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特表2022-546536チョウセンノギク抽出物を含む月経前症候群症状改善用組成物
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  • 特表-チョウセンノギク抽出物を含む月経前症候群症状改善用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】チョウセンノギク抽出物を含む月経前症候群症状改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/287 20060101AFI20221027BHJP
   A61K 36/8998 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 36/88 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 5/24 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221027BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20221027BHJP
【FI】
A61K36/287
A61K36/8998
A61K36/88
A61P5/24
A61P15/00
A61P43/00 121
A23L33/105
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514010
(86)(22)【出願日】2019-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 KR2019011306
(87)【国際公開番号】W WO2021045242
(87)【国際公開日】2021-03-11
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521154914
【氏名又は名称】ジェネンセル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヨン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】カン ス チャン
(72)【発明者】
【氏名】クォン チョン ウン
(72)【発明者】
【氏名】リ ダ ウン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
【Fターム(参考)】
4B018MD49
4B018MD61
4B018ME14
4B018MF01
4C088AB26
4C088AB71
4C088AB73
4C088AC01
4C088AC04
4C088BA10
4C088MA07
4C088NA14
4C088ZA81
4C088ZC11
4C088ZC75
(57)【要約】
本発明は、(a)チョウセンノギク抽出物;又は(b)チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物との混合物;又は(c)チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物とアロエ抽出物との混合物を含む、月経前症候群予防及び改善又は治療用組成物に関し、具体的に、本組成物は、月経前症候群に見られる現象である脳下垂体細胞におけるプロラクチンの分泌を効果的に抑制し、女性の黄体期に減少するプロゲステロンの分泌量を増加させることによって、女性月経前症候群予防及び改善又は治療用組成物として有用に利用可能である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョウセンノギク抽出物を有効成分として含む、月経前症候群の改善、予防又は治療用組成物。
【請求項2】
前記組成物が麦芽抽出物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物がアロエ抽出物をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記抽出物は、水抽出物、C1~C5アルコール抽出物又はC1~C5アルコール水溶液抽出物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記チョウセンノギク抽出物は、組成物の全重量を基準に0.001~90重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記麦芽抽出物は、チョウセンノギク抽出物100重量部に対して50~150の重量部で含まれる、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記麦芽抽出物は、チョウセンノギク抽出物100重量部に対して50~150の重量部で含まれ、前記アロエ抽出物は、チョウセンノギク抽出物100重量部に対して10~30の重量部で含まれる、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記チョウセンノギク抽出物は、60%~80%エタノール水溶液抽出物であり、前記麦芽抽出物は、40%~60%エタノール水溶液抽出物であり、前記アロエ抽出物は、20%~40%エタノール水溶液抽出物である、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が月経前黄体期の女性においてプロラクチン分泌を抑制するか或いはプロゲステロンの分泌を増加させることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記月経前症候群の症状は、軽微な精神的障害(minor psychological discomfort)、腹部膨満(bloating)、体重増加(weight gain)、乳房圧痛(breast tenderness)、筋肉痛(muscular tension or aches)、集中力低下(poor concentration)及び食欲変化(change in appetite)のいずれか一つ以上であり、前記月経前症候群の症状は、月経周期の黄体期にのみ現れることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記月経前症候群予防又は治療用組成物が薬学組成物である、請求項1~10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記月経前症候群改善用組成物が健康機能食品組成物である、請求項1~10のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、有効成分としてチョウセンノギク抽出物を含む、月経前症候群の改善、予防又は治療用の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
