(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-07
(54)【発明の名称】2つ以上の刺激エネルギー供給を備えた電気刺激装置における電気エネルギーを制御する方法、及び刺激装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20221028BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515085
(86)(22)【出願日】2020-09-06
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 IB2020058294
(87)【国際公開番号】W WO2021044387
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522087420
【氏名又は名称】サルビア・バイオエレクトロニクス・ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】SALVIA BIOELECTRONICS B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 41,5656AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ショッベン
(72)【発明者】
【氏名】ヒューベルト・マルテンス
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・マルク・ヘー
(72)【発明者】
【氏名】クーン・ヴェイヤント
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ05
4C053JJ25
4C053JJ27
(57)【要約】
従来の装置は、生体組織にある程度の電荷を供給する場合があり、規制及び安全上の懸念を満たすために、刺激部位での残留電荷をゼロに維持するための対策が取られている。通常、物理的に大きなコンデンサが必要とされ、小型化が難しくなり、電極毎に1つのコンデンサが必要になるためコストが高くなる。組織刺激装置100を操作するための方法であって、装置が、第1刺激電極200と、電気エネルギーを1つ又は複数の電気刺激パルスとして第1刺激電極200に伝達するためのパルスエネルギーコントローラ500,510とを備え、パルスエネルギーコントローラ500,510が、第1パルス526,527,528,529,530,531として、第1刺激電極200に実質的に同時に電気エネルギーをそれぞれ供給し、かつ第2パルス526*,527*,528*,529*,530*,531*として、第1刺激電極200に別個に電気エネルギーをそれぞれ供給する、2つ以上の刺激エネルギー供給601,602,603,604をさらに備える、方法が提供される。各エネルギー供給をエネルギービルディングブロックと見なすことにより、刺激のより簡単な制御を提供することができ、これは必要に応じて選択することができる。このように電力供給を使用すると、非常に正確で非常に安定しているという必要性を低減できる。必要な機能を少なくすることで、電力供給設計のサイズ及びコストを削減できる。同じ供給を異なるパルスに使用することにより、より高い再現性を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺激装置(100)を操作する方法であって、
前記装置(100)が、
-使用中に、エネルギーを1つ又は複数の刺激パルスとしてヒト又は動物の組織に伝達するように構成された第1刺激電極(200)と、
-使用中に、電気エネルギーを1つ又は複数の電気刺激パルスとして前記第1刺激電極(200)に伝達するように構成及び配置されたパルスエネルギーコントローラ(500,510)と
を備え、
前記パルスエネルギーコントローラ(500,510)が、2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)をさらに備え、
前記方法が、
-第1パルス(526,527,528,529,530,531)として、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれから前記第1刺激電極(200)に実質的に同時に電気エネルギーを供給することと、
-第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)として、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれから前記第1刺激電極(200)に別個に電気エネルギーを供給することと
を備える、方法。
【請求項2】
前記方法が、
-予め決定された及び/又は制御された電圧、予め決定された及び/又は制御された電流、予め決定された及び/又は制御されたエネルギー、予め決定された及び/又は制御された電荷、予め決定された及び/又は制御された電力、並びにそれらの任意の組み合わせとして、電気エネルギーを提供するように、
-前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)を構成及び配置すること
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)及び前記第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)が実質的に異なる極性を有する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、
-前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)と実質的に同時に電気エネルギーを供給するように、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれを構成及び配置すること
を備える、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、
-前記第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)として実質的に連続して電気エネルギーを供給するように、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれを構成及び配置すること
を備える、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、
-パルスを陽極及び/又は陰極エネルギーパルスとして提供するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれを構成及び配置すること
を備える、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、
-実質的に同時に、少なくとも部分的に同時に、実質的に連続的に、少なくとも部分的に連続的に、前記パルス間の予め決定された及び/又は制御された時間間隔で、及びそれらの任意の組み合わせで、電気エネルギーを提供するように、
-前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれを構成及び配置すること
を備える、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、
-平均振幅比が1:2以下の前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)及び第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)を提供するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)を構成及び配置すること
を備える、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、
-実質的に同時に操作されることができるエネルギー供給(601,602,603,604)の数によって少なくとも部分的に決定される平均振幅比を有する前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)及び第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)を提供するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)を構成及び配置すること
を備える、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、
-第3パルス(575)として前記第1刺激電極(200)に電気エネルギーを別個に供給するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれを構成及び配置すること
を備える、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、
-前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)とは実質的に異なる極性を有する前記第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)及び第3パルス(590)を提供するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)を構成及び配置すること
を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、
-それらの間に予め決定された及び/又は制御された時間間隔を有する前記第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)及び第3パルス(590)を提供し、かつ
-前記時間間隔中に前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)を提供するように、
-前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)の構成及び配置すること
を備える、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、
-伝達される実効電荷が実質的にゼロになるように実質的に反対の極性のエネルギーパルスを提供するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれを構成及び配置すること
を備える、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記装置(100)が、
-1つ又は複数のリターン電極(400)
をさらに備え、
前記方法が、
-使用中に、前記第1刺激電極(200)に関して対応する電気的リターンを提供するように、前記1つ又は複数のリターン電極(400)を構成すること
をさらに備える、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
装置(100)が、
-1つ又は複数のリターン電極(400)と直列に電気的に接続された1つ又は複数のDC遮断コンデンサ(425)
をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、
-1つ又は複数のパルス(526,527,528,529,530,531,526*,527*,528*,529*,530*,531*)を提供した後に、前記第1刺激電極(200)を1つ又は複数のリターン電極(400)に電気的に短絡するように、前記装置(100)を構成及び配置すること
を備える、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
-複数のポリマー層と1つ又は複数の相互接続層(250)とを有する可撓性基板(300)を備える細長いインプラント可能な遠位端
を備える刺激装置(100)であって、
前記基板(300)が、
-使用中に、エネルギーを1つ又は複数の刺激パルスとしてヒト又は動物の組織に伝達するように構成された第1刺激電極(200)と、
-前記第1刺激電極(200)に近接しているとともに、使用中に、前記第1刺激電極(200)に関して対応する電気的リターンを提供するように構成された1つ又は複数のリターン電極(400)
をさらに備え、
前記刺激装置(100)が、
-使用中に、電気エネルギーを1つ又は複数の電気刺激パルスとして前記1つ又は複数の相互接続層(250)を通して前記第1刺激電極(200)に伝達するように構成及び配置されたパルスエネルギーコントローラ(500,510)を備える近位端
をさらに備え、
-第1パルス(526,527,528,529,530,531)として、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれから前記第1刺激電極(200)に実質的に同時に電気エネルギーを供給し、かつ
-第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)として、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれから前記第1刺激電極(200)に別個に電気エネルギーを供給する
ように構成及び配置された2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)を前記パルスエネルギーコントローラ(500,510)がさらに備える、
刺激装置(100)。
【請求項18】
前記細長いインプラント可能な遠位端に備えられる前記基板(300)が、約0.25mmの最大厚さを有する、
請求項17に記載の刺激装置。
【請求項19】
前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)及び第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)が実質的に異なる極性を有する、
