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  • 特表-治療方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-07
(54)【発明の名称】治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20221028BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221028BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P35/00
A61K31/519
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514215
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 US2020049248
(87)【国際公開番号】W WO2021046250
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】62/895,476
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507401225
【氏名又は名称】イントラ-セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTRA-CELLULAR THERAPIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】リ,ポン
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,ロバート
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084MA52
4C084MA55
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB06
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本開示は、特定の癌または腫瘍、例えば結腸癌の治療に有用なホスホジエステラーゼ1(PDE1)の阻害剤の組合せに関する。別の実施態様では、本開示は、特定の癌または腫瘍の治療のためのPDE1の阻害剤および場合によっては抗腫瘍剤の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結腸癌の治療方法であって、該治療を必要とする対象体に、PDE1阻害剤の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法。
【請求項2】
結腸癌が結腸直腸癌である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
結腸における癌性または腫瘍性の細胞の増殖、遊走および/または浸潤を阻害する方法であって、該阻害を必要とする対象体に、PDE1阻害剤の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法。
【請求項4】
対象体が結腸癌に罹患している、請求項3記載の方法。
【請求項5】
対象体が結腸直腸癌に罹患している、請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
PDE1阻害剤が、
(A) エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、塩形態またはプロドラッグ形態の、式I:
【化1】
[式中、
(i) R1は、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチル)であり;
(ii) R4は、HまたはC1-4アルキルであり、R2およびR3は、独立して、HまたはC1-4アルキル(例えば、R2およびR3はどちらもメチルであるか、または、R2はHであり、R3はイソプロピルである)、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシ、または(場合によってはヘテロ)アリールアルキルであるか;または
2はHであり、R3およびR4は一緒になってジメチレン架橋、トリメチレン架橋またはテトラメチレン架橋を形成し(好ましくは、R3およびR4が一緒になってシス配置を有しており、例えば、R3およびR4を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有している);
(iii) R5は、例えばハロアルキルで置換されている、置換ヘテロアリールアルキルであるか;または
5は、式Iのピラゾロ部分の窒素の1つに結合しており、式A:
【化2】
(式中、X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり、R8、R9、R11およびR12は、独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり、R10は、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ハロゲンで置換されていてもよいピリジル(例えば、ピリダ-2-イル)、またはチアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾール-4-イル))、ジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、ヘテロアリールカルボニル、またはアルコキシカルボニルである;ただし、X、YまたはZが窒素である場合、R8、R9またはR10は、それぞれ存在しない)
で示される部分であり;
(iv) R6は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、アリールアミノ(例えば、フェニルアミノ)、ヘテロアリールアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、N,N-ジアリールアミノ、またはN-アリール-N-(アリールアルキル)アミノ(例えば、N-フェニル-N-(1,1'-ビフェン-4-イルメチル)アミノ)であり;
(v) nは0または1であり;
(vi) nが1である場合、Aは、-C(R1314)-である(ここで、R13およびR14は、独立して、HまたはC1-4アルキル、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシまたは(場合によってはヘテロ)アリールアルキルである)];
(B) 遊離形態、塩形態またはプロドラッグ形態の、式II:
【化3】
[式中、
(i) Xは、C1-6アルキレン(例えば、メチレン、エチレンまたはプロパ-2-イン-1-イレン)であり;
(ii) Yは、単結合、アルキニレン(例えば、-C≡C-)、アリーレン(例えば、フェニレン)またはヘテロアリーレン(例えば、ピリジレン)であり;
(iii) Zは、H、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリダ-2-イル)、ハロ(例えば、F、Br、Cl)、ハロC1-6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、-C(O)-R1、-N(R2)(R3)、または、NまたはOからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含有していてもよいC3-7シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、またはモルホリニル)であり;
(iv) R1は、C1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、-OHまたは-OC1-6アルキル(例えば、-OCH3)であり;
(v) R2およびR3は、独立して、HまたはC1-6アルキルであり;
(vi) R4およびR5は、独立して、H、C1-6アルキル、または、1個以上のハロ(例えば、フルオロフェニル、例えば、4-フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、ヒドロキシフェニル、例えば、4-ヒドロキシフェニルまたは2-ヒドロキシフェニル)もしくはC1-6アルコキシで置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(vii) ここで、X、YおよびZは、独立して、1個以上のハロ(例えば、F、ClまたはBr)、C1-6アルキル(例えば、メチル)、ハロC1-6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)で置換されていてもよく、例えば、Zは、1個以上のハロ(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル、5-フルオロピリダ-2-イル、6-フルオロピリダ-2-イル、3-フルオロピリダ-2-イル、4-フルオロピリダ-2-イル、4,6-ジクロロピリダ-2-イル)、ハロC1-6アルキル(例えば、5-トリフルオロメチルピリダ-2-イル)またはC1-6アルキル(例えば、5-メチルピリダ-2-イル)で置換されている、ヘテロアリール、例えば、ピリジルであるか、または、Zは、1個以上のハロ(例えば、4-フルオロフェニル)で置換されている、アリール、例えばフェニルである];
(C) 遊離形態または塩形態の、式III:
【化4】
[式中、
(i) R1は、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(ii) R2およびR3は、独立して、HまたはC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iii) R4は、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iv) R5は、独立して-C(=O)-C1-6アルキル(例えば、-C(=O)-CH3)およびC1-6ヒドロキシアルキル(例えば、1-ヒドロキシエチル)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(v) R6およびR7は、独立して、H、または、独立してC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)およびハロゲン(例えば、FまたはCl)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)、例えば非置換フェニル、または1個以上のハロゲン(例えば、F)で置換されているフェニル、または1個以上のC1-6アルキルおよび1個以上のハロゲンで置換されているフェニル、または1個のC1-6アルキルおよび1個のハロゲンで置換されているフェニル、例えば4-フルオロフェニルまたは3,4-ジフルオロフェニルまたは4-フルオロ-3-メチルフェニルであり;
(vi) nは、1、2、3または4である];
(D) 遊離形態または塩形態の、式IV:
【化5】
[式中、
(iv) R1は、C1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)、または-NH(R2)(ここで、R2は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば、4-フルオロフェニルであり;
(v) X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり;
(vi) R3、R4およびR5は、独立して、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチル)であるか;またはR3はHであり、R4およびR5は一緒になってトリメチレン架橋を形成し(好ましくは、R4およびR5は一緒になってシス配置を有しており、例えば、R4およびR5を担持している炭素はそれぞれR配置およびS配置を有している);
(vii) R6、R7およびR8は、独立して、
H、
1-4アルキル(例えば、メチル)、
ヒドロキシで置換されているピリダ-2-イル、または
-S(O)2-NH2
であり;
ただし、X、Yおよび/またはZがNである場合、それぞれ、R6、R7および/またはR8は存在せず;また、X、YおよびZがすべてCである場合、R6、R7またはR8のうち少なくとも1つは-S(O)2-NH2、またはヒドロキシで置換されているピリダ-2-イルである];および
(E) エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、式1a:
【化6】
[式中、
(iv) R2およびR5は、独立して、Hまたはヒドロキシであり、R3およびR4は一緒になってトリメチレン架橋またはテトラメチレン架橋を形成する[好ましくは、R3およびR4を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有している]か;または、R2およびR3はそれぞれメチルであり、R4およびR5はそれぞれHであるか;または、R2、R4およびR5はHであり、R3はイソプロピルであり[好ましくは、R3を担持している炭素はR配置を有している];
(v) R6は、(ハロ置換されていてもよい)フェニルアミノ、(ハロ置換されていてもよい)ベンジルアミノ、C1-4アルキル、またはC1-4アルキルスルフィドであり;例えば、フェニルアミノまたは4-フルオロフェニルアミノであり;
(vi) R10は、C1-4アルキル、メチルカルボニル、ヒドロキシエチル、カルボン酸、スルホンアミド、(ハロ置換またはヒドロキシ置換されていてもよい)フェニル、(ハロ置換またはヒドロキシ置換されていてもよい)ピリジル(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル)、またはチアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾール-4-イル)であり;
XおよびYは、独立してCまたはNである];
(F) エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、式V
【化7】
[式中、
(iv) R1は、-NH(R4)であり、ここで、R4は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば、4-フルオロフェニルであり;
(v) R2は、HまたはC1-6アルキル(例えば、メチル、イソブチルまたはネオペンチル)であり;
(vi) R3は、-SO2NH2または-COOHである];および/または
(G) エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、式VI
