(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】テンション-コンプレッションロッドのためのポジティブ・ロック式の荷重負荷を引き起こすための方法、およびテンション-コンプレッションロッド
(51)【国際特許分類】
B29C 70/68 20060101AFI20221027BHJP
B29C 70/42 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B29C70/68
B29C70/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515035
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 US2020049343
(87)【国際公開番号】W WO2021046310
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】102019006280.9
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508135080
【氏名又は名称】アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】フンク,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ウェルシュ,マーティン
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AA32
4F205AA34
4F205AA36
4F205AD03
4F205AD12
4F205AD16
4F205AG08
4F205AH05
4F205HA08
4F205HA22
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HB11
4F205HF05
4F205HK03
4F205HK04
4F205HT16
4F205HT26
(57)【要約】
本発明は、外側スリーブ(5)により、繊維プラスチック中空構造(2)からの、テンション-コンプレッションロッドのためのポジティブ・ロック式の荷重負荷を引き起こすための方法に関連する。このプロセスでは、力が、繊維プラスチック中空構造(2)を少なくとも1つの加力要素(3)の上で少なくとも部分的に押し込む。加力要素(3)が、ポジティブ・ロック式の接続装置を作るための少なくとも1つのアンダーカット部分(6)を装備する。本方法が、少なくとも加力要素のアンダーカット部分の領域において、繊維プラスチック中空構造を繊維プラスチック中空構造の塑性点まで局部的に加熱することと、加力要素の領域において少なくとも1つの外側スリーブ(5)を繊維プラスチック中空構造に適用することと、をさらに含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンション-コンプレッションロッドのためのポジティブ・ロック式の荷重負荷を引き起こすための方法であって:
繊維プラスチック中空構造(2)を少なくとも1つの加力要素(3)の上で少なくとも部分的に押し込むステップであって、前記加力要素(3)が、前記繊維プラスチック中空構造(2)と前記加力要素(3)との間にポジティブ・ロック式の接続装置を作る少なくとも1つのアンダーカット部分(6)を有する、押し込むステップと;
前記繊維プラスチック中空構造(2)を前記繊維プラスチック中空構造(2)の塑性点まで局部的に加熱するステップであって、熱が、少なくとも、前記加力要素(3)の前記アンダーカット部分(6)の領域に加えられる、加熱するステップと;
前記加力要素(3)の領域において少なくとも1つの外側スリーブ(5)を前記繊維プラスチック中空構造(2)に適用するステップと
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記外側スリーブ(5)がプラスチックマトリックス材料を含み、前記外側スリーブ(5)の適用が、前記加力要素(3)内の前記アンダーカット部分(6)の領域において前記繊維プラスチック中空構造(2)に前記プラスチックマトリック材料を巻き付けることにより、達成され、前記繊維プラスチック中空構造(2)が、ポジティブ・ロック式に前記加力要素(3)の前記アンダーカット部分(6)に接触する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記外側スリーブ(5)が金属であり、前記金属外側スリーブ(5)の適用が成形によって達成され、前記繊維プラスチック中空構造(2)が、ポジティブ・ロック式に前記加力要素(3)の前記アンダーカット部分(6)に接触する、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記金属外側スリーブ(5)が、磁気成形、プレス加工、またはハイドロフォーミングにより、形成される、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法において、前記外側スリーブ(5)が繊維強化プラスチックであり、前記繊維強化プラスチックは、熱可塑性マトリックス材料または熱硬化性マトリックス材料で予め含浸されるか、あるいは巻き付け中に熱可塑性マトリックス材料または熱硬化性マトリックス材料で含浸される、繊維を含み、前記マトリックス材料が予荷重下で巻かれる、方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法において、前記アンダーカット部分(6)が、前記繊維プラスチック中空構造(2)を基準として軸方向および/または径方向に形成される、方法。
【請求項7】
請求項1、2、5、および6のいずれか一項に記載の方法において、前記外側スリーブ(5)が繊維強化であり、前記繊維強化外側スリーブ(5)内の前記繊維が、主として、前記テンション-コンプレッションロッドの軸を基準として円周方向に方向付けられる、方法。
【請求項8】
繊維プラスチック中空構造(2)と、アンダーカット部分(6)を有する加力要素(3)と、外側スリーブ(5)とを備えるテンション・コンプレッションロッド(1)であって、前記繊維プラスチック中空構造(2)がポジティブ・ロック式に前記加力要素(3)の前記アンダーカット部分(6)に接触し、前記外側スリーブ(5)が前記繊維プラスチック中空構造(2)に接触し、前記繊維プラスチック中空構造(2)の繊維配向が主として軸方向として示される、テンション-コンプレッションロッド(1)。
【請求項9】
請求項8に記載のテンション-コンプレッションロッド(1)において、少なくとも1つのアンダーカット部分(6)による前記加力要素(3)と前記繊維プラスチック中空構造(2)との間のポジティブ・ロックにより、引張荷重が達成される、テンション-コンプレッションロッド(1)。
【請求項10】
請求項8から9までのいずれか一項に記載のテンション-コンプレッションロッド(1)において、少なくとも1つのアンダーカット部分(6)による前記加力要素(3)と前記繊維プラスチック中空構造(2)との間のポジティブ・ロックにより、圧縮荷重が達成される、テンション-コンプレッションロッド(1)。
【請求項11】
請求項8から9までのいずれか一項に記載のテンション-コンプレッションロッド(1)において、前記加力要素(3)のショルダ(14)に接触して補強される前記繊維プラスチック中空構造(2)により、圧縮荷重が達成される、テンション-コンプレッションロッド(1)。
【請求項12】
請求項8から11までのいずれか一項に記載のテンション-コンプレッションロッド(1)において、前記繊維プラスチック中空構造(2)が熱可塑性マトリックス材料を含む、テンション-コンプレッションロッド(1)。
【請求項13】
請求項8から12のいずれか一項に記載のテンション-コンプレッションロッド(1)において、前記加力要素(3)が、プラスチック、短繊維強化プラスチック、または金属材料で作られる、テンション-コンプレッションロッド(1)。
【請求項14】
請求項8から13までのいずれか一項に記載のテンション-コンプレッションロッド(1)において、前記加力要素(3)がねじ山を備える、テンション-コンプレッションロッド(1)。
【請求項15】
請求項8から14までのいずれか一項に記載のテンション-コンプレッションロッド(1)において、前記外側スリーブ(5)が繊維強化プラスチックを含み、前記外側スリーブ(5)の前記プラスチックが、熱硬化性マトリックス材料および熱可塑性マトリックス材料からなる群から選択される、テンション-コンプレッションロッド(1)。
【請求項16】
請求項8から14までのいずれか一項に記載のテンション-コンプレッションロッド(1)において、前記外側スリーブ(5)が金属材料を含む、テンション-コンプレッションロッド(1)。
【請求項17】
請求項8から14までのいずれか一項に記載のテンション-コンプレッションロッド(1)において、前記外側スリーブ(5)が、少なくとも1つのラミネート層で作られる繊維プラスチック複合材料ラップ(9)である、テンション-コンプレッションロッド(1)。
【請求項18】
請求項8から17までのいずれか一項に記載のテンション-コンプレッションロッド(1)において、前記繊維プラスチック中空構造(2)が、炭素繊維、グラスファイバー、およびアラミド繊維からなる群から選択される1つまたは複数の繊維を含む、テンション-コンプレッションロッド(1)。
