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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-07
(54)【発明の名称】フラッフパルプ
(51)【国際特許分類】
   D21H 11/00 20060101AFI20221028BHJP
   D04H 1/26 20120101ALI20221028BHJP
   D21C 9/147 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
D21H11/00
D04H1/26
D21C9/147
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514469
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 IB2020058188
(87)【国際公開番号】W WO2021044321
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】1951006-4
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501239516
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タフヴェッソン、ヘレナ
(72)【発明者】
【氏名】ケーニヒ、マリアンヌ
(72)【発明者】
【氏名】セーデルスタム、グニラ
(72)【発明者】
【氏名】ムングイア - チャン、アントニーナ
【テーマコード(参考)】
4L047
4L055
【Fターム(参考)】
4L047AA08
4L047CB01
4L047CB02
4L047CB07
4L047CC03
4L047EA01
4L055AC06
4L055AC08
4L055AD07
4L055BA01
4L055BA18
4L055BA40
4L055BB02
4L055BB17
4L055EA02
4L055EA08
4L055EA10
4L055EA13
4L055EA31
4L055EA34
4L055FA11
4L055FA16
4L055FA22
4L055GA26
4L055GA28
4L055GA39
(57)【要約】
本発明は、5~18の範囲のカッパ価を有し、乾燥シートの形態であるときに30~60%の範囲のISO輝度を有し、乾燥解繊状態で少なくとも19dm/kgの比容積を有し、2~4秒の範囲の吸収時間を有するフラッフパルプに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5~18の範囲のカッパ価を有し、乾燥シートの形態であるときに30~60%の範囲のISO輝度を有し、乾燥解繊状態で少なくとも19dm/kgの比容積を有し、SCAN-C 33:80標準に従って測定された2~4秒の範囲の吸収時間を有するフラッフパルプ。
【請求項2】
前記ISO輝度が30~40%の範囲である、請求項1に記載のフラッフパルプ。
【請求項3】
前記ISO輝度が35~50%の範囲である、請求項1に記載のフラッフパルプ。
【請求項4】
乾燥解繊状態での前記比容積が19~23dm/kgの範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載のフラッフパルプ。
【請求項5】
前記カッパ価が5~12の範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載のフラッフパルプ。
【請求項6】
前記ISO輝度が36~50%の範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載のフラッフパルプ。
【請求項7】
ロールの形態である、請求項1~6のいずれか1項に記載のフラッフパルプ。
【請求項8】
フラッフパルプを調製するためのプロセスであって、
a)硫酸塩パルプを調製するステップ;
b)前記パルプを洗浄、ふるい分け、および清浄化するステップ;
c)前記パルプを酸素脱リグニン化処理にかけるステップ;
d)酸素脱リグニン化処理にかけられた前記のパルプを洗浄し、任意選択でこのパルプのpHを調整するステップ;
