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特表2022-546546フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを使用する処置のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを使用する処置のための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 41/00 20200101AFI20221027BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20221027BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 31/409 20060101ALI20221027BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20221027BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A61K41/00
A61K45/00
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K39/395 N
A61P37/04
A61K47/68
A61P35/04
A61K31/409
G01N33/53 M
G01N33/574 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514167
(86)(22)【出願日】2020-09-02
(85)【翻訳文提出日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 US2020049024
(87)【国際公開番号】W WO2021046100
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】62/895,325
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518055877
【氏名又は名称】ラクテン・メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア-グスマン ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】フォン ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】デ マガリャエス フィリォ シー. ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF67
4C084AA11
4C084AA19
4C084AA23
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA06
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC412
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB04
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
腫瘍または病変、例えば、以前の免疫チェックポイント阻害物質処置などの以前の治療的処置に対して非応答性または抵抗性の腫瘍または病変を有する対象を処置するための、組成物、組み合わせ、ならびに方法および使用が提供される。いくつかの局面において、前記方法は、CTLA-4と結合しIR700などのフタロシアニン色素とコンジュゲートされたターゲティング分子を、前記対象へ投与する工程を含む。いくつかの場合において、前記方法は、免疫調整物質を投与する工程を含む。前記腫瘍または病変、いくつかの場合では、第1の腫瘍は、コンジュゲートのフタロシアニン色素の活性化のために適した光の波長を用いて照射される。提供された前記方法および使用は、腫瘍および腫瘍細胞、例えば、原発性腫瘍、転移性腫瘍細胞、および/または侵襲性腫瘍細胞の成長阻害、体積低下、および除去を提供する。全身および局所の免疫応答の誘発または増強のため、ならびに腫瘍成長に対する相乗的応答のための組成物、組み合わせ、方法、および使用も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置に対して非応答性または抵抗性である対象における腫瘍または病変を同定する工程;
(b)CTLA-4と結合するターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを、前記対象へ投与する工程;
(c)前記コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、前記腫瘍または前記病変を照射する工程;および
(d)第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程
を含む、以前の免疫チェックポイント阻害物質治療に対して非応答性または抵抗性である腫瘍または病変を処置する方法であって、
前記腫瘍または前記病変が、前記第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性を示す、前記方法。
【請求項2】
前記第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性が、前記腫瘍もしくは前記病変の体積、大きさ、もしくは質量の低下、前記腫瘍もしくは前記病変の体積もしくは大きさの20%未満の増加、または腫瘍細胞の数の低下を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性が、腫瘍細胞転移の低下、腫瘍細胞死滅の増加、全身免疫応答の増加、新たなT細胞プライミングの増加、CD8+T細胞の多様性の増加、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性が全身免疫応答の増加を含み、かつ前記全身免疫応答が、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)活性アッセイ、腫瘍内T細胞消耗アッセイ、腫瘍内エフェクターT細胞増大アッセイ、T細胞受容体多様性アッセイ、活性化CD8+T細胞アッセイ、循環制御性T細胞(Treg)アッセイ、腫瘍内Tregアッセイ、またはCD8+T細胞:Tregアッセイのうちの1つまたは複数によって測定される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
非応答性または抵抗性である前記腫瘍または前記病変が、高い遺伝子変異量によって、または腫瘍免疫スコアによって同定される、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
非応答性または抵抗性である前記腫瘍または前記病変が、PD-1バイオマーカーまたはPD-L1バイオマーカーの発現の状態によって同定される、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
非応答性または抵抗性である前記腫瘍または前記病変が、リキッドバイオプシーまたは組織生検によって同定される、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置が、PD-1阻害物質、PD-L1阻害物質、またはCTLA-4阻害物質による処置を含む、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置が、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片による処置を含む、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(toripalimab)(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(dostarlimab)(TSR-042)、チスレリズマブ(tislelizumab)(BGB-A317)、セトレリマブ(cetrelimab)(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(pidilizumab)(CT-011)、ゲノリムズマブ(genolimzumab)(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(sintilimab)(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(camrelizumab)(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ(spartalizumab)、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、およびTSR-042(ANB011)からなる群より選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
(a)CTLA-4と結合するターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを、対象へ投与する工程;
(b)前記コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、第1の腫瘍または第1の病変の部位において照射する工程;および
(c)第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程
を含む、全身免疫応答を誘発する方法であって、
工程(a)、(b)、および(c)の後に、前記対象が、照射された前記部位から遠位の位置において少なくとも1つの全身免疫応答特徴を示す、前記方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの全身免疫応答特徴が、CD8+T細胞浸潤の増加、CD8+T細胞活性化の増加、CD8+:Treg比の増加、ナチュラルキラー細胞浸潤の増加、ナチュラルキラー細胞活性化の増加、樹状細胞浸潤の増加、樹状細胞活性化の増加、新たなT細胞プライミングの増加、T細胞多様性の増加、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの全身免疫応答特徴が、炎症誘発性分子、炎症誘発性サイトカイン、または免疫細胞活性化マーカーのうちの1つまたは複数の増加を含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記対象から得られた血液試料より前記少なくとも1つの全身免疫応答特徴が評価される、請求項11~13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
前記照射された部位から遠位の前記位置が、照射されていない第2の腫瘍または第2の病変である、請求項11~14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
(a)CTLA-4と結合するターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを、対象へ投与する工程;
(b)前記コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程;および
(c)第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程
を含む、局所免疫応答を誘発する方法であって、
工程(a)、(b)、および(c)の後に、前記対象が、少なくとも1つの局所免疫応答特徴を示し、かつ前記少なくとも1つの局所免疫応答特徴が、前記第1の免疫チェックポイント阻害物質のみの投与と比較して、または前記コンジュゲートおよび前記照射する工程のみによる処置と比較して相乗的である、前記方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの局所免疫応答特徴が、腫瘍内Treg枯渇、腫瘍内CD8 T細胞浸潤の増加、腫瘍内CD8 T細胞活性化の増加、腫瘍内CD8+:Treg比の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞浸潤の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞活性化の増加、骨髄系抑制性細胞の減少、I型インターフェロン応答、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの局所免疫応答特徴が、前記腫瘍または腫瘍微小環境における抗免疫細胞型または免疫活性化マーカーの増加を含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記ターゲティング分子が抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項1~18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
前記抗CTLA-4抗体が、イピリムマブ(YERVOY)、トレメリムマブ、AGEN1181、AGEN1884、ADU-1064、BCD-145、CBT-509、およびBCD-217からなる群より選択される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記第1の免疫チェックポイント阻害物質が抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項1~20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
前記第1の免疫チェックポイント阻害物質が、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(TSR-042)、チスレリズマブ(BGB-A317)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(CT-011)、ゲノリムズマブ(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、およびTSR-042(ANB011)、ならびにそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記第1の免疫チェックポイント阻害物質が、前記コンジュゲートの投与と同時に投与される、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
前記第1の免疫チェックポイント阻害物質が、前記コンジュゲートの投与から24時間以内に投与される、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
前記第1の免疫チェックポイント阻害物質が、前記コンジュゲートの投与の前に投与される、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
前記第1の免疫チェックポイント阻害物質が、前記コンジュゲートの投与の約1~3週間前に投与される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記第1の免疫チェックポイント阻害物質が、前記コンジュゲートの投与の前に1回、2回、3回、4回、5回、または5回超投与される、請求項25または請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記コンジュゲートの投与の後に、前記第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程をさらに含む、請求項1~27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
前記第1の免疫チェックポイント阻害物質が、前記コンジュゲートの投与の後に1回、2回、3回、4回、5回、または5回超投与される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記第1の免疫チェックポイント阻害物質が、前記コンジュゲートの投与の約1日~約4週間後に投与される、請求項28または請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記対象が、以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置の後に進行性疾患または安定疾患を示す、請求項1~10および19~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
以前の免疫チェックポイント阻害物質治療に対して非応答性または抵抗性である前記腫瘍または前記病変が、腫瘍もしくは病変の体積、大きさ、もしくは質量の低下の欠如、腫瘍もしくは病変の体積もしくは大きさの20%超の増加、または腫瘍細胞の数の増加、または転移を示す腫瘍または病変を含む、請求項1~10および19~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
前記対象が、照射されていない第2の腫瘍または病変を含み、かつ前記第2の腫瘍または病変が、前記第1の免疫チェックポイント阻害物質の投与に対する感受性を示す、請求項1~32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
前記対象が転移性腫瘍細胞を含み、かつ前記転移性腫瘍細胞が、前記第1の免疫チェックポイント阻害物質の投与に対する感受性を示す、請求項1~32のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
前記対象が全身Treg細胞の実質的な低下を経験していない、請求項1~34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
前記対象が、照射された前記腫瘍または病変から遠位の部位において応答を示し、前記応答が、CD8+T細胞浸潤の増加、CD8+T細胞活性化の増加、腫瘍内CD8+:Treg比の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞浸潤の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞活性化の増加、樹状細胞浸潤の増加、樹状細胞活性化の増加、新たなT細胞プライミングの増加、T細胞多様性の増加、炎症誘発性分子、炎症誘発性サイトカイン、免疫細胞活性化マーカーのうちの1つまたは複数の増加、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1~35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
腫瘍内サプレッサー細胞の数、出現頻度、活性、および/または機能の実質的な減少をもたらす、請求項1~36のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
前記腫瘍内サプレッサー細胞が、制御性T細胞、II型ナチュラルキラーT細胞、M2マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、骨髄系由来サプレッサー細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項37記載の方法。
【請求項39】
腫瘍内細胞傷害性Tエフェクター細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、その他の免疫エフェクター細胞、またはそれらの任意の組み合わせの数または出現頻度の実質的な増加をもたらす、請求項1~38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
腫瘍内細胞傷害性Tエフェクター細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、その他の免疫エフェクター細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性または機能の実質的な増加をもたらす、請求項1~39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
前記照射する工程の後に前記腫瘍または前記病変の壊死が起こる、請求項1~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
前記フタロシアニン色素がSi-フタロシアニン色素である、請求項1~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
前記Si-フタロシアニン色素がIR700である、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記照射する工程が、前記コンジュゲートの投与の30分~96時間後に実施される、請求項1~43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
前記照射する工程が、前記コンジュゲートの投与の24時間±4時間後に実施される、請求項1~44のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
前記照射する工程が690±40nmの波長で実施される、請求項1~45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
前記照射する工程が、50J/cm2もしくは約50J/cm2または100J/cmファイバー長もしくは約100J/cmファイバー長の線量で実施される、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
前記コンジュゲートの投与が1回または複数回繰り返され、任意で、前記コンジュゲートの繰り返された各投与の後に前記照射する工程が繰り返される、請求項1~47のいずれか一項記載の方法。
【請求項49】
追加の治療用物質を投与するかまたは追加の抗がん処置を実施する工程をさらに含む、請求項1~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
前記腫瘍または前記病変が、結腸がん、結腸直腸がん、膵臓がん、乳がん、皮膚がん、肺がん、非小細胞肺がん、腎細胞がん、甲状腺がん、前立腺がん、頭頸部がん、胃腸がん、胃がん、小腸のがん、紡錘細胞新生物、肝がん、肝臓がん、胆管細胞がん、末梢神経のがん、脳がん、骨格筋のがん、平滑筋のがん、骨がん、脂肪組織のがん、子宮頸がん、子宮がん、生殖器のがん、リンパ腫、および多発性骨髄腫からなる群より選択されるがんに関連している、請求項1~49のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、「フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを使用する処置のための方法」という名称の2019年9月3日に出願された米国特許仮出願第62/895,325号に基づく優先権を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が組み入れられる。
【0002】
分野
本開示は、腫瘍または病変、例えば、以前の治療的処置、例えば、以前の免疫チェックポイント阻害物質処置に対して非応答性または抵抗性の腫瘍または病変を有する対象を処置するための組成物、組み合わせ、ならびに方法および使用に関する。いくつかの局面において、方法は、CTLA-4と結合しIR700などのフタロシアニン色素とコンジュゲートされたターゲティング分子を、対象へ投与する工程を含む。いくつかの場合において、方法は、免疫調整物質を投与する工程を含む。腫瘍または病変、いくつかの場合では、第1の腫瘍は、コンジュゲートのフタロシアニン色素の活性化のために適した光の波長を用いて照射される。本明細書に記載される方法および使用は、腫瘍および腫瘍細胞、例えば、原発性腫瘍、転移性腫瘍細胞、および/または侵襲性腫瘍細胞の成長阻害、体積低下、および除去を提供する。本開示は、がん、例えば、第1の腫瘍、転移性腫瘍細胞、および/または侵襲性腫瘍細胞を含むがんを有する対象における、全身および局所の免疫応答の誘発または増強のため、ならびに腫瘍成長に対する相乗的応答のための組成物、組み合わせ、方法、および使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
背景
免疫チェックポイント阻害物質、低分子標的治療、およびその他の抗がん治療薬を含む、がんを処置するための多くの治療薬が、毎年、開発されている。しかしながら、一部の患者は、それらの治療薬に対して非応答性であり、がん患者の大多数が、処置の課程で受容する治療薬に対して、最終的には、非応答性または抵抗性を発症し、疾患進行およびがんに関係する死に至る。これらの臨床的課題を解決するための新規の組成物および方法が、緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
概要
腫瘍または病変を処置する方法が、本明細書において提供される。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、以前の治療的処置に対して非応答性である腫瘍または病変を有する対象を同定する工程を含む。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程を含み、ターゲティング分子が細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)と結合する。任意の態様のいくつかにおいて、コンジュゲートの投与の後に、方法は、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程を含む。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、第1の免疫調整治療を対象へ実施する工程をさらに含み得る。任意の態様のいくつかにおいて、対象における腫瘍または病変の成長および/または体積の増加が、阻害されるか、または低下する。
【0005】
以前の治療的処置に対して非応答性である腫瘍または病変を有する対象を同定する工程;ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;および、コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程を含む、腫瘍または病変を処置する方法が、本明細書において提供され、対象における腫瘍または病変の成長および/または体積の増加は阻害されるかまたは低下する。
【0006】
以前の治療的処置に対して非応答性である腫瘍または病変を有する対象を同定する工程;ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程;および第1の免疫調整治療を対象へ実施する工程を含む、腫瘍または病変を処置する方法が、本明細書において提供され、対象における腫瘍または病変の成長および/または体積の増加は阻害されるかまたは低下する。
【0007】
任意の態様のいくつかにおいて、以前の治療的処置には、免疫調整物質、免疫チェックポイント阻害物質、抗がん剤、サプレッサー細胞に対して作用する治療用物質、およびそれらの任意の組み合わせによる処置が含まれる。任意の態様のいくつかにおいて、以前の治療的処置には、PD-1阻害物質、PD-L1阻害物質、CTLA-4阻害物質、またはそれらの任意の組み合わせによる処置が含まれる。
【0008】
任意の態様のいくつかにおいて、以前の治療的処置には、抗体または抗体の抗原結合断片による処置が含まれる。任意の態様のいくつかにおいて、抗体または抗原結合断片は、PD-1、CTLA-4、またはPD-L1と結合する。
【0009】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、コンジュゲートの投与の前に実施される。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、コンジュゲートの投与の約1~3週間前に実施される。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、コンジュゲートの投与の前に、1回、2回、3回、4回、5回、または5回超、実施される。
【0010】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、コンジュゲートの投与と同時に実施される。
【0011】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、コンジュゲートの投与の後に実施される。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、コンジュゲートの投与の後に、1回、2回、3回、4回、5回、または5回超、実施される。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、コンジュゲートの投与の約1日~4週間後に実施される。
【0012】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、コンジュゲートの投与の前に実施され、かつコンジュゲートの投与の後にさらに少なくとも1回実施される。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、コンジュゲートの投与の前に、1回、2回、または3回実施される。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、コンジュゲートの投与の約1~3週間前に実施される。
【0013】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、自然活性化の増強のためのアジュバントまたは適応活性化の増強のためのアジュバントである。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、T細胞アゴニストである。
【0014】
以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置に対して抵抗性の腫瘍または病変を処置する方法も、本明細書において提供される。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置に対して非応答性または抵抗性である対象における腫瘍または病変を同定する工程を含む。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程を含み、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程を含む。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程をさらに含む。任意の態様のいくつかにおいて、腫瘍または病変は、第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性を示す。
【0015】
以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置に対して非応答性または抵抗性である対象における腫瘍または病変を同定する工程;ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;および、コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程を含む、以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置に対して抵抗性の腫瘍または病変を処置する方法も、本明細書において提供され、腫瘍または病変は第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性を示す。
【0016】
以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置に対して非応答性または抵抗性である対象における腫瘍または病変を同定する工程;ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程;および第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程を含む、以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置に対して抵抗性の腫瘍または病変を処置する方法も、本明細書において提供され、腫瘍または病変は第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性を示す。
【0017】
任意の態様のいくつかにおいて、以前の免疫チェックポイント阻害物質は、PD-1阻害物質、PD-L1阻害物質、またはCTLA-4阻害物質からなる群より選択される。
【0018】
任意の態様のいくつかにおいて、対象は、照射されていない第2の腫瘍または病変を有し、第2の腫瘍または病変は、第1の免疫チェックポイント阻害物質の投与に対する感受性を示す。任意の態様のいくつかにおいて、対象は転移性腫瘍細胞を有し、転移性腫瘍細胞は、第1の免疫チェックポイント阻害物質の投与に対する感受性を示す。
【0019】
任意の態様のいくつかにおいて、感受性には、腫瘍成長の低下もしくは阻害、腫瘍細胞転移の低下、腫瘍細胞死滅の増加、全身免疫応答の増加、新たなT細胞プライミングの増加、CD8 T細胞の多様性の増加、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0020】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質は、PD-1阻害物質、PD-L1阻害物質、またはCTLA-4阻害物質である。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質には、抗体または抗体の抗原結合断片が含まれる。
【0021】
全身免疫応答を誘発する方法も、本明細書において提供される。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程を含み、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、第1の腫瘍または第1の病変の部位において照射する工程を含む。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、第1の免疫調整治療を実施する工程を含む。任意の態様のいくつかにおいて、前記方法の工程の後に、対象は、照射された部位から遠位の第2の腫瘍または第2の病変において少なくとも1つの全身応答を示す。
【0022】
ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;および、コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、第1の腫瘍または第1の病変の部位において照射する工程を含む、全身免疫応答を誘発する方法も、本明細書において提供され、前記方法の工程の後に、対象は、照射された部位から遠位の第2の腫瘍または第2の病変において少なくとも1つの全身応答を示す。
【0023】
ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、第1の腫瘍または第1の病変の部位において照射する工程;および第1の免疫調整治療を実施する工程を含む、全身免疫応答を誘発する方法も、本明細書において提供され、前記方法の工程の後に、対象は、照射された部位から遠位の第2の腫瘍または第2の病変において少なくとも1つの全身応答を示す。
【0024】
任意の態様のいくつかにおいて、全身応答は全身免疫応答特徴を含む。任意の態様のいくつかにおいて、全身免疫応答特徴は、CD8 T細胞浸潤の増加、CD8 T細胞活性化の増加、樹状細胞浸潤の増加、樹状細胞活性化の増加、新たなT細胞プライミングの増加、T細胞多様性の増加、またはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。任意の態様のいくつかにおいて、全身免疫応答特徴には、炎症誘発性分子、炎症誘発性サイトカイン、免疫細胞活性化マーカー、またはT細胞多様性のうちの1つまたは複数の増加が含まれる。任意の態様のいくつかにおいて、対象から得られた血液試料より全身免疫応答特徴が評価される。
【0025】
局所免疫応答を誘発する方法も、本明細書において提供される。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程を含み、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程を含む。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、第1の免疫調整治療をさらに実施する工程を含む。任意の態様のいくつかにおいて、前記方法の工程の後に、対象は、少なくとも1つの局所応答を示し、応答は、第1の免疫調整治療のみによる処置と比較して、またはコンジュゲート投与および照射による単独の処置と比較して、相乗的である。
【0026】
ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;および、コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程を含む、局所免疫応答を誘発する方法が、本明細書において提供され、前記方法の工程の後に、対象は少なくとも1つの局所応答を示し、かつ応答は、第1の免疫調整治療のみによる処置と比較して、またはコンジュゲート投与および照射による単独の処置と比較して、相乗的である。
【0027】
ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、かつ腫瘍または病変を照射する工程;および第1の免疫調整物を投与する工程を含む、局所免疫応答を誘発する方法が、本明細書において提供され、前記方法の工程の後に、対象は少なくとも1つの局所応答を示し、かつ応答は、第1の免疫調整治療のみによる処置と比較して、またはコンジュゲート投与および照射による単独の処置と比較して、相乗的である。
【0028】
任意の態様のいくつかにおいて、局所応答は局所免疫応答を含む。任意の態様のいくつかにおいて、局所免疫応答は、腫瘍内Treg枯渇、腫瘍内CD8 T細胞浸潤の増加、腫瘍内CD8 T細胞活性化の増加、骨髄系抑制性細胞の減少、I型インターフェロン応答、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。任意の態様のいくつかにおいて、局所免疫応答は、抗免疫細胞型または免疫活性化マーカーの腫瘍または腫瘍微小環境における増加を含む。
