(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(54)【発明の名称】フェイスマスク
(51)【国際特許分類】
A62B 18/02 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511065
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(85)【翻訳文提出日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2020074137
(87)【国際公開番号】W WO2021043688
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/104369
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】グ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チン フェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン チウシ
(72)【発明者】
【氏名】レーカース ルーベン アーノルド ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイジョン
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA07
2E185CB09
2E185CC32
(57)【要約】
フェイスマスクは、マスクキャビティの外側に半径方向出口を備える遠心ファンアセンブリを持つ。ファンアセンブリからの出口流がマスクの外側に沿って進み、ユーザに、例えば首に到達するのを防ぐために、流れ調整要素が追加される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体であって、マスクがユーザにより着用されるとき、前記マスク本体の内側にマスクキャビティが画定される、前記マスク本体、
前記マスク本体上に又は前記マスク本体を通り取り付けられるファンアセンブリであって、前記マスクキャビティと連通している軸方向入口と、前記マスクキャビティの外側の半径方向出口とを持つ遠心ファンを有する、前記ファンアセンブリ、及び
前記半径方向出口からの流れを前記マスク本体から離れるように向けるために、前記半径方向出口の下流側にリップを有する流れ調整要素であって、前記リップは、前記半径方向出口からの距離が増大するにつれて外向きに延在する第1の傾斜面と、前記半径方向出口からの距離が増大するにつれて内向きに延在する、第1の傾斜面の下流側にある第2の傾斜面とを持つ、前記流れ調整要素
を有する、フェイスマスク。
【請求項2】
前記マスク本体は、前記マスクがユーザにより着用されるとき、少なくとも部分的に横方向外側を向くように適応する向かい合う側部を有し、前記ファンアセンブリは、前記向かい合う側部の一方に取り付けられている、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項3】
前記ファンアセンブリとは反対側の前記向かい合う側部に第2のファンアセンブリを有する、請求項1又は2に記載のフェイスマスク。
【請求項4】
前記マスク本体は、フィルタ部材を有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のフェイスマスク。
【請求項5】
前記フィルタ部材は、前記ファンアセンブリを受け入れるための開口を有する、請求項4に記載のフェイスマスク。
【請求項6】
前記マスク本体は、外側ケースを有し、前記フェイスマスクは、前記外側ケースの内側に取り付けるための内側フィルタ部材をさらに有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のフェイスマスク。
【請求項7】
前記外側ケースは、前記ファンアセンブリを受け入れるための開口を有する、請求項6に記載のフェイスマスク。
【請求項8】
前記半径方向出口は、前記フェイスマスクがユーザにより着用されるとき、少なくとも部分的に後方に、又は少なくとも部分的に下方に向くように適応する、請求項1乃至7の何れか一項に記載のフェイスマスク。
【請求項9】
前記半径方向出口は、外向きの高さ(h)を持ち、前記半径方向出口の流れ方向に沿った、前記マスク本体の外面上に射影される前記第1の傾斜面の長さ(d1)は、前記外向きの高さ(h)よりも大きい、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項10】
前記半径方向出口の流れ方向に沿った、前記マスク本体の前記外面上に射影される前記第2の傾斜面の長さ(d2)は、前記外向きの高さ(h)より小さい、請求項9に記載のフェイスマスク。
【請求項11】