【化8】
[式中、
(iv) R1は、-NH(R4)であり、ここで、R4は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば、4-フルオロフェニルであり;
(v) R2は、HまたはC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(vi) R3は、H、ハロゲン(例えば、ブロモ)、C1-6アルキル(例えば、メチル)、ハロゲンで置換されていてもよいアリール(例えば、4-フルオロフェニル)、ハロゲンで置換されていてもよいヘテロアリール(例えば、6-フルオロピリダ-2-イルまたはピリダ-2-イル)、またはアシル(例えば、アセチル)である];または
(H) エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、式VII:
【化9】
[式中、
(viii) R1は、-NH(R5)であり、ここで、R5は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニルであり、例えば、4-フルオロフェニルであり;
(ix) R2およびR3は、各々、独立して、HまたはC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(x) R4は、ハロゲンで置換されていてもよいアリール(例えば、4-フルオロフェニル)またはハロゲンで置換されていてもよいヘテロアリール(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル)である]
から選択される化合物である、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化10】
のいずれかから選択される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
PDE1阻害剤が抗腫瘍剤と組み合わせて投与される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
癌または腫瘍癌から選択される状態の治療方法であって、該治療を必要とする対象体に、PDE1阻害剤(すなわち、式I、Ia、II、III、IV、V、VIおよび/またはVIIによるPDE1阻害剤)の薬学的に許容される量およびチェックポイント阻害剤を投与することを含む、方法。
【請求項10】
癌が結腸癌である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
癌が結腸直腸癌である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
PDE1阻害剤が、
(A) エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、塩形態またはプロドラッグ形態の、式I:
【化11】
[式中、
(i) R1は、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチル)であり;
(ii) R4は、HまたはC1-4アルキルであり、R2およびR3は、独立して、HまたはC1-4アルキル(例えば、R2およびR3はどちらもメチルであるか、または、R2はHであり、R3はイソプロピルである)、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシ、または(場合によってはヘテロ)アリールアルキルであるか;または
2はHであり、R3およびR4は一緒になってジメチレン架橋、トリメチレン架橋またはテトラメチレン架橋を形成し(好ましくは、R3およびR4が一緒になってシス配置を有しており、例えば、R3およびR4を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有している);
(iii) R5は、例えばハロアルキルで置換されている、置換ヘテロアリールアルキルであるか;または
5は、式Iのピラゾロ部分の窒素の1つに結合しており、式A:
【化12】
(式中、X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり、R8、R9、R11およびR12は、独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり、R10は、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ハロゲンで置換されていてもよいピリジル(例えば、ピリダ-2-イル)、またはチアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾール-4-イル))、ジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、ヘテロアリールカルボニル、またはアルコキシカルボニルであり;ただし、X、YまたはZが窒素である場合、R8、R9またはR10は、それぞれ存在しない)
で示される部分であり;
(iv) R6は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、アリールアミノ(例えば、フェニルアミノ)、ヘテロアリールアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、N,N-ジアリールアミノ、またはN-アリール-N-(アリールアルキル)アミノ(例えば、N-フェニル-N-(1,1'-ビフェン-4-イルメチル)アミノ)であり;
(v) nは0または1であり;
(vi) nが1である場合、Aは、-C(R1314)-である(ここで、R13およびR14は、独立して、HまたはC1-4アルキル、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシまたは(場合によってはヘテロ)アリールアルキルである)];
(B) 遊離形態、塩形態またはプロドラッグ形態の、式II:
【化13】
[式中、
(i) Xは、C1-6アルキレン(例えば、メチレン、エチレンまたはプロパ-2-イン-1-イレン)であり;
(ii) Yは、単結合、アルキニレン(例えば、-C≡C-)、アリーレン(例えば、フェニレン)またはヘテロアリーレン(例えば、ピリジレン)であり;
(iii) Zは、H、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリダ-2-イル)、ハロ(例えば、F、Br、Cl)、ハロC1-6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、-C(O)-R1、-N(R2)(R3)、または、NまたはOからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含有していてもよいC3-7シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、またはモルホリニル)であり;
(iv) R1は、C1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、-OHまたは-OC1-6アルキル(例えば、-OCH3)であり;
(v) R2およびR3は、独立して、HまたはC1-6アルキル;
(vi) R4およびR5は、独立して、H、C1-6アルキル、または、1個以上のハロ(例えば、フルオロフェニル、例えば、4-フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、ヒドロキシフェニル、例えば、4-ヒドロキシフェニルまたは2-ヒドロキシフェニル)もしくはC1-6アルコキシで置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(vii) ここで、X、YおよびZは、独立して、1個以上のハロ(例えば、F、ClまたはBr)、C1-6アルキル(例えば、メチル)、ハロC1-6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)で置換されていてもよく、例えば、Zは、1個以上のハロ(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル、5-フルオロピリダ-2-イル、6-フルオロピリダ-2-イル、3-フルオロピリダ-2-イル、4-フルオロピリダ-2-イル、4,6-ジクロロピリダ-2-イル)、ハロC1-6アルキル(例えば、5-トリフルオロメチルピリダ-2-イル)またはC1-6アルキル(例えば、5-メチルピリダ-2-イル)で置換されている、ヘテロアリール、例えば、ピリジルであるか、または、Zは、1個以上のハロ(例えば、4-フルオロフェニル)で置換されている、アリール、例えばフェニルである];
(C) 遊離形態または塩形態の、式III:
【化14】
[式中、
(i) R1は、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(ii) R2およびR3は、独立して、HまたはC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iii) R4は、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iv) R5は、独立して-C(=O)-C1-6アルキル(例えば、-C(=O)-CH3)およびC1-6ヒドロキシアルキル(例えば、1-ヒドロキシエチル)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(v) R6およびR7は、独立して、H、または、独立してC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)およびハロゲン(例えば、FまたはCl)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)、例えば非置換フェニル、または1個以上のハロゲン(例えば、F)で置換されているフェニル、または1個以上のC1-6アルキルおよび1個以上のハロゲンで置換されているフェニル、または1個のC1-6アルキルおよび1個のハロゲンで置換されているフェニル、例えば4-フルオロフェニルまたは3,4-ジフルオロフェニルまたは4-フルオロ-3-メチルフェニルであり;
(vi) nは、1、2、3または4である];
(D) 遊離形態または塩形態の、式IV
【化15】
[式中、
(xi) R1は、C1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)、または-NH(R2)(ここで、R2は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば、4-フルオロフェニルであり;
(xii) X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり;
(xiii) R3、R4およびR5は、独立して、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチル)であるか;またはR3はHであり、R4およびR5は一緒になってトリメチレン架橋を形成し(好ましくは、R4およびR5は一緒になってシス配置を有しており、例えば、R4およびR5を担持している炭素はそれぞれR配置およびS配置を有している);
(xiv) R6、R7およびR8は、独立して、
H、
1-4アルキル(例えば、メチル)、
ヒドロキシで置換されているピリダ-2-イル、または
-S(O)2-NH2
であり;
ただし、X、Yおよび/またはZがNである場合、それぞれ、R6、R7および/またはR8は存在しない;また、X、YおよびZがすべてCである場合、R6、R7またはR8のうち少なくとも1つは-S(O)2-NH2、またはヒドロキシで置換されているピリダ-2-イルである];および
(E) エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、式1a:
【化16】
[式中、
(vii) R2およびR5は、独立して、Hまたはヒドロキシであり、R3およびR4は一緒になってトリメチレン架橋またはテトラメチレン架橋を形成する[好ましくは、R3およびR4を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有している]か;または、R2およびR3はそれぞれメチルであり、R4およびR5はそれぞれHであるか;または、R2、R4およびR5はHであり、R3はイソプロピルであり[好ましくは、R3を担持している炭素はR配置を有している];
(viii) R6は、(ハロ置換されていてもよい)フェニルアミノ、(ハロ置換されていてもよい)ベンジルアミノ、C1-4アルキル、またはC1-4アルキルスルフィドであり;例えば、フェニルアミノまたは4-フルオロフェニルアミノであり;
(ix) R10は、C1-4アルキル、メチルカルボニル、ヒドロキシエチル、カルボン酸、スルホンアミド、(ハロ置換またはヒドロキシ置換されていてもよい)フェニル、(ハロ置換またはヒドロキシ置換されていてもよい)ピリジル(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル)、またはチアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾール-4-イル)であり;
XおよびYは、独立してCまたはNである];
(F) エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、式V
【化17】
[式中、
(vii) R1は、-NH(R4)であり、ここで、R4は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば、4-フルオロフェニルであり;
(viii) R2は、HまたはC1-6アルキル(例えば、メチル、イソブチルまたはネオペンチル)であり;
(ix) R3は、-SO2NH2または-COOHである];および/または
(G) エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、式VI
【化18】
[式中、
(vii) R1は、-NH(R4)であり、ここで、R4は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば、4-フルオロフェニルであり;
(viii) R2は、HまたはC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(ix) R3は、H、ハロゲン(例えば、ブロモ)、C1-6アルキル(例えば、メチル)、ハロゲンで置換されていてもよいアリール(例えば、4-フルオロフェニル)、ハロゲンで置換されていてもよいヘテロアリール(例えば、6-フルオロピリダ-2-イルまたはピリダ-2-イル)、またはアシル(例えば、アセチル)である];または
