(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-07
(54)【発明の名称】マイクロニードルパッチのためのアプリケータ
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20221028BHJP
【FI】
A61M37/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549343
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(85)【翻訳文提出日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2020054362
(87)【国際公開番号】W WO2020169667
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】102019001251.8
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ビー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ハックバース,ロナルド
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA72
4C267BB37
4C267HH11
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、ハンドル部分と、ハンドル部分と連結されている、マイクロニードルパッチのための押圧体とを備えたアプリケータに関する。本発明は、このタイプのアプリケータと、複数のマイクロニードルを有するマイクロニードルパッチとを備えたユニットに更に関する。押圧体は、外部の操作力及び内部の復元装置によって少なくとも未使用姿勢と使用姿勢との間でハンドル部分に対してスライドジョイント又はピボットジョイントで移動すべく取り付けられている。押圧体は、ピボットジョイント又はスライドジョイントから間隔を空けて配置されている押圧面を有している。未使用姿勢では、押圧体は外部の操作力によって負荷がかけられておらず、復元装置の内部エネルギーが最も低い。更に押圧体は、押圧面に作用する外部の操作力によってハンドル部分に対して使用姿勢に向かって移動可能であり、復元装置の内部エネルギーが増加する。本発明は、マイクロニードルを実質的に均一に押し付けることを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル部分(21)、及び前記ハンドル部分(21)に連結されている、マイクロニードルパッチ(130) のための押圧体(51)を備えているアプリケータ(10)であって、
前記押圧体(51)は、外部の操作力及び内部の復元装置(111) によって少なくとも未使用姿勢(11)と使用姿勢(12)との間で前記ハンドル部分(21)に対してスライドジョイント(101) 又はピボットジョイント(91)で移動すべく取り付けられており、
前記押圧体(51)は、前記ピボットジョイント(91)又はスライドジョイント(101) から間隔を空けて配置されている押圧面(57)を有しており、
前記未使用姿勢(11)では、前記押圧体(51)は外部の操作力によって負荷がかけられておらず、前記復元装置(111) の内部エネルギーが最も低く、
前記押圧体(51)は、前記押圧面(57)に作用する外部の操作力によって、前記ハンドル部分(21)に対して前記使用姿勢(12)に向かって移動可能であり、前記復元装置(111) の内部エネルギーが増加する、アプリケータ。
【請求項2】
固定要素(61, 96)が、前記未使用姿勢(11)での移動範囲を制限する、請求項1に記載のアプリケータ(10)。
【請求項3】
前記押圧体(51)又は前記押圧体(51)を含む押圧体群(50)が前記ハンドル部分(21)上に又は前記ハンドル部分(21)内に取り付けられている、請求項1に記載のアプリケータ(10)。
【請求項4】
前記復元装置(111) は、負荷に応じた視覚指標、触覚指標又は音響指標(116) を有している、請求項1に記載のアプリケータ(10)。
【請求項5】
前記押圧面(57)は連続して湾曲した表面であり、前記表面の最小半径の湾曲中心線の少なくとも1つの半径が長手方向(25)に垂直であり、少なくとも前記使用姿勢(12)で前記ハンドル部分(21)の長手軸芯(33)に対して斜めである、請求項1に記載のアプリケータ(10)。
【請求項6】
請求項1に係るアプリケータ(10)と、複数のマイクロニードル(132) を有するマイクロニードルパッチ(130) とを備えており、
前記押圧面(57)の最小半径は、円定数πと前記マイクロニードルパッチの長手方向(135) のマイクロニードル(132) の後端部(137) の長さとの積の少なくとも1.5 倍である、ユニット(150) 。
【請求項7】
前記マイクロニードルパッチ(130) はカバーフィルム(136) を少なくとも部分的に保持しており、前記アプリケータ(10)は、くさび状の分離縁部(43; 66)及び前記カバーフィルム(136) を偏移させるための隣接する案内面(44; 65)を有している、請求項6に記載のユニット(150) 。
【請求項8】
前記分離縁部(66)は前記押圧体(51)に形成されている、請求項7に記載のユニット(150) 。
【請求項9】
