(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-07
(54)【発明の名称】光学装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01J 3/36 20060101AFI20221028BHJP
G01J 3/50 20060101ALI20221028BHJP
G01J 3/06 20060101ALI20221028BHJP
G01J 3/18 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
G01J3/36
G01J3/50
G01J3/06
G01J3/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514534
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 GB2020052136
(87)【国際公開番号】W WO2021044170
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507226592
【氏名又は名称】オックスフォード ユニヴァーシティ イノヴェーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ノリーズ,ピーター
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020CB06
2G020CC02
2G020CC45
2G020CC46
2G020CC47
2G020CC49
2G020CC63
2G020CC65
2G020CD06
2G020CD36
(57)【要約】
ハイパースペクトルイメージング装置(100)が提供され、シーン(場面)(106)からのライトフィールドを受信するための入力(102)と、エンコーダ(108)と、少なくとも1つの分散エレメント(110,112)と、少なくとも1つのアレイ検出器(114,116)と、プロセッサ(118)とを備える。エンコーダ(108)は、入力(102)からのライトフィールドの少なくとも一部を受信し、それを変換して、異なる空間パターンを有する第1および第2符号化ライトフィールド(120,122)を提供するように構成される。少なくとも1つの分散エレメント(110,112)は、第1および第2符号化ライトフィールド(120,122)にそれぞれスペクトル剪断を適用して、第1および第2剪断ライトフィールド(124,126)を提供するように構成される。プロセッサ(118)は、シーンのハイパースペクトル画像に対応するデータキューブ(128)を決定するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーンからのライトフィールドを受信するための入力と、エンコーダと、少なくとも1つの分散エレメントと、少なくとも1つのアレイ検出器と、プロセッサと、を備えるハイパースペクトルイメージング装置であって、
エンコーダは、前記入力からのライトフィールドの少なくとも一部を受信し、それを変換して、異なる空間パターンを有する第1および第2符号化ライトフィールドを提供するように構成され、
少なくとも1つの分散エレメントは、第1および第2符号化ライトフィールドにそれぞれスペクトル剪断を適用して、第1および第2剪断ライトフィールドを提供するように構成され、
少なくとも1つのアレイ検出器は、第1および第2剪断ライトフィールドを検出するように構成され、
プロセッサは、少なくとも1つのアレイ検出器からの出力を処理して、前記シーンのハイパースペクトル画像に対応するデータキューブを決定するように構成される、ハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項2】
エンコーダは、相補的な空間パターンを有する空間的に分離された第1および第2符号化ライトフィールドを提供するように構成される、請求項1に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項3】
相補的な空間パターンは、相補的なランダムまたは疑似ランダム空間パターンであり、および/または、空間パターンは、バイナリである、請求項2に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項4】
少なくとも1つの分散エレメントは、第1符号化ライトフィールドに第1スペクトル剪断を適用するように構成された第1分散エレメントと、第2符号化ライトフィールドに第2スペクトル剪断を適用するように構成された第2分散エレメントと、を備える、請求項2または3に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項5】
少なくとも1つのアレイ検出器は、第1および第2剪断ライトフィールドを検出するようにそれぞれ構成された第1および第2アレイ検出器を備える、請求項4に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項6】
ビームスプリッタと、第3アレイ検出器と、をさらに備え、
該ビームスプリッタは、入力とエンコーダとの間に配置され、ライトフィールドの一部を第3アレイ検出器に提供し、ライトフィールドの残りの部分をエンコーダに提供するように配置される、請求項5に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項7】
第3アレイ検出器に提供されるライトフィールドの一部は、未剪断である、請求項5に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項8】
第1および第2符号化ライトフィールドに適用されるスペクトル剪断は、異なる大きさ、および/または、異なる空間方向を有する、請求項1~7のいずれかに記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項9】
エンコーダは、デジタルマイクロミラーデバイスを含む、請求項1~8のいずれかに記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項10】