請求項17又は18に記載の刺激装置。
【請求項20】
前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)と実質的に同時に電気エネルギーを供給するように、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれが構成及び配置されている、
請求項17から19までのいずれか1項に記載の刺激装置。
【請求項21】
前記第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)として実質的に連続して電気エネルギーを供給するように、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれが構成及び配置されている、
請求項17から20までのいずれか1項に記載の刺激装置。
【請求項22】
実質的に同時に操作されるエネルギー供給(601,602,603,604)の数によって少なくとも部分的に決定される平均振幅比を有する前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)及び第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)を提供するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)が構成及び配置されている、
請求項17から21までのいずれか1項に記載の刺激装置。
【請求項23】
第3パルス(575)として前記第1刺激電極(200)に電気エネルギーを別個に供給するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれが構成及び配置されている、
請求項17から22までのいずれか1項に記載の刺激装置。
【請求項24】
前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)とは実質的に異なる極性を有する前記第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)及び第3(590)パルスを提供するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)が構成及び配置されている、
請求項23に記載の刺激装置。
【請求項25】
前記装置(100)が、
-1つ又は複数のリターン電極(400)と直列に電気的に接続された1つ又は複数のDC遮断コンデンサ(425)
をさらに備える、請求項17から24までのいずれか1項に記載の刺激装置。
【請求項26】
1つ又は複数のパルス(526,527,528,529,530,531,526*,527*,528*,529*,530*,531*)を提供した後に、前記第1刺激電極(200)を1つ又は複数のリターン電極(400)に電気的に短絡するように、前記装置(100)がさらに構成及び配置されている、
請求項17から25までのいずれか1項に記載の刺激装置。
【請求項27】
-1つ又は複数の神経、1つ又は複数の筋肉、1つ又は複数の臓器、脊髄組織、及びそれらの任意の組み合わせ
を刺激するための、請求項17から26までのいずれか1項に記載の前記装置の使用。
【請求項28】
-頭痛、原発性頭痛、失禁、後頭神経痛、睡眠時無呼吸、高血圧、胃食道逆流症、炎症性疾患、四肢痛、脚痛、背中の痛み、腰痛、幻痛、慢性痛、てんかん、過活動性膀胱、脳卒中後の痛み、肥満、及びそれらの任意の組み合わせ
の治療のための、請求項17から26までのいずれか1項に記載の前記装置の使用。
【請求項29】
前記方法が、
-1つ又は複数の神経、1つ又は複数の筋肉、1つ又は複数の器官、脊髄組織、及びそれらの任意の組み合わせを刺激するための前記刺激装置(100)を構成及び配置すること
をさらに備える、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、
-頭痛、原発性頭痛、失禁、後頭神経痛、睡眠時無呼吸、高血圧、胃食道逆流症、炎症性疾患、四肢痛、脚痛、背中の痛み、腰痛、幻痛、慢性痛、てんかん、過活動性膀胱、脳卒中後の痛み、肥満、及びそれらの任意の組み合わせの治療のための刺激装置(100)の構成及び配置すること
をさらに備える、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気刺激を提供するための電気刺激装置を操作する方法、及び刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気刺激システムを使用して、頭痛、腰痛及び失禁等の様々な症状又は状態を治療するために、患者に電気刺激療法を提供することができる。システムは、1つ又は複数の装置を含む場合があるとともに、少なくとも部分的にインプラント可能な場合がある。
【0003】
多くの電気刺激用途では、典型的には治療用リード(リードは刺激電極及び相互接続を備える)を備える刺激装置が、可能な限り安全に電気刺激を提供することが望ましい。従来の装置は、ある程度の電荷を生体組織に供給する場合があり、規制及び安全上の懸念を満たすために、刺激部位での残留電荷を実質的にゼロに維持するための対策が取られている。
【0004】
最も一般的な解決策は、各刺激電極と直列にDC遮断コンデンサを含めることである。これにより、電極を流れる連続電流(DC)のリスクを減少させ、連続電流成分を実質的に完全に遮断するか、又はそれを無視できるレベルにまで減少させる。通常、遮断コンデンサには物理的に大きなコンデンサが必要とされ、小型化が難しくなり、電極毎に1つのコンデンサが必要になるためコストが高くなる。
【0005】
下記の特許文献1は、電極を使用して神経調節部位に多位相場を生成することについて説明している。第1極性電荷が標的領域に注入されるとともに、第1極性電荷と反対の第2極性電荷が標的領域以外の神経調節部位の部分に注入されて、標的領域で第1極性電荷の少なくとも一部を維持する一方で、注入された第1極性電荷を本質的に中和する。
【0006】
下記の特許文献2は、医療機器を備える電気刺激装置について説明している。医療機器は、少なくとも1つの導電性領域を有するハウジング構成要素、遠位電極アレイに電気的に結合されるように構成された複数の導体、及び制御可能な複数の刺激チャネルを備えた刺激回路を含む。刺激チャネルの第1サブセットは、導体に電気的に結合されている。刺激チャネルの第2サブセットは、ハウジング構成要素の導電性領域に電気的に結合されている。刺激回路は、電極アレイ内の第1刺激経路と、電極アレイからハウジング構成要素まで延びる第2刺激経路とを同時に作成するように動作可能である。
【0007】
下記の特許文献3は、インプラント可能なシステムを備える患者用の医療装置について説明している。システムはインプラント可能な第1装置を有しており、第1装置は、患者の組織に刺激エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つのインプラント可能な機能要素と、少なくとも1つのインプラント可能な機能要素に刺激波形を提供するように構成されたインプラント可能なコントローラとを有しており、刺激波形は1つ又は複数の刺激パラメータを備えている。医療装置は、1つ又は複数の刺激パラメータのうちの少なくとも1つをランダムに変化させるように構成されている。刺激パラメータもランダムに変化されてもよい。
【0008】
下記の特許文献4は、複数の電極、インプラント可能なパルス発生器(IPG)内にある独立してプログラム可能な複数の刺激チャネルを含み、これら刺激チャネルが、同時にユニークな刺激場を提供することができ、仮想電極を実現することを可能にする、脊髄刺激(SCS)システムについて説明している。リアルタイムクロックは、毎日の刺激のための自動実行スケジュールを提供できる。双方向テレメトリリンクは、IPGバッテリーの充電状態を含むシステムのステータスを患者又は臨床医に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0110992号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2540340号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2019/0001139号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0062883号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、それほど複雑でないハードウェアで実行され得る単純化された制御方法で高度の電荷平衡を提供する改良された刺激装置を提供することである。特に、場合によっては、それほど複雑でないハードウェアをより容易に小型化できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一般的な声明
本開示の第1態様によれば、組織刺激装置を操作する方法であって、装置が、使用中、エネルギーを1つ又は複数の刺激パルスとしてヒト又は動物の組織に伝達するように構成された第1刺激電極と、使用中に、電気エネルギーを1つ又は複数の電気刺激パルスとして第1刺激電極に伝達するように構成及び配置されたパルスエネルギーコントローラとを備え、パルスエネルギーコントローラが、2つ以上の刺激エネルギー供給をさらに備え、方法が、第1パルスとして、2つ以上の刺激エネルギー供給のそれぞれから第1刺激電極に実質的に同時に電気エネルギーを供給することと、第2パルスとして、2つ以上の刺激エネルギー供給のそれぞれから第1刺激電極に別個に電気エネルギーを供給することとをさらに備える、方法が提供される。
【0012】
各エネルギー供給をエネルギービルディングブロックと見なすことにより、刺激のより簡単な制御を提供することができ、これは必要に応じて選択することができる。このように電力供給を使用すると、非常に正確で非常に安定しているという必要性を低減できる。それらが供給している電荷は、正確に予め決定される及び/又は制御される必要さえない。-最小要件は、少なくとも1つのパルスサイクルにわたってそれらが比較的一定であるということである。必要な機能を少なくすることによって、電力供給設計のサイズ及びコストを削減できる。パルスエネルギーコントローラは、エネルギー遮断が適用されるインスタンス、エネルギーがどの電極に適用されるか、及び極性を選択するように構成及び配置することができる。
【0013】
同じ供給を異なるパルスに使用することによって、より高い再現性を提供することができる。これは、複数の治療サイクルにわたる組織適用量が監視されるアプリケーションで有利な場合がある。-従来のシステムでは、実際の電流及び/又は電圧の測定が好ましい場合がある。しかしながら、より再現性の高いパルスでは、監視を、使用されている供給及び各供給が使用される回数に限定しても十分な場合がある。
【0014】
本開示の更なる態様によれば、予め決定された及び/又は制御された電圧、予め決定された及び/又は制御された電流、予め決定された又は制御されたエネルギー、予め決定された及び/又は制御された電荷、予め決定された及び/又は制御された電力、並びにそれらの任意の組み合わせとして、電気エネルギーを提供するように、2つ以上のエネルギー供給が構成及び配置される方法が提供される。
【0015】
電流、電圧、エネルギー、電力、電荷、線量管理、及びそれらの任意の組み合わせ等の、任意の便利なタイプの電気制御が使用されてよい。
【0016】
本開示のさらに別の態様によれば、第1及び第2パルスが実質的に異なる極性を有する方法が提供される。追加的又は代替的に、パルスを陽極及び/又は陰極エネルギーパルスとして提供するように、2つ以上のエネルギー供給のそれぞれが構成及び配置される方法が提供され得る。
【0017】
電荷平衡の場合、パルスは反対の極性を有するべきである。従来、組織の刺激は、刺激に陰極パルスを採用し、電荷中和(電荷平衡とも呼ばれる)に陽極パルス(反対の極性)を採用していた。2つ以上の供給を使用することによって、各供給のエネルギー出力は、実質的に一定になるように構成及び配置されてよい。-両方のパルスに同じ供給が使用され、それらが例えば陰極パルスと陽極パルスの場合、陽極の電荷と陰極の電荷とが実質的に等しい。
【0018】
本質的に、同じエネルギービルディングブロックがサブパルスとして陽極パルスの少なくとも一部として適用されるとともに、同じエネルギービルディングブロックがサブパルスとして陰極パルスの少なくとも一部に適用される(但し、実質的に反対の極性を有する)ので、各パルスに同じ量のエネルギーが適用されてよい。各サブパルスは、別個の電力供給によって提供される、予め決定された及び/又は制御された振幅及び持続時間を有する。適用されるエネルギーは、より複雑で高価なハードウェア及び/又はソフトウェアを必要とせずに、本質的にバランスがとれている。特定のレベルの電荷を提供するようにエネルギー供給が構成及び配置されている場合、適用される電荷は、より複雑で高価なハードウェア及び/又はソフトウェアを必要とせずに、本質的にバランスがとれている。
【0019】
既知のソリューションと比較して、単純化された供給毎に比較的単純な極性切り替えを使用するハードウェア構成で、高度なバランスが達成される。
【0020】
本開示のさらに別の態様によれば、第1パルスとして実質的に同時に電気エネルギーを供給するように、2つ以上の刺激エネルギー供給のそれぞれが構成及び配置される方法が提供される。追加的又は代替的に、第2パルスとして実質的に連続して電気エネルギーを供給するように、2つ以上の刺激エネルギー供給のそれぞれが構成及び配置される方法が提供される。
【0021】
