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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】過熱保護デバイスおよびバリスタ
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/10 20060101AFI20221027BHJP
   H01C 7/13 20060101ALI20221027BHJP
   H01H 37/76 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H01C7/10
H01C7/13
H01H37/76 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515638
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 US2020049811
(87)【国際公開番号】W WO2021050458
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】201910850036.1
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201921493615.7
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522092284
【氏名又は名称】ドングアン リテルヒューズ エレクロトニクス、カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マトゥス、ユリー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ピネダ、マーティン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ドンジアン
【テーマコード(参考)】
5E034
5G502
【Fターム(参考)】
5E034CC02
5E034DA02
5E034DB09
5E034ED06
5E034FA02
5G502AA02
5G502AA11
5G502BA01
5G502BA02
5G502BA10
5G502BB01
5G502BB04
5G502BB20
5G502BC07
5G502BC12
5G502BC20
5G502BD02
5G502BD03
5G502CC03
5G502CC28
5G502CC32
5G502EE05
(57)【要約】
過熱保護デバイスおよびバリスタを提供する。過熱保護デバイスは、離隔して配置される第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置するホットメルトワイヤであって、前記第1の電極および前記第2の電極に電気接触する、ホットメルトワイヤと、前記第1の電極および前記第2の電極を支持する絶縁体とを備え、周囲温度が予め定められた温度に達すると、前記ホットメルトワイヤが、液体ホットメルト材料に溶融し、前記液体ホットメルト材料が、前記第1の電極および前記第2の電極を湿らせ、前記液体ホットメルト材料が、前記絶縁体の少なくとも、前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置する部分を湿らせない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
離隔して配置される第1の電極および第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置するホットメルトワイヤであって、前記第1の電極および前記第2の電極に電気接触する、ホットメルトワイヤと、
前記第1の電極および前記第2の電極を支持する絶縁体と
を備え、
周囲温度が予め定められた温度に達すると、前記ホットメルトワイヤが、液体ホットメルト材料に溶融し、前記液体ホットメルト材料が、前記第1の電極および前記第2の電極を湿らせ、前記液体ホットメルト材料が、前記絶縁体の少なくとも、前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置する部分を湿らせない、
過熱保護デバイス。
【請求項2】
前記絶縁体が、板状または波形の構造を備え、前記第1の電極、前記第2の電極、および前記ホットメルトワイヤが、前記板状または波形の構造の一方の側に配置される、
請求項1に記載の過熱保護デバイス。
【請求項3】
保護層をさらに備え、前記保護層および前記板状または波形の構造が、キャビティを囲み、前記第1の電極の少なくとも一部分、前記第2の電極の少なくとも一部分、および、前記ホットメルトワイヤが、前記キャビティ内に収容される、
請求項2に記載の過熱保護デバイス。
【請求項4】
前記液体ホットメルト材料が、前記保護層を湿らせない、