エンコーダおよび少なくとも1つの分散エレメントの一方または両方は、透過型である、請求項1~9のいずれかに記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項11】
エンコーダは、第1符号化ライトフィールドを提供するように構成された第1エンコーダ部分と、第2符号化ライトフィールドを提供するように構成された第2エンコーダ部分と、を備える、請求項1~10のいずれかに記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項12】
第1エンコーダ部分は、第1離散的撮像経路上に配置され、第2エンコーダ部分は、第2離散的撮像経路上に配置される、請求項11に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項13】
第1分散エレメントは、第1離散的撮像経路上に配置され、第2分散エレメントは、第2離散的撮像経路上に配置される、請求項4から間接的に従属する場合に請求項12に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項14】
第1離散的撮像経路および第2離散的撮像経路は、互いに平行である、請求項12または13に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項15】
少なくとも1つのアレイ検出器による検出前に、第1および第2剪断ライトフィールドをスペクトル的に符号化するように構成されたスペクトルエンコーダをさらに備える、請求項1~14のいずれかに記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項16】
スペクトルエンコーダは、第1剪断ライトフィールドをスペクトル的に符号化するように構成された第1のスペクトルエンコーダ部分と、第2剪断ライトフィールドをスペクトル的に符号化するように構成された第2スペクトルエンコーダ部分と、を備える、請求項15に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項17】
第1スペクトルエンコーダ部分は、第1離散的撮像経路上に配置され、第2スペクトルエンコーダ部分は、第2離散的撮像経路上に配置される、請求項12から間接的に従属する場合に請求項16に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項18】
スペクトルエンコーダは、透過型エンコーダである、請求項15~17のいずれかに記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項19】
入力とエンコーダとの間に配置された集光エレメントをさらに備える、請求項1~18のいずれかに記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項20】
集光エレメントは、シーンをエンコーダ上に結像するように配置される、請求項19に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項21】
少なくとも1つの分散エレメントは、少なくとも1つの凹面格子を備える、請求項1~20のいずれかに記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項22】
分散エレメントの少なくとも1つは、集光エレメントと平面格子との組合せから形成される、請求項1~21のいずれかに記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項23】
少なくとも1つの分散エレメントは、少なくとも1つの検出器上に剪断ライトフィールドをそれぞれ結像するように配置される、請求項21または22に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項24】
エンコーダおよび少なくとも1つの分散エレメントは、単一コンポーネントに集積される、請求項1~23のいずれかに記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項25】
集積されたエンコーダおよび少なくとも1つの分散エレメントは、回折格子上に配置された符号化パターンを含む、請求項24に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項26】
プロセッサは、最小化問題を解くことによって、データキューブを決定するように構成される、請求項1~25のいずれかに記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項27】
最小化問題は、スパース性を促進する正則化器を含む、請求項26に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項28】
プロセッサは、下記フォームの最小化問題を解くように構成される、請求項26または27に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【数1】
ここで、S
1は第1検出器によって検出された信号、S
2は第2検出器によって検出された信号、k
1とk
2は重み係数、ο
1とο
2はエンコーダと第1および第2分散エレメントに依存する測定演算子、φ(I)はスパース性(sparsity)を促進する正則化器、αは正則化パラメータ、∥.∥はL
2ノルム、I=I(x,y,λ)はデータキューブである。
【請求項29】
プロセッサはさらに、第3検出器からの出力を、第1および第2検出器からの出力と共同で処理して、データキューブを決定するように構成される、請求項6または7に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項30】
プロセッサは、下記フォームの最小化問題を解くように構成される、請求項29に記載のハイパースペクトルイメージング装置。
【数2】
ここで、S
1は第1検出器によって検出された信号、S
2は第2検出器によって検出された信号、S
3は第3検出器によって検出された信号、k
1とk
2とk
3は重み係数、ο
1とο