前記第1の傾斜面の前記長さ(d1)が、前記第2の傾斜面の前記長さ(d2)よりも大きい、請求項10に記載のフェイスマスク。
【請求項12】
前記第1の傾斜面と前記第2の傾斜面との間の接合部における前記リップの最大の外向きの拡張部分(d3)は、前記半径方向出口の前記外向きの高さ(h)よりも大きい、請求項9乃至11の何れか一項に記載のフェイスマスク。
【請求項13】
前記流れ調整要素は、取り外し可能なユニットである、請求項1乃至12の何れか一項に記載のフェイスマスク。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載のフェイスマスク用マスク本体であって、前記マスク本体は、前記マスクがユーザにより着用されるとき、マスクキャビティを画定し、前記マスク本体は、
前記ファンアセンブリを受け入れるための開口を持つ外側本体、及び
前記ファンアセンブリの半径方向出口からの流れを前記マスク本体から離れるように向けるために、前記半径方向出口の下流側に位置決められるように適応するリップを有する流れ調整要素
を有し、前記リップは、前記半径方向出口からの距離が増大するにつれて外向きに延在する第1の傾斜面と、前記半径方向出口からの距離が増大するにつれて内向き延在する、前記第1の傾斜面の下流側にある第2の傾斜面とを有する、マスク本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染物質のろ過を提供するためのフェイスマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
大気汚染は世界的な懸念事項である。世界保健機関(WHO)は、毎年400万人が大気汚染を原因に死亡していると推定している。この問題の一部は、都市の外気の質である。スモッグに襲われる約300の都市は、国の大気汚染基準を満たすことができない。
【0003】
公式の屋外の大気汚染基準は、粒子状物質の濃度を単位体積当たりの質量(例えば、μg/m3)と定義している。特に懸念されるのは、(「PM2.5」と呼ばれる)2.5μm未満の直径を持つ粒子による汚染であり、これら粒子は、肺(肺胞)のガス交換領域に入り込むことができるので、非常に小さい粒子(<100nm)は、肺を通り他の器官に影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
この問題は短時間では大きく改善されないので、この問題に対処する一般的な方法は、ろ過によって、きれいな空気を供給するマスクを着用することであり、中国等におけるマスクの市場は、近年、大きく成長している。
【0005】
そのようなマスクは、汚染物質粒子のフィルタとして作用する材料から作れられるか、又はマスク表面の一部にのみフィルタを持つかであり、このフィルタは、目詰まりしたとき、交換可能である。
【0006】
しかしながら、使用中、マスク内の温度及び相対湿度は増大し、外側に対するマスク内の圧力差と相まって、これが呼吸を不快にする。これは、吐き出される空気は、殆を抵抗なくマスクから逃げることを可能にするが、吸い込まれる空気はフィルタを通して吸い込まれる必要がある、出口弁又は逆止弁を設けることにより、一部は軽減されることができる。快適性及び有効性を向上させるために、マスクにファンが追加され、このファンは、フィルタを通して空気を吸い込む及び/又は息を吐くときに補助をする。
【0007】
ファン電動マスクを使用する着用者に起こり得る1つの利点は、従来の非電動マスクにおけるフィルタの抵抗に対抗して息を吸うことにより引き起こるわずかな負担から肺が解放されることである。その上、従来の非電動マスクにおいて、吸気は、マスク内にわずかな圧力の低下も引き起こし、この圧力の低下は、汚染物質がマスク内に漏れ入ることにつながり、汚染物質が有毒物質である場合、この漏れは、危険であることが分かる。
【0008】
従って、ファン補助マスクは、温度、湿度及び呼吸抵抗を低下させることにより、呼吸の快適性を向上させることができる。
【0009】
1つの機構において、吸気(すなわち、吸入)ファンは、空気の連続的な取り入れを提供するために使用される。このように、従来の非電動マスクにおけるフィルタの抵抗に対抗して息を吸うことにより引き起こされるわずかな負担から肺が解放される。次いで、安定した空気の流れを顔に供給し、例えば、如何なる漏れも内向きではなく外向きになることを保証するために、僅かな正圧を与える。しかしながら、これは、息を吐くとき、呼吸にさらなる抵抗を与える。
【0010】
もう1つの機構において、呼気(すなわち、排気)ファンは、空気の連続的な放出を提供するために使用される。これは代わりに、息を吐くとき、呼吸補助を行う。ファンを介してマスクに空気の流れが入らないように、呼気ファンは、直列の逆止弁と組み合わされてもよい。
【0011】
前記ファンは再び、マスクを通る空気の連続的な流れを作る。ファンにより又は息を吸うことにより誘発される流れによって、空気は、フィルタを通りマスクキャビティ内に吸い込まれる。これは、着用者の快適性を向上させる。
