(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】血液収集容量を画定する疎水性パターンおよび破断ラインを有する媒体
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20221027BHJP
G01N 1/12 20060101ALI20221027BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N1/12 B
G01N37/00 101
G01N1/10 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514263
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 US2020049460
(87)【国際公開番号】W WO2021046391
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521226509
【氏名又は名称】ウィーブル ヘルス コープ.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ブランドン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン,ケイト
(72)【発明者】
【氏名】グラント,ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】トビアソン,ラクラン
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA30
2G052AD06
2G052AD29
2G052CA39
2G052DA09
2G052DA22
(57)【要約】
【解決手段】
血液サンプル収集および/または貯蔵デバイスは、血液サンプルなどの体液サンプルを貯蔵するための膜またはミクロ構造環境などの、媒体を含む。媒体は、その上またはその中に形成されている疎水性パターンを有して、流体流動または流体保持のための精密に寸法決めされたチャネルを画定する。媒体中の破断ラインは、媒体の既定エリア(または容量)を画定した。サンプル収集後、媒体は、精密に測定された量の流体サンプルを得るために、破断ラインに沿って分裂させられてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの疎水性領域によって画定されたチャネルを有する媒体と、
前記チャネルと交差し、そして前記媒体の既定エリアを画定する、少なくとも1つの破断ラインと、を含む、流体サンプル収集デバイス。
【請求項2】
少なくとも1つの破断ラインは、流体サンプルの収集のための既定容量を提供するエリアを画定する、請求項1に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項3】
試薬でコーティングされた前記媒体の、対応する複数のエリアを画定する2以上の破断ラインをさらに含み、そして、少なくとも1つの選択試薬は、別の試薬がコーティングする別のエリアとは異なる選択エリアをコーティングしている、請求項1に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項4】
前記疎水性領域は、1以上の流体経路をさらに画定する、請求項1に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項5】
前記疎水性領域は、流体の移動の速度を調節する、請求項1に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項6】
前記疎水性領域は、前記デバイスを通る流体の移動を減速させるために、蛇行性経路を画定する、請求項5に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項7】
前記疎水性領域は、前記流体の移動を減速させ、その後、毛細管作用を減速させるように前記媒体を部分的に飽和させる、請求項5に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項8】
前記媒体は、複数の層を含む、請求項1に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項9】
