(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製する方法
(51)【国際特許分類】
C08G 77/38 20060101AFI20221027BHJP
C07F 7/10 20060101ALI20221027BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20221027BHJP
【FI】
C08G77/38
C07F7/10 X
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514262
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 US2020049819
(87)【国際公開番号】W WO2021050465
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クルトマンシュ、マーク-アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】フェリット、マイケル サルヴァトーレ
(72)【発明者】
【氏名】スチワンチャロエン、ニサラポーン
【テーマコード(参考)】
4H039
4H049
4J246
【Fターム(参考)】
4H039CA92
4H039CD10
4H049VN01
4H049VP10
4H049VQ02
4H049VQ03
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4H049VQ21
4H049VQ35
4H049VR21
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4H049VS16
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4H049VT40
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4H049VW02
4J246AA03
4J246AB01
4J246BA02X
4J246BB021
4J246BB02X
4J246CA12E
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4J246CA12X
4J246CA14M
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4J246CA16X
4J246CA24X
4J246FA472
4J246FB272
(57)【要約】
アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製する方法が提供される。この方法は、(A)初期オルガノシロキサン化合物と、(B)アルコール成分とを、(C)触媒及び任意に(D)有機ケイ素化合物の存在下で反応させて、それによってアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製することを含む。初期オルガノシロキサン化合物(A)は、少なくとも1つのシラノール基を含む。アルコール成分(B)は、有機アルコールを含む。触媒(C)は、カルボン酸アンモニウム化合物を含む。有機ケイ素化合物(D)は、利用される場合、少なくとも1つのアルコキシシリル基を含む。本方法に従って調製されたアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む反応生成物、並びに反応生成物及びアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む組成物も提供される。アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物、並びにそれを含む反応生成物及び組成物は、解重合から純度を高めて低環状含有量で調製される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製する方法であって、前記方法が、
(A)少なくとも1つのシラノール基を有する初期オルガノシロキサン化合物と、(B)有機アルコールを含むアルコール成分とを、(C)カルボン酸アンモニウム化合物を含む触媒の存在下で反応させて、それにより、前記アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製することを含む、方法。
【請求項2】
前記(A)初期オルガノシロキサン化合物が、一般式:
【化1】
[式中、各R
1は、独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、各R
2は、独立してR
1又は-OHであり、但し少なくとも1つのR
2は-OHであり、下付き文字mが、1~8000であり、下付き文字nは、0~20である]を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルコール成分(B)の前記有機アルコールが、式R
3OH[式中、R
3は、独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基である]を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒(C)の前記カルボン酸アンモニウム化合物が、アミン化合物とカルボン酸との反応生成物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
i)前記アミン化合物が、一般式:
【化2】
[式中、各R
4は、1~18個の炭素原子を有する独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、下付き文字aは、0、1、又は2である]を有する部分を含み、
ii)前記アミン化合物が、大気圧で50~300℃の気化点を有し、又は
(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
i)前記カルボン酸が、一般式:
【化3】
[式中、各R
5は、1~18個の炭素原子を有する独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基である]を有し、
ii)前記カルボン酸が、大気圧で100~300℃の気化点を有し、又は
(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記カルボン酸アンモニウム化合物が、(i)アセテート、(ii)プロピオネート、又は(iii)(i)及び(ii)の両方を含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、前記初期オルガノシロキサン化合物(A)と、前記アルコール成分(B)とを、(D)少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する有機ケイ素化合物の存在下で反応させることを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記有機ケイ素化合物(D)が、一般式:
【化4】
[式中、各R
7は、1~6個の炭素原子を有する独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、各R
8は、1~18個の炭素原子を有する独立して選択されるヒドロカルビル基であり、下付き文字bは、1、2、又は3である]を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法に従って調製されたアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む、反応生成物。
【請求項11】
前記アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物が、一般式:
【化5】
[式中、各R
1は、独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、各R
3は、独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、各R
7は、独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、各R
9は、下付き文字xによって示される各単位においてR
1又はR
7であり、R
10は、下付き文字yによって示される各単位において独立してR
1又はR
7であり、下付き文字cは、下付き文字wによって示される各単位において独立して1又は2であり、下付き文字dは、下付き文字xによって示される各単位において独立して1又は2であり、下付き文字w、x、y、及びzは各々、≧0かつ≦1であり、但し、w+x+z>0、かつw+x+y+z=1である]を有する、請求項10に記載の反応生成物。
【請求項12】
前記アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物が、一般式:
【化6】
[式中、各R
1は、独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、各R
11は、独立して、R
1又は-OR
3であり、但し、少なくとも1つのR
11は、-OR
3(各R
3は、独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基である)であり、下付き文字mは、1~8000であり、下付き文字nは、0~20である]を有する、請求項10又は11に記載の反応生成物。
【請求項13】
0.1%未満の環状ポリジオルガノシロキサンを含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の反応生成物を含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月9日に出願された米国仮特許出願第62/897,702号の優先権及び全ての利点を主張するものであり、その内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、全般的に、オルガノシロキサン化合物に関し、より具体的には、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製する方法及びそれによって調製されたアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
シリコーンは、主にそれらの有する利点がそれらの炭素系類似体に対して顕著であるため、多くの市販用途に使用されるポリマー材料である。より厳密には重合シロキサン又はポリシロキサンと呼ばれるシリコーンは、無機ケイ素-酸素主鎖(...-Si-O-Si-O-Si-O-...)を有し、有機側基がケイ素原子に結合している。有機側基を用いて、これらの主鎖のうちの2つ以上を一緒に連結することができる。-Si-O-鎖長、側基、及び架橋を変化させることにより、多種多様な特性及び組成を有するシリコーンを合成することができる。これらは、液体からゲルまで、ゴムまで、硬質プラスチックまで、稠度が変化し得る。
【0004】
シロキサン系材料は、当該技術分野において既知であり、無数の最終用途及び環境で利用される。例えば、オルガノポリシロキサンは、多くの工業、ホームケア、及びパーソナルケア用配合物で使用される。シリコーン官能性及び有機官能性の両方を有するハイブリッド材料が、様々な配合物において使用され、そのようなハイブリッド材料は、シリコーン材料又は有機材料のみに従来から関連する利点を組み合わせて発揮することができる。
【0005】
残念ながら、ハイブリッド材料を調製する多くの方法は、官能性有機ケイ素化合物(例えば、オルガノシロキサン)を必要とし、大抵の場合、合成及び/又は使用が困難かつ高価である。具体的には、ある特定の官能性有機ケイ素化合物を調製する従来の方法は、多くの場合、多くのシリコーン材料及び同様に有機材料と(例えば、シリコーン再配列の促進、非選択的反応、分解、官能基の加水分解及び/又は不必要な変換などにより)不適合であり、結果として、収率及び純度が低下し、そのような方法の全般的な適用性を制限する。これらの欠点は、部分的には、環状シロキサンを生成することが知られている(例えば、シロキサン主鎖の解重合を介して)強酸及び塩基などの多くの従来の合成方法で用いられる特定の触媒に起因する。貴金属系化合物も代替触媒として探求されてきたが、これらの化合物も適正適用において制限され、それらが利用される方法に関連するコストを増加させる。
【発明の概要】
【0006】
アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製する方法が提供される。この方法は、(A)初期オルガノシロキサン化合物と、(B)アルコール成分とを、(C)触媒及び任意に(D)有機ケイ素化合物の存在下で反応させて、それによってアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製することを含む。初期オルガノシロキサン化合物(A)は、少なくとも1つのシラノール基を含む。アルコール成分(B)は、有機アルコールを含む。触媒(C)は、カルボン酸アンモニウム化合物を含む。有機ケイ素化合物(D)は、利用される場合、少なくとも1つのアルコキシシリル基を含む。
【0007】
この方法に従って調製されたアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む反応生成物も提供される。
【0008】
アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物又はそれを含む反応生成物を含む組成物も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製する方法が開示される。調製されたアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物は、多様な最終用途で利用することができる。例えば、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物は、例えば、共重合、グラフト化などを介して、シリコーン-有機ハイブリッド材料を調製するときに出発成分及び/又は前駆体として利用され得る。アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物は、本明細書で提供されるように、組成物又は配合物にも利用され得る。
【0010】
この方法は、(A)少なくとも1つのシラノール基を有する初期オルガノシロキサン化合物と、(B)有機アルコールを含むアルコール成分とを、(C)カルボン酸アンモニウム化合物を含む触媒の存在下で、反応させることを含む。概して、初期オルガノシロキサン化合物(A)とアルコール成分(B)とを反応させることは、初期オルガノシロキサン化合物(A)とアルコール成分(B)とを触媒(C)の存在下で組み合わせることを含む。別の言い方をすれば、初期オルガノシロキサン化合物(A)とアルコール成分(B)とを触媒(C)の存在下で組み合わせることを超えて、反応に必要とされる事前の工程は全般的に存在しない。当業者には理解されるように、初期オルガノシロキサン化合物(A)とアルコール成分(B)との反応は、概して、アルコキシル化反応又はより単純には「アルコキシル化」(例えば、選択的アルコキシル化反応、触媒アルコキシル化反応、アルコキシル化変換反応など)として定義されるか、又は別様に特徴付けられ得る。
【0011】
概して、初期オルガノシロキサン化合物(A)は、少なくとも1つのシラノール基を有するオルガノシロキサン主鎖を含む有機ケイ素化合物であり、それ以外は特に限定されない。ある特定の実施形態では、初期オルガノシロキサン化合物(A)は、一般式(I):
【化1】
[式中、各R
1は、独立して選択されるヒドロカルビル基であり、各R
2は、独立してR
1又は-OHであり、但し少なくとも1つのR
2は-OHであり、下付き文字mは、1~8000であり、下付き文字nは、0~20である。
【0012】
各R1は、独立して選択されるヒドロカルビル基である]を有する。好適なヒドロカルビル基は、置換であっても非置換であってもよい。このようなヒドロカルビル基に関して、「置換」という用語は、1個以上の水素原子が水素以外の原子(例えば、塩素、フッ素、臭素などのハロゲン原子)で置き換えられている、炭化水素の鎖内の炭素原子が炭素以外の原子で置き換えられている(すなわち、R1が炭素鎖内に1個以上のヘテロ原子(酸素、硫黄、窒素など)を含み得る、又はその両方である炭化水素部分を表す。したがって、R1がエーテル、エステルなどを含んでもよく、又はエーテル、エステルなどであってもよいように、R1は、その炭素鎖/その主鎖内及び/又は上に(すなわち、その炭素鎖/その主鎖に付加される及び/又は一体である)置換基を有する炭化水素部分を含み得るか、又はそれであり得ることが理解されるであろう。
【0013】
概して、R1に好適なヒドロカルビル基は、独立して、直鎖状、分岐状、環状、又はそれらの組み合わせであり得る。環状ヒドロカルビル基は、アリール基、及び飽和又は非共役環状基を包含する。環状ヒドロカルビル基は、独立して、単環式又は多環式であってもよい。直鎖状及び分岐状ヒドロカルビル基は独立して、飽和であっても不飽和であってもよい。直鎖状及び環状ヒドロカルビル基の組み合わせの一例は、アラルキル基である。ヒドロカルビル基の全般的な例としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロカーボン基等、並びに誘導体、変形体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適なアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、並びに6~18個の炭素原子を有する分岐状飽和炭化水素基が挙げられる。好適なアリール基の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、及びジメチルフェニルが挙げられる。好適なアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、及びシクロヘキセニル基が挙げられる。好適な一価ハロゲン化炭化水素基(即ち、ハロ炭素基)の例としては、ハロゲン化アルキル基、アリール基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ハロゲン化アルキル基の例としては、1つ以上の水素原子が、F又はClなどのハロゲン原子で置換された、上述のアルキル基が挙げられる。ハロゲン化アルキル基の具体例としては、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル、クロロメチル、クロロプロピル、2-ジクロロシクロプロピル、及び2,3-ジクロロシクロペンチル基、並びにそれらの誘導体が挙げられる。ハロゲン化アリール基の例としては、1つ以上の水素原子が、F又はClなどのハロゲン原子で置換された、上述のアリール基が挙げられる。ハロゲン化アリール基の具体例としては、クロロベンジル基及びフルオロベンジル基が挙げられる。典型的には、各R1は、独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基である。
【0014】
各R1は、初期オルガノシロキサン化合物(A)中の任意の他のR1と同じであっても異なっていてもよい。ある特定の実施形態では、各R1は同じである。他の実施形態では、少なくとも1つのR1は、初期オルガノシロキサン化合物(A)の少なくとも1つの他のR1とは異なる。いくつかの実施形態では、各R1は、1~18個、あるいは1~12個、あるいは1~6個、あるいは1~4個の炭素原子を有する独立して選択されるヒドロカルビル基である。典型的には、各R1は、独立して、メチル基、エチル基などのアルキル基から選択される。ある特定の実施形態では、各R1はメチルである。
【0015】
各R2は独立して、R1又は-OHであり、但し少なくとも1つのR2は-OHである。したがって、初期オルガノシロキサン化合物(A)は、少なくとも1つのシラノール基を含む(すなわち、シラノール官能性である)。いくつかの実施形態では、初期オルガノシロキサン化合物(A)は、1つのシラノール基だけを含む。他の実施形態では、初期オルガノシロキサン化合物(A)は、少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのシラノール基を含む。当業者には理解されるように、各R2は、下付き文字nによって示される各部分において独立して選択され、その結果、初期オルガノシロキサン化合物(A)は、合計1~n+2の数のシラノール基を含み得る。
【0016】
当業者には理解されるように、下付き文字m及びnは、初期オルガノシロキサン化合物(A)のシロキシ単位の数、したがって、重合度(DP)を表す。下付き文字m及びnによって示されるシロキシ単位は、初期オルガノシロキサン化合物(A)中、任意の順序(例えば、ランダム化及び/又はブロックなど)であり得ることが理解されよう。概して、初期オルガノシロキサン化合物(A)は、5~8000のDPを有する。特定の実施形態では、初期オルガノシロキサン化合物(A)は、1000超、あるいは2000超、あるいは3000超、あるいは4000超、あるいは5000超のDPを有する。いくつかの実施形態では、初期オルガノシロキサン化合物(A)は、1000未満、あるいは750未満、あるいは500未満、あるいは250未満、あるいは100未満、あるいは50未満のDPを有する。
【0017】
下付き文字mは、1~8000、あるいは4~8000である。いくつかのの実施形態では、下付き文字mは、500~8000、あるいは1000~8000、あるいは2000~8000、あるいは3000~8000、あるいは4000~8000、あるいは5000~8000である。ある特定の実施形態では、下付き文字mは、1~1000、あるいは4~1000、あるいは1~800、あるいは4~800、あるいは1~600、あるいは4~600、あるいは1~400、あるいは4~400、あるいは1~200、あるいは4~200、あるいは1~100、あるいは4~100である。
【0018】
下付き文字nは、0~20である。いくつかの実施形態では、下付き文字nは、1~20、あるいは1~18、あるいは1~17、あるいは1~16、あるいは1~15、あるいは1~14、あるいは1~13、あるいは1~12、あるいは1~11、あるいは1~10である。
【0019】
特定の実施形態では、下付き文字nは0であり、初期オルガノシロキサン化合物(A)は、以下の式:
【化2】
[式中、R
1、R
2、及び下付き文字mは、それぞれ上記で定義されるとおりである]を有する。いくつかのそのような実施形態では、R
2はR
1であり、それにより初期オルガノシロキサン化合物(A)がモノシラノール官能性である。他のそのような実施形態では、R
2は-ОHであり、それにより初期オルガノシロキサン化合物(A)がジシラノール官能性である。
【0020】
ある特定の実施形態では、方法は、2、3、4、又はそれ以上の初期オルガノシロキサン化合物(A)などの2つ以上の初期オルガノシロキサン化合物(A)を利用することを含む。そのような実施形態では、各初期オルガノシロキサン化合物(A)は、独立して選択され、任意の他の初期オルガノシロキサン化合物(A)と同じであっても異なっていてもよい。
【0021】
初期オルガノシロキサン化合物(A)は、任意の形態、例えば、未希釈(すなわち、溶媒、担体ビヒクル、希釈剤などが存在しない)で利用されてもよく、又は溶媒若しくは分散剤などの担体ビヒクル中に配置されてもよい。担体ビヒクルは、存在する場合、有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;など;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル)、シリコーン流体、又はこれらの組み合わせ、を含み得る。利用される場合、担体ビヒクルは、選択された特定の初期オルガノシロキサン化合物(A)などの反応の特定の成分に基づいて選択される。例えば、ある特定の実施形態では、方法は、エーテル、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなど、又はそれらの組み合わせなどの極性成分を含む担体ビヒクル若しくは溶媒の存在下で実施される。いくつかの実施形態では、担体ビヒクルは、上記のものなどのハロゲン化炭化水素を含み得る。そのような実施形態では、全般的に担体ビヒクルは、及び/又は特にハロゲン化炭化水素は、典型的には、そこからの任意の塩酸(HCl)を低減するか、あるいは除去するために精製及び/又は処理される。初期オルガノシロキサン化合物(A)は、反応の任意の1つ以上の他の成分と組み合わせる前、際、又は後に、利用される場合担体ビヒクルと組み合わせてもよいことが理解されるであろう。ある特定の実施形態では、初期オルガノシロキサン化合物(A)は、例えば、使用される反応条件下で初期オルガノシロキサン化合物(A)が液体である場合、反応のための担体ビヒクルとして利用され得る。
【0022】
ある特定の実施形態では、初期オルガノシロキサン化合物(A)は、担体ビヒクルを含まないか、あるいは実質的に含まない。いくつかのそのような実施形態では、初期オルガノシロキサン化合物(A)は、初期オルガノシロキサン化合物(A)及び/又は反応の任意の1つ以上の他の成分と反応性である水及び担体ビヒクル/揮発性物質を含まないか、あるいは実質的に含まない。いくつかの実施形態では、方法は、初期オルガノシロキサン化合物(A)及び/又は反応の任意の1つ以上の他の成分と反応性である担体ビヒクル/揮発性物質の非存在下で実施される。例えば、ある特定の実施形態では、方法は、初期オルガノシロキサン化合物(A)を反応の任意の1つ以上の他の成分を組み合わせる前に、初期オルガノシロキサン化合物(A)の混合物を、揮発性物質及び/又は溶媒からストリッピングすることを含み得る。初期オルガノシロキサン化合物(A)からストリッピングする技術は、当該技術分野において既知であり、加熱、乾燥、減圧/真空の適用、溶媒との共沸、モレキュラーシーブの使用、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0023】
初期オルガノシロキサン化合物(A)は、当業者によって選択される任意の量で利用されてもよく、例えば、反応に選択される特定の成分、採用される反応パラメータ、反応の規模(例えば、反応させられる成分(A)及び/又は調製されるアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物の総量)などに応じたものとなる。
【0024】
アルコール成分(B)は、有機アルコールを含み、それ以外は特に限定されない。当業者には理解されるように、有機アルコールはまた、特に限定されないが、成分(A)と(B)との反応中に生成される副生成物の沸点及び/又は他の特性を含む、本方法で利用される特定の化合物/成分を考慮して選択される。
【0025】
