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特表2022-546626迅速挿入型中心静脈カテーテル及びその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】迅速挿入型中心静脈カテーテル及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20221027BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A61M25/00 530
A61M25/01 500
A61M25/00 600
A61M25/00 550
A61M25/00 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515756
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 US2020048583
(87)【国際公開番号】W WO2021050302
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/898,408
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード ハロルド
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267AA11
4C267BB11
4C267BB18
4C267BB38
4C267CC08
4C267EE03
4C267FF01
4C267GG03
4C267GG04
4C267GG05
4C267GG06
4C267GG10
4C267GG36
4C267HH04
(57)【要約】
迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)及びその方法。RICCは、カテーテルチューブであって、カテーテルチューブの遠位端部分内の第1の部分と、カテーテルの遠位端部分内の、第1の部分の近位端側の第2の部分と、カテーテルチューブの第1及び第2の部分の間の接合部と、を含むカテーテルチューブを含むことができる。カテーテルチューブの第1の部分は、第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成される。カテーテルチューブの第2の部分は、第1のデュロメータ硬さより低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成される。カテーテルチューブの第1及び第2の部分は、挿入部位に挿入されて患者の脈管構造内を前進させられている場合に、カテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
迅速挿入型中心静脈カテーテルであって、
第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成された、カテーテルチューブの第1の部分であって、前記カテーテルチューブの遠位端部分に位置する第1の部分と、
前記第1のデュロメータ硬さより低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成された、前記カテーテルチューブの第2の部分であって、前記カテーテルチューブの前記遠位端部分において前記第1の部分の近位端側に位置する第2の部分と、
前記カテーテルチューブの前記第1の部分と前記第2の部分との間の接合部と
を備え、
前記カテーテルチューブの前記第1及び前記第2の部分は、患者の挿入部位に挿入されて脈管構造内で前進させられている場合に前記カテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有する、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項2】
前記接合部は、前記カテーテルチューブの前記第1のデュロメータ硬さと前記第2のデュロメータ硬さとの間の第3のデュロメータ硬さを有する第3の材料で形成される第3の部分である、請求項1に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項3】
前記接合部はテーパを有する遠位端部分を含み、前記カテーテルチューブの前記第1の部分はフレアを有する近位端部分を含み、前記接合部の前記テーパを有する遠位端部分は、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記フレアを有する近位端部分の中にある、請求項2に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項4】
前記接合部は近位端部分を含み、前記カテーテルチューブの前記第2の部分は遠位端部分を含み、前記接合部の前記近位端部分は、前記カテーテルチューブの前記第2の部分の前記遠位端部分と当接する、請求項2又は3に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項5】
前記カテーテルチューブの前記第1の部分及び前記第2の部分の各部分は、熱溶接によって前記接合部に溶接されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項6】
前記カテーテルチューブの前記第1の部分及び前記第2の部分の各部分は、溶剤溶接によって前記接合部に溶接されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項7】
前記カテーテルチューブの前記第1の部分はフレアを有する近位端部分を含み、前記カテーテルチューブの前記第2の部分はテーパを有する遠位端部分を含み、前記カテーテルチューブの前記第2の部分の前記テーパを有する遠位端部分は、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記フレアを有する近位端部分の中にある、請求項1に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項8】
前記カテーテルチューブの前記第1の部分及び前記第2の部分の各部分は、他方の部分に熱溶接で溶接されることによって前記カテーテルチューブの前記第1の部分と前記第2の部分との間に前記接合部が形成されている、請求項7に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項9】
前記カテーテルチューブの前記第1の部分及び前記第2の部分の各部分は、他方の部分に溶剤溶接で溶接されることによって前記カテーテルチューブの前記第1の部分と前記第2の部分との間に前記接合部が形成される、請求項7に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項10】
