(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】腕時計用のミドルケース/ラグ接続デバイス
(51)【国際特許分類】
G04B 37/16 20060101AFI20221027BHJP
A44C 5/14 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G04B37/16 Z
A44C5/14 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513931
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2020073474
(87)【国際公開番号】W WO2021058213
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】シュリヒティヒ,ドーハン
(72)【発明者】
【氏名】グロジャン,ジェローム
(57)【要約】
ラグを腕時計のミドルケースに取り付けるための方法、ミドルケース/ラグ接続デバイス、及びミドルケース/ラグ組立体であって、上記ラグは第1のコネクタを備え、上記ミドルケースはアンダーカット溝を有する第2のコネクタを備え、上記第1のコネクタは、上記ラグを上記ミドルケースに取り付けるために上記第2のコネクタと協働する、方法、ミドルケース/ラグ接続デバイス、及びミドルケース/ラグ組立体。上記方法は:
・上記アンダーカット溝と上記第1のコネクタとの間に1つ以上の中間キャビティが形成されるように、上記ラグの上記第1のコネクタを、上記ミドルケースの上記第2のコネクタに接触させて配置するステップ;
・上記ラグの一部分を溶融させて、溶融材料を形成するステップ;
・上記溶融材料の移動によって、上記1つ以上の中間キャビティを少なくとも部分的に充填するステップ;及び
・上記溶融材料を固化させて、上記ラグを上記ミドルケースと一体化するステップ
を含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのラグを有する取付け部品を腕時計のミドルケースに取り付けるための方法であって、前記取付け部品は第1のコネクタを備え、前記ミドルケースはアンダーカット溝を有する第2のコネクタを備え、前記第1のコネクタは、前記取付け部品を前記ミドルケースに取り付けるために前記第2のコネクタと協働し、前記方法は:
前記アンダーカット溝と前記第1のコネクタとの間に1つ以上の中間キャビティが形成されるように、前記取付け部品の前記第1のコネクタを、前記ミドルケースの前記第2のコネクタに接触させて配置するステップ;
前記取付け部品の一部分を溶融させて、溶融材料を形成するステップ;
前記溶融材料の移動によって、前記1つ以上の中間キャビティを少なくとも部分的に充填するステップ;及び
前記溶融材料を固化させて、前記取付け部品を前記ミドルケースと一体化するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のコネクタの部分は、超音波で溶融される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶融材料の移動によって前記1つ以上の中間キャビティを少なくとも部分的に充填するための、前記取付け部品の及び前記ミドルケースの圧縮を含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のコネクタはほぞを備え、前記第2のコネクタはほぞ穴を備え、前記取付け部品の前記第1のコネクタと前記ミドルケースの前記第2のコネクタとの前記接触は、前記ほぞ及び前記ほぞ穴によってガイドされる、請求項2~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のコネクタは2つ以上のほぞを備え、前記第2のコネクタは2つ以上のほぞ穴を備え、前記取付け部品の前記第1のコネクタと前記ミドルケースの前記第2のコネクタとの前記接触は、前記ほぞ及び前記ほぞ穴によってガイドされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが接触しているときに前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間に存在する1つ以上の緩衝キャビティの、溶融材料による少なくとも部分的な前記充填を含む、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第1のコネクタを備える少なくとも1つのラグを有する取付け部品;
アンダーカット溝を有する第2のコネクタを備えるミドルケース
を備える、腕時計のためのミドルケース/ラグ接続デバイスであって、
前記第1のコネクタは、前記取付け部品を前記ミドルケースに取り付けるために前記第2のコネクタと協働するよう構成され、
前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタは、前記アンダーカット溝と前記第1のコネクタとの間に1つ以上の中間キャビティが形成されるように、接触させて配置されるよう構成され、
前記1つ以上の中間キャビティは、前記第1のコネクタの一部分からの前記溶融材料の移動による前記キャビティの前記少なくとも部分的な充填が可能となるように構成され、