一般に、実質的に同時に、少なくとも部分的に同時に、実質的に連続的に、少なくとも部分的に連続的に、パルス間の予め決定された及び/又は制御された時間間隔で、及びそれらの任意の組み合わせで、電気エネルギーを提供するように、2つ以上のエネルギー供給のそれぞれが構成及び配置される方法が提供される。様々な時点で供給を切り替えることができる能力は、高度な制御を提供する。供給の使用を時間的に重複又は分離することによって、組み合わされた出力電圧、電流、電力、エネルギー又は線量も、予め決定され及び/又は制御されてよい。これにより、ランプ等の様々な形状の波形が使用されることができる場合がある。
【0022】
それらを第1パルスに対して実質的に同時に適用するとともに、実質的に非連続的に(又は実質的に連続して)適用することによって、第2パルスの平均振幅は第1パルスの平均振幅よりも小さい。第2パルスの平均振幅と第1パルスとの間の比率は、各エネルギー供給が適用されるインスタンス及び極性を決定することによって、予め決定され及び/又は制御されてよい。陰極パルスの場合、及び陽極パルスに対して実質的に非同時である場合、陽極パルスの平均振幅は、陰極パルスの平均振幅よりも実質的に小さい可能性がある。このより低い振幅は、例えば電極の腐食及び/又は神経疲労によって、治療効果が低下するリスクを低減する。
【0023】
本開示の別の態様によれば、平均振幅比が1:2以下の第1及び第2パルスを提供するように、2つ以上のエネルギー供給が構成及び配置される方法が提供される。
【0024】
平衡パルスの振幅を刺激パルスの振幅の半分未満に減らすことによって、治療効果が低下するリスクが大幅に減少する。それらを陰極パルスに対して実質的に同時に適用し、陽極パルスに対して実質的に非同時に適用することによって、陽極パルスの振幅は、陰極パルスの振幅の約半分であり得る。4つ以上の供給を使用すると、陽極パルスの振幅は陰極パルスの振幅の約4分の1になる場合があり、治療効果が維持される可能性が高くなる。
【0025】
本開示のさらに別の態様によれば、実質的に同時に操作されることができるエネルギー供給の数によって少なくとも部分的に決定される平均振幅比を有する第1及び第2パルスを提供するように、2つ以上のエネルギー供給が構成及び配置される方法が提供される。
【0026】
場合によっては、電力供給の数は、刺激パルスと平衡パルスの間の平均振幅のおおよその比率を示す簡単な方法を提供する。例えば、2つの供給で約2の比率が提供され得る。3つの供給で約3の比率が提供され得る。4つの供給で約4の比率が提供され得る。
【0027】
本開示の更なる態様によれば、第3パルスとして第1刺激電極に電気エネルギーを別個に供給するように、2つ以上のエネルギー供給のそれぞれが構成及び配置される方法が提供される。追加的又は代替的に、第1パルスとは実質的に異なる極性を有する第2及び第3パルスを提供するように、2つ以上のエネルギー供給が構成及び配置される方法が提供される。追加的又は代替的に、それらの間に予め決定された及び/又は制御された時間間隔を有する第2及び第3パルスを提供し、かつその時間間隔中に第1パルスを提供するように、2つ以上のエネルギー供給が構成及び配置される方法が提供される。
【0028】
追加のパルスが提供されてもよく、又はパルスの1つが1つ又は複数のサブパルスに分割されてもよい。本発明による2つ以上の供給を使用することにより、サブパルス間のエネルギーの分配が、より高度に予め決定され及び/又は制御され得る。例えば、平衡パルスを2つのサブパルス又はパルス部分に分離され得る。-1つのパルス部分は刺激パルスの前に提供され、もう1つのパルス部分は後に提供される。換言すると、それらの間に予め決定された及び/又は制御された時間間隔を有する2つの平衡パルス部分を提供すること。同様に、刺激パルスは、2つのサブパルス又はパルス部分に分離され得る。
【0029】
本開示の別の態様によれば、伝達される実効電荷が実質的にゼロになるように実質的に反対の極性のエネルギーパルスを提供するように、2つ以上のエネルギー供給のそれぞれが構成及び配置される方法が提供される。
【0030】
本開示のさらに別の態様によれば、装置が、1つ又は複数のリターン電極と直列に電気的に接続された1つ又は複数のDC遮断コンデンサをさらに備える方法が提供される。
【0031】
本開示のさらに別の態様によれば、1つ又は複数のパルスを提供した後に、1つ又は複数の刺激電極を1つ又は複数のリターン電極に電気的に短絡するように装置がさらに構成及び配置される方法が提供される。
【0032】
別の態様によれば、本明細書に開示される方法のいずれかに従って操作され得ることができる刺激装置が提供される。刺激装置は、複数のポリマー層と1つ又は複数の相互接続層とを有する可撓性基板を備える細長いインプラント可能な遠位端を備え、基板が、使用中に、エネルギーを1つ又は複数の刺激パルスとしてヒト又は動物の組織に伝達するように構成された第1刺激電極と、第1刺激電極に近接しているとともに、使用中に、第1刺激電極に関して対応する電気的リターンを提供するように構成された1つ又は複数のリターン電極とをさらに備え、刺激装置が、使用中に、電気エネルギーを1つ又は複数の電気刺激パルスとして1つ又は複数の相互接続層を通して第1刺激電極に伝達するように構成及び配置されたパルスエネルギーコントローラを備える近位端をさらに備え、第1パルスとして、2つ以上の刺激エネルギー供給のそれぞれから第1刺激電極に実質的に同時に電気エネルギーを供給し、かつ第2パルスとして、2つ以上の刺激エネルギー供給のそれぞれから第1刺激電極に別個に電気エネルギーを供給するように構成及び配置された2つ以上の刺激エネルギー供給をパルスエネルギーコントローラがさらに備える。
【0033】
さらに別の態様によれば、細長いインプラント可能な遠位端に備えられる基板が、約0.25mmの最大厚さを有する、刺激装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明のいくつかの実施形態の特徴事項及び利点、並びにそれが達成される方法は、好ましい例示的な実施形態を示す添付の図面(これは必ずしも正確な縮尺率で描かれているわけではない)と併せて取られる本発明の以下の詳細な説明を考慮すると、より容易に明らかになるであろう。
【0035】
【
図1A】
図1Aは、刺激装置のインプラント可能な遠位端の例を示している。
【
図1B】
図1Bは、刺激装置のインプラント可能な遠位端の例を示している。
【
図1C】
図1Cは、刺激装置のインプラント可能な遠位端の例を示している。
【
図2A】
図2Aは、電極に電気エネルギーを提供するのに適したパルスエネルギーコントローラの実施形態を概略的に示している。
【
図2B】
図2Bは、電極に電気エネルギーを提供するのに適したパルスエネルギーコントローラの実施形態を概略的に示している。
【
図3A】
図3Aは、二相性の陰極先行パルスの例を示している。
【
図3B】
図3Bは、二相性の陰極先行パルスの例を示している。
【
図4A】
図4Aは、二相性の陰極先行パルスの更なる例を示している。
【
図4B】
図4Bは、二相性の陰極先行パルスの更なる例を示している。
【
図5】
図5は、頭痛を治療するために刺激され得る神経の例を示す。
【
図6】
図6は、頭痛を治療するために刺激され得る神経の例を示す。
【
図7】
図7は、他の治療のために刺激され得る神経の例を示す。
【
図8】
図8は、二相性の陰極先行パルスの更なる例を示す。
【
図9】
図9は、平衡パルスが2つのパルス部分に分離される更なる代替案を示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明
以下の詳細な説明では、この開示を理解するのを助けるために、多くの非限定的な特定の詳細が与えられている。
【0037】
一般に、本明細書に記載の刺激装置は、刺激エネルギー源及びインプラント可能な端部を備えていてよい。-インプラント可能な端部は、1つ又は複数の刺激電極を備える。「インプラント可能な端部」は、刺激システムの少なくともこのセクションが、インプラントされるように構成及び配置されていることを意味する。任意選択で、刺激システムの残りのセクションの1つ又は複数もまた、インプラントされるように構成及び配置されていてよい。
【0038】
図1A、1B及び1Cは、以下を備える刺激装置100のインプラント可能な遠位端の第1実施形態を通る長手方向断面を示す:
-長手方向軸700に沿って配置された細長い基板300、基板は、実質的に平行な横平面700,720に沿って配置された第1表面310及び第2表面320を有する。図示のように、第1表面310は長手方向軸700及び第1横軸720を含む平面内にある。-第1横軸720は長手方向軸700に実質的に垂直である。図示のように、第1表面310の平面は断面図の平面に実質的に垂直である(紙面に実質的に垂直である)。基板300は、第2横軸750に沿った厚さ又は範囲を有している。-この第2横軸750は長手方向軸700及び第1横軸720の両方に実質的に垂直である。-図示のように、それは(紙面に沿って)図面の平面内にある。第1表面310は上面として示され、第2表面320は下面として示されている。
【0039】
様々なビューを明確にするために、軸には公称方向が与えられる:
-長手方向軸700は、左側の近位端(図示せず)から、ページの右側に示されている遠位端まで延び;
-第1横軸720は、図示のようにページ内に延び;及び
-第2横軸750は、図示のように下から上に延びている。
【0040】
例えば、細長い基板300は、エラストマー遠位端を含み得る。エラストマー遠位端は、シリコーンゴム、又は他の生体適合性で耐久性のあるポリマー、例えば、シロキサンポリマー、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテルウレタンウレア、ポリエステルウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、セルロースアセテート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、及びポリビニルアセテート等から構成される。LCP液晶ポリマーを含むポリマーの適切な例は、「Polymers for Neural Implants」、Hassler、Boretius、Stieglitz、Journal of Polymer Science: Part B Polymer Physics、2011、49、18-33(DOI10.1002/polb.22169)に記載されており、特に、表1は、ポリイミド(UBE U-Varnish-S)、パリレンC(PCSパリレンC)、PDMS(NuSil MED-1000)、SU-8(MicroChem SU-8 2000&3000シリーズ)、及びLCP(Vectra MT1300)の特性を示す参照としてここに含まれる。
【0041】
可撓性基板300はまた、下にある解剖学的特徴の輪郭にそれらが非常に密接に従うので好ましい。非常に薄い基板300は、向上した可撓性をそれらが有しているという追加の利点を有する。
【0042】
好ましくは、可撓性基板300は、LCP、パリレン及び/又はポリイミドを備える。LCPのものは、化学的及び生物学的に安定した熱可塑性ポリマーであり、小型で水分の浸透が少ない気密センサーモジュールを可能にする。
【0043】
有利には、LCPは、熱成形されてよく、複雑な形状が提供されることを可能にする。LCPの非常に薄くて非常に平らな部分が提供されてよい。形状を微調整するために、適切なレーザーを使用して切断してよい。例えば、50ミクロン(μm)から720ミクロン(μm)、好ましくは100ミクロン(μm)から300ミクロン(μm)の範囲の厚さ(第2横軸750に沿った範囲)のLCP基板300が使用されてよい。例えば、150μm(ミクロン)、100μm、50μm、又は25μmの値が提供されてよい。同様に、例えば、2mmから20mmの基板幅(第1横軸720に沿った範囲)がLCPを使用して提供され得る。
【0044】
室温では、LCPフィルムは鋼と同様の機械的特性を持っている。インプラント可能な基板300は、インプラントされるのに十分な強度、除去(外植)されるのに十分な強度、及びそれがインプラントされる解剖学的特徴及び/又は構造のあらゆる動きに追従するのに十分な強度でなければならないので、これは重要である。
【0045】
LCPは、ガス及び水の透過性が最も低いポリマー材料に属している。LCPのものは、それ自体に結合できるため、均質な構造の多層構造が可能になる。
【0046】
LCPのものとは対照的に、ポリイミドは熱硬化性ポリマーであり、多層基板の構築に接着剤が必要である。ポリイミドは、高い耐熱性と耐屈曲性を有する熱硬化性ポリマー材料である。
【0047】
LCPは、例えば、多層(図示せず)-換言すると25μm(ミクロン)の厚さのいくつかの層を有する基板を提供するために使用され得る。電気的相互接続層は、例えば金、銀、又は白金等の生体適合性金属による金属化等、PCB(プリント回路基板)業界の技術を使用した金属化によって提供されることもできる。電気めっきが使用され得る。これらの電気的相互接続層は、任意の電極に電気エネルギーを提供するために使用され得る。
【0048】
好ましくは、インプラントの問題の可能性を低減するために、細長い基板に低いアスペクト比が使用される。-例えば、高さ(第2横軸750に沿った厚さ又は範囲)と幅(第1横軸720に沿った範囲)との比が10より大きい(例えば高さ0.3mmで幅10mm等)。
【0049】
実質的に長方形の断面を有する基板300として図示されているが、正方形、台形等の他の断面を有する基板(及びリード)が使用されてよい。断面形状及び/又は寸法は、長手方向軸700に沿って変化してもよい。代替的に、基板は、実質的に円形(円、平坦化された円、スタジアム、楕円形及び長円形を含む)の横断面で使用されてよい。-これは管状又は円筒形として説明されることもある。
【0050】
図1に示される装置100の遠位端は、以下をさらに備える:
-第2表面320に備えられ、使用中に、(インプラント後に)エネルギーをヒト又は動物の組織に伝達するように構成された刺激電極200。この例では、それは電気エネルギーである。刺激電極200は、長手方向軸700に沿った長手方向範囲と、第1横軸720に沿った横方向範囲とを有し、横軸720は長手方向軸700に実質的に垂直であるとともに第2表面320に実質的に平行である。
