(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-07
(54)【発明の名称】溝付き作動レバーを備えた作動機構
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20221028BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
A61B17/22 528
A61F9/007 130Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512738
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 IB2020057908
(87)【国際公開番号】W WO2021038428
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】ニールス アレクサンダー アプト
(72)【発明者】
【氏名】レト グリューエブラー
(72)【発明者】
【氏名】ティモ ユング
(72)【発明者】
【氏名】トーマス リンジ
(72)【発明者】
【氏名】ニッコロ マシオ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160EE30
(57)【要約】
本明細書に開示される特定の実施形態は、近位端と、身体部分に挿入されるように構成されている機能的端部とを有するデバイスと、近位端と遠位端とを有するアセンブリと、アセンブリの近位端に結合されているシャフトであって、シャフトハウジングを有する、シャフトと、アセンブリの周りに配置された軸受であって、アセンブリ上を摺動するように構成されている、軸受と、スリーブ管を有するハブと、を含む、外科用器具を提供する。バスケットは、複数の溝付きレバーであって、各溝付きレバーは、シャフトハウジングによって受け入れられた近位端と、バスケットの先端に結合されている遠位端とを有し、複数の溝付きレバーのうちの1つ以上を圧縮すると、シャフトに対して及びデバイスの機能的端部に向かって軸受及びハブが移動し、スリーブ管がデバイスを停止状態から作動状態に移行させる、複数の溝付きレバーを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と、身体部分に挿入されるように構成されている機能的端部とを有するデバイスと、
近位端と遠位端とを有するアセンブリであって、前記アセンブリの前記遠位端は、前記デバイスの前記近位端に結合されている、アセンブリと、
前記アセンブリの前記近位端に結合されているシャフトであって、シャフトハウジングを有する、シャフトと、
前記アセンブリの周りに配置された軸受であって、前記アセンブリ上を摺動するように構成されている、軸受と、
スリーブ管を有するハブであって、前記スリーブ管は、前記デバイスが停止状態にあるときに、前記デバイスの前記機能的端部が前記スリーブ管の遠位端を少なくとも部分的に越えて延びるように、前記デバイスを部分的に収容するように構成されている、ハブと、
前記ハブに結合されているバスケットであって、前記バスケットは、
複数の溝付きレバーであって、各溝付きレバーは、前記シャフトハウジングによって受け入れられた近位端と、前記バスケットの先端に結合されている遠位端とを有し、前記複数の溝付きレバーのうちの1つ以上を圧縮すると、前記シャフトに対して及び前記デバイスの前記機能的端部に向かって前記軸受及び前記ハブが移動し、前記スリーブ管が前記デバイスを前記停止状態から作動状態に移行させる、複数の溝付きレバーを含む、
バスケットと、
を含む、外科用器具。
【請求項2】
前記複数の溝付きレバーのそれぞれは、第1の脚部と第2の脚部とを含み、前記第2の脚部は溝付き部分を含み、
前記複数の溝付きレバーの溝付き部分にわたる前記バスケットの第1の外径は、前記複数の溝付きレバーの第1の脚部の遠位端及び前記複数の溝付きレバーの第2の脚部の非溝付き部分の近位端における前記バスケットの第2の外径よりも小さい、
請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記バスケットは軸受ハウジングを含み、
前記軸受は、前記軸受ハウジングと前記アセンブリの本体との間に設けられた開口部内に配置されている、
請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記複数のレバーが休止状態にあるとき、前記軸受の近位端は前記シャフトの遠位端と接触しており、
前記複数のレバーが前記休止状態にあるとき、前記デバイスは停止しており、
前記複数のレバーが圧縮されているとき、前記軸受の前記近位端は前記シャフトの前記遠位端から分離されている、
請求項3に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記アセンブリは、1つ以上の羽根を有するスナッパアセンブリを含み、