国際疾病分類(International Classification of Disease,[ICD]-10)で定義したところによれば、軽微な精神的障害(minor psychological discomfort)、腹部膨満(bloating)、体重増加(weight gain)、乳房圧痛(breast tenderness)、筋肉痛(muscular tension or aches)、集中力低下(poor concentration)、食欲変化(change in appetite)の7つの症状のうち1つ以上を満たすとともに、このような症状が月経周期の黄体期に限るとき、月経前症候群として診断できると定義しており、これは、生理前4~7日から生理するまでに見られる症状であり、生理の開始と共に完全に消える。したがって、生理期間に子宮内膜が剥がれながら発生する生理痛とは異なる疾患として区分されている。
【0003】
月経前症候群の発生原因は明確にされていないが、ホルモンのアンバランスと遺伝的性向、排卵生理周期、薬物服用、喫煙、飲酒及びカフェイン摂取、食事パターン、避姙薬服用、感情状態及び結婚の有無などの生活習慣及び社会的要因、その他年齢、身長と体重、出産及び月経歴、ストレスなども月経前症候群と関連があるものと知られており、最近では、月経周期によって変化する女性ホルモンと黄体ホルモンが各種の脳神経伝達物質に影響を及ぼして月経前症候群を誘発し得ることが報告されている。特に、プロラクチンの増加によるプロゲステロンとエストロゲンのアンバランス及びセロトニンの減少などのホルモン問題が、月経前症候群の発生に非常に重要に作用すると報告されている(Biqqs and Demuth,2011;Imai et al., 2015;Schmidt et al., 2017)。
【0004】
プロラクチンは、脳下垂体前葉の酸好性細胞で分泌される乳汁分泌刺激ホルモンであり、エストロゲンによって増加し、視床下部から分泌されるドパミンによって減少すると知られている。正常人にとっては黄体期にプロゲステロンの分泌量がエストロゲンに比べて高いので、プロラクチンの分泌量が安定化するが、月経前症候群を示す女性ではプロゲステロンの分泌量がエストロゲンに比べて低くなってプロラクチンの分泌量を増加させ、このようなプロラクチン分泌の増加が月経前症候群を誘発すると報告されている(Halbreich等、1976)。これに対する根拠として、プロラクチン分泌抑制効能を示すプレフェミン錠(アグヌス・カストゥスの実抽出物)は、代表的な月経前症候群治療剤として販売されており、臨床試験において苛立ち、憂欝感、怒り、頭痛、乳房痛などの症状が約50%程度改善したものと知られている。
【0005】
しかしながら、韓国の伝統薬材料として使用されるチョウセンノギクを用いて月経前症候群を予防、又は治療する方法に関する研究は皆無な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2013-0076114号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10-2010-0044433号公報
【特許文献3】韓国公開特許第10-2013-0092256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者らは、女性月経前症候群に対する予防及び治療の重要性を認知し、様々な天然素材を用いて脳下垂体細胞におけるプロラクチン分泌抑制効能と脳下垂体細胞増殖効能を示す天然資源を選別した。その結果、チョウセンノギク抽出物が脳下垂体細胞においてプロラクチンの分泌を強く抑制したし、麦芽抽出物との混合物、麦芽抽出物及びアロエ抽出物との混合物は、チョウセンノギク単独抽出物に比べてプロラクチン分泌抑制効果がさらに増大した。また、これらの組成物は高プロラクチン血症誘導動物モデルにおいてプロゲステロンの分泌を効果的に調節するので、エストロゲンとプロゲステロンの逆転現象による月経前症候群の予防及び改善、又は治療のための組成物としての商業化可能性が非常に大きい。
【0008】
したがって、本発明の目的は、チョウセンノギク抽出物、チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物との混合物、チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物とアロエ抽出物との混合物を含む、月経前症候群予防、改善又は治療用薬剤組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、チョウセンノギク抽出物、チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物との混合物、チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物とアロエ抽出物との混合物を含む、月経前症候群症状の予防及び改善用健康機能食品組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の目的は以上に言及した目的に制限されない。本発明の目的は、以下の説明からより明確になり、また、特許請求の範囲に記載された手段及びその組合せによって実現されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面は、チョウセンノギク抽出物を有効成分として含む、月経前症候群の改善、予防又は治療用組成物を提供する。
