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特表2022-546814カンナビス抽出物およびテルペンのためのマイクロエマルジョン送達系
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(54)【発明の名称】カンナビス抽出物およびテルペンのためのマイクロエマルジョン送達系
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/01 20060101AFI20221101BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20221101BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20221101BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20221101BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221101BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221101BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221101BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20221101BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20221101BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20221101BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
A61K31/01
A61K9/107
A61K47/24
A61K47/34
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/44
A61K31/05
A61K31/352
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513865
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 US2020049168
(87)【国際公開番号】W WO2021046196
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】62/896,820
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521169789
【氏名又は名称】クイックシルバー サイエンティフィック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェード,クリストファー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ティエウ,スティーブン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076AA95
4C076BB01
4C076CC29
4C076DD37
4C076DD41
4C076DD46
4C076DD63
4C076DD67
4C076EE23
4C076EE53
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA52
4C086NA13
4C086ZC02
4C206BA04
4C206CB15
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA72
4C206NA13
4C206ZC02
(57)【要約】
疎水性液体液滴が連続親水性液相中に分布するマイクロエマルジョンについて記載される。記載されたマイクロエマルジョンは、マイクロエマルジョンの「油」相および「水」相の両方が変性される変性水中油型(MOIW)マイクロエマルジョンと考えることができる。MOIWマイクロエマルジョンの油相液滴は、アルコールで変性され、カンナビス抽出物およびテルペンを含む油溶性種を可溶化することができる。MOIWマイクロエマルジョンの極性連続「水」相は、糖または糖アルコールで変性される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
油溶性種と、
変性油相および変性極性連続相を含む変性水中油型マイクロエマルジョンと、を含み、
前記油溶性種が、前記変性油相中に可溶化されており、前記変性油相が、リン脂質、ポリエチレングリコール誘導体、油、およびアルコールを含み、
前記変性極性連続相が、糖または糖アルコール、および水を含む、組成物。
【請求項2】
前記変性水中油型マイクロエマルジョンが、視覚的に透明、貯蔵安定性、食用であり、前記変性油相の液滴が、7~30ナノメートルの平均液滴直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記変性油相が、前記油単独よりも前記油溶性種をより良好に可溶化するように構成されており、前記変性油相が、前記変性極性連続相中に分散されている、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記油溶性種が、カンナビジオール、テトラヒドロカンナビノール、または他のカンナビノイドを含むカンナビス抽出物;リモネン、ピネン、リナロール、ベータ-カリオフィレン、レチノール、フィトール、ミルセン、フムレン、オシメン、テルピノレン、ゲラニオール、ゲラニルゲラニオール、およびそれらの組み合わせを含むテルペン;ならびにそれらのカンナビス抽出物とテルペンとの組み合わせから選ばれる、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記変性油相中のアルコール可溶性送達物をさらに含み、前記アルコール可溶性送達物が、ハマビシ、ヨヒンベ、およびそれらの組み合わせを含む植物ステロール;レスベラトロール、プテロスチルベン、クルクミン、ボスウェリア、クェルセチン、およびそれらの組み合わせを含むポリフェノール;アルテミシニン、モノラウリン、センシンレン、およびそれらの組み合わせを含む抗微生物剤;ならびに植物ステロール、ポリフェノール、およびそれらの抗微生物剤の組み合わせから選ばれる、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記リン脂質が、レシチンから単離され、好ましくはホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、およびそれらの組み合わせから選択される、グリセロリン脂質である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリエチレングリコール誘導体が、ポリエチレングリコール変性ビタミンE、ポリソルベート60、ポリソルベート80、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記油が、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、およびそれらの組み合わせを含む中鎖トリグリセリド;オレンジ油、レモン油、およびそれらの組み合わせを含む柑橘油;ならびにそれらの中鎖トリグリセリドと柑橘油との組み合わせから選ばれる、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記糖または糖アルコールが、純粋なメープルシロップ、グリセロール、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記油溶性種が、前記組成物の1重量%~5重量%を含み、前記リン脂質が、前記組成物の2重量%~10重量%を含み、前記ポリエチレングリコール誘導体が、前記組成物の5重量%~15重量%を含み、前記油が、前記組成物の5重量%~15重量%を含み、前記アルコールが、前記組成物の5重量%~25重量%を含み、前記糖または糖アルコールが、前記組成物の30重量%~55重量%を含み、前記水が、前記組成物の>10重量%~25重量%を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記リン脂質と、前記油と、前記ポリエチレングリコール誘導体と、前記アルコールと、前記糖または糖アルコールと、前記水との比が、1:2:0.6~3.3:4:7.5~9:2~3.5±20重量%である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ヒト対象への前記組成物の口腔内投与の20分以内に、0.3ng/mL~1.5ng/mLの血中濃度の土可溶性種を前記ヒト対象に提供するように構成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記油溶性種がOIWエマルジョン中で前記ヒト対象に送達されるときよりも、口腔内投与の60分以内に、血流中に5~9倍多い油溶性種をヒト対象に提供するように構成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を作製する方法であって、
前記リン脂質、前記ポリエチレングリコール誘導体、前記油、および前記アルコールを組み合わせて、アルコール-脂質混合物を形成することと、
糖または糖アルコールと水とを組み合わせて、変性極性連続相を形成することと、
前記油溶性種を大気圧で前記アルコール-脂質混合物および前記変性極性連続相と組み合わせて、前記変性水中油型マイクロエマルジョンを形成することと、を含む、方法。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物を用いて、油溶性種をヒト対象の血流に経口で送達する方法であって、
請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物を、ヒト対象に口腔内で導入することと、
前記油溶性種を前記ヒト対象の前記血流に送達することと、を含み、
前記組成物を前記ヒト対象に口腔内で導入して20分以内に、約1mLの前記組成物が、0.3~1.5ng/mLの血中濃度の前記油溶性種を前記ヒト対象に提供する、方法。
【請求項16】
組成物であって、
油溶性種と、
変性油相および変性極性連続相を含む変性水中油型マイクロエマルジョンと、を含み、
前記油溶性種が、前記変性油相中に可溶化されており、前記変性油相が、リン脂質、ポリエチレングリコール誘導体、油、およびアルコールを含み、
前記変性極性連続相が、糖または糖アルコール、および水を含む、組成物。
【請求項17】