典型的には、アルコール成分(B)の有機アルコールは、式R3ОH[式中、R3は、独立して選択されるヒドロカルビル基である]を有する。R3に好適なヒドロカルビル基の例としては、上記で記載されたもののいずれかが挙げられる。例えば、ある特定の実施形態では、R3は、置換及び非置換ヒドロカルビル基から選択される。いくつかのそのような実施形態では、R3は、少なくとも3個、あるいは少なくとも4個、あるいは少なくとも5個、あるいは少なくとも6個、あるいは6個超の炭素原子を有する置換又は非置換ヒドロカルビル基である。特定の実施形態では、R3は、3~30個、あるいは3~28個、あるいは3~26個、あるいは3~24個、あるいは3~22個、あるいは4~22個、あるいは5~22個、あるいは6~22個、あるいは6~20個の炭素原子を有する独立して選択されるヒドロカルビル基である。
【0026】
好適な有機アルコールの例としては、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)-1-プロパノール、2,2-ジメチル-3-フェニル-1-プロパノール、3-(2-ボルニルオキシ)2-メチル-1-プロパノール、2-tert-ブチルシクロヘキサノール、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、ジヒドロテルピネオール、2,4-ジメチル-4-シクロヘキセン-1-イルメタノール、2,4-ジメチルシクロヘキシルメタノール、2,6-ジメチル-2-ヘプタノール、2,6-ジメチル-4-ヘクタノール、2,6-ジメチル-2,7-オクタジエン-6-オール(リナロール)、シス-3、7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール(ネロール)、トランス-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール(ゲラニオール)、1-オクタノール、2-オクタノール、3,7-ジメチル-1,7-オクタンジオール、3,7-ジメチル-1-オクタノール(テトラヒドロゲラニオール)、2,6-ジメチル-2-オクタノール(テトラヒドロミルセノール)、3,7-ジメチル-3-オクタノール(テトラヒドロリナロール)、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、3,7-ジメチル-6-オクテン-1-オール(シトロネロール)、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、1-デカノール、9-デセン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクトペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、シス-3-ヘキセン-1-オール、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-ブタノン、3-(ヒドロキシメチル)-2-ノナノン、3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-2,4-ジメチル-4,7-メタノ[H]インデン-5-オール,1-ヒドロキシ-2-(1-メチル-1-ヒドロキシエチル)-5-メチルシクロヘキサン、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、イソボルネオール、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、2-イソプロペニル-5-メチルシクロヘキサノール(イソプレゴール)、1-イソプロピル-4-メチルシクロヘキサ-3-エノール(テルピネノール)、4-イソプロピルシクロヘキサノール、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、4-イソプロピルシクロヘキシルメタノール、2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノール(メントール)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチル-3-シクロヘキセニル)-2-プロパノール(テルピネオール)、2-(4-メチルシクロヘキシル)-2-プロパノール(ジヒドロテルピネオール)、ベンジルアルコール、4-メトキシベンジルアルコール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、3-メトキシ-5-メチルフェノール、2-エトキシ-4-メトキシメチルフェノール、4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、2-メトキシ-4-プロペニルフェノール(イソオイゲノール)、1-メトキシ-4-プロペニルベンゼン(アネトール)、4-メチル-3-デセン-5-オール、2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール(ミルセノール)、2-メチル-2-ブタノール(2M2B、tert-アミルアルコール、TAA)、3-メチル-4-フェニル-2-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール(イソアミルアルコール、イソペンチルアルコール)、2-(2-メチルフェニルエタノール)エタノール、2-メチル-4-フェニル-1-ペンタノール、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール、(1-メチル-2-(1,2,2-トリメチルビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3-イルメチル)シクロプロピル)メタノール、3-メチル-4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、(3-メチル-1-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-イル)メタノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、2-メチル-2-ビニル-5-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)テトラヒドロフラン、(2E,6Z)-ノナ-2,6-ジエン-1-オール、1-ノナノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール(イソノナノール)、ノポール、1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロ-2,5,5-トリメチル-2-ナフトール、3,4,5,6,6-ペンタメチル-2-ヘプタノール、2-フェニルエタノール、2-フェニルプロパノール、3-フェニルプロパノール(ヒドロシンナミックアルコール)、3-フェニル-2-プロペン-1-オール(シンナミックアルコール)、4-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサン-1-オール、3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2,4,6-トリメチル-4-シクロヘキセン-1-イルメタノール、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエン-1-オール(ファルネソール)、3,7,11-トリメチル-1,6,10-ドデカトリエン-3-オール(ネロリドール)、1-ウンデカノール、10-ウンデセン-1-オール、ベチベロールなど、並びにそれらの誘導体、変形体、及び組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、有機アルコールは、ゲラニオール、2E、6Z)-ノナ-2,6-ジエン-1-オール、イソアミルアルコール、ベンジルアルコール、2-オクタノール、及び2-メチル-2-ブタノールから選択される。
【0027】
ある特定の実施形態では、アルコール成分(B)の有機アルコールは、芳香(フレグランス)アルコール又は非芳香アルコールを含み得るか、あるいはそれであり得る。典型的には、特定の有機アルコールが芳香アルコール又は非芳香アルコールと見なされるかどうかに関する区別は、特定の有機アルコールが、ヒトの鼻によって検知可能な臭気作用を示すかどうかに基づく。しかしながら、有機アルコールは、芳香アルコール及び/又は非芳香アルコールのいずれかと見なすことができるため、そのような区別はあったとしても、最終使用用途に基づく当業者によるアルコール成分(B)の有機アルコールの選択にのみ関連する。いくつかの実施形態では、アルコール成分(B)は、芳香アルコールを実質的に含まないか、あるいは含まない。これら又は他の実施形態では、アルコール成分(B)の有機アルコールは、プロフレグランス及び/又はプロフレグランス前駆体基を実質的に含まないか、あるいは含まない。
【0028】
ある特定の実施形態では、アルコール成分(B)は、2、3、4つ、又はそれ以上の有機アルコールなどの2つ以上の有機アルコールを含む。そのような実施形態では、各有機アルコールは独立して選択され、例えば、炭素原子の数、構造(例えば、立体化学など)、沸点、気化点、蒸気圧などに関して、任意の他の有機アルコールと同じであっても異なっていてもよい。
【0029】
アルコール成分(B)の有機アルコールは、任意の形態、例えば、未希釈(すなわち、溶媒、担体ビヒクル、希釈剤などが存在しない)で利用されてもよく、又は溶媒若しくは分散剤などの担体ビヒクル中に配置されてもよい。したがって、アルコール成分(B)それ自体は、有機アルコール及び担体ビヒクルなどの他の成分を含んでもよいか、又は有機アルコールから本質的になるか、あるいはそれからなってもよい。担体ビヒクルは、存在する場合、有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;など;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル)、シリコーン流体、又はこれらの組み合わせを含み得る。アルコール成分(B)は、利用される場合、成分(A)及び/又は反応の任意の1つ以上の他の成分と組み合わされる前に、組み合わされる間に、又は組み合わされた後に、そのような担体ビヒクルと組み合わされ得ることが理解されよう。ある特定の実施形態では、アルコール成分(B)それ自体は、例えば、有機アルコールが使用される反応条件下で液体である場合、反応のための担体ビヒクルとして利用される。
【0030】
ある特定の実施形態では、アルコール成分(B)は、担体ビヒクルを含まないか、あるいは実質的に含まない。いくつかのそのような実施形態では、アルコール成分(B)は、アルコール成分(B)(例えば、その有機アルコール)、初期オルガノシロキサン化合物(A)、及び/又は反応の任意の1つ以上の他の成分と反応性である水及び担体ビヒクル/揮発性物質を含まないか、あるいは実質的に含まない。例えば、ある特定の実施形態では、方法は、アルコール成分(B)を反応の任意の1つ以上の他の成分(例えば、成分(A)など)と組み合わせる前に、アルコール成分(B)から揮発性物質(すなわち、揮発性の場合有機アルコール以外に)及び/又は溶媒(例えば、水、反応性の溶媒など)をストリッピングすることを含み得る。アルコール成分(B)からストリッピングする技術は、当該技術分野において既知であり、加熱、乾燥、減圧/真空の適用、溶媒との共沸、モレキュラーシーブの使用、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0031】
アルコール成分(B)は、当業者によって選択される任意の量で使用されてもよく、例えば、選択される特定の初期オルガノシロキサン化合物(A)、採用される反応パラメータ、反応の規模(例えば、変換させられる成分(A)及び/又は調製されるアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物の総量)などに応じたものとなる。
【0032】
触媒(C)は、カルボン酸アンモニウム化合物を含む。カルボン酸アンモニウム化合物は、特に限定されず、概して、アミン化合物とカルボン酸との反応生成物を含む。当業者は、アミン化合物とカルボン酸との反応が概して酸塩基反応であり、アミン化合物(すなわち、塩基)がカルボン酸によってプロトン化されてアンモニウムカチオン及びカルボキシレートアニオンを得て、これは、そのようなイオンが密接又は一時的に結合形成されているかどうかに関係なく、集合的にカルボン酸アンモニウム化合物と呼ばれることを理解するであろう。
【0033】
全般的に、触媒(C)のカルボン酸アンモニウム化合物の調製に使用するために好適なアミン化合物としては、アミノ官能性有機化合物(例えば、アミン置換炭化水素化合物)が挙げられる。特に、アミン化合物は、典型的には、一般式:
【化3】
[式中、各R
4は、1~18個の炭素原子を有する独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、下付き文字aは、0、1、又は2である]を有する部分を含む。R
4に好適なヒドロカルビル基の例としては、上で記載したもののいずれかが挙げられる。例えば、ある特定の実施形態では、各R
4は、1~16個、あるいは1~14個、あるいは1~12個、あるいは1~10個、あるいは1~9個、あるいは1個~8個、あるいは1~7個の炭素原子を有する置換又は非置換ヒドロカルビル基である。いくつかのそのような実施形態では、各R
4は、直鎖状、分岐状、及び/又は環状アルキル基である。いくつかの実施形態では、下付き文字aは0であり、その結果、アミン化合物は第一級アミンである。他の実施形態では、下付き文字aは1であり、その結果、アミン化合物は第二級アミンである。追加の実施形態では、下付き文字aは2であり、その結果、アミン化合物は第三級アミンである。
【0034】
いくつかの実施形態では、アミン化合物は、一般式:
【化4】
[式中、各R