【0012】
本発明の一側面において、前記組成物が麦芽抽出物をさらに含む、組成物を提供する。
【0013】
本発明の一側面において、前記組成物が麦芽抽出物に加えてアロエ抽出物をさらに含む、組成物を提供する。
【0014】
本発明の一側面において、前記抽出物が水抽出物、C1~C5アルコール抽出物又はC1~C5アルコール水溶液抽出物である、組成物を提供する。
【0015】
本発明の一側面において、前記チョウセンノギク抽出物が組成物の全重量を基準に0.001~90重量%である、組成物を提供する。
【0016】
本発明の一側面において、前記麦芽抽出物がチョウセンノギク抽出物100重量部に対して50~150の重量部で含まれる、組成物を提供する。
【0017】
本発明の一側面において、前記麦芽抽出物がチョウセンノギク抽出物100重量部に対して50~150の重量部で含まれ、前記アロエ抽出物がチョウセンノギク抽出物100重量部に対して10~30の重量部で含まれる、組成物を提供する。
【0018】
本発明の一側面において、前記チョウセンノギク抽出物が60%~80%エタノール水溶液抽出物であり、前記麦芽抽出物が40%~60%エタノール水溶液抽出物であり、前記アロエ抽出物が20%~40%エタノール水溶液抽出物である、組成物を提供する。
【0019】
本発明の一側面において、前記組成物は、月経前黄体期の女性においてプロラクチン分泌を抑制するか或いはプロゲステロンの分泌を増加させることを特徴とする。
【0020】
本発明の一側面において、前記月経前症候群の症状は、軽微な精神的障害(minor psychological discomfort)、腹部膨満(bloating)、体重増加(weight gain)、乳房圧痛(breast tenderness)、筋肉痛(muscular tension or aches)、集中力低下(poor concentration)及び食欲変化(change in appetite)のいずれか一つ以上であり、前記月経前症候群の症状は月経周期の黄体期にのみ現れることを特徴とする、組成物を提供する。
【0021】
本発明の一側面において、前記月経前症候群予防又は治療用組成物が薬学組成物である、組成物を提供する。
【0022】
本発明の一側面において、前記月経前症候群改善用組成物が健康機能食品組成物である、組成物を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の組成物中に有効成分として含まれるチョウセンノギク抽出物は、脳下垂体細胞においてプロラクチンの分泌を効果的に抑制し、黄体期にプロゲステロンの分泌量を増加させる。また、上記のチョウセンノギク抽出物を有効成分とし、麦芽抽出物、又は麦芽抽出物及びアロエ抽出物を混合した組成物は、脳下垂体細胞におけるプロラクチン分泌の抑制とプロゲステロンの分泌量をより効果的に調節する。したがって、チョウセンノギク抽出物、又はチョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物との混合物、又はチョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物とアロエ抽出物との混合物は、プロラクチンの分泌抑制及びプロゲステロンの分泌増加が要求される疾患、すなわち、月経前症候群を改善、予防又は治療することができる。
【0024】
本発明の効果は、以上で言及した効果に限定されない。本発明の効果は、以下の説明から推論可能なあらゆる効果を含むと理解されるべきであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】高プロラクチン血症動物モデル(実験例4)において本発明の組成物投与によるプロラクチン分泌抑制効能を示す図である。
図2】高プロラクチン血症動物モデル(実験例4)において本発明の組成物投与によるプロゲステロン分泌増加効能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
別に断りのない限り、本明細書で使われた成分、反応条件、成分の含有量を表現するあらゆる数字、値及び/又は表現は、これらの数字が本質的に異なるものからこのような値を得る上で発生する測定の様々な不確実性が反映された近似値であるので、全ての場合、「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。また、本記載において数値範囲が開示される場合、かかる範囲は連続的であり、別に指摘されない限り、これらの範囲における最小値から最大値が含まれた該最大値まにおけるいずれの値も含む。さらに、このような範囲が整数を指す場合、別に断りのない限り、最小値から最大値が含まれた該最大値までを含むいずれの整数も含まれる。
【0027】
本明細書において、範囲が変数に対して記載される場合、前記変数は、前記範囲の記載された終了点を含む記載された範囲内におけるいずれの値も含むものとして理解されるべきである。例えば、「5~10」の範囲は、5、6、7、8、9、及び10の値だけでなく、6~10、7~10、6~9、7~9などの任意の下位範囲も含み、5.5、6.5、7.5、5.5~8.5及び6.5~9などのような記載された範囲の範ちゅうに妥当な整数の間の任意の値も含むものとして理解すべきであろう。また、例えば、「10%~30%」の範囲は、10%、11%、12%、13%などの値と30%までを含む全ての整数だけでなく、10%~15%、12%~18%、20%~30%などの任意の下位範囲も含み、10.5%、15.5%、25.5%などのように、記載された範囲の範ちゅう内の妥当な整数の間の任意の値も含むものとして理解されるべきであろう。
【0028】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0029】