【0012】
もう1つの代替案は、吸気ファン及び排気ファンの両方を備えること、及びユーザの呼吸サイクルと同期してファンの時間制御をすることである。呼吸サイクルは、圧力(又は差圧)測定値に基づいて測定される。これは、吸気及び呼気の両方の呼吸に対する抵抗を減らすこと、並びに温度及び湿度の制御の向上を提供する。
【0013】
従って、パッシブマスク、呼気弁を備えるパッシブマスク及び少なくとも1つのアクティブファンを備えるマスクを含む、大気汚染物質に毎日曝されるのを防ぐための幾つかの種類のマスクが利用可能である。
【0014】
本発明は、特にファンを有するアクティブマスクに関し、より詳細には、少なくとも呼気ファンを有する設計に関する。
【0015】
軸流ファン(axial fan)が使用されることができる。しかしながら、これらのファンは、サイズが大きいという問題があり、出口又は入口の開口がはっきりと見える。一方の側に軸方向の流れを持ち、他方の側に半径方向の流れを持つ遠心ファンを使用することが好ましい。マスクの外側に半径方向の流れを配することにより、半径方向出口は視界から隠れることができ、例えば、この出口は下方又は後方に向くことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、マスクの外側に前記半径方向出口を備える遠心ファンの使用に関する問題が、出口流がコアンダ効果によりマスクの外面形状をたどる、故に、この出口流が着用者に向かって、例えば首又は顔に向けられるという認識に基づいている。
【0017】
夏において、この流れは有益であるが、特に冬において、首に当たる流れは、ユーザを冷やす可能性がある。
【0018】
従って、着用の快適性を向上させるために、この問題に対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、請求項により定義される。
【0020】
本発明の一態様による実施例によれば、
マスク本体であって、マスクがユーザにより着用されるとき、マスク本体の内側にマスクキャビティが画定される、前記マスク本体、
前記マスク本体上に又は前記マスク本体を通して取り付けられるファンアセンブリであって、前記マスクキャビティの内側と連通している軸方向入口と、前記マスクキャビティの外側にある半径方向出口とを持つ遠心ファンを有する、前記ファンアセンブリ、及び
流れ調整要素であって、前記半径方向出口からの流れを前記マスク本体から離れるように向けるために、前記半径方向出口の下流側にリップを有する、前記流れ調整要素
を有するフェイスマスクが提供される。
【0021】
前記マスク本体の外側にファンの半径方向出口を使用することは、前記マスク本体の外側に沿った流れが生成されることを意味する。この半径方向出口の向きに依存して、この流れはユーザに到達し、不快感を引き起こすことがある。
【0022】
前記流れ調整要素は、ファンアセンブリからの出口流を乱れさせ、特に、コアンダ効果(Coanda effect)の邪魔をする。前記リップは、例えば、流路に対し狭い半径を導入するために使用される。
【0023】
前記マスク本体は、例えば、マスクがユーザにより着用されるとき、少なくとも部分的に横方向外側に向くように適応する向かい合う側部を有し、ファンアセンブリは、前記向かい合う側部の一方に取り付けられる。
【0024】
少なくともその一方にファンアセンブリが取り付けられる側部を備えるマスクの設計は、例えば、ユーザの顔の概ねの平面に平行な面にファンアセンブリを備える設計とは対照的に、人気のあるマスクの設計であることが分かる。
【0025】
前記マスク本体は、向かい合う側部の間にリッジ(ridge)を有してもよい。これは、全体的な設計に(平面図において)V字形の外観を与え、これは一般的な審美的な設計である。
【0026】
ファンアアセンブリが側面に取り付けられるとき、ファンアセンブリは、少なくとも部分的に前後方向に向くので、マスクの表面に沿って流れが生成されるとき、これはユーザに向かって後方に広がる。
【0027】
第2のファンアセンブリが、前記(第1の)ファンアセンブリとは反対側の側部にあってもよい。第1のファンアセンブリは、(マスクキャビティの外側に出口があるため)排気ファンである。第2のファンアセンブリは、別の排気ファンでもよいので、マスクの重量はバランスが取られ、2つのより小さいファンの間でファン機能が共有される。その代わりに、第2のファンアセンブリが吸気ファンでもよい。従って、前記マスクは、例えば、ユーザの呼吸と同期して制御される、吸気ファン及び排気ファンの両方を持つことが可能である。
【0028】
ある例の組において、前記マスク本体は、フィルタ部材を有する。これにより、構成要素の数が少なくなる。このとき、マスクのフィルタ部材は、ファンアセンブリを受け入れるための開口を有することができる。
【0029】