案内要素(71)が前記押圧体(51)に配置されており、前記案内要素(170) は、少なくとも前記マイクロニードルパッチ(130) のオーバーパッチ(133) 及び前記カバーフィルム(136) と係合する、請求項8に記載のユニット(150) 。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドル部分と、ハンドル部分に連結されている、マイクロニードルパッチのための押圧体とを有するアプリケータ、及び、このタイプのアプリケータと複数のマイクロニードルを有するマイクロニードルパッチとを備えたユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2018/0177991 号明細書から、マイクロニードルパッチのためのアプリケータが知られている。ニードルが、押え装置の転がり作用で様々な垂直力成分により患者の皮膚に押し込められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の基本的な目的は、マイクロニードルを実質的に均一に押し付けることを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を主請求項の特徴で解決している。このために、押圧体は、外部の操作力及び内部の復元装置によって少なくとも未使用姿勢と使用姿勢との間でハンドル部分に対してスライドジョイント又はピボットジョイントで移動すべく取り付けられている。押圧体は、ピボットジョイント又はスライドジョイントから間隔を空けて設けられている押圧面を有している。未使用姿勢では、押圧体は外部の操作力によって負荷がかけられておらず、復元装置の内部エネルギーが最も低い。更に、押圧体は、押圧面に作用する外部の操作力によってハンドル部分に対して使用姿勢に向かって移動可能であり、ひいては復元装置の内部エネルギーが増加する。
【0005】
アプリケータ及びマイクロニードルパッチを備えているユニットでは、押圧面の最小半径は、円定数πと、マイクロニードルパッチの長手方向のマイクロニードルの後端部の長さとの積の少なくとも1.5 倍である。例えば円錐状のマイクロニードルでは、この長さはニードルの後端部の直径である。ピラミッド状のマイクロニードルでは、この長さは、マイクロニードルパッチの長手方向に対するマイクロニードルの配置に応じて、例えばマイクロニードルの後端部の辺又は対角線の長さに相当する。マイクロニードルの他の形状が更に可能である。
【0006】
押圧体は、ハンドル部分に対して回動自在に又は長手方向に摺動可能に取り付けられている。未使用姿勢では、最も低い力が押圧体及びスライドジョイント又はピボットジョイントに作用する。復元装置に負荷はかからない。
【0007】
オペレータがアプリケータをマイクロニードルパッチに押し付ける、及び/又は例えばアプリケータをマイクロニードルパッチに沿って引くと即座に、外部の操作力が押圧面に作用する。押圧体はハンドル部分に対して使用姿勢に向かって回動又は摺動し、ひいては復元装置に負荷がかかる。復元装置に負荷がかかるときに発生する復元力が、オペレータによって加えられる力とマイクロニードルパッチに対するアプリケータの押圧力とに相関する。従って、アプリケータをマイクロニードルパッチに沿って引く又は押すと、マイクロニードルは皮膚に均一に押し込められ、オーバーパッチによって固定される。
【0008】
押圧体として摺動体又は転動体を使用することが可能である。押圧体は、湾曲した押圧面を有している。湾曲部分は連続した構成である。湾曲部分は一定の半径を有することができるか、又は異なる半径の複数の領域から構成され得る。押圧面の全ての半径中心線は互いに平行である。例えば、各半径中心線は、ハンドル部分の長手方向に垂直な面にある。少なくとも使用姿勢では、最小の曲率半径を有する湾曲中心線の少なくとも半径がハンドル部分の長手軸芯に対して斜めである。従って、湾曲中心線の半径は、長手軸芯との交点を有さない。
【0009】
押圧面の最小半径は、マイクロニードルパッチのマイクロニードルの幾何学的形状に応じて選択されている。このようにして、マイクロニードルを皮膚に導入する際にマイクロニードルの傾きを防止することが可能である。
【0010】
本発明の更なる詳細は、従属請求項、及び概略的に示された例示的な実施形態の以下の説明から理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】マイクロニードルパッチを皮膚に固定するアプリケータを示す図である。
【
図5】アプリケータ及びマイクロニードルパッチを備えたユニットを示す図である。
【
図6】
図5に示されているユニットの押圧体を示す断面図である。
【
図7】マイクロニードルパッチの適用中の
図5に示されているユニットを示す図である。
【
図8】カバーフィルムと共にマイクロニードルパッチの詳細を示す図である。
【
図9】スライドジョイントと共にアプリケータを示す図である。
【
図10】準備完了位置に分配装置と共にアプリケータを示す図である。
【
図11】適用中の
図10に示されているアプリケータを示す図である。
【
図12】マイクロニードルパッチの適用後の
図10に示されているアプリケータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、未使用姿勢(11)のアプリケータ(10)を大幅に簡略化して示す図である。
図2は、使用姿勢(12)のこのアプリケータ(10)を示す。このタイプのアプリケータ(10)は、マイクロニードルパッチ(130) を患者の皮膚(1) に固定するために使用される。
図4参照。個々のマイクロニードルパッチ(130) は、例えば幾何学的に同一に構成された複数のマイクロニードル(132) を、アプリケータ(10)から離れる方向を向いた底部側(131) に有している。これらのマイクロニードル(132) は、オーバーパッチ(133) で覆われているここには図示されていないバッキング層によって共に保持されている。適用中、マイクロニードル(132) が、アプリケータ(10)を使用して皮膚(1) に押し込まれるか又は押し付けられる。マイクロニードルパッチ(130) が皮膚に固定された後、マイクロニードルパッチ(130) に含まれる例えば作用物質が、角質層(2) の下の皮膚の層(3) に供給され得る。
【0013】
オーバーパッチ(133) (
図4参照)は、マイクロニードル(132) の領域を越えてパッチの長手方向(135) 及び長手方向に垂直なパッチの横断方向に突出している。供給状態では、オーバーパッチは(ここでは図示されていない)滅菌バリア及びカバーフィルム(136) 、例えば解放ライナによって覆われている。例えば
図8参照。マイクロニードルパッチ(130) を適用する前に、滅菌バリア及びカバーフィルム(136) の両方を外す必要がある。
【0014】
図1~4に示されているアプリケータ(10)は、ハンドル部分(21)及びハンドル部分(21)に連結されている押圧体(51)を備えている。全ての図面で、ハンドル部分(21)は、押圧体(51)及びマイクロニードルパッチ(130) と比較して縮小して示されている。例示的な実施形態における押圧体(51)とハンドル部分(21)との連結は、ピボットジョイント(91)及び復元装置(111) の形態でなされる。