4及び下付き文字aは、上記で定義されたとおりであり、R
14は、1~22個の炭素原子を有する独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基である]を有する有機アミンである。R
14に好適なヒドロカルビル基の例としては、上で記載したもののいずれかが挙げられ、それによりR
14は存在する場合、アミン化合物のいずれかのR
4と同一であっても異なってもよい。例えば、ある特定の実施形態では、R
14は、1~20個、あるいは2~20個、あるいは2~18個の炭素原子を有する置換又は非置換ヒドロカルビル基である。いくつかのそのような実施形態では、各R
14は、直鎖状、分岐状、及び/又は環状アルキル基である。
【0035】
特定の実施形態では、アミン化合物は、下付き文字aが、0又は1である上記の一般式を有する有機アミンであり、その結果、アミン化合物は、それぞれ第一級又は第二級有機アミンとして定義され得る。いくつかのそのような実施形態では、下付き文字a、各R4、及びR14は、アミン化合物が、合計で3~20個、あるいは4~20個、あるいは5~20個、あるいは5~18個の炭素原子を含むように選択される。アミン化合物が、環構造において互いに結合している、少なくとも2つの窒素結合置換基を有する第二級又は第三級アミンなどの環状アミンであってもよい(すなわち、アミン化合物は、ピロール、ピロリジン、イミダゾール、チアゾール、ピリジン、ピペリジン、モルホリンなどのヘテロ環式アミンであり得る)ことを理解されたい。
【0036】
典型的には、アミン化合物は、揮発性有機アミンから選択される。例えば、ある特定の実施形態では、有機アミンは、大気圧で300℃未満、あるいは250℃未満、あるいは240℃未満、あるいは230℃未満、あるいは220℃未満、あるいは210℃未満、あるいは200℃未満の気化点を有する。気化点という用語は、本明細書で使用される場合、固相又は液相中の化合物が蒸気/気相に変換される(例えば、蒸発、昇華などによって)温度を指すことを理解されたい。この意味では、気化点は、そのような化合物(例えば、化合物が液体である)の沸点に対応し得る。特定の実施形態では、アミン化合物は、大気圧で、50~250℃、あるいは60~250℃、あるいは60~235℃、あるいは70~235℃、あるいは70~220℃の気化点を有する。
【0037】
カルボン酸アンモニウム化合物の調製において使用するのに好適な特定のアミン化合物の例としては、アルキルアミン、例えば、脂肪族第一級アルキルアミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン(例えば、n-プロピルアミン、イソプロピルアミンなど)、ブチルアミン(例えばn-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、イソブチルアミン、t-ブチルアミンなど)、ペンチルアミン(例えば、ペンチルアミン、2-アミノペンタン、3-アミノペンタン、1-アミノ-2-メチルブタン、2-アミノ-2-メチルブタン、3-アミノ-2-メチルブタン、4-アミノ-2-メチルブタンなど)、ヘキシルアミン(例えば、ヘキシルアミン、5-アミノ-2-メチルペンタンなど)、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミンなどをはじめとするもの;脂肪族第二級アルキルアミン、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルイソブチルアミン、メチル-sec-ブチルアミン、メチル-tert-ブチルアミン、メチルアミルアミン、メチルイソアミルアミン、エチルプロピルアミン、エチルイソプロピルアミン、エチルブチルアミン、エチルイソブチルアミン、エチル-sec-ブチルアミン、エチル-tert-ブチルアミン、エチルイソアミルアミン、プロピルブチルアミン、プロピルイソブチルアミンなど;並びにそれらの誘導体、変形体、及び組み合わせが挙げられる。例えば、上記の例に列挙されたアルキル基の組み合わせを含むもののいずれかなどの混合第二級アルキルアミン(例えば、N-エチルイソプロピルアミンなど)も利用され得る。特定の実施形態では、アミン化合物は、オクタデシルアミン及び/又はジエチルアミンを含むか、あるいはそれである。
【0038】
ある特定の実施形態では、カルボン酸アンモニウム化合物は、2、3、4つ又はそれ以上のアミン化合物などの2つ以上のアミン化合物を含む(すなわち、それから形成される)。そのような実施形態では、各アミン化合物は独立して選択され、カルボン酸アンモニウム化合物の任意のアミン化合物と同じであっても異なっていてもよい。同様に、触媒(C)は、2、3、4つ又はそれ以上のカルボン酸アンモニウム化合物などの2つ以上のカルボン酸アンモニウム化合物を含み得る。そのような実施形態では、各カルボン酸アンモニウム化合物のアミン化合物は独立して選択され、独立して、触媒(C)の任意のカルボン酸と錯化し、結合形成し、イオン対形成し、又は別様に会合することができる(すなわち、アミン化合物が対応するアンモニウムカチオンにプロトン化され、カルボン酸が対応するカルボキシレートアニオンに脱プロトン化される)。
【0039】
全般的に、触媒(C)のカルボン酸アンモニウム化合物の調製に使用するための好適なカルボン酸化合物は、一般式:
【化5】
[式中各R
5は、1~18個の炭素原子を有する独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基である]を有する。R
5に好適なヒドロカルビル基の例としては、上記のもののいずれかが挙げられる。例えば、ある特定の実施形態では、R
5は、1~16個、あるいは1~14個、あるいは1~12個の炭素原子を有する置換又は非置換ヒドロカルビル基である。特定の実施形態では、R
5は、直鎖状、分岐状、及び/又は環状アルキル基である。いくつかの実施形態では、R
5は、プロピル又はメチルである。
【0040】
典型的には、カルボン酸は、揮発性カルボン酸から選択される。例えば、ある特定の実施形態では、カルボン酸は、大気圧で、300℃未満、あるいは255℃未満、あるいは240℃未満、あるいは230℃未満、あるいは220℃未満、あるいは220℃未満、あるいは200℃未満、あるいは190℃未満、あるいは180℃未満の気化点を有する。特定の実施形態では、カルボン酸は、大気圧で、100~250℃、あるいは100~225℃、あるいは100~200℃、あるいは100~175℃、あるいは100~150℃の気化点を有する。
【0041】
カルボン酸アンモニウム化合物の調製における使用に好適な特定のカルボン酸の例としては、エタン酸(例えば、酢酸)、プロパン酸(例えば、プロピオン酸)、ブタン酸(例えば、酪酸)、ペンタン酸(例えば、吉草酸)、ヘキサン酸(例えば、カプロン酸)、ヘプタン酸(例えば、エナント酸)、オクタン酸(例えば、カプリル酸)、ノナン酸(例えば、ペラルゴン酸)、デカン酸(例えば、カプリン酸)など、並びにそれらの誘導体、変形体、及び組み合わせが挙げられる。ある特定の実施形態では、カルボン酸は、カルボン酸アンモニウム化合物(C1)が、アセテート及び/又はプロピオネートを含むように、酢酸及び/又はプロピオン酸である。直鎖状カルボン酸が上記に例示されているが、環状及び/又は分岐状カルボン酸も利用され得ることが理解されよう。
【0042】
ある特定の実施形態では、カルボン酸アンモニウム化合物は、2、3、4つ又はそれ以上のアミン化合物などの2つ以上のアミン化合物を含む(すなわち、それから形成される)。そのような実施形態では、各カルボン酸は独立して選択され、カルボン酸アンモニウム化合物の任意のカルボン酸と同じであっても異なっていてもよい。同様に、触媒(C)は、2、3、4つ又はそれ以上のカルボン酸アンモニウム化合物などの2つ以上のカルボン酸アンモニウム化合物を含み得る。そのような実施形態では、各カルボン酸アンモニウム化合物のカルボン酸は独立して選択され、独立して、触媒(C)の任意のアミン化合物と錯化し、結合形成し、イオン対形成し、又は別様に会合することができる(すなわち、アミン化合物が対応するアンモニウムカチオンにプロトン化され、カルボン酸が対応するカルボキシレートアニオンに脱プロトン化される)。
【0043】
触媒(C)は、方法の一部として調製されてもよく、又は他の方法で(すなわち、調製された化合物として)得られてもよい。触媒(C)の調製は、成分(A)と(B)との反応の前に、又はin situで(すなわち、成分(A)と(B)との反応中に、例えば、触媒(C)の成分を成分(A)及び/又は(B)と組み合わせることによって)実施され得る。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、アミン化合物及びカルボン酸化合物を初期オルガノシロキサン化合物(A)及び/又はアルコール成分(B)と組み合わせ、それにより、in situで触媒(C)のカルボン酸アンモニウム化合物を形成することを含む。
【0044】
触媒(C)は、任意の形態、例えば、未希釈(すなわち、溶媒、担体ビヒクル、希釈剤などが存在しない)で利用されてもよく、又は溶媒若しくは分散剤(例えば、初期オルガノシロキサン化合物(A)及び/又はアルコール成分(B)に関して上に列挙したもののうちのいずれかなど)などの担体ビヒクル中に配置されてもよい。更に、触媒(C)の成分(例えば、カルボン酸アンモニウム化合物を形成するためのアミン化合物及びカルボン酸)は、独立して未希釈で利用されるか又は担体ビヒクル中に配置されてもよい。特定の実施形態では、アミン化合物及び/又はカルボン酸は、担体ビヒクルとして作用し得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、触媒(C)は、初期オルガノシロキサン化合物(A)、アルコール成分(B)、及び/又は触媒(C)それ自体と反応性である水及び/又は担体ビヒクル/揮発性物質の非存在下で利用される(すなわち、成分(A)及び成分(B)と組み合わされるまで)。例えば、ある特定の実施形態では、本方法は、触媒(C)から揮発性物質及び/又は溶媒(例えば、水、有機溶媒など)をストリッピングすることを含んでもよい。触媒(C)からストリッピングする技術は、当該技術分野において公知であり、加熱、乾燥、減圧/真空の適用、溶媒との共沸、モレキュラーシーブの利用、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0046】
触媒(C)は、当業者によって選択される任意の量で利用されてもよく、これは、例えば、選択される特定の触媒(C)(例えば、その中のカルボン酸アンモニウム化合物の濃度/量)、採用される反応パラメータ、反応の規模(例えば、成分(A)及び成分(B)の総量)などに応じたものとなる。反応に利用される触媒(C)の成分(A)及び/又は(B)に対するモル比は、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製するための速度及び/又は量、濃度に影響し得る。したがって、成分(A)及び/又は(B)に対する触媒(C)の量、並びに両者間のモル比は変化し得る。典型的には、これらの相対量及びモル比は、(例えば、反応の経済的効率の向上、形成される反応生成物の精製の簡易化などのために)触媒(C)の担持量を最小化しつつ、成分(A)及び成分(B)の濃度を最大化するように選択される。
【0047】
ある特定の実施形態では、触媒(C)は、利用される成分(A)の総量に基づいて、0.001~50mol%の量でカルボン酸アンモニウム化合物を提供するように反応に利用される。例えば、触媒(C)は、利用される成分(A)の総量に基づいて、0.005~40mol%、あるいは0.005~30mol%、あるいは0.005~20mol%、あるいは0.01~20mol%の量でカルボン酸アンモニウム化合物を提供するように使用され得る。同様に、触媒(C)は、利用される成分(B)の有機アルコールの総量に基づいて、0.005~40mol%、あるいは0.005~30mol%、あるいは0.005~20mol%、あるいは0.01~20mol%の量でカルボン酸アンモニウム化合物を提供するように使用され得る。これらの範囲外の比率も同様に利用され得ることが理解されよう。
【0048】
ある特定の実施形態では、初期オルガノシロキサン化合物(A)とアルコール成分(B)とは、(D)少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する有機ケイ素化合物の存在下で反応する。より具体的には、これらの実施形態では、方法は、初期オルガノシロキサン化合物(A)と、アルコール成分(B)と、有機ケイ素化合物(D)とを触媒(C)の存在下で反応させて、それによりアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製することを含む。概して、初期オルガノシロキサン化合物(A)と、アルコール成分(B)と、及び有機ケイ素化合物(D)とを触媒(C)の存在下で反応させることは、成分(A)、(B)、及び(D)を触媒(C)の存在下で組み合わせることを含む。別の言い方をすれば、成分(A)、(B)、及び(D)を触媒(C)の存在下で組み合わせることを超えて、反応に必要とされる事前の工程は全般的に存在しない。本明細書の説明を考慮して当業者には理解されるように、有機ケイ素化合物(D)が利用される場合、有機ケイ素化合物(D)のアルコキシシリル基及び初期オルガノシロキサン化合物(A)のシラノール基が関与する反応の部分は、概して、縮合反応又はより単純に「縮合」として定義されるか、又は別様に特徴付けられ得る。更に、有機ケイ素化合物(D)のアルコキシシリル基及びアルコール成分(B)の有機アルコールが関与する反応の部分は、概して、トランスアルコキシル化反応若しくはアルコキシル化反応、又はより単純には「トランスアルコキシル化」若しくは「アルコキシル化」(例えば、選択的アルコキシル化/トランスアルコキシル化、触媒アルコキシル化/トランスアルコキシル化、アルコキシル化変換反応など)として定義されるか、又は別様に特徴付けられ得る。