2とο
3はエンコーダと第1および第2分散エレメントとビームスプリッタに依存する測定演算子、φ(I)はスパース性(sparsity)を促進する正則化器、αは正則化パラメータ、∥.∥はL
2ノルム、I=I(x,y,λ)はデータキューブである。
【請求項31】
シーンからライトフィールドを受信するステップと、
ライトフィールドを変換して、異なる空間パターンを有する第1および第2符号化ライトフィールドを提供するステップと、
第1および第2符号化ライトフィールドにそれぞれスペクトル剪断を適用して、第1および第2剪断ライトフィールドを提供するステップと、
第1および第2剪断ライトフィールドをそれぞれ検出して、検出データを提供するステップと、
検出データを処理して、シーンのハイパースペクトル画像に対応するデータキューブを決定するステップと、を含む、ハイパースペクトル画像取得方法。
【請求項32】
第1および第2スペクトル剪断は、異なる大きさおよび/または異なる空間方向を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
最小化問題を解くことによって、データキューブを決定するステップをさらに含む、請求項31または31に記載の方法。
【請求項34】
最小化問題は、スパース性を促進する正則化器を含む、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイパースペクトルイメージング装置およびハイパースペクトル画像取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイパースペクトルイメージングは、シーン(場面)の3次元データキューブ(datacube)の取得を含み、1つのスペクトルおよび2つの空間ドメインを手段として強度を収集する。データキューブは、フォーマットI(x,y,λ)である。データキューブの各スライスは、特定の波長の光に対応するxy画像を含む。従来のハイパースペクトル撮像機器は、2つの主要な捕捉方法、即ち、走査型2Dセンサを用いたデータの捕捉、または後処理後に検索されるスペクトル情報の空間多重化を基礎とする。走査型撮像機器は、配向が制限され、走査する必要があり(よって、その名前)、これは、相当な時間を要し、モーションアーチファクトを導入するプロセスである。多重化(multiplexing)撮像機器は、走査によって導入される誤差を大きく回避するが、ハイパースペクトルイメージングを達成するために空間情報または複雑なセンサの著しい犠牲を必要とする。多重化撮像機器は、分解能が制限され、製造が困難である。
【0003】
シングルショットのハイパースペクトル捕捉を達成し、多重化分光計の分解能の犠牲を回避するために、アルゴリズム的イメージング手法が実験されている。最も顕著な例は、符号化アパーチャスナップショットスペクトルイメージャ(CASSI)およびその変形例である。CASSIは、圧縮センシング、即ち、劣決定(underdetermined)された線形システムを再構成するための信号処理フレームワークを基礎とする。到来する信号を、圧縮センシング再構成のために実行可能なフォーマットに操作することによって、CASSIは、従来の二次元検出器の単一露光から得られた信号からハイパースペクトルデータキューブを再構築できる。しかしながら、CASSIは、空間分解能の著しい犠牲なしで複雑な多重化も必要とせずに、シングルショットイメージングを達成しているが、偶発的アーチファクトで制限された分解能でデータキューブを捕捉できるに過ぎない。
【0004】
本開示の目的は、既知のハイパースペクトルイメージング装置およびハイパースペクトルイメージング方法に関連する欠点を克服または少なくとも改善することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様によれば、シーン(場面)からのライトフィールドを受信するための入力と、エンコーダと、少なくとも1つの分散エレメントと、少なくとも1つのアレイ検出器と、プロセッサと、を備えるハイパースペクトルイメージング装置が提供される。エンコーダは、入力からのライトフィールドの少なくとも一部を受信し、それを変換して、異なる空間パターンを有する第1および第2符号化ライトフィールドを提供するように構成される。少なくとも1つの分散エレメントは、第1および第2符号化ライトフィールドに第2スペクトル剪断(shear)を適用して、第1および第2剪断ライトフィールドを提供するように構成される。少なくとも1つのアレイ検出器は、第1および第2剪断ライトフィールドを検出するように構成される。プロセッサは、少なくとも1つのアレイ検出器からの出力を処理して、シーンのハイパースペクトル画像に対応するデータキューブを決定するように構成される。
【0006】
イメージング装置は、シングルショット(例えば、第1および第2アレイ検出器からのデータの1フレーム)からデータキューブを取得するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、イメージング装置は、1つより多いショット(例えば、2つのショット、3つのショットまたはそれ以上)のデータキューブを取得するように構成してもよい。
【0007】
検出されたライトフィールドに1つより多い符号化パターンを設けることにより、元のハイパースペクトルデータキューブの断層再構成を可能にし、これにより、単一の符号化パターンに基づいてデータが捕捉される手法に比べて忠実度(fidelity)を向上できる。
【0008】
いくつかの実施形態では、2つより多い符号化ライトフィールドが提供され検出されてもよく、例えば、4つの異なる符号化ライトフィールドが存在してもよい(各々が異なる符号化を有してもよい)。
【0009】
いくつかの実施形態では、単一の検出器と、再構成可能なエンコーダ配置とが存在してもよい。こうした実施形態では、第1および第2空間パターンが時間的に分離され、エンコーダが第1および第2剪断ライトフィールドの検出の間に再構成される。こうした実施形態では(例えば、再構成可能なエンコーダと単一検出器との間に)単一の分散エレメントが使用できる。
【0010】
他の実施形態では、エンコーダは、空間的に分離された第1および第2符号化ライトフィールドを提供するように構成してもよい。