本発明は、(a)チョウセンノギク抽出物;又は(b)チョウセンノギク抽出物及び麦芽抽出物の混合物;又は(c)チョウセンノギク抽出物、麦芽抽出物及びアロエ抽出物の混合物、を含む月経前症候群予防、改善又は治療用組成物に関する。具体的に、これらの組成物は、月経前症候群に見られる現象である脳下垂体細胞におけるプロラクチンの分泌を効果的に抑制し、女性の黄体期に減少したプロゲステロンの分泌量を増加させることにより、女性月経前症候群の予防及び改善又は治療用組成物として有用に利用可能である。
【0030】
チョウセンノギク(Chrysanthemi Zawadskii Herba)は、ギク科に属する多年生草で、全草を漢方材料として使用し、漢方や民間において肺炎、気管支炎、膀胱疾患、子宮冷症、月経不順、胃腸病、高血圧などに用いられてきた。チョウセンノギクの主要成分としては、フラボノイド(flavonoid)系化合物であるリナリン(linarin)、クマリン(coumarin)系化合物であるヒドロキシクマリン(hydroxycoumarin)、スコポレチン(scopoletin)及びエスクレチン(esculetin)、ポリアセチレン(polyacetylene)系化合物、セスキテルペンラクトン(sesquiterpene lactone)系化合物であるアンゲロイルクマンブリンB(angeloylcumambrin B)、クマンブリンA(cumambrin A)、精油成分であるカマズレン(chamazulene)が報告されており、チョウセンノギク抽出物及びリナリンは、抗炎症作用、解熱作用及び肝保護作用、セスキテルペンラクトンは、抗腫量活性、癌細胞細胞毒性、他感作用、坑菌作用及び殺虫作用、その他に胃腸細胞の保護作用や鎮痛作用、抗酸化などのような様々な薬理活性が報告されている。本素材のチョウセンノギクは、漢方において月経不順に使用される漢方薬であるが、月経不順は一般に、月経がないか或いは不規則的な月経を示す疾患であって、稀少排卵及び無排卵がそれに属する。したがって、必ず月経がなされるべきであり、月経をする前の黄体期に乳房圧痛及び精神的症状などを示す月経前症候群とは明確に区別される疾病である。また、現在まで発表された如何なる文献でも、チョウセンノギク抽出物及びその主要成分がプロラクチン分泌抑制による女性月経前症候群の予防及び改善又は治療に有効であることを明らかにしたことがない。
【0031】
本発明の混合物に含まれる麦芽(Hordei Fructus Germinatus)は、稲科の大麦を発芽させて乾燥後に軽く炒めて作った薬材料で、漢方医学では、脾胃虚弱による消化障害などを治療するために用いられており、特に、乳汁分泌の過多時に民間では麦芽を使用してきた。Wangら(2014)は、麦芽水抽出物がドパミン受容体の活性化を誘導してプロラクチンの分泌を抑制すると報告し、Sommerら(2017)は、麦芽の構成成分であるホルデニン(hordenine)がドパミン受容体の作用剤であると報告した。しかしながら、本発明のための麦芽抽出物は、単独抽出物の使用よりは、チョウセンノギク又はアロエ抽出物との混合物として使用した場合にさらに効果的にプロラクチンの分泌を抑制したので、本発明では組成物の混合物として構成した。
【0032】
アロエは、ユリ科の多年生草で、アロイン(aloin)(バルバロイン(barbaloin))、イソバルバロイン(isobarbaloin)、β-バルバロイン(β-barbaloin)及び樹脂を含有しており、伝統的に、皮膚癌、火傷、湿疹、乾癬などの皮膚疾患に多く使用されてきており、皮膚保湿及び紅斑抑制効果、抗酸化効果、創傷治癒効果、抗便秘効果、坑菌効果、抗骨多孔症効果が報告されている。本発明においてアロエ抽出物は、脳下垂体細胞増殖効果を適用してプロラクチン分泌抑制時に発生し得る副作用を緩和できる素材として選択したが、チョウセンノギク、麦芽、又はチョウセンノギク及び麦芽との混合物として組成時にさらに効果的にプロラクチンの分泌を抑制しており、よって、本発明の組成物として構成した。また、現在まで発表された如何なる文献でも、アロエ抽出物が脳下垂体細胞の増殖効果を示し、プロラクチン分泌抑制による女性月経前症候群予防及び改善又は治療に有効であることを明らかにしたことがない。
【0033】
本発明は、チョウセンノギク抽出物、チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物との混合物、チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物とアロエ抽出物との混合物を含む、月経前症候群予防及び治療用薬剤組成物を提供する。前記混合物は、チョウセンノギクと麦芽、又はチョウセンノギクと麦芽とアロエの混合形態の抽出物であってよく、チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物、又はチョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物とアロエ抽出物との混合物であってもよい。前記チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物は、液状の抽出物又は該液状抽出物の凍結乾燥した粉末形態のものでよく、アロエ抽出物は、液状の抽出物又は該液状抽出物の凍結乾燥した粉末形態のものでよく、アロエの凍結乾燥粉末であってよい。
【0034】
また、本発明は、チョウセンノギク抽出物、チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物との混合物、チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物とアロエ抽出物との混合物、を含む月経前症候群予防及び改善用健康機能食品組成物を提供する。前記混合物は、チョウセンノギクと麦芽、又はチョウセンノギクと麦芽とアロエの混合形態の抽出物であってよく、チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物、又はチョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物とアロエ抽出物との混合物であってよい。また、前記チョウセンノギク抽出物、麦芽抽出物、及びアロエ抽出物は、液状の抽出物又は該液状抽出物の凍結乾燥した粉末形態のものであってよい。