第1の層は、疎水性領域によって画定されたチャネルによって、サンプルを第2の層に収集しかつ導く、第1の膜である、請求項8に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項10】
前記複数の層のうちの1つは、側方流動ストリップである、請求項8に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項11】
前記複数の層のうちの1つは、試薬を含む、請求項8に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項12】
前記複数の層のうちの1つは、ろ過媒体を含む、請求項8に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項13】
前記複数の層のうちの1つは、疎水性材料または親水性材料の1以上を介して、流体流動を方向転換させる、請求項8に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項14】
前記媒体は、膜を含む、請求項1に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項15】
前記媒体は、ミクロ構造環境を含む、請求項1に記載の流体サンプル収集デバイス。
【請求項16】
流体収集デバイスであって、
第1の位置および第2の位置を有するハウジングと、
第1の位置で開いている、生体サンプルを収集するためのサンプルポートと、
前記生体サンプルを吸収し、そして測定するように設計された、構造化ミクロ環境と、
前記ハウジング内に配置された流体制御システムであって、前記生体サンプルが前記第1の位置から前記第2の位置に動かされる時に、前記生体サンプルを前記サンプルポートから前記構造化ミクロ環境に移す、流体制御システムと、を含む、流体収集デバイス。
【請求項17】
前記構造化ミクロ環境は、膜である、請求項16に記載の流体収集デバイス。
【請求項18】
前記構造化ミクロ環境は、血漿から赤血球を分離する、請求項16に記載の流体収集デバイス。
【請求項19】
前記サンプルポート中の流体は、前記構造化ミクロ環境に到達する前に試薬で処理される、請求項16に記載の流体収集デバイス。
【請求項20】
前記構造化ミクロ環境は、同様の容量を有する2以上のポーションを収集するように構成されている、請求項16に記載の流体収集デバイス。
【請求項21】
前記ポーションは、単一の流動経路に接続され、そして容易に分離される、請求項20に記載の流体収集デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年9月6日に出願された同時係争中の米国仮特許出願第62/896,715、および2020年8月3日に出願された同時係争中の米国仮特許出願第63/060,279の優先権を主張し、その各々は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
この特許は、血液サンプルなどの、体液の精密な収集に関係する。
【0003】
背景情報
診断用試験に使用される血液は、たいてい、皮下注射用針で患者から抽出され、そして試験管に収集される。収集血液はその後、様々な診断用試験が実施される遠隔の研究所に搬送するためにパッケージ化される。しかし、多くの診断用試験で必要となるのは、実際に収集されたサンプルよりも著しく少ない容量である。サンプルからの細胞成分の分離を必要とする試験も存在する。
【0004】
多くの試験は、少量の血液サンプルのみを必要とし、そこでは、皮下注射用針ではなくむしろ指先穿刺で十分な血液を生じさせることができる。少量で、正確に測定された量の血液を収集および保持する便利で広く利用可能な方法が、今なお必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
膜などの媒体は、血液サンプルなどの体液サンプルを収集するために使用される。膜は、流体流動のための精密に寸法決めされたチャネルを画定するために、疎水性パターンを有している。膜中の破断ラインは、膜の既定エリア(または容量)を画定した。収集および輸送の後、膜は、精密に測定された血液サンプルを得るために、破断ラインに沿って分裂させられてもよい。
【0006】
より具体的には、1つの実施形態では、デバイスは、少なくとも1つのパターン加工された疎水性領域によって画定されたチャネルを有する、膜またはミクロ構造環境などの媒体を含んでいてもよい。少なくとも1つの破断ラインは、チャネルと交差して、媒体の既定エリアまたは収集容量を画定する。