【0011】
第1および第2ライトフィールドは、相補的な空間パターン(第1および第2符号化ライトフィールドが空間的または時間的に分離されていても)を含むことができる。相補的な空間パターンは、相補的なランダムまたは疑似ランダム空間パターンでもよい。
【0012】
エンコーダは、第1および第2符号化ライトフィールドを異なる方向に反射するように構成してもよい。
【0013】
いくつかの実施形態は、符号化ライトフィールドの空間的および時間的な分離を組み合わせて、ともに空間的および空間的に分離された符号化ライトフィールドを検出してもよい(例えば、空間的に分離された第1および第2ライトフィールドを提供する再構成可能なエンコーダによって、そして異なるエンコーダパターンを用いて、検出器からの1つより多くのショットを収集する)。
【0014】
好都合には、相補的な空間パターンで符号化され、検出前に別々に剪断されたライトフィールドの第1および第2コピーの生成は、データキューブ再構成において、より高い忠実度を提供する。これは断層撮影と類似しており、これにより、第1および第2コピーは、異なる方向に沿ったデータキューブの投影に有効に対応し、これにより、単一の剪断され符号化されたコピーだけが使用される場合と比較して、データキューブに関する追加情報を提供する。2つ以上のコピーの検出を伴う符号化および剪断の組合せは、圧縮断層撮影と呼ぶことがある。
【0015】
少なくとも1つの分散エレメントは、第1符号化ライトフィールドに第1スペクトル剪断を適用するように構成された第1分散エレメントと、第2符号化ライトフィールドに第2スペクトル剪断を適用するように構成された第2分散エレメントと、を備えてもよい。
【0016】
少なくとも1つの分散エレメントは、透過性の分散エレメントでもよく、またはこれを含んでもよい。第1および第2分散エレメントの一方または両方は、透過型の分散エレメントでもよい。
【0017】
第1および第2スペクトル剪断は、異なる大きさ(magnitude)を有してもよい。
【0018】
第1および第2スペクトル剪断は、異なる空間方向を有してもよい。
【0019】
エンコーダは、デジタルマイクロミラーデバイス、静的マスク、液晶デバイス(例えば、シリコン上の液晶)を備えてもよい。
【0020】
エンコーダは、透過型エンコーダでもよく、またはこれを含んでもよい。エンコーダおよび少なくとも1つの分散エレメントは、共に透過型でもよい。透過型コンポーネントの使用により、特に、圧縮断層撮影を行う場合に、ハイパースペクトルイメージング装置の小型化を容易にできる。
【0021】
エンコーダは、第1符号化ライトフィールドを提供するように構成された第1エンコーダ部分と、第2符号化ライトフィールドを提供するように構成された第2エンコーダ部分と、を備えてもよい。第1および第2エンコーダ部分は、個々の第1および第2離散的撮像経路上、またはそれに沿って配置してもよい。第1および第2離散的撮像経路は、互いに平行でもよい。離散的撮像経路は、ビームスプリッタなどの反射エレメントの必要性を除去でき、ハイパースペクトルイメージング装置のより容易な小型化を可能にする。
【0022】
第1および第2分散エレメントは、個々の第1および第2離散的撮像経路上に配置してもよい。
【0023】
ハイパースペクトルイメージング装置はさらに、少なくとも1つのアレイ検出器による検出前に、第1および第2剪断ライトフィールドをスペクトル的に符号化するように構成されたスペクトルエンコーダを備えてもよい。これにより、ハイパースペクトルイメージング装置が、空間ドメインおよびスペクトルドメインの両方で符号化できる。これにより、符号化における追加の自由度を提供し、データキューブのサンプリングの際により高い干渉性(ランダム性)を許容でき、そしてデータキューブの再構成を改善できる。
【0024】
スペクトルエンコーダは、第1剪断ライトフィールドをスペクトル的に符号化するように構成された第1のスペクトルエンコーダ部分と、第2剪断ライトフィールドをスペクトル的に符号化するように構成された第2スペクトルエンコーダ部分と、を備えてもよい。
第1および第2スペクトルエンコーダ部分は、個々の第1および第2離散的撮像経路上に、またはそれに沿って配置してもよい。スペクトルエンコーダは、透過型エンコーダでもよい。
【0025】
少なくとも1つのアレイ検出器は、第1および第2剪断ライトフィールドを検出するようにそれぞれ構成された第1および第2アレイ検出器を備えてもよい。
【0026】
ハイパースペクトルイメージング装置はさらに、ビームスプリッタと、第3アレイ検出器とをさらに備えてもよく、ビームスプリッタは、入力とエンコーダとの間に配置され、ライトフィールドの一部を第3アレイ検出器に提供し、ライトフィールドの残りの部分をエンコーダに提供するように配置される。
【0027】
第3アレイ検出器に提供されるライトフィールドの一部は、未剪断(またはスペクトル的に分散されていない)でもよい。
【0028】
ハイパースペクトルイメージング装置はさらに、入力とエンコーダとの間に配置された集光またはリレーエレメントを備えてもよい。
【0029】
集光エレメントは、シーンをエンコーダ上に結像するように配置してもよい。
【0030】
分散エレメントの少なくとも1つは、凹面格子(グレーティング)を備えてもよい。
【0031】
少なくとも1つの分散エレメントは、集光エレメント(例えば、屈折型性または反射型)と平面格子との組合せを備えてもよい。平面格子は、透過型グレーティング、ダブルアミチ(Amici)プリズム等を備えてもよい。
【0032】
少なくとも1つの分散エレメントは、少なくとも1つのアレイ検出器上に第1および第2剪断ライトフィールドをそれぞれ結像するように配置してもよい。例えば、第1および第2分散エレメントは、第1および第2アレイ検出器上に第1および第2剪断ライトフィールドをそれぞれ結像するように構成してもよい。
【0033】
エンコーダおよび少なくとも1つの分散エレメントは、単一コンポーネントに集積してもよい。単一コンポーネントは、符号化され剪断される第1および第2ライトフィールドを提供するように構成してもよい。これによりハイパースペクトルイメージング装置のより容易な小型化を可能にできる。
【0034】
