi+11(ここで、iは、整数である。)からなる群より選択される一つまたはそれ以上の位置におけるアミノ酸が、互いに連結している、請求項78に記載のステープルペプチド。
【請求項85】
前記ステープルペプチドが、配列番号1~38のいずれか一つを含む、請求項78に記載のステープルペプチド。
【請求項86】
前記ペプチドが、さらに造影剤と結合している、請求項78に記載のステープルペプチド。
【請求項87】
前記造影剤が、(5-/6-)カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)である、請求項86に記載のステープルペプチド。
【請求項88】
請求項78に記載の一つまたはそれ以上のステープルペプチドを含む、医薬組成物。
【請求項89】
請求項78に記載の二つまたはそれ以上のステープルペプチドを含み、前記二つまたはそれ以上のステープルペプチドが、リンカーを介して連結している、請求項88に記載の医薬組成物。
【請求項90】
リンカーが、PEGに基づくリンカーである、請求項89に記載の組成物。
【請求項91】
患者に、治療上有効量の請求項1、24もしくは48に記載の化合物、または請求項78に記載のステープルペプチドを投与することを含む、該患者の過増殖性疾患または線維症(例えば、肝線維症、肺線維症、ケロイド等)を処置、改善、または予防する方法。
【請求項92】
前記過増殖性疾患が、がんである、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記過増殖性疾患が、FAK発現、FAK経路活性化、FAK依存性、FAK活性および/またはFAK-パキシリン関連活性で特徴づけられるがんである、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記患者が、ヒト患者である、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記患者にさらに一つまたはそれ以上の抗がん剤を投与することを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項96】
前記抗がん剤が、化学治療剤である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記抗がん剤が、放射線療法である、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
過増殖性疾患を有する患者に投与するための、請求項78に記載のステープルペプチド、および/または請求項1、24もしくは48に記載の化合物、および指示書を含む、キット。
【請求項99】
前記過増殖性疾患が、がんである、請求項98に記載のキット。
【請求項100】
前記がんが、FAK活性および/またはFAK-パキシリン関連活性で特徴づけられる、請求項99に記載のキット。
【請求項101】
一つまたはそれ以上の抗がん剤をさらに含む、請求項98に記載のキット。
【請求項102】
前記ステープルペプチドが、一つまたはそれ以上抗がん剤と共に投与される、請求項101に記載のキット。
【請求項103】
下記の式VII:
【化7】
(式中、Y
C-Y
T-SPA-およびY
C-Y
T-SPB-は、独立して、FAKのFATドメインに結合し、FAKとパキシリンタンパク質との相互作用を阻害することを可能にする化合物であり、
式中、2つのステープルペプチドSPAおよびSPBのC末端は、鎖D1T2D2を介して、連結しており、ここで、D1およびD2は、独立して、(所望により置換された)窒素であり、それにより、C末端とのアミド結合の部分となり得て、結合原子として、N、OまたはSを含むものから選択され、
式中、SPAおよびSPBは、2-クロロトリチルクロリド樹脂上、または保護ペプチドの樹脂からの切断を可能にするいくつか他の樹脂上で合成される。)
を有する化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)。
【請求項104】
下記の式VIII:
Y
C-Y
T-SPA-T
2-SPB-NH
2
(式中、Y
C-Y
T-SPA-およびY
C-Y
T-SPB-は、独立して、FAKのFATドメインに結合し、FAKとパキシリンタンパク質との相互作用を阻害することを可能にする化合物である。)
を有する化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)。
【請求項105】
リポソーム製剤内に、請求項1、24、48、72、73または75に記載の一つまたはそれ以上の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項106】
前記LD2ペプチドのリポソーム製剤が、種々の組み合わせおよび/または比率および/または緩衝溶液での、HSPC、コレステロール、PEG2000-DSPE、DSPC、DOPE、DOTAP、トリオレイン、EPC、DOPS、POPC、SM、DMPC、DMPG、DOPC、mPEG誘導体、MVL5、DOTMA、DDAB、DC-コレステロール、GL67、DODMA、大豆ホスホリピド、カチオンリピド、アニオンリピド、ニュートラルリピドからなり得る、請求項105に記載の医薬組成物。
【請求項107】
前記リポソーム製剤が、スフィンゴミエリン(SM)、D-エリスロース-スフィンゴミエリン、D-エリスロース-ジヒドロスフィンゴミエリン、パルルミトイルスフィンゴミエリン、ライソホスホリピド、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、セレブロシド、グリセリド、トリグリセリド、ジグリセリド、小アルキル鎖ホスホリピド、ホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール-3-ホスファチジルコリン(DMPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール-3-ホスファチジルコリン(DSPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン 1-ミリストイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン、1-パルミトイル-2-ミリストイルホスファチジルコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイルホスファチジルコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン ジオレオホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルグリセロール ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール等のジホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジル酸、ジパルミトイルホスファチジル酸、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、ホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、脳ホスファチジルセリン、脳スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン、乳スフィンゴミエリン、パルミトイルスフィンゴミエリン、フィトスフィンゴミエリン、ジパルミトイルスフィンゴミエリン、ジステアロイルスフィンゴミエリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール塩、ホスファチジル酸、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、セレブロシド、ジラウリルホスファチジルコリン、(1,3)-D-マンノジル-(1,3)ジグリセリド、アミノフェニルグリコシド、3-コレステリル-6’-(グリコシルチオ)へキシルエーテルグリコリピド、ならびにコレステロールおよびその誘導体、ライソ-ホスファチジルコリン、ライソ-スフィンゴミエリン、ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート](DOPE-PDP)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホチオエタノール、1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[4-(p-マレイミドフェニル)ブチルアミド]、1,2-ジヘキサデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[4-(p-マレイミドフェニル)ブチルアミド]、1,2-ジヘキサデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[4-(p-マレイミドフェニル)シクロヘキサン-カルボキシアミド]、1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[4-(p-マレイミドメチル)シクロヘキサン-カルボキシアミド]、ライソホスファチジル酸、ライソホスファチジルコリン、OA-NO
2(リノール酸硝酸塩9-および10-ニトロ-cis-オクテデセン酸)、LNO
2(ニトレートリノレン酸9-,10-,12-,および13-ニトロ-cis-オクテデカジエン酸)、AA-NO
2(ニトレートアラキドン酸5-,6-,8-,9-,11-,12-,14-,および15-ニトロ-cis-エイコサテトラエン酸)、CLNO
2(ニトレートコレステリルリノリートコレステリル-9-,10-,12-,および13-ニトロ-cis-オクテデカジエンケート)、脂肪酸、オメガ-3-ポリ不飽和脂肪酸、ヘキサデカトリエン酸(HTA;16:3(n-3);オール-cis-7,10,13-ヘキサデカトリエン酸)、α-リノレン酸(ALA;18:3(n-3);オール-cis-9,12,15-オクタデカトリエン酸)、ステアリドン酸(SDA;18:4(n-3);オール-cis-6,9,12,15-オクタデカトリエン酸)、エイコサトリエン酸(ETE;20:3(n-3);オール-cis-11,14,17-エイコサトリエン酸)、エイコサテトラエン酸(ETA;20:4(n-3);オール-cis-8,11,14,17-エイコサテトラエン酸)、エイコサペンタエン酸(EPA;20:5(n-3);オール-cis-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸)、ヘネイコサペンタエン酸(HPA;21:5(n-3);オール-cis-6,9,12,15,18-ヘネイコサペンタエン酸);ドコサペンタエン酸(DPA;クルパノドニ酸;22:5(n-3);オール-cis-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸)、ドコサヘキサエン酸(DHA;22:6(n-3);オール-cis-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸)、テトラコサペンタエン酸;24:5(n-3);オール-cis-9,12,15,18,21-テトラコサペンタエン酸)、テトラコサヘキサエン酸(ニシン酸;24:6(n-3);オール-cis-6,9,12,15,18,21-テトラコサヘキサエン酸)、スフィンゴシン-1-ホスフェート類似体、スフィンゴシン-1-ホスフェートアンタゴニスト、スフィンゴシン-1-ホスフェートアゴニスト、スフィンゴシン-1-ホスフェート受容体アゴニスト、スフィンゴシン-1-ホスフェート受容体アンタゴニスト、およびスフィンゴシン-1-ホスフェート受容体類似体の一つの組み合わせ、または任意の組み合わせを含む、請求項105に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年8月31日に出願された米国仮出願番号62/894726に対する優先権および利益を主張し、その全体を引用により本明細書の一部とする。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
本発明は、米国国立衛生研究所(NIH)により提供されたグラント番号R01 CA065910の下での政府の支持によりなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
(発明の分野)
本願は、焦点接着キナーゼ(FAK)の焦点接着標的化(FAT)ドメインに対する親和性を有するペプチドを提供する。特に、前記ペプチドは、修飾されており、パキシリンのLD2アルファらせんドメイン(例えば、LD2ペプチド)、パキシリンのLD4ドメイン(例えば、LD4ペプチド)、およびCD8ペプチドの配列に由来する。これらのペプチドは、パキシリンとFAKとの相互作用を妨害し、それにより、FAK-パキシリン相互作用に関連するFAK活性を阻害する。本発明はさらに、がんおよびFAK活性および/または発現で特徴づけられる他の疾患(例えば、線維症)の処置のための治療薬として、前記ペプチドの使用を提供する。
【0004】
(導入)
焦点接着キナーゼ(FAK)は、80%の固形腫瘍での過剰発現、ならびに例えば、遊走、浸潤、転移、アポトーシス、増殖、血管新生、および免疫細胞抑制を含む、がんの複数のホールマークへの関与のために、極めて魅力的ながん薬剤標的である。しかしながら、これまでのFAK阻害剤は、一般に、キナーゼ機能のみを標的としており、スキャフォールドタンパク質としてのFAKの役割を無視している。重要なことに、FAKスキャフォールド相互作用は、アポトーシス、増殖、浸潤、および転移のようなFAKの多くのキー機能を制御している。焦点接着へのFAK局在は、FAK-パキシリン相互作用により仲介されており、結合部位の突然変異は、FAKリン酸化、パキシリンリン酸化、焦点接着ターンオーバー、細胞接着、遊走、および浸潤へ多大な影響があることが示されている。
【0005】
改善された医薬、およびFAK活性で特徴づけられた疾患および状態を処置するための関連する方法が必要とされている。
【0006】
本発明は、FATドメインの結合を介して、FAK非触媒機能を効率的に標的とし、それにより、例えば、FAK-パキシリン相互作用を阻害することができる新規クラスの分子(例えば、ポリペプチド、化合物)を提供することを介して、この要求に取り組む。
【0007】
(発明の概要)
本発明の態様を開発する間に行われた実験により、FATドメインの結合を介して、効率的にFAK非触媒機能を標的化し、それにより、例えば、FAK-パキシリン相互作用(例えば、FAK-パキシリンのLD2ドメイン)を阻害するペプチドを合成し、最適化してきた。特に、本発明は、FAK-パキシリン相互作用を阻害することができるステープルペプチド(例えば、LD2ペプチド、LD4ペプチド)を提供する。これらのペプチドは、FAKタンパク質-タンパク質相互作用(PPIs)を破壊する能力のために、既存のFAK阻害剤を超えた顕著な利点を示し、それ故、新規の抗がん効果を提供する。
【0008】
したがって、本発明は、焦点接着標的化(FAT)ドメインとの結合を介して、焦点接着キナーゼ(FAK)活性の阻害剤として機能し、それにより、FAK-パキシリン相互作用を阻害する、新規クラスのLD2ペプチドを提供する。本発明はさらに、がん、線維性疾患、およびFAK活性で特徴づけられる他の疾患の処置のための治療薬として、そのようなLD2ペプチドの使用を提供する。
【0009】
したがって、本発明は、FAK活性および/または発現(例えば、がん(例えば、および/またはがん関連障害)(例えば、線維症(例えば、IPF、肝線維症、ケロイド))で特徴づけられる障害を患う動物(例えば、ヒト)への、FAKタンパク質のFATドメインと結合できる治療上有効量のペプチドの暴露が、がん細胞または支持細胞の成長および/または転移を完全に阻害する、および/または該細胞が、がん治療薬または放射線治療の細胞死誘導活性により感受性があるようにすることを考えている。いくつかの態様において、FAK活性の阻害は、例えば、FAK-パキシリン結合を阻害することを介して(例えば、FAKのFATドメインへの結合を介して)生じる。
【0010】
本発明は、がん細胞における細胞成長阻害、アポトーシスおよび/または細胞周期停止を誘導するために、単剤療法として投与されるとき、またはより多くの比率のがん細胞または支持細胞が、がん治療剤または放射線療法単独でのみ処置された動物における対応する細胞の比率と比較して、アポトーシスプログラムを起こしやすいように、さらなる薬剤、例えば、他の細胞死誘導もしくは細胞周期破壊がん治療剤、または標的化治療剤、または腫瘍免疫療法剤、または放射線治療(組み合わせ治療)と共に、一時的な関係で投与されるときに、FAK活性の阻害剤が、複数のがん型の処置のための満たされていないニーズを満足させることを考えている。
【0011】
本発明のある態様において、治療上有効量の記載された本発明のペプチド(例えば、LD2ペプチド、LD4ペプチド)と、抗がん剤とを用いた動物の組み合わせ処置は、該ペプチドまたは該抗がん剤/放射線単独で処置した動物と比較して、前記動物において、より優れた腫瘍応答および臨床的な利点を産生する。すべての承認された抗がん剤および放射線処置の用量は既知であるため、本発明は、それらと記載されたペプチド(例えば、LD2ペプチド、LD4ペプチド)とのさまざまな組み合わせを考えている。いくつかの態様において、本発明の記載されたペプチドとの相乗効果により、該抗がん剤の用量は、標準的な用量よりも少なくなり得る。
【0012】
本発明のある態様において、治療上有効量の記載された本発明のペプチド(例えば、LD2ペプチド、LD4ペプチド)と、FAK活性および/または発現(例えば、がん(例えば、および/またはがん関連障害)(例えば、線維症(例えば、IPF、肝線維症、ケロイド))で特徴づけられた障害を処置するための任意の治療剤とを用いた動物の組み合わせ処置は、該ペプチドまたは該治療剤単独で処置した動物と比較して、前記動物において、より優れた臨床的な利点を生じる。すべての承認された治療剤の用量は既知であるため、本発明は、それらと記載されたペプチド(例えば、LD2ペプチド、LD4ペプチド)とのさまざまな組み合わせを考えている。いくつかの態様において、本発明の記載されたペプチドとの相乗効果により、該治療剤の用量は、標準的な用量よりも少なくなり得る。
【0013】
ある態様において、本発明は、下記の式I:
【0014】
【0015】
(式中、YC、YT、Z1、R1、L1、Q1、R2、およびZ2は、独立して、得られた化合物がFAKのFATドメインに結合し、FAKとパキシリンタンパク質との相互作用を阻害することを可能にする任意の化学的部分を含む。)
内に含まれる化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)を提供する。
【0016】
いくつかの態様において、本化合物は、FAKのFATドメインのへリックス1-4およびへリックス2-3部分の一つまたはそれ以上と結合することができる。いくつかの態様において、本化合物は、野生型FAKタンパク質内の下記のアミノ酸残基:V928、I936、R962、およびK955の一つまたはそれ以上と結合することができる。しかしながら、本化合物はまた、FAKタンパク質のさらなるアミノ酸残基に結合することができる。いくつかの態様において、本化合物は、FAKとパキシリンとの相互作用を阻害することができる。
【0017】
いくつかの態様において、本化合物は、単離ポリペプチドである。
【0018】
いくつかの態様において、本化合物は、下記の一つまたはそれ以上を可能にする:
FAKとパキシリンとの相互作用の阻害で、FAK非触媒活性を破壊すること、
FATドメインの直接的な結合を介して、FAK触媒活性を破壊すること、
FAK関連スキャフォールド機能を阻害すること、
FATドメインにより仲介されるFAKタンパク質-タンパク質相互作用を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス1-4領域との結合を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス2-3領域との結合を阻害すること、
FAK関連アポトーシス、増殖、浸潤、および/または転移を阻害すること、
FAKリン酸化、パキシリンリン酸化、焦点接着ターンオーバー、細胞接着、遊走、および/または浸潤の阻害を生じる、FAK-パキシリン相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-Leupaxin相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD4相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD8相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-DCC相互作用を阻害すること、
パキシリンLD2およびLD4と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8とLckとの結合を阻害すること、
Leupaxinと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
DCCと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
Pyk2、Vinculin、ILK、Actopaxin、PKL Git1/2、Pax3、hic-5、およびARFを含むFAK関連分子の相互作用を阻害すること。
【0019】
いくつかの態様において、Q1は、それぞれ、(i、i+3);(i、i+4);(i、i+7)および(i、i+11)のモチーフで生じる2個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-)、3個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-)、6個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-[Aa4]-[Aa5]-[Aa6]-)または10個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-[Aa4]-[Aa5]-[Aa6]-[Aa7]-[Aa8]-[Aa9]-[Aa10]-)のアミノ酸鎖である:
(式中、「i」は、大環状体のN末端に対して、α-アミノ酸骨格残基を意味し、「i+[数]」における「数」は、C末端に対して、iから離れるアミノ酸残基(数)を意味する。式中、Aa1、Aa2、Aa3、Aa4、Aa5、Aa6、Aa7、Aa8、Aa9、Aa10は、互いに独立して、それぞれ、天然または非天然のα-アミノ酸である。)。
【0020】
いくつかの態様において、Z1およびZ2は、互いに独立して、各々が、ユニット長0~200の天然または非天然のアミノ酸鎖である。
【0021】
いくつかの態様において、YCは、親和性タグ(例えば、ビオチン)、分子プローブもしくは色素(蛍光その他)、またはアジド、アルキン、もしくは光反応種を含むが、これらに限定されない化学的反応部分等の所望の部分である。例示は、Molecular Probes Handbook, Eleventh edition, Iain D. Johnson, Life Technologies Corporation, 2010(ISBN 978-0-9829279-0-8)、またはFAKキナーゼ阻害剤に見出されるが、その選択に限定されない。
【0022】
いくつかの態様において、YCは、FAKキナーゼ触媒活性の阻害剤の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、他のキナーゼ(例えば、Src、EGFR、HER2等)阻害剤の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、GPCR化合物の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、核受容体化合物の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、E3ユビキチンリガーゼ標的化リガンドの共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、タンパク質-タンパク質相互作用阻害剤の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、放射性核種部分の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、薬剤トランスポーターリガンドの共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、細胞貫通部分/配列(例えば、TAT等)の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、化学治療剤の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、脂質部分の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、好ましいバイオアベイラビリティおよび/または薬物動態を促進するプロドラッグ部分の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、標的タンパク質への共有結合のための求電子部分の共有結合誘導体である。
【0023】
いくつかの態様において、YTは、YCおよびZ1間の任意的な化学的鎖である。いくつかの態様において、YTは、存在する場合には、アルキルまたはアミド(例えば、カルバミド、スルホンアミドまたはホスホラミド)基を形成する。いくつかの態様において、YTは、一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子、または一つもしくはそれ以上の炭素環もしくは複素環を含み得るか、または含まない。いくつかの態様において、前記化学的鎖は、β-アラニン、6-アミノヘキサン酸、ならびにアミンおよび酸官能基が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)モノマー、オリゴマーまたはポリマーにより分離されているアミノ酸から選択される。
【0024】
いくつかの態様において、R1は、水素または低級アルキルまたは置換されたメチル基である。
【0025】
いくつかの態様において、R2は、水素または低級アルキルまたは置換されたメチル基である。
【0026】
いくつかの態様において、L1は、典型的には、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素であり、典型的には、8または11個の原子を含むが、異なる整数であり得る。
【0027】
いくつかの態様において、L1は、固有のペプチド骨格を除いて、式IのR1を含みアミノ酸が式IのR2を含むアミノ酸と共有結合できる、原子および分子の任意の組み合わせである。いくつかの態様において、L1は、8個の原子およびシスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。いくつかの態様において、L1は、11個の原子およびシスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。いくつかの態様において、L1は、8個でも11個でもない原子を含み、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。いくつかの態様において、L1は、ジスルフィド結合とは異なる方法で共有結合した2個の硫黄原子を含む。いくつかの態様において、L1は、内部多置換トリアゾールを有する炭化水素鎖、または置換4,5,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロオクタ[d][1,2,3]トリアゾール、または置換8,9-ジヒドロ-1H-ジベンゾ[3,4:7,8]シクロオクタ[1,2-d][1,2,3]トリアゾール、または置換2,3,8,9-テトラヒドロジベンゾ[3,4:7,8]シクロオクタ[1,2-d]イソオキサゾール、または置換4a,5,6,7,8,9,10,10a-オクタヒドロシクロオクタ[d]ピリダジンを含む。いくつかの態様において、該リンカーは、内部不飽和(例えば、単結合もしくは複数の二重結合、または一つまたはそれ以上のアルキン)を含み得るか、または含まない、および色素もしくはクロモフォアとして機能し得るか、もしくは機能しない炭素環または複素環のような内部構造を含み得るか、または含まない、およびビオチンもしくは色素もしくは化学プローブもしくは反応性基のような吊り下がり部分に分岐し得るか、または分岐しない、エーテル(ポリ(エチレングリコール)等のポリエーテルを含む)、エステル、アミド、チオエーテル、チオエステル、または炭化水素鎖から選択される。L1は、一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子を含み得るか、または含まない。このリストは、網羅的であることを意味しておらず、当業者は、容易に他の共有結合ストラテジーを想像できる。
【0028】
いくつかの態様において、本化合物は、配列番号1~38の一つと少なくとも60%同一である。いくつかの態様において、本化合物は、配列番号1~38の一つと少なくとも75%同一である。いくつかの態様において、本化合物は、配列番号1~38の一つと少なくとも80%同一である。いくつかの態様において、本化合物は、配列番号1~38の一つと少なくとも85%同一である。いくつかの態様において、本化合物は、配列番号1~38の一つと少なくとも90%同一である。いくつかの態様において、本化合物は、配列番号1~38の一つと少なくとも95%同一である。いくつかの態様において、本化合物は、配列番号1~38の一つと少なくとも98%同一である。いくつかの態様において、本化合物は、配列番号1~38の一つと少なくとも99%同一である。いくつかの態様において、本化合物は、配列番号1~38の一つを含むか、配列番号1~38の一つからなるか、または実質的に配列番号1~38の一つからなる。
【0029】
ある態様において、本発明は、下記の式II:
【0030】
【0031】
(式中、YC、YT、Z1、R1、Q1、L2、R2、Z3、R3、Q2、L3、R4、およびZ2は、独立して、得られた化合物がFAKのFATドメインに結合し、FAKとパキシリンタンパク質との相互作用を阻害することを可能にする任意の化学的部分を含む。)
内に含まれる化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)を提供する。
【0032】
いくつかの態様において、本化合物は、FAKのFATドメインのへリックス1-4およびへリックス2-3部分の一つまたはそれ以上と結合することができる。いくつかの態様において、本化合物は、野生型FAKタンパク質内の下記のアミノ酸残基:V928、I936、R962、およびK955の一つまたはそれ以上と結合することができる。しかしながら、本化合物はまた、FAKタンパク質のさらなるアミノ酸残基に結合することができる。いくつかの態様において、本化合物は、FAKとパキシリンとの相互作用を阻害することができる。いくつかの態様において、本化合物は、単離ポリペプチドである。
【0033】
いくつかの態様において、本化合物は、下記の一つまたはそれ以上を可能にする:
FAKとパキシリンとの相互作用の阻害で、FAK非触媒活性を破壊すること、
FATドメインの直接的な結合を介して、FAK触媒活性を破壊すること、
FAK関連スキャフォールド機能を阻害すること、
FATドメインにより仲介されるFAKタンパク質-タンパク質相互作用を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス1-4領域との結合を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス2-3領域との結合を阻害すること、
FAK関連アポトーシス、増殖、浸潤、および/または転移を阻害すること、
FAKリン酸化、パキシリンリン酸化、焦点接着ターンオーバー、細胞接着、遊走、および/または浸潤の阻害を生じる、FAK-パキシリン相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-Leupaxin相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD4相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD8相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-DCC相互作用を阻害すること、
パキシリンLD2およびLD4と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8とLckとの結合を阻害すること、
Leupaxinと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
DCCと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
Pyk2、Vinculin、ILK、Actopaxin、PKL、Git1/2、Pax3、hic-5、およびARFを含むFAK関連分子の相互作用を阻害すること。
【0034】
いくつかの態様において、Q1は、それぞれ、(i、i+3);(i、i+4);(i、i+7)および(i、i+11)のモチーフで生じる2個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-)、3個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-)、6個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-[Aa4]-[Aa5]-[Aa6]-)または10個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-[Aa4]-[Aa5]-[Aa6]-[Aa7]-[Aa8]-[Aa9]-[Aa10]-)のアミノ酸鎖であり、
Q2は、それぞれ、(i、i+3);(i、i+4);(i、i+7)および(i、i+11)のモチーフで生じる2(-[Aa11]-[Aa12]-)、3(-[Aa11]-[Aa12]-[Aa13]-)、6(-[Aa11]-[Aa12]-[Aa13]-[Aa14]-[Aa15]-[Aa16]-)または10(-[Aa11]-[Aa12]-[Aa13]-[Aa14]-[Aa15]-[Aa16]-[Aa17]-[Aa18]-[Aa19]-[Aa20]-)のアミノ酸鎖である:
(式中、「i」は、大環状体のN末端に対して、α-アミノ酸骨格残基を意味し、「i+[数]」における「数」は、C末端に対して、iから離れるアミノ酸残基(数)を意味する。式中、Aa1、Aa2、Aa3、Aa4、Aa5、Aa6、Aa7、Aa8、Aa9、Aa10は、互いに独立して、それぞれ、天然または非天然のα-アミノ酸であり、およびAa11、Aa12、Aa13、Aa14、Aa15、Aa16、Aa17、Aa18、Aa19、Aa20は、互いに独立して、それぞれ、天然または非天然のα-アミノ酸である。)。
【0035】
いくつかの態様において、Z1およびZ2およびZ3は、互いに独立して、各々が、ユニット長0~200の天然または非天然のアミノ酸鎖である。
【0036】
いくつかの態様において、YCは、親和性タグ(例えば、ビオチン)、分子プローブもしくは色素(蛍光その他)、またはアジド、アルキン、もしくは光反応種を含むが、これらに限定されない化学的反応部分等の所望の部分である。例示は、Molecular Probes Handbook, Eleventh edition, Iain D. Johnson, Life Technologies Corporation, 2010(ISBN 978-0-9829279-0-8)、またはFAKキナーゼ阻害剤に見出されるが、その選択に限定されない。
【0037】
いくつかの態様において、YCは、FAKキナーゼ触媒活性の阻害剤の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、他のキナーゼ(例えば、EGFR、HER2等)阻害剤の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、GPCR化合物の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、核受容体化合物の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、E3ユビキチンリガーゼ標的化リガンドの共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、タンパク質-タンパク質相互作用阻害剤の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、放射性核種部分の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、薬剤トランスポーターリガンドの共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、細胞貫通部分/配列(例えば、TAT等)の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、化学治療剤の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、脂質部分の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、好ましいバイオアベイラビリティおよび/または薬物動態を促進するプロドラッグ部分の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、標的タンパク質への共有結合のための求電子部分の共有結合誘導体である。
【0038】
いくつかの態様において、YTは、YCおよびZ1間の任意的な化学的鎖である。いくつかの態様において、YTは、存在する場合には、アルキルまたはアミド(例えば、カルバミド、スルホンアミドまたはホスホラミド)基を形成する。いくつかの態様において、YTは、一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子、または一つもしくはそれ以上の炭素環もしくは複素環を含み得るか、または含まない。いくつかの態様において、前記化学的鎖は、β-アラニン、6-アミノヘキサン酸、ならびにアミンおよび酸官能基が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)モノマー、オリゴマーまたはポリマーにより分離されているアミノ酸から選択される。
【0039】
いくつかの態様において、R1およびR2は、独立して、水素または低級アルキルまたは置換されたメチル基である。
【0040】
いくつかの態様において、R3およびR4は、独立して、水素または低級アルキルまたは置換されたメチル基である。
【0041】
いくつかの態様において、L2は、典型的には、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素であり、典型的には、8または11個の原子を含むが、異なる整数であり得る。
【0042】
いくつかの態様において、L2は、固有のペプチド骨格を除いて、式IIのR1を含みアミノ酸が式IIのR2を含むアミノ酸と共有結合できる、原子および分子の任意の組み合わせである。一つの態様において、L2は、8個の原子およびシスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。別の態様において、L2は、11個の原子およびシスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。別の態様において、L2は、8個の原子も11個の原子も含まず、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。別の態様において、L2は、ジスルフィド結合とは異なる方法で共有結合した2個の硫黄原子を含む。別の態様において、L2は、内部多置換トリアゾールを有する炭化水素鎖、または置換4,5,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロオクタ[d][1,2,3]トリアゾール、または置換8,9-ジヒドロ-1H-ジベンゾ[3,4:7,8]シクロオクタ[1,2-d][1,2,3]トリアゾール、または置換2,3,8,9-テトラヒドロジベンゾ[3,4:7,8]シクロオクタ[1,2-d]イソオキサゾール、または置換4a,5,6,7,8,9,10,10a-オクタヒドロシクロオクタ[d]ピリダジンを含む。いくつかの態様において、該リンカーは、内部不飽和(例えば、単結合もしくは複数の二重結合、または一つまたはそれ以上のアルキン)を含み得るか、または含まない、および色素もしくはクロモフォアとして機能し得るか、もしくは機能しない炭素環または複素環のような内部構造を含み得るか、または含まない、およびビオチンもしくは色素もしくは化学プローブもしくは反応性基のような吊り下がり部分に分岐し得るか、または分岐しない、エーテル(ポリ(エチレングリコール)等のポリエーテルを含む)、エステル、アミド、チオエーテル、チオエステル、または炭化水素鎖から選択される。L1は、一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子を含み得るか、または含まない。このリストは、網羅的であることを意味しておらず、当業者は、容易に他の共有結合ストラテジーを想像できる。
【0043】
いくつかの態様において、L3は、典型的には、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素であり、典型的には、8または11個の原子を含むが、異なる整数であり得る。
【0044】
いくつかの態様において、L3は、固有のペプチド骨格を除いて、式IIのR1を含みアミノ酸が式IIのR2を含むアミノ酸と共有結合できる、原子および分子の任意の組み合わせである。一つの態様において、L3は、8個の原子およびシスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。別の態様において、L3は、11個の原子およびシスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。別の態様において、L3は、8個の原子も11個の原子も含まず、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。別の態様において、L3は、ジスルフィド結合とは異なる方法で共有結合した2個の硫黄原子を含む。別の態様において、L3は、内部多置換トリアゾールを有する炭化水素鎖、または置換4,5,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロオクタ[d][1,2,3]トリアゾール、または置換8,9-ジヒドロ-1H-ジベンゾ[3,4:7,8]シクロオクタ[1,2-d][1,2,3]トリアゾール、または置換2,3,8,9-テトラヒドロジベンゾ[3,4:7,8]シクロオクタ[1,2-d]イソオキサゾール、または置換4a,5,6,7,8,9,10,10a-オクタヒドロシクロオクタ[d]ピリダジンを含む。いくつかの態様において、該リンカーは、内部不飽和(例えば、単結合もしくは複数の二重結合、または一つまたはそれ以上のアルキン)を含み得るか、または含まない、および色素もしくはクロモフォアとして機能し得るか、もしくは機能しない炭素環または複素環のような内部構造を含み得るか、または含まない、およびビオチンもしくは色素もしくは化学プローブもしくは反応性基のような吊り下がり部分に分岐し得るか、または分岐しない、エーテル(ポリ(エチレングリコール)等のポリエーテルを含む)、エステル、アミド、チオエーテル、チオエステル、または炭化水素鎖から選択される。L1は、一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子を含み得るか、または含まない。このリストは、網羅的であることを意味しておらず、当業者は、容易に他の共有結合ストラテジーを想像できる。
【0045】
いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つを含む。
【0046】
ある態様において、本発明は、下記の式III:
【0047】
【0048】
(式中、YC、YT、Z1、R1、Q1、L4、Q4、L5、R5、およびZ2は、独立して、得られた化合物がFAKのFATドメインに結合し、FAKとパキシリンタンパク質との相互作用を阻害することを可能にする任意の化学的部分を含む。)
内に含まれる化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)を提供する。