【0051】
「第2表面に備えられ」とは、刺激電極200が、比較的薄く、第2表面320に取り付けられていることを意味する。電極200は、第2表面320内に埋め込まれてもよい。
【0052】
一般に、1つ又は複数の刺激電極200が設けられてよい。遠位端100に設けられる刺激電極200の数、寸法、及び/又は間隔は、治療に応じて選択及び最適化されてよい。-例えば、複数の電極200が設けられる場合、各電極200は、別個の刺激効果を提供することができ、同様の刺激効果又は選択は、効果が生成される組織に近接する1つ又は2つの電極200からなされ得る。電極200は、例えば金、銀、白金、イリジウム、及び/又は白金/イリジウム合金及び/又は酸化物等の導電性材料を備えていてよい。
【0053】
図1Bは、長手方向軸200に沿って細長い刺激電極200を示している。
図1A及び
図1Bでは長円形の断面が示唆されているが、例えば正方形、長方形、三角形、多角形、円形(circular)、楕円形、長円形、及び円形(round)等の任意の形状が使用されてよい。細長い電極(又はストリップ電極)が使用されてもよい。
【0054】
図1の装置の遠位端100は、さらに以下を備える:
-任意選択で、使用中に、1つ又は複数の刺激電極200に関して対応する電気的リターンを提供するように構成された1つ又は複数のリターン(又は接地)電極400。換言すると、電気的リターン400は、電気回路を閉じる。任意の適切な構成及び配置が提供され得る。追加的又は代替的に、以下のように1つ又は複数のリターン(接地)電極が設けられてよい:
-装置の遠位端100で、1つ又は複数の電極200に近接し;
-装置の近位端で、電気エネルギー源(図示せず、以下を参照)の近接し;
-第1表面310に備えられ;
-第2表面320に備えられ;
及びそれらの任意の組み合わせ。
【0055】
従来の刺激装置のいくつかの説明では、リターン電極は陽極(anode)と呼ばれることがある。従来、これはIPG(インプラント可能なパルス発生器:Implantable Pulse Generator)のハウジングを介して提供されてきた。刺激電極は、同様に陰極(cathode)と呼ばれることがある。
【0056】
1つ又は複数のリターン電極400は、例えば金、銀、白金、イリジウム、及び/又は白金/イリジウム合金及び/又は酸化物等の導電性材料を備えていてよい。
【0057】
インプラントに適した遠位端(又はリード)100は、例えば、15cmの長さにわたる12個の刺激電極を備えていてよい。刺激電極は、長手方向軸700に沿って6~8mm、及び第1横軸720に沿って3~5mm、従って約18~40平方ミリメートル(mm2)のオーダーの寸法を有していてよい。幅(第1横軸720に沿った範囲)4mmのストリップがリターン電極として提供される場合、長さ(長手方向軸700に沿った範囲)4.5~10mmもまた、18~40平方ミリメートル(mm2)の組織接触面積を提供する。
【0058】
図1の装置の遠位端100は、以下をさらに備える:
-電気エネルギーを電極200に提供するように構成された1つ又は複数の電気的相互接続250も設けられていてよい。それらは、第1表面310、第2表面320、表面310,320の間の基板、及びそれらの任意の組み合わせに含まれていてよい。
【0059】
追加的又は代替的に、基板300は、電気エネルギーを電極200に提供するための1つ又は複数の電気的相互接続層を備える多層であってよい。使用中、電気的相互接続は電力源(図示せず)に接続される。LCP多層が使用される場合、厚さ(第2横軸750に沿った基板300の範囲、又は第1表面310と第2表面320との間の垂直距離)は、通常、相互接続又は電極200を有しないセクションにおいて約150μm(ミクロン)であってよく、電極200を有するセクションにおいて250μmであってよく、及び電気的相互接続250を有するセクションにおいて180μmであってよい。多層が使用される場合、例えば、25μm(ミクロン)の電気的相互接続層が使用されてよい。
【0060】
図1Bは、
図1Aに示される装置のインプラント可能な遠位端100の第2表面320の図を示す。換言すると、第2表面320は、紙面に描かれ、(下から上に描かれる)長手方向軸700に沿ってあるとともに(左から右に描かれる)第1横軸720にある。第2横軸750は、ページ内に延びる。これは、(使用中に)刺激される動物又は人間の組織に面したビューである。第1表面310は、
図1Bに示されていないが、(ページ内への)第2横軸750に沿うより高い位置にあるとともに、図面の平面に実質的に平行でもある。
【0061】
基板300は、2つの範囲の間で(刺激装置の遠位端100の幅と見なされる)第1横軸720に沿って延びる。
【0062】
装置の遠位端100は、最初にトンネルを作成することによって、及び/又はインプラントツールを使用することによってインプラントされてよい。
【0063】
1つ又は複数のリターン電極400が
図1A及び1Cに示されているが、
図1Bには示されていない。
【0064】
装置の遠位端100のインプラント後に、使用中に、1つ又は複数のリターン電極400に加えられる電気的リターンに関して、刺激電極200に電気エネルギーを提供するように、エネルギー源が構成及び配置されてよい。
【0065】
この電気エネルギー源は、例えば、刺激装置100の近位端に配置されてよく:
-1つ又は複数の相互接続250に直接接続された、例えばパルス発生器(図示せず、以下を参照)等のエネルギー源;及び/又は
-1つ又は複数の相互接続250に直接接続された、例えば1つ又は複数の導体等の1つ又は複数のエネルギー受信機(図示せず、以下を参照)。1つ又は複数の巻線を備えたコイル等の1つ又は複数の導体は、ワイヤレスパルスジェネレータ(図示せず、以下を参照)等のエネルギー源から無線でエネルギーを受け取るように構成されている。
【0066】
図2Aは、電気エネルギーの適切な供給源を概略的に示している。制御された刺激の場合、電気エネルギーの供給源は、好ましくは、パルスエネルギーコントローラ500の第1実施形態を備え、1つ又は複数の電気パルスとして1つ又は複数の電極200を通して刺激エネルギーを提供するように構成及び配置される。これは、1つ又は複数の電極200に適用される電位及び/又は電流を変化させる。このパルスエネルギーコントローラ500は、1つ又は複数の相互接続250を通して1つ又は複数の電極200に接続されてよい。
【0067】
1つ又は複数のリターン(又は接地)電極400は、通常、使用中に、このパルスエネルギーコントローラ500から刺激エネルギーを受け取る1つ又は複数の刺激電極200に関して対応する電気的リターンを提供するように設けられ、構成及び配置される。換言すると、電気リターン450は電気回路を閉じる。
【0068】
任意の適切な構成及び配置が設けられ得る。-例えば、
図1に示されるように、それは、1つ又は複数の刺激電極200に近接する第1表面310に備えられる。追加的又は代替的に、1つ又は複数のリターン(接地)電極400は、第1表面310に備えられていてよい。追加的又は代替的に、1つ又は複数のリターン(接地)電極は、このパルスエネルギーコントローラ500の近くに設けられていてよい。
【0069】
このパルスエネルギーコントローラ500は、例えば、適切に構成されプログラムされたプロセッサを備えていてよく、1つ又は複数のソフトウェア又はファームウェアの方法を使用して、例えば強度、持続時間、波形形状、周波数、及び繰り返し数等の刺激エネルギーパルスの1つ又は複数のパラメータを制御してよい。追加又は代替として、ASIC(特定用途向け集積回路:Application-Specific Integrated Circuit)に実装されたステートマシン等のハードウェアベースのソリューションが使用されてよい。
【0070】
それは、スタンドアロンモードで動作してよく、又は外部コントローラと定期的に通信してよく、又はそれらの組み合わせであってよい。
【0071】
例えば、電極200に提供される刺激のための治療(therapy)(治療(treatment))パルスは、100マイクロ秒から1ミリ秒の幅であってよく、かつ40~1000Hzで繰り返されてよい。末梢神経刺激(PNS)を使用した痛みの治療の場合、適切なパルスパラメータは次の通りである:0~10ボルト、特に0.5~4.0ボルト、平均振幅、0~10mAの電流、90~200マイクロ秒のパルス幅及び50~400Hzの繰り返し数。
【0072】
適切なパルスエネルギーコントローラ500は、以下をさらに備えていてよい:
-組織刺激に適した刺激エネルギーを1つ又は複数の電極200に提供するように構成及び配置された電力供給。エネルギーは、差動電位及び/又は電流として電極200の対に提供されてよい。追加的又は代替的に、1つ又は複数の電極200がリターン(又は接地)電極として構成されてよい。追加的又は代替的に、1つ又は複数のリターン電極400が上記のように使用されてよい。
-1つ又は複数の電極200,400への刺激エネルギーの伝達を制御するように構成及び配置された論理制御。例えば、それは、1つ又は複数のクロック発生器に接続された1つ又は複数のコントローラを備えていてよい。
-任意選択で、例えば1つ又は複数の電流、電圧、エネルギー、電力、電荷、線量等のパルスエネルギーコントローラ500の動作に関連する1つ又は複数のパラメータを監視するように構成及び配置された1つ又は複数のモニタ。
【0073】
従来の装置では、1つ又は複数のコンデンサが、パルスエネルギーコントローラ500と1つ又は複数の刺激電極200との間に設けられて、ある程度の連続電流(又は不要なDC成分)を遮断する。本発明が基づく洞察の1つは、1つ又は複数の電極200相互接続250内の遮断コンデンサが、省略されてよく、1つ又は複数のリターン電極400と直列に電気的に接続された1つ又は複数のDC遮断コンデンサ425によって機能的に置き換えられてよいことである。リターン電極400の数は、通常、刺激電極200の数よりもはるかに少ないので、これは、必要とされるDC遮断コンデンサ425の数の全体的な減少をもたらす。より有利には、単一のリターン電極400をいくつかの構成で使用することができ、単一のDC遮断コンデンサ425が使用されることを可能にする。コンデンサ425は、対応する1つ又は複数の刺激電極200から戻されるエネルギーを処理するように、適切な寸法にされるとともに適切に構成されるべきである。
【0074】
仮定:
-通常の刺激周波数(50~60Hz)で約1kΩの組織インピーダンス
-刺激に関する約2μC(マイクロクーロン)の電荷
-装置100の供給電圧は13V DC以下に制限されている
-Murata PICS3HVテクノロジによるDC遮断コンデンサ425、最大密度90nF/mm2
コンデンサの値はおおよそ次のようになる:
-300nF、4mAの刺激電流に関して5.3mm2の面積
-400nF、7mAの刺激電流に関して6.8mm2の面積
-1μF、10mAの刺激電流に関して16mm2の面積
【0075】
従って、装置100のサイズを縮小するときに必要なDC遮断コンデンサの数を減らすことが有利である場合がある。最も好ましくは、DC遮断コンデンサを必要としない設計が更なる小型化のための適切な候補を提供し得る。重要な構成要素のそのような削減は、装置100の原価も削減し得る。
【0076】
図2Bは、
図1に示される電極200,400に電気エネルギーを提供するのに適したパルスエネルギーコントローラの第2実施形態510を示す。第2実施形態510は、
図2Aに示される第1実施形態500と同一である。しかしながら、第2実施形態510は、リターン電極400と直列のDC遮断コンデンサ無しで動作するように構成及び配置されている。
【0077】
第2実施形態510は、少なくとも部分的に帯電した平衡パルス、特に二相性電荷平衡パルスを提供するようにさらに構成及び配置されている。本開示の文脈において、電荷平衡パルスは、電荷平衡を提供するように構成及び配置されたパルスとして理解されるべきである。
【0078】
基本原理は、Merrilla、Bikson&Jefferysによる記事Electrical stimulation of excitable tissue:design of efficacious and safe protocols、Journal of Neuroscience Methods 141(2005)171-198(doi:10.1016/j.jneumeth.2004.10.020)に記載されている。Merrillaらの
図3は、二相性電荷平衡を含む一般的なパルスタイプ及びパラメータを示している。
【0079】
本開示の3Aは、そのようなパルスの基本的なパラメータを示している:
-示されているパルス525,550は、特定の期間中に刺激電極200に供給された電流を表す。刺激電極200に供給される電流を直接制御するように、パルスエネルギーコントローラ510が構成及び配置されることが有利な場合がある。しかしながら、例えば電圧、エネルギー、電力、電荷、線量管理及びそれらの任意の組み合わせ等の任意の便利なタイプの制御が使用されてよい。
-電流i525,i550は、パルスの垂直範囲によって示される。持続時間t525,t550は、パルスの水平範囲によって示される。
-2つのパルス525,550は、期間tINTだけ離されている。
【0080】
t0では、電流iは実質的にゼロである。
【0081】
t1では、電極200に提供される電流は、期間t525の間、電流i525まで負に駆動される。-これは、陰極パルス525とも呼ばれる。この例では、これが先行パルス525であり、刺激パルスとなるように構成及び配置されている。t525の間に、組織を刺激するために電荷Q1が注入される。
【0082】
t1+t525であるt2では、第1陰極パルス525の電流iは実質的にゼロになり、パルス間間隔の間(すなわちtINTの間)、実質的にゼロのままである。tINTを増やすと、刺激の効果が上がる場合がある。
【0083】