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルは、前記接合部の周囲にネックダウン部分を含み、前記ネックダウン部分は、前記カテーテルチューブの前記第1の部分と前記第2の部分との間にスムーズな移行を提供するように構成される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項11】
前記カテーテルチューブの前記第1の部分は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、又はポリウレタンである、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項12】
前記カテーテルチューブの前記第2の部分は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、又はシリコーンである、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項13】
迅速挿入型中心静脈カテーテルを製造する方法であって、
第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成された、カテーテルチューブの第1の部分と、前記第1のデュロメータ硬さより低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成される、カテーテルチューブの第2の部分と、前記第1のデュロメータ硬さと前記第2のデュロメータ硬さとの間の第3のデュロメータ硬さを有する第3の部分とを取得することと、
前記カテーテルチューブの前記第1の部分にフレアを有する近位端部分を形成すべく、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記近位端部分にフレアを形成することと、
前記カテーテルチューブの前記第3の部分のテーパを有する遠位端部分を前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記フレアを有する近位端部分に挿入することと、
前記カテーテルチューブの前記第2の部分の前記遠位端部分と前記カテーテルチューブの前記第3の部分の前記近位端部分とを当接させることと、
前記カテーテルチューブの前記第1の部分と前記第2の部分との間に第3の材料からなる接合部を形成すべく、前記カテーテルチューブの第1の部分、前記第2の部分及び前記第3の部分を一体に溶接することと
を含む方法。
【請求項14】
前記カテーテルチューブの前記第2の部分及び前記第3の部分を溶接することは、前記カテーテルチューブの前記第3の部分の前記テーパを有する遠位端部分を前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記フレアを有する近位端部分に挿入すること、並びに前記カテーテルチューブの前記第1の部分及び前記第3の部分を溶接することの前に行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶接は、個別の熱溶接または溶剤溶接である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
請求項13乃至15のいずれか一項に記載の方法は、前記カテーテルチューブの前記第3の部分の前記遠位端部分にテーパを形成すべく、前記カテーテルチューブのテーパを有しない遠位端部分にテーパを形成することをさらに含む方法。
【請求項17】
請求項13乃至16のいずれか一項に記載の方法は、前記接合部の周囲にネックダウン部分を形成すべく前記カテーテルチューブをネックダウンすることをさらに含み、前記ネックダウン部分は、前記カテーテルチューブの前記第1の部分、前記第2の部分、及び前記第3の部分の間にスムーズな移行を提供するように構成されている、方法。
【請求項18】
迅速挿入型中心静脈カテーテルを製造する方法であって、
第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成された、カテーテルチューブの第1の部分と、前記第1のデュロメータ硬さより低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成される、前記カテーテルチューブの第2の部分とを取得することと、
前記カテーテルチューブの前記第1の部分にフレアを有する近位端部分を形成すべく、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記近位端部分にフレアを形成することと、
前記カテーテルチューブの前記第2の部分のテーパを有する遠位端部分を前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記フレアを有する近位端部分に挿入することと、
前記カテーテルチューブの前記第1の部分と前記第2の部分との間に接合部を形成すべく、前記カテーテルチューブの前記第1及び前記第2の部分を一体に溶接することと
を含む方法。
【請求項19】
前記溶接が熱溶接または溶剤溶接である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の方法は、前記カテーテルチューブの前記第2の部分のテーパを有しない遠位端部分にテーパを形成して、前記カテーテルチューブの前記第2の部分に前記テーパを有する遠位端部分を形成することをさらに含む、方法。
【請求項21】
請求項18乃至20のいずれか一項に記載の方法は、前記接合部の周囲にネックダウン部分を形成すべく前記カテーテルチューブをネックダウンすることをさらに含み、前記ネックダウン部分は、前記カテーテルチューブの前記第1の部分と前記第2の部分との間にスムーズな移行を提供するように構成されている、方法。
【請求項22】
迅速挿入型中心静脈カテーテルの方法であって、
患者の脈管構造にアクセスすべく針で挿入部位を形成することと、
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルのカテーテルチューブの遠位端部分を前記針に被せて前記挿入部位に挿入することと、
セルジンガ法を使用することなく、前記患者の前記脈管構造を通して前記カテーテルチューブの前記遠位端部分を前進させることと
を含む方法。
【請求項23】
前記挿入部位を形成した後、前記迅速挿入型中心静脈カテーテルから針を引き抜くことをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記挿入部位は右鎖骨下静脈又は右内頚静脈に位置する、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記患者の前記脈管構造を通して前記カテーテルチューブの前記遠位端部分を前進させることは、前記カテーテルチューブの前記遠位端部分を右鎖骨下静脈又は右内頚静脈、右腕頭静脈を通り、上大静脈の中へと前進させることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
