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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】融合タンパク質およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20221027BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20221027BHJP
   C07K 14/21 20060101ALI20221027BHJP
   C07K 14/195 20060101ALI20221027BHJP
   C07K 14/01 20060101ALI20221027BHJP
   C07K 14/08 20060101ALI20221027BHJP
   C07K 14/03 20060101ALI20221027BHJP
   C07K 14/045 20060101ALI20221027BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221027BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20221027BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221027BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221027BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20221027BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20221027BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 31/42 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 31/7056 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20221027BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 36/07 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C07K14/21
C07K14/195
C07K14/01
C07K14/08
C07K14/03
C07K14/045
C12N15/63 Z
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61K38/17
A61K45/00
A61P31/12
A61P11/00
A61P1/16
A61P1/18
A61P25/00
A61P1/04
A61P37/06
A61P31/22
A61P31/20
A61P31/14
A61K31/7088
A61P7/00
A61K35/76
A61K35/12
A61K31/522
A61K31/42
A61K31/517
A61K31/7056
A61K31/675
A61K35/17
A61P43/00 105
A61K48/00
A61K36/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514012
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2020074531
(87)【国際公開番号】W WO2021043863
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】19195122.7
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522079001
【氏名又は名称】シンクリノ エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンキルド,メッテ,マリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェプセン,マッツ,グラヴァース
(72)【発明者】
【氏名】クレダル,トーマス,エヌ.
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C086
4C087
4C088
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG20
4B064AG30
4B064AG31
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA13
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA41
4C084CA18
4C084DA45
4C084MA56
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA51
4C084ZA59
4C084ZA66
4C084ZA68
4C084ZA75
4C084ZB08
4C084ZB33
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC45
4C086BC67
4C086CB07
4C086DA38
4C086EA11
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA56
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA75
4C086ZB08
4C086ZB33
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB21
4C087BB33
4C087BB37
4C087BB63
4C087BB65
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA56
4C087MA65
4C087MA66
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA51
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZA68
4C087ZA75
4C087ZB08
4C087ZB33
4C087ZC75
4C088AA02
4C088AD17
4C088BA05
4C088MA56
4C088MA65
4C088MA66
4C088NA13
4C088NA14
4C088ZA02
4C088ZA51
4C088ZA59
4C088ZA66
4C088ZA68
4C088ZA75
4C088ZB08
4C088ZB33
4C088ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA01
4H045CA03
4H045DA83
4H045DA86
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
第1および第2のペプチドを含む融合タンパク質が提供される。第1のペプチドにより、融合タンパク質は細胞上に発現された受容体に結合することができ、第2のペプチドは切断部位を有し、これにより、融合タンパク質は前記細胞を死滅させることができる。よって、融合タンパク質は病原体により引き起こされる感染の防止または治療に有用である。融合タンパク質をコードする核酸ならびに融合タンパク質を製造および使用する方法もまた、提供される。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)細胞上に発現された少なくとも1つの受容体に結合する第1のペプチド;および
b)アミノ酸配列ArgX1X2Argを有する切断部位を含む第2のペプチド
を含み、
X2はArgまたはLysであり、前記第2のペプチドは毒素を含む、融合タンパク質。
【請求項2】
X1はGln、Ser、ThrまたはAsnである、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
X1はGlnである、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記融合タンパク質は免疫毒素である、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項5】
前記切断部位はアミノ酸配列ArgGlnArgArgを含み、またはこれから構成される、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項6】
前記第1のペプチドは細胞上に発現された少なくとも2つの異なる受容体に結合する、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項7】
前記第1のペプチドに結合する1つの受容体は病原体によりコードされる受容体であり、前記第1のペプチドに結合するさらなる受容体は前記第1のペプチドまたはそのバリアントのためのヒトコード受容体および/または内在性受容体である、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項8】
前記受容体はGタンパク質共役受容体(GPCR)、例えばSEQ ID NO:10のUS28である、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項9】
前記第2のペプチドは、シュードモナス外毒素A、ゲロニン、ボウガニン(bouganin)、サポリン、リシン、リシンA鎖、ブリオジン(bryodin)、レストリクトシン、ジフテリア毒素(diphteria toxin)、ジフテリア毒素(diphteria toxin)A鎖ならびにそのバリアントおよび断片からなる群より選択される毒素を含む、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項10】
前記受容体はケモカイン受容体である、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項11】
前記ケモカイン受容体はCCケモカイン受容体および/またはCX3Cケモカイン受容体である、請求項10に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
前記CCケモカイン受容体はUS28である、請求項11に記載の融合タンパク質。
【請求項13】
前記CX3Cケモカイン受容体はCX3CR1である、請求項11に記載の融合タンパク質。
【請求項14】
前記受容体は病原体によりコードされる、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項15】
前記病原体は細菌である、請求項14に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
前記病原体はウイルスである、請求項14に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
前記ウイルスはDNAウイルスである、請求項16に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
前記ウイルスはRNAウイルスである、請求項16に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
前記ウイルスはヘルペスウイルスである、請求項16に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
前記ウイルスはサイトメガロウイルスである、請求項16に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
前記受容体はインターナライズすることができる、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項22】
前記受容体は前記第1のペプチドに結合するとインターナライズされる、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項23】
前記受容体は構成的にインターナライズされる、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項24】
前記切断部位は酵素切断部位である、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項25】
前記酵素切断部位はフューリン切断部位である、請求項24に記載の融合タンパク質。
【請求項26】
前記第1のペプチドは標的化部分である、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項27】
前記第1および第2のペプチドは作動可能に連結されている、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項28】
前記第1のペプチドは、
a.SEQ ID NO:1のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:1に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成される、SEQ ID NO:1のバリアント;
c.50を超えるアミノ酸の長さ、例えば60、70、または75を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:1の断片、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:1に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント
を含み、またはこれから構成される、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項29】
49位のSEQ ID NO:1のアミノ酸残基は、Ala、LysまたはAsp、好ましくはAlaに変異される、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項30】
前記第1のペプチドはN末端でメチオニン(M)をさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項31】