前記取付け部品及び前記ミドルケースは、前記溶融材料の固化によって一体となるように構成される、ミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項8】
前記第1のコネクタの部分は、超音波で溶融される、請求項7に記載のミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項9】
前記第1のコネクタはプラスチック製である、請求項7~8のいずれか1項に記載のミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項10】
前記第1のコネクタはほぞを備え、前記第2のコネクタはほぞ穴を備え、前記ほぞ穴は、前記取付け部品の前記第1のコネクタを前記ミドルケースの前記第2のコネクタに接触した状態で配置される際に、前記ほぞをガイドするように構成される、請求項7~9のいずれか1項に記載のミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項11】
前記第1のコネクタは2つ以上のほぞを備え、前記第2のコネクタは2つ以上のほぞ穴を備え、前記ほぞ穴は、前記取付け部品の前記第1のコネクタを前記ミドルケースの前記第2のコネクタに接触した状態で配置される際に、前記ほぞをガイドするように構成される、請求項10に記載のミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項12】
前記コネクタが接触しているときに、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間に1つ以上の緩衝キャビティを備える、請求項7~11のいずれか1項に記載のミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項13】
溶融材料の前記移動が実質的に前記1つ以上の中間キャビティに向かう方向のみに発生するように、前記第1のコネクタは1つ以上の突出した阻流板を備える、請求項7~11のいずれか1項に記載のミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項14】
前記取付け部品は4つのラグを備えることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項15】
ラグを腕時計のミドルケースに取り付けるための請求項2~6のいずれか1項に記載の方法によって得られる、ミドルケース/ラグ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体として、ラグを腕時計のミドルケースに取り付けるための方法、ミドルケース/ラグ接続デバイス、及びミドルケース/ラグ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、腕時計のミドルケースのための外装要素に関する。腕時計のミドルケースのための上記外装要素は、別個のカバープレートの形態を取り、これは腕時計のミドルケースに取り付けられて、ブレスレットのストランドと腕時計のミドルケースとの間の接続領域を少なくとも部分的に覆う。
【0003】
特許文献2は、腕時計のケース、及びブレスレットを腕時計のケースに取り付けるためのデバイスに関する。腕時計のミドルケースは、ブレスレットの各ストランドを受け入れるように配設された1つ又は2つの凹部を備える。ブレスレットの端部は、爪又は中空部分からなる取付手段によって保持され、上記取付手段は、ブレスレットのストランドの端部付近に設けられたノッチ又は突起に対応し、腕時計のケースバックの拡張部分に、又はケースの裏蓋若しくは中央部分に固定された中間部品に配設される。
【0004】
特許文献3は、腕時計ケース要素と、少なくとも1つのストランドを有するブレスレットとからなる、組立体に関する。ブレスレットのストランドは、第1の熱可塑性プラスチック材料製である。腕時計ケース要素は、第1のプラスチック材料の融点より高い融点を有する第2の熱可塑性プラスチック材料製である。腕時計ケース要素は、ストランドの少なくとも1つの端部を取り囲む、この端部と一体となる部分を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】スイス特許第708815号
【特許文献2】欧州特許第0466655号
【特許文献3】欧州特許第0197416号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、少なくとも1つのラグを有する取付け部品を腕時計のミドルケースに取り付けるための方法に関し、上記取付け部品は第1のコネクタを備え、上記ミドルケースはアンダーカット溝を有する第2のコネクタを備え、上記第1のコネクタは、上記取付け部品を上記ミドルケースに取り付けるために上記第2のコネクタと協働し、上記方法は:
・上記アンダーカット溝と上記第1のコネクタとの間に1つ以上の中間キャビティが形成されるように、上記取付け部品の上記第1のコネクタを、上記ミドルケースの上記第2のコネクタに接触させて配置するステップ;
・上記取付け部品の一部分を溶融させて、溶融材料を形成するステップ;
・上記溶融材料の移動によって、上記1つ以上の中間キャビティを少なくとも部分的に充填するステップ;及び
・上記溶融材料を固化させて、上記取付け部品を上記ミドルケースと一体化するステップ