迅速挿入型中心静脈カテーテルであって、
第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成された、カテーテルチューブの第1の部分であって、前記カテーテルチューブの遠位端部分において単一の管腔を有する第1の部分と、
前記第1のデュロメータ硬さより低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成された、前記カテーテルチューブの第2の部分であって、前記カテーテルチューブの前記遠位端部分において前記第1の部分の近位端側に位置して一対の管腔を有する第2の部分と、
前記一対の管腔が前記単一の管腔に移行する、前記カテーテルチューブの前記第1の部分と前記第2の部分との間の接合部と
を備え、
前記カテーテルチューブの前記第1及び前記第2の部分は、患者の挿入部位に挿入されて脈管構造内で前進させられている場合に前記カテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有する、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項27】
迅速挿入型中心静脈カテーテルであって、
カテーテルチューブの遠位端部分に位置する第1の部分と、
前記カテーテルチューブの前記遠位端部分において前記第1の部分の近位端側に位置する第2の部分と、
前記カテーテルチューブの前記第1の部分と前記第2の部分との間の接合部と
を備え、
前記カテーテルチューブの前記第1及び前記第2の部分は、患者の挿入部位に挿入されて脈管構造内で前進させられている場合に前記カテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有する、実質的に同じデュロメータを有する同じ材料又は異なる材料から形成されている、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、迅速挿入型中心静脈カテーテル及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中心静脈カテーテル(CVC:central venous catheter)はデュロメータ硬さが比較的低い材料で形成されており、それが、CVCが柱座屈強度を欠く一因となっている。柱座屈強度の欠如により、CVCは一般にセルジンガ法によって患者の体内へと導入され、その脈管構造内で前進させられる。セルジンガ法では、多くのステップと医療機器(例えば、針、外科用メス、ガイドワイヤ、イントロデューサシース、ディレータ、CVC等)が利用される。セルジンガ法は有効ではあるものの、多くのステップには時間がかかり、多数の医療機器を扱うことは煩雑であり、これらは何れも患者に外傷を負わせる可能性がある。それに加えて、セルジンガ法の多数のステップ中に交換が必要な医療機器が多いことから、接触による汚染の可能性が比較的高い。そのため、カテーテルを患者の体内へと導入し、カテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップと医療機器の数を減らす必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本願では、上記に対処する迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC:rapidly inserted central catheter)及びその方法が開示される。
本願ではRICCが開示され、これは、いくつかの実施形態において、カテーテルチューブであって、カテーテルチューブの遠位端部分内の第1の部分と、カテーテルの遠位端部分内の、第1の部分の近位端側の第2の部分と、カテーテルチューブの第1及び第2の部分の間の接合部と、を含むカテーテルチューブを含む。カテーテルチューブの第1の部分は、第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成される。カテーテルチューブの第2の部分は、第1のデュロメータ硬さより低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成される。カテーテルチューブの第1及び第2の部分は、患者の挿入部位に挿入され、脈管構造内で前進させられている場合にカテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有する。
【0004】
いくつかの実施形態において、接合部はカテーテルチューブの、第1のデュロメータ硬さと第2のデュロメータ硬さとの間の第3のデュロメータ硬さを有する第3の材料で形成される第3の部分である。
【0005】
いくつかの実施形態において、接合部はテーパを有する遠位端部分を含み、カテーテルチューブの第1の部分はフレアを有する近位端部分を含み、接合部のテーパを有する遠位端部分はカテーテルチューブの第1の部分のフレアを有する近位端部分の中にある。
【0006】
いくつかの実施形態において、接合部は近位端部分を含み、カテーテルチューブの第2の部分は遠位端部分を含み、接合部の近位端部分はカテーテルチューブの第2の部分の遠位端部分と当接する。
【0007】
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの第1及び第2の部分の各部分は、熱溶接で接合部に溶接される。
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの第1及び第2の部分の各部分は、溶剤溶接で接合部に溶接される。
【0008】
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの第1の部分はフレアを有する近位端部分を含み、カテーテルチューブの第2の部分はテーパを有する遠位端部分を含み、カテーテルチューブの第2の部分のテーパを有する遠位端部分は、カテーテルチューブの第1の部分のフレアを有する近位端部分の中にある。
【0009】
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの第1及び第2の部分の各部分は他方の部分に熱溶接で溶接され、それによってカテーテルチューブの第1及び第2の部分の間に接合部が形成される。
【0010】
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの第1及び第2の部分の各部分は他方の部分に溶剤溶接で溶接され、それによってカテーテルチューブの第1及び第2の部分の間に接合部が形成される。
【0011】