【0015】
ハンドル部分(21)は、母指球状体(22)及び指かけ凹部(23)を有している。ハンドル部分(21)のこの領域は、例えばハンドル部分(21)の長手軸芯(33)に対して回転対称で構成されている。この例示的な実施形態における指かけ凹部(23)は周方向チャネルである。更に、ハンドル部分(21)は支持棒(24)を有している。例示的な実施形態では、支持棒は実質的に正方形の断面を有する。支持棒(24)の中心線は、例えばハンドル部分(21)の長手軸芯(33)にある。支持棒(24)は、母指球状体(22)から離れる方向を向いた端部にスイベルピン収容部(26)を有している。例示的な実施形態では、スイベルピン(92)がこのスイベルピン収容部(26)に取り付けられて押圧体(51)を貫通する。スイベルピン収容部(26)の中心線を形成する回動軸芯(95)が、例えば未使用姿勢(11)でハンドル部分(21)の長手軸芯(33)に垂直に向いている。回動軸芯(95)は更に、未使用姿勢(11)で長手軸芯(33)に対して斜めに設けられ得る。従って、押圧体(51)は、ピボットジョイント(91)によってハンドル部分(21)に対して回動自在に取り付けられている。ピボットジョイント(91)は、反対方向に2つの自由度(93, 94)を有する。2つの回動自由度(93, 94)は、この例示的な実施形態では止め具(96, 97)によって制限されている。
図1に示されているように、第1の止め具(96)は、未使用姿勢(11)でハンドル部分(21)に対する押圧体(51)の回動範囲を制限している。この第1の止め具(96)は、未使用姿勢(11)でアプリケータ(10)の固定要素(96)を形成している。
図2によれば、ハンドル部分(21)に対する押圧体(51)の回動範囲は、使用姿勢(12)で第2の止め具(97)によって制限されている。アプリケータ(10)は、第2の止め具(97)無しで更に構成され得る。第1の止め具(96)及び第2の止め具(97)の両方が更に異なって配置され得る。
【0016】
押圧体(51)は、例えば角柱状に構成されている。例示的な実施形態では、回動軸芯(95)に垂直な断面が少なくとも正三角形の領域に少なくとも略相当する。断面は、4つ以上の角部又は丸みを帯びた角度を更に有し得る。断面は、非対称に更に構成され得る。回動軸芯(95)の中央領域(
図3参照)では、押圧体(51)はハンドル部分収容部(52)を有している。ハンドル部分(21)は、切取の形態のこのハンドル部分収容部(52)に取り付けられている。ハンドル部分(21)は、押圧体(51)を例えば互いに平行な2つの端面で把持することが更に可能である。例示的な実施形態では、押圧体(51)は、例えば平坦な上側(53)を有している。未使用姿勢(11)では、第1の止め具(96)がこの上側(53)に接し、使用姿勢(12)では、第2の止め具(97)がこの上側(53)に接する。
図1及び
図2に示されているように、押圧体(51)のスイベルピン凹部(54)が、押圧体(51)の断面の幾何学的中心線に対して上側(53)に向かって偏移している。
【0017】
例示的な実施形態における上側(53)は2つの側面(55, 56)によって画定されている。2つの側面は、例えば平面であり、平面は、上側(53)から離れる方向を向いた押圧面(57)によって互いに連結されている。この例示的な実施形態における押圧面(57)は一軸方向に湾曲した表面である。湾曲部分の中心線は、回動軸芯(95)と平行に押圧体(51)を貫通している。この例示的な実施形態における曲率半径は5ミリメートルである。押圧面(57)は、複数の湾曲部分から更に構成され得る。例えば押圧体(51)の幅全体を覆うこれらの湾曲部分の中心線は、この場合、互いに平行である。個々の湾曲部分間の移行部分は連続的に構成されている。押圧面(57)から側面(55, 56)への移行部分も連続的に構成され得る。
【0018】
例示的な実施形態における支持棒(24)に、復元装置(111) のための取付具(27, 28)が配置されている。この取付具(27, 28)は、例えば支持棒(24)に固定された2つのガイドタブ(27, 28)を有している。これらのガイドタブ(27, 28)は、支持棒(24)の一部とすることが更に可能である。ガイドタブは、ハンドル部分(21)の長手方向(25)に互いに離れて間隔を空けて配置されている。例示的な実施形態では、ガイドタブ(27, 28)間の距離は支持棒(24)の長さの15%である。ガイドタブ(27; 28)は貫通開口部(29; 31)を夫々有している。2つの貫通開口部(29, 31)は、例えば互いに面一である。個々の貫通開口部(29; 31)の断面は円形、矩形状、六角形などであり得る。
【0019】
復元装置(111) は、ガイドタブ(27, 28)に取り付けられた押圧棒(112) 、及び押圧棒(112) に取り付けられているばねエネルギー貯蔵部(115) を有している。貫通開口部(29, 31)に挿入された押圧棒(112) は、ハンドル部分(21)の長手方向(25)に平行に配置されている。押圧棒の上端部が上側ガイドタブ(27)から突出している。押圧棒(112) は、下側ガイドタブ(28)の下に支持カラー(113) を有している。支持カラーは、例えば周方向の環状カラーの形状を有する。
図1及び
図2では押圧体(51)に接する押圧棒(112) の下部押圧端部(114) は、例示的な実施形態では半球体である。
【0020】
押圧棒(112) は、指標(116) 、例えばマーク(116) を上部領域に有している。マークは、例えば着色リング、ドット、ノッチなどである。
図1に示されているように、このマーク(116) は上側ガイドタブ(27)内にある。
図2に示されている使用姿勢(12)では、マーク(116) は上側ガイドタブ(27)の上にある。個々のマーク(116) の代わりに、例えば、上下に配置された異なる色のマークを押圧棒(112) に設けることが可能である。例えば、最上部のマークは赤色であり、真ん中のマークは黄色であり、底部のマーク(116) は緑色である。上述したマーク(116) を使用した視覚信号の代わりに、アプリケータ(10)は、オペレータに触覚信号、音響信号などを与えることが更に可能である。
【0021】
押圧棒(112) は、ばねエネルギー貯蔵部(115) を支持カラー(113) により支持している。例示的な実施形態では、ばねエネルギー貯蔵部は圧縮ばね(115) の形態である。