【0029】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、PD-1阻害物質またはPD-L1阻害物質による処置を含む。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、抗体または抗体の抗原結合断片による処置を含む。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療は、自然活性化の増強のためのアジュバント、適応活性化の増強のためのアジュバント、およびT細胞アゴニストからなる群より選択される。
【0030】
任意の態様のいくつかにおいて、方法は、フタロシアニン色素とコンジュゲートされたがんターゲティング分子を含む第2のコンジュゲートによる処置も含み、少なくとも1つの照射する工程が、第2のコンジュゲートの投与の後に実施される。
【0031】
腫瘍または病変を処置する方法も、本明細書において提供される。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、対象における非炎症性の(cold)腫瘍または病変を同定する工程を含む。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程を含み、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程を含む。任意の態様のいくつかにおいて、対象における非炎症性の腫瘍または病変の成長および/または体積の増加が阻害されるか、または低下する。
【0032】
対象における非炎症性の腫瘍または病変を同定する工程;ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;および、コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程を含む、腫瘍または病変を処置する方法も、本明細書において提供され、対象における非炎症性の腫瘍または病変の成長および/または体積の増加は阻害されるかまたは低下する。
【0033】
任意の態様のいくつかにおいて、腫瘍成長の阻害は、裸のまたはコンジュゲートされていないCTLA-4抗体による処置と比較して、増強される。
【0034】
任意の態様のいくつかにおいて、非炎症性の腫瘍または病変は、高い遺伝子変異量によって、または腫瘍免疫スコアによって同定される。任意の態様のいくつかにおいて、非炎症性の腫瘍または病変は、PD-1マーカーまたはPD-L1マーカーの発現の状態によって同定される。任意の態様のいくつかにおいて、非炎症性の腫瘍または病変は、腫瘍または病変のPD-1阻害物質またはPD-L1阻害物質に対する応答の欠如に基づき、同定される。任意の態様のいくつかにおいて、非炎症性の腫瘍または病変は、リキッドバイオプシーまたは組織生検によって同定される。
【0035】
任意の態様のいくつかにおいて、照射する工程の後に、腫瘍または腫瘍微小環境において、Treg細胞が迅速に枯渇する。任意の態様のいくつかにおいて、照射する工程の後に、腫瘍細胞の壊死が起こる。
【0036】
任意の態様のいくつかにおいて、ターゲティング分子には、抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片が含まれる。任意の態様のいくつかにおいて、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(YERVOY)、トレメリムマブ、AGEN1181、AGEN1884、ADU-1064、BCD-145、およびBCD-217からなる群より選択される。
【0037】
以前の免疫チェックポイント阻害物質治療に対して非応答性または抵抗性である腫瘍または病変を処置する方法が、本明細書において提供される。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、(a)以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置に対して非応答性または抵抗性である対象における腫瘍または病変を同定する工程;(b)CTLA-4と結合するターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程;(c)コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程;および(d)第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程を含み、腫瘍または病変は、第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性を示す。
【0038】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性は、腫瘍もしくは病変の体積、大きさ、もしくは質量の低下、腫瘍もしくは病変の体積もしくは大きさの20%未満の増加、または腫瘍細胞の数の低下を含む。
【0039】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性は、腫瘍細胞転移の低下、腫瘍細胞死滅の増加、全身免疫応答の増加、新たなT細胞プライミングの増加、CD8+T細胞の多様性の増加、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0040】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性は、全身免疫応答の増加を含み、かつ全身免疫応答は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)活性アッセイ、腫瘍内T細胞消耗アッセイ、腫瘍内エフェクターT細胞増大アッセイ、T細胞受容体多様性アッセイ、活性化CD8+T細胞アッセイ、循環制御性T細胞(Treg)アッセイ、腫瘍内Tregアッセイ、またはCD8+T細胞:Tregアッセイのうちの1つまたは複数によって測定される。
【0041】
任意の態様のいくつかにおいて、非応答性または抵抗性である腫瘍または病変は、高い遺伝子変異量によって、または腫瘍免疫スコアによって同定される。任意の態様のいくつかにおいて、非応答性または抵抗性である腫瘍または病変は、PD-1バイオマーカーまたはPD-L1バイオマーカーの発現の状態によって同定される。任意の態様のいくつかにおいて、非応答性または抵抗性である腫瘍または病変は、リキッドバイオプシーまたは組織生検によって同定される。
【0042】
任意の態様のいくつかにおいて、以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置は、PD-1阻害物質、PD-L1阻害物質、またはCTLA-4阻害物質による処置を含む。
【0043】
任意の態様のいくつかにおいて、以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片による処置を含む。任意の態様のいくつかにおいて、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(toripalimab)(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(dostarlimab)(TSR-042)、チスレリズマブ(tislelizumab)(BGB-A317)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(pidilizumab)(CT-011)、ゲノリムズマブ(genolimzumab)(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(sintilimab)(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ(spartalizumab)、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、およびTSR-042(ANB011)からなる群より選択される。
【0044】
全身免疫応答を誘発する方法が、本明細書において提供される。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、(a)CTLA-4と結合するターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程;(b)コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、第1の腫瘍または第1の病変の部位において照射する工程;および(c)第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程を含み、工程(a)、(b)、および(c)の後に、対象は、照射された部位から遠位の位置において少なくとも1つの全身免疫応答特徴を示す。
【0045】
任意の態様のいくつかにおいて、少なくとも1つの全身免疫応答特徴は、CD8+T細胞浸潤の増加、CD8+T細胞活性化の増加、CD8+:Treg比の増加、ナチュラルキラー細胞浸潤の増加、ナチュラルキラー細胞活性化の増加、樹状細胞浸潤の増加、樹状細胞活性化の増加、新たなT細胞プライミングの増加、T細胞多様性の増加、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0046】
任意の態様のいくつかにおいて、少なくとも1つの全身免疫応答特徴は、炎症誘発性分子、炎症誘発性サイトカイン、または免疫細胞活性化マーカーのうちの1つまたは複数の増加を含む。
【0047】
任意の態様のいくつかにおいて、対象から得られた血液試料より少なくとも1つの全身免疫応答特徴が評価される。
【0048】
任意の態様のいくつかにおいて、照射された部位から遠位の位置は、照射されていない第2の腫瘍または第2の病変である。
【0049】
(a)CTLA-4と結合するターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程;(b)コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程;および(c)第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程を含む、局所免疫応答を誘発する方法が、本明細書において提供され、工程(a)、(b)、および(c)の後に、対象は、少なくとも1つの局所免疫応答特徴を示し、かつ少なくとも1つの局所免疫応答特徴は、第1の免疫チェックポイント阻害物質のみの投与と比較して、またはコンジュゲートおよび照射する工程のみによる処置と比較して、相乗的である。
【0050】
任意の態様のいくつかにおいて、少なくとも1つの局所免疫応答特徴は、腫瘍内Treg枯渇、腫瘍内CD8 T細胞浸潤の増加、腫瘍内CD8 T細胞活性化の増加、腫瘍内CD8+:Treg比の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞浸潤の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞活性化の増加、骨髄系抑制性細胞の減少、I型インターフェロン応答、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。任意の態様のいくつかにおいて、少なくとも1つの局所免疫応答特徴は、腫瘍または腫瘍微小環境における抗免疫細胞型または免疫活性化マーカーの増加を含む。
【0051】
任意の態様のいくつかにおいて、ターゲティング分子は、抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片を含む。任意の態様のいくつかにおいて、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(YERVOY)、トレメリムマブ、AGEN1181、AGEN1884、ADU-1064、BCD-145、CBT-509、およびBCD-217からなる群より選択される。
【0052】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含む。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質は、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(TSR-042)、チスレリズマブ(BGB-A317)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(CT-011)、ゲノリムズマブ(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、およびTSR-042(ANB011)、ならびにそれらの抗原結合断片からなる群より選択される。
【0053】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質は、コンジュゲートの投与と同時に投与される。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質は、コンジュゲートの投与から24時間以内に投与される。
【0054】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質は、コンジュゲートの投与の前に投与される。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質は、コンジュゲートの投与の約1~3週間前に投与される。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質は、コンジュゲートの投与の前に、1回、2回、3回、4回、5回、または5回超、投与される。
【0055】
任意の態様のいくつかにおいて、方法は、コンジュゲートの投与の後に第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程も含む。任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質は、コンジュゲートの投与の後に、1回、2回、3回、4回、5回、または5回超、投与される。
【0056】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫チェックポイント阻害物質は、コンジュゲートの投与の約1日~約4週間後に投与される。
【0057】
任意の態様のいくつかにおいて、対象は、以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置の後に進行性疾患または安定疾患を示す。
【0058】
任意の態様のいくつかにおいて、以前の免疫チェックポイント阻害物質治療に対して非応答性または抵抗性である腫瘍または病変には、腫瘍もしくは病変の体積、大きさ、もしくは質量の低下の欠如、腫瘍もしくは病変の体積もしくは大きさの20%超の増加、または腫瘍細胞の数の増加、または転移を示す腫瘍または病変が含まれる。
【0059】
任意の態様のいくつかにおいて、対象は、照射されていない第2の腫瘍または病変を含み、かつ第2の腫瘍または病変は、第1の免疫チェックポイント阻害物質の投与に対する感受性を示す。任意の態様のいくつかにおいて、対象は転移性腫瘍細胞を含み、かつ転移性腫瘍細胞は、第1の免疫チェックポイント阻害物質の投与に対する感受性を示す。
【0060】
任意の態様のいくつかにおいて、対象は、全身Treg細胞の実質的な低下を経験していない。
【0061】
任意の態様のいくつかにおいて、対象は、照射された腫瘍または病変から遠位の部位において応答を示し、応答は、CD8+T細胞浸潤の増加、CD8+T細胞活性化の増加、腫瘍内CD8+:Treg比の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞浸潤の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞活性化の増加、樹状細胞浸潤の増加、樹状細胞活性化の増加、新たなT細胞プライミングの増加、T細胞多様性の増加、炎症誘発性分子、炎症誘発性サイトカイン、免疫細胞活性化マーカーのうちの1つまたは複数の増加、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0062】
任意の態様のいくつかにおいて、方法は、腫瘍内サプレッサー細胞の数、出現頻度、活性、および/または機能の実質的な減少をもたらす。任意の態様のいくつかにおいて、腫瘍内サプレッサー細胞は、制御性T細胞、II型ナチュラルキラーT細胞、M2マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、骨髄系由来サプレッサー細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、腫瘍内細胞傷害性Tエフェクター細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、その他の免疫エフェクター細胞、またはそれらの任意の組み合わせの数または出現頻度の実質的な増加をもたらす。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、腫瘍内細胞傷害性Tエフェクター細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、その他の免疫エフェクター細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性または機能の実質的な増加をもたらす。
【0063】
任意の態様のいくつかにおいて、照射する工程の後に、腫瘍または病変の壊死が起こる。
【0064】
任意の態様のいくつかにおいて、フタロシアニン色素はSi-フタロシアニン色素である。任意の態様のいくつかにおいて、Si-フタロシアニン色素はIR700である。
【0065】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療または第1の免疫チェックポイント阻害物質には、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(TSR-042)、チスレリズマブ(BGB-A317)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(CT-011)、ゲノリムズマブ(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、およびTSR-042(ANB011)からなる群より選択される抗PD-1抗体による処置が含まれる。
【0066】
任意の態様のいくつかにおいて、第1の免疫調整治療または第1の免疫チェックポイント阻害物質には、アテゾリズマブ(MPDL3280A、TECENTRIQ、RG7446)、アベルマブ(BAVENCIO、MSB0010718C;M7824)、デュルバルマブ(MEDI4736、IMFINZI)、LDP、NM-01、STI-3031(IMC-001;STI-A1015)、KN035、LY3300054、M7824(MSB0011359C)、BMS-936559、MSB2311、BCD-135、BGB-A333、CBT-502(TQB-2450)、コシベリマブ(cosibelimab)(CK-301)、CS1001(WPB3155)、FAZ053、MDX-1105、SHR-1316(HTI-1088)、TG-1501、ZKAB001(STI-A1014)、INBRX-105、MCLA-145、KN046、LY3415244、REGN3504、およびHLX20からなる群より選択される抗PD-L1抗体による処置が含まれる。
【0067】
任意の態様のいくつかにおいて、照射する工程は、コンジュゲートの投与の30分~96時間後に実施される。任意の態様のいくつかにおいて、照射する工程は、コンジュゲートの投与の24時間±4時間後に実施される。任意の態様のいくつかにおいて、照射する工程は、690±40nmの波長で実施される。任意の態様のいくつかにおいて、照射する工程は、50J/cm2もしくは約50J/cm2または100J/cmファイバー長もしくは約100J/cmファイバー長の線量で実施される。
【0068】
任意の態様のいくつかにおいて、コンジュゲートの投与は、1回または複数回繰り返される。任意の態様のいくつかにおいて、コンジュゲートの繰り返された各投与の後に、照射する工程が繰り返される。
【0069】
任意の態様のいくつかにおいて、方法は、追加の治療用物質を投与するかまたは追加の抗がん処置を実施する工程も含む。
【0070】
任意の態様のいくつかにおいて、腫瘍または病変は、結腸がん、結腸直腸がん、膵臓がん、乳がん、皮膚がん、肺がん、非小細胞肺がん、腎細胞がん、甲状腺がん、前立腺がん、頭頸部がん、胃腸がん、胃がん、小腸のがん、紡錘細胞新生物、肝がん、肝臓がん、胆管細胞がん、末梢神経のがん、脳がん、骨格筋のがん、平滑筋のがん、骨がん、脂肪組織のがん、子宮頸がん、子宮がん、生殖器のがん、リンパ腫、および多発性骨髄腫からなる群より選択されるがんに関連している。
【0071】
任意の態様のいくつかにおいて、コンジュゲートは、全身制御性T細胞の数または活性と無関係の効果を提供する。
【0072】
任意の態様のいくつかにおいて、方法は、腫瘍内細胞傷害性Tエフェクター細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、その他の免疫エフェクター細胞、またはそれらの任意の組み合わせの数または出現頻度の実質的な増加をもたらす。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、腫瘍内細胞傷害性Tエフェクター細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、その他の免疫エフェクター細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性または機能の実質的な増加をもたらす。任意の態様のいくつかにおいて、方法は、腫瘍内サプレッサー細胞の数もしくは出現頻度および/または活性もしくは機能の実質的な減少をもたらす。任意の態様のいくつかにおいて、腫瘍内サプレッサー細胞は、制御性T細胞、II型ナチュラルキラーT細胞、M2マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、骨髄系由来サプレッサー細胞、またはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】抗CTLA-4抗体(抗CTLA4)または抗CTLA-4 IR700 PIT(CTLA4-IR700 PIT)が、低下した免疫応答性を有する腫瘍の成長を阻害したことを示す。
図2A】抗CTLA-4-IR700 PIT(CTLA4-IR700 PIT)が、インビボで、照射されたCT26マウス結腸がん由来腫瘍(左パネル)および未照射の遠位のCT26マウス結腸がん由来腫瘍(右パネル)の成長を実質的に阻害すること、その阻害効果が、単独の抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(CTLA-4-IR700)について観察されたものより大きいことを示す。
図2B】抗CTLA-4-IR700 PIT(CTLA4-IR700 PIT)が、インビボで、照射されたMCA205マウス線維肉腫由来腫瘍(左パネル)および未照射の遠位のMCA205マウス線維肉腫由来腫瘍(右パネル)の成長を実質的に阻害したこと、その阻害効果が、単独の抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(CTLA-4-IR700)について観察されたものより大きかったことを示す。
図3】非炎症性腫瘍の抗CTLA-4治療および抗PD-1治療に対する抵抗性を示す。4T1マウス乳がん細胞に由来する腫瘍は、減少した免疫応答性を示し、従って、「非炎症性腫瘍」と名付けられた。非炎症性腫瘍は、単独の抗CTLA-4 IR700コンジュゲート(CTLA4-IR700)、または抗PD-1免疫チェックポイント阻害物質と組み合わせられた抗CTLA-4 IR700コンジュゲート(CTLA4-IR700+抗PD1)の処置に対して抵抗性であった。
図4図4Aは、減少した免疫応答性を示す「非炎症性」腫瘍の、単独の抗CTLA-4 IR700コンジュゲート、および抗CTLA-4 PITに対する抵抗性を示す。対照群(生理食塩水)と比較して、単独(照射なし)の抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(CTLA4-IR700)も、抗CTLA-4 PIT(CTLA4-IR700 PIT)も、腫瘍の成長を低下させなかった(図4A)。図4Bは、抗CTLA-IR700 PIT(CTLA4-IR700 PIT;実線)が、生理食塩水(点線)または照射なしの抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(CTLA4-IR700;破線)と比較して、「非炎症性」4T1腫瘍保持マウスの生存を改善したことを示す。
図5】抗CTLA-4 PIT(CTLA-4-PIT)が、4T1由来の「非炎症性」腫瘍を抗PD-1抗体処置に対して感作したことを示す。
図6】抗CTLA-4-IR700 PIT(CTLA-4 PIT)が、未照射の遠位の非炎症性腫瘍を抗PD-1抗体による処置に対して感作したことを示す。単独の抗CTLA-4 PIT(CTLA-4 PIT)は、非炎症性腫瘍の成長に対して実質的な阻害効果を示さなかったが、その腫瘍を抗PD-1処置に対して感作した(CTLA-4 PIT+抗PD1)。
図7】抗PD-1(抗CTLA-4)と組み合わせられた抗CTLA-4 PITの、未照射の遠位の非炎症性腫瘍に対するアブスコパル効果が、全身制御性T細胞の低下を必要としなかったことを示す(*:p<0.001)。
図8図8A~8Bは、処置の2時間後(図8A)および7日後(図8B)の、生理食塩水または単独の抗CTLA4-IR700コンジュゲート(CTLA-4-IR700)の投与と比較した、抗CTLA-4-PIT(CTLA-4 PIT)に応答して起こったインビボの腫瘍内制御性T細胞(Treg)の枯渇を示す。単独の抗CTLA4-IR700コンジュゲート(CTLA-4-IR700)の投与は、2時間後には、生理食塩水対照と比較して、腫瘍内Tregのパーセンテージを有意に減少させなかったが(図8A)、処置の7日後には、腫瘍内Tregの枯渇が観察された(図8B)。
図9図9A~9Bは、生理食塩水処置と比較した、処置の2時間後(図9A)および7日後(図9B)の、抗CTLA-4-PIT(CTLA-4 PIT)に応答して起こったインビボの腫瘍内CD8+T細胞:制御性T細胞(CD8+:Treg)比の増加を示す。単独の抗CTLA4-IR700コンジュゲート(CTLA-4-IR700)の投与は、2時間後には、CD8+:Treg比を増加させなかったが(図9A)、処置の7日後には、CD8+:Treg比の増加が観察された(図9B)。
図10】生理食塩水または単独の抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(CTLA-4-IR700)の投与と比較した、抗CTLA-4-PIT(CTLA-4-PIT)の2時間後のインビボの腫瘍内活性化CD8+T細胞(CD3+CD8+CD25+)の増加を示す。
図11図11A~11Bは、生理食塩水または単独の抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(CTLA-4-IR700)の投与と比較した、抗CTLA-4-IR700 PIT(CTLA-4 PIT)の7日後のインビボの腫瘍内CD8+T細胞活性化(CD45+細胞のうちのCD3+CD8+Ki-67+のパーセント;図11A、およびCD45+細胞のうちのCD3+CD8+CD69+のパーセント;図11B)の持続性の増加を示す。
図12図12A~12Bは、生理食塩水または単独の抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(CTLA-4-IR700)の投与と比較した、抗CTLA-4-IR700 PIT(CTLA-4 PIT)の7日後のインビボの腫瘍内活性化ナチュラルキラー(NK)細胞(CD45+細胞のうちのCD49b+CD3-Ki-67+のパーセント;図12A、およびCD45+細胞のうちのCD49b+CD3-CD69+のパーセント;図12B)の増加を示す。
図13】腫瘍特異的抗原によってプライミングされた後の、100:1、33:1、11:1、3.7:1、1.23:1、および0.41:1(または無関係の腫瘍細胞については100:1)のエフェクター:標的比での、抗CTLA-4-IR700および照射(CTLA-4 PIT)または単独の抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(CTLA-4-IR700)によって処置された完全応答(CR)マウスから得られた脾細胞とのインキュベーションの後のCT26腫瘍細胞または無関係の腫瘍細胞に対する細胞傷害性を示す。
図14図14A~14Bは、抗CTLA-4-IR700 PIT後にマウスにおいて確立された抗腫瘍全身免疫を示す。結果は、未感作動物(図14A)、および以前に確立された腫瘍が抗CTLA-4-IR700 PITによって処置された後に腫瘍細胞によって再チャレンジされた完全応答(CR)マウス(図14B)における腫瘍成長を示した。
【発明を実施するための形態】
【0074】
詳細な説明
腫瘍または病変、例えば、非炎症性腫瘍、ならびに/または以前の治療的処置、例えば、以前の免疫チェックポイント阻害物質処置およびその他の以前の抗がん治療的処置に対して非応答性もしくは抵抗性である腫瘍もしくは病変を有する対象を処置するための組成物、組み合わせ、および方法が、本明細書において提供される。いくつかの局面において、提供された態様は、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)と結合しIR700などのフタロシアニン色素とコンジュゲートされたターゲティング分子の、対象への投与を含む。いくつかの局面において、提供された態様は、腫瘍または病変の部位の照射を含む。いくつかの局面において、照射は、表面にCTLA-4を発現する細胞の死をもたらす。いくつかの局面において、方法は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートと組み合わせた、免疫調整物質、例えば、免疫チェックポイント阻害物質の投与も含む。
【0075】
いくつかの局面において、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IR700とコンジュゲートされた抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片)、および、いくつかの場合において、免疫調整物質、例えば、免疫チェックポイント阻害物質は、提供された方法および使用において、例えば、がんの処置のための提供された方法および使用において用いられる。使用には、例えば、方法、処置、または処置計画における、組成物および組み合わせの治療的使用が含まれる。使用には、そのような方法および処置における組成物および組み合わせの使用、ならびにそのような治療方法を実施するための医薬の調製におけるそのような組成物および組み合わせの使用が含まれる。いくつかの態様において、方法および使用は、それによって、対象におけるがん、例えば、原発性腫瘍、転移性腫瘍細胞、および/または侵襲性腫瘍細胞を含むがん、例えば、侵襲性がん、浸潤性がん、または転移性がんを処置する。対象、例えば、がんまたは腫瘍、例えば、侵襲性がん、浸潤性がん、または転移性がんを有する対象において、増強された応答、例えば、処置または治療に対する増強された応答を生成するための組成物、組み合わせ、および方法も提供される。いくつかの局面において、対象における免疫機能、例えば、局所免疫および全身免疫の増強、誘発、強化、ブースティング、または支持における、そのような組成物および組み合わせの方法および使用も提供される。いくつかの局面において、全身免疫応答を誘発する方法が提供される。いくつかの局面において、局所免疫応答を誘発する方法が提供される。
【0076】
提供された組成物、組み合わせ、方法、および使用は、1つもしくは複数の第1の腫瘍もしくは第1の病変、および/または1つもしくは複数の第2の腫瘍もしくは第2の病変、例えば、原発性腫瘍、転移性腫瘍細胞、および/または侵襲性腫瘍細胞を含むがんを処置するために使用され得る。いくつかの態様において、CTLA-4と結合するターゲティング分子とコンジュゲートされたフタロシアニン色素が、単独で、または免疫チェックポイント阻害物質と組み合わせて使用される。本明細書に記載された方法および使用は、がん、例えば、転移性がんおよび/または侵襲性がんの処置における様々な利点、例えば、転移性腫瘍細胞および/もしくは侵襲性腫瘍細胞の位置を特定し、かつ/またはそれらを直接的に照射する必要がないという利点を提供する。本開示は、例えば、がん再発に対する、対象における全身免疫の増強という予想外の特徴も提供する。
【0077】
提供された態様は、いくつかの状況において、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート、例えば、抗CTLA-4抗体-IR700コンジュゲートによるがんの処置、およびその後の第1の(例えば、原発性の)腫瘍の照射が、第1の腫瘍の処置をもたらすのみならず、照射部位から遠位の腫瘍(例えば、転移した腫瘍)の有効な処置ももたらし、腫瘍特異的免疫記憶応答を示す、最初の腫瘍の処置の後に対象が完全応答を有した後に導入された腫瘍の有効な処置ももたらすという観察に基づく。驚くべきことに、この応答は、他の治療によって観察される全身制御性T細胞(Treg)の枯渇に依存しない。提供された態様は、抗CTLA4抗体-IR700コンジュゲートと免疫チェックポイント阻害物質、例えば、抗PD-1抗体とによる組み合わせ処置が、照射された第1の腫瘍においても、遠位腫瘍または後に導入された腫瘍、例えば、関係のある腫瘍細胞の二次集団を含む腫瘍、転移性腫瘍、および/または侵襲性腫瘍の処置においても、著しい相乗効果をもたらすというさらなる観察に基づく。従って、提供された組成物、組み合わせ、方法、および使用は、全身Tregを枯渇させることなく、がん、例えば、原発性腫瘍もしくは多発性原発性腫瘍を含み、転移性腫瘍細胞も含むがん、例えば、転移性がん;ならびに/または原発性腫瘍もしくは多発性原発性腫瘍を含み、侵襲性腫瘍細胞も含むがん、例えば、侵襲性がんの実質的に改善された有効な処置を提供することが証明される。提供された組成物、組み合わせ、方法、および使用は、対象の免疫応答、例えば、がんに対する全身免疫応答、例えば、処置後に発達し得る腫瘍に対して有効であり得る免疫記憶応答の増強または改善をもたらし得る。
【0078】
がん患者の処置における大きい課題のうちの1つが、治療薬に対するがんの応答性の欠如である。そのようながんを処置するための組成物および方法が、緊急に必要とされている。提供された態様は、いくつかの状況において、「非炎症性」腫瘍として分類される腫瘍、ならびに以前の治療的処置、例えば、免疫チェックポイント阻害物質、抗がん剤、または免疫サプレッサー細胞に対する分子に対して非応答性である腫瘍および腫瘍細胞について、(「光免疫治療」および「PIT」とも呼ばれる)フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート、例えば、抗CTLA-4コンジュゲートによる処置、およびその後の腫瘍部位における照射が、腫瘍成長の実質的な阻害をもたらすという観察に基づく。さらに、免疫調整治療、例えば、免疫チェックポイント阻害物質との組み合わせによって、いずれかの因子単独よりも大きい、腫瘍の成長に対する阻害効果が観察され得る。
【0079】
本明細書において使用されるように、「抗CTLA-4コンジュゲート」とは、フタロシアニン色素と連結されたCTLA-4ターゲティング分子を有するコンジュゲートをさし得る。CTLA-4ターゲティング分子には、CTLA-4結合分子、例えば、抗CTLA-4抗体もしくは抗体断片(例えば、抗原結合断片)、またはCTLA-4と結合するその他のタンパク質、ペプチド、もしくは低分子が含まれ得る。抗CTLA-4コンジュゲートは、Si-フタロシアニン色素、例えば、IR700色素を含み得る。
【0080】
本明細書において使用されるように、抗CTLA-4コンジュゲートによる処置または抗CTLA-4コンジュゲートの投与の後には、一般に、適切な光の波長を用いる照射が行われ、そのような照射は、照射工程が方法において実施されないと特記されない限り、抗CTLA-4コンジュゲートの処置および投与の一部であると想定されるべきである。
【0081】
本明細書中の組成物、組み合わせ、および方法は、以前の治療的処置、例えば、免疫調整物質、免疫チェックポイント阻害物質、抗がん剤、または免疫サプレッサー細胞に対して作用する治療用物質に対して、低い応答性を有するか、または実質的に非応答性であるがんを処置するために使用され得る。以前の処置に対して抵抗性、例えば、免疫チェックポイント阻害物質による処置に対して抵抗性のがんを処置するための組成物、組み合わせ、および方法も、提供される。処置された対象において免疫応答、例えば、局所免疫応答および/または全身免疫応答を誘発するための組成物、組み合わせ、および方法が、さらに提供される。本明細書中の組成物、組み合わせ、および方法は、「非炎症性」の腫瘍および病変を処置するために使用され得る。
【0082】
本明細書に記載される方法は、がんの処置における様々な利点、例えば、以前の治療的処置に対して非応答性であるがんの有効な処置を提供する。利点のうちの1つには、転移性腫瘍細胞および/もしくは侵襲性腫瘍細胞の位置を特定し、かつ/またはそれらを直接的に照射する必要のない、転移性がんおよび/または侵襲性がんの処置が含まれる。提供された方法および組成物は、例えば、腫瘍細胞および腫瘍微小環境内の細胞に対して、対象における局所免疫および全身免疫を誘発することもできる。
【0083】
腫瘍またはがん性病変、例えば、原発性腫瘍または多発性原発性腫瘍および転移性腫瘍細胞を含むがんを処置するための組成物、組み合わせ、および方法が、本明細書において提供される。いくつかの場合において、処置される対象は、1つまたは複数の第1の腫瘍(例えば、原発性腫瘍)、転移性腫瘍細胞、および侵襲性腫瘍細胞を有し得る。
【0084】