前記第1のペプチドは、SEQ ID NO:1のNおよび/またはC末端で、および/または、アミノ酸配列内部に挿入された1つ以上の追加のアミノ酸を含み、またはこれから構成される、前記請求項のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項32】
1以上のアミノ酸はSEQ ID NO:1のNおよび/またはC末端で、および/または、アミノ酸配列内部で欠失される、前記請求項のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項33】
前記第1のペプチドは100未満のアミノ酸の長さ、例えば90、85、または80未満のアミノ酸の長さを有する、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項34】
前記第2のペプチドはドメインA、例えばSEQ ID NO:3またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインA、および/またはドメインB、例えばSEQ ID NO:4またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインB、および/またはドメインC、例えばSEQ ID NO:5またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインCを含む、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項35】
前記第2のペプチドは、
a.SEQ ID NO:3のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:3のバリアント;
c.80を超えるアミノ酸の長さ、例えば90、100、または110を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:3の断片、または、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント
を含む、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項36】
前記第2のペプチドは、
a.SEQ ID NO:4のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:4のバリアント;
c.6を超えるアミノ酸の長さ、例えば8、10、または12を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:3の断片、または、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント
を含む、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項37】
前記第2のペプチドは、
a.SEQ ID NO:5のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:5のバリアント;
c.180を超えるアミノ酸の長さ、例えば190、200、または210を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:3の断片、または、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント
を含む、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項38】
前記ドメインAはトランスロケーションドメインであり、前記ドメインCは細胞傷害性ドメイン、例えばADP-リボシル化ドメインである、請求項34に記載の融合タンパク質。
【請求項39】
前記第2のペプチドは、C末端においてSEQ ID NO:8のアミノ酸配列KDELを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項40】
前記第2のペプチドは、
a.SEQ ID NO:2のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:2に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:2に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:2のバリアント;
c.300を超えるアミノ酸の長さ、例えば310、330、または340を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:2の断片、または、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:2に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:2に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント
を含み、またはこれから構成される、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項41】
前記第2のペプチドは、400未満のアミノ酸の長さ、例えば380、370、360、350または345未満のアミノ酸の長さを有する、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項42】
前記融合タンパク質は、
a.SEQ ID NO:6のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:6のバリアント;
c.360を超えるアミノ酸の長さ、例えば380、400、または420を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:6の断片、または、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント
を含み、またはこれから構成される、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項43】
前記融合タンパク質は、500未満のアミノ酸の長さ、例えば490、480、470、460、450、440、430、425未満のアミノ酸の長さを有する、前記請求項のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項44】
前記融合タンパク質は、病原体に感染した細胞、例えば病原体に潜伏感染した細胞を死滅させる、前記請求項のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項45】
前記病原体はウイルス、例えばDNAウイルス、例えばヘルペスウイルス、例えばサイトメガロウイルス、またはRNAウイルスである、請求項44に記載の融合タンパク質。
【請求項46】
前記融合タンパク質は前記受容体を発現する細胞の細胞死を誘導する、前記請求項のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項47】
前記細胞死は、アポトーシス、壊死、オートファジー性細胞死および有糸分裂関連細胞死からなる群より選択される、請求項46に記載の融合タンパク質。
【請求項48】
前記融合タンパク質は病原体に対して直接的または間接的効果を誘導し、病原体増殖、複製、ゲノム安定性、成熟、パッケージング、潜伏、再活性化、播種および/または免疫抑制の阻止という結果になる、前記請求項のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項49】
前記融合タンパク質はUS28を発現する細胞を死滅させる、前記請求項のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項50】
前記融合タンパク質は、ウイルスによりコードされる受容体、例えばUS28に対して、10nM未満、例えば5nM未満、例えば1nM未満、例えば0.5nM未満、例えば0.1nM未満または0.001nM未満のIC50値を有する、前記請求項のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項51】
前記融合タンパク質は、ウイルスによりコードされる受容体、例えばUS28を発現する細胞に対して、内在性受容体またはヒトコード受容体、例えばCX3CR1を発現する細胞に対する効力と比べて、増加した効力、例えば少なくとも300倍増加した効力、例えば少なくとも400倍増加した効力、例えば少なくとも500倍増加した効力、例えば少なくとも700倍増加した効力を有する、前記請求項のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項52】
前記融合タンパク質は、ウイルスによりコードされる受容体、例えばUS28に対して、内在性受容体またはヒトコード受容体、例えばCX3CR1に対する親和性と比べて、増加した親和性、例えば少なくとも50倍増加した親和性、例えば少なくとも100倍増加した親和性を有する、前記請求項のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項53】
請求項1~52のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードする単離された核酸分子。
【請求項54】
請求項53に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項55】
前記ベクターは発現ベクターである、請求項54に記載のベクター。
【請求項56】
請求項53に記載の核酸分子または請求項54~55に記載のベクターを含む、組換え宿主細胞。
【請求項57】
前記宿主細胞は細菌細胞、酵母細胞、哺乳類細胞、例えばヒト細胞または昆虫細胞である、請求項56に記載の組換え宿主細胞。
【請求項58】
請求項1~52に記載の融合タンパク質、請求項53に記載の核酸、請求項54~55に記載のベクターまたは請求項56~57に記載の組換え宿主細胞ならびに薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項59】
1つ以上のさらなる薬剤をさらに含む、請求項58に記載の医薬組成物。
【請求項60】
前記薬剤は、免疫抑制剤、抗ウイルス薬および免疫療法からなる群より選択される、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記抗ウイルス薬は、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、レフルノミド、プレバイミス、マリバビルおよびブリンシドホビルからなる群より選択される、請求項60に記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記免疫療法はT細胞治療である、請求項60に記載の医薬組成物。
【請求項63】
医薬品として使用するための、請求項1~52に記載の融合タンパク質、請求項53に記載の核酸、請求項54~55に記載のベクター、請求項56~57に記載の組換え宿主細胞または請求項58~62に記載の医薬組成物。
【請求項64】
病原体により引き起こされる感染および/または病原体関連障害の防止または治療において使用するための、請求項1~52に記載の融合タンパク質、請求項53に記載の核酸、請求項54~55に記載のベクター、請求項56~57に記載の組換え宿主細胞または請求項58~62に記載の医薬組成物。
【請求項65】
前記病原体は細菌またはウイルスである、請求項64に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項66】
前記ウイルスはDNAウイルス、例えばヘルペスウイルス、例えばサイトメガロウイルス、またはRNAウイルスである、請求項65に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項67】
CMV感染および/またはCMV関連障害の防止または治療において使用するための、請求項1~52に記載の融合タンパク質、請求項53に記載の核酸、請求項54~55に記載のベクター、請求項56~57に記載の組換え宿主細胞または請求項58~62に記載の医薬組成物。
【請求項68】
前記CMV感染は潜伏および/または溶解CMV感染である、請求項67に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項69】
前記CMV感染は、
i)網膜、角膜、心臓、肝臓、腎臓、肺、胃腸組織、胸腺、脾臓、皮膚および筋肉からなる群の1つ以上より選択される組織、および/または
ii)唾液、血液、尿、精液および母乳からなる群の1つ以上より選択される体液
において検出され得る、請求項67~68に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項70】
前記CMV感染は、HIV-患者、新生児および免疫抑制患者、骨髄移植患者、固形臓器移植患者、免疫療法患者、癌患者、集中治療患者、外傷患者、幹細胞患者、遺伝子治療患者、細胞治療患者、高齢患者および多疾病罹患患者からなる群より選択される免疫不全患者における感染である、請求項67~69のいずれか一項に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項71】
前記CMV感染は、冠疾患および/または血管疾患を患う患者における感染である、請求項67~70のいずれか一項に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項72】
前記融合タンパク質、前記核酸、前記ベクター、前記宿主細胞または前記組成物は静脈内、腫瘍内、腹腔内、くも膜下腔内および/またはリンパ内投与される、請求項63~68のいずれか一項に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項73】
前記融合タンパク質、前記核酸、前記ベクター、前記宿主細胞または前記組成物は1回以上前記個体に投与される、請求項63~72のいずれか一項に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項74】
前記個体はヒトである、請求項73に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項75】