図1に示されている圧縮ばね(115) は、支持カラー(113) と下側ガイドタブ(28)との間に取り付けられ、残留エネルギー値に予め張力が加えられている。この例示的な実施形態では、未使用姿勢(11)で復元装置(111) のこの加えられた力により、押圧棒(112) が、固定要素(96)に接する押圧体(51)に押し付けられる。
【0022】
ばねエネルギー貯蔵部(115) は、支持カラー(113) 及び下側ガイドタブ(28)に、例えば形状が適合するように更に固定され得る。更に、押圧棒(112) の下部押圧端部(114) は、例えばスライドピボットジョイントによって押圧体(51)に連結され得る。このタイプの実施形態では、例えば止め具(96, 97)を省略することが可能である。
【0023】
押圧体(51)が未使用姿勢(11)から使用姿勢(12)に向かって移動するとき、押圧体(51)は回動軸芯(95)を中心として回動する。押圧体(51)の上側(53)は押圧棒(112) の下部押圧端部(114) に押し付ける。押圧棒(112) は上方に移動する。押圧棒が上方に移動すると、支持カラー(113) 及び下側ガイドタブ(28)は、例えばヒステリシス無しで圧縮ばね(115) を圧縮する。復元装置(111) の内部エネルギーが増加する。同時的に、例えば緑色の領域が上側ガイドタブ(27)の上に見えるように、マーク(116) が上方に移動する。押圧体(51)から圧力を除去すると、押圧体(51)は未使用姿勢(11)に再び跳ね返り、ばねエネルギー貯蔵部(115) に負荷をかけない。
【0024】
復元装置(111) は、ばねエネルギー貯蔵部(115) として引張ばね、コイルねじりばね、円錐状のコイル圧縮ばね、皿ばね組立体などを更に有することができる。これらの全てのばねエネルギー貯蔵部(115) は、復元装置(111) が未使用姿勢(11)で最も低い内部エネルギーを有するように構成されている。この場合、ばねエネルギー貯蔵部(115) は、完全に負荷がかからないか又は僅かな予張力を有することが可能である。予張力を有するばねエネルギー貯蔵部(115) を使用する場合、押圧体(51)は、ハンドル部分(21)に対して未使用姿勢(11)に向かって常に負荷がかかっている。押圧体(51)が使用姿勢(12)に向かって移動するとき、関連するばねエネルギー貯蔵部(115) に追加の負荷がかかる。その内部エネルギーは増加する。従って、復元力も上昇する。
【0025】
例えばコイルねじりばね又はキックばねを使用する場合、このようなばねは、回動軸芯(95)又はスイベルピン(92)の周りで係合する。例えば、キックばねの一方の腕が押圧体(51)に固定され、例えば留められ、他方の腕がハンドル部分(21)に固定され、例えば留められる。例えば未使用姿勢(11)では、キックばねに負荷がかからない。ハンドル部分(21)に対する押圧体(51)の姿勢は、第1の止め具(96)無しでも保持される。押圧体(51)がこの姿勢から回動すると即座に、キックばねの腕は回動軸芯(95)を中心として互いに回動する。キックばねに負荷がかけられ、ひいては復元装置(111) の内部エネルギーが増加する。押圧体(51)は、上述したように又は例えばローラとして構成され得る。この例示的な実施形態では、指標(116) が、例えばハンドル部分(21)に対する押圧体(51)の角度方向を示すことができる。
【0026】
図1~4に示されているアプリケータ(10)を使用する前に、マイクロニードルパッチ(130) を患者の皮膚(1) に置く。カバーフィルム(136) を外した後、アプリケータ(10)を、マイクロニードルパッチ(130) に亘ってパッチの長手方向(135) に引く。例えば
図4参照。オペレータは、アプリケータ(10)を引く間、アプリケータ(10)を斜めに位置決めする。オペレータは、パッチの長手方向(135) のオーバーパッチ(133) の後縁部が患者の皮膚(1) にまず押し付けられるようにアプリケータ(10)をマイクロニードルパッチ(130) に押し付ける。パッチの横断方向における押圧体(51)の幅は、マイクロニードルパッチ(130) の幅以上である。マイクロニードルパッチ(130) は、パッチの長手方向(135) に幅全体に亘って皮膚(1) に固定される。このようにして、例えば空気の含有を最小限度に抑える。
【0027】
アプリケータ(10)を引いて、押圧体(51)をマイクロニードルパッチ(130) に押し付けると、押圧体(51)は押圧面(57)でオーバーパッチ(133) の表面(134) に沿って摺動する。外部の操作力が押圧面(57)に作用する。この外部の操作力は、アプリケータ(10)の引き方向(15)とは逆に向いている。外部の操作力は、少なくともオーバーパッチ(133) の領域でマイクロニードルパッチ(130) の表面(134) と平行に向いている。従って、外部の操作力によってアプリケータ(10)の移動が遅れる。押圧体(51)は、ピボットジョイント(91)の回動軸芯(95)を中心として使用姿勢(12)に向かって回動する。ばねエネルギー貯蔵部(115) は、マイクロニードルパッチ(130) に対する押圧体(51)の押圧力の量に応じて負荷がかけられる。例えば、緑色のマーク(116) が見えるようになる。この信号はオペレータに、例えば押圧力が十分高いことを示す。オペレータは引き続きマイクロニードルパッチ(130) を固定することができる。押圧体(51)は現在、ハンドル部分(21)に対する使用姿勢(12)又は使用姿勢(12)前後の姿勢である。
【0028】
アプリケータ(10)を引き続きマイクロニードルパッチ(130) に沿ってゆっくり引くと、マイクロニードルパッチ(130) の個々のマイクロニードル(132) が皮膚(1) に押し込まれる。例えば、押圧面(57)の半径は、円定数πとニードルの後端部(137) の直径との積の少なくとも1.5 倍である。例示的な実施形態では、マイクロニードル(132) の押し付けを複数列で行う。しかしながら、アプリケータ(10)をマイクロニードルパッチ(130) に亘って、例えば対角線上に引くことが更に可能である。オペレータは、引き続き視覚指標、触覚指標又は音響指標を使用して押圧力を監視することができる。押圧力が低くなり過ぎる場合、つまり、例えば緑色のマーク(116) が見えなくなる場合、オペレータは、ハンドル部分(21)をより強く押すことにより、押圧力を再度増加させることができる。