別の例の組において、前記マスク本体は、外側ケースを有し、フェイスマスクは、この外側ケースの内側に取り付けるための内側フィルタ部材をさらに有する。これは、保護外側ケースを提供し、これは、フィルタ部材よりも改善された審美的外観を持つことができる。このとき、外側ケースは、ファンアセンブリを受け入れるための開口を有することができる。
【0030】
フェイスマスクがユーザにより着用されるとき、前記半径方向出口は、少なくとも部分的に後方に又は少なくとも部分的に下方に向くように適応される。これは、出口流がユーザの顔、首又は肩に向けられ得ることを意味する。
【0031】
本明細書における"前方"は、マスクを着用しているユーザが向いている方向を意味することを目的とし、"後方"は、前方とは反対の方向を意味することを目的としていることを述べておく。
【0032】
第1の例の組において、前記リップは、前記半径方向出口からの距離が増大するにつれて、外向きに延在する第1の傾斜面、及びこの第1の傾斜面の下流側にある第2の傾斜面を有し、前記第2の傾斜面は、前記半径方向出口からの距離が増大するにつれて内向きに延在する。
【0033】
"外向き"は、マスク本体の概ねの局所領域に対し垂直であり、マスクキャビティから離れる方を向いている方向を示すことを目的としている。
【0034】
従って、ファンからの出口流は、第1の傾斜面を上がり、次いで頂点に到達する。第1の傾斜面と第2の傾斜面との間の接合部であるこの頂点の半径は、流れを乱すようなものであり、その流れがマスク本体の外壁に沿ってさらに流れるのを防ぐようなものである。その代わり、前記流れはマスク本体から離れる方に向けられる。
【0035】
前記半径方向出口は、外向きの高さを持ち、前記半径方向出口の流れ方向に沿った(及びマスク本体の外面上に射影される)第1の傾斜面の長さは、好ましくは前記外向きの高さよりも大きい。
【0036】
半径方向出口の流れ方向に沿った(及びマスク本体の外面上に射影される)第2の傾斜面の長さは、好ましくは前記外向き高さよりも小さい。
【0037】
第1の傾斜面と第2の傾斜面との間の接合部における前記リップの最大の外向きの拡張部分は、好ましくは半径方向出口の前記外向き高さよりも大きい。
【0038】
これらの条件は、流れを乱す能力に寄与することが分かっている。
【0039】
第1の傾斜面の長さは、好ましくは第2の傾斜面の長さよりも大きい。これは、(マスク本体に戻る)第2の傾斜面が、(マスク本体から離れる)第1の傾斜面よりも急傾斜であることを意味する。
【0040】
流れ調整要素は、取り外し可能なユニットを有することができる。このようにして、ユーザに当たる流れは、例えば夏季の間は、前記流れ調整要素を取り除くことにより達成されることができる。流れ調整要素は、前記流れがユーザから離れるべき冬季(又は寒い数日)の間、取り付けられることができる。
【0041】
本発明は、上に規定されたフェイスマスク用のマスク本体も提供し、マスクがユーザにより着用されるとき、マスクキャビティを画定するマスク本体は、
ファンアセンブリを受け入れるための開口を持つ外側本体、及び
前記ファンアセンブリの半径方向出口からの流れを前記外側本体から離れるように向けるために、前記ファンアセンブリの半径方向出口の下流側に配されるように適応するリップを有する流れ調整要素
を有する。
【0042】
これは、既存のファンアセンブリと共に使用され、追加の流れ調整機能を実装する交換用マスク本体を提供する。
【0043】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、これを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明をより良く理解するため、及び本発明がどのように実施されるかをより明確に示すために、単なる例として、添付の図面を参照する。
【
図1】
図1は、本発明が適用されるマスクの設計の一例を示す。
【
図2】
図2は、一方の前側からの
図1の設計を、組み立てられた状態で示す。
【
図3】
図3は、反対の前側からの
図1の設計を、組み立てられた状態で示す。
【
図4】
図4は、構成要素が着用者と接合する方法を示すために使用され、代替的な設計を示す。
【
図5】
図5は、一般的な隆起がどのように流れに影響を及ぼすかを示す。
【
図6A】
図6Aは、流れを十分に乱すような方法で、適切に設計されたリップが流れにどのように影響するかの例を示す。
【
図6B】
図6Bは、流れを十分に乱すような方法で、適切に設計されたリップが流れにどのように影響するかの例を示す。
【
図6C】
図6Cは、流れを十分に乱すような方法で、適切に設計されたリップが流れにどのように影響するかの例を示す。
【
図6D】
図6Dは、流れを十分に乱すような方法で、適切に設計されたリップが流れにどのように影響するかの例を示す。
【
図8】
図8は、角度に基づく代替の設計ルールを示す。
【
図9】
図9は、
図7に示されるようなリップの設計を組み込んだマスクの正面図を示す。