いくつかの例において、腫瘍は、免疫抑制表現型を有する「非炎症性腫瘍」であり得る。そのような非炎症性腫瘍は、腫瘍内CD8+Tエフェクター細胞の数および/もしくは活性の実質的な低下もしくは欠如、ならびに/または腫瘍内免疫サプレッサー細胞の数および/もしくは活性の実質的な増加を含むが、これらに限定されるわけではない特徴を有し得る。いくつかの場合において、非炎症性の腫瘍または病変は、高い腫瘍遺伝子変異量(TMB)、低い免疫応答性を示す免疫スコア、低い免疫応答性を示すプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)マーカーまたはプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)マーカーの状態を有する。いくつかの例において、非炎症性の腫瘍または病変は、PD-1阻害物質またはPD-L1阻害物質による単独治療に応答しない。
【0085】
いくつかの態様において、非炎症性の腫瘍または病変は、抗CTLA-4コンジュゲートによって処置され得る。いくつかの態様において、抗CTLA-4コンジュゲートと免疫チェックポイント阻害物質、例えば、抗PD-1抗体とによる組み合わせ処置は、照射された第1の(例えば、原発性の)腫瘍、および未照射の遠位腫瘍の両方の成長に対して著しい阻害効果をもたらす。
【0086】
さらに、免疫調整治療による処置、例えば、免疫チェックポイント阻害物質(例えば、抗PD-1抗体)による処置に対して抵抗性または非応答性である腫瘍について、抗CTLA-4コンジュゲートと免疫チェックポイント阻害物質、例えば、抗PD-1抗体とによる組み合わせ処置は、照射された第1の腫瘍、および遠位腫瘍の両方の成長に対して予想外の阻害効果をもたらし、このことは、がんおよび腫瘍細胞の処置における免疫チェックポイント阻害物質に対する抗CTLA-4コンジュゲート処置の感作効果を示している。
【0087】
提供された組成物、組み合わせ、および方法は、がん、例えば、第1の腫瘍もしくは病変、および/または第2の腫瘍もしくは病変、例えば、原発性腫瘍および転移性がんの有効な処置を提供する。本明細書において提供された方法は、腫瘍またはがんのための以前の治療的処置に対して非応答性または抵抗性の対象を抗CTLA-4コンジュゲートによって処置する工程、および、コンジュゲートの投与の後に、フタロシアニン色素と共に使用するために適した光波長を用いて第1の腫瘍を照射する工程を含む。方法のいくつかの態様は、抗CTLA-4コンジュゲートの投与の前に、同時に、または後に、免疫調整物質、例えば、免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程を含む。提供された組成物、組み合わせ、および方法は、抵抗性もしくは非応答性の腫瘍、ならびに/または非炎症性腫瘍、例えば、原発性非炎症性腫瘍および転移性非炎症性腫瘍を、免疫調整物質に対して感作することができる。
【0088】
本願において言及された特許書類、科学文献、およびデータベースを含む刊行物は、全て、個々の刊行物が各々個別に参照により組み入れられるのと同じ程度に、事実上、参照によりその全体が組み入れられる。本明細書に記載の定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開された出願、およびその他の刊行物に記載の定義に反するかまたはその他の方法で一致しない場合には、本明細書に記載の定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義より優先される。
【0089】
本明細書において使用されるセクションの見出しは、系統立てるためのものに過ぎず、記載された主題を限定するものと解釈されてはならない。
【0090】
I.抗CTLA-4コンジュゲートによる処置の方法および抗CTLA-4コンジュゲートの使用
いくつかの態様において、方法は、抗CTLA-4コンジュゲートを投与する工程、および、光が色素を励起させ、細胞死滅をもたらすよう、フタロシアニン色素と共に使用するために適した光の波長を用いて、腫瘍または(腫瘍微小環境;TMEとも呼ばれる)腫瘍の微小環境またはTME内に存在する細胞を照射する工程を含む。そのような方法は、病変(例えば、腫瘍)の低下もしくは除去、腫瘍成長の低下もしくは阻害、腫瘍細胞侵襲の低下、阻害、もしくは除去、腫瘍細胞転移の低下、阻害、もしくは除去、侵襲性腫瘍細胞の低下、阻害、もしくは除去、転移性腫瘍細胞の低下、阻害、もしくは除去、またはそれらの任意の組み合わせをもたらす。いくつかの態様において、がん、例えば、第1の腫瘍または多発性の第1の腫瘍(例えば、1つまたは複数の原発性腫瘍)を含むがんの治療または処置のための、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、抗CTLA-4抗体-IR700コンジュゲート)を含有しターゲティング分子がCTLA-4と結合する組成物の使用のための方法および使用が提供され、第1の腫瘍においても、がん細胞の二次集団、例えば、転移性腫瘍細胞(例えば、転移性がん)、侵襲性腫瘍細胞(例えば、侵襲性がん)、浸潤性腫瘍細胞(例えば、浸潤性がん)、および/または1つもしくは複数の第2の腫瘍もしくは病変においても、光免疫治療をもたらすため、第1の腫瘍が照射によって処置される。いくつかの態様において、がん細胞の二次集団は、第1の腫瘍と関係があり、例えば、第1の腫瘍に直接的または間接的に由来する。いくつかの態様において、細胞の二次集団は、第1の腫瘍に直接的に由来せず、関係がない。
【0091】
方法のいくつかの態様において、第1の腫瘍(例えば、原発性腫瘍)の成長が阻害されるか、第1の腫瘍の体積が低下するか、または腫瘍の成長および体積の両方が低下する。方法のいくつかの態様において、単独治療、例えば、コンジュゲートのみの投与、コンジュゲートの投与後の照射のみ、または免疫調整物質、例えば、免疫チェックポイント阻害物質(例えば、抗PD-1抗体)のみの投与と比較して、第1の腫瘍の成長が阻害されるか、1つの第1の腫瘍の体積もしくは複数の第1の腫瘍が低下するか、または腫瘍の成長および体積の両方が低下する。
【0092】
いくつかの局面において、方法は、対象における免疫応答を誘発する。いくつかの態様において、誘発される免疫応答は、全身免疫応答である。いくつかの態様において、誘発される免疫応答は、処置の領域に限局性である(例えば、局所免疫応答)。いくつかの態様において、提供された方法は、局所免疫応答および全身免疫応答を誘発する。いくつかの局面において、提供された方法によって誘発される免疫応答。
【0093】
いくつかの局面において、方法は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートと組み合わせた、免疫調整物質、例えば、免疫チェックポイント阻害物質(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片)の投与も含む。いくつかの局面において、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートと免疫チェックポイント阻害物質(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片)との組み合わせは、提供された方法および使用において、例えば、がんの処置のための提供された方法および使用において用いられる。いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体-IR700コンジュゲートの投与およびその後の照射(例えば、抗CTLA-4-IR700 PIT)は、処置された(照射された)腫瘍を抗PD-1治療に対して感作する。いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体-IR700コンジュゲートの投与およびその後の照射(例えば、抗CTLA-4-IR700 PIT)。いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体-IR700コンジュゲートの投与およびその後の照射(例えば、抗CTLA-4-IR700 PIT)は、処置された(照射された)腫瘍および1つまたは複数の遠位の(未照射の)腫瘍を抗PD-1治療に対して感作する。そのような態様のいずれかにおいて、抗CTLA-4 PITおよび抗PD-1治療は相乗的である。
【0094】
使用には、そのような方法および処置における組成物および組み合わせの使用、ならびにそのような治療方法を実施するための医薬の調製におけるそのような組成物および組み合わせの使用が含まれる。いくつかの態様において、方法および使用は、それによって、対象におけるがん、例えば、腫瘍を含むがん、ならびに原発性腫瘍または非原発性腫瘍である第1の腫瘍を含むがん、ならびに腫瘍細胞の1つまたは複数の二次集団(例えば、転移性腫瘍細胞および/または侵襲性腫瘍細胞)、例えば、転移性がんおよび/または侵襲性がんを処置する。いくつかの態様において、二次腫瘍細胞は、第1の腫瘍と関係がある。方法および使用のいくつかの態様において、複数の腫瘍が処置される。いくつかの局面において、対象における免疫機能、例えば、全身免疫の増強、ブースティング、強化、強力化、増加、ブースティング、または支持における、そのような組成物および組み合わせの方法および使用も提供される。
【0095】
抗CTLA-4抗体は、がんを処置するために使用されているが、その成功は限定されている。裸のCTLA-4抗体は、一般的に、チェックポイント阻害によるCD8 T細胞の活性化を通して抗がん活性を誘導すると考えられている。これらの抗体自体は、制御性T細胞(Treg)を枯渇させない。それらの効果は、主に、チェックポイント阻害を通したものである(PD-1阻害物質およびPD-L1阻害物質と類似)。
【0096】
例えば、フタロシアニン色素とコンジュゲートされた抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片を含む、本明細書中の抗CTLA-4コンジュゲートの組成物は、異なる機序を通して機能する。裸の抗体分子と同様に、これらのコンジュゲートは、CD8+T細胞を活性化することができる。しかしながら、照射と併用された時、抗CTLA-4コンジュゲートは、腫瘍内Treg細胞を枯渇させることができ、これは、裸のコンジュゲートされていないCTLA-4抗体による処置においては存在しない機能性である。
【0097】
抗CTLA-4コンジュゲートを含む方法および組成物が、本明細書において提供される。そのような組成物および方法は、Treg枯渇が腫瘍または腫瘍微小環境(TME)に対する処置の有効性を増加させる状況において、有効な処置を提供することができる。いくつかの場合において、腫瘍またはTMEにおけるTreg細胞の枯渇は、腫瘍細胞の壊死をもたらす。いくつかの態様において、Treg枯渇は、腫瘍内で起こり、全身的には起こらない。
【0098】
いくつかの態様において、本明細書中の方法および組成物は、非炎症性腫瘍、例えば、CD8+Tエフェクター細胞の数および/もしくは活性の低下もしくは欠如、ならびに/または免疫サプレッサー細胞、例えば、制御性T細胞(Treg)、骨髄系由来サプレッサー細胞、M2マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、もしくはそれらの組み合わせの数および/もしくは活性の増加を含む免疫抑制表現型を有する腫瘍またはTME内の細胞を処置するために有効である。抗CTLA4コンジュゲートは、照射後に、免疫抑制Tregおよび骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)を除去することができ、結果として、腫瘍の成長が低下するか、または阻害される。
【0099】
いくつかの態様において、本明細書中の方法および組成物は、より低い免疫応答性を示す腫瘍、例えば、免疫治療に対して非応答性である腫瘍(例えば、免疫チェックポイント阻止に対する低下した応答性)、高レベルの免疫抑制細胞型(例えば、制御性T細胞)を含有する腫瘍、低レベルの細胞傷害性免疫細胞(例えば、CD8+T細胞および/もしくはナチュラルキラー細胞)を含有する腫瘍、またはそれらの任意の組み合わせの処置において有効である。いくつかの態様において、本明細書中の方法および組成物は、より小さい腫瘍より、サイズが大きく、大きい免疫抑制を示し、例えば、増加したレベルの制御性T細胞を含有する腫瘍を処置するために有効である。そのような腫瘍は、他の処置に対して、例えば、免疫チェックポイント阻害物質(例えば、裸のCTLA-4抗体、裸のPD-1抗体、もしくは裸のPD-L1抗体)による処置、または他の抗体もしくは抗体コンジュゲートによる処置に対して低応答性または非応答性であり得る。より大きい腫瘍の成長を阻害するか、または実質的に低下させるための抗CTLA-4-IR700 PITの有効性は、これらの腫瘍の阻害または成長の低下を提供しない裸の抗CTLA4抗体または単独のコンジュゲートによる処置と、それを差別化する。
【0100】
A.以前の治療的処置に対して非応答性である腫瘍または腫瘍細胞を処置するための方法および組成物
いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害物質、抗がん剤、および/または免疫サプレッサー細胞に対する治療用物質による1つまたは複数の以前の処置に失敗しているか、またはそれらに対して非応答性であるがんの治療または処置のための、抗CTLA-4コンジュゲート、例えば、ターゲティング分子がCTLA-4と結合するフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、抗CTLA-4抗体-IR700コンジュゲート)を含有する方法および組成物が提供される。がんには、第1の腫瘍もしくは多発性の第1の腫瘍が含まれ、転移性腫瘍細胞、例えば、転移性がんも含まれ;または第1の腫瘍もしくは多発性の第1の腫瘍を含み、侵襲性もしくは転移性の腫瘍細胞も含むがん、例えば、侵襲性がんもしくは転移性がんも含まれる。
【0101】
そのような方法および使用は、例えば、CTLA-4コンジュゲート(例えば、フタロシアニン色素とコンジュゲートされた抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片)の、腫瘍または腫瘍細胞を有する対象への投与、ならびにその後のフタロシアニン色素のための適切な光波長および光線量を使用した、腫瘍(例えば、第1の腫瘍もしくは原発性腫瘍)もしくは腫瘍性細胞の部位または腫瘍の微小環境における照射を含む。いくつかの局面において、照射は、標的分子(例えば、CTLA-4)を発現する細胞の照射依存性の溶解および死をもたらし、それが、治療的効果またはがんの処置をもたらす。いくつかの場合において、CTLA-4を発現するTME内の細胞(例えば、Treg細胞)が死滅し、従って、TMEから迅速に枯渇し、結果として、腫瘍細胞の壊死が起こり得る。
【0102】
いくつかの局面において、方法は、抗CTLA-4コンジュゲートと組み合わせた、免疫調整物質、例えば、免疫チェックポイント阻害物質の投与も含む。いくつかの局面において、そのような組み合わせは、がん、腫瘍、またはがん性病変の処置のために用いられる。いくつかの態様において、方法は、抗CTLA-4コンジュゲート(例えば、フタロシアニン色素とコンジュゲートされた抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片)の投与の前の、同時の、または後の、免疫調整物質、例えば、免疫チェックポイント阻害物質の投与を含む。そのような方法において、原発性腫瘍、侵襲性腫瘍細胞、および転移性腫瘍細胞が、免疫調整物質による処置に対して感作され得る。そのような方法において、原発性腫瘍、侵襲性腫瘍細胞、および転移性腫瘍細胞の成長が、阻害されるか、低下するか、もしくは除去され得、かつ/または1つもしくは複数の腫瘍の体積が、低下する。
【0103】
そのような組み合わせ処置の結果としての感受性の増加には、腫瘍成長の阻害の低下、腫瘍細胞の侵襲および/もしくは転移の低下、腫瘍細胞死滅の増加、全身免疫応答の増加、新たなT細胞プライミングの増加、腫瘍内CD8+T細胞の多様性の増加、腫瘍内CD8+Tエフェクター細胞の数および/もしくは活性の増加、腫瘍内制御性T細胞の数および/もしくは活性の減少、腫瘍内骨髄系由来サプレッサー細胞の数および/もしくは活性の減少、腫瘍内腫瘍関連線維芽細胞の数および/もしくは活性の減少、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。
【0104】
いくつかの局面において、がん、腫瘍、または腫瘍細胞が応答性でない以前の治療的処置は、免疫チェックポイント阻害物質による処置であり得る。以前の免疫チェックポイント阻害物質は、PD-1阻害物質、PD-L1阻害物質、またはそれらの組み合わせであり得る。以前の免疫チェックポイント阻害物質は、低分子阻害物質、抗体阻害物質、または免疫チェックポイントタンパク質と結合し、それを阻害するその他の分子であり得る。いくつかの局面において、以前の免疫チェックポイント阻害物質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片であり得る。いくつかの局面において、以前の免疫チェックポイント阻害物質は、抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片であり得る。例えば、PD-1に対する抗体阻害物質には、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(TSR-042)、チスレリズマブ(BGB-A317)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(CT-011)、ゲノリムズマブ(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、TSR-042(ANB011)のいずれかが含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。PD-L1に対する抗体阻害物質には、例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A、TECENTRIQ、RG7446)、アベルマブ(BAVENCIO、MSB0010718C;M7824)、デュルバルマブ(MEDI4736、IMFINZI)、LDP、NM-01、STI-3031(IMC-001;STI-A1015)、KN035、LY3300054、M7824(MSB0011359C)、BMS-936559、MSB2311、BCD-135、BGB-A333、CBT-502(TQB-2450)、コシベリマブ(CK-301)、CS1001(WPB3155)、FAZ053、MDX-1105、SHR-1316(HTI-1088)、TG-1501、ZKAB001(STI-A1014)、INBRX-105、MCLA-145、KN046、LY3415244、REGN3504、HLX20のいずれかが含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。
【0105】
いくつかの局面において、がん、腫瘍、または腫瘍細胞が応答性でない以前の治療的処置は、免疫調整物質、例えば、サイトカイン、例えば、アルデスロイキン(PROLEUKIN)、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b(Intron A)、ペグインターフェロンα-2b(SYLATRON/PEG-Intron)、もしくはIFNAR1/2経路、IL-2/IL-2R経路を標的とするサイトカイン、またはアジュバント、例えば、ポリICLC(HILTONOL/イミキモド)、4-1BB(CD137;TNFRS9)、OX40(CD134)、OX40リガンド(OX40L)、トール様受容体2アゴニストSUP3、トール様受容体TLR3およびTLR4のアゴニスト、ならびにトール様受容体7(TLR7)経路を標的とするアジュバント、TNFRスーパーファミリーおよびTNFスーパーファミリーのその他のメンバー、その他のTLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、およびTLR4アゴニストによる処置であり得る。
【0106】
いくつかの局面において、がんが応答性でない以前の治療的処置には、抗がん剤の使用が含まれる。以前の抗がん剤は、化学療法剤、抗体処置、および/または放射線治療剤のうちの1つまたは複数であり得る。
【0107】
いくつかの局面において、がんが応答性でない以前の治療的処置には、免疫サプレッサー細胞を標的とする治療用物質の使用が含まれる。前記物質は、抗体、例えば、制御性T細胞を標的とする抗CD25抗体;低分子阻害物質、またはそれらの組み合わせであり得る。免疫サプレッサー細胞には、制御性T細胞、M2マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0108】
B.抗CTLA-4コンジュゲート治療および抗CTLA-4コンジュゲート組み合わせ治療の腫瘍標的および腫瘍細胞標的
本明細書に記載された方法は、抗CTLA-4コンジュゲート(例えば、フタロシアニン色素とコンジュゲートされた抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片)を投与する工程、および細胞の死滅、例えば、CTLA-4を発現する細胞の標的特異的な死滅を達成するため、コンジュゲートのフタロシアニン色素部分を活性化する光の波長を用いて、対象における第1の腫瘍もしくは病変、または第1の腫瘍もしくは病変の部位、または第1の腫瘍もしくは病変の腫瘍微小環境(TME)を照射する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書において提供された方法および使用は、1つまたは複数の第1の腫瘍を有する対象の処置を含む。対象は、1つ、2つ、3つ、または3つ超の第1の(例えば、原発性の)腫瘍を有し得る。そのような腫瘍は、1つまたは複数の組織または器官、例えば、1つの組織もしくは器官、2つの異なる組織もしくは器官、3つの異なる組織もしくは器官、または3つ超の異なる組織もしくは器官にあってよい。
【0109】
いくつかの局面において、第1の腫瘍とは、対象における第1の、原発性の、または最初の腫瘍をさすことができ;第1の腫瘍とは、本明細書において提供された方法および使用による照射のために選択された1つまたは複数の腫瘍をさすこともできる。いくつかの態様において、第1の腫瘍は、原発性腫瘍と同義である。いくつかの態様において、1つの第1の腫瘍または複数の第1の腫瘍は、固形腫瘍であってもよいか、リンパ腫であってもよいか、または白血病であってもよい。腫瘍は、肺、胃、肝臓、膵臓、乳腺、食道、頭頸部、脳、末梢神経、皮膚、小腸、結腸、直腸、肛門、卵巣、子宮、膀胱、前立腺、脂肪組織、骨格筋、平滑筋、血管、骨、骨髄、眼、舌、リンパ節、脾臓、腎臓、子宮頸部、男性生殖器、女性生殖器、精巣、または原発起源不明の腫瘍であり得る。
【0110】
いくつかの態様において、本明細書において提供された方法および使用は、第1の腫瘍を有し、かつ腫瘍細胞の二次集団、例えば、侵襲性および/もしくは転移性の腫瘍細胞、または1つもしくは複数の第2の腫瘍も有する対象の処置を含む。方法は、第1の腫瘍および関係のある腫瘍細胞の二次集団、例えば、侵襲性および/または転移性の腫瘍細胞を有する対象へ、ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程、ならびに、コンジュゲートの投与の後に、選択されたフタロシアニン色素のために適した波長を用いて第1の腫瘍を照射する工程を含む。そのような態様のいくつかにおいて、腫瘍細胞の二次集団は、直接的に照射されない。抗CLTA-4コンジュゲートおよび照射(抗CTLA-4 PIT)による(単独の、または組み合わせられた)処置による本明細書中の方法のいくつかの態様において、原発性の/第1の(照射された)腫瘍もしくは追加の(未照射の)腫瘍の成長が阻害されるか;第1の(照射された)腫瘍もしくは追加の腫瘍のサイズ(例えば、体積、大きさ、もしくは質量)が低下するか;または腫瘍の成長およびサイズ(例えば、体積、大きさ、もしくは質量)の両方が阻害されるか、もしくは低下する。
【0111】
いくつかの態様において、方法は、コンジュゲートの投与の前に、同時に、または後に、免疫チェックポイント阻害物質、例えば、抗PD-1抗体を投与する工程を含む。そのような方法において、第1の腫瘍および/もしくは腫瘍細胞の二次集団もしくは1つもしくは複数の第2の腫瘍、例えば、転移性腫瘍細胞の成長(体積、大きさ、もしくは質量)が阻害されるか、低下するか、もしくは除去されるか、第1の腫瘍および/もしくは細胞の二次集団もしくは1つもしくは複数の第2の腫瘍のうちの1つもしくは複数の体積、大きさ、もしくは質量が低下するか、またはそれらの任意の組み合わせが起こる。いくつかの態様において、第1の腫瘍および/または二次集団または1つもしくは複数の第2の腫瘍の阻害は、コンジュゲートのみの投与、コンジュゲートの投与後の照射のみ、または抗PD-1抗体のみの投与によって達成される阻害より大きい程度にもたらされる。いくつかの態様において、阻害は、腫瘍が腫瘍体積、腫瘍大きさ、もしくは質量の20%未満の増加を示すか;腫瘍の体積、大きさ、もしくは質量の変化を示さないか(即ち、腫瘍の成長もしくは進行の停止);または腫瘍の体積、大きさ、もしくは質量が低下するか;または腫瘍細胞の数の低下が存在する場合に達成される。
【0112】
本明細書中の方法および使用のいずれかにおいて、第1の腫瘍は、原発性腫瘍または二次腫瘍であり得る。いくつかの態様において、第1の腫瘍および二次集団は、関係がある。いくつかの態様において、細胞の二次集団は、第1の腫瘍に直接的または間接的に由来する。いくつかの態様において、細胞の二次集団は、1つまたは複数の第2の腫瘍または第2の病変を含む。いくつかの態様において、二次集団は、第1の腫瘍に由来しない。いくつかの態様において、第1の腫瘍は原発性腫瘍であり、細胞の二次集団はその原発性腫瘍と関係がある;例えば、細胞の二次集団は、原発性腫瘍に直接的または間接的に由来する。いくつかの態様において、第1の腫瘍は原発性腫瘍であり、腫瘍細胞の二次集団は、第2の原発性腫瘍である。いくつかの態様において、第1の腫瘍は二次腫瘍であり、細胞の二次集団は、その二次腫瘍と関係がある。いくつかの局面において、腫瘍の二次集団は、原発性腫瘍から発生し、局所もしくは遠位の健常組織に侵襲した細胞(即ち、侵襲性腫瘍細胞)、または原発性腫瘍を有する対象の体内の遠位の組織もしくは器官、例えば、原発性腫瘍から遠くにもしくは離れて位置している組織もしくは器官に拡散した細胞(即ち、転移性腫瘍細胞)を含む。いくつかの局面において、腫瘍細胞の二次集団は、侵襲性かつ転移性である。いくつかの局面において、腫瘍細胞の二次集団は浸潤性である。いくつかの局面において、腫瘍細胞の二次集団は、転移性であり、第1の腫瘍と直接的または間接的に関係があり、例えば、第1の腫瘍に由来する。他の局面において、腫瘍細胞の二次集団は、転移性であり、第1の腫瘍と直接的に関係がない。転移性腫瘍細胞は、肺、胃、肝臓、膵臓、乳腺、食道、頭頸部、脳、末梢神経、皮膚、小腸、結腸、直腸、肛門、卵巣、子宮、膀胱、前立腺、脂肪組織、骨格筋、平滑筋、血管、骨、骨髄、眼、舌、リンパ節、脾臓、腎臓、子宮頸部、男性生殖器、女性生殖器、精巣、血液、骨髄、脳脊髄液、またはその他の組織もしくは器官の1つまたは複数の位置に位置し得る。いくつかの態様において、転移性腫瘍細胞は、固形腫瘍に含有されている。いくつかの態様において、転移性腫瘍細胞は、循環腫瘍細胞であるか、液性腫瘍であるか、または腫瘤に関連していない。
【0113】
いくつかの態様において、本明細書において提供された方法および使用は、1つまたは複数の第1の腫瘍を有し、かつ侵襲性または転移性の腫瘍細胞も有する対象の処置、例えば、第1の腫瘍に起因する細胞が周囲の組織に侵襲した時の処置を含む。いくつかの態様において、本明細書において提供された方法および使用は、1つまたは複数の第1の腫瘍を有し、かつ1つまたは複数の第2の腫瘍または病変も有する対象の処置を含む。いくつかの態様において、第1の腫瘍は原発性腫瘍であり、侵襲性腫瘍細胞は第1の腫瘍に直接的または間接的に由来する。いくつかの態様において、侵襲性腫瘍細胞は、第1の腫瘍に直接的に由来しない。方法は、第1の腫瘍および侵襲性腫瘍細胞を有する対象へ抗CTLA-4コンジュゲートを投与する工程、および、コンジュゲートの投与の後に、選択されたフタロシアニン色素のために適した波長を用いて第1の腫瘍を照射する工程を含む。いくつかの態様において、方法は、コンジュゲートの投与の前に、同時に、または後に、免疫調整物質、例えば、免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程を含む。
【0114】
いくつかの局面において、侵襲性腫瘍細胞とは、第1の腫瘍から発生し、第1の腫瘍を有する対象の体内の第1の腫瘍と同一の器官の周辺組織もしくは近隣の器官または体腔へ侵襲した細胞をさす。
【0115】
いくつかの例において、本明細書において提供された方法は、1つまたは複数の第1の腫瘍の照射を含み、侵襲性もしくは転移性の腫瘍細胞または第2の腫瘍もしくは第2の病変の一部または全部は、照射されず、そのような方法において、侵襲性もしくは転移性の腫瘍細胞の成長が阻害されるか、低下するか、もしくは除去されるか;第2の腫瘍の成長が阻害されるか、低下するか、もしくは除去されるか;1つもしくは複数の侵襲性もしくは転移性の腫瘍の体積、大きさ、もしくは質量が低下するか;1つもしくは複数の第2の腫瘍の体積、大きさ、もしくは質量が低下するか;またはそれらの任意の組み合わせが起こる。いくつかの態様において、第1の腫瘍の成長も、阻害されるか、低下するか、もしくは除去される。例えば、1つもしくは複数の侵襲性もしくは転移性の腫瘍細胞に対する効果、および/または1つもしくは複数の第2の腫瘍に対する効果と共に、1つまたは複数の第1の腫瘍の成長または体積が低下する。
【0116】
いくつかの態様において、侵襲性腫瘍細胞は、固形腫瘍に含有されている。いくつかの態様において、侵襲性腫瘍細胞は、腹水、胸水、および脳脊髄液を含むが、これらに限定されるわけではない体液に含有されている。いくつかの態様において、侵襲性腫瘍細胞は、腹膜滲出液(腹水)、胸膜滲出液、および心膜滲出液を含むが、これらに限定されるわけではない体腔の滲出液に含有されている。
【0117】
いくつかの態様において、本明細書において提供された方法および使用は、1つまたは複数の第1の腫瘍を有し、かつ転移性腫瘍細胞も有する対象の処置を含む。方法は、第1の腫瘍および転移性腫瘍細胞を有する対象へ抗CTLA-4コンジュゲートを投与する工程、ならびに、コンジュゲートの投与の後に、選択されたフタロシアニン色素のために適した波長を用いて第1の腫瘍を照射する工程を含む。いくつかの態様において、方法は、コンジュゲートの投与の前に、同時に、または後に、免疫調整物質、例えば、免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程を含む。そのような方法において、転移性腫瘍細胞の成長が阻害されるか、低下するか、もしくは除去されるか、1つもしくは複数の転移性腫瘍の体積が低下するか、またはそれらの任意の組み合わせが起こる。
【0118】
本明細書において提供された方法および使用のいくつかの態様において、転移性腫瘍細胞は第1の腫瘍から遠位にあり、転移性腫瘍細胞の一部または全部は、照射されず、例えば、直接的に照射されない。方法および使用のいくつかの態様において、1つまたは複数の第1の腫瘍のみが、コンジュゲートの投与の後に照射され、転移性腫瘍細胞は直接的に照射されない。いくつかの態様において、複数の第1の腫瘍が照射されるが、例えば、転移性腫瘍細胞を含有する、腫瘍細胞の少なくとも1つの部位は、照射されない。
【0119】
いくつかの局面において、転移性腫瘍細胞は、第1の腫瘍から発生し、第1の腫瘍を有する対象の体内の遠位の組織または器官へ拡散した細胞を含む。転移性腫瘍細胞は、肺、胃、肝臓、膵臓、乳腺、食道、頭頸部、脳、末梢神経、皮膚、小腸、結腸、直腸、肛門、卵巣、子宮、膀胱、前立腺、脂肪組織、骨格筋、平滑筋、血管、骨、骨髄、眼、舌、リンパ節、脾臓、腎臓、子宮頸部、男性生殖器、女性生殖器、精巣、血液、骨髄、脳脊髄液、または任意のその他の組織もしくは器官の1つまたは複数の位置に位置し得る。いくつかの態様において、転移性腫瘍細胞は、固形腫瘍に含有されている。いくつかの態様において、転移性腫瘍細胞は、循環腫瘍細胞であるか、または腫瘤に関連していない。
【0120】
II.局所免疫応答および全身免疫応答を誘発または増強するための方法
本明細書中のいくつかの態様において、抗CTLA-4コンジュゲートを含む組成物による本明細書中の方法は、対象における全身応答および/または局所応答の増強をもたらすことができ、それが、次に、がんまたは腫瘍のための治療または処置に対する増強されたまたは相乗的な応答をもたらし得る。いくつかの局面において、処置されるがんまたは腫瘍は、低下した免疫応答性を示す(例えば、1つまたは複数の「非炎症性」腫瘍を含有する)。いくつかの態様において、より低い免疫応答性を示す腫瘍は、免疫治療に対する応答性の欠如(例えば、免疫チェックポイント阻害物質による処置に対する低下した応答性)、高レベルの免疫抑制細胞型(例えば、制御性T細胞)の含有、低レベルの細胞傷害性エフェクター免疫細胞(例えば、CD8+T細胞および/もしくはナチュラルキラー細胞)の含有、またはそれらの任意の組み合わせを特徴とする腫瘍である。いくつかの態様において、本明細書中の方法および組成物は、より小さい腫瘍より、サイズが大きく、大きい免疫抑制を示し、例えば、増加したレベルの制御性T細胞、または低下した免疫細胞浸潤、例えば、低下した細胞傷害性エフェクター免疫細胞浸潤を含有する腫瘍を処置するために有効である。そのような腫瘍は、他の処置、例えば、免疫チェックポイント阻害物質(例えば、裸の(コンジュゲートされていない)CTLA-4抗体、裸のPD-1抗体、もしくは裸のPD-L1抗体)による処置、またはその他の抗体もしくは抗体コンジュゲートによる処置に対して低応答性または非応答性であり得る。より大きい腫瘍、または低下した細胞傷害性免疫細胞浸潤物を含有する腫瘍の成長を阻害するか、または実質的に低下させる抗CTLA-4-IR700 PITの有効性は、これらの腫瘍の成長の阻害または低下を提供しない裸の抗CTLA4抗体または単独のコンジュゲートによる処置と、それを差別化する。
【0121】
いくつかの局面において、本明細書中の方法および使用は、抗CTLA-4コンジュゲートを対象へ投与する工程、免疫調整物質、例えば、免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程、および、コンジュゲートの投与の後に、腫瘍またはがん性病変または腫瘍微小環境を照射する工程を含む。免疫調整物質は、コンジュゲートの投与の前に、同時に、または後に投与され得る。組み合わせ治療は、セクションIVにさらに記載されるものを含む。
【0122】
いくつかの態様において、本明細書中の方法および組成物は、がんを有する対象において、免疫応答、例えば、全身応答、例えば、全身免疫応答を誘発、刺激、ブースティング、強化、または支持する。いくつかの態様において、本明細書中の方法および使用は、がん、腫瘍、またはがん性病変を有する対象における全身免疫応答の増強を含む。「全身免疫応答」とは、1回の免疫学的チャレンジまたは複数回の免疫学的チャレンジ、例えば、がん、腫瘍、またはがん性病変に関連したものに対して全身的に応答する、対象の免疫系の能力をさす。全身免疫応答は、対象の適応免疫系および/または自然免疫系の全身応答を含み得る。いくつかの局面において、全身免疫応答は、血流、リンパ節、骨髄、脾臓、および/または腫瘍微小環境を含む異なる組織に及ぶ免疫応答を含み、いくつかの場合において、組織および器官、ならびに組織および器官の様々な細胞および因子における協調的応答を含む。対象、例えば、がんまたは腫瘍を有する対象における、処置または治療に対する応答の増強、ブースティング、または強化における、組成物および組み合わせの方法および使用も、本明細書において提供される。
【0123】
いくつかの局面において、本明細書において提供された方法および組成物は、アブスコパル効果も示し得る。いくつかの局面において、「アブスコパル効果」とは、直接的に照射されていないか、または限局性の照射の部位から離れている腫瘍、例えば、遠位または転移性の腫瘍も処置され、例えば、腫瘍の体積、大きさ、および/または質量の低下がもたらされる処置効果をさす。
【0124】
いくつかの局面において、提供された方法および使用は、ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程、および、コンジュゲートの投与の後に、腫瘍またはがん性病変または腫瘍微小環境を照射する工程、および免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程を含む。波長、照射の線量、および照射のタイミングに関する照射の条件は、例えば、本明細書に記載されるものである。免疫チェックポイント阻害物質は、例えば、本明細書に記載される、コンジュゲートの投与の前に、同時に、または後に投与され得る。いくつかの局面において、本明細書において提供された方法および使用は、対象における全身免疫および/または局所免疫の増強をもたらし、それが、次に、がんの治療または処置に対する増強されたまたは相乗的な応答をもたらし得る。いくつかの態様において、本明細書において提供された方法および使用は、がんまたは腫瘍の処置または治療に対する、コンジュゲートのみまたは免疫チェックポイント阻害物質のみの投与と比較して増強された応答、例えば、相乗的応答をもたらす。例えば、いくつかの態様において、提供された方法および使用は、第1の標的腫瘍および/または照射された第1の腫瘍から遠位の第2の腫瘍細胞の処置において、抗CTLA-4 PITのみまたは抗PD-1抗体のみより有効である、抗CTLA-4とPITと免疫チェックポイント阻害物質、例えば、抗PD-1抗体との組み合わせによる相乗的応答をもたらす。いくつかの局面において、増強された応答は、抗CTLA-4コンジュゲートの投与およびその後の照射(抗CTLA-4 PIT)ならびに免疫チェックポイント阻害物質(例えば、抗PD-1抗体)の投与の前の対象の全身免疫および/または局所免疫と比較した、対象の全身免疫および/または局所免疫の増強を含む。いくつかの局面において、増強された応答は、抗CLTLA-4コンジュゲートのみの投与、抗CTLA-4コンジュゲートの投与後の照射のみ、または免疫チェックポイント阻害物質(例えば、抗PD-1抗体)のみの投与と比較して増強された、処置に対する応答、例えば、追加的な、相加的な、または相乗的な応答を含む。
【0125】
本明細書中の方法および組み合わせは、第1の腫瘍、侵襲性腫瘍、転移性腫瘍、および/または侵襲性もしくは転移性の腫瘍細胞に対する全身応答、例えば、全身免疫応答を誘発するか、増加させるか、または強化することができる。いくつかの態様において、第1の腫瘍は、低下した免疫応答性を示す「非炎症性」腫瘍である。いくつかの態様において、侵襲性腫瘍または転移性腫瘍は、低下した免疫応答性を示す「非炎症性」腫瘍である。いくつかの態様において、第1の腫瘍および侵襲性腫瘍および/または転移性腫瘍は、各々、低下した免疫応答性を示す「非炎症性」腫瘍である。