前記ヒトは免疫不全患者である、請求項74に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項76】
前記ヒトは子供である、請求項74~75のいずれか一項に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項77】
前記ヒトは成人である、請求項74~75のいずれか一項に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項78】
前記ヒトは固形臓器移植および/または造血幹細胞移植が必要である、請求項74~77のいずれか一項に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項79】
前記CMV関連障害は、サイトメガロウイルス間質性肺炎、サイトメガロウイルス肝炎、サイトメガロウイルス膵炎、サイトメガロウイルス単核球症、CMV多脊髄神経根症(polyradiculomyelopathy)、巨細胞封入体病、サイトメガロウイルス大腸炎、サイトメガロウイルス食道炎、サイトメガロウイルス網膜炎、ギラン・バレー症候群、粘表皮がんおよび潰瘍性大腸炎、移植片対宿主病(GVHD)、固形臓器移植移植片対宿主病(SOT-GVHD)からなる群より選択される、請求項64~78のいずれか一項に記載の使用のための融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物。
【請求項80】
その必要のある個体において、病原体により引き起こされる感染、例えばCMV感染を治療または防止する方法であって、治療的有効量の、前記請求項のいずれか一項に記載の融合タンパク質、核酸、ベクター、組換え宿主細胞または医薬組成物を前記個体に投与することを含む、方法。
【請求項81】
移植のための固形臓器および/または移植のための造血幹細胞の処置のための、前記請求項のいずれか一項に記載の融合タンパク質または医薬組成物のエクスビボ使用。
【請求項82】
病原体により引き起こされる感染および/または病原体関連障害の防止または治療のため、例えば、CMV感染および/またはCMV関連障害の防止または治療のための医薬品の製造において使用するための、請求項1~52に記載の融合タンパク質、請求項53に記載の核酸、請求項54~55に記載のベクター、請求項56~57に記載の宿主細胞または請求項58~62に記載の医薬組成物。
【請求項83】
請求項56~57のいずれかで規定される宿主細胞を前記コード融合タンパク質の発現を可能にする条件下で培養することを含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の融合タンパク質を生成するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1および第2のペプチドを含む融合タンパク質に関する。第1のペプチドにより、融合タンパク質は細胞上に発現された受容体に結合することができ、次いで、インターナライズすることができ、第2のペプチドは、最適化された選択的特性を有する切断部位を有し、よって、最適化された、または選択的切断部位と呼ばれる可能性があり、これにより、融合タンパク質は前記細胞を死滅させることができる。よって、融合タンパク質はウイルスなどの病原体により引き起こされる感染の防止または治療に有用であり、CMVはそのようなウイルスの一例である。融合タンパク質をコードする核酸ならびに融合タンパク質を製造および使用する方法もまた、提供される。
【背景技術】
【0002】
免疫毒素は毒素に結合される標的化部分を有するタンパク質である。免疫毒素は融合タンパク質の一例である。免疫毒素は、ある範囲の病原体により引き起こされる感染の治療のために使用することができる。例えば、抗体に結合された毒素は、大した成果もなかったが、CMV-感染細胞を標的にするために以前は使用されていた。
【0003】
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)は種特異的ヘルペスウイルスであり、特に、免疫不全個体、新生児および移植を受けた患者においては重要な病原体である。
【0004】
現在のところ、HCMV感染の臨床治療のために使用される薬物の全てはかなりの有害な副作用と関連する。その上、薬物耐性の出現によりしばしば、治療の失敗という結果になる。
【0005】
既存の免疫毒素を用いた薬理学的課題および不十分な細胞-標的化選択性に加えて、治療の失敗の別の原因はしばしば、感染細胞の不十分な死滅につながる不十分なインターナリゼーションである。
【0006】
これらの制限は、HCMVなどの病原体に誘発される感染のための新規薬物治療を開発する価値を支持する。
【0007】
WO08/003327号は、CMV感染と関連する疾患の治療において有用な免疫毒素を開示する。その中で開示される免疫毒素は、ヒトCX3CL1のケモカインドメインのバリアントおよび毒素を含む。
【発明の概要】
【0008】
本発明は特許請求の範囲において規定される通りである。
【0009】
本明細書では、標的選択性を提供する第1のペプチド、ならびに、毒素を提供し、さらに、切断部位による毒素の内部切断および結果として標的細胞におけるエフェクター毒性を提供する第2のペプチドを含む融合タンパク質が提供される。本明細書で提供される融合タンパク質は、病原体に誘発される感染の治療、例えば、潜伏感染の治療に有用である。
【0010】
本発明者らは、潜伏感染した細胞を含むCMV感染細胞などの感染細胞を効果的に標的にし、死滅させる融合タンパク質を作製している。この融合タンパク質は、少なくとも1つの受容体(これは、ウイルスにコードされた受容体、例えばUS28であり得る)に結合することができる第1のペプチド、および、最適化切断部位および毒素、例えば、外毒素Aの選択されたドメイン、例えばドメインIIおよびIIIを含む第2のペプチドを含む。標的結合すると、受容体は好ましくはインターナライズされ、第2のペプチドは少なくとも部分的に切断部位で切断され、よって毒素部分が放出され、次いで、これが今度は感染細胞を死滅させる。驚いたことに、発明者らは、外毒素Aの天然フューリン切断部位における突然変異に対応するある一定の切断部位モチーフ(ArgX1X2Arg、式中、X2はArgなど塩基性である)は、病原体にコードされる受容体、例えばUS28を発現する細胞への選択性を増加させることを見出した。この所見により、感染細胞、例えばCMV感染細胞の改善された標的化および死滅が可能になる。よって、本明細書で記載される最適化切断部位は融合タンパク質、特に免疫毒素のために使用することができ、毒性/細胞死滅効力、とりわけ選択性が増加する。
【0011】
1つの態様では、本発明は、下記を含む融合タンパク質を提供し:
a)細胞上に発現された少なくとも1つの受容体に結合する第1のペプチド;および
b)アミノ酸配列ArgX1X2Argを有する切断部位を含む第2のペプチド、
X2はArgまたはLysであり、第2のペプチドは毒素を含む。
【0012】
別の態様では、本発明は上記態様による融合タンパク質をコードする単離された核酸分子を提供する。
【0013】
1つの態様では、本発明は上記態様による核酸分子を含むベクターを提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は上記態様による核酸分子またはベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。
【0015】
1つの態様では、本発明は上記態様による融合タンパク質、核酸、ベクターまたは組換え宿主細胞ならびに薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は医薬品として使用するための上記態様による融合タンパク質、核酸、ベクター、組換え宿主細胞または医薬組成物を提供する。
【0017】
1つの態様では、本発明は、病原体により引き起こされる感染および/または病原体関連障害の防止または治療において使用するための、上記態様による融合タンパク質、核酸、ベクター、組換え宿主細胞または医薬組成物を提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、CMV感染および/またはCMV関連障害の防止または治療において使用するための、上記態様による融合タンパク質、核酸、ベクター、組換え宿主細胞または医薬組成物を提供する。
【0019】
1つの態様では、本発明はその必要のある個体において、病原体により引き起こされる感染、例えばCMV感染を治療または防止する方法を提供し、方法は、治療的有効量の、上記態様のいずれか1つによる融合タンパク質、核酸、ベクター、組換え宿主細胞または医薬組成物を個体に投与することを含む。
【0020】
別の態様では、本発明は、移植のための固形臓器および/または移植のための造血幹細胞の処置のための、上記態様のいずれか1つによる融合タンパク質または医薬組成物のエクスビボ使用を提供する。
【0021】
1つの態様では、本発明は、病原体により引き起こされる感染および/または病原体関連障害の防止または治療のため、例えば、CMV感染および/またはCMV関連障害の防止または治療のための医薬品の製造において使用するための、上記態様による融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または医薬組成物を提供する。
【0022】
別の態様では、本発明は、上記態様のいずれか1つによる融合タンパク質を生成するための方法を提供し、方法は、上記態様のいずれかにおいて規定される宿主細胞をコード融合タンパク質の発現を可能にする条件下で培養することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ヒトCX3CL1、シュードモナス外毒素Aおよび融合タンパク質SYN002である例示的な第1のペプチドのドメイン構造を示す。A.下記のドメイン構造の概略図:ヒトCXCL1(S=シグナル配列、CXCL1=ケモカインドメイン、Stalk=ムチン様ストーク、M=膜貫通部分およびC=細胞質ドメイン、シュードモナス・エルジノーサ外毒素A(S=シグナル配列、ドメインI=受容体結合ドメイン、ドメインII=トランスロケーションドメイン、Ib=未知機能を有するドメインIbおよびドメインIII=ADP-リボシル化ドメイン)、前駆体タンパク質のためのアミノ酸番号付けが各タンパク質の上に与えられる。ジスルフィド架橋が、各タンパク質の下に角括弧を用いて、関係するアミノ酸の番号付けと共に示される。B.SYN002の概略図。所定のドメインにおける突然変異が関係するアミノ酸の1文字表記で、その番号と共に書かれている。例えば、P303Rは、位置番号303のプロリンがアルギニンで置換されたことを意味する。1文字表記はまた、コンストラクトのNおよびC末端、およびドメイン間で使用される。2つのドメイン間の破線は、アミノ酸が連結されていることを示す。フューリンは外毒素AのドメインIIのアミノ酸304と305の間を切断する。
図2】F49A突然変異による選択性を示す。SYNxのケモカイン部分における単一アミノ酸の置換は、CXCR1受容体(B)と比較してUS28受容体(A)への選択性をもたらす。SYN000は野生型ヒトケモカイン(C-X3-Cモチーフ)リガンド1(CX3CL1)(天然ケモカイン配列)であり、一方、SYN001はタンパク質の受容体結合部分に単一突然変異(F49A)を有する。
図3】フューリン切断部位(この場合外毒素Aの全長トランスロケーションドメイン)を導入すると効力が増加することを示す。フューリン切断部位を含む外毒素Aの全長トランスロケーションドメインをSYN001コンストラクトに付加すると、SYN016が得られ、内在性CX3CR1-およびウイルスにコードされるUS28-受容体発現細胞の両方上での効力が増加する。
図4】フューリンによるインビトロ切断を示す。最適化切断部位(RQRR)を有するSYN002-コンストラクトのフューリンによるインビトロ切断は、天然フューリン切断部位配列(RQPR)を有する融合タンパク質コンストラクトSYN016と比較して、改善を生じさせない。インビトロでフューリンはSYNxを消化する。レーン1;Mark12タンパク質標準、レーン2;SYN000、レーン3;SYN017、レーン4;SYN014、レーン5;SYN001、レーン6;SYN016およびレーン7;SYN002。SYN000、SYN017およびSYN014は天然CX3CL1ケモカイン配列を有し、一方、SYN001、SYN016およびSYN002はケモカイン部分においてF49A突然変異を有する。SYN000、SYN017、SYN001およびSYN016は天然フューリン切断部位(RQPR)を有し、一方、SYN014およびSYN002は最適化切断部位(RQRR)を有する。
図5】SYN002はフューリンにより広いpH範囲にわたり切断されることを示す。SYN002はインビトロで広いpH範囲にわたり切断された。レーン1;Mark12タンパク質標準、レーン2;フューリン添加なし、レーン3;+8mM HCl(約pH5.2)、レーン4;+6mM HCl(約pH6.3)、レーン5;+4mM HCl(約pH6.6)、レーン6;+2mM HCl(約pH7.0)、レーン7;滴定剤添加なし(約pH7.4)、レーン8;2mM NaOH(約pH7.7)およびレーン9;+4mM NaOH(約pH9.0)。
図6】最適化切断部位は選択性を増加させることを示す。最適化切断部位ArgX1X2Argを第2のペプチドに、この特別な場合、最適化切断部位ArgGlnArgArgをSYN016に導入してSYN002を得ると、ウイルスにコードされる受容体への選択性の増加が得られる。SYN002では、ウイルスにコードされる受容体、例えばUS28を発現する細胞について、細胞死滅効力は、切断部位ArgGlnProArg(よって、X2=Pro)を有するSYN016と比較して大体維持されるが、しかしながら、内在性/ヒト受容体、例えばCX3CR1を発現する細胞に対する効力は、SYN016と比較して減少する。選択性および効力はどちらも、フューリン切断部位を含まない第2のペプチド、例えばSYN000(図に示さず)と比べて、増加する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、標的認識および標的選択性を提供する第1のペプチドならびに毒素を提供し、さらに、毒素の細胞内切断および放出および標的細胞における結果としてのエフェクター毒性を提供する第2のペプチドを含む融合タンパク質に関する。本明細書で提供される融合タンパク質は、潜伏感染の治療を含む、病原体に誘発される感染の治療に有用である。
