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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】電気化学セルにおける過充電保護
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/62 20060101AFI20221027BHJP
   H01M 50/411 20210101ALI20221027BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20221027BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20221027BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20221027BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20221027BHJP
   H01M 50/42 20210101ALI20221027BHJP
   H01M 50/429 20210101ALI20221027BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M50/411
H01M50/443 C
H01M50/46
H01M4/02 Z
H01M50/426
H01M50/42
H01M50/429
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514264
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(85)【翻訳文提出日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 US2020049691
(87)【国際公開番号】W WO2021046524
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】62/896,684
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511242269
【氏名又は名称】24エム・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】24M Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クサチ,ユキ
(72)【発明者】
【氏名】太田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジュンジェン
【テーマコード(参考)】
5H021
5H050
【Fターム(参考)】
5H021EE01
5H050AA03
5H050BA17
5H050DA07
5H050DA08
5H050DA09
5H050EA26
5H050EA27
5H050HA14
(57)【要約】
本明細書に記載の実施形態は、バッテリー材料に固有の特性を利用することによる電気化学セルにおける過充電保護のシステム及び方法に関する。過充電抑制体は、アノード及びカソードの少なくとも1つに配置され、且つ誘発条件が満たされるときにイオンの移動を抑制するように構成される。いくつかの実施形態では、誘発条件は、アノードとカソードとの間の電位差であり得る。いくつかの実施形態では、誘発条件は、アノード及び/又はカソードの温度であり得る。いくつかの実施形態では、過充電抑制体は、誘発条件が満たされるときにガスを生成するように構成されている、カソード及び/又はアノードに配置された化合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体は、誘発条件が満たされるときに液体電解質の一部を吸収し、且つ膨張するように構成されている、カソード及び/又はアノードに配置された複数の粒子を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルであって、
アノード集電体に配置されたアノードと、
カソード集電体に配置されたカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配置されたセパレーターと、
前記アノード及び前記カソードの少なくとも1つに配置され、且つ誘発条件が満たされるときにイオンの移動を抑制するように構成された過充電抑制体と
を含む電気化学セル。
【請求項2】
前記過充電抑制体は、前記カソードに配置された化合物を含み、前記化合物は、前記カソードの温度が所定の温度値以上であるときにガスを生成するように構成され、
前記ガスは、前記カソードと前記カソード集電体との間の電気的接触を抑制する、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項3】
前記化合物は、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、p-テルフェニル、ジフェニルエーテル、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、チオフェン、3-クロロチオフェン、フラン、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル及びエチレングリコールスルフィットの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の電気化学セル。
【請求項4】
前記過充電抑制体は、前記カソードに配置された複数の粒子を含み、前記複数の粒子は、前記カソードの温度が所定の温度値以上であるとき、前記カソードにおいて電解質溶液の一部を吸収し、且つ膨張し、及び前記カソード内のイオンの流路を抑制するように構成され、
前記複数の粒子は、前記カソードと前記カソード集電体との間の電気的接触を抑制する、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項5】
前記複数の粒子は、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリシロキサン及びカルボキシメチルセルロースの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の電気化学セル。
【請求項6】
前記過充電抑制体は、前記カソードに配置された化合物を含み、前記化合物は、前記アノードと前記カソードとの間の電位差が所定の電圧値以上であるときにガスを生成するように構成され、
前記ガスは、前記カソードと前記カソード集電体との間の電気的接触を抑制する、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項7】
前記化合物は、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、p-テルフェニル、ジフェニルエーテル、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、チオフェン、3-クロロチオフェン、フラン、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル及びエチレングリコールスルフィットの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の電気化学セル。
【請求項8】
前記過充電抑制体は、前記カソードに配置された複数の粒子を含み、前記複数の粒子は、前記アノードと前記カソードとの間の電位差が所定の電圧値以上であるとき、前記カソードにおいて電解質溶液の一部を吸収し、且つ膨張し、及び前記カソード内のイオンの流路を抑制するように構成され、
前記複数の粒子は、前記カソードと前記カソード集電体との間の電気的接触を抑制する、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項9】
前記過充電抑制体は、前記アノードに配置された化合物を含み、前記化合物は、前記アノードの温度が所定の温度値以上であるときにガスを生成するように構成され、
前記ガスは、前記アノードと前記アノード集電体との間の電気的接触を抑制する、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項10】
前記化合物は、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、p-テルフェニル、ジフェニルエーテル、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、チオフェン、3-クロロチオフェン、フラン、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル及びエチレングリコールスルフィットの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の電気化学セル。