【0126】
いくつかの局面において、誘発されたまたは増加した全身免疫応答は、対象における全身CD8+Tエフェクター細胞の数および/もしくは活性の増加、脾臓、末梢血、骨髄、もしくはリンパ節に由来する細胞を使用したCTLアッセイを使用して測定される腫瘍細胞に対する全身T細胞細胞傷害性の増加、侵襲性腫瘍および/もしくは転移性腫瘍における腫瘍内CD8+Tエフェクター細胞の数および/もしくは活性の増加、全身CD8+T細胞活性化の増加、侵襲性腫瘍および/もしくは転移性腫瘍におけるCD8+:Treg比の増加、侵襲性腫瘍および/もしくは転移性腫瘍におけるナチュラルキラー細胞浸潤の増加、ならびに侵襲性腫瘍および/もしくは転移性腫瘍におけるナチュラルキラー細胞活性化の増加、全身樹状細胞活性化の増加、侵襲性腫瘍および/もしくは転移性腫瘍における樹状細胞活性化の増加、侵襲性腫瘍および/もしくは転移性腫瘍における腫瘍内樹状細胞浸潤の増加、侵襲性腫瘍および/もしくは転移性腫瘍における新たなT細胞プライミングの増加、侵襲性腫瘍および/もしくは転移性腫瘍におけるT細胞多様性の増加、全身制御性T細胞の減少、侵襲性腫瘍および/もしくは転移性腫瘍における制御性T細胞の減少、全身骨髄系由来サプレッサー細胞の減少、侵襲性腫瘍および/もしくは転移性腫瘍における腫瘍内骨髄系由来サプレッサー細胞の減少、侵襲性腫瘍および/もしくは転移性腫瘍における腫瘍関連線維芽細胞の減少、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの例において、全身応答は、対象から血液、組織、細胞、またはその他の液体を採取し、炎症誘発性サイトカインの増加、免疫細胞活性化マーカーの増加もしくは出現、および/またはT細胞多様性を評価することによって評価され得る。
【0127】
いくつかの局面において、全身免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内CD8+Tリンパ球の数、CD8+Tリンパ球と制御性T細胞(Treg)との比、腫瘍内Tリンパ球消耗(例えば、PD-1マーカーおよび/もしくはCTLA4マーカーを発現するCD3+CD8+細胞のパーセンテージ)、腫瘍内活性化CD8+Tリンパ球の数もしくはパーセンテージ(例えば、CD45+細胞のパーセンテージとしてのKi67+もしくはCD69+CD8細胞)、細胞傷害性腫瘍内Tリンパ球(例えば、PD-1マーカーおよび/もしくはCTLA4マーカーを発現しないCD3+CD8+細胞のパーセンテージ)の増大、腫瘍細胞に対する脾細胞細胞傷害性、またはそれらの組み合わせのうちのいずれかもしくは全てに基づき測定され得る。いくつかの局面において、腫瘍内CD8+Tリンパ球は、CD3+CD8+細胞を含み、腫瘍内消耗Tリンパ球は、PD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞を含み、活性化腫瘍内CD8+Tリンパ球は、CD3+CD8+Ki67+かつ/またはCD3+CD8+CD69+細胞を含み、細胞傷害性Tリンパ球の増大は、PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞を含む。いくつかの局面において、腫瘍内CD8+Tリンパ球、消耗腫瘍内Tリンパ球、活性化CD8+Tリンパ球、または増大した細胞傷害性腫瘍内Tリンパ球は、白血球(CD45+細胞)および/または全CD8+T細胞のパーセンテージとして測定される(例えば、CD3+CD8+CD45+細胞)。
【0128】
いくつかの態様において、全身免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内ナチュラルキラー細胞の数またはパーセンテージ、腫瘍内活性化ナチュラルキラー細胞の数またはパーセンテージ(例えば、CD45+細胞のパーセンテージとしてのCD49b+CD3-Ki67+-細胞、またはCD45+細胞のパーセンテージとしてのCD49b+CD3-CD69+細胞)に基づき測定され得る。そのような数またはパーセンテージの決定は、いくつかの周知の方法、例えば、本明細書に記載されたものを使用して達成され得る。例えば、そのような数またはパーセンテージは、例えば、腫瘍および/もしくは組織生検材料の機械的解離による単細胞懸濁液の生成、または循環免疫細胞を含有する血液試料の収集、ならびにその後の染色およびフローサイトメトリー分析または質量分析によって決定され得る。その他の方法は、組織および/または腫瘍生検材料の多重免疫蛍光イメージングを含み得る。
【0129】
いくつかの態様において、全身免疫の強度または程度は、腫瘍内CD8+Tリンパ球、例えば、CD3+CD8+Tリンパ球の数によって測定され、CD45+細胞の総数のうちの腫瘍内CD8+Tリンパ球(例えば、CD3+CD8+Tリンパ球)のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような例のいくつかにおいて、腫瘍内CD8+Tリンパ球(例えば、CD3+CD8+Tリンパ球)の数が、CD45+細胞の総数の少なくとも30%または少なくとも約30%、例えば、CD45+細胞の総数の少なくとも30%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、もしくは少なくとも約30%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、またはそれ以上である場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、腫瘍内CD8+Tリンパ球のパーセンテージは、腫瘍内CD45+細胞集団の少なくとも40%である。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内CD3+CD8+Tリンパ球のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内CD3+CD8+T細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、もしくは少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、またはそれ以上、処置後に増加する。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内CD3+CD8+T細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも10%、処置後に増加する。
【0130】
いくつかの態様において、全身免疫の強度または程度は、消耗腫瘍内CD8+Tリンパ球の数、例えば、腫瘍内CD8+Tリンパ球(例えば、CD3+CD8+Tリンパ球)のパーセンテージとしてのPD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞の数によって測定され、腫瘍内CD3+CD8+T細胞のうちのPD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に減少している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような例のいくつかにおいて、処置後の腫瘍内CD3+CD8+T細胞のうちのPD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞のパーセンテージが、20%未満または約20%未満、例えば、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%未満である、またはそれを下回る場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加している。いくつかの態様において、腫瘍内CD3+CD8+T細胞のうちのPD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に低下している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、腫瘍内CD3+CD8+T細胞のうちのPD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、もしくは少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、またはそれ以上、減少する。いくつかの態様において、腫瘍内CD3+CD8+T細胞の集団のうちの消耗腫瘍内CD8+T細胞(PD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞)のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも10%、処置後に減少する。
【0131】
いくつかの態様において、全身免疫の強度または程度は、活性化腫瘍内CD8+Tリンパ球、例えば、CD3+CD8+Ki67+かつ/またはCD3+CD8+CD69+Tリンパ球の数によって測定され、腫瘍内CD45+白血球のパーセンテージとしての活性化腫瘍内CD8+Tリンパ球、例えば、CD3+CD8+Ki67+かつ/またはCD3+CD8+CD69+Tリンパ球の数が、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、処置後の腫瘍内CD3+CD8+Ki67+細胞の数が、CD45+細胞の総数の少なくとも0.15%または少なくとも約0.15%、例えば、腫瘍内CD45+細胞の総数の少なくとも0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、もしくは少なくとも約0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、またはそれ以上である場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のその他において、処置後の腫瘍内CD3+CD8+CD69+細胞の数が、CD45+細胞の総数の少なくとも0.5%または少なくとも約0.5%、例えば、腫瘍内CD45+細胞の総数の少なくとも0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、もしくは少なくとも約0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、またはそれ以上、例えば、腫瘍内CD45+細胞の総数の少なくとも約1.0%である場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞のうちの腫瘍内CD3+CD8+Ki67+かつ/またはCD3+CD8+CD69+Tリンパ球のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、腫瘍内CD45+細胞のうちのCD3+CD8+Ki67+かつ/またはCD3+CD8+CD69+Tリンパ球細胞のパーセンテージは、処置前の腫瘍内CD45+細胞のうちのCD3+CD8+Ki67+かつ/またはCD3+CD8+CD69+Tリンパ球細胞のパーセンテージと比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、もしくは少なくとも約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、またはそれ以上、増加する。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞のうちの腫瘍内CD3+CD8+Ki67+Tリンパ球細胞のパーセンテージは、処置前の腫瘍内CD45+細胞のうちのCD3+CD8+Ki67+Tリンパ球細胞のパーセンテージと比較して、少なくとも15倍または20倍、増加する。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞のうちの腫瘍内CD3+CD8+CD69+Tリンパ球細胞のパーセンテージは、処置前の腫瘍内CD45+細胞のうちのCD3+CD8+CD69+Tリンパ球細胞のパーセンテージと比較して、少なくとも5倍、増加する。
【0132】
いくつかの態様において、全身免疫の強度または程度は、腫瘍内細胞傷害性Tリンパ球、例えば、PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞の増大によって測定され、CD8+T細胞(例えば、CD3+CD8+T細胞)のうちの腫瘍内細胞傷害性Tリンパ球(例えば、PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞)のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような例のいくつかにおいて、腫瘍内細胞傷害性Tリンパ球(例えば、PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞)の数が、CD3+CD8+T細胞の総数の少なくとも20%または少なくとも約20%、例えば、CD45+細胞の総数の少なくとも25%、30%、35%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、もしくは少なくとも約25%、30%、35%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、またはそれ以上である場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、腫瘍内PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞のパーセンテージは、腫瘍内CD3+CD8+T細胞集団の少なくとも40%、45%、50%、もしくは55%、または少なくとも約40%、45%、50%、もしくは55%である。いくつかの態様において、腫瘍内CD3+CD8+T細胞の集団のうちの腫瘍内PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、腫瘍内CD3+CD8+T細胞の集団のうちの腫瘍内PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞のパーセンテージは、処置前の腫瘍内CD3+CD8+T細胞の集団のうちの腫瘍内PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞のパーセンテージと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、もしくは少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、またはそれ以上、処置後に増加する。いくつかの態様において、腫瘍内CD3+CD8+T細胞の集団のうちのPD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞のパーセンテージは、処置前の腫瘍内CD3+CD8+T細胞の集団のうちの腫瘍内PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞のパーセンテージと比較して、少なくとも30%、処置後に増加する。
【0133】
いくつかの態様において、本明細書において提供された方法および使用による処置は、制御性T細胞(Treg)、例えば、腫瘍内CD4+FoxP3+Tregの細胞死または数の低下をもたらす。従って、いくつかの態様において、全身免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内Tregの数またはパーセンテージに基づき測定され得る。いくつかの局面において、CTLA-4を発現する腫瘍内細胞の照射依存性の溶解および死をもたらすための、抗CTLA-4コンジュゲートの、CTLA-4発現細胞、例えば、ある種のTregの表面への結合、および照射は、CTLA-4を発現する細胞の数の低下をもたらす。いくつかの局面において、そのような結果は、腫瘍内の免疫抑制細胞、例えば、Tregの数の低下をもたらし、従って、腫瘍における免疫抑制を軽減するか、または逆転させることができる。いくつかの局面において、免疫抑制細胞のそのような低下は、腫瘍細胞を除去することができる腫瘍内T細胞、例えば、腫瘍内のCD8+細胞傷害性T細胞またはCD4+ヘルパーT細胞の活性化および増殖をもたらし、腫瘍体積の低下および/または腫瘍の除去をもたらすことができる。いくつかの局面において、提供された態様による処置は、腫瘍内Tregの低下および/または腫瘍内CD8+対Treg比もしくは腫瘍内CD4+対Treg比の増加をもたらし得る。提供された方法および使用のいくつかの態様において、全身Tregは、処置の結果として低下しない。
【0134】
いくつかの局面において、本明細書において提供された方法および使用による処置は、腫瘍内Tregの持続性または恒久性の減少をもたらし得る。いくつかの局面において、本明細書において提供された方法および使用による処置は、腫瘍内CD8+対Treg比または腫瘍内CD4+対Treg比の持続性または恒久性の増加をもたらし得る。いくつかの態様において、全身免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内CD8+対Treg比を決定することによって測定され得、腫瘍内CD8+対Treg比が、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような例のいくつかにおいて、腫瘍内CD8+対Treg比が、処置前の腫瘍内CD8+対Treg比と比較して、少なくとも1倍、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4.0倍、もしくは少なくとも約1倍、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4.0倍、またはそれ以上、増加している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、全身免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内CD4+対Treg比を決定することによって測定され得、腫瘍内CD4+対Treg比が、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、全身免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内Treg対CD45+比を決定することによって測定され得、腫瘍内Treg対CD45+比が、処置前と比較して処置後に減少している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの局面において、そのような増加または減少は、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、もしくは3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、もしくは8週間、もしくは約3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、もしくは3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、もしくは8週間、またはそれ以上、持続し得る。
【0135】
いくつかの局面において、全身免疫のレベル、強度、または程度は、脾細胞または末梢血細胞または骨髄細胞またはリンパ節細胞を使用したCTL活性アッセイによって測定され得る。いくつかの態様において、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後、4日目~28日目に対象から収集される。
【0136】
いくつかの局面において、全身免疫のレベル、強度、または程度は、第1の腫瘍または転移性腫瘍細胞塊または侵襲性腫瘍細胞塊から収集されたT細胞を使用した腫瘍内T細胞消耗アッセイによって測定され得る。いくつかの態様において、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後、4日目~28日目に対象から収集される。
【0137】
いくつかの局面において、全身免疫のレベル、強度、または程度は、第1の腫瘍または転移性腫瘍細胞塊または侵襲性腫瘍細胞塊から収集されたT細胞を使用した腫瘍内エフェクターT細胞増大アッセイによって測定され得る。いくつかの態様において、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後、4日目~28日目に対象から収集される。
【0138】
いくつかの局面において、全身免疫のレベル、強度、または程度は、第1の腫瘍または転移性腫瘍細胞塊または侵襲性腫瘍細胞塊または末梢循環から収集されたT細胞を使用したT細胞受容体多様性アッセイによって測定され得る。いくつかの態様において、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後、4日目~28日目に対象から収集される。
【0139】
いくつかの局面において、全身免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内の制御性T細胞(Treg)の存在、数、もしくは出現頻度、および/または第1の腫瘍もしくは転移性腫瘍細胞塊もしくは侵襲性腫瘍細胞塊に由来する腫瘍内Treg細胞と腫瘍内CD8+T細胞もしくは腫瘍内CD4+T細胞との比を決定することによって測定され得る。いくつかの態様において、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後、4日目~28日目に対象から収集される。
【0140】
いくつかの態様において、全身免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内活性化ナチュラルキラー(NK)細胞の数またはパーセンテージ(例えば、CD45+細胞のパーセンテージとしてのCD49b+CD3-Ki67+-細胞、またはCD45+細胞のパーセンテージとしてのCD49b+CD3-CD69+細胞)に基づき測定され得る。いくつかの態様において、全身免疫の強度または程度は、腫瘍内Ki-67+NK細胞および/またはCD69+NK細胞、例えば、CD49b+CD3-Ki-67+NK細胞および/またはCD49b+CD3-CD69+NK細胞の数によって測定され、CD45+細胞の総数のうちの腫瘍内Ki-67+NK細胞(例えば、CD49b+CD3-Ki-67+NK細胞)および/またはCD69+NK細胞(例えば、CD49b+CD3-CD69+NK細胞)のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような例のいくつかにおいて、腫瘍内Ki-67+NK細胞(例えば、CD49b+CD3-Ki-67+NK細胞)の数が、CD45+細胞の総数の少なくとも0.03%または少なくとも約0.03%、例えば、CD45+細胞の総数の少なくとも0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.20%、もしくは少なくとも約0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.20%、またはそれ以上である場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、腫瘍内Ki-67+NK細胞のパーセンテージは、腫瘍内CD45+細胞集団の少なくとも0.05%である。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内Ki-67+NK細胞のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内Ki-67+NK細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、もしくは少なくとも約0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、またはそれ以上、処置後に増加する。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内Ki-67+NK細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも5%、処置後に増加する。
【0141】
そのような例のいくつかにおいて、腫瘍内CD69+NK細胞(例えば、CD49b+CD3-CD69+NK細胞)の数が、CD45+細胞の総数の少なくとも0.2%または少なくとも約0.2%、例えば、CD45+細胞の総数の少なくとも0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、10%、もしくは少なくとも約0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、10%、またはそれ以上である場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、腫瘍内CD69+NK細胞のパーセンテージは、腫瘍内CD45+細胞集団の少なくとも0.25%または少なくとも0.4%である。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内CD69+NK細胞のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する全身免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内CD69+NK細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、10%、もしくは少なくとも約0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、10%、またはそれ以上、処置後に増加する。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内CD69+NK細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも0.25%、処置後に増加する。
【0142】
いくつかの態様において、前記アッセイのいずれかを組み合わせて使用することができる。典型的には、全身免疫は、循環中の、または照射の部位もしくは領域から遠位に位置する細胞または成分(例えば、サイトカイン)をアッセイすることによって評価される。しかしながら、いくつかの態様において、全身免疫は、照射された腫瘍および/または照射された腫瘍のTMEの内部の細胞または成分(例えば、サイトカイン)をアッセイすることによって評価される。いくつかの態様において、全身免疫は、本明細書において提供された方法のいずれかによる処置の前に評価される。いくつかの態様において、全身免疫は、提供された方法のいずれかによる処置の後に評価される。いくつかの態様において、全身免疫は、本明細書において提供された方法のいずれかによる処置の前および後に評価される。
【0143】
いくつかの局面において、全身応答は、方法によって直接的または間接的に影響を受けた細胞をアッセイすることによって評価され得る。例えば、処置後4日目~28日目に、または対象における第1の腫瘍の照射の工程の後の任意の時点で、対象から試料を収集することができる。比較のための処置前の基線を確立するため、コンジュゲート投与前にも試料を収集することができる。いくつかの態様において、全身免疫の強度または程度は、処置前の同対象における全身免疫の強度または程度と比較される。そのような態様のいくつかにおいて、全身免疫の強度または程度は、対象の集団と比較される。そのような態様のいくつかにおいて、全身免疫の強度または程度は、閾値と比較される。いくつかの態様において、組み合わせ治療、例えば、チェックポイント阻害物質(例えば、抗PD-1抗体)の投与と組み合わせられた抗CTLA-4 PITの後の全身免疫の強度または程度は、単独治療による処置、例えば、免疫チェックポイント阻害物質(例えば、抗PD-1抗体)または抗CTLA-4コンジュゲートもしくは抗CTLA-4 PIT単独などの単一の作用物質の投与の後の全身免疫の強度または程度と比較される。
【0144】
いくつかの態様において、本明細書中の方法および組成物は、がんを有する対象において、免疫応答、例えば、局所応答、例えば、局所免疫応答を誘発、刺激、ブースティング、強化、または支持する。いくつかの態様において、本明細書中の方法および使用は、がん、腫瘍、またはがん性病変を有する対象における局所応答の増強を含む。いくつかの態様において、第1の腫瘍は、低下した免疫応答性を示す「非炎症性」腫瘍である。「局所免疫応答」とは、免疫学的チャレンジ、例えば、がん、腫瘍、またはがん性病変に関連したものに対する、組織または器官における免疫応答をさす。局所免疫応答は、適応免疫系および/または自然免疫系を含み得る。いくつかの局面において、局所免疫は、異なる組織、例えば、血流、リンパ節、骨髄、脾臓、および/または腫瘍微小環境において同時に起こる免疫応答を含む。
【0145】
いくつかの局面において、誘発された、または増加した局所免疫応答は、対象における腫瘍内CD8+Tエフェクター細胞の数および/もしくは活性の増加、CD8+Tエフェクター細胞活性化の増加、腫瘍内CD8+:Treg比の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞浸潤の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞活性化の増加、腫瘍内樹状細胞活性化の増加、腫瘍内樹状細胞浸潤の増加、腫瘍内の新たなT細胞プライミングの増加、腫瘍内T細胞多様性の増加、腫瘍内制御性T細胞の減少、腫瘍内骨髄系由来サプレッサー細胞の減少、腫瘍内腫瘍関連線維芽細胞の減少、腫瘍内消耗PD-1+CTLA-4+CD3+CD8+T細胞の数および/もしくは活性の減少、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0146】
いくつかの局面において、局所免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内CD8+Tリンパ球の数、CD8+Tリンパ球と制御性T細胞(Treg)との比、腫瘍内Tリンパ球消耗(例えば、PD-1マーカーおよび/もしくはCTLA4マーカーを発現するCD3+CD8+細胞のパーセンテージ)、腫瘍内活性化CD8+Tリンパ球の数もしくはパーセンテージ(例えば、CD45+細胞のパーセンテージとしてのKi67+もしくはCD69+CD8細胞)、細胞傷害性腫瘍内Tリンパ球の増大(例えば、PD-1マーカーおよび/もしくはCTLA4マーカーを発現しないCD3+CD8+細胞のパーセンテージ)、腫瘍細胞に対する脾細胞細胞傷害性、またはそれらの組み合わせのうちのいずれかもしくは全てに基づき測定され得る。いくつかの局面において、腫瘍内CD8+Tリンパ球は、CD3+CD8+細胞を含み、腫瘍内消耗Tリンパ球は、PD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞を含み、活性化腫瘍内CD8+Tリンパ球は、CD3+CD8+Ki67+かつ/またはCD3+CD8+CD69+細胞を含み、細胞傷害性Tリンパ球の増大は、PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞を含む。いくつかの局面において、腫瘍内CD8+Tリンパ球、消耗腫瘍内Tリンパ球、活性化CD8+Tリンパ球、または増大した細胞傷害性腫瘍内Tリンパ球は、白血球(CD45+細胞)および/または全CD8+T細胞のパーセンテージとして測定される(例えば、CD3+CD8+CD45+細胞)。そのような数またはパーセンテージの決定は、いくつかの周知の方法、例えば、本明細書に記載されたものを使用して達成され得る。例えば、そのような数またはパーセンテージは、例えば、腫瘍および/もしくは組織生検材料の機械的解離による単細胞懸濁液の生成、または循環免疫細胞を含有する血液試料の収集、ならびにその後の染色およびフローサイトメトリー分析または質量分析によって決定され得る。その他の方法は、組織および/または腫瘍生検材料の多重免疫蛍光イメージングを含み得る。
【0147】
いくつかの態様において、局所免疫の強度または程度は、腫瘍内CD8+Tリンパ球、例えば、CD3+CD8+Tリンパ球の数によって測定され、CD45+細胞の総数のうちの腫瘍内CD8+Tリンパ球(例えば、CD3+CD8+Tリンパ球)のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような例のいくつかにおいて、腫瘍内CD8+Tリンパ球(例えば、CD3+CD8+Tリンパ球)の数が、CD45+細胞の総数の少なくとも30%または少なくとも約30%、例えば、CD45+細胞の総数の少なくとも30%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、もしくは少なくとも約30%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、またはそれ以上である場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、腫瘍内CD8+Tリンパ球のパーセンテージは、腫瘍内CD45+細胞集団の少なくとも40%である。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内CD3+CD8+T細胞のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内CD3+CD8+T細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、もしくは少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、またはそれ以上、処置後に増加する。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内CD3+CD8+T細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも10%、処置後に増加する。
【0148】
いくつかの態様において、局所免疫の強度または程度は、消耗腫瘍内CD8+Tリンパ球の数、例えば、腫瘍内CD8+Tリンパ球(例えば、CD3+CD8+Tリンパ球)のパーセンテージとしてのPD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞の数によって測定され、腫瘍内CD3+CD8+T細胞のうちのPD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に減少している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような例のいくつかにおいて、処置後の腫瘍内CD3+CD8+T細胞のうちのPD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞のパーセンテージが、20%未満または約20%未満、例えば、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%未満である、またはそれを下回る場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は増加している。いくつかの態様において、腫瘍内CD3+CD8+T細胞のうちのPD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に低下している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、腫瘍内CD3+CD8+T細胞のうちのPD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、もしくは少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、またはそれ以上、減少する。いくつかの態様において、腫瘍内CD3+CD8+T細胞の集団のうちの消耗腫瘍内CD8+Tリンパ球(PD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞)のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも10%、処置後に減少する。
【0149】
いくつかの態様において、局所免疫の強度または程度は、活性化腫瘍内CD8+Tリンパ球、例えば、CD3+CD8+Ki67+かつ/またはCD3+CD8+CD69+Tリンパ球の数によって測定され、腫瘍内CD45+白血球のパーセンテージとしての活性化腫瘍内CD8+Tリンパ球、例えば、CD3+CD8+Ki67+かつ/またはCD3+CD8+CD69+Tリンパ球の数が、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、処置後の腫瘍内CD3+CD8+Ki67+細胞の数が、CD45+細胞の総数の少なくとも0.15%または少なくとも約0.15%、例えば、CD45+細胞の総数の少なくとも0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、もしくは少なくとも約0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、またはそれ以上である場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のその他において、処置後の腫瘍内CD3+CD8+CD69+細胞の数が、CD45+細胞の総数の少なくとも0.5%または少なくとも約0.5%、例えば、CD45+細胞の総数の少なくとも0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、もしくは少なくとも約0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、またはそれ以上、例えば、腫瘍内CD45+細胞の総数の少なくとも約1.0%である場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞のうちの腫瘍内CD3+CD8+Ki67+かつ/またはCD3+CD8+CD69+Tリンパ球のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、腫瘍内CD45+細胞のうちのCD3+CD8+Ki67+かつ/またはCD3+CD8+CD69+Tリンパ球細胞のパーセンテージは、処置前の腫瘍内CD45+細胞のうちのCD3+CD8+Ki67+かつ/またはCD3+CD8+CD69+Tリンパ球細胞のパーセンテージと比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、もしくは少なくとも約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、またはそれ以上、増加する。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞のうちのCD3+CD8+Ki67+Tリンパ球細胞のパーセンテージは、処置前の腫瘍内CD45+細胞のうちのCD3+CD8+Ki67+Tリンパ球細胞のパーセンテージと比較して、少なくとも15倍または20倍、増加する。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞のうちのCD3+CD8+CD69+Tリンパ球細胞のパーセンテージは、処置前の腫瘍内CD45+細胞のうちのCD3+CD8+CD69+Tリンパ球細胞のパーセンテージと比較して、少なくとも5倍、増加する。