いくつかの実施形態において、RICCは接合部の周囲にネックダウン部分を含む。ネックダウン部分は、カテーテルチューブの第1の部分と第2の部分との間にスムーズな移行を提供するように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの第1の部分はポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、又はポリウレタンである。
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの第2の部分はポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、又はシリコーンである。
【0013】
また、本願ではRICCの製造方法が開示され、これは、いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの第1の部分、第2の部分、及び第3の部分の各部分を取得する取得ステップを含む。カテーテルチューブの第1の部分は、第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成される。カテーテルチューブの第2の部分は第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成される。カテーテルチューブの第3の部分は、第1のデュロメータ硬さと第2のデュロメータ硬さとの第3のデュロメータ硬さを有する第3の材料で形成される。また、方法は、カテーテルチューブの第1の部分の近位端部分にフレアを形成して、カテーテルチューブの第1の部分のフレアを有する近位端部分を形成するフレア加工ステップを含む。また、方法は、カテーテルチューブの第3の部分のテーパを有する遠位端部分をカテーテルチューブの第1の部分のフレアを有する近位端部分に挿入する挿入ステップを含む。また、方法は、カテーテルチューブの第2の部分の遠位端部分とカテーテルチューブの第3の部分の近位端部分を当接させる当接ステップを含む。また、方法は、カテーテルチューブの第1の部分と第2の部分との間に第3の材料の接合部を形成すべく、カテーテルチューブの第1、第2、及び第3の部分を一体に溶接する溶接ステップを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの第2及び第3の部分を溶接する溶接ステップは、カテーテルチューブの第3の部分のテーパを有する遠位端部分をカテーテルチューブの第1の部分のフレアを有する近位端部分に挿入し、カテーテルチューブの第1及び第3の部分を溶接する挿入及び溶接ステップの前に行われる。
【0015】
いくつかの実施形態において、溶接ステップの各溶接ステップは個別の熱溶接又は溶剤溶接である。
いくつかの実施形態において、方法は、カテーテルチューブのテーパを有しない遠位端部分にテーパを形成してカテーテルチューブの第3の部分のテーパを有する遠位端部分を形成するテーパ加工ステップをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、方法は、カテーテルチューブをネックダウンして、接合部の周囲にネックダウン部分を形成するネックダウンステップをさらに含む。ネックダウン部分は、カテーテルチューブの第1の部分、第2の部分、及び第3の部分の間にスムーズな移行を提供するように構成される。
【0017】
また、本願では、RICCの製造方法が提供され、これは、いくつかの実施形態において、第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成された、カテーテルチューブの第1の部分を取得し、第1のデュロメータ硬さより低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成される、カテーテルチューブの第2の部分を取得する取得ステップを含む。また、方法は、カテーテルチューブの第1の部分の近位端部分にフレアを形成して、カテーテルチューブの第1の部分のフレアを有する近位端部分を形成するフレア加工ステップを含む。また、方法は、カテーテルチューブの第2の部分のテーパを有する遠位端部分をカテーテルチューブの第1の部分のフレアを有する近位端部分に挿入する挿入ステップを含む。また、方法は、カテーテルチューブの第1の部分と第2の部分との間に接合部を形成すべく、カテーテルチューブの第1及び第2の部分を一体に溶接する溶接ステップを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、溶接ステップは熱溶接又は溶剤溶接を含む。
いくつかの実施形態において、方法は、カテーテルチューブの第2の部分のテーパを有しない遠位端部分にテーパを形成してカテーテルチューブの第2の部分のテーパを有する遠位端部分を形成するテーパ加工ステップをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、方法は、カテーテルチューブをネックダウンして、接合部の周囲にネックダウン部分を形成するネックダウンステップをさらに含む。ネックダウン部分は、カテーテルチューブの第1の部分と第2の部分との間にスムーズな移行を提供するように構成される。
【0020】
また、本願では、RICCの方法が開示され、これは、いくつかの実施形態において、患者の脈管構造にアクセスするための針による挿入部位を形成する挿入部位形成ステップと、RICCのカテーテルチューブの遠位端部分を針に被せて挿入部位に挿入する挿入ステップと、カテーテルチューブの遠位端部分を、セルジンガ法を用いることなく、患者の脈管構造の中で前進させる前進ステップと、を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、方法は、挿入部位形成ステップの後に、RICCから針を引き抜く引き抜きステップをさらに含む。
いくつかの実施形態において、挿入部位は右鎖骨下静脈又は右内頚静脈にある。
【0022】
いくつかの実施形態において、前進ステップは、カテーテルチューブの遠位端部分を右鎖骨下静脈又は右内頚静脈、右腕頭静脈を通り、上大静脈の中へと前進させるステップを含む。
【0023】
また、本願では、RICCが開示され、これは、いくつかの実施形態において、カテーテルチューブであって、カテーテルチューブの遠位端部分内の単一の管腔を有する第1の部分と、カテーテルチューブの遠位端部分内の第1の部分の近位端側に位置する、一対の管腔を有する第2の部分と、カテーテルチューブの第1及び第2の部分の間の、その中で一対の管腔が単一の管腔に移行する接合部と、を含むカテーテルチューブを含む。カテーテルチューブの第1の部分は、第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成される。カテーテルチューブの第2の部分は、第1のデュロメータ硬さより低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成される。カテーテルチューブの第1及び第2の部分は、挿入部位に挿入されて、患者の脈管構造内で前進させられている場合にカテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有する。