【0049】
有機ケイ素化合物(D)は、少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する有機ケイ素化合物であり、それ以外は特に限定されない。全般的に、有機ケイ素化合物(D)は、以下の式:
【化6】
[式中各R
7及びR
8は、独立して選択されるヒドロカルビル基であり、下付き文字bは1、2、又は3である]を有する。
【0050】
R7に好適なヒドロカルビル基の例としては、上で記載したもののいずれかが挙げられる。例えば、各R7は、典型的には、置換及び非置換ヒドロカルビル基から独立して選択される。各R7は、有機ケイ素化合物(D)中の任意の他のR7と同じであっても異なっていてもよい。ある特定の実施形態では、各R7は同じである。他の実施形態では、少なくとも7つのR7は、有機ケイ素化合物(D)の少なくとも1つの他のR7とは異なる。いくつかの実施形態では、各R7は、1~6個の炭素原子を有する独立して選択されるヒドロカルビル基である。典型的には、各R7は、独立して、例えばメチル基、エチル基などのアルキル基から選択される。例えば、ある特定の実施形態では、各R7はメチルである。しかしながら、R7に好適な基は、アルキル基による必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの各R7、あるいは各R7は、フェニルである。
【0051】
R8に好適なヒドロカルビル基の例としては、上で記載したもののいずれかが挙げられる。例えば、各R8は、典型的には、置換及び非置換ヒドロカルビル基から独立して選択される。したがって、各R8は、有機ケイ素化合物(D)中の任意のR7及び/又は他のR8と同じであっても異なっていてもよい。ある特定の実施形態では、各R8は互いに同じである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR8は、有機ケイ素化合物(D)の少なくとも1つの他のR7とは異なる。特定の実施形態では、各R7及びR8は、互いに同じである。
【0052】
典型的には、各R8は、1~18個、あるいは1~12個、あるいは1~6個、あるいは1~4個の炭素原子を有する独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基である。典型的には、各R8は、独立して、例えばメチル基、エチル基などのアルキル基から選択される。ある特定の実施形態では、各R8はメチルである。
【0053】
概して、当業者によって理解されるように、トランスアルコキシル化反応を容易にするために、R8は、典型的には、アルコール成分(B)の有機アルコールのR3とは異なるように選択される。R8とR3との間の差は、例えば、以下に記載されるように、調製されるアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物の精製の容易さ(すなわち、蒸留、蒸発などによる、反応中に生成される式R8OHのアルコールの除去に関して)を向上させるように、独立して選択され得る。例えば、ある特定の実施形態では、R8は、アルコール成分(B)の有機アルコールのR3よりも少なくとも1個、あるいは少なくとも2個、あるいは少なくとも3個、あるいは少なくとも4個少ない炭素原子を有するように選択される。これら又は他の実施形態では、R8及びR3は、アルコール成分(B)の有機アルコールが、トランスアルコキシル化反応中に有機ケイ素化合物(D)から生成される式R8OHのアルコールよりも高い沸点及び/又は低い蒸気圧を有するように協調的に選択される。
【0054】
下付き文字bは、1、2、又は3であり、それにより有機ケイ素化合物(D)は、それぞれモノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、又はトリアルコキシシリル基を含む。典型的には、下付き文字bは、2又は3であり、それにより、有機ケイ素化合物(D)は、それぞれジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基を含む。特定の実施形態では、下付き文字bは2であり、それにより、有機ケイ素化合物(D)はジアルコキシシリル基を含む。いくつかの実施形態では、下付き文字bは3であり、それにより、有機ケイ素化合物(D)はトリアルコキシシリル基を含む。しかしながら、ある特定の実施形態では、下付き文字bは1であり、それにより、有機ケイ素化合物(D)はモノアルコキシシリル基を含む。
【0055】
ある特定の実施形態では、方法は、2、3、4つ又はそれ以上の有機ケイ素化合物(D)などの2つ以上の有機ケイ素化合物(D)を利用することを含む。そのような実施形態では、各有機ケイ素化合物(D)は、独立して選択され、任意の他の有機ケイ素化合物(D)と同じであっても異なっていてもよい。
【0056】
有機ケイ素化合物(D)は、任意の形態、例えば、未希釈で利用されてもよく(すなわち、溶媒、担体ビヒクル、希釈剤などが存在しない)、又は溶媒若しくは分散剤(例えば、上記で列挙したもののいずれかなど)などの担体ビヒクル中に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、有機ケイ素化合物(D)は、初期オルガノシロキサン化合物(A)、アルコール成分(B)、触媒(C)、及び/又は有機ケイ素化合物(D)それ自体と反応性である水及び/又は担体ビヒクル/揮発性物質の非存在下で利用される(すなわち、成分(A)と成分(B)と組み合わされるまで)。例えば、ある特定の実施形態では、方法は、有機ケイ素化合物(D)から揮発性物質及び/又は溶媒(例えば、水、有機溶媒など)をストリッピングすることを含んでもよい。有機ケイ素化合物(D)からストリッピングする技術は、当該技術分野において既知であり、加熱、乾燥、減圧/真空の適用、溶媒との共沸、モレキュラーシーブの使用など、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0057】
有機ケイ素化合物(D)は、当業者によって選択される任意の量で使用することができ、例えば、利用される特定の有機ケイ素化合物(D)、選択される初期オルガノシロキサン化合物(A)、採用される反応パラメータ、反応の規模(例えば、反応する成分(A)、(B)、及び(D)、調製されるアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物の総量)などに応じたものとなる。
【0058】
利用される初期オルガノシロキサン化合物(A)とアルコール成分(B)との相対量は、例えば、選択される特定の初期オルガノシロキサン化合物(A)、選択される成分(B)の特定の有機アルコール、採用される反応パラメータ、有機ケイ素化合物(D)が利用されるかどうかなどに基づいて、変化し得る。典型的には、例えば、形成される反応生成物の精製を簡素化するために、初期オルガノシロキサン化合物(A)をアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物に完全に変換するために、並びに/又はアルコール成分(B)の有機アルコール及び/若しくは有機ケイ素化合物(D)を完全に消費するために、成分のうちの1つの過剰量が(例えば、モル及び/又は化学量論的に過剰量が)利用される。例えば、ある特定の実施形態では、アルコール成分(B)は、相対過剰量(例えば、有機アルコールが初期オルガノシロキサン化合物(A)のシラノール基の数の化学量論的過剰で存在する)で利用され、初期オルガノシロキサン化合物(A)のアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物への変換率を最大化する。いくつかのそのような実施形態では、アルコール成分(B)はまた、反応における担体ビヒクルとして利用されてもよく、又は別様に機能してもよい。ある特定の実施形態では、有機ケイ素化合物(D)は、初期オルガノシロキサン化合物(A)のシラノール基の数の化学量論的過剰で利用される。いくつかのそのような実施形態では、アルコール成分(B)は、有機ケイ素化合物(D)の相対的過剰で利用することができる。他のそのような実施形態では、有機ケイ素化合物(D)は、アルコール成分(B)の相対的過剰で利用することができる。初期オルガノシロキサン化合物(A)は、アルコール成分(B)の有機アルコールの過剰量で(例えば、有機アルコールの最大消費が望まれる場合)及び/又は有機ケイ素化合物(D)の過剰量で(例えば、有機ケイ素化合物(D)の最大消費が望まれる場合)で使用され得ることが理解されよう。
【0059】
当業者によって理解されるように、初期オルガノシロキサン化合物(A)とアルコール成分(B)の有機アルコールとのアルコキシル化は、初期オルガノシロキサン化合物(A)内に存在するシラノール官能基の数に基づいて、理論上の最大値で起こる。特に、上記の初期オルガノシロキサン化合物(A)の一般式(I)を参照すると、Si-Rで表示される各シラノール基は、アルコール成分(B)の1つの有機アルコールと縮合することができ、その結果、アルコール成分(B)の有機アルコールの1モル当量が、初期オルガノシロキサン化合物(A)の完全な(すなわち最大の)アルコキシル化を達成するために、初期オルガノシロキサン化合物(A)のシラノール基ごとに必要とされる。このようにして、初期オルガノシロキサン化合物(A)が単一のシラノール基を含む場合、初期オルガノシロキサン化合物(A)とアルコール成分(B)の有機アルコールとの反応は、1:1の[A]:[B]の、理論上の最大モル比で起こり、[A]は初期オルガノシロキサン化合物(A)のモル量であり、[B]は、アルコール成分(B)の有機アルコールのモル量である。同様に、初期オルガノシロキサン化合物(A)が2つのシラノール基を含む場合、初期オルガノシロキサン化合物(A)とアルコール成分(B)の有機アルコールとの反応は、1:2[A]:[B]の理論上の最大モル比で起こり、[A]及び[B]は上で定義されたとおりである。言い換えれば、初期オルガノシロキサン化合物(A)とアルコール成分(B)の有機アルコールとの反応の理論上の最大化学量論比は、1:1の[Si-OH]:[B]であり、[Si-OH]は、初期オルガノシロキサン化合物(A)のシラノール基の数を表し、[B]は、アルコール成分(B)の有機アルコールの分子の数である。したがって、初期オルガノシロキサン化合物とアルコール成分(B)の有機アルコールとは、典型的には、10:1~1:10、あるいは8:1~1:8、あるいは6:1~1:6、あるいは4:1~1:4、あるいは2:1~1:2、あるいは1:1の[Si-ОH]:[B]の化学量論比で反応し、[Si-ОH]及び[B]は上で定義されたとおりである。
【0060】
当業者によって理解されるように、有機ケイ素化合物(D)の反応性は、アルコキシシリル基によって、特に下付き文字bによって示されるような式R8О-のアルコキシ基の数によって制御される。したがって、下付き文字bが1、2、又は3である場合、有機ケイ素化合物(D)は、それぞれ、1、2、又は3の合計当量のシラノール及び/又はアルコール基(例えば、初期オルガノシロキサン化合物(A)、アルコール成分(B)の有機アルコール、及び/又はそれらから形成される反応中間体から)と反応(例えば、縮合及び/又はアルコキシル化)され得る。
【0061】
ある特定の実施形態では、有機ケイ素化合物(D)は、初期オルガノシロキサン化合物(A)に対するあるモル比、アルコール成分(B)に対するあるモル比、初期オルガノシロキサン化合物(A)のシラノール基の数に対するある化学量論比、及び/又は利用されるアルコール成分(B)の有機アルコールの分子数に対するある化学量論比で利用される。例えば、有機ケイ素化合物(D)は、10:1~1:10、あるいは8:1~1:8、あるいは6:1~1:6、あるいは4:1~1:4、あるいは2:1~1:2、あるいは1:1の[Si-ОH]:[D]のモル比で利用されてもよく、[Si-OH]は上で定義されたとおりであり、[D]は、有機ケイ素化合物(D)の分子の数を表す。いくつかの実施形態では、有機ケイ素化合物(D)は、10:1~1:10、あるいは8:1~1:8、あるいは6:1~1:6、あるいは4:1~1:4、あるいは2:1~1:2、あるいは1:1の[Si-ОH]:([D]/b)の比で利用されてもよく、[Si-OH]及び[D]は、上で定義されたとおりであり、bは、有機ケイ素化合物(D)の下付き文字b(すなわち、式R8О-のアルコキシ基の数)に等しい。特定の実施形態では、有機ケイ素化合物(D)は、10:1~1:10、あるいは8:1~1:8、あるいは6:1~1:6、あるいは4:1~1:4、あるいは2:1~1:2、あるいは1:1の[Si-ОH]:[D]の比で利用されてもよく、[B]及び[D]は、上で定義されたとおりである。特定の実施形態では、有機ケイ素化合物(D)は、10:1~1:10、あるいは8:1~1:8、あるいは6:1~1:6、あるいは4:1~1:4、あるいは2:1~1:2、あるいは1:1の[Si-ОH]:([D]/b)の比で利用されてもよく、[B]、[D]、及びbは、上で定義されたとおりである。
【0062】
上記の特定の範囲外の比も利用され得ることが理解されよう。例えば、ある特定の実施形態では、アルコール成分(B)の有機アルコールは、例えば、反応中にアルコール成分(B)の有機アルコールが担体(すなわち、溶媒、希釈剤など)として利用される場合、総過剰量で(例えば、初期オルガノシロキサン化合物(A)のシラノール基の化学量論の≧5倍、あるいは≧10倍、あるいは≧15倍、あるいは≧20倍の量で)利用される。いずれにせよ、当業者は、上記の理論上の最大反応性比、任意の担体ビヒクル(複数可)の存在、利用される特定の成分(例えば、成分(A)のシラノール基の数、成分(D)のアルコキシ基の数)などを含む、様々な成分の特定の量及び比を容易に選択して、本明細書に記載の実施形態によるアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製する。