(H) エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、式VII:
【化19】
[式中、
(xv) R1は、-NH(R5)であり、ここで、R5は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニルであり、例えば、4-フルオロフェニルであり;
(xvi) R2およびR3は、各々、独立して、HまたはC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(xvii) R4は、ハロゲンで置換されていてもよいアリール(例えば、4-フルオロフェニル)またはハロゲンで置換されていてもよいヘテロアリール(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル)である]
から選択される化合物である、請求項9~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化20】
のいずれかから選択される、請求項9~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
チェックポイント阻害剤が、CTLA-4、PD-1および/またはPD-L1の阻害剤である、請求項9~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、イピリムマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、スパルタリズマブ、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項9~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
PDE1阻害剤が、単球および/またはマクロファージの腫瘍関連微小環境への浸潤を減少させるのに十分な量で投与される、請求項9~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
PDE1阻害剤およびチェックポイント阻害剤が、単球および/またはマクロファージの腫瘍関連微小環境への浸潤を減少させるのに、および/または、ナチュラルキラー細胞およびCD4+ T細胞の腫瘍関連微小環境への浸潤を増加させるのに、十分な量で一緒に投与される、請求項9~16のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本分野は、特定の癌および腫瘍、例えば結腸癌の治療に有用なホスホジエステラーゼ1(PDE1)の阻害剤に関する。本分野は、また、特定の癌および腫瘍、例えば結腸癌の治療のためのホスホジエステラーゼ1(PDE1)の阻害剤の投与に関する。
【背景技術】
【0002】
開示の背景
結腸直腸癌は、世界中で、男性で3番目、女性で2番目に多く診断される癌であり、年間推定50,000人の死亡を占めている。発生の傾向とは対照的に、結腸直腸癌の死亡率の低下は、多くの国で観察されており、結腸直腸癌のスクリーニング、危険因子保有率の低下、および/または、治療法の改善に起因する可能性が最も高い。しかしながら、広範囲にわたる悪性腫瘍に遭遇した場合、これらの症例は根治的治療に反応しない。
【0003】
さらに、転移は、世界中で癌関連死の90%を引き起こすと推定されている。ほとんどの場合、転移性腫瘍細胞は免疫応答を回避する方法を開発し、治療に対して耐性を持つようになる。癌治療に対する耐性は、腫瘍細胞に内在する可能性があるが、しばしば、腫瘍微小環境(TME)を構成する非悪性細胞によって付与または増強される。TMEは、組織常在性細胞、間質細胞、および腫瘍によって動員された他の細胞で構成されているため、内皮細胞、周皮細胞、線維芽細胞、間葉系幹細胞、ならびに、制御性T(Treg)細胞、肥満細胞、好中球、骨髄由来抑制細胞および腫瘍関連マクロファージを含むさまざまな免疫細胞が含まれ得る。これらの細胞は、腫瘍血管新生、癌細胞浸潤を促進し、および/または、免疫監視を妨害する。マクロファージは、腫瘍関連細胞の最も一般的なタイプの1つである。研究者たちは当初、これらの免疫細胞は腫瘍を拒絶するための体の反応の一部であると想定していたが、実際、癌の発症に関する主要なチェックは、自然免疫系の細胞(例えば、マクロファージ、好中球)および適応免疫応答に関連する細胞(例えば、T細胞およびB細胞)による免疫系の監視および癌の存在に対する反応である。
【0004】
しかしながら、場合によっては、癌は免疫系を回避および利用することができるので、これらの免疫系細胞は、腫瘍を攻撃するのではなく、腫瘍のサポートおよび防御系の一部となる。免疫TMEは、免疫細胞を介した細胞傷害を抑制しながら、腫瘍をサポートし、その進行を促進するように改変され得る。実質的な臨床的および実験的証拠は、マクロファージ(ほとんどの腫瘍タイプに豊富に存在する)が、腫瘍の悪性腫瘍への進行を促進する主要な制御的役割を果たしていることを示している。原発腫瘍のマクロファージ(腫瘍関連マクロファージまたはTAM)と転移性腫瘍のマクロファージ(転移関連マクロファージまたはMAM)はともに、ほとんどの固形腫瘍に豊富に存在し、腫瘍転移に関連し得る。TAM、MAM、およびそれらの前駆細胞の蓄積は、腫瘍および間質細胞によって放出されるケモカインリガンドによって駆動されていると思われる。例えば、TAMおよびMAMは、少なくとも部分的に、CCL2発現腫瘍細胞および/またはCCL2発現間質細胞によって動員されたCCR2発現単球に由来するという証拠がある。正確なメカニズムは完全には定義されていないが、CCL12などの他のCCR2リガンド、VEGFおよびCSF1などのサイトカイン、ならびにCCL5-CCR5、CCL20-CCR6、CXCL12-CXCR4などの他の走化性シグナルは、TAMの動員のための代替または追加の走化性経路を提供し得る。したがって、例えばCCR2-CCL2相互作用を特異的に遮断するなど、特定の走化性受容体またはリガンドを標的とする努力は、おそらく癌が代替経路を利用することができるため、完全には効果的ではなかった。
【0005】
ホスホジエステラーゼ(PDE)の11のファミリーが同定されているが、Ca2+/カルモジュリン依存性ホスホジエステラーゼ(CaM-PDE)であるファミリーIのPDEのみが、Ca2+/カルモジュリンによって活性化され、カルシウムおよび環状ヌクレオチド(例えば、cGMPおよびcAMP)シグナル伝達経路を媒介することが示されている。3つの既知のCaM-PDE遺伝子、PDE1A、PDE1BおよびPDE1Cは、全て、中枢神経系組織において発現する。PDE1Aは、脳、肺および心臓において発現する。PDE1Bは、主に中枢神経系において発現するが、単球および好中球においても検出され、これらの細胞の炎症反応に関与することが示されている。PDE1Cは、嗅上皮、小脳顆粒細胞、線条体、心臓および血管平滑筋において発現する。PDE1Cは、ヒト平滑筋における平滑筋増殖の主要な調節因子であることが実証されている。
【0006】
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼは、これらの環状ヌクレオチドを、細胞内シグナル伝達経路の観点から不活性なそれぞれの5'-一リン酸(5'AMPおよび5'GMP)に加水分解することによって、細胞内cAMPおよびcGMPシグナル伝達をダウンレギュレートする。cAMPとcGMPはどちらも中心的な細胞内二次メッセンジャーであり、多くの細胞機能を調節する役割を果たしている。PDE1AとPDE1Bは、cAMPよりもcGMPを優先的に加水分解するが、PDE1Cは、cGMPとcAMPの加水分解がほぼ等しいことを示している。
【0007】
特にPDE1Cに関して、最近の証拠は、PDE1Cは増殖中の血管平滑筋細胞においてのみ発現するので増殖関連遺伝子であることを示している(Rybalkin SD, et al., Calmodulin-stimulated cyclic nucleotide phosphodiesterase (PDE1C) is induced in human arterial smoothmuscle cells of the synthetic, proliferative phenotype. J Clin Invest 1997;100:2611-2621)。また、黒色腫(Watanabe Y, et al., Phosphodiesterase 4 regulates the migration of B16-F10 melanoma cells. Exp Ther Med 2012;4:205-210)、神経芽腫(Jang IS, Juhnn YS. Adaptation of cAMP signaling system in SH-SY5Y neuroblastoma cells following expression of a constitutively active timulatory G protein alpha, Q227L Gsalpha. Exp Mol Med 2001;33:37-45)、および骨肉腫(Ahlstroem M, et al., Cyclic nucleotide phosphodiesterases (PDEs) in human osteoblastic cells; the effect of PDE inhibition on cAMP accumulation. Cell Mol Biol Lett 2005;10:305-319)などの実験腫瘍モデルでは、他のPDEサブタイプとともにPDE1C発現の散発的な報告がある。
【0008】
腫瘍促進性細胞増殖、遊走、組織浸潤および炎症は、癌発生を可能にする特徴と考えられる。これらのプロセスの各々は、多数のシグナル伝達経路を含む、時間依存的で可変的で複雑なものである。マルチターゲット薬剤は、単一ターゲット療法で観察される利益よりも大きな利益を生み出し、許容できる忍容性プロファイルを有し、より広範囲の腫瘍タイプに対して活性であると考えられる。環状ヌクレオチドシグナル伝達の調節は、腫瘍細胞機能の多様な側面に関与する複数の構成経路(component pathway)の複合体と適切にみなされている。cAMP生成の障害は、様々な癌病理で記載されている。癌細胞において環状ヌクレオチドを直接調節する試みは、抗増殖作用がある一方で、高い細胞毒性により生産的ではなかった。癌細胞におけるcAMPを調節するための新しくてより安全で選択的な戦略が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
開示の概要
本発明者らは以前、神経変性および神経炎症、心不全、肺高血圧症および末梢性炎症ののモデルを含む広範囲の病態、ならびに特定の疾患を有するヒトにおいて、本開示化合物を用いたPDE1活性の阻害が、cAMP機能を安全に回復できることを示した。より最近では、本発明者らは、PDE1阻害剤がミクログリアおよび単球の細胞遊走を妨害することを示した。最近の証拠は、PDE1、特にPDE1Cアイソフォームが、黒色腫、神経芽腫および骨肉腫などの実験的腫瘍モデルにおいて過剰発現していることを示している。さらに、多形神経膠芽腫(GBM)細胞におけるPDE1Cの局所的なゲノム過剰提示(over representation)が実証されている。PDE1Cのゲノム獲得は、GBM由来細胞培養における発現の増加と関連しており、癌細胞における細胞増殖、遊走および浸潤の駆動に必須である。
【0010】
多くの種類の癌細胞は、PDE1活性を過剰に発現し、これは、RNA発現の増加、DNAコピー数、PDE1結合(PDE1阻害剤分子のPETまたはラジオアイソトープ保持)または酵素活性などの種々のバイオマーカーを通じて同定される。また、これらの癌細胞は低レベルのcAMPをも示し、PDE1阻害剤によって増加させることができる。このような特性は、PDE1阻害剤単独で、または化学療法剤、遺伝子治療剤および/もしくは免疫学的アプローチとの併用により治療することができる。PDE1を阻害することにより、アポトーシス細胞死が引き起こされ、遊走が防止され、転移が制限され、炎症が軽減される。このように、PDE1阻害剤は、化学療法および免疫学的アプローチと相乗効果を発揮する。
【0011】
理論に束縛されることなく、細胞内cAMP(および/またはcGMP)のレベルを上昇させる、選択的PDE1アイソフォームの阻害は、広範囲の腫瘍細胞においてアポトーシスおよび細胞周期停止を誘導し、腫瘍微小環境を調節して細胞遊走、炎症および組織浸潤を防ぐと考えられる。したがって、個々のPDE1およびそのアイソフォーム、特にPDE1Cに特異的な阻害剤の開発および臨床応用により、正常な細胞内シグナル伝達を選択的に回復させて、副作用を軽減した抗腫瘍療法を提供し得る。理論に拘束されることなく、さらに、本開示のPDE1阻害剤は、マクロファージを含む免疫系細胞および他の細胞の癌への動員を阻害し、動員された細胞によってもたらされる転移、腫瘍血管新生、癌細胞浸潤および免疫監視破壊を阻害すると考えられる。PDE1は、CCL2だけでなく、この動員に関与すると考えられる他のサイトカインおよびケモカインも阻害するため、モノクローナル抗体、またはCCR2-CCL2相互作用の他の特異的阻害剤などの治療よりも効果的であると期待される。
【0012】
本開示はまた、例えば癌腫、黒色腫および星細胞腫を含む、癌または腫瘍の治療のためのPDE1阻害剤の使用を提供するものである。さらに、障害されたcAMP(またはcGMP)レベルは、様々な癌病理におけるPDE1アイソフォームの過剰発現から生じ得る。細胞内cAMP(および/またはcGMP)レベルを上昇させる、選択的PDE1アイソフォームの阻害は、広範囲の腫瘍細胞においてアポトーシスおよび細胞周期停止を誘導し、腫瘍微小環境を調節して細胞遊走、炎症および組織浸潤を防ぐ。したがって、個々のPDE1に特異的な阻害剤の開発および臨床応用により、正常な細胞内シグナル伝達を選択的に回復させて、副作用を軽減した抗腫瘍療法を提供し得る。
【0013】
以前の研究は、PDE1(すなわち、PDE1C)が、健常な患者(すなわち、神経膠芽腫を患っていない患者)と比較して神経膠芽腫患者の腫瘍環境において有意に過剰発現することを示している。PDE1CのsiRNA媒介サイレンシングは、神経膠芽腫の患者由来細胞培養において増殖および浸潤を阻害することが示されている。理論に束縛されることなく、PDE1の阻害は、神経膠芽腫のような特定の癌または腫瘍の治療介入に有効であり得る。
【0014】
様々な実施態様において、本願は、結腸癌(例えば、結腸直腸癌)の治療方法であって、該治療を必要とする対象体にPDE1阻害剤の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施態様では、PDE1阻害剤は、抗腫瘍剤と組み合わせて投与される。
【0015】