【請求項11】
前記過充電抑制体は、前記アノードに配置された複数の粒子を含み、前記複数の粒子は、前記アノードの温度が所定の温度値以上であるとき、前記アノードにおいて電解質溶液の一部を吸収し、且つ膨張し、及び前記カソード内のイオンの流路を抑制するように構成され、
前記複数の粒子は、前記アノードと前記アノード集電体との間の電気的接触を抑制する、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項12】
前記カソードは、半固体である、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項13】
電気化学セルであって、
第1の集電体に配置された第1の電極材料と、第2の集電体に配置された第2の電極材料と、
前記第1の電極材料と前記第2の電極材料との間に配置されたセパレーターと
を含み、前記第1の電極材料は、半固体電極材料であり、前記半固体電極材料は、誘発条件が満たされるときにイオンの移動を遮断するように構成された過充電抑制体を含む、電気化学セル。
【請求項14】
前記過充電抑制体は、前記半固体電極材料に配置された化合物を含み、前記化合物は、前記半固体電極材料の温度が所定の温度値以上であるときにガスを生成するように構成され、
前記ガスは、前記半固体電極材料と前記第1の集電体又は前記第2の集電体との間の電気的接触を抑制する、請求項13に記載の電気化学セル。
【請求項15】
前記化合物は、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、p-テルフェニル、ジフェニルエーテル、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、チオフェン、3-クロロチオフェン、フラン、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル及びエチレングリコールスルフィットの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の電気化学セル。
【請求項16】
前記過充電抑制体は、前記半固体電極材料に配置された複数の粒子を含み、前記複数の粒子は、前記半固体電極材料の温度が所定の温度値以上であるとき、前記半固体電極材料において電解質溶液の一部を吸収し、且つ膨張し、及び前記半固体電極材料内のイオンの流路を抑制するように構成され、
前記複数の粒子は、前記半固体電極材料と前記第1の集電体又は前記第2の集電体との間の電気的接触を抑制する、請求項13に記載の電気化学セル。
【請求項17】
前記複数の粒子は、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリシロキサン及びカルボキシメチルセルロースの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の電気化学セル。
【請求項18】
前記過充電抑制体は、前記半固体電極材料に配置された化合物を含み、前記化合物は、前記第1の電極材料と前記第2の電極材料との間の電位差が所定の電圧値以上であるときにガスを生成するように構成され、
前記ガスは、前記半固体電極材料と前記第1の集電体又は前記第2の集電体との間の電気的接触を抑制する、請求項13に記載の電気化学セル。
【請求項19】
電気化学セルであって、
第1の集電体に配置された第1の電極であって、過充電抑制体を含む第1の電極と、
第2の集電体に配置された第2の電極と、
アノードとカソードとの間に配置されたセパレーターと
を含み、前記過充電抑制体は、前記第1の電極の温度が閾値温度を超えるとき及び/又は前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧が閾値電圧を超えるとき、前記第1の電極におけるイオンの移動を抑制する、電気化学セル。
【請求項20】
前記過充電抑制体は、前記第1の電極の温度が閾値温度以上であるとき及び/又は前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧が閾値電圧を超えるとき、ガスを生成するように構成された化合物を含み、
前記ガスは、前記カソードと前記カソード集電体との間の電気的接触を抑制する、請求項13に記載の電気化学セル。
【請求項21】
前記化合物は、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、p-テルフェニル、ジフェニルエーテル、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、チオフェン、3-クロロチオフェン、フラン、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル及びエチレングリコールスルフィットの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の電気化学セル。
【請求項22】
前記過充電抑制体は、前記第1の電極に配置された複数の粒子を含み、前記複数の粒子は、前記第1の電極の温度が閾値温度以上であるとき及び/又は前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧が閾値電圧を超えるとき、前記第1の電極において電解質溶液の一部を吸収し、且つ膨張し、及び前記第1の電極内のイオンの流路を抑制し、
前記複数の粒子は、前記第1の電極と前記第1の集電体との間の電気的接触を抑制する、請求項13に記載の電気化学セル。
【請求項23】
前記複数の粒子は、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリシロキサン及びカルボキシメチルセルロースの少なくとも1つを含む、請求項22に記載の電気化学セル。
【請求項24】
前記第1の電極は、半固体である、請求項19に記載の電気化学セル。
【請求項25】
電気化学セルであって、
アノード集電体に配置されたアノードと、
カソード集電体に配置されたカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配置されたセパレーターと、
誘発条件が満たされるときにイオンの移動を抑制するように構成された過充電抑制体と
を含み、前記過充電抑制体は、前記セパレーター上及び/又は前記セパレーター内に配置される、電気化学セル。
【請求項26】
前記過充電抑制体は、前記カソードに隣接する前記セパレーターの側に配置された化合物を含み、前記化合物は、前記カソードに隣接する前記セパレーターの前記側の温度が所定の温度値以上であるときにガスを生成するように構成され、
前記ガスは、前記セパレーターと前記カソードとの間の電気的接触を抑制する、請求項25に記載の電気化学セル。
【請求項27】
前記化合物は、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、p-テルフェニル、ジフェニルエーテル、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、チオフェン、3-クロロチオフェン、フラン、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル及びエチレングリコールスルフィットの少なくとも1つを含む、請求項26に記載の電気化学セル。
【請求項28】
前記過充電抑制体は、前記カソードに隣接する前記セパレーターの側に配置された複数の粒子を含み、前記複数の粒子は、前記カソードに隣接する前記セパレーターの前記側の温度が所定の温度値以上であるとき、前記セパレーターと前記カソードとの間の界面において電解質溶液の一部を吸収し、且つ膨張し、及び前記カソードと前記セパレーターとの間のイオンの流路を抑制するように構成され、
前記複数の粒子は、前記カソードと前記セパレーターとの間の電気的接触を抑制する、請求項25に記載の電気化学セル。
【請求項29】
前記複数の粒子は、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリシロキサン及びカルボキシメチルセルロースの少なくとも1つを含む、請求項28に記載の電気化学セル。
【請求項30】
前記過充電抑制体は、前記カソードに隣接する前記セパレーターの側に配置された化合物を含み、前記化合物は、前記アノードと前記カソードとの間の電位差が所定の電圧値以上であるときにガスを生成するように構成され、
前記ガスは、前記セパレーターと前記カソードとの間の電気的接触を抑制する、請求項25に記載の電気化学セル。
【請求項31】
