(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】BCMAと結合する二量体抗原受容体(DAR)
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20221027BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20221027BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221027BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221027BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20221027BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221027BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20221027BHJP
A61K 35/15 20150101ALI20221027BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20221027BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221027BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20221027BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20221027BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20221027BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12P21/02 C
A61P35/00
A61P35/02
A61K35/15 Z
A61P37/04
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 U
C07K16/28
C07K14/705
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514522
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 US2020049538
(87)【国際公開番号】W WO2021046445
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514291864
【氏名又は名称】ソレント・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Sorrento Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジ, ヘンリー ホンジュン
(72)【発明者】
【氏名】グオ, ウェンジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ヤンリャン
(72)【発明者】
【氏名】ディン, ベイ ベイ
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン, ガナー エフ.
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG20
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085BB33
4C085BB34
4C085BB35
4C085BB36
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、BCMA標的抗原と結合する二量体抗原受容体(DAR)構築物を提供し、ここで、DAR構築物は、1つのポリペプチド鎖における重鎖結合領域、および別のポリペプチド鎖における軽鎖結合領域を含む。二量体抗原受容体を構成する2つのポリペプチド鎖は、二量体化して、抗原結合ドメインを形成することができる。二量体抗原受容体は、それらが標的抗原に特異的に結合するように、抗体様特性を有する。二量体抗原受容体は、指向性細胞療法のために使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー配列、(ii)抗体重鎖可変領域、(iii)抗体重鎖定常領域、(iv)必要に応じたヒンジ領域、(v)膜貫通領域、(vi)細胞内領域、(vii)自己切断配列、(viii)軽鎖リーダー配列、(ix)抗体軽鎖可変領域、および(x)抗体軽鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドであって、前記自己切断配列が、前記前駆体ポリペプチドの第1および第2のポリペプチド鎖への切断を可能にする、前駆体ポリペプチド。
【請求項2】
アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー配列、(ii)抗体軽鎖可変領域、(iii)抗体軽鎖定常領域、(iv)必要に応じたヒンジ領域、(v)膜貫通領域、(vi)細胞内領域、(vii)自己切断配列、(viii)重鎖リーダー配列、(ix)抗体重鎖可変領域、および(x)抗体重鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドであって、前記自己切断配列が、前記前駆体ポリペプチドの第1および第2のポリペプチド鎖への切断を可能にする、前駆体ポリペプチド。
【請求項3】
前記抗体重鎖可変領域が、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項4】
前記抗体重鎖定常領域が、
a)ヒトIgG、IgA、IgD、IgEもしくはIgM CH1ドメイン;
b)ヒトIgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4 CH1ドメイン;
c)ヒトIgG1ドメイン;
d)配列番号7もしくは29のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;または
e)配列番号7もしくは29のアミノ酸配列
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項5】
前記抗体軽鎖可変領域が、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項6】
前記抗体軽鎖定常領域が、
a)ヒトIgカッパ定常ドメイン;
b)ヒトIgラムダ定常ドメイン;
c)配列番号11もしくは31のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;または
d)配列番号11もしくは31のアミノ酸配列
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項7】
前記ヒンジ領域が、IgG、IgA、IgM、IgEおよびIgDからなる群より選択される抗体由来のヒンジ配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項8】
前記ヒンジが、CD8αおよび/またはCD28ヒンジ領域を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項9】
前記ヒンジ領域が、CPPCまたはSPPCアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項10】
前記ヒンジ領域が、配列番号34、35または36のアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項11】
前記膜貫通領域が、CD8α、CD8β、4-1BB/CD137、CD28、CD34、CD4、FcεRIγ、CD16、OX40/CD134、CD3ζ、CD3ε、CD3γ、CD3δ、TCRα、TCRβ、TCRζ、CD32、CD64、CD64、CD45、CD5、CD9、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD137、CD154、LFA-1 T細胞共受容体、CD2 T細胞共受容体/接着分子、CD40、CD40L/CD154、VEGFR2、FASおよびFGFR2B由来の膜貫通配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項12】
前記膜貫通領域が、配列番号37、38、39または40のアミノ酸配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項13】
前記細胞内領域が、4-1BB、ITAM 1、2および3を有するCD3ゼータ、ITAM 1を有するCD3ゼータ、ITAM 3を有するCD3ゼータ、CD28、CD27、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、GITR(TNFRSF18)、DR3(TNFRSF25)、TNFR2ならびに/またはCD226からなる群より選択される1つの細胞内配列を含むか、または前記群から選択される細胞内配列の任意の順序および任意の組合せの、2~5つの細胞内配列を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項14】
前記細胞内領域が、
i)配列番号44のアミノ酸配列を含むITAM 1、2および3を有するCD3ゼータ、
ii)配列番号45のアミノ酸配列を含むCD3ゼータITAM 1、
iii)配列番号46のアミノ酸配列を含むCD3ゼータITAM 2、または
iv)配列番号47のアミノ酸配列を含むITAM 3を有するCD3ゼータ
を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項15】
前記細胞内領域が、
i)配列番号48もしくは50のアミノ酸配列を含む、CD28由来ならびにITAM 1、2および3を有するCD3ゼータ由来の細胞内配列、または
ii)配列番号49のアミノ酸配列を含む、4-1BB由来ならびにITAM 1、2および3を有するCD3ゼータ由来の細胞内配列、または
iii)配列番号51もしくは88のアミノ酸配列を含む、CD28由来、4-1BB由来ならびにITAM 1、2および3を有するCD3ゼータ由来の細胞内配列、または
iv)配列番号52のアミノ酸配列を含む、4-1BB由来およびITAM 3を有するCD3ゼータ由来の細胞内配列、または
v)CD28(配列番号42)由来およびITAM 3を有するCD3ゼータ(配列番号47)由来の細胞内配列、または
vi)配列番号53もしくは89のアミノ酸配列を含む、CD28由来、4-1BB由来およびITAM 3を有するCD3ゼータ由来の細胞内配列
を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項16】
配列番号63、66、69、72、75、78、81または84のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の前駆体分子。
【請求項17】
図4AおよびBに示される配向およびアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の前駆体分子。
【請求項18】
前記自己切断配列が、T2A配列以外である、例えば、前記自己切断配列が、P2A、E2AまたはF2A配列である、先行する請求項のいずれか一項に記載の前駆体分子。
【請求項19】
a)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域、(ii)抗体重鎖定常領域、(iii)必要に応じたヒンジ領域、(iv)膜貫通領域、および(v)細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖;
b)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域、および(ii)抗体軽鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖
を含む二量体抗原受容体(DAR)構築物であって、
前記抗体重鎖定常領域および前記抗体軽鎖定常領域が、前記二量体抗原受容体(DAR)の形成のための二量体化ドメインを形成し、
前記抗体重鎖可変領域および前記抗体軽鎖可変領域が、抗原結合ドメインを形成する、
二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項20】
a)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域、(ii)抗体軽鎖定常領域、(iii)必要に応じたヒンジ領域、(iv)膜貫通領域、および(v)細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖;
b)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域、および(ii)抗体重鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖
を含む二量体抗原受容体(DAR)構築物であって、
前記抗体重鎖定常領域および前記抗体軽鎖定常領域が、前記二量体抗原受容体(DAR)の形成のための二量体化ドメインを形成し、
前記抗体重鎖可変領域および前記抗体軽鎖可変領域が、抗原結合ドメインを形成する、
二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項21】
前記抗体重鎖定常領域および前記抗体軽鎖定常領域が、1つまたは2つのジスルフィド結合を介して二量体化する、請求項18または19に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項22】
前記ヒンジ領域が、IgG、IgA、IgM、IgEおよびIgDからなる群より選択される抗体由来のヒンジ配列を含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の二量体抗原受容体構築物。
【請求項23】
前記ヒンジが、CD8αおよび/またはCD28ヒンジ領域を含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の二量体抗原受容体構築物。
【請求項24】
前記ヒンジ領域が、CPPCまたはSPPCアミノ酸配列を含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の二量体抗原受容体構築物。
【請求項25】
前記膜貫通領域が、CD8α、CD8β、4-1BB/CD137、CD28、CD34、CD4、FcεRIγ、CD16、OX40/CD134、CD3ζ、CD3ε、CD3γ、CD3δ、TCRα、TCRβ、TCRζ、CD32、CD64、CD64、CD45、CD5、CD9、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD137、CD154、LFA-1 T細胞共受容体、CD2 T細胞共受容体/接着分子、CD40、CD40L/CD154、VEGFR2、FASおよびFGFR2B由来の膜貫通配列を含む、請求項18~23のいずれか一項に記載の二量体抗原受容体構築物。
【請求項26】
前記細胞内領域が、4-1BB、CD3ゼータ、CD28、CD27、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、GITR(TNFRSF18)、DR3(TNFRSF25)、TNFR2および/またはCD226からなる群より選択される1つの細胞内配列を含むか、または前記群から選択される細胞内配列の任意の順序および任意の組合せの、2~5つの細胞内配列を含む、請求項18~24のいずれか一項に記載の二量体抗原受容体構築物。
【請求項27】
前記抗原結合ドメインが、BMCA(B細胞成熟抗原)タンパク質と結合する、請求項18~25のいずれか一項に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項28】
前記BMCA(B細胞成熟抗原)タンパク質が、配列番号1、2または3のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項29】
前記抗体重鎖可変領域が、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項30】
前記抗体重鎖定常領域が、配列番号7または29のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項31】
前記抗体軽鎖可変領域が、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項32】
前記抗体軽鎖定常領域が、11または31のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項33】
前記ヒンジ領域が、配列番号34、35または36のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項34】
前記膜貫通領域が、配列番号37、38、39または40のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項35】
前記細胞内領域が、
i)配列番号44のアミノ酸配列を含むITAM 1、2および3を有するCD3ゼータ、
ii)配列番号45のアミノ酸配列を含むCD3ゼータITAM 1、
iii)配列番号46のアミノ酸配列を含むCD3ゼータITAM 2、または
iv)配列番号47のアミノ酸配列を含むITAM 3を有するCD3ゼータ
を含む、請求項27に記載の二量体抗原受容体。
【請求項36】
前記細胞内領域が、
i)配列番号48もしくは50のアミノ酸配列を含む、CD28由来ならびにITAM 1、2および3を有するCD3ゼータ由来の細胞内配列、または
ii)配列番号49のアミノ酸配列を含む、4-1BB由来ならびにITAM 1、2および3を有するCD3ゼータ由来の細胞内配列、または
iii)配列番号51もしくは88のアミノ酸配列を含む、CD28由来、4-1BB由来ならびにITAM 1、2および3を有するCD3ゼータ由来の細胞内配列、または
iv)配列番号52のアミノ酸配列を含む、4-1BB由来およびITAM 3を有するCD3ゼータ由来の細胞内配列、または
v)CD28(配列番号42)由来およびITAM 3を有するCD3ゼータ(配列番号47)由来の細胞内配列、または
vi)配列番号53もしくは89のアミノ酸配列を含む、CD28由来、4-1BB由来およびITAM 3を有するCD3ゼータ由来の細胞内配列
を含む、請求項27に記載の二量体抗原受容体。
【請求項37】
前記第1のポリペプチド鎖が、配列番号64、67、70、73、76、79、82または85のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項38】
前記第2のポリペプチド鎖が、配列番号65、68、71、74、77、80、83または86のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項39】
前記自己切断配列の切断の際に、前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域が、BMCA(B細胞成熟抗原)タンパク質と結合する抗原結合ドメインを形成することができ、必要に応じて、前記BMCA(B細胞成熟抗原)タンパク質が、配列番号1、2または3のアミノ酸配列を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチド。
【請求項40】
a)前記第1のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(ii)抗体重鎖定常領域;(iii)CD8およびCD28ヒンジ領域を含むヒンジ領域;(iv)CD28膜貫通領域;ならびに(v)CD28共刺激配列ならびにCD3ゼータITAM 1、2および3細胞内配列を含む細胞内領域を含み;そして
b)前記第2のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;および(ii)抗体軽鎖定常領域を含み、
前記抗体重鎖定常領域および前記抗体軽鎖定常領域が、二量体化ドメインを形成し、
前記抗体重鎖可変領域および前記抗体軽鎖可変領域が、BCMAタンパク質と結合する抗原結合ドメインを形成し、
必要に応じて、前記二量体抗原受容体(DAR)構築物が、DAR V1構築物である、
請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項41】
a)前記第1のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(ii)抗体重鎖定常領域;(iii)CD28ヒンジ領域を含むヒンジ領域;(iv)CD28膜貫通領域;ならびに(v)4-1BB共刺激配列ならびにCD3ゼータITAM 1、2および3細胞内配列を含む細胞内領域を含み;そして
b)前記第2のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;および(ii)抗体軽鎖定常領域を含み、
前記抗体重鎖定常領域および前記抗体軽鎖定常領域が、二量体化ドメインを形成し、
前記抗体重鎖可変領域および前記抗体軽鎖可変領域が、BCMAタンパク質と結合する抗原結合ドメインを形成し、
必要に応じて、前記二量体抗原受容体(DAR)構築物が、DAR V2a構築物である、
請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項42】
a)前記第1のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(ii)抗体重鎖定常領域;(iii)ヒンジ領域;(iv)CD28膜貫通領域;ならびに(v)CD28共刺激配列およびCD3ゼータITAM 1、2ならびに3細胞内配列を含む細胞内領域を含み;そして
b)前記第2のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;および(ii)抗体軽鎖定常領域を含み、
前記抗体重鎖定常領域および前記抗体軽鎖定常領域が、二量体化ドメインを形成し、
前記抗体重鎖可変領域および前記抗体軽鎖可変領域が、BCMAタンパク質と結合する抗原結合ドメインを形成し、
必要に応じて、前記二量体抗原受容体(DAR)構築物が、DAR V2b構築物である、
請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項43】
a)前記第1のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(ii)抗体重鎖定常領域;(iii)CD28ヒンジ領域を含むヒンジ領域;(iv)CD28膜貫通領域;ならびに(v)4-1BB共刺激配列、CD28共刺激配列ならびにCD3ゼータITAM 1、2および3細胞内配列を含む細胞内領域を含み;そして
b)前記第2のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;および(ii)抗体軽鎖定常領域を含み、
前記抗体重鎖定常領域および前記抗体軽鎖定常領域が、二量体化ドメインを形成し、
前記抗体重鎖可変領域および前記抗体軽鎖可変領域が、BCMAタンパク質と結合する抗原結合ドメインを形成し、
必要に応じて、前記二量体抗原受容体(DAR)構築物が、DAR V2c構築物である、
請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項44】
a)前記第1のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(ii)抗体重鎖定常領域;(iii)CD28ヒンジ領域を含むヒンジ領域;(iv)CD28膜貫通領域;ならびに(v)4-1BB共刺激配列およびCD3ゼータITAM 3細胞内配列を含む細胞内領域であって、必要に応じて、細胞内CD28共刺激配列を含む細胞内配列を含み;そして
b)前記第2のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;および(ii)抗体軽鎖定常領域を含み、
前記抗体重鎖定常領域および前記抗体軽鎖定常領域が、二量体化ドメインを形成し、
前記抗体重鎖可変領域および前記抗体軽鎖可変領域が、BCMAタンパク質と結合する抗原結合ドメインを形成し、
必要に応じて、前記二量体抗原受容体(DAR)構築物が、DAR V3構築物である、
請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項45】
a)前記第1のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(ii)抗体重鎖定常領域;(iii)CD28膜貫通領域;ならびに(iv)4-1BB共刺激配列およびCD3ゼータITAM 3細胞内配列を含む細胞内領域を含み;そして
b)前記第2のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;および(ii)抗体軽鎖定常領域を含み、
前記抗体重鎖定常領域および前記抗体軽鎖定常領域が、二量体化ドメインを形成し、
前記抗体重鎖可変領域および前記抗体軽鎖可変領域が、BCMAタンパク質と結合する抗原結合ドメインを形成し、
必要に応じて、前記二量体抗原受容体(DAR)構築物が、DAR V4構築物である、
請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項46】
a)前記第1のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(ii)抗体重鎖定常領域;(iii)CD28ヒンジ領域を含むヒンジ領域;(iv)CD28膜貫通領域;ならびに(v)CD28共刺激配列およびCD3ゼータITAM 3細胞内配列を含む細胞内領域であって、必要に応じて、細胞内CD28および4-1BB共刺激配列を含む細胞内配列を含み;そして
b)前記第2のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;および(ii)抗体軽鎖定常領域を含み、
前記抗体重鎖定常領域および前記抗体軽鎖定常領域が、二量体化ドメインを形成し、
前記抗体重鎖可変領域および前記抗体軽鎖可変領域が、BCMAタンパク質と結合する抗原結合ドメインを形成し、
必要に応じて、前記二量体抗原受容体(DAR)構築物が、DAR V3c構築物である、
請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項47】
c)前記第1のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(ii)抗体重鎖定常領域;(iii)CD28膜貫通領域;ならびに(iv)4-1BB共刺激配列およびCD3ゼータITAM 3細胞内配列を含む細胞内領域を含み;そして
d)前記第2のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;および(ii)抗体軽鎖定常領域を含み、
前記抗体重鎖定常領域および前記抗体軽鎖定常領域が、二量体化ドメインを形成し、
前記抗体重鎖可変領域および前記抗体軽鎖可変領域が、BCMAタンパク質と結合する抗原結合ドメインを形成し、
必要に応じて、前記二量体抗原受容体(DAR)構築物が、DAR V4構築物である、
請求項27に記載の二量体抗原受容体(DAR)構築物。
【請求項48】
前記4-1BB共刺激配列ならびにCD3ゼータITAM 1、2および3細胞内配列を含む前記細胞内領域が、配列番号49のアミノ酸配列を含む、請求項41に記載のDAR構築物。
【請求項49】
前記CD28共刺激配列ならびにCD3ゼータITAM 1、2および3細胞内配列を含む前記細胞内領域が、配列番号50のアミノ酸配列を含む、請求項42に記載のDAR構築物。
【請求項50】
前記4-1BB共刺激配列、CD28共刺激配列ならびにCD3ゼータITAM 1、2および3細胞内配列を含む前記細胞内領域が、配列番号51または88のアミノ酸配列を含む、請求項43に記載のDAR構築物。
【請求項51】
前記4-1BB共刺激配列およびCD3ゼータITAM 3細胞内配列を含む前記細胞内領域が、配列番号52のアミノ酸配列を含むか、または4-1BB共刺激配列、CD28共刺激配列およびCD3ゼータITAM 3細胞内配列を含む前記細胞内領域が、配列番号53または89のアミノ酸配列を含む、請求項44に記載のDAR構築物。
【請求項52】
前記4-1BB共刺激配列およびCD3ゼータITAM 3細胞内配列を含む前記細胞内領域が、配列番号52のアミノ酸配列を含む、請求項45に記載のDAR構築物。
【請求項53】
前記CD28共刺激配列およびCD3ゼータITAM 3細胞内配列を含む前記細胞内領域が、配列番号87のアミノ酸配列を含む、請求項46に記載のDAR構築物。
【請求項54】
前記4-1BB共刺激配列およびCD3ゼータITAM 3細胞内配列を含む前記細胞内領域が、配列番号52のアミノ酸配列を含む、請求項47に記載のDAR構築物。
【請求項55】
前記CD8およびCD28ヒンジ領域が、配列番号36のアミノ酸配列を含む、請求項40または51に記載のDAR構築物。
【請求項56】
前記ヒンジ領域が、配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ領域を含む、請求項41~44、46~49または54のいずれか一項に記載のDAR構築物。
【請求項57】
前記CD28膜貫通領域が、配列番号37のアミノ酸配列を含む、請求項40、45または50のいずれか一項に記載のDAR構築物。
【請求項58】
前記重鎖定常領域が、
a)ヒトIgG、IgA、IgD、IgEもしくはIgM CH1ドメイン;
b)ヒトIgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4 CH1ドメイン;
c)ヒトIgG1ドメイン;
d)配列番号7もしくは29のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;または
e)配列番号7もしくは29のアミノ酸配列
を含む、請求項40~55のいずれか一項に記載のDAR構築物。
【請求項59】
前記軽鎖定常領域が、
a)ヒトIgカッパ定常ドメイン;
b)ヒトIgラムダ定常ドメイン;
c)配列番号11もしくは31のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;または
d)配列番号11もしくは31のアミノ酸配列
を含む、請求項40~56のいずれか一項に記載のDAR構築物。
【請求項60】
請求項1~18のいずれか一項に記載の前駆体ポリペプチドをコードする核酸。
【請求項61】
プロモーターに作動可能に連結された請求項60に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項62】
プロモーターに作動可能に連結された請求項60に記載の核酸を有する宿主細胞または宿主細胞の集団であって、必要に応じて、前記核酸が、発現ベクター中に存在する、宿主細胞または宿主細胞の集団。
【請求項63】
前記宿主細胞が、Tリンパ球(例えば、調節性T細胞、ガンマ-デルタT細胞または細胞傷害性T細胞)、NK(ナチュラルキラー)細胞、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、Bリンパ球もしくは単球であるか、または前記宿主細胞の集団が、Tリンパ球(例えば、調節性T細胞、ガンマ-デルタT細胞または細胞傷害性T細胞)、NK(ナチュラルキラー)細胞、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、Bリンパ球もしくは単球を含む、請求項62に記載の宿主細胞または宿主細胞の集団。
【請求項64】
前記宿主細胞が、自己宿主細胞であるか、または前記集団が、自己宿主細胞を含む、請求項62に記載の宿主細胞または宿主細胞の集団。
【請求項65】
前記宿主細胞が、同種異系宿主細胞であるか、または前記集団が、同種異系宿主細胞を含む、請求項62に記載の宿主細胞または宿主細胞の集団。
【請求項66】
複数の二量体抗原受容体(DAR)を発現する宿主細胞の集団を調製するための方法であって、請求項62~65のいずれか一項に記載の宿主細胞の集団を、前記宿主細胞の集団によって複数の前駆体ポリペプチドを発現させるために好適な条件下、かつ前記宿主細胞の集団による前記複数の前駆体ポリペプチドの複数の二量体抗原受容体(DAR)へのプロセシングのために好適な条件下で培養することを含み、前記宿主細胞の集団による前記プロセシングが、前記複数の前駆体ポリペプチドを複数の第1のポリペプチド鎖および複数の第2のポリペプチド鎖に切断すること、前記複数の第1のポリペプチド鎖および前記複数の第2のポリペプチド鎖を互いとアセンブルさせて、複数の二量体抗原受容体(DAR)を形成すること、ならびに前記宿主細胞の集団の細胞膜に前記複数の二量体抗原受容体(DAR)を繋留することを含む、方法。
【請求項67】
発現ベクターが、前記前駆体ポリペプチドをコードする核酸の前記宿主細胞または前記宿主細胞の集団への一過性の導入を指示する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
発現ベクターが、前記前駆体ポリペプチドをコードする核酸の前記宿主細胞のゲノムへの安定な挿入を指示する、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
発現ベクターが、前記宿主細胞または前記宿主細胞の集団における前記前駆体ポリペプチドをコードする核酸の転写および/または翻訳を指示する、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
発現ベクターが、前記宿主細胞または前記宿主細胞の集団における前記前駆体ポリペプチドをコードする核酸の発現を指示し、発現が、前記前駆体ポリペプチドをコードする核酸の転写および/または翻訳を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
請求項66~70のいずれか一項に記載の方法によって調製される、宿主細胞の集団の細胞膜に繋留された複数の二量体抗原受容体(DAR)を含む、宿主細胞の集団。
【請求項72】
請求項19~59のいずれか一項に記載の複数の二量体抗原受容体(DAR)構築物を発現する宿主細胞の集団であって、前記DAR構築物が、宿主細胞の集団の細胞膜に繋留される、宿主細胞の集団。
【請求項73】
請求項71または72に記載の宿主細胞の集団および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項74】
被験体における腫瘍抗原の有害な発現に関連する疾患、障害または状態を有する被験体を処置するための方法であって、前記被験体に、請求項71もしくは72に記載の宿主細胞の集団、または請求項73に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項75】
前記疾患が、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫(BL)、慢性Bリンパ球性白血病(B-CLL)、急性BおよびTリンパ球性白血病(ALL)、T細胞リンパ腫(TCL)、急性骨髄性白血病(AML)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、ホジキンリンパ腫(HL)、慢性骨髄性白血病(CML)および多発性骨髄腫(MM)からなる群より選択される血液がんである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
請求項19~59のいずれか一項に記載の第1のポリペプチドをコードする第1の核酸。
【請求項77】
請求項19~59のいずれか一項に記載の第2のポリペプチドをコードする第2の核酸。
【請求項78】
請求項19~59のいずれか一項に記載の、第1のポリペプチドをコードする第1の核酸および第2のポリペプチドをコードする第2の核酸。
【請求項79】
プロモーターに作動可能に連結された請求項78に記載の第1の核酸を含む第1の発現ベクター、およびプロモーターに作動可能に連結された請求項78に記載の第2の核酸を含む第2の発現ベクター。
【請求項80】
プロモーターに作動可能に連結された請求項78に記載の第1の核酸および第2の核酸を含む発現ベクター。
【請求項81】
請求項79に記載の第1の発現ベクターを有する、第1の宿主細胞または第1の宿主細胞の集団。
【請求項82】
請求項79に記載の第2の発現ベクターを有する、第2の宿主細胞または第2の宿主細胞の集団。
【請求項83】
請求項79に記載の第1の発現ベクターを有する、第1の宿主細胞または第1の宿主細胞の集団、および請求項79に記載の第2の発現ベクターを有する、第2の宿主細胞または第2の宿主細胞の集団。
【請求項84】
請求項79に記載の第1の発現ベクターおよび第2の発現ベクターを有する、宿主細胞または宿主細胞の集団。
【請求項85】
請求項80に記載の発現ベクターを有する、宿主細胞または宿主細胞の集団。
【請求項86】
前記宿主細胞が、Tリンパ球(例えば、調節性T細胞、ガンマ-デルタT細胞または細胞傷害性T細胞)、NK(ナチュラルキラー)細胞、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、Bリンパ球もしくは単球であるか、または前記集団が、Tリンパ球(例えば、調節性T細胞、ガンマ-デルタT細胞または細胞傷害性T細胞)、NK(ナチュラルキラー)細胞、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、Bリンパ球もしくは単球を含む、請求項81~84のいずれか一項に記載の宿主細胞または宿主細胞の集団。
【請求項87】
前記宿主細胞が、自己宿主細胞であるか、または前記集団が、自己宿主細胞を含む、請求項81~84のいずれか一項に記載の宿主細胞または宿主細胞の集団。
【請求項88】
前記宿主細胞が、同種異系宿主細胞であるか、または前記集団が、同種異系宿主細胞を含む、請求項81~84のいずれか一項に記載の宿主細胞または宿主細胞の集団。
【請求項89】
複数の二量体抗原受容体(DAR)を調製するための方法であって、請求項83に記載の第1の宿主細胞の集団および第2の宿主細胞の集団を、複数の第1のポリペプチド鎖および複数の第2のポリペプチド鎖を発現させるために好適な条件下で培養することを含む、方法。
【請求項90】
複数の二量体抗原受容体(DAR)を調製するための方法であって、請求項84に記載の宿主細胞の集団を、前記宿主細胞の集団によって複数の第1のポリペプチド鎖および複数の第2のポリペプチド鎖を発現させるために好適な条件下、かつ前記宿主細胞の集団によって複数の第1のポリペプチドおよび複数の第2のポリペプチドを複数の二量体抗原受容体(DAR)にプロセシングするために好適な条件下で培養することを含み、前記宿主細胞の集団による前記プロセシングが、前記複数の第1のポリペプチド鎖および前記複数の第2のポリペプチド鎖を互いとアセンブルさせて、複数の二量体抗原受容体(DAR)を形成すること、ならびに前記宿主細胞の集団の細胞膜に前記複数の二量体抗原受容体(DAR)を繋留することを含む、方法。
【請求項91】
複数の二量体抗原受容体(DAR)を調製するための方法であって、請求項85に記載の宿主細胞の集団を、前記宿主細胞の集団によって複数の第1のポリペプチド鎖および複数の第2のポリペプチド鎖を発現させるために好適な条件下、かつ前記宿主細胞の集団によって複数の第1のポリペプチドおよび複数の第2のポリペプチドを複数の二量体抗原受容体(DAR)にプロセシングするために好適な条件下で培養することを含み、前記宿主細胞の集団による前記プロセシングが、前記複数の第1のポリペプチド鎖および前記複数の第2のポリペプチド鎖を互いとアセンブルさせて、複数の二量体抗原受容体(DAR)を形成すること、ならびに前記宿主細胞の集団の細胞膜に前記複数の二量体抗原受容体(DAR)を繋留することを含む、方法。
【請求項92】
第1の発現ベクターが、前記第1のポリペプチド鎖をコードする核酸の前記第1の宿主細胞または前記第1の宿主細胞の集団への一過性の導入を指示し、第2の発現ベクターが、前記第2のポリペプチド鎖をコードする核酸の前記第2の宿主細胞または前記第2の宿主細胞の集団への一過性の導入を指示する、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
第1の発現ベクターが、前記第1のポリペプチド鎖をコードする核酸の前記第1の宿主細胞のゲノムへの安定な挿入を指示し、第2の発現ベクターが、前記第2のポリペプチド鎖をコードする核酸の前記第2の宿主細胞のゲノムへの安定な挿入を指示する、請求項89に記載の方法。
【請求項94】
第1の発現ベクターが、前記第1の宿主細胞または前記第1の宿主細胞の集団における前記第1のポリペプチド鎖をコードする核酸の転写および/または翻訳を指示し、第2の発現ベクターが、前記第2の宿主細胞または前記第2の宿主細胞の集団における前記第2のポリペプチド鎖をコードする核酸の転写および/または翻訳を指示する、請求項89に記載の方法。
【請求項95】
第1の発現ベクターが、前記第1のポリペプチド鎖をコードする核酸の前記宿主細胞または前記宿主細胞の集団への一過性の導入を指示し、第2の発現ベクターが、前記第2のポリペプチド鎖をコードする核酸の前記宿主細胞または前記宿主細胞の集団への一過性の導入を指示する、請求項90に記載の方法。