【0029】
アプリケータ(10)によってマイクロニードルパッチ(130) を固定すると、オーバーパッチ(133) も患者の皮膚(1) に固定される。適用後、アプリケータ(10)を再使用又は処分することができる。アプリケータ(10)をマイクロニードルパッチ(130) 及び患者の皮膚(1) から外すと、圧縮されたばねエネルギー貯蔵部(115) から負荷が解放される。圧縮ばね(115) は伸長する。復元装置(111) の解放されたエネルギーによって、押圧体(51)はハンドル部分(21)に対して未使用姿勢(11)に戻る。
【0030】
異なって構成された復元装置(111) を用いたアプリケータ(10)の使用を同様に行う。アプリケータ(10)に負荷をかけると、オペレータによって加えられる力は、マイクロニードルパッチ(130) に対してマイクロニードルパッチ(130) に沿った接線成分とマイクロニードルパッチ(130) に向かう垂直成分とに分けられる。これらの力成分の各々、ひいてはこれらの力成分の合力によって、押圧体(51)をハンドル部分(21)に対して使用姿勢(12)に向かって回動させる。例えば、達成される回動角度を、この例示的実施形態では指標によって更に監視することが更に可能である。これにより、マイクロニードル(132) を確実に挿入するための最小の押圧力が保証される。ローラの形態の押圧体(51)を使用する場合、この押圧体はマイクロニードルパッチ(130) に亘って転がる及び/又はマイクロニードルパッチ(130) に沿って摺動することが可能である。
【0031】
図5~7は、アプリケータ(10)及びマイクロニードルパッチ(130) から構成されているユニット(150) を示し、押圧体(51)は個々の部品として設けられている。ユニット(150) は、例えば単回使用のために供給される。このユニット(150) では、マイクロニードルパッチ(130) はカバーフィルム(136) をオーバーパッチ(133) 上に保持する。
図5に示されている供給状態では、ハンドル部分(21)がカバーフィルム(136) 上にあるアプリケータ(10)が、オーバーパッチ(133) の縁部及びカバーフィルム(136) に配置される。
【0032】
この例示的な実施形態におけるアプリケータ(10)は、
図1~4に示されている例示的な実施形態に関連して上述したように実質的に構成されている。ばねエネルギー貯蔵部(115) は、例えば、支持カラー(113) 及び下側ガイドタブ(28)の両方に形状が適合するように連結されている。ハンドル部分(21)は分配姿勢(32)にあり、分配姿勢では、ハンドル部分の長手方向(25)が回動軸芯(95)と押圧面(57)の半径中心線とに及ぶ連結面(58)と、例えば65度の角度を形成する。同一の角度が、例えばこの図の連結面(58)とパッチの長手方向(135) とによって形成される。押圧面(57)の半径とニードルの後端部(137) の直径又はパッチの長手方向(135) のニードルの後端部(137) の長さとの比率は、この例示的な実施形態では上記の比率に相当する。
【0033】
図6には、このアプリケータ(10)の押圧体(51)の縦断面が示されている。この図の断面は、アプリケータ(10)の垂直中心縦断面にある。スイベルピン凹部(54)、押圧面(57)、後部側面(55)及び上側(53)は、第1の例示的な実施形態と関連して上述したように構成されている。ハンドル部分収容部(52)は前部側面(56)に向かって開口している。このため、ハンドル部分(21)は分配姿勢(32)で、例えば止め具無しで取り付けられている。
【0034】
この例示的な実施形態におけるハンドル部分収容部(52)では、ロック機構又はくさび状留め具(61)が、垂直中心縦断面と平行に向いた少なくとも1つの凹部(59)に配置されている。ロック機構又はくさび状留め具は、例えば弾性変形可能なくさび状体(62)を有しており、くさび状体の厚さは前部側面(56)から後部側面(55)に向かって増加する。連結面(58)の方を指すくさび状面(63)がロック面である。ハンドル部分(21)が分配姿勢(32)から未使用姿勢(11)に向かって回動すると、支持棒(24)は、未使用姿勢(11)でくさび状面(63)の後ろで動かなくなる。従って、ロック機構又はくさび状留め具(61)は、ハンドル部分(21)が回動して分配姿勢(32)に戻ることを、例えば解放不可能に阻止する。従って、未使用姿勢(11)では、ロック機構又はくさび状留め具(61)は固定要素(61)を形成する。
図5~7に示されているアプリケータ(10)は、ロック機構又はくさび状留め具(61)無しで更に構成され得る。
【0035】
この例示的な実施形態の前部側面(56)は、分離縁部(66)によって互いに離れている2つの案内面(64, 65)を有している。分離縁部(66)は回動軸芯(95)と平行に延びている。分離縁部は、押圧体(51)から引き方向(15)に鋭角で突出している。分離縁部(66)では、凹状の湾曲部分で構成されている2つの案内面(64, 65)は、例えば10度から20度の角度を形成している。例示的な実施形態では、形成された角度は17度である。分離縁部(66)の二等分線の面は、パッチの長手方向(135) と連結面(58)との角度と同一の角度を連結面(58)と形成している。
【0036】
例示的な実施形態では、2つの案内面(64, 65)は、互いに平行な複数の一軸湾曲部分から構成されている。押圧体(51)は、ハンドル部分収容部(52)を除き、幅全体に亘って同一の断面を有している。2つの案内面(64, 65)の個々の湾曲部分の仮想中心線は回動軸芯(95)と平行である。これらの中心線は、押圧体(51)に対して引き方向(15)に偏移している。下側案内面(64)は押圧面(57)に連続して移行する。例えば、下側案内面の曲率半径は分離縁部(66)から減少する。そのため、下側案内面(64)は、反対の曲率を有する押圧面(57)に接線方向に移行する。
【0037】
図6に示されている上側案内面(65)は、分離縁部(66)から螺旋状に広がる曲率半径を有する。例示的な実施形態では、接線面が、上側案内面(65)の上側出口(67)で分離縁部(66)の二等分線の面と平行である。例示的な実施形態の上側案内面(65)は、長手方向の縁部(68)で押圧体(51)の上側(53)と交わる。
【0038】