【0150】
いくつかの態様において、局所免疫の強度または程度は、腫瘍内細胞傷害性Tリンパ球、例えば、PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞の増大によって測定され、CD8+T細胞(例えば、CD3+CD8+T細胞)のうちの腫瘍内細胞傷害性Tリンパ球(例えば、PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞)のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような例のいくつかにおいて、腫瘍内細胞傷害性Tリンパ球(例えば、PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞)の数が、CD3+CD8+T細胞の総数の少なくとも20%または少なくとも約20%、例えば、CD45+細胞の総数の少なくとも25%、30%、35%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、もしくは少なくとも約25%、30%、35%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、またはそれ以上である場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、腫瘍内PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞のパーセンテージは、腫瘍内CD3+CD8+T細胞集団の少なくとも40%、45%、50%、もしくは55%、または少なくとも約40%、45%、50%、もしくは55%である。いくつかの態様において、腫瘍内CD3+CD8+T細胞の集団のうちの腫瘍内PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、腫瘍内CD3+CD8+T細胞の集団のうちの腫瘍内PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞のパーセンテージは、処置前の腫瘍内CD3+CD8+T細胞の集団のうちの腫瘍内PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞のパーセンテージと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、もしくは少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、またはそれ以上、処置後に増加する。いくつかの態様において、腫瘍内CD3+CD8+T細胞の集団のうちの腫瘍内PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞のパーセンテージは、処置前の腫瘍内CD3+CD8+T細胞の集団のうちの腫瘍内PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞のパーセンテージと比較して、少なくとも30%、処置後に増加する。
【0151】
いくつかの態様において、本明細書において提供された方法および使用による処置は、局所免疫に寄与し得る、制御性T細胞(Treg)、例えば、腫瘍内CD4+FoxP3+Tregの細胞死または数の低下をもたらす。従って、いくつかの態様において、局所免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内Tregの数またはパーセンテージに基づき測定され得る。いくつかの局面において、CTLA-4を発現する腫瘍内細胞の照射依存性の溶解および死をもたらすための、抗CTLA-4コンジュゲートの、CTLA-4発現細胞、例えば、ある種のTregの表面への結合、および照射は、CTLA-4を発現する細胞の数の低下をもたらす。いくつかの局面において、そのような結果は、腫瘍内の免疫抑制細胞、例えば、Tregの数の低下をもたらし、従って、腫瘍における免疫抑制を軽減するか、または逆転させることができる。いくつかの局面において、免疫抑制細胞のそのような低下は、腫瘍細胞を除去し、腫瘍体積の低下および/または腫瘍の除去をもたらすことができる、腫瘍内T細胞、例えば、腫瘍内CD8+細胞傷害性T細胞またはCD4+ヘルパーT細胞の活性化および増殖をもたらし得る。いくつかの局面において、提供された態様による処置は、腫瘍内Tregの低下および/または腫瘍内CD8+対Treg比もしくは腫瘍内CD4+対Treg比の増加をもたらし得る。提供された方法および使用のいくつかの態様において、全身Tregは、処置の結果として低下しない。
【0152】
いくつかの局面において、本明細書において提供された方法および使用による処置は、腫瘍内Tregの持続性または恒久性の減少をもたらし得る。いくつかの局面において、本明細書において提供された方法および使用による処置は、腫瘍内CD8+対Treg比または腫瘍内CD4+対Treg比の持続性または恒久性の増加をもたらし得る。いくつかの態様において、局所免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内CD8+対Treg比を決定することによって測定され得、腫瘍内CD8+対Treg比が、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような例のいくつかにおいて、腫瘍内CD8+対Treg比が、処置前の腫瘍内CD8+対Treg比と比較して、少なくとも1倍、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4.0倍、もしくは少なくとも約1倍、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4.0倍、またはそれ以上、増加している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、局所免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内CD4+対Treg比を決定することによって測定され得、腫瘍内CD4+対Treg比が、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、局所免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内Treg対CD45+比を決定することによって測定され得、腫瘍内Treg対CD45+比が、処置前と比較して処置後に減少している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの局面において、そのような増加または減少は、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、もしくは3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、もしくは8週間、もしくは約3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、もしくは3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、もしくは8週間、またはそれ以上、持続し得る。
【0153】
いくつかの局面において、局所免疫のレベル、強度、または程度は、脾細胞または末梢血細胞または骨髄細胞またはリンパ節細胞を使用したCTL活性アッセイによって測定され得る。いくつかの態様において、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後、4日目~28日目に対象から収集される。
【0154】
いくつかの局面において、局所免疫のレベル、強度、または程度は、第1の腫瘍または転移性腫瘍細胞塊または侵襲性腫瘍細胞塊から収集されたT細胞を使用した腫瘍内T細胞消耗アッセイによって測定され得る。いくつかの態様において、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後、4日目~28日目に対象から収集される。
【0155】
いくつかの局面において、局所免疫のレベル、強度、または程度は、第1の腫瘍または転移性腫瘍細胞塊または侵襲性腫瘍細胞塊から収集されたT細胞を使用した腫瘍内エフェクターT細胞増大アッセイによって測定され得る。いくつかの態様において、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後、4日目~28日目に対象から収集される。
【0156】
いくつかの局面において、局所免疫のレベル、強度、または程度は、第1の腫瘍または転移性腫瘍細胞塊または侵襲性腫瘍細胞塊または末梢循環から収集されたT細胞を使用したT細胞受容体多様性アッセイによって測定され得る。いくつかの態様において、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後、4日目~28日目に対象から収集される。
【0157】
いくつかの局面において、局所免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内の制御性T細胞(Treg)の存在、数、もしくは出現頻度、および/または第1の腫瘍もしくは転移性腫瘍細胞塊もしくは侵襲性腫瘍細胞塊に由来する腫瘍内Treg細胞と腫瘍内CD8+T細胞もしくは腫瘍内CD4+T細胞との比を決定することによって測定され得る。いくつかの態様において、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後、4日目~28日目に対象から収集される。
【0158】
いくつかの態様において、前記アッセイのいずれかを組み合わせて使用してもよい。典型的には、局所免疫は、照射された腫瘍および/または照射された腫瘍のTMEの内部の細胞または成分(例えば、サイトカイン)をアッセイすることによって評価される。しかしながら、いくつかの態様において、局所免疫は、循環中の、または照射の部位もしくは領域から遠位に位置する細胞もしくは成分(例えば、サイトカイン)をアッセイすることによって評価される。
【0159】
いくつかの態様において、局所免疫のレベル、強度、または程度は、腫瘍内活性化ナチュラルキラー(NK)細胞の数またはパーセンテージ(例えば、CD45+細胞のパーセンテージとしてのCD49b+CD3-Ki67+-細胞、またはCD45+細胞のパーセンテージとしてのCD49b+CD3-CD69+細胞)に基づき測定され得る。いくつかの態様において、局所免疫の強度または程度は、腫瘍内Ki-67+NK細胞および/またはCD69+NK細胞、例えば、CD49b+CD3-Ki-67+NK細胞および/またはCD49b+CD3-CD69+NK細胞の数によって測定され、CD45+細胞の総数のうちの腫瘍内Ki-67+NK細胞(例えば、CD49b+CD3-Ki-67+NK細胞)および/またはCD69+NK細胞(例えば、CD49b+CD3-CD69+NK細胞)のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような例のいくつかにおいて、腫瘍内Ki-67+NK細胞(例えば、CD49b+CD3-Ki-67+NK細胞)の数が、CD45+細胞の総数の少なくとも0.03%または少なくとも約0.03%、例えば、CD45+細胞の総数の少なくとも0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.20%、もしくは少なくとも約0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.20%、またはそれ以上である場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、腫瘍内Ki-67+NK細胞のパーセンテージは、腫瘍内CD45+細胞集団の少なくとも0.05%である。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内Ki-67+NK細胞のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内Ki-67+NK細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、もしくは少なくとも約0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、またはそれ以上、処置後に増加する。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内Ki-67+NK細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも5%、処置後に増加する。
【0160】
そのような例のいくつかにおいて、腫瘍内CD69+NK細胞(例えば、CD49b+CD3-CD69+NK細胞)の数が、CD45+細胞の総数の少なくとも0.2%または少なくとも約0.2%、例えば、CD45+細胞の総数の少なくとも0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、10%、もしくは少なくとも約0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、10%、またはそれ以上である場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。いくつかの態様において、腫瘍内CD69+NK細胞のパーセンテージは、腫瘍内CD45+細胞集団の少なくとも0.25%または少なくとも0.4%である。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内CD69+NK細胞のパーセンテージが、処置前と比較して処置後に増加している場合、再発性腫瘍に対する局所免疫は、増加しているか、または強化されている。そのような態様のいくつかにおいて、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内CD69+NK細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、10%、もしくは少なくとも約0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、10%、またはそれ以上、処置後に増加する。いくつかの態様において、腫瘍内CD45+細胞の集団のうちの腫瘍内CD69+NK細胞のパーセンテージは、処置前と比較して、少なくとも0.25%、処置後に増加する。いくつかの場合において、局所応答、例えば、局所免疫応答は、血液、組織、またはその他の試料を対象から採取し、腫瘍もしくはTMEにおける抗免疫細胞型の増加を評価し、かつ/または局所免疫活性化マーカーの増加もしくは出現を評価することによって評価され得る。
【0161】
いくつかの態様において、全身免疫は、本明細書において提供された方法のいずれかによる処置の前に評価される。いくつかの態様において、全身免疫は、提供された方法のいずれかによる処置の後に評価される。いくつかの態様において、全身免疫は、本明細書において提供された方法のいずれかによる処置の前および後に評価される。
【0162】
いくつかの局面において、局所応答、例えば、局所免疫応答は、方法によって直接的または間接的に影響を受けた細胞をアッセイすることによって評価され得る。例えば、処置後4日目~28日目に、または対象における第1の腫瘍の照射の工程の後の任意の時点で、対象から細胞を収集することができる。
【0163】
III.単独治療法および組み合わせ治療法を含む方法と共に使用するための組成物
本明細書において提供された方法および使用は、フタロシアニン色素と連結された、CTLA-4と結合するターゲティング分子を含む抗CTLA-4コンジュゲートを用いる。表面抗原分類152(CD152)としても公知の細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4またはCTLA4)は、免疫チェックポイントとして機能し、免疫応答をダウンレギュレートするタンパク質受容体である。CTLA-4は、CD4+FoxP3+制御性T細胞(Treg)、活性化T細胞、およびいくつかの腫瘍細胞において恒常的に発現される。それは、抗原提示細胞の表面上のCD80またはCD86と結合した時に「オフ」スイッチとして作用する。
【0164】
いくつかの態様において、ターゲティング分子は、抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片であり得る。例示的な抗CTLA-4抗体には、イピリムマブ(YERVOY)、トレメリムマブ(チシリムマブ(ticilimumab)、CP-675,206)、AGEN1181、AGEN1884、ADU-1064、BCD-145、BCD-217、ADG116、AK104、ATOR-1015、BMS-986218、KN046、MGD019、MK-1308、REGN4659、XmAb20717、およびXmAb22841が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0165】
いくつかの態様において、ターゲティング分子は、抗CTLA-4抗体、例えば、記載された抗体のいずれか、またはそれらの抗原結合断片の「相補性決定領域」または「CDR」を含む抗体または抗体断片であり得る。CDRは、典型的には、抗原のエピトープとの結合を担う。各鎖のCDRは、典型的には、CDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれ、N末端から開始して順番に番号付けられ、一般的に、特定のCDRが位置している鎖によっても同定される。従って、重鎖可変領域(VH)CDR3は、それが見出される抗体の重鎖の可変ドメインに位置し、軽鎖可変領域(VL)CDR1は、それが見出される抗体の軽鎖の可変ドメインに由来するCDR1である。異なる特異性、例えば、異なる抗原に対する異なる結合部位を有する抗体は、異なるCDRを有する。抗体間で変動するのは、CDRであるが、CDR内の限定された数のアミノ酸位置のみが、抗原結合に直接的に関与する。CDR内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。いくつかの態様において、ターゲティング分子は、イピリムマブ(YERVOY)、トレメリムマブ(チシリムマブ)、AGEN1181、AGEN1884、ADU-1064、BCD-145、またはBCD-217に由来するCDRを含む。
【0166】
いくつかの態様において、抗CTLA-4コンジュゲートのターゲティング分子は、イピリムマブ(YERVOY)またはトレメリムマブ(チシリムマブ)である。いくつかの態様において、抗CTLA-4コンジュゲートのターゲティング分子は、本明細書に記載された抗CTLA-4抗体、例えば、イピリムマブ(YERVOY)もしくはトレメリムマブ(チシリムマブ)またはそれらの抗原結合断片のいずれかのバイオシミラー(biosimilar)、交換可能物(interchangeable)、またはバイオベター(biobetter)である。そのような抗体には、本明細書に記載された抗CTLA-4抗体、例えば、イピリムマブ(YERVOY)、トレメリムマブ(チシリムマブ)、またはそれらの抗原結合断片のいずれかのコピーバイオロジカル(copy biologicals)およびバイオジェネリック(biogenerics)も含まれる。
【0167】
いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体のターゲティング分子は、機能性のFc領域を含む。いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体のターゲティング分子は、ヒト化抗体である。
【0168】
本明細書中の方法および組成物において使用される抗CTLA-4コンジュゲートは、フタロシアニン色素を含む。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、ケイ素配位金属を含むフタロシアニン色素(Si-フタロシアニン色素)である。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、式:
を含み、
式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、色素のターゲティング分子との接着のための反応基であり;
R2、R3、R7、およびR8は、任意で置換されたアルキルおよび任意で置換されたアリールの中から各々独立に選択され;
R4、R5、R6、R9、R10、およびR11は、水素、任意で置換されたアルキル、任意で置換されたアルカノイル、任意で置換されたアルコキシカルボニル、任意で置換されたアルキルカルバモイル、およびキレート配位子の中から各々独立に選択され、R4、R5、R6、R9、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは水溶性基を含み;
R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、およびR23は、水素、ハロゲン、任意で置換されたアルキルチオ、任意で置換されたアルキルアミノ、および任意で置換されたアルコキシの中から各々独立に選択され;かつ
X2およびX3は、各々独立に、任意でヘテロ原子が介在するC1~C10アルキレンである。
【0169】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、式:
を含み、
式中、
X1およびX4は、各々独立に、任意でヘテロ原子が介在するC1~C10アルキレンであり;
R2、R3、R7、およびR8は、任意で置換されたアルキルおよび任意で置換されたアリールから各々独立に選択され;
R4、R5、R6、R9、R10、およびR11は、水素、任意で置換されたアルキル、任意で置換されたアルカノイル、任意で置換されたアルコキシカルボニル、任意で置換されたアルキルカルバモイル、およびキレート配位子の中から各々独立に選択され、R4、R5、R6、R9、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは水溶性基を含み;かつ
R16、R17、R18、およびR19は、水素、ハロゲン、任意で置換されたアルキルチオ、任意で置換されたアルキルアミノ、および任意で置換されたアルコキシの中から各々独立に選択される。
【0170】
本明細書において提供される方法および使用のいくつかの態様において、Si-フタロシアニン色素は、IRDye 700DX(IR700)である。いくつかの態様において、反応基を含有するフタロシアニン色素は、IR700 NHSエステル、例えば、IRDye 700DX NHSエステル(LiCor 929-70010、929-70011)である。いくつかの態様において、色素は、以下の式:
を有する化合物である。
【0171】
本明細書における目的のため、「IR700」、「IRDye 700」、または「IRDye 700DX」という用語は、例えば、反応基を介して、色素が、例えば、抗体とコンジュゲートされる場青に上記式を含む。
【0172】
いくつかの態様において、本明細書中の方法によって使用するための組成物は、CTLA-4と結合するターゲティング分子と連結されたSi-フタロシアニン色素を含む抗CTLA-4コンジュゲートを含む。いくつかの態様において、組成物は、抗CTLA-4-Si-フタロシアニン色素コンジュゲートである。いくつかの態様において、組成物は、抗CTLA-4-IR700コンジュゲートである。いくつかの態様において、組成物は、抗CTLA-4-IR700コンジュゲートであり、ターゲティング分子は、イピリムマブまたはトレメリムマブである。いくつかの態様において、組成物は、抗CTLA-4-IR700コンジュゲートであり、ターゲティング分子は、機能性のFc領域を含有するイピリムマブであるか、または機能性のFc領域を含有するトレメリムマブである。
【0173】
IV.組み合わせ治療
いくつかの態様において、本明細書中の方法は、免疫調整物質と組み合わせられた抗CTLA-4コンジュゲートを含む組み合わせ処置を含む。いくつかの態様において、そのような組み合わせ処置において使用されるターゲティング分子は、抗CTLA-4抗体、またはCTLA-4と結合する抗体断片である。いくつかの態様において、コンジュゲートは、Si-フタロシアニン色素、例えば、IR700色素と連結された、抗CTLA-4抗体、またはCTLA-4と結合する抗体断片である。
【0174】
本明細書中のそのような組み合わせ処置において使用される免疫調整物質は、アジュバント、免疫チェックポイント阻害物質、サイトカイン、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。組み合わせにおいて使用するためのサイトカインは、例えば、アルデスロイキン(PROLEUKIN)、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b(Intron A)、ペグインターフェロンα-2b(SYLATRON/PEG-Intron)、またはIFNAR1/2経路、IL-2/IL-2R経路を標的とするサイトカインであり得る。組み合わせにおいて使用するためのアジュバントは、例えば、ポリICLC(HILTONOL/イミキモド)、4-1BB(CD137;TNFRS9)、OX40(CD134)、OX40リガンド(OX40L)、トール様受容体2アゴニストSUP3、トール様受容体TLR3およびTLR4のアゴニスト、ならびにトール様受容体7(TLR7)経路を標的とするアジュバント、TNFRスーパーファミリーおよびTNFスーパーファミリーのその他のメンバー、その他のTLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、およびTLR4アゴニストであり得る。
【0175】
本明細書中の組み合わせ治療のための免疫チェックポイント阻害物質は、PD-1阻害物質、例えば、低分子、抗体、または抗原結合断片であり得る。いくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害物質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片である。例示的な抗PD-1抗体には、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(TSR-042)、チスレリズマブ(BGB-A317)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(CT-011)、ゲノリムズマブ(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、TSR-042(ANB011)、およびそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害物質は、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、もしくはセミプリマブ(LIBTAYO)、またはそれらの抗原結合断片である。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害物質は、本明細書に記載された抗PD-1抗体、例えば、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、もしくはセミプリマブ(LIBTAYO)、またはそれらの抗原結合断片のいずれかのバイオシミラー、交換可能物、バイオベター、コピーバイオロジカル、またはバイオジェネリックである。
【0176】
本明細書中の組み合わせ治療のための免疫チェックポイント阻害物質は、PD-L1阻害物質、例えば、低分子、抗体、または抗原結合断片であり得る。いくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害物質は、抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片である。例示的な抗PD-L1抗体には、アテゾリズマブ(MPDL3280A、TECENTRIQ、RG7446)、アベルマブ(BAVENCIO、MSB0010718C;M7824)、デュルバルマブ(MEDI4736、IMFINZI)、LDP、NM-01、STI-3031(IMC-001;STI-A1015)、KN035、LY3300054、M7824(MSB0011359C)、BMS-936559、MSB2311、BCD-135、BGB-A333、CBT-502(TQB-2450)、コシベリマブ(CK-301)、CS1001(WPB3155)、FAZ053、MDX-1105、SHR-1316(HTI-1088)、TG-1501、ZKAB001(STI-A1014)、INBRX-105、MCLA-145、KN046、LY3415244、REGN3504、HLX20、およびそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害物質は、アテゾリズマブ(MPDL3280A、TECENTRIQ、RG7446)、アベルマブ(BAVENCIO、MSB0010718C;M7824)、デュルバルマブ(MEDI4736、IMFINZI)、またはそれらの抗原結合断片である。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害物質は、本明細書に記載された抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A、TECENTRIQ、RG7446)、アベルマブ(BAVENCIO、MSB0010718C;M7824)、デュルバルマブ(MEDI4736、IMFINZI)、またはそれらの抗原結合断片のいずれかのバイオシミラー、交換可能物、バイオベター、コピーバイオロジカル、またはバイオジェネリックである。
【0177】
免疫調整物質、例えば、チェックポイント阻害物質、アジュバント、またはサイトカインの投与は、抗CTLA-4コンジュゲートの投与の前に、同時に、または後に実施され得る。例えば、方法は、免疫チェックポイント阻害物質を1回または複数回投与する工程、抗CTLA-4コンジュゲートを投与する工程、および、コンジュゲートの投与の後に、適切な光の波長を用いて1つまたは複数の第1の腫瘍を照射する工程を含み得る。方法は、最初に、コンジュゲートを投与する工程、および、コンジュゲートの投与の後に、1つまたは複数の第1の腫瘍を照射する工程、および、次いで、コンジュゲートの投与の後または照射工程の後に、免疫調整物質、例えば、免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程を含み得る。方法は、コンジュゲートの投与と同時に、免疫調整物質、例えば、免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程、および、その後に、1つまたは複数の第1の腫瘍を照射する工程も含み得る。いくつかの態様において、免疫調整物質、例えば、免疫チェックポイント阻害物質、アジュバント、またはサイトカインが1回または複数回投与された後に、抗CTLA-4コンジュゲートが投与され、その後、1つまたは複数の第1の腫瘍が照射され、次いで、免疫調整物質(同一のまたは異なる免疫調整物質)が1回または複数回さらに投与される。
【0178】
いくつかの態様において、免疫調整物質は、免疫チェックポイント阻害物質、例えば、PD-1阻害物質、PD-L1阻害物質、もしくは任意のその他のもの、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害物質は、PD-1またはPD-L1と結合し、それらを阻害する抗体または抗原結合断片より選択される。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害物質は、PD-1もしくはPD-L1を阻害する低分子、またはPD-L1のPD-1との結合を阻止するペプチドである。
【0179】
いくつかの態様において、本明細書中の組み合わせ治療は、抗CTLA-4コンジュゲートの投与および照射の前の、免疫チェックポイント阻害物質の投与を含む。いくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害物質は、コンジュゲートの投与の1週間、2週間、3週間、4週間、または4週間超前に対象へ投与され得る。いくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害物質は、コンジュゲートの投与の前に、1回、2回、3回、4回、5回、または5回超、対象へ投与され得る。
【0180】
いくつかの態様において、方法は、抗CTLA-4コンジュゲートの投与と同時の、免疫チェックポイント阻害物質の投与を含み、その後、第1の腫瘍が照射される。いくつかの局面において、腫瘍の照射の後に、免疫チェックポイント阻害物質が、さらに1回、2回、3回、4回、5回、または5回超、対象へ投与され得る。
【0181】
いくつかの態様において、方法は、抗CTLA-4コンジュゲートの投与の後の免疫チェックポイント阻害物質の投与を含む。いくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害物質は、コンジュゲートの投与の1日後に、コンジュゲートの投与後1週間以内に、コンジュゲートの投与後2週間以内に、コンジュゲートの投与後3週間以内に、またはコンジュゲートの投与後4週間以内に、がんを有する対象へ投与される。いくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害物質は、1回、2回、3回、または3回超、対象へ投与され得る。
【0182】
いくつかの態様において、方法は、追加の治療用物質を投与するかまたは追加の抗がん処置を実施する工程をさらに含む。
【0183】
V.投与の方法および製剤
いくつかの態様において、抗CTLA-4コンジュゲートは、例えば、疾患または状態、例えば、がんまたは腫瘍または病変を有する対象へ、全身投与されるか、または処置すべき器官もしくは組織へ局所投与され得る。例示的な投与経路には、局部、注射(例えば、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、腫瘍内、および静脈内)、経口、舌下、直腸、経皮、鼻腔内、膣、ならびに吸入経路が含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、抗CTLA-4コンジュゲートは、静脈内投与される。いくつかの態様において、抗CTLA-4コンジュゲートは、非経口投与される。いくつかの態様において、抗CTLA-4コンジュゲートは、経口投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、局所注射によって投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、局部適用として投与される。
【0184】
抗CTLA-4コンジュゲートを含む組成物は、例えば、腫瘍、例えば、がんを有する対象、または、例えば、手術を介して、腫瘍が以前に取り除かれた対象へ、当技術分野において公知の任意の方法を使用して、局所投与または全身投与され得る。具体的な例が提供されるが、開示された作用物質の投与の代替的な方法が使用されてもよいことを当業者は理解するであろう。そのような方法には、例えば、処置を必要とする対象への数時間~数日の期間にわたる継続的な注入を提供するための、カテーテルまたは植込み型ポンプの使用が含まれ得る。
【0185】
いくつかの態様において、抗CTLA-4コンジュゲートは、腫瘍への直接的な注射または注入を含む非経口手段によって、例えば、腫瘍内に投与される。いくつかの態様において、抗CTLA-4コンジュゲートは、作用物質を腫瘍へ適用することによって、例えば、抗CTLA-4コンジュゲートを含有する溶液に腫瘍を浸すことによって、または作用物質を腫瘍に注ぐことによって、腫瘍へ投与される。
【0186】
さらにまたは代替的に、抗CTLA-4コンジュゲートは、腫瘍、例えば、がんを有する対象へ、全身投与、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、腹腔内投与、皮下投与、または経口投与され得る。
【0187】
対象へ投与される抗CTLA-4コンジュゲートの投薬量は、絶対的な制限を受けないが、組成物およびその活性成分の性質およびその望まれない副作用、例えば、作用物質に対する免疫応答、処置される対象、ならびに処置される状態の型、ならびに投与の様式に依存するであろう。一般的に、用量は、治療的に有効な量、例えば、所望の生物学的効果を達成するために十分な量、例えば、腫瘍のサイズ、例えば、体積および/もしくは重量を減少させるため、または腫瘍のさらなる成長を弱めるため、または腫瘍の望ましくない症状を減少させるため、有効な量であろう。
【0188】
いくつかの態様において、抗CTLA-4コンジュゲートの投与のために使用される組成物は、企図される投与の型のために適切な従来の薬学的担体および賦形剤と共に、有効量の作用物質を含有する。例えば、いくつかの態様において、非経口製剤は、コンジュゲートの無菌の水性の溶液または懸濁液を含有し得る。いくつかの態様において、経口投与用の組成物は、緩衝剤、界面活性剤、チキソトロピック(thixotropic)剤、および風味剤を任意で含んでいてよい水性の溶液または懸濁液の中に、有効量の抗CTLA-4コンジュゲートを含有し得る。
【0189】