【請求項96】
第1の発現ベクターが、前記第1のポリペプチド鎖をコードする核酸の前記宿主細胞のゲノムへの安定な挿入を指示し、第2の発現ベクターが、前記第2のポリペプチド鎖をコードする核酸の前記宿主細胞のゲノムへの安定な挿入を指示する、請求項90に記載の方法。
【請求項97】
第1の発現ベクターが、前記宿主細胞または前記宿主細胞の集団における前記第1のポリペプチド鎖をコードする核酸の転写および/または翻訳を指示し、第2の発現ベクターが、前記宿主細胞または前記宿主細胞の集団における前記第2のポリペプチド鎖をコードする核酸の転写および/または翻訳を指示する、請求項90に記載の方法。
【請求項98】
発現ベクターが、前記第1および第2のポリペプチド鎖をコードする核酸の前記宿主細胞または前記宿主細胞の集団への一過性の導入を指示する、請求項91に記載の方法。
【請求項99】
発現ベクターが、前記第1および第2のポリペプチド鎖をコードする核酸の前記宿主細胞のゲノムへの安定な挿入を指示する、請求項91に記載の方法。
【請求項100】
発現ベクターが、前記宿主細胞または前記宿主細胞の集団における前記第1および第2のポリペプチド鎖をコードする核酸の転写および/または翻訳を指示する、請求項91に記載の方法。
【請求項101】
請求項90~100のいずれか一項に記載の方法によって調製される、宿主細胞の集団の細胞膜に繋留された複数の二量体抗原受容体(DAR)を含む、宿主細胞の集団。
【請求項102】
宿主細胞の集団の細胞膜に繋留された、請求項19~59のいずれか一項に記載の複数の二量体抗原受容体(DAR)構築物を発現する宿主細胞の集団。
【請求項103】
請求項101または102に記載の宿主細胞の集団および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項104】
被験体における腫瘍抗原の有害な発現もしくは過剰発現に関連する疾患、障害または状態を有する被験体を処置するための方法であって、前記被験体に、請求項101もしくは102に記載の宿主細胞の集団、または請求項103に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項105】
前記疾患が、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫(BL)、慢性Bリンパ球性白血病(B-CLL)、急性BおよびTリンパ球性白血病(ALL)、T細胞リンパ腫(TCL)、急性骨髄性白血病(AML)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、ホジキンリンパ腫(HL)、慢性骨髄性白血病(CML)および多発性骨髄腫(MM)からなる群より選択される血液がんである、請求項104に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年9月5日に出願された米国仮特許出願第62/896,190号、2019年9月6日に出願された米国仮特許出願第62/896,990号、2019年10月3日に出願された米国仮特許出願第62/910,341号、2019年12月3日に出願された米国仮特許出願第62/943,069号、および2020年5月26日に出願された米国仮特許出願第63/030,145号に対する優先権を主張し、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2020年7月24日に作成された前記ASCIIコピーは、2020-07-24_01223-0012-00PCT_Sequence_Listing_ST25.txtという名称であり、167,936バイトのサイズである。
【0003】
技術分野
本開示は、標的抗原に特異的に結合する二量体抗原受容体(DAR)タンパク質構築物、二量体抗原受容体をコードする核酸、核酸を含むベクター、およびベクターを有する宿主細胞を提供する。
【背景技術】
【0004】
背景および概要
キメラ抗原受容体(CAR)は、特に、がんに関連する抗原を標的にするために開発されている。第一世代のCARは、活性化刺激(シグナル1)のみを送達するシグナル伝達ドメイン(TCRζ)を含有するように操作された(Geiger et al., J. Immunol. 162(10): 5931-5939, 1999;Haynes et al., J. Immunol. 166(1): 182-187, 2001)(Hombach et al. Cancer Res. 61(5): 1976-1982, 2001;Hombach et al., J. Immunol. 167(11): 6123-6131, 2001;Maher et al., Nat. Biotechnol. 20(1): 70-75, 2002)。第一世代のCARを単独で移植されたT細胞は、準最適な活性化に起因して、限定的な抗腫瘍有効性を示した(Beecham et al., J. Immunother. 23(6): 631-642, 2000)。第二世代のCARである免疫グロブリン-CD28-T細胞受容体(IgCD28TCR)は、第一世代の受容体に共刺激CD28(シグナル2)を組み込み(Gerstmayer et al., J. Immunol. 158(10): 4584-4590, 1997;Emtage et al., Clin. Cancer Res. 14(24): 8112-8122, 2008;Lo, Ma et al., Clin. Cancer Res. 16(10): 2769-2780, 2010)、これは、より大きな抗腫瘍能力を有するCAR-T細胞をもたらした(Finney et al., J. Immunol. 161(6): 2791-2797,1998;Hombach et al., Cancer Res. 61(5): 1976-1982, 2001、Maher et al., Nat. Biotechnol. 20(1): 70-75, 2002)。さまざまなCARバリアントが、TCRζまたはCD28のシグナルドメインをFcRγ、4-1BBおよびOX40などの類似の機能を有する分子で置き換えることによって、開発されている(Eshhar et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 90(2): 720-724, 1993)。さまざまな腫瘍抗原に対するTCR CAR-T細胞が開発されている(Ma et al., Cancer Gene Ther. 11(4): 297-306, 2004;Ma et al., Prostate 61(1): 12-25, 2004;Lo et al., Clin. Cancer Res. 16(10): 2769-2780, 2010;Kong et al., Clin. Cancer Res. 18(21): 5949-5960, 2012;Ma et al., Prostate 74(3): 286-296, 2014;Katz et al., Clin. Cancer Res. 21(14): 3149-3159, 2015;Junghans et al., 2016 The Prostate, 76(14):1257-1270)。
指向性が変更された殺腫瘍活性のためにキメラ抗原受容体(CAR)で操作されたT細胞の注入による養子免疫療法は、転移性がんの処置のための潜在的に非常に特異的なモダリティを表す。B細胞上で発現する分子であるCD19を標的にするCAR-T細胞は、B細胞悪性疾患の処置において成功を示しており、FDAの承認を受け、いくつかの治験は、持続的な完全奏効を含む最大で70%の応答率を示した。それにも関わらず、CAR-T細胞は、非特異的な活性化を示す場合があり、これは、不適切な免疫活性による潜在的に深刻な有害事象をもたらす場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Maら、Cancer Gene Ther.(2004)11(4):297~306
【非特許文献2】Maら、Prostate(2004)61(1):12~25
【非特許文献3】Loら、Clin. Cancer Res.(2010)16(10):2769~2780
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、特異性が増加したCAR処置の強力な有効性を利用する必要性が本分野に残されたままである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
別個のポリペプチド鎖に抗体重鎖結合領域および抗体軽鎖結合領域の両方を含む抗原受容体、ならびに指向性細胞療法におけるそれらの使用が、この必要性を満たすため、および/または他の利点を提供するため、もしくは少なくとも、有用な選択肢を公共に提供するための試みにおいて、本明細書に開示される。一部の実施形態では、本開示は、例えば、膜貫通領域および細胞内領域に連結されたFab断片を形成する第1および第2のポリペプチド鎖を含む二量体抗原受容体(DAR)、ならびにそのようなDARを発現する細胞を提供する。一部の実施形態では、DARを発現するT細胞は、例えば、伝統的なCARを発現するT細胞との比較において、標的特異的な増殖および細胞傷害を示し得る。本開示による実施形態は、特許請求の範囲および詳細な説明に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1Aは、2つの細胞内シグナル伝達配列を含む例示的な二量体抗原受容体を示す概略図である。
【0009】
図1Bは、3つの細胞内シグナル伝達配列を含む例示的な二量体抗原受容体を示す概略図である。
【0010】
【
図2】
図2Aは、2つの細胞内シグナル伝達配列を含む例示的な二量体抗原受容体を示す概略図である。
【0011】
図2Bは、3つの細胞内シグナル伝達配列を含む例示的な二量体抗原受容体を示す概略図である。
【0012】
【
図3】
図3Aは、自己切断配列および3つの細胞内シグナル伝達配列を含む例示的な前駆体ポリペプチド分子を示す概略図である。
【0013】
図3Bは、自己切断配列および2つの細胞内シグナル伝達配列を含む例示的な前駆体ポリペプチド分子を示す概略図である。
【0014】
【
図4】
図4Aは、自己切断配列および3つの細胞内シグナル伝達配列を含む例示的な前駆体ポリペプチド分子を示す概略図である。
【0015】
図4Bは、自己切断配列および2つの細胞内シグナル伝達配列を含む例示的な前駆体ポリペプチド分子を示す概略図である。
【0016】
【
図5A】
図5Aは、BCMAキメラ抗原受容体(CAR)構築物の2つの異なるバージョンを発現するトランスジェニックT細胞(ドナー1)を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、トランスフェクションの13日後に収集した。陰性対照は、非トランスジェニック活性化T細胞(ATC)である。別の陰性対照は、TRAC-マイナスT細胞系(T細胞受容体アルファ定常-マイナス)である。トランスフェクション効率および発現レベルのフローサイトメトリー研究を、実施例5に記載する。
【0017】
【
図5B】
図5Bは、BCMA-2C5二量体抗原受容体(DAR)構築物の3つの異なるバージョンを発現するトランスジェニックT細胞(ドナー1)を比較する、フローサイトメトリー研究(11日目)の結果を示す。陰性対照は、
図5AからのTRAC-マイナスT細胞系である。さまざまなDAR構築物:DAR V2c構築物;DAR V3a構築物;およびDAR V3b構築物を発現するトランスジェニック細胞の比較を示す。データを、トランスフェクションの13日後に収集した。トランスフェクション効率および発現レベルのフローサイトメトリー研究を、実施例5に記載する。
【0018】
【
図6】
図6は、RPMI8226標的細胞における、BCMA CARまたはBCMA DARを発現するT細胞(ドナー1)の細胞傷害パーセントを示すグラフである。ラインAは、陰性対照のTRAC-マイナスT細胞系(T細胞受容体アルファ定常-マイナス)を示し;ラインBは、DAR BCMA-2C5 V2c構築物を示し;ラインCは、CAR bb2121構築物を示し;ラインD(点線)は、DAR BCMA-2C5 V3a構築物を示し;ラインEは、DAR BCMA-2C5 V3b構築物を示し;ラインFは、CAR BCMA-2C5構築物を示す。細胞傷害研究を、実施例6に記載する。
【0019】
【
図7A】
図7Aは、陰性対照のTRAC-マイナスT細胞系(T細胞受容体アルファ定常-マイナス)、またはCAR bb2121構築物;CAR BCMA-2C5構築物;DAR BCMA-2C5 V2c構築物;DAR BCMA-2C5 V3a構築物;もしくはDAR BCMA-2C5 V3b構築物を発現するT細胞(ドナー1)からのIFN-ガンマ放出のレベル(標的刺激の40時間後)を示す棒グラフである。それぞれのデータセットは、左から右に、U266細胞(BCMA陽性細胞)、K562細胞(BCMA陰性細胞)、培地のみ、またはRPMI8226細胞(BCMA陽性細胞)を示す。サイトカイン放出研究を、実施例7に記載する。
【0020】
【
図7B】
図7Bは、陰性対照のTRAC-マイナスT細胞系(T細胞受容体アルファ定常-マイナス)、またはCAR bb2121構築物;CAR BCMA-2C5構築物;DAR BCMA-2C5 V2c構築物;DAR BCMA-2C5 V3a構築物;もしくはDAR BCMA-2C5 V3b構築物を発現するT細胞(ドナー1)からのGM-CSF放出のレベル(標的刺激の40時間後)を示す棒グラフである。それぞれのデータセットは、左から右に、U266細胞(BCMA陽性細胞)、K562細胞(BCMA陰性細胞)、培地のみ、またはRPMI8226細胞(BCMA陽性細胞)を示す。サイトカイン放出研究を、実施例7に記載する。
【0021】
【
図8A】
図8Aは、K562、RPMI8226、U266または培地のみと共培養した場合の陰性対照のTRAC-マイナスT細胞系(T細胞受容体アルファ定常-マイナス)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、共培養の3日目に収集した。共培養フローサイトメトリー研究を、実施例8に記載する。
【0022】
【
図8B】
図8Bは、K562、RPMI8226、U266または培地のみと共培養した場合のCAR BCMA bb2121構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー1)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、共培養の3日目に収集した。共培養フローサイトメトリー研究を、実施例8に記載する。
【0023】
【
図8C】
図8Cは、K562、RPMI8226、U266または培地のみと共培養した場合のCAR BCMA-2C5構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー1)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、共培養の3日目に収集した。共培養フローサイトメトリー研究を、実施例8に記載する。
【0024】
【
図8D】
図8Dは、K562、RPMI8226、U266または培地のみと共培養した場合のDAR BCMA-2C5 V2c構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー1)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、共培養の3日目に収集した。共培養フローサイトメトリー研究を、実施例8に記載する。
【0025】
【
図9】
図9は、
図8A~Dからのデータを使用して、トランスジェニックT細胞の増殖の倍数変化(fold-change)を示す棒グラフであり、ここで、トランスジェニックT細胞は、CAR bb2121構築物;CAR BCMA-2C5構築物;またはDAR BCMA-2C5 V2c構築物を発現する。T細胞を、K562、RPMI8226またはU266細胞系と共培養した。データを、共培養の3日目に収集した。倍数変化増殖研究を、実施例8に記載する。
【0026】
【
図10A】
図10Aは、K562、RPMI8226、U266または培地のみと共培養した場合の陰性対照のTRAC-マイナスT細胞系(T細胞受容体アルファ定常-マイナス)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す(
図8Aに表されたものと同じデータ)。データを、共培養の3日目に収集した。共培養研究を、実施例8に記載する。
【0027】
【
図10B】
図10Bは、K562、RPMI8226、U266または培地のみと共培養した場合のCAR BCMA bb2121構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー1)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す(
図10Bに表されたものと同じデータ)。データを、共培養の3日目に収集した。共培養研究を、実施例8に記載する。
【0028】
【
図10C】
図10Cは、K562、RPMI8226、U266または培地のみと共培養した場合のDAR BCMA-2C5 V2a構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー1)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、共培養の3日目に収集した。共培養研究を、実施例8に記載する。
【0029】
【
図10D】
図10Dは、K562、RPMI8226、U266または培地のみと共培養した場合のDAR BCMA-2C5 V2c構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー1)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、共培養の3日目に収集した。共培養研究を、実施例8に記載する。
【0030】
【
図10E】
図10Eは、K562、RPMI8226、U266または培地のみと共培養した場合のDAR BCMA-2C5 V3a構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー1)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、共培養の3日目に収集した。共培養研究を、実施例8に記載する。
【0031】
【
図10F】
図10Fは、K562、RPMI8226、U266または培地のみと共培養した場合のDAR BCMA-2C5 V3b構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー1)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、共培養の3日目に収集した。共培養研究を、実施例8に記載する。
【0032】
【
図11】
図11は、
図10A~Eからのデータを使用して、トランスジェニックT細胞の増殖の倍数変化を示す棒グラフであり、ここで、トランスジェニックT細胞は、CAR bb2121構築物;DAR BCMA-2C5 V2c構築物;DAR BCMA-2C5 V3a構築物;またはDAR BCMA-2C5 V3b構築物を発現する。T細胞を、K562、RPMI8226またはU266細胞系と共培養した。データを、共培養の3日目に収集した。倍数変化増殖研究を、実施例8に記載する。
【0033】
【
図12】
図12は、RPMI8226標的細胞における、BCMA CARまたはBCMA DARを発現するT細胞(ドナー1)の細胞傷害パーセントを示すグラフである。ラインAは、陰性対照のTRAC-マイナスT細胞系(T細胞受容体アルファ定常-マイナス)を示し;ラインBは、DAR BCMA-2C5 V2c構築物を示し;ラインC(点線)は、CAR bb2121構築物を示し;ラインDは、DAR BCMA-2C5 V3a構築物を示し;ラインEは、DAR BCMA-2C5 V2b構築物を示し;ラインFは、CAR BCMA-2C5構築物を示す。細胞傷害研究を、実施例6に記載する。
【0034】
【
図13A】
図13Aは、BCMA-2C5二量体抗原受容体(DAR)構築物の3つの異なるバージョンを発現するT細胞(ドナー1)を比較する、
図5Aに示される同じBCMA-2C5二量体抗原受容体(DAR)構築物のフローサイトメトリー研究(13日目)の結果を示す。陰性対照は、
図5AからのTRAC-マイナスT細胞系である。さまざまなDAR構築物:DAR V2c構築物;DAR V3a構築物;およびDAR V3b構築物を発現するトランスジェニック細胞の比較を示す。データを、トランスフェクションの13日後に収集した。トランスフェクション効率および発現レベルのフローサイトメトリー研究を、実施例5に記載する。
【0035】
【
図13B】
図13Bは、
図13Aに記載される同じ細胞を使用する、抗BCMA CAR T細胞およびDAR T細胞の集団におけるセントラルメモリーT細胞の画分を検出するためのフローサイトメトリー研究の結果を示す。セントラルメモリーT細胞研究を、実施例9に記載する。
【0036】
【
図13C】
図13Cは、
図13Aに記載される同じ細胞を使用する、抗BCMA CAR T細胞およびDAR T細胞からT細胞疲弊マーカーのPD1およびTIM3を検出するためのフローサイトメトリー研究の結果を示す。T細胞疲弊研究を、実施例10に記載する。
【0037】
【
図14】
図14は、BCMAキメラ抗原受容体(CAR)構築物またはBCMA二量体抗原受容体(DAR)構築物の2つの異なるバージョンを発現するトランスジェニックT細胞(ドナー2)を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、トランスフェクションの11日後および15日の増殖の後に収集した。陰性対照は、非トランスジェニック活性化T細胞(ATC)である。別の陰性対照は、TRAC-マイナスT細胞系(T細胞受容体アルファ定常-マイナス)である。比較は、CAR BCMA-2C5構築物;DAR BCMA-2C5 V2a構築物;またはDAR BCMA-2C5 V3a構築物を発現するトランスジェニックT細胞を含む。トランスフェクション効率および発現レベルのフローサイトメトリー研究を、実施例5に記載する。
【0038】
【
図15】
図15は、RPMI8226標的細胞における、BCMA-2C5 CARまたはBCMA-2C5 DAR構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー2)の細胞傷害パーセントを示すグラフである。ラインAは、陰性対照のTRAC-マイナスT細胞系(T細胞受容体アルファ定常-マイナス)を示し;ラインBは、CAR BCMA-2C5構築物を発現するT細胞を示し;ラインCは、DAR BCMA-2C5 V3a構築物を発現するT細胞を示し;ラインDは、DAR BCMA-2C5 V2a構築物を発現するT細胞を示す。細胞傷害研究を、実施例6に記載する。
【0039】
【
図16A】
図16Aは、K562、RPMI8226、Rajiまたは培地のみと共培養した場合の陰性対照のTRAC-マイナスT細胞系(T細胞受容体アルファ定常-マイナス)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、共培養の6日目に収集した。共培養研究を、実施例8に記載する。
【0040】
【
図16B】
図16Bは、K562、RPMI8226、Rajiまたは培地のみと共培養した場合の非トランスジェニック活性化T細胞(ATC)(ドナー2)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、共培養の6日目に収集した。共培養研究を、実施例8に記載する。
【0041】
【
図16C】
図16Cは、K562、RPMI8226、Rajiまたは培地のみと共培養した場合のCAR BCMA-2C5構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー2)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、共培養の6日目に収集した。共培養研究を、実施例8に記載する。
【0042】
【
図16D】
図16Dは、DAR BCMA-2C5 V2a構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー2)の増殖能力を比較する(K562、RPMI8226、Rajiまたは培地のみと共培養した場合のBBZ)、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、共培養の6日目に収集した。共培養研究を、実施例8に記載する。
【0043】
【
図16E】
図16Eは、K562、RPMI8226、Rajiまたは培地のみと共培養した場合のDAR BCMA-2C5 V3a構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー2)の増殖能力を比較する、フローサイトメトリー研究の結果を示す。データを、共培養の6日目に収集した。共培養研究を、実施例8に記載する。
【0044】
【
図17】
図17は、CAR構築物またはBCMA-2C5由来の抗原結合領域を有する異なるDAR構築物のいずれかを発現するトランスジェニックT細胞(ドナー2)の増殖の倍数変化を示す棒グラフである。比較は、CAR BCMA-2C5構築物;DAR BCMA-2C5 V2a構築物;およびDAR BCMA-2C5 V3a構築物を発現するT細胞を含む。データを、共培養の6日目に収集した。倍数変化増殖研究を、実施例8に記載する。
【0045】
【
図18A】
図18Aは、異種移植マウスモデルにおけるBCMA DARを発現するT細胞の殺腫瘍活性の生物発光イメージングを示す(最長で処置後12週目まで)。生物発光腫瘍を有するマウスに、PBS緩衝液、TRAC-マイナスT細胞、またはDAR V2c、DAR V3bもしくはDAR V3aを含むBCMA-2C5 DAR構築物を発現するトランスジェニックT細胞を投与した。異種移植マウス研究を、実施例11に記載する。
【0046】
【
図18B】
図18Bは、
図18Aに記載される処置マウスから測定された総フラックス(光子/秒)を示すグラフである。ラインAは、DAR BCMA-2C5 V3aを示し;ラインBは、DAR BCMA-2C5 V3bを示し;ラインCは、DAR BCMA-2C5 V2cを示し;ラインDは、DAR BCMA-2C5 TRAC-マイナスT細胞を示し;ラインEは、PBS処置マウスを示す。実施例11を参照されたい。
【0047】
【
図18C】
図18Cは、
図18Aに記載されるマウスから得られた腫瘍成長阻害指数を列挙する表である。表は、最長で処置後8週目までに得られたデータを列挙する。実施例11を参照されたい。
【0048】
【
図18D】
図18Dは、
図18Aに記載されるマウスからの血液試料中で検出されたCD45陽性細胞の数を示すグラフである。グラフは、最長で処置後12週目までに得られたデータを示す。ラインAは、PBS処置マウスを示し;ラインBは、DAR BCMA-2C5 V2cを示し;ラインCは、TRAC-マイナスT細胞を示し;ラインDは、DAR BCMA-2C5 V3bを示し;ラインEは、DAR BCMA-2C5 V3aを示す。実施例11を参照されたい。
【0049】
【
図18E】
図18Eは、
図18Aに記載されるマウスからの血液試料中で検出されたDAR陽性細胞の数を示すグラフである。グラフは、最長で処置後12週目までに得られたデータを示す。ラインAは、TRAC-マイナスT細胞を示し;ラインBは、PBS処置マウスを示し;ラインCは、DAR BCMA-2C5 V2cを示し;ラインDは、DAR BCMA-2C5 V3bを示し;ラインEは、DAR BCMA-2C5 V3aを示す。実施例11を参照されたい。
【0050】
【
図18F】
図18Fは、
図18Aに記載されるマウスからの血液試料中で検出されたCD3陰性細胞の数を示すグラフである。グラフは、最長で処置後12週目までに得られたデータを示す。ラインAは、PBS処置マウスを示し;ラインBは、DAR BCMA-2C5 V2cを示し;ラインCは、TRAC-マイナスT細胞を示し;ラインDは、DAR BCMA-2C5 V3bを示し;ラインEは、DAR BCMA-2C5 V3aを示す。実施例11を参照されたい。
【0051】
【
図18G】
図18Gは、
図18Aに記載されるマウスからの血液試料中で検出されたCD3陽性細胞の数を示すグラフである。グラフは、最長で処置後12週目までに得られたデータを示す。ラインAは、PBS処置マウスを示し;ラインBは、DAR BCMA-2C5 V2cを示し;ラインCは、TRAC-マイナスT細胞を示し;ラインDは、DAR BCMA-2C5 V3aを示し;ラインEは、DAR BCMA-2C5 V3bを示す。実施例11を参照されたい。
【0052】
【
図18H】
図18Hは、
図18Aに記載されるマウスの生存率を示すグラフである。ラインAは、PBS処置マウスを示し;ラインBは、TRAC-マイナスT細胞を示し;ラインCは、DAR BCMA-2C5 V2cを示し;ラインDは、DAR BCMA-2C5 V3bを示し;ラインEは、DAR BCMA-2C5 V3aを示す。実施例11を参照されたい。
【0053】
【
図19A】
図19Aは、異種移植マウスモデルにおけるBCMA DARを発現するT細胞の殺腫瘍活性の生物発光イメージングを示す(最長で処置後12週目まで)。生物発光RPMI8226腫瘍を有するマウスに、PBS緩衝液、TRAC-マイナスT細胞、またはDAR BCMA-2C5 V3a構築物を発現するトランスジェニックT細胞の3つの異なる用量の1つを投与した。異種移植マウス研究を、実施例12に記載する。
【0054】
【
図19B】
図19Bは、
図19Aに記載される処置マウスから測定された総フラックス(光子/秒)を示すグラフである。グラフは、最長で処置後76日目までに得られたデータを示す。ラインAは、6×10
6個細胞のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示し;ラインBは、1.2×10
6個細胞のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示し;ラインCは、2.4×10
5個細胞のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示し;ラインDは、TRAC-マイナスT細胞を投与されたマウスを示し;ラインEは、PBSを投与されたマウスを示す。実施例12を参照されたい。
【0055】
【
図19C】
図19Cは、
図19Aに記載されるマウスから得られた腫瘍成長阻害指数を列挙する表である。表は、最長で処置後7週目までに得られたデータを列挙する。実施例12を参照されたい。
【0056】
【
図19D】
図19Dは、
図19Aに記載されるマウスからの血液試料中で検出されたCD45陽性細胞の数を示すグラフである。グラフは、最長で処置後65日目までに得られたデータを示す。ラインAは、PBS処置マウスを示し;ラインBは、TRAC-マイナスT細胞を示し;ラインCは、2.4×10
5個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示し;ラインDは、1.2×10
6個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示し;ラインEは、6×10
6個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示す。実施例12を参照されたい。
【0057】
【
図19E】
図19Eは、
図19Aに記載されるマウスからの血液試料中で検出されたDAR陽性細胞の数を示すグラフである。グラフは、最長で処置後65日目までに得られたデータを示す。ラインAは、PBS処置マウスを示し;ラインBは、TRAC-マイナスT細胞を示し;ラインCは、2.4×10
5個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示し;ラインDは、1.2×10
6個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示し;ラインEは、6×10
6個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示す。実施例12を参照されたい。
【0058】
【
図19F】
図19Fは、
図19Aに記載されるマウスからの血液試料中で検出されたCD3陰性細胞の数を示すグラフである。グラフは、最長で処置後65日目までに得られたデータを示す。ラインAは、PBS処置マウスを示し;ラインBは、TRAC-マイナスT細胞を示し;ラインCは、2.4×10
5個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示し;ラインDは、1.2×10
6個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示し;ラインEは、6×10
6個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示す。実施例12を参照されたい。
【0059】
【
図19G】
図19Gは、
図19Aに記載されるマウスからの血液試料中で検出されたCD3陽性細胞の数を示すグラフである。グラフは、最長で処置後65日目までに得られたデータを示す。ラインAは、PBS処置マウスを示し;ラインBは、2.4×10
5個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示し;ラインCは、1.2×10
6個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示し;ラインDは、TRAC-マイナスT細胞を投与されたマウスを示し;ラインEは、6×10
6個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示す。実施例12を参照されたい。
【0060】
【
図19H】
図19Hは、
図19Aに記載されるマウスの生存率を示すグラフである。ラインAは、PBSを投与されたマウスを示し;ラインBは、TRAC-マイナスT細胞を投与されたマウスを示し;ラインCは、1.2×10
6個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示し;ラインDは、1.2×10
6個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示し;ラインEは、6×10
6個のDAR BCMA-2C5 V3aを投与されたマウスを示す。実施例12を参照されたい。
【0061】
【
図20A】
図20Aは、異種移植マウスモデルにおけるBCMA DARを発現するT細胞の殺腫瘍活性の生物発光イメージングを示し、ここで、
図19Aに記載されるマウスを、RPMI8226生物発光腫瘍で再チャレンジしたが、追加のDAR T細胞は投与しなかった。生物発光データを、最長で再チャレンジ後7週目まで示す。異種移植マウス研究を、実施例13に記載する。
【0062】
【
図20B】
図20Bは、
図20Aに記載される腫瘍再チャレンジマウスからの血液試料中で検出されたCD45陽性細胞の数を示すグラフである。グラフは、最長で処置後65日目までに得られたデータを示す。ラインAは、RPMI腫瘍細胞で再チャレンジされたマウスを示し;ラインBは、PBSで再チャレンジされたマウスを示す。
【0063】
【
図20C】
図20Cは、
図20Aに記載される腫瘍再チャレンジマウスからの血液試料中で検出されたDAR陽性細胞の数を示すグラフである。グラフは、最長で処置後65日目までに得られたデータを示す。ラインAは、RPMI腫瘍細胞で再チャレンジされたマウスを示し;ラインBは、PBSで再チャレンジされたマウスを示す。
【0064】
【
図21】
図21は、野生型ヒトBCMA抗原、変異体-1ヒトBCMA抗原、変異体-2ヒトBCMA抗原、ヒトAPRIL抗原およびヒトBAFF抗原のアミノ酸配列を示す。
【0065】
【
図22】
図22は、抗BCMA-2C5重鎖可変領域、重鎖定常領域、軽鎖可変領域および軽鎖定常領域のアミノ酸配列を示す。
【0066】
【
図23】
図23は、抗BCMA-2E1、-BC4C9および-BC5C4の抗BCMA重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す。
【0067】
【
図24】
図24は、抗BCMA-BC6G8、-2D11および-2G2の抗BCMA重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す。
【0068】
【
図25】
図25は、抗BCMA-2D8および-2E8の抗BCMA重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す。
【0069】
【
図26】
図26は、抗BCMA-bb2121の抗BCMA重鎖可変領域、重鎖定常領域、軽鎖可変領域および軽鎖定常領域のアミノ酸配列を示す。
【0070】
【
図27】
図27は、CAR GSリンカー、CAR bb2121リンカー、CD8ヒンジ領域、CD28ヒンジ領域、CD8およびCD28ヒンジ領域、CD28膜貫通領域、CD8膜貫通領域、4-1BB膜貫通領域、ならびにCD3ゼータ膜貫通領域のアミノ酸配列を示す。
【0071】
【
図28】
図28は、4-1BB、CD28、OX40、CD3ゼータ(ITAM 1、2および3)、CD3ゼータITAM 1、CD3ゼータITAM 2およびCD3ゼータITAM 3についての細胞内領域のアミノ酸配列を示す。
【0072】
【
図29】
図29は、CAR細胞内ドメイン28Z、ならびにV1、V2a、V2b、V2c、V3a、V3bおよびV4についてのDAR細胞内ドメインのアミノ酸配列を示す。
【0073】
【
図30】
図30は、V3c、V2c-altおよびV3b-altについてのDAR細胞内ドメインのアミノ酸配列を示す。
【0074】
【
図31】
図31は、重鎖および軽鎖リーダー配列、ならびにT2A、P2A、E2AおよびF2Aを含む4つの異なる自己切断配列のアミノ酸配列を示す。
【0075】
【
図32】
図32は、CAR 28Z BCMA-2C5およびBCMA-bb2121のアミノ酸配列を示す。
【0076】
【
図33】
図33は、DAR V1 BCMA-2C5についての前駆体、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0077】
【
図34】
図34は、DAR V2a BCMA-2C5についての前駆体、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0078】
【
図35】
図35は、DAR V2b BCMA-2C5についての前駆体、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0079】
【
図36】
図36は、DAR V2c BCMA-2C5についての前駆体、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0080】
【
図37】
図37は、DAR V3a BCMA-2C5についての前駆体、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0081】
【
図38】
図38は、DAR V3b BCMA-2C5についての前駆体、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0082】
【
図39】
図39は、DAR V4 BCMA-2C5についての前駆体、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0083】
【
図40】
図40は、DAR V2a BCMA-bb2121についての前駆体、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
詳細な説明
定義:
【0085】