押圧体(51)は、端面(69)の各々に案内要素(71)を有している。この例示的な実施形態の押圧体(51)及び2つの案内要素(71)は押圧体群(50)を形成している。この押圧体群(50)では、互いの鏡像として構成されている2つの案内要素(71)は押圧体(51)に堅く連結されている。例えば、案内要素は押圧体に成形されている。しかしながら、案内要素(71)の各々をピボットジョイントで押圧体(51)に連結することが更に可能である。回動可能な案内要素(71)の場合、互いに整列している2つの案内要素(71)の回動軸芯は、押圧面(57)の半径中心線と平行である。
【0039】
個々の案内要素(71)は、案内板(72)と押圧体(51)の垂直中心縦断面の方を夫々指す2つのガイドウェブ(73, 74)とを有している。案内板(72)は、押圧体(51)の外側で垂直中心縦断面と平行である。案内板は、例えば正方形のエンベロープ輪郭を有している。案内板は、押圧面(57)の方を指す下端部にノッチ(75)を有している。
【0040】
ガイドウェブ(73, 74)は平坦であるように構成されている。ガイドウェブは、押圧面(57)の方を指す端部で、内側から外側に湾曲するように先細になっている。夫々の半径の中心軸は、例えば夫々の隣り合う案内面(64, 65)の湾曲部分の中心軸に対応する。上側案内面(65)から上側先細部(76)への距離はカバーフィルム(136) の厚さに対応する。下側案内面(64)から下側先細部(77)への距離はオーバーパッチ(133) の厚みに対応する。2つのガイドウェブ(73, 74)は、例えばオーバーパッチ(133) の横方向突出部分(138) の量分、マイクロニードル(132) (
図8参照)を越えて垂直中心縦断面に向かって突出している。しかしながら、上側ガイドウェブ(73)を2つの案内板(72)間に連続的に構成することが更に可能である。
【0041】
図8は、カバーフィルム(136) と共にマイクロニードルパッチ(130) の詳細を示す。例えば、パッチの長手方向(135) で見えるように、マイクロニードルパッチ(130) の右側縁部が図示されている。カバーフィルム(136) は、両方の長手方向の側部(139) でマイクロニードルパッチ(130) に形状が適合するように連結されている。この場合、例えば、カバーフィルム(136) は弾性変形可能な長手方向の突起部(141) を有しており、突起部は、マイクロニードルパッチ(130) の弾性変形可能な長手方向の溝(142) 内で把持要素(143) と係合している。
【0042】
図5及び
図7に示されているユニット(150) では、アプリケータ(10)は、カバーフィルム(136) とオーバーパッチ(133) との間の隙間で分離縁部(66)と係合する。上側ガイドウェブ(73)はカバーフィルム(136) 上にある。下側ガイドウェブ(74)はオーバーパッチ(133) の底部側(131) に接している。
【0043】
カバーフィルム(136) は自由端部で、分離縁部(66)と上側ガイドウェブ(73)との間、且つ上側先細部(76)と上側案内面(65)との間で上部案内経路(78)に導入される。例えば、カバーフィルム(136) は上側案内面(65)に既に接している。
【0044】
オーバーパッチ(133) は下部案内経路(79)に沿って案内される。下部案内経路は、分離縁部(66)と下側ガイドウェブ(74)との間、且つ下側先細部(77)と下側案内面(64)との間に延びている。例示的な実施形態では、オーバーパッチ(133) は、
図5に示されている分配姿勢(32)で押圧面(57)の下に案内される。
【0045】
マイクロニードルパッチ(130) を使用するために、マイクロニードルパッチ(130) を患者の皮膚(1) に、例えばアプリケータ(10)が置かれるオーバーパッチ(133) の端部で付着する。ハンドル部分(21)は、例えばロック機構又はくさび状留め具(61)を作動するまで、
図5に示されている分配姿勢(32)から立ち上がる。押圧体(51)は現在、ハンドル部分(21)に対して未使用姿勢(11)にある。ばねエネルギー貯蔵部(115) は負荷がかけられていないか、又は僅かのみ負荷がかけられている。
【0046】
オペレータは、アプリケータ(10)をマイクロニードルパッチ(130) に沿って引き方向(15)に引き、アプリケータ(10)を同時的に押す。アプリケータ(10)は、ハンドル部分(21)の長手方向(25)に押される。長手方向(25)は、引き操作中に連結面(58)と0度又は180 度ではない角度を形成するので、トルクが、現在の極線(81)の周りで押圧体(51)に作用する。この現在の極線(81)は、押圧面(57)とオーバーパッチ(133) との接触線である。押圧体(51)が移動するとき、押圧面(57)はオーバーパッチ(133) を転がり、長手軸芯(33)と連結面(58)との角度を更に大きくする。ばね力とオペレータによって加えられる力との間に平衡が得られるまで、ばねエネルギー貯蔵部(115) に負荷をかける。同時的に、例えばマーク(116) は可視領域に移動する。
【0047】
アプリケータ(10)をマイクロニードルパッチ(130) に沿って引くと、分離縁部(66)は、カバーフィルム(136) とオーバーパッチ(133) との連結を分離する。カバーフィルム(136) は上側案内面(65)に沿って偏移して、例えばカバーフィルム(136) の未だ処理されていない領域に緩く置かれる。
【0048】
オーバーパッチ(133) を有するマイクロニードルパッチ(130) は、分離縁部(66)によって押圧面(57)に下方に案内される。マイクロニードル(132) は皮膚(1) に、例えば複数列で押し込められる。オーバーパッチ(133) は皮膚(1) に押し付けられて付着力によって皮膚に付着する。
【0049】
マイクロニードルパッチ(130) が患者の皮膚(1) に固定されると即座に、カバーフィルム(136) は完全に外される。アプリケータ(10)は、マイクロニードルパッチ(130) から解放される。
【0050】
図9は、スライドジョイント(101) と共にアプリケータ(10)を示す。このスライドジョイント(101) は押圧体群(50)をハンドル部分(21)に連結する。スライドジョイント(101) は中空角柱(102) から構成されており、中空角柱内に固体角柱(103) が伸縮自在に案内される。ハンドル部分(21)及び押圧体群(50)で支持されている復元装置(111) がスライドジョイント(101) に取り付けられている。