【0049】
いくつかの態様において、本化合物は、FAKのFATドメインのへリックス1-4およびへリックス2-3部分の一つまたはそれ以上と結合することができる。いくつかの態様において、本化合物は、野生型FAKタンパク質内の下記のアミノ酸残基:V928、I936、R962、およびK955の一つまたはそれ以上と結合することができる。しかしながら、本化合物はまた、FAKタンパク質のさらなるアミノ酸残基に結合することができる。いくつかの態様において、本化合物は、FAKとパキシリンとの相互作用を阻害することができる。
【0050】
いくつかの態様において、本化合物は、単離ポリペプチドである。
【0051】
いくつかの態様において、本化合物は、下記の一つまたはそれ以上を可能にする:
FAKとパキシリンとの相互作用の阻害で、FAK非触媒活性を破壊すること、
FATドメインの直接的な結合を介して、FAK触媒活性を破壊すること、
FAK関連スキャフォールド機能を阻害すること、
FATドメインにより仲介されるFAKタンパク質-タンパク質相互作用を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス1-4領域との結合を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス2-3領域との結合を阻害すること、
FAK関連アポトーシス、増殖、浸潤、および/または転移を阻害すること、
FAKリン酸化、パキシリンリン酸化、焦点接着ターンオーバー、細胞接着、遊走、および/または浸潤の阻害を生じる、FAK-パキシリン相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-Leupaxin相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD4相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD8相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-DCC相互作用を阻害すること、
パキシリンLD2およびLD4と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8とLckとの結合を阻害すること、
Leupaxinと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
DCCと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
Pyk2、Vinculin、ILK、Actopaxin、PKL、Git1/2、Pax3、hic-5、およびARFを含むFAK関連分子の相互作用を阻害すること。
【0052】
いくつかの態様において、Q1は、それぞれ、(i、i+3);(i、i+4);(i、i+7)および(i、i+11)のモチーフで生じる2個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-)、3個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-)、6個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-[Aa4]-[Aa5]-[Aa6]-)または10個のアミノ酸(-[Aa1]-[Aa2]-[Aa3]-[Aa4]-[Aa5]-[Aa6]-[Aa7]-[Aa8]-[Aa9]-[Aa10]-)のアミノ酸鎖であり、
Q4は、それぞれ、(i、i+3);(i、i+4);(i、i+7)および(i、i+11)のモチーフで生じる2(-[Aa11]-[Aa12]-)、3(-[Aa11]-[Aa12]-[Aa13]-)、6(-[Aa11]-[Aa12]-[Aa13]-[Aa14]-[Aa15]-[Aa16]-)または10(-[Aa11]-[Aa12]-[Aa13]-[Aa14]-[Aa15]-[Aa16]-[Aa17]-[Aa18]-[Aa19]-[Aa20]-)のアミノ酸鎖である:
(式中、「i」は、大環状体のN末端に対して、α-アミノ酸骨格残基を意味し、「i+[数]」における「数」は、C末端に対して、iから離れるアミノ酸残基(数)を意味する。式中、Aa1、Aa2、Aa3、Aa4、Aa5、Aa6、Aa7、Aa8、Aa9、Aa10は、互いに独立して、それぞれ、天然または非天然のα-アミノ酸であり、およびAa11、Aa12、Aa13、Aa14、Aa15、Aa16、Aa17、Aa18、Aa19、Aa20は、互いに独立して、それぞれ、天然または非天然のα-アミノ酸である。)。
【0053】
いくつかの態様において、Z1およびZ2は、互いに独立して、各々が、ユニット長0~200の天然または非天然のアミノ酸鎖である。
【0054】
いくつかの態様において、YCは、親和性タグ(例えば、ビオチン)、分子プローブもしくは色素(蛍光その他)、またはアジド、アルキン、もしくは光反応種を含むが、これらに限定されない化学的反応部分等の所望の部分である。例示は、Molecular Probes Handbook, Eleventh edition, Iain D. Johnson, Life Technologies Corporation, 2010(ISBN 978-0-9829279-0-8)、またはFAKキナーゼ阻害剤に見出されるが、その選択に限定されない。
【0055】
いくつかの態様において、YTは、YCおよびZ1間の任意的な化学的鎖である。いくつかの態様において、YTは、存在する場合には、アルキルまたはアミド(例えば、カルバミド、スルホンアミドまたはホスホラミド)基を形成する。いくつかの態様において、YTは、一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子、または一つもしくはそれ以上の炭素環もしくは複素環を含み得るか、または含まない。いくつかの態様において、前記化学的鎖は、β-アラニン、6-アミノヘキサン酸、ならびにアミンおよび酸官能基が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)モノマー、オリゴマーまたはポリマーにより分離されているアミノ酸から選択される。
【0056】
いくつかの態様において、YCは、FAKキナーゼ触媒活性の阻害剤の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、他のキナーゼ(例えば、EGFR、HER2等)阻害剤の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、GPCR化合物の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、核受容体化合物の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、E3ユビキチンリガーゼ標的化リガンドの共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、タンパク質-タンパク質相互作用阻害剤の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、放射性核種部分の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、薬剤トランスポーターリガンドの共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、細胞貫通部分/配列(例えば、TAT等)の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、化学治療剤の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、脂質部分の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、好ましいバイオアベイラビリティおよび/または薬物動態を促進するプロドラッグ部分の共有結合誘導体である。いくつかの態様において、YCは、標的タンパク質への共有結合のための求電子部分の共有結合誘導体である。
【0057】
いくつかの態様において、R1およびR5は、独立して、水素または低級アルキルまたは置換されたメチル基から選択される。
【0058】
いくつかの態様において、L4およびL5は、独立して、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素から選択され、該炭化水素鎖は、典型的には、8または11個の原子を含むが、異なる整数であり得る。
【0059】
いくつかの態様において、L4は、固有のペプチド骨格を除いて、式IIIのR1を含みアミノ酸が式IIIのR2を含むアミノ酸と共有結合できる、原子および分子の任意の組み合わせである。一つの態様において、L4は、8個の原子およびシスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。別の態様において、L4は、11個の原子およびシスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。別の態様において、L4は、8個の原子も11個の原子も含まず、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。別の態様において、L4は、ジスルフィド結合とは異なる方法で共有結合した2個の硫黄原子を含む。別の態様において、L4は、内部多置換トリアゾールを有する炭化水素鎖、または置換4,5,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロオクタ[d][1,2,3]トリアゾール、または置換8,9-ジヒドロ-1H-ジベンゾ[3,4:7,8]シクロオクタ[1,2-d][1,2,3]トリアゾール、または置換2,3,8,9-テトラヒドロジベンゾ[3,4:7,8]シクロオクタ[1,2-d]イソオキサゾール、または置換4a,5,6,7,8,9,10,10a-オクタヒドロシクロオクタ[d]ピリダジンを含む。いくつかの態様において、該リンカーは、内部不飽和(例えば、単結合もしくは複数の二重結合、または一つまたはそれ以上のアルキン)を含み得るか、または含まない、および色素もしくはクロモフォアとして機能し得るか、もしくは機能しない炭素環または複素環のような内部構造を含み得るか、または含まない、およびビオチンもしくは色素もしくは化学プローブもしくは反応性基のような吊り下がり部分に分岐し得るか、または分岐しない、エーテル(ポリ(エチレングリコール)等のポリエーテルを含む)、エステル、アミド、チオエーテル、チオエステル、または炭化水素鎖から選択される。L1は、一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子を含み得るか、または含まない。このリストは、網羅的であることを意味しておらず、当業者は、容易に他の共有結合ストラテジーを想像できる。
【0060】
いくつかの態様において、L5は、固有のペプチド骨格を除いて、式IIIのR1を含みアミノ酸が式IIIのR2を含むアミノ酸と共有結合できる、原子および分子の任意の組み合わせである。一つの態様において、L5は、8個の原子およびシスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。別の態様において、L5は、11個の原子およびシスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。別の態様において、L5は、8個の原子も11個の原子も含まず、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む炭化水素鎖である。別の態様において、L5は、ジスルフィド結合とは異なる方法で共有結合した2個の硫黄原子を含む。別の態様において、L5は、内部多置換トリアゾールを有する炭化水素鎖、または置換4,5,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロオクタ[d][1,2,3]トリアゾール、または置換8,9-ジヒドロ-1H-ジベンゾ[3,4:7,8]シクロオクタ[1,2-d][1,2,3]トリアゾール、または置換2,3,8,9-テトラヒドロジベンゾ[3,4:7,8]シクロオクタ[1,2-d]イソオキサゾール、または置換4a,5,6,7,8,9,10,10a-オクタヒドロシクロオクタ[d]ピリダジンを含む。いくつかの態様において、該リンカーは、内部不飽和(例えば、単結合もしくは複数の二重結合、または一つまたはそれ以上のアルキン)を含み得るか、または含まない、および色素もしくはクロモフォアとして機能し得るか、もしくは機能しない炭素環または複素環のような内部構造を含み得るか、または含まない、およびビオチンもしくは色素もしくは化学プローブもしくは反応性基のような吊り下がり部分に分岐し得るか、または分岐しない、エーテル(ポリ(エチレングリコール)等のポリエーテルを含む)、エステル、アミド、チオエーテル、チオエステル、または炭化水素鎖から選択される。L1は、一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子を含み得るか、または含まない。このリストは、網羅的であることを意味しておらず、当業者は、容易に他の共有結合ストラテジーを想像できる。
【0061】
いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つと少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本化合物の少なくとも一部が、配列番号1~38の一つを含む。
【0062】
ある態様において、本発明は、下記の式IV:
【0063】
【0064】
(式中、SPA-NH2およびSPB-NH2は、独立して、YC-YT-を除いて、式Iの化合物(請求項1に記載の通り)、またはYC-YT-を除いて、式IIの化合物(請求項24に記載の通り)、またはYC-YT-を除いて、式IIIの化合物(請求項48に記載の通り)であり、
式中、T1は、鎖または0~400個の原子長であり、限定されないが典型的には、ポリ(エチレングリコール)鎖を含み、限定されないが典型的には、アミド官能基として、SPA-NH2およびSPB-NH2に連結し、
色素もしくはクロモフォアとして機能し得るか、もしくは機能しない炭素環または複素環のような内部構造を含み得るか、または含まず、および
ビオチンもしくは色素もしくは化学プローブもしくは反応性基もしくは反応性E3リガーゼリガンドのような吊り下がり部分に分岐し得るか、または分岐しない。)
内に含まれる化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)を提供する。いくつかの態様において、鎖(T1)は、内部不飽和(例えば、単結合もしくは複数の二重結合、または一つまたはそれ以上のアルキン)を含み得るか、または含まない、および色素もしくはクロモフォアとして機能し得るか、もしくは機能しない炭素環または複素環のような内部構造を含み得るか、または含まない、およびビオチンもしくは色素もしくは化学プローブもしくは反応性基もしくは反応性E3リガーゼリガンドのような吊り下がり部分に分岐し得るか、または分岐しない、エーテル(ポリ(エチレングリコール)等のポリエーテルを含む)、エステル、アミド、チオエーテル、チオエステル、または炭化水素鎖から選択される。いくつかの態様において、T1は、一つもしくはそれ以上の炭素原子、または一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子を含み得るか、または含まない。
【0065】
いくつかの態様において、T1は、「クリック化学」反応の生成物である。非限定的な例として、SPA-NH2は、N末端アルキンを有し、SPB-NH2は、N末端アジド官能基を有し得る。これら2つの種の生成物は、置換1H-1,2,3,-トリアゾールである。いくつかの例において、触媒が反応で使用される。
【0066】
ある態様において、本発明は、下記の式V:
【0067】
【0068】
(式中、YC-YT-SPA-NH2およびYC-YT-SPB-NH2は、独立して、式Iの化合物、または式IIの化合物、または式IIIの化合物であり、
式中、[Aa1]、[Aa2]、[Aa3]、[Aa4]、[Aa5]、[Aa6]、[Aa7]、[Aa8]、[Aa9]、[Aa10][Aa11]、[Aa12]、[Aa13]、[Aa14]、[Aa15]、[Aa16]、[Aa17]、[Aa18]、[Aa19]もしくは[Aa20]の個々のメンバー;またはZ1の部分であるアミノ酸;またはZ2の部分であるアミノ酸;またはZ3の部分であるアミノ酸に由来する、YC-YT-SPA-NH2で示される側鎖は、[Aa1]、[Aa2]、[Aa3]、[Aa4]、[Aa5]、[Aa6]、[Aa7]、[Aa8]、[Aa9]、[Aa10][Aa11]、[Aa12]、[Aa13]、[Aa14]、[Aa15]、[Aa16]、[Aa17]、[Aa18]、[Aa19]もしくは[Aa20]の個々のメンバー;またはZ1の部分であるアミノ酸;またはZ2の部分であるアミノ酸;またはZ3の部分であるアミノ酸に由来する、YC-YT-SPB-NH2で示される側鎖と、化学的ライゲーションにより、鎖(T2)を介して連結している。)
内に含まれる化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)を提供する。
【0069】
いくつかの態様において、鎖(T2)は、内部不飽和(例えば、単結合もしくは複数の二重結合、または一つまたはそれ以上のアルキン)を含み得るか、または含まない、および色素もしくはクロモフォアとして機能し得るか、もしくは機能しない炭素環または複素環のような内部構造を含み得るか、または含まない、およびビオチンもしくは色素もしくは化学プローブもしくは反応性基もしくは反応性E3リガーゼリガンドのような吊り下がり部分に分岐し得るか、または分岐しない、エーテル(ポリ(エチレングリコール)等のポリエーテルを含む)、エステル、アミド、チオエーテル、チオエステル、または炭化水素鎖から選択される。いくつかの態様において、T2は、一つもしくはそれ以上の炭素原子、または一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子を含み得るか、または含まない。
【0070】
いくつかの態様において、T2は、「クリック化学」反応の生成物である。非限定的な例として、SPA-NH2は、N末端アルキンを有し、SPB-NH2は、N末端アジド官能基を有し得る。これら2つの種の生成物は、置換1H-1,2,3,-トリアゾールである。いくつかの例において、触媒が反応で使用される。
【0071】
ある態様において、本発明は、下記の式VI:
【0072】
【0073】
(式中、SPA-NH2は、YC-YT-を除いて、式Iの化合物(請求項1に記載の通り)、またはYC-YT-を除いて、式IIの化合物(請求項24に記載の通り)、またはYC-YT-を除いて、式IIIの化合物(請求項48に記載の通り)であり、
式中、SPA-NH2のN末端は、リンカーL6を介して、SPA-NH2からの内部アミノ酸([Aa1]、[Aa2]、[Aa3]、[Aa4]、[Aa5]、[Aa6]、[Aa7]、[Aa8]、[Aa9]、[Aa10][Aa11]、[Aa12]、[Aa13]、[Aa14]、[Aa15]、[Aa16]、[Aa17]、[Aa18]、[Aa19]もしくは[Aa20]の個々のメンバー;またはZ1の部分であるアミノ酸;またはZ2の部分であるアミノ酸;またはZ3の部分であるアミノ酸に由来する、YC-YT-SPA-NH2で示される側鎖は、[Aa1]、[Aa2]、[Aa3]、[Aa4]、[Aa5]、[Aa6]、[Aa7]、[Aa8]、[Aa9]、[Aa10][Aa11]、[Aa12]、[Aa13]、[Aa14]、[Aa15]、[Aa16]、[Aa17]、[Aa18]、[Aa19]もしくは[Aa20]の個々のメンバー;またはZ1の部分であるアミノ酸;またはZ2の部分であるアミノ酸;またはZ3の部分であるアミノ酸に由来する。)と連結しており、
式中、該リンカーは、シスもしくはトランスアルケン、またはその混合物を含む炭化水素鎖であるか;または該リンカーは、内部不飽和(例えば、単結合もしくは複数の二重結合、または一つまたはそれ以上のアルキン)を含み得るか、または含まない、エーテル(ポリ(エチレングリコール)等のポリエーテルを含む)、エステル、アミド、チオエーテル、チオエステル、または炭化水素鎖である。)
内に含まれる化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)を提供する。
【0074】
いくつかの態様において、L6は、ペプチド骨格を介した直接的な結合を除いて、SPA-NH2のN末端と、SPA-NH2を含む任意の他のアミノ酸との共有結合を可能にし得る、原子および分子の任意の組み合わせである。典型的には、L6とSPA-NH2のN末端との結合は、アミド結合により行われる。一つの態様において、L6は、8個の原子、およびシスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む、炭化水素鎖を含む。別の態様において、L6は、シスもしくはトランス構造、またはその混合物の単一の二重結合を含む、炭化水素鎖を含む。別の態様において、L6は、炭化水素鎖の内部に1個の酸素原子を含む。別の態様において、L6は、ポリ(エチレングリコール)システムで示されるように、炭素原子との間に複数の酸素原子を含む。別の態様において、L6は、炭化水素鎖の内部に1個の硫黄原子を含む。別の態様において、L6は、ジスルフィド結合とは異なる方法で共有結合した2個の硫黄原子を含む。別の態様において、L6は、炭化水素鎖の内部にエステル官能基を含む。別の態様において、L6は、炭化水素鎖の内部にチオエステル官能基を含む。別の態様において、L6は、内部多置換トリアゾールを有する炭化水素鎖、または置換4,5,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロオクタ[d][1,2,3]トリアゾール、または置換8,9-ジヒドロ-1H-ジベンゾ[3,4:7,8]シクロオクタ[1,2-d][1,2,3]トリアゾール、または置換2,3,8,9-テトラヒドロジベンゾ[3,4:7,8]シクロオクタ[1,2-d]イソオキサゾール、または置換4a,5,6,7,8,9,10,10a-オクタヒドロシクロオクタ[d]ピリダジンを含む。いくつかの態様において、該リンカーは、内部不飽和(例えば、単結合もしくは複数の二重結合、または一つまたはそれ以上のアルキン)を含み得るか、または含まない、および色素もしくはクロモフォアとして機能し得るか、もしくは機能しない炭素環または複素環のような内部構造を含み得るか、または含まない、およびビオチンもしくは色素もしくは化学プローブもしくは反応性基もしくは反応性E3リガーゼリガンドのような吊り下がり部分に分岐し得るか、または分岐しない、エーテル(ポリ(エチレングリコール)等のポリエーテルを含む)、エステル、アミド、チオエーテル、チオエステル、または炭化水素鎖から選択される。L1は、一つもしくはそれ以上の硫黄原子、または一つもしくはそれ以上の酸素原子、または一つもしくはそれ以上の窒素原子を含み得るか、または含まない。このリストは、網羅的であることを意味しておらず、当業者は、容易に他の共有結合ストラテジーを想像できる。L6は、分岐していもよく、または上記に包含されない可能性のある化学的誘導体であってもよい。これらの誘導体の非限定的な例は、二重結合のエポキシ化またはアジリジン化またはシクロプロパン化またはジヒドロキシ化を含む。