他に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、他に定義されなければ当業者によって通常理解される意味を有する。一般に、本明細書に記載される、細胞および組織培養の技法、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、トランスジェニック細胞の生成、タンパク質化学および核酸化学、ならびにハイブリダイゼーションに関する専門用語は、周知であり、当技術分野において通常使用されている。本明細書に提供される方法および技法は、他に指示されない限り、一般に、当技術分野において周知の従来の手順に従って、ならびに本明細書で引用および論述されるさまざまな一般的およびより具体的な参考文献に記載されるようにして行われる。例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates (1992)を参照されたい。Borrebaeck (ed) Antibody Engineering, 2nd Edition Freeman and Company, NY, 1995;McCafferty et al. Antibody Engineering, A Practical Approach IRL at Oxford Press, Oxford, England, 1996;およびPaul (1995) Antibody Engineering Protocols Humana Press, Towata, N.J., 1995;Paul (ed.), Fundamental Immunology, Raven Press, N.Y, 1993;Coligan (1991) Current Protocols in Immunology Wiley/Greene, NY;Harlow and Lane (1989) Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Press, NY;Stites et al. (eds.) Basic and Clinical Immunology (4th ed.) Lange Medical Publications, Los Altos, Calif.、およびそこで引用された参考文献;Coding Monoclonal Antibodies: Principles and Practice (2nd ed.) Academic Press, New York, N.Y., 1986ならびにKohler and Milstein Nature 256: 495-497, 1975を含む、多くの基本的な教科書が、標準的な抗体生成プロセスを記載している。本明細書に引用されるすべての参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。酵素反応および富化/精製技法も周知であり、製造者の仕様に従って、当技術分野で通常達成されるように、または本明細書に記載されるように、行われる。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学ならびに医薬および製薬化学に関連して使用される専門用語、ならびにそれらの実験室手順および技法は、当技術分野において周知であり、一般に使用されている。標準的な技法を、化学合成、化学分析、医薬品調製、製剤化および送達、ならびに患者の処置のために使用することができる。
【0086】
本明細書に提供される見出しは、本開示のさまざまな態様の限定ではなく、それらの態様は、全体として本明細書を参照することによって理解することができる。
【0087】
本明細書の文脈によって他に要求されない限り、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。単数形の「a」、「an」および「the」、ならびに任意の語の単数での使用は、明示的かつ明確に1つの指示対象に限定されない限り、複数の指示対象を含む。
【0088】
本明細書における選択肢(例えば、「または」)の使用は、選択肢の一方もしくは両方またはそれらの任意の組合せのいずれかを意味するように解釈されることが理解される。
【0089】
本明細書で使用される「および/または」という用語は、他のものとともに、または他のものなしで、指定された特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示を意味するように解釈されるべきである。例えば、本明細書で「Aおよび/またはB」などの語句において使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、Bおよび/またはC」などの語句において使用される「および/または」という用語は、以下の態様のそれぞれを包含することが意図される:A、BおよびC;A、BまたはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0090】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」および「含有する(containing)」という用語、ならびにそれらの文法的変形は、本明細書で使用される場合、リスト中の1つの項目または複数の項目が、列挙された項目を置換することができるか、またはそれらに追加することができる他の項目を排除しないように、非限定的であることが意図される。態様が「含む(comprising)」という言語とともに本明細書に記載されていようとも、「からなる(consisting of)」および/または「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で記載される他の類似の態様も提供されることが理解される。
【0091】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当業者によって決定される特定の値または組成に対して許容される誤差範囲内にある値または組成を指し、これは、一部分では、その値または組成を測定または決定する方法、すなわち、測定系の限界に依存する。例えば、「約」または「およそ」は、当技術分野における実施に従って、1または1を超える標準偏差内を意味し得る。あるいは、「約」または「およそ」は、測定系の限界に応じて、最大で10%までの範囲(すなわち、±10%)またはそれを超える範囲を意味し得る。例えば、約5mgは、4.5mgおよび5.5mgの間の任意の数を含むことができる。さらにまた、生物システムまたはプロセスに関して特に、この用語は、最大で1桁までの大きさ、または最大で5倍までの値を意味し得る。特定の値または組成が本開示に提供される場合、他に言及されない限り、「約」または「およそ」の意味は、その特定の値または組成に対する許容される誤差範囲内であると想定されるべきである。
【0092】
本明細書で使用される「ペプチド」、「ポリペプチド」、「ポリペプチド鎖」および「タンパク質」という用語ならびに他の関連する用語は、互換的に使用され、アミノ酸のポリマーを指し、任意の特定の長さに限定されない。ポリペプチドは、天然および非天然のアミノ酸を含み得る。ポリペプチドは、組換え形態または化学合成された形態を含む。ポリペプチドは、前駆体分子および成熟分子も含む。前駆体分子は、切断、例えば、分泌シグナルペプチドによるか、またはある特定のアミノ酸残基での非酵素的切断による切断にまだ供されていないものを含む。ポリペプチドには、切断を受けた成熟分子が含まれる。これらの用語は、ネイティブタンパク質、組換えタンパク質および人工タンパク質、タンパク質断片、ならびにタンパク質配列のポリペプチドアナログ(ムテイン、バリアント、キメラタンパク質および融合タンパク質など)だけでなく、翻訳後にまたは他に、共有結合的もしくは非共有結合的に修飾されたタンパク質も包含する。2つまたはそれよりも多くのポリペプチド(例えば、2~6、またはそれよりも多くのポリペプチド鎖)は、共有結合的および/または非共有結合的な会合を介して互いと会合して、ポリペプチド複合体を形成することができる。ポリペプチド鎖の会合は、ペプチドのフォールディングも含み得る。そのため、ポリペプチド複合体は、複合体を形成するポリペプチド鎖の数に応じて、二量体、三量体、四量体、またはそれよりも高次の複合体であり得る。2つのポリペプチド鎖を含む二量体抗原受容体(DAR)が、本明細書に記載される。
【0093】
本明細書で使用される「核酸」、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語ならびに他の関連する用語は、互換的に使用され、ヌクレオチドのポリマーを指し、任意の特定の長さに限定されない。核酸は、組換え形態および化学合成された形態を含む。核酸は、DNA分子(cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチドアナログ(例えば、ペプチド核酸および天然に存在しないヌクレオチドアナログ)を使用して作製されたDNAまたはRNAのアナログ、およびそれらのハイブリッドを含む。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得る。一実施形態では、本開示の核酸分子は、二量体抗原受容体(DAR)構築物、またはその断片もしくはscFV、誘導体、ムテインもしくはバリアントをコードする連続したオープンリーディングフレームを含む。一実施形態では、核酸は、1種類のポリヌクレオチド、または2種類もしくはそれよりも多くの異なる種類のポリヌクレオチドの混合物を含む。二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分をコードする核酸が、本明細書に記載される。第1の核酸(例えば、第1のポリペプチドをコードする)および第2の核酸(例えば、第2のポリペプチドをコードする)を含む実施形態に関して、第1の核酸および第2の核酸は、別々の分子として、または同じ連続する分子(例えば、第1および第2のコード配列を含有するプラスミドまたは他の構築物)内のいずれかで提供され得る。
【0094】
「回収する(recover)」または「回収(recovery)」または「回収する(recovering)」という用語および他の関連する用語は、宿主細胞の培養培地から、または宿主細胞溶解物から、または宿主細胞膜から、タンパク質(例えば、DARまたはその前駆体もしくは抗原結合性部分)を得ることを指す。一実施形態では、タンパク質は、宿主細胞から(例えば、哺乳動物宿主細胞から)発現したタンパク質の分泌を媒介する分泌シグナルペプチド(リーダーペプチド配列)配列に融合された組換えタンパク質として、宿主細胞によって発現される。分泌したタンパク質は、宿主細胞の培地から回収することができる。一実施形態では、タンパク質は、分泌シグナルペプチド配列が欠如している組換えタンパク質として、宿主細胞によって発現され、これは、宿主細胞溶解物から回収することができる。一実施形態では、タンパク質は、膜結合タンパク質として、宿主細胞によって発現され、これは、宿主細胞膜から発現したタンパク質を放出させる界面活性剤を使用して、回収することができる。一実施形態では、タンパク質を回収するために使用される方法に関わりなく、タンパク質は、回収されたタンパク質から細胞残屑を除去する手順に供すことができる。例えば、回収されたタンパク質は、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動および/または透析に供すことができる。一実施形態では、クロマトグラフィーは、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーおよび/またはシリカ上のクロマトグラフィーを含む手順の、いずれか1つ、または任意の組合せ、または2つもしくはそれよりも多くを含む。一実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーは、プロテインAまたはG(Staphylococcus aureus由来の細胞壁構成成分)を含む。
【0095】
「単離された」という用語は、他の細胞物質を実質的に含まないタンパク質(例えば、DAR、またはその前駆体もしくは抗原結合性部分)またはポリヌクレオチドを指す。タンパク質は、当技術分野において周知のタンパク質精製技法を使用して、単離によって、天然に関連する構成成分(または、DARを生成するために使用される細胞発現系もしくは化学合成法に関連する構成成分)を実質的に含まない状態になり得る。単離されたという用語は、一部の実施形態では、同じ種の他の分子、例えば、それぞれ異なるアミノ酸もしくはヌクレオチド配列を有する他のタンパク質またはポリヌクレオチドを実質的に含まないタンパク質またはポリヌクレオチドも指す。所望の分子の純度または均一性は、ゲル電気泳動などの低分解能の方法およびHPLCまたは質量分析などの高分解能の方法を含む、当技術分野において周知の技法を使用して、アッセイすることができる。一実施形態では、本開示の二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分の単離された前駆体ポリペプチドならびに第1および第2のポリペプチド鎖は、単離される。
【0096】
本明細書に記載される二量体抗原受容体(DAR)を含む抗体は、多様な抗原特異性を有する免疫グロブリンを含有する血清または血漿などの供給源から得ることができる。そのような抗体がアフィニティー精製に供される場合、それらは、特定の抗原特異性について富化され得る。抗体のそのような富化された調製物は、通常、特定の抗原に対する特異的結合活性を有する約10%未満の抗体で構成される。これらの調製物をアフィニティー精製の数回のラウンドに供すことで、抗原に対する特異的結合活性を有する抗体の割合を増加させることができる。この方法で調製される抗体は、多くの場合、「単一特異性」と称される。単一特異性抗体調製物は、特定の抗原に対する特異的結合活性を有する、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%または99.9%の抗体で構成され得る。抗体は、下記に記載される組換え核酸技術を使用して、生成することができる。
【0097】
「リーダー配列」または「リーダーペプチド」または「ペプチドシグナル配列」または「シグナルペプチド」または「分泌シグナルペプチド」という用語は、ポリペプチドのN末端に位置するペプチド配列を指す。リーダー配列は、ポリペプチド鎖を細胞分泌経路に導き、細胞膜の脂質二重層へのポリペプチドの組み込みおよび繋留を指示することができる。典型的には、リーダー配列は、約10~50アミノ酸長である。リーダー配列は、細胞質から小胞体への前駆体ポリペプチドの輸送を指示することができる。一実施形態では、リーダー配列としては、CD8α、CD28またはCD16リーダー配列を含むシグナル配列が挙げられる。一実施形態では、シグナル配列は、例えば、マウスまたはヒトIgガンマ分泌シグナルペプチドを含む哺乳動物の配列を含む。一実施形態では、リーダー配列は、マウスIgガンマリーダーペプチド配列MEWSWVFLFFLSVTTGVHS(配列番号90)を含む。
【0098】
本明細書で使用される「抗原結合タンパク質」および関連する用語は、抗原に結合する部分、および必要に応じて、抗原結合性部分が抗原結合タンパク質の抗原への結合を促進するコンフォメーションを採用するのを可能にするスキャフォールドまたはフレームワーク部分を含むタンパク質を指す。抗原結合タンパク質の例としては、二量体抗原受容体(DAR)、抗体、抗体断片(例えば、抗体の抗原結合性部分)、抗体誘導体および抗体アナログが挙げられる。抗原結合タンパク質は、例えば、グラフト化CDRまたはCDR誘導体を有する代替タンパク質スキャフォールドまたは人工スキャフォールドを含むことができる。そのようなスキャフォールドとしては、限定されるものではないが、例えば、抗原結合タンパク質の三次元構造を安定化するために導入された変異を含む抗体由来スキャフォールド、および例えば、生体適合性ポリマーを含む完全合成スキャフォールドが挙げられる。例えば、Korndorfer et al., 2003, Proteins: Structure, Function, and Bioinformatics, Volume 53, Issue 1:121-129; Roque et al., 2004, Biotechnol. Prog. 20:639-654を参照されたい。加えて、ペプチド抗体ミメティック(「PAM」)を使用することができるだけでなく、スキャフォールドとしてフィブロネクチン(fibronection)構成成分を利用する抗体ミメティックに基づくスキャフォールドも使用することができる。二量体抗原受容体(DAR)を含む抗原結合タンパク質が、本明細書に記載される。
【0099】
抗原結合タンパク質は、例えば、免疫グロブリンの構造を有することができる。一実施形態では、「免疫グロブリン」は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対で構成され、それぞれの対が1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する、四量体分子を指す。それぞれの鎖のアミノ末端部分は、抗原認識の主に原因となる約100~110またはそれよりも多くのアミノ酸の可変領域を含む。それぞれの鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能の主に原因となる定常領域を規定する。ヒト軽鎖は、カッパまたはラムダ軽鎖として分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファまたはイプシロンとして分類され、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとして抗体のアイソタイプを規定する。軽鎖および重鎖内で、可変領域および定常領域は、約12またはそれよりも多くのアミノ酸の「J」領域によって連結され、重鎖も、約10よりも多くのアミノ酸の「D」領域を含む。一般に、Fundamental Immunology Ch. 7 (Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y. (1989))を参照されたい(すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。重鎖および/または軽鎖は、分泌のためのリーダー配列を含んでいてもよく、または含んでいなくてもよい。それぞれの軽鎖/重鎖の対の可変領域は、無傷免疫グロブリンが2つの抗原結合部位を有するように、抗体結合部位を形成する。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、四量体免疫グロブリン分子とは異なるが、依然として、1つの標的抗原と結合するまたは2つもしくはそれよりも多くの標的抗原と結合する構造を有する合成分子であり得る。例えば、合成抗原結合タンパク質は、抗体断片、1~6もしくはそれよりも多くのポリペプチド鎖、ポリペプチドの非対称アセンブリー、または他の合成分子を含み得る。標的抗原(例えば、BCMA抗原)に特異的に結合する免疫グロブリン様特性を有する二量体抗原受容体(DAR)構造を有する抗原結合タンパク質が、本明細書に記載される。
【0100】
免疫グロブリン鎖の可変領域は、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる3つの超可変領域によって連結された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を示す。N末端からC末端に、軽鎖および重鎖は両方とも、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4のセグメントを含む。
【0101】
1つまたは複数のCDRは、共有結合的または非共有結合的のいずれかで分子に組み込まれて、それを抗原結合タンパク質にし得る。抗原結合タンパク質は、より大きなポリペプチド鎖の一部としてCDRを組み込んでもよく、別のポリペプチド鎖にCDRを共有結合的に連結してもよく、または非共有結合的にCDRを組み込んでもよい。CDRは、抗原結合タンパク質が特定の目的の抗原に特異的に結合することを可能にする。
【0102】
アミノ酸のそれぞれのドメインへの割当は、Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed., US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH, NIH Publication no. 91-3242, 1991のKabat et al.の定義に従う(「Kabat番号付け」)。免疫グロブリン鎖中のアミノ酸についての他の番号付けシステムとしては、IMGT.RTM.(international ImMunoGeneTics information system; Lefranc et al, Dev. Comp. Immunol. 29:185-203; 2005)およびAHo(Honegger and Pluckthun, J. Mol. Biol. 309(3):657-670; 2001);Chothia(Al-Lazikani et al., 1997 Journal of Molecular Biology 273:927-948);Contact(Maccallum et al., 1996 Journal of Molecular Biology 262:732-745)およびAho(Honegger and Pluckthun 2001 Journal of Molecular Biology 309:657-670)が挙げられる。
【0103】
本明細書で使用される「抗体」および「複数の抗体」ならびに関連する用語は、無傷免疫グロブリン、または抗原に特異的に結合するその抗原結合性部分を指す。抗原結合性部分は、組換えDNA技法によって、または無傷抗体の酵素的もしくは化学的切断によって、生成し得る。抗原結合性部分としては、とりわけ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ドメイン抗体(dAb)および相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、ならびに特異的な抗原結合をポリペプチドに付与するのに十分である免疫グロブリンの少なくとも一部分を含有するポリペプチドが挙げられる。
【0104】
抗体としては、組換え的に生成された抗体および抗原結合性部分が挙げられる。抗体としては、非ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト抗体が挙げられる。抗体としては、単一特異的、多重特異的(例えば、二重特異的、三重特異的およびより高次に特異的)が挙げられる。抗体としては、四量体抗体、軽鎖単量体、重鎖単量体、軽鎖二量体、重鎖二量体が挙げられる。抗体としては、F(ab’)2断片、Fab’断片およびFab断片が挙げられる。抗体としては、単一ドメイン抗体、一価抗体、一本鎖抗体、一本鎖可変断片(scFv)、ラクダ化抗体(camelized antibody)、アフィボディ(affibody)、ジスルフィド連結Fv(sdFv)、抗イディオタイプ抗体(抗Id)、ミニボディ(minibody)が挙げられる。抗体としては、モノクローナルおよびポリクローナルの集団が挙げられる。二量体抗原受容体(DAR)を含む抗体様分子が、本明細書に記載される。
【0105】
本明細書で使用される「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」または「抗原結合部位」および他の関連する用語は、抗原と相互作用し、抗原結合タンパク質の抗原に対する特異性および親和性に寄与するアミノ酸残基(または他の部分)を含有する、抗原結合タンパク質の一部分を指す。その抗原に特異的に結合する抗体について、これは、そのCDRドメインの少なくとも1つの少なくとも一部を含む。抗原結合ドメインを形成する抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域を有する二量体抗原受容体(DAR)が、本明細書に記載される。
【0106】
抗体または抗原結合タンパク質または抗体断片の文脈において本明細書で使用される場合、「特異的結合」、「特異的に結合する」または「特異的に結合している」という用語および他の関連する用語は、他の分子または部分と比べて、抗原への非共有結合的または共有結合的な優先的結合を指す(例えば、抗体は、他の利用可能な抗原と比べて、特定の抗原に特異的に結合する)。一実施形態では、抗体が、10-5Mもしくはそれよりも低い、または10-6Mもしくはそれよりも低い、または10-7Mもしくはそれよりも低い、または10-8Mもしくはそれよりも低い、または10-9Mもしくはそれよりも低い、または10-10Mもしくはそれよりも低い、または10-11Mもしくはそれよりも低い解離定数KDで抗原に結合する場合、抗体は、標的抗原に特異的に結合する。一実施形態では、それらの標的抗原(例えば、BCMA抗原)に特異的に結合する二量体抗原受容体(DAR)が、本明細書に記載される。
【0107】
一実施形態では、抗体または抗原結合タンパク質または抗体断片の結合特異性は、ELISA、放射免疫アッセイ(RIA)、電気化学発光アッセイ(ECL)、イムノラジオメトリックアッセイ(IRMA)、または酵素免疫アッセイ(EIA)によって、測定することができる。
【0108】
一実施形態では、解離定数(KD)は、BIACORE表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイを使用して、測定することができる。表面プラズモン共鳴は、例えば、BIACOREシステム(GE HealthcareのBiacore Life Sciences部門、Piscataway、NJ)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化の検出によって、リアルタイムの相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。
【0109】
本明細書で使用される「エピトープ」および関連する用語は、抗原結合タンパク質が(例えば、抗体またはその抗原結合性部分が)結合する抗原の一部分を指す。エピトープは、抗原結合タンパク質が結合する2つまたはそれよりも多くの抗原の部分を含むことができる。エピトープは、1つの抗原または2つもしくはそれよりも多くの抗原の非連続部分(例えば、抗原の一次配列中で連続しないが、抗原の三次構造および四次構造の文脈では、抗原結合タンパク質が結合するために互いに十分近い、アミノ酸残基)を含むことができる。一般には、抗体の可変領域、特にCDRが、エピトープと相互作用する。一実施形態では、BCMA抗原のエピトープと結合する二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分が、本明細書に記載される。
【0110】
本明細書で使用される「抗体断片」、「抗体部分」、「抗体の抗原結合性断片」または「抗体の抗原結合性部分」および他の関連する用語は、無傷抗体が結合する抗原と結合する無傷抗体の一部分を含む無傷抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、限定されるものではないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;Fd;およびFv断片、ならびにdAb;ダイアボディ;直鎖抗体;一本鎖抗体分子(例えば、scFv);特異的な抗原結合をポリペプチドに付与するのに十分である抗体の少なくとも一部分を含有するポリペプチドが挙げられる。抗体の抗原結合性部分は、組換えDNA技法によって、または無傷抗体の酵素的もしくは化学的切断によって、生成し得る。抗原結合性部分としては、とりわけ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ドメイン抗体(dAb)および相補性決定領域(CDR)断片、キメラ抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ならびに抗原結合特性を抗体断片に付与するのに十分である免疫グロブリンの少なくとも一部分を含有するポリペプチドが挙げられる。一実施形態では、ヒンジ、膜貫通および細胞内領域に連結されたFab断片を含む二量体抗原受容体が、本明細書に記載される。
【0111】
「Fab」、「Fab断片」という用語および他の関連する用語は、可変軽鎖領域(VL)、定常軽鎖領域(CL)、可変重鎖領域(VH)および第1の定常領域(CH1)を含む一価断片を指す。Fabは、抗原と結合することができる。F(ab’)2断片は、ヒンジ領域において、ジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片である。F(Ab’)2は、抗原結合能力を有する。Fd断片は、VHおよびCH1領域を含む。Fv断片は、VLおよびVH領域を含む。Fvは、抗原と結合することができる。dAb断片は、VHドメイン、VLドメイン、またはVHもしくはVLドメインの抗原結合性断片を有する(米国特許第6,846,634号および同第6,696,245号;米国特許出願公開第2002/02512号、同第2004/0202995号、同第2004/0038291号、同第2004/0009507号、同第2003/0039958号;ならびにWard et al., Nature 341:544-546, 1989)。一実施形態では、ヒンジ、膜貫通および細胞内領域に連結されたFab断片を含む二量体抗原受容体が、本明細書に記載される。
【0112】
一本鎖抗体(scFv)は、VLおよびVH領域が、リンカー(例えば、アミノ酸残基の合成配列)を介して連結されて、連続するタンパク質鎖を形成する、抗体である。一実施形態では、リンカーは、タンパク質鎖が、それ自体に対してフォールディングする(fold back)こと、および一価抗原結合部位を形成することを可能にするのに十分に長い(例えば、Bird et al., 1988, Science 242:423-26およびHuston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-83を参照されたい)。
【0113】
ダイアボディは、2つのポリペプチド鎖を含む二価抗体であり、ここで、それぞれのポリペプチド鎖は、同じ鎖における2つのドメイン間で対形成を可能にするには短すぎ、そのため、それぞれのドメインが別のポリペプチド鎖における相補的なドメインと対形成するのを可能にするリンカーによって連結されたVHおよびVLドメインを含む(例えば、Holliger et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-48およびPoljak et al., 1994, Structure 2:1121-23を参照されたい)。ダイアボディの2つのポリペプチド鎖が同一である場合、それらの対形成から得られるダイアボディは、2つの同一の抗原結合部位を有する。異なる配列を有するポリペプチド鎖は、2つの異なる抗原結合部位を有するダイアボディを作製するために使用することができる。同様に、トリボディ(tribody)およびテトラボディは、それぞれ、3つおよび4つのポリペプチド鎖を含む抗体であり、それぞれ、同じまたは異なり得る3つおよび4つの抗原結合部位を形成する。ダイアボディ、トリボディおよびテトラボディ構築物は、本明細書に記載される二量体抗原受容体(DAR)のいずれか由来の抗原結合性部分を使用して、調製することができる。
【0114】
「ヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する1つまたは複数の可変領域および定常領域を有する抗体を指す。一実施形態では、可変領域および定常ドメインのすべてが、ヒト免疫グロブリン配列に由来する(例えば、完全ヒト抗体)。これらの抗体は、組換え方法論によるか、またはヒト重鎖および/もしくは軽鎖のコード遺伝子に由来する抗体を発現するよう遺伝子改変されたマウスの目的の抗原による免疫化によることを含む、その例が下記に記載される、各種の方法で調製され得る。完全ヒト抗体重鎖可変領域および完全ヒト抗体軽鎖可変領域を含む二量体抗原受容体(DAR)が、本明細書に記載される。
【0115】
「ヒト化」抗体は、1つもしくは複数のアミノ酸置換、欠失および/または付加によって、非ヒト種に由来する抗体の配列と異なる配列を有する抗体を指し、その結果、ヒト化抗体は、それがヒト被験体に投与された場合に、非ヒト種抗体と比較して、免疫応答を誘導する可能性が低い、および/またはより重篤度が低い免疫応答を誘導する。一実施形態では、非ヒト種抗体の重鎖および/または軽鎖のフレームワークおよび定常ドメイン中のある特定のアミノ酸は、ヒト化抗体を生成するために変異される。別の実施形態では、ヒト抗体由来の定常ドメインは、非ヒト種の可変ドメインに融合される。別の実施形態では、非ヒト抗体の1つまたは複数のCDR配列中の1つまたは複数のアミノ酸残基は、それがヒト被験体に投与された場合に、非ヒト抗体の可能性がある免疫原性を低減するように変更され、ここで、変更されたアミノ酸残基は、抗体のその抗原への免疫特異的な結合に重要ではないか、または行われるアミノ酸配列に対する変更は、保存的変更であるかのいずれかであり、その結果、ヒト化抗体の抗原に対する結合は、非ヒト抗体の抗原に対する結合よりも著しく悪化しない。ヒト化抗体を作製する方法の例は、米国特許第6,054,297号、同第5,886,152号および同第5,877,293号に見出され得る。
【0116】
本明細書で使用される「キメラ抗体」という用語および関連する用語は、第1の抗体由来の1つまたは複数の領域、および1つまたは複数の他の抗体由来の1つまたは複数の領域を含有する抗体を指す。一実施形態では、CDRの1つまたは複数は、ヒト抗体に由来する。別の実施形態では、CDRのすべてが、ヒト抗体に由来する。別の実施形態では、1つよりも多くのヒト抗体由来のCDRは、キメラ抗体中で、混合され、適合される。例えば、キメラ抗体は、第1のヒト抗体の軽鎖由来のCDR1、第2のヒト抗体の軽鎖由来のCDR2およびCDR3、ならびに第3の抗体由来の重鎖由来のCDRを含んでいてもよい。別の例では、CDRは、ヒトおよびマウス、またはヒトおよびウサギ、またはヒトおよびヤギなどの異なる種が起源である。当業者は、他の組合せが可能であることを理解するだろう。
【0117】
さらに、フレームワーク領域は、同じ抗体の1つに、1つもしくは複数の異なる抗体、例えば、ヒト抗体に、またはヒト化抗体に由来していてもよい。キメラ抗体の一例では、重鎖および/または軽鎖の一部分は、特定の種由来の抗体または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体と同一であるか、それらと相同であるか、あるいはそれらに由来するが、鎖の残りは、別の種由来の抗体または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体と同一であるか、それらと相同であるか、あるいはそれらに由来する。所望の生物活性(すなわち、標的抗原と特異的に結合する能力)を示すそのような抗体の断片も含まれる。キメラ抗体は、二量体抗原受容体(DAR)のいずれかの部分、その抗原結合性部分から調製することができ、本明細書に記載される。
【0118】
本明細書で使用される場合、「バリアント」ポリペプチドおよびポリペプチドの「バリアント」という用語は、参照ポリペプチド配列と比べて、アミノ酸配列に挿入され、アミノ酸配列から欠失され、および/またはアミノ酸配列に置換された、1つまたは複数のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。ポリペプチドバリアントは、融合タンパク質を含む。同じ方法で、バリアントポリヌクレオチドは、別のポリヌクレオチド配列と比べて、ヌクレオチド配列に挿入され、ヌクレオチド配列から欠失され、および/またはヌクレオチド配列に置換された、1つまたは複数のヌクレオチドを有するヌクレオチド配列を含む。ポリヌクレオチドバリアントは、融合ポリヌクレオチドを含む。
【0119】
本明細書で使用される場合、ポリペプチドの「誘導体」という用語は、例えば、ポリエチレングリコール、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)などの別の化学的部分へのコンジュゲーション、リン酸化、およびグリコシル化を例えば介して、化学的に改変されたポリペプチド(例えば、抗体)である。他に指示されない限り、「抗体」という用語は、完全長重鎖および完全長軽鎖を含む抗体に加えて、その誘導体、バリアント、断片、およびムテインを含み、それらの例を、下記に記載する。
【0120】
「ヒンジ」という用語は、一般に、タンパク質の2つのドメイン間で見出され、構築物全体の柔軟性および互いに対してドメインの一方または両方の運動を可能にし得る、アミノ酸セグメントを指す。構造的には、ヒンジ領域は、約10~約100アミノ酸、例えば、約15~約75アミノ酸、約20~約50アミノ酸、または約30~約60アミノ酸を含む。一実施形態では、ヒンジ領域は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100アミノ酸長である。由来し得るヒンジ領域は、CD8ヒンジ領域もしくはその断片、CD8αヒンジ領域もしくはその断片、抗体(例えば、IgG、IgA、IgM、IgEまたはIgD抗体)のヒンジ領域、または抗体の定常ドメインCH1およびCH2を連結するヒンジ領域などの、天然に存在するタンパク質のヒンジ領域である。ヒンジ領域は、抗体に由来し得、抗体の1つもしくは複数の定常領域を含んでもよく、または含んでいなくてもよく、あるいはヒンジ領域は、抗体のヒンジ領域および抗体のCH3定常領域を含むか、あるいはヒンジ領域は、抗体のヒンジ領域ならびに抗体のCH2およびCH3定常領域を含むか、あるいはヒンジ領域は、天然に存在しないペプチドであるか、またはヒンジ領域は、scFvのC末端および膜貫通ドメインのN末端の間に配置される。一実施形態では、ヒンジ領域は、IgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4免疫グロブリン分子由来の上部、コアまたは下部のヒンジ配列を含む2つまたはそれよりも多くの領域のいずれか1つまたは任意の組合せを含む。一実施形態では、ヒンジ領域は、IgG1上部ヒンジ配列EPKSCDKTHT(配列番号91)を含む。一実施形態では、ヒンジ領域は、IgG1コアヒンジ配列
【化1】
(ここで、
【化2】
は、P、RまたはSである)(配列番号92)を含む。一実施形態では、ヒンジ領域は、下部ヒンジ/CH2配列PAPELLGGP(配列番号93)を含む。一実施形態では、ヒンジは、アミノ酸配列SVFLFPPKPKDT(配列番号94)を有するFc領域(CH2)に連結されている。一実施形態では、ヒンジ領域は、上部、コアおよび下部ヒンジのアミノ酸配列を含み、EPKSCDKTHTCPPCPAP ELLGGP(配列番号95)を含む。一実施形態では、ヒンジ領域は、少なくとも1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの鎖間ジスルフィド結合を形成することができる、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのシステインを含む。
【0121】
「Fc」または「Fc領域」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒンジ領域中またはその後で始まり、重鎖のC末端で終わる、抗体重鎖定常領域の部分を指す。Fc領域は、CH2およびCH3領域の少なくとも一部分を含み、ヒンジ領域の一部分を含んでいてもよく、または含んでいなくてもよい。Fc領域は、Fc細胞表面受容体および免疫補体系の一部のタンパク質と結合することができる。Fc領域は、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介性傷害(ADCC)、抗体依存性ファゴサイトーシス(ADP)、オプソニン化および/または細胞結合を含む、2つまたはそれよりも多くの活性のいずれか1つまたは任意の組合せを含むエフェクター機能を示す。一実施形態では、Fc領域は、これらの機能のいずれか1つまたは任意の組合せを増加または減少させる変異を含み得る。Fc領域は、FcγRI(例えば、CD64)、FcγRII(例えば、CD32)および/またはFcγRIII(例えば、CD16a)を含むFc受容体と結合することができる。Fc領域は、補体成分C1qと結合することができる。一実施形態では、Fcドメインは、エフェクター機能を低減するLALA-PG変異(例えば、L234A、L235A、P329Gに等価)を含む。一実施形態では、Fcドメインは、タンパク質複合体の血清半減期を媒介し、Fcドメイン中の変異は、タンパク質複合体の血清半減期を増加または減少させることができる。一実施形態では、Fcドメインは、タンパク質複合体の熱的安定性に影響を与え、Fcドメイン中の変異は、タンパク質複合体の熱的安定性を増加または減少させることができる。
【0122】
「標識された」という用語または関連する用語は、ポリペプチドに関連して本明細書で使用される場合、検出可能な標識または検出のための部分へのそれらの連結部(joinder)を指す。例示的な検出可能な標識または部分としては、放射性標識/部分、比色標識/部分、抗原標識/部分、酵素標識/部分、検出可能なビーズ(磁気または高電子密度(例えば、金)ビーズなど)、ビオチン、ストレプトアビジンまたはプロテインAが挙げられる。限定されるものではないが、放射性核種、蛍光体、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤およびリガンド(例えば、ビオチン、ハプテン)を含む、各種の標識を用いることができる。本明細書に記載される二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分のいずれも、非標識であり得るか、または検出可能な標識もしくは検出可能な部分に連結され得る。
【0123】
本明細書で使用される「同一性パーセント」または「相同性パーセント」および関連する用語は、2つのポリペプチド配列間または2つのポリヌクレオチド配列間の類似性の定量的測定値を指す。2つのポリペプチド配列間の同一性パーセントは、2つのポリペプチド配列のアライメントを最適化するために導入する必要があり得るギャップの数およびそれぞれのギャップの長さを考慮した、2つのポリペプチド配列間で共有されるアライメントされた位置の同一のアミノ酸の数の関数である。同様の方法で、2つのポリヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、2つのポリヌクレオチド配列のアライメントを最適化するために導入する必要があり得るギャップの数およびそれぞれのギャップの長さを考慮した、2つのポリヌクレオチド配列間で共有されるアライメントされた位置の同一のヌクレオチドの数の関数である。2つのポリペプチド配列間、または2つのポリヌクレオチド配列間の配列の比較および同一性パーセントの決定は、数学アルゴリズムを使用して達成されてもよい。例えば、2つのポリペプチド配列または2つのポリヌクレオチド配列の「同一性パーセント」または「相同性パーセント」は、そのデフォルトパラメータを使用して、GAPコンピュータプログラム(GCG Wisconsin Package、バージョン10.3(Accelrys、San Diego、Calif.)の一部)を使用して配列を比較することによって、決定されてもよい。試験配列に関して「Yと少なくともX%の同一性を有する配列を含む」などの表現は、上記に記載されるようにして配列Yにアライメントされる場合に、試験配列が、Yの残基の少なくともX%と同一の残基を含むことを意味する。