様々な実施態様において、本開示また、慣用の希釈剤または賦形剤および当該技術分野で既知の技術を用いて調製される、本開示の化合物を含む医薬組成物を提供する。したがって、経口剤形としては、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤などを挙げることができる。
【0016】
様々な実施態様において、本開示はまた、癌または腫瘍から選択される状態の治療、腫瘍細胞の増殖、遊走および/または浸潤の阻害、または結腸癌、例えば結腸直腸癌の治療に用いるための、遊離形態または塩形態の、以下に記載される式I、Ia、II、III、IV、V、VIおよび/またはVIIによるPDE1阻害剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、化合物1で処理されたサンプルと未処理対照におけるCT26マウス癌細胞に対するPDE1阻害の効果を示す。
【0018】
図2図2は、化合物1で処理されたサンプルと未処理対照におけるCT26マウス癌細胞における免疫細胞の相対的割合の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
開示の詳細な説明
開示の方法において用いるための化合物
一の実施態様では、本明細書に記載される治療および予防の方法に用いるためのPDE1阻害剤は選択的PDE1阻害剤である。
【0020】
PDE1阻害剤
一の実施態様では、本発明は、本明細書に記載される治療および予防の方法に用いるためのPDE1阻害剤が、エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、塩形態またはプロドラッグ形態の、式I:
【化1】
[式中、
(i) R1は、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチル)であり;
(ii) R4は、HまたはC1-4アルキルであり、R2およびR3は、独立して、HまたはC1-4アルキル(例えば、R2およびR3はどちらもメチルであるか、または、R2はHであり、R3はイソプロピルである)、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシ、または(場合によってはヘテロ)アリールアルキルであるか;または
2はHであり、R3およびR4は一緒になってジメチレン架橋、トリメチレン架橋またはテトラメチレン架橋を形成し(好ましくは、R3およびR4が一緒になってシス配置を有しており、例えば、R3およびR4を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有している);
(iii) R5は、例えばハロアルキルで置換されている、置換ヘテロアリールアルキルであるか;または
5は、式Iのピラゾロ部分の窒素の1つに結合しており、式A:
【化2】
(式中、X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり、R8、R9、R11およびR12は、独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり、R10は、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ハロゲンで置換されていてもよいピリジル(例えば、ピリダ-2-イル)、またはチアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾール-4-イル))、ジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、ヘテロアリールカルボニル、またはアルコキシカルボニルである;ただし、X、YまたはZが窒素である場合、R8、R9またはR10は、それぞれ存在しない)
で示される部分であり;
(iv) R6は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、アリールアミノ(例えば、フェニルアミノ)、ヘテロアリールアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、N,N-ジアリールアミノ、またはN-アリール-N-(アリールアルキル)アミノ(例えば、N-フェニル-N-(1,1'-ビフェン-4-イルメチル)アミノ)であり;
(v) nは0または1であり;
(vi) nが1である場合、Aは、-C(R1314)-である(ここで、R13およびR14は、独立して、HまたはC1-4アルキル、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシまたは(場合によってはヘテロ)アリールアルキルである)]
で示される化合物であることを提供する。
【0021】
別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載の方法において用いるためのPDE1阻害剤が、エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、式1a:
【化3】
[式中、
(i) R2およびR5は、独立して、Hまたはヒドロキシであり、R3およびR4は一緒になってトリメチレン架橋またはテトラメチレン架橋を形成する[好ましくは、R3およびR4を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有している]か;または、R2およびR3はそれぞれメチルであり、R4およびR5はそれぞれHであるか;または、R2、R4およびR5はHであり、R3はイソプロピルであり[好ましくは、R3を担持している炭素はR配置を有している];
(ii) R6は、(ハロ置換されていてもよい)フェニルアミノ、(ハロ置換されていてもよい)ベンジルアミノ、C1-4アルキル、またはC1-4アルキルスルフィドであり;例えば、フェニルアミノまたは4-フルオロフェニルアミノであり;
(iii) R10は、C1-4アルキル、メチルカルボニル、ヒドロキシエチル、カルボン酸、スルホンアミド、(ハロ置換またはヒドロキシ置換されていてもよい)フェニル、(ハロ置換またはヒドロキシ置換されていてもよい)ピリジル(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル)、またはチアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾール-4-イル)であり;
XおよびYは、独立してCまたはNである]
であることを提供する。
【0022】
別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載される治療および予防の方法に用いるためのPDE1阻害剤が、遊離形態、塩形態またはプロドラッグ形態の、式II:
【化4】
[式中、
(i) Xは、C1-6アルキレン(例えば、メチレン、エチレンまたはプロパ-2-イン-1-イレン)であり;
(ii) Yは、単結合、アルキニレン(例えば、-C≡C-)、アリーレン(例えば、フェニレン)またはヘテロアリーレン(例えば、ピリジレン)であり;
(iii) Zは、H、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリダ-2-イル)、ハロ(例えば、F、Br、Cl)、ハロC1-6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、-C(O)-R1、-N(R2)(R3)、または、NまたはOからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含有していてもよいC3-7シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、またはモルホリニル)であり;
(iv) R1は、C1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、-OHまたは-OC1-6アルキル(例えば、-OCH3)であり;
(v) R2およびR3は、独立して、HまたはC1-6アルキルであり;
(vi) R4およびR5は、独立して、H、C1-6アルキル、または、1個以上のハロ(例えば、フルオロフェニル、例えば、4-フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、ヒドロキシフェニル、例えば、4-ヒドロキシフェニルまたは2-ヒドロキシフェニル)もしくはC1-6アルコキシで置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(vii) ここで、X、YおよびZは、独立して、1個以上のハロ(例えば、F、ClまたはBr)、C1-6アルキル(例えば、メチル)、ハロC1-6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)で置換されていてもよく、例えば、Zは、1個以上のハロ(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル、5-フルオロピリダ-2-イル、6-フルオロピリダ-2-イル、3-フルオロピリダ-2-イル、4-フルオロピリダ-2-イル、4,6-ジクロロピリダ-2-イル)、ハロC1-6アルキル(例えば、5-トリフルオロメチルピリダ-2-イル)またはC1-6アルキル(例えば、5-メチルピリダ-2-イル)で置換されている、ヘテロアリール、例えば、ピリジルであるか、または、Zは、1個以上のハロ(例えば、4-フルオロフェニル)で置換されている、アリール、例えばフェニルである]
の化合物であることを提供する。
【0023】
さらに別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載される治療および予防の方法に用いるためのPDE1阻害剤が、遊離形態または塩形態の、式III:
【化5】
[式中、
(i) R1は、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(ii) R2およびR3は、独立して、HまたはC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iii) R4は、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iv) R5は、独立して-C(=O)-C1-6アルキル(例えば、-C(=O)-CH3)およびC1-6ヒドロキシアルキル(例えば、1-ヒドロキシエチル)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(v) R6およびR7は、独立して、H、または、独立してC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)およびハロゲン(例えば、FまたはCl)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)、例えば非置換フェニル、または1個以上のハロゲン(例えば、F)で置換されているフェニル、または1個以上のC1-6アルキルおよび1個以上のハロゲンで置換されているフェニル、または1個のC1-6アルキルおよび1個のハロゲンで置換されているフェニル、例えば4-フルオロフェニルまたは3,4-ジフルオロフェニルまたは4-フルオロ-3-メチルフェニルであり;
(vi) nは、1、2、3または4である]
であることを提供する。
【0024】
さらに別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載される治療および予防の方法に用いるためのPDE1阻害剤が、遊離形態または塩形態の、式IV
【化6】
[式中、
(i) R1は、C1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)、または-NH(R2)(ここで、R2は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば、4-フルオロフェニルであり;
(ii) X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり;
(iii) R3、R4およびR5は、独立して、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチル)であるか;またはR3はHであり、R4およびR5は一緒になってトリメチレン架橋を形成し(好ましくは、R4およびR5は一緒になってシス配置を有しており、例えば、R4およびR5を担持している炭素はそれぞれR配置およびS配置を有している);
(iv) R6、R7およびR8は、独立して、
H、
1-4アルキル(例えば、メチル)、
ヒドロキシで置換されているピリダ-2-イル、または
-S(O)2-NH2
であり;
(v) ただし、X、Yおよび/またはZがNである場合、それぞれ、R6、R7および/またはR8は存在せず;X、YおよびZがすべてCである場合、R6、R7またはR8のうち少なくとも1つは-S(O)2-NH2、またはヒドロキシで置換されているピリダ-2-イルである]
であることを提供する。
【0025】
別の実施態様では、本開示は、本明細書に記載の方法において用いるためのPDE1阻害剤が、エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、式V:
【化7】
[式中、
(i) R1は、-NH(R4)であり、ここで、R4は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば、4-フルオロフェニルであり;
(ii) R2は、HまたはC1-6アルキル(例えば、メチル、イソブチルまたはネオペンチル)であり;
(iii) R3は、-SO2NH2または-COOHである]
であることを提供する。
【0026】
別の実施態様では、本開示は、本明細書に記載の方法において用いるためのPDE1阻害剤が、エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、式VI:
【化8】
[式中、
(i) R1は、-NH(R4)であり、ここで、R4は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば、4-フルオロフェニルであり;
(ii) R2は、HまたはC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iii) R3は、H、ハロゲン(例えば、ブロモ)、C1-6アルキル(例えば、メチル)、ハロゲンで置換されていてもよいアリール(例えば、4-フルオロフェニル)、ハロゲンで置換されていてもよいヘテロアリール(例えば、6-フルオロピリダ-2-イルまたはピリダ-2-イル)、またはアシル(例えば、アセチル)である]
であることを提供する。
【0027】