前記変性水中油型マイクロエマルジョンが、視覚的に透明である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記変性水中油型マイクロエマルジョンが、貯蔵安定性である、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記変性水中油型マイクロエマルジョンが、摂取可能および食用である、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
前記変性水中油型マイクロエマルジョンが、哺乳動物の口腔および胃粘膜を通して、有効な血流濃度で前記哺乳動物の血流への前記油溶性種の取り込みを提供するように構成されている、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
前記変性油相が、前記油単独よりも前記油溶性種をより良好に可溶化するように構成されている、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
前記変性油相が、前記変性極性連続相中に分散されている、請求項16に記載の組成物。
【請求項23】
前記変性油相の液滴が、1~100ナノメートルの平均液滴直径を有する、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記変性油相の液滴が、7~30ナノメートルの平均液滴直径を有する、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記油溶性種が、カンナビス抽出物、テルペン、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項16に記載の組成物。
【請求項26】
前記カンナビス抽出物が、カンナビジオール、テトラヒドロカンナビノール、他のカンナビノイド、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記カンナビス抽出物が、カンナビジオールおよびテトラヒドロカンナビノールを含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
前記カンナビス抽出物が、カンナビスジオール、テトラヒドロカンナビノール、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項25に記載の組成物。
【請求項29】
前記テルペンが、リモネン、ピネン、リナロール、ベータ-カリオフィレン、レチノール、フィトール、ミルセン、フムレン、オシメン、テルピノレン、ゲラニオール、ゲラニルゲラニオール、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項25に記載の組成物。
【請求項30】
前記テルペンが、ベータ-カリオフィレンを含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項31】
前記変性油相中のアルコール可溶性送達物をさらに含み、前記アルコール可溶性送達物が、植物ステロール、ポリフェノール、抗微生物剤、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項16に記載の組成物。
【請求項32】
前記植物ステロールが、ハマビシ、ヨヒンベ、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記ポリフェノールが、レスベラトロール、プテロスチルベン、クルクミン、ボスウェリア、クェルセチン、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記抗微生物剤が、アルテミシニン、モノラウリン、センシンレン、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
前記リン脂質が、レシチンから単離されたグリセロリン脂質である、請求項16に記載の組成物。
【請求項36】
前記リン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルコリン(SPH)、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記リン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項35に記載の組成物。
【請求項38】
前記リン脂質が、少なくとも80重量%のホスファチジルコリンである、請求項35に記載の組成物。
【請求項39】
前記ポリエチレングリコール誘導体が、ポリエチレングリコール変性ビタミンE、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項16に記載の組成物。
【請求項40】
前記ポリエチレングリコール変性ビタミンEが、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート1000である、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記ポリエチレングリコール誘導体が、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート1000、ポリソルベート60、ポリソルベート80、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
前記ポリエチレングリコール誘導体が、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート1000である、請求項16に記載の組成物。
【請求項43】
前記油が、中鎖トリグリセリド、柑橘油、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項16に記載の組成物。
【請求項44】
前記中鎖トリグリセリドが、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記中鎖トリグリセリドが、カプリル酸、カプリン酸、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
前記柑橘油が、オレンジ油、レモン油、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項43に記載の組成物。
【請求項47】
前記アルコールが、95重量%のエタノールである、請求項16に記載の組成物。
【請求項48】
前記糖または糖アルコールが、スクロース、甘蔗糖、純粋なメープルシロップ、グリセロール、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項16に記載の組成物。
【請求項49】
前記糖または糖アルコールが、純粋なメープルシロップ、グリセロール、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項16に記載の組成物。
【請求項50】
前記糖または糖アルコールが、グリセロールである、請求項16に記載の組成物。
【請求項51】
前記油溶性種が、前記組成物の1重量%~5重量%を構成する、請求項16に記載の組成物。
【請求項52】
前記油溶性種が、前記組成物の2重量%~4重量%を構成する、請求項16に記載の組成物。
【請求項53】
前記リン脂質と、前記油と、前記ポリエチレングリコール誘導体と、前記アルコールと、前記糖または糖アルコールと、前記水との比が、1:2:0.6~3.3:4:7.5~9:2~3.5±20重量%である、請求項16に記載の組成物。
【請求項54】
前記リン脂質と、前記油と、前記ポリエチレングリコール誘導体と、前記アルコールと、前記糖または糖アルコールと、前記水との比が、1:2:0.6~3.3:4:7.5~9:2~3.5±10重量%である、請求項16に記載の組成物。
【請求項55】
前記変性油相が、油をさらに含み、前記油と前記油溶性種との比が、1:0.05~0.3±10重量%である、請求項16に記載の組成物。
【請求項56】
前記変性油相が、油をさらに含み、前記油と前記油溶性種との比が、1:0.05~0.3±5重量%である、請求項16に記載の組成物。
【請求項57】
前記リン脂質が、前記組成物の2重量%~10重量%を構成する、請求項16に記載の組成物。
【請求項58】
前記ポリエチレングリコール誘導体が、前記組成物の5重量%~15重量%を構成する、請求項16に記載の組成物。
【請求項59】
前記リン脂質と前記ポリエチレングリコール誘導体との比が、重量で1:0.4~1:4である、請求項16に記載の組成物。
【請求項60】
前記リン脂質と前記ポリエチレングリコール誘導体との比が、重量で1:1.6~1:4である、請求項16に記載の組成物。
【請求項61】
前記油が、前記組成物の5重量%~15重量%を構成する、請求項16に記載の組成物。
【請求項62】
前記アルコールが、前記組成物の5重量%~25重量%を構成する、請求項16に記載の組成物。
【請求項63】
前記油と前記アルコールとの比が、重量で1:1.5~1:4である、請求項16に記載の組成物。
【請求項64】
前記糖または糖アルコールが、前記組成物の30重量%~55重量%を構成する、請求項16に記載の組成物。
【請求項65】
前記糖または糖アルコールが、前記組成物の30重量%~45重量%を構成する、請求項16に記載の組成物。
【請求項66】
前記水が、前記組成物の>10重量%~25重量%を構成する、請求項16に記載の組成物。
【請求項67】
前記水が、前記組成物の11重量%~14重量%を構成する、請求項16に記載の組成物。
【請求項68】
ヒト対象に10mgの前記油溶性種を含む前記組成物を口腔内導入して20分以内に、0.3~1.5ng/mLの血中濃度の前記油溶性種を前記ヒト対象に提供するように構成されている、請求項16に記載の組成物。
【請求項69】
ヒト対象への前記組成物の口腔内投与の20分以内に、0.3ng/mL~1.5ng/mLの血中濃度の前記土可溶性種を前記ヒト対象に提供するように構成されている、請求項16に記載の組成物。
【請求項70】
ヒト対象への前記組成物の口腔内投与の20分以内に、0.8ng/mL~1.5ng/mLの血中濃度の前記油溶性種を前記ヒト対象に提供するように構成されている、請求項16に記載の組成物。
【請求項71】
前記油溶性種が油ブレンド中でヒト対象に送達されるときよりも、口腔内投与の60分以内に、血流中に18~24倍多い前記油溶性種を前記ヒト対象に提供するように構成されている、請求項16に記載の組成物。
【請求項72】
前記油溶性種が油ブレンド中でヒト対象に送達されるときよりも、口腔内投与の180分以内に、血流中に少なくとも4倍多い前記油溶性種を前記ヒト対象に提供するように構成されている、請求項16に記載の組成物。
【請求項73】