【0007】
破断ラインは、さらなる処理のために容易に脱離させることができる、媒体の異なるエリアを画定するために使用することができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、2以上の破断ラインは、媒体の対応する複数のエリアを画定してもよい。異なるエリアは、異なる試薬でコーティングされていてもよく、あるいは、異なるサイズまたは形状であってもよい。
【0009】
疎水性領域または対応する領域は、流体経路を画定してもよい。経路は、流体サンプルを異なるエリアに導くか、または流体の移動の速度を調節することができ、あるいは、媒体のさらなる飽和を促進することができる。
【0010】
媒体は、複数の層を含んでいてもよく、そのうちのいくつかは膜であてもよく、そしてそのうちの他は、試薬、コンジュゲート、または他の物質を含む側方流動ストリップであってもよい。
【0011】
層は、流体をさらに導くために、疎水性材料または親水性材料を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1~18は、疎水性領域によって画定されたチャネル、および/または、破断ラインによって画定された精密な容量を含み得る、収集媒体の例である。具体的には、以下の通りである。
【
図1】ワックスなどの疎水性領域でコーティングされた収集膜を示す。
【
図4】
図3の例と同様であるが、破断ラインを有するものである。
【
図6】実施形態の破断ラインであり、疎水性領域パターニングを無しのものである。
【
図8】破断ラインが縦方向、およびチャネルを横切る方向の両方に走る例である。
【
図9】チャネルの端部に沿って形成されている破断ラインを有する実施形態を示す-ここで、膜は、疎水性ハウジング中に保持される側方流動ストリップであってもよい。
【
図10】単一のチャネルが湾曲経路をたどる、例示的な実施形態である。
【
図11】
図10と同様であるが、破断ラインを有する、例示的な実施形態である。
【
図12】チャネルの側面の特定の部分の上にのみ形成されている破断ラインを有する、例示的な実施形態である。
【
図13】破断ラインがその長さに沿って湾曲チャネルをたどる、別の例示的な実施形態である。
【
図14】膜がある物質でコーティングされている、別の実施形態である。
【
図15】膜の長さを走る、曲がりくねったチャネルを有し、曲がりくねったチャネルのいくつかの区画を画定する破断ラインを有する、例示的な実施形態である。
【
図16】同様の配置であるが、破断ライン無しである。
【
図17】曲がりくねったチャネル中に破断ラインを有する、別の実施形態である。
【
図18】チャネルが1を超える層を占有する、「三次元」実装である。
【
図19】
図1-18の膜のうちのいずれかを使用する例示的な血液サンプル収集デバイスの、使用前の、等角図である。
【
図21】多層の膜で形成されている媒体(400)を有するデバイスの、分解組立図である。
【
図22】取り外し可能な円形エリアを提供する複数の分岐を有するチャネルを含んでいる、媒体である。
【
図23A】側方流動ストリップを提供する媒体をパターン加工するために疎水性領域を使用する、別のデバイスの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この特許出願は、膜、ミクロ構造環境などの他の媒体を説明し、当該媒体は、精密に画定された量の血液または他の流体サンプルを、収集しかつ貯蔵する。一般に、媒体は、ワックスまたは他の疎水性領域によって画定された1以上のチャネルを有する。いくつかの実施形態では、チャネルは、非混合性疎水性領域を作り出すことによって画定することができる。媒体中の疎水性領域は、疎水性力によって、物理的な閉塞領域あるいは同様の物理的障壁のいずれかを介して、液体がある領域に侵入することを妨げるように、配置することができる。
【0014】
ワックスまたは何らかの他の疎水性領域によって画定された1以上のチャネルは、流体を、画定された経路に沿って収集しながら導く。疎水性領域は、経路を画定するためだけではなく、媒体の試薬または層を分離状態で維持するためにも使用することができる。加えて、疎水性領域は、サンプルを試薬と混合する際に、反応をうまく画定するために使用することができる。
【0015】