t2+tINTであるt3では、電極200に提供される電流は、期間t550の間、電流i550まで正に駆動される。-これは、陽極パルス550とも呼ばれる。この例では、これは、平衡又は反転パルス550である。従って、t550の間に、少なくとも部分的にQ1のバランスをとるように、反対の電荷Q2が注入され、構成され及び配置される。最も好ましくは、装置100は、Q2をQ1と実質的に等しくするように構成及び配置される。
【0084】
t3+t550であるt4では、第1陽極パルス550の電流iは実質的にゼロになり、図示された期間t1’の終わりまで実質的にゼロのままである。
【0085】
t1’では、電流は後続の陰極パルスのために負に駆動される。期間t4~t1’は、1つ又は複数のパルス525,550を提供した後に、1つ又は複数の刺激電極200を1つ又は複数のリターン電極400に短絡することによる中和のために使用されることができる。これは、好ましくは、次のパルスサイクルが始まる前に実行される。
【0086】
生理学的理由から、先行パルス525は通常陰極である。-しかしながら、当業者は、陽極先行パルスを代わりに提供するようにパルスエネルギーコントローラ510が構成及び配置され得ることに気付くであろう。
【0087】
従って、
図3Aのパルスは、電極刺激のための二相性の陰極先行パルスとして説明され得る。末梢神経刺激(PNS)を使用した痛みの治療の場合、適切なパルスパラメータは次のとおりであってよい:
-第1陰極パルスのピーク電流i525は、第1陽極パルスのピーク電流i550と実質的に同じである。それは約4mAである。
-第1陰極パルスの持続時間t525は、第1陽極パルスの持続時間t550と実質的に同じである。それは、約250μs(マイクロ秒)である。
-第1陰極パルス525の後端と陽極パルス550の前端との間の時間、すなわち間隔tINTは、約10~100μs(マイクロ秒)である。
-第1陰極パルス525の前端と後続の陰極パルスの前端との間の時間、すなわち繰り返し数(t1~t1’)は約50~400Hzである。
【0088】
Merrillaらに記載されているように、組織損傷のリスクを低減し、治療効果の低下のリスクを低減するために、実効電荷注入は好ましくは実質的にゼロである。理論に拘束されることを望まないが、この減少は、1つ又は複数の電極200の劣化(腐食)及び/又は神経疲労等の1つ又は複数の要因に関連している可能性があると考えられている。一般的に、陰極電荷Q1(第1陰極パルス525のピーク電流に持続時間を掛けたもの)が陽極電荷Q2(第1陽極パルスのピーク電流550に持続時間を掛けたもの)と実質的に等しくなるように、装置100が構成及び配置されるべきである:
i525×t525(Q1)=i550×t550(Q2)
【0089】
パルスエネルギーコントローラの第2実施形態510は、好ましくは、出力電流i525,i550及び正確なパルス持続時間t525,t550のための高精度の電流源を提供するべきである。一般に、より高い精度を要求することはコストを増加させる。さらに、ASICテクノロジで実装するとき、精度が高いほど、通常、より多くの構成要素を必要とし、より多くの平方ミリメートルが必要とされる場合がある。また、これにより、装置100を小型化することがより困難になる場合がある。
【0090】
反転又は平衡パルス(ここでは陽極パルス)に関連する追加の問題がある場合がある。提供される電荷Q2が高すぎる場合、刺激電極200に近接する組織が望ましくない程度に刺激される場合がある。Constandinou、Georgiou&ToumazouによるA Partial-Current-Steering Biphasic Stimulation Driver for Vestibular Prostheses、IEEE TRANSACTIONS ON BIOMEDICAL CIRCUITS AND SYSTEMS、VOL.2、No.2、2008年6月(doi:10.1109/TBCAS.2008.92723)で議論されているように、振幅が減少された拡張陽極パルスを使用すると、電荷分布を補償し、治療効果が低下するリスクを減少させる場合がある。
【0091】
本開示の
図3Bは、二相性の陰極先行パルスの更なる例を示している。第1陰極パルス525は、
図3Aと同じである。第2陽極パルス551は、実質的に同じ電荷を有する
図3Aの第1陽極パルス550の2倍の形態(持続時間が実質的に2倍長い)である。より具体的には以下の通りである:
【0092】
t0では、電流iは実質的にゼロである。
【0093】
t1では、電極200に提供される電流は、期間(持続時間)t525の間、電流i525まで負に駆動される。-これは、陰極先行パルス525でもある。t525の間に、組織を刺激するために電荷Q1が注入される。
【0094】
t1+t525であるt2で、第1陰極パルス525の電流iは実質的にゼロになり、パルス間間隔の間(すなわちtINTの間)、実質的にゼロのままである。この間隔は
図3Aと同じである。
【0095】
t2+tINTであるt3では、電極200に提供される電流は、期間(持続時間)t551の間、電流i551まで正に駆動される-これは、第2陽極(平衡)パルス551である。従って、t551の間に、少なくとも部分的にQ1のバランスをとるように、反対の電荷Q2が注入され、構成され及び配置される。最も好ましくは、Q2はQ1と実質的に等しく、高度なバランスを提供する。
【0096】
t3+t551であるt4では、第2陽極パルス551の電流iは実質的にゼロになり、図示された期間t1’の終わりまで実質的にゼロのままである。
【0097】
t1’では、電流は後続の陰極パルスのために負に駆動される。期間t4~t1’は、
図3Aについて説明したように中和のために使用されることができる。
【0098】
従って、
図3Bでは:
-第1陰極パルスのピーク電流i525は、第2陽極パルスのピーク電流i551の2倍と実質的に同じである(平均振幅は2:1の比率である)
-第2陽極パルスの持続時間t551は、第1陰極パルスの持続時間t525の2倍と実質的に同じである(持続時間は1:2の比率である)
-一般的に、陰極電荷Q1(第1陰極パルス525のピーク電流に持続時間を掛けたもの)が陽極電荷Q2(第2陽極パルス551のピーク電流に持続時間を掛けたもの)と実質的に等しくなるように、装置100が構成及び配置されるべきである。
i525×t525(Q1)=i551×t551(Q2)
【0099】
末梢神経刺激(PNS)を使用した痛みの治療の場合、適切なパルスパラメータは次のとおりであってよい:
-第1陰極パルスのピーク電流i525は約4mAであり、第2陽極パルスのピーク電流i551は約2mAである。
-第1陰極パルスの持続時間t525は約250μs(マイクロ秒)であり、第2陽極パルスの持続時間t551は約500μsである。
-第1陰極パルス525の後端と第2陽極パルス551の前端との間の時間、すなわち間隔tINTは、約10~100μs(マイクロ秒)である。
-第1陰極パルス525の前端と後続の陰極パルスの前端との間の時間、すなわち繰り返し数(t1~t1’)は約50~400Hzである。
【0100】
第2陽極パルス551の他の値は、電荷Q2(i551×t551)が実質的に同じであるように、使用され、予め決定され及び/又は制御されてよい。例えば:
-i551は約1mAであり、t551は約1000μsである。
-i551は約0.5mAであり、t551は約2000μsである。
【0101】
図3Bに示される刺激制御は、2つの電力供給で実装されてよい。-1つは第1陰極パルス525を提供するように構成され、もう1つは第2陽極パルス551を提供するように構成及び配置される。許容可能な程度の電荷中和又は電荷平衡を達成するために、電流i525,i551及び期間t525,t551は、可能な限り正確に制御され及び/又は予め決定される必要がある。通常、プログラム可能な電力供給が使用される。
【0102】
陰極パルス及び陽極パルスがすべての処理で実質的に同じであることが意図されているアプリケーションでは、製造中に、電流i525,i551及び持続時間t525,t551に関して高度な精度を提供するための追加の校正ステップが含まれてよい。これらの校正ステップは、任意のドリフトを補償するために定期的に繰り返されてよい。しかしながら、このような校正ステップは、それらが使用される環境とは大きく異なる場合がある工場等の環境で行われる場合があるので、インプラント可能な装置で常に正確であるとは限らない。これは、インプラント可能な装置にとって特に問題である。さらに、インプラント可能な装置は、構成要素が経年劣化する可能性のある数か月又は数年の動作を目的としており、電流i525,i551及び持続時間t525,t551の精度をさらに低下させる。それらが使用されている環境は一定ではない場合があり、電力供給の特性の経時変化等の他の要因も補償される必要がある場合がある。通常、使用される電力供給は、その場での校正を行うための追加の構成要素を備え、及び/又は追加の構成要素は、実際のパルスの電流及び持続時間を監視するために使用される。追加的又は代替的に、陽極及び/又は陰極電荷が監視されてよい。前述のように、任意の追加の構成要素は、電子機器のサイズ及びコストの両方を増加させる。
【0103】
他のアプリケーションでは、陰極パルス及び陽極パルスは、異なる治療のために又は同じ治療の異なる段階で変化されるように意図される。より高い精度を提供するために、この程度の柔軟性を実装するために、各電力供給及び/又は各パルス発生器に更なる追加の構成要素が必要となる場合がある。
【0104】
原因が何であれ、パルスの振幅及び持続時間が不正確であると、電荷中和又は電荷平衡化の程度が低下する場合がある。これを改善するための従来のアプローチは、追加の構成要素及び/又は追加の製造及び/又は追加の保守ステップを必要とする。追加の製造ステップは、コストをさらに増加させる場合がある。追加のメンテナンス手順は、運用コストをさらに増加させる場合があるか、又はそのような装置のユーザーにとって、彼らが医療専門家を訪問する必要がある場合があるため不便な場合がある。場合によっては、インプラント可能な装置が交換される必要さえある。
【0105】
図4Aは、二相性の陰極先行パルスの別の例を示している。第2陰極パルス526及び第3陰極パルス527は、実質的に同時に提供され、
図3Bの第1陰極パルス525と実質的に同じ陰極電荷Q1を提供する。
図4Aの陽極パルス526*,527*は、
図3Bの第1陽極パルス551と実質的に同じ電荷Q2を有する。より具体的には以下の通りである:
【0106】
t0では、電流iは実質的にゼロである。
【0107】
t1では、1つ又は複数の電極200に提供される電流は、第2陰極パルス526で、期間t526の間に、電流i526まで負に駆動される。実質的に同時に、電極200に供給される電流は、第3陰極パルス527で、期間t527の間に、電流i527までさらに負に駆動される。第2陰極パルス526及び第3陰極パルス527を同時に又は同じ持続時間で提供することは便利かもしれない(これはそれらが描かれる方法である-ほぼ同時に)が、これは必須ではない。同時に、それらが時間的に高度に重複することを意味し、提供される陰極パルスの合計平均振幅は、個々の電流i526,i527を組み合わせることによって決定される。この例では、両方のパルス526,527は同じ極性(陰極)を有するので、合計平均振幅は、ほぼ個々の電流i526,i527の合計である。t526,t527の間に、組織を刺激するために陰極電荷Q1が注入される。
【0108】
この例ではt1+t526,t527であるt2では、第2陰極パルス526及び第3陰極パルス527の電流iは実質的にゼロになり、パルス間間隔(tINT)の間は実質的にゼロのままである。この間隔は
図3Bと同じである。
【0109】
t2+tINTであるt3では、1つ又は複数の電極200に提供される電流は、期間t526の間、電流i526*まで正に駆動され、期間t527の間、i527*まで正にさらに駆動される-陽極(平衡)パルスはパルス526*,527*を備える。陽極パルスは、2つのサブパルス526*,527*を備え、これらは、第2陰極パルス526及び第3陰極パルス527と実質的に同じ持続時間t526,t527を有する。2つのサブパルスの平均振幅i526*,i527*は、反対の極性が提供されることを除いて、第2陰極パルスi526及び第3陰極パルスi527と実質的に同じである。
【0110】
陽極パルス526*,527*を別個に又は互いの直後に(これはそれらが描かれる方法である-ほぼ連続して)提供することは便利かもしれないが、これは必須ではない。これとは別に、それらが時間的に高度に重複しないことを意味し、提供される陽極パルスの平均振幅は、個々の電流i526*,i527*によって決定される。この例では、両方のパルス526*,527*が連続しているので、陽極パルスの合計持続時間は、ほぼ個々の持続時間t526,t527の合計になる。
【0111】
従って、t3~t4(ここではt526に続いてt527として示されている)の間に、少なくとも部分的にQ1のバランスをとるように、反対の電荷Q2が注入され、構成され及び配置される。最も好ましくは、Q2はQ1と実質的に等しく、高度なバランスを提供する。
【0112】
t3+t526+t527であるt4では、陽極パルス526*,527*の電流iは実質的にゼロになり、図示された期間t1’の終わりまで実質的にゼロのままである。
【0113】
t1’では、電流は後続の陰極パルスのために負に駆動される。期間t4~t1’は、
図3Aについて説明したように中和のために使用されることができる。
【0114】
従って、
図4Aに示されるように:
-陰極パルスのピーク電流は、第3陰極パルス527のピーク電流i527に第2陰極パルス526のピーク電流i526を加えたものと実質的に同じである。それは、陽極サブパルス526*,527*のピーク電流の実質的に2倍である(陰極パルスと陽極パルスとの平均振幅は2:1の比率である)。
-陽極サブパルスの持続時間t526,t527は、陰極サブパルスの持続時間t526,t527と実質的に同じである。図示のように、陽極サブパルス526*,527*は互いに直後に提供されるので、合計持続時間t526+t527は、組み合わされた陰極パルスの持続時間t526,t527の約2倍である。
