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特表2022-546527複合負極活物質、その製造方法およびそれを含む負極
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  • 特表-複合負極活物質、その製造方法およびそれを含む負極 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】複合負極活物質、その製造方法およびそれを含む負極
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/58 20100101AFI20221027BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H01M4/58
H01M4/36 B
H01M4/36 C
H01M4/36 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513968
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 KR2020013218
(87)【国際公開番号】W WO2021066458
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0120840
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】イル・グン・オ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヒョク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジェ・キム
(72)【発明者】
【氏名】イェ・リン・キム
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA07
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050DA03
5H050DA10
5H050EA08
5H050EA09
5H050EA10
5H050FA16
5H050FA17
5H050FA18
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA24
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
(57)【要約】
本発明は、シリコン系コア粒子と、前記シリコン系コア粒子上に位置する外郭の炭素コーティング層と、前記外郭の炭素コーティング層に接して、前記外郭の炭素コーティング層から突出した第1の単層カーボンナノチューブと、前記外郭の炭素コーティング層から離隔して、第2の単層カーボンナノチューブを含む導電性構造体と、前記第1の単層カーボンナノチューブおよび前記第2の単層カーボンナノチューブの少なくとも1つと結合された架橋物質と、を含み、前記第2の単層カーボンナノチューブの少なくとも1つは、前記第1の単層カーボンナノチューブと前記架橋物質によって架橋され、前記導電性構造体と前記第1の単層カーボンナノチューブとを互いに連結する複合負極活物質に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン系コア粒子と、
前記シリコン系コア粒子上に位置する外郭の炭素コーティング層と、
前記外郭の炭素コーティング層に接して、前記外郭の炭素コーティング層から突出した第1の単層カーボンナノチューブと、
前記外郭の炭素コーティング層から離隔して、第2の単層カーボンナノチューブを含む導電性構造体と、
前記第1の単層カーボンナノチューブおよび前記第2の単層カーボンナノチューブの少なくとも1つと結合された架橋物質と、を含み、
前記第2の単層カーボンナノチューブの少なくとも1つは、前記第1の単層カーボンナノチューブと前記架橋物質によって架橋され、前記導電性構造体と前記第1の単層カーボンナノチューブとを互いに連結する、複合負極活物質。
【請求項2】
前記シリコン系コア粒子は、下記数式1で表される化合物を含む、請求項1に記載の複合負極活物質。
[数式1]
SiO
前記数式1において、Mは、Li、Mg及びAlからなる群より選択された少なくとも1種であり、0≦x≦0.4であり、0≦y<2である。
【請求項3】
前記シリコン系コア粒子と前記外郭の炭素コーティング層との間に形成される内部の炭素コーティング層をさらに含む、請求項1に記載の複合負極活物質。
【請求項4】
前記第1の単層カーボンナノチューブおよび前記第2の単層カーボンナノチューブの合計重量は、前記複合負極活物質を基準に0.04重量%~0.7重量%である、請求項1に記載の複合負極活物質。
【請求項5】
前記架橋物質は、カーボンブラック、天然黒鉛および人造黒鉛からなる群より選択された少なくとも1種である、請求項1に記載の複合負極活物質。
【請求項6】
前記架橋物質は、前記複合負極活物質内に0.6重量%~5重量%で含まれる、請求項1に記載の複合負極活物質。
【請求項7】
前記架橋物質は、球状である、請求項1に記載の複合負極活物質。
【請求項8】
前記架橋物質の平均粒径(D50)は、0.01μm~3μmである、請求項1に記載の複合負極活物質。
【請求項9】
前記第1の単層カーボンナノチューブおよび前記第2の単層カーボンナノチューブの合計重量と前記架橋物質の重量比は、1:99~40:60である、請求項1に記載の複合負極活物質。
【請求項10】
シリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体、2以上の単層カーボンナノチューブおよび架橋物質を混合するステップと、
前記混合物を熱処理するステップと、を含む、請求項1に記載の複合負極活物質の製造方法。
【請求項11】
前記熱処理は、スプレードライ工程により行われる、請求項10に記載の複合負極活物質の製造方法。
【請求項12】
前記外郭の炭素コーティング層形成用前駆体は、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロースおよびセルロースガムからなる群より選択された少なくとも1種である、請求項10に記載の複合負極活物質の製造方法。
【請求項13】
前記混合するステップの前に、前記シリコン系コア粒子上に内部の炭素コーティング層を形成するステップをさらに含み、
前記内部の炭素コーティング層を形成するステップは、メタン、エタンおよびアセチレンからなる群より選択された少なくとも1種の炭化水素ガスを使用する化学気相蒸着法(CVD)によって行われる、請求項10に記載の複合負極活物質の製造方法。
【請求項14】
負極集電体と、
前記負極集電体上に形成された負極活物質層と、を含み、
前記負極活物質層は、請求項1に記載の複合負極活物質を含む負極材、バインダーおよび導電材を含む、負極。
【請求項15】
前記負極材は、炭素系活物質をさらに含み、
前記負極材は、前記複合負極活物質および前記炭素系活物質を1:99~35:65の重量比で含む、請求項14に記載の負極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年9月30日付の韓国特許出願第10-2019-0120840号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、複合負極活物質、その製造方法およびそれを含む負極に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車などの電池を使用する電子機器の急速な普及に伴い、小型・軽量でありながらも比較的高容量である二次電池の需要が急速に増大している。特に、リチウム二次電池は、軽量であり、高エネルギー密度を有しており、携帯機器の駆動電源として脚光を浴びている。これによって、リチウム二次電池の性能向上のための研究開発の努力が活発に進められている。
【0004】
一般的に、リチウム二次電池は、正極、負極、前記正極と負極との間に介在するセパレータ、電解質、有機溶媒などを含む。また、正極および負極は、集電体上に正極活物質または負極活物質を含む活物質層が形成されることができる。前記正極には、一般的にLiCoO、LiMnなどのリチウム含有金属酸化物が正極活物質として使用され、それに伴い、負極には、リチウムを含有していない炭素系活物質、シリコン系負極活物質が負極活物質として使用されている。
【0005】
特に、負極活物質のうち、シリコン系負極活物質は、炭素系負極活物質に比べて、約10倍程度の高容量を有するという点で注目されており、高容量であることから、薄い電極でも高エネルギー密度を実現することができるというメリットがある。しかし、シリコン系負極活物質は、充放電による体積の膨張、その結果生じる活物質粒子の割れ/損傷、それによる寿命特性の低下という問題があり、汎用的には使用されない。
【0006】
特に、前記シリコン系負極活物質は、充放電による体積の膨張/収縮によって、活物質間の距離の増加、電気的な短絡の発生という問題があり、これによって、電荷の移動通路が失われ、リチウムイオンが孤立して容量が減少し、寿命の劣化が加速化し得る。
【0007】
したがって、シリコン系負極活物質の高容量、高エネルギー密度を実現しつつも、寿命特性を向上させることができる二次電池の開発が要求されるのが実情である。
【0008】
韓国公開特許第10-2017-0074030号は、リチウム二次電池用負極活物質、その製造方法およびそれを含むリチウム二次電池に関するものであり、多孔質シリコン-炭素複合体を含む負極活物質を開示しているが、前述の問題点を解決するには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2017-0074030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一課題は、シリコン系活物質を使用するにあたり、充放電による活物質間の電気的な短絡を効果的に防止し、寿命特性を向上させることができる複合負極活物質を提供することである。
【0011】
また、本発明の他の課題は、前述した複合負極活物質の製造方法を提供することである。
【0012】
また、本発明のまた別の課題は、前述した複合負極活物質を含む負極を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、シリコン系コア粒子と、前記シリコン系コア粒子上に位置する外郭の炭素コーティング層と、前記外郭の炭素コーティング層に接して、前記外郭の炭素コーティング層から突出した第1の単層カーボンナノチューブと、前記外郭の炭素コーティング層から離隔して、第2の単層カーボンナノチューブを含む導電性構造体と、前記第1の単層カーボンナノチューブおよび前記第2の単層カーボンナノチューブの少なくとも1つと結合された架橋物質とを含み、前記第2の単層カーボンナノチューブの少なくとも1つは、前記第1の単層カーボンナノチューブと前記架橋物質によって架橋され、前記導電性構造体と前記第1の単層カーボンナノチューブとを互いに連結する複合負極活物質を提供する。
【0014】