前記油溶性種がOIWエマルジョン中でヒト対象に送達されるときよりも、口腔内投与の60分以内に、血流中に5~9倍多い前記油溶性種を前記ヒト対象に提供するように構成されている、請求項16に記載の組成物。
【請求項74】
前記油溶性種がOIWエマルジョン中でヒト対象に送達されるときよりも、口腔内投与の180分以内に、血流中に少なくとも2倍多い前記油溶性種を前記ヒト対象に提供するように構成されている、請求項16に記載の組成物。
【請求項75】
請求項16~74のいずれか一項に記載の組成物を作製する方法であって、
前記リン脂質、前記ポリエチレングリコール誘導体、前記油、および前記アルコールを組み合わせて、アルコール-脂質混合物を形成することと、
糖または糖アルコールと水とを組み合わせて、変性極性連続相を形成することと、
前記油溶性種を大気圧で前記アルコール-脂質混合物および前記変性極性連続相と組み合わせて、前記変性水中油型マイクロエマルジョンを形成することと、を含む、方法。
【請求項76】
前記大気圧で組み合わせることが、室温で実行される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記大気圧で組み合わせることが、剪断力なしで実行される、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記油溶性種が、前記アルコール-脂質混合物が前記変性極性連続相と組み合わされる前に、前記アルコール-脂質混合物と組み合わされる、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記油溶性種が、前記アルコール-脂質混合物が前記変性極性連続相と組み合わされた後に、前記アルコール-脂質混合物と組み合わされる、請求項75に記載の方法。
【請求項80】
前記油溶性種を含む液滴が、前記変性極性連続相中で自己組織化する、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記変性水中油型マイクロエマルジョンが、水溶性送達物をさらに含む、請求項75に記載の方法。
【請求項82】
油溶性種をヒト対象の血流に送達する方法であって、
請求項16~74のいずれか一項に記載の組成物を、ヒト対象に口腔内で導入することと、
前記油溶性種を前記ヒト対象の前記血流に送達することと、を含み、
前記組成物を前記ヒト対象に口腔内で導入して20分以内に、約1mLの前記組成物が、0.3~1.5ng/mLの血中濃度の前記油溶性種を前記ヒト対象に提供する、方法。
【請求項83】
前記送達の少なくとも50%が、前記液体が胃に到達する前の口、喉、および食道を通る経粘膜吸収によるものである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
本明細書に記載の各々およびあらゆる新規の態様。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2019年9月6日に出願された「カンナビス抽出物およびテルペンのためのマイクロエマルジョン送達系」と題された米国仮特許出願第62/896,820号の利益を主張し、これは、参照によりその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
カンナビノイドは、神経伝達物質の放出を変化させる細胞内のカンナビノイド受容体に作用する化合物である。カンナビノイドとして、動物の体内で自然に生成されるエンドカンナビノイド、カンナビス属の植物およびいくつかの他の植物中に見られるフィトカンナビノイド、および合成される合成カンナビノイドが挙げられる。1型カンナビノイド受容体は、主に脳内に見られ、呼吸機能および心臓血管機能を担う脳幹部には存在しない。2型カンナビノイド受容体は、主に免疫系内に見られ、抗炎症作用および場合によっては他の治療作用を担っているように見える。
【0003】
フィトカンナビノイドは、カンナビス属の植物から単離され、カンナビスとしてが、3つの種、カンナビスサティバ、カンナビスインディカ、カンナビスルデラリスが挙げられると考えられている。0.3重量%未満のテトラヒドロカンナビノール(THC)を含むカンナビス植物は、一般的に「麻」と称され、一方、0.3重量%以上のTHCを含む植物は、一般的にマリフアナと称される。少なくとも113の異なるフィトカンナビノイドが、カンナビス属の植物から単離され得る。フィトカンナビノイドは、それらの「A」または酸性形態で単離され、次いで、多くの場合、熱によって、より生物学的活性の脱炭酸形態に脱炭酸される。
【0004】
THCは、1型受容体に結合するため、最も有名なカンナビノイドであり、精神活性と見なされる。カンナビジオール(CBD)は、1型および2型受容体に作用し、小児のドラベ症候群に関連するものなど、痛みおよび炎症を軽減し、いくつかの神経反応を鎮静化することが知られているため、より一般的に知られている非精神活性カンナビノイドとなっている。加えて、CBDは、短期記憶喪失を含むTHCの使用に関連する認知障害に対抗することができ、抗酸化剤として働くのに加えて、追加の抗精神病効果を有し得る。カンナビゲロール(CBG)は、CBDと同様の効果を有し得る別の非精神活性カンナビノイドである。カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、およびカンナビトリオール(CBT)は、潜在的な生物学的活性について研究されている他のカンナビノイドである。
【0005】
カンナビノイドの健康上の利益に関する研究は進行中のままであるが、薬理学的有用性は、前述の小児のドラベ症候群、パーキンソン病、統合失調症、不安障害、およびいくつかの癌細胞の発達の抑制について実証されているか、または実証される可能性が高い。ヒトのエンドカンナビノイド系は、食欲、免疫応答、生殖、疼痛管理を含む基本的な生活機能に関与しているため、人体に対するカンナビノイドの効果は多様である可能性が高い。これらの機能の過剰活性化を阻止するカンナビノイドの能力は、これらの機能の過剰活性化に基づく疾患の進行の低減または阻止を提供し得る。
【0006】
テルペンは、針葉樹、花、柑橘類などの植物、ならびにシロアリおよびアゲハチョウなどのいくつかの昆虫から抽出される。分子の観点から、すべてのテルペンは、イソプレン官能基を含み、多様な分類の有機分子である。香料としての歴史的使用に加えて、テルペンは、ビタミンAおよびステロイドを含む生物学的活性物質のための基礎を提供する。テルペンとしては、リモネン、ピネン、リナロール、およびベータ-カリオフィレンなどの化合物が挙げられる。ベータ-カリオフィレンは、例えば、芳香剤および抗炎症剤としての使用を有する。
【0007】
従来の送達系を用いたカンナビノイドおよびテルペンの経口送達は、投与の20分後にごく僅かな血中濃度をもたらす場合があり、血流中のカンナビノイドが約0.4ng/mL以上であると考えられる有効な血流濃度を提供しない。実際、低吸収個体については、従来の経口送達系を望ましくないほど大量に消費することのない従来の経口送達系で、投与の90分後に有効な血流濃度に到達しないか、または全く到達しない場合がある。したがって、従来の経口送達系で消費されたカンナビノイドまたはテルペンのうち、消費されたカンナビノイドまたはテルペンの大部分は、排泄され、決して使用されない場合がある。
【0008】
エマルジョンは、可溶化しない2つ以上の液体の混合物である。したがって、2つ以上の液体は溶液を形成せず、組み合わされた液体間に識別可能な界面が存在する。エマルジョンは、マクロエマルジョン、擬エマルジョン、ナノエマルジョン、またはマイクロエマルジョンであり得る。エマルジョンは、非経口送達、眼送達、経皮送達、経口送達などに使用することができる。
【0009】
図1Aは、親水性外部120および疎水性内部110を形成するリン脂質(単層)の単一壁を有する例示的なナノエマルジョン液滴100を表す。ナノエマルジョン液滴100の単層壁は、リン脂質の単層から形成される。外壁120はホスフェート官能基による水溶性であり、一方、内部110はアルキル官能基による脂溶性である。図1Bは、連続相150中のナノエマルジョン液滴100の複数を表す。
【0010】
図2Aは、親水性外部220および疎水性内部210を形成するリン脂質(単層)の単一壁を有するマイクロエマルジョン液滴200を表す。ナノエマルジョン液滴100と同様に、マイクロエマルジョン液滴200の単層壁は、リン脂質の単一層から形成される。表されたナノエマルジョン液滴100と比べて、マイクロエマルジョン液滴200は、直径が実質的に小さく、これは、マイクロエマルジョンの場合に多い。実際、マイクロエマルジョン液滴200の直径は、単層リン脂質の非極性尾部230が互いに「押し潰される」場合に低減され、したがって、図1に表されるようなナノエマルジョン液滴100の場合よりも、より「固体」の内部疎水性バリアを形成する。図2Bは、連続相250中の複数のマイクロエマルジョン液滴200を表す。また、連続相250中に表されるのは、マイクロエマルジョン液滴200に組み込まれていない数個の個々のリン脂質分子260である。
【0011】
経皮クリームは、典型的には、クリームを形成するエマルジョンの液滴中に完全に可溶化されていない送達物の固体顆粒を有する「擬エマルジョン」である。より大きい液滴のマクロエマルジョンおよび擬エマルジョンとは対照的に、ナノエマルジョンおよびマイクロエマルジョンのより小さい液滴は、経皮または経口吸収のいずれかのために、マクロエマルジョンおよび擬エマルジョンから従来利用可能なものよりも良好な送達性能を提供する潜在性を提供する。
【0012】
ナノエマルジョンを形成するために使用される圧力(剪断力を含む)、温度、およびそれらの組み合わせの形態での高エネルギー混合は、マイクロエマルジョンのより小さい液滴を提供することができるが、そのようなナノエマルジョンは熱的に安定ではなく、したがって貯蔵安定性のマイクロエマルジョンではなく、ナノエマルジョンの構成成分が最終的に不混和性の極性液体および非極性液体に分離するという点でマクロエマルジョンのようである。したがって、図1および図2に表されるように、ナノエマルジョン液滴は、凝集液滴が連続相から分離するまで、形成後に直径が連続的に膨張するため、マイクロエマルジョン液滴よりも大きい傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来、マクロエマルジョン、ナノエマルジョン、およびマイクロエマルジョンは、油溶性送達物または水溶性送達物のいずれかに使用されてきた。カンナビス抽出物およびテルペンは油溶性であるが、油中で可溶化すると消化管を通して比較的遅くかつ一貫性なく吸収される。しかしながら、カンナビス抽出物およびいくつかのテルペンを含む従来の水中油型(OIW)エマルジョンは、エマルジョンの形態に関係なく、一般に、油滴中のより高濃度のカンナビス抽出物を有するエマルジョンの水相から容易に解離する油滴を形成する。従来の水中油型エマルジョンの水相からの油滴のそのような解離は、従来の水中油型エマルジョンによって送達されるとき、カンナビノイドおよびテルペンの血中取り込み速度および総血液送達量に著しい損失をもたらす。これは、エマルジョンの油滴が水相から解離するとき、得られた解離エマルジョンが油、水、およびエマルジョンの何らかの残留物になり、解離した油が油単独のおおよその送達プロファイルを有するため、遅くなり、一貫性がなくなるという事実に起因すると考えられる。したがって、カンナビス抽出物およびいくらかのテルペンを含む従来の水中油型エマルジョンは、従来のエマルジョンが消費されるときまでに油相が水相から解離しているため、油のみの配合物と同様の血流取り込みの欠点に煩わされる傾向がある。