前記シャフトは、前記スナッパアセンブリの前記近位端と前記スナッパアセンブリの前記1つ以上の羽根とを受け入れるように構成された中空区画を含む、
請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記1つ以上の羽根は、前記中空区画内にスナップ留めされ、ロックされている、請求項5に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記ハブは、ねじ切りされた開口部を含み、
前記バスケットの前記先端は、ねじ切りされた部分を含み、前記ねじ切りされた開口部は、前記バスケットの前記先端の前記ねじ切りされた部分上にねじ止めされるように構成されており、
前記バスケットに対する前記ハブの位置を調整すると、前記デバイスの前記機能的端部が前記スリーブ管の前記遠位端を越えてどれほど延びるかを調整することを可能にする、
請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記ハブは2つの開口部を含み、前記2つの開口部を通して、前記外科用器具内の前記デバイスの位置を調整し、固定することができる、請求項7に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、溝付き作動レバーを含む作動機構を有する外科用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の外科的処置(例えば、眼科処置)中に、外科医は、鉗子、鋏などを用いることにより身体部位内の特定の組織を巧みに扱う(例えば、除去、切断、剥離などをする)必要がある。このような外科的処置の例は、異なる黄斑表面疾患を治療するための内境界膜(ILM)除去及び網膜上膜(ERM)除去である。そのような処置中に、外科医は、例えば鉗子として機能する外科用器具の先端を患者の眼球に挿入し、鉗子を使用してILM/ERMを把持して剥離する。外科用器具の先端に位置する、鉗子又は鋏の顎部を外科医が開閉することを可能にする作動機構を外科用器具に提供するために、特定の設計が現在使用されている。しかしながら、特定の場合において、既存の作動機構は、とりわけ、過度の作動力を要する場合があり、且つ組み立てが困難な場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、全般的に、溝付き作動レバーを含む作動機構を有する外科用器具に関する。
【0004】
本明細書に開示される特定の実施形態は、近位端と、身体部分に挿入されるように構成されている機能的端部とを有するデバイスと、近位端と遠位端とを有するアセンブリであって、アセンブリの遠位端は、デバイスの近位端に結合されている、アセンブリと、アセンブリの近位端に結合されているシャフトであって、シャフトハウジングを有する、シャフトと、アセンブリの周りに配置された軸受であって、アセンブリ上を摺動するように構成されている、軸受と、スリーブ管を有するハブであって、スリーブ管は、デバイスが停止状態にあるときに、デバイスの機能的端部がスリーブ管の遠位端を少なくとも部分的に越えて延びるように、デバイスを部分的に収容するように構成されている、ハブと、ハブに結合されているバスケットと、を含む、外科用器具を提供する。バスケットは、複数のレバーであって、各溝付きレバーは、シャフトハウジングによって受け入れられた近位端と、バスケットの先端に結合されている遠位端とを有し、複数の溝付きレバーのうちの1つ以上を圧縮すると、シャフトに対して及びデバイスの機能的端部に向かって軸受及びハブが移動し、スリーブ管がデバイスを停止状態から作動状態に移行させる、複数のレバーを含む。
【0005】
以下の説明及び関連する図面は、1つ以上の実施形態の特定の例示的な特徴を詳述する。
【0006】
添付の図面は、1つ以上の実施形態の特定の態様を示しており、それゆえ、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、従来技術の作動機構を備えた外科用器具の一例を示す。
【
図2】
図2は、本開示の特定の実施形態による例示的な外科用器具の斜視図を示す。
【
図3】
図3は、本開示の特定の実施形態による
図2の外科用器具のハブ及びバスケットの斜視図を示す。
【
図4】
図4は、本開示の特定の実施形態による
図2の外科用器具の構成要素のうちのいくつかの分解図を示す。
【
図5A-5C】
図5A-5Cは、本開示の特定の実施形態による、
図2の外科用器具のスナッパアセンブリの異なる図を示す。
【
図6A】
図6Aは、本開示の特定の実施形態による、外科用器具のレバーがその休止状態にあるときの
図2の外科用器具の断面図を示す。
【
図6B】
図6Bは、本開示の特定の実施形態による、外科用器具のレバーがその圧縮状態にあるときの
図2の外科用器具の断面図を示す。
【
図7A-7B】
図7A-7Bは、本開示の特定の実施形態による、
図2の外科用器具のハブの異なる図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