【0025】
本発明者らは、受容体、例えばウイルスによりコードされる受容体、例えばUS28(これは便宜的に、構成的にインターナライズされ得る)に結合すると、感染細胞、例えば、潜伏感染した細胞を含むCMV感染細胞を効果的に標的にし、死滅させる融合タンパク質を作製した。
【0026】
US28は、ヒトサイトメガロウイルスオープンリーディングフレームUS28によりコードされたGタンパク質共役受容体である。US28は、構成的にインターナライズする受容体である。よって、US28に結合するケモカインまたは他の化合物は、受容体を発現する細胞内にインターナライズされる。US28はCMVで潜伏感染した細胞を含むCMV感染細胞上で発現される。
【0027】
融合タンパク質は、受容体、とりわけ病原体によりコードされる受容体、例えばUS28に結合することができる第1のペプチド、および、最適化切断部位および毒素、例えば外毒素Aの選択されたドメインを含む第2のペプチドを含む。融合タンパク質の病原体にコードされる受容体、例えばUS28への選択性は驚いたことに切断部位における突然変異を受けて増強される。本明細書で記載される最適化切断部位は様々な融合タンパク質、特に免疫毒素のために使用することができ、細胞死滅効力を標的受容体選択様式で変化させることにより、細胞死滅選択性が増加される。
【0028】
1つの態様では、本発明は、下記を含む融合タンパク質を提供し:
a)細胞上に発現された少なくとも1つの受容体に結合する第1のペプチド;および
b)アミノ酸配列ArgX1X2Argを有する切断部位を含む第2のペプチド、
X2はArgまたはLysであり、第2のペプチドは毒素を含む。
【0029】
「アミノ酸」という用語は本明細書では、標準的な20の遺伝学的にコードされるアミノ酸およびそれらの「D」型の対応する立体異性体(天然「L」型と比べて)、ωアミノ酸および他の天然起源のアミノ酸、特殊なアミノ酸(例えばα,α-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、など)および化学的誘導体化アミノ酸を含む。アミノ酸が特定的に列挙される場合、例えば「アラニン」または「Ala」または「A」である場合、その用語は、明確に別記されない限り、l-アラニンおよびd-アラニンの両方を示す。
【0030】
発明の一実施形態では、融合タンパク質は、天然起源のアミノ酸のみから構成される。
【0031】
切断部位
本開示の第2のペプチドは、アミノ酸配列
ArgX1X2Arg
を有する切断部位を含む。
X1は任意のアミノ酸とすることができる。1つの実施形態では、X1は、Gln、Ser、ThrおよびAsnからなる群より選択される。1つの実施形態では、X1はGlnである。
【0032】
X2はArgおよびLysから選択される。有利な実施形態では、X2はArgである。1つの実施形態では、X2はLysである。塩基性アミノ酸、例えばArgをアミノ酸位置X2に導入することにより、細胞死滅選択性が増強される。そのため、例えば、ウイルスによりコードされる受容体を発現し、第1のペプチドに結合するウイルス感染細胞は、例えば、内在性受容体を発現する細胞(これもまた、第1のペプチドに結合し得る)より効率的に死滅される。
【0033】
好ましい実施形態では、切断部位はアミノ酸配列ArgGlnArgArg(RQRR)を含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、切断部位はアミノ酸配列ArgGlnLysArgを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、切断部位はアミノ酸配列ArgSerLysArgを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、切断部位はアミノ酸配列ArgSerArgArgを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、切断部位はアミノ酸配列ArgThrLysArgを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、切断部位はアミノ酸配列ArgThrArgArgを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、切断部位はアミノ酸配列ArgAsnLysArgを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、切断部位はアミノ酸配列ArgAsnArgArgを含み、またはこれから構成される。
【0034】
1つの実施形態では、切断は切断部位のC末端で起こる。
【0035】
融合タンパク質をフューリンで切断することは可能であるかもしれないが、しかしながら、他の酵素またはプロテアーゼもまた、切断部位での切断に関与することができる。
【0036】
よって、1つの実施形態では、切断部位は酵素切断部位である。
【0037】
1つの実施形態では、酵素切断部位はフューリン切断部位である。
【0038】
受容体
1つの実施形態では、第1のペプチドは、細胞上に発現された少なくとも1つの受容体に結合する。1つの実施形態では、第1のペプチドは細胞上に発現された少なくとも2つの受容体に結合する。
【0039】
1つの実施形態では、第1のペプチドに結合する1つの受容体は病原体によりコードされる受容体であり、第1のペプチドに結合するさらなる受容体は第1のペプチドまたはそのバリアントのためのヒトコード受容体および/または内在性受容体である。
【0040】
1つの実施形態では、受容体はGタンパク質共役受容体(GPCR)、例えばSEQ ID NO:10のUS28である。
【0041】
1つの実施形態では、受容体はケモカイン受容体である。1つの実施形態では、ケモカイン受容体はCCケモカイン受容体および/またはCX3Cケモカイン受容体である。1つの実施形態では、CCケモカイン受容体はUS28である。1つの実施形態では、CX3Cケモカイン受容体はCX3CR1である。
【0042】
1つの実施形態では、受容体は病原体によりコードされる。1つの実施形態では、病原体は細菌である。1つの実施形態では、病原体はウイルスである。1つの実施形態では、ウイルスはDNAウイルスである。1つの実施形態では、ウイルスはRNAウイルスである。1つの実施形態では、ウイルスはヘルペスウイルスである。1つの実施形態では、ウイルスはサイトメガロウイルスである。
【0043】
1つの実施形態では、受容体はインターナライズすることができる。1つの実施形態では、受容体は第1のペプチドに結合するとインターナライズされる。1つの実施形態では、受容体は構成的にインターナライズされる。病原体によりコードされる受容体は便宜的に、構成的にインターナライズされ、これにより、病原体感染細胞による融合タンパク質の効率的な取り込みが確保され、よって、感染細胞の死が最低の望まれない毒性および副作用で確保される。「インターナリゼーション」は、受容体が、それが発現される細胞内に移動されるプロセスを示す。例えば、受容体はエンドサイトーシスまたは食作用により細胞に入ることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、本発明は、選択的様式で受容体に結合し、前記受容体のインターナリゼーションに至らしめることにより、特定の細胞を標的にする融合タンパク質を提供する。次いで、融合タンパク質の毒素部分が切断され、前記細胞が死滅させられる。
【0045】
毒素
1つの実施形態では、融合タンパク質は免疫毒素である。「免疫毒素」は毒素に結合された標的化部分からなるタンパク質を示す。標的化部分はまた、リガンドとも呼ばれる。
【0046】
毒素は異なる種類の毒素であってもよい。1つの実施形態では、第2のペプチドはシュードモナス外毒素A、ゲロニン、ボウガニン(bouganin)、サポリン、リシン、リシンA鎖、ブリオジン(bryodin)、レストリクトシン、ジフテリア毒素(diphteria toxin)、ジフテリア毒素(diphteria toxin)A鎖ならびにそのバリアントおよび断片からなる群より選択される毒素を含む。融合タンパク質の毒素部分は細胞の死滅を可能にする。毒素は細胞傷害性である。
【0047】
1つの実施形態では、第2のペプチドはシュードモナス外毒素Aの1つ以上のドメインを含む。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:9の外毒素Aの少なくとも一部を含む。
【0048】
融合タンパク質
第1のペプチドは標的化部分であり、これにより細胞上に発現された受容体への結合が可能になる。
【0049】
1つの実施形態では、第1および第2のペプチドは作動可能に連結されている。一般に、「作動可能に連結された」は、連結される配列は互いに近接しており、および/または、機能的関係になるよう配置され、例えば共有結合により連結されることを意味する。
【0050】
1つの実施形態では、第1のペプチドは下記を含み、またはこれから構成される:
a.SEQ ID NO:1のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:1に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成される、SEQ ID NO:1のバリアント;
c.50を超えるアミノ酸の長さ、例えば60、70、または75を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:1の断片、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:1に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント。
【0051】
1つの実施形態では、第1のペプチドはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:1のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:1のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも96%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:1のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも97%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:1のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも98%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:1のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも99%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:1のバリアントを含み、またはこれから構成される。
【0052】
1つの実施形態では、第1のペプチドは50を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:1の断片を含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドは60を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:1の断片を含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドは70を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:1の断片を含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドは75を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:1の断片を含み、またはこれから構成される。
【0053】
1つの実施形態では、第1のペプチドはSEQ ID NO:1の断片、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドはSEQ ID NO:1の断片、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドはSEQ ID NO:1の断片、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドはSEQ ID NO:1の断片、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも95%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドはSEQ ID NO:1の断片、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも96%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドはSEQ ID NO:1の断片、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも97%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドはSEQ ID NO:1の断片、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも98%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第1のペプチドはSEQ ID NO:1の断片、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも99%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。
【0054】
1つの実施形態では、49位におけるSEQ ID NO:1のアミノ酸残基は、Ala、LysまたはAsp、好ましくはAlaに変異される。これらの置換は、第1のペプチドに結合するヒトまたは内在性コード受容体と比較すると、第1のペプチドに結合する病原体にコードされる受容体を発現する細胞への細胞死滅選択性の増加に導くことができる。
【0055】
1つの実施形態では、第1のペプチドは、N末端でメチオニン(M)をさらに含む。
【0056】
1つの実施形態では、第1のペプチドは、SEQ ID NO:1のNおよび/またはC末端で、および/または、アミノ酸配列内部に挿入された1つ以上の追加のアミノ酸を含み、またはこれから構成される。
【0057】
1つの実施形態では、1つ以上のアミノ酸はSEQ ID NO:1のNおよび/またはC末端で、および/または、アミノ酸配列内部で欠失される。
【0058】
1つの実施形態では、第1のペプチドは100未満のアミノ酸の長さを有する。
【0059】
1つの実施形態では、第1のペプチドは90未満のアミノ酸の長さを有する。
【0060】
1つの実施形態では、第1のペプチドは85未満のアミノ酸の長さを有する。
【0061】
1つの実施形態では、第1のペプチドは80未満のアミノ酸の長さを有する。
【0062】
1つの実施形態では、第2のペプチドは、ドメインA(トランスロケーションドメインであり得る)、例えば、SEQ ID NO:3またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインA、および/またはドメインB、例えばSEQ ID NO:4またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインB、および/またはドメインC(細胞傷害性ドメインであり得る)、例えば、SEQ ID NO:5またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインCを含む。
【0063】
1つの実施形態では、第2のペプチドはドメインA、例えばSEQ ID NO:3またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインAを含む。1つの実施形態では、第2のペプチドはドメインA、例えばSEQ ID NO:3またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインA、ならびに、ドメインB、例えばSEQ ID NO:4またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインBを含む。1つの実施形態では、第2のペプチドはドメインA、例えばSEQ ID NO:3またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインA、ならびに、ドメインB、例えばSEQ ID NO:4またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインB、ならびに、ドメインC、例えばSEQ ID NO:5またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインCを含む。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:4またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインBを含む。1つの実施形態では、第2のペプチドはドメインC、例えばSEQ ID NO:5またはその断片もしくはバリアントによるアミノ酸配列を有するドメインCを含む。
【0064】
1つの実施形態では、第2のペプチドは下記を含む:
a.SEQ ID NO:3のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:3のバリアント;
c.80を超えるアミノ酸の長さ、例えば90、100、または110を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:3の断片、または、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント。
【0065】
1つの実施形態では、第2のペプチドは、下記を含む:
a.SEQ ID NO:4のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:4のバリアント;
c.6を超えるアミノ酸の長さ、例えば8、10、または12を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:4の断片、または、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント。
【0066】
1つの実施形態では、第2のペプチドは、下記を含む:
a.SEQ ID NO:5のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:5のバリアント;
c.180を超えるアミノ酸の長さ、例えば190、200、または210を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:5の断片、または、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント。
【0067】
1つの実施形態では、第2のペプチドは下記を含む:
a.SEQ ID NO:3のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:3のバリアント;
c.80を超えるアミノ酸の長さ、例えば90、100、または110を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:3の断片、または、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント;ならびに
d.SEQ ID NO:4のアミノ酸配列;
e.SEQ ID NO:4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:4のバリアント;
f.6を超えるアミノ酸の長さ、例えば8、10、または12を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:4の断片、または、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント。
【0068】
1つの実施形態では、第2のペプチドは下記を含む:
a.SEQ ID NO:3のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:3のバリアント;
c.80を超えるアミノ酸の長さ、例えば90、100、または110を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:3の断片、または、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント;ならびに
d.SEQ ID NO:4のアミノ酸配列;
e.SEQ ID NO:4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:4のバリアント;
f.6を超えるアミノ酸の長さ、例えば8、10、または12を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:4の断片、または、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント;ならびに
g.SEQ ID NO:5のアミノ酸配列;
h.SEQ ID NO:5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:5のバリアント;
i.180を超えるアミノ酸の長さ、例えば190、200、または210を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:5の断片、または、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント。
【0069】
1つの実施形態では、第2のペプチドは、下記を含む:
a.SEQ ID NO:3のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:3のバリアント;
c.80を超えるアミノ酸の長さ、例えば90、100、または110を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:3の断片、または、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント;ならびに
d.SEQ ID NO:5のアミノ酸配列;
e.SEQ ID NO:5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:5のバリアント;
f.180を超えるアミノ酸の長さ、例えば190、200、または210を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:5の断片、または、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント。
【0070】
1つの実施形態では、第2のペプチドは下記を含む:
a.SEQ ID NO:4のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:4のバリアント;
c.6を超えるアミノ酸の長さ、例えば8、10、または12を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:4の断片、または、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント;ならびに
d.SEQ ID NO:5のアミノ酸配列;
e.SEQ ID NO:5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:5のバリアント;
f.180を超えるアミノ酸の長さ、例えば190、200、または210を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:5の断片、または、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント。
【0071】
1つの実施形態では、ドメインAはトランスロケーションドメインであり、ドメインCは細胞傷害性ドメイン、例えばADP-リボシル化ドメインである。
【0072】
1つの実施形態では、第2のペプチドはC末端においてSEQ ID NO:8のアミノ酸配列KDELを含む。1つの実施形態では、第2のペプチドの5つの最後のアミノ酸は、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列と置き換えられる。
【0073】
1つの実施形態では、第2のペプチドは下記を含み、またはこれから構成される:
a.SEQ ID NO:2のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:2に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:2に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:2のバリアント;
c.300を超えるアミノ酸の長さ、例えば310、330、または340を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:2の断片、または、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:2に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:2に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント。
【0074】
1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:2のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:2のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも96%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:2のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも97%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:2のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも98%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:2のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも99%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:2のバリアントを含み、またはこれから構成される。
【0075】
1つの実施形態では、第2のペプチドは、300を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:2の断片を含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドは、310を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:2の断片を含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドは、330を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:2の断片を含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドは、340を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:2の断片を含み、またはこれから構成される。
【0076】