別の実施態様では、本開示は、本明細書に記載の方法において用いるためのPDE1阻害剤が、エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、式VII:
【化9】
[式中、
(i) R1は、-NH(R5)であり、ここで、R5は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニルであり、例えば、4-フルオロフェニルであり;
(ii) R2およびR3は、各々、独立して、HまたはC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iii) R4は、ハロゲンで置換されていてもよいアリール(例えば、4-フルオロフェニル)またはハロゲンで置換されていてもよいヘテロアリール(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル)である]
であることを提供する。
【0028】
一の実施態様では、本開示は、本明細書に記載の方法において用いるためのPDE1阻害剤(例えば、式I、Ia、II、III、IV、V、VIおよび/またはVIIによる化合物)の投与であって、該阻害剤が、下記:
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
または
【化14】
で示される化合物である、投与を提供する。
【0029】
一の実施態様では、本発明は、炎症または炎症関連疾患もしくは障害の治療または予防のためのPDE1阻害剤の投与であって、該阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化15】
で示される化合物である、投与を提供する。
【0030】
さらに別の実施態様では、本発明は、炎症または炎症関連疾患もしくは障害の治療または予防のためのPDE1阻害剤の投与であって、該阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化16】
で示される化合物である、投与を提供する。
【0031】
さらに別の実施態様では、本発明は、炎症または炎症関連疾患もしくは障害の治療または予防のためのPDE1阻害剤の投与であって、該阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化17】
で示される化合物である、投与を提供する。
【0032】
さらに別の実施態様では、本発明は、炎症または炎症関連疾患もしくは障害の治療または予防のためのPDE1阻害剤の投与であって、該阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化18】
で示される化合物である、投与を提供する。
【0033】
さらに別の実施態様では、本発明は、炎症または炎症関連疾患もしくは障害の治療または予防のためのPDE1阻害剤の投与であって、該阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化19】
で示される化合物である、投与を提供する。
【0034】
一の実施態様では、上記の式(例えば、式I、Ia、II、III、IV、V、VIおよび/またはVII)のいずれかで示される選択的PDE1阻害剤は、cGMPのホスホジエステラーゼ媒介(例えばPDE1媒介、特にPDE1B媒介)加水分解を阻害する化合物であり、例えば、好ましい化合物は、遊離形態または塩形態で、固定化金属親和性粒子試薬PDEアッセイにおいて、1μM未満、好ましくは500nM未満、好ましくは50nM未満、好ましくは5nM未満のIC50を有する。
【0035】
他の実施態様では、本発明は、癌または腫瘍から選択される状態の治療、腫瘍細胞の増殖、遊走および/または浸潤の阻害;ならびに/または神経膠腫の治療のためのPDE1阻害剤の投与であって、該阻害剤が、下記:
【化20】
で示される化合物である、投与を提供する。
【0036】
本明細書で説明されている方法および治療における使用に適しているPDE1阻害剤のさらなる例は、国際公開第2006133261号(A2);米国特許第8,273,750号;米国特許第9,000,001号;米国特許第9,624,230号;国際公開第2009075784号(A1);米国特許第8,273,751号;米国特許第8,829,008号;米国特許第9,403,836号;国際公開第2014151409号(A1)、米国特許第9,073,936号;米国特許第9,598,426号;米国特許第9,556,186号;米国特許出願公開第2017/0231994号(A1)、国際公開第2016022893号(A1)および米国特許出願公開第2017/0226117号(A1)(それぞれ、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に見ることができる。
【0037】
本明細書で説明されている方法および治療における使用に適しているPDE1阻害剤のさらにさらなる例は、国際公開第2018007249号(A1);米国特許出願公開第2018/0000786号;国際公開第2015118097号(A1);米国特許第9,718,832号;国際公開第2015091805号(A1);米国特許第9,701,665号;米国特許出願公開第2015/0175584号(A1);米国特許出願公開第2017/0267664号(A1);国際公開第2016055618号(A1);米国特許出願公開第2017/0298072号(A1);国際公開第2016170064号(A1);米国特許出願公開第2016/0311831号(A1);国際公開第2015150254号(A1);米国特許出願公開第2017/0022186号(A1);国際公開第2016174188号(A1);米国特許出願公開第2016/0318939号(A1);米国特許出願公開第2017/0291903号(A1);国際公開第2018073251号(A1);国際公開第2017178350号(A1);米国特許出願公開第2017/0291901号(A1);国際公開第2018/115067号;米国特許出願公開第2018/0179200号(A);米国特許出願公開第20160318910号(A1);米国特許第9,868,741号;国際公開第2017/139186号(A1);国際公開第2016/040083号;米国特許出願公開第2017/0240532号;国際公開第2016033776号(A1);米国特許出願公開第2017/0233373号;国際公開第2015130568号;国際公開第2014159012号;米国特許第9,034,864号;米国特許第9,266,859号;国際公開第2009085917号;米国特許第8,084,261号;国際公開第2018039052号;米国特許出願公開第20180062729号;および国際公開第2019027783号(それぞれ、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に見ることができる。出典明示により本明細書の一部とされる文書の記載が本開示における記載と矛盾するか、または互換性がない場合には、本開示の記載が支配的であると理解すべきである。
【0038】
PDE1阻害剤および好適な使用方法のさらなる例は、国際出願第PCT/US2019/033941号および米国仮出願第62/789,499号(ともに、出典明示により本明細書の一部とする)に開示されている。
【0039】
別段の指定がない場合、または文脈から明らかでない場合、本明細書における以下の用語は、以下の意味を有する:
【0040】
(a) 「選択的PDE1阻害剤」とは、本明細書で用いられる場合、PDE1阻害が他のいずれものPDEアイソフォームの阻害よりも少なくとも100倍の選択性を有するPDE1阻害剤をいう。
【0041】
(b) 「アルキル」とは、本明細書で用いられる場合、飽和または不飽和炭化水素部分であり、好ましくは飽和であり、好ましくは1~6個の炭素原子を有しており、直鎖または分枝鎖であってよく、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで、モノ置換、ジ置換またはトリ置換されていてもよい。
【0042】
(c) 「シクロアルキル」とは、本明細書で用いられる場合、飽和または不飽和非芳香族炭化水素部分であり、好ましくは飽和であり、好ましくは3~9個の炭素原子を含んでおり、それらのうち少なくともいくつかが非芳香族単環式または二環式または架橋の環状構造を形成しており、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで、置換されていてもよい。シクロアルキルがNおよびOおよび/またはSから選択される1個以上の原子を含んでいてもよい場合、該シクロアルキルはヘテロシクロアルキルであってもよい。
【0043】
(d) 「ヘテロシクロアルキル」とは、特記しない限り、飽和または不飽和非芳香族炭化水素部分であり、好ましくは飽和であり、好ましくは3~9個の炭素原子を含んでおり、それらのうち少なくともいくつかが非芳香族単環式または二環式または架橋の環状構造を形成しており、少なくとも1個の炭素原子がN、OまたはSに置き換わっており、ヘテロシクロアルキルは、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで、置換されていてもよい。
【0044】
(e) 「アリール」とは、本明細書で用いられる場合、単環式または二環式芳香族炭化水素であり、好ましくはフェニルであり、例えばアルキル(例えば、メチル)、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ヒドロキシ、カルボキシ、またはさらなるアリールもしくはヘテロアリール(例えば、ビフェニルまたはピリジルフェニル)で置換されていてもよい。
【0045】
(f) 「ヘテロアリール」とは、本明細書で用いられる場合、芳香環を構成する原子の1個以上が炭素ではなくて硫黄または窒素である芳香族部分であり、例えばピリジルまたはチアジアゾリルであり、例えばアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシまたはカルボキシで、置換されていてもよい。
【0046】
本開示化合物、例えば、本明細書に記載されているようなPDE1阻害剤は、遊離形態または塩形態で、例えば、酸付加塩として存在し得る。本明細書では、特記しない限り、「本開示化合物」などの文言は、何らかの形態、例えば遊離形態または酸付加塩形態の化合物、または化合物が酸性置換基を含有する場合には塩基付加塩形態の化合物を包含すると解されるべきである。本開示化合物は、医薬品としての使用を意図しているので、薬学的に許容される塩が好ましい。医薬用途に適さない塩は、例えば遊離の本開示化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の単離または精製に有用であり得、したがって、該塩も包含される。
【0047】
本開示化合物は、場合によっては、プロドラッグ形態でも存在し得る。プロドラッグ形態は、体内で本開示化合物に変換される化合物である。例えば、本開示化合物がヒドロキシ置換基またはカルボキシ置換基を含有する場合、これらの置換基は、生理学的に加水分解可能で許容されるエステルを形成し得る。本明細書で用いる場合、「生理学的に加水分解可能で許容されるエステル」とは、生理学的条件下で加水分解可能であり、自体が投与されるべき用量で生理学的に許容される酸(ヒドロキシ置換基を有する本開示化合物の場合)またはアルコール(カルボキシ置換基を有する本開示化合物の場合)を生成する、本開示化合物のエステルを意味する。したがって、本開示化合物がヒドロキシ基を含有する場合、例えば化合物-OHである場合、該化合物のアシルエステルプロドラッグ、すなわち、化合物-O-C(O)-C1-4アルキルは、体内で加水分解して、一方では生理学的に加水分解可能なアルコール(化合物-OH)を形成し、他方では酸(例えば、HOC(O)-C1-4アルキル)を形成することができる。別法として、本開示化合物がカルボン酸を含有する場合、例えば化合物-C(O)OHである場合、該化合物の酸エステルプロドラッグ、化合物-C(O)O-C1-4アルキルは、加水分解して、化合物-C(O)OHおよびHO-C1-4アルキルを形成することができる。したがって、理解されるように、この用語は、慣用の医薬プロドラッグ形態を包含する。
【0048】
別の実施態様では、本開示は、さらに、各々遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、PDE1阻害剤を抗腫瘍剤と併せて、薬学的に許容される担体と混合して含む医薬組成物を提供する。用語「併用」とは、本明細書で用いられる場合、PDE1阻害剤と抗腫瘍剤との同時(simultaneous)、連続(sequential)または同時期(contemporaneous)投与を包含する。別の実施態様では、別の実施態様では、本開示は、このような化合物を含有する医薬組成物を提供する。いくつかの実施態様では、PDE1阻害剤と抗腫瘍剤の併用は、抗腫瘍剤を単独の単剤療法として投与した場合に有効であるよりも低い用量で投与することができる。
【0049】
本開示化合物を使用する方法
別の実施態様では、本願は、結腸癌の治療方法であって、該治療を必要とする対象体に、PDE1阻害剤(すなわち、式I、Ia、II、III、IV、V、VIおよび/またはVIIによるPDE1阻害剤)の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法(方法1)を提供する。
【0050】
1.1 結腸癌が結腸直腸癌である、方法1。
【0051】
1.2 さらに、該患者に抗腫瘍剤を投与する工程を含む、いずれかの上記方法。
【0052】
1.3 抗腫瘍剤がPDE1阻害剤と同時的に(concurrently)投与される、方法1.2。
【0053】
1.4 抗腫瘍剤がPDE1阻害剤の投与前に投与される、方法1.2。
【0054】
1.5 抗腫瘍剤がPDE1阻害剤の投与後に投与される、方法1.2。
【0055】
1.6 PDE1阻害剤、および場合によっては抗腫瘍剤が、放射線療法または化学療法とともに投与される、上記方法のいずれか。
【0056】
1.7 PDE1阻害剤、および場合によっては抗腫瘍剤が、放射線療法または化学療法と同時的に投与される、上記方法のいずれか。
【0057】
1.8 PDE1阻害剤、および場合によっては抗腫瘍剤が、放射線療法または化学療法の前に投与される、上記方法のいずれか。
【0058】
1.9 PDE1阻害剤、および場合によっては抗腫瘍剤が、放射線療法または化学療法の後に投与される、上記方法のいずれか。
【0059】
1.10 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法剤、遺伝子療法剤および/または免疫学的治療と一緒に投与される、上記方法のいずれか。
【0060】
1.11 PDE1阻害剤の投与が、結腸癌において、アポトーシス細胞死、遊走の阻害、転移の阻害、および/または炎症の軽減のうち1つ以上を誘発するのに有効である、上記方法のいずれか。