【0035】
以下では本発明の様々な側面を説明する。
【0036】
本発明の一側面は、チョウセンノギク抽出物を有効成分として含む、月経前症候群の改善、予防又は治療用組成物を提供する。
【0037】
本発明の一側面において、前記組成物は、麦芽抽出物をさらに含む、組成物を提供する。一具現例において、組成物全重量に対して前記有効成分は、20~60重量%で含まれてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0038】
本発明の一側面において、前記組成物が麦芽抽出物に加えてアロエ抽出物をさらに含む、組成物を提供する。一具現例において、組成物全重量に対して前記アロエ抽出物の有効成分は、0~30重量%で含まれてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
これらの組成物は、脳下垂体細胞においてプロラクチンの分泌を効果的に抑制し、黄体期にプロゲステロンの分泌量を増加させる。また、これらの組成物は、日常的に摂取及び服用してきた天然物であり、月経前症候群の予防及び改善又は治療に安全に使用可能である。
【0040】
前記チョウセンノギク抽出物は、チョウセンノギクを通常の抽出方法で抽出したものでよく、該抽出物は減圧乾燥及び凍結乾燥の方法を経て粉末形態を有する抽出物であってよい。前記麦芽抽出物は、麦芽を通常の抽出方法で抽出したものでよく、該抽出物は減圧乾燥及び凍結乾燥の方法を経て粉末形態を有する抽出物であってよい。また、上記のアロエ抽出物は、通常の抽出方法で抽出したものでよく、該抽出物は減圧乾燥及び凍結乾燥の方法を経て粉末形態を有する抽出物であってよく、アロエの皮を剥がして直ちに凍結乾燥させた凍結乾燥粉末であってもよい。
【0041】
前記混合物に含まれるチョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物は、20~60重量%の比率で含まれてよく、アロエ抽出物は0~30重量%の比率で含まれてよい。
【0042】
本発明の一側面において、前記抽出物は、水抽出物、C1~C5アルコール抽出物又はC1~C5アルコール水溶液抽出物である、組成物を提供する。
【0043】
本発明の前記一組成を有する月経前症候群予防及び改善又は治療用組成物は、通常の方法によって、チョウセンノギクと麦芽、アロエをそれぞれ又は共に水、アルコール、酒精又はそれらの混合物である抽出溶媒を用いて抽出することによってその抽出液を得、使用することができ、必要によって、前記抽出過程は反復してなされてもよく、2~5回反復抽出した抽出物が使用されてよい。また、前記抽出物を凍結乾燥させて得た粉末状の乾燥抽出物を製造し、前記月経前症候群予防及び改善又は治療用組成物に使用することができる。
【0044】
前記抽出溶媒中のアルコールの含有量は、アルコール0~95重量%の濃度、好ましくは30~70重量%、より好ましくは、チョウセンノギクは70重量%、麦芽は50重量%、アロエは30重量%の濃度範囲を維持することが、抽出の効率性面において良い。このようなアルコールは、当分野で一般に使用される如何なるものも適用可能であり、好ましくは、炭素数1~5のアルコールであってよく、該アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール及びブタノールから選ばれるいずれか1種以上が適用されてよい。より好ましくは、前記アルコールとしてはエタノール、酒精などを使用することができる。
【0045】
前記抽出方法は、当業界に通常知られた方法であり、例えば、超臨界抽出、亜臨界抽出、高温抽出、高圧抽出又は超音波抽出法などの抽出装置を用いた方法、又はXAD及びHP-20を含む吸着樹脂を利用する方法などを用いることができる。
【0046】
また、抽出液は、真空回転蒸発器などを用いて減圧濃縮してエキスを得る。また、得られたエキスは、必要によって、減圧乾燥、真空乾燥、沸騰乾燥、噴霧乾燥、常温乾燥又は凍結乾燥などを実施してもよい。特に、凍結乾燥の方法を適用すると、抽出物中の揮発性有機物質の損失を減らすことができる、という長所がある。
【0047】
上記の方法によって得られるチョウセンノギク抽出物は、脳下垂体細胞においてプロラクチンの分泌を効果的に抑制し、黄体期にプロゲステロンの分泌量を増加させる。また、上記の方法によって得られる、チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物、又はチョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物とアロエ抽出物を混合した組成物は、脳下垂体細胞におけるプロラクチンの分泌抑制とプロゲステロンの分泌量をより効果的に調節する。
【0048】
本発明の一側面において、前記チョウセンノギク抽出物が組成物の全重量を基準に0.001~90重量%である、組成物を提供する。
【0049】
本発明の一側面において、前記麦芽抽出物がチョウセンノギク抽出物100重量部に対して50~150の重量部で含まれる、組成物を提供する。
【0050】
本発明の一側面において、前記麦芽抽出物がチョウセンノギク抽出物100重量部に対して50~150の重量部で含まれ、前記アロエ抽出物がチョウセンノギク抽出物100重量部に対して10~30の重量部で含まれる、組成物を提供する。
【0051】
上記のような重量比を満たしてチョウセンノギク抽出物、麦芽抽出物及びアロエ抽出物を含む組成物を構成する場合は、それぞれを使用する場合に比べて顕著に優れた月経前症候群予防及び治療効果を得ることができる。
【0052】
本発明の一側面において、前記チョウセンノギク抽出物が60%~80%エタノール水溶液抽出物であり、前記麦芽抽出物が40%~60%エタノール水溶液抽出物であり、前記アロエ抽出物が20%~40%エタノール水溶液抽出物である、組成物を提供する。
【0053】
上記のような含有量を満たしてチョウセンノギク抽出物、麦芽抽出物及びアロエ抽出物を含む組成物を構成する場合は、それぞれを使用する場合に比べて顕著に優れた月経前症候群予防及び治療効果を得ることができる。