1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2の断片、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2の断片、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2の断片、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2の断片、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2の断片、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも96%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2の断片、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも97%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2の断片、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも98%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、第2のペプチドはSEQ ID NO:2の断片、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも99%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。
【0077】
1つの実施形態では、第2のペプチドは400未満のアミノ酸の長さ、例えば380、370、360、350または345未満のアミノ酸の長さを有する。
【0078】
1つの実施形態では、第2のペプチドは400未満のアミノ酸の長さを有する。
【0079】
1つの実施形態では、第2のペプチドは380未満のアミノ酸の長さを有する。
【0080】
1つの実施形態では、第2のペプチドは370未満のアミノ酸の長さを有する。
【0081】
1つの実施形態では、第2のペプチドは360未満のアミノ酸の長さを有する。
【0082】
1つの実施形態では、第2のペプチドは350未満のアミノ酸の長さを有する。
【0083】
1つの実施形態では、第2のペプチドは345未満のアミノ酸の長さを有する。
【0084】
1つの実施形態では、融合タンパク質は下記を含み、またはこれから構成される:
a.SEQ ID NO:6のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:6のバリアント;
c.360を超えるアミノ酸の長さ、例えば380、400、または420を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:6の断片、または、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント。
【0085】
1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:6のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:6のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも96%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:6のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも97%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:6のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも98%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:6のバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも99%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:6のバリアントを含み、またはこれから構成される。
【0086】
1つの実施形態では、融合タンパク質は、360を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:6の断片を含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、380を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:6の断片を含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、400を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:6の断片を含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、420を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:6の断片を含み、またはこれから構成される。
【0087】
1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6の断片、または、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6の断片、または、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも85%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6の断片、または、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも90%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6の断片、または、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも95%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6の断片、または、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも96%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6の断片、または、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも97%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6の断片、または、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも98%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。1つの実施形態では、融合タンパク質は、SEQ ID NO:6の断片、または、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも99%配列同一性を有するそのバリアントを含み、またはこれから構成される。
【0088】
1つの実施形態では、融合タンパク質は500未満のアミノ酸の長さ、例えば490、480、470、460、450、440、430、425未満のアミノ酸の長さを有する。
【0089】
1つの実施形態では、融合タンパク質は500未満のアミノ酸の長さを有する。1つの実施形態では、融合タンパク質は490未満のアミノ酸の長さを有する。1つの実施形態では、融合タンパク質は480未満のアミノ酸の長さを有する。1つの実施形態では、融合タンパク質は470未満のアミノ酸の長さを有する。1つの実施形態では、融合タンパク質は460未満のアミノ酸の長さを有する。1つの実施形態では、融合タンパク質は450未満のアミノ酸の長さを有する。1つの実施形態では、融合タンパク質は440未満のアミノ酸の長さを有する。1つの実施形態では、融合タンパク質は430未満のアミノ酸の長さを有する。1つの実施形態では、融合タンパク質は420未満のアミノ酸の長さを有する。
【0090】
1つの実施形態では、融合タンパク質は、病原体に感染した細胞、例えば病原体に潜伏感染した細胞を死滅させる。
【0091】
1つの実施形態では、病原体はウイルス、例えばDNAウイルス、例えばヘルペスウイルス、例えばサイトメガロウイルス、またはRNAウイルスである。
【0092】
1つの実施形態では、融合タンパク質は受容体を発現する細胞の細胞死を誘導する。
【0093】
1つの実施形態では、細胞死は、アポトーシス、壊死、オートファジー性細胞死および有糸分裂関連細胞死からなる群より選択される。「アポトーシス」および「アポトーシス活性」という用語は広い意味で使用され、典型的には、細胞質の濃縮、細胞膜微絨毛の喪失、核の分割、染色体DNAの分解またはミトコンドリア機能の喪失を含む、1つ以上の特徴的な細胞変化を伴う、哺乳類における細胞死の秩序あるまたは制御された形態を示す。
【0094】
1つの実施形態では、融合タンパク質は病原体に対して直接的または間接的効果を誘導し、病原体増殖、複製、ゲノム安定性、成熟、パッケージング、潜伏、再活性化、播種および/または免疫抑制の阻止という結果になる。
【0095】
1つの実施形態では、融合タンパク質は、病原体にコードされる受容体を発現する細胞を選択的に死滅させる。
【0096】
1つの実施形態では、融合タンパク質はUS28を発現する細胞を死滅させる。
【0097】
1つの実施形態では、融合タンパク質は、ウイルスによりコードされる受容体、例えばUS28に対して、10nM未満、例えば5nM未満、例えば1nM未満、例えば0.5nM未満、例えば0.1nM未満または0.001nM未満のIC50値を有する。
【0098】
1つの実施形態では、融合タンパク質は、内在性受容体またはヒトコード受容体、例えばCX3CR1を発現する細胞に対する効力と比べて、ウイルスによりコードされる受容体、例えばUS28を発現する細胞に対して増加した効力、例えば少なくとも100倍増加した効力、例えば少なくとも300倍増加した効力、例えば少なくとも400倍増加した効力、例えば少なくとも500倍増加した効力を有する。1つの実施形態では、融合タンパク質は、CX3CR1を発現する細胞に対する効力と比べて、US28を発現する細胞に対して増加した効力、例えば少なくとも100倍増加した効力を有する。1つの実施形態では、融合タンパク質は、CX3CR1を発現する細胞に対する効力と比べて、US28を発現する細胞に対して増加した効力、例えば少なくとも300倍増加した効力を有する。1つの実施形態では、融合タンパク質は、CX3CR1を発現する細胞に対する効力と比べて、US28を発現する細胞に対して増加した効力、例えば少なくとも400倍増加した効力を有する。1つの実施形態では、融合タンパク質は、CX3CR1を発現する細胞に対する効力と比べて、US28を発現する細胞に対して増加した効力、例えば少なくとも500倍増加した効力を有する。
【0099】
1つの実施形態では、融合タンパク質は、内在性受容体またはヒトコード受容体、例えばCX3CR1に対する親和性と比べて、ウイルスによりコードされる受容体、例えばUS28に対する増加した親和性、例えば少なくとも50倍増加した親和性、例えば少なくとも100倍増加した親和性を有する。1つの実施形態では、融合タンパク質は、CX3CR1に対する親和性と比べて、US28に対して増加した親和性、例えば少なくとも100倍増加した親和性を有する。
【0100】
1つの実施形態では、本発明の融合タンパク質の選択比US28/CX3CR1は、少なくとも750、例えば少なくとも800、例えば少なくとも850、例えば少なくとも900である。1つの実施形態では、本発明の融合タンパク質の選択比US28/CX3CR1は、少なくとも880である。1つの実施形態では、本発明の融合タンパク質の選択比US28/CX3CR1は、少なくとも750である。1つの実施形態では、本発明の融合タンパク質の選択比US28/CX3CR1は、少なくとも800である。1つの実施形態では、本発明の融合タンパク質の選択比US28/CX3CR1は、少なくとも850である。1つの実施形態では、本発明の融合タンパク質の選択比US28/CX3CR1は、少なくとも900である。
【0101】
核酸
1つの態様では、本発明は本明細書で記載される融合タンパク質をコードする単離された核酸分子を提供する。
【0102】
「核酸分子」により、DNA(例えばゲノムDNAまたは相補的DNA)およびmRNA分子が含まれ、それは一本鎖または二本鎖であり得る。「単離された」により、核酸分子は細胞内に位置せず、細胞内で提供されないことが意味される。
【0103】
ベクター
1つの態様では、本発明は本明細書で記載される核酸分子を含むベクターを提供する。
【0104】
1つの実施形態では、ベクターは発現ベクターである。
【0105】
宿主細胞
1つの態様では、本発明は、本明細書で記載される核酸分子またはベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。
【0106】
1つの実施形態では、宿主細胞は細菌細胞、酵母細胞、哺乳類細胞、例えばヒト細胞または昆虫細胞である。
【0107】
医薬組成物
1つの態様では、本発明は本明細書で記載される融合タンパク質、核酸、ベクターまたは組換え宿主細胞ならびに薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0108】
1つの実施形態では、医薬組成物は1つ以上の薬剤をさらに含む。1つの実施形態では、薬剤は、免疫抑制剤、抗ウイルス薬および免疫療法薬からなる群より選択される。
【0109】
1つの実施形態では、抗ウイルス薬は、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、レフルノミド、プレバイミス、マリバビルおよびブリンシドホビルからなる群より選択される。
【0110】
1つの実施形態では、免疫療法は細胞療法である。1つの実施形態では、免疫療法はT細胞治療である。
【0111】
疾患
1つの態様では、本発明は、医薬品として使用するための、本明細書で記載される融合タンパク質、核酸、ベクター、組換え宿主細胞または医薬組成物を提供する。
【0112】
別の態様では、本発明は、病原体により引き起こされる感染および/または病原体関連障害の防止または治療において使用するための、本明細書で記載される融合タンパク質、核酸、ベクター、組換え宿主細胞または医薬組成物を提供する。