【0124】
一実施形態では、試験構築物(例えば、DAR)のアミノ酸配列は、本明細書に記載される所与の二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分を構成するポリペプチドのアミノ酸配列のいずれかと類似していてもよいが、必ずしも同一でなくてもよい。試験構築物およびポリペプチドの間の類似性は、本明細書に記載される二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分を構成するポリペプチドのいずれかと、少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であり得る。一実施形態では、類似のポリペプチドは、重鎖および/または軽鎖内にアミノ酸置換を含有することができる。一実施形態では、アミノ酸置換は、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換を含む。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基によって置換されるものである。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能特性を実質的に変化させない。2つまたはそれよりも多くのアミノ酸配列が、保存的置換によって互いに異なる場合、配列同一性パーセントまたは類似度は、置換の保存的性質について補正するために上方に調整される場合がある。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるPearson (1994) Methods Mol. Biol. 24: 307-331を参照されたい。類似の化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸の群の例としては、(1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン;(2)脂肪族-ヒドロキシル側鎖:セリンおよびトレオニン;(3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;(4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン;(5)塩基性側鎖:リシン、アルギニンおよびヒスチジン;(6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに(7)硫黄含有側鎖はシステインおよびメチオニンが挙げられる。
【0125】
「キメラ抗原受容体」または「CAR」という用語は、細胞内シグナル伝達ドメインに融合された細胞外抗原結合タンパク質を含む一本鎖融合タンパク質を指す。CAR細胞外結合ドメインは、ヒトモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体の可変重領域および軽領域を融合することに由来する一本鎖可変断片(scFvまたはsFv)である。一実施形態では、CARは、(i)重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、ここで、VHおよびVLドメインは、ペプチドリンカーによって互いに連結されている、抗原結合タンパク質;(ii)ヒンジドメイン;(iii)膜貫通ドメイン;ならびに(iv)細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内ドメインを含む。開示される構築物は、DARであり、これは、DARが標的化のために一本鎖抗体を使用しないが、代わりに、別個の重鎖および軽鎖可変ドメイン領域を使用する点で、CARと異なる。
【0126】
本明細書で使用される「ベクター」および関連する用語は、外来遺伝物質(例えば、核酸導入遺伝子)に作動可能に連結され得る核酸分子(例えば、DNAまたはRNA)を指す。ベクターは、外来遺伝物質を細胞(例えば、宿主細胞)に導入するためのビヒクルとして使用することができる。ベクターは、導入遺伝子のベクターへの挿入のための少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識配列を含むことができる。ベクターは、抗生物質耐性またはベクター-導入遺伝子構築物を有する宿主細胞の選択に役立つ選択可能な特徴を付与する少なくとも1つの遺伝子配列を含むことができる。ベクターは、一本鎖または二本鎖の核酸分子であり得る。ベクターは、直鎖状または環状の核酸分子であり得る。ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENまたはCRISPR/Casを用いる遺伝子編集法のために使用されるドナー核酸は、ベクターの一種であり得る。ベクターの1つの種類は、「プラスミド」であり、これは、導入遺伝子に連結することができ、宿主細胞中で複製することができ、導入遺伝子を転写および/または翻訳することができる、直鎖状または環状の二本鎖染色体外DNA分子を指す。ウイルスベクターは、典型的には、導入遺伝子に連結することができるウイルスのRNAまたはDNA骨格配列を含有する。ウイルス骨格配列は、感染を無効にするが、ウイルス骨格および共連結導入遺伝子の宿主細胞ゲノムへの挿入を保持するように修飾することができる。ウイルスベクターの例としては、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、バキュロウイルス、パポバウイルス、ワクシニアウイルス、単純ヘルペスウイルスおよびエプスタインバーウイルスのベクターが挙げられる。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞中で自律複製することができる(例えば、細菌複製起点を含む細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入の際に、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それによって、宿主ゲノムと一緒に複製される。
【0127】
「発現ベクター」は、誘導性プロモーターおよび/または構成的プロモーターならびにエンハンサーなどの1つまたは複数の調節配列を含有することができるベクターの一種である。発現ベクターは、リボソーム結合部位および/またはポリアデニル化部位を含むことができる。発現ベクターは、1つまたは複数の複製起点配列を含むことができる。調節配列は、宿主細胞に形質導入される発現ベクターに連結された導入遺伝子の転写、または転写および翻訳を指示する。調節配列は、導入遺伝子の発現のレベル、タイミングおよび/または場所を制御することができる。調節配列は、例えば、導入遺伝子に対するその効果を直接発揮することができ、または1つもしくは複数の他の分子(例えば、調節配列および/または核酸に結合するポリペプチド)の作用により発揮することができる。調節配列は、ベクターの一部であり得る。調節配列のさらなる例は、例えば、Goeddel, 1990, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif.およびBaron et al., 1995, Nucleic Acids Res. 23:3605-3606に記載されている。発現ベクターは、本明細書に記載される二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分のいずれかの少なくとも一部分をコードする核酸を含むことができる。
【0128】
導入遺伝子は、ベクターに含有される導入遺伝子配列の機能または発現を可能にする導入遺伝子およびベクターの間の連結が存在する場合、ベクターに「作動可能に連結されて」いる。一実施形態では、導入遺伝子は、調節配列が導入遺伝子の発現(例えば、発現のレベル、タイミングまたは場所)に影響を与える場合、調節配列に「作動可能に連結され」ている。
【0129】
本明細書で使用される「トランスフェクトされた」もしくは「形質転換された」もしくは「形質導入された」という用語または他の関連する用語は、外因性核酸(例えば、導入遺伝子)が宿主細胞に移入または導入されるプロセスを指す。「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」宿主細胞は、外因性核酸(導入遺伝子)を導入されたものである。宿主細胞は、初代対象細胞およびその子孫を含む。本明細書に記載される二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分のいずれかの少なくとも一部分をコードする外因性核酸は、宿主細胞に導入することができる。本明細書に記載される二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分のいずれかの少なくとも一部分を含む発現ベクターは、宿主細胞に導入することができ、宿主細胞は、本明細書に記載される二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分の少なくとも一部分を含むポリペプチドを発現することができる。
【0130】
「宿主細胞」もしくは「宿主細胞の集団」という用語または関連する用語は、本明細書で使用される場合、外来(外因性または導入遺伝子)核酸が導入されている細胞(またはその集団)を指す。外来核酸は、導入遺伝子に作動可能に連結された発現ベクターを含むことができ、宿主細胞を、核酸、および/または外来核酸(導入遺伝子)によってコードされたポリペプチドを発現させるために使用することができる。宿主細胞(またはその集団)は、培養細胞であり得るか、または被験体から抽出され得る。宿主細胞(またはその集団)は、継代の数を問わず、初代対象細胞およびその子孫を含む。宿主細胞(またはその集団)は、不死化細胞系を含む。子孫細胞は、親細胞と比較して、同一の遺伝物質を有していてもよく、または有していなくてもよい。宿主細胞は、子孫細胞を包含する。一実施形態では、宿主細胞は、本明細書に開示されるように、抗体を発現させるための任意の方法で改変、トランスフェクト、形質導入、形質転換および/または操作されている任意の細胞(その子孫を含む)を記載する。一例では、宿主細胞(またはその集団)は、本明細書に記載される所望の抗体またはその抗原結合性部分をコードする核酸に作動可能に連結された発現ベクターを導入され得る。宿主細胞およびその集団は、宿主のゲノムに安定に組み込まれた発現ベクターを有することができ、または染色体外発現ベクターを有することができる。一実施形態では、宿主細胞およびその集団は、数回の細胞分裂後に存在するか、または一時的に存在し、数回の細胞分裂後に消失する、染色体外ベクターを有することができる。
【0131】
トランスジェニック宿主細胞は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENS、メガヌクレアーゼ、またはCRISPR/Casを使用する遺伝子編集によるものを含む、周知のデザイナーヌクレアーゼを含む非ウイルス法を使用して、調製することができる。導入遺伝子は、ジンクフィンガーヌクレアーゼを使用して、宿主細胞のゲノムに導入することができる。ジンクフィンガーヌクレアーゼは、操作されたジンクフィンガーモチーフ由来のDNA結合ドメインに融合された制限エンドヌクレアーゼ(例えば、FokI)の非特異的エンドヌクレアーゼドメインをそれぞれ含有する、一対のキメラタンパク質を含む。DNA結合ドメインは、宿主のゲノム中の特異的な配列と結合するように操作することができ、エンドヌクレアーゼドメインは、二本鎖切断を行う。ドナーDNAは、導入遺伝子、例えば、本明細書に記載されるCARまたはDAR構築物をコードする核酸のいずれか、および宿主細胞のゲノム中の意図する挿入部位のいずれかの側にある領域に対して相同である隣接配列を持つ。宿主細胞のDNA修復機構は、相同的DNA修復による導入遺伝子の正確な挿入を可能にする。トランスジェニック哺乳動物宿主細胞は、ジンクフィンガーヌクレアーゼを使用して調製されている(米国特許第9,597,357号、同第9,616,090号、同第9,816,074号および同第8,945,868号)。トランスジェニック宿主細胞は、それらが、正確な導入遺伝子挿入を送達することができるDNA結合ドメインに融合された非特異的エンドヌクレアーゼドメインを含む点で、ジンクフィンガーヌクレアーゼと類似するTALEN(転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ)を使用して調製することができる。ジンクフィンガーヌクレアーゼと同様に、TALENも、宿主のDNAに二本鎖切断を導入する。トランスジェニック宿主細胞は、約12~40塩基対長の二本鎖DNA上の認識部位を認識する部位特異的かつまれな切断を行うエンドヌクレアーゼとして作用するメガヌクレアーゼを使用して調製することができる。メガヌクレアーゼとしては、真核単細胞生物のミトコンドリアおよび葉緑体中で最も頻繁に見出されるLAGLIDADGファミリー由来のものが挙げられる。ゲノムを改変するために使用されるメガヌクレアーゼ系の例は、例えば、米国特許第9,889,160号に記載されている。トランスジェニック宿主細胞は、CRISPR(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート)を使用して調製することができる。CRISPRは、標的特異的なドナーDNA組み込みのためのガイドRNAにカップリングされたCasエンドヌクレアーゼを用いる。ガイドRNAは、標的DNA中のgRNA結合領域の上流のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列を含有する保存されたマルチヌクレオチドを含み、Casエンドヌクレアーゼが二本鎖標的DNAを切断する宿主細胞標的部位にハイブリダイズする。ガイドRNAは、特異的な標的部位にハイブリダイズするように設計することができる。ジンクフィンガーヌクレアーゼおよびTALENと同様に、CRISPR/Cas系は、挿入部位に対して相同性を有する隣接配列を有するドナーDNAの部位特異的挿入を導入するために使用することができる。ゲノムを改変するために使用されるCRISPR/Cas系の例は、例えば、米国特許第8,697,359号、同第10,000,772号、同第9,790,490号および米国特許出願公開第2018/0346927号に記載されている。一実施形態では、トランスジェニック宿主細胞は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENまたはCRISPR/Cas系を使用して調製することができ、宿主標的部位は、TRAC遺伝子(T細胞受容体アルファ定常)であり得る。ドナーDNAは、例えば、本明細書に記載されるCARまたはDAR構築物をコードする核酸のいずれかを含むことができる。電気穿孔、ヌクレオフェクションまたはリポフェクションを、宿主細胞にドナーDNAをジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENまたはCRISPR/Cas系とともに共送達するために使用することができる。
【0132】
トランスジェニック宿主細胞は、宿主細胞(例えば、T細胞)をCARまたはDAR構築物をコードする核酸を運ぶレトロウイルスベクターで形質導入することによって調製することができる。形質導入は、本質的に、Ma et al., 2004 The Prostate 61:12-25;およびMa et al., The Prostate 74(3):286-296, 2014(それらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているようにして行うことができる。レトロウイルスベクターは、FuGene試薬(Promega、Madison、WI)を使用してPhoenix-Eco細胞系(ATCC)にトランスフェクトして、エコトロピックレトロウイルスを生成することができ、次いで、回収物の一過性ウイルス上清(エコトロピックウイルス)を使用して、PG13パッケージング細胞をGal-Vエンベロープで形質導入して、ヒト細胞を感染するレトロウイルスを生成することができる。PG13細胞からのウイルス上清は、CD3またはCD3/CD28活性化の2~3日後に、活性化T細胞(またはPBMC)を形質導入するために使用することができる。活性化ヒトT細胞は、正常な健康ドナーの末梢血単核細胞(PBMC)を、製造業者のマニュアルのように100ng/mlのマウス抗ヒトCD3抗体OKT3(Orth Biotech、Rartian、NJ)または抗CD3、抗CD28TransAct(Miltenyi Biotech、German)で、および300~1000U/mlのIL2で、5%FBSが追加補充されたAIM-V成長培地(GIBCO-Thermo Fisher scientific、Waltham、MA)中で2日間、活性化することによって調製することができる。およそ5×106個の活性化ヒトT細胞を、10ug/mlのレトロネクチン(Takara Bio USA)で事前にコーティングされた6ウェルプレート中、3mLのウイルス上清で形質導入し、1000gで約1時間、およそ32℃で遠心分離することができる。形質導入後、形質導入されたT細胞を、5%のFBSおよび300~1000U/mlのIL2が追加補充されたAIM-V成長培地中で増殖させることができる。
【0133】
宿主細胞は、原核生物、例えば、E.coliであり得、または真核生物、例えば、単細胞真核生物(例えば、酵母または他の真菌)、植物細胞(例えば、タバコまたはトマト植物細胞)、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞また昆虫細胞)もしくはハイブリドーマであり得る。一実施形態では、宿主細胞に、所望の抗体をコードする核酸に作動可能に連結された発現ベクターを導入し、それによって、トランスフェクト/形質転換された宿主細胞による抗体の発現に好適な条件下で培養されるトランスフェクト/形質転換された宿主細胞を作製することができ、必要に応じて、トランスフェクト/形質転換された宿主細胞から抗体を回収する(例えば、宿主細胞溶解物から回収する)、または培養培地から回収することができる。一実施形態では、宿主細胞は、CHO、BHK、NS0、SP2/0およびYB2/0を含む非ヒト細胞を含む。一実施形態では、宿主細胞は、HEK293、HT-1080、Huh-7およびPER.C6を含むヒト細胞を含む。宿主細胞の例としては、サル腎臓細胞のCOS-7系(ATCC CRL 1651)(Gluzman et al., 1981, Cell 23: 175を参照されたい)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、無血清培地で成長するVeggie CHOおよび関連する細胞系(Rasmussen et al., 1998, Cytotechnology 28:31を参照されたい)もしくはDHFRが欠損したCHO株DX-B11(Urlaub et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-20を参照されたい)などのチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞もしくはその派生物、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞系、アフリカミドリザル腎臓細胞系CV1に由来するCV1/EBNA細胞系(ATCC CCL 70)(McMahan et al., 1991, EMBO J. 10:2821を参照されたい)、293、293EBNAまたはMSR293などのヒト胎児腎臓細胞、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換された霊長類細胞系、正常な2倍体細胞、初代組織のin vitro培養物に由来する細胞株、初代外植片、HL-60、U937、HaKまたはJurkat細胞が挙げられる。一実施形態では、宿主細胞は、Y0、NS0またはSp20などのリンパ系細胞を含む。一実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物宿主細胞であるが、ヒト宿主細胞ではない。典型的には、宿主細胞は、ポリペプチドをコードする核酸(これは、その後、宿主細胞中で発現され得る)で形質転換またはトランスフェクトされ得る培養細胞である。「トランスジェニック宿主細胞」または「組換え宿主細胞」という語句は、発現されるか、もしくは発現されないかのいずれかの外因性核酸を導入された(例えば、形質導入された、形質転換された、またはトランスフェクトされた)宿主細胞を表すために使用することができる。宿主細胞はまた、核酸を含むが、調節配列が核酸と作動可能に連結されるように調節配列が宿主細胞に導入されない限り、所望のレベルで核酸を発現しない、細胞であり得る。宿主細胞という用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫または潜在的子孫も指すことが理解される。ある特定の改変が、例えば、変異または環境的影響に起因して後続の世代で起こり得るので、そのような子孫は、実際には、親細胞と同一でない場合があるが、本明細書で使用される用語の範囲内に依然として含まれる。二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分を含む1つもしくは複数のポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸に作動可能に連結されたベクター(例えば、発現ベクター)を有する宿主細胞または宿主細胞の集団が、本明細書に記載される。
【0134】
宿主細胞または宿主細胞の集団は、Tリンパ球(例えば、T細胞、調節性T細胞、ガンマ-デルタT細胞および細胞傷害性T細胞)、NK(ナチュラルキラー)細胞、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、Bリンパ球、単球を含む。一実施形態では、NK細胞は、臍帯血由来NK細胞または胎盤由来NK細胞を含む。
【0135】
本開示のポリペプチド(例えば、二量体抗原受容体(DAR))は、当技術分野において公知の任意の方法を使用して生成することができる。一例では、ポリペプチドは、宿主細胞に導入され、発現を促進する条件下で宿主細胞によって発現される組換え発現ベクターにポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、DNA)を挿入することによる、組換え核酸法によって生成される。
【0136】
組換え核酸操作のための一般的な技法は、例えば、Sambrook et al., in Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2 ed., 1989、またはF. Ausubel et al., in Current Protocols in Molecular Biology (Green Publishing and Wiley-Interscience: New York, 1987)、および定期的な改訂版に記載されており、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。ポリペプチドをコードする核酸(例えば、DNA)は、哺乳動物、ウイルスまたは昆虫遺伝子に由来する1つまたは複数の好適な転写調節エレメントまたは翻訳調節エレメントを運ぶ発現ベクターに作動可能に連結されている。そのような調節エレメントとしては、転写プロモーター、転写を制御するための必要に応じたオペレーター配列、好適なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列が挙げられる。発現ベクターは、宿主細胞中で複製能力を付与する複製起点を含むことができる。発現ベクターは、トランスジェニック宿主細胞(例えば、形質転換体)の認識を容易にするための選択を付与する遺伝子を含むことができる。
【0137】
組換えDNAは、タンパク質を精製するために有用であり得る任意の種類のタンパク質タグ配列をコードすることもできる。タンパク質タグの例としては、限定されるものではないが、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、mycタグ、HAタグまたはGSTタグが挙げられる。細菌、真菌、酵母および哺乳動物細胞宿主とともに使用するための適切なクローニングおよび発現ベクターは、Cloning Vectors: A Laboratory Manual, (Elsevier, N.Y., 1985)に見出すことができる。
【0138】
発現ベクター構築物は、宿主細胞に適切な方法を使用して、宿主細胞に導入することができる。限定されるものではないが、電気穿孔;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランまたは他の物質を用いるトランスフェクション;ウイルストランスフェクション;非ウイルストランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;および感染(例えば、ベクターが感染病原体である場合)を含む、宿主細胞に核酸を導入するための各種の方法が、当技術分野において公知である。好適な宿主細胞としては、原核生物、酵母、哺乳動物細胞または細菌細胞が挙げられる。
【0139】
好適な細菌としては、グラム陰性またはグラム陽性の生物、例えば、E.coliまたはBacillus spp.が挙げられる。酵母、例えば、S.cerevisiaeなどのSaccharomyces種由来の酵母も、ポリペプチドの産生のために使用され得る。さまざまな哺乳動物または昆虫細胞培養系も、組換えタンパク質を発現させるために用いることができる。昆虫細胞中での異種タンパク質の産生のためのバキュロウイルス系は、Luckow and Summers, (Bio/Technology, 6:47, 1988)によって概説されている。好適な哺乳動物宿主細胞系の例としては、内皮細胞、COS-7サル腎臓細胞、CV-1、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒト胎児腎臓細胞、HeLa、293、293TおよびBHK細胞系が挙げられる。精製されたポリペプチドは、組換えタンパク質を発現するための好適な宿主/ベクター系を培養することによって調製される。次いで、タンパク質は、培養培地または細胞抽出物から精製される。二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分を含むポリペプチド鎖のいずれかは、トランスジェニック宿主細胞によって発現され得る。
【0140】
本明細書に開示される抗体および抗原結合タンパク質は、細胞-翻訳系を使用して産生することもできる。そのような目的のために、ポリペプチドをコードする核酸は、mRNAを産生するためにin vitroでの転写を可能にするように、および用いられる特定の無細胞系(哺乳動物または酵母無細胞翻訳系などの真核生物、または細菌無細胞翻訳系などの原核生物)においてmRNAの無細胞翻訳を可能にするように、改変されなければならない。
【0141】
本明細書に開示されるさまざまなポリペプチドのいずれかをコードする核酸は、化学的に合成されてもよい。コドン使用を、細胞中での発現を改善するために、選択してもよい。そのようなコドン使用は、選択される細胞型に依存する。特殊化されたコドン使用パターンが、E.coliおよび他の細菌、ならびに哺乳動物細胞、植物細胞、酵母細胞および昆虫細胞について開発されている。例えば、Mayfield et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2003 100(2):438-42;Sinclair et al. Protein Expr. Purif. 2002 (1):96-105;Connell N D. Curr. Opin. Biotechnol. 2001 12(5):446-9;Makrides et al. Microbiol. Rev. 1996 60(3):512-38;およびSharp et al. Yeast. 1991 7(7):657-78を参照されたい。
【0142】
本明細書に記載される抗体および抗原結合タンパク質はまた、化学合成によって(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd ed., 1984, The Pierce Chemical Co., Rockford, Ill.に記載される方法によって)生成することができる。タンパク質に対する修飾も、化学合成によって生成することができる。
【0143】
本明細書に記載される抗体および抗原結合タンパク質は、タンパク質化学の分野において一般に公知のタンパク質のための単離/精製法によって精製することができる。非限定的な例としては、抽出、再結晶、塩析(例えば、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムによる)、遠心分離、透析、限外濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲル濾過、ゲル透過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動、向流分配またはこれらの任意の組合せが挙げられる。精製後、ポリペプチドは、限定されるものではないが、濾過および透析を含む、当技術分野で公知の各種の方法のいずれかによって、異なる緩衝液に交換されてもよく、および/または濃縮されてもよい。
【0144】
一実施形態では、トランスジェニックDAR T細胞の調製物は、二量体抗原受容体(DAR)構築物を発現するT細胞について富化することができる。例えば、抗BCMA DAR T細胞は、PBMCから調製して、非トランスジェニックT細胞およびトランスジェニックT細胞の混合物を含有するT細胞集団を作製することができる。抗BCMA DAR構築物を発現するトランスジェニックT細胞は、細胞選別(例えば、蛍光標識細胞分取)、勾配精製、または非トランスジェニックT細胞に対してトランスジェニックT細胞の増殖を優先的に誘導するために好適な培養法を使用して、非トランスジェニックT細胞のパーセントまたは数を低減するように富化することができる。一実施形態では、富化ステップは、非トランスジェニックT細胞と比較して、トランスジェニックDAR T細胞の数を、約2~5倍、または約5~10倍、または約10~15倍、または約15~20倍、または約20~50倍、またはそれよりも高い倍数の富化のレベルだけ増加させる。
【0145】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体および抗原結合タンパク質(例えば、DAR)は、翻訳後修飾をさらに含むことができる。例示的な翻訳後タンパク質修飾としては、リン酸化、アセチル化、メチル化、ADPリボシル化、ユビキチン化、グリコシル化、非フコシル化(afucosylation)、カルボニル化、SUMO化、ビオチン化、またはポリペプチド側鎖もしくは疎水性基の付加が挙げられる。結果として、修飾されたポリペプチドは、脂質、多糖または単糖およびホスフェートなどの非アミノ酸要素を含有し得る。一実施形態では、グリコシル化は、1つまたは複数のシアル酸部分をポリペプチドにコンジュゲートするシアリル化であり得る。シアル酸部分は、タンパク質の可能性がある免疫原性も低減しながら、溶解度および血清半減期を改善する。Raju et al. Biochemistry. 2001 31; 40(30):8868-76を参照されたい。
【0146】
本開示は、薬学的に許容される賦形剤との混合物中の、本明細書に記載される二量体抗原受容体(DAR)もしくはその抗原結合性部分またはトランスジェニック宿主細胞(例えば、DARを発現する)のいずれかを含む治療用組成物を提供する。賦形剤は、担体、安定剤および賦形剤を包含する。薬学的に許容される賦形剤の賦形剤としては、例えば、不活性な希釈剤または充填剤(例えば、スクロースおよびソルビトール)、滑沢剤、流動促進剤(glidant)および抗接着剤(anti-adhesive)(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水素化植物油またはタルク)が挙げられる。追加の例としては、緩衝化剤、安定剤、保存剤、非イオン性界面活性剤、抗酸化剤および等張化剤(isotonifier)が挙げられる。治療用組成物が細胞を含む場合、薬学的に許容される賦形剤は、細胞の生存度または活性を妨げないように選択される。
【0147】
治療用組成物およびそれらを調製するための方法は、当技術分野において周知であり、例えば、“Remington: The Science and Practice of Pharmacy” (20th ed., ed. A. R. Gennaro A R., 2000, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, Pa.)に見出される。治療用組成物は、非経口投与のために製剤化することができ、例えば、賦形剤、滅菌水、生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物起源の油、または水素化ナフタレンを含有してもよく、およびそれらを含有することができる。生体適合性の生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマーまたはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーが、本明細書に記載される抗体(またはその抗原結合タンパク質)の放出を制御するために使用されてもよい。ナノ粒子製剤(例えば、生分解性ナノ粒子、固体脂質ナノ粒子、リポソーム)が、抗体(またはその抗原結合タンパク質)の生体内分布を制御するために使用されてもよい。他の潜在的に有用な非経口送達システムとしては、エチレン-酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み可能な注入システムおよびリポソームが挙げられる。製剤中の抗体(またはその抗原結合タンパク質)の濃度は、投与される薬物の投薬量および投与の経路を含む多くの因子に応じて変わる。
【0148】
本明細書に記載される二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分のいずれかは、製薬産業において一般に使用される、非毒性の酸付加塩または金属錯体などの薬学的に許容される塩として投与されてもよい。酸付加塩の例としては、酢酸、乳酸、パモ酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸などのような有機酸;タンニン酸、カルボキシメチルセルロースなどのようなポリマー酸;および塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などのような無機酸が挙げられる。金属錯体は、亜鉛、鉄などを含む。一例では、DAR(またはその抗原結合性部分)は、熱的安定性を増加させるために酢酸ナトリウムの存在下で製剤化される。
【0149】
「被験体」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒト、ならびに脊椎動物、哺乳動物および非哺乳動物を含む非ヒト動物を指す。一実施形態では、被験体は、ヒト、非ヒト霊長類、サル、類人猿、ネズミ科(例えば、マウスおよびラット)、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ヤギ、オオカミ、カエルまたは魚であり得る。
【0150】
「投与すること」、「投与された」という用語および文法的変形は、当業者に公知のさまざまな方法および送達システムのいずれかを使用した、薬剤の被験体への物理的導入を指す。本明細書に開示される製剤のための例示的な投与の経路としては、例えば、注射または注入による、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口的な投与の経路が挙げられる。「非経口投与」という語句は、本明細書で使用される場合、通常、注射による、腸および局所投与以外の投与の様式を意味し、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入、ならびにin vivo電気穿孔が挙げられる。一実施形態では、製剤は、非経口ではない経路を介して、例えば、経口で投与される。他の非経口ではない経路としては、局所、上皮または粘膜の投与の経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下または局所が挙げられる。投与することは、例えば、1回、複数回、および/または1もしくは複数の長期間にわたって行うこともできる。本明細書に記載される二量体抗原受容体(DAR)またはその抗原結合性部分のいずれかは、当技術分野で公知の方法および送達経路を使用して、被験体に投与することができる。
【0151】
「有効量」、「治療有効量」もしくは「有効用量」という用語または関連する用語は、互換的に使用されてもよく、被験体に投与された場合に、腫瘍またはがん抗原発現に関連する疾患または障害の測定可能な改善または予防をもたらすのに十分である、本明細書に記載される二量体抗原受容体(DAR)のいずれかの量を指す。本明細書に提供されるDARの治療有効量は、単独または組み合わせて使用される場合に、抗体および組合せの相対活性(例えば、細胞成長の阻害における)に応じて、ならびに処置されている被験体および疾患状態、被験体の体重および年齢および性別、被験体における疾患状態の重症度、投与の様式などに応じて変わり、当業者によって容易に決定することができる。
【0152】
一実施形態では、治療有効量は、処置される被験体および処置される障害のある特定の態様に依存し、公知の技法を使用して、当業者によって確認され得る。一般に、DAR T細胞は、約103~104個細胞/kg、または約104~105個細胞/kg、または約105~106個細胞/kg、または約106~107個細胞/kg、または約107~108個細胞/kg、または約108~109個細胞/kg、または約109~1012個細胞/kgで被験体に投与することができる。DAR T細胞は、一回のみ、または毎日(例えば、毎日1回、2回、3回または4回)、またはより少ない頻度(例えば、毎週、2週間ごと、3週間ごと、毎月または四半期ごと)で投与することができる。加えて、当技術分野において公知であるように、年齢、ならびに体重、全体的な健康、性別、食事、投与の時期、薬物相互作用、および疾患の重症度についての調整が必要な場合がある。
【0153】
一実施形態では、治療有効量は、被験体に投与される約103~1012個のトランスジェニック宿主細胞の用量を含む。一実施形態では、トランスジェニック宿主細胞は、本明細書に記載されるDARのいずれかを構成するポリペプチド鎖を発現する1つまたは複数の発現ベクターを有する。治療有効量は、治療有効量を受ける被験体および処置される疾患/障害を考慮することによって決定することができ、これは、公知の技法を使用して、当業者によって確認され得る。治療有効量は、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与の時期、薬物相互作用、および疾患/障害の重症度などの被験体に付随する因子を考慮し得る。治療有効量は、トランスジェニック宿主細胞の純度を考慮してもよく、これは、約65~98%またはそれよりも高い純度のレベルであり得る。トランスジェニック宿主細胞の治療有効量は、少なくとも1回、または2回、3回、4回、5回もしくはそれよりも多くの回数を、一定期間にわたって、被験体に投与することができる。一定期間は、日ごと、週ごと、月ごと、または年ごとであり得る。被験体に投与されるトランスジェニック細胞の治療有効量は、それぞれの時に同じであり得るか、またはそれぞれの投与事象で増加もしくは減少させることができる。トランスジェニック細胞の治療有効量は、腫瘍サイズまたはがん細胞の数が、トランスジェニック宿主細胞の投与の前の腫瘍サイズまたはがん細胞の数と比較して、5%~90%またはそれよりも大きく低減されるまで、被験体に投与することができる。
【0154】
本開示は、1つまたは複数の腫瘍関連抗原の発現または過剰発現に関連する疾患/障害を有する被験体を処置するための方法を提供する。疾患は、例えば、BCMA抗原などの腫瘍関連抗原を発現するがんまたは腫瘍細胞を含む。一実施形態では、がんまたは腫瘍としては、前立腺、乳房、卵巣、頭頸部、膀胱、皮膚、結腸直腸、肛門、直腸、膵臓、肺(非小細胞肺がんおよび小細胞肺がんを含む)、平滑筋腫、脳、神経膠腫、神経膠芽腫、食道、肝臓、腎臓、胃、結腸、子宮頸部(cervix)、子宮、子宮内膜、外陰部、喉頭、腟、骨、鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭、口腔、中咽頭、喉頭、下喉頭(hypolarynx)、唾液腺、尿管、尿道、陰茎および精巣のがんが挙げられる。
【0155】