【0061】
1.12 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法剤、遺伝子療法剤、免疫学的治療、コルチコステロイド、および/または抗ヒスタミン剤と一緒に投与される、上記方法のいずれか。
【0062】
1.13 結腸癌がPDEによって媒介される、上記方法のいずれか。
【0063】
1.14 結腸癌がPDE1によって媒介される、上記方法のいずれか。
【0064】
1.15 結腸癌がPDE1Cによって媒介される、上記方法のいずれか。
【0065】
1.16 結腸癌がカルシウム/カルモジュリン制御の喪失を特徴とする、上記方法のいずれか。
【0066】
1.17 対象体がヒトである、上記方法のいずれか。
【0067】
本開示は、さらに、結腸癌の治療方法において用いるための、例えば方法1以降のいずれかにおいて用いるためのPDE1阻害剤を提供する。
【0068】
本開示は、さらに、結腸癌の治療方法において用いるための医薬、例えば方法1以降のいずれかにおいて用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用を提供する。
【0069】
本発明は、さらに、PDE1阻害剤、例えば式I、Ia、II、III、IV、V、VIおよび/またはVIIで示される化合物のいずれかを含む、方法1以降のいずれかにおいて用いるための医薬組成物を提供する。
【0070】
別の実施態様では、本願は、結腸における癌性または腫瘍性の細胞の増殖、遊走および/または浸潤を阻害する方法であって、該阻害を必要とする対象体に、PDE1阻害剤(すなわち、式I、Ia、II、III、IV、V、VIおよび/またはVIIによるPDE1阻害剤)の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法(方法2)を提供する。
【0071】
2.1 該方法が、癌性または腫瘍性の細胞の増殖を阻害するためのものである、方法2。
【0072】
2.2 対象体が結腸癌に罹患している、いずれかの上記方法。
【0073】
2.3 対象体が結腸直腸癌に罹患している、いずれかの上記方法。
【0074】
2.4 さらに、該患者に抗腫瘍剤を投与する工程を含む、いずれかの上記方法。
【0075】
2.5 抗腫瘍剤がPDE1阻害剤と同時的に(concurrently)投与される、方法2.4。
【0076】
2.6 抗腫瘍剤がPDE1阻害剤の投与前に投与される、方法2.4。
【0077】
2.7 抗腫瘍剤がPDE1阻害剤の投与後に投与される、方法2.4。
【0078】
2.8 PDE1阻害剤、および場合によっては抗腫瘍剤が、放射線療法または化学療法とともに投与される、上記方法のいずれか。。
【0079】
2.9 PDE1阻害剤、および場合によっては抗腫瘍剤が、放射線療法または化学療法と同時的に投与される、上記方法のいずれか。
【0080】
2.10 PDE1阻害剤、および場合によっては抗腫瘍剤が、放射線療法または化学療法の前に投与される、上記方法のいずれか。
【0081】
2.11 PDE1阻害剤、および場合によっては抗腫瘍剤が、放射線療法または化学療法の後に投与される、上記方法のいずれか。
【0082】
2.12 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法剤、遺伝子療法剤および/または免疫学的治療と一緒に投与される、上記方法のいずれか。
【0083】
2.13 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法剤、遺伝子療法剤、免疫学的治療、コルチコステロイド、および/または抗ヒスタミン剤と一緒に投与される、上記方法のいずれか。
【0084】
2.14 結腸における癌性または腫瘍性の細胞がPDEによって媒介される、上記方法のいずれか。
【0085】
2.15 結腸における癌性または腫瘍性の細胞がPDE1によって媒介される、上記方法のいずれか。
【0086】
2.16 結腸における癌性または腫瘍性の細胞がPDE1Cによって媒介される、上記方法のいずれか。
【0087】
2.17 さらに、発現したPDE1における対象体のカルシウム/カルモジュリン感受性の程度、環状ヌクレオチドレベルの回復、PDE1のRNA発現、またはPDE1遺伝子の変異を評価する工程を含む、上記方法のいずれか。
【0088】
2.18 対象体がヒトである、上記方法のいずれか。
【0089】
本開示は、さらに、癌性または腫瘍性の細胞の増殖、遊走および/または浸潤を阻害するための方法において用いるための、例えば方法2以降のいずれかにおいて用いるためのPDE1阻害剤を提供する。
【0090】
本開示は、さらに、癌性または腫瘍性の細胞の増殖、遊走および/または浸潤を阻害する方法において用いるための医薬、例えば方法2以降のいずれかにおいて用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用を提供する。
【0091】
本発明は、さらに、PDE1阻害剤、例えば式I、Ia、II、III、IV、V、VIおよび/またはVIIで示される化合物のいずれかを含む、方法2以降のいずれかにおいて用いるための医薬組成物を提供する。
【0092】
別の実施態様では、本願は、癌または腫瘍癌から選択される状態の治療方法であって、該治療を必要とする対象体に、PDE1阻害剤(すなわち、式I、Ia、II、III、IV、V、VIおよび/またはVIIによるPDE1阻害剤)の薬学的に許容される量およびチェックポイント阻害剤を投与することを含む、方法(方法3)を提供する。
【0093】
3.1 癌が結腸癌である、方法3。
【0094】
3.2 癌が結腸直腸癌である、いずれかの上記方法。
【0095】
3.3 PDE1阻害剤およびチェックポイント阻害剤が、放射線療法または化学療法とともに投与される、上記方法のいずれか。
【0096】
3.4 PDE1阻害剤およびチェックポイント阻害剤が、放射線療法または化学療法と同時的に投与される、上記方法のいずれか。
【0097】
3.5 PDE1阻害剤およびチェックポイント阻害剤が、放射線療法または化学療法の前に投与される、上記方法のいずれか。
【0098】
3.6 PDE1阻害剤およびチェックポイント阻害剤が、放射線療法または化学療法の後に投与される、上記方法のいずれか。
【0099】
3.7 PDE1阻害剤およびチェックポイント阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法剤、遺伝子療法剤および/または免疫学的治療と一緒に投与される、上記方法のいずれか。
【0100】
3.8 PDE1阻害剤の投与が、結腸癌において、アポトーシス細胞死、遊走の阻害、転移の阻害、および/または炎症の軽減のうち1つ以上を誘発するのに有効である、上記方法のいずれか。
【0101】
3.9 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法剤、遺伝子療法剤、免疫学的治療、コルチコステロイド、および/または抗ヒスタミン剤と一緒に投与される、上記方法のいずれか。
【0102】
3.10 結腸癌がPDEによって媒介される、上記方法のいずれか。
【0103】
3.11 結腸癌がPDE1によって媒介される、上記方法のいずれか。
【0104】
3.12 結腸癌がPDE1Cによって媒介される、上記方法のいずれか。
【0105】
3.13 チェックポイント阻害剤が、CTLA-4、PD-1および/またはPD-L1の阻害剤である、上記方法のいずれか。
【0106】
3.14 チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、イピリムマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、スパルタリズマブ、またはそれらの組み合わせから選択される、上記方法のいずれか。
【0107】
3.15 結腸癌がカルシウム/カルモジュリン制御の喪失を特徴とする、上記方法のいずれか。
【0108】
3.16 対象体がヒトである、上記方法のいずれか。
【0109】
3.17 PDE1阻害剤が、単球および/またはマクロファージの腫瘍関連微小環境への浸潤を減少させるのに十分な量で投与される、上記方法のいずれか。
【0110】
3.18 PDE1阻害剤およびチェックポイント阻害剤が、単球および/またはマクロファージの腫瘍関連微小環境への浸潤を減少させるのに、および/または、ナチュラルキラー細胞およびCD4+ T細胞(すなわち、TNFα産生CD4+ T細胞)の腫瘍関連微小環境への浸潤を増加させるのに、十分な量で一緒に投与される、上記方法のいずれか。
【0111】
3.19 PDE1阻害剤が、約1~1000mg/kg、例えば約250~750mg/kg、例えば約400~600mg/kg、例えば約500mg/kgの量で投与される、上記方法のいずれか。
【0112】
本開示は、さらに、癌性または腫瘍性の細胞の増殖、遊走および/または浸潤を阻害するための方法において用いるための、例えば方法3以降のいずれかにおいて用いるための、PDE1阻害剤を提供する。
【0113】
本開示は、さらに、癌性または腫瘍性の細胞の増殖、遊走および/または浸潤を阻害する方法において用いるための医薬、例えば、方法3以降のいずれかにおいて用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用を提供する。
【0114】
本発明は、さらに、PDE1阻害剤、例えば、式I、Ia、II、III、IV、V、VIおよび/またはVIIで示される化合物のいずれかを含む、方法3以降のいずれかにおいて用いるための医薬組成物を提供する。
【0115】
いくつかの実施態様では、医薬組成物は、1つ以上の、抗腫瘍薬、例えば、種々のタイプの癌および/または腫瘍を治療または排除するのに効果があることが知られている薬物と組み合わせて投与される。抗腫瘍薬の非限定的な例は下記のものである:アベマシクリブ、酢酸アビラテロン、アビトレキサート(Abitrexate)(メトトレキサート)、アブラキサン(パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ABVD、ABVE、ABVE-PC、AC、アカラブルチニブ、AC-T、アドセトリス(ブレンツキシマブベドチン)、ADE、Ado-トラスツズマブエムタンシン、アドリアマイシン(ドキソルビシン塩酸塩)、ジマレイン酸アファチニブ、アフィニトール(エベロリムス)、アキンゼオ(Akynzeo)(ネツピタント/パロノセトロン塩酸塩)、アルダラ(Aldara)(イミキモド)、アルデスロイキン、アレセンサ(アレクチニブ)、アレクチニブ、アレムツズマブ、アリムタ(ペメトレキセド二ナトリウム)、アリコパ(Aliqopa)(コパンリシブ塩酸塩)、注射用アルケラン(メルファラン塩酸塩)、アルケラン錠(メルファラン)、アロキシ(パロノセトロン塩酸塩)、アルンブリグ(ブリグチニブ)、アンボクロリン(Ambochlorin)(クロラムブシル)、アンボクロリン(Amboclorin)(クロラムブシル)、アミホスチン、アミノレブリン酸、アナストロゾール、アプレピタント、アレディア、パミドロン酸二ナトリウム)、アリミデックス(アナストロゾール)、アロマシン(エキセメスタン)、アラノンジー(ネララビン)、三酸化ヒ素、アーゼラ(オファツムマブ)、黒脚病菌由来アスパラギナーゼ(Asparaginase Erwinia chrysanthemi)、アテゾリズマブ、アバスチン(ベバシズマブ)、アベルマブ、アキシカブタゲンシロロイセル、アキシチニブ、アザシチジン、バベンチオ(アベルマブ)、BEACOPP、ベセナム(Becenum)(カルムスチン)、ベレオダック(Beleodaq)(ベリノスタット)、ベリノスタット、ベンダムスチン塩酸塩、BEP、ベスポンサ(イノツズマブオゾガマイシン)、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、BiCNU(カルムスチン)、ブレオマイシン、ブリナツモマブ、ビーリンサイト(ブリナツモマブ)、ボルテゾミブ、ボシュリフ(ボスチニブ)、ボスチニブ、ブレンツキシマブベドチン、ブリグチニブ、BuMel、ブスルファン、ブスルフェクス(ブスルファン)、カバジタキセル、カボメティクス(カボザンチニブS-リンゴ酸塩)、カボザンチニブS-リンゴ酸塩、CAF、カルケンス(アカラブルチニブ)、キャンパス(Campath)(アレムツズマブ)、カンプトサール(イリノテカン塩酸塩)、カペシタビン、CAPOX、カラック(Carac)(フルオロウラシル-局所用)、カルボプラチン、カルボプラチン-タキソール、カルフィルゾミブ、カルムブリス(Carmubris)(カルムスチン)、カルムスチン、カルムスチン留置用剤、カソデックス(ビカルタミド)、CEM、セリチニブ、セルビジン(ダウノルビシン塩酸塩)、サーバリックス(組換えHPV二価ワクチン)、セツキシマブ、CEV、クロラムブシル、クロラムブシル-プレドニゾン、CHOP、シスプラチン、クラドリビン、クラフェン(Clafen)(シクロホスファミド)、クロファラビン、クロファレックス(Clofarex)(クロファラビン)、クロラール(Clolar)(クロファラビン)、CMF、コビメチニブ、コメトリック(Cometriq)(カボザンチニブS-リンゴ酸塩)、コパンリシブ塩酸塩、COPDAC、COPP、COPP-ABV、コスメゲン(ダクチノマイシン)、コテリック(Cotellic)(コビメチニブ)、クリゾチニブ、CVP、シクロホスファミド、サイフォス(Cyfos)(イホスファミド)、サイラムザ(ラムシルマブ)、シタラビン、シタラビンリポソーム、サイトサール-U(シタラビン)、シトキサン(シクロホスファミド)、ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダコジェン(Dacogen)(デシタビン)、ダクチノマイシン、ダラツムマブ、ダラザレックス(ダラツムマブ)、ダサチニブ、ダウノルビシン塩酸塩、ダウノルビシン塩酸塩・シタラビンリポソーム、デシタビン、デフィブロチドナトリウム、デファイテリオ(デフィブロチドナトリウム)、デガレリクス、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、デポサイト(シタラビンリポソーム)、デキサメタゾン、デクスラゾキサン塩酸塩、ジヌツキシマブ、ドセタキセル、ドキシル(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、ドキソルビシン塩酸塩、ドキソルビシン塩酸塩リポソーム、Dox-SL(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、DTIC-Dome(ダカルバジン)、デュルバルマブ、エフデックス(Efudex)(フルオロウラシル-局所用)、エリテック(Elitek)(ラスブリカーゼ)、エレンス(Ellence)(エピルビシン塩酸塩)、エロツズマブ、エロキサチン(Eloxatin)(オキサリプラチン)、エルトロンボパグオラミン、イメンド(アプレピタント)、エムプリシティ(エロツズマブ)、エナシデニブメシル酸塩、エンザルタミド、エピルビシン塩酸塩、EPOCH、アービタックス(セツキシマブ)、エリブリンメシル酸塩、エリベッジ(ビスモデギブ)、エルロチニブ塩酸塩、アーウィナーゼ(黒脚病菌由来アスパラギナーゼ(Asparaginase