【0113】
1つの実施形態では、病原体は細菌またはウイルスである。1つの実施形態では、ウイルスはDNAウイルス、例えばヘルペスウイルス、例えばサイトメガロウイルス、またはRNAウイルスである。
【0114】
1つの態様では、本発明はCMV感染および/またはCMV関連障害の防止または治療において使用するための、本明細書で記載される融合タンパク質、核酸、ベクター、組換え宿主細胞または医薬組成物を提供する。
【0115】
1つの実施形態では、CMV感染は潜伏および/または溶解CMV感染である。
【0116】
1つの実施形態では、CMV感染は下記において検出され得る:
i)網膜、角膜、心臓、肝臓、腎臓、肺、胃腸組織、胸腺、脾臓、皮膚および筋肉からなる群の1つ以上より選択される組織、および/または
ii)唾液、血液、尿、精液および母乳からなる群の1つ以上より選択される体液。
【0117】
1つの実施形態では、CMV感染は、HIV-患者、新生児および免疫抑制患者、骨髄移植患者、固形臓器移植患者、免疫療法患者、癌患者、集中治療患者、外傷患者、幹細胞患者、遺伝子治療患者、細胞治療患者、高齢患者および多疾病罹患患者からなる群より選択される免疫不全患者における感染である。
【0118】
1つの実施形態では、CMV感染は、冠疾患および/または血管疾患を患う患者における感染である。
【0119】
1つの実施形態では、融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物は、静脈内、腫瘍内、腹腔内、くも膜下腔内および/またはリンパ内投与される。
【0120】
1つの実施形態では、融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または組成物は、1回以上個体に投与される。
【0121】
1つの実施形態では、個体はヒトである。
【0122】
1つの実施形態では、ヒトは免疫不全患者である。免疫不全患者により、免疫系の障害または弱化のために感染に正常に応答することができない患者が示される。例えば、免疫不全患者は免疫系に影響する疾患、例えば糖尿病およびHIVと診断され得る。免疫不全患者は、化学療法などの治療後に抑制された免疫応答を有する可能性がある。
【0123】
1つの実施形態では、ヒトは子供である。1つの実施形態では、ヒトは成人である。
【0124】
1つの実施形態では、ヒトは固形臓器移植および/または造血幹細胞移植が必要である。造血幹細胞移植は、通常、1つの骨髄、末梢血または臍帯血由来の多能性造血幹細胞の移植である。移植は自家(幹細胞は同じ患者から単離される)または同種(幹細胞は異なる患者から単離される)とすることができる。
【0125】
1つの実施形態では、CMV関連障害は、サイトメガロウイルス間質性肺炎、サイトメガロウイルス肝炎、サイトメガロウイルス膵炎、サイトメガロウイルス単核球症、CMV多脊髄神経根症(polyradiculomyelopathy)、巨細胞封入体病、サイトメガロウイルス大腸炎、サイトメガロウイルス食道炎、サイトメガロウイルス網膜炎、ギラン・バレー症候群、粘表皮がんおよび潰瘍性大腸炎、移植片対宿主病(GVHD)、固形臓器移植移植片対宿主病(SOT-GVHD)からなる群より選択される。
【0126】
1つの態様では、本発明は病原体により引き起こされる感染および/または病原体関連障害の防止または治療のため、例えば、CMV感染および/またはCMV関連障害の防止または治療のための医薬品の製造において使用するための本明細書で記載される融合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞または医薬組成物を提供する。
【0127】
別の態様では、本発明は移植のための固形臓器および/または移植のための造血幹細胞の処置のための、本明細書で記載される融合タンパク質または医薬組成物のエクスビボ使用を提供する。
【0128】
「治療すること」、「治療」、および「療法」という用語は本明細書では、根治療法、予防療法、寛解および対症療法を示す。好ましくは、治療は根治的である。
【0129】
治療方法
1つの態様では、本発明はその必要のある個体において、病原体により引き起こされる感染、例えばCMV感染を治療または防止する方法を提供し、方法は、治療的有効量の、本明細書で記載される融合タンパク質、核酸、ベクター、組換え宿主細胞または医薬組成物を個体に投与することを含む。
【0130】
化合物の「有効量」または「治療的有効量」は、有益な効果を化合物が投与される被検体に提供するのに十分である化合物の量である。「治療的有効量」という句は本明細書では、感染を治療する(その発症を遅延させ、もしくは防止する、その進行を防止する、阻害する、減少させるまたは逆転させる)のに十分または有効である融合タンパク質の量を示し得る。
【0131】
生成するための方法
1つの態様では、本発明は、本明細書で記載される融合タンパク質を生成するための方法を提供し、方法は、本明細書で規定される宿主細胞をコード融合タンパク質の発現を可能にする条件下で培養することを含む。
【0132】
配列
SEQ ID NO:1(例示的な第1のペプチド)
QHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLFCADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNG

SEQ ID NO:2(例示的な第2のペプチド)
GGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQRRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPP

SEQ ID NO:3(外毒素AのドメインA)
GGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQRRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAAS

SEQ ID NO:4(外毒素AのドメインB)
GPADSGDALLERNYP

SEQ ID NO:5(外毒素AのドメインC)
TGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPP

SEQ ID NO:6(SYN002)
MQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLACADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNGGGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQRRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPKDEL

SEQ ID NO:7(ヒトCX3CL1)
MAPISLSWLLRLATFCHLTVLLAGQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLFCADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNGGTFEKQIGEVKPRTTPAAGGMDESVVLEPEATGESSSLEPTPSSQEAQRALGTSPELPTGVTGSSGTRLPPTPKAQDGGPVGTELFRVPPVSTAATWQSSAPHQPGPSLWAEAKTSEAPSTQDPSTQASTASSPAPEENAPSEGQRVWGQGQSPRPENSLEREEMGPVPAHTDAFQDWGPGSMAHVSVVPVSSEGTPSREPVASGSWTPKAEEPIHATMDPQRLGVLITPVPDAQAATRRQAVGLLAFLGLLFCLGVAMFTYQSLQGCPRKMAGEMAEGLRYIPRSCGSNSYVLVPV

SEQ ID NO:8(細胞内での逆行輸送のためのKDEL-受容体への結合を確保する配列)
KDEL

SEQ ID NO:9(全長外毒素A)
MHLTPHWIPLVASLGLLAGGSFASAAEEAFDLWNECAKACVLDLKDGVRSSRMSVDPAIADTNGQGVLHYSMVLEGGNDALKLAIDNALSITSDGLTIRLEGGVEPNKPVRYSYTRQARGSWSLNWLVPIGHEKPSNIKVFIHELNAGNQLSHMSPIYTIEMGDELLAKLARDATFFVRAHESNEMQPTLAISHAGVSVVMAQAQPRREKRWSEWASGKVLCLLDPLDGVYNYLAQQRCNLDDTWEGKIYRVLAGNPAKHDLDIKPTVISHRLHFPEGGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQPRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASADVVSLTCPVAAGECAGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPREDLK

SEQ ID NO:10(US28)
MTPTTTTAELTTEFDYDEAATPCVFTDVLNQSKPVTLFLYGVVFLFGSIGNFLVIFTITWRRRIQCSGDVYFINLAAADLLFVCTLPLWMQYLLDHNSLASVPCTLLTACFYVAMFASLCFITEIALDRYYAIVYMRYRPVKQACLFSIFWWIFAVIIAIPHFMVVTKKDNQCMTDYDYLEVSYPIILNVELMLGAFVIPLSVISYCYYRISRIVAVSQSRHKGRIVRVLIAVVLVFIIFWLPYHLTLFVDTLKLLKWISSSCEFERSLKRALILTESLAFCHCCLNPLLYVFVGTKFRQELHCLLAEFRQRLFSRDVSWYHSMSFSRRSSPSRRETSSDTLSDEVCRVSQIIP

SEQ ID NO:11(SYN000)
MQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLFCADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNRQPRGWEQLEQSGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPKDEL

SEQ ID NO:12(SYN001)
MQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLACADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNRQPRGWEQLEQSGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPKDE

SEQ ID NO:13(SYN014)
MQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLFCADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNGGGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQRRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPKDEL

SEQ ID NO:14(SYN016)
MQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLACADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNGGGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQPRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPKDEL

SEQ ID NO:15(SYN017)
MQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLFCADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNGGGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQPRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPKDEL
【0133】
項目
1.下記を含む融合タンパク質であって、
a)細胞上に発現された少なくとも1つの受容体に結合する第1のペプチド;および
b)アミノ酸配列ArgX1X2Argを有する切断部位を含む第2のペプチド、
X2はArgまたはLysであり、第2のペプチドは毒素を含む、融合タンパク質。
【0134】
2.融合タンパク質は免疫毒素である、項目1による融合タンパク質。
【0135】
3.切断部位はアミノ酸配列ArgGlnArgArgを含み、またはこれから構成される、前記項目のいずれか一つによる融合タンパク質。
【0136】
4.第1のペプチドは細胞上に発現された少なくとも2つの異なる受容体に結合する、前記項目のいずれか一つによる融合タンパク質。
【0137】
5.第1のペプチドに結合する1つの受容体は病原体によりコードされる受容体であり、第1のペプチドに結合するさらなる受容体は第1のペプチドまたはそのバリアントのためのヒトコード受容体および/または内在性受容体である、前記項目のいずれか一つによる融合タンパク質。
【0138】
6.受容体はGタンパク質共役受容体(GPCR)、例えばSEQ ID NO:10のUS28である、前記項目のいずれか一つによる融合タンパク質。
【0139】
7.第2のペプチドはシュードモナス外毒素A、ゲロニン、ボウガニン(bouganin)、サポリン、リシン、リシンA鎖、ブリオジン(bryodin)、レストリクトシン、ジフテリア毒素(diphteria toxin)、ジフテリア毒素(diphteria toxin)A鎖ならびにそのバリアントおよび断片からなる群より選択される毒素を含む、前記項目のいずれか一つによる融合タンパク質。
【0140】
8.受容体は第1のペプチドに結合するとインターナライズされる、前記項目のいずれか一つによる融合タンパク質。
【0141】
9.受容体は構成的にインターナライズされる、前記項目のいずれか一つによる融合タンパク質。
【0142】