前記化合物は、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、p-テルフェニル、ジフェニルエーテル、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、チオフェン、3-クロロチオフェン、フラン、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル及びエチレングリコールスルフィットの少なくとも1つを含む、請求項30に記載の電気化学セル。
【請求項32】
前記過充電抑制体は、前記カソードに隣接する前記セパレーターの側に配置された複数の粒子を含み、前記複数の粒子は、前記アノードと前記カソードとの間の電位差が所定の電圧値以上であるとき、前記セパレーターと前記カソードとの間の界面において電解質溶液の一部を吸収し、且つ膨張し、及び前記カソードと前記セパレーターとの間のイオンの流路を抑制し、及び前記カソードと前記セパレーターとの間のイオンの流路を抑制するように構成され、
前記複数の粒子は、前記カソードと前記セパレーターとの間の電気的接触を抑制する、請求項25に記載の電気化学セル。
【請求項33】
前記過充電抑制体は、前記アノードに隣接する前記セパレーターの側に配置された化合物を含み、前記化合物は、前記アノードに隣接する前記セパレーターの前記側の温度が所定の温度値以上であるときにガスを生成するように構成され、
前記ガスは、前記セパレーターと前記アノードとの間の電気的接触を抑制する、請求項25に記載の電気化学セル。
【請求項34】
前記化合物は、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、p-テルフェニル、ジフェニルエーテル、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、チオフェン、3-クロロチオフェン、フラン、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル及びエチレングリコールスルフィットの少なくとも1つを含む、請求項33に記載の電気化学セル。
【請求項35】
前記過充電抑制体は、前記アノードに隣接する前記セパレーターの側に配置された複数の粒子を含み、前記複数の粒子は、前記アノードに隣接する前記セパレーターの前記側の温度が所定の温度値以上であるとき、前記セパレーターと前記アノードとの間の界面において電解質溶液の一部を吸収し、且つ膨張し、及び前記アノードと前記セパレーターとの間のイオンの流路を抑制するように構成され、
前記複数の粒子は、前記アノードと前記セパレーターとの間の電気的接触を抑制する、請求項25に記載の電気化学セル。
【請求項36】
前記カソードは、半固体である、請求項25に記載の電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001] 本出願は、2019年9月6日に出願された「Overcharge Protection in Electrochemical Cells」という名称の米国仮特許出願第62/896,684号の優先権及び利益を主張し、その開示全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 意図した充電状態を超えてバッテリーを充電すると、これらに限定されないが、望ましくないガスの生成、過剰な発熱、火災の危険性及び電解質の気化など、様々な問題が発生する可能性がある。現在採用されている過充電保護方法は、多くの場合、外部機器を必要とし、実装に費用がかかり、全てのバッテリー構築に適応することができない。例えば、外部機器をポーチ型バッテリー構造に実装することは、困難である。永続的な課題は、電気化学セルの過充電保護のための組み込みの安全機構を作成することである。このようなセル又はセルのシステムは、バッテリーの使用可能な寿命に重大な危険性をもたらすことなく、バッテリーを安全に充電することを可能にし得る。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 本明細書に記載の実施形態は、バッテリー材料に固有の特性を利用することによる電気化学セルにおける過充電保護のシステム及び方法に関する。電気化学セルは、カソード集電体に配置されたカソードと、アノード集電体に配置されたアノードと、アノードとカソードとの間に配置されたセパレーターとを含む。過充電抑制体は、アノード及びカソードの少なくとも1つに配置され、且つ誘発条件が満たされるときにイオンの移動を抑制するように構成される。いくつかの実施形態では、誘発条件は、アノードとカソードとの間の電位差であり得る。いくつかの実施形態では、誘発条件は、アノード及び/又はカソードの温度であり得る。いくつかの実施形態では、過充電抑制体は、誘発条件が満たされるときにガスを生成するように構成されている、カソード及び/又はアノードに配置された化合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、生成されたガスは、カソードとカソード集電体との間の電気的接触を抑制することができる。いくつかの実施形態では、生成されたガスは、アノードとアノード集電体との間の電気的接触を抑制することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体は、誘発条件が満たされるときに液体電解質の一部を吸収し、且つ膨張するように構成されている、カソード及び/又はアノードに配置された複数の粒子を含むことができる。いくつかの実施形態では、膨張した粒子は、アノード及び/又はカソード内のイオンの流れを抑制することができ、且つ電極と集電体との間の電気的接触を抑制することができる。いくつかの実施形態では、カソード及び/又はアノードは、液体電解質における活性材料及び導電性材料の懸濁液を含む半固体電気活性材料を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】[0004]外部過充電保護装置を含む電気化学セルの概略図である。
図2A】[0005]電気活性種をコーティングするように構成された添加剤を含む電気化学セルの概略図である。
図2B】[0005]電気活性種をコーティングするように構成された添加剤を含む電気化学セルの概略図である。
図3】[0006]一実施形態による、過充電抑制体を含む電気化学セルの概略図である。
図4】[0007]一実施形態による、過充電抑制体を含む電気化学セルの概略図である。
図5A】[0008]一実施形態による電気化学セルの概略図である。
図5B】[0008]一実施形態による電気化学セルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0009] 本明細書に記載の実施形態は、一般に、過充電抑制体を有する電気化学セル、より具体的にはバッテリー材料に固有の特性を利用することによって電気化学セルの過充電保護を提供するシステム及び方法に関する。電気化学セルは、短絡及び過充電状態の影響を受けやすく、望ましくない又は予測できないエネルギーの放出を引き起こし、結果として生じる熱暴走を引き起こす可能性がある。過充電保護は、安全性と経済性との両方の観点から電気化学セルの重要な機能である。バッテリーの化学的性質及び構築のタイプに応じて、過充電は、様々な問題を引き起こす可能性がある。リチウムイオン電池などの密閉型バッテリーでは、過度の充電は、ガスの生成につながり、最終的に電気化学セルの破裂又は爆発につながる可能性がある。ベント型セルでは、過充電は、ガスの生成につながり、電解質が気化する可能性がある。電解質が過度に気化すると、電極材料が周囲の雰囲気に曝され、使用できなくなる可能性がある。過充電による発熱も、発火及び火災をより助長する環境を作り出す可能性がある。電気化学セルがその指定された電圧を超えて充電され、連続する各サイクルで電気化学セルの容量が妨げられる場合にも、不可逆的な副反応が発生する可能性がある。これにより、電気化学セルの使用可能な寿命が短くなり得、こうして交換費用が一層頻繁に必要になる。
【0006】
[0010] 過充電保護のいくつかの方法が現在商業的に利用されている。これらの方法では、多くの場合、測定されたセル電圧に基づいて充電電流を調整する外部過充電抑制体を使用する。図1は、現在の従来技術で一般的に使用されているように、過充電効果を制限することができる電気化学セル100の概略図を示す。電気化学セル100は、アノード集電体120に配置されたアノード110、カソード集電体140に配置されたカソード130及びアノード110とカソード130との間に配置されたセパレーター150を含む。電気化学セル100は、カソード130に接続された過充電抑制体155を更に含む。示されるように、過充電抑制体155は、外部過充電抑制体である。過充電抑制体155は、多くの場合、示されるように、カソード130若しくは代わりにアノード110又はカソード130とアノード110との両方に接続された配線及び/又は電気部品を備えた電流遮断装置である。過充電抑制体155は、回路の配置を介して、電気化学セル100の所定の電圧、温度及び/又は圧力での電気化学セル100の充電電流を抑制又は実質的に制限する。場合により、電流の減少は、段階的なプロセスであり得、この場合、充電電流は、最大充電電圧でゼロの電流に達するまで、最大充電電圧よりも低い最初の電圧でゆっくりと減少する。