また、本発明は、シリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体、2以上の単層カーボンナノチューブおよび架橋物質を混合するステップと、前記混合物を熱処理するステップとを含む、前述の複合負極活物質の製造方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、負極集電体と、前記負極集電体上に形成された負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は、前述の複合負極活物質を含む負極材、バインダーおよび導電材を含む負極を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の複合負極活物質は、シリコン系コア粒子と、前記シリコン系コア粒子上に位置する外郭の炭素コーティング層と、前記外郭の炭素コーティング層に接して、前記外郭の炭素コーティング層から突出した第1の単層カーボンナノチューブと、前記外郭の炭素コーティング層から離隔して、第2の単層カーボンナノチューブを含む導電性構造体と、前記第1の単層カーボンナノチューブおよび前記第2の単層カーボンナノチューブの少なくとも1つと結合された架橋物質とを含み、前記第2の単層カーボンナノチューブの少なくとも1つは、前記第1の単層カーボンナノチューブと前記架橋物質によって架橋され、前記導電性構造体と前記第1の単層カーボンナノチューブとを互いに連結することを特徴とする。前記導電性構造体は、前記第1の単層カーボンナノチューブと前記第2の単層カーボンナノチューブとの架橋構造によって、前記外郭の炭素コーティング層と連結されて固定される。かかる導電性構造体は、前記外郭の炭素コーティング層と連結されて固定されているので、負極内の導電性ネットワークを均一かつ安定に形成することができ、これによって、負極および二次電池の寿命特性を向上させることができる。また、前記導電性構造体は、複合負極活物質の外部に露出し、活物質間の電気的な短絡が防止されるように導電性ネットワークを形成するので、活物質の充放電による体積の膨張/収縮が発生しても、活物質間の電気的な短絡を防止することができる。前記架橋物質は、前記2以上の単層カーボンナノチューブ(第1の単層カーボンナノチューブおよび/または第2の単層カーボンナノチューブ)を架橋させる架橋剤(bridge agent)の役割を果たしており、単層カーボンナノチューブによる導電性ネットワークが、より安定かつ均一なレベルで形成されることができるように手伝うことができる。
【0017】
また、本発明の前述の複合負極活物質の製造方法によると、シリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体、2以上の単層カーボンナノチューブおよび架橋物質を混合した後、熱処理により複合化して、複合負極活物質を製造する。かかる工程によって、前述した複合負極活物質の製造が可能であり、前記熱処理による複合化によって、第2の単層カーボンナノチューブを含む導電性構造体が、前記第1の単層カーボンナノチューブによって外郭の炭素コーティング層に付着されるようにして、導電性構造体が活物質間の導電性ネットワークを形成することができるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る複合負極活物質を概略的に説明するための断面図である。
図2】実施例1の負極を観察したSEM写真である。
図3】比較例4の負極を観察したSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書および請求の範囲に使用されている用語や単語は、通常的または辞典的な意味に限定して解釈してはならず、発明者は、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0020】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。
【0021】
本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、ステップ、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、構成要素もしくはこれらを組み合わせたものの存在またはさらなる可能性を予め排除するものではないと理解されるべきである。
【0022】
本明細書において、平均粒径(D50)は、粒子の粒径分布曲線において、累積体積量の50%に該当する粒径と定義することができる。前記平均粒径(D50)は、例えば、レーザ回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。前記レーザ回折法は、一般的に、サブミクロン(submicron)領域から数mm程度の粒径の測定が可能であり、高再現性および高分解性の結果を得ることができる。
【0023】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0024】
<複合負極活物質>
本発明は、複合負極活物質に関するものである。前記複合負極活物質は、リチウム二次電池に好適に使用することができる。
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の複合負極活物質を詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素に対しては、他の図面上に表示されていても、可能な限り同一の符号を有することができる。また、本発明を説明するにあたり、関連する公知の構成または機能に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不明確にする可能性があると判断する場合には、その詳細な説明は省略可能である。
【0026】
図1は、本発明の複合負極活物質10を概略的に説明するための断面図である。
【0027】
図1を参照すると、本発明の複合負極活物質10は、シリコン系コア粒子100と、前記シリコン系コア粒子100上に位置する外郭の炭素コーティング層200と、前記外郭の炭素コーティング層200に接して、前記外郭の炭素コーティング層200から突出した第1の単層カーボンナノチューブ300と、前記外郭の炭素コーティング層200から離隔して、第2の単層カーボンナノチューブ450を含む導電性構造体400と、前記第1の単層カーボンナノチューブ300および前記第2の単層カーボンナノチューブ450の少なくとも1つと結合された架橋物質500とを含み、前記第2の単層カーボンナノチューブ450の少なくとも1つは、前記第1の単層カーボンナノチューブ300と前記架橋物質500によって架橋され、前記導電性構造体400と前記第1の単層カーボンナノチューブ300とを互いに連結させることを特徴とする。
【0028】
一般的に、シリコーン系負極活物質は、炭素系活物質に比べて約10倍程度の高容量を有することが知られており、これによって、シリコン系負極活物質を負極に適用する場合、薄い厚さでも高いレベルのエネルギー密度を有する薄膜電極の実現ができるものと期待されている。しかし、シリコン系負極活物質は、充放電によるリチウムの挿入/脱離によって、体積の膨張/収縮による寿命の劣化が問題となる。特に、シリコン系活物質において、充放電により体積の膨張/収縮が起こる場合、活物質間の距離の増加によって、電気的な接触性が低下し、電気的な短絡が発生することになり、そのため、電荷の移動通路が失われ、リチウムイオンが孤立するなどによって、負極の寿命が速く劣化し、また容量の減少を起こし得る。
【0029】
かかる問題を解決するために、本発明の複合負極活物質は、シリコン系コア粒子、前記シリコン系コア粒子上に位置する外郭の炭素コーティング層、前記外郭の炭素コーティング層に一部が付着された第1の単層カーボンナノチューブ(以下、第1のSWCNTと表す)、第2の単層カーボンナノチューブ(以下、第2のSWCNTと表す)を含む導電性構造体および架橋物質を含み、前記第1のSWCNTが、前記第2のSWCNTの少なくとも1つと架橋物質によって架橋され、前記外郭の炭素コーティング層から離隔した導電性構造体が、第1のSWCNTによって前記外郭の炭素コーティング層と連結および固定されることができる。かかる導電性構造体は、前記外郭の炭素コーティング層と連結されて固定されているので、負極内の導電性ネットワークを均一かつ安定に形成することができ、これによって、負極および二次電池の寿命特性を向上させることができる。また、前記導電性構造体は、複合負極活物質の外部に露出し、活物質間の電気的な短絡が防止されるように導電性ネットワークを形成するので、活物質の充放電による体積の膨張/収縮が発生しても、活物質間の電気的な短絡を防止することができる。前記架橋物質は、前記2以上のSWCNT(第1のSWCNTおよび/または第2のSWCNT)を架橋させる架橋剤(bridge agent)の役割を果たしており、SWCNTによる導電性ネットワークがより安定かつ均一なレベルで形成されることができるように助力することができる。
【0030】
また、前記外郭の炭素コーティング層から離隔して、前記外郭の炭素コーティング層に連結および固定された導電性構造体は、シリコン系コア粒子が充放電により体積が膨張しても、前記導電性構造体の導電性ネットワークの形成によって、活物質間の電気的な短絡が防止されるようにし、これによって、負極の寿命特性が向上し、抵抗を低減させることができる。
【0031】
また、本発明によると、前記導電性構造体は、前記第1のSWCNTによって、外郭の炭素コーティング層と連結および固定されているので、前記複合負極活物質が負極内に含まれるようにするときに、前記導電性構造体が負極内で均一に配置されることができ、これによって、負極内に均一かつ安定した導電性ネットワークの形成が可能である。
【0032】
前記シリコン系コア粒子100は、リチウムの挿入/脱離が可能なものであって、複合負極活物質のコア粒子として機能することができる。
【0033】
前記シリコン系コア粒子100は、下記数式1で表される化合物を含むことができる。
【0034】
[数式1]
SiO
【0035】
前記数式1において、前記Mは、Li、MgおよびAlからなる群より選択された少なくとも1種であり、0≦x≦4であり、0≦y<2である。
【0036】
前記数式1において、SiO(前記数式1で、x=0、y=2の場合)の場合、リチウムイオンと反応しないため、リチウムを保存することができず、yは前記範囲内であることが好ましい。具体的には、前記数式1において、活物質の構造的な安定性の観点から、yは0.5≦y≦1.5であってもよい。
【0037】
前記数式1において、Mは、シリコン系コア粒子の非可逆相(例えば、SiO)の割合を下げて、活物質の効率を増加させるための観点から含有されることができ、Li、MgおよびAlからなる群より選択された少なくとも1種であってもよく、好ましくは、LiおよびMgからなる群より選択された少なくとも1種、さらに好ましくはMgであってもよい。前記数式1において、xは0<x≦0.5であってもよい。
【0038】