【請求項19】
請求項8から15までのいずれか一項に記載のテンション-コンプレッションロッド(1)において、前記外側スリーブ(5)が繊維強化プラスチックを含み、前記繊維強化プラスチックが、炭素繊維、グラスファイバー、およびアラミド繊維からなる群から選択される1つまたは複数の繊維を含む、テンション-コンプレッションロッド(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、米国特許法第119条下で、2019年9月5日に出願した独国特許出願DE102019006280.9の優先権の利益を主張するものである。上記の出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0003】
本発明は、棒形状の繊維複合材料構造のためのポジティブ・ロック式(positive-locking)の荷重負荷を引き起こすための方法、さらには、ポジティブ・ロック式の接続装置を有するテンションロッドに関する。
【背景技術】
【0004】
航空宇宙産業での棒形状の繊維複合材料構造またはテンション-コンプレションロッドの競争力は、主として、その重量、その製造コスト、衝撃ダメージを受けるときのその挙動、ならびに、さらには、その座屈抵抗およびその引張強度により、決定される。これらの構成要素は、主として、高性能炭素繊維との組み合わせである熱硬化性マトリックスに基づいて作り出される。ポジティブ・ロック式の加力を引き起こすのに、適切なプロセスとの組み合わせで熱可塑性マトリックスを使用することの結果として、テンション-コンプレッションロッドの製造コストを低減することが可能である。さらに、熱可塑性マトリックスを使用することにより、衝撃ダメージ後の残留強度に良い影響を与えることができる。
【0005】
熱可塑性マトリックスを用いて棒形状の繊維複合材料構造のためにポジティブ・ロック式の荷重負荷を引き起こすための方法のための種々の解決策が既に知られている。
【0006】
特許DE102010053732A1が、自動車のためのトーションバーまたはスタビライザバー、さらには、その製造方法に関連する。スタビライザバーは、湾曲しており、本質的に管状である構成要素であることを特徴とする。この構成要素は、熱可塑性マトリックスを有する繊維強化プラスチックで作られる。その端部の少なくとも一方の端部において、管状構成要素が第2の金属構成要素と重なる。このデザインでは、管状構成要素の材料がポジティブ・ロック式に第2の構成要素に接続される。このポジティブ・ロックは、第2の構成要素の周りで編組を形成することおよび/または第2の構成要素の周りで巻き付けを行うことにより、達成される。
【0007】
熱可塑性マトリックスを用いる、荷重負荷要素および繊維プラスチック複合材料の中空プロフィールと、構造要素と、から構造要素を作るための1つの方法が、文献DE10201400458A1に説明されている。この方法は、とりわけ、以下のステップを含む:少なくとも1つのアンダーカット部分を装備する荷重負荷要素を繊維プラスチック複合材料の中空プロフィールの中に挿入するステップと;荷重負荷要素のアンダーカット部分の領域内でプロフィールの変形可能状態(deformability)までプロフィールを局所的に加熱するステップと;プロフィールをモールド内に配置するステップであって、本方法の上述のステップが任意選択で異なる順番で実行され得る、配置するステップと;アンダーカット部分の領域内においてモールド内にある変形可能なプロフィール上で流動可能な射出成形コンパウンドを成形するステップと、を含む。
【0008】
ここでの不利益は、大規模生産に適する射出成形方法を使用することである。射出成形方法を使用することにより、およびモールドが必要となることにより、製造コストが上がり、特には少量ロットの場合に製造コストが上がる。
【0009】
DE102014119732A1が、可撓性流体ラインの編組を形成するための方法と、包囲する編組を有する流体ラインとを説明している。流体ラインが、とりわけ、繊維複合材料から製造される編組のキャリアから構成される。編組のキャリアのマトリックスが少なくとも1つの熱可塑性物質から構成される。編組のキャリアが、熱可塑性マトリックスを融着または融解させることにより流体ラインの端部に一体に固定される。編組のキャリアが、圧縮により、具体的には磁気成形により、流体ラインの端部に固定される。
【0010】
ここでの不利益は、磁気成形の原理が一体接続装置の圧縮に使用されることである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