一実施形態では、がんは、白血病、リンパ腫、骨髄腫およびB細胞リンパ腫を含む血液がんを含む。血液がんとしては、多発性骨髄腫(MM)、バーキットリンパ腫(BL)を含む非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性Bリンパ球性白血病(B-CLL)、全身性エリテマトーデス(SLE)、急性BおよびTリンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、形質細胞骨髄腫、前駆B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、形質細胞腫、巨細胞骨髄腫、形質細胞骨髄腫、重鎖骨髄腫(heavy-chain myeloma)、軽鎖またはベンスジョーンズ骨髄腫、リンパ腫様肉芽腫症、移植後リンパ増殖性障害、免疫調節障害、関節リウマチ、重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー病、川崎病、自己免疫性溶血性貧血、および急速進行性糸球体腎炎、重鎖病、原発性または免疫細胞関連アミロイドーシス、ならびに意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症が挙げられる。
【0156】
二量体抗原受容体(DAR)
本開示は、膜貫通領域および細胞内領域に連結されたFab断片を含む二量体抗原受容体(DAR)を提供する。一実施形態では、DAR構築物は、Fab断片および膜貫通領域の間に必要に応じたヒンジ領域を含む。一部の実施形態では、本開示のDAR構造は、例えば、Fab型式の抗体を有するDAR構造を同じ抗体のscFv型式を有するCAR構造と比較することに基づくと予想外の驚くべき結果を提供する。また、DARおよびCAR型式は、ヒンジ領域、膜貫通領域および2つの細胞内領域が同じであり得るので、直接比較することができる。さらに、DAR型式は、標的抗原を発現する細胞への結合(例えば、特異的結合)、抗原誘導サイトカイン放出および/または抗原誘導細胞傷害において、対応するCAR型式と比べて優れた結果を提供することができる。
【0157】
本開示は、1つのポリペプチド鎖における重鎖結合領域、および別のポリペプチド鎖における軽鎖結合領域を含む二量体抗原受容体(DAR)構築物を提供する。二量体抗原受容体を構成する2つのポリペプチド鎖は、二量体化して、scFvと比較して、Fab構造をより密接に模倣するタンパク質複合体を形成することができる。二量体抗原受容体は、それらが標的抗原に特異的に結合するように、抗体様特性を有する。二量体抗原受容体(DAR)構築物では、1つのポリペプチド鎖における重鎖可変領域および定常領域は、介在するリンカー配列が欠如し得、別のポリペプチド鎖における軽鎖可変領域および定常領域も、介在するリンカー配列が欠如し得る。DARポリペプチド鎖における介在するリンカー配列の欠如は、可変重鎖領域および可変軽鎖領域の間に介在するリンカー配列を含有するscFvと比較して、免疫原性を低減し得る。二量体抗原受容体は、それらが標的抗原に特異的に結合するように、抗体様特性を有する。二量体抗原受容体は、指向性細胞療法のために使用することができる。
【0158】
本開示は、抗原結合細胞外部分、必要に応じたヒンジ部分、膜貫通部分ならびに共刺激領域および/または細胞内シグナル伝達領域を有する細胞内部分を有する抗BCMA二量体抗原受容体(DAR)構築物を発現するように操作されたトランスジェニックT細胞を提供する。細胞外部分は、BCMAを発現する病的造血細胞と結合するための高い親和性およびアビディティーを示し、正常細胞を残しながら、T細胞の活性化および病的細胞殺滅をもたらす。抗BCMA DAR構築物の細胞内部分は、抗原結合の際にT細胞活性化を媒介する共刺激領域および/またはシグナル伝達領域を含み、これは、メモリーT細胞の形成、T細胞の増殖(例えば、メモリーT細胞の増殖)の増強および/またはT細胞疲弊の低減をもたらし得る。メモリーT細胞の形成が、BCMA過剰発現を含む疾患を患う被験体における疾患の再発を予防するために重要であると推論される。強く迅速なエフェクター応答を生成するためのDAR構築物(例えば、細胞内CD28共刺激領域を含むDAR構築物)および/またはより長く続くメモリーT細胞集団を発生させるためのDAR構築物(例えば、細胞内4-1BB共刺激領域を含むDAR構築物)の設計における柔軟性を提供する、細胞内共刺激およびシグナル伝達領域の種類および数が異なるDAR構築物の複数の構成が本明細書に記載される。
【0159】
一実施形態では、抗BCMA DARを発現するトランスジェニックT細胞の集団は、ナイーブT細胞(TN)、またはメモリーT細胞(TM)への分化のさまざまな段階にある、抗原を経験したT細胞のいずれかであるCD4+およびCD8+T細胞の混合物を含む。メモリーT細胞(TM)の集団は、不均一で、その細胞受容体発現パターンが異なるセントラルメモリーT細胞(TCM)およびエフェクターメモリーT細胞(TEM)のサブセットの集団を含有しており、様々な程度の抗腫瘍効力、in vitro増殖能力およびin vivo持続を示し得る。一般に、ヒトナイーブT細胞(TN)における細胞受容体発現パターンは、CD62L+、CCR7+、CD45RA+、CD45RO-およびCD27+を含む。セントラルメモリーT細胞(TCM)は、CD62L+、CCR7+、CD45RA+、CD45RO+およびCD27+である。エフェクターメモリーT細胞(TEM)は、CD62L-、CCR7-、CD45RA-、CD45RO-およびCD27-である。一方、エフェクターT細胞(TE)は、CD62L-、CCR7-、CD45RO-およびCD27-である。抗原を経験したメモリーT細胞は、幹細胞様メモリーT細胞(TSCM)から、セントラルメモリーT細胞(TCM)に、エフェクターメモリーT細胞(TEM)に、最終的に、分化したエフェクターT細胞に分化すると推論される。セントラルメモリーT細胞(TCM)は、早期に分化した前駆細胞として分類され、自己で更新(再生)することができ、長寿命の幹細胞様T細胞メモリー特性を維持することができる。エフェクターメモリーT細胞(TEM)は、セントラルメモリーT細胞(TCM)よりも分化していると思われ、これは、最終的に、細胞傷害性であり、炎症性サイトカインを生じさせ、わずかな増殖能力を有する、分化したエフェクターT細胞(TE)に分化することができる。抗原刺激に応答して、CD8+セントラルメモリーT細胞(TCM)およびエフェクターメモリーT細胞(TEM)は、上昇したレベルのパーフォリンおよびグランザイム(例えば、グランザイムAおよび/またはB)を発現し、短命の細胞溶解性エフェクターT細胞(TE)に分化することができる。したがって、細胞溶解性エフェクターT細胞(TE)と比較して、抗腫瘍効力、増加したin vitro増殖能力およびin vivo持続を示す、増加したレベルのセントラルメモリーT細胞(TCM)およびエフェクターメモリーT細胞(TEM)を含有する抗BCMA DAR T細胞の集団を生じさせることが有利である。
【0160】
一実施形態では、本明細書に記載されるトランスジェニックDAR T細胞は、セントラルメモリーT細胞(TCM)およびエフェクターメモリーT細胞(TEM)の特徴的な細胞受容体発現パターンを示し、それらが抗腫瘍効力、in vitro増殖能力およびin vivo持続を示すように、in vivo養子移入にそれらを好適なものにする特性を有する、CD8+およびCD4+メモリーT細胞を含む。
【0161】
一実施形態では、トランスジェニック抗BCMA DAR T細胞は、腫瘍負荷を低減するために、BCMA抗原を過剰発現する腫瘍またはがんを有する被験体に投与することができる。一実施形態では、トランスジェニックDAR T細胞は、単回用量または複数回用量で、被験体に投与することができる。抗BCMA DAR T細胞は、被験体中で(例えば、in vivoで)増殖することができ、これは、メモリーT細胞の特性を有するDAR T細胞の存在と相関していてもよく、または相関していなくてもよい。一実施形態では、抗BCMA DAR T細胞は、単回用量後に、処置された被験体中でin vivoで増殖することができる。増殖は、処置後、数日、数週間、または数か月検出することができる。抗BCMA DAR T細胞は、被験体中で、処置後、数日、数週間、または数か月持続することができる。
【0162】
一実施形態では、被験体中のトランスジェニック抗BCMA DAR T細胞の機能の持続は、数日間、数週間、数か月間の長期の腫瘍免疫を付与する。持続のレベルは、動物モデルにおける腫瘍再チャレンジ実験を実施することによって評価することができる。例えば、抗BCMA DAR T細胞の単回用量を、原発性腫瘍負荷を有する少なくとも1頭の動物被験体に投与することができる。原発性腫瘍負荷が低減された後、動物を、二次腫瘍細胞で再チャレンジし、二次腫瘍負荷をモニターする。二次腫瘍成長(腫瘍の再発)の遅延または腫瘍消失は、抗BCMA DAR T細胞の単回用量が、in vivoで持続することを示し、長期のin vivo増殖を示し得る。遅延は、数日、数週間または数か月測定され得る。腫瘍処置のために抗BCMA DAR T細胞を受けるヒト被験体はまた、数日間、数週間または数か月間にわたり長期の腫瘍免疫から利益を得ることができる。
【0163】
一実施形態では、抗BCMA DARを発現するトランスジェニックT細胞の集団は、抗BCMA CAR(キメラ抗原受容体)を発現するトランスジェニックT細胞と比較して、T細胞疲弊のレベルの低減を示す。一実施形態では、DAR T細胞の集団中のDAR T細胞のパーセンテージの低減は、CAR T細胞の集団と比較して、T細胞疲弊を示す。T細胞疲弊は、持続する抗原刺激によって引き起こされる機能障害の状態を指す。CD8+およびCD4+DAR T細胞の両方で、疲弊は、PD-1、CTLA4、LAG3、TIM3、2B4/CD244/CD244/SLAMF4、CD160および/もしくはTIGITの2つまたはそれよりも多くの任意の組合せを含む、阻害性受容体の共発現によって特徴付けられる。DAR T細胞におけるT細胞疲弊は、IL-2産生の喪失、増殖能力および細胞傷害活性の大幅な低減または喪失によっても特徴付けられる。CD8+T細胞では、疲弊は、T細胞死をもたらし得る。T細胞疲弊は、後期T細胞分化を表すことが推論される。T細胞疲弊は、CAR T細胞療法の失敗の原因であると考えられる。
【0164】
一実施形態では、T細胞疲弊受容体マーカー(例えば、PD-1、CTLA4、LAG3、TIM3、2B4/CD244/CD244/SLAMF4、CD160および/またはTIGITの2つまたはそれよりも多くの任意の組合せ)を示すDAR T細胞の数は、同じT細胞疲弊受容体を示すCAR T細胞の数と比較して低減され、ここで、低減は、約2分の1、または約3分の1、または約4分の1、または約5分の1、またはそれよりも高い倍数の低減レベル、または約2分の1未満の低減レベルである。
【0165】
一実施形態では、抗BCMA DAR T細胞は、ナイーブT細胞またはメモリーT細胞の集団(例えば、セントラルメモリーT細胞またはエフェクターメモリーT細胞)の事前富化なしのポリクローナルT細胞集団(例えば、PBMC)から調製することができる。事前富化手順としては、細胞培養法、細胞選別(例えば、蛍光標識細胞分取)または勾配精製が挙げられ得る。
【0166】
トランスジェニック抗BCMA DAR T細胞を調製することができ、次いで、in vitroアッセイにおける将来の使用のため、または被験体への投与のために、保存することができる。一実施形態では、抗BCMA DAR T細胞は、数時間、数日間または数か月間、凍結保存条件下で保存することができる。一実施形態では、凍結保存された抗BCMA DAR T細胞を解凍することができ、解凍されたDAR T細胞は、凍結保存および解凍されていない新鮮な調製された抗BCMA DAR T細胞と比較して、同様のレベルの生存度および機能を維持する。一実施形態では、抗BCMA DAR T細胞は、約1~24時間凍結保存される。一実施形態では、抗BCMA DAR T細胞は、約1~30日間凍結保存される。一実施形態では、抗BCMA DAR T細胞は、約1~2か月間、または約2~3か月間、または約3~4か月間、または約4~5か月間、または約5~6か月間、または6か月間より長く凍結保存される。一実施形態では、抗BCMA DAR T細胞は、約-80~-100℃、または約-100~-150℃の温度範囲で凍結保存することができる。一実施形態では、凍結保存された抗BCMA DAR T細胞は、解凍することができ、生存度を維持することができ、ここで、解凍された細胞の約55~65%が生存しているか、または解凍された細胞の約65~75%、もしくは約75~85%、もしくは約85~95%、もしくは約95~99%が生存している。
【0167】
一実施形態では、抗BCMA DAR T細胞は、70%のAIM-V培地、20%のFBSおよび10%のDMSOを含む凍結培地中で凍結保存することができる。一実施形態では、約1×105~1×109個の抗BCMA DAR T細胞を、凍結培地中で凍結保存することができる。一実施形態では、抗BCMA DAR T細胞は、凍結培地に再懸濁させ、-80℃で終夜置き、次いで、保管のために-150℃に移すことができる。一実施形態では、抗BCMA DAR T細胞は、凍結培地に再懸濁させ、保管のために、-80℃または-150℃に直接置くことができる。一実施形態では、凍結保存された抗BCMA DAR T細胞を、解凍されるまで37℃に置き、次いで、使用のための準備まで氷上に置くことができる。
【0168】
本開示は、互いと会合して、BCMAタンパク質(例えば、標的抗原)と結合する抗原結合ドメインを形成する、第1および第2のポリペプチド鎖を有する二量体抗原受容体(DAR)構築物を提供する。一実施形態では、BCMAタンパク質は、ヒト、類人猿(例えば、チンパンジー)、サル(例えば、カニクイザル)、ネズミ科(例えば、マウスおよび/またはラット)、イヌ科(例えば、イヌ)および/またはネコ科(例えば、ネコ)由来である。一実施形態では、BCMAタンパク質は、ヒトBCMA(例えば、UniProt Q02223)を含む。一実施形態では、BCMAタンパク質は、野生型ヒト(例えば、配列番号1)または変異体ヒトBCMAタンパク質(例えば、配列番号2または3)を含む。一実施形態では、二量体抗原受容体(DAR)は、野生型ヒトBCMAタンパク質(配列番号1)またはその任意の部分と結合するが、変異体BCMAタンパク質(配列番号2および3)と結合しない。一実施形態では、二量体抗原受容体(DAR)構築物は、APRIL
【化3】
(例えば、UniProtKB O75888 TNF13ヒト、配列番号4)および/またはBAFF(例えば、UniProt Q9Y275 TN13Bヒト、配列番号5)と結合することができる。
【0169】
本開示は、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を有するDAR(二量体抗原受容体)構築物のための構造であって、第1のポリペプチド鎖が、抗体の重鎖可変領域を含み、第2のポリペプチド鎖が、抗体の軽鎖可変領域を含み、第1のポリペプチド鎖が、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖の両方が同じ細胞によって発現される場合に、形質導入された細胞の外側の領域で1つまたは複数のジスルフィド結合によって第2のポリペプチド鎖に連結されている、DAR構築物のための構造を提供する。一部の実施形態では、DAR構築物は、配列中に、可変ドメイン領域およびCH1領域を有する抗体重鎖、ヒンジ領域、膜貫通領域および2~5つのシグナル伝達ドメインを有する細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖、ならびに対応するCL/CK領域を有する抗体軽鎖可変ドメイン領域(カッパ(K)またはラムダ(L))を含む第2のポリペプチド鎖を含み、ここで、それぞれの第1および第2のポリペプチド鎖中のCH1およびCL/CK領域は、1つまたは2つのジスルフィド結合で連結されている(例えば、
図1AおよびBを参照されたい)。
【0170】
本開示は、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を有するDAR(二量体抗原受容体)構築物のための構造であって、第1のポリペプチド鎖が、抗体の軽鎖可変領域を含み、第2のポリペプチド鎖が、抗体の重鎖可変領域を含み、第1のポリペプチド鎖が、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖の両方が同じ細胞によって発現される場合に、形質導入された細胞の外側の領域で1つまたは複数のジスルフィド結合によって第2のポリペプチド鎖に連結されている、DAR構築物のための構造を提供する。一部の実施形態では、DAR構築物は、配列中に、対応するCL/CK領域を有する可変ドメイン領域(カッパ(K)またはラムダ(L))を有する抗体軽鎖、ヒンジ領域、膜貫通領域および2~5つのシグナル伝達ドメインを有する細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖、ならびに抗体重鎖可変ドメイン領域およびCH1領域を含む第2のポリペプチド鎖を含み、ここで、それぞれの第1および第2のポリペプチド鎖中のCL/CKおよびCH1領域は、1つまたは2つのジスルフィド結合で連結されている(例えば、
図2AおよびBを参照されたい)。
【0171】
一実施形態では、DAR構築物は、別のポリペプチド鎖上に抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、抗原結合ドメインを形成する。
【0172】
一実施形態では、ヒンジ領域は、約10~約100アミノ酸長である。一実施形態では、ヒンジ領域は、独立して、CD8ヒンジ領域またはその断片、CD8αヒンジ領域またはその断片、抗体の定常ドメインCH1およびCH2と連結している抗体(IgG、IgA、IgM、IgEまたはIgD)のヒンジ領域からなる群より選択される。ヒンジ領域は、抗体に由来し得、抗体の1つもしくは複数の定常領域を含んでいてもよく、または含んでいなくてもよい。
【0173】
一実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8α、CD8β、4-1BB/CD137、CD28、CD34、CD4、FcεRIγ、CD16、OX40/CD134、CD3ζ、CD3ε、CD3γ、CD3δ、TCRα、TCRβ、TCRζ、CD32、CD64、CD64、CD45、CD5、CD9、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD137、CD154、LFA-1 T細胞共受容体、CD2 T細胞共受容体/接着分子、CD40、CD40L/CD154、VEGFR2、FASおよびFGFR2Bからなる群より選択される膜タンパク質配列領域に由来し得る。
【0174】
一実施形態では、シグナル伝達領域は、CD3ゼータ鎖、4-1BB、CD28、CD27、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ卵母細胞機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、GITR(TNFRSF18)、DR3(TNFRSF25)、TNFR2、CD226およびそれらの組合せ由来のシグナル伝達領域からなる群より選択される。
【0175】
一実施形態では、二量体抗原受容体の一般設計は、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含み、ここで、第1のポリペプチド鎖は、二量体化領域に接続され、ヒンジ領域に接続され、膜貫通領域に接続され、細胞内配列領域の1つまたは複数に接続された抗原結合領域を含み、第2のポリペプチド鎖は、抗原結合ドメインおよび二量体化ドメインを含む。一実施形態では、第1および第2のポリペプチド鎖の一方または両方における抗原結合ドメインは、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、サイトカイン受容体の細胞外領域、単一ドメイン抗体、およびそれらの組合せからなる群より選択される。一実施形態では、第1および第2のポリペプチド鎖の一方または両方における二量体化ドメインは、カッパ軽鎖定常領域、ラムダ軽鎖定常領域、ロイシンジッパー、myc-max構成成分、およびそれらの組合せからなる群より選択される。
図1A~Bおよび2A~Bでは、「S-S」は、ジスルフィド結合、ロイシンジッパーまたはmyc-max構成成分を含む、第1および第2のポリペプチド鎖の二量体化をもたらす任意の化学結合または会合を表す。
【0176】
本開示は、二量体抗原受容体(DAR)構築物であって、第1のポリペプチド鎖が、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)を持ち、第2のポリペプチド鎖が、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)を持つ、二量体抗原受容体(DAR)構築物を提供する(例えば、
図1AおよびB)。一実施形態では、二量体抗原受容体(DAR)構築物は、(a)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域(VH)、(ii)抗体重鎖定常領域(CH)、(iii)必要に応じたヒンジ領域、(iv)膜貫通領域(TM)、および(v)細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖;(b)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域(VL)(例えば、カッパまたはラムダ)、および(ii)抗体軽鎖定常領域(CL)を含む第2のポリペプチド鎖を含む。
【0177】
本開示は、二量体抗原受容体(DAR)構築物であって、第1のポリペプチド鎖が、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)を持ち、第2のポリペプチド鎖が、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)を持つ、二量体抗原受容体(DAR)構築物を提供する(例えば、
図2AおよびB)。一実施形態では、二量体抗原受容体(DAR)構築物は、(a)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域(VL)、(ii)抗体軽鎖定常領域(CL)、(iii)必要に応じたヒンジ領域、(iv)膜貫通領域(TM)、および(v)細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖;(b)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域(VH)、および(ii)抗体重鎖定常領域(CH)を含む第2のポリペプチド鎖を含む。
【0178】
一実施形態では、
図1AおよびBならびに2AおよびBに示される二量体抗原受容体について、抗体重鎖定常領域(CH)および抗体軽鎖定常領域(CL)は、二量体化して、二量体化ドメインを形成することができる。一実施形態では、抗体重鎖定常領域および抗体軽鎖定常領域は、1つまたは2つのジスルフィド結合を介して二量体化する。
【0179】
一実施形態では、
図1AおよびBならびに
図2AおよびBに示される二量体抗原受容体について、抗体重鎖可変領域(VH)および抗体軽鎖可変領域(VL)は、互いと会合して、抗原結合ドメインを形成する。例えば、抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域は、抗体重鎖定常領域および抗体軽鎖定常領域が二量体化する時に、互いと会合する。
【0180】
一実施形態では、
図1AおよびBならびに2AおよびBに示される二量体抗原受容体について、抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域から形成される抗原結合ドメインは、標的抗原と結合する。
【0181】
一実施形態では、
図1AおよびBならびに2AおよびBに示される二量体抗原受容体について、抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域は、完全ヒト抗体領域、ヒト化抗体領域またはキメラ抗体領域である。
【0182】
一実施形態では、
図1AおよびBならびに2AおよびBに示される二量体抗原受容体について、ヒンジ領域は、約10~約100アミノ酸長である。一実施形態では、ヒンジ領域は、抗体(例えば、IgG、IgA、IgM、IgEまたはIgD)由来のヒンジ領域またはその断片を含む。一実施形態では、ヒンジ領域は、CD8(例えば、CD8α)および/もしくはCD28ヒンジ領域、またはそれらの断片を含む。一実施形態では、ヒンジ領域は、CPPCまたはSPPCアミノ酸配列を含む。一実施形態では、ヒンジ領域は、CD8およびCD28ヒンジ配列の両方(例えば、長いヒンジ領域)、CD8配列のみ(短いヒンジ)またはCD28ヒンジ配列のみ(例えば、短いヒンジ領域)を含む。一実施形態では、
図1AもしくはBまたは
図2AもしくはBに示される二量体抗原受容体のいずれかは、ヒンジ領域が欠如している。
【0183】
一実施形態では、
図1AおよびBならびに2AおよびBに示される二量体抗原受容体について、第1および第2のポリペプチド鎖の膜貫通領域は、独立して、CD8α、CD8β、4-1BB/CD137、CD28、CD34、CD4、FcεRIγ、CD16、OX40/CD134、CD3ζ、CD3ε、CD3γ、CD3δ、TCRα、TCRβ、TCRζ、CD32、CD64、CD64、CD45、CD5、CD9、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD137、CD154、LFA-1 T細胞共受容体、CD2 T細胞共受容体/接着分子、CD40、CD40L/CD154、VEGFR2、FASおよびFGFR2Bに由来し得る。
【0184】
一実施形態では、
図1AおよびBならびに2AおよびBに示される二量体抗原受容体について、第1のポリペプチドの細胞内領域は、4-1BB、CD3ゼータ、CD28、CD27、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、GITR(TNFRSF18)、DR3(TNFRSF25)、TNFR2、CD226およびそれらの組合せからの2~5つの細胞内配列の任意の順序および任意の組合せの、細胞内共刺激および/または細胞内シグナル伝達配列を含む。一実施形態では、細胞内領域は、CD28、4-1BBおよび/またはCD3ゼータ細胞内配列のいずれか1つまたはそれらのうちの2つもしくはそれよりも多くの任意の組合せを含む。一実施形態では、細胞内領域は、CD28共刺激およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達配列、または4-1BB共刺激およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達配列を含む。一実施形態では、細胞内シグナル伝達領域のCD3ゼータ部分は、ITAM(免疫受容活性化チロシンモチーフ)モチーフ1、2および3を含む(例えば、長いCD3ゼータ)。一実施形態では、細胞内シグナル伝達領域のCD3ゼータ部分は、ITAM 1、2または3のみなどのITAMモチーフ1つのみを含む(例えば、短いCD3ゼータ)。
【0185】
一実施形態では、二量体抗原受容体(
図1Aおよび1B)の第1のポリペプチド鎖は、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変領域を含む。一実施形態では、抗体重鎖定常領域は、ヒト抗体定常領域、例えば、ヒトCH1ドメインに由来する配列を含む。一実施形態では、抗体重鎖定常領域は、IgM、IgA、IgG、IgEまたはIgD抗体に由来し得る。一実施形態では、抗体重鎖定常領域は、配列番号7または29のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、抗体重鎖定常領域は、配列番号7または29のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ、または配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ、または配列番号36のCD28およびCD8ヒンジ配列を含むヒンジ領域(例えば、長いヒンジ)を含む。一実施形態では、第1のポリペプチドは、ヒンジ領域が欠如している。一実施形態では、膜貫通領域は、配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、細胞内領域は、配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2つまたはそれよりも多くの細胞内配列のいずれか1つまたは任意の組合せ由来のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号54もしくは56のアミノ酸配列を含むリーダー配列を含むか、または第1のポリペプチドは、リーダー配列が欠如している。
【0186】
一実施形態では、二量体抗原受容体(
図1Aおよび1B)の第2のポリペプチド鎖は、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域を含む。一実施形態では、抗体軽鎖定常領域は、ヒト軽鎖定常領域由来の配列を含む。一実施形態では、抗体軽鎖定常領域は、カッパまたはラムダ軽鎖定常領域由来の配列を含む。一実施形態では、抗体軽鎖定常領域は、配列番号11または31のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、抗体軽鎖定常領域は、配列番号11または31のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、配列番号55もしくは56のアミノ酸配列を含むリーダー配列を含むか、または第2のポリペプチドは、リーダー配列が欠如している。
【0187】
一実施形態では、二量体抗原受容体(
図2Aおよび2B)の第1のポリペプチド鎖は、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域を含む。一実施形態では、抗体軽鎖定常領域は、配列番号11または31のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ、または配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ、または配列番号36のCD28およびCD8ヒンジ配列を含むヒンジ領域(例えば、長いヒンジ)を含む。一実施形態では、第1のポリペプチドは、ヒンジ領域が欠如している。一実施形態では、膜貫通領域は、配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、細胞内領域は、配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2つまたはそれよりも多くの細胞内配列のいずれか1つまたは任意の組合せ由来のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号55もしくは56のアミノ酸配列を含むリーダー配列を含むか、または第1のポリペプチドは、リーダー配列が欠如している。
【0188】
一実施形態では、二量体抗原受容体(
図2Aおよび2B)の第2のポリペプチド鎖は、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変領域を含む。一実施形態では、抗体重鎖定常領域は、配列番号7または29のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、配列番号54もしくは56のアミノ酸配列を含むリーダー配列を含むか、または第2のポリペプチドは、リーダー配列が欠如している。
【0189】
本開示は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)を持つ第1のポリペプチド鎖、ならびに軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)を持つ第2のポリペプチド鎖を含むバージョン1(例えば、V1)二量体抗原受容体(DAR)構築物であって(例えば、
図1)、(a)第1のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域(VH)、(ii)抗体重鎖定常領域(CH)、(iii)CD8およびCD28ヒンジ配列(例えば、配列番号36)を含む長いヒンジ領域、(iv)CD28膜貫通配列(例えば、配列番号37)を含む膜貫通領域(TM)、ならびに(v)CD28共刺激配列(例えば、配列番号42)ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータシグナル伝達配列(例えば、配列番号44)を含む細胞内領域を含み;(b)第2のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域(VL)(例えば、カッパまたはラムダ)、および(ii)抗体軽鎖定常領域(CL)を含む、バージョン1(例えば、V1)二量体抗原受容体(DAR)構築物を提供する。一実施形態では、抗体重鎖可変領域(VH)は、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗BCMA重鎖可変領域を含み、抗体軽鎖可変領域(VL)は、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗BCMA軽鎖可変領域配列を含む。
【0190】
本開示は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)を持つ第1のポリペプチド鎖、ならびに軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)を持つ第2のポリペプチド鎖を含むバージョン2(例えば、V2)二量体抗原受容体(DAR)構築物であって(例えば、
図1および2)、(a)第1のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域(VH)、(ii)抗体重鎖定常領域(CH)、(iii)CD28ヒンジ配列(例えば、配列番号35)を含む短いヒンジ領域、(iv)CD28膜貫通配列(例えば、配列番号37)を含む膜貫通領域(TM)、ならびに(v)(1)4-1BB共刺激配列(例えば、配列番号41)ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号44)、または(2)CD28(例えば、配列番号42)シグナル伝達配列ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号44)、または(3)4-1BB(例えば、配列番号41)シグナル伝達配列ならびにCD28(例えば、配列番号42)シグナル伝達配列ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号44)のいずれかを含む細胞内領域を含み;(b)第2のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域(VL)(例えば、カッパまたはラムダ)、および(ii)抗体軽鎖定常領域(CL)を含む、バージョン2(例えば、V2)二量体抗原受容体(DAR)構築物を提供する。
【0191】
一実施形態では、バージョン2a(V2a)DAR構築物は、4-1BB共刺激配列(例えば、配列番号41)ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号44)を有する細胞内領域を含む。
【0192】
一実施形態では、バージョン2b(V2b)DAR構築物は、CD28(例えば、配列番号42)シグナル伝達配列ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号44)を有する細胞内領域を含む。
【0193】
一実施形態では、バージョン2c(V2c)DAR構築物は、4-1BB(例えば、配列番号41)シグナル伝達配列ならびにCD28(例えば、配列番号42)シグナル伝達配列ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号44)を有する細胞内領域を含む。
【0194】
一実施形態では、DAR V2aおよびV2bは、第二世代のDAR構築物であるが、DAR V2cは、第三世代のDAR構築物である。
【0195】
一実施形態では、DAR V2a、V2bおよびV2c構築物において、抗体重鎖可変領域(VH)は、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗BCMA重鎖可変領域を含み、抗体軽鎖可変領域(VL)は、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗BCMA軽鎖可変領域配列を含む。
【0196】
本開示は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)を持つ第1のポリペプチド鎖、ならびに軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)を持つ第2のポリペプチド鎖を含むバージョン3a、3bおよび3c(例えば、V3a、V3bおよびV3c)二量体抗原受容体(DAR)構築物であって(例えば、
図1)、(a)第1のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域(VH)、(ii)抗体重鎖定常領域(CH)、(iii)CD28ヒンジ配列(例えば、配列番号35)を含む短いヒンジ領域、(iv)CD28膜貫通配列(例えば、配列番号37)を含む膜貫通領域(TM)、ならびに(v)4-1BB共刺激配列(例えば、配列番号41)およびITAMモチーフ3のみを有するCD3ゼータシグナル伝達配列(例えば、配列番号47)を含む細胞内領域を含み;(b)第2のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域(VL)(例えば、カッパまたはラムダ)、および(ii)抗体軽鎖定常領域(CL)を含む、バージョン3a、3bおよび3c(例えば、V3a、V3bおよびV3c)二量体抗原受容体(DAR)構築物を提供する。
【0197】
一実施形態では、バージョン3a(V3a)DAR構築物は、4-1BB共刺激配列(例えば、配列番号41)およびITAMモチーフ3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号47)を有する細胞内領域を含む。
【0198】
一実施形態では、バージョン3b(V3b)DAR構築物は、CD28(例えば、配列番号42)シグナル伝達配列およびITAMモチーフ3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号47)を有する細胞内領域を含む。
【0199】
一実施形態では、バージョン3c(V3c)DAR構築物は、4-1BB(例えば、配列番号41)シグナル伝達配列およびCD28(例えば、配列番号42)シグナル伝達配列およびITAMモチーフ3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号47)を有する細胞内領域を含む。
【0200】
一実施形態では、DAR V3aおよびV3bは、第二世代のDAR構築物であるが、DAR V3cは、第三世代のDAR構築物である。
【0201】
一実施形態では、DAR V3a、V3bおよびV3c構築物において、抗体重鎖可変領域(VH)は、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗BCMA重鎖可変領域を含み、抗体軽鎖可変領域(VL)は、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗BCMA軽鎖可変領域配列を含む。一実施形態では、DARバージョン3b(例えば、V3b)は、CD28共刺激配列(例えば、配列番号42)を含む第三世代のDAR構築物である。
【0202】
本開示は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)を持つ第1のポリペプチド鎖、ならびに軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)を持つ第2のポリペプチド鎖を含むバージョン4(例えば、V4)二量体抗原受容体(DAR)構築物であって、(a)第1のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域(VH)、(ii)抗体重鎖定常領域(CH)、(iii)CD28膜貫通配列(例えば、配列番号37)を含む膜貫通領域(TM)、ならびに(iv)4-1BB共刺激配列(例えば、配列番号41)およびITAMモチーフ3のみを有するCD3ゼータシグナル伝達配列(例えば、配列番号47)を含む細胞内領域を含み;(b)第2のポリペプチド鎖が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域(VL)(例えば、カッパまたはラムダ)、および(ii)抗体軽鎖定常領域(CL)を含む、バージョン4(例えば、V4)二量体抗原受容体(DAR)構築物を提供する。DAR V4構築物は、ヒンジ配列が欠如している。一実施形態では、DAR V4構築物において、抗体重鎖可変領域(VH)は、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗BCMA重鎖可変領域を含み、抗体軽鎖可変領域(VL)は、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗BCMA軽鎖可変領域配列を含む。