前記シリコン系コア粒子100の平均粒径(D50)は、充放電時の活物質の構造的な安定を図り、SWCNTと併用するときに、電気的な接触性をさらに維持することができ、粒径が過度に大きくなるにつれて、体積の膨張/収縮の程度も大きくなるという問題を防止し、粒径が過度に低いため、初期効率が低下するという問題を防止する観点から、1μm~10μm、好ましくは3μm~8μmであってもよい。
【0039】
前記シリコン系コア粒子100は、複合負極活物質内に90重量%~99.9重量%、好ましくは93重量%~99重量%で含まれることができる。前記範囲にある場合、負極の容量の向上の観点から好ましく、後述するSWCNTおよび架橋物質によって形成される導電性ネットワークが円滑なレベルで形成され得るので、活物質の体積の膨張による電気的な短絡の防止および寿命特性の向上の観点から好ましい。
【0040】
前記外郭の炭素コーティング層200は、前記シリコン系コア粒子100上に位置しており、前記シリコン系コア粒子100の充放電による体積の膨張/収縮が適切に制御されるようにし、後述する導電性構造体400と第1のSWCNT300によって連結され、前記シリコン系コア粒子100と導電性構造体400とが互いに複合化できるようにする。
【0041】
前記外郭の炭素コーティング層200は、炭素元素(C)を含む。また、前記外郭の炭素コーティング層200は、炭素元素(C)とともに、酸素元素(O)、水素(H)などをさらに含んでもよい。
【0042】
具体的には、前記外郭の炭素コーティング層200は、酸素(O)を含むことができ、具体的に前記の酸素は、外郭の炭素コーティング層200内に35重量%~55重量%で含まれることができる。具体的には、前記外郭の炭素コーティング層200は、シリコン系コア粒子、2以上のSWCNT、架橋物質および外郭の炭素コーティング層形成用前駆体を混合し、熱処理して形成されることができ、前記熱処理によって、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体中の酸素が減少し得る。前記複合負極活物質10が、前記範囲で酸素の含有量が調整された外郭の炭素コーティング層200を含む場合、前記第1のSWCNT300が外郭の炭素コーティング層200に接しつつも、容易に突出できようにして、前記外郭の炭素コーティング層200と前記導電性構造体400との連結構造が容易に形成されることができ、これによって、導電性構造体400による複合負極活物質間の導電性ネットワークをより均一かつ安定に形成できるようにすることができる。また、前記複合負極活物質10が、前記範囲で酸素の含有量が調整された外郭の炭素コーティング層200を含む場合、前記架橋物質500による2以上のSWCNT(第1のSWCNTおよび/または第2のSWCNT)間の架橋が円滑に行われることができ、導電性ネットワークを安定に形成することができる。
【0043】
好ましくは、前記酸素は、外郭の炭素コーティング層内に40重量%~55重量%で含まれることができ、前記範囲にあるときに、第1のSWCNT300のボディの一部が、前記外郭の炭素コーティング層から突出または離隔するように、第1のSWCNT300の一部を外郭の炭素コーティング層200に適切に付着させることができ、第1のSWCNT300と導電性構造体400との連結によって、自由かつ柔軟な導電性ネットワークの形成ができるようにする。
【0044】
前記酸素の含有量は、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体の選択、熱処理温度の調節により実現されることができる。
【0045】
前記外郭の炭素コーティング層200内の酸素の含有量は、XPS(X-ray photoelectron spectroscopy)によって測定することができる。
【0046】
前記外郭の炭素コーティング層200は、前記複合負極活物質10内に0.001重量%~0.2重量%、好ましくは0.01重量%~0.1重量で含まれることができ、前記範囲であるときに、SWCNTのボディの一部が前記外郭の炭素コーティング層から突出および離隔するように、SWCNTを外郭の炭素コーティング層に十分に付着させることができるので好ましい。
【0047】
前記複合負極活物質は、第1のSWCNT300を含む。図1に示すように、第1のSWCNT300は、前記外郭の炭素コーティング層200に接して、前記外郭の炭素コーティング層200から突出している。そのため、前記第1のSWCNT300は、前記外郭の炭素コーティング層200から離隔した導電性構造体400を架橋物質500によって互いに連結および固定させることができる。
【0048】
SWCNT(Single Wall Carbon Nano Tube)は、円筒状の単層を有するカーボンナノチューブの一種であって、繊維状を有する。SWCNTは、多層カーボンナノチューブ(Multi Wall Carbon Nano Tube、以下、MWCNT)と比較すると、チューブの成長の際に、切断が起こらないので、繊維の長さが長く、高い黒鉛化度および結晶性を有する。
【0049】
前記第1のSWCNT300は、図1に示されたように、前記外郭の炭素コーティング層200に接して、前記外郭の炭素コーティング層200から突出することができる。また、前記第1のSWCNT300は、前記外郭の炭素コーティング層200に接して、前記第1のSWCNT300のボディの一部が外郭の炭素コーティング層200から離隔するように突出することができる。具体的には、図1に示すように、前記第1のSWCNT300のボディの一部は、前記外郭の炭素コーティング層200に接するか、または付着されており、前記外郭の炭素コーティング層200に接していないボディの残りの部分は、前記外郭の炭素コーティング層200から離隔または突出していることもある。
【0050】
前記第1のSWCNT300の平均長さは、1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、さらに好ましくは4.5μm~10μmであってもよい。前記範囲にあるときに、前記外郭の炭素コーティング層200との一部の付着と、導電性構造体400との連結および架橋が円滑に行われることができる十分な長さの確保が可能であり、これによって、導電性構造体400による活物質間の導電性ネットワークを円滑に維持することができるので好ましい。
【0051】
本明細書において、前記第1のSWCNT300の平均長さは、次のような方法で測定する。第1のSWCNTとカルボキシメチルセルロース(CMC)を40:60の重量比で水に添加した溶液(固形分含有量は、溶液の全重量を基準に1重量%)を水に1,000倍希釈させる。その後、前記希釈溶液20mlをフィルターによりフィルタリングし、前記SWCNTがろ過されたフィルターを乾燥する。前記乾燥されたフィルターを走査電子顕微鏡(SEM)で100枚撮影し、imageJプログラムを用いて、第1のSWCNTの長さを測定し、前記長さの平均値を第1のSWCNTの平均長さと定義する。
【0052】
前記第1のSWCNT300の平均直径は、0.1nm~15nm、好ましくは2nm~7nmであってもよい。前記第1のSWCNTの平均直径が前記範囲にあるときに、第1のSWCNTの切断防止および柔軟性の確保の観点から好ましい。
【0053】
本明細書において、前記第1のSWCNT300の平均直径は、以下のような方法で測定する。第1のSWCNTとカルボキシメチルセルロース(CMC)を40:60の重量比で水に添加した溶液(固形分含有量は、溶液の全重量を基準に1重量%)を水に1,000倍希釈させる。前記希釈溶液をTEMグリッドに1滴落とし、TEMグリッドを乾燥させる。前記乾燥されたTEMグリッドをTEM装置(製品名:H7650、メーカー:Hitachi)で観察して、前記第1のSWCNTの平均直径を測定する。
【0054】
前記第1のSWCNT300の平均長さと平均直径との比は、500:1以上、好ましくは500:1~10,000:1、好ましくは750:1~2,000:1であり、前記範囲にあるときに、第1のSWCNTが高い導電性を有し、切断現象が防止され、柔軟性を向上させることができるという観点から好ましい。
【0055】
前記複合負極活物質は、導電性構造体400を含む。図1に示すように、前記導電性構造体400は、前記複合負極活物質内に1つ以上含まれることができる。
【0056】
前記導電性構造体400は、前記外郭の炭素コーティング層200から離隔することができる。
【0057】
前記導電性構造体400は、第2のSWCNT450を含む。前記第2のSWCNT450は、1つ以上、好ましくは、複数個が導電性構造体400に含まれることができる。後述のように、前記第2のSWCNT450は、2以上が架橋物質500によって互いに架橋されていてもよい。
【0058】
後述のように、前記導電性構造体400は、第2のSWCNT450の少なくとも1つと前記第1のSWCNT300との架橋構造によって、前記外郭の炭素コーティング層200に連されることができ、前記第1のSWCNT300によって固定されることができる。前記導電性構造体は、SWCNTが有する長い繊維長さ、柔軟性および高結晶性によって、複合負極活物質間の電気的接触を助ける導電性ネットワークを形成することができる。これによって、本発明の複合負極活物質は、負極内において、活物質が充放電により体積が膨張しても、SWCNTが電気的接触を安定に維持させることができる。したがって、本発明の複合負極活物質は、活物質の体積の膨張による電気的な短絡の発生、それに伴い活物質の寿命が速く劣化することを効果的に防止し、負極の寿命特性を向上させることができ、SWCNTによる活物質間の電気的接触の円滑な維持によって、抵抗低減および効率の向上の観点からも好ましい。
【0059】
前記第2のSWCNT450の平均長さは、1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、さらに好ましくは4.5μm~10μmであってもよい。前記範囲にあるときに、前記導電性構造体による導電性ネットワークの形成が複合負極活物質同士の間に円滑に形成されることができ、複合負極活物質同士の間に発生し得る電気的な短絡の問題が顕著なレベルで防止されることができる。
【0060】
前記第2のSWCNT450の平均直径は、0.1nm~15nm、好ましくは2nm~7nmであってもよい。前記第2のSWCNTの平均直径が前記範囲にあるときに、第2のSWCNTの切断防止および柔軟性の確保の観点から好ましい。
【0061】
前記第2のSWCNT450の平均長さと平均直径との比は、500:1以上、好ましくは500:1~10,000:1、好ましくは750:1~2,000:1であってもよく、前記範囲にあるときに、第2のSWCNTが高い導電性を有し、切断現象が防止され、柔軟性を向上させることができるという観点から好ましい。
【0062】
前記第2のSWCNTは、前記第1のSWCNTと同じであってもよい。
【0063】
前記第2のSWCNTの平均長さおよび平均直径の測定方法は、前述した第1のSWCNTの平均長さおよび平均直径の測定方法と同じであってもよい。
【0064】
前記架橋物質500は、前記第1のSWCNTおよび前記第2のSWCNTのうち少なくとも1つと結合される。前記架橋物質500は、前記第1のSWCNTおよび前記第2のSWCNTのうち少なくとも1つと、ファンデルワールス力(Van der waals force)によって結合されてもよい。