【0007】
[0011] 電気化学セル100がポーチ(図示せず)に含まれる場合、外部回路を介して実装される過充電抑制体155を実装することは、困難である。密閉されたポーチに配線を追加すると、漏れの可能性が高くなる。過充電抑制体155は、機器の費用を増加させる可能性もある。多数の電気化学セル100と共に使用される場合、過充電抑制体155を構成する配線及び電気回路装置のアセンブリは、非常に意味をなし得る。これらの構成要素は、電気化学セル100の製造において費用がかかるだけでなく、誤動作する可能性があるか又は不適切に設置される可能性がある構成要素の数を増加させる可能性がある。これは、比較的高い割合で欠陥のある電気化学セル100をもたらす。
【0008】
[0012] 図2A~2Bは、現在の従来技術で一般的に使用されているように、過充電効果を制限することができる電気化学セル200の概略図を示す。電気化学セル200は、アノード集電体220に配置されたアノード210、カソード集電体240に配置されたカソード活性材料233を含むカソード230及びアノード210とカソード230との間に配置されたセパレーター250を含む。電気化学セル200は、カソード230に配置された過充電抑制体255を更に含む。過充電抑制体255は、図2Aに示されるように、多くの場合、バインダー粒子の形態である。電気化学セル200で熱が発生すると、バインダー粒子は、カソード活性材料233の表面で重合及び凝集する。この凝集は、カソード活性材料233の粒子間のイオンの流れを抑制する。この重合及び凝集は、アノード210において同様に起こり得る。この手法は、過充電による温度上昇を効果的に制限できるが、効果的に重合及び凝集できるバインダー材料は、高価である。更に、重合及び凝集の反転は、困難である可能性があり、バインダー材料の有効性は、電気化学セル200の寿命を通して低下する可能性がある。従って、ポーチ型セルで使用でき、電気化学セルの劣化に寄与しない安価で効果的な過充電保護機構が必要である。
【0009】
[0013] 本明細書に記載の実施形態は、一般に、過充電抑制体を有する電気化学セル、より具体的にはバッテリー材料に固有の特性を利用することによって電気化学セルの過充電保護を提供するシステム及び方法に関する。図3は、一実施形態による電気化学セル300の概略図である。電気化学セル300は、アノード集電体320に配置されたアノード310、カソード集電体340に配置されたカソード330及びアノード310とカソード330との間に配置されたセパレーター350を含む。電気化学セル300は、アノード310、カソード330、アノード310及びカソード330の両方、セパレーター350、アノード310に隣接するセパレーター350の側、カソード330に隣接するセパレーター350の側又はこれらの任意の組み合わせで配置された過充電抑制体355を更に含む。いくつかの実施形態では、過充電抑制体355は、アノード310とアノード集電体320との間の界面に配置することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体355は、アノード310とセパレーター350との間の界面に配置することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体355は、カソード330とカソード集電体340との間の界面に配置することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体355は、カソード330とセパレーター350との間の界面に配置することができる。過充電抑制体355は、電気化学セル300において誘発条件が満たされるとき、電荷移動防止機構を介して電荷移動を防止するように構成される。
【0010】
[0014] いくつかの実施形態では、アノード310及び/又はカソード330は、半固体電極であり得る。従来の電極と比較して、半固体電極は、(i)半固体電極の屈曲度が低下し、電子導電性が高くなるため、より厚く(例えば、約250μmより厚く、最大で約2,000μm又は更にそれを超えて)作製することができ、(ii)活性材料の充填量をより大きくして作製することができ、(iii)より少ない機器を使用する簡素化された製造プロセスで作製することができ、及び(iv)理論上の充電容量のかなりの部分を維持しながら、広範囲のCレート間で動作させることができる。これらの比較的厚い半固体電極は、活性成分に対して不活性成分の体積、質量及び費用の寄与を減少させ、これにより半固体電極で作られたバッテリーの商業的魅力を高める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の半固体電極は、バインダーがなく、及び/又は従来のバッテリー製造で使用されるバインダーを使用しない。代わりに、従来の電極においてバインダーが通常占める電極の体積は、ここで、以下のように占められる:1)屈曲度を低下させ、イオンの拡散に利用できる塩の総量を増やす効果があり、これにより高速で使用した場合の厚い従来の電極に典型的な塩の枯渇効果に対抗する、電解質、2)バッテリーの充電容量を高める効果がある活性材料、又は3)電極の電子導電性を高める効果があり、これにより厚い従来の電極の高い内部インピーダンスに対抗する、導電性添加剤。本明細書に記載の半固体電極の屈曲度の低下及び電子導電性の増加は、半固体電極から形成された電気化学セルの優れた速度能力及び充電容量をもたらす。
【0011】
[0015] 本明細書に記載の半固体電極は、従来の電極よりも実質的に厚く作製することができるため、不活性材料(即ち集電体及びセパレーター)に対する活性材料(即ち半固体カソード及び/又はアノード)の比は、従来の電極を含む電気化学セルスタックから形成される同様のバッテリーと比較して、半固体電極を含む電気化学セルスタックから形成されるバッテリーにおいてはるかに高くなり得る。これは、本明細書に記載の半固体電極を含むバッテリーの全体的な充電容量及びエネルギー密度を実質的に増加させる。生成されたガスは、バインダー粒子が電極内のガスの移動を抑制することなく電極/集電体の界面に移動できるため、半固体のバインダーのない電極の使用は、過充電保護機構の組み込みにも有益であり得る。
【0012】
[0016] いくつかの実施形態では、本明細書に記載の電極材料は、流動性の半固体の又は凝縮した液体組成物であり得る。流動性の半固体電極は、電気化学的に活性な材料(アノードの又はカソードの粒子又は微粒子)の懸濁液及び任意選択で非水性液体電解質における電子導電性材料(例えば、炭素)を含むことができる。別の言い方をすれば、活性電極粒子と導電性粒子とは、液体電解質に共懸濁されて半固体電極を生成する。半固体の及び/又はバインダーのない電極材料を含む電気化学セルの例は、2015年3月31日に登録された「Semi-solid Electrodes Having High Rate Capability」という名称の米国特許第8,993,159号(「159特許」)に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0013】
[0017] 本明細書で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈が明確にそうでないと述べていない限り、複数への指示対象を含む。従って、例えば、「部材」という用語は、単一の部材又は部材の組み合わせを意味することを意図し、「材料」は、1つ以上の材料又はこれらの組み合わせを意味することを意図する。
【0014】
[0018] 「円筒形」、「線形」及び/又は他の幾何学的関係に関連して使用される場合の「実質的に」という用語は、そのように定義された構造が名目上円筒形、線形などであることを伝えることを意図する。一例として、「実質的に線形」であると説明される支持部材の部分は、部分の線形性が望ましいが、「実質的に線形」の部分でいくらかの非線形性が生じ得ることを伝えることを意図する。このような非線形性は、製造公差又は他の実際的な考慮事項(例えば、支持部材に加えられる圧力又は力など)に起因し得る。従って、「実質的に」という用語によって修飾された幾何学的構造は、述べられた幾何学的構造のプラス又はマイナス5%の許容範囲のこのような幾何学的特性を含む。例えば、「実質的に線形」の部分は、線形であることのプラス又はマイナス5%以内にある軸又は中心線を定義する部分である。
【0015】
[0019] 本明細書で使用される場合、「組」及び「複数」という用語は、複数の特徴又は複数の部分を有する単一の特徴を指すことができる。例えば、電極の組を指す場合、この電極の組は、複数の部分を有する1つの電極と見なすことができるか、又はこの電極の組は、複数の別個の電極と見なすことができる。更に、例えば、複数の電気化学セルを指す場合、この複数の電気化学セルは、複数の別個の電気化学セル又は複数の部分を有する1つの電気化学セルと見なすことができる。従って、部分の組又は複数の部分は、互いに連続的又は不連続的のいずれかである複数の部分を含み得る。複数の粒子又は複数の材料は、別々に作製され、後に一緒に結合される(例えば、混合、接着剤又は任意の適切な方法を介して)複数の項目から製造することもできる。