請求項3に記載の過熱保護デバイス。
【請求項5】
前記過熱保護デバイスが、少なくとも1つの湿潤コンポーネントであって、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置される湿潤コンポーネントをさらに備え、前記第1の電極、前記少なくとも1つの湿潤コンポーネント、および、前記第2の電極が、前記ホットメルトワイヤの延在方向に離隔するように連続して順次配列され、前記液体ホットメルト材料が、前記湿潤コンポーネントを湿らせる、
請求項2に記載の過熱保護デバイス。
【請求項6】
前記絶縁体が、筒状構造を備え、前記第1の電極、前記第2の電極、および前記ホットメルトワイヤが、前記筒状構造内に配置される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の過熱保護デバイス。
【請求項7】
前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも1つが、層状電極、柱状電極、または、スポンジ電極である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の過熱保護デバイス。
【請求項8】
バリスタ体と、
感圧電子体上に配置された、請求項1から7のいずれか一項に記載の過熱保護デバイスとを備え、前記第1の電極および前記第2の電極と比較して、前記絶縁体が、前記バリスタ体に、より近接する、
バリスタ。
【請求項9】
前記バリスタ体が、積み重なるように順次配置された第1の電極層、バリスタチップ、および第2の電極層を備え、前記第2の電極層および前記絶縁体が、互いに向き合うように配置される、
請求項8に記載のバリスタ。
【請求項10】
前記バリスタが、熱伝導層を備え、前記熱伝導層が、前記絶縁体と前記第2の電極層との間に配置される、
請求項9に記載のバリスタ。
【請求項11】
前記第2の電極層が、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの一方に電気的に接続され、
前記バリスタが、
第1のピンであって、前記第1の電極層に電気的に接続される第1のピンと、
第2のピンであって、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの他方に電気的に接続される第2のピンと
をさらに備える、
請求項10に記載のバリスタ。
【請求項12】
前記バリスタが、前記バリスタ体および前記過熱保護デバイスを被覆する封入層をさらに備える、
請求項10または11に記載のバリスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年9月9日出願、名称「Overheat Protection Device and Varistor」の中国特許出願第201910850036.1号および2019年9月9日出願、名称「Overheat Protection Device and Varistor」の中国実用新案出願第201921493615.7号に対する優先権の利益を主張する。これら出願全体を、参照により本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は、回路保護の分野に関し、詳細には、過熱保護デバイスおよびバリスタに関する。
【背景技術】
【0003】
バリスタは、非線形ボルトアンペア特性を有する抵抗デバイスであり、回路が過電圧を受け、余剰な電流を吸収する際に、損傷を受けやすいデバイスを保護するために、電圧クランプを実行するのに主に使用される。バリスタは、回路内で並列に接続される可変抵抗器と同等である。回路が正常使用される際には、バリスタは、高インピーダンスおよび少量の漏れ電流を有し、回路にはほぼ影響がない開回路とみなすことが可能である。しかし、非常に高いサージ電圧が発生すると、バリスタの抵抗が瞬時に降下し(抵抗がメガオームレベルからミリオームレベルに変化し得る)、これにより、過電圧を特定の値にクランプする間、大電流を流すことが可能になる。
【0004】
熱保護されたバリスタは、瞬時の熱除去をもたらすことが可能な製品である。この特性は、合金型温度ヒューズおよびバリスタにより、内部の実効熱電対、および、その構造を通じて実現される。熱保護されたバリスタは、過電圧、過電流、および温度過上昇についての複数の保護機能を有する。過電圧、過電流、または温度過上昇の際に合金をヒューズ切断することにより、回路からバリスタを即座に除去し、これにより、バリスタが継続して過熱されることによる出火が阻止される。
【0005】
しかし、上記の構造では、ヒューズの合金がヒューズ切断されると、ヒューズ切断された合金材料と、バリスタの電極との間に有効な物理的分離構造が存在しなくなる。バリスタは、引き続き回路に接続され得、バリスタが、継続して過熱されることで出火することもあり、よって、何らかの潜在的な安全上の問題がもたらされる。
【発明の概要】
【0006】