-一般的に、陰極電荷Q1(ピーク陰極電流に陰極持続時間を掛けたもの)が陽極電荷Q2(ピーク陽極電流に陽極持続時間を掛けたもの)と実質的に等しくなるように、装置100が構成及び配置されるべきである。
【0115】
陰極サブパルス526,527が実質的に同時に提供される場合、以下のようになる:
Q1=[i526+i527]×[t526又はt527]
【0116】
陽極パルスが実質的に連続して提供され、サブパルスの平均振幅i526*,i527*がほぼ同じである場合、以下のようになる:
Q2=[i526又はi527]×[t526+t527]
【0117】
しかしながら、本発明が基づく洞察の1つは、サブパルスを電荷成分(又はビルディングブロック)と見なすことにより、電荷中和のより簡単な制御が可能であるということである。-各サブパルスは、別の電力供給によって提供される、予め決定された及び/又は制御された平均振幅及び持続時間を有する。反対の極性でサブパルスを適用するだけで、適用される電荷はほぼバランスがとられる。
【0118】
従って、
図4Aの例では、陰極パルスによって提供される電荷は、次のとおりである:
Q1=サブパルス[i526×t526]+サブパルス[i527×t527]
また、陰極パルスによって提供される電荷は、次のとおりである:
Q2=サブパルス[i526*×t526]+サブパルス[i527*×t527]
【0119】
陰極パルス及び陽極パルスの間に同じサブパルス(但し、反対の極性を有する)を提供することにより、平均振幅、持続時間及びタイミングを制御するために必要とされる精度が低くされる。この構成では、電荷中和の程度に影響を与える最も重要な要因は、陰極パルス及び陽極パルスの各サブパルスの使用間の安定性(又は再現性)である。-この間隔は非常に短いので、構成要素がより少ない、はるかに単純な電力供給が使用される場合がある。これは、コストの削減と設置面積の縮小とを意味する場合がある。
【0120】
任意選択で、以下に説明するように、より複雑な陰極波形を生成するために、陰極サブパルス526,527間のある程度の時間的な分離が使用されてよい。
【0121】
追加的又は代替的に、より複雑な波形を生成するために、陽極サブパルス526*,527*間のある程度の時間的な重複が使用されてよい。
【0122】
図4Aに示される刺激制御は、以下によって実行され得る:
-陰極極性を有するサブパルス526及び/又は陽極極性を有するサブパルス526*を提供するように構成及び配置された第1エネルギー/電力供給と、
-陰極極性を有するサブパルス527及び/又は陽極極性を有するサブパルス527*を提供するように構成及び配置された第2エネルギー/電力供給。
【0123】
装置100、特にパルスエネルギーコントローラ510は、以下のように構成及び配置され得る:
-第1供給は、特定の持続時間t526の間、特定のピーク電流i526,i526*を有するサブパルス526を提供でき、及び
-第2供給は、特定の持続時間t527の間、特定のピーク電流i527,i527*を有するサブパルス527を提供できる。
【0124】
第1供給及び第2供給を実質的に同時に1つ又は複数の電極200に接続することによって、先行陰極パルスがt1で提供される。
【0125】
ピーク電流i526,i527が同じ極性を有する場合、組み合わされたピーク電流は、ほぼ構成要素電流の合計i526+i527である(
図4Aに示されているように)。ピーク電流i526,i527が反対の極性を有する場合、組み合わされたピーク電流は、構成要素電流i526,i527間の差である。
【0126】
極性i526*を切り替えて、1つ又は複数の電極200に第1供給を接続し、続いて極性i527*を切り替えて、1つ又は複数の電極200に第2供給を接続することによって、平衡パルスがt3で提供される。パルス526*,527*が実質的に連続して適用される場合、組み合わされた持続時間は、持続時間の合計t526+t527である(
図4Aに示されているように)。パルス526*,527*が時間的に重複して(少なくとも部分的に連続して)かつ同じ極性で適用される場合、組み合わされたピーク電流は、パルスが重複する時間中のパルスピーク電流の合計i526*+i527*である。
【0127】
各供給のエネルギー出力は実質的に一定にされてよい。-使用における唯一の違いは、1つ又は複数の電極200に適用される極性である。陰極パルス及び陽極パルスの両方に同じ供給が使用されるので、陽極電荷及び陰極電荷が実質的に等しい。それらを陰極パルスに対して実質的に同時に適用するとともに陽極パルスに対して実質的に連続して適用することにより、陽極パルスの平均振幅は陰極パルスの平均振幅のほぼ半分であり得て、治療効果の低下の可能性を低減する。
【0128】
同じ平均振幅i526,i527及び持続時間t526,t527のサブパルスは
図4Aに示されているが、これは必須ではない。異なる平均振幅i526,i527を使用でき、異なる持続時間t526,t527-陰極パルス中に各電力供給によって適用される合計電荷が、陽極パルス中に適用される合計電荷と実質的に同じである限り、高度の電荷中和が達成され得る。当業者はまた、パルスが本発明の原理を説明するために方形波として概略的に描かれていることを理解するであろう-実際には、使用される波形はより複雑で理想的ではないかもしれない。しかしながら、当業者は、計算、シミュレーション及び/又は測定によって、各サブパルス中に供給される電荷を決定することができるであろう。
【0129】
平均振幅及び/又はパルス持続時間を予め決定すること及び/又は制御することにおける追加の柔軟性を提供するために、プログラム可能な電力供給が使用されてよい。
【0130】
図4Bは、二相性の陰極先行パルスの別の例を示している。それは、2つの代わりに4つのサブパルスと4つの電力供給が使用されていることを除いて、
図4Aの例と基本的に同様である。
【0131】
第4陰極パルス528、第5陰極パルス529、第6陰極パルス530及び第7陰極パルス531が実質的に同時に提供され、陰極電荷Q1を提供する。より具体的には以下の通りである:
【0132】
t0では、電流iは実質的にゼロである。
【0133】
t1では、電極200に提供される電流は、実質的に同時のサブパルスによって負に駆動される。この例では、それらは同じ極性を持っているので、陰極パルスの合計平均振幅は、ほぼ陰極サブパルスの平均振幅の合計である:
-第4陰極パルス528による期間t528の電流i528;
-第5陰極パルス529による期間t529の電流i529;
-第6陰極パルス530による期間t530の電流i530;及び
-第7陰極パルス531を使用した期間t531の電流i531。
【0134】
組織を刺激するために注入される陰極電荷Q1は次のとおりである:
[i529×t529]+[i530×t530]+[i531×t531]+[i532×t532]
【0135】
図4Aのように、ほぼ同時に提供されるように陰極サブパルスが描かれているが、これは必須ではない。
【0136】
この例ではt1+t528,t529,t530,t531であるt2では、陰極サブパルスの電流iは実質的にゼロになり、パルス間間隔(tINT)の間は実質的にゼロのままである。この間隔は
図4Aと同じである。
【0137】
t2+tINTであるt3では、1つ又は複数の電極200に提供される電流は、別個のサブパルスによって正に駆動される。この例では、それらは同じ極性を持ち、互いに直後に提供される(
図4Aのように、これは必須ではない)。従って、陽極パルスの合計持続時間は、ほぼ個々の持続時間の合計である:
-陽極サブパルス528*としての期間t528の電流i528*;
-陽極サブパルス529*としての期間t529の電流i529*;
-陽極サブパルス530*としての期間t530の電流i530*;及び
-陽極サブパルス531*としての期間t531の電流i531*。
【0138】
少なくとも部分的にQ1のバランスをとるように、反対の電荷Q2が注入され、構成され及び配置される。最も好ましくは、Q2はQ1と実質的に等しく、高度なバランスを提供する。示されているように、Q2は次のとおりである:
[i528*×t528]+[i529*×t529]+[i530*×t530]+[i531*×t531]
【0139】
この例ではt3+t538+t529+t530+t531であるt4では、陽極パルスの電流iは実質的にゼロになり、図示された期間t1’の終りまで実質的にゼロのままである。
【0140】
t1’では、電流は後続の陰極パルスのために負に駆動される。期間t4~t1’は、
図3Aについて説明したように中和のために使用されることができる。
【0141】
図4Bに示される刺激制御は、以下によって実行され得る:
-陰極極性を有するサブパルス529及び/又は陽極極性を有するサブパルス529*を提供するように構成及び配置された第1エネルギー/電力供給と、
-陰極極性を有するサブパルス530及び/又は陽極極性を有するサブパルス530*を提供するように構成及び配置された第2エネルギー/電力供給と、
-陰極極性を有するサブパルス531及び/又は陽極極性を有するサブパルス531*を提供するように構成及び配置された第3エネルギー/電力供給と、
-陰極極性を有するサブパルス532及び/又は陽極極性を有するサブパルス532*を提供するように構成及び配置された第4エネルギー/電力供給。
【0142】
装置100、特にパルスエネルギーコントローラ510は、以下のように構成及び配置され得る:
-第1供給は、特定の持続時間t528の間、特定のピーク電流i528,i528*を有するサブパルス528を提供でき、
-第2供給は、特定の持続時間t529の間、特定のピーク電流i529,i529*を有するサブパルス529を提供でき、
-第3供給は、特定の持続時間t530の間、特定のピーク電流i530,i530*を有するサブパルス530を提供でき、及び
-第4供給は、特定の持続時間t531の間、特定のピーク電流i531,i531*を有するサブパルス531を提供できる。
【0143】
第1、第2、第3及び第4供給を実質的に同時に1つ又は複数の電極200に接続することによって、先行陰極パルスがt1で提供される。ピーク電流i528,i529,i530,i531が同じ極性を有する場合、組み合わされたピーク電流は、ほぼ構成要素電流の合計i528+i529+i530+i531(
図4Bに示されているように)。ピーク電流i528,i529,i530,i531の極性が反対を有する場合、合計ピーク電流は、構成要素電流i529~i531の差である。
【0144】
極性i528*を切り替えて、1つ又は複数の電極200に第1供給を接続し、続いて極性i529*を切り替えて、1つ又は複数の電極200に第2供給を接続し、続いて極性i530*を切り替えて、1つ又は複数の電極200に第3供給を接続し、続いて極性i531*を切り替えて、1つ又は複数の電極200に第4供給を接続することによって、平衡パルスがt3で提供される。パルス528*,529*,530*,531*が実質的に連続して適用される場合、組み合わされた持続時間は、持続時間の合計t528+t529+t530+t531である(
図4Bに示されているように)。パルス528*,529*,530*,531*が時間的に重複して(少なくとも部分的に連続して)かつ同じ極性で適用される場合、組み合わされたピーク電流は、パルスが重複している時間中のパルスピーク電流の合計i528*+i529*+i530*+i531*である。
【0145】
それらを陰極パルスに対して実質的に同時に適用するとともに陽極パルスに対して実質的に連続して適用することにより、陽極パルスの平均振幅は陰極パルスの平均振幅の約4分の1であり得て、治療効果の低下の可能性をさらに低減する。
【0146】
エネルギー/電力供給は、例えば電流源であり得る。各電流源はプログラム可能であってよい。-例えば、40μAのステップサイズで、供給毎に最大2.5mAを提供する、公称出力電流を設定するために6ビット命令が使用されてよい。各電力供給によって提供される電荷は、予め決定され及び/又は制御されてよい。使用中、公称出力電流は実質的に一定のままである。-それは、陰極パルスの間は固定された持続時間で適用され、陽極パルスの間は同じ持続時間に関して反対の極性で適用される。
【0147】
好ましくは、電流源は、例えばスイッチドカスコードNfetを使用する等により、大きな出力インピーダンスを有するように構成されてよい。大きな出力インピーダンスは、刺激及び平衡パルスの間に、より高度なソース安定性を提供する場合がある。
【0148】
図8は、二相性の陰極先行パルスの更なる例を示している。それは、4つの電力供給の公称平均振幅が異なり、複雑な波形を提供できることを除き、基本的には
図4Bの例と同様である。
【0149】
第8陰極パルス532、第9陰極パルス533、第10陰極パルス534及び第11陰極パルス535が実質的に同時に提供され、陰極電荷Q1を提供する。より具体的には以下の通りである:
【0150】
t0では、電流iは実質的にゼロである。
【0151】
t1では、電極200に提供される電流は、実質的に同時のサブパルスによって負に駆動される。この例では、それらは同じ極性を持っているので、陰極パルスの合計平均振幅は、ほぼ陰極サブパルスの平均振幅の合計である:
-期間t535の電流i535;
-期間t534の電流i534(ここで電流i534は電流i535の約2倍(=2×i535)である);
-期間t533の電流i533(ここで電流i533は電流i534の約2倍(=4×i535)である);及び
-期間t532の電流i532(ここで電流i532は電流i533の約2倍(=8×i535)である)。
【0152】
組織を刺激するために注入される陰極電荷Q1は次のとおりである:
[i532×t532]+[i533×t533]+[i534×t534]+[i535×t535]。
【0153】
図4Bのように、ほぼ同時に提供されるように陰極サブパルスが描かれているが、これは必須ではない。
【0154】