【0075】
ある態様において、本発明は、下記の式VII:
【0076】
【0077】
(式中、YC-YT-SPA-およびYC-YT-SPB-は、独立して、式Iの化合物、または式IIの化合物、または式IIIの化合物である。)
内に含まれる化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)を提供する。2つのステープルペプチドSPAおよびSPBのC末端は、鎖D1T2D2を介して、連結している。いくつかの例において、D1およびD2は、(所望により置換された)窒素であり、それにより、C末端とのアミド結合の部分となり得る。D1およびD2は、互いに独立しており、結合原子として、N、OまたはSを含み得る。SPAおよびSPBは、2-クロロトリチルクロリド樹脂上、または保護ペプチドの樹脂からの切断を可能にするいくつか他の樹脂上で合成される。この化学の例は、Alhassan et al. Green Chem. 2020, 22, 2840-2845で見ることができる。遊離カルボン酸としての保護されたステープルペプチドはまた、従来の溶液相法によって合成され得る。保護されたペプチド酸は、ポリアミンまたはアミノアルコール等の多官能性分子と反応させて、保護された形態の式VIIの化合物を生成することができる。グローバル脱保護は、式VIIの化合物を提供し得る。いくつかの例において、SPAおよびSPBは、独立して、相補的なクリック化学パートナーと反応させることができ、例えば、SPAは、アミノアルキンと反応させ、SPBは、アミノアジドと反応させることができる。これらの新規誘導体は、適当な反応条件下(例えば、銅(I)種)で、保護された形態の式VIIの化合物を生成し得る。グローバル脱保護は、式VIIの化合物を提供し得る。
【0078】
ある態様において、本発明は、下記の式VIII:
YC-YT-SPA-T2-SPB-NH2
(式中、YC-YT-SPA-およびYC-YT-SPB-は、独立して、式Iの化合物、または式IIの化合物、または式IIIの化合物である。)
内に含まれる化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはプロドラッグを含む。)を提供する。式VIIIの化合物は、式Iまたは式IIまたは式IIIの化合物と同様の方法で合成され得、合成の継続のためのYCの置換を伴い、それにより、SPBを、つなぎ鎖を介して、SPAの産生等に伸長させる。別のシナリオにおいて、式VIIについて記載されるような保護ペプチドカルボン酸SPA、または式VIIについて記載されるような保護クリック化学パートナーは、当業者に公知の化学(例えば、必要に応じてアミド結合形成またはCuAAC反応)を介して、SPBに付加される。グローバル脱保護は、式VIIIの化合物を提供し得る。
【0079】
いくつかの態様において、式I、II、III、IV、V、VI、VII、およびVIIIに含まれる本化合物は、標準アミノ酸、L-α-tert-ブチルグリシン、D-α-tert-ブチルグリシン、β-(2-チエニル)-L-アラニン、L-アロ-イソロイシン、4,5-デヒドロ-L-ロイシン、D-ホモロイシン、L-ホモロイシン、1-アミノシクロペンタン-1-カルボン酸、D-アロ-イソロイシン、3-(4-チアゾリル)-L-アラニン、L-ホモアルギニン、5,5,5-トリフルオロ-DL-ロイシン、γ-カルボキシγ-(ジ-tert-ブチルエステル)-L-グルタミン酸、γ-カルボキシγ-(ジ-tert-ブチルエステル)-D-グルタミン酸、L-α-アミノ酪酸、D-α-アミノ酪酸、α,β-デヒドロ-2-アミノ酪酸、4-ニトロ-L-フェニルアラニン、4-クロロ-L-フェニルアラニン、4-クロロ-D-フェニルアラニン、4-フルオロ-L-フェニルアラニン、4-フルオロ-D-フェニルアラニン、L-ホモフェニルアラニン、D-ホモフェニルアラニン、3,4-ジクロロ-D-フェニルアラニン、3-フルオロ-L-フェニルアラニン、4-ヨード-L-フェニルアラニン、p-フェニル-L-フェニルアラニン、p-フェニル-D-フェニルアラニン、4-ブロモ-L-フェニルアラニン、4-ブロモ-D-フェニルアラニン、2-クロロ-L-フェニルアラニン、2-クロロ-D-フェニルアラニン、3-シアノ-L-フェニルアラニン、および3-シアノ-D-フェニルアラニンから選択される。
【0080】
いくつかの態様において、さらに、式I、II、III、IV、V、VI、VII、およびVIIIに含まれる本化合物は、さらなる治療剤(例えば、サリドマイド)(例えば、二機能性化合物(例えば、PROTACs))と結合している。
【0081】
いくつかの態様において、式I、II、III、IV、V、VI、VII、およびVIIIに含まれる本化合物は、相補的な(間隔および立体化学の観点で)モノアルケニル残基で両側に括られたα炭素に、ジェミナルビス(連結されたアルケン)パターンを有する中央二置換アミノ酸を有する。ジェミナルビス(連結されたアルケン)は、典型的には、対称的に置換されるが、これは必要条件ではない。
【0082】
式Iの化合物、または式IIの化合物、または式IIIの化合物、または式IVの化合物、または式Vの化合物、または式VIの化合物、またはVIIの化合物、またはVIIIの化合物のいずれの例示においても、ペプチド骨格の一部であるか、またはアミノ酸の側鎖の一部である窒素原子は、水素原子ではない化学的部分に共有結合していてもよい。一つの態様において、この化学的部分は、閉環複分解反応、エステル化、アミド形成、Diels-Alder反応等を含むが、これらに限定されない化学反応にさらに関与してもよく、または関与しなくてもよい反応種を含有する、炭化水素鎖または置換炭化水素鎖である。
【0083】
ある態様において、本発明は、疎水性アミノ酸および親水性アミノ酸を含む、α-らせんステープルペプチドであり、該ペプチドの二つまたはそれ以上のアミノ酸が、互いに連結しており、該ペプチドが、FAKのFATドメインと結合することができる、α-らせんステープルペプチドを提供する。
【0084】
いくつかの態様において、本化合物は、FAKのFATドメインのへリックス1-4およびへリックス2-3部分の一つまたはそれ以上と結合することができる。いくつかの態様において、本化合物は、野生型FAKタンパク質内の下記のアミノ酸残基:V928、I936、R962、およびK955の一つまたはそれ以上と結合することができる。しかしながら、本化合物はまた、FAKタンパク質のさらなるアミノ酸残基に結合することができる。いくつかの態様において、本化合物は、FAKとパキシリンとの相互作用を阻害することができる。
【0085】
いくつかの態様において、本化合物は、単離ポリペプチドである。
【0086】
いくつかの態様において、本ペプチドは、下記の一つまたはそれ以上を可能にする:
FAKとパキシリンとの相互作用の阻害で、FAK非触媒活性を破壊すること、
FATドメインの直接的な結合を介して、FAK触媒活性を破壊すること、
FAK関連スキャフォールド機能を阻害すること、
FATドメインにより仲介されるFAKタンパク質-タンパク質相互作用を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス1-4領域との結合を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス2-3領域との結合を阻害すること、
FAK関連アポトーシス、増殖、浸潤、および/または転移を阻害すること、
FAKリン酸化、パキシリンリン酸化、焦点接着ターンオーバー、細胞接着、遊走、および/または浸潤の阻害を生じる、FAK-パキシリン相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-Leupaxin相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD4相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD8相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-DCC相互作用を阻害すること、
パキシリンLD2およびLD4と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8とLckとの結合を阻害すること、
Leupaxinと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
DCCと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
Pyk2、Vinculin、ILK、Actopaxin、PKL、Git1/2、Pax3、hic-5、およびARFを含むFAK関連分子の相互作用を阻害すること。
【0087】
いくつかの態様において、i、i+3、i+4、i+7、i+8、i+10、およびi+11(ここで、iは、整数である。)からなる群より選択される二つまたはそれ以上の位置におけるアミノ酸は、互いに連結している。
【0088】
いくつかの態様において、本ステープルペプチドは、表1に記載された通り、配列番号1~38のいずれかを含む。
【0089】
【0090】
表1:ペプチドおよび識別子。略語:R
8:(R)-2-(7-オクテニル)アラニン;S
5:(S)-2-(4-ペンテニル)アラニン;R
5:(R)-2-(4-ペンテニル)アラニン;Az:2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)アセチル;Aib:2-アミノイソ酪酸;DBCO:3-アミノ-1-(2-アザトリシクロ[10.4.0.0
4,9]ヘキサデカ-1(16),4,6,8,12,14-ヘキサエン-10-イン-2-イル)プロパン-1-オン;RhoB:ローダミンB;またはその誘導体。特に明記しない限り、ペプチドは、分子内閉環複分解反応の産物である;二重結合幾何学は、確立も定量もされていない。これらの配列は、省略され、「クリック」化学生成物を意味し得る。
図14は、ペプチドP29~P34、P37およびP38の構造を示す。
【0091】
表1に記載の通り、R8は、(R)-2-(7-オクテニル)アラニンを意味し、S5は、(S)-2-(4-ペンテニル)アラニンを意味し、R5は、(R)-2-(4-ペンテニル)アラニンを意味し、Aibは、2-アミノイソ酪酸を意味する;
Azは、2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)アセチルを意味し、Acは、アセチルを意味し、DBCOは、3-アミノ-1-(2-アザトリシクロ[10.4.0.04,9]ヘキサデカ-1(16),4,6,8,12,14-ヘキサエン-10-yn-2-イル)プロパン-1-オンを意味し、ここで、標準的な1文字アミノ酸コードが使用される。
【0092】
いくつかの態様において、本ペプチドは、さらに造影剤と結合している。いくつかの態様において、該造影剤は、5-もしくは6-カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、または異性体の混合物である。
【0093】
ある態様において、本発明は、薬学的に許容される担体中に、一つまたはそれ以上の本ステープルペプチドを含む医薬組成物を提供する。
【0094】
ある態様において、本発明は、リンカー(例えば、PEGに基づくリンカー)により互いに連結された、二つまたはそれ以上の本ステープルペプチドを含む医薬組成物を提供する。
【0095】
ある態様において、本発明は、一つまたはそれ以上の本ステープルペプチドを含む治療上有効量の医薬組成物を患者に投与することを含む、該患者の過増殖性疾患を処置、改善、または予防する方法を提供する。
【0096】
いくつかの態様において、過増殖性疾患は、がん(例えば、FAK発現、FAK経路活性化、FAK依存性、FAK活性および/またはFAK-パキシリン関連活性で特徴づけられるがん)である。
【0097】
いくつかの態様において、該患者は、ヒト患者である。
【0098】
いくつかの態様において、本発明は、前記患者にさらに一つまたはそれ以上の抗がん剤を投与することを含む。いくつかの態様において、該抗がん剤は、化学治療剤である。いくつかの態様において、該抗がん剤は、放射線療法である。
【0099】
ある態様において、本発明は、本ステープルペプチを過増殖性疾患を有する患者に投与するための、一つまたはそれ以上の本ステープルペプチドおよび指示書を提供する。
【0100】
ある態様において、本ステープルペプチドは、類似のFATドメイン型構造(例えば、Pyk2、Vinculin、ILK、Actopaxin、PKL、Git1/2、Pax3、hic-5、およびARF)を有する他のタンパク質と結合することができる。
【0101】
本発明はさらに、実施例Iに記載した下記技術の少なくとも一部を介した、本ステープルペプチドの製造方法を提供する。
【0102】
本発明はまた、FAKタンパク質(例えば、機能的FAKタンパク質、非機能的FAKタンパク質、異常に制御されたFAKタンパク質、突然変異FAKタンパク質)を含む細胞における、細胞周期停止および/またはアポトーシスを誘導するために、本ステープルペプチドの使用を提供する。本発明はまた、細胞が、さらなる薬剤、例えば、アポトーシスおよび/または細胞周期停止の誘導剤への感受性を高め、化学治療剤を用いた処置より前に、細胞周期停止の誘導を介して正常細胞の化学的保護を行えるようにするための、本ステープルペプチドの使用に関する。
【0103】
上記した通り、本発明のステープルペプチドは、障害、例えば、アポトーシス細胞死の誘導に応答する障害、例えば、異常なアポトーシスにより特徴づけられる障害(がんのような過増殖性疾患を含む)の処置、改善、または予防のために有用である。ある態様において、本ステープルペプチドは、がん治療に対する耐性により特徴づけられるがん(例えば、化学療法耐性、放射線耐性、ホルモン耐性等である、がん細胞)を処置、改善、または予防するために使用され得る。ある態様において、がんは、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、黒色腫、乳がん、頭部もしくは頸部がん、結腸がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、および/または膵臓がんである。他の態様において、本ステープルペプチドは、機能性FAKタンパク質活性、特に、機能性FAK-パキシリン関連活性の発現により特徴づけられる過増殖性疾患を処置するために使用され得る。
【0104】
本発明のステープルペプチドは、障害、例えば、FAK発現および/または活性に関連する障害(例えば、骨疾患、骨密度の制御、線維性障害、関節リウマチ、変形性関節症、神経障害、アルツハイマー病、炎症誘発性、遺伝子発現、慢性炎症性疾患、血管炎症、白斑、乾癬、急性肺損傷(ALI)、心血管疾患、糖尿病性腎症、HHV-8(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)、人工呼吸器誘発性肺損傷、および/またはAIDS & HIV-CD4関連)を処置、改善、または予防するために有用である。
【0105】
本発明のステープルペプチドは、障害、例えば、FAKおよびPyk2発現および/または活性に関連する障害(例えば、心血管疾患、骨疾患、線維症(例えば、肝線維症、肺線維症、ケロイド等)、関節リウマチ、および神経障害のような慢性疾患)を処置、改善、または予防するために有用である。
【0106】
本発明はまた、動物に投与するための本発明のステープルペプチドおよび指示書を含むキットを提供する。該キットは、所望により、他の治療剤、例えば、抗がん剤またはアポトーシス調整剤を含み得る。
【0107】
本発明はさらに、分解のために内因性タンパク質をE3ユビキチンリガーゼに集積させる二機能性化合物、および該化合物を用いた方法を提供する。特に、本発明は、種々のポリペプチドおよび他のタンパク質の標的化ユビキチン化(次いで、分解、および/または他に阻害される)の調節剤としての利用が見出された、二機能性もしくはタンパク質分解標的化キメラ(PROTAC)化合物を提供する。本発明で提供される化合物の例示的な利点は、広範に渡る薬理学的活性が可能であることであり、事実上あらゆるタンパク質クラスまたはファミリー由来の標的化ポリペプチドの分解/阻害と一致している。さらに、本発明は、疾患状態、例えば、がん(例えば、FAK発現、FAK経路活性化、FAK依存性、FAK活性および/またはFAK-パキシリン関連活性で特徴づけられるがん)の処置または改善のために、本明細書に記載した有効量の本化合物を用いた方法を提供する。
【0108】
さらなる局面において、本発明は、E3ユビキチンリガーゼ結合部分(例えば、E3ユビキチンリガーゼのリガンド、すなわち「ULM」グループ)、および標的タンパク質に結合する部分(例えば、タンパク質/ポリペプチド標的化リガンド、すなわち「PTM」グループ)(例えば、FAKのFATドメイン)を含み、その結果、標的タンパク質/ポリペプチドがユビキチンリガーゼと近接した位置に置かれ、該タンパク質の分解(および阻害)もたらす(例えば、パキシリンとFAKとの相互作用を阻害する)、二機能性またはPROTAC化合物を提供する。ある態様において、PTMは、FAKのFATドメインに親和性を有する(例えば、それによりFAKとパキシリンとの相互作用を阻害する)本明細書に記載のペプチドのいずれかである(例えば、式I~VIに含まれるペプチドのいずれか)(例えば、表1に記載のペプチドのいずれか)。いくつかの態様において、ULMは、von-Hippel-Lindau(VHL)リガーゼ、セレブロン、マウス二重微小染色体2(MDM2)、および/またはアポトーシスタンパク質(IAP)E3リガーゼ結合部分のインヒビターである。例えば、二機能性化合物の構造は、PTM-ULMとして表すことができる。
【0109】
PTMおよびULM部分の各々の位置、および本明細書で例示したそれらの数は、一例としてのみ提供されるものであり、いかなる方法でも本ペプチドを限定することを意図しない。当業者により理解されている通り、本明細書に記載の二機能性化合物を合成することができ、各機能性部分の数および位置は、目的に応じて変更することができる。
【0110】
ある態様において、二機能性化合物はさらに、化学的リンカー(「L」)を含む。この例として、二機能性化合物の構造は、PTM-L-ULM(式中、PTMは、タンパク質/ポリペプチド標的化部分(例えば、FAKに対する調節活性に対して調節活性を示す、本明細書に記載された化合物のいずれか)であり、Lは、リンカーであり、ULMは、VHL、セレブロン、MDM2、またはIAPE3リガーゼ結合部分結合部分である。)として示すことができる。
【0111】
前記態様は、特定の型のリンカーに限定されない。いくつかの態様において、リンカー基は、1~約100エチレングリコール単位、約1~約50エチレングリコール単位、1~約25エチレングリコール単位、約1~10エチレングリコール単位、1~約8エチレングリコール単位、1~約6エチレングリコール単位、2~4エチレングリコール単位を有する、任意に置換された(ポリ)エチレングリコール、または所望により置換された、O、N、S、PもしくはSi原子で相互分散された、所望により置換されたアルキル基である。ある態様において、リンカーは、アリール、フェニル、ベンジル、アルキル、アルキレン、アジド、または複素環基で置換される。ある態様において、リンカーは、染料化合物である。ある態様において、リンカーは、光反応性化合物である。ある態様において、リンカーは、非対称または対称であり得る。ある態様において、リンカーは、約1~約12エチレングリコール単位、1~約10エチレングリコール単位、約2~約6エチレングリコール単位、約2~5エチレングリコール単位、約2~4エチレングリコール単位のサイズ範囲の置換または非置換ポリエチレングリコール基である。
【0112】
ULMグループおよびPTMグループはまた、化学的に適当かつ安定な任意の基を介して、リンカー基と共有的に結合し得る。本発明の例示的な局面において、リンカーは、アミド、エステル、チオエステル、ケト基、カルバメート(ウレタン)、炭素、またはエーテルを介して、ある態様において、ULMグループおよびPTMグループに独立して共有結合され、これらの基の各々は、ULMグループおよびPTMグループの任意の場所に挿入されて、ユビキチンリガーゼ上のULMグループおよび分解されるべき標的タンパク質上のPTMグループの最大の結合を提供し得る。PTMグループがULMグループである特定の局面では、分解のための標的タンパク質は、ユビキチンリガーゼ自体であり得る。ある例示的な局面において、リンカーは、所望により、ULMおよび/またはPTMグループ上の、置換されたアルキル、アルキレン、アルケンもしくはアルキン基、アリール基、またはヘテロ環基に結合し得る。
【0113】
ある態様において、本明細書に記載した化合物は、複数のULM、複数のPTM、複数の化学的リンカー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0114】
いくつかの態様において、本発明は、下記の一つまたはそれ以上の方法を提供し、該方法は、ULMおよびPTMを含む本明細書に記載の二機能性化合物を投与することを含み(ある態様において、ULMおよびPTMは、本明細書の他の箇所に記載されている通り、リンカー部分を介して結合している)、ここで、ULMはPTMに結合し、ULMはユビキチン経路タンパク質を認識し、PTMは標的タンパク質を認識し、その結果、標的タンパク質がユビキチンリガーゼと近接して置かれた時に、標的タンパク質の分解が生じる(その結果、標的タンパク質の分解/その効果の阻害、およびタンパク質レベルの制御が生じる。):
FAKとパキシリンとの相互作用の阻害で、FAK非触媒活性を破壊すること、