【0063】
初期オルガノシロキサン化合物(A)、アルコール成分(B)、触媒(C)、及び有機ケイ素化合物(D)(利用される場合)のそれぞれは、「そのままで」、すなわち、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製するための反応の準備ができている状態で提供され得る。あるいは、成分(A)、(B)、(C)、及び(D)のうちのいずれか1つ以上、又は全ては、反応の前又は反応中に形成され得る。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、初期オルガノシロキサン化合物(A)、アルコール成分(B)、触媒(C)、及び/又は有機ケイ素化合物(D)を調製することを含む。特定の実施形態では、方法は、少なくともアミン化合物とカルボン酸とを組み合わせて触媒(C)のカルボン酸アンモニウム化合物を得ることによって、触媒(C)を調製することを含む。
【0064】
典型的には、成分(A)及び(B)、及び任意に(D)は、容器又は反応器内で反応させて、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製する。以下に記載されるように、反応が高温又は低温で実施されるとき、容器又は反応器は、例えば被覆物、覆い、交換器、槽、コイルなどを介して、任意の好適な方法で加熱又は冷却されてもよい。
【0065】
成分(A)、成分(B)、及び成分(C)、並びに任意に成分(D)は、容器に一緒に若しくは別々に供給されてもよく、又は任意の添加の順序で、及び任意の組み合わせで容器内に配置されてもよい。例えば、ある特定の実施形態では、成分(B)及び成分(C)は、成分(A)、及び任意に成分(D)を入れた容器に添加される。このような実施形態では、成分(B)及び成分(C)は、添加前に最初に組み合わされてもよく、又は容器に順次添加されてもよい(例えば、(C)の後に(B))。他の実施形態では、成分(C)は、成分(A)及び(B)、並びに任意に(D)を入れた容器に、事前に作製された成分として、又はin situで触媒(C)を形成するための個々の成分として添加される。概して、本明細書における「反応混合物」への言及は、全般的に、(例えば、上述のような成分を組み合わせることによって得られるような)成分(A)、(B)、及び(C)、並びに任意に(D)を含む混合物を指す。
【0066】
本方法は、反応混合物を撹拌することを更に含むことができる。撹拌は、例えば、反応混合物において組み合わされたときに、成分(A)、(B)、及び(C)、並びに任意に(D)の混合及び接触を増強することができる。このような接触は独立して、撹拌を伴って(例えば、並行して又は順次)、又は撹拌を伴わずに(即ち、独立して、あるいはその代わりに)、他の条件を使用することもできる。他の条件は、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を形成するために、初期オルガノシロキサン化合物(A)とアルコール成分(B)との接触、ひいては反応(すなわち、アルコキシル化)、有機ケイ素化合物(D)と初期オルガノシロキサン化合物(A)及び/又はアルコール成分(B)とのトランスアルコキシル化などを調整又は増強させ得る。他の条件は、反応収率を増大させるための、又はアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物に伴って反応生成物中に含まれる特定の反応副生成物の量を最小限に抑えるための、有効な条件であってもよい。
【0067】
ある特定の実施形態では、成分(A)及び(B)、並びに任意に(D)の反応は、担体ビヒクル又は溶媒、例えば上で記載したもののうちの1つ以上の存在下で実施される。例えば、担体ビヒクル又は溶媒の部分は、初期オルガノシロキサン化合物(A)、アルコール成分(B)、触媒(C)、及び/又は有機ケイ素化合物(D)(利用される場合)に個々に添加されてもよく、成分(A)、(B)、(C)、及び/又は(D)の混合物にまとめて添加されてもよく、又は反応混合物に一体として(as a whole)添加されてもよく、あるいは別の方法で組み合わされてもよい。反応混合物中に存在する担体ビヒクル/溶媒の総量は、例えば、選択される特定の成分(A)、(B)、(C)、及び/又は(D)、採用される反応パラメータなどに基づいて、当業者によって選択される。
【0068】
ある特定の実施形態では、成分(A)及び(B)、並びに任意に(D)の反応は、任意の担体ビヒクル又は溶媒の非存在下で実施される。例えば、担体ビヒクル又は溶媒は、初期オルガノシロキサン化合物(A)、アルコール成分(B)、触媒(C)、及び/又は有機ケイ素化合物(D)(利用される場合)と個々に組み合わされ得ない。これら又は他の実施形態では、成分(A)、(B)、(C)、及び(D)のいずれも任意の担体ビヒクル又は溶媒中に配置されず、それによってエステル交換反応中、反応混合物中には存在しない(すなわち、反応混合物は、溶媒を含まず、あるいは実質的に含まない)。
【0069】
上記にかかわらず、ある特定の実施形態では、成分(A)、(B)、(C)、及び/又は(D)のうちの1つは、担体であり得、その場合、例えば、反応混合物の任意の他の成分を担持、溶解、又は分散するのに十分な量で流体として利用され得る。特定の実施形態では、アルコール成分(B)は、担体として利用される。更に、初期オルガノシロキサン化合物(A)とアルコール成分(B)とのアルコキシル化は、水の生成(以下、「水副生成物」)をもたらすことが理解されよう。同様に、有機ケイ素化合物(D)を(例えば、縮合を介して)初期オルガノシロキサン化合物(A)及び/又はアルコール成分(B)と(例えば、トランスアルコキシル化を介して)反応させると、式R8-OHのアルコールの生成(以下、「アルコール副生成物」)をもたらし、R8は有機ケイ素化合物(D)に関して上で定義されたとおりである。水及び/又はアルコール副生成物は、担体として(すなわち、生成されると)利用され得る。
【0070】
ある特定の実施形態では、水及び/又はアルコール副生成物は、生成されると反応混合物から除去される。当該技術分野において理解されるように、アルコキシル化及びトランスアルコキシル化は、可逆反応であり、それによって水及び/又はアルコール副生成物を反応混合物から除去することが、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物の選択性に関して好ましく及び/又は全体的な収率に関して影響を及ぼす(例えば、反応の平衡をその生成物に向かって選択的にすることによって)。水及び/又はアルコール副生成物を除去することは、蒸留、加熱、減圧/真空の適用、溶媒との共沸、モレキュラーシーブの使用など、及びそれらの組み合わせを含み得る。例えば、成分(D)が利用される場合、アルコール副生成物は、典型的には揮発性であり、又は少なくとも、反応混合物中の成分(A)、(B)、及び/又は(C)よりも揮発性が高い。したがって、アルコール副生成物の除去は、蒸留、加熱、減圧/真空の適用、溶媒との共沸、モレキュラーシーブの使用など、及びそれらの組み合わせを、反応中であっても含み得る。
【0071】
ある特定の実施形態では、水及び/又はアルコール副生成物を除去することは、反応中に反応混合物から水及び/又はアルコール副生成物を蒸留することを含み、その結果、反応は蒸留条件下で実施される。蒸留条件としては、典型的には以下が含まれる:(i)高温;(ii)減圧;又は(iii)高温及び減圧の両方。高温又は減圧とは、室温及び大気圧と比較して意味付けされる。当該技術分野において理解されるように、任意の蒸留で利用されるトレイの数が最適化されてもよく、生成される留出物に対するアルコール副生成物の比及び/又は回収に影響を及ぼし得る。蒸留は、連続式であってもバッチ式であってもよく、蒸留が共沸蒸留であり得るように、溶媒(例えば、ヘキサン、トルエンなど)の使用を含んでもよい。利用される共沸溶媒を含む留出物は、そこから水副生成物を除去した後(例えば、溶媒相抽出によって)再使用及び/又は再循環され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、反応は、高温で実施される。高温は、選択された特定の初期オルガノシロキサン化合物(A)、特定のアルコール成分(B)、選択された有機ケイ素化合物(D)(例えば、成分(D)の置換基(複数可)R8O-の因子として生成される特定のアルコール副生成物)、選択される反応容器(例えば、周囲圧力に対して開いているか、減圧下で密封されるかなど)に応じて選択及び制御される。したがって、当業者であれば、選択される反応条件及びパラメータ、並びに本明細書での説明を考慮して、高温を容易に選択する。高温は、典型的には、周囲温度より高い温度から150℃まで、例えば30~140℃、あるいは40~140℃、あるいは40~130℃、あるいは50~130℃、あるいは50~120℃、あるいは50~110℃、あるいは60~110℃、あるいは60~100℃である。
【0073】
ある特定の実施形態では、反応は、減圧で実施される。減圧は、選択された特定のアルコール成分(B)(例えば、その有機アルコール)、選択された特定の触媒(C)(例えば、そのカルボン酸アンモニウム化合物)、選択された有機ケイ素化合物(D)(例えば、それから生成される特定のアルコール副生成物)などに応じて選択及び制御される。したがって、当業者であれば、選択された反応条件及びパラメータ、並びに本明細書での説明を考慮して、減圧を容易に選択する。減圧は、典型的には真空として動作されるが、真空と大気圧との間の任意の減圧(すなわち、101.325kPa)が利用されてもよい。例えば、減圧は、0超~30kPa、あるいは0超~20kPa、あるいは0超~15kPa、あるいは0超~10kPa、あるいは0超~8kPa、あるいは0超~6kPa、あるいは0超~5kPa、あるいは0超~4kPa、あるいは0超~3kPa、あるいは0超~2kPa(例えば、mmHgによって測定される)であり得る。
【0074】
高温及び/又は減圧はまた、特に高温及び減圧の両方が利用される場合、上記の範囲とは異なり得ることを理解されたい。例えば、ある特定の実施形態では、減圧は、より低い反応温度を利用しながら反応の進行を維持するために利用され、これは、望ましくない副生成物の形成の減少(例えば、重合、劣化、及び/又は分解副生成物)をもたらし得る。同様に、反応パラメータは、成分(A)及び(B)、並びに任意に(D)の反応中に修正され得ることも理解されたい。例えば、温度、圧力、及び他のパラメータは、反応中に独立して選択又は修正されてもよい。これらのパラメータはいずれも、独立して、周囲パラメータ(例えば、室温及び/又は大気圧)及び/又は非周囲パラメータ(例えば、低温若しくは高温及び/又は減圧若しくは高圧)であってもよい。任意のパラメータはまた、動的に修正されてもよく、リアルタイムで、即ち、方法中に変更されてもよく、又は静的(例えば、反応の持続時間中又はその任意の部分にわたって)であってもよい。
【0075】
アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製するための成分(A)及び(B)、並びに任意に(D)の反応が実施される時間は、スケール、反応パラメータ及び条件、特定の成分の選択などの関数である。比較的大きなスケール(例えば、1kg超、あるいは5kg、あるいは10kg、あるいは50kg、あるいは100kg)では、当業者によって容易に決定されるように(例えば、初期オルガノシロキサン化合物(A)の変換、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物の生成などを、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分光法により監視することによって)反応は数時間、例えば、2~48時間、あるいは3~36時間、あるいは4~24時間、あるいは6、12、18、24、36、又は48時間実施することができる。ある特定の実施形態では、反応が実施される時間は、成分(A)及び(B)、並びに任意に(D)が成分(C)の存在下で組み合わされた後、0超~48時間、あるいは1~36時間、あるいは1~24時間、あるいは1~12時間、あるいは2~12時間、あるいは2~8時間である。
【0076】
全般的に、成分(A)と(B)との反応は、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む反応生成物を調製するものである。特に、反応の過程で、成分(A)、(B)、及び(C)、並びに任意に(D)を含む反応混合物は、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物の量を増加させることと、成分(A)、及び(B)並びに利用される場合(D)の量を減少させることと、を含む。反応が完了すると(例えば、成分(A)又は成分(B)のうちの1つが消費され、追加のアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物が調製されないなど)、反応混合物は、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む反応生成物と称され得る。このように、反応生成物は、典型的には、任意の残りの量の成分(A)、(B)、及び(C)、並びに任意に(D)、並びにその分解及び/又は反応生成物(例えば、蒸留、ストリッピングなどによって以前に除去されなかった材料)を含む。反応が任意の担体ビヒクル又は溶媒中で実施される場合、反応生成物はまた、このような担体ビヒクル又は溶媒も含んでもよい。