上記の問題の少なくとも1つの側面を解決するために、本開示の実施形態において、過熱保護デバイスおよびバリスタを提供する。
【0007】
本開示の一実施形態にて過熱保護デバイスを提供する。この過熱保護デバイスは、離隔して配置される第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置するホットメルトワイヤであって、前記第1の電極および前記第2の電極に電気接触する、ホットメルトワイヤと、前記第1の電極および前記第2の電極を支持する絶縁体とを含み、周囲温度が予め定められた温度に達すると、前記ホットメルトワイヤが、液体ホットメルト材料に溶融し、前記液体ホットメルト材料が、前記第1の電極および前記第2の電極を湿らせ、前記液体ホットメルト材料が、前記絶縁体の少なくとも、前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置する部分を湿らせない。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記絶縁体が、板状または波形の構造を備え、前記第1の電極、前記第2の電極、および前記ホットメルトワイヤが、前記板状または波形の構造の一方の側に配置される。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記過熱保護デバイスが、保護層をさらに備え、前記保護層および前記板状または波形の構造が、キャビティを囲み、前記第1の電極の少なくとも一部分、前記第2の電極の少なくとも一部分、および、前記ホットメルトワイヤが、前記キャビティ内に収容される。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記液体ホットメルト材料が、前記保護層を湿らせない。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記過熱保護デバイスが、少なくとも1つの湿潤コンポーネントであって、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置される湿潤コンポーネントをさらに備え、前記第1の電極、前記少なくとも1つの湿潤コンポーネント、および、前記第2の電極が、前記ホットメルトワイヤの延在方向に離隔するように連続して順次配列され、前記液体ホットメルト材料が、前記湿潤コンポーネントを湿らせる。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記絶縁体が、筒状構造を備え、前記第1の電極、前記第2の電極、および、前記ホットメルトワイヤが、前記筒状構造内に配置される。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも1つが、層状電極、柱状電極、または、スポンジ電極である。
【0014】
本開示の一実施形態にてバリスタを提供する。このバリスタは、バリスタ体と、感圧電子体上に配置された、上記の実施形態に従って説明した過熱保護デバイスとを備え、前記第1の電極および前記第2の電極と比較して、前記絶縁体が、前記バリスタ体に、より近接する。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記バリスタ体が、積み重なるように順次配置された第1の電極層、バリスタチップ、および第2の電極層を備え、前記第2の電極層および前記絶縁体が、互いに向き合うように配置される。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記バリスタが、熱伝導層を備え、前記熱伝導層が、前記絶縁体と前記第2の電極層との間に配置される。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記第2の電極層が、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの一方に電気的に接続され、前記バリスタが、第1のピンであって、前記第1の電極層に電気的に接続される第1のピンと、第2のピンであって、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの他方に電気的に接続される第2のピンとをさらに備える。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記バリスタが、前記バリスタ体および前記過熱保護デバイスを被覆する封入層をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
添付の図面に関連する以下での本発明の説明から、本発明の他の目的および利点が明白になり、それらは、本発明を完全に理解する助けになることができる。
【0020】
図1】本開示の一実施形態による過熱保護デバイスの模式的構造平面図である。
【0021】
図2図1を線aaに沿って切った模式的断面構造図である。
【0022】