【0065】
前記架橋物質なしにSWCNTのみで導電性ネットワークを形成しようとする場合、2以上のSWCNTが互いに絡み合って凝集現象が発生する恐れがあり、導電性ネットワークの円滑な形成が困難になることがある。また、前記架橋物質なしにSWCNTのみで導電性ネットワークを形成する場合、SWCNTが過度にシリコン系コア粒子に吸着され、第1のSWCNTの突出が難しい可能性がある。本発明の複合負極活物質は、前記架橋物質がSWCNT間の架橋を行うようにすることで、SWCNTの凝集現象、絡み合い現象が防止され、負極内でより広い導電性ネットワークの形成および維持が可能である。
【0066】
図1に示すように、前記架橋性物質500は、前記第1のSWCNT300および前記第2のSWCNT450のうち少なくとも1つと結合されているので、前記第1のSWCNT300と前記第2のSWCNT450との架橋、2以上の前記第1のSWCNT300間の架橋、および2以上の前記第2のSWCNT450間の架橋が可能である。
【0067】
具体的には、前記架橋性物質500は、前記第1のSWCNT300と前記第2のSWCNT450とを互いに架橋させることができる。本発明によると、前記第2のSWCNT450のうち少なくとも1つは、前記第1のSWCNT300と前記架橋物質500によって架橋され、前記導電性構造体400と前記第1のSWCNT300とを互いに連結させることができる。これによって、前記導電性構造体400は、前記外郭の炭素コーティング層200から離隔しつつも、第1のSWCNT300によって連結および固定されることができるので、前記複合負極活物質10は、活物質間の均一かつ安定した導電性ネットワークの形成が可能であり、これによって、負極の充放電時に発生する恐れのある電気的な短絡の防止および寿命特性の向上が可能である。
【0068】
また、前記架橋物質500は、2以上の前記第1のSWCNT300を互いに架橋させることができる。図1に示すように、第1のSWCNT300は、2以上の前記架橋物質500によって互いに架橋された第1のSWCNT300を含むことができる。2以上の第1のSWCNT300が架橋される場合、導電性構造体400と外郭の炭素コーティング層200とがより安定に連結されることができ、導電性ネットワークの維持が好ましく実現されることができる。
【0069】
また、前記架橋物質500は、2以上の前記第2のSWCNT450を互いに架橋させることができる。具体的には、前記第2のSWCNT450は、前記第1のSWCNT300と架橋されていない第2のSWCNT450を含むことができ、図1に示すように、前記第1のSWCNT300と架橋されていない第2のSWCNT450は、2以上が前記架橋物質500によって互いに架橋されているか、前記第1のSWCNT300と架橋されている前記第2のSWCNT450と架橋されることができる。より具体的には、前記第2のSWCNT450は、前記第1のSWCNT300と架橋されていない第2のSWCNT450を含むことができ、前記第1のSWCNT300と架橋されていない第2のSWCNT450は、前記第1のSWCNT300と架橋されていない他の第2のSWCNT450と架橋されているか、前記第1のSWCNT300と架橋されている前記第2のSWCNT450と架橋されているか、前記第1のSWCNT300と架橋されていない他の第2のSWCNT450および前記第1のSWCNT300と架橋されている前記第2のSWCNT450と架橋されることができる。これによると、前記導電性構造体400の拡張が可能であり、これによって、活物質間の導電性ネットワークの形成が好適に行われ、電気的な短絡の防止の効果がより向上することができる。
【0070】
本明細書において、「第1のSWCNTと架橋されていない第2のSWCNT」および「前記第1のSWCNTと架橋されていない他の第2のSWCNT」は、これらが互いに異なっている独立したものであることを表すために記載する。
【0071】
前記架橋物質500は、カーボンブラック、天然黒鉛および人造黒鉛からなる群より選択された少なくとも1種であってもよく、好ましくは、適切な凝集性を有することにより、SWCNTとの接着性、架橋性に優れているという観点から、カーボンブラックであってもよい。
【0072】
前記架橋物質500は、球状であってもよい。前記架橋物質が球状の場合、線状のSWCNTとの架橋または接着がより円滑に行われることができる。具体的には、本発明の複合負極活物質は、シリコン系コア粒子、2以上のSWCNT、架橋物質および外郭の炭素コーティング層前駆体を混合し、熱処理することによって形成されることができるが、前記架橋物質が球状の場合、球状のシリコーン系コア粒子よりも線状のSWCNTの方が、接着においてより円滑に行われることができるので、目的とするSWCNTおよび架橋物質による導電性ネットワークの形成がより安定に行われることができる。本明細書において、「球状」とは、完全な球状だけでなく、実質的な球状を包括すると理解することができる。この時、実質的な球状とは、前記粒子がほぼ球状であるか、またはややいびつな球状を含む概念として理解することができる。
【0073】
前記架橋物質500は、2以上の架橋物質が凝集または結合された結合体の形態で、前記複合負極活物質に含まれることができ、この場合、SWCNTの結合部位が増加して、2以上のSWCNTを容易に架橋させることができるので好ましい。
【0074】
前記架橋物質500は、前記複合負極活物質内に0.6重量%~5重量%、より好ましくは0.8重量%~3重量%で含まれることができる。前記範囲であるときに、架橋物質が2以上のSWCNT間の架橋を十分なレベルで行うことができ、過度の架橋によるSWCNTの凝集を防止し、SWCNTの複合負極活物質内での自由度を阻害しないので、導電性ネットワークを安定に維持することができる。
【0075】
前記架橋物質500の平均粒径(D50)は、0.01μm~3μm、より好ましくは0.05μm~0.5μmであってもよい。前記範囲であるときに、2以上のSWCNT間の架橋および接着が円滑に行われ、SWCNTの凝集現象が防止されることができる。
【0076】
前記第1のSWCNT300および前記第2のSWCNT450の合計重量は、前記複合負極活物質を基準に0.04重量%~0.7重量%、好ましくは0.055重量%~0.45重量%であってもよく、前記範囲にあるときに、過度のSWCNTの添加によりSWCNTが互いに絡み合って、活物質がともに凝集する現象が防止され、導電性を十分に向上させながら、導電性ネットワークがより均一に形成されることができるという観点から好ましい。
【0077】
前記第1のSWCNT300および前記第2のSWCNT450の合計重量と前記架橋物質の重量比は、1:99~40:60の重量比、好ましくは2.5:97.5~30:70の重量比、より好ましくは10:90~25:75の重量比であってもよく、前記範囲であるときに、導電性構造体内の架橋構造が好適に形成されることから、導電性ネットワークが安定に維持され、シリコン系活物質の充放電によって電気的な短絡が発生する恐れが、優れたレベルで防止されることができる。
【0078】
図1に示すように、本発明の複合負極活物質10は、前記シリコン系コア粒子100と前記外郭の炭素コーティング層200との間に形成される内部の炭素コーティング層600をさらに含むことができる。前記内部の炭素コーティング層600は、シリコン系コア粒子の体積の膨張を抑制し、電解液との副反応を防止する保護層として機能することができる。
【0079】
前記内部の炭素コーティング層600は、前記複合負極活物質10内に1重量%~10重量%、好ましくは3重量%~7重量%で含まれることができ、前記範囲であるときに、前記内部の炭素コーティング層600がシリコン系コア粒子100の体積の膨張を優れたレベルに制御しながら、電解液との副反応を防止することができるという観点から好ましい。
【0080】
前記内部の炭素コーティング層600は、前記シリコン系コア粒子100および前記内部の炭素コーティング層600の重量を基準に1重量%~10重量%、好ましくは3重量%~7重量%で含まれることができ、前記範囲であるときに、前記内部の炭素コーティング層がシリコン系コア粒子の体積の膨張を優れたレベルに制御しながら、電解液との副反応を防止することができるという観点から好ましい。
【0081】
<複合負極活物質の製造方法>
また、本発明は、前述した複合負極活物質の製造方法を提供する。
【0082】
具体的には、本発明の複合負極活物質の製造方法は、シリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体、2以上のSWCNTおよび架橋物質を混合するステップと、前記混合物を熱処理するステップとを含む。
【0083】
本発明の複合負極活物質の製造方法によると、シリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体、2以上のSWCNTおよび架橋物質を混合し、熱処理することによって、シリコン系コア粒子上に位置する外郭の炭素コーティング層が形成され、前記外郭の炭素コーティング層に接して、前記外郭の炭素コーティング層から突出した第1のSWCNT、前記外郭の炭素コーティング層から離隔して、第2のSWCNTを含む導電性構造体、前記第1のSWCNTおよび前記第2のSWCNTのうち少なくとも1つと結合された架橋物質を同時に形成することができる。この時、前記第1のSWCNTおよび前記第2のSWCNTのうち少なくとも1つは、前記架橋物質によって互いに架橋され、前記導電性構造体と前記第1のSWCNTとが互いに連結されることができ、これによって、前述した複合負極活物質の製造が可能である。
【0084】
本発明の複合負極活物質の製造方法は、シリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体、2以上のSWCNTおよび架橋物質を混合するステップを含む。
【0085】
前記シリコン系コア粒子および架橋物質の種類、特徴、含有量などは、前述の通りである。
【0086】
前記外郭の炭素コーティング層形成用前駆体は、複合負極活物質の外郭の炭素コーティング層を形成することができる要素である。
【0087】
前記外郭の炭素コーティング層形成用前駆体は、カルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose、CMC)、メチルセルロース(methyl cellulose、MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropyl cellulose、HPC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(methyl hydroxypropyl cellulose、MHPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(ethyl hydroxyethyl cellulose、EHEC)、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース(methyl ethyl hydroxyethyl cellulose、MEHEC)およびセルロースガム(cellulose gum)からなる群より選択された少なくとも1種であってもよく、好ましくはカルボキシメチルセルロースであってもよい。