いくつかの態様において、抗CTLA-4コンジュゲート、または他の治療用物質と組み合わせられたコンジュゲートは、薬学的に許容される緩衝液、例えば、薬学的に許容される担体または媒体を含有するものにおいて製剤化され得る。一般的に、薬学的に許容される担体または媒体、例えば、薬学的に許容される緩衝液に存在するものは、当技術分野において公知の任意のものであり得る。Remington's Pharmaceutical Sciences,by E.W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,19th Edition(1995)は、1つまたは複数の治療用化合物の薬学的送達のために適した組成物および製剤を記載している。薬学的に許容される組成物は、一般的に、規制当局またはその他の当局の承認を考慮して調製され、動物およびヒトにおいて使用するための一般的に認識されている薬局方に従って調製される。
【0190】
薬学的組成物は、化合物を投与するための担体、例えば、希釈剤、佐剤、賦形剤、または媒体を含み得る。適切な薬学的担体の例は、E.W.Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。そのような組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供するために適した量の担体と共に、一般的に、精製された形態で、治療的に有効な量の化合物を含有するであろう。そのような薬学的担体は、無菌の液体、例えば、水、ならびに油、例えば、石油、動物、植物、または合成に由来するもの、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、およびゴマ油であり得る。薬学的組成物が静脈内投与される時には、水が典型的な担体である。生理食塩水溶液および水性ブドウ糖およびグリセロール溶液も、特に、注射可能溶液のため、液体担体として用いられ得る。組成物は、活性成分と共に以下のものを含有し得る:希釈剤、例えば、乳糖、ショ糖、リン酸水素カルシウム、またはカルボキシメチルセルロース;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびタルク;ならびに結合剤、例えば、デンプン、天然ゴム、例えば、アラビアゴム、ゼラチン、グルコース、モラセス、ポリビニルピロリドン、セルロースおよびその誘導体、ポビドン、クロスポビドン、ならびに当業者に公知のその他のそのような結合剤。適切な薬学的賦形剤には、デンプン、グルコース、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、およびエタノールが含まれる。組成物は、所望により、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤、例えば、酢酸、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム(triethanolamine sodium acetate)、オレイン酸トリエタノールアミン、およびその他のそのような作用物質も含有し得る。
【0191】
いくつかの態様において、薬学的調製物は、液状、例えば、溶液、シロップ、または懸濁液であり得る。そのような液体調製物は、薬学的に許容される添加剤、例えば、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または硬化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性媒体(例えば、アーモンド油、油性エステル、または分留植物油);および保存剤(例えば、メチル-p-ヒドロキシベンゾエートまたはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)によって、従来の手段によって調製され得る。いくつかの場合において、薬学的調製物は、使用前に水またはその他の適切な媒体で再構成するための凍結乾燥形態で提示されてもよい。
【0192】
いくつかの態様において、薬学的に許容される緩衝液または担体の性質は、用いられる具体的な投与モードに依存する。例えば、いくつかの態様において、非経口製剤は、薬学的かつ生理学的に許容される液体、例えば、水、生理学的生理食塩水、平衡塩溶液、水性ブドウ糖、またはグリセロールを媒体として含む注射可能液を含み得る。いくつかの態様において、固体組成物、例えば、粉末、丸剤、錠剤、またはカプセルの形態のための非毒性固体担体には、例えば、薬学的等級のマンニトール、乳糖、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムが含まれ得る。生物学的に中性の担体に加えて、投与される薬学的組成物は、いくつかの態様において、微量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、保存剤、およびpH緩衝剤、例えば、酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタンを含有し得る。
【0193】
前記化合物は、経口投与のため、適切な薬学的調製物、例えば、溶液、懸濁液、錠剤、分散錠、丸剤、カプセル、粉末、徐放性製剤、またはエリキシルに製剤化されてもよく、かつ経皮パッチ調製物および乾燥粉末吸入器に製剤化されてもよい。典型的には、化合物は、当技術分野において周知の技術および手法を使用して、薬学的組成物に製剤化される(例えば、Ansel Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,Fourth Edition,1985,126を参照すること)。一般的に、製剤化のモードは、投与経路によって変わる。
【0194】
組成物は、当業者に公知の任意の経路、例えば、筋肉内、静脈内、皮内、病巣内、腹腔内注射、皮下、腫瘍内、硬膜外、鼻腔内、経口、膣、直腸、局部、局所、耳、吸入、頬側(例えば、舌下)、および経皮投与、または任意の経路による投与のため、製剤化され得る。その他の投与モードも企図される。投与は、処置の場所に依って、局所的、局部的、または全身的であり得る。処置を必要とする区域への局所投与は、例えば、手術中の局所注入、例えば、手術後の創傷被覆と併用される、局部適用、注射、カテーテル、坐剤、またはインプラントによって達成され得るが、これらに限定されるわけではない。
【0195】
皮下、筋肉内、腫瘍内、静脈内、または皮内のいずれかの注射を一般的に特徴とする非経口投与が、本明細書において企図される。注射可能剤は、従来の形態で、液体の溶液もしくは懸濁液、注射前に液体に溶解もしくは懸濁させるために適した固形、または乳濁液のいずれかとして調製され得る。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、またはエタノールである。さらに、所望により、投与される薬学的組成物は、溶媒、例えば、pH緩衝剤、金属イオン塩、またはその他のそのような緩衝液の形態で、活性化剤も含有し得る。薬学的組成物は、その他の微量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、可溶性増強剤、およびその他のそのような作用物質、例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、およびシクロデキストリンも含有し得る。一定の投薬量レベルが維持されるような徐放系または持続放出系の植込み(例えば、米国特許第3,710,795号を参照すること)も、本明細書において企図される。そのような非経口組成物に含有される活性化合物のパーセンテージは、その具体的な性質にも、化合物の活性および対象の必要にも、高度に依存する。
【0196】
注射可能剤は、局所投与および全身投与のために設計される。非経口投与用の調製物には、注射するための準備ができている無菌溶液、使用直前に溶媒と組み合わせるための準備ができている無菌乾燥可溶性生成物、例えば、凍結乾燥粉末、例えば、皮下注射用錠剤、注射するための準備ができている無菌懸濁液、使用直前に媒体と組み合わせるための準備ができている無菌乾燥不溶性生成物、および無菌乳濁液が含まれる。溶液は、水性または非水性のいずれかであり得る。静脈内投与される場合、適切な担体には、生理学的生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ならびに増粘剤および可溶化剤、例えば、グルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールを含有する溶液、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0197】
非経口調製物において使用される薬学的に許容される担体には、水性媒体、非水性媒体、抗微生物剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁化剤および分散剤、乳化剤、封鎖剤またはキレート剤、ならびにその他の薬学的に許容される物質が含まれる。水性媒体の例には、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張ブドウ糖注射液、無菌水注射液、ブドウ糖加乳酸リンゲル注射液が含まれる。非水性非経口媒体には、植物由来の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、および落花生油が含まれる。複数回用量容器にパッケージングされる非経口調製物には、静菌的または静真菌的な濃度の抗微生物剤、例えば、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p-ヒドロキシ安息香酸メチルエステルおよびプロピルエステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、ならびに塩化ベンゼトニウムが添加され得る。等張剤には、塩化ナトリウムおよびブドウ糖が含まれる。緩衝剤には、リン酸およびクエン酸が含まれる。
【0198】
静脈内投与される場合、適切な担体には、生理学的生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ならびに増粘剤および可溶化剤、例えば、グルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールを含有する溶液、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0199】
前記組成物は、単回投与用にまたは複数回投与用に製剤化されてもよい。作用物質は、直接投与用に製剤化されてもよい。組成物は、液体または凍結乾燥製剤として提供され得る。組成物が凍結乾燥形態で提供される場合、それは、適切な緩衝液、例えば、無菌生理食塩水溶液によって、使用直前に再構成され得る。
【0200】
組成物は、連続的に、間欠的に、または同一組成物で、他の生物学的に活性な作用物質と共に投与されてもよい。投与には、放出制御系、例えば、放出制御製剤、およびデバイスによる放出制御、例えば、ポンプによるものも含まれ得る。
【0201】
特定の症例において最も適した経路は、多様な因子、例えば、疾患の性質、疾患の進行、疾患の重症度、および使用される具体的な組成物に依存する。例えば、組成物は、例えば、静脈内投与を介して、全身投与される。皮下法も用いられ得るが、静脈内法と比較して、等価な生物学的利用率を確実にするためには、増加した吸収回数が必要となり得る。
【0202】
薬学的組成物は、各投与経路のために適切な剤形に製剤化され得る。薬学的かつ治療的に活性な化合物およびその誘導体は、典型的には、単位剤形または多重剤形に製剤化され、投与される。各単位用量は、必要とされる薬学的担体、媒体、または希釈剤と共に、所望の治療効果を生じるために十分な、予定された量の治療的に活性な化合物を含有する。単位剤形には、化合物または薬学的に許容されるその誘導体を、適切な量、含有する、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、無菌の非経口用の溶液または懸濁液、および経口用の溶液または懸濁液、ならびに油水乳濁液が含まれるが、これらに限定されるわけではない。単位用量形態は、アンプルおよび注射器に含有されていてもよいか、または錠剤もしくはカプセルに個別にパッケージングされていてもよい。単位用量形態は、分割されて投与されてもよいか、または複数形態で投与されてもよい。複数回用量形態は、分離された単位用量形態で投与される、単一の容器にパッケージングされた複数の同一の単位剤形である。複数回用量形態の例には、バイアル、錠剤もしくはカプセルの瓶、またはパイントもしくはガロンの瓶が含まれる。従って、複数回用量形態は、パッケージングにおいて分離されていない複数回単位用量である。一般的に、0.005%~100%の範囲で活性成分を含有し、残りは非毒性担体から構成される剤形または組成物が、調製され得る。薬学的組成物は、各投与経路のために適切な剤形に製剤化され得る。
【0203】
薬学的に活性な化合物の濃度は、所望の薬理学的効果を生じるために有効な量を注射が提供するよう調整される。正確な用量は、当技術分野において公知であるように、患者または動物の年齢、体重、および状態に依存する。単位用量非経口調製物は、アンプル、バイアル、または針付きの注射器にパッケージングされる。薬学的に活性な化合物を含有する液体溶液または再構成された粉末調製物の体積は、処置される疾患およびパッケージのために選択された具体的な製品によって変わる。当技術分野において公知であり、実施されているように、非経口投与用の調製物は、全て、無菌でなければならない。いくつかの態様において、組成物は、溶液、乳濁液、およびその他の混合物として投与するために再構成され得る凍結乾燥粉末として、提供され得る。それらは、固体またはゲルとして再構成され、製剤化されてもよい。凍結乾燥粉末は、前記の溶液のいずれかから調製され得る。
【0204】
無菌凍結乾燥粉末は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを緩衝溶液に溶解させることによって調製され得る。緩衝溶液は、粉末、または粉末から調製された再構成された溶液の他の薬理学的成分の安定性を改善する賦形剤を含有し得る。
【0205】
いくつかの態様において、溶液のその後の滅菌濾過、およびその後の当業者に公知の標準的な条件での凍結乾燥が、所望の製剤を提供する。簡単に説明すると、凍結乾燥粉末は、賦形剤、例えば、ブドウ糖、ソルビトール、果糖、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、ショ糖、またはその他の適切な作用物質を、適切な緩衝液、例えば、クエン酸、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウム、または当業者に公知のその他のそのような緩衝液に溶解させることによって調製される。次いで、得られた混合物に、選択された酵素が添加され、それが溶解するまで攪拌される。得られた混合物が、滅菌濾過されるか、または微粒子を取り除くためおよび無菌性を確実にするために処理され、凍結乾燥のためのバイアルに分配される。各バイアルは、1回分(1mg~1g、一般的に、1~100mg、例えば、1~5mg)または複数回分の化合物を含有し得る。凍結乾燥粉末は、適切な条件、例えば、約4℃~室温で保管され得る。この凍結乾燥粉末の緩衝溶液による再構成は、非経口投与において使用するための製剤を提供する。正確な量は、処置される適応症および選択された化合物に依存する。そのような量は、経験的に決定され得る。
【0206】
いくつかの態様において、組成物のpHは、6~10、もしくは約6~10、例えば、6~8、もしくは約6~8、6.9~7.3、もしくは約6.9~7.3、例えば、約pH7.1である。いくつかの態様において、薬学的に許容される緩衝液のpHは、少なくとも5もしくは約5、少なくとも6もしくは約6、少なくとも7もしくは約7、少なくとも8もしくは約8、少なくとも9もしくは約9、または少なくとも10もしくは約10であるか、または7.1である。
【0207】
前記組成物は、単回投与用にまたは複数回投与用に製剤化されてもよい。作用物質は、直接投与用に製剤化されてもよい。
【0208】
いくつかの態様において、本明細書において提供された組成物は、抗CTLA-4コンジュゲートの直接投与のため、0.01mgもしくは約0.01mgから、約3000mg、約0.01mg~約1000mg、約0.01mg~約500mg、約0.01mg~約100mg、約0.01mg~約50mg、約0.01mg~約10mg、約0.01mg~約1mg、約0.01mg~約0.1mg、約0.1mg~約2000mg、約0.1mg~約1000mg、約0.1mg~約500mg、約0.1mg~約100mg、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約10mg、約0.1mg~約1mg、約1mg~約2000mg、約1mg~約1000mg、約1mg~約500mg、約1mg~約100mg、約1mg~約10mg、約10mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約10mg~約500mg、約10mg~約100mg、約100mg~約2000mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約500mg、約500mg~約2000mg、約500mg~約1000mg、および約1000mg~約3000mgの範囲の量で製剤化される。いくつかの態様において、組成物の体積は、0.5mL~1000mL、例えば、0.5mL~100mL、0.5mL~10mL、1mL~500mL、1mL~10mL、例えば、少なくとも0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、50mL、もしくは少なくとも約0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、50mL、もしくは約0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、50mL、もしくは0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、50mL、またはそれ以上であり得る。例えば、組成物は、100mg~500mg、もしくは約100mg~500mg、または200mg~400mg、もしくは約200mg~400mgの量の単回投与のため、製剤化される。いくつかの態様において、組成物は、500mg~1500mg、800mg~1200mg、もしくは1000mg~1500mg、または約500mg~1500mg、800mg~1200mg、もしくは1000mg~1500mgの量の単回投与のため、製剤化される。いくつかの態様において、組成物の体積は、10mL~1000mL、もしくは50mL~500mL、もしくは約10mL~1000mL、もしくは50mL~500mLであるか;または組成物の体積は、少なくとも10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、75mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mL、400mL、500mL、もしくは1000mLである。
【0209】
いくつかの態様において、製剤のバイアル含量の全体が、投与のために取り出されてもよいか、または複数回投与のため、複数回分に分割されてもよい。投与するための量の薬物が取り出された後に、その製剤は、所望により、さらに希釈されてもよく、例えば、水、生理食塩水(例えば、0.9%)、またはその他の生理学的溶液で希釈されてもよい。
【0210】
いくつかの態様において、例えば、前記の、公知のまたは標準的な製剤化ガイドラインに従って調製され得る、免疫調整物質または抗がん剤を含有する組成物も提供される。いくつかの態様において、免疫調整物質、抗がん剤、および/または抗CTLA-4コンジュゲートは、別々の組成物として製剤化される。いくつかの態様において、免疫調整物質は、抗CTLA-4コンジュゲートとは別の組成物として提供され、2つの組成物は別々に投与される。いくつかの態様において、抗がん剤は、抗CTLA-4コンジュゲートとは別の組成物として提供され、2つの組成物は別々に投与される。組成物は、非経口送達(即ち、全身送達)のために製剤化され得る。例えば、組成物、または組成物の組み合わせは、皮下送達または静脈内送達のために製剤化される。作用物質、例えば、抗CTLA-4コンジュゲートおよび免疫調整物質および/または抗がん剤は、異なる投与経路によって投与され得る。
【0211】
以下は、免疫調整物質の例示的な投与であり、そのような作用物質は、そのように投与されてもよいか、またはその他の投与スケジュールおよび用量で投与されてもよい。例えば、PD-1阻害物質ペムブロリズマブ(KEYTRUDA)について、メラノーマ患者のために推奨される用量は、疾患進行または許容されない毒性が起こるまで、3週間毎に30分間の静脈内注入として投与される2mg/kgである。非小細胞肺がんのための、KEYTRUDAの推奨される用量は、疾患進行、許容されない毒性が起こるまで、または疾患進行がない患者においては24ヶ月まで、3週間毎に30分間の静脈内注入として投与される200mgである。頭頸部扁平上皮がんを有する患者のための、KEYTRUDAの推奨される用量は、疾患進行、許容されない毒性が起こるまで、または疾患進行がない患者においては24ヶ月まで、3週間毎に30分間の静脈内注入として投与される200mgである。別の例のPD-1阻害物質ニボルマブ(OPTIVO)について、単一の剤としての、切除不能または転移性メラノーマのための推奨される用量は、疾患進行または許容されない毒性が起こるまで、30分間の静脈内注入として投与される、240mg、2週間毎、または480mg、4週間毎のいずれかである。非小細胞肺がん患者のための、OPDIVOの推奨される用量は、疾患進行または許容されない毒性が起こるまで、30分間の静脈内注入として投与される、240mg、2週間毎、または480mg、4週間毎のいずれかである。腎細胞がん患者のための、単一の剤としてのOPDIVOの推奨される用量は、疾患進行または許容されない毒性が起こるまで、30分間の静脈内注入として投与される、240mg、2週間毎、または480mg、4週間毎のいずれかである。古典的なホジキンリンパ腫を有する患者のための、OPDIVOの推奨される用量は、疾患進行または許容されない毒性が起こるまで、30分間の静脈内注入として投与される、240mg、2週間毎、または480mg、4週間毎のいずれかである。再発性または転移性の頭頸部扁平上皮がんを有する患者のための、OPDIVOの推奨される用量は、疾患進行または許容されない毒性が起こるまで、30分間の静脈内注入として投与される、240mg、2週間毎、または480mg、4週間毎のいずれかである。尿路上皮がんを有する患者のための、OPDIVOの推奨される用量は、疾患進行または許容されない毒性が起こるまで、30分間の静脈内注入として投与される、240mg、2週間毎、または480mg、4週間毎のいずれかである。結腸直腸がんを有する患者のための、OPDIVOの推奨される用量は、疾患進行または許容されない毒性が起こるまで、30分間の静脈内注入として投与される240mg、2週間毎である。肝細胞がんを有する患者のための、OPDIVOの推奨される用量は、疾患進行または許容されない毒性が起こるまで、30分間の静脈内注入として投与される、240mg、2週間毎、または480mg、4週間毎のいずれかである。
【0212】
例えば、PD-1阻害物質セミプリマブ-rwlc(LIBTAYO)について、根治的手術または根治的放射線の候補でない転移性有棘細胞がん(CSCC)または局所進行性CSCCを有する患者のため、推奨される投薬量は、3週間毎の30分間の静脈内注入としての350mgである。
【0213】
PD-L1阻害物質アベルマブ(BAVENCIO)について、転移性メルケル細胞がんまたは局所進行性もしくは転移性の尿路上皮がんを有する患者のための推奨される投薬量は、疾患進行または許容されない毒性が起こるまで、2週間毎に60分間の静脈内注入として投与される800mgである。
【0214】
PD-L1阻害物質アテゾリズマブ(TECENTRIQ)について、進行性もしくは転移性の尿路上皮がんまたは転移性非小細胞肺がんを有する患者のための推奨される投薬量は、3週間毎の60分間の静脈内注入としての1200mgである。初回の注入が耐容性を示した場合、その後の全ての注入は30分で送達され得る。
【0215】
PD-L1阻害物質デュルバルマブ(IMFINZI)について、局所進行性または転移性の尿路上皮がんを有する患者のための推奨される用量は、2週間毎の60分間の静脈内注入としての10mg/kgである。
【0216】
抗CTLA-4コンジュゲートおよび免疫調整物質による方法のいくつかの態様において、免疫調整物質は、推奨された用量および/または投与スケジュールで投与される。いくつかの態様において、例えば、抗CTLA-4コンジュゲートが腫瘍もしくは病変もしくはTMEを免疫調整物質に対して感作する時、および/または抗CTLA-4コンジュゲートと免疫調整物質との組み合わせが相乗的応答をもたらす時、免疫調整物質は、推奨された量より低い用量で、または交互スケジュールで、本明細書中の方法において投与され得る。
【0217】
VI.抗CTLA-4コンジュゲートの方法および組成物と共に使用するための装置および照射方法
いくつかの局面において、本明細書中の方法および組成物と共に使用され得る装置には、色素コンジュゲート組成物、例えば、フタロシアニン色素コンジュゲート(例えば、抗CTLA-4コンジュゲート、例えば、本明細書に記載されたもの)と共に使用するために適した光波長の1つの波長(または複数の波長)での照射を提供する光拡散装置が含まれる。照射装置は、光源(例えば、レーザー)、および光を関心対象の区域または部位へ運搬するための手段(例えば、対象の隔離された区域または隔離された病変もしくは腫瘍を照射するための1つまたは複数のファイバー)を含み得る。
【0218】
いくつかの態様において、細胞、例えば、腫瘍は、400nmもしくは約400nmから、約900nm、例えば、500nmもしくは約500nmから、約900nm、例えば、600nmもしくは約600nmから、約850nm、例えば、600nmもしくは約600nmから、約740nm、例えば、約660nm~約740nm、約660nm~約710nm、約660nm~約700nm、約670nm~約690nm、約680nm~約740nm、または約690nm~約710nmの範囲内の波長の治療的線量の放射によって放射線照射される。いくつかの態様において、細胞、例えば、腫瘍は、600nm~850nm、例えば、660nm~740nmの波長の治療的線量の放射によって放射線照射される。いくつかの態様において、細胞、例えば、腫瘍は、少なくとも600nm、620nm、640nm、660nm、680nm、700nm、720nm、もしくは740nm、または少なくとも約600nm、620nm、640nm、660nm、680nm、700nm、720nm、もしくは740nm、例えば、690±50nm、例えば、約680nmの波長で放射線照射される。
【0219】
本明細書において提供された方法および使用のいくつかの態様において、照射は、0.5cm~10cmのディフューザー長を含み1.8±0.2cm間隔をおいて配置された円筒形拡散ファイバーを使用して、実施される。いくつかの態様において、光照射線量は、20J/cmファイバー長または約20J/cmファイバー長から、約500J/cmファイバー長である。いくつかの態様において、腫瘍は、10mm超の深さにあるか、または皮下腫瘍である。
【0220】
いくつかの態様において、提供された方法は、0.5cm~10cmのディフューザー超を含む円筒形拡散ファイバーによって、1.8±0.2cm間隔で、100J/cmファイバー長もしくは約100J/cmファイバー長の光線量で、または400mW/cmもしくは約400mW/cmのフルエンス率で、対象における間質腫瘍を照射する工程を含む。いくつかの態様において、腫瘍は、10mm超の深さにあるか、または皮下腫瘍である。いくつかの態様において、円筒形拡散ファイバーは、1.8±0.2cm間隔で腫瘍内に設置されたカテーテルに置かれる。いくつかの態様において、カテーテルは、光透過性である。
【0221】
いくつかの態様において、細胞、例えば、腫瘍は、少なくとも1J/cm2、例えば、少なくとも10J/cm2、少なくとも30J/cm2、少なくとも50J/cm2、少なくとも100J/cm2、または少なくとも500J/cm2の線量で照射される。いくつかの態様において、照射の線量は、1もしくは約1から、約J/cm2、約1~約500J/cm2、約5~約200J/cm2、約10~約100J/cm2、または約10~約50J/cm2である。いくつかの態様において、細胞、例えば、腫瘍は、少なくとも2J/cm2、5J/cm2、10J/cm2、25J/cm2、50J/cm2、75J/cm2、100J/cm2、150J/cm2、200J/cm2、300J/cm2、400J/cm2、もしくは500J/cm2、または少なくとも約2J/cm2、5J/cm2、10J/cm2、25J/cm2、50J/cm2、75J/cm2、100J/cm2、150J/cm2、200J/cm2、300J/cm2、400J/cm2、もしくは500J/cm2の線量で放射線照射される。
【0222】
いくつかの態様において、病変は、表在性腫瘍である腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍は、10mm未満の厚さである。いくつかの態様において、照射は、表面照射のためのマイクロレンズチップ付きファイバーを使用して実施される。いくつかの態様において、光照射線量は、5J/cm2または約5J/cm2から、約200J/cm2である。
【0223】
いくつかの態様において、細胞、例えば、腫瘍は、少なくとも1J/cmファイバー長、例えば、少なくとも10J/cmファイバー長、少なくとも50J/cmファイバー長、少なくとも100J/cmファイバー長、少なくとも250J/cmファイバー長、または少なくとも500J/cmファイバー長の線量で照射される。いくつかの態様において、放射線照射の線量は、1J/cmファイバー長もしくは約1J/cmファイバー長から、約1000J/cmファイバー長、約1J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長、約2J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長、約50J/cmファイバー長~約300J/cmファイバー長、約10J/cmファイバー長~約100J/cmファイバー長、または約10J/cmファイバー長~約50J/cmファイバー長である。いくつかの態様において、細胞、例えば、腫瘍は、少なくとも2J/cmファイバー長、5J/cmファイバー長、10J/cmファイバー長、25J/cmファイバー長、50J/cmファイバー長、75J/cmファイバー長、100J/cmファイバー長、150J/cmファイバー長、200J/cmファイバー長、250J/cmファイバー長、300J/cmファイバー長、400J/cmファイバー長、もしくは500J/cmファイバー長、または少なくとも約2J/cmファイバー長、5J/cmファイバー長、10J/cmファイバー長、25J/cmファイバー長、50J/cmファイバー長、75J/cmファイバー長、100J/cmファイバー長、150J/cmファイバー長、200J/cmファイバー長、250J/cmファイバー長、300J/cmファイバー長、400J/cmファイバー長、もしくは500J/cmファイバー長の線量で放射線照射される。
【0224】
いくつかの態様において、提供された方法は、5J/cm2または約5J/cm2から、約200J/cm2の光線量で、表面照射のためのマイクロレンズチップ付きファイバーによって、対象における表在性腫瘍を照射する工程を含む。いくつかの態様において、光照射線量は、50J/cm2または約50J/cm2である。
【0225】
いくつかの態様において、ヒト対象における放射線照射または照射の線量は、1J/cm2もしくは約1J/cm2から、約400J/cm2、約2J/cm2~約400J/cm2、約1J/cm2~約300J/cm2、約10J/cm2~約100J/cm2、または約10J/cm2~約50J/cm2、例えば、少なくとも10J/cm2もしくは少なくとも約10J/cm2、または10J/cm2、または10J/cm2以内もしくは約10J/cm2以内、または10J/cm2もしくは約10J/cm2、少なくとも30J/cm2、少なくとも50J/cm2、少なくとも100J/cm2である。いくつかの態様において、ヒト対象における照射の線量は、1J/cmファイバー長もしくは約1J/cmファイバー長から、300J/cmファイバー長、10J/cmファイバー長もしくは約10J/cmファイバー長から、100J/cmファイバー長、または10J/cmファイバー長もしくは約10J/cmファイバー長から、50J/cmファイバー長、例えば、少なくとも10J/cmファイバー長もしくは少なくとも約10J/cmファイバー長、または10J/cmファイバー長、または10J/cmファイバー長以内もしくは約10J/cmファイバー長以内、または10J/cmファイバー長もしくは約10J/cmファイバー長、少なくとも30J/cmファイバー長、少なくとも50J/cmファイバー長、少なくとも100J/cmファイバー長である。いくつかの場合において、PITを達成するためのヒト対象における照射の線量は、マウスにおいてPITのために必要とされるものより低いかもしれない。例えば、いくつかの場合において、インビボ腫瘍マウスモデルにおける50J/cm2(50J/cm2)の光線量測定(dosimetry)は、PITのために有効でなく、これは、ヒト患者について臨床的に観察され得るものとは対照的である。
【0226】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含む組成物の投与後の照射の線量は、660~740nmの波長での少なくとも1J/cm2もしくは1J/cmファイバー長、例えば、660~740nmの波長での少なくとも10J/cm2もしくは10J/cmファイバー長、660~740nmの波長での少なくとも50J/cm2もしくは50J/cmファイバー長、または660~740nmの波長での少なくとも100J/cm2もしくは100J/cmファイバー長、例えば、660~740nmの波長での1.0~500J/cm2もしくは1.0~500J/cmファイバー長である。いくつかの態様において、波長は660~710nmである。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含む組成物の投与後の照射の線量は、680nmの波長での少なくとも1.0J/cm2もしくは1J/cmファイバー長、例えば、680nmの波長での少なくとも10J/cm2もしくは10J/cmファイバー長、680nmの波長での少なくとも50J/cm2もしくは50J/cmファイバー長、または680nmの波長での少なくとも100J/cm2もしくは100J/cmファイバー長、例えば、680nmの波長での1.0~500J/cm2もしくは1.0~500J/cmファイバー長である。いくつかの態様において、複数回の放射線照射、例えば、少なくとも2回、少なくとも3回、または少なくとも4回の照射、例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回の別々の投与が実施される。本明細書において提供されたコンジュゲートまたは組成物の投与後の例示的な放射線照射は、660nm~740nmの波長での、少なくとも1J/cm2または1J/cmファイバー長の線量での、腫瘍の照射を含む。
【0227】
いくつかの態様において、光またはレーザーは、色素分子、例えば、コンジュゲートを含有する細胞に、約5秒~約5分、適用され得る。例えば、いくつかの態様において、光またはレーザーは、色素分子を活性化するため、5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、もしくは55秒、または約5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、もしくは55秒、またはそのような値のいずれか2つの間の範囲内で適用される。いくつかの態様において、光またはレーザーは、1分、1.5分、2分、2.5分、3分、3.5分、4分、4.5分、もしくは5分、もしくは約1分、1.5分、2分、2.5分、3分、3.5分、4分、4.5分、もしくは5分、またはそれ以上、またはそのような値のいずれか2つの間の範囲内で適用される。いくつかの態様において、光またはレーザーが適用される時間の長さは、例えば、光またはレーザーのエネルギー、例えば、ワット数に依って変動し得る。例えば、より低いワット数を有する光またはレーザーは、色素分子を活性化するため、より長い時間、適用され得る。
【0228】
いくつかの態様において、光またはレーザーは、コンジュゲートの投与の約30分~約48時間後に適用され得る。例えば、いくつかの態様において、光またはレーザーは、コンジュゲートの投与の30分、35分、40分、45分、50分、もしくは55分後、もしくは約30分、35分、40分、45分、50分、もしくは55分後、またはそのような値のいずれか2つの間の範囲内で適用される。いくつかの態様において、光またはレーザーは、コンジュゲートの投与の1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、もしくは30時間後、または約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、もしくは30時間後に適用されるか、またはそのような値のいずれか2つの間の範囲内、もしくはおよそそのような値のいずれか2つの間の範囲内で、例えば、約20時間~約28時間もしくは約24時間±4時間後に投与される。いくつかの態様において、光またはレーザーは、コンジュゲートの投与の1~24時間もしくは約1~24時間後、例えば、1~12時間、12~24時間、6~12時間後、もしくは約1~12時間、12~24時間、6~12時間後に適用されるか、または24時間超後に投与され得る。いくつかの態様において、光またはレーザーは、コンジュゲートの投与の36時間または48時間後に適用される。いくつかの態様において、光またはレーザーは、コンジュゲートの投与の24時間±4時間または約24時間±4時間後に適用される。
【0229】
いくつかの態様において、細胞または対象は、1回または複数回、照射され得る。従って、照射は、1日で完了してもよいか、または同一のもしくは異なる投薬量で、複数の日に繰り返し行われてもよく、例えば、照射は、2つの異なる時点、3つの異なる時点、4つの異なる時点、5つの異なる時点、もしくは10の異なる時点で行われてもよい。いくつかの態様において、繰り返される照射は、同一の日に行われてもよいか、連続する日に行われてもよいか、または1~3日毎、3~7日毎、1~2週間毎、2~4週間毎、1~2ヶ月毎、もしくはさらに長い間隔で行われてもよい。
【0230】
いくつかの態様において、照射の線量または方法は、腫瘍の型または形態に依って異なる。
【0231】