特定の実施形態で、本発明は、テンション-コンプレッションロッドのためのポジティブ・ロック式の荷重負荷を引き起こすための方法に関する。本方法は、繊維プラスチック中空構造を少なくとも1つの加力要素の上で少なくとも部分的に押し込むことを含み、加力要素が、繊維プラスチック中空構造と加力要素との間にポジティブ・ロック式の接続装置を作る少なくとも1つのアンダーカット部分を有する。本方法は、繊維プラスチック中空構造を繊維プラスチック中空構造の塑性点(point of plasticity)まで局部的に加熱することをさらに含む。熱が、少なくとも、加力要素のアンダーカット部分の領域に加えられる。本方法は、加力要素の領域において少なくとも1つの外側スリーブを繊維プラスチック中空構造に適用することをさらに含む。
【0012】
特定の実施形態で、外側スリーブがプラスチックマトリックス材料から作られる。特定の実施形態で、プラスチック外側スリーブの適用が、加力要素内のアンダーカット部分の領域において繊維プラスチック中空構造にプラスチックマトリック材料を巻き付けることにより、達成される。繊維プラスチック中空構造が、ポジティブ・ロック式に加力要素のアンダーカット部分に接触する。
【0013】
いくつかの実施形態で、外側スリーブが繊維強化プラスチックであり、繊維強化プラスチックが、熱可塑性マトリックス材料または熱硬化性マトリックス材料で予め含浸されるか、あるいは繊維プラスチック中空構造に対しての巻き付け中に熱可塑性マトリックス材料または熱硬化性マトリックス材料で含浸される、繊維を含み、マトリックス材料が予荷重下で巻かれる。
【0014】
特定の実施形態で、外側スリーブが金属である。特定の実施形態で、金属外側スリーブの適用が成形によって達成される。繊維プラスチック中空構造が、ポジティブ・ロック式に加力要素のアンダーカット部分に接触する。別の実施形態で、金属外側スリーブが、磁気成形、プレス加工、またはハイドロフォーミングにより、形成される。
【0015】
特定の実施形態で、加力要素のアンダーカット部分が、繊維プラスチック中空構造を基準として軸方向および/または径方向に形成される。
【0016】
他の実施形態で、本発明によると、外側スリーブが繊維強化であり、繊維強化外側スリーブ内の繊維が、主として、テンション-コンプレッションロッドの軸を基準として円周方向に方向付けられる。
【0017】
他の実施形態で、本発明が、繊維プラスチック中空構造と、アンダーカット部分を有する加力要素と、外側スリーブとを備えるテンション・コンプレッションロッドに関し、繊維プラスチック中空構造がポジティブ・ロック式に加力要素のアンダーカット部分に接触する。外側スリーブが繊維プラスチック中空構造に接触し、繊維プラスチック中空構造の繊維配向が主として軸方向として示される。
【0018】
特定の実施形態で、加力要素内の少なくとも1つのアンダーカット部分による加力要素と繊維プラスチック中空構造との間のポジティブ・ロックにより、引張荷重が達成される。
【0019】
特定の実施形態で、加力要素内の少なくとも1つのアンダーカット部分による加力要素と繊維プラスチック中空構造との間のポジティブ・ロックにより、圧縮荷重が達成される。
【0020】
他の実施形態で、加力要素のショルダに接触して補強される繊維プラスチック中空構造により、圧縮荷重が達成される。
【0021】
いくつかの実施形態で、繊維プラスチック中空構造が熱可塑性マトリックス材料を含む。
【0022】
特定の実施形態で、加力要素が、プラスチック、短繊維強化プラスチック、または金属材料で作られる。他の実施形態で、加力要素がねじ山を備える。
【0023】
特定の実施形態で、テンション-コンプレッションロッドの外側スリーブが繊維強化プラスチックを含み、プラスチックが熱硬化性マトリックス材料または熱可塑性マトリックス材料である。他の実施形態で、外側スリーブが金属材料である。他の実施形態で、外側スリーブが、少なくとも1つのラミネート層で作られる繊維プラスチック複合材料ラップである。
【0024】
特定の実施形態で、繊維プラスチック中空構造が、炭素繊維、グラスファイバー、および/またはアラミド繊維を含む。他の実施形態で、繊維強化プラスチックである外側スリーブが、炭素繊維、グラスファイバー、および/またはアラミド繊維を含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】熱可塑性繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、アンダーカット部分(6)および雌ねじ(4)を備える加力要素(3)と、外側スリーブ(5)と、で作られるテンション-コンプレッションロッド(1)を示す断面図である。
【
図2】