【0051】
ハンドル部分(21)は、第1の例示的な実施形態と関連して述べられているように実質的に構成されている。支持棒(24)は、例えば周方向の保持カラー(34)で終端をなす円形断面の領域を有している。中空角柱(102) は、この保持カラー(34)に中心に成形されている。この中空角柱は、例えば円形断面の中空棒である。例示的な実施形態では、この中空角柱(102) は、長手方向(25)に向いた細長い孔のような縦スロット(104) を有している。
【0052】
支持棒(24)は、異なる、例えば正方形の断面を更に有することができる。保持カラー(34)は個々のセグメント又は部分から構成され得る。中空角柱(102) は、円形の断面から移行する、例えば正方形又は他の断面を更に有することができる。
【0053】
押圧体群(50)は、押圧体(51)及び押圧体(51)に配置された案内棒(82)を有している。押圧体(51)は、例えば第1の例示的な実施形態と関連して述べられているように実質的に構成されている。案内棒(82)は押圧体(51)に堅く連結されている。案内棒(82)は押圧体(51)から長手方向(25)に突出している。
【0054】
例示的な実施形態の案内棒(82)は筒状領域(83)を有しており、筒状領域から、例えば同様に筒状の固体角柱(103) が中心に突出している。筒状領域(83)と固体角柱(103) との間の筒状の棒の形態の移行部分は、例えば周方向の支持カラー(84)によって形成されている。支持カラー(84)は保持カラー(34)と同様に構成され得る。中空角柱(102) が固体角柱(103) を収容して案内することができるように、固体角柱(103) の断面は中空角柱(102) の内側断面と幾何学的に同様である。例示的な実施形態では、固体角柱(103) はロックピン(105) を有しており、ロックピンは、例えばばねで負荷がかけられており、スライドジョイント(101) が取り付けられている場合に中空角柱(102) の縦スロット(104) に係合する。従って、スライドジョイント(101) のためのねじれ防止及び引き出し防止の両方の手段が形成されている。ねじれ防止・引き出し防止手段の他の構成が更に可能である。
【0055】
押圧体(51)は、この例示的な実施形態ではローラとして更に構成され得る。ローラの半径は、例えば押圧面(57)の上述した半径に相当する。この場合、押圧体(51)は、フォーク状の案内棒(82)に、例えば両端面で回転自在に取り付けられている。
【0056】
この例示的な実施形態の復元装置(111) は、圧縮ばね(115) の形態のばねエネルギー貯蔵部(115) を更に有している。ばねエネルギー貯蔵部は、例えば第1の例示的な実施形態に関連して記載されているように構成されている。圧縮ばね(115) は、例えば支持カラー(84)及び保持カラー(34)に形状が適合するように固定され得る。例えば、そのために追加の引き出し防止手段無しでアプリケータ(10)を使用することができる。
【0057】
円筒状のコイル圧縮ばねの代わりに、ばねエネルギー貯蔵部(115) は、皿ばね組立体、円錐状のコイル圧縮ばねなどの形態とすることが更に可能である。
【0058】
スライドジョイント(101) は、例えば触覚指標(116) を有することができる。例えば、スライドジョイント(101) は、使用姿勢(12)に達する直前に係止突起部を克服する必要があるように形成されている。オペレータが感じ得る抵抗は、係止突起部を克服している間に一時的に高くなり、その後突然再び低下する。押圧力が誤って低下した場合にオペレータが異なる触覚信号を受けるように、係止突起部は異なるように構成された側面を有し得る。視覚指標又は音響指標(116) が更に可能である。
【0059】
図9に示されているアプリケータ(10)を適用するとき、オペレータは、カバーフィルム(136) を外した後、アプリケータ(10)をマイクロニードルパッチ(130) 上で引く。その間、オペレータはアプリケータ(10)をマイクロニードルパッチ(130) に押し付ける。アプリケータ(10)を垂直又は斜めに保持することができ、斜めの姿勢の場合、ハンドル部分(21)を、例えばパッチの長手方向(135) に向かって傾ける。その後、アプリケータ(10)を引く。圧縮ばね(115) を圧縮する。例えば触覚信号を使用して、押圧力が十分であるか又は押圧力を増加させる必要があるかをオペレータに知らせる。
【0060】
図10~12は、分配装置(121) が一体化されているアプリケータ(10)を示す。このアプリケータ(10)のハンドル部分(21)はハウジング(35)の形態であり、ハウジング内に、マイクロニードルパッチ(130) のための分配装置(121) 及び押圧体群(50)が配置されている。
【0061】
分配装置(121) は、例えば6個の円筒状の軸受ローラ(122-125) を有している。例えば、ハウジング(35)内で、これらの軸受ローラの内の2つの軸受ローラ(122, 123)はマイクロニードルパッチ(130) のカバーフィルム(136) の上に回転自在に取り付けられ、例えば4つの軸受ローラ(124, 125)はこのマイクロニードルパッチ(130) の下に回転自在に取り付けられている。マイクロニードルパッチ(130) のマイクロニードル(132) は下方を指している。個々の軸受ローラ(122-125) は、連動装置を使用して互いに更に連結され得る。更に、マイクロニードルパッチ(130) の上下で互いに対向する軸受ローラ(122, 124; 123, 125)は、例えば引張ばねにより互いに負荷がかけられ得る。全ての軸受ローラ(122-125) の回転軸芯(126) は互いに平行である。上側の軸受ローラ(122, 123)は、例えば連続的に形成されている。パッチの長手方向(135) を横断する方向の軸受ローラの長さは、マイクロニードルパッチ(130) の幅以上である。しかしながら、これらの上側の軸受ローラ(122, 123)の各々を、長さが例えばマイクロニードルパッチの幅の半分より短い2つの個別のローラと交換することが更に可能である。
【0062】