いくつかの態様において、病変は、表在性腫瘍である腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍は、10mm未満の厚さである。いくつかの態様において、照射は、表面照射のためのマイクロレンズチップ付きファイバーを使用して実施される。いくつかの態様において、光照射線量は、5J/cm2または約5J/cm2から、約200J/cm2である。
【0232】
いくつかの態様において、提供された方法は、5J/cm2または約5J/cm2から、約200J/cm2の光線量で、表面照射のためのマイクロレンズチップ付きファイバーによって、対象における表在性腫瘍を照射する工程を含み、ここで、腫瘍は、腫瘍の細胞表面分子と結合した、ターゲティング分子を含む光毒性剤と会合している。いくつかの態様において、光照射線量は、50J/cm2または約50J/cm2である。
【0233】
いくつかの態様において、病変は、間質腫瘍である腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍は、10mm超の深さにあるか、または皮下腫瘍である。いくつかの態様において、照射は、0.5cm~10cmのディフューザー長を含む円筒形拡散ファイバーを使用して、1.8±0.2cm間隔で実施される。いくつかの態様において、光照射線量は、20J/cmファイバー長または約20J/cmファイバー長から、約500J/cmファイバー長である。
【0234】
いくつかの態様において、提供された方法は、100J/cmファイバー長もしくは約100J/cmファイバー長の光線量で、または400mW/cmもしくは約400mW/cmのフルエンス率で、0.5cm~10cmのディフューザー長を含む円筒形拡散ファイバーによって、1.8±0.2cm間隔で、対象における間質腫瘍を照射する工程を含み、ここで、腫瘍は、腫瘍の細胞表面分子と結合した、ターゲティング分子を含む光毒性剤と会合している。いくつかの態様において、腫瘍は、10mm超の深さにあるか、または皮下腫瘍である。いくつかの態様において、円筒形拡散ファイバーは、1.8±0.2cm間隔で腫瘍内に設置されたカテーテルに置かれる。いくつかの態様において、カテーテルは光透過性である。
【0235】
いくつかの態様において、照射は、「トップハット型(top hat)」放射度分布プロファイルを有する装置、例えば、WO2018/080952およびUS20180239074に記載されたものを用いる。
【0236】
VII.定義
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての専門用語、記号、ならびにその他の技術用語および科学用語、または用語法は、全て、特許請求の範囲に記載された主題が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有するものとする。いくつかの場合において、一般的に理解される意味を有する用語が、明確および/または容易な言及のため、本明細書において定義されるが、そのような定義の内含は、必ずしも、当技術分野において一般的に理解されるものとの実質的な違いを表すと解釈されるべきではない。
【0237】
本明細書において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」には、前後関係が他のことを明白に示さない限り、複数形も含まれる。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味する。本明細書に記載された局面および変動には、局面および変動「からなる」および/または「から本質的になる」が含まれることが理解される。
【0238】
本開示の全体において、特許請求の範囲に記載された主題の様々な局面が、範囲フォーマットで提示される。範囲フォーマットでの記載は、便宜および簡潔のためのものに過ぎず、特許請求の範囲に記載された主題の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではない。従って、範囲の記載は、その範囲内の全ての可能な部分範囲および個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間にある各中間値、および記述された他の範囲、または記述された範囲の中間値が、特許請求の範囲に記載された主題に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さい範囲に独立に含まれてよく、記述された範囲の具体的に除外される限度を条件として、特許請求の範囲に記載された主題に包含される。記述された範囲が限度の一方または両方を含む場合、含まれた限度の一方または両方を除外した範囲も、特許請求の範囲に記載された主題に含まれる。これは、範囲の幅に関わらず当てはまる。
【0239】
「約」という用語は、本明細書において使用されるように、当業者に容易に公知の、それぞれの値についての通常の誤差範囲をさす。本明細書において、「約」が付いた値またはパラメータの言及は、その値またはパラメータ自体に関する態様を含む(記載する)。例えば、「約X」との記載には、「X」の記載が含まれる。
【0240】
本明細書において使用されるように、「コンジュゲート」とは、光活性化可能色素と直接的または間接的に連結されたターゲティング分子、例えば、化学的コンジュゲートによって作製されたもの、およびその他の任意の方法によって作製されたものをさす。例えば、コンジュゲートとは、1つまたは複数のターゲティング分子、例えば、細胞表面タンパク質と結合するか、またはそれを標的とするポリペプチドと直接的または間接的に連結された、フタロシアニン色素、例えば、ケイ素フタロシアニン色素(Si-フタロシアニン色素)、例えば、IR700分子をさし得る。ターゲティング分子は、1つのポリペプチド、2つ以上のポリペプチド、1つの抗体、または1つの化学的部分であることができる。
【0241】
本明細書において使用されるように、「抗CTLA-4コンジュゲート」とは、CTLA-4と結合するターゲティング分子を有するコンジュゲートをさす。抗CTLA-4コンジュゲートは、CTLA-4と結合することができる、抗体、抗原結合断片、低分子、またはその他の部分であるターゲティング分子を有し得る。
【0242】
本明細書において使用されるように、「抗体」とは、抗原、例えば、腫瘍特異的タンパク質のエピトープを特異的に認識し、それと結合する、免疫グロブリンの軽鎖または重鎖の可変領域を少なくとも含むポリペプチドをさす。抗体は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域と呼ばれる可変領域を各々含む、重鎖および軽鎖から構成される。共に、VH領域およびVL領域は、抗体によって認識される抗原との結合を担う。
【0243】
「モノクローナル抗体」とは、Bリンパ球の単一のクローンによって、または単一の抗体の軽鎖および重鎖の遺伝子がトランスフェクトされた細胞によって産生される抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法によって、例えば、骨髄腫細胞と免疫脾細胞との融合からハイブリッド抗体形成細胞を作製することによって作製される。モノクローナル抗体は、ヒト化モノクローナル抗体を含む。
【0244】
「特異的に結合する」とは、無関係のタンパク質、例えば、非腫瘍タンパク質、例えば、βアクチンとの結合と比べて、抗原、例えば、腫瘍特異的抗原と特異的に免疫学的に反応する、個々の抗体の能力をさす。例えば、CTLA-4特異的結合物質は、インビトロまたはインビボで、実質的にCTLA-4タンパク質のみと結合する。本明細書において使用されるように、「腫瘍特異的結合物質」という用語には、実質的にその調製物中の腫瘍特異的タンパク質のみと結合する腫瘍特異的抗体およびその他の作用物質が含まれる。
【0245】
「抗体-IR700分子」または「抗体-IR700コンジュゲート」とは、IR700とコンジュゲートされた抗体、例えば、腫瘍特異的抗体を含む分子をさす。いくつかの例において、抗体は、がん細胞の表面タンパク質と特異的に結合するヒト化抗体(例えば、ヒト化モノクローナル抗体)である。
【0246】
「抗原」とは、動物における抗体の産生またはT細胞応答を刺激することができる化合物、組成物、または物質、例えば、動物に注射または吸収される組成物(例えば、腫瘍特異的タンパク質を含むもの)をさす。抗原は、特異的な体液性または細胞性の免疫、例えば、異種抗原、例えば、開示された抗原によって誘導されるものの生成物と反応する。「エピトープ」または「抗原性決定基」とは、B細胞および/またはT細胞が応答する抗原の領域をさす。1つの態様において、T細胞は、エピトープがMHC分子と共に提示された時に、エピトープに応答する。エピトープは、連続アミノ酸からも形成され得るし、またはタンパク質の三次折り畳みによって並置された非連続アミノ酸からも形成され得る。連続アミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒に曝露されると保持されるが、三次折り畳みによって形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒による処理によって失われる。エピトープは、典型的には、特有の空間的コンフォメーションで、少なくとも3個、より一般的には、少なくとも5個、約9個、または約8~10個のアミノ酸を含む。エピトープの空間的コンフォメーションを決定する方法には、例えば、X線結晶解析および核磁気共鳴が含まれる。
【0247】
抗原の例には、抗原性決定基を含有する、ペプチド、脂質、多糖、および核酸、例えば、免疫細胞によって認識されるものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの例において、抗原には、腫瘍特異的ペプチド(例えば、がん細胞の表面に見出されるもの)またはその免疫原性断片が含まれる。
【0248】
「免疫調整物質」および「免疫調整治療」とは、サイトカイン、アジュバント、および免疫チェックポイント阻害物質などの、それぞれ、免疫系を調整する治療用物質、ならびにそのような作用物質による処置をさす。
【0249】
「免疫チェックポイント阻害物質」とは、いくつかの型の免疫系細胞、例えば、T細胞、およびいくつかのがん細胞によって作られるある種のタンパク質を阻止する薬物の型をさす。これらのタンパク質は、免疫応答の抑制を助け、T細胞ががん細胞を死滅させないようにすることができる。これらのタンパク質が阻止された時に、免疫系に対する「ブレーキ」が解除され、T細胞は、よりよくがん細胞を死滅させ得るようになる。T細胞またはがん細胞に見出されるチェックポイントタンパク質の例には、PD-1/PD-L1およびCTLA-4/B7-1/B7-2が含まれる。いくつかの免疫チェックポイント阻害物質は、がんを処置するために使用されている。
【0250】
本明細書において使用されるように、組み合わせとは、2つまたはそれ以上の項目の任意の関連をさす。組み合わせは、2つまたはそれ以上の別々の項目、例えば、2つの組成物または2つの集団であってもよく、それらの混合物、例えば、2つもしくはそれ以上の項目の単一の混合物、またはそれらの任意の変動であってもよい。組み合わせの要素は、一般的に、機能的に関連しているか、または関係がある。
【0251】
本明細書において使用されるように、「組み合わせ治療」とは、単一の疾患を処置するため、2つまたはそれ以上の治療用物質、例えば、少なくとも2つまたは少なくとも3つの治療用物質が対象に与えられる処置をさす。いくつかの態様において、各治療は、独立した薬学的効果をもたらすことができ、共に、相加的または相乗的な薬学的効果をもたらすことができる。
【0252】
本明細書において使用されるように、疾患または状態を有する対象の「処置」とは、対象の症状が、処置後に、部分的にもしくは完全に軽減されるか、または静止状態であり続けることをさす。従って、処置には、予防、治療、および/または治癒が包含される。予防とは、可能性のある疾患の防止、および/または症状の悪化もしくは疾患の進行の防止をさす。
【0253】
本明細書において使用されるように、「処置」とは、状態、障害、もしくは疾患、またはその他の適応症の症状が、寛解するか、またはその他の方法で有益に変更される様式を意味する。
【0254】
本明細書において使用されるように、「治療効果」とは、疾患もしくは状態の症状を変更し、典型的には、改善するか、もしくは寛解させるか、または疾患もしくは状態を治癒させる、対象の処置に起因する効果を意味する。
【0255】
本明細書において使用されるように、処置による、例えば、薬学的組成物またはその他の治療薬の投与による、特定の疾患または障害の症状の寛解とは、組成物もしくは治療薬の投与に起因すると考えられ得るかまたはそれに関連付けられ得る症状の、永久的なものであろうと一時的なものであろうと、持続性であろうと一過性であろうと、低下をさす。
【0256】
本明細書において使用されるように、「対象」という用語は、動物、例えば、哺乳動物、例えば、ヒトをさす。
【0257】
本明細書において使用されるように、「任意選択の」または「任意で」とは、その後に記載されるイベントまたは状況が、起こるか、または起こらず、その記載には、そのイベントまたは状況が起こる場合および起こらない場合が含まれることを意味する。例えば、任意で置換された基とは、その基が置換されていないか、または置換されていることを意味する。
【0258】
本明細書において使用されるように、「腫瘍」とは、細胞が必要以上に分裂するか、または死滅すべき時に死滅しない時に生じる組織の異常な塊をさす。腫瘍は、良性(非がん)または悪性(がん)であり得る。
【0259】
本明細書において使用されるように、「病変」とは、異常組織の区域をさす。病変は、良性(非がん)または悪性(がん)であり得る。
【0260】
本明細書において使用されるように、「抗がん剤」とは、がんを止めるか、または防止するための処置のために使用される分子をさす。例には、化学的低分子、抗体、抗体コンジュゲート、免疫調整物質、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。
【0261】
本明細書において使用されるように、「サプレッサー細胞」または「免疫サプレッサー細胞」とは、免疫エフェクター細胞、例えば、CD8+Tエフェクター細胞の機能を減少させるか、または阻害することができる細胞をさす。サプレッサー細胞の例には、制御性T細胞、M2マクロファージ、骨髄系由来サプレッサー細胞、腫瘍関連線維芽細胞、またはがん関連線維芽細胞が含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。
【0262】
本明細書において使用されるように、「免疫抑制剤」とは、身体の免疫応答を減少させる剤をさす。それは、感染およびその他の疾患、例えば、がんに対抗する身体の能力を低下させる。
【0263】
本明細書において使用されるように、「処置に対して抵抗性」とは、処置に対して非応答性である疾患または病理学的状態をさし、従って、この処置は、この疾患または病理学的状態の処置において、有効でなく、有効性を示さない。
【0264】
本明細書において使用されるように、「全身免疫応答」とは、免疫学的チャレンジ、例えば、がん、腫瘍、またはがん性病変に関連したものに対して全身的に応答する、対象の免疫系の能力をさす。全身免疫応答は、対象の適応免疫系および/または自然免疫系の全身応答を含み得る。全身免疫応答は、異なる組織、例えば、血流、リンパ節、骨髄、脾臓、および/または腫瘍微小環境に及ぶ免疫応答を含み、いくつかの場合において、組織および器官、ならびに組織および器官の様々な細胞および因子における協調的応答を含む。
【0265】
本明細書において使用されるように、「局所免疫応答」とは、免疫学的チャレンジ、例えば、がん、腫瘍、またはがん性病変に関連したものに対する、組織または器官における免疫応答をさす。局所免疫応答は、適応免疫系および/または自然免疫系を含み得る。局所免疫は、異なる組織、例えば、血流、リンパ節、骨髄、脾臓、および/または腫瘍微小環境において同時に起こる免疫応答を含む。
【0266】
VIII.例示的な態様
提供された態様には、以下が含まれる。
1.(a)以前の治療的処置に対して非応答性である腫瘍または病変を有する対象を同定する工程;
(b)ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;
(c)コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程;および
(d)第1の免疫調整治療を対象へ実施する工程
を含む、腫瘍または病変を処置する方法であって、
対象における腫瘍または病変の成長および/または体積の増加が阻害されるかまたは低下する、方法。
2.以前の治療的処置が、免疫調整物質、免疫チェックポイント阻害物質、抗がん剤、サプレッサー細胞に対して作用する治療用物質、およびそれらの任意の組み合わせによる処置を含む、態様1の方法。
3.以前の治療的処置が、PD-1阻害物質、PD-L1阻害物質、CTLA-4阻害物質、またはそれらの任意の組み合わせによる処置を含む、態様1または態様2の方法。
4.以前の治療的処置が抗体または抗体の抗原結合断片による処置を含む、態様1~3のいずれかの方法。
5.抗体または抗原結合断片がPD-1、CTLA-4、またはPD-L1と結合する、態様4の方法。
6.第1の免疫調整治療が、コンジュゲートの投与の前に実施される、態様1~5のいずれかの方法。
7.第1の免疫調整治療が、コンジュゲートの投与の約1~3週間前に実施される、態様6の方法。
8.第1の免疫調整治療が、コンジュゲートの投与の前に、1回、2回、3回、4回、5回、または5回超実施される、態様6または態様7の方法。
9.第1の免疫調整治療が、コンジュゲートの投与と同時に実施される、態様1~5のいずれかの方法。
10.第1の免疫調整治療が、コンジュゲートの投与の後に実施される、態様1~5のいずれかの方法。
11.第1の免疫調整治療が、コンジュゲートの投与の後に、1回、2回、3回、4回、5回、または5回超実施される、態様10の方法。
12.第1の免疫調整治療が、コンジュゲートの投与の約1日~4週間後に実施される、態様10または態様11の方法。
13.第1の免疫調整治療が、コンジュゲートの投与の前に実施され、かつコンジュゲートの投与の後にさらに少なくとも1回実施される、態様1~5のいずれかの方法。
14.第1の免疫調整治療が、コンジュゲートの投与の前に、1回、2回、または3回実施される、態様13の方法。
15.第1の免疫調整治療が、コンジュゲートの投与の約1~3週間前に実施される、態様13または態様14の方法。
16.第1の免疫調整治療が、自然活性化の増強のためのアジュバントまたは適応活性化の増強のためのアジュバントである、態様1~15のいずれかの方法。
17.第1の免疫調整治療がT細胞アゴニストである、態様1~15のいずれかの方法。
18.(e)以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置に対して非応答性または抵抗性である対象における腫瘍または病変を同定する工程;
(f)ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;
(g)コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程;および
(h)第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程
を含む、以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置に対して抵抗性の腫瘍または病変を処置する方法であって、
腫瘍または病変が、第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性を示す、方法。
19.以前の免疫チェックポイント阻害物質が、PD-1阻害物質、PD-L1阻害物質、またはCTLA-4阻害物質からなる群より選択される、態様18の方法。
20.対象が、照射されていない第2の腫瘍または病変を含み、かつ第2の腫瘍または病変が、第1の免疫チェックポイント阻害物質の投与に対する感受性を示す、態様18または態様19の方法。
21.対象が転移性腫瘍細胞を含み、かつ転移性腫瘍細胞が、第1の免疫チェックポイント阻害物質の投与に対する感受性を示す、態様18または態様19の方法。
22.感受性が、腫瘍成長の低下もしくは阻害、腫瘍細胞転移の低下、腫瘍細胞死滅の増加、全身免疫応答の増加、新たなT細胞プライミングの増加、CD8 T細胞の多様性の増加、またはそれらの任意の組み合わせを含む、態様18~21のいずれかの方法。
23.第1の免疫チェックポイント阻害物質が、PD-1阻害物質、PD-L1阻害物質、またはCTLA-4阻害物質である、態様18~22のいずれかの方法。
24.第1の免疫チェックポイント阻害物質が抗体または抗体の抗原結合断片を含む、態様18~23のいずれかの方法。
25.(i)ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;
(j)コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、第1の腫瘍または第1の病変の部位を照射する工程;および
(k)第1の免疫調整治療を実施する工程
を含む、全身免疫応答を誘発する方法であって、
工程(i)、(j)、および(k)の後に、対象が、照射された部位から遠位の第2の腫瘍または第2の病変において少なくとも1つの全身応答を示す、方法。
26.全身応答が全身免疫応答特徴を含む、態様25の方法。
27.全身免疫応答特徴が、CD8 T細胞浸潤の増加、CD8 T細胞活性化の増加、樹状細胞浸潤の増加、樹状細胞活性化の増加、新たなT細胞プライミングの増加、T細胞多様性の増加、またはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、態様26の方法。
28.全身免疫応答特徴が、炎症誘発性分子、炎症誘発性サイトカイン、免疫細胞活性化マーカー、またはT細胞多様性のうちの1つまたは複数の増加を含む、態様26の方法。
29.対象から得られた血液試料より全身免疫応答特徴が評価される、態様26~28のいずれかの方法。
30.(l)ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;
(m)コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程;および
(n)第1の免疫調整治療を実施する工程
を含む、局所免疫応答を誘発する方法であって、
工程(l)、(m)、および(n)の後に、対象が、少なくとも1つの局所応答を示し、かつ応答が、第1の免疫調整治療のみによる処置と比較して、またはコンジュゲート投与および照射による単独の処置と比較して相乗的である、方法。
31.局所応答が局所免疫応答を含む、態様30の方法。
32.局所免疫応答が、腫瘍内Treg枯渇、腫瘍内CD8 T細胞浸潤の増加、腫瘍内CD8 T細胞活性化の増加、骨髄系抑制性細胞の減少、I型インターフェロン応答、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、態様31の方法。
33.局所免疫応答が抗免疫細胞型または免疫活性化マーカーの腫瘍または腫瘍微小環境における増加を含む、態様31の方法。
34.第1の免疫調整治療がPD-1阻害物質またはPD-L1阻害物質による処置を含む、態様25~33のいずれかの方法。
35.第1の免疫調整治療が抗体または抗体の抗原結合断片による処置を含む、態様25~34のいずれかの方法。
36.第1の免疫調整治療が、自然活性化の増強のためのアジュバント、適応活性化の増強のためのアジュバント、およびT細胞アゴニストからなる群より選択される、態様25~33のいずれかの方法。
37.フタロシアニン色素とコンジュゲートされたがんターゲティング分子を含む第2のコンジュゲートによる処置をさらに含み、かつ少なくとも1つの照射する工程が、第2のコンジュゲートの投与の後に実施される、態様1~35のいずれかの方法。
38.(o)対象における非炎症性の腫瘍または病変を同定する工程;
(p)ターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程であって、ターゲティング分子がCTLA-4と結合する、工程;および
(q)コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程
を含む、腫瘍または病変を処置する方法であって、
対象における非炎症性の腫瘍または病変の成長および/または体積の増加が阻害されるかまたは低下する、方法。
39.裸のまたはコンジュゲートされていないCTLA-4抗体による処置と比較して、腫瘍成長の阻害が増強される、態様38の方法。
40.非炎症性の腫瘍または病変が、高い遺伝子変異量によって、または腫瘍免疫スコアによって同定される、態様38または態様39の方法。
41.非炎症性の腫瘍または病変が、PD-1マーカーまたはPD-L1マーカーの発現の状態によって同定される、態様38または態様39の方法。
42.非炎症性の腫瘍または病変が、腫瘍または病変のPD-1阻害物質またはPD-L1阻害物質に対する応答の欠如に基づき同定される、態様38または態様39の方法。
43.非炎症性の腫瘍または病変が、リキッドバイオプシーまたは組織生検によって同定される、態様38~42のいずれかの方法。
44.照射する工程の後に、腫瘍または腫瘍微小環境において、Treg細胞が迅速に枯渇する、態様38~43のいずれかの方法。
45.照射する工程の後に腫瘍細胞の壊死が起こる、態様38~44のいずれかの方法。
46.ターゲティング分子が抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片を含む、態様1~45のいずれかの方法。
47.抗CTLA-4抗体が、イピリムマブ(YERVOY)、トレメリムマブ、AGEN1181、AGEN1884、ADU-1064、BCD-145、およびBCD-217からなる群より選択される、態様46の方法。
48.フタロシアニン色素がSi-フタロシアニン色素である、態様1~47のいずれかの方法。
49.Si-フタロシアニン色素がIR700である、態様48の方法。
50.第1の免疫調整治療または第1の免疫チェックポイント阻害物質が、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(TSR-042)、チスレリズマブ(BGB-A317)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(CT-011)、ゲノリムズマブ(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、およびTSR-042(ANB011)からなる群より選択される抗PD-1抗体による処置を含む、態様1~49のいずれかの方法。
51.第1の免疫調整治療または第1の免疫チェックポイント阻害物質が、アテゾリズマブ(MPDL3280A、TECENTRIQ、RG7446)、アベルマブ(BAVENCIO、MSB0010718C;M7824)、デュルバルマブ(MEDI4736、IMFINZI)、LDP、NM-01、STI-3031(IMC-001;STI-A1015)、KN035、LY3300054、M7824(MSB0011359C)、BMS-936559、MSB2311、BCD-135、BGB-A333、CBT-502(TQB-2450)、コシベリマブ(CK-301)、CS1001(WPB3155)、FAZ053、MDX-1105、SHR-1316(HTI-1088)、TG-1501、ZKAB001(STI-A1014)、INBRX-105、MCLA-145、KN046、LY3415244、REGN3504、およびHLX20からなる群より選択される抗PD-L1抗体による処置を含む、態様1~49のいずれかの方法。
52.照射する工程が、コンジュゲートの投与の30分~96時間後に実施される、態様1~51のいずれかの方法。
53.照射する工程が、コンジュゲートの投与の24時間±4時間後に実施される、態様1~52のいずれかの方法。
54.照射する工程が690±40nmの波長で実施される、態様1~53のいずれかの方法。
55.照射する工程が、50J/cm2もしくは約50J/cm2または100J/cmファイバー長もしくは約100J/cmファイバー長の線量で実施される、態様1~54のいずれかの方法。
56.コンジュゲートの投与が1回または複数回繰り返され、任意で、コンジュゲートの繰り返された各投与の後に、照射する工程が繰り返される、態様1~55のいずれかの方法。
57.追加の治療用物質または抗がん処置を実施する工程をさらに含む、態様1~56のいずれかの方法。
58.腫瘍または病変が、結腸がん、結腸直腸がん、膵臓がん、乳がん、皮膚がん、肺がん、非小細胞肺がん、腎細胞がん、甲状腺がん、前立腺がん、頭頸部がん、胃腸がん、胃がん、小腸のがん、紡錘細胞新生物、肝がん、肝臓がん、胆管細胞がん、末梢神経のがん、脳がん、骨格筋のがん、平滑筋のがん、骨がん、脂肪組織のがん、子宮頸がん、子宮がん、生殖器のがん、リンパ腫、および多発性骨髄腫からなる群より選択されるがんに関連している、態様1~57のいずれかの方法。
59.コンジュゲートが、全身制御性T細胞の数または活性と無関係の効果を提供する、態様1~58のいずれかの方法。
60.腫瘍内細胞傷害性Tエフェクター細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、その他の免疫エフェクター細胞、またはそれらの任意の組み合わせの数または出現頻度の実質的な増加をもたらす、態様1~58のいずれかの方法。
61.腫瘍内細胞傷害性Tエフェクター細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、その他の免疫エフェクター細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性または機能の実質的な増加をもたらす、態様1~58のいずれかの方法。
62.腫瘍内サプレッサー細胞の数もしくは出現頻度および/または活性もしくは機能の実質的な減少をもたらす、態様1~58のいずれかの方法。
63.腫瘍内サプレッサー細胞が、制御性T細胞、II型ナチュラルキラーT細胞、M2マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、骨髄系由来サプレッサー細胞、またはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、態様62の方法。
64.(a)以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置に対して非応答性または抵抗性である対象における腫瘍または病変を同定する工程;
(b)CTLA-4と結合するターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象へ投与する工程;
(c)コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程;および
(d)第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程
を含む、以前の免疫チェックポイント阻害物質治療に対して非応答性または抵抗性である腫瘍または病変を処置する方法であって、
腫瘍または病変が、第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性を示す、方法。
65.第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性が、腫瘍もしくは病変の体積、大きさ、もしくは質量の低下、腫瘍もしくは病変の体積もしくは大きさの20%未満の増加、または腫瘍細胞の数の低下を含む、態様64の方法。
66.第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性が、腫瘍細胞転移の低下、腫瘍細胞死滅の増加、全身免疫応答の増加、新たなT細胞プライミングの増加、CD8+T細胞の多様性の増加、またはそれらの任意の組み合わせを含む、態様64の方法。
67.第1の免疫チェックポイント阻害物質に対する感受性が全身免疫応答の増加を含み、かつ全身免疫応答が、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)活性アッセイ、腫瘍内T細胞消耗アッセイ、腫瘍内エフェクターT細胞増大アッセイ、T細胞受容体多様性アッセイ、活性化CD8+T細胞アッセイ、循環制御性T細胞(Treg)アッセイ、腫瘍内Tregアッセイ、またはCD8+T細胞:Tregアッセイのうちの1つまたは複数によって測定される、態様66の方法。
68.非応答性または抵抗性である腫瘍または病変が、高い遺伝子変異量によって、または腫瘍免疫スコアによって同定される、態様64~67のいずれかの方法。
69.非応答性または抵抗性である腫瘍または病変が、PD-1バイオマーカーまたはPD-L1バイオマーカーの発現の状態によって同定される、態様64~67のいずれかの方法。
70.非応答性または抵抗性である腫瘍または病変が、リキッドバイオプシーまたは組織生検によって同定される、態様64~69のいずれかの方法。
71.以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置が、PD-1阻害物質、PD-L1阻害物質、またはCTLA-4阻害物質による処置を含む、態様64~70のいずれかの方法。
72.以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置が、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片による処置を含む、態様64~71のいずれかの方法。
73.抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(toripalimab)(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(dostarlimab)(TSR-042)、チスレリズマブ(tislelizumab)(BGB-A317)、セトレリマブ(cetrelimab)(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(pidilizumab)(CT-011)、ゲノリムズマブ(genolimzumab)(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(sintilimab)(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(camrelizumab)(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ(spartalizumab)、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、およびTSR-042(ANB011)からなる群より選択される、態様72の方法。
74.(a)CTLA-4と結合するターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを、対象へ投与する工程;
(b)コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、第1の腫瘍または第1の病変の部位において照射する工程;および
(c)第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程
を含む、全身免疫応答を誘発する方法であって、
工程(a)、(b)、および(c)の後に、対象が、照射された部位から遠位の位置において少なくとも1つの全身免疫応答特徴を示す、方法。
75.少なくとも1つの全身免疫応答特徴が、CD8+T細胞浸潤の増加、CD8+T細胞活性化の増加、CD8+:Treg比の増加、ナチュラルキラー細胞浸潤の増加、ナチュラルキラー細胞活性化の増加、樹状細胞浸潤の増加、樹状細胞活性化の増加、新たなT細胞プライミングの増加、T細胞多様性の増加、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、態様74の方法。
76.少なくとも1つの全身免疫応答特徴が、炎症誘発性分子、炎症誘発性サイトカイン、または免疫細胞活性化マーカーのうちの1つまたは複数の増加を含む、態様74の方法。
77.対象から得られた血液試料より少なくとも1つの全身免疫応答特徴が評価される、態様74~76のいずれかの方法。
78.照射された部位から遠位の位置が、照射されていない第2の腫瘍または第2の病変である、態様74~77のいずれかの方法。
79.(a)CTLA-4と結合するターゲティング分子と連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを、対象へ投与する工程;
(b)コンジュゲートの投与の後に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmの波長で、かつ25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2、または2J/cmファイバー長もしくは約2J/cmファイバー長から、500J/cmファイバー長もしくは約500J/cmファイバー長の線量で、腫瘍または病変を照射する工程;および
(c)第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程
を含む、局所免疫応答を誘発する方法であって、
工程(a)、(b)、および(c)の後に、対象が、少なくとも1つの局所免疫応答特徴を示し、かつ少なくとも1つの局所免疫応答特徴が、第1の免疫チェックポイント阻害物質のみの投与と比較して、またはコンジュゲートおよび照射する工程のみによる処置と比較して相乗的である、方法。
80.少なくとも1つの局所免疫応答特徴が、腫瘍内Treg枯渇、腫瘍内CD8 T細胞浸潤の増加、腫瘍内CD8 T細胞活性化の増加、腫瘍内CD8+:Treg比の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞浸潤の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞活性化の増加、骨髄系抑制性細胞の減少、I型インターフェロン応答、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、態様79の方法。
81.少なくとも1つの局所免疫応答特徴が、腫瘍または腫瘍微小環境における抗免疫細胞型または免疫活性化マーカーの増加を含む、態様79の方法。
82.ターゲティング分子が抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片を含む、態様64~81のいずれかの方法。