【0024】
本願ではRICCが開示され、これは、いくつかの実施形態において、カテーテルチューブであって、カテーテルチューブの遠位端部分内の第1の部分と、カテーテルチューブの遠位端部分内の、第1の部分の近位端側の第2の部分と、カテーテルチューブの第1及び第2の部分の間の接合部と、を含むカテーテルチューブを含む。カテーテルチューブの第1及び第2の部分は、カテーテルチューブの第1及び第2の部分が、挿入部位に挿入され、患者の脈管構造内で前進させられている場合にカテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有するかぎり、同じ材料又は、実質的に等しいデュロメータ硬さを有する異なる材料で形成される。
【0025】
本願で提供する概念のこれら及びその他の特徴は、当業者にとって、このような概念の具体的な実施形態をより詳しく説明している添付の図面及び以下の説明文を参照すればより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】いくつかの実施形態による第1のRICCの遠位端部分を示す。
図1B図1Aの第1のRICCの遠位端部分の断面図を示す。
図2】いくつかの実施形態による第2のRICCの断面図を示す。
図3】いくつかの実施形態による第3のRICCの断面図を示す。
図4A】少なくとも、いくつかの実施形態による第1のRICCの製造方法の一部を示す。
図4B】少なくとも、いくつかの実施形態による第1のRICCの製造方法の他の部分を示す。
図5A】少なくとも、いくつかの実施形態による第1のRICCの代替型の製造方法の一部を示す。
図5B】少なくとも、いくつかの実施形態による第2のRICCの代替型の製造方法の他の部分を示す。
図6A】いくつかの実施形態による第4のRICCの遠位端部分を示す。
図6B図6Aの第4のRICCの遠位端部分の断面図を示す。
図7】少なくとも、いくつかの実施形態による第4のRICCの製造方法の他の部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0028】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数のステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値制限を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、および「下」、または他の同様の用語などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0029】
「近位」に関しては、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0030】
「遠位」に関しては、例えば、本明細書に開示されているカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0031】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
前述のように、カテーテルを患者の体内に導入し、カテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップ及び医療機器の数を減らす必要がある。本願では、上記に対応するRICC及びその方法が開示される。
迅速挿入型中心静脈カテーテル
図1Aは、いくつかの実施形態によるRICC100の遠位端部分を示す。図1Bは、図1AのRICC100の遠位端部分の断面図を示す。図2は、いくつかの実施形態によるRICC200の断面図を示す。図3は、いくつかの実施形態によるRICC300の断面図を示す。図6Aは、いくつかの実施形態によるRICC600の遠位端部分を示す。図6Bは、図6AのRICC600の遠位端部分の断面図を示す。
【0032】
図のように、RICC100はカテーテルチューブ110を含み、これは、カテーテルチューブ110の遠位端部分内の第1の部分120と、カテーテルチューブ110の遠位端部分内の、第1の部分120の近位端側の第2の部分130と、カテーテルチューブ110の第1の部分120と第2の部分130との間の接合部140と、を含む。同様に、RICC200はカテーテルチューブ210を含み、これは、カテーテルチューブ210の遠位端部分内の第1の部分220と、カテーテルチューブ210の遠位端部分内の、第1の部分220の近位端側の第2の部分130と、カテーテルチューブ210の第1の部分220と第2の部分130との間の接合部240と、を含む。さらに同様に、RICC300はカテーテルチューブ310を含み、これは、カテーテルチューブ310の遠位端部分内の第1の部分220と、カテーテルチューブ310の遠位端部分内の、第1の部分220の近位端側の第2の部分330と、カテーテルチューブ310の第1の部分220と第2の部分330との間の接合部340と、を含む。さらにまた同様に、RICC600はカテーテルチューブ610を含み、これは、カテーテルチューブ610の遠位端部分内の第1の部分620と、カテーテルチューブ610の遠位端部分内の、第1の部分620の近位端側の第2の部分130と、カテーテルチューブ610の第1の部分620と第2の部分130との間の接合部140と、を含む。まとめて、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第1の部分120、220、又は620、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第2の部分130又は330、及び接合部140、240、又は340は、挿入部位に挿入され、患者の脈管構造内で前進させられている場合にカテーテルチューブ110、210、310、又は610の座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有する。RICC100、200、300、及び600は上述の部分を有するが、その他の部分及びその構成も可能であると理解すべきである。
【0033】
RICC100、200、300、又は600について単一の管腔112のみが示されているが、RICC100、200、300、又は600はシングル管腔カテーテルに限定されない。実際に、RICC100、200、300、又は600は代替的に、ダブル管腔カテーテル、トリプル管腔カテーテル、テトラ管腔カテーテル等とすることができる。また、RICC100、200、300、又は600の1部分の管腔の数は、RICC100、200、300、又は600の他の部分のより少ない管腔へと移行させることもできる。例えば、RICC100のカテーテルチューブ110の第2の部分130の一対の管腔は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の単一の管腔に移行させることができる。