理解を促進するために、各図面に共通する同一の要素は、可能な限り同一の参照符号を使用して示している。一実施形態の要素及び特徴は、更なる説明を伴わずに他の実施形態に有益に組み込むことができるように企図されている。
【0009】
本開示の特定の実施形態は、溝付き作動レバーを含む作動機構を有する外科用器具を提供する。
【0010】
図1は、従来技術の作動機構を備えた外科用器具の一例を示す。図示のように、外科用器具100は、ハンドル102と、複数の作動レバー104を含むバスケット103と、ハウジング105と、作動管106と、プローブの先端にある鉗子108として示されるデバイスとを含む。各作動レバー104は、可撓性接合部114にて接合された第1の脚部112と第2の脚部110とを含む。他の実施形態では、第1の脚部112と第2の脚部110は、ヒンジにより互いに結合された別個の部品であり得る。各作動レバー104は、チタン、ステンレス鋼、適切な熱可塑性材料等の形状記憶材料などの材料から作製されていてもよい。作動管106は、チタン、ステンレス鋼、又は適切なポリマーなどの任意の適切な医療用グレードの管類であってもよく、鉗子108が作動管106内を容易に往復運動するような大きさとされる。鉗子108は、概して、ステンレス鋼又はチタンから作製されているが、他の材料も使用され得る。
【0011】
外科用器具100は、使用時、複数の作動レバー104がそれらの緩和状態にあるときに、鉗子108が、ハウジング105に結合された作動管106の遠位端を越えて突出する又は延びるように設計されている。作動レバー104の1つ以上を強く押すと、対応する作動レバー104が接合部114で曲がり、ハウジング105をハンドル102に対して前方に押す。ハウジング105の前方への移動が作動管106に伝達され、作動管106を鉗子108の顎部の遠位部を覆うように前方に摺動させ、それにより、顎部を互いに押し付けることによって鉗子108を作動させる。鉗子108の顎部を閉じることにより、外科医は、例えば、身体部位内の組織(例えば、ILM)を把持し、剥離することができる。
【0012】
図1の例では、作動機構は、とりわけ、過度の作動力を要する場合があり、組み立てが難しすぎる場合がある。更に、バスケット203は長く、大きな直径を有し、バスケット203が嵩張りすぎるものになる場合がある。したがって、本明細書に記載される特定の実施形態は、溝付き作動レバーを含む作動機構を有する外科用器具に関する。特定の実施形態では、これにより、作動機構の構造的な複雑さを低減することができ、より簡単な組み立てを可能にすることができる。
【0013】
図2は、本開示の教示による例示的な外科用器具200の斜視図を示す。
図2に示すように、外科用器具200は、後部キャップ202と、シャフトハウジング204と、作動レバー(「レバー」)205を含むバスケット203と、スリーブ管214に結合されている調整可能なハブ(「ハブ」)212と、デバイス216とを含む。
【0014】
図2の例ではデバイス216は鉗子として示されるが、一般に、デバイス216は、機能的端部(例えば、可動又は能動端部)と呼ばれる遠位端を備えたスリーブ管214内に収まるように成形された任意の外科用デバイスであってもよい。例えば、デバイス216は、顎部又はアームを備えた鉗子、鋏等を含み得る機能的端部を備えた針として成形されてもよい。デバイス216の近位端は、
図3、
図4、
図5A~
図5Bなどに示されるようにスナッパアセンブリの結合管に結合されている。
【0015】
本明細書で使用する場合、「近位」という用語は、通常使用中、デバイスを使用する臨床家に最も近く、デバイスが使用される患者から最も遠いデバイス又はデバイスの部分に関する位置を指す。反対に、「遠位」という用語は、通常使用中、デバイスを使用する臨床家から最も遠く、デバイスが使用される患者に最も近いデバイス又はデバイスの部分に関する位置を指す。
【0016】
バスケット203は、その近位端にてシャフトハウジング204に、その遠位端にてハブ212に結合している。シャフトハウジング204は、バスケット203内に長手方向に延びるシャフトの一部である。シャフトは、その近位端において、後部キャップ202に結合している。バスケット203はレバー205を含み、各レバー205は、第1の脚部206と第2の脚部210とを含み、第2の脚部210は、溝付き部分208を含む。ある態様において、第1の脚部206の長さは、18~30ミリメートル(mm)の範囲内であってもよく、溝付き部分208の長さは、4~8mmの範囲内であってもよく、第2の脚部210の長さは、9~18mmの範囲内であってもよい。レバー205の溝付き部分208は、
図1に示される従来技術のバスケット設計と比較して、外科医などのユーザが外科用器具200をより容易に把持し、作動させることを可能にする。溝付き部分208が存在する場所のバスケット203の外径は、第1の脚部206の遠位端又は第2の脚部210の非溝付き部分の近位端が存在する場所のバスケット203の外径よりも小さい。例えば、溝付き部分208が存在する場所のバスケット203の外径は、第1の脚部206の遠位端又は第2の脚部210の非溝付き部分の近位端が存在する場所のバスケット203の外径よりも0.1~0.8ミリメートル(mm)小さい。