【
図10】
図10は、
図9に示されるマスクの別の図を示し、ファンの半径方向出口をより明確に示す。
【
図11】
図11は、リップがより明確に見えるように、
図9のマスクの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、図面を参照して説明される。
【0046】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、これらは単に例示を目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様並びに利点は、以下の記載、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からより良く理解される。図面は単に概略的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。同じ又は類似の部分を示すために、同じ参照番号が図面全体にわたり使用されることも理解されたい。
【0047】
本発明は、マスクキャビティの外側に半径方向出口を備える遠心ファンアセンブリを持つフェイスマスクを提供する。ファンアセンブリからの出口流がマスク本体の外側に沿って進み、ユーザ、例えば首に到達するのを防止するために、流れ調整要素が追加される。
【0048】
この流れ調整要素は、コアンダ効果の邪魔をする又は打ち消すための手段として説明することができる。
【0049】
図1は、本発明が適用されたマスク設計の一例を示す。マスク10は、分解図で示され、マスク本体及び内側フィルタ部材14として機能する外側ケース12を有する。この外側ケースは、耳ストラップ13を備える硬質又は半硬質であるのに対し、フィルタ部材14は、布で形成され、故に、外縁が着用者の顔の形状に合致するように容易に変形する。
【0050】
前記外側ケースは、空気がこの外側ケースを通り流れることができるように多孔性である。
【0051】
内側フィルタ部材14は、コネクタモジュール16の周囲で封止されている。コネクタモジュール16は、ファンモジュール20に接続するためのものである。ファンモジュールは、遠心ファンを有する。この特定例において、コネクタモジュール16は、受動型の逆止弁を有する。コネクタモジュール及びファンモジュールがファンアセンブリを構成すると考えられ、これら2つのモジュールは、手動で接続及び切り離されることができる。
【0052】
制御モジュール18は、フィルタ部材14の外側に結合される。この制御モジュールは、前記ファンアセンブリのファンモジュール20及び制御ユニット22を含む。この制御ユニットは、前記外側ケースの内側にある。制御ユニット22は、例えば、バッテリ及び他の制御回路を有する。これは、センサを含むことができる。その代わりに、制御回路がファンモジュール側にあり、ファンモジュールに組み込まれてもよいことも述べておく。従って、様々な追加の回路素子及びバッテリが、ファンモジュールと制御ユニットとの間において、色々なやり方で分担されることができる。
【0053】
コネクタモジュール16は、フィルタを交換するとき、フィルタ部材14と一緒に廃棄されるように、フィルタ部材14に恒久的に取り付けられる。ファンアセンブリのファンモジュール20は、再利用でき、(少なくとも)ファン駆動回路及びファンのインペラを含む。
【0054】
外側ケース12は、ファンアセンブリのファンモジュール20を受け入れるための開口24を持つ。
【0055】
外側ケースの内面は、制御ユニット22のための受入ドック領域を持つこともでき、或いは、フィルタ部材の外面上に、制御ユニット22を置くための受入ドック領域26があってもよい。前記制御ユニットは、機械的な位置合わせ機構だけでなく、又はその代わりに、磁気結合によりフィルタ部材又は外側ケースに接続されることができる。
【0056】
電気コネクタブリッジ28は、電力及び制御信号を伝達するために、制御ユニット22とファンアセンブリのファンモジュール20との間の電気的接続を提供する。
【0057】
ファンアセンブリのファンモジュール20及び制御ユニット22は、マスクの向かい合う側部、すなわち着用者の鼻の両側に1つずつある。これは、バランスのとれた重量配分を提供する。2つのモジュールを持つことによって、個々の部品の重量が減るので、どの場所の負荷も減る。
【0058】
ファンアセンブリは排気ファンである。最もシンプルな設計において、ファンアセンブリは、(マスクフィルタを通して吸引された空気を用いて)連続して空気を顔に供給するように連続的に動作する。これは、温度及び湿度の制御を提供する。しかしながら、ファンアセンブリが、(適切な呼吸検知を用いて)着用者の呼吸と同期して動作してもよく、双方向で制御されてもよい。その代わりに、例えば、各側部に別個の吸気ファン及び排気ファンがあってもよい。
【0059】
本発明は、特に、ファンアセンブリからの出口流の経路の制御に関するので、ファンを制御するための様々な既知のオプションの全てが適用されることができる。