【0088】
本発明の複合負極活物質の製造のためには、シリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体および2以上のSWCNTとともに、架橋物質を混合する工程が必要である。仮に、前記架橋物質を添加せずに、シリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体および2以上のSWCNTを混合し、熱処理して、複合体を形成する場合、SWCNTが、シリコン系コアおよび/または外郭の炭素コーティング層の表面に全体的に付着されるか、または過度に付着されるという問題が発生し、SWCNTのボディの一部は、前記外郭の炭素コーティング層から離隔または突出することができず、これによって、本発明の複合負極活物質による第1のSWCNTの形成が難しく、そのため、導電性構造体と外郭の炭素コーティング層との連結が難しい。また、仮に、前記架橋物質を添加せずに、シリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体および2以上のSWCNTを混合し、熱処理して、複合体を形成した後、さらに架橋物質を添加しても、既にSWCNTはシリコン系コアおよび/または外郭の炭素コーティング層の表面に全体的に付着されているので、前記架橋物質が2以上のSWCNTのボディの一部を互いに架橋させることができず、そのため、本発明に係る導電性構造体の形成は困難である。
【0089】
本発明の複合負極活物質の製造方法は、前記混合するステップの前に、前記シリコン系コア粒子上に内部の炭素コーティング層を形成するステップをさらに含むことができる。前記内部の炭素コーティング層は、前記シリコン系コア粒子上に形成され、シリコン系コア粒子の充放電による体積の膨張を適切に制御し、電解液との副反応を防止できるようにする保護層として機能させることができる。
【0090】
前記内部の炭素コーティング層を形成するステップは、化学気相蒸着法(CVD)によって行うことができ、具体的には、メタン、エタンおよびアセチレンからなる群より選択された少なくとも1種の炭化水素ガスを使用する化学気相蒸着法(CVD)によって行われることができる。前記方法によって、シリコン系コア粒子上に内部の炭素コーティング層を均一なレベルで形成することができ、シリコン系コア粒子の体積の膨張を円滑に制御することができ、電解液による副反応を防止することができる。
【0091】
前記内部の炭素コーティング層を形成するステップは、800℃~1100℃、好ましくは900℃~1000℃で行うことができる。
【0092】
その他、内部の炭素コーティング層に対する説明は、前述の通りである。
【0093】
本発明の複合負極活物質の製造方法は、前記混合物を熱処理するステップを含む。本発明の製造方法による複合負極活物質は、前記熱処理ステップによって複合化が行われることができる。万が一、前記混合物に熱処理が行われていない場合、外郭の炭素コーティング層の形成、前記外郭の炭素コーティング層とSWCNTとの間の接着、およびSWCNTと架橋物質との架橋が円滑に行われることができない。
【0094】
前記熱処理によって、外郭の炭素コーティング層、第1のSWCNT、導電性構造体(第2のSWCNTを含む)、架橋物質が形成されることができる。特に、前記混合物に含まれているSWCNTの一部は、前記熱処理によって外郭の炭素コーティング層に接して、前記外郭の炭素コーティング層から突出した第1のSWCNTを形成することができ、前記混合物に含まれているSWCNTの残りの部分は、第2のSWCNTを形成して、架橋物質によって導電性構造体を形成することができる。前記第1のSWCNTおよび前記第2のSWCNTのうち少なくとも1つは、前記架橋物質によって架橋され、導電性構造体と第1のSWCNTとを互いに連結させることができる。さらに、前記架橋物質は、前記第1のSWCNTおよび前記第2のSWCNT間の架橋、前記第1のSWCNT間の架橋および前記第2のSWCNT間の架橋を行うことができる。
【0095】
具体的には、前記熱処理は、スプレードライ工程(spray-drying)によって行われることができる。前記スプレードライ工程は、液状の供給物(feed)を噴射しながら、高温のガスで急速に熱処理または乾燥して、乾燥粉末を製造する方法である。本発明の複合負極活物質を前記スプレードライ工程により熱処理する場合、混合物の急速な熱処理または乾燥が可能であり、粒子間の凝集現象が防止され、複合負極活物質の品質の均一性を向上することができ、SWCNTがシリコン系コア粒子に過度に吸着されることを防止するという観点から好ましい。
【0096】
前記スプレードライ工程は、前記混合物を乾燥チャンバー(drying chamber)内に噴射しながら、前記乾燥チャンバー内に120℃~350℃の不活性ガスを注入して、前記混合物を熱処理する方法によって行われることができる。
【0097】
前記スプレードライ工程において、前記不活性ガスは、反応性のない気体であって、ヘリウム、窒素およびアルゴンからなる群より選択された少なくとも1種であってもよい。
【0098】
前記スプレードライ工程において、前記不活性ガスの温度は、150℃~350℃、好ましくは180℃~250℃であってもよい。前記範囲で熱処理したとき、SWCNTを炭素コーティング層内に十分に固定させることができ、負極内における均一な導電性ネットワークの形成が可能であり、高温の熱処理による炭素コーティング層の炭化を防止し、SWCNTがシリコン系コア粒子内に必要以上に過度に吸着されることを防止して、SWCNTの柔軟性、自由度を向上させることができる。
【0099】
本発明の複合負極活物質の製造方法によると、前記熱処理によって、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体中の酸素が減少し、前記外郭の炭素コーティング層形成用前駆体がSWCNTの一部を付着および固定するように外郭の炭素コーティング層を形成することができる。具体的には、前記外郭の炭素コーティング層は、酸素を35重量%~55重量%、好ましくは40重量%~55重量%で含むことができる。前記酸素の含有量の範囲にあるときに、外郭の炭素コーティング層内にSWCNTの一部の付着および固定が適切に行われ、本発明の複合負極活物質の第1のSWCNTの形成が好適に行われていると判断することができる。
【0100】
<負極>
また、本発明は、前述した複合負極活物質を含む負極を提供する。
【0101】
具体的には、本発明の負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に形成される負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は、負極材、バインダーおよび導電材を含み、前記負極材は、前述した複合負極活物質を含む。
【0102】
前記負極集電体は、電池に化学的変化を起こさずに、高い導電性を有するものであれば特に制限されない。具体的には、前記負極集電体は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群より選択された少なくとも1種、好ましくは銅を含むことができる。
【0103】
前記負極集電体は、通常、3~500μmの厚さを有することができます。
【0104】
前記負極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して、負極活物質の結合力を強化させてもよい。例えば、前記負極集電体は、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用され得る。
【0105】
前記負極活物質層は、前記負極集電体上に形成される。
【0106】
前記負極活物質層は、負極材およびバインダーを含むことができ、前記負極材は、前述した複合負極活物質を含む。
【0107】
前記複合負極活物質は、負極内に含まれ、優れた容量特性を発揮することができ、これに含まれるSWCNTおよび架橋物質によって形成された導電性ネットワークによって、負極の寿命特性の向上に寄与することができる。
【0108】
前記複合負極活物質に対する説明は、前述の通りである。
【0109】
前記負極材は、前述した複合負極活物質とともに、炭素系活物質をさらに含むことができ、これによって、充放電による体積の膨張の程度の低い炭素系活物質によって、負極材全体の体積の膨張の程度を下げることができ、前記複合負極活物質内のSWCNTによる導電性ネットワークが、炭素系活物質を囲むようにすることができ、抵抗および効率の改善においてさらに好ましい。
【0110】
前記炭素系活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、スーパーP、グラフェンおよび繊維状炭素からなる群より選択される少なくとも1種を含むことができ、好ましくは、人造黒鉛および天然黒鉛からなる群より選択された少なくとも1種を含むことができる。
【0111】
前記炭素系活物質の平均粒径(D50)は、充放電時に構造的な安定性を図り、電解液との副反応を減らす観点から、5μm~35μm、好ましくは10μm~20μmであってもよい。
【0112】
具体的には、前記負極材は、容量特性およびサイクル特性を同時に改善する観点から、前記複合負極活物質と前記炭素系活物質を両方とも使用することが好ましく、具体的には、前記負極材は、前記複合負極活物質および前記炭素系活物質を1:99~35:65、好ましくは5:95~30:70の重量比、さらに好ましくは10:90~20:80の重量比で含むことが好ましい。前記範囲であるときに、容量およびサイクル特性を同時に向上させる観点から好ましい。
【0113】
前記負極材は、負極活物質層内に80重量%~99重量%、好ましくは90重量%~98.5重量%で、前記負極活物質層に含まれることができる。
【0114】
前記負極活物質層は、バインダーを含む。
【0115】
前記バインダーは、電極の密着性をさらに向上させ、活物質の体積の膨張/収縮に十分な抵抗力を付与することができるという観点から、スチレンブタジエンゴム(SBR:styrene butadiene rubber)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile butadiene rubber)、アクリルゴム(acrylic rubber)、ブチルゴム(butyl rubber)、フッ素ゴム(fluoro rubber)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、でんぷん、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)、ポリアクリル酸(PAA:polyacrylic acid)、ポリエチレングリコール(PEG:polyethylene glycol)、ポリアクリロニトリル(PAN:polyacrylonitrile)およびポリアクリルアミド(PAM:polyacryl amide)からなる群より選択された少なくとも1種を含むことができる。好ましくは、前記バインダーは、高い強度を有し、シリコン系負極活物質の体積の膨張/収縮に対して優れた抵抗性を有し、優れた柔軟性をバインダーに付与して、電極の歪み、撓みなどを防止することができるという観点から、スチレン-ブタジエンゴムを含むことが好ましい。