下側の軸受ローラ(124, 125)は短いローラ(124, 125)である。パッチの横断方向のローラの長さは、例えばマイクロニードル(132) を越えるオーバーパッチ(133) の横方向突出部分(138) の幅に対応する。軸受ローラ(122-125) は自由に又は制御して回転自在とすることができる。上記の引張ばねの垂直力によって、軸受ローラ(122-125) のロール抵抗又は転がり抵抗が更に増加し得る。
【0063】
マイクロニードルパッチ(130) は、例えば前述の例示的な実施形態と関連して述べられているように実質的に構成されている。ハウジング(35)内では、パッチの長手方向(135) は、ハンドル部分(21)の長手方向(25)と、例えば30度と60度との間の角度、例えば45度の角度を形成する。カバーフィルム(136) はマイクロニードルパッチ(130) に、例えば表面全体に亘って接着するように置かれている。しかしながら、カバーフィルム(136) は更に、
図5~8の例示的な実施形態に関連して記載されているようにマイクロニードルパッチ(130) に連結され得る。オーバーパッチ(133) 及びカバーフィルム(136) は、
図10では押圧体(51)に対向する端部で互いから分離する。
【0064】
押圧体群(50)は、ピボットジョイント(91)でハウジング(35)に回動自在に取り付けられている。例示的な実施形態では、ピボットジョイント(91)の回動軸芯(95)が第1の上側の軸受ローラ(122) の回転軸芯(126) に配置されている。押圧体群(50)は、押圧体(51)及びフォーク状のレバーアーム(85)を有している。このレバーアーム(85)はピボット軸受(91)に取り付けられている。例示的な実施形態では、レバーアーム(85)のフォーク(86)は軸棒(87)を保持しており、この軸棒に円筒状のローラの形態の押圧体(51)が回転自在に取り付けられている。ローラ(51)の半径は、例えば
図9の例示的な実施形態に関連して記載されているローラ状の押圧体(51)の半径に相当する。しかしながら、押圧体(51)をレバーアーム(85)に堅く連結することが更に可能である。例えば、この場合の押圧体(51)のエンベロープ輪郭は、前述の例示的な実施形態に関連して記載された非回転自在な押圧体(51)の内の1つのエンベロープ輪郭に相当し得る。
【0065】
アプリケータ(10)は、ハウジング(35)に配置された内部の復元装置(111) を備えている。この内部の復元装置はばねエネルギー貯蔵部(115) を有しており、ばねエネルギー貯蔵部は、ハウジング(35)とヨークのように構成されたばね板(117) とに支持されている。ばね板(117) のヨークアーム(118) が、押圧体(51)の周りで押圧体の端面(69)と係合する。ヨークアームは、押圧体(51)の軸棒(87)に連結されている。例えば、ヨークアームは軸棒(87)に回動自在に取り付けられている。
【0066】
この例示的な実施形態のばねエネルギー貯蔵部(115) は、圧縮ばね(115) の形態である。しかしながら、ばねエネルギー貯蔵部(115) は、皿ばね組立体、引張ばねなどの形態であることが更に可能である。
【0067】
図10~12に示されているように、指標(116) を有するポインタアーム(119) がばね板(117) に配置されている。ハウジング(35)は、例えば観察窓(36)を有している。
図10では、指標(116) は観察窓を通して見えない。負荷がかけられたアプリケータ(10)を示す
図11及び
図12では、指標(116) は観察窓(36)を通して見える。
【0068】
ハウジング(35)には保持フック(37)が更に固定されている。保持フックはばね板(117) の後ろを貫通して係合している。この保持フック(37)は、復元装置(111) が持ち上がらないように復元装置(111) を固定する手段を形成している。
【0069】
ハウジング(35)の基部(38)は開口部(39)を有しており、
図10に示されているように、開口部を通ってオーバーパッチ(133) が突出する。アプリケータ(10)の出荷姿勢では開口部(39)が閉じていることが更に可能である。この場合、マイクロニードルパッチ(130) は、例えばハウジング(35)の外側から作動可能なスライダ、ハンドルなどによって、
図10に示されている準備完了位置(13)に移動する。
【0070】
案内くさび状体(42)が、ハウジング内部(41)に開口部(39)と押圧体(51)との間で基部(38)上に配置されている。この案内くさび状体(42)は、分離縁部(43)、及び分離縁部(43)に隣接してハウジング内部(41)に向かって延びている案内面(44)を有している。案内面(44)は、例えば
図5~8に示されている例示的な実施形態の上側案内面(65)と同じように構成され得る。
【0071】
図6に示されている押圧体(51)を
図10に示されているアプリケータ(10)に使用する場合、案内くさび状体(42)を省略することが可能である。マイクロニードルパッチ(130) とカバーフィルム(136) とが形状が適合するように連結する場合、
図5~8の例示的な実施形態からの押圧体群(50)は、案内くさび状体(42)及び押圧体(51)と更に置き換えられ得る。この場合、案内要素(71)がハウジング側に更に配置され得る。
【0072】
図10に示されている準備完了位置(13)では、オーバーパッチ(133) が押圧面(57)に接する。カバーフィルム(136) は、案内面(44)に沿って部分的に案内される。押圧体(51)は、ハウジング(35)に対して未使用姿勢(11)にある。復元装置(111) に負荷はかからない。
【0073】
アプリケータ(10)を押して皮膚(1) に沿って引くと、マイクロニードルパッチ(130) が分配装置(121) から引き出される。
図11参照。押圧体(51)は、使用姿勢(12)に向かって押し付けられて復元装置(111) に負荷をかける。指標(116) は観察窓(36)で見えるようになる。押圧体(51)によって、マイクロニードルパッチ(130) が患者の皮膚(1) に押し付けられてマイクロニードル(132) を皮膚(1) に押し込む。押圧体(51)は、この操作中にマイクロニードルパッチ(130) に亘って転がる。アプリケータ(10)を引き方向(15)に更に引くと、全てのマイクロニードル(132) が押し込まれる。マイクロニードルパッチ(130) を完全に転がした後、マイクロニードルパッチ(130) は皮膚(1) に固定される。
図12参照。
【0074】
上述した例示的な実施形態を互いに組み合わせることが更に可能である。
【国際調査報告】