【0203】
前駆体ポリペプチド
本開示は、前駆体ポリペプチドを提供する。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、プロセシングされて、会合/アセンブルして二量体抗原受容体(DAR)構築物を形成する第1および第2のポリペプチド鎖になり得る。自己切断配列を含む本明細書に記載される前駆体ポリペプチドの実施形態のいずれかでは、自己切断配列は、T2A、P2A、E2AまたはF2A配列であり得る。一部の実施形態では、自己切断配列は、T2A配列以外である、例えば、自己切断配列は、P2A、E2AまたはF2A配列である。
【0204】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー配列、(ii)抗体重鎖可変領域、(iii)抗体重鎖定常領域、(iv)必要に応じたヒンジ領域、(v)膜貫通領域、(vi)細胞内領域、(vii)自己切断配列、(viii)軽鎖リーダー配列、(ix)抗体軽鎖可変領域、および(x)抗体軽鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドを提供する(
図3AおよびB)。非限定的な例では、細胞内領域は、4-1BB、CD3ゼータおよび/またはCD28の少なくとも2つの任意の組合せを含む(
図3AおよびB)。当業者は、他の細胞内共刺激および/またはシグナル伝達配列の組合せが可能であることを理解するだろう。自己切断配列は、リボソームスキッピング、および2つの別々のポリペプチドを生じるタンパク質翻訳の再開を促進するアミノ酸配列である。一実施形態では、前駆体ポリペプチドの集団は、自己切断配列で切断されたか、または切断されていないポリペプチドの混合物、ならびに/あるいは重鎖および/もしくは軽鎖リーダー配列で切断されたか、または切断されていないポリペプチドの混合物を含む。
【0205】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー配列、(ii)抗体軽鎖可変領域、(iii)抗体軽鎖定常領域、(iv)必要に応じたヒンジ領域、(v)膜貫通領域、(vi)細胞内領域、(vii)自己切断配列、(viii)重鎖リーダー配列、(ix)抗体重鎖可変領域、および(x)抗体重鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドを提供する(
図4AおよびB)。非限定的な例では、細胞内領域は、4-1BB、CD3ゼータおよび/またはCD28の少なくとも2つの任意の組合せを含む(
図4AおよびB)。当業者は、他の細胞内共刺激および/またはシグナル伝達配列の組合せが可能であることを理解するだろう。自己切断配列は、リボソームスキッピング、および2つの別々のポリペプチドを生じるタンパク質翻訳の再開を促進するアミノ酸配列である。一実施形態では、前駆体ポリペプチドの集団は、自己切断配列で切断されたか、または切断されていないポリペプチドの混合物、ならびに/あるいは重鎖および/もしくは軽鎖リーダー配列で切断されたか、または切断されていないポリペプチドの混合物を含む。
【0206】
一実施形態では、
図3AおよびBならびに
図4AおよびBに示される前駆体ポリペプチドについて、重鎖および軽鎖リーダー配列は、細胞の分泌経路へポリペプチド鎖(例えば、第1および第2のポリペプチド鎖)を標的化し、細胞膜の脂質二重層へのポリペプチドの組み込みおよび繋留を可能にする、ペプチドシグナル配列を含む。重鎖および軽鎖リーダー配列は、宿主細胞の細胞質から小胞体への前駆体ポリペプチドの輸送を指示することができる。重鎖および軽鎖リーダー配列は、小胞体から細胞膜の脂質二重層への前駆体ポリペプチドの輸送を指示することができる。重鎖および軽鎖リーダー配列は、CD8α、CD28またはCD16リーダー配列を含むシグナル配列を含む。
【0207】
一実施形態では、
図3AおよびBならびに
図4AおよびBに示される前駆体ポリペプチドについて、前駆体ポリペプチドのN末端は、第1のペプチドシグナル配列(例えば、重鎖または軽鎖リーダー配列)を含む。
【0208】
一実施形態では、
図3AおよびBならびに
図4AおよびBに示される前駆体ポリペプチドについて、前駆体ポリペプチドは、切断配列の後に位置する第2のペプチドシグナル配列(例えば、重鎖または軽鎖リーダー配列)を含むことができる。
【0209】
一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、切断配列で切断され得、それによって、それらのN末端にペプチドシグナル配列をそれぞれ有する第1および第2のポリペプチド鎖を生じさせることができる。
【0210】
一実施形態では、
図3AおよびBならびに
図4AおよびBに示される前駆体ポリペプチドについて、前駆体ポリペプチドのプロセシングは、前駆体を第1および第2のポリペプチド鎖に切断すること、前駆体を分泌させること、および/または前駆体を細胞膜に繋留することを含む。
【0211】
一実施形態では、
図3AおよびBならびに
図4AおよびBに示される前駆体ポリペプチドについて、前駆体ポリペプチド鎖が切断されて、第1および第2のポリペプチド鎖が生じた後、抗体重鎖定常領域(CH)(ポリペプチド鎖の一方のもの)および抗体軽鎖定常領域(CL)(他方のポリペプチド鎖のもの)は、二量体化して、二量体化ドメインを形成することができる。一実施形態では、抗体重鎖定常領域および抗体軽鎖定常領域は、1つまたは2つのジスルフィド結合を介して二量体化する(例えば、
図1AおよびBならびに2AおよびBを参照されたい)。
【0212】
一実施形態では、
図3AおよびBならびに
図4AおよびBに示される前駆体ポリペプチドについて、前駆体ポリペプチド鎖が切断されて、第1および第2のポリペプチド鎖が生じた後、抗体重鎖可変領域(VH)(ポリペプチド鎖の一方のもの)および抗体軽鎖可変領域(VL)(他方のポリペプチド鎖のもの)は、互いと会合して、抗原結合ドメインを形成する。例えば、抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域は、抗体重鎖定常領域および抗体軽鎖定常領域が二量体化する時に、互いと会合する(例えば、
図1AおよびBならびに2AおよびBを参照されたい)。
【0213】
一実施形態では、
図3AおよびBならびに
図4AおよびBに示される前駆体ポリペプチドについて、抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域から形成される抗原結合ドメインは、標的抗原と結合する。
【0214】
一実施形態では、
図3AおよびBならびに
図4AおよびBに示される前駆体ポリペプチドについて、抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域は、完全ヒト、ヒト化またはキメラである抗体領域を含む。
【0215】
一実施形態では、
図3AおよびBならびに
図4AおよびBに示される前駆体ポリペプチドについて、ヒンジ領域は、約10~約100アミノ酸長である。一実施形態では、ヒンジ領域は、抗体(例えば、IgG、IgA、IgM、IgEまたはIgD)由来のヒンジ領域またはその断片を含む。一実施形態では、ヒンジ領域は、CD8(例えば、CD8α)もしくはCD28ヒンジ領域、またはそれらの断片を含む。一実施形態では、ヒンジ領域は、CPPCまたはSPPCアミノ酸配列を含む。一実施形態では、ヒンジ領域は、CD8およびCD28ヒンジ配列の両方(例えば、長いヒンジ領域)、CD8配列のみ(短いヒンジ)またはCD28ヒンジ配列のみ(例えば、短いヒンジ領域)を含む。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、ヒンジ領域が欠如している。
【0216】
一実施形態では、
図3AおよびBならびに
図4AおよびBに示される前駆体ポリペプチドについて、前駆体ポリペプチド鎖の膜貫通領域は、CD8α、CD8β、4-1BB/CD137、CD28、CD34、CD4、FcεRIγ、CD16、OX40/CD134、CD3ζ、CD3ε、CD3γ、CD3δ、TCRα、TCRβ、TCRζ、CD32、CD64、CD64、CD45、CD5、CD9、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD137、CD154、LFA-1 T細胞共受容体、CD2 T細胞共受容体/接着分子、CD40、CD40L/CD154、VEGFR2、FASおよびFGFR2Bに由来し得る。
【0217】
一実施形態では、
図3AおよびBならびに
図4AおよびBに示される前駆体ポリペプチドについて、第1のポリペプチドの細胞内領域は、4-1BB、CD3ゼータ、CD28、CD27、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、GITR(TNFRSF18)、DR3(TNFRSF25)、TNFR2および/またはCD226を含む2~5つの細胞内配列の任意の順序および任意の組合せの、細胞内シグナル伝達および/または細胞内共刺激配列を含む。一実施形態では、細胞内領域は、CD28、4-1BBおよび/またはCD3ゼータのいずれか1つまたはそれらのうちの2つもしくはそれよりも多くの任意の組合せ由来の配列を含む。一実施形態では、細胞内領域は、CD28およびCD3ゼータ細胞内配列、または4-1BBおよびCD3ゼータ細胞内配列を含む。一実施形態では、細胞内領域のCD3ゼータ部分は、ITAM(免疫受容活性化チロシンモチーフ)モチーフ1、2および3を含む(例えば、長いCD3ゼータ)。一実施形態では、細胞内領域のCD3ゼータ部分は、ITAM 1、2または3のみなどのITAMモチーフ1つのみを含む(例えば、短いCD3ゼータ)。
【0218】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域;(i)配列番号54または56のアミノ酸配列を含む重鎖リーダー配列;(ii)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(iii)配列番号7または29のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖定常領域;(iv)配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ領域、および必要に応じて、配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ;(v)配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列を含む膜貫通領域;(vi)配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2つまたはそれよりも多くの細胞内配列のいずれか1つまたは任意の組合せを含む細胞内領域;(vii)配列番号57、58、59または60のアミノ酸配列のいずれか1つを含む自己切断配列;(viii)配列番号55または56のアミノ酸配列を含む軽鎖リーダー配列;(ix)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;ならびに(x)配列番号11または31のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドを提供する。一実施形態では、全長前駆体ポリペプチドは、配列番号63、66、69、72、75、78、81または84のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、自己切断配列で切断されて、第1および第2のポリペプチド鎖を放出すること、および前駆体を分泌させること、および/または前駆体を細胞膜に繋留することによって、プロセシングされ得る。第1および第2のポリペプチド鎖は、抗体重鎖定常領域および抗体軽鎖定常領域の間の少なくとも1つのジスルフィド結合を介して二量体化することができ、抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域は、BCMA抗原と結合する抗原結合ドメインを形成することができる。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、ヒンジ領域が欠如している。
【0219】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号55または56のアミノ酸配列を含む軽鎖リーダー配列;(ii)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;(iii)配列番号11または31のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖定常領域;(iv)配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ領域、および必要に応じて、配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ;(v)配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列を含む膜貫通領域;(vi)配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2つまたはそれよりも多くの細胞内配列のいずれか1つまたは任意の組合せを含む細胞内領域;(vii)配列番号57、58、59または60のアミノ酸配列のいずれか1つを含む自己切断配列;(viii)配列番号54または56のアミノ酸配列を含む重鎖リーダー配列;(ix)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;ならびに(x)配列番号7または29のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドを提供する。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、自己切断配列で切断されて、第1および第2のポリペプチド鎖を放出すること、および前駆体を分泌させること、および/または前駆体を細胞膜に繋留することによって、プロセシングされ得る。第1および第2のポリペプチド鎖は、抗体重鎖定常領域および抗体軽鎖定常領域の間の少なくとも1つのジスルフィド結合を介して二量体化することができ、抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域は、BCMA抗原と結合する抗原結合ドメインを形成することができる。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、ヒンジ領域が欠如している。
【0220】
二量体抗原受容体をコードする核酸および関連分子
本開示は、本明細書に記載される、第1のポリペプチド鎖、第2のポリペプチド鎖、第1および第2のポリペプチド鎖、二量体抗原受容体または前駆体ポリペプチドのいずれかをコードする核酸を提供する。自己切断配列を含む前駆体ポリペプチドをコードする本明細書に記載される核酸の実施形態のいずれかでは、自己切断配列は、T2A、P2A、E2AまたはF2A配列であり得る。一部の実施形態では、自己切断配列は、T2A配列以外である、例えば、自己切断配列は、P2A、E2AまたはF2A配列である。
【0221】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー領域、(ii)抗体重鎖可変領域、(iii)抗体重鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、(vi)2~5つの細胞内配列を有する細胞内領域、(vii)自己切断配列領域、(viii)軽鎖リーダー領域、(ix)抗体軽鎖可変領域(例えば、カッパまたはラムダ)、および(x)抗体軽鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドをコードする核酸を提供する。一実施形態では、核酸は、
図3AまたはBに例示される前駆体ポリペプチドをコードする。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、ヒンジ領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、重鎖リーダー領域および/または軽鎖リーダー領域が欠如している。
【0222】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域;(i)配列番号54または56のアミノ酸配列を含む重鎖リーダー配列;(ii)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(iii)配列番号7または29のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖定常領域;(iv)配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ領域、および必要に応じて、配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ;(v)配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列を含む膜貫通領域;(vi)配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2つまたはそれよりも多くの細胞内配列のいずれか1つまたは任意の組合せを含む細胞内領域;(vii)配列番号57、58、59または60のアミノ酸配列のいずれか1つを含む自己切断配列;(viii)配列番号55または56のアミノ酸配列を含む軽鎖リーダー配列;(ix)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;ならびに(x)配列番号11または31のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドをコードする核酸を提供する。一実施形態では、核酸は、
図3AまたはBに例示される前駆体ポリペプチドをコードする。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、ヒンジ領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、重鎖リーダー領域および/または軽鎖リーダー領域が欠如している。
【0223】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー領域、(ii)抗体軽鎖可変領域(例えば、カッパまたはラムダ)、(iii)抗体軽鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、(vi)2~5つの細胞内配列を有する細胞内領域、(vii)自己切断配列領域、(viii)重鎖リーダー領域、(ix)抗体重鎖可変領域、および(x)抗体重鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドをコードする核酸を提供する。一実施形態では、核酸は、
図4AまたはBに例示される前駆体ポリペプチドをコードする。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、ヒンジ領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、重鎖リーダー領域および/または軽鎖リーダー領域が欠如している。
【0224】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号55または56のアミノ酸配列を含む軽鎖リーダー配列;(ii)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;(iii)配列番号11または31のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖定常領域;(iv)配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ領域、および必要に応じて、配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ;(v)配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列を含む膜貫通領域;(vi)配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2つまたはそれよりも多くの細胞内配列のいずれか1つまたは任意の組合せを含む細胞内領域;(vii)配列番号57、58、59または60のアミノ酸配列のいずれか1つを含む自己切断配列;(viii)配列番号54または56のアミノ酸配列を含む重鎖リーダー配列;(ix)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;ならびに(x)配列番号7または29のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドをコードする核酸を提供する。一実施形態では、核酸は、
図4AまたはBに例示される前駆体ポリペプチドをコードする。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、ヒンジ領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、重鎖リーダー領域および/または軽鎖リーダー領域が欠如している。
【0225】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー領域、(ii)抗体重鎖可変領域、(iii)抗体重鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸を提供する。一実施形態では、第1の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している第1のポリペプチドをコードする。一実施形態では、第1の核酸は、ヒンジ領域が欠如している第1のポリペプチドをコードする。一実施形態では、第1の核酸は、
図1AまたはBに例示される第1のポリペプチド鎖をコードする。
【0226】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー領域、(ii)抗体軽鎖可変領域(例えば、カッパまたはラムダ)、および(iii)抗体軽鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸を提供する。一実施形態では、第2の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチドをコードする。一実施形態では、第2の核酸は、
図1AまたはBに例示される第2のポリペプチド鎖をコードする。
【0227】
一実施形態では、核酸は、(a)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー配列、(ii)抗体重鎖可変領域、(iii)抗体重鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)2~5つの細胞内配列を有する細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖;ならびに(b)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域(例えば、カッパまたはラムダ)、および(ii)抗体軽鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖を含む、第1および第2のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、単一の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している第1のポリペプチドをコードし、および/または単一の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチドをコードする。一実施形態では、単一の核酸は、ヒンジ領域が欠如している第1のポリペプチドをコードする。一実施形態では、単一の核酸は、
図1AまたはBに例示される第1および第2のポリペプチド鎖をコードする。
【0228】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー領域、(ii)抗体軽鎖可変領域(例えば、カッパまたはラムダ)、(iii)抗体軽鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸を提供する。一実施形態では、第1の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している第1のポリペプチドをコードする。一実施形態では、第1の核酸は、ヒンジ領域が欠如している第1のポリペプチドをコードする。一実施形態では、第1の核酸は、
図2AまたはBに例示される第1のポリペプチド鎖をコードする。
【0229】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー領域、(ii)抗体重鎖可変領域、および(iii)抗体軽鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸を提供する。一実施形態では、第2の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチドをコードする。一実施形態では、第2の核酸は、
図2AまたはBに例示される第2のポリペプチド鎖をコードする。
【0230】
一実施形態では、核酸は、(a)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー配列、(ii)抗体軽鎖可変領域(例えば、カッパまたはラムダ)、(iii)抗体軽鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)2~5つの細胞内配列を有する細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖;ならびに(b)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域、および(ii)抗体重鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖を含む、第1および第2のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、単一の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している第1のポリペプチドをコードし、および/または単一の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチドをコードする。一実施形態では、単一の核酸は、ヒンジ領域が欠如している第1のポリペプチドをコードする。一実施形態では、単一の核酸は、
図2AまたはBに例示される第1および第2のポリペプチド鎖をコードする。
【0231】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(ii)配列番号7または29のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖定常領域;(iii)配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ領域、および必要に応じて、配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ;(iv)配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列を含む膜貫通領域;ならびに(v)配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2つまたはそれよりも多くの細胞内配列のいずれか1つまたは任意の組合せ由来のアミノ酸配列を含む細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードする核酸を提供する。一実施形態では、核酸は、配列番号64、67、70、73、76、79、82または85のいずれか1つのアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖をコードし、ここで、第1のポリペプチド鎖は、リーダー配列(例えば、配列番号54または55)を含むか、またはそれが欠如している。一実施形態では、核酸は、ヒンジ領域が欠如している第1のポリペプチド鎖をコードする。
【0232】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域、および(ii)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖をコードする核酸を提供する。一実施形態では、核酸は、配列番号65、68、71、74、77、80、83または86のいずれか1つのアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖をコードし、ここで、第2のポリペプチド鎖は、リーダー配列(例えば、配列番号55または56)を含むか、またはそれが欠如している。
【0233】
本開示は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)を持つ第1のポリペプチド鎖、ならびに軽鎖可変領域(VL)(例えば、カッパまたはラムダ)および軽鎖定常領域(CL)を持つ第2のポリペプチド鎖を含むバージョン1(例えば、V1)二量体抗原受容体(DAR)構築物(例えば、
図1A)をコードする核酸であって、(a)第1の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域(VH)、(ii)抗体重鎖定常領域(CH)、(iii)CD8およびCD28ヒンジ配列(例えば、配列番号36)を含む長いヒンジ領域、(iv)CD28膜貫通配列(例えば、配列番号37)を含む膜貫通領域(TM)、ならびに(v)CD28共刺激配列(例えば、配列番号42)ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータシグナル伝達配列(例えば、配列番号44)を含む細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードし;(b)第2の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域(VL)(例えば、カッパまたはラムダ)、および(ii)抗体軽鎖定常領域(CL)を含む第2のポリペプチド鎖をコードする、核酸を提供する。一実施形態では、抗体重鎖可変領域(VH)は、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗BCMA重鎖可変領域配列を含む。一実施形態では、抗体軽鎖可変領域(VL)は、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗BCMA軽鎖可変領域配列を含む。
【0234】
本開示は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)を持つ第1のポリペプチド鎖、ならびに軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)を持つ第2のポリペプチド鎖を含むバージョン2(例えば、V2)二量体抗原受容体(DAR)構築物(例えば、
図1AまたはB)をコードする核酸であって、(a)第1の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域(VH)、(ii)抗体重鎖定常領域(CH)、(iii)CD28ヒンジ配列(例えば、配列番号37)を含む短いヒンジ領域、(iv)CD28膜貫通配列(例えば、配列番号37)を含む膜貫通領域(TM)、ならびに(v)(1)4-1BB共刺激配列(例えば、配列番号41)ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータシグナル伝達配列(例えば、配列番号44)、または(2)CD28共刺激配列(例えば、配列番号42)ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータシグナル伝達配列(例えば、配列番号44)、または(3)4-1BB共刺激配列(例えば、配列番号41)ならびにCD28共刺激配列(例えば、配列番号42)ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータシグナル伝達配列(例えば、配列番号44)のいずれかを含む細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードし;(b)第2の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域(VL)(例えば、カッパまたはラムダ)、および(ii)抗体軽鎖定常領域(CL)を含む第2のポリペプチド鎖をコードする、核酸を提供する。
【0235】
一実施形態では、核酸は、4-1BB共刺激配列(例えば、配列番号41)ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータシグナル伝達配列(例えば、配列番号44)を有する細胞内領域を含むバージョン2a(V2a)DAR構築物をコードする。
【0236】
一実施形態では、核酸は、CD28共刺激配列(例えば、配列番号42)ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータシグナル伝達配列(例えば、配列番号44)を有する細胞内領域を含むバージョン2b(V2b)DAR構築物をコードする。
【0237】
一実施形態では、核酸は、4-1BB共刺激領域(例えば、配列番号41)ならびにCD28共刺激領域(例えば、配列番号42)ならびにITAMモチーフ1、2および3を有するCD3ゼータシグナル伝達配列(例えば、配列番号44)を有する細胞内領域を含むバージョン2c(V2c)DAR構築物をコードする。一実施形態では、DAR V2aおよびV2bは、第二世代のDAR構築物であるが、DAR V2cは、第三世代のDAR構築物である。一実施形態では、抗体重鎖可変領域(VH)は、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗BCMA重鎖可変領域配列を含む。一実施形態では、抗体軽鎖可変領域(VL)は、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗BCMA軽鎖可変領域配列を含む。
【0238】
本開示は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)を持つ第1のポリペプチド鎖、ならびに軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)を持つ第2のポリペプチド鎖を含むバージョン3a(例えば、V3a)二量体抗原受容体(DAR)構築物(例えば、
図1A)をコードする核酸であって、(a)第1の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域(VH)、(ii)抗体重鎖定常領域(CH)、(iii)CD28ヒンジ配列(例えば、配列番号35)を含む短いヒンジ領域、(iv)CD28膜貫通配列(例えば、配列番号37)を含む膜貫通領域(TM)、ならびに(v)(1)4-1BB共刺激配列(例えば、配列番号41)およびITAMモチーフ3を有するCD3ゼータシグナル伝達配列(例えば、配列番号47)、または(2)CD28(例えば、配列番号42)シグナル伝達配列およびITAMモチーフ3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号47)、または(3)4-1BB(例えば、配列番号41)シグナル伝達配列およびCD28(例えば、配列番号42)シグナル伝達配列およびITAMモチーフ3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号47)のいずれかを含む細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードし;(b)第2の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域(VL)(例えば、カッパまたはラムダ)、および(ii)抗体軽鎖定常領域(CL)を含む第2のポリペプチド鎖をコードする、核酸を提供する。一実施形態では、抗体重鎖可変領域(VH)は、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗BCMA重鎖可変領域配列を含む。一実施形態では、抗体軽鎖可変領域(VL)は、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗BCMA軽鎖可変領域配列を含む。
【0239】
一実施形態では、核酸は、4-1BB共刺激配列(例えば、配列番号41)およびITAMモチーフ3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号47)を有する細胞内領域を含むバージョン3a(V3a)DAR構築物をコードする。
【0240】
一実施形態では、核酸は、CD28(例えば、配列番号42)シグナル伝達配列およびITAMモチーフ3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号47)を有する細胞内領域を含むバージョン3b(V3b)DAR構築物をコードする。
【0241】
一実施形態では、核酸は、4-1BB(例えば、配列番号41)シグナル伝達配列およびCD28(例えば、配列番号42)シグナル伝達配列およびITAMモチーフ3を有するCD3ゼータ(例えば、配列番号47)を有する細胞内領域を含むバージョン3c(V3c)DAR構築物をコードする。
【0242】
一実施形態では、DAR V3aおよびV3bは、第二世代のDAR構築物であるが、DAR V3cは、第三世代のDAR構築物である。
【0243】
一実施形態では、DAR V3a、V3bおよびV3c構築物において、抗体重鎖可変領域(VH)は、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗BCMA重鎖可変領域を含み、抗体軽鎖可変領域(VH)は、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗BCMA軽鎖可変領域配列を含む。
【0244】
本開示は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)を持つ第1のポリペプチド鎖、ならびに軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)を持つ第2のポリペプチド鎖を含むバージョン4(例えば、V4)二量体抗原受容体(DAR)構築物(例えば、
図1Aであるがヒンジを欠く)をコードする核酸であって、(a)第1の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域(VH)、(ii)抗体重鎖定常領域(CH)、(iii)CD28膜貫通配列(例えば、配列番号37)を含む膜貫通領域(TM)、ならびに(iv)4-1BB共刺激配列(例えば、配列番号41)およびITAMモチーフ3を有するCD3ゼータシグナル伝達配列(例えば、配列番号47)を含む細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードし;(b)第2の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域(VL)(例えば、カッパまたはラムダ)、および(ii)抗体軽鎖定常領域(CL)を含む第2のポリペプチド鎖をコードする、核酸を提供する。DAR V4構築物は、ヒンジ配列が欠如している。一実施形態では、抗体重鎖可変領域(VH)は、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗BCMA重鎖可変領域配列を含む。一実施形態では、抗体軽鎖可変領域(VL)は、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗BCMA軽鎖可変領域配列を含む。
【0245】
ベクター
本開示は、本明細書に記載される、前駆体ポリペプチド、第1のポリペプチド鎖、第2のポリペプチド鎖、または第1および第2のポリペプチド鎖のいずれかをコードする1つまたは複数の核酸に作動可能に連結されたベクターを提供する。
【0246】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー領域、(ii)抗体重鎖可変領域、(iii)抗体重鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、(vi)2~5つの細胞内配列を有する細胞内領域、(vii)自己切断配列領域、(viii)軽鎖リーダー領域、(ix)抗体軽鎖可変領域、および(x)抗体軽鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結されたベクターを提供する。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、ヒンジ領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、重鎖リーダー領域および/または軽鎖リーダー領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、