【0116】
前記バインダーは、負極活物質層内に0.5重量%~10重量で含まれることができ、前記範囲にあるときに、活物質の体積の膨張をより効果的に制御することができるという観点から好ましい。
【0117】
必要に応じて、前記負極活物質層は、さらに導電材を含むことができる。前記導電材は、導電性を向上させるために負極に使用することができ、化学的変化を起こさずに導電性を有するものが好ましい。具体的には、前記導電材は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、導電性繊維、フルオロカーボン;アルミニウム粉末、ニッケル粉末、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化チタンおよびポリフェニレン誘導体からなる群より選択された少なくとも1種であってもよく、好ましくは、高い導電性を実現する観点から、カーボンブラックを含んでも良い。
【0118】
前記導電材は、前記負極活物質層内に0.5重量%~10重量で含まれることができる。
【0119】
前記負極活物質層は、前述したSWCNTなどによって負極材の成分に対する電気的接触性を高めるという観点から、30μm~100μm、好ましくは40μm~80μmであってもよい。
【0120】
前記負極は、前記負極集電体上に負極材、バインダーおよび導電材を負極スラリー形成用溶媒に分散させ、負極スラリーを製造し、前記負極スラリーを前記負極集電体上にコーティングした後、乾燥および圧延して製造することができる。
【0121】
前記負極スラリー形成用溶媒は、成分の分散を容易にするという観点から、蒸留水、エタノール、メタノールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択された少なくとも1種、好ましくは蒸留水を含むことができる。
【0122】
<二次電池>
本発明は、前述した負極を含む二次電池、具体的には、リチウム二次電池を提供する。
【0123】
具体的には、本発明に係る二次電池は、前述した負極と、前記負極に対向する正極と、前記負極と前記正極との間に介在するセパレータと、電解質とを含む。
【0124】
前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体上に形成される正極活物質層とを含むことができる。
【0125】
前記正極集電体は、電池に化学的変化を起こさずに、高い導電性を有するものであれば特に制限されない。具体的には、前記負極集電体は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群より選択された少なくとも1種、好ましくはアルミニウムを含むことができる。
【0126】
前記正極集電体は、通常、3~500μmの厚さを有することができる。
【0127】
前記正極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させてもよい。例えば、前記負極集電体は、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態として使用され得る。
【0128】
前記正極活物質層は、正極活物質を含むことができる。
【0129】
前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物として、具体的には、ニッケル、コバルト、マンガンおよびアルミニウムからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属と、リチウムとを含むリチウム遷移金属複合酸化物、好ましくは、ニッケル、コバルトおよびマンガンを含む遷移金属と、リチウムとを含むリチウム遷移金属複合酸化物を含むことができる。
【0130】
より具体的には、前記リチウム遷移金属複合酸化物としては、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO、LiMnなど)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoOなど)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiOなど)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-YMn(ここで、0<Y<1)、LiMn2-zNi(ここで、0<Z<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y1CoY1(ここで、0<Y1<1)など)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y2MnY2(ここで、0<Y2<1)、LiMn2-z1Coz1(ここで、0<Z1<2)など)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(NiCoMnr1)O(ここで、0<p<1、0<q<1、0<r1<1、p+q+r1=1)もしくはLi(Nip1Coq1Mnr2)O(ここで、0<p1<2、0<q1<2、0<r2<2、p1+q1+r2=2)など)またはリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr3S2)O(ここで、Mは、Al、Fe、V、Cr、Ti、Ta、MgおよびMoからなる群より選択され、p2、q2、r3およびs2は、それぞれ独立した元素の原子分率であって、0<p2<1、0<q2<1、0<r3<1、0<s2<1、p2+q2+r3+s2=1である)など)などが挙げられ、これらのうちいずれか1つまたは2以上の化合物が含まれることができる。中でも、電池の容量特性および安定性を高めることができるという点で、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、LiCoO、LiMnO、LiNiO、リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物(例えば、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)OもしくはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)Oなど)またはリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)Oなど)などであってもよく、リチウム遷移金属複合酸化物を形成する構成元素の種類および含有量比の制御による改善効果の顕著さを考慮すると、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O、Li(Ni0. 5Mn0.3Co0.2)O、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)OまたはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)Oなどであってもよく、これらのうちいずれか1つまたは2以上の混合物が使用されてもよい。
【0131】
前記正極活物質は、正極活物質の十分な容量の発揮などを考慮して、正極活物質層内に80重量%~99重量%、好ましくは92重量%~98.5重量%で含まれることができる。
【0132】
前記正極活物質層は、前述した正極活物質とともに、バインダーおよび/または導電材をさらに含むことができる。
【0133】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結着および集電体に対する結着に助力する成分であり、具体的には、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、でんぷん、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴムからなる群より選択された少なくとも1種、好ましくはポリビニリデンフルオライドを含むことができる。
【0134】
前記バインダーは、正極活物質などの成分間の結着力を十分に確保する観点から、正極活物質層内に1重量%~20重量%、好ましくは1.2重量%~10重量%で含まれることができる。
【0135】
前記導電材は、二次電池に導電性を補助および向上させるために使用することができ、化学的変化を起こさずに、導電性を有するものであれば特に制限されない。具体的には、前記導電材は、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;カーボンナノチューブなどの導電性チューブ;フルオロカーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;およびポリフェニレン誘導体からなる群より選択された少なくとも1種を含むことができ、好ましくは、導電性の向上の観点から、カーボンブラックを含むことができる。
【0136】
前記導電材は、電気導電性を十分に確保する観点から、正極活物質層内に1重量%~20重量%、好ましくは1.2重量%~10重量%で含まれることができる。
【0137】
前記正極活物質層の厚さは、30μm~400μm、好ましくは50μmな~110μmであってもよい。
【0138】
前記正極は、前記正極集電体上に正極活物質、並びに選択的にバインダー、導電材および正極スラリー形成用溶媒を含む正極スラリーをコーティングした後、乾燥および圧延して製造することができる。
【0139】
前記正極スラリー形成用溶媒は、NMP((N-メチル-2-ピロリドン)N-methyl-2-pyrrolidone)などの有機溶媒を含むことができ、前記正極活物質、並びに選択的にバインダーおよび導電材などを含むときに、好適な粘度となる量で使用されることができる。例えば、前記正極スラリー形成用溶媒は、正極活物質、並びに選択的にバインダーおよび導電材を含む固形分の濃度が、50重量%~95重量%、好ましく70重量%~90重量%となるように、前記正極スラリーに含まれることができる。
【0140】
前記セパレータは、負極と正極とを分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常のリチウム二次電池においてセパレータとして使用されるものであれば、特に制限なく使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗で、かつ電解液の含湿能に優れているものが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えばエチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリレート共重合体などのポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの2層以上の積層構造体が使用されてもよい。また、通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されてもよい。また、耐熱性または機械的強度を確保するために、セラミック成分または高分子物質が含まれているコーティングされたセパレータが使用されることができ、選択的に単層または多層構造で使用されることができる。