FATドメインの直接的な結合を介して、FAK触媒活性を破壊すること、
FAK関連スキャフォールド機能を阻害すること、
FATドメインにより仲介されるFAKタンパク質-タンパク質相互作用を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス1-4領域との結合を阻害すること、
パキシリンとFAKのFATドメインのへリックス2-3領域との結合を阻害すること、
FAK関連アポトーシス、増殖、浸潤、および/または転移を阻害すること、
FAKリン酸化、パキシリンリン酸化、焦点接着ターンオーバー、細胞接着、遊走、および/または浸潤の阻害を生じる、FAK-パキシリン相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-Leupaxin相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD4相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-CD8相互作用を阻害すること、
FAKのFATドメインへの結合を介して、FAK-DCC相互作用を阻害すること、
パキシリンLD2およびLD4と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8と各結合パートナーとの結合を阻害すること、
CD4およびCD8とLckとの結合を阻害すること、
Leupaxinと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
DCCと各結合パートナーとの結合を阻害すること、
Pyk2、Vinculin、ILK、Actopaxin、PKL、Git1/2、Pax3、hic-5、およびARFを含むFAK関連分子の相互作用を阻害すること。本発明により与えられるタンパク質レベルの制御は、疾患状態または状態の処置を提供し、それは、患者の細胞における該タンパク質のレベルを下げることにより、標的タンパク質を介して調節される。
【0115】
(図面の簡単な説明)
図1:FAKのFATドメインを標的化するステープルαヘリックスペプチドの概要。A.2つのパキシリンLD2モチーフ(緑色およびマゼンタで示す)を含む、FAT-パキシリン相互作用の結晶構造(PDB 1OW8)。ステープルペプチドは、パキシリンLD2モチーフの構造に基づく。B.FATへリックス2-3結合界面とパキシリンLD2とのズームインセット。C.LD2-FATの分子間および分子内相互作用のへリックスホイール構造解析。D.ペプチド最適化のために使用されるステープリングストラテジーの3D表示。E.ペプチド設計戦略において使用されるアミノ酸修飾の概要。
【0116】
図2:ステープルペプチド合成のための合成スキーム。
【0117】
図3:ステープルペプチドUACC-1907の化学構造。
【0118】
図4:ステープルペプチドUACC-1907(1907)の生化学的、生物物理学的、および細胞学的データ。A.ステープルを赤色で強調したペプチド1907の3Dモデル。B.FATへのTAMRA-LD2結合の阻害を示す、1907を用いた競合FP実験。C.へリックス-タンパク質界面において、野生型FATおよび突然変異体FAT(L994E、I936A)を用いた、SPR結合および選択性解析。D.MDA-MB-453乳がん細胞におけるローダミン-1907(10μM)細胞取り込みのフローサイトメトリー分析。E.SK-MEL-103黒色腫細胞におけるボイデンチャンバー侵入アッセイ。F.SK-MEL-103黒色腫細胞における3D Matrigel-on-top増殖アッセイ。
【0119】
図5:ペプチド1907との複合体における、
15N標識FATドメインタンパク質のHSQC NMRデータ。A.600MHz NMR分析計を用いて、1%DMSO(栗色)、50μM 1907(赤色)、10μM 1907(緑色)、および5μM 1907(青色)を用いた、FATドメインの
1H/
15N HSQCスペクトル。注:ペプチドは、ヘリックス1-4(K1032)およびヘリックス2-3(L959)結合部位の両方でピーク強度変化を引き起こす。B.HSQC NMRおよびFATドメイン上の4つの異なる残基(V932、L959、L994、およびD1036)を用いた、1907結合曲線。1907濃度を100~0.01μMから滴定し、ピークインテグレーションの変化率を濃度に対してプロットしてK
Dを計算した。C.へリックス2-3部位およびD.へリックス1-4部位における、1907によって引き起こされる鍵摂動のマッピング。大きなシフトを有する残基は、緑色で強調される。1907は、天然のパキシリンLD2(黄色およびシアン)と同じ部位に結合することに注意されたい。
【0120】
図6:ヒトFAK FATドメインと複合しているFAKペプチド抑制剤(すなわち、1907)の1.95Å分解能でのX線結晶構造。左パネルは、ステープルペプチドを青色で示し、FATドメインを緑色で示す。右パネルは、結合ポケット中のペプチドの電子密度マップを示す。
【0121】
図7:ミリストイル化ペプチド1907(UACC-2012)の抗がん効果。A.UACC-2012の3D構造。B.陰性対照分子の3D構造(UACC-2014)。C.SK-MEL-103黒色腫細胞におけるステープルペプチドの3D Matrigel-on-top細胞増殖データ。D.HUVEC「正常」細胞におけるステープルペプチドUACC-2012の3D Matrigel-on-top細胞増殖。
【0122】
図8:合成ペプチドUACC-2023のFAT二価ステープルペプチド戦略およびSPRデータ。A.クリック化学およびリンカーアプローチを使用して、FATドメイン二重部位結合を可能にするための、二価ステープルペプチド戦略の概要。B.UACC-2023の構造。C.二価ペプチドUACC-2023およびFATに結合するPEG
10リンカーのSPRセンソグラム。
【0123】
図9:リポソーム製剤における、ステープルペプチド2023および1907の抗がん効果データ。A.カチオン性脂質試薬Saint-Protein(Synvolux)と組み合わせたペプチド2023の2D増殖データ。B.カチオン性脂質試薬Saint-Proteinと組み合わせたペプチド1907の2D増殖データ。PBS PH 7.4+1%DMSO中の1:1(v:v)比および滴定濃度のペプチドを用いて、脂質:ペプチド製剤を、10倍ストックとして調製した。
【0124】
図10:FAT-キナーゼ二機能性阻害剤および概念を実証する分子UACC-2030の合成戦略の概要。A.(上)FAKキナーゼドメイン阻害薬PF-562271の接着部位。(下)FATドメイン阻害剤1907の接着部位。B.合成分子UACC-2030のFAT-キナーゼ二官能基と化学構造の合成計画。
【0125】
図11:FAT-PROTAC合成戦略と概念を実証した合成分子UACC-2019の概要。
【0126】
図12:ペプチド(1967、1907、および2012)の安定性およびプロテアーゼ耐性を測定するための、インビトロトリプシン消化アッセイ。トリプシン-アガロースビーズ(ThermoFisher)を用いてアッセイを行い、LC-MSを用いてペプチド濃度を測定した。ペプチド半減期は、GraphPad Prismソフトウェアを用いて計算した。
【0127】
図13:LX2ヒト肝星状細胞における、FATステープルペプチドUACC-2012の抗線維化活性。A.線維化促進表現型を誘導するために、2ng/mLのTGF-βで17時間処理したLX2細胞のウェスタンブロット試験。細胞を、10μM、5μM、および2μMのDMSOまたはUACC-2012(mSP3)のいずれかで、1時間前処理した。フィブロネクチンの結果の定量化を、下のパネルに示す。B.17時間のTGF-βおよびペプチド処理後のLX2細胞の形態学的変化。明視野顕微鏡法を用いて、画像を捕捉した。略語:mSP3=UACC-2012;SP3=UACC-1907。
【0128】
図14:化合物P29~P34、P37およびP38の構造。
【0129】
(発明の詳細な説明)
焦点接着キナーゼ(FAK)は、黒色腫、乳がん、結腸がん、卵巣がん、膵がん、膠芽腫等(1)多くの腫瘍に過剰発現する非受容体型チロシンキナーゼであり、ヒトがんの進行に必要な構成成分であることが明らかにされている(2-4)。
【0130】
生物学的見地から、FAKは、運動性、浸潤、血管分泌信号、リンパ管新生、転移、および上皮間葉転換(EMT)に関与している(5-8)。FAKはまた、p53やRIPのようなアポトーシス促進タンパク質を隔離して不活性化し、がんが浸潤して転移するのに必要な生存シグナルを増強する(9、10)。FAKのがんにおける役割は、臨床予後研究、遺伝的改変マウスモデル、およびノックアウト研究によって確認されている(11-15)。
【0131】
FAKのノックダウンは、がん細胞において、アポトーシスの強い活性および成長停止を生じるが、正常細胞には影響しない(16、17)。逆に、FAKキナーゼ阻害剤は、アポトーシス/腫瘍成長に部分的な効果を示し、FAKスキャフォールドがFAK依存性抗アポトーシスの主要なモジュレーターであると仮定されている(21)。FAKは、p53に直接結合して、p53を介したアポトーシスを抑制し、アデノウイルスFAK-CDによるFATドメインの破壊は、がん細胞にアポトーシスを誘導することが示された(22)。FAKキナーゼ阻害剤は、薬剤耐性機構として、自己リン酸化残基Y397でのFAKリン酸化や受容体チロシンキナーゼ(RTKs)によるFAKのトランスリン酸化を劇的には阻害しないことが示されている(23)。さらに、FAKキナーゼ阻害剤(例えば、FAKキナーゼ触媒ドメイン阻害剤)は、第I/II相臨床試験において限定的な効果しか示さなかった(24-26)。
【0132】
FATドメインは、重要なY925残基を含む、FAKのC末端における4つのらせん束であり、焦点接着部位での複数のタンパク質-タンパク質相互作用に関与する。パキシリン、Leupaxin、CD4、およびDCCとの複数の相互作用を介したFAK活性のイニシエーターとして、焦点接着標的化(FAT)ドメインの重要性を示した複数のデータが表れてきている(27-29)。FATドメインの統合は、FAKの焦点接着への局在、インテグリン/RTKsとの関連、および下流のFAKシグナル伝達のために重要である(30-32)。FATドメインの突然変異は、転移、浸潤、およびアポトーシスに関する劇的な生物学的効果を証明した(33、34)。したがって、本発明の態様を開発する間に行われた実験では、FATドメインを標的とするペプチド阻害剤は、薬剤耐性メカニズムがあまり分からない傾向があるFAKキナーゼ阻害剤よりも、より有効であるであるとの仮説を立てた。
【0133】
パキシリンは、ビンキュリン、FAK、アクチン、Src、およびCrk等の重要な細胞骨格タンパク質およびシグナル伝達分子を統合する、主要な焦点接着アダプタータンパク質である(35)。焦点接着へのFAK局在は、FAK-パキシリン相互作用により仲介され、その結合部位の突然変異は、FAKリン酸化、パキシリンリン酸化、焦点接着ターンオーバー、細胞接着、遊走、および浸潤に劇的な効果をもたらすことが示された(34、36)。パキシリンは、FAKのFATドメインとの結合に必要な2つのα-らせんLDモチーフ(LD2およびLD4)を含む。FAT-パキシリンLD2/LD4相互作用は、十分に特徴づけられており、50~100μMのKDを有し、複数のアッセイ(X線、SPR、ITC、NMR、FP、および突然変異誘発)により確認されている。LD2およびLD4は、FATドメイン上の2つの別々の疎水性パッチ(へリックス1-4、へリックス2-3)で相互作用し、両方の部位の破壊は、最大の生物学的効果のために必要とされる(27、37、38)
本発明の態様を開発する間に行われた実験では、FATドメインの結合を介して、FAK非触媒機能を効率的に標的化し、それにより、例えば、FAK-パキシリン相互作用(例えば、パキシリンのFAK-LD2ドメイン)を阻害することができるペプチドを合成し、最適化した。特に、本発明は、FAK-パキシリン相互作用を阻害することが可能なステープルLD2ドメインペプチドを提供する。これらのLD2ペプチドは、FAKタンパク質-タンパク質相互作用(PPIs)を破壊する能力のために、既存のFAK阻害剤を超えた顕著な利点を示し、それ故、新規の抗がん効果を提供する。
【0134】
したがって、本発明は、焦点接着標的化(FAT)ドメインとの結合を介して、焦点接着キナーゼ(FAK)活性の阻害剤として機能し、それにより、FAK-パキシリン相互作用を阻害する、新規クラスのペプチド(例えば、LD2ペプチド)を提供する。実際に、ある態様において、本発明は、FAK-パキシリン相互作用を阻害することができるLD2ペプチドを提供する。いくつかの態様において、前記LD2ペプチドは、疎水性アミノ酸および親水性アミノ酸を含む、両親媒性のα-らせんステープルペプチドであり、該ペプチドの二つまたはそれ以上のアミノ酸が、互いに連結している。
【0135】
本明細書で使用される場合、「ステープルペプチド」なる用語は、ペプチド領域が互いに連結されることを意味する。いくつかの態様において、αヘリックスの化学的安定性および二次構造を増加させるために、αヘリックスのi位およびi+位は、種々の共有結合方法を使用してステープルされ得る。具体的には、i、i+3、i+4、i+7、i+8、i+10およびi+11(ここで、iは、整数である。)からなる群より選択される一つまたはそれ以上の位置のアミノ酸がステープルされ得る。アミノ酸は、共有結合およびリンカー部分によってステープルされ得、それにより、細胞浸透能力を増加させる。いくつかの場合において、i、i+3、i+4、i+7、i+8、i+10およびi+11(ここで、iは、整数である。)からなる群より選択される二つまたはそれ以上のアミノ酸位置が、ステープルされ得る。
【0136】
典型的には、2つのアミノ酸は、ジスルフィド結合、炭素-炭素結合、アジド-アルキン環付加、またはアミド結合により、互いに結合し得る。2つのアミノ酸を互いに結合させるための方法の例としては、2つのアミノ酸位置の間にジスルフィドを導入すること、メタセシス反応による炭素-炭素二重結合の導入、アミド結合の導入、マイケル反応による短いリンカーの導入等が挙げられる。そのようなステープル留めは、改良された細胞貫通能力および所望の化学的安定性を有する細胞貫通ペプチドを製造することを極めて可能にする。
【0137】
ペプチドがα-らせんである場合、ペプチドの二つまたはそれ以上のアミノ酸は、塩基性ペプチド骨格を除いて互いに連結され得、環状構造をとる。環状環のサイズは、アミノ酸の位置および連結部分の長さに依存して変化し得る。一つまたはそれ以上のステープルが、ペプチド中に含まれ得る。
【0138】
本発明の特定の態様において、ペプチドの一つまたはそれ以上のアミノ酸は、二重結合含有化合物で官能化され得る。例えば、アミノ酸は、二重結合含有化合物間の閉環メタセシスにより生成される環構造によって互いに連結され得る。官能化されたアミノ酸は、アルケニル側鎖で置換されたアミノ酸であり得る。アルケニル側鎖は、2-プロピレニル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、6-ヘプテニル、7-オクテニル、8-ノネニル、9-デセニル、10-ウンデセニルおよび11-ドデセニル基からなる群より選択される一つまたはそれ以上であり得る。
【0139】
ペプチドのアミノ酸は、α-らせん構造を維持し、両親媒特性を示すものであれば特に限定されない。例えば、親水性アミノ酸は、アルギニン、リシン、およびヒスチジンからなる群より選択される一つまたはそれ以上であってもよく、疎水性アミノ酸は、ロイシン、バリン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、およびイソロイシンからなる群より選択される一つまたはそれ以上であってもよい。非天然アミノ酸もまた、ペプチド構造において利用され得る。
【0140】
特に、本発明の実施例では、FAK-パキシリン相互作用を阻害することができる両親媒性のα-らせんステープルペプチドが作製された。
【0141】
記載した通り、ある態様において、本発明は、FAK-パキシリン相互作用を阻害することができるLD2ペプチドを提供する。いくつかの態様において、前記LD2ペプチドは、疎水性アミノ酸および親水性アミノ酸を含む、両親媒性のα-らせんステープルペプチドであり、該ペプチドの二つまたはそれ以上のアミノ酸が、互いに連結している。
【0142】
具体的には、FAK-パキシリン相互作用を阻害することができる本ステープルLD2ペプチドは、下記の配列のいずれか1つを含むことができ、メタセシス反応を介して炭素-炭素二重結合を導入することにより、生成される。下記の配列において、R8は、(R)-2-(7’-オクテニール)アラニンを示し、S5は、(S)-2-(4’-ペンテニール)アラニンを示し、R5は、(R)-2-(4’-ペンテニール)アラニンを示す。
【0143】
いくつかの態様において、二つまたはそれ以上のLD2ペプチドは、種々の官能基および溶媒と適合性であり、当業者に公知である化学を介して構築されるリンカー(例えば、PEGに基づくリンカー)と一緒につながれる(例えば、「クリック」化学的性質を介して連結される)。
【0144】
いくつかの態様において、LD2ペプチドはさらに、造影剤と結合される(例えば、(5-/6-)カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)と結合される。)。
【0145】
本発明の重要な局面は、本発明のLD2ペプチドが細胞周期停止および/またはアポトーシスを誘導し、また単独で、またはさらなるアポトーシス誘導シグナルに応答して(例えば、FAK非触媒活性を阻害することを介して)(例えば、FAK-パキシリン相互作用を阻害することを介して)、細胞周期停止および/またはアポトーシスの誘導を増強することである。したがって、本LD2ペプチドは、細胞周期停止および/またはアポトーシスの誘導に対して細胞(該誘導刺激に耐性がある細胞を含む。)に感受性を与えることを考えている。本発明のLD2ペプチドは、アポトーシスの誘導により、処置、改善、または予防され得るあらゆる障害において、アポトーシスを誘導するために使用され得る。一つの態様において、本LD2ペプチドは、機能的FAK活性を含む細胞において、アポトーシスを誘導するために使用され得る。一つの態様において、本LD2ペプチドは、がん転移を阻害するために使用され得る。一つの態様において、本LD2ペプチドは、血管新生を阻害するために使用され得る。
【0146】
いくつかの態様において、本発明の組成物および方法は、動物(例えば、非限定的に、ヒトおよび家畜動物を含む、哺乳動物患者)における、疾患細胞、組織、器官、または病的状態および/または疾患状態を処置するために使用される。この点に関して、種々の疾患および病状が、本発明の方法および組成物を用いた処置または予防に適応がある。これらの疾患および状態の非限定的なリストは、以下を含むが、これに限定されない:膵臓がん、乳がん、前立腺がん、リンパ腫、皮膚がん、結腸がん、黒色腫、悪性黒色腫、卵巣がん、脳がん、原発性脳がん、頭頸部がん、神経膠腫、神経膠芽腫、肝臓がん、膀胱がん、非小細胞肺がん、頭頸部がん腫、乳がん腫、卵巣がん腫、肺がん腫、肺小細胞がん腫、ウィルムス腫瘍、子宮頚部がん腫、精巣がん腫、膀胱がん腫、膵臓がん腫、胃がん腫、結腸がん腫、前立腺がん腫、尿生殖器がん腫、甲状腺がん腫、食道がん腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎がん腫、腎細胞がん腫、子宮内膜がん腫、副腎皮質がん腫、悪性膵臓インシュリノーマ、悪性カルチノイドがん腫、絨毛がん腫、菌状息肉腫、悪性高カルシウム血症、子宮頸部過形成、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、有毛細胞白血病、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、軟部肉腫、骨原性肉腫、原発性マクログロブリン血症および網膜芽細胞腫等、TおよびB細胞を介した自己免疫疾患;炎症性疾患;感染症;過剰増殖性疾患;AIDS;変性状態、血管疾患等。いくつかの態様において、処置されるがんは、転移性である。他の態様において、処置されるがんは、抗がん剤に耐性である。他の態様において、障害は、FAK活性および/またはFAK-パキシリン関連活性を有する細胞を有するあらゆる障害である。
【0147】
本発明のいくつかの態様は、有効量の本発明のLD2ペプチド、および少なくとも一つのさらなる治療剤(化学療法的抗新生物治療剤、アポトーシス調節剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、および抗炎症剤を含むが、これらに限定されない)および/または治療技術(例えば、外科的介入、および/または放射線治療)を投与する方法を提供する。特定の態様において、さらなる治療剤は、抗がん剤である。
【0148】
多くの適当な抗がん剤が、本発明の方法における使用のために考えられる。実際に、本発明は、非限定的に、以下のような多くの抗がん剤を投与することを考えている:アポトーシスを誘導する薬剤;ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス、リボザイム、siRNA);ポリペプチド(例えば、酵素および抗体);生物学的模倣物;アルカロイド;アルキル化剤;抗腫瘍抗生物質;抗代謝物質;ホルモン;白金化合物;モノクローナルまたはポリクローナル抗体(例えば、抗がん剤、毒素、デフェンシンと結合した抗体);毒素;放射性核種、生物学的反応修飾物質(例えば、インターフェロン(例えば、IFN-α)およびインターロイキン(例えば、IL-2));養子免疫療法剤;造血成長因子、腫瘍細胞分化を誘導する薬剤(例えば、オールトランスレチノイン酸);遺伝子治療剤(例えば、アンチセンス治療試剤およびヌクレオチド);腫瘍ワクチン;血管新生阻害剤;プロテオソーム阻害剤:NF-κB調節剤;抗CDK化合物;HDAC阻害剤等。本ステープルペプチド(LD2ペプチド)との共投与に適した、多くの化学治療化合物および抗がん治療の例が、当業者には公知である。
【0149】