e)前記パルプを乾燥させて、10重量%未満の含水率を有するロールの形態のフラッフパルプを得るステップを含む、プロセス。
【請求項9】
前記硫酸塩パルプが少なくとも90%の軟材から調製される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記酸素脱リグニン化が、酸素脱リグニン化にかけられた前記パルプが5~18の範囲のカッパ価を有するまで実施される、請求項8または9に記載のプロセス。
【請求項11】
漂白ステップを含まない、請求項8~10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項8~11のいずれか1項に記載のプロセスによって得られるフラッフパルプ。
【請求項13】
解繊されたフラッフパルプを含むか、またはそれから調製された製品であって、このフラッフパルプが、解繊される前において、請求項1~7または請求項12のいずれか1項に記載のフラッフパルプである、製品。
【請求項14】
解繊されたフラッフパルプを含むか、またはそれから調製されたエアレイド不織布であって、このフラッフパルプが、解繊される前において、請求項1~7または請求項12のいずれか1項に記載のフラッフパルプである、エアレイド不織布。
【請求項15】
解繊されたフラッフパルプを含むか、またはそれから調製された吸収コアであって、このフラッフパルプが、解繊される前において、請求項1~7または請求項12のいずれか1項に記載のフラッフパルプである、吸収コア。
【請求項16】
請求項15に記載の吸収コアを含む衛生製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5~18の範囲のカッパ価を有し、乾燥シートの形態であるときに30~60%の範囲のISO輝度を有し、乾燥解繊状態で少なくとも19dm/kgの比容積を有し、2~4秒の範囲の吸収時間を有するフラッフパルプに関する。本発明はまた、そのようなフラッフパルプを製造するプロセス、およびフラッフパルプの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
フラッフパルプ(fluff pulp:綿状パルプ)は通常、硫酸塩パルプに由来する針葉樹パルプ(軟材パルプ)から作られる。パルプ化方法によって、フラッフパルプの特性は異なる。針葉樹パルプの原料は、スカンジナビアパイン、トウヒ、サザンパイン、テーダマツ、スラッシュパイン、ラディアタパイン、ダグラスファー、ヘムロックシダー、ホワイトスプルース、ロッジポールパイン、アルパインファー、またはそれらの混合物などの様々な針葉樹種であり得る。
【0003】
漂白(bleaching)は、パルプ調理後に残ったリグニンおよび着色化合物を除去し、それによってフラッフパルプを含むパルプの輝度(brightness)を高めるための一般的な方法である。フラッフパルプの外観を改善するための業界慣行は、パルプを所望の輝度に達するまで漂白することである(紙パルプ技術協会(the Technical Association of the Pulp & Paper Industry:“TAPPI”)または国際標準化機構(“ISO”)による)。漂白パルプの最終的なISO輝度は85~94%である。しかし、漂白は高価であり、環境に大きな負荷をかけ、しかも製造上のボトルネックの原因となることがよくある。
【0004】
パルプは順番に漂白または脱リグニン化され、所望の輝度レベルに到達するために、いくつかの漂白ステップといくつかの漂白化学物質を使用する必要がある。漂白剤の例としては、酸素、過酸化水素、オゾン、過酢酸、二酸化塩素がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
漂白の製造コスト、資源要件および環境への影響を考慮すると、適切なフラッフパルプ特性、特に十分な吸収を達成できると共に、使用する資源をより少なくできることが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、5~18の範囲のカッパ価を有し、乾燥シートの形態であるときに30~60%の範囲のISO輝度を有し、乾燥解繊状態で少なくとも19dm/kgの比容積を有し、2~4秒の範囲の吸収時間を有するフラッフパルプに関する。