【0016】
[0020] 本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、一般に、記載された値のプラス又はマイナス10%を意味し、例えば、約250μmは、225μm~275μmを含み、約1,000μmは、900μm~1,100μmを含む。
【0017】
[0021] 本明細書で使用される場合、「半固体」という用語は、例えば、粒子懸濁液、スラリー、コロイド懸濁液、エマルジョン、ゲル又はミセルなど、液相と固相との混合物である材料を指す。
【0018】
[0022] 本明細書で使用される場合、「従来のセパレーター」という用語は、電荷を運ぶイオンが通過することを可能にしながら、アノードとカソードとの間の電気的絶縁を提供するイオン透過性の膜、フィルム又は層を意味する。従来のセパレーターは、アノードとカソードとの化学的及び/又は流体的絶縁を提供しない。
【0019】
[0023] リチウムセルの典型的な集電体には、シート若しくはメッシュ又はこれらの任意の組み合わせの形態において、負の集電体における銅、アルミニウム又はチタン及び正の集電体におけるアルミニウムが含まれる。集電体材料は、電気化学セル300の正極及び負極の動作電位で安定するように選択することができる。例えば、非水性リチウムシステムでは、カソード集電体340は、アルミニウム又はLi/Li+に対して2.5~5.0Vの動作電位で電気化学的に溶解しない導電性材料でコーティングされたアルミニウムを含むことができる。このような材料には、白金、金、ニッケル、酸化バナジウムなどの導電性金属酸化物及び炭素が含まれる。アノード集電体320は、リチウム、炭素及び/又は別の導体に配置されたこのような材料を含むコーティングと合金又は金属間化合物を形成しない銅又は他の金属を含むことができる。
【0020】
[0024] 上記のように、過充電抑制体355は、特定の条件(即ち誘発条件)が満たされるときに電気化学セル300の電荷移動を防止するように構成及び/又は配合される。いくつかの実施形態では、過充電抑制体355を活性化する誘発条件は、アノード310とカソード330との間の所定の電位差値(即ちセル電圧)であり得る。電気化学セル300の充電中、電気化学セル300において熱が発生する。過充電は、過度の熱発生につながる可能性があり、これによりアノード310及び/又はカソード330が所定の温度(即ち誘発条件)に達するか又は超えるまで電気化学セル300の温度を上昇させる。いくつかの実施形態では、誘発条件は、電気化学セル300のセル電圧及び温度の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、酸化反応は、過充電抑制体355を誘発することができる。いくつかの実施形態では、還元反応は、過充電抑制体355を誘発することができる。
【0021】
[0025] 過充電抑制体355は、1つ以上の電荷移動防止機構を介して電荷移動を防止することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体355は、他の電極材料(例えば、活性材料、導電性添加剤、電解質など)と組み合わされた化合物又は複数の化合物であり得、それにより、過充電抑制体355は、誘発条件が満たされるときにガスを生成する。生成されたガスは、電極と集電体との間の電気的接触を制限又は実質的に制限するために、電極と集電体との間の界面(即ちカソード330とカソード集電体340との間の界面及び/又はアノード310とアノード集電体320との間の界面)に移動し、その近くに集まることができる。いくつかの実施形態では、生成されたガスは、電極とセパレーター350との間の界面(即ちアノード310とセパレーター350との間の界面及び/又はカソード330とセパレーター350との間の界面)に移動し、その近くに集まることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のバインダーのない半固体電極材料における過充電抑制体355の使用は、生成されたガスが電極と集電体との間の界面に向かって自由に移動して、電極と電極集電体との間の電気的接続を遮断することができるため、戦略的利点を提供し得る。換言すれば、バインダーがないため、生成されたガスが電極内を移動する際の屈曲度が低くなる。更に、電気化学セル300の垂直の配向は、重力の影響及び生成されたガスの密度が電極における他の材料よりも低いため、電極と集電体との間の界面へのガスの移動において戦略的利点となり得る。非混和性ガスは、電極内のスラリー材料に対して上方に移動することができる。集電体が電極の上にある場合、非混和性ガスが電極と集電体との間の界面に沈降し、これにより電極と集電体との間の電気的接触を遮断することができる。
【0022】
[0026] いくつかの実施形態では、セル電圧が所定のカットオフ電圧に近づくと、過充電抑制体355を構成する化合物又は複数の化合物は、電極において1つ以上の酸化反応を受けることができる。酸化反応は、電極と集電体との間の界面に移動するガスを生成することができる。酸化反応は、セル電圧が初期酸化電圧に達したときに開始することができる。初期酸化電圧でガスの泡が電極で形成され始める。いくつかの実施形態では、初期酸化電圧で生成されたガスは、電極と集電体との間の電気的接触を抑制するために十分ではない。換言すれば、初期酸化電圧では、セル電圧は、依然としてカットオフ電圧に達しておらず、電気化学セル300は、充電を継続することができる。セル電圧が初期酸化電圧よりも高い値まで上昇し続けると、より多くのガスが生成される。十分な電圧では、カットオフ電圧に達したとき、電極と集電体との間の電気的接触を抑制するために十分なガスが生成される。いくつかの実施形態では、カットオフ電圧は、全ての値とその間の範囲とを含めて約0.1V、約0.2V、約0.3V、約0.4V、約0.5V、約0.6V、約0.7V、約0.8V、約0.9V、約1V、約1.1V、約1.2V、約1.3V、約1.4V、約1.5V、約1.6V、約1.7V、約1.8V、約1.9V又は約2.0Vだけ初期酸化電圧よりも高いことができる。
【0023】
[0027] いくつかの実施形態では、電気化学セル300の温度が所定のカットオフ温度に近づくと、過充電抑制体355を構成する化合物又は複数の化合物は、電極において1つ以上の酸化反応を受けることができる。酸化反応は、電極と集電体との間の界面に移動するガスを生成することができる。セル温度が初期酸化温度に達すると、酸化反応が開始することができる。初期酸化温度でガスの泡が電極で形成され始める。いくつかの実施形態では、初期酸化温度で生成されたガスは、電極と集電体との間の電気的接触を抑制するために十分ではない。換言すれば、初期酸化温度では、電気化学セル300の温度は、依然としてカットオフ温度に達しておらず、電気化学セル300は、充電を継続することができる。セル温度が初期酸化温度よりも高い値まで上昇し続けると、より多くのガスが生成される。十分な温度では、カットオフ温度に達したとき、電極と集電体との間の電気的接触を抑制するために十分なガスが生成される。いくつかの実施形態では、カットオフ温度は、全ての値とその間の範囲とを含めて約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃又は約70℃だけ初期酸化温度よりも高いことができる。
【0024】
[0028] いくつかの実施形態では、過充電抑制体355は、所定の温度範囲で酸化する化学物質又は複数の化学物質であり得る。特定のセル電圧によって誘発される化学物質と同様に、これらの生成されたガスは、電極と集電体との間の界面に移動することができる。これは、更なる充電を抑制し、電気化学セル300の温度上昇を制限することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体355は、電気化学セル300の温度を約80℃未満、約75℃未満、約70℃未満、約65℃未満、約60℃未満、約55℃未満、約50℃未満、約45℃未満、約40℃未満、約35℃未満、約30℃未満又は約25℃未満に制限することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体355は、電気化学セル300の温度と周囲温度との間の差を約50℃未満、約45℃未満、約40℃未満、約35℃未満、約30℃未満、約25℃未満、約20℃未満、約15℃未満、約10℃未満、約9℃未満、約8℃未満、約7℃未満、約6℃未満又は約5℃未満に制限することができる。
【0025】