図3AまたはBに例示される。
【0247】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域;(i)配列番号54または56のアミノ酸配列を含む重鎖リーダー配列;(ii)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(iii)配列番号7または29のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖定常領域;(iv)配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ領域、および必要に応じて、配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ;(v)配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列を含む膜貫通領域;(vi)配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2つまたはそれよりも多くの細胞内配列のいずれか1つまたは任意の組合せを含む細胞内領域;(vii)配列番号57、58、59または60のアミノ酸配列のいずれか1つを含む自己切断配列;(viii)配列番号55または56のアミノ酸配列を含む軽鎖リーダー配列;(ix)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;ならびに(x)配列番号11または31のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結されたベクターを提供する。一実施形態では、核酸は、
図3AまたはBに例示される前駆体ポリペプチドをコードする。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、ヒンジ領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、重鎖リーダー領域および/または軽鎖リーダー領域が欠如している。
【0248】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー領域、(ii)抗体軽鎖可変領域、(iii)抗体軽鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、(vi)2~5つの細胞内配列を有する細胞内領域、(vii)自己切断配列領域、(viii)重鎖リーダー領域、(ix)抗体重鎖可変領域、および(x)抗体重鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結されたベクターを提供する。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、ヒンジ領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、重鎖リーダー領域および/または軽鎖リーダー領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、
図4AまたはBに例示される。
【0249】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号55または56のアミノ酸配列を含む軽鎖リーダー配列;(ii)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;(iii)配列番号11または31のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖定常領域;(iv)配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ領域、および必要に応じて、配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ;(v)配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列を含む膜貫通領域;(vi)配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2つまたはそれよりも多くの細胞内配列のいずれか1つまたは任意の組合せを含む細胞内領域;(vii)配列番号57、58、59または60のアミノ酸配列のいずれか1つを含む自己切断配列;(viii)配列番号54または56のアミノ酸配列を含む重鎖リーダー配列;(ix)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;ならびに(x)配列番号7または29のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドをコードする核酸を提供する。一実施形態では、核酸は、
図4AまたはBに例示される前駆体ポリペプチドをコードする。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、ヒンジ領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、重鎖リーダー領域および/または軽鎖リーダー領域が欠如している。
【0250】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー領域、(ii)抗体重鎖可変領域、(iii)抗体重鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクターを提供する。一実施形態では、第1のベクターは、重鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸に作動可能に連結されている。一実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、
図1AまたはBに例示される。
【0251】
一実施形態では、第1のベクターは、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖リーダー配列;(ii)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(iii)配列番号7または29のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖定常領域;(iv)配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ領域、および必要に応じて、配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ;(v)配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列を含む膜貫通領域;(vi)配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2つまたはそれよりも多くの細胞内配列のいずれか1つまたは任意の組合せを含む細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸に作動可能に連結されている。一実施形態では、第1のベクターは、重鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸に作動可能に連結されている。一実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、
図1AまたはBに例示される。
【0252】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー領域、(ii)抗体軽鎖可変領域、および(iii)抗体軽鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクターを提供する。一実施形態では、第2のベクターは、軽鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸に作動可能に連結されている。一実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、
図1AまたはBに例示される。
【0253】
一実施形態では、第2のベクターは、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号55のアミノ酸配列を含む軽鎖リーダー配列;(ii)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;および(iii)配列番号11または31のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸に作動可能に連結されている。一実施形態では、第2のベクターは、軽鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸に作動可能に連結されている。一実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、
図1AまたはBに例示される。
【0254】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー領域、(ii)抗体軽鎖可変領域、(iii)抗体軽鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクターを提供する。一実施形態では、第1のベクターは、重鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸に作動可能に連結されている。一実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、
図2AまたはBに例示される。
【0255】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号55のアミノ酸配列を含む軽鎖リーダー配列;(ii)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;(iii)配列番号11または31のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖定常領域;(iv)配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ領域、および必要に応じて、配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ;(v)配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列を含む膜貫通領域;(vi)配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2つまたはそれよりも多くの細胞内配列のいずれか1つまたは任意の組合せを含む細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクターを提供する。一実施形態では、第1のベクターは、軽鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸に作動可能に連結されている。一実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、
図2AまたはBに例示される。
【0256】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー領域、(ii)抗体重鎖可変領域、および(iii)抗体軽鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクターを提供する。一実施形態では、第2のベクターは、重鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸に作動可能に連結されている。一実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、
図2AまたはBに例示される。
【0257】
本開示は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖リーダー配列;(ii)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;および(iii)配列番号7または29のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクターを提供する。一実施形態では、第2のベクターは、重鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸に作動可能に連結されている。一実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、
図2AまたはBに例示される。
【0258】
本開示は、第1および第2のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結されたベクターであって、(a)第1の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー配列、(ii)抗体重鎖可変領域、(iii)抗体重鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)2~5つの細胞内配列を有する細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードし;(b)第2の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域、および(ii)抗体軽鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖をコードする、ベクターを提供する。一実施形態では、第1の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第2の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第1および第2のポリペプチド鎖は、
図1AまたはBに例示される。
【0259】
本開示は、第1および第2のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結されたベクターであって、(a)第1の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域;(i)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖リーダー配列;(ii)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;(iii)配列番号7または29のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖定常領域;(iv)配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ領域、および必要に応じて、配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ;(v)配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列を含む膜貫通領域;(vi)配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2つまたはそれよりも多くの細胞内配列のいずれか1つまたは任意の組合せを含む細胞内領域を含む第1のポリペプチドをコードし;(b)第2の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号55のアミノ酸配列を含む軽鎖リーダー配列;(ii)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;および(iii)配列番号11または31のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖定常領域を含む第2のポリペプチドをコードする、ベクターを提供する。一実施形態では、第1の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第2の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第1および第2のポリペプチド鎖は、
図1AまたはBに例示される。
【0260】
本開示は、第1および第2のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結されたベクターであって、(a)第1の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー配列、(ii)抗体軽鎖可変領域、(iii)抗体軽鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)2~5つの細胞内配列を有する細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードし;(b)第2の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域、および(ii)抗体重鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖をコードする、ベクターを提供する。一実施形態では、第1の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第2の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第1および第2のポリペプチド鎖は、
図2AまたはBに例示される。
【0261】
本開示は、第1および第2のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結されたベクターであって、(a)第1の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域;(i)配列番号55のアミノ酸配列を含む軽鎖リーダー配列;(ii)配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖可変領域;(iii)配列番号11または31のアミノ酸配列を含むBCMA抗体軽鎖定常領域;(iv)配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ領域、および必要に応じて、配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ;(v)配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列を含む膜貫通領域;(vi)配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2つまたはそれよりも多くの細胞内配列のいずれか1つまたは任意の組合せを含む細胞内領域を含む第1のポリペプチドをコードし;(b)第2の核酸が、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖リーダー配列;(ii)配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖可変領域;および(iii)配列番号7または29のアミノ酸配列を含むBCMA抗体重鎖定常領域を含む第2のポリペプチドをコードする、ベクターを提供する。一実施形態では、第1の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第2の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第1および第2のポリペプチド鎖は、
図2AまたはBに例示される。
【0262】
宿主細胞
本開示は、宿主細胞または宿主細胞の集団であって、本明細書に記載される、第1のポリペプチド鎖、第2のポリペプチド鎖、第1および第2のポリペプチド鎖、二量体抗原受容体、または前駆体ポリペプチドのいずれかをコードする核酸導入遺伝子に作動可能に連結された1つまたは複数の発現ベクターを有する、宿主細胞または宿主細胞の集団を提供する。
【0263】
一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、1つまたは複数の発現ベクターで導入され、ここで、ベクターは、本明細書に記載される二量体抗原受容体(DAR)構築物のいずれかをコードする核酸導入遺伝子に作動可能に連結されている。宿主細胞または宿主細胞の集団は、Tリンパ球(例えば、T細胞、調節性T細胞、ガンマ-デルタT細胞および細胞傷害性T細胞)、NK(ナチュラルキラー)細胞、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、Bリンパ球、単球を含む。一実施形態では、NK細胞は、臍帯血由来NK細胞または胎盤由来NK細胞を含む。
【0264】
一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、自己であり、二量体抗原受容体(DAR)を発現する宿主細胞の処置を受ける被験体(例えば、レシピエント被験体)に由来する。一実施形態では、血液(例えば、全血)は、レシピエント被験体から得ることができ、所望の細胞(例えば、T細胞)は、レシピエント被験体の血液から回収/富化することができ、自己トランスジェニック細胞は、本明細書に記載される二量体抗原受容体のいずれかをコードする核酸に作動可能に連結された1つまたは複数の発現ベクターを所望の細胞に導入することによって、調製することができる。二量体抗原受容体構築物を発現する自己トランスジェニックT細胞をレシピエント被験体に投与することで、被験体における移植片対宿主病を大いに低減することができる。
【0265】
一実施形態では、被験体を処置するために使用される宿主細胞または宿主細胞の集団は、同種異系であり、異なる被験体(例えば、ドナー被験体)または複数のドナー被験体に由来する。一実施形態では、ドナー被験体は、二量体抗原受容体(DAR)を発現する宿主細胞の処置を受けない。一実施形態では、同種異系宿主細胞は、二量体抗原受容体(DAR)を発現する宿主細胞の処置を受けない同一の双子のドナーに由来する同系宿主細胞を含む。同種異系細胞は、自己細胞のために用いられる同様の方法で、少なくとも1人のドナー由来の血液(例えば、全血)から得ることができる。一実施形態では、血液(例えば、全血)は、少なくとも1人のドナーから得ることができ、所望の細胞は、ドナーの(または複数のドナーの)血液から回収/富化することができ、同種異系トランスジェニック細胞は、本明細書に記載される二量体抗原受容体のいずれかをコードする核酸に作動可能に連結された1つまたは複数の発現ベクターをドナーの(または複数のドナーの)所望の細胞に導入することによって、調製することができる。二量体抗原受容体構築物を発現する同種異系トランスジェニックT細胞を被験体に投与することで、被験体における移植片対宿主病をもたらすことができる。
【0266】
一実施形態では、被験体の血液からまたはドナーの血液から回収される所望の細胞としては、Tリンパ球(例えば、T細胞、調節性T細胞、ガンマ-デルタT細胞および細胞傷害性T細胞)、NK(ナチュラルキラー)細胞、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、Bリンパ球、単球が挙げられる。一実施形態では、NK細胞は、臍帯血由来NK細胞または胎盤由来NK細胞を含む。
【0267】
一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、導入遺伝子の宿主細胞への一過性の導入または導入遺伝子の宿主細胞のゲノムへの安定な挿入を指示することができる、1つまたは複数の発現ベクターを有し、ここで、導入遺伝子は、本明細書に記載される二量体抗原受容体のいずれかをコードする核酸を含む。発現ベクターは、宿主細胞中での導入遺伝子の転写および/または翻訳を指示することができる。発現ベクターは、誘導性プロモーターおよび/または構成的プロモーターならびにエンハンサーなどの1つまたは複数の調節配列を含むことができる。発現ベクターは、リボソーム結合部位および/またはポリアデニル化部位を含むことができる。一実施形態では、二量体抗原受容体(DAR)構築物をコードする核酸に作動可能に連結された発現ベクターは、トランスジェニック宿主細胞の表面上で提示され得る二量体抗原受容体(DAR)構築物の産生を指示することができ、または二量体抗原受容体は、細胞培養培地に分泌され得る。一実施形態では、宿主細胞は、二量体抗原受容体のいずれかをコードする核酸導入遺伝子に作動可能に連結された1つまたは複数の発現ベクターを有することができ、宿主細胞は、二量体抗原受容体構築物を一過性または安定に発現させるのに適切な培養培地中で培養することができる。
【0268】
一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、ウイルス、例えば、レトロウイルス、レンチウイルスまたはアデノウイルスに由来する核酸骨格配列を含む1つまたは複数の発現ベクターを有する。一実施形態では、発現ベクターは、導入遺伝子の宿主細胞ゲノムへの挿入または置換のためのCRISPR(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート)系を用いる使用のための相同指向性修復のための導入遺伝子および配列を含むことができる。一実施形態では、CRISPR系において使用される導入遺伝子は、二量体抗原受容体の構成的転写または誘導性転写を媒介するためのプロモーターに作動可能に連結することができる。一実施形態では、CRISPRとしては、Cas9またはCpf1(Cas12a)が挙げられる。一実施形態では、発現ベクターは、トランスポザーゼに基づく系による使用のために、トランスポゾン中に導入遺伝子を含む。トランスポザーゼ系の例としては、PIGGYBAC、SUPER PIGGYBACおよびSLEEPING BEAUTY(SB100Xを含む)などの市販の系が挙げられる。
【0269】
本開示は、宿主細胞または宿主細胞の集団であって、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー領域、(ii)抗体重鎖可変領域、(iii)抗体重鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、(vi)2~5つの細胞内共刺激および/またはシグナル伝達配列を有する細胞内領域、(vii)自己切断配列領域、(viii)軽鎖リーダー領域、(ix)抗体軽鎖可変領域、ならびに(x)抗体軽鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結された発現ベクターを有する、宿主細胞または宿主細胞の集団を提供する。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、ヒンジ領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、重鎖リーダー領域および/または軽鎖リーダー領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、
図3AまたはBに例示される。一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、配列番号63、66、69、72、75、78、81または84のアミノ酸配列を有する前駆体ポリペプチドのいずれか1つをコードする核酸に作動可能に連結された発現ベクターを有する。一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、前駆体ポリペプチドを発現する。
【0270】
本開示は、宿主細胞または宿主細胞の集団であって、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー領域、(ii)抗体軽鎖可変領域、(iii)抗体軽鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、(vi)2~5つの細胞内共刺激および/またはシグナル伝達配列を有する細胞内領域、(vii)自己切断配列領域、(viii)重鎖リーダー領域、(ix)抗体重鎖可変領域、ならびに(x)抗体重鎖定常領域を含む前駆体ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結された発現ベクターを有する、宿主細胞または宿主細胞の集団を提供する。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、ヒンジ領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドをコードする核酸は、重鎖リーダー領域および/または軽鎖リーダー領域が欠如している。一実施形態では、前駆体ポリペプチドは、
図4AまたはBに例示される。一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、前駆体ポリペプチドを発現する。
【0271】
一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、(a)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー配列、(ii)抗体重鎖可変領域、(iii)抗体重鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)2~5つの細胞内配列を有する細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖;ならびに(b)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域、および(ii)抗体軽鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖を含む、第1および第2のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結された発現ベクターを有する。一実施形態では、第1の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、
図1AまたはBに例示される。一実施形態では、第2の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、
図1AまたはBに例示される。一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、第1および第2のポリペプチド鎖を発現する。
【0272】
一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、(a)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー配列、(ii)抗体軽鎖可変領域、(iii)抗体軽鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)2~5つの細胞内配列を有する細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖;ならびに(b)アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域、および(ii)抗体重鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖を含む、第1および第2のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結された発現ベクターを有する。一実施形態では、第1の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、
図2AまたはBに例示される。一実施形態では、第2の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、
図2AまたはBに例示される。一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、第1および第2のポリペプチド鎖を発現する。
【0273】
一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、第1のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結された第1の発現ベクターを有し、かつ第2のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結された第2の発現ベクターを有し、ここで、(a)第1のポリペプチド鎖は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー配列、(ii)抗体重鎖可変領域、(iii)抗体重鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)2~5つの細胞内配列を有する細胞内領域を含み;(b)第2のポリペプチド鎖は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体軽鎖可変領域、および(ii)抗体軽鎖定常領域を含む。一実施形態では、第1の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、
図1AまたはBに例示される。一実施形態では、第2の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、
図1AまたはBに例示される。一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、第1および第2のポリペプチド鎖を発現する。
【0274】
一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、第1のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結された第1の発現ベクターを有し、かつ第2のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結された第2の発現ベクターを有し、ここで、(a)第1のポリペプチド鎖は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー配列、(ii)抗体軽鎖可変領域、(iii)抗体軽鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)2~5つの細胞内配列を有する細胞内領域を含み;(b)第2のポリペプチド鎖は、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)抗体重鎖可変領域、および(ii)抗体重鎖定常領域を含む。一実施形態では、第1の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、
図2AまたはBに例示される。一実施形態では、第2の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、
図2AまたはBに例示される。一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、第1および第2のポリペプチド鎖を発現する。
【0275】
本開示は、第1の宿主細胞または第1の宿主細胞の集団であって、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー領域、(ii)抗体重鎖可変領域、(iii)抗体重鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結された第1の発現ベクターを有する、第1の宿主細胞または第1の宿主細胞の集団を提供する。一実施形態では、第1の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、
図1AまたはBに例示される。一実施形態では、第1の宿主細胞または第1の宿主細胞の集団は、第1のポリペプチド鎖を発現する。
【0276】
本開示は、第2の宿主細胞または第2の宿主細胞の集団であって、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー領域、(ii)抗体軽鎖可変領域、および(iii)抗体軽鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結された第2の発現ベクターを有する、第2の宿主細胞または第2の宿主細胞の集団を提供する。一実施形態では、第2の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、
図1AまたはBに例示される。一実施形態では、第2の宿主細胞または第2の宿主細胞の集団は、第2のポリペプチド鎖を発現する。
【0277】
本開示は、第1の宿主細胞または第1の宿主細胞の集団であって、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)軽鎖リーダー領域、(ii)抗体軽鎖可変領域、(iii)抗体軽鎖定常領域、(iv)ヒンジ領域、(v)膜貫通領域、および(vi)細胞内領域を含む第1のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結された第1の発現ベクターを有する、第1の宿主細胞または第1の宿主細胞の集団を提供する。一実施形態では、第1の核酸は、重鎖リーダー領域が欠如している、および/またはヒンジ領域が欠如している、第1のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、
図2AまたはBに例示される。一実施形態では、第1の宿主細胞または第1の宿主細胞の集団は、第1のポリペプチド鎖を発現する。
【0278】
本開示は、第2の宿主細胞または第2の宿主細胞の集団であって、アミノ末端からカルボキシル末端へと順序付けられた複数の領域:(i)重鎖リーダー領域、(ii)抗体重鎖可変領域、および(iii)抗体軽鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖をコードする核酸に作動可能に連結された第2の発現ベクターを有する、第2の宿主細胞または第2の宿主細胞の集団を提供する。一実施形態では、第2の核酸は、軽鎖リーダー領域が欠如している第2のポリペプチド鎖をコードする。一実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、
図1AまたはBに例示される。一実施形態では、第2の宿主細胞または第2の宿主細胞の集団は、第2のポリペプチド鎖を発現する。
【0279】
本開示は、宿主細胞または宿主細胞の集団であって、二量体抗原受容体をコードする1つまたは複数の核酸に作動可能に連結された少なくとも発現ベクターを有し、核酸が、前駆体ポリペプチドをコードするか、または第1および/もしくは第2のポリペプチド鎖をコードする、宿主細胞または宿主細胞の集団を提供する。
【0280】
一実施形態では、BCMA抗体重鎖可変領域は、配列番号6、12、14、16、18、20、22、24、26または28のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0281】
一実施形態では、BCMA抗体重鎖定常領域は、配列番号7または29のアミノ酸配列を含む。
【0282】
一実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号35のアミノ酸配列を含むCD28ヒンジ領域、および必要に応じて、配列番号34のアミノ酸配列を含むCD8ヒンジ領域を含む。
【0283】
一実施形態では、膜貫通領域は、配列番号37(CD28由来)、配列番号38(CD8由来)、配列番号39(4-1BB由来)または配列番号40(CD3ゼータ由来)のアミノ酸配列のいずれか1つを含むCD28膜貫通領域を含む。
【0284】
一実施形態では、細胞内領域は、配列番号41(4-1BB由来)、配列番号42(CD28由来)、配列番号43(OX40由来)、配列番号44(CD3ゼータITAM 1、2および3)、配列番号45(CD3ゼータITAM 1)、配列番号46(CD3ゼータITAM 2)および/または配列番号47(CD3ゼータITAM 3)からなる群より選択される2~5つの細胞内配列の任意の順序および任意の組合せを含む。
【0285】
一実施形態では、BCMA抗体軽鎖可変領域は、配列番号8、9、10、13、15、17、19、21、23、25、27または30のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0286】
一実施形態では、BCMA抗体軽鎖定常領域は、配列番号11または31のアミノ酸配列を含む。
【0287】