83.抗CTLA-4抗体が、イピリムマブ(YERVOY)、トレメリムマブ、AGEN1181、AGEN1884、ADU-1064、BCD-145、CBT-509、およびBCD-217からなる群より選択される、態様82の方法。
84.第1の免疫チェックポイント阻害物質が抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含む、態様64~83のいずれかの方法。
85.第1の免疫チェックポイント阻害物質が、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(TSR-042)、チスレリズマブ(BGB-A317)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(CT-011)、ゲノリムズマブ(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、およびTSR-042(ANB011)、ならびにそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、態様84の方法。
86.第1の免疫チェックポイント阻害物質が、コンジュゲートの投与と同時に投与される、態様64~85のいずれかの方法。
87.第1の免疫チェックポイント阻害物質が、コンジュゲートの投与から24時間以内に投与される、態様64~85のいずれかの方法。
88.第1の免疫チェックポイント阻害物質が、コンジュゲートの投与の前に投与される、態様64~85のいずれかの方法。
89.第1の免疫チェックポイント阻害物質が、コンジュゲートの投与の約1~3週間前に投与される、態様88の方法。
90.第1の免疫チェックポイント阻害物質が、コンジュゲートの投与の前に1回、2回、3回、4回、5回、または5回超投与される、態様88または態様89の方法。
91.コンジュゲートの投与の後に、第1の免疫チェックポイント阻害物質を投与する工程をさらに含む、態様4~90のいずれかの方法。
92.第1の免疫チェックポイント阻害物質が、コンジュゲートの投与の後に1回、2回、3回、4回、5回、または5回超投与される、態様91の方法。
93.第1の免疫チェックポイント阻害物質が、コンジュゲートの投与の約1日~約4週間後に投与される、態様91または態様92の方法。
94.対象が、以前の免疫チェックポイント阻害物質による処置の後に進行性疾患または安定疾患を示す、態様64~73および82~93のいずれかの方法。
95.以前の免疫チェックポイント阻害物質治療に対して非応答性または抵抗性である腫瘍または病変が、腫瘍もしくは病変の体積、大きさ、もしくは質量の低下の欠如、腫瘍もしくは病変の体積もしくは大きさの20%超の増加、または腫瘍細胞の数の増加、または転移を示す腫瘍または病変を含む、態様64~73および82~93のいずれかの方法。
96.対象が、照射されていない第2の腫瘍または病変を含み、かつ第2の腫瘍または病変が、第1の免疫チェックポイント阻害物質の投与に対する感受性を示す、態様64~95のいずれかの方法。
97.対象が転移性腫瘍細胞を含み、かつ転移性腫瘍細胞が、第1の免疫チェックポイント阻害物質の投与に対する感受性を示す、態様64~95のいずれかの方法。
98.対象が全身Treg細胞の実質的な低下を経験していない、態様64~97のいずれかの方法。
99.対象が、照射された腫瘍または病変から遠位の部位において応答を示し、応答が、CD8+T細胞浸潤の増加、CD8+T細胞活性化の増加、腫瘍内CD8+:Treg比の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞浸潤の増加、腫瘍内ナチュラルキラー細胞活性化の増加、樹状細胞浸潤の増加、樹状細胞活性化の増加、新たなT細胞プライミングの増加、T細胞多様性の増加、炎症誘発性分子、炎症誘発性サイトカイン、免疫細胞活性化マーカーのうちの1つまたは複数の増加、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、態様64~98のいずれかの方法。
100.腫瘍内サプレッサー細胞の数、出現頻度、活性、および/または機能の実質的な減少をもたらす、態様64~99のいずれかの方法。
101.腫瘍内サプレッサー細胞が、制御性T細胞、II型ナチュラルキラーT細胞、M2マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、骨髄系由来サプレッサー細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、態様100の方法。
102.腫瘍内細胞傷害性Tエフェクター細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、その他の免疫エフェクター細胞、またはそれらの任意の組み合わせの数または出現頻度の実質的な増加をもたらす、態様64~101のいずれかの方法。
103.腫瘍内細胞傷害性Tエフェクター細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、その他の免疫エフェクター細胞、またはそれらの任意の組み合わせの活性または機能の実質的な増加をもたらす、態様64~102のいずれかの方法。
104.照射する工程の後に腫瘍または病変の壊死が起こる、態様64~103のいずれかの方法。
105.フタロシアニン色素がSi-フタロシアニン色素である、態様64~104のいずれかの方法。
106.Si-フタロシアニン色素がIR700である、態様105の方法。
107.照射する工程が、コンジュゲートの投与の30分~96時間後に実施される、態様64~106のいずれかの方法。
108.照射する工程が、コンジュゲートの投与の24時間±4時間後に実施される、態様64~107のいずれかの方法。
109.照射する工程が690±40nmの波長で実施される、態様64~108のいずれかの方法。
110.照射する工程が、50J/cm2もしくは約50J/cm2または100J/cmファイバー長もしくは約100J/cmファイバー長の線量で実施される、態様64~109のいずれかの方法。
111.コンジュゲートの投与が1回または複数回繰り返され、任意で、コンジュゲートの繰り返された各投与の後に照射する工程が繰り返される、態様64~110のいずれかの方法。
112.追加の治療用物質を投与するかまたは追加の抗がん処置を実施する工程をさらに含む、態様64~111のいずれかの方法。
113.腫瘍または病変が、結腸がん、結腸直腸がん、膵臓がん、乳がん、皮膚がん、肺がん、非小細胞肺がん、腎細胞がん、甲状腺がん、前立腺がん、頭頸部がん、胃腸がん、胃がん、小腸のがん、紡錘細胞新生物、肝がん、肝臓がん、胆管細胞がん、末梢神経のがん、脳がん、骨格筋のがん、平滑筋のがん、骨がん、脂肪組織のがん、子宮頸がん、子宮がん、生殖器のがん、リンパ腫、および多発性骨髄腫からなる群より選択されるがんに関連している、態様64~112のいずれかの方法。
【実施例
【0267】
IX.実施例
以下の実施例は、例示的な目的のために含まれるに過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0268】
実施例1:IRDye 700とコンジュゲートされた抗CTLA-4抗体の生成
この実施例は、抗CTLA-4抗体9H10と連結されたIRDye 700DX(IR700)を含有するコンジュゲートを調製するための方法、従って、9H10-IRDye 700DX(9H10-IR700)を作製するための方法を記載する。
【0269】
マウスCTLA-4に対するシリアンハムスターIgGモノクローナル抗体(mAb)である抗体9H10(1mg、6.8nmol)を、室温で、30~120分間、0.1mol/L Na2HPO4(pH 8.5)中で、IRDye 700DX NHSエステル(IR700;LI-COR Bioscience,Lincoln,NE)(66.8μg、34.2nmol、DMSO中5mmol/L)と共にインキュベートした。混合物を、Sephadex G50カラム(PD-10;GE Healthcare,Piscataway,NJ)を使用して精製した。UV-Vis系(8453 Value System;Agilent Technologies,Palo Alto,CA)によって595nmにおける吸収を測定することによって、Coomassie Plusタンパク質アッセイキット(Pierce Biotechnology,Rockford,IL)によってタンパク質濃度を決定した。各9H10分子とコンジュゲートされたフルオロフォア分子の数を確認するため、UV-Vis系によって、吸収によって、IR700の濃度を測定した。各9H10についてのIR700の数は約3であった。
【0270】
9H10-IR700コンジュゲートの純度を分析用サイズ排除HPLC(SE-HPLC)およびドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって確認した。SE-HPLCは、32 Karatソフトウェアによってコントロールされた、モデル126溶媒送達モジュール、モデル168 UV検出器、およびJASCO蛍光検出器(励起689nmおよび放出700nm)を備えたBeckman System Gold(Fullerton,CA)を使用して実施された。SEクロマトグラフィは、0.5mL/minでリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を使用して45分間溶出させられたTSKゲルG2000SWx1(Tosoh Bioscience LLC,Montgomeryville,PA)で実施された。SDS-PAGEは、4%~20%勾配ポリアクリルアミドゲルによって実施された(Invitrogen,Carlsbad,CA)。タンパク質を分離した後に、励起のための670nmの内部レーザーおよび放出のための705nmロングパスフィルターを有するFujifilm FLA-5100蛍光スキャナー(Valhalla,NY)によって蛍光強度を分析した。各バンドの蛍光強度をMultigageソフトウェア(Fujifilm)によって分析した。次いで、ゲルをColloidal Blue染色キット(Invitrogen)によって染色し、ディジタルスキャンした。各バンドのタンパク質濃度を、ImageJソフトウェアによって分析した。9H10-IR700調製物は、HPLCおよびSDS-PAGEによって決定されたように、強力な会合を示し、検出可能なmAB凝集物を含有しなかった。
【0271】
IR700コンジュゲートのインビトロ結合特徴を決定するため、Indo-Gen手法を使用したコンジュゲートの125I標識を実施した。IR700コンジュゲーションによるmAbの最小の損失が確認された。免疫反応性アッセイを以前に記載されたように実施した。簡単に説明すると、トリプシン処理後に、2×106個の腫瘍細胞を、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBSに懸濁させた。125I-9H10-IR700(1mCi、0.2μg)を添加し、氷上で1時間インキュベートした。細胞を洗浄し、ペレット化し、上清を廃棄し、2470 Wizardガンマカウンター(Perkin Elmer,Shelton,CT)で計数した。細胞との非特異的結合を、抗体過剰(200μgの非標識9H10)の条件で調査した。
【0272】
実施例2:抗CTLA-4-IR700光免疫治療(PIT)は低下した免疫応答性を有する腫瘍の成長を阻害する
この実施例は、低下した免疫応答性を有する腫瘍の成長に対する抗CTLA-4-IR700光免疫治療(PIT)の阻害効果を記載する。
【0273】
6~8週齢のBALB/cマウスの右後方側腹部に、1匹当たり1×106個のCT26-EphA2クローンc4D10マウス結腸がん細胞を皮下接種した。同種移植腫瘍が約250~350mm3のサイズに成長した時(腫瘍細胞接種の11日後)に、生理食塩水(100μL)、「裸の」コンジュゲートされていない抗CTLA-4抗体9H10(100μg)、または実質的に前記の実施例1に記載されたように生成された9H10-IR700(抗CTLA-4-IR700)コンジュゲート(100μg)をマウスへ投与した。「裸の」コンジュゲートされていない抗CTLA-4を受容した動物には、追加用量(100μg)の抗体を、腫瘍細胞接種の15~19日後に投与した。抗CTLA-4-IR700の投与の24時間後に、PIT群の腫瘍を690nmで150J/cm2の線量で照射した。腫瘍成長を21日にわたり観察し、腫瘍体積を以下の式を使用して計算した:腫瘍体積=(幅×長さ)×高さ/2。
【0274】
腫瘍が約250~350mm3のサイズに成長した時に、それらは免疫抑制表現型を発症し、例えば、腫瘍内細胞傷害性CD8+T細胞の数が減少し、腫瘍内制御性T細胞(免疫サプレッサー細胞)の数が増加した(示されないデータ)。図1に示されるように、抗CTLA-4抗体(抗CTLA4)の複数回投与によってマウスを処置した時に、腫瘍の成長は、生理食塩水対照群と比較して実質的に阻害された(黒丸対白丸)。1サイクルの抗CTLA-4-IR700 PIT(CTLA4-IR700 PIT)によって処置されたマウスにおいては、腫瘍の成長がさらに阻害された(図1;黒菱形)。
【0275】
実施例3:抗CTLA-4 PITは遠位腫瘍における抗がん応答を誘導する
この実施例は、直接的に照射されていない遠位腫瘍の成長に対する抗CTLA-4 PITの阻害効果を記載する。
【0276】
BALB/cマウスの左右両方の後方側腹部に、1匹当たり1×106個のCT26-EphA2クローンc4D10マウス結腸がん細胞または1×106個のMCA205マウス線維肉腫細胞を皮下接種した。両側の同種移植腫瘍が、CT26-EphA2細胞については約250~350mm3、またはMCA205細胞については約150mm3の体積に成長した時に、生理食塩水(100μL)または抗CTLA-4(9H10)-IR700コンジュゲート(100μg)をマウスへ投与した。コンジュゲートの投与の24時間後に、抗CTLA-4 PIT群の右側腹部の腫瘍を、CT26-EphA2腫瘍について150J/cm2、またはMCA205腫瘍について150J/cm2の線量で、690nmで照射する一方で、左側腹部の腫瘍は照射から遮蔽した。照射された腫瘍(標的腫瘍)および未照射の腫瘍(遠位腫瘍)の成長を観察し(19~20日)、腫瘍体積を以下の式を使用して計算した:腫瘍体積=(幅×長さ)×高さ/2。
【0277】
図2Aおよび2Bに示されるように、抗CTLA-4 PITによって処置された標的腫瘍(左パネル)および遠位腫瘍(右パネル)は、両方の腫瘍細胞型について、生理食塩水によって処置された、または抗CTLA-4-IR700コンジュゲートによって処置された(PITなしの)腫瘍と比較して、腫瘍成長阻害を示した。両方の腫瘍細胞型において、単独(照射なし)の抗CTLA-4-IR700コンジュゲートを投与されたマウスも、生理食塩水対照と比較すると、低下した標的腫瘍(図2Aおよび2B;左パネル)ならびに遠位腫瘍(図2Aおよび2B;右パネル)の成長を示したが、単独のコンジュゲートは、抗CTLA-4-PITと比較すると、標的(図2Aおよび2B;左パネル)ならびに遠位腫瘍(図2Aおよび2B;右パネル)の成長を阻害する効果が低かった。これらのデータは、抗CTLA-4 PITが、単独の抗CTLA-4-IR700コンジュゲートによる処置と比較して、局所および全身の免疫応答を誘導することができ、アブスコパル効果、例えば、遠位(未照射)腫瘍の成長の阻害を示すことができるという所見を支持する。
【0278】
実施例4:抗CTLA-4および抗PD-1による治療に対する「非炎症性」腫瘍の抵抗性
この実施例は、「非炎症性」腫瘍、即ち、減少した免疫応答性を有する腫瘍の、抗CTLA-4抗体9H10単独治療または9H10と抗PD-1抗体RMP1-14治療との組み合わせに対する抵抗性を記載する。
【0279】
減少した免疫応答性を有するマウス腫瘍モデルを作製するため、本発明者らは、4T1マウス乳がん細胞同種移植腫瘍を使用した。4T1腫瘍においては、腫瘍内細胞傷害性細胞(例えば、CD8+Tエフェクター細胞)の数および/または活性が実質的に低下しているか、または存在せず、従って、この型の腫瘍は「非炎症性」であることが示されている(Mosely et al.,(2017)Cancer Immunol Res.5(1):29-41)。
【0280】
6~8週齢のBALB/cマウスの右後方側腹部に、1匹当たり1×106個の4T1細胞を皮下接種した。同種移植腫瘍がおよそ150mm3の平均体積に達した場合(腫瘍細胞接種の7日後)に、生理食塩水(100μL)、生理食塩水+抗PD-1抗体クローンRMP1-14(100μg)、実質的に前記の実施例1に記載されたように生成された9H10-IR700(抗CTLA-4-IR700)コンジュゲート(100μg)、または9H10-IR700(抗CTLA-4-IR700)コンジュゲートとRMP1-14との組み合わせ(各100μg)をマウスへ投与した。抗CTLA-4-IR700コンジュゲートは7日目に投与され、RMP1-14は7日目、9日目、11日目、および14日目に投与された。腫瘍成長を26日にわたり観察し、腫瘍体積を以下の式を使用して計算した:腫瘍体積=(幅×長さ)×高さ/2。
【0281】
結果は、「非炎症性」4T1腫瘍が、マウスへ実施されたいずれの処置に対しても抵抗性であることを示した。対照群(生理食塩水)と比較して、単独の、または抗PD-1抗体と組み合わせられた抗CTLA-4-IR700コンジュゲートの投与は、腫瘍の成長を部分的にしか低下させなかった(図3)。
【0282】
実施例5:抗CTLA-4 PITに対する非炎症性腫瘍の抵抗性
この実施例は、「非炎症性」腫瘍、即ち、減少した免疫応答性を有する腫瘍の、抗CTLA-4 PITに対する抵抗性を証明する。
【0283】
6~8週齢のBALB/cマウスの右後方側腹部に1匹当たり1×106個の4T1細胞を皮下接種した。同種移植腫瘍が約150mm3の体積に成長した時(腫瘍細胞接種の6日後)に、生理食塩水(100μL)または抗CTLA-4抗体9H10-IR700コンジュゲート(100μg)をマウスへ投与した。コンジュゲートの投与の24時間後に、690nmで、150J/cm2の線量で、抗CTLA-4 PIT群の腫瘍を照射した。生存および腫瘍成長を26日にわたり観察し、腫瘍体積を以下の式を使用して計算した:腫瘍体積=(幅×長さ)×高さ/2。
【0284】
対照群(生理食塩水)と比較して、抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(PITなし)も、抗CTLA-4 PITも、腫瘍の成長を実質的に低下させなかった(図4A)。しかしながら、抗CTLA-4 PITによって処置された動物の生存は、単独のコンジュゲートまたは対照(生理食塩水)と比較して、わずかに増加した(図4B)。
【0285】
実施例6:抗CTLA-4 PITは非炎症性腫瘍を抗PD-1抗体処置に対して感作する
この実施例は、抗CTLA-4 PITが、「非炎症性」腫瘍、即ち、減少した免疫応答性を有する腫瘍を、免疫チェックポイント阻害物質抗PD-1処置に対して感作し得ることを記載する。
【0286】
6~8週齢のBALB/cマウスの右後方側腹部に1匹当たり1×106個の4T1細胞を皮下接種した。同種移植腫瘍が約150mm3の体積に成長した時(腫瘍細胞接種の6日後)に、生理食塩水(100μL)、抗CTLA-4(9H10)-IR700コンジュゲート(100μg)、または抗CTLA-4(9H10)-IR700コンジュゲートと抗PD-1抗体RMP1-14との組み合わせ(各100μg)をマウスへ投与した。抗CTLA-4-IR700コンジュゲートは6日目に投与され、RMP1-14は6日目、8日目、10日目、および13日目に投与された。コンジュゲートの投与の24時間後に、690nmで、100J/cm2の線量で、抗CTLA-4 PIT群の腫瘍を照射した。腫瘍成長を20日にわたり観察し、腫瘍体積を以下の式を使用して計算した:腫瘍体積=(幅×長さ)×高さ/2。
【0287】
抗PD-1と組み合わせられた抗CTLA-4 PITは、「非炎症性」腫瘍の成長を実質的に阻害したが、単独の抗CTLA-4 PITは、「非炎症性」腫瘍の成長に対して実質的な阻害効果を示さなかった(図5)。これらのデータは、抗CTLA-4 PITが非炎症性腫瘍を抗PD-1処置に対して感作するという所見を支持する。
【0288】
実施例7:抗CTLA-4 PITは遠位非炎症性腫瘍を抗PD-1抗体処置に対して感作する
この実施例は、抗PD-1抗体と組み合わせられた抗CTLA-4 PITの、直接的に照射されていない遠位腫瘍の成長に対する阻害効果を記載する。
【0289】
6~8週齢のBALB/cマウスの左右両方の後方側腹部に1匹当たり1×106個の4T1細胞を皮下接種した。両側の同種移植腫瘍が約150mm3の体積に成長した時(腫瘍細胞接種の6日後)に、生理食塩水(100μL)、抗CTLA-4(9H10)-IR700コンジュゲート(100μg)、または抗CTLA-4-IR700コンジュゲートと抗PD-1抗体RMP1-14との組み合わせ(各100μg)をマウスへ投与した。抗CTLA-4-IR700コンジュゲートは6日目に投与され、RMP1-14は6日目、8日目、10日目、および13日目に投与された。コンジュゲートの投与の24時間後に、抗CTLA-4 PIT群の右側腹部の腫瘍を、690nmで、100J/cm2の線量で照射する一方で、左側腹部の腫瘍は照射から遮蔽した。未照射の遠位腫瘍の腫瘍成長を20日にわたり観察し、腫瘍体積を以下の式を使用して計算した:腫瘍体積=(幅×長さ)×高さ/2。
【0290】
結果は、未照射の遠位4T1腫瘍の成長は、抗CTLA-4 PITと抗PD-1との組み合わせによって実質的に阻害されるが、単独の抗CTLA-4 PITは、遠位腫瘍の成長を阻害しないことを示した(図6)。これらのデータは、抗CTLA-4 PITと抗PD-1免疫チェックポイント阻害物質との組み合わせが、全身免疫応答を誘導することができ、アブスコパル効果、例えば、直接的に照射されていない遠位腫瘍の成長阻害を示すことができるという所見を支持する。
【0291】
実施例8:全身制御性T細胞に対する抗CTLA-4の効果
この実施例は、抗CTLA-4-IR700コンジュゲートの投与(PITなし)が、制御性T細胞(Treg)の集団に影響を与えないことを記載する。
【0292】
CD3+CD4+細胞のうちのFoxP3+制御性T細胞(FoxP3 Treg)のパーセンテージを、抗CTLA-4クローン9H10または(全身Treg低下についての陽性対照として役立つ)抗CD25クローンPC61によって処置された動物の脾臓から決定した。図7に示されるように、抗CTLA-4クローン9H10の投与は、全身制御性T細胞を低下させず、このことは、標的腫瘍および遠位腫瘍における抗CTLA-4 PITの抗がん活性が、全身制御性T細胞の低下を必要としないことを示している。
【0293】
実施例9:腫瘍内制御性T細胞に対する抗CTLA-4 PITの効果
この実施例は、抗CTLA-4-IR700 PITに応答して起こるインビボの制御性T細胞(Treg)の枯渇を記載する。
【0294】
BALB/cマウスの右後方側腹部に1×106個の4T1-EpCAM腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍がおよそ150mm3の平均体積に達すると、生理食塩水、単独の抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(CTLA-4-IR700)、または照射を伴う抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(抗CTLA-4-IR700 PIT;CTLA-4 PIT)によってマウスを処置した。コンジュゲートの投与の24時間後に、照射(PIT)群のマウスの腫瘍を、100J/cm2で690nmの光に曝露した。照射の2時間後および7日後に、全ての群から腫瘍を切除し、単細胞懸濁液に加工した。次いで、懸濁した細胞を、TregマーカーCD3、CD4、CD45、およびFoxP3について染色した。染色された細胞をフローサイトメトリーを使用して分析し、CD45+細胞のうちのCD3+CD4+FoxP3+細胞のパーセンテージを決定した。
【0295】
処置の2時間後に、抗CTLA-4-IR700 PITによって処置された腫瘍保持マウスは、生理食塩水または単独の抗CTLA-4-IR700コンジュゲートによって処置されたマウスと比較して、有意に減少した腫瘍内CD3+CD4+FoxP3+T細胞のパーセンテージを示し(それぞれ、P≦0.01およびP≦0.0001)、このことから、抗CTLA-4 PIT後の腫瘍内のTregの即時低下が示された(図8A)。7日後に、抗CTLA-4-IR700 PITによって処置された腫瘍は、対照(生理食塩水によって処置された)動物の腫瘍と比較して減少した腫瘍内CD3+CD4+FoxP3+T細胞のパーセンテージを含有し続けていた(図8B;P<0.01)。単独のコンジュゲートによって処置された動物に由来する腫瘍も、7日後に、対照(生理食塩水によって処置された)動物の腫瘍と比較して減少した腫瘍内CD3+CD4+FoxP3+T細胞のパーセンテージ(P≦0.01)およびCTLA-4 PITによって処置された腫瘍と類似したパーセンテージを含有した(図8B)。これらの結果は、抗CTLA-4 PITが、腫瘍内制御性T細胞(Treg)の迅速かつ持続性の枯渇をもたらすことを証明した。
【0296】
実施例10:腫瘍内CD8:Treg比に対するCTLA4 PITの効果
この実施例は、処置に対する臨床的応答の予測マーカーである、インビボの腫瘍内のCD8+T細胞と制御性T細胞(Treg)との比に対する、抗CTLA-4-IR700 PITの効果を記載する。
【0297】
BALB/cマウスの右後方側腹部に1×106個の4T1-EpCAM腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍がおよそ150mm3の平均体積に達すると、生理食塩水、単独の抗CTLA-4(9H10)-IR700コンジュゲート(100μg)(CTLA-4-IR700)、または照射を伴う抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(100μg)(抗CTLA-4-IR700 PIT;CTLA-4 PIT)によってマウスを処置した。コンジュゲートの投与の24時間後に、照射(PIT)群のマウスの腫瘍を690nmで100J/cm2で照射した。照射の2時間後または7日後に、全ての群から腫瘍を切除し、単細胞懸濁液に加工した。次いで、懸濁した細胞を、CD3、CD45、CD8、CD4、およびFoxP3を含む細胞マーカーについて染色した。アイソタイプ対照も染色のために使用した。染色された細胞をフローサイトメトリーを使用して分析し、腫瘍内のCD8+T細胞とTregとの比を決定した。
【0298】
図9Aに示されるように、照射の2時間後に、抗CTLA-4-IR700 PITによって処置されたマウスの腫瘍は、生理食塩水(P≦0.01)または単独(照射なし)の抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(P≦0.01)を受容したマウスと比較して、増加した腫瘍内CD8+:Treg比を有していた。PITを受容した動物の腫瘍における増加したCD8+:Treg比は、照射の7日後まで持続した(図9B;P≦0.01)。単独の抗CTLA-4コンジュゲートの投与は、照射の7日後までに、生理食塩水を受容したマウスと比較して増加したCD8+:Treg比をもたらした(図9B;P≦0.05)。これらの結果は、抗CTLA-4 PITの1回の処置が、処置された腫瘍の内部のCD8+:Treg比の迅速かつ恒久性の増加をもたらすことを示している。
【0299】
実施例11:抗CTLA-4-IR700 PITは活性化CD8 + T細胞の迅速な増加をもたらす
この実施例は、インビボの腫瘍内CD8+T細胞活性化に対する抗CTLA-4-IR700 PITの効果を記載する。
【0300】
BALB/cマウスに4T1-EpCAM腫瘍細胞を接種した。腫瘍がおよそ150mm3の平均体積に達すると、生理食塩水、単独の抗CTLA-4(9H10)-IR700コンジュゲート(CTLA-4-IR700)(100μg)、または照射を伴う抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(100μg)(抗CTLA-4-IR700 PIT;CTLA-4 PIT)によってマウスを処置した。コンジュゲートの投与の24時間後に、照射(PIT)群のマウスの腫瘍を690nmで100J/cm2で照射した。照射の2時間後に、全ての群から腫瘍を切除し、単細胞懸濁液に加工した。次いで、懸濁した細胞を、細胞型同定のための細胞マーカーについて染色し、フローサイトメトリーによって分析した。CD8 T細胞のうちのCD25+細胞のパーセントを各条件について決定した。
【0301】
図10に示されるように、抗CTLA-4-IR700 PIT(三角)によって処置されたマウスにおいて、活性化CD8+T細胞(CD3+CD8+CD25+)の数は、生理食塩水(丸)または単独の抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(四角)を受容したマウスと比較して、有意に増加した(P≦0.01)。これらの結果は、抗CTLA-4 PITが、照射された腫瘍における活性化CD8+T細胞の迅速な増加をもたらすことを示している。
【0302】
実施例12:抗CTLA-4-IR700 PITは活性化CD8 + T細胞の持続性の増加をもたらす
この実施例は、インビボの持続性の腫瘍内CD8+T細胞活性化に対する抗CTLA-4-IR700 PITの効果を記載する。
【0303】
BALB/cマウスに4T1-EpCAM腫瘍細胞を接種した。腫瘍がおよそ150mm3の平均体積に達すると、生理食塩水、単独の抗CTLA-4(9H10)-IR700コンジュゲート(CTLA-4-IR700)(100μg)、または照射を伴う抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(100μg)(抗CTLA-4-IR700 PIT;CTLA-4 PIT)によってマウスを処置した。コンジュゲートの投与の24時間後に、照射(PIT)群のマウスの腫瘍を690nmで100J/cm2で照射した。照射の7日後に、全ての群から腫瘍を切除し、単細胞懸濁液に加工した。次いで、懸濁した細胞を、CD3、CD69、CD45、CD8、およびKi67を含む細胞マーカーについて染色した。アイソタイプ対照も染色のために使用した。染色された細胞をフローサイトメトリーを使用して分析した。
【0304】
図11Aおよび11Bに示されるように、抗CTLA-4-IR700 PIT(逆三角)によって処置されたマウスにおいて、活性化CD8+T細胞(CD3+CD8+Ki67+図11A;およびCD3+CD8+CD69+図11B)のパーセンテージは、生理食塩水(四角)または単独の抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(三角)を受容したマウスと比較して有意に増加した(P<0.001)。これらの結果は、抗CTLA-4 PITが、照射された腫瘍における活性化CD8+T細胞の持続性の増加をもたらすことを示している。
【0305】
実施例13:抗CTLA-4-IR700 PITは活性化ナチュラルキラー細胞の増加をもたらす
この実施例は、インビボの持続性の腫瘍内ナチュラルキラー(NK)細胞活性化に対する抗CTLA-4-IR700 PITの効果を記載する。
【0306】
BALB/cマウスに4T1-EpCAM腫瘍細胞を接種した。腫瘍がおよそ150mm3の平均体積に達すると、生理食塩水、単独の抗CTLA-4(9H10)-IR700コンジュゲート(100μg)、または照射を伴う抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(100μg)(抗CTLA-4-IR700 PIT)によってマウスを処置した。コンジュゲートの投与の24時間後に、照射(PIT)群のマウスの腫瘍を690nmで100J/cm2で照射した。照射の7日後に、全ての群から腫瘍を切除し、単細胞懸濁液に加工した。次いで、懸濁した細胞を、CD3、CD69、CD45、CD49b、およびKi67を含む細胞マーカーについて染色した。アイソタイプ対照も染色のために使用した。染色された細胞をフローサイトメトリーを使用して分析した。
【0307】
図12Aおよび12Bに示されるように、抗CTLA-4-IR700 PITによって処置されたマウスにおいて、CD45+細胞のパーセンテージとして示された活性化NK細胞(CD49b+CD3-Ki67+図12A;およびCD49b+CD3-CD69+図12B)の割合は、生理食塩水(それぞれ、P≦0.01およびP≦0.0001)または単独の抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(それぞれ、P≦0.05およびP≦0.01)を受容したマウスと比較して、有意に増加した。これらの結果は、抗CTLA-4 PITが、照射された腫瘍において活性化NK細胞の増加をもたらすことを証明する。
【0308】
実施例14:抗CTLA-4-IR700 PITは末梢における腫瘍抗原特異的細胞傷害性リンパ球の増大を増強する
この実施例は、インビボの全身免疫に対する抗CTLA-4-IR700 PITの刺激効果を記載する。
【0309】
A.細胞傷害性Tリンパ球(CTL)アッセイ
CT26-EphA2クローンc4D10腫瘍を接種されたマウスに由来する脾細胞の腫瘍特異的細胞傷害活性を評価するためのCTLアッセイを設計した。CytoTox(商標)96 Non-Radioactive Cytotoxicityアッセイ(Promega;カタログ番号G1780)を使用して細胞傷害性を評価した。キットは、細胞死によって細胞から放出される乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のウェル内のレベルを測定した。単独の抗CTLA-4(9H10)-IR700コンジュゲート(100μg)、もしくは照射を伴う抗CTLA-4-IR700(CTLA-4 IR700)コンジュゲート(100μg)(抗CTLA-4-IR700 PIT;CTLA-4 PIT)によって処置された腫瘍保持マウス、または生理食塩水を投与された対照腫瘍保持マウスから、脾臓を採集した。採集された脾臓を70μm孔径のセルストレーナーで機械的に解離させることによって、単細胞懸濁液を調製した。得られたフロースルーを収集し、赤血球を溶解した。懸濁した脾細胞を、インビトロで、4日間、CT26抗原AH1ペプチドによってプライミングした。その後、いくつかのエフェクター細胞と標的細胞との比(E:T比)で、4時間、脾細胞(エフェクター細胞)とCT26-ephA2クローンc4D10標的細胞とをコインキュベートすることによって、細胞傷害性アッセイを実施した。その後、脾細胞を取り出し、標的細胞から放出されたLDHレベルを測定した。ヒト膵臓がん細胞株BxPC3細胞を無関係の対照標的細胞として使用した。
【0310】
B.結果
単独のコンジュゲートまたは抗CTLA-4-IR700 PITによって処置されたマウスにおいて、脾細胞は、エクスビボの標的腫瘍細胞に対する腫瘍特異的免疫応答を示した(図13)。抗CTLA-4-IR700 PITによって処置されたマウスに由来する脾細胞について、結果は、100:1のE:T比で標的細胞の75%超、33:1の比で約60%を死滅させることができる、標的腫瘍細胞に対する明白なE:T比依存性の細胞傷害効果を示した(図13)。単独の抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(CTLA-4-IR700;PITなし)によって処置されたマウスに由来する脾細胞について、結果は、100:1の比で標的細胞の約40%、33:1の比で約30%を死滅させることができる、標的腫瘍細胞に対する明白なE:T比依存性の細胞傷害効果を示した。対照の生理食塩水によって処置されたマウスに由来する脾細胞について、結果は、いずれのE:T比でも、標的腫瘍細胞に対する最小の細胞傷害効果を示した(図13)。さらに、標的腫瘍細胞の対照として役立つ無関係の腫瘍細胞型、BxPC3細胞に対する細胞傷害性効果は、100:1のE:T比で、本質的に存在しなかった。これらの結果は、抗CTLA-4-IR700 PITによる処置が、脾臓における腫瘍特異的細胞傷害性T細胞活性の増加をもたらすこと、および全身免疫活性の増加が、光処置なしに抗CTLA-4-IR700コンジュゲートによって処置されたマウスにおける腫瘍特異的細胞傷害性T細胞活性の増加より実質的に大きいことを明白に示した。これらの結果は、腫瘍内のコンジュゲートの光活性化が、抗CTLA4抗体成分のみによって提供される機能性と比べた、追加的な全身免疫活性に寄与することを示している。
【0311】
実施例15:抗CTLA-4-IR700 PIT後に完全応答を有するマウスにおける再チャレンジされた腫瘍の成長の拒絶
この実施例は、例示的な抗CTLA-4-IR700 PITによる一次処置後に完全応答を達成したマウスに新たに接種された腫瘍の成長の拒絶を記載する。
【0312】
6~8週齢のBALB/cマウスの左右の後方側腹部に1匹当たり1×106個のCT26-EphA2クローンc4D10細胞を皮下接種した。同種移植腫瘍が約250mm3のサイズに成長した時に、抗CTLA-4-IR700コンジュゲート(100μg)をマウスへ投与した。抗CTLA-4-IR700の投与の24時間後に、腫瘍を690nmで100J/cm2で照射した。一次腫瘍細胞接種の72日後(即ち、抗CTLA-4 PIT処置の63日後)に、完全応答を達成した(左右両方の後方側腹部からの腫瘍の消失を有する)マウス(CRマウス;n=7)を、左後方側腹部において、CT26-EphA2細胞によって再チャレンジし、未感作マウス(n=10)にも接種した。新たに接種された細胞からの腫瘍の成長を44日まで観察し、腫瘍体積を以下の式を使用して計算した:腫瘍体積=(幅×長さ)×高さ/2。
【0313】
以前にいずれの処置にも曝露されていない未感作マウスの全て(10/10匹)が、継続的な成長を示す腫瘍を発症した(図14A)。対照的に、抗CTLA-4 PITによって処置された動物の全て(7/7匹)が、腫瘍細胞の2回目の接種を完全に拒絶し、接種の10日後以降に腫瘍成長は観察されず、観察された初期の成長は、約13日までに基線に戻った(図14B)。これらの結果は、抗CTLA-4 PIT処置が、動物における全身抗腫瘍免疫を増強することを示している。
【0314】
本発明は、例えば、本発明の様々な局面を例示するために提供された、具体的な開示された態様に、その範囲を限定されないものとする。記載された組成物および方法に対する様々な修飾が、本明細書中の説明および教示から明らかになるであろう。そのような変動は、本開示の真の範囲および本旨から逸脱することなく実施され得、本開示の範囲内に含まれるものとする。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】