疎水性領域は、流体経路の異なるタイプまたは異なる形状を画定してもよい。曲がりくねった経路または他の蛇行性経路などの、違なる形状および長さを有する経路は、媒体を通る、または媒体に沿った、流体の移動の速度を調節する、および/または減速させるために使用されてもよい。流体サンプルの移動の速度を減速させることは、その後、結果として生じる毛細管作用の減速を介して、媒体が流体をより完全に吸収することを可能にしてもよい。
【0016】
媒体は、いくつかの実施形態では、サンプル収集デバイスを形成するいくつかの異なるタイプのデバイスハウジング内に格納されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、媒体の区画は、ミシン目などの破断ラインによって画定されていてもよい。区画は、媒体の既定エリアを取り囲んでもよく、および/または1以上の流動経路をさらに画定してもよい。破断ラインは、媒体が、最終的に、流体の既定容量を収集した区画に分割されることを可能にする。
【0018】
破断ラインは、異なる形状の形態をとってもよい。1つの実施形態では、1以上の円の形状をした破断ラインによって、血液サンプルなどの乾燥体液サンプルの精密な容量を、媒体から収集し、そして容易に取り外すことができる。現在、円孔が乾燥血液スポットカードにパンチ加工され、そして、円の事前画定は自動化を補助し得る。破断ラインはまた、デバイスの残りから、試験領域の容易な脱離を可能にする。
【0019】
いくつかの実施形態では、破断ラインは、アッセイ領域、並びに、その後の最終的な分析に使用され得るサンプル領域の、脱離を可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、破断ラインは、チャネルを狭めることによって、流量を画定または制御してもよい。いくつかの実施形態では、膜の破断ラインで分離されたエリアは、異なる試薬で処理されてもよい。
【0020】
媒体はまた、ミクロ構造環境を提供するデバイスを含んでいてもよい。繊維、小孔または柱などの、多数の要素から構成される環境が、赤血球、白血球、または他の細胞物質などの、流体の特定の要素の流動を減速させるフィールドを作り出すように配置される。
【0021】
図1は、そのような媒体(400)の平面図である。一次エリア(401)は、膜の一部を含み、そこを通って流体が流動する(本明細書ではチャネル(401)とも呼ばれる)。流体が流動する媒体(400)のその部分は、露出しており、コーティングされていない。他のエリア(402)は、ワックスなどの疎水性領域でコーティングされている(そして、図面では網掛けによって示されている通りである)。疎水性領域の外縁は、精密なエリアを画定する境界(404)を流体チャネル(401)に提供する。
【0022】
媒体(400)の1側面だけが示されているが、疎水性領域は一般に、媒体(400)の両面がコーティングされているか、または、膜(400)に完全に広がっていてもよいことが、理解されるべきである。いくつかの実施形態では、チャネル(401)などの媒体(400)の区画はまた、この区画を通る流体の流動を減速させるために、疎水性領域で部分的にコーティングされていてもよい。
【0023】
媒体(400)は、様々なタイプの血漿分離用の膜またはフィルタなどの、平面シート状のサンプル媒体であってもよい。例えば、Pall(商標)CorporationからのPall Vivid Plasma Separationなどの混合繊維素エステル膜が使用されてもよい。膜はまた、リンパ液または血液全体を受け取るように設計されたLF1ガラス繊維膜(General Electric(商標)Companyによる販売)、または他のいくつかの媒体であってもよく、それらによって血液ポーションと血漿ポーションとが分離される。
【0024】
LF1ペーパーなどの細胞膜タイプの媒体(400)は、サンプルの異なる移動を、赤血球についてはより低速で引き起こし、その結果、血漿サンプルが画定されたチャネルを下るにつれて血漿サンプルの漸次分離がもたらされるような繊維構造を有している。繊維マトリックスを通じて赤血球から血漿を分離するLF1ペーパーは、血液細胞の低速での移動を引き起こすので、いくつかの実施形態では好ましいものである。しかし、液体または乾燥状態の血液のための他のタイプの分離膜が、媒体(400)に使用されてもよい。媒体(400)は、随意に、ヘパリン、EDTA、糖、または他の安定剤に前もって含浸することができる。
【0025】