図3】ホットメルトワイヤが溶融した際の図1の過熱保護デバイスの模式的構造平面図である。
【0023】
図4】本開示の他の実施形態による過熱保護デバイスの模式的構造平面図である。
【0024】
図5】本開示の他の実施形態による過熱保護デバイスの模式的構造図である。
【0025】
図6】Y方向に平行であり、円筒の軸を含む平面に沿って切った図5の断面図である。
【0026】
図7】本開示の一実施形態によるバリスタの模式的断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の技術的解決法を、添付の図面に関連し、実施形態を通して下記でさらに具体的に説明する。説明においては、同一の、または類似する参照符号は、同一の、または類似する部材を示す。添付の図面に関連する下記の本発明の実装様式の説明は、本発明の一般的発明概念を説明することを意図しており、本発明に対する限定とみなされるべきではない。
【0028】
さらに、本開示の実施形態の明確な説明および完全な理解を提供するために、以下の詳細な説明で、多数の具体的詳細を説明する。ただし、これらの具体的詳細がなくても、1つまたは複数の実施形態を実装することが可能であることは明白である。
【0029】
本明細書中で記載される「上に(on)」、「~の上に形成(formed on)」および「~の上に配置(disposed on)」は、1つの層が直接的に他の層の上に形成または配置されることを示すことがあり、1つの層が間接的に他の層の上に形成または配置されること、すなわち、2つの層の間に他の層が存在することを示すこともあることに留意されたい。
【0030】
本明細書では、「第1(first)」および「第2(second)」などの語は、様々な部材、コンポーネント、エレメント、領域、層、および/または、部分を説明するために使用されることがあることを留意されたい。ただし、これらの部材、コンポーネント、エレメント、領域、層、および/または、部分は、これらの語により限定されるべきではない。そうではなく、これらの語は、1つの部材、コンポーネント、エレメント、領域、層、および/または、部分を、他の部材、コンポーネント、エレメント、領域、層、および/または、部分と区別するために使用される。したがって、本開示の教示から逸脱することなく、例えば、下記で議論する第1の部材、第1のコンポーネント、第1のエレメント、第1の領域、第1の層、および/または、第1の部分は、第2の部材、第2のコンポーネント、第2のエレメント、第2の領域、第2の層、および/または、第2の部分と称することもできる。
【0031】
本開示では、過熱保護デバイスを提供する。過熱保護デバイスは、離隔して配置される第1の電極および第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に位置するホットメルトワイヤと、第1の電極および第2の電極を支持する絶縁体とを含み、ホットメルトワイヤの第1の端部が、第1の電極に電気接触し、ホットメルトワイヤの第2の端部が、第2の電極に電気接触する。周囲温度が予め定められた温度に達すると、ホットメルトワイヤは、液体ホットメルト材料に溶融し、液体ホットメルト材料は、第1の電極および第2の電極を湿らせ、液体ホットメルト材料は、絶縁体の少なくとも、第1の電極と第2の電極との間に位置する部分を湿らせない。
【0032】
本開示により提供される過熱保護デバイスについては、液体ホットメルト材料が第1の電極および第2の電極を湿らせ、絶縁体の少なくとも一部分を湿らせないように、第1の電極、第2の電極、および絶縁体の材料が選択される。この結果、周囲温度が予め定められた温度に達した際にホットメルトワイヤが溶融すると、液体ホットメルト材料が、互いから離隔した第1の電極および第2の電極に集まり、これにより、第1の電極および第2の電極が、完全に絶縁され、よって、熱保護デバイスが、完全な開回路状態になることが確実になる。
【0033】
具体的には、本開示の一実施形態において、過熱保護デバイス100が提供される。図1は、過熱保護デバイス100による模式的構造平面図である。図2は、図1を線aaに沿って切った模式的断面構造図である。図1および図2に示すように、過熱保護デバイス100は、絶縁体10と、絶縁体10上に位置する第1の電極11および第2の電極12と、第1の電極11と第2の電極12とを電気的に接続するホットメルトワイヤ13とを含む。この実施形態では、絶縁体は、板状または波形の構造である(板状構造の一例を図1に示している)。第1の電極11および第2の電極12は、絶縁体10の一方の側に位置し、互いから離隔するように配置される。ホットメルトワイヤ13の2つの端部は、第1の電極11および第2の電極12とそれぞれ電気接触する。例えば、ホットメルトワイヤ13の2つの端部は、第1の電極11および第2の電極12にそれぞれはんだ付けされる。
【0034】