を含む。
【0007】
「アンダーカット溝(undercut groove)」は、溝であって、その溝を満たしている固体材料が部分的にであっても真っ直ぐに離脱することを防止する形状を有する、溝を意味する。
【0008】
「一体(integral)」は、ある要素(例えば少なくとも1つのラグを有する取付け部品)が、別の要素(例えばミドルケース)に、接触によって不可逆的に接合されることを意味する。
【0009】
好ましくは、上記第1のコネクタの部分は、超音波で溶融される。「超音波(ultrasound)」は、16~10,000kHzの範囲内、好ましくは16~5,000kHzの範囲内、より好ましくは16~10,000kHzの範囲内、最も好ましくは16~70kHzの範囲内の周波数を有する縦音波を意味する。
【0010】
一実施形態によると、上記方法は、上記溶融材料の移動によって上記1つ以上の中間キャビティを少なくとも部分的に充填するために、接触させて配置された上記取付け部品と上記ミドルケースとの間に圧縮力を印加するステップを含む。
【0011】
一実施形態によると、上記第1のコネクタはほぞを備え、上記第2のコネクタはほぞ穴を備える。上記取付け部品の上記第1のコネクタと上記ミドルケースの上記第2のコネクタとの接触は、上記ほぞ及び上記ほぞ穴によってガイドできる。
【0012】
ある好ましい実施形態によると、上記第1のコネクタは2つ以上のほぞを備え、上記第2のコネクタは2つ以上のほぞ穴を備える。上記取付け部品の上記第1のコネクタと上記ミドルケースの上記第2のコネクタとの接触は、上記ほぞ及び上記ほぞ穴によってガイドできる。
【0013】
好ましくは、上記方法は、上記第1のコネクタと上記第2のコネクタとが接触しているときに上記第1のコネクタと上記第2のコネクタとの間に存在する1つ以上の緩衝キャビティの、溶融材料による少なくとも部分的な充填を含む。
【0014】
本発明の第2の態様は、第1のコネクタを備える少なくとも1つのラグを有する取付け部品と、アンダーカット溝を有する第2のコネクタを備えるミドルケースとを備える、腕時計ケースのためのミドルケース/ラグ接続デバイスに関する。上記第1のコネクタは、上記取付け部品を上記ミドルケースに取り付けるために上記第2のコネクタと協働するよう構成される。上記第1のコネクタ及び上記第2のコネクタは、上記アンダーカット溝と上記第1のコネクタとの間に1つ以上の中間キャビティが形成されるように、接触させて配置されるよう構成される。更に上記1つ以上の中間キャビティは、上記第1のコネクタの一部分からの溶融材料の移動による上記キャビティの少なくとも部分的な充填が可能となるように、構成される。上記取付け部品及び上記ミドルケースは、上記溶融材料の固化によって一体となるように構成される。
【0015】
一実施形態によると、上記第1のコネクタの部分は、超音波で溶融させられるように構成される。
【0016】
好ましくは、上記第1のコネクタ、特に上記第1のコネクタの上記一部分は、(略)プラスチック製である。任意に上記取付け部品はプラスチック製である。
【0017】
一実施形態によると、上記第1のコネクタはほぞを備え、上記第2のコネクタはほぞ穴を備え、上記ほぞ穴は、上記取付け部品の上記第1のコネクタを上記ミドルケースの上記第2のコネクタに接触した状態で配置される際に、上記ほぞをガイドするように構成される。
【0018】
好ましくは、上記第1のコネクタは2つ以上のほぞを備え、上記第2のコネクタは2つ以上のほぞ穴を備え、上記ほぞ穴は、上記取付け部品の上記第1のコネクタを上記ミドルケースの上記第2のコネクタに接触した状態で配置される際に、上記ほぞをガイドするように構成される。
【0019】
上記デバイスは好ましくは、上記コネクタが接触しているときに、上記第1のコネクタと上記第2のコネクタとの間に1つ以上の緩衝キャビティを備える。
【0020】
一実施形態によると、溶融材料の上記移動が実質的に上記1つ以上の中間キャビティに向かう方向のみに発生するように、上記第1のコネクタは1つ以上の突出した阻流板を備える。
【0021】
一実施形態によると、上記取付け部品は4つのラグを有する。
【0022】
本発明の第3の態様は、少なくとも1つのラグを有する取付け部品を腕時計のミドルケースに取り付けるための、本発明の第1の態様による方法によって得られる、ミドルケース/ラグ組立体に関する。
【0023】
本発明の他の特性及び特徴は、添付の図面を参照して例として以下で提示される特定の実施形態の詳細な説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるミドルケース/ラグ組立体の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による取付け部品の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態による取付け部品の部分切欠き斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態による取付け部品の斜視図、及び軸A‐Aに沿ったラグの断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態によるミドルケースの斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態によるミドルケースの斜視図、及び軸A‐Aに沿ったミドルケースの断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態による、接触して配置されたミドルケース及び取付け部品の断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態による一体となったミドルケース/ラグ組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