血漿分離はまた、サイズによって赤血球を排除する非細胞膜ミクロ構造である媒体を介して、達成されてもよい。例えば、血漿分離は、薬剤を使用して赤血球を選択的に結合させることによって、達成または増強することができる。結合剤は、一般には、膜または他のミクロ構造上にコーティングされていてもよいが、チャネル中に堆積させることもできる。したがって、他のタイプのミクロ構造が媒体として機能し得ることが理解されるべきである。
【0026】
媒体(400)のチャネル部分はまた、収集サンプル上で、アッセイなどの試験を実施するために、様々な化学薬品でコーティングされていてもよい。
【0027】
図2は、同様の形状をしたチャネルを有する媒体(400)の例である。しかし、ここでは、(点線によって示されている通りの)破断ライン(406)が、個々の区画(408)を画定し、これに沿って媒体(400)が最終的に分裂させられてもよい。例えば、最初に収集した血液は、媒体(400)上で、分離され、安定化され、および乾燥されることが可能であるかもしれない。媒体(400)を遠隔の研究所に輸送するのに必要とされるなどの時間の後、媒体は、破断ラインに沿って分裂させられる。この例では、研究所は、処理用の、媒体(408)の5つ(5)の異なる区画(408)を有するだろう。もちろん、媒体(400)は、区画の数が5未満または5を超えるように、
図2に示されるものとは異なる数の破断ラインを有していてもよい。
【0028】
媒体(400)の異なる区画(408)は、異なる目的に資するものであってもよい。例えば、選択区画(408)は、その区画で収集されている細胞上で、アッセイなどの異なる試験を実施するために、異なる化学薬品でコーティングされていてもよい。したがって、単一の媒体(400)が、既定の区画(408)中で、複数の試験を実施するために、および/または複数の試薬を適用するために、使用されてもよい。
【0029】
他の構成では、異なる区画(408)は、異なるサイズの異なる細胞を処理するために、異なるフィルタリング特性を有していてもよい。
【0030】
図3は、別の例の媒体(400)であり、ここで、チャネル(401)は媒体(400)の長さにわたって伸びる長方形である。
【0031】
図4は、
図3の例と同様の媒体(400)であるが、複数の区画(408)を画定する破断ライン(406)を有している。
【0032】
図5は、2つの平行チャンネル(401-1)、(401-2)を画定する疎水性領域(402)を有する、例示的な媒体(400)である。
【0033】
図6は、異なる区画(408)を画定する破断ラインのみを有し、疎水性領域パターニング無しの、媒体(400)の実装である。
【0034】
図7は、
図6と同様の例を示すが、破断ライン(406)は、4つ(4)の区画(408)を画定するために、媒体(400)にわたって縦方向に走る。
【0035】
図8は、例示的な実施形態であり、ここで、破断ライン(406)が縦方向、およびチャネル(401)を横切る方向の両方に走る、例示的な実施形態である。ここで、例えば、媒体(400)の9つ(9)の区画が線引きされる。
【0036】
図9は、媒体(400)のさらに別の例であり、これは、チャネル(401)の端部に沿って、つまり、疎水性領域パターン(402)の端部で、端部の近くで、あるいは端部と等角で、形成されている破断ライン(406)を有している。
【0037】
この実施形態および他の実施形態では、媒体(400)はまた、疎水性領域(402)で部分的にまたは完全に形成されているハウジング(410)中に保持されている、側方流動ストリップであってもよい。破断ライン(406)は、側方流動ストリップの、そのような疎水性ハウジング(410)からの分離を可能にする。
【0038】
図10は、媒体(400)が、湾曲経路をたどる単一のチャネル(401)を含む例である。
【0039】
図11は、湾曲経路をたどる単一のチャネル(401)を有する
図10と同様の実装であるが、4つ(4)の区画(408)を画定する3つ(3)の破断ライン(406)を有する。区画のいくつか(408-1)、(408-2)、(408-3)は、2つ(2)の収集エリア(409)を含んでいる。
【0040】
図12の実施形態は、
図11と同様であるが、チャネル(401)の側面の特定の部分にのみ形成されている破断ライン(406)を有する。したがって、媒体(400)が破断ライン(406)に沿って分裂させられる時には、
図11の実施形態とは異なるサイズおよび形状の区画(408)がもたらされるだろう。
【0041】
図13は、
図12と同様の別の例であり、ここで、破断ラインはその全長に沿った湾曲チャネル(401)をたどる。
【0042】