【0014】
カンナビノイドおよびテルペンを素早くおよび消費された量ごとにより高濃度で血流に送達するための、経口送達系のための単純かつ効率的な材料および方法が継続的に必要性とされている。従来の油混合物は、元来、GI吸収経路に起因する極めて遅い、低い、かつ一貫性のない取り込みに悩まされてきた。従来の水中油型エマルジョン系は、元来、特に、血流への有効な口腔内送達に重要である、エマルジョン中の所望の平均液滴直径を維持すること、油および水構成成分の相分離を阻止すること、ならびにエマルジョンからの送達物および/または油の解離を阻止することに関して、冷却および加温に対する不十分な安定性を含む欠点を有している。送達物の遅い、不十分な、かつ一貫性のない血中取り込みをもたらすこれらの欠点に加えて、従来のエマルジョン系は、送達物の質量または体積と比べて、あまりにも大きい体積のエマルジョンを必要とするという欠点も有する。
【0015】
本発明のマイクロエマルジョンおよび方法は、カンナビノイドおよびテルペンの血流への簡便な、迅速な、効率的な、かつ再現可能な経口送達を可能にすることによって、従来の経口送達系に関連する欠点のうちの少なくとも1つを克服する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様では、本発明は、組成物であって、油溶性種と、変性油相および変性極性連続相を含む変性水中油型マイクロエマルジョンと、を含み、油溶性種が、変性油相中に可溶化されており、変性油相が、リン脂質、ポリエチレングリコール誘導体、油、およびアルコールを含み、変性極性連続相が、糖または糖アルコール、および水を含む、組成物、を提供する。
【0017】
本発明の別の態様では、油溶性種を含む変性水中油型マイクロエマルジョンを形成する方法であって、リン脂質、ポリエチレングリコール誘導体、油、およびアルコールを組み合わせて、アルコール-脂質混合物を形成することと、糖または糖アルコールと水とを組み合わせて、変性極性連続相を形成することと、油溶性種を大気圧でアルコール-脂質混合物および変性極性連続相と組み合わせて、変性水中油型マイクロエマルジョンを形成することと、を含む、方法、がある。
【0018】
本発明の別の態様では、油溶性種をヒト対象の血流に送達する方法であって、変性水中油型マイクロエマルジョンを、ヒト対象に口腔内で導入することと、油溶性種をヒト対象の血流に送達することと、を含み、変性水中油型マイクロエマルジョンをヒト対象に導入して20分以内に、約1mLの変性水中油型マイクロエマルジョンが、0.3~1.5ng/mLの血中濃度の油溶性種をヒト対象に提供する、方法、がある。
【0019】
本発明の他の組成物、方法、特徴、および利点は、以下の図面および「発明を実施するための形態」の考察により、当業者には明らかであろう、または明らかになるであろう。すべてのそのような追加の組成物、方法、特徴、および利点は、本明細書内に含まれ、本発明の範囲内にあり、以下の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
本発明は、以下の図面および記載を参照してよりよく理解することができる。図中の構成要素は必ずしも尺度どおりではなく、分子またはそれらの相互作用を正確に表すことを意図しておらず、代わりに本発明の原理を例示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】親水性外部および疎水性内部を形成するリン脂質(単層)の単一壁を有するナノエマルジョン液滴を表す。
図1B】連続相中のナノエマルジョン液滴の複数を表す。
図2A】親水性外部および疎水性内部を形成するリン脂質(単層)の単一壁を有するマイクロエマルジョン液滴を表す。
図2B】連続相中に表された複数のマイクロエマルジョン液滴を表す。
図3】油溶性種を含むMOIWマイクロエマルジョンを作製する方法を表す。
図4】グラフ形態でのCBD血中取り込み速度および濃度分析の結果を提供する。
図5】グラフ形式での血流濃度分析から決定された累積AUC値を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
マイクロエマルジョンは、疎水性液体液滴が連続親水性液相中に分布する場合に記載される。従来の水中油型(OIW)マイクロエマルジョンと比べて、記載されるマイクロエマルジョンは、マイクロエマルジョンの「油」相および「水」相の両方が変性される変性水中油型(MOIW)マイクロエマルジョンと考えることができる。MOIWマイクロエマルジョンの油相液滴は、アルコールで変性され、油ブレンド、または従来の水中油型(OIW)マイクロエマルジョンの油相よりも良好に油溶性種を血流に送達することができる。MOIWマイクロエマルジョンの極性連続「水」相は、糖または糖アルコールで変性される。好ましくは、MOIWマイクロエマルジョンの変性極性連続相は、主に糖または糖アルコール相である。変性油相液滴は、MOIWマイクロエマルジョンの変性極性連続相中に分散する。
【0022】
MOIWマイクロエマルジョンは、口腔および胃粘膜を通して、および経皮的に皮膚を通して、哺乳動物の血流への油溶性種の取り込みを提供することができる。MOIWマイクロエマルジョンは、個体が低吸収性であるときでも、従来のOIWマイクロエマルジョンの油相よりも、導入の20分以内など、個体の血流に有効濃度の油溶性種をより速く経口で送達することができる。また、導入された油溶性種のうち、MOIWマイクロエマルジョンは、従来のOIWマイクロエマルジョンの油相よりも、個体の血流に経口で導入された有意に高い割合の油溶性種を送達することができる。
【0023】
変性極性連続相は、マイクロエマルジョンの変性油相液滴が高アルコール含有量を組み込んで保つことを可能にすると考えられる。したがって、変性極性連続相は、アルコールを、リン脂質およびポリエチレングリコール誘導体から形成された単層壁の内部に常在する油および油溶性種に、したがって変性油滴の疎水性コアに押し込めると考えられ、一方、糖または糖アルコール、および水を含む変性極性連続相は、単層の外部に常在する。
【0024】
従来のOIWエマルジョンの水連続相とは異なり、変性極性連続相の糖または糖アルコールは、アルコールと共沸混合物を容易に形成せず、したがって、水と比べて、油滴からアルコールを抽出する能力が低減される。リン脂質の尾部から形成され、記載された比のポリエチレングリコール誘導体と組み合わされた単層壁の疎水性部分は、従来のOIWエマルジョンと比べて、油滴からのアルコール損失を低減するとも考えられる。
【0025】
変性極性連続相と疎水性単層との組み合わせによって提供された変性油相液滴の保持された高アルコール含有量は、従来のOIWエマルジョンと比べて、MOIWマイクロエマルジョンの変性油液滴中の油溶性種の可溶性を増加させると考えられる。MOIWの変性油滴中の油溶性種のこの強化された可溶性は、貯蔵中のMOIWマイクロエマルジョンの油滴からの油溶性種の解離(例えば、再結晶、析出など、したがって分離)を低減すると考えられ、したがって、MOIWマイクロエマルジョンを、好ましくは視覚的に透明である貯蔵安定性のマイクロエマルジョンにする。加えて、MOIWの変性油滴中の油溶性種の強化された可溶性は、従来のOIWエマルジョンと比べて、MOIWマイクロエマルジョンの単位体積当たりの血流に、より多くの量の油溶性種を送達すると考えられる。
【0026】
MOIWマイクロエマルジョンでは、油溶性種を含む変性油相液滴は、1~100ナノメートルの平均液滴直径および5~50ナノメートルの好ましい平均液滴直径を有する。より好ましくは、MOIWマイクロエマルジョンの変性油相液滴は、10~30ナノメートルの平均液滴直径を有する。
【0027】
MOIWマイクロエマルジョンの油溶性種は、MOIWマイクロエマルジョンを介して、経粘膜(例えば、口腔、鼻腔内、膣、または直腸)または経皮で送達され得る。好ましくは、油溶性種を含むMOIWマイクロエマルジョンは、摂取可能および食用である。
【0028】
MOIWマイクロエマルジョンは、好ましくは、重量で1:2:0.6~3.3:4:7~9:2~3.5のリン脂質と、油と、ポリエチレングリコール誘導体と、アルコールと、糖または糖アルコールと、水との比を含み、最大20重量%の偏差が含まれ、最大10重量%の偏差がより好ましく、したがって、1:2:0.6~3.3:4:7~9:2~3.5±20重量%または1:2:0.6~3.3:4:7~9:2~3.5±10重量%が好ましい。
【0029】
油溶性種は、好ましくは、重量で1:0.05~0.4の油と油溶性種との比でMOIWマイクロエマルジョン中に含まれ、重量で1:0.1~0.3の油と油溶性種との比が好ましく、最大10重量%の偏差が含まれ、最大5重量%の偏差がより好ましく、したがって、1:0.05~0.3±10重量%または1:0.05~0.3±5重量%が好ましい。
【0030】
図3は、油溶性種311を含むMOIWマイクロエマルジョン336を作製する方法300を表す。油溶性種311に加えて、マイクロエマルジョン336は、水中または油中に可溶性である追加の送達物を含み得る。
【0031】
310では、油溶性種311は、ポリエチレングリコール誘導体、リン脂質、油、およびアルコールを含むアルコール-脂質混合物312に組み合わされる。320では、油溶性種311を含むアルコール-脂質混合物312は、糖または糖アルコール、および水を含む変性極性連続相322と組み合わされる。油溶性種311を含むアルコール-脂質混合物312は、変性極性連続相322中に分散された変性油相と見なすことができ、これは、変性水相と考えることができる。
【0032】
330では、油溶性種311を含むマイクロエマルジョン336は、大気圧で混合することによって形成される。ナノエマルジョンとは異なり、マイクロエマルジョン336は、高圧および/または剪断力のエネルギーを形成する必要なく、大気圧で形成され得る。マイクロエマルジョン336は、ナノエマルジョンを形成する際に使用されるような高圧および/または剪断力を使用して形成することができるが、形成後に解離プロセスを開始するナノエマルジョンとは異なり、解離が非常に遅い場合でも、マイクロエマルジョン336は、形成後、室温および室内圧力で熱的に安定しているため、その結果は、最終的にはマイクロエマルジョン336である。したがって、マイクロエマルジョン336の形成は、形成中の高圧および/または剪断力の望ましくない使用を省き、形成後に貯蔵安定性である。