この例ではt1+t532,t533,t534,t535であるt2では、陰極サブパルスの電流iは実質的にゼロになり、パルス間間隔(tINT)の間は実質的にゼロのままである。この間隔は
図4Bと同じである。
【0155】
t2+tINTであるt3では、1つ又は複数の電極200に提供される電流は、別個のサブパルスによって正に駆動される。この例では、それらは同じ極性を持ち、互いに直後に提供される(
図4Bのように、これは必須ではない)。従って、陽極パルスの合計持続時間は、ほぼ個々の持続時間の合計である:
-陽極サブパルス535*としての期間t535の電流i535*;
-陽極サブパルス534*としての期間t534の電流i534*;
-陽極サブパルス533*としての期間t533の電流i533*;及び
-陽極サブパルス532*としての期間t532の電流i532*。
【0156】
この場合、陽極サブパルスの順序は、i535*からi532*まで着実に増加する平均振幅を提供するように、選択される。
【0157】
少なくとも部分的にQ1のバランスをとるように、反対の電荷Q2が注入され、構成され及び配置される。最も好ましくは、Q2はQ1と実質的に等しく、高度なバランスを提供する。示されているように、Q2は次のとおりである:
[i535*×t535]+[i534*×t534]+[i533*×t533]+[i532*×t532]
【0158】
この例ではt3+t535+t534+t533+t532であるt4で、第8陽極パルス557の電流iは実質的にゼロになり、図示された期間t1’の終りまで実質的にゼロのままである。
【0159】
t1’では、電流は後続の陰極パルスのために負に駆動される。期間t4~t1’は、
図3Aについて説明したように中和のために使用されることができる。
【0160】
従って、
図8では:
-陰極パルスのピーク電流は、陰極サブパルスのピーク電流と実質的に同じであり、約15×i535である。
【0161】
それは、陽極パルスの第1部分(535*)のピーク電流の約15倍であり、陽極パルスの最後の部分(532*)のピーク電流の約2倍である。
【0162】
当業者は、パルスエネルギーコントローラの第2実施形態510が、1つ又は複数のリターン電極400と直列に電気的に接続された1つ又は複数のDC遮断コンデンサで動作するように任意選択で変更してよいことを理解するであろう。
【0163】
さらに、パルスエネルギーコントローラ500,510は、ユーザインターフェースからパラメータ及び/又は命令を受信するようにさらに構成及び配置されてよい。追加的又は代替的に、ユーザインターフェースは、例えば携帯電話等のモバイル装置に備えられていてよい。
【0164】
1つ又は複数のパラメータ及び/又は命令は、1つ又は複数の電気刺激パルスの1つ又は複数の対応する特性を予め決定及び/又は制御してよい。例えば:パルス平均振幅、パルス幅、周期、デューティサイクル、提供されるパルスの数、繰り返されるパルスの数、パルスの持続時間、開始時間、終了時間、電圧、電流、エネルギー、電荷、線量又はそれらの任意の組み合わせ。
【0165】
本開示における実施例及び実施形態のほとんどは、刺激電荷が提供され、その後に平衡電荷が続く二相性動作を説明している。刺激のための第1パルスは陰極として記述され、その後に第2陽極パルスが続く。代替案は以下を含む:
-第1パルスは陽極であり、第2パルス(平衡パルス)は陰極であってよい;
-第1パルス及び第2パルスは同じ極性を有していてよい;
-持続時間及び平均振幅は供給毎に異なっていてよい。
【0166】
図9は、更なる代替案を示している。-平衡パルスは2つのパルス部分に分離されていてよい。-一方のパルス部分590は刺激パルス580の前に提供されてよく、他方のパルス部分595はその後に提供されてよい。換言すると、それらの間に予め決定された及び/又は制御された時間間隔を有する2つの平衡パルス部分590,595を提供し、かつその時間間隔中に刺激パルス580を提供する。これは、三相性と説明されてもよい。パルス部分590,595は、実質的に同じであっても異なっていてもよい。-しかしながら、高度の電荷平衡化の場合、平衡パルス590,595の合計電荷は刺激パルス580の電荷と実質的に同じである。
【0167】
これは、数サイクルにわたって蓄積する残留電荷を減らす場合があるので、有利な場合がある。例えば、組織インピーダンスは「漏れ」を引き起こす場合があるファラデー成分を有する。-刺激パルス580間の遅延が長いとき(例えば100マイクロ秒をはるかに超えるとき)、これが残留電荷の重要な原因となる場合がある。残留電荷の除去は、二相パルスサイクルの後に活動電位が測定されるアプリケーションで有利な場合がある。
【0168】
当業者はまた、刺激パルスが2つのパルス部分(図示せず)に分離されてよいことに気付くであろう-一方のパルス部分は平衡パルスの前に提供され、他方のパルス部分はその後に提供されてよい。換言すると、それらの間の予め決定された及び/又は制御された時間間隔を有する2つの刺激パルス部分を提供し、かつその時間間隔中に平衡パルスを提供する。これは、三相性と説明されてよい。刺激パルス部分は、実質的に同じであっても異なっていてもよい。-しかしながら、高度の電荷平衡化の場合、刺激パルスの合計電荷は、平衡パルスの電荷と実質的に同じである。
【0169】
一般に、装置100は、3つの主要な設計上の制限を有すると見なすことができる:
-遠位端が、刺激される組織の近くにインプラントされるように実質的に構成及び配置される場合がある;
-近位端が、適切な電気エネルギーを提供するように実質的に構成及び配置される場合がある;及び
-装置100の近位端と遠位端との間の1つ又は複数の電気的接続。
【0170】
刺激のタイプ及び人体又は動物の体へのインプラント位置に応じて、装置100は、設計制限の1つに準拠するように最適化され得るか、又は2つ以上の設計制限に基づいて構成され得る。例えば、額の神経を刺激するとき、耳の近く又は後頭部に近位端が配置され得るように、より長い基板300(より長いリード)が使用される場合がある。当業者はまた、パルスエネルギーコントローラ500,510の近くに1つ又は複数の刺激電極200が設けられ得ることを理解するであろう。
【0171】
図5及び
図6は、インプラント可能な遠位端を有する適切に構成された装置100を使用して刺激され得る神経の例を示している。それは、例えば頭痛又は原発性頭痛を治療するための神経刺激を提供し得る。
【0172】
図5は、適切に構成された装置を使用して電気的に刺激され得る左眼窩上神経910及び右眼窩上神経920を示している。
図6は、適切に構成された装置100を使用して電気的に刺激することもできる左大後頭神経930及び右大後頭神経940を示している。
【0173】
刺激される領域のサイズ及びインプラントされる装置の部分の寸法に応じて、治療に必要とされる電気刺激を提供するための適切な位置が決定される。刺激装置100を備える刺激装置の遠位部分のおおよそのインプラント位置は、領域として示されている:
-片頭痛及び群発性頭痛等の慢性頭痛を治療するための左眼窩上刺激用の位置810及び右眼窩上刺激用の位置820。
-片頭痛、群発性頭痛、後頭神経痛等の慢性頭痛を治療するための左後頭刺激用の位置830及び右後頭刺激用の位置840。
【0174】
多くの場合、これらは、装置100,150のインプラント可能部分のおおよその位置810,820,830,840になるであろう。
【0175】
インプラント位置810,820,830,840毎に、別個の刺激システムが使用されてよい。インプラント位置810,820,830,840が互いに近接しているか又は重複している場合、単一の刺激システムが、複数のインプラント位置810,820,830,840で刺激するように構成されてよい。
【0176】
複数の刺激装置100は、必要な治療を提供するために、別個に、同時に、連続して、又はそれらの任意の組み合わせで、操作されてよい。
【0177】
図7は、他の状態を治療するための神経刺激を提供するために適切に構成された刺激装置100を使用して刺激され得る神経の更なる例を示す。
図5及び
図6に示される場所(810,820,830,840)も
図7に示されている。
【0178】
刺激される領域のサイズ及びインプラントされる装置の部分の寸法に応じて、治療に必要な電気刺激を提供するための適切な位置が決定される。刺激電極を備える刺激装置の部分のおおよそのインプラント位置は、領域として示されている:
-てんかんを治療するための皮質刺激のための位置810;
-パーキンソン病患者の振戦制御治療;ジストニア、肥満、本態性振戦、うつ、てんかん、強迫性障害、アルツハイマー病、不安症、過食症、耳鳴症、外傷性脳損傷、トゥーレット、睡眠障害、自閉症、双極性障害の治療;及び脳卒中回復のための脳深部刺激療法のための位置850;
-てんかん、うつ、不安症、過食症、肥満、耳鳴症、強迫性障害、心不全を治療するための迷走神経刺激のための位置860;
-高血圧を治療するための頸動脈又は頸動脈洞刺激のための位置860;
-睡眠時無呼吸を治療するための舌下神経及び横隔神経刺激のための位置860;
-慢性的な首の痛みを治療するための脳脊髄刺激のための位置865;
-四肢痛、片頭痛、末端痛を治療するための末梢神経刺激のための位置870;
-慢性腰痛、狭心症、喘息、疼痛一般を治療するための脊髄刺激のための位置875;
-肥満、過食症、間質性膀胱炎の治療のための胃刺激のための位置880;
-間質性膀胱炎の治療のための仙骨及び陰部神経刺激のための位置885;
-尿失禁、便失禁の治療のための仙骨神経刺激のための位置885;
-膀胱制御治療のための仙骨神経調節のための位置890;及び
-歩行又は下垂足を治療するための腓骨神経刺激のための位置895。
【0179】
治療され得る他の状態は、胃食道逆流症及び炎症性疾患を含む。
【0180】
本明細書でのその説明は、そこに記載されている方法ステップを実行する固定された順序を規定するものと理解されるべきではない。むしろ、方法ステップは、実行可能な任意の順序で実行されてよい。同様に、例は、アルゴリズムを説明するために使用され、これらのアルゴリズムの唯一の実装を表すことを意図するものではない。-当業者は、本明細書に記載された実施形態によって提供されるものと同じ機能を達成するための多くの異なる方法を考案することができるであろう。
【0181】
この方法は、任意のタイプのスタンドアロン装置、分散システム、クライアントサーバー互換システム、又はそれらの任意の組み合わせ(任意のタイプのクライアント、ネットワーク、サーバー、プロセッサ、メモリ、及び/又はデータベース要素を含む)で実装され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0182】
特に、刺激装置の機能は、適切な有線及び/又は無線接続を介して接続された2つ以上の別個のハードウェア要素として実装され得る。そのようなハードウェア要素は、インプラント及び/又は外部配置のために構成及び配置され得る。
【0183】
一般に、本開示に記載される装置の実施形態は、1つ又は複数の神経、1つ又は複数の筋肉、1つ又は複数の器官、脊髄組織、及びそれらの任意の組み合わせを刺激するように構成及び配置され得る。
【0184】
一般に、本開示で説明及び図示されている構成のいずれかについて、任意の電極200,400が刺激電極200又はリターン電極400のいずれかとして接続され得る。これは、インプラント可能な遠位端が標的組織の上であるか又は下であるか(例えば神経の上であるか又は下であるか)が不確かな場合に、有利な場合がある。
【0185】
本発明は特定の例示的な実施形態に関連して説明されてきたが、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者に明らかな様々な変更、置換、及び変更を開示された実施形態に対して行うことができることが理解されるべきである。
【0186】
例えば、本明細書に記載の方法に従う操作に適した装置は、組織刺激装置であって、使用中に、エネルギーを1つ又は複数の刺激パルスとしてヒト又は動物の組織に伝達するように構成された1つ又は複数の刺激電極と、使用中に、電気エネルギーを1つ又は複数の電気刺激パルスとして1つ又は複数の刺激電極に伝達するように構成及び配置されたパルスエネルギーコントローラとを備え、第1パルスとして、2つ以上の刺激エネルギー供給から1つ又は複数の刺激電極に実質的に同時に電気エネルギーを供給し、かつ第2パルスとして、2つ以上の刺激エネルギー供給から1つ又は複数の刺激電極に別個に電気エネルギーを供給するように構成及び配置された2つ以上の刺激エネルギー供給をパルスエネルギーコントローラがさらに備える、組織刺激装置である。
【符号の説明】
【0187】
100 刺激装置
200 1つ又は複数の刺激電極
250 1つ又は複数の電気的相互接続
300 細長い基板
310 実質的に平面の横方向の第1表面
320 実質的に平面の横方向の第2表面
400 1つ又は複数のリターン電極
425 1つ又は複数のDC遮断コンデンサ
500 パルスエネルギーコントローラの第1実施形態
510 パルスエネルギーコントローラの第2実施形態
525 第1陰極パルス
i525 第1陰極パルスのピーク電流
t525 第1陰極パルスの持続時間
526 第2陰極パルス
i526 第2陰極パルスのピーク電流
t526 第2陰極パルスの持続時間
527 第3陰極パルス
i527 第3陰極パルスのピーク電流
t527 第3陰極パルスの持続時間
528 第4陰極パルス
i528 第4陰極パルスのピーク電流
t528 第4陰極パルスの持続時間
529 第5陰極パルス
i529 第5陰極パルスのピーク電流
t529 第5陰極パルスの持続時間
530 第6陰極パルス
i530 第6陰極パルスのピーク電流
t530 第6陰極パルスの持続時間
531 第7陰極パルス
i531 第7陰極パルスのピーク電流
t531 第7陰極パルスの持続時間
550 第1陽極パルス
i550 第1陽極パルスのピーク電流
t550 第1陽極パルスの持続時間
551 第2陽極パルス
i551 第2陽極パルスのピーク電流
t551 第2陽極パルスの持続時間
580 刺激パルス
590 第1パルス部分-平衡パルス
595 第2パルス部分-平衡パルス