【0054】
本発明の一側面において、前記組成物は、月経前黄体期の女性においてプロラクチン分泌を抑制するか或いはプロゲステロンの分泌を増加させることを特徴とする。
【0055】
本発明の一側面において、前記月経前症候群の症状は、軽微な精神的障害(minor psychological discomfort)、腹部膨満(bloating)、体重増加(weight gain)、乳房圧痛(breast tenderness)、筋肉痛(muscular tension or aches)、集中力低下(poor concentration)及び食欲変化(change in appetite)のいずれか一つ以上であり、前記月経前症候群の症状は、月経周期の黄体期にのみ現れることを特徴とする。
【0056】
本発明の一側面において、前記月経前症候群予防又は治療用組成物が薬学組成物である、組成物を提供する。
【0057】
前記薬剤組成物を臨床的に利用するときは、薬学的分野における通常の担体と共に配合して薬学的分野における通常の製剤、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、丸剤、液剤及び懸濁剤などの経口投与用製剤;注射用溶液又は懸濁液、又は注射に当たって注射用蒸留水で製造して使用できる即時使用型注射用乾燥粉末などの形態である注射用製剤;又は軟膏剤などの様々な製剤に剤形化できる。通常の担体を用いて製造された薬学的製剤は、経口的に投与したり、或いは、非経口的に、例えば、静脈内、皮下、腹腔内又は局所適用できる。したがって、本発明の薬剤組成物は、薬剤の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる。
【0058】
本発明の薬剤組成物に含み得る担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、微結晶セルロース、ケイ素化微結晶セルロース、ポビドン、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、ノイシリン、コロイドシリコンジオキシド、乳糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム、コロイドステアリルマグネシウム、及び鉱物油などから選ばれる1種以上が用いられてよい。
【0059】
製剤化する場合には、一般に使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を用いて調製する。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、トローチ剤、ロゼンジ、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、本発明の組成物に少なくとも一つの賦形剤、例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アミロペクチン、セルロース、炭酸カルシウム、ゼラチンなどを混ぜて調製する。また、単純な賦形剤の他、ステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤も使用される。経口投与のための液状製剤には、懸濁剤、耐溶液剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤などが該当するが、一般に使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤なども含まれてよい。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどを用いることができる。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロールゼラチンなどを用いることができる。非経口投与は、一般に、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射又は胸部内注入方式を用いることができる。
【0060】
本発明の薬剤組成物の好ましい投与量は、患者の年齢、体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路及び期間によって異なるが、当業者にとって適度に選択できる。ただし、好ましい効果のために、本発明の薬剤組成物は、1日に0.01mg/kg~10g/kgで、好ましくは1mg/kg~1g/kgで投与することができる。投与は、医師又は薬剤師の判断によって一定の時間間隔で1日数回、好ましくは1回~6回に分割投与できる。
【0061】
本発明の一側面において、前記月経前症候群改善用組成物は健康機能食品組成物である、組成物を提供する。
【0062】
本発明に係る健康機能食品組成物は、チョウセンノギク抽出物、又はチョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物との混合物、又はチョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物とアロエ抽出物との混合物を有効成分として含み、月経前状態を改善させる目的で摂取できる。前記有効成分は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、丸剤、液剤、懸濁剤などとして製造した食品で摂取してもよく、或いは一般食品に添加して摂取してもよい。前記健康機能食品は、一般薬品とは違い、食品を原料とするので、薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという長所がある。有効成分の含有量は、その使用目的(予防又は改善用)によって適切に決定することができる。一般に、健康機能食品組成物中に有効成分を0.1~90重量%含むことができる。しかし、健康及び衛生を目的としたり又は健康調節を目的とする長期間の摂取では、前記量は、前記範囲の以下であってもよく、安全性面で何ら問題もないので、有効成分は前記範囲以上の量であってもよい。
【0063】