【0033】
方法300は、最初にアルコール-脂質混合物312と組み合わされる油溶性種311を表すが、アルコール-脂質混合物312および極性連続相322は、最初に組み合わされ、次いで、油溶性種311を添加して、マイクロエマルジョン336(図示せず)を形成することができる。変性油相および変性極性連続相は、油溶性種を含む液滴を「自己組織化」して、大気圧でマイクロエマルジョン336を形成するため、このステップの再編成が可能である。
【0034】
油溶性種311は、室温および室内圧力では液体であり、しかしながら、55重量%を上回る純度などの高純度では、油溶性種311は、結晶性固体であり得るか、またはそれを含み得る。一旦油中に可溶化されると、油溶性種311は、室温および圧力で油中に可溶化されたままになるであろう。油溶性種311は、好ましくは、カンナビス抽出物および/またはテルペンを含む。
【0035】
油溶性種311は、マイクロエマルジョン336の液滴中、したがってアルコール脂質混合物312中に可溶化される。アルコール-脂質混合物312は、好ましくは、油溶性種311がマイクロエマルジョン336の油単独よりもアルコール-脂質混合物312中に可溶性であるように構成される。
【0036】
好ましくは、油溶性種311は、マイクロエマルジョン336の1重量%~6重量%を占める。しかしながら、最も広範囲の油溶性種を有する視覚的に透明なエマルジョンを提供するためには、1%~4%の油溶性種311の重量割合が好ましく、1%~3%の重量割合がより好ましい。油溶性種311が実質的にテルペンであるとき、油溶性種が実質的にカンナビス抽出物であるときよりも1%~6%の範囲内のより高い重量割合を使用し、視覚的に透明なエマルジョンを維持することができる。油溶性種311についてのこれらの記述された重量割合は、エマルジョン液体中に懸濁されていないか、または別の方法で液滴から解離されていない、マイクロエマルジョン336の液滴中に可溶化された油溶性種311に照らしている。この状況の例は、下記の実施例3に照らして論じられており、商業的に購入された製品は、ラベル上に不正確な油溶性種含有量を有しているか、または製品中の油溶性種の約70%は、エマルジョンから解離していた。
【0037】
カンナビス抽出物は、カンナビス属の植物からの油性抽出物である。好ましいカンナビス抽出物としては、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、ならびにカンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、およびカンナビクロメン(CBC)を含む他のカンナビノイドが挙げられる。好ましいカンナビス抽出物は、少なくとも30重量%のCBDおよび/またはTHCを含み、一方、より好ましいカンナビス抽出物は、少なくとも60重量%のCBDおよび/またはTHCを含む。最も好ましいカンナビス抽出物は、少なくとも80重量%のCBDおよび/またはTHCを含む。
【0038】
好ましいテルペンとしては、モノテルペン(2つのイソプレン単位を組み込み、分子式C1016を有する)、モノテルペノイド、ジテルペン(4つのイソプレン単位を組み込み、多くの場合、分子式C2032を有する)、およびジテルペノイドが挙げられる。マイクロエマルジョン336中に含めるのに好ましいテルペンとしては、リモネン、ピネン、リナロール、ベータ-カリオフィレン、レチノール、フィトール、ミルセン、フムレン、オシメン、テルピノレン、ゲラニオール、およびゲラニルゲラニオールが挙げられる。
【0039】
アルコール脂質混合物312は、任意選択的に、室温および室内圧力で固体であるアルコール可溶性送達物を含み得る。したがって、前述のように、室温および室内圧力で液体であるか、または油中で加熱および可溶化される油溶性種311とは異なり、アルコール可溶性送達物は、室温および室内圧力で固体である。好ましくは、アルコール可溶性送達物は、油溶性種311よりも油中での可溶性が低い。そのようなアルコール可溶性送達物は、マイクロエマルジョンの変性油相液滴中、したがって、油溶性種311とのアルコール脂質混合物312中に可溶化される。
【0040】
アルコール可溶性送達物は、いくつかの植物ステロール、いくつかのポリフェノール、およびいくつかの抗微生物剤を含む。好ましい植物ステロールとしては、ハマビシおよびヨヒンベが挙げられる。好ましいポリフェノールとしては、レスベラトロール、プテロスチルベン、クルクミン、ボスウェリア、およびクェルセチンが挙げられる。好ましい抗微生物剤としては、アルテミシニン、モノラウリン、およびセンシンレンが挙げられる。好ましくは、これらのアルコール可溶性送達物は、粉末形態の固体としてマイクロエマルジョン336のアルコール脂質混合物312に組み込まれる。
【0041】
変性極性連続相322は、油溶性種311よりも水中に可溶性である水溶性送達物の種(specie)または種(species)を含み得る。そのような水溶性送達物は、マイクロエマルジョン336の変性極性連続相322中に可溶化される。したがって、マイクロエマルジョン336の担体液体中では。
【0042】
組み合わせたリン脂質およびポリエチレングリコール誘導体は、マイクロエマルジョン336の変性極性連続相と変性油相液滴の内部との間の境界を形成する。液滴内の所望のアルコール濃度を維持するために、したがって、前に論じられているように、変性極性連続相へのアルコールの損失、および液滴、リン脂質、ポリエチレングリコール誘導体からの油溶性種の関連する解離、ならびに2つの間の比を低減することが重要である。
【0043】
アルコール-脂質混合物312のリン脂質は、好ましくはレシチンから単離されたグリセロリン脂質である。リン脂質は好ましくはレシチン単離物であるため、指名された単離物は、好ましくは、80%(重量/重量)の指定されたリン脂質を含み、残りの構成物は、レシチンまたは他のレシチン単離物から単離された1つ以上の追加のリン脂質である。好ましいリン脂質レシチン単離物としては、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)、セラミドホスホリルエタノールアミン(Cer-PE)、セラミドホスホリルコリン(SPH)、およびそれらの組み合わせが挙げられ、PC、PE、およびそれらの組み合わせがより好ましい。しかしながら、すべてのリン脂質レシチン単離物は、ホスファチジルセリン(PS)およびリン酸(PA)単離物が貯蔵安定性および視覚的に透明なMOIWマイクロエマルジョンの両方が望ましいときに有用ではないため、貯蔵安定性および視覚的に透明なMOIWマイクロエマルジョンを形成する際に意外にも交換可能ではない。油溶性種311がカンナビス抽出物であるとき、リン脂質は、好ましくはPCである。
【0044】
リン脂質は、重量基準で、2%~10%のマイクロエマルジョン336中に存在し得る。好ましくは、リン脂質は、重量基準で、マイクロエマルジョン336の4%~10%を占める。油溶性種がカンナビス抽出物であるとき、リン脂質は、重量基準で、マイクロエマルジョン336の4%~8%を占める。
【0045】
アルコール-脂質混合物312のポリエチレングリコール誘導体は、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート1000(TPGS)、ポリソルベート40、ポリソルベート60、またはポリソルベート80などのポリエチレングリコール変性ビタミンEであり得る。好ましくは、ポリエチレングリコール誘導体は、TPGS、ポリソルベート60、またはポリソルベート80である。より好ましくは、ポリエチレングリコール誘導体は、TPGSまたはポリソルベート80である。油溶性種がカンナビス抽出物であるとき、好ましいポリエチレングリコール誘導体は、TPGSである。
【0046】
ポリエチレングリコール誘導体は、重量基準で、5%~15%のマイクロエマルジョン336中に存在し得る。好ましくは、ポリエチレングリコール誘導体は、重量基準で、マイクロエマルジョン336の6%~12%を占める。油溶性種がカンナビス抽出物であるとき、ポリエチレングリコール誘導体は、重量基準で、マイクロエマルジョン336の9%~11%を占める。
【0047】
TPGS、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、およびポリソルベート80は、多くの場合、交換可能な界面活性剤として考えられる。これは、貯蔵安定性および視覚的に透明なマイクロエマルジョンが所望されるとき、記載されるマイクロエマルジョン336の形成の場合には当てはまらないと決定された。
【0048】
リン脂質と併せて使用したとき、TPGSは、重量で約1:0.4~1:4のリン脂質とTPGSとの比で、貯蔵安定性および視覚的に透明なマイクロエマルジョンをもたらし、好ましい貯蔵安定性のMOIWマイクロエマルジョンは、重量で1:1.6~1:4の比で形成された。リン脂質と併せて使用したとき、ポリソルベート20は、貯蔵安定性および視覚的に透明なマイクロエマルジョンを形成しなかった。リン脂質と併せて使用したとき、ポリソルベート40は、重量で約1:2~1:3のPCとポリソルベート40との比で貯蔵安定性および視覚的に透明なマイクロエマルジョンをもたらし、好ましい貯蔵安定性MOIWマイクロエマルジョンは、重量で約1:3の比で形成された。リン脂質と併せて使用したとき、ポリソルベート60は、重量で約1:2~1:4のリン脂質とポリソルベート60との比で貯蔵安定性および視覚的に透明なマイクロエマルジョンをもたらし、好ましい貯蔵安定性MOIWマイクロエマルジョンは、重量で1:2~1:3の比で形成された。リン脂質と併せて使用したとき、ポリソルベート80は、重量で約1:0.4~1:4のリン脂質とポリソルベート80との比で貯蔵安定性および視覚的に透明なマイクロエマルジョンをもたらし、好ましい貯蔵安定性MOIWマイクロエマルジョンは、重量で1:0.6~1:4の比で形成された。
【0049】
これらの結果は、複数のポリエチレングリコール誘導体が貯蔵安定性および視覚的に透明なMOIWマイクロエマルジョンを形成する際に意外にも交換可能ではないことを証明する。実際、ポリソルベート20は有用ではない。その上、TPGSおよびポリソルベート80は、リン脂質との組み合わせとして好ましいポリエチレングリコール誘導体であり、それらは、最も広範囲の油溶性種濃度範囲にわたって所望の貯蔵安定性および視覚的に透明なマイクロエマルジョンを提供する。
【0050】
