(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-07
(54)【発明の名称】カンナビジバリンとカンナビゲロールを同時に分離する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 37/72 20060101AFI20221028BHJP
C07C 39/19 20060101ALI20221028BHJP
C07C 39/23 20060101ALI20221028BHJP
B01D 19/00 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
C07C37/72
C07C39/19
C07C39/23
B01D19/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539454
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 CN2020113892
(87)【国際公開番号】W WO2021047491
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】201910859985.6
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522082193
【氏名又は名称】上海同田生物技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shanghai Tauto Biotech Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100135194
【氏名又は名称】田中 智雄
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼力
(72)【発明者】
【氏名】余▲チ▼
【テーマコード(参考)】
4D011
4H006
【Fターム(参考)】
4D011AA18
4H006AA02
4H006AD16
4H006AD17
4H006BB11
4H006BB14
4H006BB15
4H006BB21
4H006BB31
4H006FC52
4H006FC76
(57)【要約】
本発明はカンナビジバリンとカンナビゲロールを同時に分離する方法に関する。溶媒系を十分に振動し、静置し、上下2相を分けて収集するステップと、市販の産業用大麻フルスペクトルの精製油を上相に溶解し、上相を固定相とし、下相を移動相として、高速向流クロマトグラフィーを用いて分離を行い、それぞれカンナビジバリンと移動相との混合液、カンナビゲロールと移動相との混合液を得、移動相を除去し、カンナビジバリン、カンナビゲロールを得たステップと、を含む。本発明は初めて高速向流クロマトグラフィー技術により産業用大麻フルスペクトルの精製油から同時に分離精製して純度が98%超であるカンナビジバリン(CBDV)と純度が97%超であるカンナビゲロール(CBG)を得た。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビジバリンとカンナビゲロールを同時に分離する方法において、
溶媒系を十分に振動し、静置し、上下2相を分けて収集するステップと、産業用大麻フルスペクトルの精製油を上相に溶解し、上相を固定相とし、下相を移動相として、高速向流クロマトグラフィーを用いて分離を行い、それぞれカンナビジバリンと移動相との混合液、カンナビゲロールと移動相との混合液を得、移動相を除去して、カンナビジバリン、カンナビゲロールを得たステップと、を含み、
ここで、溶媒系はn-ヘキサン又はヘプタン、tert-ブチルメチルエーテル、アセトニトリル又はアルコール、水を体積比が5~10:1~3:5~10:2~4で混合して得たことを特徴とするカンナビジバリンとカンナビゲロールを同時に分離する方法。
【請求項2】
前記分離収集で得られた上下2相について超音波脱ガス処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のカンナビジバリンとカンナビゲロールを同時に分離する方法。
【請求項3】
前記高速向流クロマトグラフィーの条件は、回転方向が正回転であり、回転速度が800rpmであり、カラム温度が25℃であり、移動相の流速が5mL/minであり、検出器の検出波長が214nmであることを特徴とする請求項1に記載のカンナビジバリンとカンナビゲロールを同時に分離する方法。
【請求項4】
前記移動相を除去する工程条件は、55℃、-0.085MPaの条件で回転蒸発し、真空乾燥させることを特徴とする請求項1に記載のカンナビジバリンとカンナビゲロールを同時に分離する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカンナビノール類加工分野に関し、特に、カンナビジバリンとカンナビゲロールを同時に分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビジバリン(Cannabidivarin)の分子式はC19H26O2である。カンナビジバリンが産業用大麻に存在する。産業用大麻はアルコール浸出等を経て、カンナビジバリンを含むエキス剤を得ることができる。カンナビジバリン(CBDV)はノイローゼの治療に用いることができる。
カンナビゲロール(Cannabigerol)の分子式はC21H32O2である。カンナビゲロールが産業用大麻に存在する。産業用大麻はアルコール浸出等を経て、カンナビゲロールを含むエキス剤を得ることができる。カンナビゲロール(CBG)はノイローゼの治療に用いることができる。
高速向流クロマトグラフィーによりカンナビジバリンとカンナビゲロールを同時に分離することと、カンナビジオールを分離することとの違いは、異なる溶媒系を用いたことにあり、カンナビジバリンとカンナビゲロールがより良い分離効果を得るようになる。
高速向流クロマトグラフィー(HSCCC)技術は新たな液-液分配の原理に基づく分離精製技術であり、如何なる固体支持又はキャリアを必要とせず、固定相と移動相のどちらも液体であり、逆吸着ができないことはない。