tINT パルス間間隔
601 第1刺激エネルギー供給
602 第2刺激エネルギー供給
603 第3刺激エネルギー供給
604 第4刺激エネルギー供給
700 長手方向軸
720 第1横軸
750 第2横軸
810 左眼窩上神経又は皮質刺激のための位置
820 右眼窩上刺激のための位置
830 左後頭神経刺激のための位置
840 右後頭神経刺激のための位置
850 脳深部刺激療法のための位置
860 迷走神経、頸動脈、頸動脈洞、横隔神経又は舌下刺激のための位置
865 脳脊髄刺激のための位置
870 末梢神経刺激のための位置
875 脊髄刺激のための位置
880 胃刺激のための位置
885 仙骨及び陰部神経刺激のための位置
890 仙骨神経調節のための位置
895 腓骨神経刺激のための位置
910 左眼窩上神経
920 右眼窩上神経
930 左大後頭神経
940 右大後頭神経
【手続補正書】
【提出日】2022-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺激装置(100)
によって前記刺激装置(100)に備えられる1つ又は複数の刺激電極(200)に提供される電気エネルギーを
制御する方法であって、
前記装置(100)が、
使用中に、エネルギーを1つ又は複数の刺激パルスとしてヒト又は動物の組織に伝達するように構成された第1刺激電極(200)と、
使用中に、電気エネルギーを1つ又は複数の電気刺激パルスとして前記第1刺激電極(200)に伝達するように構成及び配置されたパルスエネルギーコントローラ(500,510)と
を備え、
前記パルスエネルギーコントローラ(500,510)が、2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)をさらに備え、
前記方法が、
第1パルス(526,527,528,529,530,531)として、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれから前記第1刺激電極(200)に実質的に同時に電気エネルギーを供給することと、
第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)として、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれから前記第1刺激電極(200)に別個に電気エネルギーを供給することと
を備える、方法。
【請求項2】
前記方法が、
パルスを陽極及び/又は陰極エネルギーパルスとして提供するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれを構成及び配置すること
を備える、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、
実質的に同時に、少なくとも部分的に同時に、実質的に連続的に、少なくとも部分的に連続的に、前記パルス間の予め決定された及び/又は制御された時間間隔で、
又はそれらの任意の組み合わせで、電気エネルギーを提供するように、
前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれを構成及び配置すること
を備える、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、
平均振幅比が1:2以下の前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)及び第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)を提供するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)を構成及び配置すること
を備える、請求項1から
3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、
伝達される実効電荷が実質的にゼロになるように実質的に反対の極性のエネルギーパルスを提供するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれを構成及び配置すること
を備える、請求項1から
4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
複数のポリマー層と1つ又は複数の相互接続層(250)とを有する可撓性基板(300)を備える細長いインプラント可能な遠位端
を備える刺激装置(100)であって、
前記基板(300)が、
使用中に、エネルギーを1つ又は複数の刺激パルスとしてヒト又は動物の組織に伝達するように構成された第1刺激電極(200
)
をさらに備え、
前記刺激装置(100)が、
使用中に、前記第1刺激電極(200)に関して対応する電気的リターンを提供するように構成された1つ又は複数のリターン電極(400)と、
使用中に、電気エネルギーを1つ又は複数の電気刺激パルスとして前記1つ又は複数の相互接続層(250)を通して前記第1刺激電極(200)に伝達するように構成及び配置されたパルスエネルギーコントローラ(500,510)を備える近位端
と
をさらに備え、
第1パルス(526,527,528,529,530,531)として、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれから前記第1刺激電極(200)に実質的に同時に電気エネルギーを供給し、かつ
第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)として、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれから前記第1刺激電極(200)に別個に電気エネルギーを供給する
ように構成及び配置された2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)を前記パルスエネルギーコントローラ(500,510)がさらに備える、
刺激装置(100)。
【請求項7】
前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)及び第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)が実質的に異なる極性を有する、
請求項
6に記載の刺激装置。
【請求項8】
前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)と実質的に同時に電気エネルギーを供給するように、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれが構成及び配置されている、
請求項
6又は7に記載の刺激装置。
【請求項9】
前記第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)として実質的に連続して電気エネルギーを供給するように、前記2つ以上の刺激エネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれが構成及び配置されている、
請求項
6から
8までのいずれか1項に記載の刺激装置。
【請求項10】
実質的に同時に操作されるエネルギー供給(601,602,603,604)の数によって少なくとも部分的に決定される平均振幅比を有する前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)及び第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)を提供するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)が構成及び配置されている、
請求項
6から
9までのいずれか1項に記載の刺激装置。
【請求項11】
第3パルス(575)として前記第1刺激電極(200)に電気エネルギーを別個に供給するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)のそれぞれが構成及び配置されている、
請求項
6から
10までのいずれか1項に記載の刺激装置。
【請求項12】
前記第1パルス(526,527,528,529,530,531)とは実質的に異なる極性を有する前記第2パルス(526*,527*,528*,529*,530*,531*)及び第3(590)パルスを提供するように、前記2つ以上のエネルギー供給(601,602,603,604)が構成及び配置されている、
請求項
11に記載の刺激装置。
【請求項13】
前記装置(100)が、
1つ又は複数のリターン電極(400)と直列に電気的に接続された1つ又は複数のDC遮断コンデンサ(425)
をさらに備える、請求項
6から
12までのいずれか1項に記載の刺激装置。
【請求項14】
1つ又は複数のパルス(526,527,528,529,530,531,526*,527*,528*,529*,530*,531*)を提供した後に、前記第1刺激電極(200)を1つ又は複数のリターン電極(400)に電気的に短絡するように、前記装置(100)がさらに構成及び配置されている、
請求項
6から
13までのいずれか1項に記載の刺激装置。
【請求項15】
前記1つ又は複数のリターン電極(400)が、前記遠位端に備えられるか、前記第1刺激電極(200)に近接して配置されるか、前記近位端に備えられるか、前記パルスエネルギーコントローラ(500)に近接して配置されるか、又はそれらの任意の組み合わせである、
請求項6から14までのいずれか1項に記載の刺激装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は、電気刺激を提供するための電気刺激装置における電気エネルギーを制御する方法、及び刺激装置に関する。特に、この開示は、刺激装置によってその装置に備えられる1つ又は複数の刺激電極に提供される電気エネルギーを制御する方法に関連する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
一般的な声明
本開示の第1態様によれば、組織刺激装置によってその装置に備えられる1つ又は複数の刺激電極に提供される電気エネルギーを制御する方法であって、装置が、使用中、エネルギーを1つ又は複数の刺激パルスとしてヒト又は動物の組織に伝達するように構成された第1刺激電極と、使用中に、電気エネルギーを1つ又は複数の電気刺激パルスとして第1刺激電極に伝達するように構成及び配置されたパルスエネルギーコントローラとを備え、パルスエネルギーコントローラが、2つ以上の刺激エネルギー供給をさらに備え、方法が、第1パルスとして、2つ以上の刺激エネルギー供給のそれぞれから第1刺激電極に実質的に同時に電気エネルギーを供給することと、第2パルスとして、2つ以上の刺激エネルギー供給のそれぞれから第1刺激電極に別個に電気エネルギーを供給することとをさらに備える、方法が提供される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本開示の更なる態様によれば、予め決定された及び/又は制御された電圧、予め決定された及び/又は制御された電流、予め決定された及び/又は制御されたエネルギー、予め決定された及び/又は制御された電荷、予め決定された及び/又は制御された電力、又はそれらの任意の組み合わせとして、電気エネルギーを提供するように、2つ以上のエネルギー供給が構成及び配置される方法が提供される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
一般に、実質的に同時に、少なくとも部分的に同時に、実質的に連続的に、少なくとも部分的に連続的に、パルス間の予め決定された及び/又は制御された時間間隔で、又はそれらの任意の組み合わせで、電気エネルギーを提供するように、2つ以上のエネルギー供給のそれぞれが構成及び配置される方法が提供される。様々な時点で供給を切り替えることができる能力は、高度な制御を提供する。供給の使用を時間的に重複又は分離することによって、組み合わされた出力電圧、電流、電力、エネルギー又は線量も、予め決定され及び/又は制御されてよい。これにより、ランプ等の様々な形状の波形が使用されることができる場合がある。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
別の態様によれば、本明細書に開示される方法のいずれかに従って操作され得ることができる刺激装置が提供される。刺激装置は、複数のポリマー層と1つ又は複数の相互接続層とを有する可撓性基板を備える細長いインプラント可能な遠位端を備え、基板が、使用中に、エネルギーを1つ又は複数の刺激パルスとしてヒト又は動物の組織に伝達するように構成された第1刺激電極をさらに備え、刺激装置が、使用中に、第1刺激電極に関して対応する電気的リターンを提供するように構成された1つ又は複数のリターン電極と、使用中に、電気エネルギーを1つ又は複数の電気刺激パルスとして1つ又は複数の相互接続層を通して第1刺激電極に伝達するように構成及び配置されたパルスエネルギーコントローラを備える近位端とをさらに備え、第1パルスとして、2つ以上の刺激エネルギー供給のそれぞれから第1刺激電極に実質的に同時に電気エネルギーを供給し、かつ第2パルスとして、2つ以上の刺激エネルギー供給のそれぞれから第1刺激電極に別個に電気エネルギーを供給するように構成及び配置された2つ以上の刺激エネルギー供給をパルスエネルギーコントローラがさらに備える。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
さらに別の態様によれば、細長いインプラント可能な遠位端に備えられる基板が、約0.25mmの最大厚さを有する、刺激装置が提供される。
別の態様によれば、1つ又は複数のリターン電極が、遠位端に備えられるか、第1刺激電極に近接して配置されるか、近位端に備えられるか、パルスエネルギーコントローラに近接して配置されるか、又はそれらの任意の組み合わせである、刺激装置が提供される。
【国際調査報告】