ホットメルトワイヤ13は、スズ、アルミニウム-アンチモン合金、スズ-ビスマス合金、スズ-銅合金、スズ-銀-銅合金など、より低い融点を有する導電材料から作ることが可能である。したがって、周囲温度が予め定められた温度に達すると、ホットメルトワイヤ13が溶融し、破壊されるので、過熱保護デバイス100の第1の電極11と第2の電極12との電気的接続が断たれ、過熱保護デバイス100が、開回路状態になる。
【0035】
板状または波形の構造の絶縁体10を、セラミック、ガラス、アルミナ、SiN、およびポリイミド(PI)などの材料から作って、液体ホットメルト材料が絶縁体10を湿らさないことを確実にすることが可能である。第1の電極11および第2の電極12は、ホットメルトワイヤ13の融点よりも高い融点を有し、Cu、Ag、Au、Ni、およびPdなどの材料から作って、液体ホットメルト材料が絶縁体の第1の電極11および第2の電極12を湿らせることを確実にすることが可能である。したがって、周囲温度が予め定められた温度に達した際にホットメルトワイヤ13が溶融すると、液体ホットメルト材料が、液体ホットメルト材料の表面張力の作用下で流れ、互いから離隔した第1の電極11および第2の電極12に集まる。第1の電極11と第2の電極12との間の絶縁体10の表面上には、液体ホットメルト材料は実質的に存在しない。図3に示すように、液体ホットメルト材料は、第1の電極11および第2の電極12へと流れ、そこに集まり、第1の電極11および第2の電極12を覆う。この結果、第1の電極11および第2の電極12が、完全に絶縁され、これにより、熱保護デバイス100が完全な開回路状態になることが確実になる。
【0036】
本実施形態では、第1の電極11および第2の電極12が、それぞれ層状構造を有する。例えば、第1の電極11および第2の電極12は、絶縁体10の一方の側に配置され、互いから離隔した銅パッドであってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、絶縁体10のうち、第1の電極11と第2の電極12との間に位置する部分のみが、液体ホットメルト材料により湿らされない構成を提供することも可能である。
【0038】
いくつかの実施形態では、図2に示すように、過熱保護デバイス100が、液体ホットメルト材料の流動性への外部干渉を避け、表面張力下での液体ホットメルト材料の流れを確実にするために保護層14をさらに含み得る(図1では保護層を示していない)。保護層14および板状または波形の構造を有する絶縁体10は、キャビティを囲み、第1の電極11の少なくとも一部分、第2の電極12の少なくとも一部分、および、ホットメルトワイヤ13が、キャビティ内に収容される。保護層14は、SiNおよびポリイミド(PI)などの材料から作ることが可能であり、液体ホットメルト材料は、保護層14を湿らせない。したがって、ホットメルトワイヤ13を溶融させることにより形成される液体ホットメルト材料を、表面張力の作用下で、キャビティ内の第1の電極11および第2の電極12に集めることが可能である。こうして、保護層14は、液体ホットメルト材料の流動性が外的要因に干渉されないことを確実にする。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の電極と第2の電極12との距離が、例えば、9mmより大きいか等しく、これにより、第1の電極11および第2の電極12にそれぞれ集まる液体ホットメルト材料が、十分に分離されることが確実になる。
【0040】
図4は、本開示の他の実施形態による過熱保護デバイスの模式的構造平面図である。この実施形態は、過熱保護デバイス10が少なくとも1つの湿潤コンポーネント15、例えば、2つの湿潤コンポーネントをさらに含む点で、図1に示す過熱保護デバイスと異なる。湿潤コンポーネント15も絶縁体10上に配置され、第1の電極11と第2の電極12との間に位置する。第1の電極11、第2の電極12、および湿潤コンポーネント15は、互いから離隔するように配置される。例えば、図4に示すように、第1の電極11、第2の電極12、および湿潤コンポーネント15は、それぞれ細長い形状を有し、共同でゼブラクロッシング形状を形成する。湿潤コンポーネント15は、Cu、Ag、Au、Ni、およびPdなどの材料から作ることが可能であり、これにより、液体ホットメルト材料が、湿潤コンポーネント15を湿らせる。周囲温度が予め定められた温度に達した際にホットメルトワイヤ13が液体ホットメルト材料に溶融すると、液体ホットメルト材料は、互いから離隔した第1の電極11、第2の電極12、および湿潤コンポーネント15に集まり、液体ホットメルト材料は、互いに切り離された複数の部分に分けられ、これにより、第1の電極11および第2の電極12は完全に絶縁され、したがって、熱保護デバイス100が完全な開回路状態になることが確実になる。本実施形態での過熱保護デバイスは、ホットメルトワイヤ13から溶融される液体ホットメルト材料の量が比較的多いケースで使用することが可能である。
【0041】