ある態様において、抗がん剤は、アポトーシスを誘導するか、または刺激する薬剤を含む。アポトーシスを誘導する薬剤は、以下を含むが、これに限定されない:放射線(例えば、X線、ガンマ線、UV);腫瘍壊死因子(TNF)関連因子(例えば、TNFファミリー受容体タンパク質、TNFファミリーリガンド、TRAIL、TRAIL-R1もしくはTRAIL-R2に対する抗体);キナーゼ阻害剤(例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤、血管成長因子受容体(VGFR)キナーゼ阻害剤、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤、およびBcr-Ablキナーゼ阻害剤(例えば、GLEEVEC));BCL-2ファミリー阻害剤(VENCLEXTA);アンチセンス分子;抗体(例えば、HERCEPTIN、RITUXAN、ZEVALIN、およびAVASTIN);抗エストロゲン(例えば、ラロキシフェンおよびタモキシフェン);抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテタミド、ケトコナゾール、およびコルチコステロイド);シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤(例えば、セレコキシブ、メロキシカム、NS-398、および非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs));抗炎症剤(例えば、ブタゾリジン、DECADRON、DELTASONE、デキサメタゾン、デキサメタゾン、インテンゾール、DEXONE、HEXADROL、ヒドロキシクロロキン、METICORTEN、ORADEXON、ORASONE、オキシフェンブタゾン、PEDIAPRED、フェニルブタゾン、PLAQUENIL、プレドニゾロン、プレドニゾン、PRELONE、およびTANDEARIL);およびがん化学治療薬(例えば、イリノテカン(CAMPTOSAR)、CPT-11、フルダラビン(FLUDARA)、ダカルバジン(DTIC)、デキサメタゾン、ミトキサントロン、MYLOTARG、VP-16、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、5-FU、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、ベバシズマブ、TAXOTEREまたはTAXOL);細胞シグナル伝達分子;セラミドおよびサイトカイン;スタウロスポリン等。
【0150】
また、他の態様において、本発明の組成物および方法は、本発明のLD2ペプチド、ならびににアルキル化剤、代謝拮抗剤、および天然産物(例えば、ハーブおよび他の植物および/または動物由来化合物)からなる群より選択される少なくとも一つの抗過増殖剤または抗腫瘍剤を提供する。
【0151】
本発明の組成物および方法における使用のために適当なアルキル化剤は、1)窒素マスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)およびクロラムブシル);2)エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルアミンおよびチオテパ);3)アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン);4)ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU);ロムスチン(CCNU);セムスチン(メチル-CCNU);およびストレプトゾトシン(ストレプトゾトシン);ならびに5)トリアゼン(例えば、ダカルバジン(DTIC;ジメチルトリアゼノイミド-アゾレカルボキサミド)を含むが、これに限定されない。
【0152】
いくつかの態様において、本発明の組成物および方法における使用のために適当な代謝拮抗物質は、1)葉酸類似体(例えば、メトトレキサート(アメトプテリン));2)ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル(5-フルオロウラシル;5-FU)、フロックスウリジン(フルオロデオキシウリジン;FudR)、およびシタラビン(シトシンアラビノシド));ならびに3)プリン類似体(例えば、メルカプトプリン(6-メルカプトプリン;6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン;TG)、およびペントスタチン(2’-デオキシコホルミシン))を含むが、これに限定されない。
【0153】
また、さらなる態様において、本発明の組成物および方法における使用のために適当な化学治療剤は、1)ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン);2)エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシドおよびテニポシド);3)抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン(マイトマイシンC));4)酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ);5)生物学的応答修飾因子(例えば、インターフェロン-アルファ);6)白金配位錯体(例えば、シスプラチン(cis-DDP)およびカルボプラチン);7)アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン);8)置換尿素(例えば、プロカルバジン(N-メチルヒドラジン);9)メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン(N-メチルヒドラジン;MIH));10)副腎皮質抑制薬(例えば、ミトタン(o,p’-DDD)およびアミノグルテチミド);11)副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニソン;12)プロゲスチン(例えば、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、メドロキシプロゲステロンアセテート、およびメゲストロールアセテート);13)エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール);14)抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン);15)アンドロゲン(例えば、テストステロンプロピオネートおよびフルオキシメステロン);16)抗アンドロゲン(例えば、フルタミド);ならびに17)ゴナドトロピン放出ホルモン類似体(例えば、ロイプロリド)を含むが、これに限定されない。
【0154】
がん治療の文脈で通常使用されるあらゆる腫瘍溶解剤が、本発明の組成物および方法ににおける使用で見出される。例えば、米国食品医薬品局は、米国での使用が承認された腫瘍溶解剤の管理制度を維持している。米国FDAに対応する国際的な機関も、同様の管理制度を維持している。表4は、米国での使用が承認された抗腫瘍剤の例示的なリストを提供する。すべての米国で承認された化学治療剤に必要とされる「製品ラベル」が、例示的な薬剤について、承認された適応症、投薬情報、毒性データ等を記載することを、当業者は理解するであろう。
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
抗がん剤はさらに、抗がん活性を有することが同定された化合物を含む。例えば、以下を含むが、これらに限定されない:3-AP、12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート、17AAG、852A、ABI-007、ABR-217620、ABT-751、ADI-PEG20、AE-941、AG-013736、AGRO100、アラノシン、AMG706、抗体G250、アンチネオプラストン、AP23573、アパジコン、APC8015、アチプリモド、ATN-161、アトラセンテン、アザシチジン、BB-10901、BCX-1777、ベバシズマブ、BG00001、ビカルタミド、BMS247550、ボルテゾミブ、ブリオスタチン-1、ブセレリン、カルシトリオール、CCI-779、CDB-2914、セフィキシム、セツキシマブ、CG0070、シレンギチド、クロファラビン、コンブレタスタチンA4リン酸、CP-675,206、CP-724,714、CpG7909、クルクミン、デシタビン、DENSPM、ドキセルカルシフェロール、E7070、E7389、エクセインシジン743、エファプロキシラル、エフロルニチン、EKB-569、エンザウリン、エロチニブ、エクシスリンド、フェンレチニド、フラボピリドール、フルダラビン、フルタミド、ホテムスチン、FR901228、G17DT、ガリキシマブ、ゲフィチニブ、ゲニステイン、グルホスファミド、GTI-2040、ヒストリン、HKI-272、ホモハリングトニン、HSPPC-96、hu14.18-インターロイキン-2融合タンパク質、HuMax-CD4、イロプロスト、イミキモド、インフリキシマブ、インターロイキン-12、IPI-504、イロフェニブ、イクサベピロン、ラパチニブ、レナリドミド、レスタウルチニブ、ロイプロリド、LMB-9免疫毒素、ロナファルニブ、ルニリキシマブ、マホスファミド、MB07133、MDX-010、MLN2704、モノクローナル抗体3F8、モノクローナル抗体J591、モテキサフィン、MS-275、MVA-MUC1-IL2、ニルタミド、ニトロカンプトテシン、ノラトレキセドジヒドロクロリド、ノルバデックス、NS-9、O6-ベンジルグアニン、オブリメルセンナトリウム、ONYX-015、オレゴボマブ、OSI-774,パニツムマブ、パラプラチン、PD-0325901、ペメトレキセド、PHY906、ピオグリタゾン、ピルフェニドン、ピクサトロン、PS-341、PSC833、PXD101、ピラゾロアクリジン、R115777、RAD001、ランプリナーゼ、レベカマイシン類似体、rhuAngiostatin蛋白質、rhuMab 2C4、ロシグリタゾン、ルビテカン、S-1、S-8184、サトラプラチン、SB-,15992、SGN-0010、SGN-40、ソラフェニブ、SR31747A、ST1571、SU011248、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、スラミン、タラボスタット、タラモスタット、タラムパネル、タリキダール、テムシロリムス、TGFa-PE38免疫毒素、サリドマイド、チマルファシン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK286、トラベクテジン、トリメトレキサートグルクロネート、TroVax、UCN-1、バルプロ酸、ビンフルニン、VNP40101M、ボロシキシマブ、ボリノスタット、VX-680、ZD1839、ZD6474、ジロートン、およびゾスキダートリヒドロクロリド。
【0165】
抗がん剤および他の治療剤のより詳細な記述について、当業者は、Physician’s Desk Reference and to Goodman and Gilman’s ”Pharmaceutical Basis of Terapeutics” tenth edition, Eds. Hardman et al., 2002.を含むがこれに限定されない、あらゆる数の指示マニュアルを参照することができる。
【0166】
本発明は、放射線療法と共に、本発明のLD2ペプチドを投与するための方法を提供する。本発明は、放射線の治療用量を動物に送達するために使用される型、量、または送達および投与システムにより制限されない。例えば、動物は、光子放射線療法、粒子ビーム放射線療法、他の種類の放射線療法、およびそれらの組み合わせを受け得る。いくつかの態様において、放射線は、線形加速器を用いて動物に送達される。また他の態様において、放射線は、ガンマナイフを用いて送達される。
【0167】
抗微生物治療剤はまた、本発明における治療剤として使用され得る。微生物を殺傷し、その機能を阻害し、またはその他の減弱する任意の薬剤が使用され得て、そのような活性を有する任意の薬剤が考えられる。抗微生物剤は、単独でまたは組み合わせて使用される、天然および合成の抗生物質、抗体、阻害タンパク質(例えば、ディフェンシン)、アンチセンス核酸、膜破壊剤等を含むがこれに限定されない。実際に、抗生物質の任意の型が使用され得て、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤等を含むがこれに限定されない
本発明のいくつかの態様において、本発明のLD2と、一つまたはそれ以上の治療剤または抗がん剤とは、下記の一つまたはそれ以上の条件下で、動物に投与される:異なる周期、異なる期間、異なる濃度、異なる投与経路等。いくつかの態様において、LD2ペプチドは、治療剤または抗がん剤より前に、例えば、治療剤または抗がん剤の投与よりも、0.5、1、2、3、4、5、10、12、もしくは18時間、1、2、3、4、5、もしくは6日、または1、2、3、もしくは4週間前に投与される。いくつかの態様において、LD2ペプチドは、治療剤または抗がん剤より後に、例えば、抗がん剤の投与よりも、0.5、1、2、3、4、5、10、12、もしくは18時間、1、2、3、4、5、もしくは6日、または1、2、3、もしくは4週間後に投与される。いくつかの態様において、LD2ペプチドと、治療剤または抗がん剤とは、同時に、しかし異なるスケジュールで投与され、例えば、LD2ペプチドは、毎日投与される一方、治療剤または抗がん剤は、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、または4週間毎に1回、投与される。他の態様において、LD2ペプチドは、1週間に1回投与される一方、治療剤または抗がん剤は、毎日、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、または4週間毎に1回、投与される。
【0168】
本発明の範囲内の組成物は、本発明のLD2ペプチドが意図する目的を達成するために有効な量で含まれるすべての組成物を含む。個体毎の必要性は変わるが、各構成成分の有効量の最適範囲の決定は、当業者の範囲内である。
【0169】
本ステープルペプチド(例えば、LD2ペプチド)を生ペプチドとして投与することに加えて、本LD2ペプチドは、該LD2ペプチドの製剤への処理を促進する、薬学的に使用され得る賦形剤および助剤を含む、適当な薬学的に許容される担体を含む医薬製剤の一部として投与し得る。該製剤、特に、錠剤、糖衣錠、徐放性ロゼンジおよびカプセル、口腔洗浄剤、ゲル、液体懸濁液、ヘアリンス、ヘアゲル、シャンプー等の、経口または局所投与することができ、かつ、一つの型の投与のために使用することができる製剤、座薬等の直腸投与することができる製剤、ならびに静脈内注入、注射、局所または経口投与による投与に適した溶液は、賦形剤と共に、約0.01~99%、一態様において、約0.25~75%の活性ペプチドを含有する。いくつかの態様において、本LD2ペプチドの製剤はまた、本質的にリポソームであり得る。いくつかの態様において、本ペプチド(例えば、LD2、LD4)のリポソーム製剤は、種々の組み合わせおよび/または比率および/または緩衝溶液での、HSPC、コレステロール、PEG2000-DSPE、DSPC、DOPE、DOTAP、トリオレイン、EPC、DOPS、POPC、SM、DMPC、DMPG、DOPC、mPEG誘導体、MVL5、DOTMA、DDAB、DC-コレステロール、GL67、DODMA、大豆ホスホリピド、カチオンリピド、アニオンリピド、ニュートラルリピドからなり得る。いくつかの態様において、本ペプチド(例えば、LD2、LD4)のリポソーム製剤は、スフィンゴミエリン(SM)、D-エリスロース-スフィンゴミエリン、D-エリスロース-ジヒドロスフィンゴミエリン、パルルミトイルスフィンゴミエリン、ライソホスホリピド、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、セレブロシド、グリセリド、トリグリセリド、ジグリセリド、小アルキル鎖ホスホリピド、ホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール-3-ホスファチジルコリン(DMPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール-3-ホスファチジルコリン(DSPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン 1-ミリストイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン、1-パルミトイル-2-ミリストイルホスファチジルコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイルホスファチジルコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン ジオレオホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルグリセロール ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール等のジホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジル酸、ジパルミトイルホスファチジル酸、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、ホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、脳ホスファチジルセリン、脳スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン、乳スフィンゴミエリン、パルミトイルスフィンゴミエリン、フィトスフィンゴミエリン、ジパルミトイルスフィンゴミエリン、ジステアロイルスフィンゴミエリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール塩、ホスファチジル酸、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、セレブロシド、ジラウリルホスファチジルコリン、(1,3)-D-マンノジル-(1,3)ジグリセリド、アミノフェニルグリコシド、3-コレステリル-6’-(グリコシルチオ)へキシルエーテルグリコリピド、ならびにコレステロールおよびその誘導体、ライソ-ホスファチジルコリン、ライソ-スフィンゴミエリン、ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート](DOPE-PDP)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホチオエタノール、1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[4-(p-マレイミドフェニル)ブチルアミド]、1,2-ジヘキサデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[4-(p-マレイミドフェニル)ブチルアミド]、1,2-ジヘキサデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[4-(p-マレイミドフェニル)シクロヘキサン-カルボキシアミド]、1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[4-(p-マレイミドメチル)シクロヘキサン-カルボキシアミド]、ライソホスファチジル酸、ライソホスファチジルコリン、OA-NO2(リノール酸硝酸塩9-および10-ニトロ-cis-オクテデセン酸)、LNO2(ニトレートリノレン酸9-,10-,12-,および13-ニトロ-cis-オクテデカジエン酸)、AA-NO2(ニトレートアラキドン酸5-,6-,8-,9-,11-,12-,14-,および15-ニトロ-cis-エイコサテトラエン酸)、CLNO2(ニトレートコレステリルリノリートコレステリル-9-,10-,12-,および13-ニトロ-cis-オクテデカジエンケート)、脂肪酸、オメガ-3-ポリ不飽和脂肪酸、ヘキサデカトリエン酸(HTA;16:3(n-3);オール-cis-7,10,13-ヘキサデカトリエン酸)、α-リノレン酸(ALA;18:3(n-3);オール-cis-9,12,15-オクタデカトリエン酸)、ステアリドン酸(SDA;18:4(n-3);オール-cis-6,9,12,15-オクタデカトリエン酸)、エイコサトリエン酸(ETE;20:3(n-3);オール-cis-11,14,17-エイコサトリエン酸)、エイコサテトラエン酸(ETA;20:4(n-3);オール-cis-8,11,14,17-エイコサテトラエン酸)、エイコサペンタエン酸(EPA;20:5(n-3);オール-cis-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸)、ヘネイコサペンタエン酸(HPA;21:5(n-3);オール-cis-6,9,12,15,18-ヘネイコサペンタエン酸);ドコサペンタエン酸(DPA;クルパノドニ酸;22:5(n-3);オール-cis-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸)、ドコサヘキサエン酸(DHA;22:6(n-3);オール-cis-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸)、テトラコサペンタエン酸;24:5(n-3);オール-cis-9,12,15,18,21-テトラコサペンタエン酸)、テトラコサヘキサエン酸(ニシン酸;24:6(n-3);オール-cis-6,9,12,15,18,21-テトラコサヘキサエン酸)、スフィンゴシン-1-ホスフェート類似体、スフィンゴシン-1-ホスフェートアンタゴニスト、スフィンゴシン-1-ホスフェートアゴニスト、スフィンゴシン-1-ホスフェート受容体アゴニスト、スフィンゴシン-1-ホスフェート受容体アンタゴニスト、およびスフィンゴシン-1-ホスフェート受容体類似体の一つの組み合わせ、または任意の組み合わせを含む。
【0170】
本発明の医薬組成物は、本発明のステープルペプチド(LD2ペプチド)の有益な効果を受け得る、任意の患者に投与され得る。本発明を限定することを意図するものではないが、そのような患者の中で最も重要なのは、哺乳動物、例えば、ヒトである。他の患者は、家畜(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ等)を含む。
【0171】
LD2ペプチドおよびその医薬組成物は、それらの意図する目的を達成する任意の手段により投与され得る。例えば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、口腔内、くも膜下、頭蓋内、鼻腔内または局所経路であり得る。あるいは、または同時に、投与は、経口経路によりなされ得る。投与量は、受容者の年齢、健康状態、および体重、併用処置(もしあれば)、処置の頻度、ならびに望まれる効果の性質に依存する。