前記食品の種類には特に制限がない。前記有効成分を添加できる食品の例には、ドリンク剤、肉類、ソーセージ、パン、ビスケット、モチ、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、アルコール飲料及びビタミン複合剤、乳製品及び乳加工製品などがあり、通常の意味を有するあらゆる健康機能食品を含む。前記食品の性状も特に制限されず、固体状、半固体状、ゲル状、液体状、粉末状などのいずれであってもよい。
【0064】
本発明の健康機能食品組成物を用いて飲料として製造することができる。飲料に含まれる成分として、有効成分以外の他の成分の選択に特に制限はなく、通常の飲料と同様に、様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含むことができる。前記天然炭水化物の例は、モノサッカライド、例えば、ブドウ糖、果糖など;ジサッカライド、例えば、マルトース、スクロースなど;及びポリサッカライド、例えば、デキストリン、シクロデキストリンなどのような通常の糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールである。上述した以外の香味剤として、天然香味剤(タウマチン)、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA、グリチルリチンなど)及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に使用することができる。前記天然炭水化物の比率は、一般に、本発明の組成物100ml当たりに約1~20g、好ましくは約5~12gである。
【0065】
また、本発明の健康機能食品組成物は、有効成分の他にも、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び充填剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを添加剤として含有できる。その他にも、天然果物ジュース及び果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有できる。このような成分は、独立して又は組み合わせて使用することができる。このような添加剤の比率は、特に重要ではないが、本発明の健康機能食品組成物中に0.1~20重量%の範囲で含まれるのが一般的である。
【0066】
以下、具体的な実施例を用いて本発明をより具体的に説明する。下記の実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0067】
[実施例及び比較例]
【0068】
製造例1:チョウセンノギク抽出物の製造
【0069】
チョウセンノギクはキョドン市場から購入し、陰干しして全草を粉砕し、粉砕したチョウセンノギク1kgを70%酒精で80℃で5時間抽出後に濃縮及び凍結乾燥させ、チョウセンノギク抽出物117.4g(収率11.7%)を得た。
【0070】
比較例1~4
【0071】
比較例として、前記チョウセンノギクの熱水抽出物(比較例1)、30%(比較例2)、50%(比較例3)及び95%(比較例4)の酒精抽出物が使用された。
【0072】
製造例2:麦芽抽出物の製造
【0073】
麦芽はキョンドン市場から購入し、陰干しして粉砕し、粉砕した麦芽1kgを50%酒精で80℃で5時間抽出後に濃縮及び凍結乾燥させ、麦芽抽出物91.5g(収率9.1%)を得た。
【0074】
比較例5~8
【0075】
比較例として、前記麦芽の熱水抽出物(比較例5)、30%(比較例6)、70%(比較例7)及び95%(比較例8)の酒精抽出物が使用された。
【0076】
製造例3:アロエ抽出物の製造
【0077】
アロエはチェジュサムダアロエ農場から購入し、陰干しして細切りし、細切りしたアロエ1kgを30%酒精で80℃で5時間抽出後に濃縮及び凍結乾燥させ、アロエ抽出物11.0g(収率1.1%)を得た。
【0078】
比較例9~12
【0079】
比較例として前記アロエの熱水抽出物(比較例9)、50%(比較例10)、70%(比較例11)及び95%(比較例12)の酒精抽出物が使用された。
【0080】
製造例4:混合物の製造
【0081】
前記製造例1、2、3で製造された抽出物を、下記表1のような比率で製造した。
【0082】
[表1]
【0083】
[実験例]
【0084】
実験例1:脳下垂体細胞増殖効果測定
【0085】
前記製造例3で得られたアロエ抽出物及び各比較例に対して脳下垂体細胞の保護効果を検証するために脳下垂体細胞の増殖効果を測定した。
【0086】
ラットの脳下垂体細胞GH3はATCC(American Type CultureCollection)から購入し、DMEM培養培地、トリプシン、FBS(Fetal bovine serum)は、ギブコ(GibcoTM,Invitrogen corporation)から購入した。
【0087】
GH3脳下垂体細胞は、10%血清及び抗生剤が含まれたDMEM培地を使用し、5体積%の二酸化炭素の供給と37℃が維持される培養器で培養した。5×103cells/wellの濃度でGH3細胞を96ウェルプレート(well plate)に分注し、24時間培養した。アロエ抽出物の脳下垂体細胞増殖効果を測定するために10%炭素処理(charcoaled)FBSが含まれているDMEM培地に交換した後、アロエ抽出物をそれぞれ25、50、100μg/mLで処理した。48時間後、GH3細胞の生長率を、MTT試薬を用いて吸光度550nmで測定し、対照群を基準に各試験液の吸光度を測定して細胞増殖率(%)を示した。
【0088】
アロエ抽出物のGH3脳下垂体細胞増殖率は、表2に示す。
【0089】
[表2]
【0090】
前記表2に示したように、アロエは、30%酒精抽出物において最も優れた脳下垂体細胞増殖効能を示しており、対照群に比して約136%の増殖率を示した。
【0091】
実験例2:プロラクチン分泌抑制効能測定
【0092】
前記製造例1及び2で得られたチョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物及びそれぞれの比較例(比較例1~8)、それぞれの混合物に対してプロラクチン分泌抑制効能を脳下垂体細胞を用いて測定した。