Erwinia chrysanthemi))、エチオール(アミホスチン)、エトポホス(Etopophos)(エトポシドリン酸塩)、エトポシド、エトポシドリン酸塩、エバセト(Evacet)(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、エベロリムス、エビスタ(ラロキシフェン塩酸塩)、エボメラ(Evomela)(メルファラン塩酸塩)、エキセメスタン、5-FU(フルオロウラシル注射剤)、5-FU(フルオロウラシル-局所用)、フェアストン(トレミフェン)、ファリーダック(パノビノスタット)、フェソロデックス(フルベストラント)、FEC、フェマーラ(レトロゾール)、フィルグラスチム、フルダラ(フルダラビンリン酸塩)、フルダラビンリン酸塩、フルオロプレックス(Fluoroplex)(フルオロウラシル-局所用)、フルオロウラシル注射剤、フルオロウラシル-局所用、フルタミド、フォレックス(Folex)(メトトレキサート)、フォレックス(Folex)PFS(メトトレキサート)、フォルフィリ、フォルフィリ-ベバシズマブ、フォルフィリ-セツキシマブ、フォルフィリノックス、フォルフォックス、フォロチン(プララトレキサート)、FU-LV、フルベストラント、ガーダシル(組換えHPV四価ワクチン)、ガーダシル9(組換えHPV九価ワクチン)、ガザイバ(オビヌツズマブ)、ゲフィチニブ、ゲムシタビン塩酸塩、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ジェムザール(ゲムシタビン塩酸塩)、ジオトリフ(Gilotrif)(ジマレイン酸アファチニブ)、グリベック(イマチニブメシル酸塩)、ギリアデル(カルムスチン留置用剤)、ギリアデルウエハー(カルムスチン留置用剤)、グルカルピダーゼ、ゴセレリン酢酸塩、ハラヴェン(エリブリンメシル酸塩)、ヘマンジオル(プロプラノロール塩酸塩)、ハーセプチン(トラスツズマブ)、組換えHPV二価ワクチン、組換えHPV九価ワクチン、組換えHPV四価ワクチン、ハイカムチン(トポテカン塩酸塩)、ハイドレア(ヒドロキシ尿素)、ヒドロキシ尿素、Hyper-CVAD、イブランス(パルボシクリブ)、イブリツモマブチウキセタン、イブルチニブ、ICE、アイクルシグ(ポナチニブ塩酸塩)、イダマイシン(イダルビシン塩酸塩)、イダルビシン塩酸塩、イデラリシブ、アイディハイファ(Idhifa)(エナシデニブメシル酸塩)、アイフェックス(Ifex)(イホスファミド)、イホスファミド、イホスファミダム(Ifosfamidum)(イホスファミド)、IL-2(アルデスロイキン)、イマチニブメシル酸塩、イムブルビカ(イブルチニブ)、イミフィンジ(デュルバルマブ)、イミキモド、イムリジック(Imlygic)(タリモジーン・ラハーパレプベック)、インライタ(アキシチニブ)、イノツズマブオゾガマイシン、組換えインターフェロンα2b、インターロイキン2(アルデスロイキン)、イントロンA(組換えインターフェロンα2b)、イピリムマブ、イレッサ(ゲフィチニブ)、イリノテカン塩酸塩、イリノテカン塩酸塩リポソーム、イストダックス(ロミデプシン)、イクサベピロン、イキサゾミブクエン酸エステル、イグゼンプラ(イクサベピロン)、ジャカフィ(Jakafi)(ルキソリチニブリン酸塩)、JEB、ジェブタナ(カバジタキセル)、カドサイラ(Ado-トラスツズマブエムタンシン)、ケオキシフェン(Keoxifene)(ラロキシフェン塩酸塩)、ケピバンス(パリフェルミン)、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)、キスカリ(Kisqali)(リボシクリブ)、キムリア(チサゲンレクルユーセル)、カイプロリス(カルフィルゾミブ)、ランレオチド酢酸塩、ラパチニブ二トシル酸塩、ラルトルボ(Lartruvo)(オララツマブ)、レナリドミド、レンバチニブメシル酸塩、レンビマ(レンバチニブメシル酸塩)、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、ロイケラン(クロラムブシル)、リュープロリド酢酸塩、ロイスタチン(クラドリビン)、レブラン(Levulan)(アミノレブリン酸)、リンホリジン(Linfolizin)(クロラムブシル)、リポドックス(LipoDox)(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、ロムスチン、ロンサーフ(トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)、リュープロン(リュープロリド酢酸塩)、リュープロンデポー(リュープロリド酢酸塩)、リュープロンデポーPed(リュープロリド酢酸塩)、リムパーザ(オラパリブ)、マルキボ(Marqibo)(ビンクリスチン硫酸塩リポソーム)、マチュラン(Matulane)(プロカルバジン塩酸塩)、メクロレタミン塩酸塩、メゲストロール酢酸エステル、メキニスト(トラメチニブ)、メルファラン、メルファラン塩酸塩、メルカプトプリン、メスナ、メスネックス(Mesnex)(メスナ)、メタゾラストン(Methazolastone)(テモゾロミド)、メトトレキサート、メトトレキサートLPF(メトトレキサート)、メチルナルトレキソン臭化物、メキサート(Mexate)(メトトレキサート)、メキサート(Mexate)-AQ(メトトレキサート)、ミドスタウリン、マイトマイシンC、ミトキサントロン塩酸塩、ミトジトレックス(Mitozytrex)(マイトマイシンC)、MOPP、モゾビル(プレリキサホル)、ムスタルゲン(Mustargen)(メクロレタミン塩酸塩)、ムタマイシン(Mutamycin)(マイトマイシンC)、ミレラン(ブスルファン)、マイロサール(Mylosar)(アザシチジン)、マイロターグ(ゲムツズマブオゾガマイシン)、ナノ粒子パクリタキセル(パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ナベルビン(ビノレルビン酒石酸塩)、ネシツムマブ、ネララビン、ネオサール(Neosar)(シクロホスファミド)、ネラチニブマレイン酸塩、ネルリンクス(Nerlynx)(ネラチニブマレイン酸塩)、ネツピタント/パロノセトロン塩酸塩、ニューラスタ(ペグフィルグラスチム)、ニューポジェン(フィルグラスチム)、ネクサバール(ソラフェニブトシル酸塩)、ニランドロン(Nilandron)(ニルタミド)、ニロチニブ、ニルタミド、ニンラーロ(イキサゾミブクエン酸エステル)、ニラパリブトシル酸塩一水和物、ニボルマブ、ノルバデックス(タモキシフェンクエン酸塩)、Nプレート(Nplate)(ロミプロスチム)、オビヌツズマブ、オドムゾ(Odomzo)(ソニデギブ)、OEPA、オファツムマブ、OFF、オラパリブ、オララツマブ、オマセタキシン・メペサクシネート、オンカスパール(Oncaspar)(ペグアスパルガーゼ(Pegaspagase))、オンダンセトロン塩酸塩、オニバイド(イリノテカン塩酸塩リポソーム)、オンタック(Ontak)(デニロイキンジフチトクス)、オプジーボ(ニボルマブ)、OPPA、オシメルチニブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、PAD、パルボシクリブ、パリフェルミン、パロノセトロン塩酸塩、パロノセトロン塩酸塩・ネツピタント、パミドロン酸二ナトリウム、パニツムマブ、パノビノスタット、パラプラット(Paraplat)(カルボプラチン)、パラプラチン(カルボ
プラチン)、パゾパニブ塩酸塩、PCV、PEB、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペグインターフェロンα2b、ペグイントロン(PEG-Intron)(ペグインターフェロンα2b)、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド二ナトリウム、パージェタ(ペルツズマブ)、ペルツズマブ、プラチノール(シスプラチン)、プラチノール-AQ(シスプラチン)、プレリキサホル、ポマリドミド、ポマリスト(ポマリドミド)、ポナチニブ塩酸塩、ポートラーザ(ネシツムマブ)、プララトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩、プロロイキン(Proleukin)(アルデスロイキン)、プロリア(デノスマブ)、プロマクタ(エルトロンボパグオラミン)、プロプラノロール塩酸塩、プロベンジ(シプロイセルT)、プリントール(Purinethol)(メルカプトプリン)、プリキサン(Purixan)(メルカプトプリン)、塩化ラジウム223、ラロキシフェン塩酸塩、ラムシルマブ、ラスブリカーゼ、R-CHOP、R-CVP、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)二価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)九価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)四価ワクチン、組換えインターフェロンα2b、レゴラフェニブ、レリストール(メチルナルトレキソン臭化物)、R-EPOCH、レブラミド(レナリドミド)、リウマトレックス(メトトレキサート)、リボシクリブ、R-ICE、リツキサン(リツキシマブ)、リツキサン・ハイセラ(リツキシマブ・ヒトヒアルロニダーゼ)、リツキシマブ、リツキシマブ・ヒトヒアルロニダーゼ、ロラピタント塩酸塩、ロミデプシン、ロミプロスチム、ルビドマイシン(ダウノルビシン塩酸塩)、ルブラカ(Rubraca)(ルカパリブカンシル酸塩(Rucaparib Camsylate))、ルカパリブカンシル酸塩(Rucaparib Camsylate)、ルキソリチニブリン酸塩、リダプト(Rydapt)(ミドスタウリン)、スクレロゾール胸膜内エアゾール(Sclerosol Intrapleural Aerosol)(タルク)、シルツキシマブ、シプロイセルT、ソマチュリンデポー(ランレオチド酢酸塩)、ソニデギブ、ソラフェニブトシル酸塩、スプリセル(ダサチニブ)、STANFORD V、滅菌タルク粉末(タルク)、ステリタルク(Steritalc)(タルク)、スチバーガ(レゴラフェニブ)、スニチニブリンゴ酸塩、スーテント(スニチニブリンゴ酸塩)、シラトロン(Sylatron)(ペグインターフェロンα2b)、シルバント(Sylvant)(シルツキシマブ)、シンリボ(Synribo)(オマセタキシン・メペサクシネート)、タブロイド(Tabloid)(チオグアニン)、TAC、タフィンラー(ダブラフェニブ)、タグリッソ(オシメルチニブ)、タルク、タリモジーン・ラハーパレプベック、タモキシフェンクエン酸塩、タラビンPFS(Tarabine PFS)(シタラビン)、タルセバ(エルロチニブ塩酸塩)、タルグレチン(ベキサロテン)、タシグナ(ニロチニブ)、タキソール(パクリタキセル)、タキソテール(ドセタキセル)、テセントリク(アテゾリズマブ)、テモダール(Temodar)(テモゾロミド)、テモゾロミド、テムシロリムス、サリドマイド、タロミド(Thalomid)(サリドマイド)、チオグアニン、チオテパ、チサゲンレクルユーセル、Tolak(フルオロウラシル-局所用)、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、トーリセル(テムシロリムス)、トテクト(Totect)(デクスラゾキサン塩酸塩)、TPF、トラベクテジン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トレアンダ(ベンダムスチン塩酸塩)、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩、トリセノックス(三酸化ヒ素)、タイケルブ(ラパチニブ二トシル酸塩)、ユニツキシン(ジヌツキシマブ)、ウリジントリアセテート、VAC、バルルビシン、バルスター(Valstar)(バルルビシン)、バンデタニブ、VAMP、バルビ(Varubi)(ロラピタント塩酸塩)、ベクチビックス(Vectibix)(パニツムマブ)、VeIP、ベルバン(Velban)(ビンブラスチン硫酸塩)、ベルケイド(ボルテゾミブ)、ベルサール(Velsar)(ビンブラスチン硫酸塩)、ベムラフェニブ、ベネクレクスタ(ベネトクラクス)、ベネトクラクス、ベージニオ(アベマシクリブ)、ビアデュール(Viadur)(リュープロリド酢酸塩)、ビダーザ(アザシチジン)、ビンブラスチン硫酸塩、ビンカサールPFS(Vincasar PFS)(ビンクリスチン硫酸塩)、ビンクリスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩リポソーム、ビノレルビン酒石酸塩、VIP、ビスモデギブ、ビストガード(Vistogard)(ウリジントリアセテート)、ボラキサーゼ(Voraxaze)(グルカルピダーゼ)、ボリノスタット、ヴォトリエント(パゾパニブ塩酸塩)、ヴィキセオス(ダウノルビシン塩酸塩・シタラビンリポソーム)、ウェルコボリン(Wellcovorin)(ロイコボリンカルシウム)、ザーコリ(クリゾチニブ)、ゼローダ(カペシタビン)、XELIRI、XELOX、イクスゲバ(Xgeva)(デノスマブ)、ゾーフィゴ(塩化ラジウム223)、イクスタンジ(エンザルタミド)、ヤーボイ(イピリムマブ)、イエスカルタ(アキシカブタゲンシロロイセル)、ヨンデリス(トラベクテジン)、ザルトラップ(Ziv-アフリベルセプト)、ザルキシオ(Zarxio)(フィルグラスチム)、ゼジューラ(ニラパリブトシル酸塩一水和物)、ゼルボラフ(ベムラフェニブ)、ゼヴァリン(イブリツモマブチウキセタン)、ジンカード(Zinecard)(デクスラゾキサン塩酸塩)、Ziv-アフリベルセプト、ゾフラン(オンダンセトロン塩酸塩)、ゾラデックス(ゴセレリン酢酸塩)、ゾレドロン酸、ゾリンザ(ボリノスタット)、ゾメタ(ゾレドロン酸)、ザイデリグ(Zydelig)(イデラリシブ)、ジカディア(セリチニブ)、ザイティガ(酢酸アビラテロン)。
【0116】
本明細書で用いられる場合、「抗腫瘍剤」という用語は、癌または腫瘍の形成または増殖を防止または阻害するのに有効な化学剤または化学薬物をいうと解される。本明細書で論じられている抗腫瘍剤は、アルキル化剤、代謝拮抗薬、天然産物、ホルモン、および/または抗体を包含し得る。腫瘍または癌の治療は、体内での癌性または腫瘍性の細胞の増殖、遊走および/または浸潤の制限、または、該癌または腫瘍に関連する症状の制限を含み得る。本明細書で用いられる場合、抗腫瘍剤は、抗癌剤を包含し、そうでなければ同義であると解される。