【0007】
驚くべきことに、資源の使用を大幅に減らし、特に化学物質とエネルギーの使用を減らしつつ、適切な特性を備えたフラッフパルプを製造可能であることが分かった。
【0008】
本発明はまた、前記フラッフパルプを製造する方法に関する。
【0009】
本発明はまた、前記フラッフパルプの使用に関する。フラッフパルプは、ロール状に製造され、購入者に届けられる。フラッフパルプは最初に解繊(defibrate)される。次いで、解繊されたパルプは、例えば、衛生製品用の吸収コアの製造において、および、おむつ、失禁用製品、女性用衛生製品などの様々な用途のためのエアレイド不織布において使用される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
本明細書で使用される場合、「フラッフ」(“fluff”:綿状)という用語は、解繊された(defibrated)、すなわち、繊維化または細断されたフラッフパルプを意味する。
【0011】
本明細書で使用される場合、「カッパ価」(“Kappa number”:カッパ数)という用語は、標準ISO 302:2015に従ったカッパ価の測定値を指す。
【0012】
本発明によるフラッフパルプのカッパ価は、5~18の範囲、好ましくは5~15の範囲、例えば6~15の範囲、より好ましくは5~12または9~13の範囲である。
【0013】
本明細書で使用される場合、「ISO輝度」(”ISO Brightness”)という用語は、標準ISO 2470に従った輝度の測定値を指す。
【0014】
本発明によるフラッフパルプのISO輝度は、乾燥シートの形態である場合(すなわち解繊前)、30~60%の範囲、好ましくは35~55%の範囲、または30~40%、より好ましくは36~50%または34~39%の範囲である。
【0015】
本明細書で使用される場合、乾燥状態でのフラッフパルプの比容積(フラッフパルプの解繊後、すなわち解繊状態の比容積)は、標準SCAN-C 33:80に従って測定された比容積を指し、フラッフの単位質量(重量)あたりの乾燥状態での試験片の体積の測定値を意味する。成形ユニットで直径50mmの3gのフラッフのサンプルを成形する。このサンプルをサンプルホルダーに入れ、2.8kPaの荷重をかける。乾燥比容積は30秒後に測定される(5つの複製品の平均として測定)。
【0016】
本発明によるフラッフの乾燥状態(ISO187に従って状態調整されたもの)における比容積は、少なくとも19dm/kgであり、好ましくは19~23dm/kgの範囲、例えば19~22dm/kgの範囲である。
【0017】
本明細書で使用される場合、「吸収時間」という用語は、標準化された試験片を吸収された液体で完全に飽和させるのにかかる時間の測定を含む、標準SCAN-C 33:80に従うフラッフパルプの吸収特性を指す。直径50mmの3gのフラッフサンプルは、成形ユニットで成形される。サンプルをサンプルホルダーに入れ、2.8kPaの荷重を適用する。水道水(23℃)を下部に適用し、水がサンプルの上部に到達するのに必要な時間を記録する(5つの複製品の平均として測定)。
【0018】
本明細書で使用される場合、「吸収能力」という用語は、標準SCAN-C 33:80によるフラッフパルプの吸収能力(容量)の特性を指す。直径50mmの3gのフラッフサンプルは、成形ユニットで成形される。サンプルをサンプルホルダーに入れ、2.8kPaの荷重を適用する。水道水(23℃)を下部に適用し、水がサンプルの上部に到達するのに必要な時間を記録する。30秒後、水の追加を停止する。さらに30秒後、試験片の重量を測定することにより吸収能力を記録する(5つの複製品の平均として測定)。
【0019】
本明細書で使用される場合、フラッフパルプの「ノット含有量」(“knot content”:ノット(結節、結び目)の含有量)は、スクリーンDIN ISO 3310 1.4mmを備えたアルパインエアジェット(Alpine Air Jet)を使用して測定されたノット含有量を指す。4000kPaの負圧を使用してワイヤーの上方にてフラッフのサンプルを10分間攪拌する。ワイヤーに残っているノット(結節、結び目)が計量され、サンプルの総重量のパーセンテージとして報告される(2つの複製品の平均として測定)。