図14は、別の構成であり、ここで、媒体(400)は、疎水性物質などの物質(402)でコーティングされている。疎水性物質(402)は、血液サンプルを、チャネル(401)中に形成されている8つの区画の中に導く。この実施形態では、チャネル(401)は、湾曲経路をたどってもよいが、他の経路も可能である。
図14はまた、破断ライン(406)が必ずしもチャネルの端部に走っていないことを示す。
【0043】
図15は、曲がりくねったチャネル(401)が媒体(400)の長さを走る例であり、曲がりくねったチャネルのいくつかの区画を画定する破断ライン(406)を有している。区画(408-1)および(408-2)は、異なる形状およびサイズを有していてもよい。他の実施形態のように、異なる区画が、様々な試薬でコーティングされていてもよい。
【0044】
したがって、疎水性領域は、チャネル(401)の流動経路の異なるタイプまたは形状を画定してもよい。示されている曲がりくねった経路または他のタイプの蛇行性経路などの、異なる形状と長さを有する経路は、媒体(400)を通るまたは媒体(400)に沿った流体の移動の速度を、調節および/または減速させる。流体サンプルの移動の速度を減速させることは、その後、結果として生じる毛細管作用の減速を介して、媒体が流体をより完全に吸収することを可能にしてもよい。
【0045】
【0046】
図17は、曲がりくねったチャネル(401)を有する破断ラインの別の構成である。
【0047】
図18の実施形態は、「三次元」実装であり、ここで、チャネルは1を超える層を占有する。この例では、疎水性領域(402)によって画定されるチャネル(401)は、最上層(421)で開始し、示される通り直線状であってもよく、または曲がりくねっていてもよく、または他の経路をたどってもよい。最上層(421)上のチャネル(401)は、流体が中間層(422)を通過し得る場所への経路を画定する。ここの中間層(422)は、ほぼ疎水性領域(402)であり、流体が底部層(423)へと通過することができる、選択された小エリア(408)またはビアのみを有する。底部層(423)は、その後、疎水性領域(402)によって境界される、(示されている通りの、直線状であってもよく、または曲がりくねっていてもよく、または他の経路をたどってもよい)経路(410)を画定してもよい。これらの層(421)、(422)、(423)の各々は、流体を導くために、異なる媒体物質で作られていてもよく、または異なる疎水性処理あるいは親水性処理を有していてもよい。チャネル(401)および(410)の異なるパターンを有するもの、追加的なビア(408)を有するもの、および3を超える層を有するものなどの、他の3次元構成が可能である。複数層の実施形態は、他の実施形態に対して記載されている通りの破断ラインを含んでいてもよい。
【0048】
図18はまた、サンプル収集ウェル(430)を画定するために使用され得ることがあり、当該サンプル収集ウェル(430)は、サンプルを、側方流動ストリップを提供する底部層(423)上に配置されたプレフィルタ(ビア(408)内に配置されているものなど)に導く。この構成はまた、サンプルが側方流動ストリップ(410)に導かれる前に、チャネル(400)または(408)のいずれかに含まれている試薬での、サンプルの前処理を可能にする。疎水性領域(402)は、これらの層と、サンプルから物理的に分離されている試薬を、意図されている順序で到達するように、維持する。
【0049】
図19は、本明細書に記載される通りの媒体(400)のいずれかを使用し得る、血液収集デバイス(100)の例である。しかし、媒体(400)を使用することができ、そして同じ原理の利点を享受することができる、他のタイプのデバイスが存在する。いくつか例示的なデバイスは、「Fluid Sample Collection Device」として2018年10月19日に出願された、同時係争中の米国特許出願第16/164,988に記載されており、その内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0050】
デバイス(100)は、流体サンプルポート(102)を支持しかつ格納する、2ピースのハウジング(101)を含む。ハウジング(101)は、第1のハウジング部(101-A)および第2のハウジング部(101-B)を含む。この図では、ハウジングは開位置にあり、2つのハウジング部(101-A)、(101-B)は互いに離間されており、その結果 サンプルポート(102)へのアクセスを提供している。サンプル収集ウェル(104)、およびサンプルポート(102)に隣接して位置する1以上の毛細管(105)が、図に部分的に確認できる。ハウジング中のウィンドウ(150)によって、ユーザーは、デバイス(100)内に収集および/または貯蔵されている過程における、流体サンプルの1以上のポーションの状態を確認できる。