【0034】
カテーテルチューブ110、210、又は310の第1の部分120又は220は、フレアを有する近位端部分122又は222と、カテーテルチューブ110、210、又は310のチップ124を兼ねる、カテーテルチューブ110、210、又は310の第1の部分120又は220のチップ124を含む。フレアを有する近位端部分122又は222は、フレアの度合いに関して異なるようにすることができ、第1の部分110のフレアを有する近位端部分122の度合いは、第2のカテーテルチューブ210又は第3のカテーテルチューブ310の第1の部分220のフレアを有する近位端部分222より大きい。カテーテルチューブ610の第1の部分620も同様に、カテーテルチューブ610のチップ124を兼ねるチップ124を含むが、カテーテルチューブ610の第1の部分620はカテーテルチューブ110、210、又は310の第1の部分120又は220のフレアを有する近位端部分122又は222と同様のフレアを有する近位端部分を含まない。その代わりに、カテーテルチューブ610の第1の部分620の近位端部分622は、チップ124の近位端側においてカテーテルチューブ610の第1の部分620の遠位端部分と同じ外径のままである。
【0035】
カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第1の部分120、220、又は620は、第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成される。第1の材料は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、又はポリウレタンとすることができるが、第1の材料はこれらのポリマに限定されない。ポリウレタンは、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第1の部分120、220、又は620が室温において比較的硬質であるが、生体内で体温においてはよりフレキシブルであり得、それによって血管壁の炎症と静脈炎が低減するという点で有利である。
【0036】
カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第2の部分130又は330は遠位端部分132、232又は332を含み、これは図4Bにおいて最もよくわかる。
【0037】
カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第2の部分130又は330は、第1の材料の第1のデュロメータ硬さより低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成される。第1のデュロメータ硬さと第2のデュロメータ硬さは異なるスケールによるものであり得る(例えば、タイプA又はタイプD)ため、第2のデュロメータ硬さは数字の上では第1のデュロメータ硬さより低くないかもしれない。すなわち、それでも第2の材料の硬さは第1の材料の硬さより低い可能性があり、これは、同程度の硬さを有する材料の複数の群の異なる材料を特徴付けるために、何れも0~100の範囲の別のスケールが考案されているからである。第2の材料はポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、又はシリコーンとすることができるが、第1の材料は上述のポリマに限定されない。ポリウレタンは、他のいくつかのポリマより血栓形成性が低い可能性があるという点で有利である。
【0038】
以上にかかわらず、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第1の部分120、220、又は620及び第2の部分130又は330は、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の柱座屈強度が、挿入部位に挿入され、患者の脈管構造内で前進させられる際にカテーテルチューブ110、210、310、又は610の座屈を防止するのに十分であるかぎり、同じ材料でも、実質的に同程度のデュロメータ硬さを有する異なる材料でも形成できる。
【0039】
接合部140、240、又は340は、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第3の部分とすることができる。接合部140、240、又は340は、図4Bにおいて最もよくわかるテーパを有する遠位端部分142、242、又は342と、近位端部分144、244、又は344を含む。テーパを有する遠位端部分142、242、及び342の各テーパを有する遠位端部分は、テーパの度合に関して異なるものとすることができる。例えば、接合部140のテーパを有する遠位端部分142は、接合部240又は340のテーパを有する遠位端部分242又は342より大きい度合いのテーパを有することができる。
【0040】
接合部140、240、又は340は、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第1の部分120、220、又は620の第1の材料の第1のデュロメータ硬さとカテーテルチューブ110、210、310、又は610の第2の部分130又は330の第2の材料の第2のデュロメータ硬さとの間の第3のデュロメータ硬さを有する第3の材料で形成される。前述のものと同様に、このようなデュロメータ硬さは異なるスケールによるものである可能性がある(例えば、タイプA又はタイプD)ため、第3のデュロメータ硬さは数字の上では第1のデュロメータ硬さと第2のデュロメータ硬さとの間にないかもしれない。代替的に、第3の材料は、カテーテルチューブ110、210、310、若しくは610の第1の部分120、220、又は620の第1の材料又はカテーテルチューブ110、210、310、若しくは610の第2の部分130若しくは330の第2の材料と同じデュロメータ硬さを有することができる。
【0041】