【0093】
試験細胞、培地、培地組成、及び実験条件は、前記実験例1と同一であり、測定用プロラクチンELISAキットは、Mol-innovationから購入して使用した。
【0094】
4×104cells/wellの濃度でGH3脳下垂体細胞を24ウェルプレート(well plate)に分注し、24時間培養した。プロラクチン分泌抑制効能の評価のために、それぞれのチョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物を25、50、100μg/mLで処理し、48時間培養後に、ラットプロラクチンELISAキットを用いてプロラクチン分泌量を標準曲線に代入して測定した。
【0095】
チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物のプロラクチン分泌抑制効能は、表3に示す。
【0096】
[表3]
【0097】
前記表3に示したように、チョウセンノギクは、70%酒精抽出物において最も優れたプロラクチン分泌抑制効能によって対照群に比して約73.3%の抑制率を示し、麦芽は、50%と70%酒精で抽出された抽出物において100μg/mL濃度処理時に類似の効能を示したが、50μg/mL濃度処理時に50%酒精で抽出された抽出物においてより優れた効能を示し、本発明では混合構成物としてチョウセンノギク70%酒精抽出物と麦芽50%酒精抽出物を使用するものとした。
【0098】
実験例3
【0099】
また、本発明の抽出物混合物の最適混合比率の設定のために、前記実験例2と同じ方法で前記表1の製造例4の混合比率を適用し、100μg/mLの単一濃度でプロラクチンの分泌抑制効能を測定した、その結果を下記表4に示す。
【0100】
[表4]
【0101】
前記表4に示したように、製造例1のチョウセンノギク70%酒精抽出物と製造例2の麦芽50%酒精抽出物では非常に優れたプロラクチン分泌抑制効能を示したが、製造例3のアロエ30%酒精抽出物ではその効能が見られなかった。また、製造例1と2の混合物において、製造例1と2の単独抽出物に比べてより優れたプロラクチン分泌抑制効能を示し、製造例1と2と3の2:2:0.5比率の混合物は、最も優れたプロラクチン分泌抑制効能を示した。したがって、本発明は、(a)チョウセンノギク抽出物;又は(b)チョウセンノギク抽出物及び麦芽抽出物の混合物;又は(c)チョウセンノギク抽出物、麦芽抽出物及びアロエ抽出物の混合物を含む、脳下垂体細胞におけるプロラクチン分泌抑制効能の月経前症候群予防及び改善又は治療用組成物を提供することができる。
【0102】
実験例4.高プロラクチン血症誘導動物モデルにおける月経前症候群効能評価
【0103】
メトクロプラミド(Metoclopramide)は嘔吐抑制剤として用いられる物質であり、ドーパミン分泌抑制によってプロラクチンの分泌を増加させ、これによってプロゲステロン、黄体形成ホルモン及び濾胞刺激ホルモンの分泌量を抑制させる薬物として知られている(Wang等、2014)。そこで、本発明では、雌ラットの腹腔に5日間メトクロプラミドを50mg/kgで投与した後、高プロラクチン血症を誘導してホルモン分泌障害による月経前症候群動物モデルを確立した。
【0104】
ラット(雌)はラオンバイオから入手し、一般の固形飼料と水を自由に供給しながら1週間馴化させた。動物室の環境条件は、温度23±3℃、相対湿度50±10%、照明時間12時間(午前8時~午後8時)、換気回数10~20回/時間、照度150~300Luxに設定した。実験期間において動物室の温度及び湿度は恒温湿気によって自動で調節した。
【0105】
実験動物群は、1)正常群、2)高プロラクチン血症誘導対照群、3)製造例1投与群、4)製造例2投与群、5)製造例3投与群、6)製造例1と2の1:1混合物投与群、7)製造例1と2と3の2:2:0.5混合物投与群(製造例4~12)であり、1~2群は食塩水を投与し、3~7の試験物質投与群は、いずれも100mg/kg濃度で30日間経口投与した。実験終了後に血液を採取し、血清を分離した後、血清中のプロラクチンとプロゲステロンの分泌量をELISAキットを用いて測定した。その結果は、図1と2に図式化している。
【0106】
図1によれば、血清内プロラクチンは、メトクロプラミドによって増加し、製造例3のアロエ30%酒精抽出物を除く全ての群において抑制する様相を示した。また、製造例1のチョウセンノギク70%酒精抽出物は、製造例2の麦芽50%酒精抽出物に比べてより優れたプロラクチン分泌抑制効果を示し、製造例1と2の混合物、製造例1と2と3の混合物では、次第にプロラクチンの分泌を減少させた。
【0107】
図2によれば、血清中のプロゲステロンは、メトクロプラミドによって約1/5レベルに減少し、全ての投与群において増加する様相を示した。特に、製造例1のチョウセンノギク70%酒精抽出物は、製造例2の麦芽50%酒精抽出物に比べてより優れたプロゲステロン分泌増加効果を示しており、製造例1と2の混合物、製造例1と2と3の混合物は、チョウセンノギク又は麦芽又はアロエ単独抽出物に比べてより増加したプロゲステロンの濃度を示した。
【0108】
このような点から、本発明の(a)チョウセンノギク抽出物;又は(b)チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物との混合物;又は(c)チョウセンノギク抽出物と麦芽抽出物とアロエ抽出物との混合物は、脳下垂体細胞におけるプロラクチンの分泌を抑制させることにより、月経前症候群に見られる減少したプロゲステロンの分泌量を増加させ、このような機能により、月経前症候群の予防及び改善又は治療剤として有効であることが分かる。
【0109】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更しないで他の具体的な形態にも実施され得るということが理解できよう。したがって、以上に述べた実施例は、いずれの面においても例示的であり、限定的でないものとして理解しなければならない。
図1
図2
【国際調査報告】