【0051】
デバイス(100)は、最初は、
図18の通り、その開位置にあり、ウェル(104)へのアクセスを提供する。患者自身または医療専門家などのユーザーは、その後、指先端からなどの、血液サンプルを生成するために、ランセットを使用する。全血液の液滴が、その後、ウェル(104)またはサンプルポート(102)の他の部分の近く、上、隣に位置している、あるいはそれらと接触さえしている、その指で採取され、血液の漏出を最小限に抑える。
【0052】
血液は、その後、1以上の異なる方法で、最終的にデバイス(100)の残部の中に引き込まれる。1つの実施形態について以下に詳細に説明されるとおり、血流は最初に、サンプルポートに隣接する、1以上の収集毛細管(105)によって、毛細管作用を介して、ウェル(104)から流動する、および/または引き出される。毛細管は、血液がデバイス(100)の中に適切に引き込まれているのをユーザーが確認できるように、見た目に透明であってもよい。毛細管(105)は、随意に、サンプルのその後の安定化と保存のために、ヘパリンおよび/またはEDTAなどの試薬で前もってコーティングすることができる。毛細管(105)はまた、既知かつ既定の容量を有することができ、その場合、流入サンプルは精密に測定される。収集毛細管(105)は、その後、測定されたサンプルを、デバイスハウジング(101)内部の(本明細書に記載される媒体(400)のいずれかなどの)媒体に導く。
【0053】
患者自身または医療専門家であり得るユーザーは、その後、2つのハウジング部(101-A)、(101-B)を共に押すことによって、手動でデバイス(100)を閉じ、それによって、サンプルが媒体(400)上に配置される。
【0054】
図20は、デバイス(100)のコンポーネントに関する、より詳細な分解組立図である。
【0055】
背骨構造(203)は、ハウジング部(101-A)、(101-B)に対する支持部を提供し、ハウジング部が前後にスライドすること、そしてそれによってハウジングを開位置または閉位置に移動させることを可能にする。
【0056】
背骨(203)はまた、デバイス(100)の他のコンポーネントを支持する。例えば、背骨(203)は、サンプル収集ポート(102)、プランジャラック(202)、または畝状区画(230)に、乾燥剤タブレット(図示されず)を支持して、収集サンプルをさらに乾燥させるための場所を設けている。背骨(203)はまた、端部に歯(tine)を有し、それによってラチェット式閉鎖部(240)を提供し、それは、2つのハウジング部(101-A)、(101-B)が共に押された時に起動する。
【0057】
毛細管(204)は、インレー(inlay)(252)部中の長手方向の孔によって、適所に挿入され、そして保持されている。毛細管は、精密に画定された剛体管で形成されていてもよく、その場合、毛細管は測定機能をも果たす。毛細管(204)は、サンプル収集ポート(102)中の血液との、毛細管作用を通じた係合によって、血液の画定量を抽出する。インレー(252)は、背骨(203)の孔(221)に嵌合してもよい。毛細管(204)は、随意に、試薬、ヘパリン、EDTA、または他の物質で前もってコーティングすることができる。
【0058】
1以上の毛細管(204)はまた、既定量の液体試薬を貯蔵してもよい。そのような試薬は、その後、ハウジングが開位置から閉位置に移動される時に、血液サンプルと共にまたはそれと並行して分配されてもよい。しかし、他のタイプの試薬がまた、ハウジング内の貯蔵領域に位置していてもよい。貯蔵領域(図に指定されていない)は、固体の表面または基材などの第1のタイプの試薬、および液状保蔵チャンバである第2のタイプを保持してもよく、その各々は、デバイス(100)によって収集される血液サンプルの経路中に配置される。
【0059】
1つの構成では、1以上のプランジャ(202)が、毛細管(204)の内径としっかりと係合し、いかなる超過血液サンプルをも遮断する遮断部を作り出すと共に、測定されたサンプル容量をその後の下流処理工程へ押し出しもする。
【0060】