[0029] いくつかの実施形態では、過充電抑制体355は、誘発条件が満たされるときにカソード330及び/又はアノード310において液体電解質を吸収し、且つ膨張する、カソード330及び/又はアノード310に懸濁された複数の粒子を含むことができる。いくつかの実施形態では、膨張した粒子は、それらが他の電極材料を押して、電極又は複数の電極におけるイオンの流れを抑制又は完全に遮断するサイズに成長することができる。いくつかの実施形態では、膨張した粒子は、電極内のイオンの拡散を制限することができる。いくつかの実施形態では、膨張した粒子は、アノード310とセパレーター350との間の界面でのイオンの拡散及び/又は電子の移動を制限することができる。いくつかの実施形態では、膨張した粒子は、カソード330とセパレーター350との間の界面でのイオンの拡散及び/又は電子の移動を制限することができる。イオンの流れ及び/又は拡散の抑制は、電気化学セル300の更なる充電を抑制又は完全に遮断することができる。いくつかの実施形態では、ガス生成に関して上記で説明したように、電気化学セル300の初期酸化電圧及び/又は温度は、粒子に液体電解質を吸収させて膨張させる誘発条件となり得る。いくつかの実施形態では、膨張した粒子は、電気化学セル300での酸化及び/又は熱生成を誘発することができ、これにより過充電抑制体355を更に活性化することができる前述の誘発を提供する。いくつかの実施形態では、粒子を電極材料と混合することができる。いくつかの実施形態では、粒子は、セパレーター350の近くに配置することができる。いくつかの実施形態では、粒子は、セパレーター350の表面に配置することができる。いくつかの実施形態では、粒子は、アノード310に隣接するセパレーター350の表面に配置することができる。いくつかの実施形態では、粒子は、カソード330に隣接するセパレーターの表面に配置することができる。いくつかの実施形態では、粒子は、セパレーター350(即ちセパレーター350の細孔)に配置することができる。
【0026】
[0030] いくつかの実施形態では、電気化学セル300は、ポーチ(図示せず)に配置することができる。過充電抑制体355は、外部配線又は回路を使用せずに実装することができるため、外部過充電抑制体と比較した場合、ポーチにおける漏れの可能性が低い。いくつかの実施形態では、電気化学セル300は、電気化学セル300が近くの電気化学セルから電気的に絶縁されるようにポーチに配置された単一の電気化学セルであり得る。電気化学セル300及び近くの電気化学セルの電気的絶縁は、過充電抑制体355を誘発する条件を複数の電気化学セルに伝播するのではなく、過充電抑制体355を誘発する条件(例えば、温度上昇)を単一の電気化学セルに局所化することを促進し得る。
【0027】
[0031] いくつかの実施形態では、過充電抑制体355は、前述の方法及び機構の任意の組み合わせを含むことができる。例えば、過充電抑制体355は、所定の温度で液体電解質を吸収する粒子及び所定の温度でガスを生成する、電極における溶質を含むことができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体355は、カソード330にあり得る。いくつかの実施形態では、過充電抑制体355は、アノード310にあり得る。いくつかの実施形態では、過充電抑制体は、アノード310及びカソード330の両方にあり得る。
【0028】
[0032] 図4は、一実施形態による電気化学セル400の概略図である。電気化学セル400は、アノード集電体420に配置されたアノード410、カソード集電体440に配置されたカソード活性材料433を含むカソード430及びアノード410とカソード430との間に配置されたセパレーター450を含む。示されるように、電気化学セル400は、カソード430に配置された過充電抑制体455を更に含むが、過充電抑制体455は、代わりに、アノード410又はアノード410とカソード430との両方に配置することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体455は、セパレーター450に配置することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体455は、セパレーター450とアノード410との間の界面に配置することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体455は、セパレーター450とカソード430との間の界面に配置することができる。過充電抑制体455は、電気化学セル400において誘発条件が満たされるときにガスを生成する1つ以上の化合物を含む。図3を参照して上で説明したように、誘発条件は、電気化学セル400の所定の温度及び/又はアノード410とカソード430との間の所定の電位差(即ちセル電圧)であり得る。いくつかの実施形態では、過充電抑制体455を誘発する所定のセル電圧は、電気化学セル400で使用されるバッテリーの化学的性質に依存し得る。過充電抑制体455として使用される化合物又は複数の化合物は、化合物又は複数の化合物が酸化する電位に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体455は、電極の表面で酸化反応を受けてガスの泡を生成することができる。ガスの泡は、電極と集電体との間の界面に移動し、これにより電極と集電体との間の電気的接続を切断することができる。
【0029】
[0033] いくつかの実施形態では、過充電抑制体455は、電気化学セル400又はその一部が、全ての値とその間の範囲とを含めて約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃又は約100℃の温度に達するか又はそれを超えると、ガスを生成し、電極と集電体との間の電気的接続を抑制することができる。
【0030】
[0034] いくつかの実施形態では、過充電抑制体455は、電気化学セル400又はその一部が、全ての値とその間の範囲とを含めて約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃又は約100℃の温度に達するか又はそれを超えると、ガスを生成し、セパレーター450間の電気的接続を抑制することができる。
【0031】
[0035] いくつかの実施形態では、過充電抑制体455は、セル電圧が、全ての値とその間の範囲とを含めて約12V、約11V、約10V、約9V、約8V、約7V、約6V、約5V、約4.9V、約4.8V、約4.7V、約4.6V、約4.5V、約4.4V、約4.3V、約4.2V、約4.1V、約4V、約3.9V、約3.8V、約3.7V、約3.6V、約3.5V、約3.4V、約3.3V、約3.2V、約3.1V、約3V、約2.9V、約2.8V、約2.7V、約2.6V、約2.5V、約2V、約1.5V又は約1Vを超えないようにセル電圧を制限することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体455として使用される化合物又は複数の化合物は、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、p-テルフェニル、ジフェニルエーテル、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、チオフェン、3-クロロチオフェン、フラン、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、エチレングリコールスルフィット、リン酸トリス(ヘキサフルオロイソプロピル)及びこれらの組み合わせを含み得る。
【0032】
[0036] 図5A~5Bは、一実施形態による電気化学セル500の概略図である。電気化学セル500は、アノード集電体520に配置されたアノード510、カソード集電体540に配置されたカソード活性材料533を含むカソード530及びアノード510とカソード530との間に配置されたセパレーター550を含む。示されるように、電気化学セル500は、カソード530に配置された過充電抑制体555を更に含む。いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、代わりに、アノード510又はアノード510とカソード530との両方に配置することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、セパレーター550に配置することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、セパレーター550とアノード510との間の界面に配置することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、セパレーター550とカソード530との間の界面に配置することができる。過充電抑制体555は、電気化学セル500において誘発条件が満たされるときに液体電解質を吸収し、且つ膨張する複数の粒子を含む。これらの膨張した粒子(図5Bを参照されたい)は、電極内のイオンの拡散流路を遮断することができる。図3及び図4を参照して上で説明したように、誘発条件は、電気化学セル500の所定の温度及び/又はアノード510とカソード530との間の所定の電位差(即ちセル電圧)であり得る。いくつかの実施形態では、電気化学セル500における発熱は、過充電抑制体555を誘発することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体555を含む電極は、半固体電極(即ち粒子懸濁液、スラリー、コロイド懸濁液、エマルジョン、ゲル又はミセル)を含む。いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、電気化学セル500又はその一部が所定の温度に達するか又はそれを超えると、半固体電極の液体電解質の一部を吸収することができる。