図2aは、アンダーカット部分(6)を備える加力要素(3)を中に挿入する繊維強化中空プロフィール(2)を加熱している状態の、非変形状態の繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、アンダーカット部分(6)を備える加力要素(3)と、を示す断面図である。
図2bは、テンション-コンプレッションロッドの前進(11)および回転(10)により繊維プラスチック複合材料ラップ(9)を適用している状態の、
図2aで加えられる熱によって部分的に変形した繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、アンダーカット部分(6)を備える加力要素(3)と、ポジティブ・ロック式で接触する繊維プラスチック複合材料ラップ(9)とを示す断面図である。
図2cは、部分的に変形した繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、アンダーカット部分(6)を備える加力要素(3)と、
図2bに示される繊維プラスチック複合材料ラップ(9)から作られるポジティブ・ロック式で接触する外側スリーブ(5)と、を示す断面図である。
図2aから2cの繊維プラスチック複合材料中空構造(2)がさらに加力要素(3)とのポジティブ・ロック形態へと変化した状態である。
【
図3】
図3aは、アンダーカット(6)を備える加力要素(3)を中に挿入する繊維強化中空プロフィール(2)を加熱している状態の、非変形状態のプラスチック複合材料中空構造(2)と、アンダーカット部分(6)を備える加力要素(3)とを示す断面図である。
図3bは、金属外側スリーブ(5)の磁気形成のための電流「I」(13)を印加する状態の、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、アンダーカット部分(6)を備える加力要素(3)と、金属外側スリーブ(5)と、コイル(12)とを示す断面図である。
図3cは、部分的に変形した繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、アンダーカット部分(6)を備える加力要素(3)と、ポジティブ・ロック式で接触する金属外側スリーブ(5)と、を示す断面図である。
図3aから3cの繊維プラスチック複合材料中空構造(2)がさらに加力要素(3)とのポジティブ・ロック形態へと変化した状態である。
【
図4】
図4aは、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、加力要素(3)の外側表面上にあるアンダーカット部分(6)および雌ねじ(4)を備える加力要素(3)と、繊維プラスチック複合材料ラップから作られる外側スリーブ(5)と、で作られるテンション-コンプレッションロッド(1)のための加力を示す断面図である。
図4bは、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、加力要素(3)の外側表面上にあるアンダーカット部分(6)および雌ねじ(4)を備える加力要素(3)と、金属外側スリーブ(5)と、で作られるテンション-コンプレッションロッド(1)のための加力を示す断面図である。
【
図5】
図5aは、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、加力要素(3)の外側表面上にあるアンダーカット部分(6)および雌ねじ(4)を備える加力要素(3)と、繊維プラスチック複合材料ラップから作られる外側スリーブと、で作られるテンション-コンプレッションロッド(1)のための加力を示す断面図である。
図5bは、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、加力要素(3)の外側表面上にあるアンダーカット部分(6)および雌ねじ(4)を備える加力要素(3)と、金属外側スリーブ(5)と、で作られるテンション-コンプレッションロッド(1)のための加力を示す断面図である。
【
図6】繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、加力要素(3)の外側表面上にあるアンダーカット部分(6)、雌ねじ(4)、およびショルダ(14)を備える加力要素(3)と、繊維プラスチック複合材料ラップまたは金属材料から作られる外側スリーブ(5)と、で作られるテンション-コンプレッションロッド(1)のための加力を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、テンション-コンプレッションロッドなどの、棒形状の繊維複合材料構造のためのポジティブ・ロック式の荷重負荷を引き起こすための方法に関し、中空ボディが、炭素繊維などの、繊維、および熱可塑性マトリックスなどの、マトリックスで作られる。ポジティブ・ロック式の接続装置を製造するために、構造コアを有さないかまたはロストコアの熱可塑性物質などの繊維強化プラスチックの中空プロフィールが使用される。これにより、中空プロフィールが連続プロフィールとして経済的に製造され得るという利点が得られる。本発明は例えば航空宇宙産業で使用され得る。