【0077】
ある特定の実施形態では、方法は、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を反応生成物から単離及び/又は精製することを更に含む。本明細書で使用される場合、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を単離することは、典型的には、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物の相対濃度を、(例えば、反応生成物又はそれを精製したものにおいて)それと組み合わせた他の化合物と比較して高めることと定義される。したがって、当該技術分野において理解されるように、単離/精製は、他の化合物をそのような組み合わせから除去すること(すなわち、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物と組み合わされた不純物の量を、例えば反応生成物中で減少させる)、及び/又はアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物自体を組み合わせから除去することを含んでもよい。単離のための任意の好適な技術及び/又はプロトコルが利用されてもよい。好適な単離技術の例としては、蒸留、ストリッピング/蒸発、抽出、濾過、洗浄、分配、相分離、クロマトグラフィーなどが挙げられる。当業者には理解されるように、これらの技術のいずれも、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を単離するために、任意の別の技術と組み合わせて(すなわち、順次)使用することができる。単離することは、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を精製することを含んでもよく、したがってアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を精製すること、と称されてもよいことを理解されたい。しかしながら、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を精製することは、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物の単離に利用される技術と代替の及び/又は追加の技術を含み得る。選択された特定の技術に関係なく、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物の単離及び/又は精製は、反応自体と順に(すなわち、ライン内で)実施されてもよく、したがって自動化されてもよい。他の例では、精製は、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む反応生成物が供される独立型手順であってもよい。
【0078】
特定の実施形態では、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を単離することは、反応生成物から揮発性物質を蒸留及び/又はストリッピングすることを含む。例えば、成分(B)が成分(A)の過剰量で使用されるなどのある特定の実施形態では、成分(B)の残りの量は、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む反応混合物から蒸留及び/又はストリッピングされる。これら又は他の実施形態では、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を単離することは、触媒(C)及び/又はそれから形成された固体の残りの量を除去するために、反応生成物を濾過することを含む。両方又はいずれかの場合(例えば、成分(B)及び/又は(C)をストリッピング/蒸留及び/又は濾過によって除去した後)、反応生成物は、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む精製反応生成物と称され得る。
【0079】
特定の実施形態では、方法は、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を精製することを更に含む。精製のための任意の好適な手法を使用することができる。ある特定の実施形態では、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を精製することは、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物(例えば、留出物として)を除去するための、又は他の化合物/成分をそこからストリッピングする(すなわち、反応混合物又は精製反応混合物の高沸点成分としてポット内にアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を残す)ためのいずれかの蒸留を含む。当業者には理解されるように、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を精製及び/又は単離するために反応生成物又は精製反応生成物を蒸留することは、典型的には、高温及び減圧で実施される。高温及び減圧は、例えば、反応の特定の成分、調製される特定のアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物、利用される他の単離/精製技術に基づいて、独立して選択される。例えば、本明細書に記載される高温及び減圧のいずれかは、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を精製する際に利用され得る。
【0080】
上記の説明を考慮して当業者には理解されるように、本方法に従って調製された特定のアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物は、触媒(C)の存在下で反応した特定の初期オルガノシロキサン化合物(A)、アルコール成分(B)、及び有機ケイ素化合物(D)(利用される場合)の関数である。全般的に、この方法は、一般式(II):
【化7】
[式中、各R
1、R
3、及びR
7は、独立して選択されるヒドロカルビル基であり、各R
9は、下付き文字xによって示される各単位においてR
1又はR
7であり、R
10は、下付き文字yによって示される各単位において独立してR
1又はR
7であり、下付き文字cは、下付き文字wによって示される各単位において独立して1又は2であり、下付き文字dは、下付き文字によって示される各単位において独立して1又は2であり、下付き文字w、x、y、及びzは各々、≧0かつ≦1であり、但し、w+x+z>0、かつw+x+y+z=1である]を有するアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製するものである。
【0081】
一般式(II)を参照すると、下付き文字w、x、y、及びzは、w+x+y+z=1であるような各モル分率である。更に、下付き文字w、x、y、及びzは各々、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物中の特定のシロキシ部分の存在、又は任意による存在を示す。特に、本明細書の説明を考慮して当業者に理解されるように、本方法で利用される特定の初期オルガノシロキサン化合物(A)は、各R9がR1である下付き文字xによって示されるアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物のシロキシ部分の一部、R10がR1である下付き文字yによって示されるもの、及び下付き文字zによって示されるものを形成するものである。同様に、本方法で利用される特定の有機ケイ素化合物(D)は、下付き文字wによって示されるシロキシ部分の一部、各R9がR7である下付き文字yによって示されるもの、及びR10がR7である下付き文字yによって示されるもの、並びに下付き文字zによって示されるものを形成するものである。本方法で利用されるアルコール成分(B)の特定の有機アルコールは、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物の様々なシロキシ部分において式R3O-のアルコキシ基を形成するものであることも理解されるであろう。したがって、式、構造、部分、基、又は他のそのようなモチーフが、式(II)のアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物と化合物(A)、(B)、及び/又は(D)との間で共有される場合、そのような共有モチーフに関する上記の説明は、調製されたアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を同等に説明し得る。
【0082】
例えば、成分(A)、(B)、及び(C)に関して上述したように、各R1は、典型的には、独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基、例えば、1~18個の炭素原子を有する置換又は非置換ヒドロカルビル基(例えば、メチル、フェニルなど)である。各R3は、典型的には、3~30個の炭素原子を有する独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基である(例えば、式R3O-のアルコキシ基が、加水分解されると、式R3OHの有機アルコールに対応する)。各R7は、典型的には、1~6個の炭素原子を有する独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基である。
【0083】
ある特定の実施形態では、成分(A)及び(B)が触媒(C)の存在及び成分(D)の非存在下で反応する場合(すなわち、成分(D)が利用されない場合)、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物は、一般式(III):
【化8】
[式中、各R
1、R
3、及び下付き文字d、x、y、及びzは、上で定義されたとおりである]を有する。例えば、いくつかの実施形態では、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物は、一般式(IV):
【化9】
[式中、各R
11は独立して、R
1又は-OR
3であり、但し少なくとも1つのR
11は-OR
3である]を有する。各R
1及びR
3は、上で定義したとおりである。下付き文字mは、1~8000であり、下付き文字nは、0~20である。特定の実施形態では、下付き文字nは0であり、各R
11は、-OR
3であり、その結果、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物が以下の式:
【化10】
[式中、各R
1、R
3、及び下付き文字mは、上で定義されたとおりである]を有する。
【0084】
ある特定の実施形態では、成分(A)及び(B)が触媒(C)及び成分(D)の存在下で反応する場合(すなわち、成分(D)が利用される場合)、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物は、一般式:
【化11】
[式中、各R
1、R
3、及びR
7は、上で定義されたとおりであり、下付き文字m’は、1~8000、あるいは6~8000であり、下付き文字n’は、0~20である]を有する。
【0085】
アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む組成物も提供される。組成物は、概して、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物及び少なくとも1つの他の成分、例えば、非反応性成分(例えば、担体ビヒクル、溶媒など)、反応性成分(例えば、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物と反応性であるか、又はアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物と反応性とすることが可能な化合物)、又はそれらの組み合わせを含む。ある特定の実施形態では、組成物は、その中の成分の総量に基づいて、0.1%未満(例えば、組成物の総重量に基づく重量%)の環状ポリジオルガノシロキサンを含む。
【0086】
全般的に、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む組成物は、上記の実施形態に従って調製された反応生成物を含み得るか、又はそれであり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、方法は、反応生成物からアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を精製及び/又は単離することを含み、したがって、この組成物は、単離した及び/又は精製アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む。
【0087】