いくつかの実施形態では、湿潤コンポーネント15は、第1の電極11および第2の電極12と同じ材料から作ることが可能である。このケースでは、絶縁体10上に、第1の電極11および第2の電極12と同時に湿潤コンポーネント15を形成することが可能なので、準備プロセスが簡略化される。
【0042】
上記の実施形態では、第1の電極11および第2の電極12が、それぞれ層状構造を有する。他の実施形態では、第1の電極11および第2の電極12が、柱状構造またはスポンジ構造を採用してもよい。
【0043】
図1および図4に示す過熱保護デバイス100は、全体として矩形形状を有するが、この特徴が、本開示の限定にはならないことを当業者は理解することができ、過熱保護デバイス100は、円形状およびダイヤモンド形状などの他の形状を有してもよい。
【0044】
本開示の他の実施形態において、過熱保護デバイスを提供する。図5は、本実施形態による過熱保護デバイスの模式的構造図であり、図6は、Y方向に平行であり、円筒の軸を含む平面に沿って切った図5の断面図である。本実施形態では、図5および図6に示すように、過熱保護デバイス200が、絶縁体20を含む。上記の実装形態と異なり、本実施形態での絶縁体20は、中空管であり、この中空管は、中空筒状構造、中空角柱構造などであってもよく、本明細書では限定されない。本実施形態は、図5に示す中空筒状構造を例に取って説明している。
【0045】
過熱保護デバイス200は、中空管に収容された第1の電極21、第2の電極22、およびホットメルトワイヤ23をさらに含む。図5に示すように、第1の電極21および第2の電極22は、中空管内の2つの端部の近くにそれぞれ配置される。第1の電極21と第2の電極22とは、予め定められた距離(例えば、9mmと等しいか、またはそれよりも大きい)だけ離隔している。ホットメルトワイヤ23の2つの端部は、それぞれ第1の電極21および第2の電極22と電気接触する。例えば、ホットメルトワイヤ23の2つの端部は、それぞれ第1の電極21および第2の電極22にはんだ付けされる。
【0046】
ホットメルトワイヤ23は、スズ、アルミニウム-アンチモン合金、スズ-ビスマス合金、スズ-銅合金、スズ-銀-銅合金など、より低い融点を有する導電材料から作ることが可能である。この結果、周囲温度が予め定められた温度に達すると、ホットメルトワイヤ23が溶融し、破壊されるので、過熱保護デバイス200の第1の電極21と第2の電極22との電気的接続が断たれ、過熱保護デバイス200が、開回路状態になる。
【0047】
中空管状構造の絶縁体20を、セラミック、ガラス、SiN、およびポリイミド(PI)などの材料から作って、液体ホットメルト材料が絶縁体20を湿らさないことを確実にすることが可能である。第1の電極21および第2の電極22は、ホットメルトワイヤ23の融点よりも高い融点を有し、Cu、Ag、Au、Ni、およびPdなどの材料から作って、液体ホットメルト材料が絶縁体の第1の電極21および第2の電極22を湿らせることを確実にすることが可能である。この結果、周囲温度が予め定められた温度に達した際にホットメルトワイヤ23が溶融すると、液体ホットメルト材料が、液体ホットメルト材料の表面張力の作用下で流れ、互いから離隔した第1の電極21および第2の電極22に集まる。実質的には、第1の電極21と第2の電極22との間の絶縁体20の内面上には、液体ホットメルト材料は存在しない。第1の電極21および第2の電極22が、完全に絶縁され、これにより、熱保護デバイス200が完全な開回路状態になることが確実になる。
【0048】
本実施形態では、第1の電極21および第2の電極22は、それぞれ板状構造であってもよく、それらは、中空管状の絶縁体20とともに、閉ざされた空間を囲む。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1の電極21および第2の電極22は、スポンジ電極であってもよい。このスポンジ電極は、液体ホットメルト材料がより容易に第1の電極21および第2の電極22上に吸収されるように、ポーラス構造を有する電極ブロックである。したがって、第1の電極21および第2の電極22が、完全に絶縁され、これにより、熱保護デバイス200が完全な開回路状態になることが確実になる。
【0050】
本開示の一実施形態において、バリスタを提供する。バリスタは、過熱保護バリスタであってもよく、図7は、この種類のバリスタの模式的断面構造図を示す。図7に示すように、バリスタ1000は、バリスタ体300と、感圧電子体300上に配置された過熱保護デバイスとを含む。この過熱保護デバイスとして、上記の実施形態での様々な過熱保護デバイスを採用することができる。ここでは、図1および図2に示す過熱保護デバイス100のみを例に取って説明を行う。
【0051】