【0033】
[0037] いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、所定の電圧で熱を発生する材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、所定の電圧で熱を発生する材料に埋め込まれるか又はカプセル化され得る。この発生した熱は、過充電抑制体555を構成する粒子における液体電解質の吸収を促進し、粒子を膨張させることができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、電極材料に配置することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、セパレーター530の近くにあり得る。いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、セパレーター530の表面に配置することができる。
【0034】
[0038] いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、初期膨張電圧で膨張し始める粒子を含むことができる。いくつかの実施形態では、粒子は、電気化学セル500の充電を実質的に停止するために初期膨張電圧で十分に大きくない。換言すれば、初期膨張電圧では、セル電圧は、依然としてカットオフ電圧に達しておらず、電気化学セル500は、充電を継続することができる。いくつかの実施形態では、カットオフ電圧は、全ての値とその間の範囲とを含めて0.1V、約0.2V、約0.3V、約0.4V、約0.5V、約0.6V、約0.7V、約0.8V、約0.9V、約1V、約1.1V、約1.2V、約1.3V、約1.4V、約1.5V、約1.6V、約1.7V、約1.8V、約1.9V又は約2.0Vだけ初期膨張電圧よりも高いことができる。
【0035】
[0039] いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、初期膨張温度で膨張し始める粒子を含むことができる。いくつかの実施形態では、粒子は、電気化学セル500の充電を実質的に停止するために初期膨張温度で十分に大きくない。換言すれば、初期膨張温度では、セル電圧は、依然としてカットオフ温度に達しておらず、電気化学セル500は、充電を継続することができる。いくつかの実施形態では、カットオフ温度は、全ての値とその間の範囲とを含めて約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃又は約70℃だけ初期膨張温度よりも高いことができる。
【0036】
[0040] いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、初期膨張温度での第1の体積からカットオフ膨張温度での第2の体積まで膨張する粒子を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の体積は、第1の体積より少なくとも約1.1、少なくとも約1.2、少なくとも約1.3、少なくとも約1.4、少なくとも約1.5、少なくとも約1.6、少なくとも約1.7、少なくとも約1.8、少なくとも約1.9、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80又は少なくとも約90の倍数で大きいことができる。いくつかの実施形態では、第2の体積は、第1の体積より100以下、約90以下、約80以下、約70以下、約60以下、約50以下、約40以下、約30以下、約20以下、約10以下、約9以下、約8以下、約7以下、約6以下、約5以下、約4以下、約3以下、約2以下、約1.9以下、約1.8以下、約1.7以下、約1.6以下、約1.5以下、約1.4以下、約1.3以下又は約1.2以下の倍数で大きいことができる。全ての値とその間の範囲とを含めて上記の膨張倍数の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約1.1~約100以下又は少なくとも約2~約4以下)。いくつかの実施形態では、第2の体積は、第1の体積より約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90又は約100の倍数で大きいことができる。
【0037】
[0041] 半固体のバインダーのない電極の使用は、過充電抑制体555を電気化学セル500に組み込む際にも有益であり得る。いくつかの実施形態では、過充電抑制体555に含まれる膨張した粒子は、電極内の活性材料を押して動かして、電極内の電子伝導経路を破壊することができる。この機構は、従来の電極の構成よりもはるかに効果的に半固体のバインダーのない電極の構成で機能することができる。
【0038】
[0042] いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、電気化学セル500又はその一部が、全ての値とその間の範囲とを含めて約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃又は約100℃の温度に達するか又はそれを超えると、液体電解質を吸収することができる。
【0039】
[0043] いくつかの実施形態では、過充電抑制体555は、セル電圧が、全ての値とその間の範囲とを含めて約12V、約11V、約10V、約9V、約8V、約7V、約6V、約5V、約4.9V、約4.8V、約4.7V、約4.6V、約4.5V、約4.4V、約4.3V、約4.2V、約4.1V、約4V、約3.9V、約3.8V、約3.7V、約3.6V、約3.5V、約3.4V、約3.3V、約3.2V、約3.1V、約3V、約2.9V、約2.8V、約2.7V、約2.6V、約2.5V、約2V、約1.5V又は約1Vを超えないようにセル電圧を制限することができる。いくつかの実施形態では、過充電抑制体555として使用される化合物又は複数の化合物は、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリシロキサン、カルボキシメチルセルロース及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0040】
[0044] いくつかの実施形態では、図4及び図5を参照して上で説明したように、過充電抑制体455/555は、過充電抑制体455/555が所定のセル電圧でガスを生成するように、集電体をコーティングする炭素の層に配置することができる。このガスは、半固体電極材料を集電体から押しのけ、集電体と電極との間の電気的接触を遮断することができる。
【0041】
[0045] 本明細書に記載のいくつかの実施形態及び/又は方法は、ソフトウェア(ハードウェア上で実行される)、ハードウェア又はこれらの組み合わせによって実行することができる。ハードウェアのモジュールは、例えば、汎用のプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)及び/又は特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。ソフトウェアのモジュール(ハードウェア上で実行される)は、C、C++、Java(商標)、Ruby、Visual Basic(商標)及び/又は他のオブジェクト指向、手続き型又は他のプログラミング言語及び開発ツールを含む様々なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表現することができる。コンピュータコードの例には、マイクロコード又はマイクロ命令、コンパイラによって作成されるような機械命令、ウェブサービスの作成に使用されるコード及び翻訳機を使用するコンピュータによって実行される高レベルの命令を含むファイルが含まれるが、これらに限定されない。例えば、実施形態は、必須プログラミング言語(例えば、C、Fortranなど)、機能プログラミング言語(Haskell、Erlangなど)、論理プログラミング言語(例えば、Prolog)、オブジェクト指向プログラミング言語(例えば、Java、C++など)又は他の適切なプログラミング言語及び/又は開発ツールを使用して実施することができる。コンピュータコードの更なる例には、制御信号、暗号化されたコード及び圧縮されたコードが含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