【0060】
図2は、一方の前側からの
図1の設計を、組み立てた状態で示し、
図3は、反対の前側からの
図1の設計を、組み立てた状態で示す。
【0061】
図4は、構成要素が着用者と接合する方法を示すために使用され、単一のモジュールを備える代替の設計を示す。本発明は、単一のモジュールの設計にも同様に適用されることができる。着用者の顔30は、上からの断面で示されている。
【0062】
内側フィルタ部材14は、固定具32を用いて外側ケース12に接続する。これらは、例えば、押し込み式のスナップである。内側フィルタ部材の外周は、内向きに突出するシール34も担持し、この内側フィルタ部材と顔30との間に実質的に密封された体積を形成する。
【0063】
モジュールは、
図1を参照して説明されるように、コネクタモジュール16及びファンモジュール20を有し、ファンモジュール20は、このとき、ファンアセンブリ及び制御モジュールの両方からなる再利用可能な部品を実装する。
【0064】
息を吸うとき、空気は、矢印36で示されるように、内側フィルタ部材14を通り吸引される。この間、排気ファンが動作し、流れ38を提供してもよいし、又は節電のために止まっていてもよい。息を吐くとき、排気ファンは、流れ38を作り出すように動作し、矢印40で示されるように、内側フィルタ部材を通る外向きの流れがあってもよい。(ファンがどのように動作しているかに応じて)流れ36が続いてもよいが、その流れは、そのときは吸気されず、代わりに、ファンを介して外に循環する。特に、ファンは、吐き出した空気をマスクキャビティから取り除く、従って、以前に吐き出した、故に新鮮ではない空気を再呼吸(再循環)するのを防ぐので、呼吸の快適さが改善される。
【0065】
単一のモジュールは、例えば、ファン、一方向逆止弁、バッテリ及び制御回路を担持するプリント回路基板を有する。ファンは前記逆止弁の上にある。
【0066】
図4の例において、前記モジュールを再使用するのに対し、内側フィルタ部材は交換(又は洗浄)されるように、コネクタモジュール16及びファンモジュール20は再び分離可能である。
【0067】
示されるマスクの設計は、上から見るとV字型である。従って、マスクは、2つの向かい合う側部、及びこれら向かい合う側部の間にリッジを持つ。
【0068】
前記ファンアセンブリは、マスクキャビティの内側に軸方向の入口、及びマスクキャビティの外側に半径方向出口を持つ遠心ファンを有する。"半径方向出口"は、出口流が、ファンの回転面に垂直ではなく、この回転面において外向きに向けられることを意味しているのにすぎない。これは、ファンの本体が円形形状を持つことを意味するものではない。
【0069】
遠心ファンの出口を直接見ることができないようにするために、遠心ファンは、下方又は後方(すなわち、ユーザの方に戻る方)を向いていてもよい。これは、
図4に見ることができ、流れ38は、マスク本体、すなわち外側ケース12に沿って、着用者に向かって、例えば着用者の首に向かって進んでいる。
【0070】
本発明は、この流れがマスク本体の表面から離れる、故に、マスクの着用者の首に向けられないように、この流れを中断させることを目的とする。
【0071】
第1の可能な手法は、マスク本体から離れるように前記流れを偏向させるためのリップ又は隆起(bulge)を使用することである。
【0072】
図5は、一般的な滑らかな隆起50が流れ52にどのように影響するかを示す。この隆起は、例えば、ファンアセンブリがマスク本体に接続する場所に形成されるリッジの一部である。
図5において、前記流れは、前記隆起の表面の形状を辿っている。従って、隆起は、コアンダ効果の邪魔をするほど、前記流れを十分に乱すように特に設計される必要がある。
【0073】
コアンダ効果を維持するための鍵となるパラメタは、h/rであり、ここで、hは、(流れが起きている表面に垂直な)フロージェット(flow-jet)の厚さであり、rは、前記流れがその表面上を移動している表面の曲率半径である。
【0074】
非円形の経路に対し、局所的な半径は、その経路の長さに沿って変化する。従って、その経路に沿った最小の半径が、コアンダ効果が最も乱される点を画定する。
【0075】
h/rの局所値がある限界(流れの性質に依存する)に到達するとき、コアンダ効果はもはや作用しない。
【0076】
図6Aは、適切に設計されたリップ60が、流れを乱すように、前記流れにどのように影響を及ぼすかの第1の例を示す。このリップは上流側に第1の傾斜及び下流側に第2の傾斜を持つ。リップは頂点で最小の曲率半径を持ち、この半径が小さいほど、流れを乱す効果が大きい。
図6Aにおいて、前記リップの出口側は鋭く落ち込んでいる。これは、頂点における曲率半径の減少を引き起こす。
【0077】
図6Bは、第2の例を示す。上流側の斜面の形状は、最終的な流れが、下にある表面からより外側に向けられるように設計される。
【0078】