【0017】
各レバー205はまた、レバーが圧縮されたときに延びることを可能にする3つの可動関節又は接合部207、209、及び211を含む。より具体的には、各レバー205は、レバーが曲がり、延びることを可能にする、尾部関節207と、主関節209と、頭部関節211とを含む。これらの関節により、バスケット203が圧縮され、それによって、ハブ212をスリーブ管214とともにシャフトハウジング204に対して前方に押すことを可能にする。ある実施形態において、尾部関節207、主関節209、及び頭部関節211のそれぞれは、ヒンジを含み得る。
【0018】
図示されてはいないが、ハブ212の内部表面及びバスケット203の遠位端の外部表面は、ねじ切りされていてもよく、それにより、バスケット203の遠位端にハブ212がねじ止めされることを可能にする。ハブ212は調整可能である。これは、製造プロセス中にハブ212を時計回り又は反時計回りに回すと、デバイス216の機能的端部がスリーブ管214の遠位端を越えてどれほど延びるかを調整できるようになることを意味する。例えば、ハブ212がバスケット203の遠位端上で完全に回転される又は回されると、デバイス216の機能的端部のより多くの部分がスリーブ管214を越えて突出する。しかしながら、ハブ212を反時計回りに回すことによって、ハブ212とスリーブ管214は、バスケット203に対して遠位方向に移動し、これにより、バスケット203の遠位端上でハブ212が完全に回されるときと比較して、スリーブ管214の遠位端がデバイス216の機能的端部のより多くの部分を覆う。
【0019】
外科用器具200は、使用時、レバー205がその緩和又は休止状態(即ち、圧縮されていない)にあるときに、デバイス216の機能的端部がスリーブ管214の遠位端を越えて突出する又は延びるように設計されている。換言すると、スリーブ管214は、デバイス216の機能的端部だけを部分的に覆う。レバー205が圧縮されると、バスケット203の遠位端は、シャフトハウジング204及びデバイス216に対して前方に押される。バスケット203の遠位端の前方への移動がハブ212に、その後、スリーブ管214に伝達され、スリーブ管214を前方に摺動させて、デバイス216を作動させる。デバイス216の顎部又はアームを押し合わせる、スリーブ管214の前方への移動の結果としてデバイス216が作動する。作動したデバイスとは、顎部又はアームが閉じられたデバイスを指す。
図2は、その休止状態にあるレバー205を示し、
図6Bは、レバー205が圧縮されているときの外科用器具200の断面図を示すことに留意されたい。
【0020】
レバー205は、レバー205が圧縮され、その後、その休止位置に押し戻されることを可能にするために、可撓性であるが弾力性のある材料から作製されている。一例では、レバー205は、ポリオキシメチレン(POM)から作製されてもよい。
図2の例では、外科用器具200は12個のレバー205を含むことに留意されたい。しかしながら、他の実施形態では、より少数又は多数のレバー205が使用されてもよい。例えば、外科用器具200は、10~16個のレバーを有してもよい。
【0021】
図3は、外科用器具200のハブ212及びバスケット203の斜視図を別々に示す。図示のように、ハブ212は、バスケット203のねじ切りされた先端又は部分313上にねじ止めされ得る。
図3は、また、バスケット203の内部に配置されたスナッパアセンブリの結合管315を示す。結合管315は、ねじ切りされた部分313の外側に突出する又はねじ切りされた部分313を越えて突出する。結合管315の遠位端は、デバイス216の針の近位端に結合されるように構成されている。いくつかの実施形態では、結合管315の遠位端とデバイス216の針の近位端とは共に圧着されている。
図3はまた、ハブ212を収容するように構成されたキャップ316を示す。キャップ316は、ハブ212の調整を含む製造プロセスの完了時にハブ212上に配置される。
図3はまた、以下で更に詳細に説明するシャフトの近位端301を示す。シャフトの近位端301は、後部キャップ202に結合されるように構成されている。
【0022】
図4は、外科用器具200の構成要素のうちのいくつかの分解図を示す。図示のように、バスケット203は、その近位端に挿入部422を含み、挿入部422は、シャフト418の本体とシャフトハウジング204との間の円筒状開口部に挿入されるように構成されている。より具体的には、いくつかの実施形態では、挿入部422は、開口部に摩擦ロックされ得る。シャフト418は、バスケット203内に長手方向に延びるように構成された、延在する円筒状部分419を含む。
図6A~
図6Bとの関連で更に説明するように、シャフト418は中空区画を含み、中空区画は、中空区画内にスナッパアセンブリ426の近位端が挿入され(又は受け入れられ)、スナップ留めされることを可能にする。