【0141】
また、本発明で使用される電解質としては、二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル状の高分子電解質、固体無機電解質、溶融型の無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0142】
具体的には、前記電解質は、有機溶媒およびリチウム塩を含むことができる。
【0143】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割を果たすことができるものであれば、特に制限なく使用することができる。具体的には、前記有機溶媒としては、、メチルアセテート、エチルアセテート、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンなどのエステル系溶媒;ジブチルエーテルまたはテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ベンゼン、フルオロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分岐状または環状構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが使用されることができる。中でも、カーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度および高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の線状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなど)との混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートを、約1:1~約1:9の体積比で混合して使用することで、優れた電解液の性能を示すことができる。
【0144】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池で使用されるリチウムイオンを提供することができる化合物であれば、特に制限なく使用することができる。具体的には、前記リチウム塩として、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAl0、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiIまたはLiB(Cなどが使用されることができる。前記リチウム塩の濃度は、0.1~2.0Mの範囲内で使用することが好ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度および粘度を有するので、優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0145】
前記二次電池は、通常の二次電池の製造方法によって、前述した負極と正極との間にセパレータを介在させた後、電解液を注入して製造することができる。
【0146】
本発明に係る二次電池は、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどの携帯機器、およびハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車分野などにおいて有用であり、特に中大型電池モジュールの構成電池として好適に使用することができる。したがって、本発明は、また、前記のような二次電池を単位電池として含む中大型電池モジュールを提供する。
【0147】
かかる中大型電池モジュールは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、電力貯蔵装置などのように、高出力、大容量が要求される動力源に好適に適用することができる。
【0148】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、種々の異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0149】
実施例
実施例1:複合負極活物質の製造
シリコン系コア粒子として、Mgが内部にドープされたMg0.1SiO粒子(平均粒径(D50):6μm)を準備した。
【0150】
前記シリコン系コア粒子上に炭化水素ガスとしてメタンを950℃で化学気相蒸着(CVD)して、シリコン系コア粒子上に内部の炭素コーティング層を形成した。内部の炭素コーティング層は、シリコン系コア粒子および内部の炭素コーティング層の全重量に対して5重量%で形成された。
【0151】
前記内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体としてカルボキシメチルセルロース、SWCNT、および架橋物質として球状のカーボンブラック(平均粒径(D50):0.1μm)を98.85:0.09:0.06:1.00の重量比で混合した。
【0152】
前記SWCNTは、平均長さが5μmであり、平均直径が5nmであり、平均長さ/平均直径は1,000であった。
【0153】
前記混合物をスプレードライ工法により熱処理した。具体的には、前記混合物を噴霧器を介して乾燥チャンバーに噴射しながら、200℃のアルゴンガスを乾燥チャンバー内に注入して、前記混合物を急速に熱処理し、これを回収して、実施例1の複合負極活物質を製造した。
【0154】
実施例1の複合負極活物質は、内部の炭素コーティング層上に外郭の炭素コーティング層が形成されており、前記SWCNTの一部のものは、前記外郭の炭素コーティング層に接して、前記外郭の炭素コーティング層から突出した第1のSWCNTが形成され、前記SWCNTの残りのものは、前記外郭の炭素コーティング層から離隔した第2のSWCNTを形成して、導電性構造体が形成された。前記第1のSWCNTは、前記架橋物質によって前記第2のSWCNTのうち少なくとも1つと架橋され、前記導電性構造体と前記第1のSWCNTとが連結された。また、第1のSWCNTおよび第2のSWCNTは、架橋物質によって互いに架橋された。
【0155】
前記複合負極活物質は、内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層、SWCNT(第1のSWCNTおよび第2のSWCNT)および架橋物質を98.87:0.07:0.06:1の重量比で含んでいた。
【0156】
また、前記外郭の炭素コーティング層中の酸素は、外郭の炭素コーティング層の全重量を基準に45重量%であった。前記外郭の炭素コーティング層中の酸素の含有量は、XPS depth profileを測定することにより求めた。前記XPS depth profileを通じて、酸素の検出の有無に応じて、内部の炭素コーティング層と外郭の炭素コーティング層との境界を区分し、外郭の炭素コーティング層中の酸素の含有量を測定した。
【0157】
実施例2:複合負極活物質の製造
内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体としてカルボキシメチルセルロース、SWCNT、および架橋物質として球状のカーボンブラック(平均粒径(D50):0.1μm)を98.25:0.45:0.30:1.00の重量比で混合した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2の複合負極活物質を製造した。
【0158】
前記複合負極活物質は、内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層、SWCNT(第1のSWCNTおよび第2のSWCNT)および架橋物質を98.34:0.36:0.30:1の重量比で含んでいた。
【0159】
実施例3:複合負極活物質の製造
内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体としてカルボキシメチルセルロース、SWCNT、および架橋物質として球状のカーボンブラック(平均粒径(D50):0.1μm)を97.85:0.09:0.06:2.00の重量比で混合した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3の複合負極活物質を製造した。
【0160】
前記複合負極活物質は、内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層、SWCNT(第1のSWCNTおよび第2のSWCNT)および架橋物質を97.87:0.07:0.06:2の重量比で含んでいた。
【0161】
実施例4:複合負極活物質の製造
内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体としてカルボキシメチルセルロース、SWCNT、および架橋物質として球状のカーボンブラック(平均粒径(D50):0.1μm)を97.5:0.9:0.6:1.0の重量比で混合した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例4の複合負極活物質を製造した。
【0162】
前記複合負極活物質は、内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層、SWCNT(第1のSWCNTおよび第2のSWCNT)および架橋物質を97.68:0.72:0.60:1の重量比で含んでいた。
【0163】
実施例5:複合負極活物質の製造
内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体としてカルボキシメチルセルロース、SWCNT、および架橋物質として球状のカーボンブラック(平均粒径(D50):0.1μm)を98.8875:0.0675:0.0450:1.0000の重量比で混合した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例5の複合負極活物質を製造した。
【0164】
前記複合負極活物質は、内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層、SWCNT(第1のSWCNTおよび第2のSWCNT)および架橋物質を98.90:0.05:0.05:1の重量比で含んでいた。
【0165】
実施例6:複合負極活物質の製造
内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体としてカルボキシメチルセルロース、SWCNT、および架橋物質として球状のカーボンブラック(平均粒径(D50):0.1μm)を95.85:0.09:0.06:4.00の重量比で混合した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例6の複合負極活物質を製造した。