接合部140、240、又は340のテーパを有する遠位端部分142、242、又は342は少なくとも部分的にカテーテルチューブ110、210、又は310の第1の部分120又は220のフレアを有する近位端部分122又は222の中にある。しかしながら、カテーテルチューブ610に関して、接合部140のテーパを有する遠位端部分142はカテーテルチューブ610の第1の部分620の近位端部分622と当接する。接合部140、240、又は340の近位端部分144、244、又は344は、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第2の部分130又は330の遠位端部分132又は332と当接する。カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第1の部分120、220、又は620と第2の部分130又は330の各部分は、接合部140、240又は340に個別の熱溶接又は溶剤溶接で溶接される。1種類の溶接が使用される場合、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第1の部分120、220、又は620と第2の部分130又は330は接合部140、240、又は340に熱溶接又は溶剤溶接による1つの溶接ステップで溶接できる。カテーテルチューブ110の第1の部分120のフレアを有する近位端部分122は露出しており、それに対してカテーテルチューブ210又は310の第1の部分220のフレアを有する近位端部分222は、よりスムーズな移行のために、接合部240又は340の重複部分により隠される。さらにスムーズな移行のために、カテーテルチューブ310の第2の部分330と接合部340の両方とも、接合部340の周囲の複合的なネックダウン部分でネックダウンさせることができる。
【0042】
上記の代替案として、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第2の部分130又は330は、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の接合部140、240、又は340、すなわち第3の部分を含む。すなわち、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第3の部分は、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第2の部分130又は330とは別に形成されてそこに溶接されるのではなく、第2の部分530に関して図5Aに示されているように、カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第2の部分130又は330と一体に形成される。接合部140、240、又は340に関して前述したものと同様に、第2の部分530はテーパを有する遠位端部分542を含む。テーパを有する遠位端部分542は、テーパの度合いの点で異なるものとすることができる。例えば、第2の部分530のテーパを有する遠位端部分542は、カテーテルチューブ210及び310のうちの何れのカテーテルチューブより、カテーテルチューブ110又は610に関して、より大きいテーパの度合いを有することができる。
【0043】
カテーテルチューブ110、210、若しくは310の第2の部分530のテーパを有する遠位端部分542は、少なくとも部分的にカテーテルチューブ110、210、若しくは310の第1の部分120若しくは220のフレアを有する近位端部分122若しくは222の中にあるか、又はカテーテルチューブ610の第1の部分620の近位端部分622と当接する。カテーテルチューブ110、210、310、又は610の第1の部分120、220、又は620及び第2の部分530は、熱溶接又は溶剤溶接で一体に溶接される。カテーテルチューブ120の第1の部分120のフレアを有する近位端部分122は露出しており、それに対してカテーテルチューブ210又は310の第1の部分220のフレアを有する近位端部分222は、よりスムーズな移行のためにカテーテルチューブ210又は310の第2の部分530の重複部分により隠される。さらによりスムーズな移行のために、カテーテルチューブ310の第2の部分530は、ネックダウン部分においてネックダウンすることができる。
方法
図4A及び4Bは、少なくとも、いくつかの実施形態によるRICC100の製造方法を示す。また、実際に、図4A及び4Bに示される方法は、RICC200及び300にも当てはまる。図7は、少なくとも、いくつかの実施形態によるRICC600の製造方法を示す。RICC600の製造方法はRICC100に関して図4Bに示されるものと同様であるが、方法のうち、カテーテルチューブ110の第1の部分120のフレアを有する近位端部分122に関する点は含まれない。説明の便宜上、図4A及び4Bの方法は基本的にRICC100の製造に関して説明する。RICC200、300、又は600の製造方法がRICC100のそれと明らかに異なる場合のみ、図4A及び4Bの方法をRICC200又は300に関して説明するか、図7の方法をRICC600に関して説明する。
【0044】
RICC100の製造方法は、カテーテルチューブ110の第1の部分120、第2の部分130、及び接合部、すなわち第3の部分140の各部分を取得する取得ステップを含む。再び、カテーテルチューブ110の第1の部分120は第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成され、カテーテルチューブ110の第2の部分130は第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成され、カテーテルチューブ110の第3の部分140は、第1のデュロメータ硬さと第2のデュロメータ硬さとの第3のデュロメータ硬さを有する第3の材料で形成される。このようなデュロメータ硬さを有するこのような材料は、異なる融点を利用し、カテーテルチューブ110の異なる部分120、130、及び140間の溶接をRICC100の使用にとって十分な程度に促進させる。
【0045】
また、方法は、カテーテルチューブ110の初期の第1の部分424の近位端部分にフレアを形成して、カテーテルチューブ110の、フレアを有する近位端部分122を有する第1の部分120を形成するフレア加工ステップを含む。明白に、カテーテルチューブ610の第1の部分620は、カテーテルチューブ110の第1の部分120のフレア状の近位端部分122と同様のフレアを有する近位端部分を含まない。したがって、RICC600の製造方法は上記のフレア加工ステップを含む必要がない。
【0046】
また、方法は、カテーテルチューブ110の第3の部分140のテーパを有する遠位端部分142をカテーテルチューブ110の第1の部分120のフレアを有する近位端部分122に挿入する挿入ステップを含む。明白に、カテーテルチューブ610の第1の部分620は、カテーテルチューブ110の第1の部分120のフレアを有する近位端部分122と同様のフレアを有する近位端部分を含んでいない。したがって、RICC600の製造方法は上述の挿入ステップを含む必要がない。その代わりに、RICC600の製造方法は、カテーテルチューブ610の第3の部分140のテーパを有する遠位端部分142をカテーテルチューブ610の第1の部分620の近位端部分622に当接させる当接ステップを含む。
【0047】
また、方法は、カテーテルチューブ110の第2の部分130の遠位端部分132とカテーテルチューブ110の第3の部分140の近位端部分144を当接させる当接ステップを含む。
【0048】
また、方法は、カテーテルチューブ110の第1の部分120と第2の部分130との間に第3の材料の接合部140を形成すべく、カテーテルチューブ110の第1、第2、及び第3の部分を一体に溶接する溶接ステップを含む。