【0023】
同様に図示するのは軸受420である。軸受420は、シャフト418の円筒状部分419の遠位端に配置されるように構成されている。
図6A及び
図6Bに示すように、軸受420はまた、スナッパアセンブリ426がシャフト418の中空区画にスナップ留めされた後、スナッパアセンブリ426上を摺動するように構成されている。
図6A及び
図6Bにより詳細に示すように、軸受420はまた、バスケット203の軸受ハウジングにより収容されるように構成されている。レバー205がその休止状態にあるとき、軸受420の近位端421とシャフト418の遠位端423とは接触している。しかしながら、レバー205がその圧縮状態にあるとき、軸受420は、軸受420の近位端421とシャフト418の遠位端423とがもはや接触しないように、シャフト418及びスナッパアセンブリ426に対して前方に摺動している。軸受420の内部表面は、スナッパアセンブリ426の外部表面に対して低い摩擦係数を有する材料で作製されている、又はスナッパアセンブリ426の外部表面に対して低い摩擦係数を有する材料を含む。このため、本明細書に記載される作動機構に軸受420を用いると有利である。なぜなら、軸受420はスナッパアセンブリ426上で滑らかに往復摺動することができるため、より滑らかな作動が可能になるからである。
【0024】
スナッパアセンブリ426は針状の近位端430を含む。針状の近位端430は、上述のように、シャフト418の中空区画に挿入されるように構成されている。スナッパアセンブリ426はまた、羽根428を含み、羽根428は外向きに付勢され、シャフト418の中空区画内にスナップ留めされるように構成されている。羽根428が中空区画内にスナップ留めされると、スナッパアセンブリ426はシャフト418に対して動かない。スナッパアセンブリ426の異なる図が
図5A~
図5Cに示される。
図5A~
図5Cは、羽根428をより明確に示す。スナッパアセンブリ426はまた、円筒状要素427を含み、円筒状要素427の周りにばね424が配置されるように構成されている。ばね424の遠位端は、スナッパアセンブリ426のバリア429に対して配置されている。バスケット203が圧縮されると、ねじ切りされた部分313の遠位端はシャフト418に対して遠位方向に移動し、ばね424をバリア429に対して圧縮する。その結果、ばね424に荷重がかけられ、又はチャージされ、それにより、ユーザがバスケット203を解放するとバスケット203がその休止位置に移行される又は再度スナップ留めされる。
【0025】
バスケット203を圧縮するために必要とされる作動力、したがって、外科用器具200とともに使用される又は外科用器具200の一部として使用されるデバイス(例えば、デバイス216)を作動させるために必要とされる作動力が少なくなるため、本明細書に記載される作動機構にバスケット203のバスケット設計を用いると有利である。より具体的には、バスケット203の溝付き部分208における又はバスケット203の溝付き部分208にわたるバスケット203の直径(例えば、11~23mmの範囲内)は、接合部114における従来技術の作動機構のバスケット103の直径と比較すると小さい。その結果、本明細書に記載される作動機構によって、より少量の力がばね424に印加されるため、ユーザはバスケット203を圧縮するときにより少量の反対のばね力を受ける。また、上述のように、レバー205の溝付き部分208により、ユーザがバスケット203をより容易に把持し、圧縮することが可能になる。ある態様において、ばね424のばね定数は、0.2~1ニュートン/ミリメートル(N/mm)の範囲内である。
【0026】
図5A~
図5Cは、スナッパアセンブリ426の異なる図を示す。
図5Aは、羽根428a及び羽根428bと、バリア429と、円筒状要素427とを含むスナッパアセンブリ426の斜視図を示す。
図5Bは、スナッパアセンブリ426の側面図を示す。
図5Cは、スナッパアセンブリ426の断面図を示す。
【0027】
図6Aは、レバー205がその休止状態にあるときの外科用器具200の断面図を示す。図示のように、挿入部422は、シャフト418の本体とシャフトハウジング204との間の円筒状開口部内に配置されている。同じく図示されているのは、シャフト418の中空区画632にスナップ留めされたスナッパアセンブリ426である。上述のように、羽根428a~428bは、スナッパアセンブリ426を中空区画632に挿入するために羽根428a~428bをスナッパアセンブリ426の長手方向軸に向かって内向きに押す必要があるように、外向きに付勢される。
【0028】