ベース(206)はまた、背骨(203)に嵌合して、血液収集膜(209)の形態の媒体(400)に、追加的な機械的支持部を提供してもよい。膜タイプの媒体は、それが研究所による処理のためにデバイス(101)から取り外される時に、膜(209)のハンドリングを補助する他のコンポーネントによって、適所に支持/保持されてもよい。
【0061】
特にこのデバイス(100)は、2つの媒体--収集薄(209)および免疫測定ストリップ(309)を含む。膜(209)およびストリップ(309)は、平行に配置されていてもよい。収集膜(209)は、いくつかの毛細管からの血液サンプルを受け取りかつ貯蔵し、そして、免疫測定(または他の試験)用ストリップ(309)は、他の毛細管から出る血液サンプルを受け取りかつ処理してもよい。
【0062】
図21は、複数層の膜で形成されている媒体(400)を有するデバイス(450)の分解組立図である。この場合、媒体(400)は、疎水性区画(402)を有する膜である第1の層(412)、および第1の層(412)の下に位置する側方流動ストリップである第2の層(416)を含む。疎水性区画(402)は、下に位置する側方流動ストリップ(416)のサンプルパッド(414)上で流体サンプルを導くための、チャネル(401)を作り出す。チャンネル(401)は、サンプルを、これらの膜を適所に保持するハウジング(図示されず)の中に導くために使用されてもよい。加えて、1以上の破断ライン(406)によって、チャネルを有する膜(412)から、側方流動ストリップ(416)に接触していないポーションをちぎり取ることができる。これにより、膜(412)のうちの、赤血球などの所望のものではない物質を含み得る全ての区画をハウジングから取り外すことなく、あるいは単にデバイス内に固定させておきながら、側方流動ストリップ(416)を取り外すことができる。いくつかの実施形態では、側方流動ストリップ(416)それ自体が、さらに複数のストリップまたは他の収集媒体(400)を含んでいてもよい。なおさらなる追加的な層を、試薬の提供または流体経路の指向の手段として、あるいは、他のコンポーネントを適所に保持するために、あるいは他の目的のために、追加することができる。
【0063】
図22は、疎水性領域(402)によって画定される複数の分岐(415)を含むチャネル(401)を有している、膜タイプの媒体(400)の区画を示す。各分岐(415)の端に、破断ライン(406)によって境界される円形状エリア(418)が存在し、これによって、分析用に、膜の円形エリア(418)を取り外すことができるようになる。これらの取り外し可能なポーションは、円以外の様々な形状であってもよく、そして、サンプルの望ましい容量を確実にするようなサイズに形成されていてもよい。代替的に、これらの穿孔エリア(418)は、取り外し可能な反応用ウェルとして機能してもよい。
【0064】
図23Aおよび23Bは、疎水性の原理を使用して、側方流動ストリップを提供する媒体(400)を画定する、別のデバイス(600)である。このデバイス(600)は、可動式のまたは取り外し可能なキャップ(601)、およびメインボディ(602)から成る。サンプル収集ポート(610)は、血液サンプルを収集するための場所を設けており、充填ウィンドウ(411)は、十分な量のサンプルがデバイス(600)の中に導入されているか否かについての可視的なフィードバックを提供し、そして、結果ウィンドウ(612)は、側方流動ストリップの結果エリアの視覚による確認を可能にする。
【0065】
この実施形態では、
(620)は、液体試薬リザーバであり、
(621)は、流体チャネルであり、当該流体チャネルは、デバイスを閉じるために一旦キャップがなされると、および/またはキャップが内側にスライドされると、液体試薬リザーバ(621)をサンプル収集ポートに接続し、
(622)は、デバイス中の空領域であり、デバイスが閉じている時には、サンプル収集ポートが当該空領域の中に移動し、
(623)は、ハウジングの液体試薬ポーションの中に延びる側方流動ストリップの下にある剛性支持部であり、
(624)は、上記の実施形態のいずれかに記載されている通りの、1以上の疎水性パターンおよび/または破断ラインを含む媒体(400)によって提供される、側方流動ストリップであり、
(625)は、側方流動ストリップの端部のサンプル吸収パッドであり、そして、
(626)は、乾燥剤タブレットである。
【0066】
したがって、上記に照らして、様々な変形および追加が、本発明の真の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施形態に対してなされ得ることが理解されるべきである。
【国際調査報告】