【0027】
本発明の別の態様によると、繊維プラスチック複合材料中空構造および外側スリーブを備えるテンション-コンプレッションロッドのためのポジティブ・ロック式の荷重負荷を引き起こすための方法が提供される。少なくとも1つの加力要素の上に少なくとも部分的に繊維プラスチック中空構造が配置された後、以下の方法ステップが任意の順番でまたは同時に実行され得る。特定の実施形態で、本方法が、(i)ポジティブ・ロック式の接続装置を作るために少なくとも1つのアンダーカット部分を装備する少なくとも1つの加力要素の上に全体としてまたは部分的に繊維プラスチック複合材料中空構造を配置すること(例えば、押し込むこと)と、(ii)少なくとも加力要素のアンダーカット部分の領域において、繊維プラスチック複合材料中空構造の塑性点まで繊維プラスチック複合材料中空構造を局部的に加熱することと、(iii)加力要素の領域において少なくとも1つの外側スリーブを繊維プラスチック複合材料中空構造に適用することと、を含む。特定の実施形態で、上記のステップが、ステップ(i)、ステップ(ii)、およびステップ(iii)の順番で、連続的に実施され得る。他の実施形態で、ステップ(i)の後に、ステップ(ii)および(iii)が同時に実施される。
【0028】
加力要素が、繊維プラスチック複合材料中空構造のための成形・支持構造として機能することができる。特定の実施形態で、繊維強化外側スリーブ内の繊維が、少なくとも主として、テンション-コンプレッションロッドを基準として円周方向に方向付けられ得る。
【0029】
特定の実施形態で、本発明が、特には
図1に示されるような繊維強化テンション-コンプレッションロッドのための、加力エリアにおいてポジティブ・ロック式の接続装置を作るための方法に採用され得る。
図1に示される具体的な実施形態で、テンション-コンプレッションロッド(1)が、熱可塑性マトリックスを有するプラスチック複合材料中空構造(2)で作られる。炭素繊維および/またはグラスファイバーならびに/あるいはアラミド繊維が、中空構造内で使用され得る。特定の実施形態で、繊維が、主として、軸方向のプロフィール方向に方向付けられ、したがって高い引張強度および高い座屈抵抗を提供する。雌ねじ(4)を有する加力要素(3)が荷重(7)を伝達するのに使用される。
図1の「F」が加力を表す。
【0030】
特定の実施形態で、加力要素が、繊維プラスチック中空構造のための成形・支持構造として機能する。
【0031】
加力要素が、プラスチック、短繊維強化プラスチック、または金属材料で作られ得る。
【0032】
加力要素は任意適切な形状であってよい。例えば、適切な加力要素の形状には、湾曲形状、角張った形状、またはその任意の組み合わせが含まれる。
【0033】
特定の実施形態で、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、またはそれより多い数のアンダーカット部分が存在してよい。加えて、特定の実施形態で、アンダーカット部分が等しい形状を有する。他の実施形態で、いくつかのアンダーカット部分が等しい形状を有することができ、対して他のアンダーカット部分が異なる形状を有する。他の実施形態で、すべてのアンダーカット部分が異なる形状を有する。
【0034】
図2が、ポジティブ・ロック式の荷重負荷を引き起こすための一実施形態を説明する。第1のステップで、1つの加力要素(3)または複数の加力要素(3)および少なくとも1つの繊維プラスチック複合材料中空構造(2)が、少なくとも部分的に、コア(15)の上に押し込まれる。次のステップで、中空構造(2)が加熱ゾーン(8)において局部的に加熱されて加力要素の上に押し込まれるかまたは加力要素(3)が最初に繊維プラスチック複合材料中空構造(2)の中に挿入されて次いで加熱ゾーンにおいて局部的に加熱される。加熱ゾーンにおける局部的な加熱中にまたはこの加熱の結果として、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)が変形可能点(point of deformability)まで加熱される。局部的な加熱中(
図2aの「T」)、あるいはこの局部的な加熱の前にまたはその後で、コア(15)が、テンション-コンプレッションロッド(1)の端部領域に対して巻き付けを行うための機械の上に配置され得る。
【0035】