【0020】
本発明によるフラッフパルプのノット含有量は、好ましくは13%未満である。
【0021】
本発明によるフラッフパルプは、以下のステップによって製造することができる:
a)硫酸塩パルプを調製するステップ;
b)このパルプを洗浄、ふるい分け(スクリーニング)、および清浄化するステップ;
c)このパルプを酸素脱リグニン化にかけるステップ;
d)酸素脱リグニン化にかけられたパルプを洗浄し、任意選択でこのパルプのpHを調整するステップ;
e)パルプを乾燥させて、10重量%未満の含水率を有するロール状のフラッフパルプを得るステップ。
【0022】
パルプは硫酸塩パルプ(クラフトパルプ)である。本発明によるフラッフパルプの繊維は、好ましくは、トウヒおよび/またはマツなどの針葉樹(軟材)に由来する。好ましくは、硫酸塩パルプは、少なくとも90%が針葉樹に由来し、10%未満の広葉樹が硫酸塩パルプの調製に使用されてきた。したがって、硫酸塩パルプは主に針葉樹に由来するが、微量の広葉樹を含む場合がある。長さ加重平均繊維長(Metso Pulp Expertで測定)は、好ましくは1.8~2.5mmの範囲、例えば1.9~2.2mmの範囲である。パルプは、酸素脱リグニン化ステップにかけられる前に、洗浄され、ふるいにかけられ、そして清浄化される。
【0023】
酸素脱リグニン化ステップは、当技術分野で知られている方法を使用して実施され、1つまたは複数のステップで実施することができる。パルプは、湿潤状態で酸素脱リグニン化ステップにかけられる。好ましくは、酸素脱リグニン化は、酸素脱リグニン化にかけられたパルプが5~18の範囲のカッパ価に達するまで実施される。
【0024】
酸素脱リグニン化されたパルプは洗浄される。洗浄は、通常、水を使用して実施され、1つまたは複数のステップで実施することができ、濾過を伴ってもよい。洗浄の一部として、または洗浄ステップの直後に、pHを調整することができる。好ましくは、洗浄されたパルプのpHは、5~8の範囲、例えば5~7の範囲であるべきである。洗浄されたパルプは、好ましくは0.5重量%未満(固形分に基づく)の抽出物、より好ましくは0.2重量%未満の抽出物、さらにより好ましくは0.1重量%未満の抽出物、最も好ましくは0.05重量%未満の抽出物を含む。この文脈では、抽出物は、例えば、樹脂および脂肪酸である。
【0025】
任意選択で、乾燥ステップに先立ち、過酸化水素が洗浄されたパルプに添加され得る。
【0026】
洗浄されたパルプは、当技術分野で知られている方法を使用して乾燥機で乾燥される。乾燥パルプは、乾燥後にロール状に成形される。乾燥した材料は、10重量%未満(ISO 287)、好ましくは9重量%未満、例えば6~9重量%の範囲の含水率を有する。
【0027】
好ましくは、本発明によるフラッフパルプは、漂白を受けていない。より好ましくは、本発明によるフラッフパルプは、ECF(元素塩素を含まない)漂白またはTCF(完全に塩素を含まない)漂白を受けていない。
【0028】
フラッフパルプは、硫酸アルミニウム溶液で処理され、乾燥機のストック調製においてpHを5.5~6.5に調整して、解繊エネルギーおよびノット含有量を減少させることができる。この処理は、吸収特性にわずかな影響を及ぼす。
【0029】
本発明によるフラッフ(すなわち、フラッフパルプの解繊形態)は、フラッフが典型的に使用される物品および製品に使用することができる。したがって、フラッフは、赤ちゃんのおむつ、失禁用製品、および女性用衛生製品の吸収コアに使用することができる。フラッフは、エアレイド不織布の主成分でもある。
【0030】
したがって、解繊された後、本発明によるフラッフパルプは、例えば、吸収コアおよびエアレイド不織布に使用することができる。それは、液体吸収材料として、または液体吸収材料中で、例えば、赤ちゃん用おむつや失禁用製品などのおむつの吸収剤として使用することができる。それはまた、例えばナプキンやティッシュにも使用できる。そのような製品は、当技術分野で知られている方法を使用して製造することができる。製品は通常、超吸収剤、ポリマー、湿潤剤、ビスコース/レーヨン/リヨセル繊維、二成分繊維、綿繊維、その他の繊維、標準ラテックスバインダー、特殊ラテックスバインダーなどの1つまたは複数の追加成分を含む。