図6Cは、第3の例を示す。
図6Cにおいて、頂点における曲率半径の減少を生じさせるために、リップの入口側において急激な立ち上がりがある。これは、
図6Aの手法よりも多くの乱流を導入し、従って、より多くのノイズを生じさせる。
【0079】
より急勾配な出口傾斜を備える
図6A及び6Bが、
図6Cよりも好ましい。高速な流れは圧力の低下をもたらすので、周囲の空気は、この圧力の低下により結果生じる圧力差によって引き寄せられる。急激に落ち込む傾斜は、前記流れの両側から、空気が前記圧力差により引き寄せられることを促し、よりバランスのとれた力を与え、従って、表面に向かう偏向を減らす(すなわち、コアンダ効果が減る)。
【0080】
図6Dは、第4の例を示す。リップは、拡張部分62を持ち、この拡張部分の端部が小さい曲率半径を画定している。
【0081】
ファンアセンブリの支持フレームは、典型的には、所望の審美的外観を与えるために、流線形をした滑らかな表面である。h/rの実効値を増大させるために、
図6における4つの手法が可能である。しかしながら、これらは、可能な一般的形状設計の単なる例である。
【0082】
リップの高さをできるだけ小さく保ち、過剰なノイズを生じさせないようにすることが望まれる。従って、設計は、(ファンアセンブリからの所定の出口流に対し)前記流れを混乱させるのに必要な寸法、生成されるノイズ及び最終的に生じる流れのパターンが考慮される。
【0083】
図7は、
図6Aの手法に対する幾つかの設計基準を示す。
【0084】
ファンの半径方向出口は、幅hの開口を持つと定義される。この"幅"は、ファン出口70の外向きの高さとして定義することができ、これにより、マスク本体の一般的な外側面に垂直な方向の高さ、すなわち、マスク本体を越えるファン出口の幅を意味する。
【0085】
リップは、前記半径方向出口からの距離が増大するにつれて、外向きに(すなわち、外向きの程度が増大しつつ)延在する第1の傾斜面72を持つ。言い換えると、リップは、流れ方向に沿って距離の増加と共に高くなる。下流端において、寸法d3として示される、最大の外向きの広がりに達する。
【0086】
第2の傾斜面74は、第1の傾斜面72の下流側にあり、半径方向出口からの距離が増大するにつれて、内向きに(すなわち、外向きの程度が減少しつつ)延在する。言い換えると、リップは、流れ方向に沿って距離の増大と共に低くなる。従って、リップは、マスク本体の一般的な外面形状に向けて先細り状態が戻る。
【0087】
第1の傾斜面の開始点から第2の傾斜面の終了点までの一直線の接続は、リップ高さ(「外向きの程度」)を測定する基準として作用する基礎となる表面であると考えることができる。
【0088】
これら傾斜面は、半径方向平面、すなわち半径方向の流れ方向に平行であり、ファンの回転軸に平行である平面における傾斜面の形状を基準にするように画定される。
【0089】
半径方向の出口流の方向に沿った、前記基礎となる表面(すなわち、リップのないマスク本体の外側表面)に射影される第1の傾斜面72の長さは、d1として示される。従って、d1は、リップの下にあるマスク本体の外側面に沿って測定される距離である。
【0090】
半径方向の出口流の方向に沿った、前記基礎となる表面(すなわち、リップのないフィルタ部材の外側面)に再び射影される第2の傾斜面74の長さは、d2として示される。
【0091】
コアンダ効果を邪魔させるのに役立つ望ましい条件は、
d1>h
d3>h
d2<h
である。
【0092】
リップの視覚的影響を最小限にするために、d3をできるだけ小さく維持することが好ましい。
【0093】
例えば、d3<5h、或いはd3<3hである。
【0094】
ある適切な例は、
d1=5mm
d2=1.5mm
d3=3.5mm
h=2.5mm
である。
【0095】
リップの特性は、代わりに傾斜角により規定されてもよい。
【0096】
図8は、
図7と同じリップの設計を示す。
図8は、リップの開始点(すなわち、第1の傾斜面72の上流側の端部)から頂点までの第1の直線、及び前記頂点からリップの終了点(すなわち、第2の傾斜面74の下流側の端部)までの第2の直線を示す。
【0097】
前記第1の直線の傾斜角はΘ1であり、第2の直線の下降角はΘ2である。
【0098】
下流側に急傾斜を与えるためには、Θ1<Θ2である。
【0099】
上記寸法は、Θ1=35°及びΘ2=67°に対応している。
【0100】
例として、角度において、20<Θ1<45及びΘ2>45である。例えば、Θ2<80である。
【0101】
頂点を囲む傾斜角はΘ3と定義される。これは、示されるように、実際の傾斜が凹んでいる場合、前記直線間の角度よりも大きくなる。
【0102】
頂点周りの曲率半径は、前記流れが遭遇する最小半径である。この例において、曲率半径は、約0.7mmであり、例えば0.5~1.5mmの範囲である。
【0103】
図9は、