[0046] 様々な概念を1つ以上の方法として具体化することができ、その中の少なくとも1つの例が提供されている。方法の一部として実行される行為は、任意の適切な方法で順序付けられ得る。従って、例示的な実施形態において連続的な行為として示されているとしても、例示と異なる順序で行為が実施される実施形態を構築することができ、これは、いくつかの行為を同時に実施することを含み得る。換言すれば、このような特徴は、必ずしも特定の実行順序に限定されなくてもよく、むしろ連続的、非同期的、同時に、並行して、共に、同期的に及び/又は本開示と一致する様式などで実行され得る任意の数のスレッド、プロセス、サービス、サーバーなどであり得ることが理解されるべきである。従って、これらの特徴のいくつかは、それらが単一の実施形態に同時に存在することができない点で相互に矛盾し得る。同様に、いくつかの特徴は、革新の1つの態様に適用でき、他の態様に適用できない。
【0043】
[0047] 更に、本開示は、ここで説明されていない他の革新を含み得る。本出願人は、このような革新を具体化する権利、追加の出願、継続、一部継続、分割等を申請する権利を含む、このような革新における全ての権利を保有する。従って、本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、論理的、運用的、組織的、構造的、トポロジー的及び/又は他の態様は、実施形態又は実施形態の均等物に対する限定によって定義されるような本開示に対する限定と見なされるべきではないことを理解されたい。個人及び/又は企業ユーザーの特定の要望及び/又は特性、データベース構成及び/又は関係モデル、データタイプ、データ送信及び/又はネットワークフレームワーク、構文構造などに応じて、本明細書に開示される技術の様々な実施形態は、本明細書に記載されるような大幅な柔軟性及びオーダーメイドを可能にする様式で実施され得る。
【0044】
[0048] 本明細書で定義及び使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文献の定義及び/又は定義された用語の通常の意味に優先するものと理解されるべきである。
【0045】
[0049] 本明細書で使用される場合、特定の実施形態では、数値の前にある場合の「約」又は「およそ」という用語は、値のプラス又はマイナス10%の範囲を示す。値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、各介在値は、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限及び下限と、任意の他の記載された値又はその記載された範囲の介在値との間で本開示に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限を独立してより小さい範囲に含め得ることも、記載された範囲で任意の特に除外された限定を条件として本開示に包含される。記載された範囲が上限及び下限の一方又は両方を含む場合、これらの含まれる上限及び下限のいずれか又は両方を除外する範囲も本開示に含まれる。
【0046】
[0050] 本明細書及び実施形態において本明細書で使用される場合、不定冠詞「1つ(a)」及び「1つ(an)」は、明確に反対に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0047】
[0051] 本明細書及び実施形態において本明細書で使用される場合、「及び/又は」という句は、「いずれか又は両方」のそのように結合した要素、即ち場合により結合して存在し、他の場合に離接的に存在する要素を意味するものと理解されるべきである。「及び/又は」で列挙された複数の要素は、同じ様式で解釈する必要があり、即ちそのように結合された要素の「1つ以上」である。具体的に特定される要素に関連するかどうかにかかわらず、他の要素は、任意選択で、「及び/又は」の句により明確に特定された要素以外に存在し得る。従って、非限定例として、例えば、「含む」などのオープンエンド表現と共に使用される場合の「A及び/又はB」への言及は、1つの実施形態においてAのみ(任意選択でB以外の要素を含む)、別の実施形態においてBのみ(任意選択でA以外の要素を含む)、更に別の実施形態においてA及びBの両方(任意選択で他の要素を含む)などに言及し得る。
【0048】
[0052] 本明細書及び実施形態において本明細書で使用される場合、「又は」は、上記で定義したように、「及び/又は」と同一の意味を有するものと理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分ける場合、「又は」又は「及び/又は」は、包括的、即ち多数の要素又は要素のリストの少なくとも1つだけでなく、1つより多いものも含み、及び任意選択でリストにない追加の項目を含むものとして解釈されるものとする。例えば、「~の1つのみ」若しくは「~のまさに1つ」又は実施形態において使用される場合の「からなる」などの明確に反対を示す用語のみは、多数の要素又は要素のリストのまさに1つの要素を含むものに言及する。一般に、本明細書において使用される「又は」という用語は、例えば、「いずれか」、「~の1つ」、「~の1つのみ」又は「~のまさに1つ」などの排他性の用語により先行される場合、排他的な選択肢(即ち「1つ又は他のものであり、両方ではない」)を示すものとして単に解釈されるものとする。実施形態において使用される場合、「本質的に~からなる」は、特許法の分野において使用されるように、その本来の意味を有するものとする。
【0049】
[0053] 本明細書及び実施形態において本明細書で使用される場合、1つ以上の要素のリストに関連する「少なくとも1つ」という句は、ただし、要素のリスト内に具体的に列挙されているそれぞれの及び全ての要素の少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリストにおける要素の任意の組み合わせを除外する必要はなく、要素のリストにおける任意の1つ又は複数の要素から選択された少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきである。この定義は、「少なくとも1つ」という句が言及する要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定される要素に関連するかどうかにかかわらず、任意選択で存在し得ることも可能にする。従って、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は均等に「A又はBの少なくとも1つ」若しくは均等に「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では少なくとも1つ、任意選択で2つ以上のAを含み、Bが存在しない(及び任意選択でB以外の要素を含む)こと、別の実施形態では少なくとも1つ、任意選択で2つ以上のBを含み、Aが存在しない(及び任意選択でA以外の要素を含む)こと、更に別の実施形態では少なくとも1つ、任意選択で2つ以上のAを含み、少なくとも1つ、任意選択で2つ以上のBを含む(及び任意選択で他の要素を含む)こと等に言及し得る。
【0050】
[0054] 実施形態及び上記明細書において、例えば、「含む」、「包含する」、「保有する」、「有する」、「含有する」、「関連する」、「保持する」、「から構成される」などの全ての移行句は、オープンエンドであると理解されなければならず、即ち含むが、限定されないことを意味する。米国特許庁特許審査手続マニュアルのセクション2111.03に記載されているように、「からなる」及び「本質的にからなる」という移行句のみがそれぞれクローズド又はセミクローズドな移行句であるものとする。
【0051】
[0055] 本開示の特定の実施形態が上で概説されているが、多くの代替形態、変更形態及び変形形態が当業者に明らかであろう。従って、本明細書に記載の実施形態は、例示を意図するものであり、限定するものではない。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更形態がなされ得る。上記の方法及び工程が特定の順序で生じる特定の事象を示す場合、本開示の利益を有する当業者は、特定の工程の順序が変更され得、このような変更が本発明の変形形態に従うことを認識するであろう。更に、特定の工程は、可能な場合、並行プロセスで同時に実行することも、上記のように連続的に実行することもできる。実施形態が特に示され、説明されてきたが、形態及び詳細における様々な変更形態がなされ得ることが理解されるであろう。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】