読者は、図面の縮尺が正確でないことに注意されたい。更に、分かりやすくするために、高さ、長さ、及び/又は幅の比率が正確に示されていない場合がある。最後に、接触して配置されているときのコネクタの間の空間又は凹部は特に、本発明の実際の実装形態よりも大きい又は小さい場合がある。
【0026】
図1を参照して、本発明の一実施形態による、ミドルケース2と、少なくとも1つのラグを有する取付け部品4との組立体(これ以降「ミドルケース/ラグ組立体」と呼ばれる)について説明する。ミドルケース2は、腕時計のムーブメントを例えば塵芥、湿気、衝撃等から保護するために使用される、(部分的に図示されている)腕時計のケースの要素である。これは腕時計のケースの中央部分であり、腕時計のムーブメントを収容する。ここで説明される実施形態によると、ミドルケース2は円形である。しかしながら、例えば正方形、長方形、楕円形等といった他の形状も好適である。ミドルケース2は、その高さの中央に位置する主平面Pを画定する。
【0027】
少なくとも1つのラグを有する取付け部品4により、ブレスレットをミドルケース2に取り付けることができる。
図1に示されている実施形態では、取付け部品4は4つのラグ4aを備え、これらはそれぞれ、ブレスレット(図示せず)の長手方向を横断するように整列された孔6を備え、ラグ4aは、例えば孔6を通るピンを用いて、ブレスレットを取り付けるように配設される。ブレスレットを取付け部品に取り付ける他の手段も好適であることは明らかである。更に、ラグ4aの形状、長さ、及び幅、並びに個数が、腕時計のタイプに応じて様々であり得ることは、明らかである。
【0028】
図2~4は、本発明のある好ましい実施形態による取付け部品4を示す。取付け部品4は全体として湾曲しており、取付け部品4をミドルケースに取り付けるためにミドルケースの第2のコネクタと協働するよう構成された第1のコネクタ8を備える。第1のコネクタ8は、ミドルケースと直接接触するように構成された、主平面Pに対して垂直な円形内面10を有する。第1のコネクタ8は、2つのほぞ12、V字型部分14、及び2つの阻流板16を備え、これらは全て円形内面10から内向きに(即ちミドルケースに向かって)突出する。
【0029】
ほぞ12は、取付け部品4の各側に対称に配設され、円筒状であり、この円筒の基部は主平面Pに対して垂直である。他の実施形態によると、ほぞ12は、例えば平行六面体、円錐等の他の形状を有してよい。
【0030】
V字型部分14は、長さLにわたって延在する。V字型部分14は、「V」の2つの先端が半径方向の最も内側となるように配設される。「V」の2つの先端は、主平面Pと同一直線上にある、長さLの2つの縁部18を画定する。2つの縁部18は、面Pに対して垂直な1つの平面内に含まれる。他の実施形態によると、縁部18は2つの異なる長さを有してよく、及び/又は2つの異なる平面内に含まれていてよい。
【0031】
2つの阻流板16は、
図2~4に示されているように、V字型部分14の各側の側方に対称に配設される。各阻流板16は、平坦な内側当接面20を有する。阻流板16はV字型部分14よりも更に突出し、特に2つの当接面20は2つの縁部18よりも更に突出する。2つの当接面20は、平面Pに対して垂直な1つの平面内に含まれる。
【0032】
取付け部品4は更に、いくつかのスロット22、22’、22’’を備える。スロット22は、円形内面10の周上に凹部を形成する。スロット22’、22’’は突出したV字型部分14の基部に位置し、これによって円形内面10上に2つの凹部が形成される。
【0033】
V字型部分14はプラスチック製である。ラグ4は全体がプラスチック製であってよい。ラグ4は好ましくは鋳造される。
【0034】
図5~6は、本発明のある好ましい実施形態によるミドルケース2を示す。ミドルケース2は、取付け部品をミドルケース2に取り付けるために取付け部品の第1のコネクタと協働するよう構成された、第2のコネクタ24を含む。特に第2のコネクタ24は、ミドルケース2の半径方向外側表面27に対して半径方向に引っ込んだ位置にある、湾曲面26を備え、これは取付け部品4の円形内面10に直接接触した状態で配置されるよう構成される。第2のコネクタ24は、アンダーカット溝28、2つのほぞ穴30、及び2つの中空部分32を備え、これらは全て、湾曲面26に対してくぼんでいる。
【0035】
ほぞ穴30は、第2のコネクタ24の各側に対称に配設される。ほぞ穴30は円筒状であり、この円筒の基部は主平面Pに対して垂直である。他の実施形態によると、ほぞ孔30は、例えば平行六面体、円錐等の他の形状を有してよい。
【0036】
アンダーカット溝28は、半径方向内側の平坦な当接面34を有する。更にアンダーカット溝28は、半径方向内側の当接面34と、第1の半径方向外側の当接面36及び第2の半径方向外側の当接面38とによって画定される、凹部35を含む。2つの当接面36、38は、平面Pに対して垂直な1つの平面内に含まれる。