【0172】
本発明の医薬製剤は、それ自身公知の方法で、例えば、慣用的な混合、造粒、糖衣錠製造、溶解、または凍結乾燥プロセスにより製造される。したがって、経口使用のための医薬製剤は、活性なLD2ペプチドと固形賦形剤とを混合し、場合により得られた混合物を粉砕し、所望または必要であれば、錠剤または糖衣錠コアを得るために、適当な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を処理することにより得ることができる。
【0173】
適当な賦形剤は、特に、糖類(例えば、ラクトースまたはスクロース、マンニトールまたはソルビトール)、セルロース調製物および/またはリン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム)等の充填剤、ならびに例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドン等を用いたデンプンペースト等の結合剤である。所望により、例えば、上記したデンプン、ならびにカルボキシメチルデンプン、交差結合ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)等の崩壊剤を添加することができる。補助剤は、とりわけ、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸もしくはそれらの塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム)、および/またはポリエチレングリコール等の流量調節剤および滑沢剤である。糖衣錠コアは、所望により、胃液に対して耐性がある適当なコーティングで提供される。この目的のために、濃縮した糖の溶液が使用でき、この溶液は、所望によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適当な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る。胃液に対して耐性があるコーティングを産生するために、適当なセルロース調製物(例えば、アセチルセルロースフタレートまたはヒドロキシプロピルメチル-セルロースフタレート)の溶液が使用される。染料または顔料は、例えば、は活性化合物用量の組み合わせを同定または特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加され得る。
【0174】
経口的に使用し得る他の医薬製剤は、ゼラチンで形成されたプッシュフィットカプセル、およびゼラチンと、グリセリンもしくはソルビトール等の可塑剤とで形成された封入軟カプセルを含む。プッシュフィットカプセルは、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ならびに任意で安定剤を混合し得る顆粒の形態で、活性ステープルペプチド(例えば、LD2ペプチド)を含み得る。軟カプセルにおいて活性ステープルペプチド(例えば、LD2ペプチド)は、一つの態様において、脂肪油、または流動パラフィン等の適当な液体に溶解または懸濁される。さらに、安定剤を添加してもよい。
【0175】
直腸的にに使用し得る考えられる医薬製剤は、例えば、一つまたはそれ以上の活性ペプチドと坐剤基剤との組合せからなる坐剤を含む。適当な坐剤基剤は、例えば、天然もしくは合成トリグリセリド、またはパラフィン炭化水素である。さらに、活性ステープルペプチド(例えば、LD2ペプチド)と基材との組合せからなるゼラチン直腸カプセルを使用することもできる。考えられる基材は、例えば、液状トリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラフィン炭化水素を含む。
【0176】
非経口投与に適した製剤は、水溶性形態の活性ペプチドの水溶液、例えば、水溶性塩およびアルカリ溶液を含む。さらに、適当な油性注射懸濁液として、活性ステープルペプチド(例えば、LD2ペプチド)の懸濁液が投与され得る。適当な親油性溶媒またはビヒクルは、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリドもしくはポリエチレングリコール-400を含む。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘性を増大させる物質を含むことができ、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランを含む。所望により、懸濁液はまた、安定剤を含み得る。
【0177】
本発明の局所組成物は、一つの態様において、適当な担体の選択により、油、クリーム、ローション、軟膏等として製剤化し得る。適当な担体は、植物油または鉱油、白色ワセリン(白色軟パラフィン)、分枝鎖脂肪もしくは油、動物性脂肪および高分子重量アルコール(C12より大きい)を含む。担体は、有効成分が可溶であるものであり得る。乳化剤、安定剤、湿潤剤および酸化防止剤、ならびに所望であれば、着色剤または芳香剤を付与する薬剤もまた含まれ得る。さらに、経皮浸透増強剤が、これらの局所製剤に使用することができる。このような増強剤の例は、米国特許第3,989,816号および米国特許第4,444,762号に見出すことができ、その各々の全体を引用により本明細書の一部とする。
【0178】
軟膏は、アーモンド油等の植物油中の有効成分と、加温軟質パラフィンとを混合し、該混合物を冷却することにより、製剤し得る。該軟膏の典型的な例は、重量で、約30%のアーモンド油および約70%の白色軟質パラフィンを含むものである。ローションは、有効成分を、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール等の適当な高分子重量アルコールに溶解することにより、慣用的に製造することができる。
【0179】
当業者は、上述の記載は、単に、本発明の特定の好ましい態様の詳細な説明を示したものであると容易に理解する。上述の組成物および方法の種々の修飾および変更は、当該分野で利用可能な専門知識を用いて容易に達成することができ、本発明の範囲に含まれる。
【0180】
(実施例)
下記の実施例は、本発明のステープルペプチド(例えば、LD2ペプチド)、組成物、および方法の例示であり、これに限定されない。種々の条件およびパラメータの他の適当な修飾および適応は、通常、臨床治療で遭遇するものであり、それは、当業者には自明であり、本発明の思想および範囲内である。
【0181】
(実施例I)
この実施例は、FAKのFATドメインに親和性を有し、パキシリンと焦点接着キナーゼ(FAK)との相互作用を妨害することができ、それ故、FAK-パキシリン相互作用に関連するFAK活性を阻害するペプチドの作製を記載する。
【0182】
FAK-パキシリン相互作用の阻害剤を開発するために、以下の利点を有するステープルペプチドアプローチをとる実験を行った:(1)出発点として天然ペプチドを使用すること、(2)全体の相互作用インターフェースをスパニングすること、(3)αらせん性、細胞透過性、およびタンパク質分解安定性を増強するための化学部分を有すること、ならびに(4)純SAR分析(アミド化学)のための実行可能な分子。
【0183】
最初に、パキシリンLD2モチーフおよび全炭化水素ステープリングに基づく、一連の環状ペプチドの合成から開始した実験を行った(
図1)。固相ペプチド合成およびi、i+7位(6アミノ酸離れたまたは2つのらせん巻き)におけるオレフィンアミノ酸((R)-N-Fmoc-2-(4’-ペンテニル)アラニンおよび(S)-N-Fmoc-2-(7’-オクテニル)アラニン)の組み込み、続いて、閉環オレフィンメタセシスおよび樹脂からの開裂を用いた(
図2を参照のこと。)(Kim Yら、Nature Protocols.2011;6:761-71)。ステープルペプチドを、分子モデルおよびFAT-LD2錯体(PDB 10W8)のx線結晶構造解析を用いて設計し、結合界面の一部ではない残基を、オレフィン性アミノ酸による置換のために選択した。結合界面の残基部分をまた、SAR試験のために選択した。
【0184】
αヘリックスペプチドの炭化水素ステープリングには、3つの主要なアプローチ:(1)i、i+3、(2)i、i+4、および(3)i、i+7があり、それぞれが異なる生物学的効果の潜在性を有する。異なる位置(NまたはC末端末のシフト)でこれらのiモチーフの種々の反復(ステープル走査)し、疎水性界面および溶媒接近可能面積の両方に存在する残基でのステープリングを合成する実験を行った。ペプチドのN末端およびC末端上の伸長残基は、結合親和性および細胞透過性の両方に有益な作用を有し得るので、実験を行った。最後に、タンパク質接触を増強し、透過性を増強し、さらにプロテアーゼによる認識を阻害するために、疎水性/極性/荷電置換、非天然アミノ酸、またはD-アミノ酸(39)で天然アミノ酸を置換する実験を行った(
図1)。
【0185】
FAKステープルペプチドの構造-活性関係を理解するために、実験を設計し、ステープル戦略((i、i+3)、(i、i+4)、および(i、i+7))、ステープル位置、配列長、アミノ酸組成、ならびに相同配列(LD2、LD4、CD4、DCC、Leupaxin)に基づいて変化する、36個のペプチドを合成した(表2)。SPR親和性分析において3.4μMのKDを与え、SPRにおいてWT/突然変異タンパク質に対する非常に高度の選択性を示し、蛍光偏光(FP)アッセイにおいてパキシリン-FAT結合を競合的に阻害するステープルペプチドUACC-1907:
【0186】
【0187】
が同定された(K
i=5.8μM)(
図4)。UACC-1907の活性は、天然パキシリンLD2ペプチドUACC-1967(K
D=156μM、K
i=70.6μM)と比較して大幅に改善された。UACC-1907(1907)の化学構造をまた
図3に示す。
【0188】
同じi+7ステープリングモチーフが1アミノ酸だけ離れてシフトした1905は、結合および阻害特性を有さなかったので、1907の特異的ステープル位置は、生化学的/生物物理学的活性に必須であった。異なる位置に同じi+7ステープリングモチーフを有する他のLD2ペプチド(1914、2017)もまた、1907と比較して限定された活性を示した。異なるステープリングモチーフ(1919-(i,i+4)、1921-(i,i+3)、2015-(i,i+4)、2022-(i,i+3)、2024-(i,i+3))を有するLD2ペプチドは、1907と比較してあまり活性を示さなかった。また、Aib(2-アミノイソ酪酸)ベースのα-ヘリックス安定化ストラテジーを有するペプチド(すなわち、1912)は、1907と比較してより低い活性を有した。2つのグルタミン酸からグルタミンへの変換を伴う1910は、1907ほど活性を有さなかったので、アミノ酸配列も活性にとって非常に重要であった。アミノ酸配列はまた、ロイシン145、149、および152(パキシリン配列に基づく)は、トリプトファンへの変換を有するペプチド(1933、2007)が1907と比較してより悪い結合特性および阻害特性を有していたため、活性にとって非常に重要であった。L145EおよびL152E置換を有するペプチド2014は、結合および阻害特性を全く示さなかった。全体として、ホモログタンパク質配列に基づくステープルペプチド(1929、1916)は、LD2由来の1907に匹敵する活性を有さなかった。パキシリンLD4由来ペプチド1917は、LD2由来1907よりも低い活性ではあるが、類似した活性を有していた。ステープルペプチド1907の長さはまた、活性にとって重要であり、n末端およびc末端における切断されたステープルペプチド(すなわち、2011)は、結合特性および阻害特性を有さなかった。伸長したペプチド1920は適度な結合親和性(KD=7.0μM)を有したが、1907と比較してより悪い阻害特性(Ki=25.0μM)を有した。これらのデータは、経験的に誘導された最適ステープリング化学およびアミノ酸配列が最良のFAK結合および阻害に必要であることを示した。
【0189】
1907の活性をさらに評価するために、フローサイトメトリーに基づく細胞透過性アッセイにおいてペプチドを試験する実験を行った。このアッセイにおいて、ローダミン標識1907は、ローダミンのみの制御と比較して、MDA-MB-453乳がん細胞において細胞膜をうまく通過した(
図4)。SK-MEL-103メラノーマ細胞における細胞有効性を試験するために、実験をまた行った。ペプチド1907は、既知のFAK阻害剤デファクチニブと比較して(化合物K
Dと比較して)、より低い相対濃度で、SK-MEL-103侵入および3D増殖を効果的に阻害した(
図4)。
【0190】
FAK FATドメインのパキシリン結合部位への結合について1907を調べるために、さらなる構造生物学的実験を行った。
15N標識FATドメインタンパク質を用いたHSQC NMR実験において、1907は、天然パキシリンLD2ペプチドに対するFATへリックス2-3(L959、R962、K955)およびFATへリックス1-4(V928、I936)結合部位の両方で特異的結合を示した(
図5)。NMRに由来するFAT結合親和性は、1907がヘリックス1-4サイト(I936:K
D=33.2μM、K1032:K
D=33.7μM)と比較して、FATヘリックス2-3サイト(L959:K
D=1.0μM、K955:K
D=1.6μM)に対して、より強い親和性を示した。また、ヒトのFAK FATドメインと複合した1907のX線共結晶構造を決定することに成功した(
図6)。この結晶構造において、1907は、パキシリンLD2と同じFATヘリックス2-3部位に結合し、顕著なαヘリックス構造を示した。すべてにおいて、これらの試験は、ステープルペプチドアプローチの実現可能性を支持し、さらなる化学的最適化のためのペプチドリードとして1907を与えた。
【0191】
1907の細胞能力を改善するために、ペプチドアナログを設計し、増加した疎水性および細胞取り込みのためのミリストイル(2012、2029)またはドデシル(2025)修飾を用いて、合成した(
図7、表2、
図14)。陰性対照ミリストイル化ペプチド(2020)を設計し、非活性な分子2014に基づいて合成した。SK-MEL-103黒色腫細胞を用いて、3D増殖アッセイにおけるこれらのペプチドの効果を試験するために、実験を行った。ペプチド2012(IC
50=5.5μM)は、1907(IC
50=60μM)と比較して、細胞能力が改善されたが、陰性対照2020は効果がなかった(IC
50=NA)。さらに、2012年は、正常なHUVEC細胞の増殖に影響を及ぼさなかった(IC
50=NA)(
図7)。
【0192】
SPR、突然変異誘発、およびNMRデータにより示されるように、ペプチド1907は、FATドメイン上のへリックス2-3およびへリックス1-4結合部位の両方に結合する能力を有する。両方の部位に同時に、したがってナノモルの結合親和性で結合することができる多価ペプチドを作製するために、我々は、DBCO-[PEG]
n-DBCOまたはアルキン-[PEG]
n-アルキンリンカーへの2つのアジド修飾1907分子(2006)の結合を介して、一連の結合ペプチド(2018、2021、2023)を設計し、合成した(表2、
図8)。2018、2021および2023の化学構造を
図14に示す。合成したアジド含有ステープルペプチド(2006)は、FATに対する結合親和性が、親ペプチド1907に匹敵することを示した(4.6対2.8μM)。アジド-アルキン環状付加または「クリック」化学を用いて、多価ペプチドを連結した。多価ペプチド2018、2021、および2023のFAT結合親和性を試験するために、実験を行った(表2)。DBCOベースの多価ペプチド2018は、1907と比較して結合親和性の増加(K
D=24.2μM)を有さなかったが、アルキンベースのペプチド2021(K
D=237nM)および2023(K
D=21nM)は、FAT結合親和性の劇的な向上を示した(
図8)。これらのデータは、FAT多価法についての原理を実証し、最大FAT結合についての最適リンカー長(PEG
n)およびケミストリー(DBCO対アルキン)の経験的決定を強調した。
【0193】
ペプチド2023および1907の膜透過性を促進するために、リポソーム製剤Saint-Protein(Synvolux)を用いて、インビトロ実験を行った。3:1の体積:体積比のSaint:Peptideを用いて製剤を調製し、PBS PH7.4+1%DMSO中で、ペプチド濃度を滴定した。
図9に示すように、2023リポソーム製剤は、様々ながん細胞の増殖に対してナノモルの効果を示した(U87 IC
50=40 nM、MDAMB231 IC
50=27nM、SKMEL103 IC
50=50nM)。1907のリポソーマル製剤は、がん細胞増殖について低マイクロモルの効果を示した(U87 IC
50=8.5μM、MDAMB231=2.3μM,SKMEL103 IC
50=2.4μM)。2023と1907の両方について計算した細胞IC50は、SPRとNMRにより決定されたFATドメインK
Dと一直線であった。
【0194】
FAK FATドメインおよびFAKキナーゼドメインの両方を阻害する二重能力を有する二機能性ペプチドを作製するために、FATステープルペプチド1907およびFAKキナーゼドメイン阻害剤PF-562271(PF-271)に基づくハイブリッドペプチドを設計した(
図10)。「クリック」化学を利用して、アルキン誘導体化PF-271をアジド修飾ペプチド2006に連結した。コンジュゲーションパートナーとしての2006の合理的な選択を、X線結晶構造解析情報および計算された生物物理学的データによって決定した(表2および
図6)。PF-271上のアルキン官能化部位は、PF-271:FAKキナーゼの従来のX線共結晶構造に基づいて選択され、PROTACアプローチの実現可能性を実証した(40)。FAT-キナーゼ二官能性(UACC-2030)の合成の成功を表3に示す。2030の化学構造を
図10および
図14に示す。
【0195】
PROteoylsis TArgeting Chimera (PROTAC)アプローチによって細胞中のFAKタンパク質を分解する能力を有するFATペプチドを作製するために、FATステープルペプチド1907およびE3リガンドターゲティングリガンドサリドマイドに基づく、ハイブリッドペプチドを設計した(
図11)。「クリック」化学を用いて、アルキン誘導体化サリドマイドをアジド修飾ペプチド2006に結合させた。コンジュゲーションパートナーとしての2006の合理的な選択を、X線結晶構造解析情報および計算された生物物理学的データによって決定した(表2および
図6)。FAT-PROTAC分子(UACC-2019)の成功した合成を表3に示す。2019の化学構造を
図11および14に示す。ペプチド2019(K
D=10.2μM)は、親構造1907に匹敵するFATドメイン結合親和性を示した(表2)。
【0196】
実験を行って、合成ペプチド1967(天然LD2)、1907、および2012のプロテアーゼ耐性を試験するために実験を行った(
図12)。トリプシン-アガロースビーズを用いて、生理学的緩衝液中でのペプチドの潜在的切断を試験し、LC-MSを分析方法として用いて、ペプチド濃度を決定した。
図12に示すように、ステープルペプチド1907(t
1/2=15.7時間)および2012(t
1/2>48時間)の両方は、天然のLD2ペプチド1967(t
1/2=0.69時間)と比較して、非常に改善された安定性およびプロテアーゼ耐性を示した。
【0197】
FAK FATドメインを標的とするステープルペプチドの抗線維化効果を試験するために実験を行った(
図13)。TGF-β誘導をLX-2ヒト肝星細胞で行い、線維化促進表現型と筋線維芽細胞様細胞への分化を促進した。2012処理は、線維症のマーカーであるフィブロネクチンのTGF-β誘導発現を用量依存的に低下させた。また、2012処理は、TGF-β誘導LX-2細胞の形態変化を誘導し、細胞の脱分化と表現型の復帰を引き起こした。
【0198】
さらなるステープルペプチドを作製した。表2は、配列/構造情報、SPRおよびFP結果を有するさらなるステープルペプチドを提供する。
【0199】
【0200】
表2:ステープルペプチドSAR解析。合成炭化水素ステープルペプチドは、ステープル戦略((i、i+3);(i、i+4);および(i、i+7))、ステープル位置、配列長、アミノ酸組成、および相同配列に基づいて、変化させた。MW、SPRデータ、FPデータを示す。(注)1907および2023は、データから上位候補とした。略語:R
8:(R)-2-(7-オクテニル)アラニン;S
5:(S)-2-(4-ペンテニル)アラニン;R
5:(R)-2-(4-2-ペンテニル)アラニン;Az:2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)アセチル;Aib:2-アミノイソブチル酸;DBCO:3-アミノ-1-(2-アザトリシクロ[10.4.0.0 4,9]ヘキサデカ-1(16),4,6,8,12,14-ヘキセン-10-イン-2-イル)プロパン-1-オン;
*:2部位結合モデル;NC:未計算。NA:アッセイの範囲外の適用のために、K
iに適用されない。特に明記しない限り、ペプチドは、分子内閉環メサシス反応の産物であり、二重結合幾何学は、確立または定量されていない。これらの配列は、省略され、「クリック」化学生成物を指し得る。
図14は、ペプチドP29~P34の構造を示す。
【0201】
(実施例II)
この実施例は、実施例Iのための材料および方法を記載する。
【0202】
<合成>