集積されたエンコーダおよび少なくとも1つの分散エレメントは、少なくとも1つの分散エレメント上に配置された符号化パターンを含んでもよい。少なくとも1つの分散エレメントは、回折格子(グレーティング)でもよい。符号化パターンは、少なくとも1つの分散エレメント上にリソグラフィ印刷されてもよい。
【0035】
プロセッサは、最小化問題を解くことによって、データキューブを決定するように構成してもよい。
【0036】
最小化問題は、スパース性(sparsity)を促進する正則化器(regularizer)を含んでもよい。
【0037】
プロセッサは、下記フォームの最小化問題を解くように構成してもよい。
【0038】
【0039】
ここで、S1は第1検出器によって検出された信号、S2は第2検出器によって検出された信号、k1とk2は重み係数、ο1とο2はエンコーダと第1および第2分散エレメントに依存する測定演算子、φ(I)はスパース性(sparsity)を促進する正則化器、αは正則化パラメータ、∥.∥はL2ノルム、I=I(x,y,λ)はデータキューブである。
【0040】
プロセッサはさらに、第3検出器からの出力を、第1および第2検出器からの出力と共同で処理して、データキューブを決定するように構成してもよい。こうした実施形態では、プロセッサは、下記フォームの最小化問題を解くように構成してもよい。
【0041】
【0042】
ここで、S1は第1検出器によって検出された信号、S2は第2検出器によって検出された信号、S3は第3検出器によって検出された信号、k1とk2とk3は重み係数、ο1とο2とο3はエンコーダと第1および第2分散エレメントとビームスプリッタに依存する測定演算子、φ(I)はスパース性(sparsity)を促進する正則化器、αは正則化パラメータ、∥.∥はL2ノルム、I=I(x,y,λ)はデータキューブである。
【0043】
本開示の第2態様によれば、ハイパースペクトル画像取得方法が提供される。該方法は、シーン(場面)からライトフィールドを受信するステップと、ライトフィールドを変換して、異なる空間パターンを有する第1および第2符号化ライトフィールドを提供するステップと、第1および第2符号化ライトフィールドにそれぞれスペクトル剪断を適用して、第1および第2剪断ライトフィールドを提供するステップと、第1および第2剪断ライトフィールドをそれぞれ検出して、検出データを提供するステップと、検出データを処理して、シーンのハイパースペクトル画像に対応するデータキューブを決定するステップと、を含む。
【0044】
いずれかの態様の特徴(任意の特徴を含む)は、必要に応じて、いずれか他の態様の特徴と組み合わせてもよい。第1態様のイメージング装置を参照して説明した特徴は、第2態様の方法(例えば、この方法は、シングルショット等からデータキューブを取得できる)の方法で使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
一例としてだけ図面を参照して、例示の実施形態を説明する。
【
図1】本開示の一実施形態に係るハイパースペクトルイメージング装置の概略図である。
【
図2】他の実施形態に係るハイパースペクトルイメージング装置の概略図である。
【0046】
図は、概略的であり、縮尺どおりに描かれていないことに留意すべきである。同じ参照符号は、一般に、修正され異なる実施形態において対応または類似の特徴を参照するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本開示の一実施形態に係るハイパースペクトルイメージング装置100を示す。ハイパースペクトルイメージング装置100は、シングルショットのハイパースペクトルイメージングが可能である。ハイパースペクトルイメージング装置100は、シーン(場面)106からライトフィールド104を受信する入力102と、エンコーダ108と、第1分散エレメント110および第2分散エレメント112と、第1アレイ検出器114および第2アレイ検出器116と、プロセッサ118と、を備える。
【0048】
入力部102は、アパーチャ(開口部)(例えば、スリット)を備えてもよく、シーンからの光をエンコーダ108に向けるように構成される。
【0049】
エンコーダ108は、入力からライトフィールド104の少なくとも一部を受信し、それを変換して、相補的なバイナリ空間パターンを有する第1および第2符号化ライトフィールド120,122を提供するように構成される。エンコーダ108は、第1方向120または、第1の方向120とは異なる第2方向122のいずれかに光を向ける反射エレメント(例えば、ミラー)のアレイを含むバイナリエンコーダでもよい。例えば、エンコーダ108は、複数の第1タイプの反射エレメントと、複数の第2タイプの反射エレメントとで構成してもよい。類似した(例えば、等しい)数の第1および第2タイプの反射エレメントが存在してもよいが、これは必須ではない。第1タイプのエレメントは、エンコーダ108に入射する光を第1方向120に反射するように構成してもよい。第2タイプのエレメントは、エンコーダ108に入射する光を第2方向122に反射するように構成してもよい。第1方向120に反射した光は、第1符号化ライトフィールドを含み、第2方向に反射した光は、第2符号化ライトフィールドを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、反射エレメントは、固定してもよい(例えば、エンコーダ108は、固定ミラーアレイを備えてもよい)。他の実施形態では、第1および第2タイプの反射エレメントのパターンは、再構成可能でもよい。例えば、エンコーダ108は、可動マイクロミラーのアレイ、例えば、デジタルマイクロミラーデバイス(第1角度位置と第2角度位置との間で迅速に移動可能である)を含んでもよい。再構成可能なエンコーダ108は、好都合であり、理由は、相対的にゆっくりと変化するシーンに関する追加的情報が、異なる符号化パターンを使用することによって得られ、そして得られたデータを組み合わせて、ハイパースペクトルイメージキューブ(即ち、1つより多いショットを用いて)が得られるためである。
【0051】