10.第1のペプチドは、下記を含み、またはこれから構成される、前記項目のいずれか一つによる融合タンパク質:
a.SEQ ID NO:1のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:1に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成される、SEQ ID NO:1のバリアント;
c.50を超えるアミノ酸の長さ、例えば60、70、または75を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:1の断片、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:1に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント。
【0143】
11.第2のペプチドは、下記を含み、またはこれから構成される、前記項目のいずれか一つによる融合タンパク質:
a.SEQ ID NO:2のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:2に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:2に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:2のバリアント;
c.300を超えるアミノ酸の長さ、例えば310、330、または340を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:2の断片、または、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:2に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:2に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント。
【0144】
12.融合タンパク質は、下記を含み、またはこれから構成される、前記項目のいずれか一つによる融合タンパク質:
a.SEQ ID NO:6のアミノ酸配列;
b.SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはこれから構成されるSEQ ID NO:6のバリアント;
c.360を超えるアミノ酸の長さ、例えば380、400、または420を超えるアミノ酸の長さを有するSEQ ID NO:6の断片、または、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%配列同一性、より好ましくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも85%または90%配列同一性、最も好ましくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するそのバリアント。
【0145】
13.融合タンパク質は、病原体に感染した細胞、例えば病原体に潜伏感染した細胞を死滅させる、前記項目のいずれか一つによる融合タンパク質。
【0146】
14.融合タンパク質は、ウイルスによりコードされる受容体、例えばUS28を発現する細胞に対して、内在性受容体またはヒトコード受容体、例えばCX3CR1を発現する細胞に対する効力と比べて、増加した効力、例えば少なくとも300倍増加した効力、例えば少なくとも400倍増加した効力、例えば少なくとも500倍増加した効力、例えば少なくとも700倍増加した効力を有する、前記項目のいずれか一つによる融合タンパク質。
【0147】
15.病原体により引き起こされる感染および/または病原体関連障害の防止または治療において使用するための、項目1~14のいずれか一つによる融合タンパク質。
【0148】
16.CMV感染および/またはCMV関連障害の防止または治療において使用するための、項目1~14のいずれか一つによる融合タンパク質。
【0149】
実施例
実施例1:融合タンパク質SYNxの第1のペプチドにおける突然変異は細胞死滅における選択性につながる
材料および方法
誘導性US28またはCX3CR1発現HEK293細胞
結合および細胞死滅アッセイのために、細胞をHjorto GM et al., 2013に記載されるように構築した。簡単に言うと、HA-CX3CR1-およびHA-US28-発現細胞の安定な誘導性クローンをFlp-In T-Rex-293細胞をFlp-リコンビナーゼ発現ベクター、pOG44およびpcDNA5/FRT/TO受容体コンストラクトのいずれかでコトランスフェクトすることにより作製した。FRT部位でのこの標的クローニングは受容体遺伝子をテトラサイクリンリプレッサー/オペレーターシステムの制御下に置く。受容体の発現をWesternブロッティングにより確認した。細胞培養のために、細胞を、加湿インキュベーター(37℃、5%CO2)において1xDMEM(9%(v/v)FBS、180U/mLペニシリンおよび45μg/mLストレプトマイシン、13.5μg/mLブラストサイジンおよび1.32mg/mLハイグロマイシンBを有する)中で、増殖させた。
【0150】
細胞死滅アッセイ
80μLの20μg/mLポリ-D-リジン(PDL)を含む1xPBSをホワイト96-ウェルプレートの各ウェルに添加し、30分間室温でインキュベートした。誘導性US28またはCX3CR1発現HEK293細胞を10mLの1xPBS中で洗浄し、2mLの0.05%(w/v)トリプシン-EDTAを用いて2分間放出させた。細胞を10mLの増殖培地(1xDMEM、9%(v/v)FBS、180U/mLペニシリンおよび45μg/mLストレプトマイシン)に再懸濁させ、次いで、細胞密度を決定した。PDL-溶液をプレートから吸引し、各ウェルを100μLの1xPBSで洗浄した。洗浄バッファーの吸引後、96-ウェルプレートを100μL中2,000~10,000細胞/ウェルで播種し、CO2-インキュベーター(37℃、10%CO2)に一晩入れた。
【0151】
受容体発現について、10μLのテトラサイクリン、1.375μg/mL US28および5.5μg/mL CX3CR1))を含む増殖培地を選択なしでプレート内の各ウェルに添加し、これをCO2-インキュベーター(37℃、10%CO2)に一晩戻した。
【0152】
融合毒素タンパク質アリコートを氷上で解凍し、これを使用して、1mM酢酸および5g/L BSA中で希釈系列を作製した。受容体発現増殖培地を吸引し、100μLの新鮮増殖培地で置き換えた。5μLの融合毒素タンパク質希釈系列を各ウェルに添加し、5μLの1g/Lシクロヘキシミドを陽性対照として1つのウェルに添加した。プレートをCO2-インキュベーター(37℃、10%CO2)に一晩戻した。
【0153】
1:10希釈のAlamarBlueを含むアッセイ増殖培地を調製した。溶液をスズ箔で覆い、10分間、37℃水浴中で加熱し、次いで0.2μmフィルタに通して濾過した。ウェル溶液を吸引し、100μLのAlamarBlue溶液を各ウェルに添加し、プレートをCO2-インキュベーター(37℃、10%CO2)に4時間戻した。蛍光データをFlexStation3上で、540nmでの励起および585nmでの発光を用いて収集した。
【0154】
結果
SYNxの細胞死滅効率を、ウイルスによりコードされる受容体、例えばUS28または内在性受容体、例えばCX3CR1のいずれかを発現するテトラサイクリン誘導HEK293細胞を受容体発現のない非誘導細胞(陰性対照)と一緒に使用して決定した。データを生細胞の最大数に対して正規化した。SYNxの第1のペプチド(ここでは、ケモカイン部分)における単一アミノ酸の置換により、図2に示されるようにウイルスにコードされる受容体US28への選択性が得られる。どちらのコンストラクトも同様の選択性でUS28に結合するが(図2A)、タンパク質の第1のペプチド(受容体結合部分)において単一突然変異を有する(F49A、前駆体番号付けを使用するとF73Aに対応する)SYN001は、内在性受容体、ここではCXC3R1に対する選択性が低い(図2B)。
【0155】
結論
融合タンパク質コンストラクトの第1のペプチド(例えば、ケモカイン部分)における単一アミノ酸F49A置換は、融合タンパク質(SYNx)のウイルスにコードされる受容体US28への選択性を誘導する。
【0156】
実施例2:外毒素Aの全長トランスロケーションドメインによるフューリン切断部位の付加により得られる増加した効力
材料および方法
実施例1を参照されたい。
【0157】
結果
SYNxの細胞死滅効率を、ウイルスにコードされる受容体US28または内在性受容体CX3CR1のいずれかを発現するテトラサイクリン誘導HEK293細胞を受容体発現のない非誘導細胞(陰性対照)と一緒に使用して決定した。データを生細胞の最大数に対して正規化した。フューリン切断部位、例えば全長トランスロケーションドメインをSYN001コンストラクトに付加して、SYN016を得ると、図3および表1に示されるように、内在性/ヒトCX3CR1-および病原体コードUS28-受容体発現細胞の両方への効力が増加する。
【0158】
結論
外毒素AのドメインIIは、触媒ドメイン、ドメインIIIの細胞内小胞からサイトゾル中への移行の一因となるトランスロケーションドメインとして同定されている(Hwang J et al., 1987; Siegall CB et al., 1989)。フューリン切断部位、例えば外毒素AのドメインIIを含むトランスロケーションドメインをSYN001に付加して、SYN016を得ると、結果として、内在性受容体CX3CR1およびウイルスにコードされる受容体US28の両方について増加した効力を有する融合タンパク質コンストラクトが得られた。
【表1】
【0159】
実施例3:ヒトフューリンによるSYNxのインビトロ切断
材料および方法
ヒトフューリンによるSYNxのインビトロ切断
精製SYNxコンストラクトを実験台で解凍させた。解凍させると、次いで、試料を沈降させた。試料の濃度を測定し、消化を新しい管内で5mM CaCl2を含む1xPBSにおいて20μM SYNxを含む50μLを用いて開始した。5μgを、SDS-PAGE分析のために取り出した。1μLのヒトフューリン(NEB、2単位/μL)を混合物に添加し、37℃の水浴に入れた。1.5時間後、5μgのSYNxを、SDS-PAGE分析のために取り出した。反応混合物のpHを1M HCLまたは1M NaOHのいずれかで調整し、その後、SYNxを添加した。
【0160】
還元SDS-PAGE分析
試料を調製し、タンパク質マーカー標準と共に、NuPAGE Bis-Tris4-12%ゲル上で2mM DTTを含む1xMES泳動用緩衝液を用いて、製造者プロトコルに従い、分析した。ゲルを125V一定電圧で75分間泳動させた。ゲルをSimplyBlue(商標)SafeStain Manual(Novex)に従い染色した。
【0161】
結果
精製SYNxコンストラクトを、精製ヒトフューリンで、インビトロで処理し、異なるSYNxコンストラクトのフューリンによる切断効率を決定した。フューリンによるもの以外の他の切断メカニズムが起こる可能性がある。結果をSDS-PAGEにより分析した。全トランスロケーションドメイン、例えばこの場合全ExoAトランスロケーションドメインのSYN000またはSYN001への付加により、それぞれ、SYN017およびSYN016が得られ、フューリンによるインビトロ切断が改善される。SYN017およびSYN016におけるフューリン切断部位の最適化により、それぞれ、SYN014およびSYN002が得られ、図4に示されるように、さらには、フューリンによるインビトロ切断は改善されるとは見えない。
【0162】
精製SYN002を精製ヒトフューリンで、インビトロで異なるpH値にて処理し、切断効率を決定し、結果をSDS-PAGEにより分析した。SYN002は図5に示されるように、広いpH範囲にわたりフューリンにより切断される。
【0163】
結論
最適化切断部位(この場合ArgGlnArgArg)をSYNxコンストラクト(ここでは、SYN002-コンストラクトはまた、トランスロケーションドメインを含む)に付加しても、SYN016のように天然配列(ArgGlnProArg)を有するコンストラクトと比較して、フューリンによるインビトロ切断において改善は生じない。SYN002はインビトロで広いpH範囲にわたって切断させることができ、フューリンによる切断はエンドソーム内だけでなく、いずれの細胞部位でも起こり得ることが示唆された。
【0164】
実施例4:内在性受容体およびウイルスにコードされる受容体-発現細胞の間の細胞死滅選択性もまた最適化切断部位により増強され、媒介される
材料および方法
実施例1を参照されたい。
【0165】
結果
SYNxの細胞死滅効率を、US28またはCX3CR1のいずれかを発現するテトラサイクリン誘導HEK293細胞を、受容体発現のない非誘導細胞(陰性対照)と共に使用して決定した。データを生細胞の最大数に対して正規化した。
【0166】
最適化切断部位ArgX1X2Argを第2のペプチドに、この特別な場合、最適化切断部位ArgGlnArgArgをSYN016に導入してSYN002を得ると、選択性において驚きの増加が得られる。ウイルスにコードされる受容体、例えばUS28を発現する細胞上でのSYN002については、細胞死滅効力は、切断部位ArgGlnProArg(よって、X2=Pro)を有するSYN016と比較して大体維持される(図6A、表1)。しかしながら、内在性受容体、例えばCX3CR1を発現する細胞についての効力は減少し(約0.9log(EC50))、図6Bを参照されたい)、よって、副作用がより少なく、より有効な薬物を支持することができる効果が得られる。最適化切断部位を含まない第2のペプチドと比較すると、選択性および効力はどちらも増加する。
【0167】
結論
細胞-死滅選択性に対する驚きの効果が切断部位の最適化により得られる。いずれの理論にも縛られないが、これは、ウイルスによりコードされる受容体、例えばUS28受容体、対内在性受容体、例えばCX3CR1受容体についてのインターナリゼーションおよび細胞内輸送の差による可能性がある。
【0168】
参考文献
Hwang J et al., Cell. 1987 Jan 16;48(1):129-36;
Siegall CB et al., J Biol Chem. 1989 Aug 25;264(24):14256-61)。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2022546538000001.app
【国際調査報告】