【0037】
2つの中空部分32は、
図5~6に示されているように、アンダーカット溝28の各側に対称に配設される。各中空部分32は、平坦な内側当接面40を有する。2つの当接面40は、平面Pに対して垂直な1つの平面内に含まれる。
【0038】
第2のコネクタ24は好ましくは機械加工される。更に第2のコネクタは、好ましくは鋼鉄製である。
【0039】
図7は断面図であり、取付け部品の第1のコネクタとミドルケース2の第2のコネクタ24との接触を示す。
【0040】
V字型部分14の2つの縁部18は、ミドルケース2が取付け部品4と接触して配置されたときに、アンダーカット溝の半径方向内側の平坦な当接面34に直接接触するように構成される。換言すれば、V字型部分14の2つの縁部18は、これらのコネクタの一方が完全に他方の中に位置決めされたときに、直接接触する。
【0041】
V字型部分14は、凹部35を、2つの中間キャビティ42に区切り、これらの中間キャビティ42は、V字型部分14の表面によって、並びに半径方向内側の平坦な当接面23及び第2の半径方向外側の当接面36、38によって、その範囲を画定される。
【0042】
この位置では、ラグの円形内面10、及びミドルケースの湾曲面26は、互いに接触しないよう構成され、これにより、材料が存在しない中間空間が残される。同様に、スロット22’の半径方向外側の表面はミドルケースと接触せず、これによっても、材料が存在しない中間空間が残される。
【0043】
更に
図1~7を参照すると、2つの阻流板16、特に平坦な内側の当接面20は、ミドルケースがラグ4と完全に接触したときに、2つの中空部分32、特に内側の当接面40と直接接触しないように構成される。より詳細には、2つの縁部18がアンダーカット28の半径方向内側の平坦な当接面34と接触しているときに、2つの阻流板16と2つの中空部分32との間に空間が残される。
【0044】
ほぞ及びほぞ穴によって、ミドルケース2上での取付け部品4の正確な配置を促進できることが理解されるだろう。実際には、接触がほぞ及びほぞ穴によってガイドされる。
【0045】
続いてV字型部分14を超音波で溶融させて、溶融材料を形成する。溶融材料は2つの中間キャビティ42内へと移動する(流れ込む)。これに続いて、溶融材料の移動によって中間キャビティ42が少なくとも部分的に充填される(例えば、中間キャビティ44の一部44に材料が存在しないままとなっている
図8を参照)。好ましくは、中間キャビティ42は完全に充填される。
【0046】
取付け部品4のほぞ12がミドルケース2のほぞ孔30内に格納されることにより、V字型部分14の超音波溶融中に、取付け部品4及びミドルケース2の所定の位置での保持が促進されることが理解されるだろう。
【0047】
更に、圧縮力をミドルケース/ラグ組立体に印加する。これにより、V字型部分14の溶融材料を中間キャビティ42に移動させる。
【0048】
また、2つの阻流板16(例えば
図3を参照)が、横向きに発生する溶融材料の移動を防止し、略中間キャビティ及び/又は緩衝キャビティに向かってのみ移動させる(以下を参照)ことも理解されるだろう。
【0049】
V字型部分14の溶融はまた、取付け部品の円形内面10及びミドルケースの湾曲面26を共に移動させて、接触した状態に配置することも可能にする。
【0050】
取付け部品4上に配設されたスロット22、22’、22’’は湾曲面26と協働して、いくつかの緩衝キャビティ46を画定する。緩衝キャビティ46は、取付け部品4及びミドルケース2のいくつかの部分からの溶融材料で、少なくとも部分的に充填できる。これにより、ある程度の溶融材料、場合によっては中間キャビティに対して過剰な溶融材料で、緩衝キャビティ46を充填できる。これにより、溶融材料がラグ及びミドルケースの2つのコネクタの間の境界から漏れ出て、ラグ及びミドルケースの縁部に見えるようになるのが防止される。これによって美的外観が維持される。
【0051】
その後、溶融材料は固化する。このときアンダーカットキャビティは、固体材料によって少なくとも部分的に充填され、ミドルケース/ラグ組立体は一体に接合される。実際には、V字型部分14から中間キャビティ42内に流れ込んだ固体材料によって、取付け部品の取り外しが立体的に防止される。
【0052】
ミドルケース/ラグ組立体について上述したことに留意されたい。一実施形態によると、同じ方法に従って、2つのラグを1つのミドルケースに取り付けることもできる。
【0053】
特定の実施形態について詳述したが、本発明の開示によって提供される教示全体に鑑みて、これらの実施形態に対する様々な修正形態及び代替形態を開発できることは、当業者には理解されるだろう。従って、本明細書に記載されている具体的な構成及び/又は方法は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、純粋な例示として与えられることが意図されているものである。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのラグを有する取付け部品を腕時計のミドルケースに取り付けるための方法であって、前記取付け部品は第1のコネクタを備え、前記ミドルケースは金属材料製であり、また断面がT字型のアンダーカット溝を有する第2のコネクタを備え、前記第1のコネクタは、前記取付け部品を前記ミドルケースに取り付けるために前記第2のコネクタと協働し、前記方法は:
前記アンダーカット溝と前記第1のコネクタとの間に2つの中間キャビティが形成されるように、前記取付け部品の前記第1のコネクタを、前記腕時計の平面に対して平行な方向に、前記ミドルケースの前記第2のコネクタに接触させて配置するステップ;
前記取付け部品の前記第1のコネクタの一部分を溶融させて、溶融材料を形成するステップ;
前記溶融材料の移動によって、前記2つの中間キャビティを少なくとも部分的に充填するステップ;及び
前記溶融材料を固化させて、前記取付け部品を前記ミドルケースと一体化するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のコネクタの一部分の前記溶融は、超音波によって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶融材料の移動によって前記中間キャビティを少なくとも部分的に充填するための、前記取付け部品の及び前記ミドルケースの圧縮を含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のコネクタはほぞを備え、前記第2のコネクタはほぞ穴を備え、前記取付け部品の前記第1のコネクタと前記ミドルケースの前記第2のコネクタとの前記接触は、前記ほぞ及び前記ほぞ穴によってガイドされる、請求項2~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のコネクタは2つ以上のほぞを備え、前記第2のコネクタは2つ以上のほぞ穴を備え、前記取付け部品の前記第1のコネクタと前記ミドルケースの前記第2のコネクタとの前記接触は、前記ほぞ及び前記ほぞ穴によってガイドされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが接触しているときに前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間に存在する緩衝キャビティの、前記溶融材料による少なくとも部分的な前記充填を含む、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第1のコネクタを備える少なくとも1つのラグを有する取付け部品;
断面がT字型のアンダーカット溝を有する第2のコネクタを備える、金属材料製のミドルケース
を備える、腕時計のためのミドルケース/ラグ接続デバイスであって、
前記第1のコネクタは、前記取付け部品を前記ミドルケースに取り付けるために前記第2のコネクタと協働するよう構成され、
前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタは、前記アンダーカット溝と前記第1のコネクタとの間に1つ以上の中間キャビティが形成されるように、前記腕時計の平面に対して平行な方向に、接触させて配置されるよう構成され、
前記2つの中間キャビティは、前記第1のコネクタの一部分からの前記溶融材料の移動による前記キャビティの前記少なくとも部分的な充填が可能となるように構成され、
前記取付け部品及び前記ミドルケースは、前記溶融材料の固化によって一体となるように構成される、ミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項8】
前記第1のコネクタの前記一部分は、超音波で溶融される、請求項7に記載のミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項9】
前記第1のコネクタはプラスチック製である、請求項7~8のいずれか1項に記載のミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項10】
前記第1のコネクタはほぞを備え、前記第2のコネクタはほぞ穴を備え、前記ほぞ穴は、前記取付け部品の前記第1のコネクタを前記ミドルケースの前記第2のコネクタに接触した状態で配置される際に、前記ほぞをガイドするように構成される、請求項7~9のいずれか1項に記載のミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項11】
前記第1のコネクタは2つ以上のほぞを備え、前記第2のコネクタは2つ以上のほぞ穴を備え、前記ほぞ穴は、前記取付け部品の前記第1のコネクタを前記ミドルケースの前記第2のコネクタに接触した状態で配置される際に、前記ほぞをガイドするように構成される、請求項10に記載のミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項12】
前記溶融材料の前記移動が実質的に前記中間キャビティに向かう方向のみに発生するように、前記第1のコネクタは1つ以上の突出した阻流板を備える、請求項7~11のいずれか1項に記載のミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項13】
前記取付け部品は4つのラグを備えることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載のミドルケース/ラグ接続デバイス。
【請求項14】
ラグを腕時計のミドルケースに取り付けるための請求項2~6のいずれか1項に記載の方法によって得られる、ミドルケース/ラグ組立体。
【国際調査報告】