他の実施形態では、エンコーダ108は完全に反射性でなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ビームスプリッタを使用して、光を第1アパーチャアレイに提供し、光を、第1アレイに相補的な第2アパーチャアレイに提供してもよい。この種の実施形態におけるエンコーダは、第1アパーチャアレイおよび第2アパーチャアレイを備える。いくつかの実施形態では、部分反射型エンコーダを使用してもよい。入射光のある割合(例えば、50%)が符号化されて透過し、入射光のある割合が符号化されて反射される。
【0052】
図1に戻って、第1および第2分散エレメント110,112は、第1および第2スペクトル剪断を第1および第2符号化ライトフィールドにそれぞれ適用して、第1剪断ライトフィールド124および第2剪断ライトフィールド126を提供するように構成される。分散エレメント110,112は、回折格子などの反射分散エレメントを含んでもよいが、任意の分散エレメント(透過分散エレメントを含む)が使用できる。第1および第2スペクトル剪断は、異なる(例えば、正および負)ことが好都合であるが、これは必須ではない。
【0053】
第1および第2分散エレメント110,112は、湾曲した回折格子でもよく、第1および第2剪断ライトフィールドを個々の検出器に結像するように構成される。他の実施形態では、第1および第2分散エレメント110,112は、平坦な回折格子および集光エレメント(例えば、レンズまたはミラー)をそれぞれ備えてもよく、集光エレメントは、剪断ライトフィールドを検出器に結像するように構成される。
【0054】
第1および第2アレイ検出器114,116は、第1および第2剪断ライトフィールドをそれぞれ検出するように構成される。プロセッサ118は、第1および第2検出器114,116からの出力を処理して、シーンのハイパースペクトル画像に対応するデータキューブ128を決定するように構成される。
【0055】
2つの剪断ライトフィールド124,126は、下記のように表現できる。
【0056】
【0057】
ここで、添字1,2は、それぞれ第1および第2剪断ライトフィールドを表し、係数aは、系統的な収差およびフィルタリングを表し、係数cは、個々の分散エレメントからの分散を表す。なお、係数c1,c2は、反対の符号を有してする必要はない。Iは、入力データキューブI(x,y,λ)を表す。
【0058】
ハイパースペクトルデータキューブ128の再構成は、プロセッサ118によって実行してもよい。データ取得プロセスは、下記のように表現できる。
【0059】
【0060】
ここで、sは、個々の検出器で検出された信号であり、係数kは、信号間の強度差を均衡させるスケーリング係数であり、「o」は、信号の測定演算子を表す。圧縮センシングフレームワーク内の画像再構成は、最小化問題を解くことによって実行できる。
【0061】
【0062】
ここで、φ(I)はスパース性(sparsity)を促進する正則化器、αは正則化パラメータ、∥.∥はL2ノルム、I=I(x,y,λ)はデータキューブである。
式(4)で提起された最小化問題は、既存の方法(例えば、TwIST、LASSO、ウェーブレットデコンボリューション(逆畳み込み)など)を用いて解くことができる。
【0063】
2つの検出器を用いた相補的な符号化方式の使用により、入射光が無駄にならずに、シングルショットのハイパースペクトル画像が取得でき、ハイパースペクトルデータキューブの効率的な断層再構成が可能になる。理由は、第1および第2検出器で検出された光の符号化が相補的であるためである。
【0064】
図2は、更なる実施形態200を示し、ビームスプリッタ130も設けている。さらに、レンズ134,136が含まれている(その全ては符号付けしていない)。
図1における同一の符号を持つエレメントの説明は、
図2にも同様に適用可能である。
【0065】
ビームスプリッタ130は、ライトフィールド104を第1部分104aと第2部分104bとに分割する。第2部分104bはエンコーダ108に向けられ、一方、第1部分104aは第3アレイ検出器132に向けられる。第3アレイ検出器132は、直接画像(即ち、各x,y画素位置における全スペクトル範囲に渡る未剪断画像からの強度の和)を取得するように構成できる。第3検出器で検出された信号は、下記のように表現できる。
【0066】
【0067】
追加の第3検出器を用いたデータ取得処理は、下記のように表現できる。
【0068】
【0069】
画像データキューブの再構成は、最小化問題を解くことによって実行できる(これは式(4)に類似した表記を使用する)。
【0070】
【0071】
図2の実施形態では、集光レンズ134を示しており、これは入力102からの光をエンコーダ108および第3検出器132に集光する。こうした集光レンズはまた、
図1の実施形態でも使用でき、光をエンコーダ108に集光できる。屈折レンズを示しているが、反射器を含む集光エレメントを代替的に使用してもよい。
【0072】
直接画像を取得する第3検出器の追加により、ハイパースペクトルデータキューブの再構成のための更なる情報を提供する。この直接画像はまた率直に、出力データキューブと視覚的に比較して、これが正しいという信頼性を提供する。
【0073】
また、
図2には、エンコーダ108から第1および第2アレイ検出器114,116への光路の各々について2つの集光レンズ136が示される。類似のレンズ構成は、
図1の実施形態においても使用できる。エンコーダ108と第1分散エレメント110との間のレンズが、エンコーダ108からの光を第1分散エレメント110にコリメートする。第1分散エレメント110と第1アレイ検出器114との間の更なるレンズ136が、第1回折素子110からの光を第1アレイ検出器114に集光する。同様の構成が、他方の検出経路(第2アレイ検出器116に通じる)について使用される。
【0074】
好ましくは、レンズは、焦点距離f2で一致しており、そのため分散エレメント110,112からエンコーダ108およびアレイ検出器114,116までの距離は同じである(エンコーダと分散エレメントとの間の途中、および分散エレメントと第1アレイ検出器との間の途中に配置されたレンズとともに)。
【0075】
屈折レンズを
図2の例示的な実施形態で示しているが(容易に入手可能であり、コンパクトで低コストでできる)、代わりに反射エレメントを使用でき、これは、不要な分散を導入しない傾向がある点で好都合となり得る。
【0076】