外科用器具200の組み立てプロセス中、針状の近位端430は、スナッパアセンブリ426を中空区画632に挿入するためのガイドとして使用されてもよい。特定の地点において、スナッパアセンブリ426を十分に遠くに押すことにより、羽根428a~428bは、中空区画632内にスナップ留めされる。より具体的には、スナッパアセンブリ426が中空区画632に完全に挿入されると、羽根428a~428bの先端が中空区画632の遠位端にスナップ留めされる。この地点で、シャフト418の内径は大きくなる。羽根428a~428bの先端を中空区画632の遠位端にスナップ留めさせるのは、シャフト418の異なる部分におけるシャフト418の内径の差である。例えば、図示のように、シャフト418は、中空区画632の遠位端におけるシャフト418の内径と比べるとより小さな内径を部分636に有する。羽根428a~428bが中空区画632にスナップ留めされると、スナッパアセンブリ426は所定の位置にロックされ、シャフト418からもはや分離させることができない。なぜなら、部分636の近位端が羽根428~428bの先端に対するバリアとしての役割を果たすからである。
【0029】
図示のように、レバー205がその休止状態にあるとき、シャフト418の遠位端423は軸受420の近位端421に接触している。軸受420は、軸受ハウジング638とスナッパアセンブリ426との間の開口部に配置されている。より具体的には、開口部は、円筒状の形状である軸受ハウジング638の内部表面とスナッパアセンブリ426の外部表面との間に設けられている。図示のように、軸受420の遠位端は、軸受ハウジング638のスライダ部分640の近位端を指す開口部の端部と接触している。スライダ部分640はスナッパアセンブリ426の本体と接触せず、レバー205が圧縮されるとシャフト418に対して移動する。スライダ部分640は、軸受ハウジング638の遠位端に配置されている。上述のように、
図6Aは、その休止状態(デバイス(例えば、デバイス216)が非作動状態(例えば、鉗子の顎部が開いている)にあるという意味)にあるレバー205を示す。
【0030】
図6Bは、レバー205がその圧縮状態にあるときの外科用器具200の断面図を示す。図示のように、レバー205が圧縮されると、レバー205の遠位端は遠位方向に移動し(スライダ部分640が遠位方向に移動するという意味)、それによってばね424をバリア429に対して押し、これによりばね424がスライダ部分640に反対のばね力を作用させる。図示のように、軸受420は、ここで軸受420の近位端421とシャフト418の遠位端423との間にいくらかの空間が存在するように、シャフト418に対して遠位方向に移動される。上述のように、軸受420の内部表面は、スナッパアセンブリ426の外部表面に対して低い摩擦係数を有するため、軸受420はスナッパアセンブリ426上を滑らかに摺動することができ、それにより、滑らかな作動に至る。レバー205が圧縮されると、ハブ及びスリーブ管(例えば、ハブ212及びスリーブ管214)はデバイスの機能的端部に向かって移動し、スリーブ管は、デバイスを停止状態から作動状態に移行させる(例えば、鉗子の顎部は閉じられる)。
図6A~
図6Bの例において、バスケット203は単一部品として(例えば、射出成形によって)製造されるが、他のいくつかの実施形態においては、これは必ずしも当てはまらないことに留意されたい。
【0031】
図7A~
図7Bは、ハブ212の異なる図を示す。
図7Aは、ハブ212の断面図を示す。図示のように、ハブ212は、バスケット203のねじ切りされた部分313にハブ212をねじ止めすることを可能にするねじ切りされた開口部752を含む。ハブ212はまた、開口部750を含む。開口部750を通してデバイスの位置を調整することができる。例えば、外科用デバイスの組み立てプロセス中、ハブ212がバスケット203に結合された後、デバイス216の近位端をスナッパアセンブリ426の結合管315に結合するために、デバイス216の近位端はスリーブ管214に挿入され得る。このプロセス中、デバイス216の近位端は開口部750を通過する。したがって、開口部を通してアクセス可能である。このため、開口部750を通してデバイス216を把持することができる器具を使用して、デバイス216の位置を調整することができる。例えば、デバイス216は、その近位端が結合管315に完全に結合されるようにするために、そのような器具を開口部750を通して使用し、更に押し込むことができる。
【0032】
図7Bは、スリーブ管214に平行な軸の周りで90度回転したハブ212の側面図を示す。図示のように、ハブ212は、側面から示される2つの開口部750を含む。
【0033】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載の様々な実施形態を実践できるようにするために提供されている。これらの実施形態に対する様々な修正形態は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義する一般的な原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示す実施形態に限定されることが意図されるものではなく、特許請求の範囲の文言に一致する全範囲が認められるべきである。
【国際調査報告】