アルコール-脂質混合物312は、好ましくは、リン脂質/ポリエチレングリコール誘導体単層内に保持された少なくとも1つの油を含む。油は、MCT油、柑橘油、およびそれらの組み合わせであり得る。MCT油は、脂肪酸が6~12個の炭素原子の脂肪族末端を有するトリグリセリドである。好ましいMCT油としては、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。より好ましいMCT油としては、カプリル酸、カプリン酸、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい柑橘油としては、オレンジ油、レモン油、およびそれらの組み合わせが挙げられる。油溶性種がカンナビス抽出物であるとき、油は、好ましくはカプリル酸とカプリン酸との組み合わせである。
【0051】
油は、重量基準で、マイクロエマルジョン336中に5%~15%存在し得る。好ましくは、油は、重量基準で、マイクロエマルジョン336の7%~13%を占める。油溶性種がカンナビス抽出物であるとき、油は、重量基準で、マイクロエマルジョン336の9%~11%を占める。
【0052】
マイクロエマルジョン336は、少なくとも1つのアルコールを含む。マイクロエマルジョン336は好ましくは食用であるため、好ましいアルコールは食品グレードである。好ましくは、アルコールはエタノールであり、USP食品グレード190検査済み(95%のエタノール、5%の水)エタノールがより好ましい。下記でさらに論じられるように、追加の水が変性油相液滴からの油溶性種の解離を阻止するためにマイクロエマルジョン336の総含水量と関連して考慮されるべきであるため、10%を超えるアルコール含水量は、より好ましくない。
【0053】
アルコールは、重量基準で、マイクロエマルジョン336中に5%~25%存在し得る。好ましくは、アルコールは、重量基準で、マイクロエマルジョン336の10%~23%を占める。油溶性種がカンナビス抽出物であるとき、アルコールは、重量基準で、マイクロエマルジョン336の16%~22%を占める。
【0054】
マイクロエマルジョン336の変性油相液滴は、高いアルコール含有量を有すると見なすことができ、したがって、重量で、1:1.5~1:4、好ましくは1:1.5~1:3の油とアルコールの重量比を有する。
【0055】
変性極性連続相322は、糖または糖アルコール、および水を含む。「糖または糖アルコール」とは、好ましくは、室温で液体であるか、または室温で水中に可溶性である3~12個の炭素原子を含む糖または糖アルコールを意味する。好ましい糖としては、スクロース、甘蔗糖、および純粋なメープルシロップが挙げられ、純粋なメープルシロップは、木の樹脂が含まれるため好ましい。好ましい糖アルコールは、3~6個の炭素原子を有し、グリセロール(グリセリン)を含む。
【0056】
キシリトール、エリスリトール、マンニトール、およびソルビトールを含む追加の糖アルコールがマイクロエマルジョン336を形成する際に有用であることを予想することができるが、すべての糖アルコールは、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、およびソルビトールが貯蔵安定性および視覚的に透明なマイクロエマルジョンの両方が所望されるときに有用ではないため、貯蔵安定性および視覚的に透明なMOIWマイクロエマルジョンを形成する際に意外にも交換可能ではない。したがって、好ましい糖または糖アルコールとしては、スクロース、甘蔗糖、純粋なメープルシロップ、グリセロール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。より好ましい糖または糖アルコールとしては、純粋なメープルシロップ、グリセロール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。現在、最も好ましい糖または糖アルコールは、グリセロールである。
【0057】
糖または糖アルコールがグリセロールであるとき、グリセロールと水との比は、重量で2:1~4.5:1、好ましくは重量で3:1~4.5:1である。糖または糖アルコールが純粋なメープルシロップ、スクロース、または甘蔗糖であり、水がシロップ中に存在するか、またはスクロースまたは甘蔗糖を可溶化するために使用されるとき、この追加の水は、マイクロエマルジョン336の水構成物の一部となり、したがって、水として糖または糖アルコールと水の重量比に含まれる。
【0058】
糖または糖アルコールがグリセロールであり、マイクロエマルジョン336の総含水量が>10%~25%であるとき、グリセロールは、マイクロエマルジョン336中に、重量基準で、30%~55%、好ましくは30%~50%存在し得る。マイクロエマルジョン336の総含水量が>10%~20%であるとき、グリセロールは、マイクロエマルジョン336中に、重量基準で、30%~50%、好ましくは30%~45%存在し得る。油溶性種がカンナビス抽出物であるとき、グリセロールは、重量基準で、マイクロエマルジョン336の35%~45%を占める。
【0059】
極性連続相332の水は、マイクロエマルジョン336中に、重量基準で、>10%~25%存在する。好ましくは、水は、マイクロエマルジョン336中に、重量基準で、>10%~20%存在する。より好ましくは、水は、マイクロエマルジョン336中に、重量基準で、11%~16%存在し得る。油溶性種がカンナビス抽出物であるとき、水は、マイクロエマルジョン336中に、重量基準で、12%~15%存在する。重量基準でマイクロエマルジョン336中の10%以下の含水量は、液滴からの油溶性種の解離、したがって、非貯蔵安定性MOIWマイクロエマルジョンをもたらす場合がある。
【0060】
マイクロエマルジョン336は、任意選択的に、油溶性種と化学的に適合性であり、マイクロエマルジョンの変性油相と水相との間の分離を実質的に妨げない他の成分または「補助剤」を含み得る。そのような補助剤は、親水性または親油性のゲル化剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、電解質、香料、充填剤、および顔料を含み得る。他の補助剤をマイクロエマルジョン中に使用することができる。
【0061】
以下の実施例は、本発明の1つ以上の好ましい実施形態を例示するために提供される。本発明の範囲内にある以下の実施例に対して多数の変形例を行うことができる。
【実施例
【0062】
実施例1:油溶性種としてカンナビス抽出物を含むMOIWマイクロエマルジョンの構成物
1mLの総体積を有するMOIWマイクロエマルジョンを調製した。MOIWマイクロエマルジョンは、約80重量%のCBDを含む約10mgのカンナビス抽出物を含んでいた。MOIWマイクロエマルジョンはまた、30mg~100mgのPC、150mg~250mgのエタノール、300mg~550mgのグリセリン、および50mg~150mgの中鎖トリグリセリドを含んでいた。MOIWマイクロエマルジョン中に所望の物理的構造を提供するために、TPGSが含まれた。これらの成分に加えて、MOIWマイクロエマルジョンは、1mLの総エマルジョン体積を提供するのに十分な水を含んでいた。
【0063】
実施例2:カンナビス抽出物を含むMOIWマイクロエマルジョンを作製する方法
約80重量%のCBDを含むカンナビス抽出物からの約10mgのCBDをMCT油中に組み合わせ、次いでTPGS、PC、グリセリン、および水中のエタノールと組み合わせた。次いで、組み合わせたものを混合して、カンナビス抽出物を含むMOIWマイクロエマルジョンを形成した。
【0064】
実施例3:カンナビス抽出物CBDの口腔内送達についての比較血中取り込み速度
3つの口腔内カンナビス抽出物担体系を、CBDの血中取り込み速度の観点から比較した。本実施例では、容易に利用可能であるため、油溶性種としてCBDを使用したが、血中取り込み速度データは、THC、他のカンナビノイド、およびテルペンなどの他の油溶性種についても同様であると考えられる。第1の担体系は、実施例1および2と一致するMOIWマイクロエマルジョンであった。第2の担体系は、従来の油ブレンドであった。第3の担体系は、従来のOIWエマルジョンであった。
【0065】
油ブレンドの第2の担体系は、約80重量%のCBDを含む約1.5重量%のカンナビス抽出物を約98.5重量%の麻種子油と組み合わせることによって調製して、従来の油のみの生成物を提供した。本実施例では麻種子油を使用したが、ヒマワリ、オリーブ、およびMCTを含む他の油も同様の血中取り込み速度を提供すると予想される。
【0066】
従来のOIWエマルジョンの第3の担体系は、約17mg/mLのCBDを含むと表示するラベルからのカンナビス抽出物を含み、エマルジョン構成物は、水、グリセリン、MCT油、天然脂質、多糖類のキサンタンおよびアカシアガム、ステビア、およびソルビン酸カリウムである。OIWエマルジョン構成物の割合は、OIWエマルジョンを商業的に入手したときには知らなかったが、OIWエマルジョンが従来の非視覚的に透明なOIWエマルジョンであることを知った。個別の試験により、商業的に入手したOIWエマルジョンは、実際、表示された約17mg/mLとは対照的に、4.8mg/mLのCBDを含むことが明らかになった。
【0067】
空腹時に、ヒト対象は、1.2mLのMOIWマイクロエマルジョン、1mLの従来の油ブレンド、または2.14mLのカンナビス抽出物を含むOIWエマルジョンを舌の下に置いた。わずかに異なる容量を使用し、すべての投与量には約10mgのCBDが含まれていた。商業的に入手したOIWエマルジョンについては、2.14mLを使用して、エマルジョンの実際の4.8mg/mL濃度を考慮して、所望の10mgのCBD用量を提供した。対象は、飲み込む前に液体を舌の下に約30秒~2分間保持した。
【0068】
担体系液体を投与する前、および担体系液体の口腔内投与後約20~180分の種々の時間間隔で、対象から血液試料を収集した。収集した血液試料を、LCMSを使用してCBDの濃度について分析した。
【0069】
図4は、グラフ形態でのCBD血中取り込み速度および濃度分析の結果を提供する。血液試料を収集したときの、対象への担体系液体の投与後の時間をX軸上に表し、一方、血液試料について決定した1ミリリットル(mL)当たりのCBDの平均ナノグラム(ng)をY軸上に表している。
【0070】
MOIWマイクロエマルジョンの線は、実施例1および2に従って、MOIWマイクロエマルジョンで得られた血中取り込み濃度を表す。油ブレンドの線は、油ブレンドで得られた血中濃度を表す。OIWエマルジョンの線は、従来のOIWエマルジョンで得られた血中濃度を表す。
【0071】
図5は、グラフ形態での血流濃度分析から決定した累積曲線下面積(AUC)値をug*(分/mL)で提供する。AUC値は、血流中のCBDの累積量の尺度、したがって、一定期間にわたる総曝露量を提供する。
【0072】