【実施例
【0031】
例1
クラフトパルプのサンプルを、生産スケールのパルプ消化装置の直後(「未漂白」)、後続の酸素脱リグニン化ステップの後(「酸素脱リグニン化済み」)、および漂白ステップの後(「漂白済み」)から収集した。このように、「漂白済み」サンプルは、酸素脱リグニン化および漂白の両方にかけられていた。
【0032】
各パルプサンプルを水で完全にすすぎ、遠心分離し、造粒し、分析前に冷蔵庫に保管した。
【0033】
実験用シートを各タイプのパルプから形成した。実験用ハンマーミル(Kamas H01)を使用して実験用シートを解繊した。
【0034】
標準的な試験方法に従って、化学的特性およびフラッフの特性を測定した。得られた結果を表1に示す。形成された乾燥シート上でカッパ価を測定した。形成された乾燥シート上でISO輝度を測定した。比容積、吸収時間および吸収容量を、フラッフ化した材料について、すなわち解繊後に測定した。ISO 187に従って状態調整された気候中でシートおよびパルプの特性を評価した。
【0035】
【表1】
【0036】
表1に報告された結果から、漂白されたフラッフパルプについて、酸素脱リグニン化されたフラッフパルプと比較して吸収特性およびフラッフ特性(比容積)がほぼ同一であることが把握される。
【0037】
例2
クラフトパルプのサンプルを、生産スケールの後続の酸素脱リグニン化ステップの直後(「酸素脱リグニン化済み」)および漂白ステップの後(「漂白済み」)から収集した。このように、「漂白済み」サンプルは、酸素脱リグニン化および漂白の両方にかけられていた。
【0038】
次に、パルプを遠心分離し、造粒し、25~30%の乾燥含有量にて冷蔵庫中で暗色プラスチック袋に保管した。1シートのパルプを浸漬し、湿らせて崩壊させた。パルプ懸濁液のpHを5.8に調整し、10分間撹拌し、次いでシートフォーマーで脱水した。サンプルの一部をAl(S0溶液で処理した後、NaOHでpHを5.8に調整した。
【0039】
湿ったシートをプレスし、水分含有量が7%未満になるまで乾燥させた。
【0040】
標準的な試験方法に従って、化学的特性およびフラッフの特性を測定した。得られた結果を表1に示す。形成された乾燥シート上でカッパ価を測定した。形成された乾燥シート上でISO輝度を測定した。比容積、吸収時間および吸収容量を、フラッフ化した材料について、すなわち解繊後に測定した。ISO 187に従って状態調整された気候条件でシートおよびパルプの特性を評価した。
【0041】
【表2】
【0042】
表2に報告された結果から、漂白されたフラッフパルプについて、酸素脱リグニン化されたフラッフパルプと比較して吸収特性およびフラッフ特性(比容積)がほぼ同一であることが把握され得る。硫酸アルミニウム溶液による処理が吸収特性に及ぼす影響はわずかである。
【0043】
例3
フラッフパルプ用の乾燥機を備えた硫酸塩パルプ繊維ラインで製造試験を行った。硫酸塩パルプは、酸素脱リグニン化され、かつ、漂白され、または未漂白であった。酸素脱リグニン化後にオンラインで測定されたパルプのカッパ価は8~11の間であった。漂白された参照用のフラッフパルプは同じ繊維ラインで製造されたが、このパルプは漂白プラントでカッパ価1まで漂白された。
【0044】
乾燥機で、試験点2および試験点3のパルプをAl(SOで処理し、NaOHでpHを調整した。
【0045】
標準的な試験方法に従ってフラッフの特性を試験した。得られた結果を表1に示す。フラッフパルプ上でISO輝度を測定した。フラッフ化された材料について、すなわち解繊後に、ノット含有量、比容積、吸収時間および吸収容量を測定した。ISO187に従って制御された気候条件でシートおよびパルプの特性を評価した。
【0046】
【表3】
【0047】
表3に報告された結果から、漂白されたフラッフパルプは、酸素脱リグニン化されたフラッフパルプと比較して、吸収特性およびフラッフ特性(比容積)がほぼ同一であることが分かる。
【0048】
本発明の上記の詳細な説明に鑑み、他の修正および変形が当業者に明らかになるであろう。しかしながら、そのような他の修正および変形は、本発明の本質および範囲から逸脱することなく実行され得ることは明らかであるはずである。
【国際調査報告】