図7に示すように、バリスタ体300は、積み重なるように順次配置された第1の電極層31、バリスタチップ32、および第2の電極層33を含む。バリスタチップ32は、酸化亜鉛バリスタチップなどの金属酸化物バリスタチップであってもよい。バリスタチップは、円形状および正方形などの様々な形状を有することができ、本明細書では特に限定されない。第1の電極層31および第2の電極層33は、バリスタチップ32の両側に、それぞれ配置される。第1の電極層31および第2の電極層33は、それぞれ、金属材料、例えば、Cu、Ag、およびAl、または、それらの合金などの金属材料から作ることが可能である。第1の電極層31および第2の電極層33のそれぞれで、バリスタチップ32の両側を覆い、それらは、バリスタチップ32と同じ形状を有し得る。
【0052】
過熱保護デバイス100は、第1の電極層31から離れて、第2の電極層33の一方の側に配置される。熱保護デバイス100の絶縁体10は、第2の電極層33を向くように配置される。すなわち、過熱保護デバイス100の第1の電極11および第2の電極12は、第2の電極層33から離れて、絶縁体10の一方の側に位置する。
【0053】
過熱保護デバイス100は、第1のリード51および第2のリード52をさらに含み、第1のリード51は、第1の電極層により引き出され、第2のリード52は、第1の電極11および第2の電極12のうちの一方により引き出され、第2の電極層33は、第1の電極11および第2の電極12のうちの他方に電気的に接続さる。図7に示すように、本実施形態では、第2のリード52は、第2の電極12により引き出され、第2の電極層33と第1の電極11とは、ワイヤ53により電気的に接続され、ワイヤ53の2つの端部は、第2の電極層33および第1の電極11に、それぞれはんだ付けされ得る。第1のリード51および第2のリード52は、バリスタ1000を外部回路に接続するために使用される。
【0054】
バリスタ1000が置かれる回路が正常に動作すると、異常過熱は起こらず、温度は、過熱保護デバイス100内のホットメルトワイヤ13のヒューズ切断条件に達さない。このケースでは、バリスタ1000は、正常動作状態である。
【0055】
バリスタ1000が置かれる回路内に異常電圧があり、バリスタ1000が継続して異常な過電圧を有する場合、または、他の異常条件に起因して、バリスタ体300の温度が上昇する場合、バリスタ体300は、バリスタ体300上に位置する過熱保護デバイス100に熱を伝導する。温度が予め定められた温度に達すると、ホットメルトワイヤ13が溶融し、破壊されるので、過熱保護デバイス100の第1の電極11と第2の電極12との電気的接続が断たれ、過熱保護デバイス100が、開回路状態になる。この結果、バリスタ1000が置かれる回路は、開回路状態になり、バリスタ体300が、継続して過熱され、出火することが阻止される。
【0056】
本実施形態では、図7に示すように、バリスタ1000は、バリスタ体300から過熱保護デバイス100に熱を伝導するために第2の電極層33と絶縁体10との間に配置された熱伝導層40をさらに含む。過熱保護デバイス100が第2の電極層33に付着して固定され、熱が伝導できるように、熱伝導層40は、熱伝導性接着剤であってもよい。熱伝導層40は、過熱保護デバイス100を第2の電極層33にはんだ付けして固定し、熱を伝導するように機能するはんだであってもよい。
【0057】
伝導層40は必須ではないことが当業者には理解することができる。いくつかの実施形態では、熱伝導層40を省略してもよく、過熱保護デバイスを、第2の電極層33上に直接配置してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、バリスタ1000は、バリスタ体300と過熱保護デバイス100との組合せを一体的に被覆することが可能な封入層(図7には示していない)をさらに含み得る。封入層は、その層に封入されたバリスタ体300および過熱保護デバイス100などを保護するためのものである。バリスタ1000の第1のリード51および第2のリード52は、封入層を通って引き出される。封入層は、エポキシ材料から作ることが可能である。
【0059】
結論として、本開示にて提供される、過熱保護デバイス、および、過熱保護デバイスを含むバリスタでは、液体ホットメルト材料が第1の電極および第2の電極を湿らせ、絶縁体の少なくとも一部分を湿らせないように、第1の電極、第2の電極、および絶縁体の材料が選択される。この結果、周囲温度が予め定められた温度に達した際にホットメルトワイヤが溶融すると、液体ホットメルト材料が、互いから離隔した第1の電極および第2の電極に集まり、これにより、第1の電極および第2の電極が、完全に絶縁され、よって、熱保護デバイスが、完全な開回路状態になることが確実になり、バリスタが継続して過熱され、出火することが効果的に阻止される。
【0060】
本発明の一般概念のいくつかの実施形態の図示および説明を行ってきたが、本発明の一般概念の原理および趣旨から逸脱することなく、これらの実施形態に対する修正および組合せを行うことができることを当業者は理解するものであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその等価物により規定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】