図3は、ハイパースペクトルイメージング装置300の他の実施形態を示す。
図1および
図2における同一または類似の参照符号を備えた要素の説明は、
図3に等しく適用可能である。ハイパースペクトルイメージング装置300は、シーン106からのライトフィールド104を受信する入力102と、エンコーダ308と、第1分散エレメント310および第2分散エレメント312と、第1アレイ検出器114、第2アレイ検出器116および第3アレイ検出器132と、プロセッサ118とを備える。ハイパースペクトルイメージング装置300は、上述したハイパースペクトルイメージング装置100,200と同じ原理を用いて動作するが、反射コンポーネントではなく透過コンポーネントを利用する。透過コンポーネントの使用は、反射コンポーネント(例えば、デジタルマイクロミラーデバイス、ビームスプリッタおよび反射型回折格子)の使用を回避することによって、ハイパースペクトルイメージング装置300のより容易な小型化(および潜在的に低減されたコスト)を可能にでき、特に圧縮断層撮影(トモグラフィー)を行う場合である。
【0077】
図示した実施形態では、ハイパースペクトルイメージング装置300は、シーン106から個々のアレイ検出器114,116,132への別々の離散的な第1撮像経路301a、第2撮像経路301b、第3撮像経路301cを含む。図示した実施形態では、離散的な撮像経路301a,301b,301cは、互いに平行であり、ビームスプリッタの必要性を回避しており、これによりハイパースペクトルイメージング装置300の小型化をさらに容易にできる。各撮像経路301a,301b,301cに沿った入力102からの矢印の方向は、本来は概略的であり、ハイパースペクトルイメージング装置300を通る光の物理的経路を必ずしも図示していない。
【0078】
エンコーダ308は、第1エンコーダ部308aと、第2エンコーダ部308bとを備える。第1エンコーダ部308aは、第1分散エレメント310および第1アレイ検出器314と連動して第1離散撮像経路301aの一部として動作する。図示した実施形態では、撮像レンズ340aが、入力102と第1エンコーダ部308aとの間に設置され、リレーレンズ342aが、第1エンコーダ部308aと第1分散エレメント310との間に設置される。他の実施形態では、撮像レンズ340aおよびリレーレンズ342aは省略してもよい。同様に、第2エンコーダ部308bは、第2分散エレメント312および第2アレイ検出器116と連動して第2離散撮像経路301bの一部として動作する。図示した実施形態では、撮像レンズ340bが、入力部102と第2エンコーダ部308bとの間に設置され、リレーレンズ342bが、第2エンコーダ部308bと第2分散エレメント312との間に設置される。他の実施形態では、撮像レンズ340bおよびリレーレンズ342bは省略してもよい。
【0079】
第1エンコーダ部分108aおよび第2エンコーダ部分108bは、入力102からライトフィールド104の少なくとも一部を受信し、それを変換して、個々の第1符号化ライトフィールド120および第2符号化ライトフィールド122を提供するようにそれぞれ構成される。第1符号化ライトフィールド120および第2符号化ライトフィールド122は、異なる空間パターンを有する。図示した実施形態では、第1エンコーダ部分308aおよび第2エンコーダ部分308bは、透過型エンコーダ、例えば、アパーチャまたはマスクの第1アレイおよび第2アレイである。いくつかの実施形態では、第1エンコーダ部分308aおよび第2エンコーダ部分108bは互いに相補的であり、相補的な空間パターンを含む第1符号化ライトフィールド120および第2符号化ライトフィールド122を生成するが、これは必須ではない。
【0080】
第1分散エレメント110および第2分散エレメント112は、第1および第2スペクトル剪断を第1符号化ライトフィールド120および第2符号化ライトフィールド122にそれぞれ適用して、第1剪断ライトフィールド124および第2剪断ライトフィールド126を提供するように構成される。図示した実施形態では、第1分散エレメント110および第2分散エレメント112は、それぞれ透過性分散エレメント、例えば、透過型回折格子である。第1および第2スペクトル剪断は、異なる(例えば、正および負)ことが好都合であるが、これは必須ではない。
【0081】
第1アレイ検出器114および第2アレイ検出器116は、第1剪断ライトフィールド124および第2剪断ライトフィールド126をそれぞれ検出するように構成される。プロセッサ118は、第1検出器116および第2検出器116からの出力を処理して、シーンのハイパースペクトル画像に対応するデータキューブ128を決定するように構成される。プロセッサ118は、上述した式(1)~(7)に従ってハイパースペクトルデータキューブを再構成できる。
【0082】
第3離散撮像経路301cは、入力から、シーン106の直接画像を提供する第3アレイ検出器132に延びており、ハイパースペクトルデータキューブ128の再構成のための更なる情報を提供する。直接画像は、率直に出力データキューブ128と視覚的に比較して、データキューブ128が正しいという信頼性を提供する。図示した実施形態では、撮像レンズ340cが、入力102と第3アレイ検出器132との間に設置される。いくつかの実施形態では、撮像レンズ340cは省略してもよい。いくつかの実施形態では、第3撮像経路301cは存在しなくてもよく、あるいは利用しなくてもよい。
【0083】
図4は、ハイパースペクトルイメージング装置400の更なる実施形態を示す。ハイパースペクトルイメージング装置400は、上述したハイパースペクトルイメージング装置300と実質的に類似しているが、撮像レンズおよびリレーレンズは図示していない。
【0084】