特定の実施形態では、方法は、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む反応生成物を調製することと、触媒(C)を反応生成物から除去して、精製アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を得ることと、を含む。そのような実施形態では、精製アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物は、その中の成分の総量に基づいて、1%未満、あるいは0.8%未満、あるいは0.6%未満、あるいは0.4%未満、あるいは0.2%未満、あるいは0.1%未満(例えば、組成物の総重量に基づく重量%)の環状ポリジオルガノシロキサン含有量を含む。いくつかのそのような実施形態では、方法は、精製アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物と少なくとも1つの他の成分とを組み合わせることによって、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む組成物を調製することを更に含む。これらの実施形態では、組成物は、その中の成分の総量に基づいて、0.1%未満、あるいは0.05%未満、あるいは0.01%未満(例えば、組成物の総重量に基づく重量%)の環状ポリジオルガノシロキサンを含む。
【0088】
本開示の実施形態を示す以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明を限定するものではない。以下の簡潔な概要により、ある特定の略語、略記、及び実施例に利用される成分に関する情報が得られる。ケイ素原子からの明示的に示されていない各基、及びケイ素原子から下がっている各基は、特に指示がない限り、メチル基(-CH3)である。
【0089】
実施例で利用される様々な成分を以下の表1に示す。
【0090】
【0091】
以下の実施例の各々において、粘度は、試料をカップに充填して、カップを1分間放置して室温に到達させ、次いで試料の粘度をBrookfield DV-III粘度計で25℃にて、45~55%の応力に達するようにrpmを調整して測定することによって決定する。
【0092】
実施例1
【0093】
3つ口フラスコに、還流冷却器、窒素スイープ、撹拌機、並びに温度コントローラ及び熱電対に接続された加熱マントルを装備する。フラスコに初期オルガノシロキサン化合物(A1)(84.13重量%)、アルコール成分(B1)(12.91重量%)、アミン化合物(C-A1)(1.63重量%)、及びカルボン酸(C-B1)(1.34重量%)を充填して、反応混合物を形成し、次いで、これを撹拌しながら窒素スイープ下、90℃で2時間加熱して保持する。次いで、温度を90℃で維持しながら、フラスコを真空状態(圧力<50mmHg)にして、反応混合物を3~4時間蒸留する。次いで、反応混合物を室温まで放冷し、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む反応生成物(約70~100cPの粘度を有する透明な琥珀色のポリマー)を得る。
【0094】
反応生成物の試料を、1H及び29Si NMRにより分析して、ケイ素結合アルコキシ基を示す。次いで、試料に初期オルガノシロキサン化合物(A1)の一部分でスパイクして、遊離シラノール基に相当するピークを提供し、Si-O-CとSi-OHピークとの間の分離は、初期オルガノシロキサン化合物(A)とアルコール成分(B)との完全なアルコキシル化、すなわち変換を示す。
【0095】
実施例2
【0096】
3つ口フラスコに、還流冷却器、窒素スイープ、撹拌機、並びに温度コントローラ及び熱電対に接続された加熱マントルを装備する。フラスコに初期オルガノシロキサン化合物(A1)(84.13重量%)、アルコール成分(B1)(12.91重量%)、アミン化合物(C-A1)(1.63重量%)、及びカルボン酸(C-B2)(1.34重量%)を充填して、反応混合物を形成し、次いで、これを撹拌しながら窒素スイープ下、90℃で2時間加熱して保持する。次いで、温度を90℃で維持しながら、フラスコを真空状態(圧力<50mmHg)にして、反応混合物を3~4時間蒸留する。次いで、反応混合物を室温まで放冷し、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む琥珀色の反応生成物(約70~100cPの粘度を有する透明な琥珀色のポリマー)を得て、次いでこれを、1H及び29Si NMRによって分析する。
【0097】
実施例3
【0098】
3つ口フラスコ(250mL)に、還流冷却器、窒素スイープ、撹拌機、並びに温度コントローラ及び熱電対に接続された加熱マントルを装備する。フラスコに初期オルガノシロキサン化合物(A2)(89.46g;85.39重量%)、アルコール成分(B1)(6.78g;6.47重量%)、有機ケイ素化合物(D1)(3.53g;3.37重量%)を充填して、撹拌しながら100~120℃に加熱する。アミン化合物(C-A1)(2.62g;2.39重量%)及びカルボン酸(C-B1)(2.61g;2.39重量%)を別の容器で組み合わせて触媒混合物を形成し、次いで成分(A)、(B)、及び(D)を入れたフラスコに添加して反応混合物を形成する。次いで、反応混合物を窒素スイープ下、100~120℃で2時間加熱して保持する。次いで、温度を120℃で維持しながら、フラスコを真空状態(圧力<50mmHg)にして、反応混合物を4時間蒸留して、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む反応生成物を得る。反応混合物の粘度は蒸留中に増加し、縮合/アルコキシル化が成功したことを示す。
【0099】
実施例4
【0100】
3つ口フラスコ(250mL)に、還流冷却器、窒素スイープ、撹拌機、並びに温度コントローラ及び熱電対に接続された加熱マントルを装備する。フラスコに初期オルガノシロキサン化合物(A2)(89.46g;85.20重量%)、アルコール成分(B1)(6.78g;6.46重量%)、アミン化合物(C-A1)(2.62g;2.5重量%)、カルボン酸(C-B1)(2.5g;2.38重量%)、カルボン酸(C-B2)(0.11g;0.10重量%)及び有機ケイ素化合物(D1)(3.53g;3.36重量%)を充填して、反応混合物を形成し、次いで撹拌しながら窒素スイープ下、90℃で2時間加熱して保持する。次いで、温度を120℃に上昇させて、120℃に維持しながらフラスコを真空状態(圧力<50mmHg)にして、反応混合物を2時間蒸留する。次いで、反応混合物を室温まで放冷し、アルコキシ官能性オルガノシロキサンを含む反応生成物(>10,000cPの粘度を有する琥珀色のポリマー)を得て、次いで、これを、1H及び29Si NMRによって分析する。
【0101】
実施例5
【0102】
3つ口フラスコ(250mL)に、還流冷却器、窒素スイープ、撹拌機、並びに温度コントローラ及び熱電対に接続された加熱マントルを装備する。フラスコに初期オルガノシロキサン化合物(A2)(83.61重量%)、アルコール成分(B1)(10.27重量%)、アミン化合物(C-A1)(1.68重量%)、カルボン酸(C-B2)(1.38重量%)、及び有機ケイ素化合物(D1)(3.06重量%)を充填して、反応混合物を形成し、次いで、これを撹拌しながら窒素スイープ下、120℃で2時間加熱して保持する。次いで、温度を120℃で維持しながら、フラスコを真空状態(圧力<50mmHg)にして、反応混合物を3~4時間蒸留する。次いで、反応混合物を室温まで放冷し、アルコキシ官能性オルガノシロキサンを含む反応生成物(350~1400cPの粘度を有する琥珀色のポリマー)を得て、次いでこれを、1H及び29Si NMRによって分析する。
【0103】
実施例6
【0104】
3つ口フラスコ(250mL)に、還流冷却器、窒素スイープ、撹拌機、並びに温度コントローラ及び熱電対に接続された加熱マントルをする。フラスコに初期オルガノシロキサン化合物(A1)(42.07g;81.86重量%)、アルコール成分(B1)(5.33g;10.37重量%)、アミン化合物(C-A2)/有機ケイ素化合物(D2)(0.53g;1.03重量%)及び有機ケイ素化合物(D1)(1.86g;3.62重量%)を充填して、撹拌しながら窒素スイープ下、90℃に加熱する。次いで、カルボン酸(C-B1)の最初の部分(0.76g;1.48重量%)をフラスコに添加して反応混合物を得て、これを窒素スイープ下、90℃で2時間保持する。次いで、温度を90℃で維持しながら、フラスコを真空状態(圧力<50mmHg)にして、反応混合物を1時間蒸留する。次いで、カルボン酸(C-B1)の2番目の部分(0.84g;1.63重量%)を反応混合物に添加し、次いで、これを加熱して、120℃で1時間保持する。次いで、反応混合物を室温まで放冷し、アルコキシ官能性オルガノシロキサンを含む反応生成物(約1000~1500cPの粘度を有する透明な琥珀色のポリマー)を得て、次いでこれを、1H及び29Si NMRによって分析する。
【0105】
実施例7
【0106】
3つ口フラスコ(250mL)に、還流冷却器、窒素スイープ、撹拌機、並びに温度コントローラ及び熱電対に接続された加熱マントルを装備する。フラスコに初期オルガノシロキサン化合物(A1)(83.61重量%)及びアルコール成分(B2)/アミン化合物(C-A3)(2.53重量%)を充填し、撹拌しながら窒素スイープ下、90℃に加熱する。次いで、カルボン酸(C-B1)(2.10重量%)をフラスコに添加して反応混合物を形成し、これを窒素スイープ下、90℃で2時間保持する。次いで、温度を90℃で維持しながら、フラスコを真空状態(圧力<50mmHg)にして、反応混合物を2~3時間蒸留する。次いで、温度を120℃に上昇させて120℃で2時間保持する。反応混合物を室温まで放冷し、アルコキシ官能性オルガノシロキサンを含む濁って見える反応生成物を得る。次いで、反応生成物を濾過して塩を除去し、精製アルコキシ官能性オルガノシロキサン(約4500~10000cPの粘度を有する透明な無色ポリマー)を得て、次いでこれを、1H及び29Si NMRにより分析する。
【0107】
実施例8~11:カルボン酸アンモニウム触媒を用いたアルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物の調製
【0108】
実施例8~11の各々について、20mLのバイアルに初期オルガノシロキサン化合物(A1)(8.41g)、アルコール成分(B)(0.8~1g)、アミン化合物(C-A1)(0.16g)、及びカルボン酸(C-B2)(0.13g)を充填して、反応混合物を形成する。次いで、反応混合物を一定した窒素スイープ下、4~6時間温度(T)に加熱して保持して、アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を含む反応生成物を得る。実施例8~11のパラメータ及び結果を以下の表2に記載する。
【0109】
【手続補正書】
【提出日】2022-03-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製する方法であって、前記方法が、
(A)少なくとも1つのシラノール基を有する初期オルガノシロキサン化合物と、(B)有機アルコールを含むアルコール成分とを、(C)カルボン酸アンモニウム化合物を含む触媒の存在下で反応させて、それにより、前記アルコキシ官能性オルガノシロキサン化合物を調製することを含む、方法。
【請求項2】
前記(A)初期オルガノシロキサン化合物が、一般式:
【化1】
[式中、各R
1は、独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、各R
2は、独立してR
1又は-OHであり、但し少なくとも1つのR
2は-OHであり、下付き文字mが、1~8000であり、下付き文字nは、0~20である]を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルコール成分(B)の前記有機アルコールが、式R
3OH[式中、R
3は、独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基である]を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒(C)の前記カルボン酸アンモニウム化合物が、アミン化合物とカルボン酸との反応生成物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
i)前記アミン化合物が、一般式:
【化2】
[式中、各R
4は、1~18個の炭素原子を有する独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、下付き文字aは、0、1、又は2である]を有する部分を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
i)前記カルボン酸が、一般式:
【化3】
[式中、各R
5は、1~18個の炭素原子を有する独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基である]を有する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記カルボン酸アンモニウム化合物が、(i)アセテート、(ii)プロピオネート、又は(iii)(i)及び(ii)の両方を含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、前記初期オルガノシロキサン化合物(A)と、前記アルコール成分(B)とを、(D)少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する有機ケイ素化合物の存在下で反応させることを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記有機ケイ素化合物(D)が、一般式:
【化4】
[式中、各R
7は、1~6個の炭素原子を有する独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、各R
8は、1~18個の炭素原子を有する独立して選択されるヒドロカルビル基であり、下付き文字bは、1、2、又は3である]を有する、請求項8に記載の方法。
【国際調査報告】