現在、高速向流クロマトグラフィーによりカンナビジバリンとカンナビゲロールを同時に分離する関連技術がまだ開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の解決しようとする技術課題は、カンナビジバリンとカンナビゲロールを同時に分離する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
該方法は高速向流クロマトグラフィー技術を用い、溶媒系をワンステップで同時に分離精製することで純度が98%超であるカンナビジバリン(CBDV)と純度が97%超であるカンナビゲロール(CBG)を得た。
本発明が提供したカンナビジバリンとカンナビゲロールを同時に分離する方法において、
溶媒系を十分に振動し、静置し、上下2相を分けて収集するステップと、産業用大麻フルスペクトルの精製油を上相に溶解し、上相を固定相とし、下相を移動相として、高速向流クロマトグラフィーを用いて分離を行い、それぞれカンナビジバリンと移動相との混合液、カンナビゲロールと移動相との混合液を得、移動相を除去し、カンナビジバリン、カンナビゲロールを得たステップと、を含み、
ここで、溶媒系はn-ヘキサン又はヘプタン、tert-ブチルメチルエーテル、アセトニトリル又はアルコール、水を体積比が5~10:1~3:5~10:2~4で混合して得た。
前記分離収集で得られた上下2相について超音波脱ガス処理を行う。
前記高速向流クロマトグラフィーの条件は、回転方向が正回転であり、回転速度が800rpmであり、カラム温度が25℃であり、移動相の流速が5mL/minであり、検出器の検出波長が214nmである。
前記移動相を除去する工程条件は、55℃、-0.085MPaの条件で回転蒸発し、真空乾燥させる。
本発明の前記溶媒系は、カンナビジバリンとカンナビゲロールの互いに不溶性の2相溶媒における溶解度によって決まる。
【発明の効果】
【0005】
(1)本発明は初めて高速向流クロマトグラフィー技術により産業用大麻フルスペクトルの精製油から同時に分離精製して純度が98%超であるカンナビジバリン(CBDV)と純度が97%超であるカンナビゲロール(CBG)を得た。
(2)本発明の高速向流クロマトグラフィー技術は、試料のロスがなく、汚染がなく、効率が高く、調製量が大きく、溶媒をリサイクル可能である等の優れた点を有する。
(3)本発明に用いられる溶媒系の試薬はいずれもリサイクル可能であり、良好のエコ機能を有する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、具体的な実施例を合わせて、本発明についてさらに説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するのみに用いられ、本発明の範囲を限定するものではない。なおまた、本発明に記載の内容を読んだ後、当業者は本発明について種々の変更や修正を行うことができ、これらの等価形式も同様に本願に添付された特許請求の範囲に限定された範囲に入る。
実施例において用いた試薬と計測器は次の通りである。
試薬:n-ヘキサン、ヘプタン、アセトニトリル、アルコール、tert-ブチルメチルエーテルのいずれも国薬グループ化学試薬社が製造した分析試薬であり、水は脱イオン水であり、産業用大麻フルスペクトルの精製油は市販製品である。
計測器:高速向流クロマトグラフは上海同田生物技術社製の型番:TBE-300Cの高速向流クロマトグラフである。
【実施例1】
【0007】
n-ヘキサン、tert-ブチルメチルエーテル、アセトニトリル、水を体積比が6:3:6:3で混合して溶媒系を得、分液漏斗に入れ、十分に振動し、静置し相分離させ、2相の混合液を得、上相と下相を分けて収集し、それぞれ超音波発振器に置かれて超音波脱ガス処理を行った。産業用大麻フルスペクトルの精製油を上相に溶解し、上相を固定相とし、下相を移動相として、高速向流クロマトグラフィーを用いて分離を行い、ここで、スペクトル条件としては、正回転で、回転速度が800rpmであり、カラム温度が25℃であり、移動相の流速が5mL/minであり、検出器の検出波長が214nmであるように設置し、試料が完全に入ったことを0minとし、140~200minにおいてカンナビジバリン(CBDV)と移動相との混合液を得、210~280minにおいてカンナビゲロール(CBG)と移動相との混合液を得、回転蒸発器に置かれ、水浴温度55℃、真空圧力-0.085MPaの条件で回転蒸発し、真空乾燥させ、下相を除去し、カンナビジバリン(CBDV)とカンナビゲロール(CBG)の製品を得た。
HPLCにより本実施例で得られた製品の純度を分析した結果として、カンナビジバリン(CBDV)の純度が98.42%、カンナビゲロール(CBG)の純度が97.53%であったことを示している。
【実施例2】
【0008】
ヘプタン、tert-ブチルメチルエーテル、アルコール、水を体積比が5:3:5:4で混合して溶媒系を得、分液漏斗に入れ、十分に振動し、静置し相分離させ、2相の混合液を得、上相と下相を分けて収集し、それぞれ超音波発振器に置かれて超音波脱ガス処理を行った。産業用大麻フルスペクトルの精製油を上相に溶解し、上相を固定相とし、下相を移動相として、高速向流クロマトグラフィーを用いて分離を行い、ここで、スペクトル条件としては、正回転で、回転速度が800rpmであり、カラム温度が25℃であり、移動相の流速が5mL/minであり、検出器の検出波長が214nmであるように設置し、試料が完全に入ったことを0minとし、100~140minにおいてカンナビジバリン(CBDV)と移動相との混合液を得、150~200minにおいてカンナビゲロール(CBG)と移動相との混合液を得、回転蒸発器に置かれ、水浴温度55℃、真空圧力-0.085MPaの条件で回転蒸発し、真空乾燥させ、下相を除去し、カンナビジバリン(CBDV)とカンナビゲロール(CBG)の製品を得た。
HPLCにより本実施例で得られた製品の純度を分析した結果として、カンナビジバリン(CBDV)の純度が98.32%、カンナビゲロール(CBG)の純度が97.15%であったことを示している。
【国際調査報告】