【0117】
本開示化合物の製造方法
本開示PDE1阻害剤およびそれらの薬学的に許容される塩は、米国特許第8,273,750号、米国特許出願公開第2006/0173878号、米国特許第8,273,751号、米国特許出願公開第2010/0273753号、米国特許第8,697,710号、米国特許第8,664,207号、米国特許第8,633,180号、米国特許第8,536,159号、米国特許出願公開第2012/0136013号、米国特許出願公開第2011/0281832号、米国特許出願公開第2013/0085123号、米国特許出願公開第2013/0324565号、米国特許出願公開第2013/0338124号、米国特許出願公開第2013/0331363号、国際公開第2012/171016号、および国際公開第2013/192556号に記載および例示されているような方法を用いて、また、それらと同様の方法によって、また、化学技術分野で既知の方法によって、製造され得る。このような方法としては、下記の方法が挙げられるが、これらに限定されない。これらのプロセスの出発物質は、市販されていない場合には、既知の化合物の合成方法と同様または類似の技術を用いる化学技術から選択される手順によって製造され得る。
【0118】
種々のPDE1阻害剤およびそれらのための出発物質は、米国特許出願公開第2008-0188492号(A1)、米国特許出願公開第2010-0173878号(A1)、米国特許出願公開第2010-0273754号(A1)、米国特許出願公開第2010-0273753号(A1)、国際公開第2010/065153号、国際公開第2010/065151号、国際公開第2010/065151号、国際公開第2010/065149号、国際公開第2010/065147号、国際公開第2010/065152号、国際公開第2011/153129号、国際公開第2011/133224号、国際公開第2011/153135号、国際公開第2011/153136号、国際公開第2011/153138号に記載されている方法を使用して製造することができる。本明細書で引用されている参考文献はすべて、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
【0119】
さらなるPDE1阻害剤および関連方法は、米国仮出願第62/833,481号(出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている。さらなる関連PDE1阻害剤および関連方法は、国際公開第2018/049417号(出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている。
【0120】
本開示化合物には、それらのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびラセミ体、ならびにそれらの多形体、水和物、溶媒和物および複合体が含まれる。本開示の範囲内のいくつかの個々の化合物は、二重結合を含み得る。本開示における二重結合の表現は、二重結合のE異性体およびZ異性体の両方を含むことを意味する。さらに、本開示の範囲内のいくつかの化合物は、1つ以上の不斉中心を含み得る。本開示は、光学的に純粋な立体異性体のいずれか、および立体異性体の組み合わせの使用を含む。
【0121】
本開示化合物がその安定な同位体および不安定な同位体を包含することも意図されている。安定な同位体は、同じ種(すなわち、元素)の豊富な核種と比較して、1個のさらなる中性子を含有する非放射性同位体である。このような同位体を含む化合物の活性は保持され、このような化合物は非同位体類似体の薬物動態を測定するための有用性も有すると考えられる。例えば、本開示化合物のある位置の水素原子を重水素(非放射性の安定な同位体)に置き換えることができる。既知の安定な同位体の例としては、重水素、13C、15N、18Oが挙げられるが、これらに限定されない。別法として、同じ種(すなわち、元素)の豊富な核種と比較して、さらなる複数の中性子を含有している放射性同位体である不安定な同位体、例えば123I、131I、125I、11C、18Fは、I、CおよびFの対応する豊富な種と置き換わってもよい。本開示の化合物の有用な同位体の別の例は、11C同位体である。これらの放射性同位体は、本開示の化合物の放射線画像処理および/または薬物動態学的研究に有用である。
【0122】
融点は未補正であり、(dec)は分解を示す。温度は摂氏(℃)で示される;特記しない限り、操作は、室温または周囲温度で、すなわち18~25℃の範囲の温度で行われる。クロマトグラフィーとは、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーを意味し;薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲルプレートで行われる。NMRデータは、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対して百万分率(ppm)で表される主要な診断用プロトンのデルタ値で示される。シグナル形状の慣用の略語が使用される。結合定数(J)は、Hzで表される。質量スペクトル(MS)について、同位体分割によって複数の質量スペクトルピークが生じる分子については最小質量の主要イオンが報告される。溶媒混合物の組成は、体積百分率または体積比として示される。NMRスペクトルが複雑な場合には、特徴的な信号のみが報告される。
【0123】
用語「治療」および「治療すること」は、適宜、疾患の症状の治療または寛解、ならびに疾患の原因の治療を含むものと理解されるべきである。
【0124】
治療方法について、用語「有効量」は、特定の疾患または障害を治療するための治療有効量を包含することを意図している。
【0125】
用語「患者」は、ヒト患者または非ヒト(すなわち、動物)患者を含む。特定の実施態様では、本開示は、ヒトおよび非ヒトの両方を包含する。別の実施態様では、本開示は、非ヒトを包含する。他の実施態様では、該用語は、ヒトを包含する。
【0126】
用語「含む」は、本開示で用いる場合、制限が無いことを意図しており、言及されていないさらなる要素または方法ステップを除外するものではない。
【0127】
本開示を実施する際に用いられる用量は、もちろん、例えば治療される特定の疾患または状態、使用される特定の本開示化合物、投与様式、および所望の療法に応じて変化する。本開示化合物は、経口、非経口、経皮、または吸入を含む好適な経路によって投与され得るが、好ましくは経口投与される。一般に、例えば上記のような疾患の治療のための、満足のいく結果は、約0.01~2.0mg/kgのオーダーの用量で経口投与により得られることが示されている。大きな哺乳動物、例えばヒトでは、したがって、約0.50~300mgの範囲であり、好都合には1日1回投与されるか、または1日2~4回の分割用量で投与されるか、または徐放性剤形で投与される。したがって、経口投与用の単位剤形は、例えば、薬学的に許容される希釈剤または担体と一緒に本開示化合物約0.2~150または300mg、例えば約0.2または2.0~10、25、50、75、100、150または200mgを含むことができる。
【0128】
特に方法1以降または2以降のいずれかにおける使用または投与のための、本開示化合物は、癌または腫瘍、例えば、結腸直腸癌を治療するために必要に応じて高い用量で投与され得る。このような方法のためのPDE1阻害剤の投与は、1日約50mg~1000mgの範囲内であり得ると想定される。例えば、方法1以降~6以降のいずれかによる状態に対してPDE1阻害剤を投与されている患者は、式I、Ia、II、III、IV、V、VIおよび/またはVIIによるPDE1阻害剤を1日50mg~1000mg、1日50mg~900mg、1日50mg~800mg、1日50mg~700mg、1日50mg~600mg、1日50mg~500mg、1日50mg~400mg、1日50mg~350mg、1日50mg~300mg、1日50mg~250mg、1日50mg~200mg、1日50mg~150mgまたは1日50mg~100mgの量で投与され得る。
【0129】
本開示化合物は、経口、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)または経皮を含む満足のいく経路によって投与することができるが、好ましくは経口投与される。特定の実施態様では、例えばデポー製剤での、本開示化合物は、好ましくは非経口投与され、例えば注射によって投与される。
【0130】
本開示化合物および本開示の医薬組成物は、1つ以上のさらなる治療剤と併せて、特に個々の薬剤が単剤療法として使用される場合よりも低用量で使用されて、慣用の単剤療法で一般的に生じる望ましくない副作用を引き起こすことなく併せた薬剤の治療活性を増強することができる。したがって、本開示化合物は、疾患を治療するのに有用な他の薬剤と、同時に(simultaneously)、別々に(separately)、連続的に(sequentially)、または、同時期に(contemporaneously)、投与することができる。別の例では、副作用は、本開示化合物を遊離形態または塩形態の1つ以上のさらなる治療剤と併せて投与する(ここで、(i)第2の治療剤の用量または(ii)本開示化合物と第2の治療剤の両方の用量は、薬剤/化合物が単剤療法として投与される場合よりも低い)ことによって軽減または最小化することができる。このようなさらなる治療剤としては、非限定的な例として、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、カルシウムチャネル遮断薬などを挙げることができる。
【0131】
治療的使用に言及する場合の「同時に」という用語は、2つ以上の活性成分を同一投与経路によって同時またはほぼ同時に投与することを意味する。
【0132】
治療的使用に言及する場合の「別々に」という用語は、2つ以上の活性成分を異なる投与経路によって同時またはほぼ同時に投与することを意味する。
【0133】
本開示化合物を含む医薬組成物は、慣用の希釈剤または賦形剤、およびガレノス技術分野で知られている技術を使用して調製され得る。したがって、経口剤形としては、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤などを挙げることができる。
【実施例
【0134】
実施例1: マウス結腸癌の増殖を阻害するPDE1阻害剤の能力の決定。
癌性細胞のアリコートをBALB/Cマウスの肩甲下腔に注射して、結腸癌腫を誘発する。腫瘍を7日間成長させ、そのとき腫瘍体積を測定する。腫瘍が形成されたら、薬物治療を開始し(化合物1 50mg/kg、1日1回、0.5%メチルセルロースビヒクル中でi.p.)、腫瘍の成長を毎日観察し記録する。化合物1は、以下に示される:
【化21】
【0135】
注射後30日目にマウスを屠殺し、腫瘍をマウスから単離する。図1に示されるように、化合物1は、30日後にCT26細胞試料において腫瘍増殖を有意に遅らせた。
【0136】
次に、腫瘍を酵素的に解離して単一細胞懸濁液とし、フルオロフォア標識抗体で染色し、フローサイトメトリーによって分析する。細胞を選別し、免疫マーカーについて分析した。図2に示されるように、化合物1による処置は、単球およびCD8 T細胞の有意な増加をもたらしたが、腫瘍微小環境におけるマクロファージの存在の有意な減少が観察された。理論に拘束されることなく、PDE1阻害剤は腫瘍微小環境における免疫機能を調節する能力を有すると考えられ、その一つの方法としてマクロファージによる腫瘍浸潤の減少が挙げられる。次に、自然免疫系がより効率的に腫瘍細胞を標的とすることが可能になり、これはここで観察された結果(すなわち、腫瘍微小環境におけるT細胞の活性化の増加)と一致すると考えられる。
【0137】
実施例2: マウス癌の増殖を阻害するためのPDE1阻害剤とチェックポイント阻害剤の共投与の解析
化合物1の単独または有効量以下(sub-effective dose)のチェックポイント阻害剤である抗PD-1との組み合わせの効果を、BALB/cマウスにおけるCT26異種移植腫瘍の成長について評価した。治療未経験腫瘍担持マウス(すなわち、アイソタイプ群)を、実施例1で定義した化合物1の単剤療法を受けているマウス群、有効量以下のチェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体)を受けているマウス群、および化合物1と有効量以下の抗PD-1抗体の両方を受けているマウス群と比較した。
【0138】
BALB/cマウスに、0日目にCT26細胞を皮下注射し、次いで、7日目に4つの群に分けた:(1)化合物1処置(50mg/kg、i.p. qd)、5日/週;(2)アイソタイプ群、7日目、10日目および14日目にip mlgGアイソタイプ;(3)抗PD-1群、7日目、10日目および14日目にi.p.投与;および(4)併用群、化合物1および抗PD-1で群1および群3と同様に処置。腫瘍の体積は2または3日ごとに測定した。17~18日目に、腫瘍を切り取り、解剖し、単一細胞懸濁液を作るために使用した。これらの腫瘍単一細胞懸濁液をFCブロッカー(eBioscience)と共にインキュベートし、次いで、暗所にて氷上で抗体により染色した。サンプルはFACSCalibur、LSRIIまたはLSRII yellow(BD Biosciences)で取得し、FlowJo(Tree Star)で解析した。
【0139】
アイソタイプ処置群では9匹中0匹のマウスが腫瘍クリアランスを示した(すなわち、腫瘍は100mm3より小さい体積を示した)が、化合物1処置群では5匹中1匹のマウス、また、抗PD-1処置群では10匹中1匹のマウスが腫瘍クリアランスを示した。しかしながら、化合物1と抗PD-1の併用処置群では、15匹中7匹のマウスが腫瘍クリアランスを示した。実験終了時に、腫瘍の重量も測定した。その結果は、化合物1と抗PD-1の併用療法を受けたマウスの腫瘍重量は、アイソタイプ処置対照群の腫瘍重量よりも有意に少ないことを示した。
【0140】
腫瘍浸潤免疫細胞の蛍光活性化セルソーティング(FACS)により、化合物1単剤療法処置マウスからの腫瘍が、CD45+腫瘍(浸潤)マクロファージおよび単球の数が著しく減少し、化合物1と抗PD-1の併用療法が、CD45+ナチュラルキラー(NK)細胞およびTNFa産生CD4 T細胞の数の増加を誘発することにより抗腫瘍免疫を増強することが判明した。この結果は、化合物1が単独で腫瘍マクロファージを減少させることができ、抗PD-1の抗腫瘍免疫を増強することを示唆している。
【0141】
提供される例の代替的な組み合わせおよび変形は、本開示に基づいて明らかになるであろう。記載された実施態様の多くの可能な変形例のすべてについて具体例を提供することはできなが、そのような組み合わせおよび変形例は、最終的に問題となる特許請求の範囲であり得る。
図1
図2
【国際調査報告】