【0049】
カテーテルチューブの第2の部分130と第3の部分140を溶接する溶接ステップは、カテーテルチューブ110の第3の部分140のテーパを有する遠位端部分142をカテーテルチューブ110の第1の部分120のフレアを有する近位端部分122に挿入し、カテーテルチューブ110の第1の部分120と第3の部分140を一体に溶接する挿入及び溶接ステップの前に行われる。RICC600の製造方法に関して、カテーテルチューブの第2の部分130と第3の部分140を溶接する溶接ステップは、カテーテルチューブ610の第3の部分140のテーパを有する遠位端部分142とカテーテルチューブ610の第1の部分620の近位端部分622を当接させ、カテーテルチューブ610の第1の部分620と第3の部分140を一体に溶接する当接及び溶接ステップの前に行われる。溶接ステップの各溶接ステップは個別の熱溶接(例えば、無線周波数[RF]溶接)又は溶剤溶接である。
【0050】
カテーテルチューブ110の初期の第1の部分424の近位端部分をフレア加工して、カテーテルチューブ110の第1の部分120のフレアを有する近位端部分122を形成することと、カテーテルチューブ110の第3の部分140のテーパを有する遠位端部分142をカテーテルチューブ110の第1の部分120のフレアを有する近位端部分122に挿入することによって、RF溶接素子をカテーテルチューブ110の第1の部分120のフレアを有する近位端部分122の開始位置から短い距離に置くことが可能となる。これによって、カテーテルチューブ110の欠陥又は脆弱箇所を生じさせるリスクが低下する。RF溶接素子は、カテーテルチューブ110の第1の部分120のフレアを有する近位端部分122が始まる部分121の遠位端側の短い距離と部分121の近位端側の短い距離で発射され、それによってカテーテルチューブ110の第1の部分120の薄い壁に熱が当たりすぎないようになる。
【0051】
方法は、カテーテルチューブ110の第3の部分140のテーパを有しない遠位端部分にテーパを形成して、カテーテルチューブ110の第3の部分140のテーパを有する遠位端部分142を形成するテーパ加工ステップをさらに含む。
【0052】
少なくともRICC300に関して、方法は、カテーテルチューブ310をネックダウンして接合部340の周囲にネックダウン部分を形成するネックダウンステップをさらに含む。ネックダウン部分は、カテーテルチューブ310の第1、第2、及び第3の部分の間のスムーズな移行を提供するように構成される。
【0053】
図5A及び5Bは、いくつかの実施形態によるRICC100の代替案の製造方法を示す。
RICC100の代替案の製造方法は、第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成された、カテーテルチューブ110の第1の部分120と、第1のデュロメータ硬さより低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成された、カテーテルチューブ110の第2の部分530を取得する取得ステップを含む。また、方法は、図4Bに示されるようにカテーテルチューブ110の初期の第1の部分424にフレアを形成してカテーテルチューブ110の第1の部分120のフレアを有する近位端部分122を形成するフレア加工ステップを含む。また、方法は、カテーテルチューブ110の第2の部分530のテーパを有する遠位端部分542をカテーテルチューブ110の第1の部分120のフレアを有する近位端部分122に挿入する挿入ステップを含む。また、方法は、カテーテルチューブ110の第1の部分120と第2の部分530との間に接合部を形成すべく、カテーテルチューブ110の第1の部分120と第2の部分530を一体に熱溶接又は溶剤溶接する溶接ステップを含む。
【0054】
方法は、カテーテルチューブ110の第2の部分130のテーパを有しない遠位端部分132にテーパを形成して、カテーテルチューブ110の第2の部分530のテーパを有する遠位端部分542を形成するテーパ加工ステップをさらに含む。カテーテルチューブ110の第2の部分530のテーパを有する遠位端部分542を形成することは、カテーテルチューブ110の第2の部分130のテーパを有しない遠位端部分132から一部の材料を除去するか、又は溶接ステップ中にカテーテルチューブ110の第2の部分130のテーパを有しない遠位端部分132の材料の一部を溶融又は溶解させることによって実現できる。
【0055】
少なくともRICC300に関して、方法は、カテーテルチューブ310をネックダウンして、カテーテルチューブ110の第1の部分120と第2の部分530との間の接合部の周囲にネックダウン部分を形成するネックダウンステップをさらに含む。ネックダウン部分は、カテーテルチューブ310の第1の部分220と第2の部分530との間のスムーズな移行を提供するように構成される。
【0056】
RICC100、200、及び300の各RICCの製造方法は、RICC100、200、及び300の製造に使用される部分をマンドレルに取り付けて、より多くの溶接ステップ中にその管腔がつぶれないようにするマンドレル取付ステップをさらに含む。
【0057】
RICC100の方法は、患者の脈管構造にアクセスする針による挿入部位を形成する挿入部位形成ステップと、RICC100のカテーテルチューブ110の遠位端部分を針に被せて挿入部位に挿入する挿入ステップと、患者の脈管構造の中でセルジンガ法を使用せずにカテーテルチューブ110の遠位端部分を前進させる前進ステップと、を含む。RICC100の第1の部分120の外径がより小さいことにより、少なくとも皮膚組織を貫通するように押し込む必要のある挿入ステップが容易となる。それに加えて、第1の部分120と第2の部分130との間の移行によって、少なくとも皮膚組織に引っかかることがなくなり、それによってRICC100を末梢静脈留置(IV)カテーテルのように挿入することが可能となる。
【0058】
方法は、挿入部位形成ステップの後にRICC100から針を引き抜く引き抜きステップをさらに含む。
挿入部位は、右鎖骨下静脈又は右内頚静脈にある。
【0059】
前進ステップは、右鎖骨下静脈又は右内頚静脈、右腕頭静脈を通じて、上大静脈内へとカテーテルチューブ110の遠位端部分を前進させることを含む。
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。当業者は、より広い態様において、付加的な適応をおこなったり、および/または改変を行ったりすることを理解することができ、これらの適応および/または改変も包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から外れて実施されてもよい。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
【国際調査報告】