油ブレンドと比べて、CBDを血流に迅速に送達するMOIWマイクロエマルジョンの優位性は、血中取り込みの観点から容易に明らかである。経時的な総CBD曝露量は、選択したカンナビス抽出物担体系中のCBDの量を選択した時点までのAUCに乗算し、同様に計算した対照値で除算し(したがって、選択した時点での(AUC1*担体系1)/(AUC対照*担体系対照))、したがって、血流中のCBDの累積量としてAUCを計算することによって、口腔内導入後の異なる時間で決定した。この計算は、分子である担体系液体によって送達されたCBDの総量を分母である担体系液体によって送達されたCBDの総量で除算するため、得られた値は、分母の担体系液体を比べて分子の担体系液体が何倍多いCBDを送達したかに関係する。
【0073】
血液サンプルの採取時間のわずかな変動による推定を伴う、分子としてのMOIWマイクロエマルジョンおよび分母としてのオイルブレンドについてのAUC計算からの結果を、下記の表1に提供する。
【表1】
【0074】
口腔内導入後20分では、油ブレンド導入から得た血液中で測定したCBDがLCMS機器の感度を下回っていたため、正しい送達比較値を決定することができなかった。MOIWマイクロエマルジョンが導入後に約1.2ng/mLの血中濃度を達成し、油ブレンドが本質的に0の血中濃度を達成したため、油ブレンドと比べて、有意に強化された血中取り込み速度を提供するMOIWマイクロエマルジョンの能力が20分の時間で証明された。したがって、1mL用量のMOIWマイクロエマルジョンの口腔内導入を用いて、MOIWマイクロエマルジョンは、20分以内に、0.3~1.5ng/mL、好ましくは0.6~1.5ng/mL、およびより好ましくは0.8~1.5ng/mLのヒト対象の血中CBD濃度を提供することができる。
【0075】
MOIWマイクロエマルジョンの20分の迅速送達の有意性は、MOIWマイクロエマルジョンが油ブレンドよりも約22倍多いCBDを血流に累積的に送達した60分の時点で見られる(MOIWマイクロエマルジョンについての2.9ng/mL対油ブレンドについての約0.16ng/mLのピーク濃度)。実際、油ブレンドと比べて、MOIWマイクロエマルジョンによって提供された累積送達の増加の速度が遅くなることが観察されたことは、90分の時点までなかった。累積的に提供されるとは、液体担体系の導入から、選択された時間までのヒト対象への総血流量利用可能CBDを意味する。油ブレンドがMOIWマイクロエマルジョンに匹敵する速度でCBDを血流に送達していることは、約180分の地点までなかった。
【0076】
油ブレンドについては、従来のOIWエマルジョンと比べて、CBDを血流に迅速に送達するMOIWマイクロエマルジョンの優位性は、血中取り込みの観点からも明らかである。血液サンプルの採取時間のわずかな変動による推定を伴う、分子としてのMOIWマイクロエマルジョンおよび分母としてのOIWエマルジョンについてのAUC計算からの結果を、下記の表2に提供する。
【表2】
【0077】
口腔内導入後20分では、OIWエマルジョン導入から得た血液中で測定したCBDがLCMS機器の感度を下回っていたため、正しい送達比較値を決定することができなかった。MOIWマイクロエマルジョンが導入後に約1.2ng/mLの血中取り込み濃度を達成し、OIWエマルジョンが本質的に0の血中濃度を達成したため、OIWエマルジョンと比べて、有意に強化された血中取り込み速度を提供するMOIWマイクロエマルジョンの能力が20分の時間で証明された。
【0078】
MOIWマイクロエマルジョンの20分の迅速送達の有意性は、MOIWマイクロエマルジョンがOIWエマルジョンよりもほぼ7倍多いCBDを血流に累積的に送達した60分の時点で容易に見られる(MOIWマイクロエマルジョンについての2.9ng/mL対油ブレンドについての約0.43ng/mLのピーク濃度)。油ブレンドと同様に、OIWエマルジョンがMOIWマイクロエマルジョンに匹敵する速度でCBDを血流に送達していることは、約180分の地点までなかった。
【0079】
興味深いのは、60分時点と90分時点との間に、MOIWマイクロエマルジョンについては累積送達の増加速度が減少し、一方、OIWエマルジョンについてはほぼ直線的に増加し続けたことである。これは、血流に口腔内で送達する、MOIWマイクロエマルジョンの強化された能力バース(verses)、OIWエマルジョンの好ましい胃腸血流送達経路との違いを示していると考えられる。OIWエマルジョンと比べて、MOIWマイクロエマルジョンによって提供される実質的により迅速な血中取り込み(20分の時間)は、消化管を実質的に「迂回する」MOIWマイクロエマルジョンの能力を示す。油ブレンドおよびOIWエマルジョンの両方が、消化管を介して油溶性種を実質的に送達すると考えられ、一方、MOIWマイクロエマルジョンは、口および食道を介して油溶性種を実質的に送達すると考えられる。
【0080】
実施例4:カンナビス抽出物CBDの口腔内送達のための総曝露量
実施例3からの3つの口腔内カンナビス抽出物担体系も、CBD総曝露量の観点から比較した。各抽出物担体系を用いて、約10mgのCBDを対象に導入した。したがって、選択した時間枠内で3つの抽出物担体系の各々についてのAUC値を比較することによって、対象が曝露されたカンナビス抽出物の総量を比較することができる。
【0081】
60分の時間では、AUCは、MOIWマイクロエマルジョンについては94ng*分/mL、従来のOIWエマルジョンについては14、油ブレンドについては4.2であった。したがって、60分の時点では、対象によって消費された約10mgのCBDのうち、MOIWマイクロエマルジョンは、従来のOIWエマルジョンの約7倍多いCBD、および油ブレンドの約22倍多いCBDに対象を曝露していた。MOIWマイクロエマルジョンは、OIWエマルジョンよりも、60分後血流に5~9倍、好ましくは6~8倍多いCBDをヒト対象に送達することができた。MOIWマイクロエマルジョンは、油ブレンドよりも、60分後血流に18~24倍、好ましくは20~22倍多いCBDをヒト対象に送達することができた。
【0082】
180分の時間では、AUCは、MOIWマイクロエマルジョンについては273ng*分/mL、従来のOIWエマルジョンについては122、油ブレンドについては58であった。180分の地点では、MOIWマイクロエマルジョンおよびOIWエマルジョンの担体系は、同様の速度でCBDを血流に送達しているが、累積的、したがって総送達の観点から、MOIWマイクロエマルジョンは、OIWエマルジョンの2倍超多いCBDを血流に送達した。180分の地点では、油ブレンド担体系は、MOIWマイクロエマルジョンよりも幾分速い速度でCBDを血流に送達しているが、累積的、したがって総送達の観点から、MOIWマイクロエマルジョンは、油ブレンドの約5倍多いCBDを血流に送達した。
【0083】
180分の時間では、対象によって消費された約10mgのCBDのうち、MOIWマイクロエマルジョンは、従来のOIWエマルジョンの2倍超多いCBD、および油ブレンドのほぼ5倍多いCBDに対象を曝露していた。したがって、180分の時間枠にわたって、MOIWマイクロエマルジョンは、OIWエマルジョンと同じく、少なくとも80%、好ましくは少なくとも100%、より多くのCBDを血流に送達し、油ブレンドと同じく、少なくとも4倍、好ましくは少なくとも5倍多いCBDを血流に送達した。
【0084】
対象が約1mLのMOIWマイクロエマルジョンによって提供されたものと3時間の時間枠にわたって同様のカンナビス抽出物曝露を得るためには、対象は、約5mLの従来のOIWエマルジョンまたは約5mLの油ブレンドを消費する必要があることをデータは示す。これらの「大用量」状態においても、従来のOIWエマルジョンおよび油ブレンドは、MOIWマイクロエマルジョンによって提供された同じ20分の迅速な開始血流濃度を提供する可能性は低いであろう。したがって、カンナビス抽出物を実質的に少ない投薬量で効率的に血流に送達するMOIWマイクロエマルジョンの能力が証明された。
【0085】
実施例5:カンナビス抽出物CBDの口腔内送達についての血中取り込み一貫性
実施例3からのMOIWマイクロエマルジョンおよび油ブレンドカンナビス抽出物の担体系を、10名のヒト対象についてのCBD血流取り込み一貫性の観点から比較した。血液試料を、担体系液体の口腔内投与後約20~180分の種々の時間間隔で対象から収集した。収集した血液試料を、LCMSを使用してCBDの濃度について分析した。CBD血中濃度間の標準偏差を、収集した試料についての各時点で決定した。次いで、計算した標準偏差を、各時点で決定した平均CBD血中濃度で除算して、CBD血中濃度の標準偏差率を提供した。決定した値を下記の表3に提供する。
【表3】
【0086】
MOIWマイクロエマルジョンについての標準偏差率を平均化するとき、65%の平均標準偏差率を決定した。油ブレンドについての標準偏差率を平均化するとき、135%の平均標準偏差率を決定した。したがって、MOIWマイクロエマルジョンは、油ブレンドによって提供された血中取り込みと比べて、血中取り込みの変動の半分未満を提供した。油ブレンドと比べて、MOIWマイクロエマルジョンによって提供された投薬再現性についてのこの実質的な増加は、GI吸収に頼る一貫性のない血中取り込みを提供する油ブレンドと比べて、比較的一貫した口腔内送達を提供するMOIWマイクロエマルジョンの能力に起因すると考えられる。
【0087】
異なる対象の種々の吸収能力と相まって、従来の送達系によって提供された低く一貫性のない取り込みは、従来の経口カンナビノイド送達系を使用する対象から得られた一貫性のない有効性報告における要因である。
【0088】
本出願の明細書および特許請求の範囲の明確でより一貫した理解を提供するために、以下の定義が提供される。
【0089】
口腔内送達とは、送達物を含む液体の経口投与時に生じる血流への送達のかなりの部分が、液体が胃に到達する前に、口、喉、および食道を通した経粘膜吸収によって生じることを意味する。口腔内送達に好適であると見なされるような液滴については、平均液滴直径が最大で125nmである。口腔内送達は、平均液滴直径の減少とともに増加すると考えられ、約50nmの平均液滴直径が好ましい。
【0090】
油溶性種は、水中に不溶性であり、50mg/mL以上、好ましくは100mg/mL以上で中鎖トリグリセリド(MCT)油中に可溶性である種である。油溶性種は、一般に、室温でMCT油中に可溶性であり、摂氏70度以上の温度でMCT油中に溶けやすいか、または非常に可溶性である。いくつかの高純度の油溶性種は、室温ではMCT油中にほとんど可溶性ではないが、摂氏70度を上回るMCT油中に溶けやすいか、または非常に可溶性であり、一旦、高温でMCT油中に可溶化されると、室温で可溶化されたままになるため、「一般に室温でMCT油中に可溶性」という用語が使用される。油溶性種は、好ましくは薬理学的に活性であり、より好ましくは薬物またはサプリメントであり、どちらも水を含まない。したがって、技術的には油中に可溶性である液体および固体が存在し得るが、それらは水中にも可溶性であるか、またはMCT油中に十分に可溶性ではないため、「油溶性種」ではない。
【0091】