ハイパースペクトルイメージング装置400はさらに、スペクトルエンコーダ440を備える。スペクトルエンコーダ440は、それぞれ第1アレイ検出器114および第2アレイ検出器116による検出前に、第1剪断ライトフィールド124および第2剪断ライトフィールド126をスペクトル的に符号化するように構成される。図示した実施形態では、スペクトルエンコーダ440は、第1撮像経路301aおよび第2撮像経路301bに個々の分散エレメント310,312の後に配置される。図示した実施形態では、エンコーダ308と同様に、スペクトルエンコーダ440は、第1剪断ライトフィールド124をスペクトル的に符号化するように構成された第1スペクトルエンコーダ部440aと、第2剪断ライトフィールド126をスペクトル的に符号化するように構成された第2スペクトルエンコーダ部440bとを備える。第1スペクトルエンコーダ部440aは、第1撮像経路301aの一部として動作し、一方、第2スペクトルエンコーダ部440bは、第2撮像経路301bの一部として動作する。いくつかの実施形態では、第1スペクトルエンコーダ部440aおよび第2スペクトルエンコーダ部440bは互いに相補的であるが、これは必須ではない。
【0085】
図示した実施形態では、スペクトルエンコーダ440は、透過型エンコーダ、例えば、1つ以上のアパーチャのアレイである。上述したように、透過コンポーネントの使用により、ハイパースペクトルイメージング装置400のより容易な小型化を可能にする。他の実施形態では、スペクトルエンコーダは、反射型エンコーダ、例えば、デジタルマイクロミラーデバイスでよい。
【0086】
上述したハイパースペクトルイメージング装置300は、エンコーダ308を用いて空間ドメインでのみ符号化する。スペクトルエンコーダ440は、エンコーダ308と連動して、ハイパースペクトルイメージング装置400が、空間ドメインおよびスペクトルドメインの両方で符号化することを可能にする。符号化の追加の自由度により、データキューブ128のサンプリングにおける高度のインコヒーレンス(ランダム性/直交性)を許容にし、再構築を改善できる。
【0087】
代替として、スペクトルエンコーダ440をエンコーダ308(ハイパースペクトルイメージング装置400から省略できる)とは独立して使用し、スペクトル符号化のみを提供してもよい。また、スペクトルエンコーダ(例えば、スペクトルエンコーダ440)が上述したハイパースペクトルイメージング装置100,200に実装できることも理解されよう。スペクトルエンコーダは、単一のスペクトルエンコーダとして、または複数のスペクトルエンコーダ部分として実装できる。例えば、第1符号化ライトフィールド120および第2符号化ライトフィールド122(その結果、第1剪断ライトフィールド124および第2剪断ライトフィールド126)が時間的に分離している場合、単一のスペクトルエンコーダ440を採用して、第1剪断ライトフィールド124および第2剪断ライトフィールド126をスペクトル的に符号化できる。
【0088】
上述した実施形態では、符号化および分散は、2つの離散的な別個のコンポーネント、即ち、エンコーダ108,308および少なくとも1つの分散エレメント110,112,310,312によって実行される。
図5は、ハイパースペクトルイメージング装置500の実施形態を示す。ハイパースペクトルイメージング装置500は、
図3および
図4に示す実施形態と類似する。
【0089】
しかしながら、
図5に示す実施形態では、エンコーダ308および少なくとも1つの分散エレメント310,312は、単一のコンポーネントに集積される。単一のコンポーネントは、集積された符号化および分散エレメント550である。集積された符号化および分散エレメント550は、ともに符号化および剪断された第1ライトフィールド552および第2ライトフィールド554を提供する。事実上、集積された符号化および分散エレメント550は、第1符号化ライトフィールド120および第1剪断ライトフィールド124の両方を単一の第1符号化および剪断ライトフィールド552を提供し(対応して、第2符号化ライトフィールド122および第2剪断ライトフィールド126を単一の第2符号化および剪断ライトフィールド554として提供する)。
【0090】
図示した実施形態では、第1撮像経路301a上の第1エンコーダ部308aおよび第1分散エレメント310は、第1集積された符号化および分散エレメント550aによって置換されている(対応して、第2撮像経路301b上の第2エンコーダ部308bおよび第2分散エレメント312は、集積された符号化および分散エレメント550bによって置換される)。
【0091】
図示した実施形態では、集積されたエンコーダおよび分散エレメント550は、透過コンポーネントである。いくつかの実施形態では、集積された符号化および分散エレメント550は、分散エレメント(例えば、透過型回折格子のような回折格子)を含んでもよく、その上に符号化パターンが配置される(例えば、リソグラフィプロセスを用いて)。
【0092】
集積された符号化および分散エレメント550は、ハイパースペクトルイメージング装置500の離散撮像経路301a,301b内のビーム経路を短縮し、これによりハイパースペクトルイメージング装置500のより容易な小型化を可能にする。
【0093】
必要に応じて、上述したスペクトルエンコーダ440などのスペクトルエンコーダが、空間ドメインおよびスペクトルドメインの両方で符号化するために、集積された符号化および分散エレメント550と共に使用してもよい。
【0094】
添付の請求項は、特定の特徴の組合せに関連しているが、請求項に現時点で記載されているものと同じ発明に関連するか否か、および本発明と同じ技術的課題のいずれかまたは全てを軽減するか否かに拘らず、本発明の開示の範囲は、ここで開示された任意の新規な特徴または任意の新規な特徴の組合せを、明示的または暗示的に、またはそのいずれかの一般化を含むことを理解すべきである。
【0095】
別々の実施形態の文脈で説明される特徴はまた、単一の実施形態において組合せで提供されてもよい。逆に、簡潔さのために、単一の実施形態に関連して説明された種々の特徴が、別個に、または任意の適切なサブコンビネーションで提供されてもよい。本出願人は、本願またはそれに由来する任意の更なる出願の審査中に、こうした特徴および/またはこうした特徴の組合せに対して新しい請求項を編成できることを予告する。
【0096】
完全性のために、用語「備える、含む(comprising)」は、他のエレメントまたはステップを除外せず、用語「a」または「an」は、複数を除外せず、請求項における参照符号は、請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことも宣言される。
【国際調査報告】