一実施形態では、重鎖リーダー配列は、配列番号54または56のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、軽鎖リーダー配列は、配列番号55または56のアミノ酸配列を含む。
【0288】
一実施形態では、自己切断配列は、配列番号57、58、59または60のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0289】
組成物および医薬組成物
本開示は、V1、V2a、V2b、V2c、V3a、V3b、V3cまたはV4二量体抗原受容体(DAR)のいずれか1つを含む二量体抗原受容体(DAR)構築物のいずれか1つを発現するように操作されたトランスジェニック宿主細胞の集団を含む組成物を提供する。一実施形態では、トランスジェニック宿主細胞の集団の選択は、処置される疾患の種類および/または被験体における所望される応答の種類に基づき得る。
【0290】
一実施形態では、組成物は、V1、V2a、V2b、V2c、V3a、V3b、V3cまたはV4二量体抗原受容体(DAR)のいずれか1つを含むBCMA抗原と結合する二量体抗原受容体(DAR)を発現する複数のトランスジェニック宿主細胞を含む。一実施形態では、複数のトランスジェニック宿主細胞は、本明細書に記載される、第1のポリペプチド鎖もしくは第2のポリペプチド鎖のいずれか、または第1および第2のポリペプチド鎖のいずれか、または前駆体ポリペプチド鎖のいずれかをコードする1つまたは複数の核酸に作動可能に連結された少なくとも1つの発現ベクターを有し、これは、トランスジェニック宿主細胞によって発現およびプロセシングされて、互いと会合して二量体抗原受容体(DAR)構築物を形成する第1および第2のポリペプチドを生じさせることができる。一実施形態では、トランスジェニック宿主細胞の集団は、薬学的に許容される賦形剤と混合される。
【0291】
本開示は、異なる二量体抗原受容体(DAR)構築物を発現するトランスジェニック宿主細胞の2つまたはそれよりも多くの集団の組合せを含む組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、第1および第2のトランスジェニック宿主細胞の集団を含み、ここで、第1および第2の集団は、異なる二量体抗原受容体(DAR)構築物を発現するように操作されている。一実施形態では、第1および第2のトランスジェニック宿主細胞の集団の選択は、処置される疾患の種類および/または被験体における所望される応答の種類に基づき得る。
【0292】
一実施形態では、組成物は、V1、V2a、V2b、V2c、V3a、V3b、V3cまたはV4二量体抗原受容体(DAR)のいずれか1つを含むBCMA抗原と結合する第1の種類の二量体抗原受容体(DAR)を発現する複数の第1のトランスジェニック宿主細胞を含む第1の集団を含む。一実施形態では、複数の第1のトランスジェニック宿主細胞は、本明細書に記載される、第1のポリペプチド鎖もしくは第2のポリペプチド鎖のいずれか、または第1および第2のポリペプチド鎖のいずれか、または前駆体ポリペプチド鎖のいずれかをコードする1つまたは複数の核酸に作動可能に連結された少なくとも1つの発現ベクターを有し、ここで、核酸は、トランスジェニック宿主細胞によって発現され得、発現したポリペプチドは、トランスジェニック宿主細胞によってプロセシングされて、互いと会合して第1の種類の二量体抗原受容体(DAR)構築物を形成する第1および第2のポリペプチドを生じさせることができる。一実施形態では、第1のトランスジェニック宿主細胞の集団は、薬学的に許容される賦形剤と混合される。
【0293】
一実施形態では、組成物は、V1、V2a、V2b、V2c、V3a、V3b、V3cまたはV4二量体抗原受容体(DAR)を含むBCMA抗原と結合する第2の種類の二量体抗原受容体(DAR)を発現し得る複数の第2のトランスジェニック宿主細胞を含む第2の集団を含み、ここで、第2の種類の二量体抗原受容体(DAR)は、第1の種類の二量体抗原受容体(DAR)とは異なる。一実施形態では、複数の第2のトランスジェニック宿主細胞は、本明細書に記載される、第1のポリペプチド鎖もしくは第2のポリペプチド鎖のいずれか、または第1および第2のポリペプチド鎖のいずれか、または前駆体ポリペプチド鎖のいずれかをコードする1つまたは複数の核酸に作動可能に連結された少なくとも1つの発現ベクターを有し、ここで、核酸は、トランスジェニック宿主細胞によって発現され得、発現したポリペプチドは、トランスジェニック宿主細胞によってプロセシングされて、互いと会合して第2の種類の二量体抗原受容体(DAR)構築物を形成する第1および第2のポリペプチドを生じさせることができる。一実施形態では、第2のトランスジェニック宿主細胞の集団は、薬学的に許容される賦形剤と混合される。
【0294】
一実施形態では、組成物のための第1および第2のDARを発現するトランスジェニック宿主細胞の種類の選択は、例えば、細胞殺滅能力、メモリーT細胞を発生させる能力、in vitro増殖能力、in vivo持続能力、T細胞疲弊特性の減少、および/または凍結保存特性を含む、DAR T細胞の任意の特徴に基づき得る。
【0295】
一実施形態では、第1のトランスジェニック宿主細胞の集団は、(i)CD28細胞内配列を有する細胞内領域、ならびに(ii)CD3ゼータITAM 1、2および3、またはITAM 3細胞内配列のいずれかを含む、V1、V2bまたはV3b二量体抗原受容体(DAR)を発現することができる。一実施形態では、V1、V2bまたはV3bを発現するトランスジェニック宿主細胞(例えば、第1のトランスジェニック宿主細胞の集団)は、被験体に投与された場合に、強く、迅速なエフェクター応答を誘導することができ、ここで、応答は、選択されたDAR T細胞のCD28細胞内領域によって媒介され得る。
【0296】
一実施形態では、第2のトランスジェニック宿主細胞の集団は、(i)4-1BB細胞内配列を有する細胞内領域、ならびに(ii)CD3ゼータITAM 1、2および3、またはITAM 3細胞内配列のいずれかを含む、V2a、V3aまたはV4二量体抗原受容体(DAR)を発現することができる。一実施形態では、V2a、V3aまたはV4を発現するトランスジェニック宿主細胞(例えば、第2のトランスジェニック宿主細胞の集団)は、被験体に投与された場合に、より長く続くメモリーT細胞集団の発生を誘導することができ、ここで、DAR T細胞の特性は、選択されたDAR T細胞の4-1BB細胞内領域によって媒介され得る。
【0297】
一実施形態では、第1または第2のトランスジェニック宿主細胞の集団は、(i)CD28および4-1BB細胞内配列を有する細胞内領域、ならびに(ii)CD3ゼータITAM 1、2および3、またはITAM 3細胞内配列のいずれかを含む、V2cまたはV3c二量体抗原受容体(DAR)を発現することができる。一実施形態では、V2cまたはV3cを発現するトランスジェニック宿主細胞(例えば、第1および第2のトランスジェニック宿主細胞の集団)は、被験体における、強く、迅速なエフェクター応答、およびより長く続くメモリーT細胞集団の発生の組合せを誘導することができ、ここで、DAR T細胞の特性は、選択されたDAR T細胞のCD28および4-1BB細胞内領域によって媒介され得る。
【0298】
本開示は、少なくとも第1および第2のトランスジェニック宿主細胞の集団を含む、トランスジェニック宿主細胞の2つまたはそれよりも多くの集団の混合物を含む治療用組成物であって、(i)第1の集団が、本明細書に記載される、第1のポリペプチド鎖もしくは第2のポリペプチド鎖のいずれか、または第1および第2のポリペプチド鎖のいずれか、または前駆体ポリペプチド鎖のいずれかをコードする1つまたは複数の核酸に作動可能に連結された少なくとも1つの発現ベクターを有する第1の複数のトランスジェニック宿主細胞であって、この発現ベクターは、複数の第1のトランスジェニック宿主細胞によって発現およびプロセシングされて、互いと会合して第1の二量体抗原受容体(DAR)構築物を形成する第1および第2のポリペプチドを生じさせることができる、第1の複数のトランスジェニック宿主細胞を含み、(ii)第2の集団が、本明細書に記載される、第1のポリペプチド鎖もしくは第2のポリペプチド鎖のいずれか、または第1および第2のポリペプチド鎖のいずれか、または前駆体ポリペプチド鎖のいずれかをコードする1つまたは複数の核酸に作動可能に連結された少なくとも1つの発現ベクターを有する第2の複数のトランスジェニック宿主細胞であって、この発現ベクターは、複数の第2のトランスジェニック宿主細胞によって発現およびプロセシングされて、互いと会合して、第1の二量体抗原受容体(DAR)とは異なる第2の二量体抗原受容体(DAR)構築物を形成する第1および第2のポリペプチドを生じさせることができる、第2の複数のトランスジェニック宿主細胞を含む、治療用組成物を提供する。一実施形態では、第1の複数の宿主細胞は、V1、V2a、V2b、V2c、V3a、V3b、V3cまたはV4を含む第1の二量体抗原受容体(DAR)構築物を発現する。一実施形態では、第2の複数の宿主細胞は、V1、V2a、V2b、V2c、V3a、V3b、V3cまたはV4を含む第2の二量体抗原受容体(DAR)構築物を発現し、ここで、第2のDAR構築物は、第1のDAR構築物とは異なる。一実施形態では、治療用組成物は、第1の量の第1のトランスジェニック宿主細胞の集団、および第2の量の第2のトランスジェニック宿主細胞の集団を含み、ここで、第1および第2の量は、同じであるか、または異なる。一実施形態では、治療用組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0299】
処置するための方法
本開示は、V1、V2a、V2b、V2c、V3a、V3b、V3cまたはV4 DAR構築物のいずれか1つを含む抗BCMA二量体抗原受容体(DAR)構築物のいずれか1つを発現するように操作された、有効量のトランスジェニック宿主細胞の集団を被験体に投与することによる、養子細胞療法を実施するための方法をさらに提供する。DARを発現するトランスジェニック宿主細胞の集団の選択は、処置される疾患の種類および被験体における所望される応答の種類に基づき得る。
【0300】
本開示は、腫瘍抗原の有害な発現(例えば、上昇した発現)に関連する疾患、障害または状態を有する被験体を処置するための方法をさらに提供する。そのような方法は、本明細書に記載される、第1のポリペプチド鎖もしくは第2のポリペプチド鎖のいずれか、または第1および第2のポリペプチド鎖のいずれか、または前駆体ポリペプチド鎖のいずれかをコードする1つまたは複数の核酸に作動可能に連結された少なくとも1つの発現ベクターを有する、有効量の宿主細胞の集団を被験体に投与することを含む。一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団は、本明細書に記載される、第1および第2のポリペプチド鎖のいずれか、または前駆体ポリペプチド鎖のいずれかを発現する。
【0301】
本開示は、有効量のトランスジェニック宿主細胞の少なくとも2つの集団の組合せを被験体に投与することによる、養子細胞療法を実施するための方法であって、それぞれの集団が、異なる二量体抗原受容体(DAR)構築物を発現するように操作されている、方法を提供する。一実施形態では、養子細胞療法を実施するための方法は、有効量の第1および第2のトランスジェニック宿主細胞の集団の組合せを被験体に投与することを含み、ここで、第1および第2の集団は、異なる二量体抗原受容体(DAR)構築物を発現するように操作されている。第1および第2のトランスジェニック宿主細胞の集団の選択は、処置される疾患の種類および/または被験体における所望される応答の種類に基づき得る。
【0302】
一実施形態では、第1の集団は、V1、V2a、V2b、V2c、V3a、V3b、V3cまたはV4二量体抗原受容体(DAR)のいずれか1つを含むBCMA抗原と結合する第1の種類の二量体抗原受容体(DAR)を発現する複数の第1のトランスジェニック宿主細胞を含む。一実施形態では、複数の第1のトランスジェニック宿主細胞は、本明細書に記載される、第1のポリペプチド鎖もしくは第2のポリペプチド鎖のいずれか、または第1および第2のポリペプチド鎖のいずれか、または前駆体ポリペプチド鎖のいずれかをコードする1つまたは複数の核酸に作動可能に連結された少なくとも1つの発現ベクターを有し、ここで、核酸は、トランスジェニック宿主細胞によって発現され得、発現したポリペプチドは、トランスジェニック宿主細胞によってプロセシングされて、互いと会合して第1の種類の二量体抗原受容体(DAR)構築物を形成する第1および第2のポリペプチドを生じさせることができる。一実施形態では、第1のトランスジェニック宿主細胞の集団は、薬学的に許容される賦形剤と混合される。
【0303】
一実施形態では、第2の集団は、V1、V2a、V2b、V2c、V3a、V3b、V3cまたはV4二量体抗原受容体(DAR)を含むBCMA抗原と結合する第2の種類の二量体抗原受容体(DAR)を発現し得る複数の第2のトランスジェニック宿主細胞を含み、ここで、第2の種類の二量体抗原受容体(DAR)は、第1の種類の二量体抗原受容体(DAR)とは異なる。一実施形態では、複数の第2のトランスジェニック宿主細胞は、本明細書に記載される、第1のポリペプチド鎖もしくは第2のポリペプチド鎖のいずれか、または第1および第2のポリペプチド鎖のいずれか、または前駆体ポリペプチド鎖のいずれかをコードする1つまたは複数の核酸に作動可能に連結された少なくとも1つの発現ベクターを有し、ここで、核酸は、トランスジェニック宿主細胞によって発現され得、発現したポリペプチドは、トランスジェニック宿主細胞によってプロセシングされて、互いと会合して第2の種類の二量体抗原受容体(DAR)構築物を形成する第1および第2のポリペプチドを生じさせることができる。一実施形態では、第2のトランスジェニック宿主細胞の集団は、薬学的に許容される賦形剤と混合される。
【0304】
一実施形態では、被験体に投与するための第1および第2のDARを発現するトランスジェニック宿主細胞の種類の選択は、例えば、細胞殺滅能力、メモリーT細胞を発生させる能力、in vitro増殖能力、in vivo持続能力、T細胞疲弊特性の減少、および/または凍結保存特性を含む、DAR T細胞の任意の特徴に基づき得る。
【0305】
一実施形態では、第1のトランスジェニック宿主細胞の集団は、(i)CD28細胞内配列を有する細胞内領域、ならびに(ii)CD3ゼータITAM 1、2および3、またはITAM 3細胞内配列のいずれかを含む、V1、V2bまたはV3b二量体抗原受容体(DAR)を発現することができる。一実施形態では、V1、V2bまたはV3bを発現するトランスジェニック宿主細胞(例えば、第1のトランスジェニック宿主細胞の集団)は、選択されたDAR T細胞のCD28細胞内領域によって媒介され得る、被験体における強く、迅速なエフェクター応答を誘導することができる。
【0306】
一実施形態では、第2のトランスジェニック宿主細胞の集団は、(i)4-1BB細胞内配列を有する細胞内領域、ならびに(ii)CD3ゼータITAM 1、2および3、またはITAM 3細胞内配列のいずれかを含む、V2a、V3aまたはV4二量体抗原受容体(DAR)を発現することができる。一実施形態では、V2a、V3aまたはV4を発現するトランスジェニック宿主細胞(例えば、第2のトランスジェニック宿主細胞の集団)は、選択されたDAR T細胞の4-1BB細胞内領域によって媒介され得る、被験体におけるより長く続くメモリーT細胞集団の発生を誘導することができる。
【0307】
一実施形態では、第1または第2のトランスジェニック宿主細胞の集団は、(i)CD28および4-1BB細胞内配列を有する細胞内領域、ならびに(ii)CD3ゼータITAM 1、2および3、またはITAM 3細胞内配列のいずれかを含む、V2cまたはV3c二量体抗原受容体(DAR)を発現することができる。一実施形態では、V2cまたはV3cを発現するトランスジェニック宿主細胞(例えば、第1および第2のトランスジェニック宿主細胞の集団)は、選択されたDAR T細胞のCD28および4-1BB細胞内領域によって媒介され得る、被験体における、強く、迅速なエフェクター応答、およびより長く続くメモリーT細胞集団の発生の組合せを誘導することができる。
【0308】
一実施形態では、第1および第2のトランスジェニック宿主細胞の集団は、被験体に、同じ時(例えば、同時に、または本質的に同時に)投与することができる。
【0309】
一実施形態では、第1および第2のトランスジェニック宿主細胞の集団は、被験体に、いずれかの順序で逐次的に投与することができる。
【0310】
一実施形態では、同じ用量または異なる用量の第1および第2のトランスジェニック宿主細胞の集団を、被験体に投与することができる。
【0311】
一実施形態では、単回用量の第1および第2のトランスジェニック宿主細胞の集団を、被験体に投与することができる。
【0312】
一実施形態では、少なくとも2回用量の第1および第2のトランスジェニック宿主細胞の集団を、被験体に投与することができる。
【0313】
一実施形態では、被験体に投与される第1および第2のトランスジェニック宿主細胞の集団の用量の数は、同じまたは異なり得る。
【0314】
本開示は、腫瘍抗原の有害な発現に関連する疾患、障害または状態を有する被験体を処置するための方法であって、障害が、限定されるものではないが、血液学的な、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、頭頸部がん、肺がん、膀胱がん、黒色腫、結腸直腸がん、膵臓がん、肺がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、平滑筋腫、平滑筋肉腫、神経膠腫および神経膠芽腫を含むがんである、方法を提供する。
【0315】
一実施形態では、がんは、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫(BL)、慢性Bリンパ球性白血病(B-CLL)、急性BおよびTリンパ球性白血病(ALL)、T細胞リンパ腫(TCL)、急性骨髄性白血病(AML)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、ホジキンリンパ腫(HL)、慢性骨髄性白血病(CML)および多発性骨髄腫(MM)からなる群より選択される血液がんである。一部の実施形態では、がんは、BCMA陽性血液がん、例えば、BCMA陽性B細胞血液がん(例えば、リンパ腫(NHLなど)、白血病(CLLなど)、または骨髄腫)などのBCMA陽性がんである。
【実施例】
【0316】
以下の実施例は、例示であることが意図され、本開示の実施形態をさらに理解するために使用することができ、決して本教示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0317】
(実施例1)
ヒトPBMC細胞および初代T細胞の単離
【0318】
初代ヒトT細胞を、健康なヒトドナー、軟膜(San Diego血液バンク)、新鮮な血液または白血球除去生成物(StemCell)のいずれかから単離した。末梢血単核細胞(PBMC)を、密度勾配遠心分離によって単離した。
【0319】
ドナー1細胞の調製:T細胞を、製造業者の指示に従って、EASYSEP Human T Cell Isolation Kit(STEMCELL Technologies製、カタログ番号17951)を使用する負の磁気選択、またはDYNABEADS Human T-Expander CD3/CD28(Thermo Fisher Scientific製、カタログ番号11141D)による正の選択および活性化によって、PBMCから単離した。ドナー1細胞に、BCMA CARまたはDARをコードする核酸を導入して、CARまたはDAR構築物を発現するトランスジェニックT細胞を作製した。トランスジェニック細胞を、アッセイのために使用して、
図5A~11に示すデータを得た。
【0320】
ドナー2細胞の調製:単球を枯渇させるために、PBMCを、細胞培養コーティングフラスコに、1~2時間、蒔いた。非接着性リンパ球を、フラスコから洗い流し、製造者の指示に従って、新しいフラスコ中で、T Cell TRANSACT(Miltenyi製、カタログ番号130-111-160)で活性化した。ドナー2細胞に、BCMA CARまたはDARをコードする核酸を導入して、CARまたはDAR構築物を発現するトランスジェニックT細胞を作製した。トランスジェニック細胞を、アッセイのために使用して、
図12~15に示すデータを得た。
【0321】
(実施例2)
初代T細胞培養
【0322】
初代T細胞を、300U/mLのIL-2(Proleukin)を有する5%のCTS Immune Cell SR(Thermo Fisher Scientific)が追加補充されたCTS OPTMIZER T Cell Expansion SFM中、1mL当たり106個細胞の密度で培養した。新たに、または凍結されたタンクから、単離されたT細胞を刺激した。細胞を、3uL/1mLあたり106個細胞のT Cell TRANSACT(Miltenyi)で、2~3日間、活性化した。トランスフェクション後、T細胞を、300U/mLのIL-2を有する培地中で培養した。
【0323】
(実施例3)
CARおよびDAR T細胞の調製
【0324】
活性化T細胞(およそ9×106個細胞)に、CAR構築物または前駆体DARのいずれかをコードする核酸を導入した。BCMA CARおよびBCMA DAR構築物の命名した名称を、それらのそれぞれのヒンジおよび細胞内領域とともに、下記の表1に列挙する。
【0325】
【0326】
トランスジェニックCARおよびDAR T細胞を、新鮮に使用したか、または将来の使用のために凍結保存した。凍結保存されたCARおよびDAR T細胞について、細胞を、凍結培地(70%のAIM-V培地、20%のFBSおよび10%のDMSO)に再懸濁させ、無菌の遠心分離管に移し、1300RPMで、4℃で5分間、遠心分離した。上清を、取り出し、廃棄した。細胞ペレットを、2mLの凍結培地を1×108個細胞に添加することによって、素早く再懸濁させた。細胞を、-80℃で終夜、凍結させた。細胞を、典型的には1~2か月以内で、-150℃に移した。
【0327】
細胞を解凍するために、細胞を、-150℃の冷凍庫から取り出し、解凍されるまで、37℃の水浴中で保持した。解凍された細胞を、50mLのDPBSを有する無菌の遠心分離管に移し、1300RPMで、5分間、遠心分離した。上清を、取り出し、廃棄した。新鮮なDPBSを添加し、細胞を再懸濁した。細胞をカウントした。細胞濃度を、必要により調整し、30umの細胞ストレーナーを通して濾過した。細胞を、使用するまで、氷上に置いた。CARおよびDAR T細胞を、-80℃で最長で2か月間、または-150℃で最長で4~6か月間保存し、優れたin vitroおよびin vivoの腫瘍殺滅能力を依然として示した。
【0328】
(実施例4)
腫瘍細胞系
【0329】
多発性骨髄腫細胞系RPMI 8226を、ATCCから入手し、ルシフェラーゼおよびGFP遺伝子を持つレンチウイルスを使用して、形質導入した。ルシフェラーゼおよびGFP発現を有する単一細胞クローンを選択した(RPMI8226-FLuc)。K562/RPE細胞を、RPE遺伝子を持つレンチウイルスでK562細胞を形質導入することによって、同様に作製した。両方の細胞系を、10%のウシ胎仔血清(Sigma)が追加補充されたRPMI1640培地(ATCC)中で培養した。
【0330】
(実施例5)
DARを発現するT細胞のトランスフェクション効率および発現レベル
【0331】
トランスジェニックT細胞からの抗BCMAキメラ抗原受容体(CAR)または抗BCMA二量体抗原受容体(DAR)のいずれかのトランスフェクションおよび発現レベルを、フローサイトメトリーを使用して比較した。
【0332】
さまざまなBCMA(bb2121または2C5)CARまたはDAR構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー1)のトランスフェクション効率は、互いに類似する(11日目での
図5AおよびB;13日目での
図37)。BCMA-2C5 CAR(83×)を発現する細胞の細胞増殖レベルは、BCMA-bb2121 CAR(42×)のほぼ2倍であった。BCMA-2C5 DAR V3b(72×)を発現する細胞の細胞増殖レベルは、BCMA-2C5 DAR V2c(57×)およびV3a(56×)を発現する細胞と比較して、高かった(
図5B)。BCMA bb2121 DARを発現するトランスジェニックT細胞のトランスフェクション効率は、10%未満であった(データは示さない)。
【0333】
BCMA-2C5 CARまたはDAR構築物を発現するトランスジェニックT細胞(ドナー2)のトランスフェクション効率は、変化し、ここで、BCMA-2C5 CARを発現するT細胞は、BCMA-2C5 V2a(27%)またはV3a(17%)を発現するT細胞と比較して、より高い効率(62%)を示した。BCMA-2C5 CAR(72×)を発現する細胞の細胞増殖レベルは、BCMA-2C5 DAR V2c(15×)またはV3a(49×)を発現する細胞と比較して、より高かった(
図12)。
【0334】
(実施例6)
in vitro細胞傷害アッセイ
【0335】
CAR、DARおよび対照T細胞の調製の2~3週間後、細胞を、IL-2とともに、終夜、栄養飢餓に供した。細胞を、BCMA陽性RPMI-8226/GFP細胞またはBCMA陰性K562/RPE細胞の標的細胞混合物とともに共培養した。エフェクター細胞の標的細胞に対する比は、0.16:1~5:1の範囲であった。終夜のインキュベーション後、細胞を、フローサイトメトリーに供して、GFP細胞集団を測定して、抗BCMA CARまたはDAR T細胞による標的細胞比殺滅(specific target cell killing)を決定した。
【0336】
BCMA-2C5 CAR(ラインF)を発現するトランスジェニック細胞(ドナー1)は、BCMA-2C5 DAR V3b(ラインE)、DAR V3a(ラインD)およびDAR V3a(ラインB)と比較して、より高いレベルの細胞殺滅を示した。BCMA bb2121 CARを発現するトランスジェニック細胞(ラインC)は、BCMA-2C5 DAR V3a(ラインB)と比較して、より高いレベルの細胞殺滅を示した(
図6)。
【0337】
BCMA-2C5 DAR V2a(ラインD)を発現するトランスジェニック細胞(ドナー2)は、BCMA-2C5 DAR V3a(ラインC)またはCAR(ラインB)を発現する細胞と比較して、より高いレベルの細胞殺滅を示した(
図13)。
図40も参照されたい。
【0338】
(実施例7)
in vitroサイトカイン分泌アッセイ
【0339】
CAR、DARおよび対照T細胞の調製の2~3週間後、細胞を、IL-2とともに、終夜、栄養飢餓に供した。細胞を、BCMA陰性K562細胞、またはBCMA陽性U266もしくはRPMI8226細胞とともに共培養した。エフェクター細胞の標的細胞に対する比は、2:1であった。40時間のインキュベーション後、細胞を、製造業者の指示に従って、サイトカインのIFN-ガンマ(ELISA MAX Delux Set、BioLegend製、カタログ番号430104)またはGM-CSF(Human Gm-CSF Uncoated ELISAキット、Invitrogen/Thermo Fisher製、カタログ番号88-8337)を検出するために、遠心分離して、上清を収集した。
【0340】
図7Aの結果は、BCMA-2C5 DAR V3aまたはV3bを発現するT細胞(ドナー1)が、RPMI8226細胞と共培養された場合に、BCMA-bb2121 CAR、BCMA-2C5 CARまたはBCMA-2C5 DAR V2cと比較して、より高いレベルのIFN-ガンマを分泌することを示す。
【0341】
図7Bの結果は、BCMA-2C5 DAR V3aまたはV3bを発現するT細胞(ドナー1)が、RPMI8226細胞と共培養された場合に、BCMA-bb2121 CAR、BCMA-2C5 CARまたはBCMA-2C5 DAR V2cと比較して、非常に高いレベルのGM-CSFを分泌することを示す。
【0342】
(実施例8)
共培養されたトランスジェニック細胞のin vitro増殖
【0343】
CAR、DARおよび対照T細胞の調製の2~3週間後、細胞を、IL-2とともに、終夜、栄養飢餓に供した。細胞を、BCMA陰性K562細胞、またはBCMA陽性U266もしくはRPMI8226細胞とともに共培養した。細胞増殖のレベルを、フローサイトメトリーを使用して測定した。
【0344】
陰性対照細胞は、わずかな増殖を示したか、または増殖を示さなかった(
図8Aおよび10A)。BCMA bb2121 CARを発現するトランスジェニック細胞(ドナー1)は、RPMI8226またはU266細胞と共培養された場合に、K562細胞との共培養と比較して、より高い増殖レベルを示した(
図8Bおよび10B)。BCMA-2C5 CARを発現するトランスジェニック細胞は、予想外にも、RPMI8226、U266およびK562細胞と共培養された場合に、高レベルの増殖を示し(
図8C)、非特異的応答を示した。BCMA-2C5 DAR V2cを発現するトランスジェニック細胞は、RPMI8226またはU266細胞と共培養された場合に、K562細胞との共培養と比較して、より高い増殖レベルを示した(
図8D)。
【0345】
図8A~Dからの共培養されたトランスジェニック細胞の細胞増殖における倍数変化を、
図9の棒グラフに示す。BCMA bb2121 CARを発現するトランスジェニック細胞(ドナー1)は、RPMI8226またはU266細胞と共培養された場合に、BCMA-2C5 DAR V2aを発現するトランスジェニック細胞と比較して、より高い細胞増殖の倍数変化を有する。BCMA-2C5 CARを発現するトランスジェニック細胞は、非常に低い細胞増殖の倍数変化を有する。
【0346】
BCMA-2C5 DAR V2cを発現するトランスジェニック細胞(ドナー1)は、RPMI8226またはU266細胞と共培養された場合に、K562細胞との共培養と比較して、より高い増殖レベルを示した(
図10Cおよび44B)。BCMA-2C5 DAR V2a(
図44A)またはBCMA-2C5 DAR V3a(
図10D)またはBCMA-2C5 DAR V3b(
図10E)を発現するトランスジェニック細胞は、RPMI8226またはU266細胞と共培養された場合に、K562細胞との共培養と比較して、さらに高い増殖レベルを示した。
【0347】
図10A~Eからの共培養されたトランスジェニック細胞の細胞増殖における倍数変化を、
図11の棒グラフに示す。BCMA bb2121 CARを発現するトランスジェニック細胞(ドナー1)は、RPMI8226細胞と共培養された場合に、BCMA-2C5 DAR V2c、V3aおよびV3bを発現するトランスジェニック細胞と比較して、より高い細胞増殖の倍数変化を有する。BCMA-2C5 DAR V3aを発現するトランスジェニック細胞は、U266細胞と共培養された場合に、BCMA bb2121 CARまたはBCMA-2C5 DAR V2cもしくはDAR V3bを発現するトランスジェニック細胞と比較して、より高い細胞増殖の倍数変化を有する。
【0348】
陰性対照細胞(TCR-マイナスおよびATC)は、K562、RPMI8226またはRaji細胞と共培養された場合に、わずかな増殖を示したか、または増殖を示さなかった(
図14AおよびB)。BCMA-2C5 CARを発現するトランスジェニック細胞(ドナー2)は、予想外にも、K562、RPMI8226またはRaji細胞と共培養された場合に、高レベルの増殖を示し(
図14C)、非特異的応答を示した。BCMA-2C5 DAR V2aを発現するトランスジェニック細胞は、Raji細胞と共培養された場合に、K562またはRPMI8226細胞との共培養と比較して、より高い増殖レベルを示した(
図14D)。BCMA-2C5 DAR V3aを発現するトランスジェニック細胞は、Raji細胞と共培養された場合に、K562またはRPMI8226細胞との共培養と比較して、より高い増殖レベルを示した(
図14E)。
【0349】
図14A~Eからの共培養されたトランスジェニック細胞の細胞増殖における倍数変化を、
図15の棒グラフに示す。BCMA-2C5 DAR V2aおよびV3aを発現するトランスジェニック細胞(ドナー2)は、Raji細胞と共培養された場合に、K562またはRPMI8226細胞と共培養された場合のBCMA-2C5 DAR V2aおよびV3aを発現するトランスジェニック細胞と比較して、同様のより高い細胞増殖の倍数変化を有する。
【0350】
(実施例9)
メモリーT細胞およびセントラルメモリーT細胞の検出
【0351】
抗BCMA-2C5 DAR T細胞(ドナー2細胞由来)を、DPBS5%ヒト血清アルブミンで洗浄し、次いで、4℃で30~60分間、抗CD3-BV421抗体(SK7、BioLegend)およびPEまたはAPCコンジュゲート化BCMA-Fcタンパク質(Chimerigen Laboratories)で染色した。CD3およびBCMAを、iQue Screener Plus(Intellicyte Co)またはAttune NxT(AFC2)(Life Technologies)を使用して、検出した。エフェクターメモリーT細胞およびT細胞のセントラルメモリー画分を同定するためのマーカーは、CD45RO(BioLegend)およびCCR7(BioLegend)であった。セントラルメモリーT細胞は、CD45ROおよびCCR7二重陽性集団であり、エフェクターメモリーT細胞は、CD45RO陽性CCR7陰性集団であった。結果を
図13Bに示す。
【0352】
(実施例10)
T細胞疲弊マーカーの検出
【0353】
抗BCMA 2C5 DAR T細胞または対照T細胞を、DPBS5%ヒト血清アルブミンで洗浄し、次いで、4℃で30~60分間、BV421コンジュゲート化抗PD1抗体(EH12.2H7またはNAT105、BioLegend製)およびAPC/Cy7コンジュゲート化TIM3抗体(F38-2E2、BioLegend製)で染色した。PD1およびTIM3細胞マーカーを、Attune NxT(AFC2)(Life Technologies)を使用して、検出した。結果を
図13Cに示す。
【0354】
(実施例11)
3つの異なるDAR構築物の1つを発現するトランスジェニックT細胞を比較するマウスモデルにおけるin vivo腫瘍殺滅
【0355】
抗BCMA DAR T細胞の殺腫瘍活性を、RPMI8226異種移植マウスモデルにおいて試験した。8週齢の雌NSGマウスを研究のために使用した。多発性骨髄腫細胞系RPMI8226を、ATCCから得て、ルシフェラーゼおよびGFP遺伝子を有するレンチウイルスベクターによって、トランスフェクトした。ルシフェラーゼおよびGFP発現を有する単一クローンを選択した(RPMI8226-FLuc)。合計で8×106個細胞のRPMI8226-Flucを、200μLのPBSに懸濁させ、次いで、それぞれのマウスの尾静脈に静脈内注射した。非常に小さいまたは非常に大きい腫瘍負荷を有する動物を、IVISイメージングからの生物発光に基づいて、除外した。研究で選択された動物を、異なる群に無作為化した。
【0356】
それぞれの動物に、腫瘍接種後の22日目に、200μLのPBS中、尾静脈を介して、PBS、対照TCR-マイナスT細胞または操作された抗BCMA DAR T細胞(ドナー1由来のT細胞)の単回用量を投与した。投与された用量を、下記の表2に列挙する。
【0357】
【0358】
腫瘍成長を、腫瘍細胞の接種後に毎週、それぞれマウスの背側上で、IVIS Lumina III In Vivo Imaging System(Perkin Elmer Health Sciences,Inc)を用いて、総光子フラックスを測定することによって、モニターした。腫瘍接種後1週目に、BCMA-2C5 DAR V2c、V3bまたはV3a構築物を発現するT細胞で処置されたマウスは、TCR-マイナスT細胞またはPBSで処置されたマウスと比較して、著しく低減された腫瘍負荷を示した(
図18A)。
図18Bは、
図18Aに示される発光データに対応する生物発光シグナルフラックス(マウスのそれぞれの群について平均される)を示すグラフである。
図18Cは、
図18Aに示される発光データに対応する腫瘍成長阻害指数を列挙する表である。
【0359】
末梢血FACS解析:
【0360】
血液試料を、それぞれの動物から、用量の投与後1日目、およびその後は毎週、収集した。40uLの血液試料を、マウス尾静脈から得た。血液試料からの細胞を、染色し、CD45陽性細胞(
図18D)、BCMA DAR陽性細胞(
図18E)、CD3陰性細胞(
図18F)およびCD3陰性細胞(
図18G)のパーセントおよび総数について、フローサイトメトリーを介して分析した。動物の生存率も決定した(
図18H)。
【0361】
(実施例12)
3つの異なる用量のV3a DAR構築物を発現するトランスジェニックT細胞を比較するマウスモデルにおけるin vivo腫瘍殺滅
【0362】
DAR BCMA-2C5 V3a構築物を発現する抗BCMA DAR T細胞の3つの異なる用量の殺腫瘍活性を、RPMI8226異種移植マウスモデルにおいて試験した。8週齢の雌NSGマウスを研究のために使用した。多発性骨髄腫細胞系RPMI8226を、ATCCから得て、ルシフェラーゼおよびGFP遺伝子を有するレンチウイルスベクターによって、トランスフェクトした。ルシフェラーゼおよびGFP発現を有する単一クローンを選択した(RPMI8226-FLuc)。合計で8×106個細胞のRPMI8226-Flucを、200μLのPBSに懸濁させ、次いで、それぞれのマウスの尾静脈に静脈内注射した。非常に小さいまたは非常に大きい腫瘍負荷を有する動物を、IVISイメージングからの生物発光に基づいて、除外した。研究で選択された動物を、異なる群に無作為化した。
【0363】
それぞれの動物に、腫瘍接種後の22日目に、200μLのPBS中、尾静脈を介して、PBS、対照TCR-マイナスT細胞、またはDAR BCMa-2C5 V3a構築物を発現する操作された抗BCMA DAR T細胞の3種の用量の1つの単回用量を投与した。投与された用量を、下記の表3に列挙する。
【0364】
【0365】
腫瘍成長を、腫瘍細胞の接種後に毎週、それぞれマウスの背側上で、IVIS Lumina III In Vivo Imaging System(Perkin Elmer Health Sciences,Inc)を用いて、総光子フラックスを測定することによって、モニターした。腫瘍接種後1週目および2週目に、最高用量(6×10
6個)のBCMA-2C5 DAR V3a構築物を発現するT細胞で処置されたマウスは、中および低用量(1.2×10
6個または2.4×10
5個)のBCMA-2C5 DAR V3a構築物を発現するT細胞で処置されたマウスと比較して、著しく低減された腫瘍負荷を示した(
図19A)。
図19Bは、
図19Aに示される発光データに対応する生物発光シグナルフラックス(マウスのそれぞれの群について平均される)を示すグラフである。
図19Cは、
図19Aに示される発光データに対応する腫瘍成長阻害指数を列挙する表である。
【0366】
末梢血FACS解析:
【0367】
血液試料を、それぞれの動物から、用量の投与後1日目、およびその後は毎週、収集した。40uLの血液試料を、マウス尾静脈から得た。血液試料からの細胞を、染色し、CD45陽性細胞(
図19D)、BCMA DAR陽性細胞(
図19E)、CD3陰性細胞(
図19F)およびCD3陽性細胞(
図19G)のパーセントおよび総数について、フローサイトメトリーを介して分析した。動物の生存率も決定した(
図19H)。
【0368】
(実施例13)
in vivo腫瘍再チャレンジ研究
【0369】
上記の実施例12に記載される用量研究のために使用されたマウスを、腫瘍再チャレンジ研究のために使用した。DAR T細胞(V3a)で処置されたマウスのそれぞれの群において、半分は、200uLのPBSを投与し、他の半分は、200uL中の1×107個のRPMI8226-Flucを投与することによって再チャレンジした。この再チャレンジ研究では、DAR T細胞(V3a)の2回目の用量を受けたマウスはなかった。
【0370】
腫瘍の成長および再成長を、7週間の間、毎週、それぞれマウスの背側上で、IVIS Lumina III In Vivo Imaging System(Perkin Elmer Health Sciences,Inc)を用いて、総光子フラックスを測定することによって、モニターした。腫瘍再チャレンジ研究の開始前12週目のマウスの生物発光画像を、
図20Aの上側に示す。PBSまたは腫瘍再チャレンジ研究に供されたマウスの画像を、それぞれの用量群について、
図20Aに示す。腫瘍成長は、腫瘍再チャレンジに供された最高用量のマウス(6×10
6個のDAR T細胞V3a)において検出されなかった(
図20A)。腫瘍の成長および再成長を、腫瘍再チャレンジに供された中用量のマウス(1.2×10
6個)の4頭で検出し、1頭のマウスは、腫瘍成長を示さなかった(塗りつぶされた黒三角によって示す)(
図20A)。腫瘍の成長および再成長を、腫瘍再チャレンジに供された最低用量のマウス(2.4×10
5個)の4頭で検出し(これらのマウスの3頭が死亡した)、1頭のマウスは、腫瘍成長を示さなかった(塗りつぶされた黒三角によって示す)(
図20A)。
【0371】
末梢血FACS解析:
【0372】
血液試料を、それぞれの動物から、用量の投与後1日目、およびその後は毎週、収集した。40uLの血液試料を、マウス尾静脈から得た。血液試料からの細胞を、染色し、CD45陽性細胞(
図20B)およびBCMA DAR陽性細胞(
図20C)のパーセントおよび総数について、フローサイトメトリーを介して分析した。
【配列表】
【国際調査報告】