本明細書に記載の化合物は、Rinkアミド樹脂と、Fmoc-(S)-2-(4-ペンテニル)アラニン、Fmoc-(R)-2-(4-ペンテニル)アラニン、Fmoc-(R)-2-(7-オクテニル)アラニン、N-α-アミノイソ酪酸(Fmoc-Aib-OH)、Nα-Fmoc-Nε-(アジド-PEG4)-L-リジン、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Asn(Trt)-OH、FmocAsp(Ot-Bu)-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Glu(Ot-Bu)-OH、Fmoc-Gly-OH、FmocHis(Trt)-OH、Fmoc-Ile-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Met-OH、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Ser(t-Bu)-OH、Fmoc-Thr(t-Bu)-OH、Fmoc-Tyr(t-Bu)-OH、およびFmoc-Val-OHの種々の組み合わせを用いて、合成した。グリシンを除いて、または他に注記されるように、これらのアミノ酸は、「L」構造である。当業者に知られているように、標準的なFmocベースの固相ペプチド合成化学を用いた。ペプチドは、Biotage Initiator+ Alstra自動マイクロ波アシストペプチド合成機で、RinkアミドMBHA ChemMatrix樹脂(典型的な装填0.45 meq/g)を用いて合成した。N-Fmoc保護アミノ酸を、標準的な側鎖保護基と共に使用した。アルケニルアミノ酸Fmoc-(R)-2-(7-オクテニル)アラニン、Fmoc-(S)-2-(4-ペンテニル)アラニンおよびFmoc-(R)-2-(4-ペンテニル)アラニンは、Advanced ChemTechから購入した。反応は、0.1mmolスケールで行った。典型的な条件は以下の通りである。保護されたアミノ酸、HCTU、DICおよびOxyma Pureについて、0.5Mの濃度;DIPEAについて、1.0M、およびDMF中の無水酢酸について、5.0Mの濃度を使用した。効率的な混合を確実にするために、4mLの反応容量を使用し、必要に応じてDMFを添加した。DMF中、20% 4-メチルピペリジンの溶液をFmoc-脱保護のために使用し、95:2.5:2.5(v/v)FA:水:トリイソプロピルシランを用いて、開裂/グローバル脱保護を行った。カップリングは、3:3:6モル当量のアミノ酸:HCTU:DIPEAを用いた、非天然アルケンアミノ酸を使用した場合を除いて、5当量のアミノ酸、5当量のHCTUおよび10当量のDIPEAを使用した。
【0203】
遊離アミンとして提供された樹脂を、最初にDMF(70℃、20分間)で膨潤させた。Fmoc保護アミノ酸を75℃で4分間カップリングし、次いでDMFで洗浄した。すべての残基について、二重カップリングを使用した。アルギニンを50℃で6分間カップリングさせた。続いて、3分間の反応、次いで周囲温度での新鮮な試薬との10分間の反応、続いてDMF洗浄からなる、Fmoc-脱保護のサイクルを行った。二重Fmoc-脱保護サイクルを、N末端残基およびオレフィン性アミノ酸について用いた。
【0204】
Grubbsの第一生成触媒(ベンジリデン-ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム)を用いて、Fmoc保護ペプチド上で、手動の注入モードで、マシン上で閉環メタセシスを行った。反応前に、樹脂をDCM、続いてEt2Oのサイクルで十分に洗浄し、真空中で短時間乾燥させ、次いで洗浄し、DCEで膨潤させた。次いで、グラブスI(10mM)を添加し、15分毎の排気と共に40℃で1時間反応させた。これは、反応間の洗浄に使用されたDCEを用いて、合計3回行った。完了後、樹脂をDCE、次いでDCMで洗浄し、次いでDMFで膨潤させた。
【0205】
Fmoc基を、上記の通り脱保護した。アセトアミドとしてNキャップした場合、50当量の無水酢酸および10当量のDIPEAを使用し、これを周囲温度で45分間反応させた。ローダミンBを、75℃で4分間、各々DICおよびOxyma Pureの5当量とカップリングさせた。樹脂を3サイクルのDCM、続いてEt2Oで洗浄し、次いで真空中で乾燥させた。
【0206】
95:2.5:2.5のTFA:水:トリイソプロピルシランを用いた開裂を、周囲温度で2時間行った。次いで、反応溶液を35mLの冷水Et2Oに滴下した。これを混合し、-80℃で30分間冷却し、次いで6000×Gで6分間遠心分離した。上清をデカントした後、ペレットを20mLのEt2Oに懸濁させ、次いで冷却し、遠心分離し、上記のようにデカントした。粗ペプチドを真空乾燥した。
【0207】
調製用HPLCを、水(0.1% AcOH)中、アセトニトリル(0.1% AcOH)の勾配を用いて、Zorbax SB-C18カラム(Agilent 880975-202;9.4×250mm;80Åの孔径;5μmの粒度)を使用して、可変波長検出器を備えるAgilent 1260 II quatemary HPLCで行った。
【0208】
分析用HPLCは、水(0.1% AcOH)中、アセトニトリル(0.1% AcOH)の勾配を用いて、Zorbax SB-C18カラム(Agilent 830990-902;2.1×150mm;80Å孔径;3.5μm粒度)を使用して、1200 DADおよびInfinity 6125 LCMSD検出器を用いて、Agilent 1200 HPLCで行った。
【0209】
【0210】
<表面プラズモン共鳴(SPR)>
SPR結合試験を、ForteBio Pioneer FE SPRシステムで行った。簡潔には、デキストランヒドロゲルバイオセンサー(ForteBio)中のSADHストレプトアビジンをフローセル上にドッキングし、10mM NaOH、1M NaClの2回の注入を50μL/分で1分間予備調整した。続いて、ビオチン化Avitag-FATタンパク質を泳動緩衝液(100mM Tris-HCl、200mM NaCl、0.05% Tween-20)中で希釈し、10μL/分で注入して、チャネル1上に約1000RUの固定化タンパク質を達成した。空のチャネル2は、参照対照として用いた。安定なベースラインを達成した後、一連の濃度(200μM~0.01μM)のペプチドを、最終ランニング緩衝液(100mM Tris-HCl、200mM NaCl、0.05% Tween-20、5% DMSO)中で調製し、OneStep勾配注入法を用いて75μL/分の流速で注入した。OneStep注入のためのバルク標準対照として3%スクロースを利用し、DMSO較正曲線を、3.5%~6.5% DMSOの濃度範囲を用いて行った。元のSPRデータを、注入前にベースラインを標準化し、チャネルを整列させ、参照チャネルを減算し、ブランク減算することにより、Qdatソフトウェア(ForteBio)中で適当に処理した。KDを計算するために、動的データを擬一次1:1相互作用結合モデルに当てはめた。さらに、定常状態モデルおよびReqデータポイントを使用して、結合親和性を検証した。適当なモデルフィッティング、物質輸送効果の欠如、ベースラインへの復帰、および不規則な動態の欠如を検証するために、SPRセンソグラムの目視検査を行った。
【0211】
<蛍光偏光アッセイ>
使用したFPアッセイ緩衝液は、20mM Tris、200mM NaCl、0.05%β-me、0.1% Triton X-100、5%グリセロール、および1XHaltプロテアーゼインヒビターカクテルであった。すべての最終FP反応物を384ウェルプレート(NUNC 267461)に30μLで入れ、室温で3時間振盪して、平衡に到達させた。プレートを、ソフトウェアEnvision Manager 1.13を備えたPerkinElmer EnVisionプレートリーダーで読み取った。Bodipy TMR FP光モジュール(2100‐4100)を、ミラーとして用いた。励起フィルター(2100~5830)は、531nmでの波長を利用し、両方の発光フィルター(2100~5800および2100~5810)は、579nmの波長であった。TAMRA-LD2-L10DのみのベースラインmPを、Envision Managerソフトウェア上のアッセイ最適化ウィザードを通して15mPに設定した。アッセイの最適化では、測定高さを6.5mm、励起光を100%、G因子を1.01、検出器ゲインを300、およびウェルあたりの閃光回数を25に設定した。
【0212】
ペプチド阻害剤のIC50測定のために、阻害剤を、20μMのFATおよび0.1μMのTAMRA-LD2を含むFPバッファ中で325nMから667μMまで滴定した。FATを含まないウェルをベースライン値として使用し、これを生の値から差し引いてΔmP値を得た。プレートを毎時間4時間読み込み、IC50の時差を確認した。滴定データをGraphPad Prismで処理して、用量反応曲線および標準誤差を有する計算IC50(SE)を作成した。4パラメータ投与-応答阻害モデルを利用し、ボトムフィットを曲線の下側プラトーに制約した。Kiは以下の計算式から求めた:
【0213】
【0214】
式中、I50は、50%阻害での遊離阻害剤の濃度である。L50は、50%抑制での遊離リガンドの濃度である。P0は、遊離タンパク質の濃度であり、KDは、飽和曲線から計算される。I50は、以下の式で計算される:
【0215】
【0216】
式中、PTは、全タンパク濃度であり、LTは、全ラベル付き合字濃度であり、P0は、P0
2+(KD+LT)*P0-PT、PL0=P-P0、PL50=PL0/2、L0=LT-PL0、およびL50=LT-PL50の正ルートである。
【0217】
<2D HSQC NMR>
2D HSQC-NMR試料を、100μMの15N FATで調製した。ペプチドを、5%のDMSO濃度で500~250nMの濃度でスクリーニングした。1Hおよび15Nに対してそれぞれ600.133および60.817MHzのLarmor周波数で作動する5mm TCI Prodigyクライオプローブを装備したBruker Avance III-HDコンソール上で、TROSHSQCを収集した。各2D実験では、それぞれ14.03および30.0ppm、および2048および256地点の掃引幅で回収、16のシグナルを併記hhした[29~33]。すべての最終データをBruker TopSpinで処理した。PyMOLソフトウェアを用いてFAT‐LD2錯体(PDB 1OW8)の構造上に化学シフト摂動(CSP)をマッピングし、結合部位と結合時の構造変化を調べた。
【0218】
<フローサイトメトリー>
Canto II フローサイトメーター(BD Biosciences)で行ったフローサイトメトリーアッセイを利用して、TAMRAタグ化ペプチドの細胞取り込みを測定した。要約すると、陽性対照としてTAMRAのみで処理した細胞を用いて、前記装置を適当にゲートした。また、非タグ化ペプチドで処理した細胞を陰性対照として用いて、非特異的シグナルを除外した。細胞取り込みを測定するために、細胞をTAMRAタグ化ペプチドで2~48時間処理した。ペプチドの透過性は、TAMRA陽性対照に対する陽性%および平均蛍光強度(MFI)として報告した。
【0219】
<免疫蛍光法>
FAK局在化におけるステープルペプチドの効果を測定するために、免疫蛍光染色を行った。簡潔には、細胞をカバースリップ上に播種し、1×PBS PH7.4中、4%パラホルムアルデヒドで10分間固定し、0.2% Triton X-100を用いて、氷上で5分間、透過した。細胞を、1×PBS PH7.4中、25%通常ヤギ血清で30分間ブロックし、1×PBS PH7.4で洗浄し、1×PBS PH7.4中、25%ヤギ血清で1:200に希釈したFAK 4.47一次抗体(Millipore)と共にインキュベートした。細胞を、1×PBS PH7.4で3回洗浄し、FITC結合二次抗体(25%ヤギ血清中1:400希釈)をカバースリップに適用した。細胞を、Zeiss AXIO Imager M2 Upright Widefield Fluorescent Microscopeを用いて画像化した。試料ごとに、6視野に渡って撮影した。
【0220】
<X線結晶構造解析>
リードペプチドSP3とヒトFAK FATドメイン(AA 919-1052)との共結晶化(ここで、該ペプチドは結晶化の前に該タンパク質(1:1モル比)と混合され、インキュベートされた。)は、市販の結晶化キット(Hampton Research、Molecular Dimensions、Qiagen)および初期結晶化条件(pH、塩、グリセロール、および他の沈殿剤を変化させる。)の周りに集束した緩衝プレートを使用して、Rigaku Phoenix-HT結晶化ロボットを使用して実施された。データ収集は、アルゴンヌ国立研究所(シカゴ、IL)のAdvanced Photon Source(APS)、およびLawrence Berkeley国立研究所(カリフォルニア州バークレー)のAdvanced Light Source(ALS)のようなシンクロトロン放射源で行われた。構造決定は、参照モデルとして結晶構造PDB 1K05を用いて分子置換により行った。FAK‐FATドメイン結合ポケット(Fo-Fc)中の余分な電子密度をペプチド構造にモデル化し、高品質モデルを構築するために複数サイクルにわたって漸進的に精密化した。
【0221】
表3は、本発明のペプチド阻害剤のための質量分析データを提供する。
【0222】
【0223】
表3.ペプチド阻害剤の質量分析データ。質量スペクトルは、ESI+による。
【0224】
本発明を完全に説明してきたが、本発明の範囲またはその任意の実施形態に影響を及ぼすことなく、広範かつ同等の範囲の条件、製剤、および他のパラメータ内で同じことを実施できることが、当業者には理解されよう。本明細書に引用されたすべての特許、特許出願および刊行物は、その全体を引用により本明細書の一部とする。
【0225】
(引用による組み込み)
本明細書で参照された各特許文献および科学論文の全ての開示は、あらゆる目的のために、引用により本明細書の一部とし、下記の参照を含むがこれに限定されることはない:
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34. Deramaudt TB, Dujardin D, Noulet F, Martin S, Vauchelles R, Takeda K, Ronde P. Altering FAK-paxillin interactions reduces adhesion, migration and invasion processes. PLoS One. 2014;9(3):e92059. Epub 2014/03/20. doi: 10.1371/journal.pone.0092059. PubMed PMID: 24642576; PMCID: PMC3958421.
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37. Gao G, Prutzman KC, King ML, Scheswohl DM, DeRose EF, London RE, Schaller MD, Campbell SL. NMR solution structure of the focal adhesion targeting domain of focal adhesion kinase in complex with a paxillin LD peptide: evidence for a two-site binding model. J Biol Chem. 2004;279(9):8441-51. PubMed PMID: 14662767.
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39. Chang YS, Graves B, Guerlavais V, Tovar C, Packman K, To KH, Olson KA, Kesavan K, Gangurde P, Mukherjee A, Baker T, Darlak K, Elkin C, Filipovic Z, Qureshi FZ, Cai H, Berry P, Feyfant E, Shi XE, Horstick J, Annis DA, Manning AM, Fotouhi N, Nash H, Vassilev LT, Sawyer TK. Stapled alpha-helical peptide drug development: a potent dual inhibitor of MDM2 and MDMX for p53-dependent cancer therapy. Proc Natl Acad Sci U S A. 2013;110(36):E3445-54. Epub 2013/08/16. doi: 10.1073/pnas.1303002110. PubMed PMID: 23946421; PMCID: PMC3767549.
40. Gao H, Wu Y, Sun Y, Yang Y, Zhou G, Rao Y. Design, Synthesis, and Evaluation of Highly Potent FAK-Targeting PROTACs. ACS Med Chem Lett. Article ASAP. DOI: 10.1021/acsmedchemlett.9b00372。
【0226】
(同等物)
本発明は、その精神または本質的特性から逸脱することなく、他の特定の形態において実施され得る。したがって、前述の実施形態は、本明細書で説明される本発明を限定するのではなく、すべての点で例示的であると見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は前述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の同等性の意味および範囲内のすべての変更は、本発明に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0227】
【
図1】FAKのFATドメインを標的化するステープルαヘリックスペプチドの概要。A.2つのパキシリンLD2モチーフ(緑色およびマゼンタで示す)を含む、FAT-パキシリン相互作用の結晶構造(PDB 1OW8)。ステープルペプチドは、パキシリンLD2モチーフの構造に基づく。B.FATへリックス2-3結合界面とパキシリンLD2とのズームインセット。C.LD2-FATの分子間および分子内相互作用のへリックスホイール構造解析。D.ペプチド最適化のために使用されるステープリングストラテジーの3D表示。E.ペプチド設計戦略において使用されるアミノ酸修飾の概要。
【
図2】ステープルペプチド合成のための合成スキーム。
【
図3】ステープルペプチドUACC-1907の化学構造。
【
図4】ステープルペプチドUACC-1907(1907)の生化学的、生物物理学的、および細胞学的データ。A.ステープルを赤色で強調したペプチド1907の3Dモデル。B.FATへのTAMRA-LD2結合の阻害を示す、1907を用いた競合FP実験。C.へリックス-タンパク質界面において、野生型FATおよび突然変異体FAT(L994E、I936A)を用いた、SPR結合および選択性解析。D.MDA-MB-453乳がん細胞におけるローダミン-1907(10μM)細胞取り込みのフローサイトメトリー分析。E.SK-MEL-103黒色腫細胞におけるボイデンチャンバー侵入アッセイ。F.SK-MEL-103黒色腫細胞における3D Matrigel-on-top増殖アッセイ。
【
図5】ペプチド1907との複合体における、
15N標識FATドメインタンパク質のHSQC NMRデータ。A.600MHz NMR分析計を用いて、1%DMSO(栗色)、50μM 1907(赤色)、10μM 1907(緑色)、および5μM 1907(青色)を用いた、FATドメインの
1H/
15N HSQCスペクトル。注:ペプチドは、ヘリックス1-4(K1032)およびヘリックス2-3(L959)結合部位の両方でピーク強度変化を引き起こす。B.HSQC NMRおよびFATドメイン上の4つの異なる残基(V932、L959、L994、およびD1036)を用いた、1907結合曲線。1907濃度を100~0.01μMから滴定し、ピークインテグレーションの変化率を濃度に対してプロットしてK
Dを計算した。C.へリックス2-3部位およびD.へリックス1-4部位における、1907によって引き起こされる鍵摂動のマッピング。大きなシフトを有する残基は、緑色で強調される。1907は、天然のパキシリンLD2(黄色およびシアン)と同じ部位に結合することに注意されたい。
【
図6】ヒトFAK FATドメインと複合しているFAKペプチド抑制剤(すなわち、1907)の1.95Å分解能でのX線結晶構造。左パネルは、ステープルペプチドを青色で示し、FATドメインを緑色で示す。右パネルは、結合ポケット中のペプチドの電子密度マップを示す。
【
図7】ミリストイル化ペプチド1907(UACC-2012)の抗がん効果。A.UACC-2012の3D構造。B.陰性対照分子の3D構造(UACC-2014)。C.SK-MEL-103黒色腫細胞におけるステープルペプチドの3D Matrigel-on-top細胞増殖データ。D.HUVEC「正常」細胞におけるステープルペプチドUACC-2012の3D Matrigel-on-top細胞増殖。
【
図8】合成ペプチドUACC-2023のFAT二価ステープルペプチド戦略およびSPRデータ。A.クリック化学およびリンカーアプローチを使用して、FATドメイン二重部位結合を可能にするための、二価ステープルペプチド戦略の概要。B.UACC-2023の構造。C.二価ペプチドUACC-2023およびFATに結合するPEG
10リンカーのSPRセンソグラム。
【
図9】リポソーム製剤における、ステープルペプチド2023および1907の抗がん効果データ。A.カチオン性脂質試薬Saint-Protein(Synvolux)と組み合わせたペプチド2023の2D増殖データ。B.カチオン性脂質試薬Saint-Proteinと組み合わせたペプチド1907の2D増殖データ。PBS PH 7.4+1%DMSO中の1:1(v:v)比および滴定濃度のペプチドを用いて、脂質:ペプチド製剤を、10倍ストックとして調製した。
【
図10】FAT-キナーゼ二機能性阻害剤および概念を実証する分子UACC-2030の合成戦略の概要。A.(上)FAKキナーゼドメイン阻害薬PF-562271の接着部位。(下)FATドメイン阻害剤1907の接着部位。B.合成分子UACC-2030のFAT-キナーゼ二官能基と化学構造の合成計画。
【
図11】FAT-PROTAC合成戦略と概念を実証した合成分子UACC-2019の概要。
【
図12】ペプチド(1967、1907、および2012)の安定性およびプロテアーゼ耐性を測定するための、インビトロトリプシン消化アッセイ。トリプシン-アガロースビーズ(ThermoFisher)を用いてアッセイを行い、LC-MSを用いてペプチド濃度を測定した。ペプチド半減期は、GraphPad Prismソフトウェアを用いて計算した。
【
図13】LX2ヒト肝星状細胞における、FATステープルペプチドUACC-2012の抗線維化活性。A.線維化促進表現型を誘導するために、2ng/mLのTGF-βで17時間処理したLX2細胞のウェスタンブロット試験。細胞を、10μM、5μM、および2μMのDMSOまたはUACC-2012(mSP3)のいずれかで、1時間前処理した。フィブロネクチンの結果の定量化を、下のパネルに示す。B.17時間のTGF-βおよびペプチド処理後のLX2細胞の形態学的変化。明視野顕微鏡法を用いて、画像を捕捉した。略語:mSP3=UACC-2012;SP3=UACC-1907。
【
図14】化合物P29~P34、P37およびP38の構造。
【配列表】
【国際調査報告】