図2bが、テンション-コンプレッションロッドに繊維プラスチック複合材料ラップ(9)を巻き付けることを説明し、ここでは、繊維プラスチック複合材料ラップ(9)の繊維がマトリックスで予め含浸されるかまたは巻き付けプロセス中にマトリックスで含浸される。熱可塑性物質または熱硬化性プラスチックが、複合材料ラップのためのマトリックスとして使用され得る。熱可塑性マトリックス材料の事例では、材料が本プロセス中に融解される。熱硬化性プラスチックマトリック材料の事例では、材料が追加のプロセスステップで硬化する。繊維強化の円周方向ラップが、巻線機(10)を回転させてさらにそれに対応させて対応する巻き方向(11)に前進させることにより、作られる。
【0036】
巻き付け中に繊維プラスチック複合材料中空構造(2)が変形可能であることを理由として、正確なポジティブ・ロック式の接続装置が、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)を備える加力要素(3)のアンダーカット部分(6)の領域に形成される。ここでは、アンダーカット部分(6)が回転軸を基準とした軸方向または径方向に形成され得る。
【0037】
図2aおよび
図2bに描かれる方法ステップが、任意選択で、任意である順番で、または同時に、実行され得る。
【0038】
図2cがテンション-コンプレッションロッド(1)の端部領域を示しており、ここでは、端部領域が
図2bに示されるように繊維プラスチック複合材料ラップ(9)を用いて作られる。繊維プラスチック複合材料ラップが外側スリーブ(5)を構成する。
図2cの方法ステップの後、コア(15)が取り外される。
【0039】
旋削または塗装などの追加のプロセスステップで最終製品を作るように、作られるテンション-コンプレッションロッド(1)がさらに必要に応じて仕上げられ得る。
【0040】
テンション-コンプレッションロッドの端部領域を実装するための別の方法が、例えば磁気成形を示す
図3aから3cに示される。
【0041】
磁気成形が利用される場合、少なくとも1つの金属外側スリーブ(5)または複数の金属外側スリーブ(5)が
図3aに示されるようにコア(15)の上に押し込まれる。金属スリーブ(5)が、少なくとも部分的に、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)および加力要素(3)の上に押し込まれる。この後、
図3aに示されるように、加熱ゾーン(8)において局部的な加熱が行われる。
【0042】
次のステップで、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)、加力要素(3)、および外側スリーブ(5)と共に、コア(15)が、
図3bに示されるように磁気成形のためのシステム内に配置される。高電流パルス(13)をコイル(12)に印加することにより、金属外側スリーブ(5)が非接触で変形させられる。磁気成形の結果として、変形可能な繊維プラスチック複合材料中空構造(2)が、同様に、正確なポジティブ・ロック式の接続装置を形成するように、アンダーカット部分(6)の領域内に形成される(
図3cを参照)。
図3cの方法ステップの後、コア(15)が取り外される。
【0043】
別法として、1つまたは複数の金属外側スリーブが、非接触の磁気成形の代わりに、例えばプレス加工またはハイドロフォーミングなどの他の方法により、適用され得る。正確なポジティブ・ロック式の接続装置を形成するようにアンダーカット部分の領域内に同様に形成される変形可能な繊維プラスチック複合材料中空構造が、このような任意の代替的方法でも同様に得られる。
【0044】
繊維プラスチック複合材料中空構造を備える1つまたは複数の加力要素に対して外側スリーブが正確に適用された後、コアが取り外される。旋削または塗装などの追加のプロセスステップで最終製品を作るように、作られるテンション-コンプレッションロッド(1)が仕上げられ得る。加力要素内の雌ねじは磁気成形の前に存在してもよいか、または後の加工ステップで作られてもよい。
【0045】
さらに、特定の実施形態で、テンション-コンプレッションロッドが、少なくとも1つのラミネート層で作られる繊維プラスチック複合材料ラップである外側スリーブを有する。特定の実施形態で、繊維プラスチック複合材料中空構造および/または繊維強化外側スリーブが、炭素繊維、グラスファイバー、アラミド繊維、またはその組み合わせである、1つまたは複数の繊維を含む。繊維プラスチック複合材料中空構造および/または繊維強化外側スリーブのための繊維が、連続繊維、長繊維、短繊維、またはその組み合わせから構成され得る。
【0046】