【0166】
前記複合負極活物質は、内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層、SWCNT(第1のSWCNTおよび第2のSWCNT)および架橋物質を95.87:0.07:0.06:4の重量比で含んでいた。
【0167】
実施例7:複合負極活物質の製造
内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体としてカルボキシメチルセルロース、SWCNT、および架橋物質として球状のカーボンブラック(平均粒径(D50):0.1μm)を99.15:0.09:0.06:0.70の重量比で混合した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例7の複合負極活物質を製造した。
【0168】
前記複合負極活物質は、内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層、SWCNT(第1のSWCNTおよび第2のSWCNT)および架橋物質を99.17:0.07:0.06:0.70の重量比で含んでいた。
【0169】
比較例1:負極活物質の製造
実施例1で使用された内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体としてカルボキシメチルセルロース、SWCNT、および架橋物質として球状のカーボンブラック(平均粒径(D50):0.1μm)を98.85:0.09:0.06:1.00の重量比で混合したものを使用して、比較例1の負極活物質を製造した。比較例1の負極活物質の場合、熱処理が行われていないので、導電性構造体および外郭の炭素コーティング層は形成されていない。
【0170】
比較例2:負極活物質の製造
内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体としてカルボキシメチルセルロース、およびSWCNTを99.85:0.09:0.06の重量比で混合し、架橋物質を使用していないことを除いては、実施例1と同様の方法により、比較例2の負極活物質を製造した。
【0171】
比較例2の負極活物質の場合、負極活物質内のSWCNTが負極活物質の表面に全体的に付着しており、架橋物質がないので、2以上のSWCNTを互いに架橋させることができず、導電性構造体が形成されていない。
【0172】
比較例3:負極活物質の製造
内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、およびカーボンブラック(平均粒径(D50):0.1μm)を99:1の重量比で混合し、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体およびSWCNTを使用していないことを除いては、実施例1と同様の方法により、比較例3の負極活物質を製造した。
【0173】
比較例3の負極活物質の場合、外郭の炭素コーティング層およびSWCNTによる導電性ネットワークが形成されていない。
【0174】
比較例4:負極活物質の製造
内部の炭素コーティング層が形成されたシリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層形成用前駆体としてカルボキシメチルセルロース、およびSWCNTを98.85:0.09:0.06の重量比で混合して架橋剤を使用していないことを除いては、実施例1と同様の方法により熱処理を行って、負極活物質を製造した。前記負極活物質は、シリコン系コア粒子、外郭の炭素コーティング層およびSWCNTを98.87:0.07:0.06の重量比で含んでいた。
【0175】
次に、前記負極活物質および実施例1で使用した架橋物質を99:1の重量比で混合し、これを比較例4とした。
【0176】
後述のように、比較例4の場合、架橋物質なしに熱処理が行われ、SWCNTが外郭の炭素コーティング層に全体的に付着しており、それによって、架橋物質がさらに添加されても、本発明が目的とする架橋構造および導電性構造体は形成されることができない。
【0177】
この際、SWCNTの平均長さおよび平均直径は、以下の方法により測定された。
【0178】
1)平均長さ
実施例および比較例で使用されたSWCNTとカルボキシメチルセルロース(CMC)を40:60の重量比で水に添加した溶液(固形分含有量は、溶液の全重量を基準に1重量%)を水に1,000倍希釈させる。その後、前記希釈溶液20mlをフィルターによりフィルタリングし、前記SWCNTがろ過されたフィルターを乾燥する。前記乾燥されたフィルターを走査電子顕微鏡(SEM)で100枚撮影し、imageJプログラムを用いて、SWCNTの長さを測定し、前記長さの平均値をSWCNTの平均長さと定義する。
【0179】
2)平均直径
実施例および比較例で使用されたSWCNTとカルボキシメチルセルロース(CMC)を40:60の重量比で水に添加した溶液(固形分含有量は、溶液の全重量を基準に1重量%)を水に1,000倍希釈させる。前記希釈溶液をTEMグリッドに1滴落とし、TEMグリッドを乾燥させる。前記乾燥されたTEMグリッドをTEM装置(製品名:H7650、メーカー:Hitachi)で観察して、前記SWCNTの平均直径を測定する。
【0180】
実験例
実験例1:SEM観察評価
<負極の製造>
負極材として実施例1で製造された複合負極活物質と、炭素系活物質として天然黒鉛(平均粒径(D50):15μm)を15:85の重量比で混合したものを使用した。
【0181】
前記負極材、バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR)、および増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを98:1:1の重量比で混合し、これを負極スラリー形成用溶媒として蒸留水に添加して、負極スラリーを製造した。
【0182】
負極集電体としての銅集電体(厚さ:15μm)の一方の面に、前記負極スラリーを(3mAh/cm)のローディング量でコーティングし、圧延(roll press)して、130℃の真空オーブンで10時間乾燥し、負極活物質層(厚さ:42μm)を形成し、これを実施例1による負極とした(負極の厚さ:57μm、面積1.4875cm、円形)。
【0183】
また、実施例1の複合負極活物質の代わりに、比較例4の負極活物質をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例4の負極を製造した。
【0184】
<SEM観察>
前記で製造された実施例1および比較例4の負極を走査型電子顕微鏡(メーカー:JEOL)を用いてSEM観察した。
【0185】
実施例1の負極のSEM写真を図2に示しており、比較例4の負極のSEM写真を図3に示している。
【0186】
図2および図3を参照すると、実施例1の複合負極活物質は、ボディの一部が外郭の炭素コーティング層上に接しており、前記外郭の炭素コーティング層に接していないボディの残りの部分は、外郭の炭素コーティングから離隔して突出した第1のSWCNTが形成され、架橋物質が第1のSWCNTおよび第2のSWCNTを互いに架橋させて導電性構造体を形成したことを確認することができる。しかし、比較例4の負極活物質は、SWCNTが外郭の炭素コーティング層の表面に全体的に付着しており、カーボンブラックは独立して存在していることが確認されるので、本発明が目的とする導電性構造体および架橋構造は形成されないことを確認することができる。
【0187】
実験例2:寿命特性評価
<負極の製造>
負極材として実施例1で製造された複合負極活物質と、炭素系活物質として天然黒鉛(平均粒径(D50):15μm)を15:85の重量比で混合したものを使用した。
【0188】
前記負極材、バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR)、および増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを98:1:1の重量比で混合し、これを負極スラリー形成用溶媒として蒸留水に添加して、負極スラリーを製造した。
【0189】
負極集電体としての銅集電体(厚さ:15μm)の一方の面に、前記負極スラリーを(3mAh/cm)のローディング量でコーティングし、圧延(roll press)して、130℃の真空オーブンで10時間乾燥し、負極活物質層(厚さ:42μm)を形成し、これを実施例1による負極とした(負極の厚さ:57μm、面積1.4875cm、円形)。
【0190】
また、実施例1の複合負極活物質の代わりに、実施例2~7、比較例1~4の複合負極活物質をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2~7、比較例1~4の負極を製造した。
【0191】
<二次電池の製造>
面積が1.7671cmで、円形であるリチウム金属薄膜を正極として使用した。
【0192】
前記で製造された実施例1~7及び比較例1~4の負極と正極との間に、多孔性ポリエチレンのセパレータを介在し、電解液を注入して、コイン型のハーフセル(half-cell)二次電池を製造した。
【0193】
前記電解質としては、エチルメチルカーボネート(EMC)とエチレンカーボネート(EC)を体積比7:3で混合した溶液に、0.5重量%でビニレンカーボネート(VC)を溶解させ、LiPFを1Mの濃度で溶解させたものを使用した。
【0194】
<容量維持率の評価>
実施例1~7、比較例1~4で製造した二次電池に対して、電気化学充放電器を用いてサイクル容量維持率を評価した。
【0195】
サイクル容量維持率は、1番目のサイクルおよび2番目のサイクルは0.1Cで充放電し、3番目のサイクルよりは0.5Cで充放電を行った(充電条件:CC/CV、5mV/0.005C カットオフ(cut-off)、放電条件:CC、1.5V カットオフ(cut off))
【0196】
容量維持率は、以下のように計算した。
【0197】
[数式2]
容量維持率(%)={(N番目のサイクルでの放電容量)/(1番目のサイクルでの放電容量)}×100
(数式2中、Nは1以上の整数)
【0198】
50番目のサイクル容量維持率(%)を表1に示す。
【0199】
【表1】
【0200】
表1を参照すると、実施例1~7の複合負極活物質を使用した負極および二次電池は、比較例1~4に比べて、サイクル容量維持率において優れたレベルに向上することを確認することができる。
【符号の説明】
【0201】
10 複合負極活物質
100 シリコン系コア粒子
200 外郭の炭素コーティング層
300 第1の単層カーボンナノチューブ
400 導電性構造体
450 第2の単層カーボンナノチューブ
500 架橋物質
600 内部の炭素コーティング層
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
前記数式1において、前記Mは、Li、MgおよびAlからなる群より選択された少なくとも1種であり、0≦x≦0.4であり、0≦y<2である。

【国際調査報告】