ホスファチジルコリン(PC)分子は、より大きい集団のリン脂質の小集団であり、水中でリポソームを形成するために一般的に使用される。他の構成物を含まない水中に置くと、PCは、リポソームを形成する。油の存在下で、水中のPCリポソームに十分な剪断力を加えると、ミセルを含む単層構造を生成することができる。PCは、水溶性である頭部、および頭部と比べて水溶性がかなり低い尾部を有する。PCは中性脂質であるが、頭部と尾部との間に約10Dの電気双極子モーメントを運び、分子自体を極性にする。
【0092】
トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート1000(TPGS)は、一般に、非極性の油溶性「ビタミンE」尾部、および極性の水溶性ポリエチレングリコール頭部を有する界面活性剤と見なされる。TPGSは、ポリソルベート20、40、60、および80も含むポリエチレングリコール誘導体の要素である。
【0093】
室温および室内圧力とは、約100kPaでの摂氏20~28度を意味する。
【0094】
固体とは、室温および室内圧力で液体でも気体でもない物質を意味する。固体物質は、単体固体、粉末、ゲル、またはペーストを含む様々な形態のうちの1つを有し得る。
【0095】
液体とは、室温および室内圧力では固体でも気体でもない物質を意味する。液体は、その容器の形状を取るように流れる非圧縮性物質である。
【0096】
溶液には、可溶化分子と溶媒との間に識別可能な界面がない。溶液中では、可溶化分子は、溶媒と直接接触している。
【0097】
可溶化とは、送達される油溶性種が液滴の溶液中にあることを意味する。可溶化したとき、油溶性種の解離(したがって、液体分離または固体形成)は、DLSによって決定されるとき、および下記でさらに論じられるように、または肉眼で見える油溶性種の析出した結晶の形成によって決定されるとき、200nmを超える液滴平均粒子径をもたらさない。したがって、200nmを超える平均粒子径または肉眼で見える析出した結晶のいずれかが形成する場合、油溶性種は、液滴の溶液中に可溶化されない。油溶性種が溶液中に可溶化されない場合、溶液中に不溶性である。多くの点で、可溶性は、濃度依存連続体と考えることができる。例えば、以下の記述用語を使用して、摂氏25度での溶媒中の溶質の可溶性(固体のグラム/溶媒のmL)を表現することができる。
【表4】
【0098】
解離は、以前に可溶化された固体または液体が溶液を離れ、溶液の溶媒と直接接触しなくなったときに生じる。溶媒からの固体の解離は、再結晶化、析出などを通して生じる。溶媒からの液体の解離は、溶媒と解離した液体との間の分離および可視的なメニスカスの形成を通して生じる。
【0099】
貯蔵安定性マイクロエマルジョンは、2つのやり方のうちの1つで決定され得る。空気および水分を実質的に排除した密封容器内に貯蔵されたマイクロエマルジョンが貯蔵安定性であることを証明する1つのやり方は、固体の解離が生じず、水中の油相液滴が、少なくとも3ヶ月~2年の期間、好ましくは少なくとも6ヶ月~2年の期間、およびより好ましくは少なくとも1年~2年の期間、約25℃で+/-20%超の平均直径において変化しないときである。マイクロエマルジョンが貯蔵安定性であることを証明する別のやり方は、固体の解離が生じず、水中の油相液滴が、少なくとも6ヶ月~2年の期間、およびより好ましくは少なくとも1年~2年の期間、約25℃で空気および水分を実質的に排除した密封容器内に貯蔵されたときに可視的なメニスカスを伴う可視的に別個の相に分離しないときである。いずれのタイプの解離でも、マイクロエマルジョンが貯蔵安定性ではないことを意味する。
【0100】
視覚的に透明なマイクロエマルジョンは、200nm以下の平均粒子径を有し、肉眼で見える析出した固体結晶がない。
【0101】
エマルジョンは、可溶化しない2つ以上の液体の混合物である。したがって、液体のうちの1つは、第2の液体の液滴を運ぶ。第2の液体の液滴は、第1の液体の連続相中に分散していると言ってもよい。担体液体(連続相)と第2の液体の液滴との間に界面、分離部、または境界層が存在する。エマルジョンは、マクロエマルジョン、擬エマルジョン、マイクロエマルジョン、またはナノエマルジョンであり得る。マクロエマルジョン、マイクロエマルジョン、およびナノエマルジョンの間の主要な違いは、連続相中に分散した液滴の平均直径および経時的なエマルジョンの安定性である。擬エマルジョンは、エマルジョン中に固体が存在するため、区別する。
【0102】
液滴または液体粒子は、マイクロエマルジョンの疎水性「油」相によって形成され、親水性連続相によって運ばれる。液体液滴の外部は、各液体液滴の体積を取り囲む境界層によって画定される。液滴の境界層は、マイクロエマルジョンの分散した油相を形成する液滴の外面を画定する。マイクロエマルジョンの連続相は、液滴の境界層の外部に常在し、したがって、液滴を運ぶ。
【0103】
マクロエマルジョンは、熱力学的に不安定であるが、水中油型の動力学的に安定した分散物であり、油は、任意の水不溶性液体として定義される。熱力学的に不安定とは、一旦生み出されると、マクロエマルジョンは常に油および水構成物の元の不混和状態に戻る(解乳化)が、この分解は、意図された使用実用性の観点からマクロエマルジョンが安定であると見なされ得るほど十分に遅いこと(したがって、動力学的に「安定」)を意味する。それらの液滴が可視光の波長よりも直径が大きいため、マクロエマルジョンは、効果的に光を散乱させ、したがって乳白色に見える。マクロエマルジョンの液滴は、通常、10~50マイクロメートルの平均液滴直径を有する。マクロエマルジョンのIUPAC定義は、「分散相の粒子が約1~100マイクロメートルの直径を有するエマルジョン」である。マクロエマルジョンは、大きい液滴を含み、したがって、分散相および分散媒の密度に依存して、液滴が沈殿または浮遊するという意味で「不安定」である。」
【0104】
擬エマルジョンは、水中油型の分散物であり、油は、油滴中に完全に可溶化されていないごく小さい(微粒子化された)固体顆粒を含む、任意の水不溶性液体として定義される。「擬エマルジョン」という用語は、固体顆粒が液滴の中に完全に可溶化されていないため、これらの混合物が真のエマルジョンではないものとして使用される。擬エマルジョンの液滴は、1~20マイクロメートルの平均液滴直径を有し、したがって、「固体顆粒変性マクロエマルジョン」である。
【0105】
マイクロエマルジョンは、水中油型の熱力学的に安定した分散物であり、油は、任意の水不溶性液体として定義される。マイクロエマルジョンは、構成成分を単純に混合することによって作製される。したがって、マイクロエマルジョンは自発的に形成され、高い剪断力を必要としない。マクロエマルジョンとは異なり、マイクロエマルジョンは、実質的に光を散乱しない。マイクロエマルジョンのIUPAC定義は、「約1~100nm、通常10~50nmで変わる分散ドメイン直径を有する等方性および熱力学的に安定した系である、水、油、および界面活性剤から作製された分散物」である。したがって、マイクロエマルジョンの液滴は、マクロエマルジョンの液滴よりも約3桁小さく、熱力学的に安定である。
【0106】
ナノエマルジョンは、10~125ナノメートルの平均液滴直径を有し、したがって、マクロエマルジョンおよび擬エマルジョンよりも平均液滴直径が少なくとも1桁小さい。透過性ナノエマルジョンは、10~100ナノメートルの平均液滴直径を有する。ナノエマルジョンは、機械的な高剪断力で作製される。ナノエマルジョンおよびマイクロエマルジョンの平均液滴直径は形式的に重複しているが、実際には、マイクロエマルジョンの熱力学的安定性の欠如により、マイクロエマルジョンの平均液滴直径が永遠に増加するため、ナノエマルジョンの平均液滴直径は、マイクロエマルジョンの平均液滴直径よりも大きいか、または大きくなる。
【0107】
連続相とは、送達される物質を含む液滴を運ぶマイクロエマルジョンの部分を意味する。例えば、本明細書で取り扱う変性水中油型マイクロエマルジョン(極性連続相中の非極性液滴)は、極性の「水」連続相中に送達される 運ばれる油溶性種を含む油滴を有する。「水」および「油」という語句が使用されているが、「水」は、「油」よりも高い極性である任意の液体(極性油など)であり得、「油」は、「水」よりも低い極性である任意の液体であり得る。したがって、「極性連続相」および「水連続相」という用語は、水がマイクロエマルジョン構成成分のうちの1つとして具体的に論じられていない限り、同義である。
【0108】
平均液滴直径は、光子相関分光法と時に称される、動的光散乱法によって決定される。決定は、摂氏20~25度で行われる。平均液滴直径の決定に好適な機器の一例は、Particle Sizing Systems,Port Richey,FLから入手可能なNicomp 380 ZLS パーティクルサイザーである。DLSは、経時的に液滴から検出器に散乱される光の強度を測定することによって、液体中の液滴の直径を決定することができる。ブラウン運動により液滴が移動すると、2つ以上の液滴から散乱された光は、検出器で建設的または相殺的に干渉する。光強度の自己相関関数を計算し、液滴分布を仮定することにより、1nm~5umの液滴のサイズを決定することが可能である。機器はまた、液滴のゼータ電位を測定することができる。
【0109】
摂取可能な手段は生きている哺乳動物が口を通して摂取することができることを意味し、一方、食用の手段は食事に適しているため、口に合わないまたは有毒であるのとは対照的である。また、食用とは、組成物が有する生存可能な好気性微生物が許容量未満であり、金属、不純物、毒素、残留溶媒、および農薬についての米国ハーブ製品協会(American Herbal Products Association)(AHPA)ガイドラインを満たしていることを意味する。
【0110】
値の範囲が提供されている場合、その内容に別段の明確な指示がない限り、その範囲の上限と下限との間にある各介在値は、下限の単位の10分の1まで、およびその記述される範囲における他の任意の記述される値または介在値は本発明内に包含されると理解されたい。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さい範囲に独立して含まれてもよく、また、記述される範囲における任意の具体的に除外された限度次第で、本発明内に包含される。記述される範囲が限度の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限度のいずれかまたは両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
【0111】
本発明の様々な態様が記載されているが、他の態様および実装形態が本発明の範囲内で可能であることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物を照らすもの以外は制限されるべきではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
【国際調査報告】