さらに、外側スリーブがプラスチックを含む実施形態では、熱可塑性物質および熱硬化性プラスチックが使用され得る。外側スリーブのために使用され得る熱可塑性物質および熱硬化性プラスチックの例には、エポキシ、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PAEK(ポリアリールエーテルケトン)、またはその組み合わせが含まれる。
【0047】
外側スリーブが金属材料を含む実施形態では、外側スリーブのために使用され得る適切な金属材料の例には、チタン、鋼鉄、およびアルミニウムが含まれる。
【0048】
繊維プラスチック中空構造のために、熱可塑性物質が使用され得る。中空構造のために使用され得る適切な熱可塑性物質の例には、PPS、PEEK、およびその組み合わせなどの、熱可塑性材料が含まれる。
【0049】
特定の実施形態で、加力要素が、プラスチック、短繊維強化プラスチック、または金属材料から作られ得る。加力要素がさらに、連続繊維、短繊維、またはその組み合わせを含むことができる。加力要素がプラスチックを含む実施形態では、加力要素のための適切なプラスチックには、例えば、PPS、PEEK、PAEK、およびその組み合わせが含まれる。
【0050】
本発明によるポジティブ・ロックの力のための追加のデザイン構成が
図4、5、および6に示される。これらの実施形態の各々が、巻き付けによるポジティブ・ロックまたは成形によるポジティブ・ロックを介して採用され得る。この加力要素は、引張荷重および/または圧縮荷重の伝達のための少なくとも1つのアンダーカット部分を有することを特徴とする。引張荷重および圧縮荷重の両方が、
図4および
図5の加力要素を用いて伝達され得る。
【0051】
図4aが、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、加力要素(3)の外側表面上にあるアンダーカット部分(6)および雌ねじ(4)を備える加力要素(3)と、繊維プラスチック複合材料ラップから作られる外側スリーブ(5)と、で作られるテンション-コンプレッションロッド(1)のための加力の断面図を示す。
【0052】
図4bが、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、加力要素(3)の外側表面上にあるアンダーカット部分(6)および雌ねじ(4)を備える加力要素(3)と、金属外側スリーブ(5)と、で作られるテンション-コンプレッションロッド(1)のための加力の断面図を示す。
【0053】
図5aが、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、加力要素(3)の外側表面上にあるアンダーカット部分(6)および雌ねじ(4)を備える加力要素(3)と、繊維プラスチック複合材料ラップから作られる外側スリーブ(5)と、で作られるテンション-コンプレッションロッド(1)のための加力の断面図を示す。
【0054】
図5bが、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、加力要素(3)の外側表面上にあるアンダーカット部分(6)および雌ねじ(4)を備える加力要素(3)と、金属外側スリーブ(5)と、で作られるテンション-コンプレッションロッド(1)のための加力の断面図を示す。
【0055】
図6に示される実施形態では、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)と、加力要素(3)の外側表面上にあるアンダーカット部分(6)、雌ねじ(4)、およびショルダ(14)を備える加力要素(3)と、繊維プラスチック複合材料ラップまたは金属材料から作られる金属外側スリーブ(5)と、で作られるテンション-コンプレッションロッド(1)のための加力の断面図が示される。
【0056】
さらに、
図6に示される実施形態では、加力要素(3)内のアンダーカット部分が引張荷重の伝達のために使用される。圧縮荷重の場合、繊維プラスチック複合材料中空構造(2)が加力要素(3)のショルダに接触して補強され、これにより、圧縮荷重が加力要素(3)からプロフィールに伝達される。
【0057】
外側スリーブが金属材料から作られる特定の実施形態では、金属スリーブが所定の壁厚を有し、加力要素の輪郭に従う。外側スリーブが繊維プラスチック複合材料ラップから作られる実施形態では、加力要素の輪郭に必ずしも従うわけではない所望の輪郭内に外側輪郭を適合させることが可能である。他の実施形態では、繊維プラスチック複合材料ラップから作られる外側スリーブが、加力要素と同じ外側輪郭を有することができる。
【0058】
上記に対しての修正形態が当業者には明らかとなろう。しかし、このような修正形態は本発明の範囲を超えて本発明を修正するものではない。以下の特許請求の範囲はこのような状況も包含すると解釈されるべきである。
【国際調査報告】