図7に示されるようなリップの設計を取り入れたマスクの正面図を示す。リップ80は、ファンアセンブリ20を取り囲んでいてもよいし、又はファンアセンブリの半径方向出口にのみ設けられてもよい。前記出口は領域82の周りに延在している。従って、半径方向に向けられた流れは、(領域82からの最大流量の方向、又は半径方向の出力方向の範囲の平均の方向であると考えることができる)概ねの出力方向84を持つ。この出力方向は、下方成分と後方成分とを持つ。一般的に、マスク本体がユーザの顔と接合している領域の下部の側方領域に向かって戻る方向である。
【0104】
前記出口のこの位置決めは、マスク本体の前方及び上方から、すなわち他人の目がありそうな位置からは見えないことを意味する。
【0105】
図10は別の図を示し、この図は、ファンの半径方向出口82をより明確に示す。
【0106】
図11は、前記設計を断面で示し、故に、上流側の傾斜面72及び下流側の傾斜面74を備えるリップ80が分かる。
【0107】
流れ調整要素は、ファンアセンブリを受け入れるマスク本体の開口の周りにリングとして好ましくは形成される。リップ80は、その機能がファンの半径方向出口の近傍においてのみ必要とされたとしても、リングの全周囲に形成されてもよい。これは、左右対称の外観を与えることができる。その代わりに、リップは、流れ調整機能が必要とされるリングの部分の周りにのみ形成されてもよい。従って、流れ調整要素は、リップ部分とリップのない滑らかな部分とを持つリングでもよい。最後に、流れ調整要素(及びリップ)は、ファンの半径方向出口付近にのみ存在してもよい。
【0108】
ある例において、リップは取り外し可能である。例えば、リップは、ファンアセンブリ20に取り付けられ、ファンアセンブリとマスク本体との間にある接合部の所定の場所にクリップ留めする形状を持つことができる。従って、寒候期中は、リップは取り付けられ、暖候期中は、取り外される。このようにして、前記流れは、冷却のためにユーザの顔又は首に向けられる流れと、過剰な冷却を防ぐためにユーザの顔又は首から離れるように向けられる流れとの間で切り替えられる。
【0109】
リップは、代わりに、恒久的な特徴でもよい。
【0110】
リップは、ポンプアセンブリのハウジングの一部として、又はマスク本体の一部として、或いは別個の部品として形成されてもよい。例えば、マスク本体の交換は、既存のマスク(故に、既存のファンアセンブリ)が新しいフロー機能を提供するために交換されることを可能にするように、リップはマスク本体の一部でもよい。
【0111】
上述したように、コアンダ効果は、h/rの値に基づいて邪魔される(大きいほど良好である)。上記の例は、ファンアセンブリからの所定の出力フロー、すなわちhの所定の値を得てから、次いで、適切な有効半径を持つ特徴を挿入している。
【0112】
上記の例は、外側のシェル及び内側のマスクフィルタを持つ。しかしながら、本発明は、フィルタ層のみを備えるマスクに使用されてもよい。このような場合、前記フィルタ層はマスク本体である。次いで、ファンアセンブリは、上に示されるのと同じ方法でフィルタ層に取り付けら、すなわち、
図1のマスクは、外側カバーを必要としない。従って、ファンアセンブリは、このとき、マスク本体の上、すなわちフィルタ層の上に取り付けられる。
【0113】
外側のシェルがあるとき、ファンアセンブリは、前記外側のシェルを通して(付加的に)取り付けられ、このとき、外側のシェルは、マスク本体であると考えられる。
【0114】
従って、マスク本体は、全体構造の最外面であり、ファンからの出口流はこの最外面の外側に送られる。マスクキャビティの外側範囲は、フィルタ層により画定される。
【0115】
外側シェル又は外側ケースが使用されるとき、内側のフィルタ部材は、何らかの適切な方法で外側シェル又は外側ケースに接続することができる。好ましくは、このことがフィルタ部材を外側ケースから容易に接続及び切り離しを可能するので、押し込み接続が使用される。
【0116】
開示される実施形態に対する変形例は、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、本明細書に記載される原理及び技術を実施する際に当業者により理解及び実施され得る。請求項において、「有する」という用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、要素が複数あることを述べなくても、その要素が複数あることを排除するものではない。ある特定の方法が互いに異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの方法の組み合わせが有利に使用され得ないことを示さない。「に適応する」という用語が請求項又は明細書に用いられる場合、この「に適応する」という用語は、「ように構成される」と言う用語と同様であることを意味する。請求項における如何なる参照符号も、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【国際調査報告】